JPH11286499A - 病原性大腸菌を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の検出方法 - Google Patents
病原性大腸菌を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の検出方法Info
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- JPH11286499A JPH11286499A JP10101887A JP10188798A JPH11286499A JP H11286499 A JPH11286499 A JP H11286499A JP 10101887 A JP10101887 A JP 10101887A JP 10188798 A JP10188798 A JP 10188798A JP H11286499 A JPH11286499 A JP H11286499A
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Abstract
菌、更に好ましくはベロ毒素を産生する腸管出血性大腸
菌、特に好ましくはインティミンを有する腸管出血性大
腸菌を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル応
対を用いた病原性大腸菌の検出方法。 【効果】 本発明により、病原性大腸菌を認識するモノ
クローナル抗体を提供し、多量検体測定にも迅速に対応
できる免疫測定方法による病原性大腸菌の測定方法の
他、病原性大腸菌の集菌や排除等幅広い応用方法を提供
することができる。
Description
異的なモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用い
た病原性大腸菌の検出方法に関する。
−157による食中毒が散発し、死亡者も含めて患者数
は9000人にも上がった。病原性大腸菌O−157
は、腸管出血性大腸菌の一種で、赤痢菌の毒素に類似し
たベロ毒素を産生し、出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候
群等を引き起こす。重症となった場合は死亡率が高いた
め、感染初期での確定診断や早期治療等が必須である。
57の検出手段としては、O−157がソルビトール非
分解性または遅分解性である性質を利用したソルビトー
ル添加の選択培地にて、患者検体を培養するという古典
的な方法が一般的に取られており、時間と手間を要する
ため、緊急の検査には間に合わないことがあった。ま
た、患者からの臨床分離株では、ベロ毒素産生株として
O−157ばかりではなく、O−26やO−111が散
発している事が報告され(Acta Paediatr. Jpn.:37, 46
9-473, (1995)、日本臨牀:55, 651-654, (1997))、大
腸菌培養にO−157選択培地を用いる培養では、他の
菌株の検出には問題を生じる可能性が危惧される。
消するために、大腸菌膜表面の糖鎖によって大腸菌のO
抗原型を判別する方法も取られてきた。すなわち、膜表
面に存在する糖鎖に対する抗血清を用い、培養によって
増殖させた大腸菌との反応の有無によりO抗原型の同定
を行うものである。この方法によれば、選択培地を用い
る方法よりは正確に同定することができるものの、17
0種類以上が知られているO抗原型別分類のうち日本国
内で市販されているO抗原型別抗血清は40種程度であ
り、非常に数多くの株に対応した抗血清を常備しておく
事は、抗血清の特異性、再現性、費用等の面で問題が多
い。また、この方法を用いた場合でも、感度の点で大腸
菌の培養が必要となるため、迅速な対応を必要とする毒
素産生病原性大腸菌の同定には不向きであった。
ために、ベロ毒素遺伝子のPCR法による遺伝子増幅法
も用いられている。PCR法による遺伝子増幅は、検出
感度は優れているものの、疑似遺伝子の増幅等による疑
陽性を防ぐためには、検体の前処理を必要とするため、
多数検体の測定に当たっては煩雑さが否めない。また、
前培養後にO−157に対する抗血清を固定した磁性粒
子を用いて、大腸菌O−157だけを検体中から集菌
し、選択的にO−157を検出する方法も確立された
(J. Med. Microbiol.: 40, 424-427, (1994) 、 J. Me
d. Microbiol.: 44, 267-271, (1996)、Appl. Environ.
Microbiol.: 62, 587-592, (1996))。しかしながら、
上述したように大腸菌O−157だけがベロ毒素産生株
では無く、抗血清の特異性にも問題があるため、より広
くかつ見逃しの無い反応性を持った病原性大腸菌の検出
方法が望まれていた(日本臨牀:55, 651 - 654 (199
7))。
病原性大腸菌を検出するものであるが、他方では、病原
性大腸菌に共通する構造を認識する抗体を作製し、ベロ
毒素を産生する危険性の高い病原性大腸菌を一括して検
出しようとする試みもなされ、その中でも腸管出血性大
腸菌の外膜蛋白質であるインティミンが注目されてい
る。インティミンは、大腸粘膜の腸管粘膜上皮細胞に強
い粘着性を示す粘着因子として知られており、腸管出血
性大腸菌はこのインティミンを介して腸管粘膜上皮細胞
に取りつき、AE障害(Attaching & Effacing)と呼ば
れる一連の細胞骨格構造障害を引き起こして、感染を成
立させる。
て作用するインティミンは、O抗原型毎の構造が解明さ
れつつある段階で、未だその全容が明らかにはなってな
いない。M.Louie 等のグループは、O−157のインテ
ィミンのC末端側266アミノ酸残基をGSTと融合さ
た蛋白質を発現させ、これを免疫原として作製した抗血
清により、O−5、O−26、O−55、O−111、
O−127、O−157等の種々の大腸菌の交差反応性
を認めたとする報告(Infect. Immun., 61, 4085 - 409
2 (1993))をしている。
いるO−157(EHEC)のインティミンと兎への感
染株として最も良く解明されているO−127(EPE
C)のインティミンとを比較すると、インティミンのC
末端側は非常に変異が激しく株特異的な配列を有してお
り、N末端側は比較的ホモロジーが高い領域が存在して
いる事が推測される。T.S.Agin等のグループも、O−2
6とO−111のインティミンの遺伝子解析において、
株特異的なC末端領域の解析を試みており、N末端領域
に関する遺伝子解析はなされていない (Infect. Immu
n., 65, 320 - 326 (1997))。
場合の病原性大腸菌の共通認識部位が明らかではなく、
また、抗血清は量が限られるため、研究材料としても充
分ではなかった。よって、病原性大腸菌を広く認識し、
集団感染の検査においても潤沢に再現性良く供給し得る
ようなモノクローナル抗体を作製することが望まれてい
た。
は、病原性大腸菌を直接認識できるようなモノクローナ
ル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の免
疫測定方法を提供することにある。
題を解決すべく、病原性大腸菌に関する研究を重ねた結
果、ベロ毒素を産生する主な病原性大腸菌のインティミ
ンを共通に認識するモノクローナル抗体を作成し、該モ
ノクローナル抗体を用いた免疫測定方法により病原性大
腸菌の免疫測定をする事に成功して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、病原性大腸菌を認識するモノクロ
ーナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌
の免疫測定方法を提供するものである。
病原性大腸菌を短時間で直接検出する事ができ、病原性
大腸菌感染の確定診断、食中毒発生の原因解明等に広く
応用する事が出来る他、不溶性物質等に固定化したモノ
クローナル抗体を用いた腸管出血性大腸菌の集菌或いは
体内からの排除等の病原性大腸菌感染後の対応にも応用
することが出来る。
於て病原性大腸菌とは、腸管病原性大腸菌(EPE
C)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管侵入性大
腸菌(EIEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸
管凝集性大腸菌(EAggEC)等の病気を引き起こす
大腸菌を言い、好ましくは腸管出血性大腸菌、更に好ま
しくはベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌、特に好ま
しくは外膜蛋白質としてインティミンを有する大腸菌を
意味する。
2、O−5、O−8、O−22、O−26、O−38、
O−69、O−84、O−98、O−103、O−11
1、O−113、O−116、O−132、O−14
5、O−153、O−156、O−157等、インティ
ミンを有する大腸菌としては、O−5、O−26、O−
69、O−84、O−98、O−103、O−111、
O−145、O−156、O−157等が挙げられる。
これら病原性大腸菌はウシを媒体としてヒトに感染する
と考えられているが、ヒトから臨床分離された病原性大
腸菌株のほとんどは、インティミンを有していると言う
見方もある。
は、94〜97kDaで、その塩基配列はG.Beebakhee
やJ.Yue & J.B.Kaoer 等によって明らかにされている
(FEMSMicrobiol. Lett.: 91, 63-68, (1992)、Mol. Mi
crobiol.: 6, 411-417, (1992) )。また、これまでに
牛から単離された腸管出血性大腸菌株について、インテ
ィミンの遺伝子であるeaeA geneの有無を検討
した報告もなされている(Epidemiol. Infect., 116, 1
- 7 (1996)) 。
体を取得するには、免疫原として、病原性大腸菌体その
ものを用いても良いが、病原性大腸菌の特異的外膜蛋白
質であるインティミンを用いることが望ましい。免疫原
としてのインティミンは、その全体を用いても、一部分
を用いてもよいが、どのような免疫原として用いたとし
ても、モノクローナル抗体を確立する際にインティミン
に特異的なモノクローナル抗体を選別すればよく、免疫
原はこれらに限定されるものではない。
ハムスター等の免疫動物に免疫する。免疫は常法に従っ
て行うことができ、免疫原は単独でまたはアジュバンド
と共に免疫動物に投与する。免疫後は、血清を採取して
抗体価の上昇を確認し、必要に応じて追加免疫を行うと
よい。抗体価の上昇を確認後、脾臓細胞等のような抗体
産生細胞と、ミエローマ細胞のような腫瘍細胞とを、ポ
リエチレングリコール等のような融合剤で融合してハイ
ブリドーマを作製する。次いでハイブリドーマをHAT
培地のような選択培地を用いて選択し、限界希釈法等の
適当な方法でモノクローナル化して培養する。この培養
上清を酵素免疫測定法のような適当な免疫測定法で分析
し、目的とする病原性大腸菌に特異的なモノクローナル
抗体を産生しているクローンを選択する。選択の際に
は、インティミン、病原性大腸菌、病原性を示さない大
腸菌等の反応性の有無を基準にして選択することが好ま
しい。
は、公知の方法、例えば、ケーラーとミルシュタイン
(Nature 256 495 1975 )、シェーラー(Nature 285 4
46 1980)等の方法により行うことができる。また上述
の手法により作製したモノクローナル抗体は、プリスタ
ン処理したマウスに該モノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマを投与して得られた腹水、あるいは該モノ
クロナール抗体を産生するハイブリドーマの培養上清か
ら、塩折、イオン交換クロマトグラフィー、プロテイン
Aを固定化したアフィニティークロマトグラフィー等の
分析・精製手段により回収することができる。
腸菌の検出方法に様々に用いることができる。例えば、
大腸菌の集菌、免疫測定方法等である。検出方法が集菌
の場合は、例えば本願発明のモノクローナル抗体を不溶
性担体等に固定化し、モノクローナル抗体を介して不溶
化された病原性大腸菌を不溶性担体ごと集めることがで
きる。これを体内にて行えば、感染した体内から病原性
大腸菌のみを排除することもできる。
免疫測定方法に用いることができる。例えば、本発明の
モノクローナル抗体を蛍光標識した組織免疫染色法、ウ
エスタンブロット法、本発明のモノクローナル抗体を2
種類用いたサンドイッチ免疫測定法、本発明のモノクロ
ーナル抗体と抗大腸菌抗体とを用いたサンドイッチ免疫
測定法、標識インティミンを用いた競合免疫測定法等を
挙げることができるが、本発明の免疫測定法はこれらに
限定されるものではない。なお、測定する検体には制限
が無く、例えば便、組織抽出液、組織、食品、血清等の
病原性大腸菌の測定に適応できる。
細に説明する。 参考例1 病原性大腸菌O−157からのインティミン
遺伝子の単離並びにその解析 報告されているインティミン遺伝子の塩基配列(FEMS M
icrobiol. Lett.:91,63-68, (1992) ) を参考にして、
O−157ゲノムDNAを鋳型として用いてPCR法に
てインティミン遺伝子32aa−935aa領域を増幅
した。増幅した断片は、制限酵素EcoRIとHind
IIIで水解した後、図1に示す発現用プラスミドpW
6AのEcoRI−HindIII部位に挿入し、プラ
スミドpW6AeaeA900を作製した。挿入された
DNA断片の塩基配列を調べたところ、配列番号1に示
すDNA配列を有し、該DNA配列は配列番号1に示す
アミノ酸配列をコードしていた。さらにプラスミドpW
6AeaeA900を鋳型としてPCR法にてインティ
ミン遺伝子の38aa−522aa領域を増幅した。増
幅した断片は制限酵素EcoRIとBamHIで水解し
た後、発現用プラスミドpW6AのEcoRI−Bam
HI部位に挿入し、プラスミドpW6AeaeANpを
作製した。次いでpW6AeaeA900とpW6Ae
aeANpをそれぞれ用いて、大腸菌BL21(DE
3)(Brookhaven National Laboratoryより入手)を形
質転換させ、インティミンポリペプチド32aa−93
5aa及び38aa−522aaを発現するアンピシリ
ン耐性の形質転換体大腸菌BL21(DE3)/pW6
AeaeA900とBL21(DE3)/pW6Aea
eANpを得た。
ンピシリンを含むLB培地2ml中37℃で培養した。
予備培養にて600nmでODを0.6〜0.8にした
後、0.5mM IPTGを添加し発現誘導をおこな
い、さらに2時間培養した。1.5ml量の菌体培養液
を5000rpmで2分間遠心分離して菌体を集め、1
00μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH8.0、
0.1M塩化ナトリウム、1mM EDTA)に懸濁
し、15分間の超音波破砕により完全に菌体を破砕し
た。これを菌体試料とする。
アミドゲル緩衝液(0.1Mトリス塩酸pH6.8、6
%SDS、24%グリセリン、6mM EDTA、3%
2−メルカプトエタノール、0.01%BPB)4μ
lを加え、十分撹拌した後、SDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動を行った。泳動後ポリアクリルアミドゲル
をタンパク染色し、菌体試料に含まれるタンパクの展開
像を観察した。形質転換体BL21(DE3)/pW6
AeaeA900及びBL21(DE3)/pW6Ae
aeANp試料中には、非形質転換体BL21(DE
3)では認められない分子量約94〜97kDa及び約
55kDaのポリペプチドが存在した。これはプラスミ
ドpW6AeaeA900及びpW6AeaeANpか
らの発現産物と考えられる。発現産物はそれぞれインテ
ィミン900及びインティミンNpと名付けた。
B培地37℃条件下で培養した。予備培養にて600n
mでODを約0.7の濃度にした後、0.5mM IP
TGを添加し発現誘導を行った。4時間培養後、遠心を
行い大腸菌を回収した。回収した大腸菌に50mMトリ
ス−塩酸緩衝液pH8.0、2M尿素を200ml加
え、氷冷下で超音波破砕処理を行った。発現したインテ
ィミンNpは、遠心後不溶性画分に回収された。不溶性
画分を6M尿素、20mM水酸化ナトリウム溶液pH1
2.0で可溶化し直ちに1.0Mトリス−塩酸緩衝液p
H8.0を添加してpH9.0とし遠心を行い上清画分
を回収した。この上清を、6M尿素、50mMトリス−
塩酸緩衝液pH9.0で平衡化したQFF陰イオン交換
カラム(ファルマシア社製)でイオン交換精製した。塩
化ナトリウムを含むカラム平衡化緩衝液で溶出したとこ
ろで約0.3M塩化ナトリウム溶出画分にインティミン
Npを回収した。セントリプレップ10(アミコン社
製)で濃縮を行ったQFF溶出画分を6M尿素、0.5
M塩化ナトリウム、50mMトリス−塩酸緩衝液pH
9.6で平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カ
ラム(ファルマシア社製)で精製し、分子量約55kD
aのインティミンNpを得た。
抗体産生ハイブリドーマの作製 参考例3で調製したインティミンNpをフロイント完全
アジュバントと等量混合し、BALB/cマウスの腹腔
内に200μl(約40μg/マウス)投与した。約2
週間の間隔をおいて更に2回、インティミンNpをフロ
イント不完全アジュバントと等量混合し、腹腔内に投与
した。抗体価の上昇を確認した後、最終免疫としてイン
ティミンNp約40μgを静脈内に投与し、その3日後
に脾臓を摘出した。単離した脾細胞とマウス骨髄腫細胞
株であるP3−x63−Ag8−U1(大日本製薬から
購入)とを3:1の細胞数の割合で混合し、50%ポリ
エチレングリコール1500を用いて細胞融合を行っ
た。細胞はHAT(1x10 -4Mヒポキサンチン、4x
10-7Mアミノプテリン、1.6x10-5Mチミン)及
び10%ウシ胎仔血清添加RPMI1640培地(以
下、本明細書においてHAT培地と記載する)に懸濁
し、96穴のマイクロカルチャープレートに分注して培
養した。ハイブリドーマが増殖してきたウェルの培養上
清を以下のELISA法により調べ、インティミンに反
応するモノクローナル抗体を産生しているハイブリドー
マを選択した。すなわち、参考例3で調製したインティ
ミンNpをリン酸緩衝液(以下、本明細書においてPB
Sと記載する)で希釈し、96穴ELISAプレートに
分注し、4℃で一晩放置して固相に結合させた。次に、
0.05%ツィーン20を含むPBS(以下、本明細書
においてPBSTと記載する)で洗浄した後、1%スキ
ムミルクを含むPBSを分注し、1時間、37℃に放置
してブロッキングした。PBSTで洗浄後、ハイブリド
ーマの培養上清を分注し、1時間、37℃に放置した。
続いて同様に洗浄後、ペルオキシダーゼ(以下、本明細
書においてPODと記載する)標識抗マウス免疫グロブ
リン抗体(ダコ社製)を1000倍希釈したものを分注
し、1時間、37℃に放置した。同様の洗浄後、POD
基質(ABTS−過酸化水素系)を加え、室温、10分
間放置した後反応停止液を加え、405nmの吸収を測
定した。陽性ウェルの細胞は限界希釈法にてクローニン
グした。単一コロニーを含むウェルの細胞上清の抗体活
性を上記の方法で調べ、選択、培養し、インティミンに
反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
INTN202、INTN203、INTN215、I
NTN216及びINTN228を樹立した。これらの
ハイブリドーマは大量培養し、それぞれマウス腹腔内に
投与し、腹水を回収した。さらに、アフィ−プレッププ
ロテインAマップスIIキット(バイオラド社製)を用
いて腹水より抗体を精製し、モノクローナル抗体を得
た。これらの抗体をモノクローナル抗体intn20
2、intn203、intn215、intn216
及びintn228と命名した。尚、樹立したハイブリ
ドーマのうち、INTN215とINTN228は生命
工学工業技術研究所に寄託され、その受託番号はFER
M P−16729、FERM P−16730であ
る。
抗体の反応性 (1)発現誘導した大腸菌BL21(DE3)/pW6
AeaeA900に対する反応性 参考例2と同様の方法で発現誘導させた大腸菌BL21
(DE3)/pW6AeaeA900及び大腸菌BL2
1(DE3)をPBSで3回洗浄後、660nmで1.
0のODになるようにをPBSで稀釈した。これを96
穴ELISAプレートに分注し、37℃で一晩放置して
乾固させた。次に、PBSTで洗浄した後、1%スキム
ミルクを含むPBSを加え、37℃で1時間ブロッキン
グした。PBSTで洗浄後、1%BSA−PBSで2μ
g/mlに希釈した抗インティミンモノクローナル抗体
intn202、intn203、intn215、i
ntn216、intn228及び陰性コントロール抗
体としてインティミンに反応しないモノクローナル抗体
をそれぞれ加え、37℃で1時間反応させた。続いて同
様に洗浄後、1000倍希釈したPOD標識抗マウス免
疫グロブリン抗体(ダコ社製)を加え、37℃で1時間
反応させた。同様の洗浄後、POD基質(ABTS−過
酸化水素系)を加え、室温、10分間放置した後反応停
止液を加え、405nmの吸収を測定した。。結果を表
1に示す。抗インティミンモノクローナル抗体intn
202、intn203、intn215、intn2
16及びintn228は通常の大腸菌BL21(DE
3)には反応しないが、インティミン900を発現させ
た大腸菌BL21(DE3)/pW6AeaeA900
には反応することが確認できた。
腸菌O−157、O−26、O−111に対する反応性
の確認 病原性大腸菌O−157、O−26、O−111及び遺
伝子工学の分野で用いられている大腸菌DH5α、BL
21(DE3)をLB培地で37℃一晩培養した。1m
l量の菌体培養液を5000rpmで2分間遠心分離し
て菌体を集め、150μlのポリアクリルアミドゲル緩
衝液(20%グリセリン、1%SDS、10mMトリス
−塩酸、pH6.8、1% 2−メルカプトエタノー
ル、0.01%BPB)に懸濁し、15分間の超音波破
砕により完全に菌体を破砕した。沸騰水中で加熱した
後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS
−PAGE)を行い、更にニトロセルロース膜に転写し
た。転写膜を1%スキムミルクを含むPBSでブロッキ
ングした後、1%BSA−PBSで2μg/mlに希釈
した抗インティミンモノクローナル抗体intn20
2、intn203、intn215、intn216
及びintn228を室温、1時間反応させた。PBS
Tによる洗浄後、300倍希釈したPOD標識抗マウス
免疫グロブリン抗体(ダコ社製)と室温、1時間反応さ
せた。更にPBSTによる洗浄を行った後、POD不溶
性基質(4クロロナフトール−過酸化水素系)を加え
て、発色させた。結果を図2に示す。病原性大腸菌O−
157、O−26、O−111では分子量94kDa付
近にバンドを生じたが、大腸菌DH5α、BL21(D
E3)では同様のバンドが認められなかった。抗インテ
ィミンモノクローナル抗体intn202、intn2
03、intn215、intn216及びintn2
28は病原性大腸菌O−157、O−26、O−111
のインティミンに反応することが確認できた。
抗体のエピトープ解析 (1)エピトープ解析用のペプチド作製 エピトープ解析用のペプチドとして、免疫原として用い
たインティミンNpの部分ペプチドを作製した。まず、
参考例1で作製したpW6AeaeANpを鋳型として
用いてPCR法にて特定の部分ペプチド領域をコードす
る遺伝子領域を増幅した。増幅した断片は、それぞれ制
限酵素EcoRIとHindIIIで水解した後、図2
に示すチオレドキシン融合発現プラスミドpWT8Aの
EcoRI−HindIII部位に挿入した。次いで、
それぞれの組み換えプラスミドを用いて、大腸菌BL2
1(DE3)(Brookhaven National Laboratoryより入
手)を形質転換した。形質転換体は、参考例2と同様の
方法でチオレドキシン融合蛋白として発現させた。発現
させた特定の部分ペプチド領域は、配列表1に示すイン
ティミンのアミノ酸番号で、38〜235、237〜5
22、158〜351、38〜157、158〜23
6、38〜90、91〜157、82〜99の計8種類
である。これらの部分ペプチドは、NpA、NpB、N
pC、NpD、NpF、NpH、NpI、NpNと命名
した。
プチド8種類を用いて、ウエスタンブロットにより、実
施例1で作製したハイブリドーマが産生するモノクロー
ナル抗体のエピトープ解析を行った。ウエスタンブロッ
ト法は、実施例3−(1)で作製した部分ペプチド8種
をSDS−PAGEした他は、実施例2−(2)に記載
の方法にて行った。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、モノクローナル抗体intn202、intn20
3、intn215、intn216及びintn22
8はいずれも、インティミンの38〜157アミノ酸領
域に結合することが明らかとなった。
モノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原
性大腸菌の免疫測定方法を提供し、病原性大腸菌を簡便
に測定することができる。
る。
ある。
57、O−26、O−111の測定結果を示す図であ
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 病原性大腸菌を認識するモノクローナル
抗体。 - 【請求項2】 病原性大腸菌が腸管出血性大腸菌である
請求項1に記載のモノクローナル抗体。 - 【請求項3】 病原性大腸菌がベロ毒素を産生する大腸
菌である請求項1または2に記載のモノクローナル抗
体。 - 【請求項4】 認識部位がインティミンである請求項1
ないし3のいずれかに記載のモノクローナル抗体。 - 【請求項5】 モノクローナル抗体がintn202、
intn203、intn215、intn216及び
intn228である請求項1ないし4のいずれかに記
載のモノクローナル抗体。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のモ
ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。 - 【請求項7】 ハイブリドーマがINTN202、IN
TN203、INTN215、INTN216及びIN
TN228である請求項6に記載のハイブリドーマ。 - 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれかに記載のモ
ノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の検出方法。 - 【請求項9】 検出方法が免疫測定方法である請求項8
に記載の検出方法。
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---|---|---|---|
JP10188798A JP3681537B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 病原性大腸菌を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10188798A JP3681537B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 病原性大腸菌を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の検出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11286499A true JPH11286499A (ja) | 1999-10-19 |
JP3681537B2 JP3681537B2 (ja) | 2005-08-10 |
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ID=14312454
Family Applications (1)
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JP10188798A Expired - Fee Related JP3681537B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 病原性大腸菌を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いた病原性大腸菌の検出方法 |
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JP (1) | JP3681537B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100471115B1 (ko) * | 2001-12-26 | 2005-03-08 | 주식회사 단바이오텍 | 장병원성 대장균 감염의 예방 및 치료를 위한 수용성단백질 및 이를 포함한 알 및 이들의 제조방법 |
JP2009145357A (ja) * | 2009-02-02 | 2009-07-02 | Denka Seiken Co Ltd | 腸管出血性大腸菌の簡易測定法 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10188798A patent/JP3681537B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR100471115B1 (ko) * | 2001-12-26 | 2005-03-08 | 주식회사 단바이오텍 | 장병원성 대장균 감염의 예방 및 치료를 위한 수용성단백질 및 이를 포함한 알 및 이들의 제조방법 |
JP2009145357A (ja) * | 2009-02-02 | 2009-07-02 | Denka Seiken Co Ltd | 腸管出血性大腸菌の簡易測定法 |
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JP3681537B2 (ja) | 2005-08-10 |
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