JPH1128448A - 有害物質の分離除去方法及び装置 - Google Patents

有害物質の分離除去方法及び装置

Info

Publication number
JPH1128448A
JPH1128448A JP9203775A JP20377597A JPH1128448A JP H1128448 A JPH1128448 A JP H1128448A JP 9203775 A JP9203775 A JP 9203775A JP 20377597 A JP20377597 A JP 20377597A JP H1128448 A JPH1128448 A JP H1128448A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
container
vacuum pump
housing body
harmful substances
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9203775A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3389966B2 (ja
Inventor
Kiyoshige Nishibayashi
清茂 西林
Hiroshi Kubo
博 久保
Tetsumi Higasayama
徹巳 日笠山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP20377597A priority Critical patent/JP3389966B2/ja
Publication of JPH1128448A publication Critical patent/JPH1128448A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3389966B2 publication Critical patent/JP3389966B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】油分をはじめとしたさまざまな有害物質を汚染
土壌等から効率的に分離除去する。 【解決手段】本発明に係る有害物質の分離除去装置1
は、油分を有害物質として含んだ対象物としての油汚染
土2が収容される気密性の収容体3と、該収容体に貫通
配置された排気管4と、該排気管に気液分離タンク5を
介して接続された真空ポンプ6と、該真空ポンプの下流
側に接続された捕集機器7と、収容体3内の温度を上昇
させる加熱手段としての温水循環装置16とからなり、
真空ポンプ6は、排気管4を介して収容体3内の気体を
引き抜いて収容体内の気圧を下げることにより、収容体
3内の気圧低下に伴う油分の沸点降下作用で油汚染土2
内の油分を揮発させ、該揮発油分を収容体3の外部に排
出するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚染土壌、産業廃
棄物等に含まれている油や有機塩素化合物といったさま
ざまな有害物質を該汚染土壌等から分離除去する方法及
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工場跡地等で基礎工事を行う場合、燃料
油や機械油が掘削土に混じって搬出されることがある。
かかる油汚染土をそのまま放置すると、該土に混入して
いる油分の臭いが周囲に拡散して周辺住民の生活に支障
を来すとともに、雨水によって土粒子から遊離した場合
には、地下水等に混入して水質を汚濁させる原因ともな
る。
【0003】そのため、かかる油汚染土は、一般廃棄物
とは区別し、いわゆる管理型処分場に廃棄処分とするこ
とで環境への拡散防止を図らねばならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近で
は、環境保護の観点から廃棄物処分場の確保がかなり困
難な状況になってきており、廃棄処分すべき処分場が見
当たらないという問題や、浸出水に含まれる油分の処理
設備が整っていない場合には油汚染土の受入れがそもそ
も困難であるという問題、あるいは、油含有量が一定量
を越える場合には、焼却が必要となるが、その焼却土は
やはり管理型処分場で廃棄処分しなければならないとい
う問題を生じていた。
【0005】また、環境への拡散を厳重に監視すべき有
害物質として、水銀、カドミウム、シアン、有機隣、
鉛、六価クロム、砒素、PCBなどがあるが、通電回収
が可能なイオン性のものであればともかく、電気的に中
性の有害物質を汚染土壌から効率的に分離除去する方法
はいまだ確立されていないのが現状である。
【0006】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、油分をはじめとしたさまざまな有害物質を汚
染土壌等から効率的に分離除去することが可能な有害物
質の分離除去方法及び装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る有害物質の分離除去方法は請求項1に
記載したように、有害物質を含んだ対象物を気密空間内
に密封し、該空間内の温度を上昇させるとともにその気
圧を下げ、前記対象物内から前記有害物質を揮発させる
とともに揮発した有害物質を前記気密空間の外部に排出
するものである。
【0008】また、本発明に係る有害物質の分離除去方
法は、所定の水反応性発熱剤を前記対象物とともに前記
気密空間内に密封するものである。
【0009】また、本発明に係る有害物質の分離除去装
置は請求項3に記載したように、有害物質を含んだ対象
物が収容される気密性の収容体と、該収容体内の気密空
間に連通された排気管と、該排気管を介して前記収容体
内の気体を引き抜いて気圧を低下させることにより前記
有害物質を前記対象物内から揮発させるとともに揮発し
た有害物質を前記収容体の外部に排出する真空ポンプ
と、該真空ポンプの上流側若しくは下流側に接続され前
記収容体から排出された有害物質を捕集する捕集機器
と、前記収容体内の温度を上昇させる加熱手段とを備え
たものである。
【0010】また、本発明に係る有害物質の分離除去装
置は、前記収容体を剛体容器で構成したものである。
【0011】また、本発明に係る有害物質の分離除去装
置は、前記収容体をシートで構成し、該シートを前記対
象物を収容した状態で袋状に密封自在に構成したもので
ある。
【0012】本発明に係る有害物質の分離除去方法にお
いては、有害物質を含んだ対象物を気密空間内に密封
し、しかる後に該空間内の温度を上げる。このようにす
ると、空間内の温度上昇によって有害物質の蒸気圧が大
きくなり、気化しやすい状態となるので、かかる状態で
気密空間内の空気を抜いて空気圧を下げると、気圧低下
による有害物質の沸点降下により、有害物質の気化は一
層進行する。したがって、このようにして対象物内から
揮発した有害物質を気密空間の外部に排出することによ
り、対象物内に含まれる有害物質はすみやかに分離除去
される。
【0013】なお、空気が抜かれた後についても、気密
空間内の気体、すなわち揮発した有害物質を抜いて減圧
状態を維持することにより、対象物内の有害物質を引き
続き揮発させる。
【0014】有害物質が含まれている対象物としては、
主として汚染土であるが、これ以外にもスラグ、焼却
灰、汚泥、コンクリート廃材、プラスチック廃材、廃棄
木材等も含まれる。
【0015】有害物質としては、油類や、トリクロロエ
タン、トリクロロエチレン、PCBなどの有機塩素化合
物、あるいはベンゼン、トルエン、ナフタレン、フェノ
ールなどの芳香族炭化水素のほか、減圧下、特に、数m
mHg以下のほぼ真空といえる状態で沸点が常温以下に
下がるすべての物質が包摂される。
【0016】気密空間をどのように形成するかは任意で
あり、例えば気密性収容体の内部空間を気密空間とし、
該気密性収容体の内部に掘削土砂等の対象物を投入する
ようにしてもよいし、実際に汚染された地盤を対象物と
するならば、その汚染領域を取り囲むようにして地中壁
を形成するとともに、その上部を気密シートで覆って気
密空間を形成してもよい。
【0017】気密空間内の気圧は、温度上昇させた該空
間内の温度における有害物質の蒸気圧以下となるように
設定するのが望ましい。この程度まで気圧を下げれば、
対象物内に含まれる有害物質は直ちに揮発する。なお、
必ずしも有害物質の蒸気圧を下回る必要はなく、若干効
率は落ちるものの、該蒸気圧に近い気圧であればかなり
の揮発作用を期待できる。
【0018】気密空間内の温度を上昇させる方法は任意
であり、直射日光や地熱といった自然のエネルギーを利
用して気密空間内を加熱する、電磁波を照射して加熱す
る、ゴミ焼却炉等の余剰熱を温風の形で気密空間内に送
り込む、電熱手段等の発熱体を気密空間内に設置する、
温水を通す、発熱反応を生じる化学物質を気密空間内に
投入するなどの方法が考えられるが、所定の水反応性発
熱剤を前記対象物とともに前記気密空間内に密封する場
合においては、該対象物に含まれる水分との間で発熱反
応が生じ、比較的簡単な方法で気密空間内の温度を上昇
させることができる。水反応性発熱剤としては、例えば
石灰系材料やセメント系材料が考えられるが、コスト、
発熱量、供給の容易さ等の観点で考えれば、生石灰が最
適である。
【0019】本発明に係る有害物質の分離除去装置にお
いては、まず、気密性の収容体内に有害物質を含んだ対
象物を投入して密封する。次に、加熱手段を作動させて
収容体内の温度を上昇させる。
【0020】このようにすると、空間内の温度上昇によ
って有害物質の蒸気圧が大きくなり、気化しやすい状態
となるので、かかる状態で排気管を介して収容体内の空
気を真空ポンプで引き抜いて気圧を下げると、気圧低下
による有害物質の沸点降下により、有害物質の気化は一
層進行する。したがって、このようにして対象物内から
揮発した有害物質を収容体の外部に排出し、さらに捕集
機器で回収する。
【0021】なお、空気が抜かれた後についても、気密
空間内の気体、すなわち揮発した有害物質を抜いて減圧
状態を維持することにより、対象物内の有害物質を引き
続き揮発させる。
【0022】有害物質、それが含まれている対象物並び
に気圧に関する説明については、上述したとほぼ同様で
あるのでここでは省略する。
【0023】加熱手段は、気密空間内の温度を上昇させ
ることができるのであれば、その構成は任意であり、気
密空間内で電磁波を発生可能な電磁波発生装置、ゴミ焼
却炉等の余剰熱を温風の形で気密空間内に送り込む温風
発生装置、気密空間内に設置される電熱装置、温水を循
環させる装置などが考えられる。
【0024】気密性の収容体としては、内部の真空状態
を実質的に維持できるものであれば、外部からの大気圧
に耐える構造にするかどうかは任意であるが、対象物に
大気圧が作用すると該対象物からの有害物質の揮発が妨
げられることが懸念される場合には、前記収容体を剛体
容器で構成しておくと、対象物に大気圧が作用しないの
で、有害物質は、対象物内からスムーズに揮発する。
【0025】一方、対象物に大気圧が作用しても有害物
質の揮発が妨げられるおそれがない場合、例えば、対象
物が礫や砂利を多く含んだ汚染土である場合には、前記
収容体をシートで構成し、該シートを前記対象物を収容
した状態で袋状に密封自在に構成しておくと、本発明に
よる揮発作用に加圧作用が加わり、より効率的な分離除
去が可能となる。また、収容体がシートであるため、保
管や運搬の際にたたんでおくことができるという作用効
果も得られる。
【0026】なお、気密性シートの使用の際にはこれを
拡げて対象物を載せた後、対象物を包み込むようにして
袋状に密封し、しかる後に収容体内の空気を上述したよ
うに引き抜いて有害物質を揮発除去すればよい。気密性
シートとしては、ナイロン、ビニロン、ポリエステルタ
ーポリンなどの材料から任意に選択することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る有害物質の分
離除去方法及び装置の実施の形態について、添付図面を
参照して説明する。
【0028】図1は、本実施形態に係る有害物質の分離
除去装置を示した全体斜視図である。同図でわかるよう
に、本実施形態に係る有害物質の分離除去装置1は、重
油、軽油、灯油、ガソリン等の油分を有害物質として含
んだ対象物としての油汚染土2が収容される気密性の収
容体3と、該収容体内の気密空間に連通された排気管4
と、該排気管に気液分離タンク5を介して接続された真
空ポンプ6と、該真空ポンプの下流側に接続された捕集
機器7と、収容体3内の温度を上昇させる加熱手段とし
ての温水循環装置16とからなり、真空ポンプ6は、排
気管4を介して収容体3内の気体を引き抜いて収容体内
の気圧を下げることにより、収容体3内の気圧低下に伴
う油分の沸点降下作用で油汚染土2内の油分を揮発さ
せ、さらに、揮発した油分を収容体3の外部に排出する
ようになっている。
【0029】気密性の収容体3は、ナイロン、ビニロ
ン、ポリエステルターポリンなどの材料で形成された気
密性シート11を、後述するように油汚染土2を収容し
た状態で袋状に包み込んだ後、接着、溶着等の方法で密
封して構成するのがよい。
【0030】排気管4は、例えば硬質塩化ビニルで形成
することが可能であり、多数の孔8が形成されたその先
端部分を収容体3の底部に設置されたサンドマット9内
に埋設してある。そして、該マット内を通過してきた収
容体3内の空気や油汚染土2内からの油分を孔8から吸
入するようになっている。
【0031】すなわち、サンドマット9は、孔8を油汚
染土2で目詰まりさせることなく空気や油分をスムーズ
に排出させるためのいわば通気体としての役目を果たす
とともに、油汚染土2の重量や該土に含まれる礫等の突
起物によって気密性シート11が破れたりしないように
する保護層としての役目も果たす。
【0032】気液分離タンク5には気圧計10を取り付
けてあり、連通する収容体3内の気圧を計測できるよう
になっているとともに、該タンクの底面近傍にはドレイ
ンコック12を設けてあり、バルブ13を閉じた状態で
該コックを開くことにより、気液分離タンク5に溜まっ
た油分や、該油分と同様にして油汚染土2内から蒸発し
てきた水分を抜くことができるようになっている。
【0033】捕集機器7は、活性炭吸着塔で構成してあ
り、真空ポンプ6から排出された気体から有害物質であ
る揮発油分を吸着するとともに、油分が除去された空気
等を排気口15から放出するようになっている。
【0034】温水循環装置16は、サンドマット9内に
埋設された温水パイプ17に図示しないポンプから圧送
された温水を同図矢印に示すように注入して収容体3内
を加熱するとともに、冷却された水を同図矢印に示すよ
うに回収して加温し、しかる後に再び収容体3に戻すこ
とができるようになっている。
【0035】本実施形態に係る有害物質の分離除去装置
1を現場にて組み立てるには、まず、図2(a)に示すよ
うに気密性のシート11を地面上に拡げ、その上にサン
ドマット9を敷き均すとともに該マット内に排気管4の
先端部分及び温水パイプ17を埋設する。
【0036】次に、同図(b)に示すようにサンドマット
9の上に油汚染土2を盛り、しかる後に、気密性のシー
ト11の縁部を持ち上げてサンドマット9及び油汚染土
2を袋状に包み込む。そして、それらの縁部を重ね合わ
せて溶着、接着等の方法によって接合密封し、同図(c)
に示すような、内部に気密空間が形成された収容体3と
する。
【0037】最後に、排気管4に気液分離タンク5、真
空ポンプ6及び捕集機器7を図1に示したように順次接
続する。
【0038】このようにして製造された分離除去装置1
を用いて油汚染土2内から油分を分離除去するには、ま
ず、温水循環装置16を作動させて収容体3内の温度を
上昇させる。
【0039】このようにすると、収容体3内の温度上昇
によって油分の蒸気圧が大きくなり、気化しやすい状態
となるので、かかる状態で排気管4を介して収容体3内
の空気を真空ポンプ6で引き抜いて空気圧を下げると、
気圧低下による油分の沸点降下により、該油分の気化は
一層進行する。
【0040】空気圧を下げる程度としては、収容体3内
の空気圧が該収容体内の温度における油分の蒸気圧以下
となるように真空ポンプ6を作動させるのが望ましい。
具体的には、油分が灯油である場合には、その蒸気圧曲
線は概ね図3のようになるので、温水循環装置16によ
る加熱作用によって収容体3内部が例えば45゜Cまで
上昇しているのであれば、300mmHg程度以下に下
げればよい。なお、同図には、参考までに水やエチルア
ルコールの蒸気圧曲線も描いてあり、同図から、水蒸気
に先行して揮発油分が回収できることがわかる。
【0041】次に、このようにして油汚染土2内から揮
発した油分を収容体3の外部に排出し、さらに捕集機器
7で回収する。
【0042】なお、空気が抜かれた後についても、収容
体3内の気体、すなわち揮発油分を抜いて減圧状態を維
持することにより、油汚染土2内の油分を引き続き揮発
させる。真空ポンプ6を作動させる時間については、ど
の程度まで油分を除去したいかによって適宜調節する。
また、いったん所定の空気圧まで下げた後においては、
真空ポンプ6を断続運転あるいは出力を弱めて運転し、
収容体3内で揮発した油分による圧力上昇の分だけ圧力
が下がるようにすれば足りる。
【0043】油汚染土2内の油分が所望の程度まで分離
除去されたならば、真空ポンプ6を停止して気密性シー
ト11を開き、該シート内から処理された土を取り出
す。処理済みの土は、例えば盛土材料として使用すれば
よい。
【0044】なお、捕集機器7の排気口15近傍に油検
知センサを設置することによって該排気口15からの揮
発油分の含有量を監視し、計測値が一定値を越えたとき
には、捕集機器7内の活性炭の吸着能力が低下したと判
断し、捕集機器7内の活性炭を加熱する等の方法によっ
て吸着能力を回復させるようにするのがよい。
【0045】次に、実証試験を行って本実施形態に係る
分離除去装置の作用効果を確認したので、以下にその実
験概要と結果を説明する。
【0046】実証試験では、まず、砂質土に灯油を0.
5%添加混合して油汚染土を作製し、該油汚染土を内径
10cmのシリンダに収容した。次に、該シリンダに接
続された真空ポンプを作動させてシリンダ内の空気を抜
き、空気圧を数mmHgまで低下させた。そして、かか
る状態を約20時間にわたって維持した。
【0047】その結果、油汚染土に含まれる油の含有量
は、0.05%にまで低下した。ちなみに、油含有量が
0.5%だと、強い油臭と水面油膜を伴うが、0.05
%程度まで低下すると、油臭はほとんどなく、水面にも
油膜は発生しない。
【0048】以上説明したように、本実施形態に係る有
害物質の分離除去方法及び装置によれば、温度上昇によ
る油分の蒸気圧の増大並びに空気圧低下に伴う油分の沸
点降下により、収容体3内を45゜Cまで加温すれば、
該収容体内を300mmHg程度に減圧するだけで、油
汚染土2に含まれる油分を直ちに揮発させて収容体3の
外側に排出することができる。
【0049】そのため、発ガン性等も懸念されている有
害な物質である油分を油汚染土から効率的に分離除去す
ることが可能となり、油汚染土を処分するための廃棄物
処分場を設置する必要がなくなるとともに、油含有量が
多い汚染土をいったん焼却する手間も省ける。また、処
理した後に脱水が必要となる水洗浄とは異なり、処理さ
れた土をすぐに再利用することができる。
【0050】また、収容体3を気密性シート11で構成
したので、該シートを介して大気圧が油汚染土2に作用
する。そのため、油汚染土2に含まれている油分は、減
圧による揮発作用に加えて大気圧の加圧作用によって収
容体3外部への排出が促進され、より効率的な分離除去
が可能となる。また、収容体3がシート11であるた
め、保管や運搬の際にたたんでおくことができるという
作用効果も得られる。
【0051】また、収容体3の底部に保護層としてのサ
ンドマット9を設けたので、油汚染土2の重量が大きか
ったり該汚染土に突起物が含まれていたとしても、それ
が原因で収容体3が損傷を受けることはない。そのた
め、収容体3の転用が可能となる。
【0052】また、サンドマット9内に排気管4を埋設
するようにしたので、該管に形成された孔8が油汚染土
2で塞がれて空気や油分の排出が妨げられるおそれがな
くなるとともに、油汚染土2の広い範囲から油分を揮発
させることも可能となる。
【0053】本実施形態では、有害物質を分離除去する
対象物を汚染土としたが、本発明の対象物はかかる汚染
土に限定されるものではなく、汚染土以外にも、スラ
グ、焼却灰、汚泥、コンクリート廃材、プラスチック廃
材、廃棄木材等を対象物としてもよい。
【0054】また、本実施形態では、温水循環装置16
を用いて収容体3内の温度を上昇させるようにしたが、
かかる装置を省略し、代わりに水反応性発熱剤としての
生石灰を油汚染土2とともに収容体3内に密封するよう
にしてもよい。
【0055】かかる構成によれば、生石灰と油汚染土2
に含まれる水分との間で発熱反応が生じ、比較的簡単な
方法で気密空間内の温度を上昇させることが可能とな
る。
【0056】また、本実施形態では、有害物質である揮
発油分を活性炭の吸着によって回収するようにしたが、
これに代えて、例えば揮発油分を溶剤に溶け込ませる形
で回収するようにしてもよいし、冷却液化によって回収
するようにしてもよい。かかる冷却方法としては、捕集
機器内に冷却パイプを設置する、大気で空冷する、地表
よりも相対的に低い地中温度を利用して冷却するなどの
方法が考えられる。
【0057】また、本実施形態では、有害物質を油分と
したが、本発明の有害物質は、かかる油分に限定される
ものではなく、トリクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、PCBなどの有機塩素化合物、あるいはベンゼン、
トルエン、ナフタレン、フェノールなどの芳香族炭化水
素のほか、減圧下、特に、数mmHg以下のほぼ真空と
いえる状態で沸点が常温以下に下がるすべての物質が包
摂される。したがって、水銀等の重金属も本発明でいう
ところの有害物質に含まれる。
【0058】なお、捕集機器内に充填する吸着剤として
は、活性炭をはじめ、シリカ・アルミナ系吸着剤、モレ
キュラーシービングカーボン等の合成吸着剤、ゼオライ
ト、活性白土とも呼ばれる酸性白土などから、有害物質
の吸着特性に応じて適宜選択すればよい。
【0059】また、本実施形態では、気密性のシート1
1を用いて収容体3を構成したが、かかる構成に代えて
図4(a)に示すように、剛性の高い、例えば鋼製の容器
21を収容体とし、該容器内部を油汚染土2を収容する
ための気密空間とするとともに、かかる容器21の内面
に加熱手段としての電気ヒータ24を取り付けて油汚染
土2を加熱自在とし、さらに該容器を貫通する排気管2
2に図1と同様の気液分離タンク5、真空ポンプ6及び
捕集機器7を順次接続するようにしてもよい。
【0060】かかる構成によれば、対象物である油汚染
土2に大気圧が作用すると有害物質の揮発が妨げられる
ことが懸念される場合において、有害物質を対象物内か
らスムーズに揮発させることが可能となる。また、この
場合、同図(b)に示すように有孔の排気管23を用いて
もよい。なお、その他の作用効果については上述の実施
形態とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略す
る。
【0061】また、本実施形態では、収容体3を用いて
気密空間を形成するようにしたが、実際に汚染された地
盤を対象物とするならば、図5に示すように、地盤31
内の汚染領域32を取り囲むようにして地中壁33を形
成しその上部を気密シート若しくは剛性板34で覆って
気密空間を形成するとともに、地中壁33に排気管35
を貫通させて、気液分離タンク5、真空ポンプ6及び捕
集機器7を順次接続するようにしてもよい。なお、かか
る構成における気密空間内の温度上昇方法は、気密シー
ト34を透光性とすることによって、直射日光を地盤3
1に直接当てて加温する方式を採用することができる。
また、地中壁33の下端については、適宜気密処理を行
う。
【0062】また、本実施形態では、気液分離タンク
5、真空ポンプ6、捕集機器7の順で収容体3に接続し
たが、まず、気液分離タンクは、真空ポンプがいわゆる
ドライタイプのものであればこれを省略してもよいし、
真空ポンプと捕集機器との順序を入れ替えてもよい。
【0063】また、本実施形態では、保護層としてサン
ドマットを採用したが、これに代えて、合板を気密性シ
ートの上に載せて保護層としてもよいし、アスファルト
やコンクリートで構成してもよい。一方、気密性シート
自体に強度を持たせるようにすれば、あるいは対象物の
重量等による破損のおそれがないのであれば、かかる保
護層を省略してもよい。
【0064】また、本実施形態では、通気体としてサン
ドマット9を採用したが、例えば、排気管の先端を分岐
することによって対象物の広い範囲から油分を排出する
ことができるのであれば、あるいは、油汚染土2が礫、
砂利等を多く含んだ通気性の高いものであれば、これを
省略してもよい。
【0065】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る本発
明の有害物質の分離除去方法によれば、油分等の有害物
質を対象物から効率的に分離除去することが可能とな
り、該対象物を処分するための廃棄物処分場を設置する
必要がなくなるとともに、水洗浄等の方法とは異なり、
処理された土をすぐに再利用することも可能となる。
【0066】また、請求項2に係る本発明の有害物質の
分離除去方法によれば、請求項1の効果に加えて、比較
的簡単な方法で気密空間内の温度上昇を図ることが可能
となるという効果を奏する。
【0067】また、請求項3に係る本発明の有害物質の
分離除去装置によれば、油分等の有害物質を対象物から
効率的に分離除去することが可能となり、該対象物を処
分するための廃棄物処分場を設置する必要がなくなると
ともに、水洗浄等の方法とは異なり、処理された土をす
ぐに再利用することも可能となる。
【0068】また、請求項4に係る本発明の有害物質の
分離除去装置によれば、請求項3の効果に加えて、対象
物に大気圧が作用すると有害物質の揮発が妨げられるこ
とが懸念される場合において、有害物質を対象物内から
スムーズに揮発させることが可能となるという効果も奏
する。
【0069】また、請求項5に係る本発明の有害物質の
分離除去装置によれば、請求項2の効果に加えて、有害
物質は、減圧による揮発作用に加えて大気圧の加圧作用
によって収容体外部への排出が促進され、より効率的な
分離除去が可能となる。また、保管や運搬の際に収容体
をたたんでおくことができるという作用効果も得られ
る。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る有害物質の分離除去装置の全
体斜視図。
【図2】本実施形態に係る有害物質の分離除去装置を現
場にて製作する手順を示した施工手順図。
【図3】本実施形態に係る有害物質の分離除去方法及び
装置の作用を説明するグラフ。
【図4】変形例に係る有害物質の分離除去装置を示した
断面図。
【図5】変形例に係る有害物質の分離除去方法を示した
断面図。
【符号の説明】
1 有害物質の分離除去装置 2 油汚染土(対象物) 3 収容体 4、22、23、35 排気管 6 真空ポンプ 7 捕集機器 9 サンドマット(通気体、保護
層) 11、34 気密性のシート 16 温水循環装置(加熱手段) 21 鋼製容器(収容体) 24 電気ヒータ(加熱手段) 33 地中壁(気密空間)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有害物質を含んだ対象物を気密空間内に
    密封し、該空間内の温度を上昇させるとともにその気圧
    を下げ、前記対象物内から前記有害物質を揮発させると
    ともに揮発した有害物質を前記気密空間の外部に排出す
    ることを特徴とする有害物質の分離除去方法。
  2. 【請求項2】 所定の水反応性発熱剤を前記対象物とと
    もに前記気密空間内に密封する請求項1記載の有害物質
    の分離除去方法。
  3. 【請求項3】 有害物質を含んだ対象物が収容される気
    密性の収容体と、該収容体内の気密空間に連通された排
    気管と、該排気管を介して前記収容体内の気体を引き抜
    いて気圧を低下させることにより前記有害物質を前記対
    象物内から揮発させるとともに揮発した有害物質を前記
    収容体の外部に排出する真空ポンプと、該真空ポンプの
    上流側若しくは下流側に接続され前記収容体から排出さ
    れた有害物質を捕集する捕集機器と、前記収容体内の温
    度を上昇させる加熱手段とを備えたことを特徴とする有
    害物質の分離除去装置。
  4. 【請求項4】 前記収容体を剛体容器で構成した請求項
    3記載の分離除去装置。
  5. 【請求項5】 前記収容体をシートで構成し、該シート
    を前記対象物を収容した状態で袋状に密封自在に構成し
    た請求項3記載の分離除去装置。
JP20377597A 1997-07-14 1997-07-14 有害物質の分離除去方法及び装置 Expired - Fee Related JP3389966B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20377597A JP3389966B2 (ja) 1997-07-14 1997-07-14 有害物質の分離除去方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20377597A JP3389966B2 (ja) 1997-07-14 1997-07-14 有害物質の分離除去方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1128448A true JPH1128448A (ja) 1999-02-02
JP3389966B2 JP3389966B2 (ja) 2003-03-24

Family

ID=16479592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20377597A Expired - Fee Related JP3389966B2 (ja) 1997-07-14 1997-07-14 有害物質の分離除去方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3389966B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001327954A (ja) * 2000-05-22 2001-11-27 Kajima Corp 汚染土壌の浄化装置および浄化方法
JP2008073691A (ja) * 2002-03-15 2008-04-03 Kajima Corp 既設アスファルトプラント兼用油汚染土壌処理装置
JP2011212669A (ja) * 2010-12-17 2011-10-27 Eco Renaissance Entec:Kk 土壌汚染浄化方法
JP2012035224A (ja) * 2010-08-10 2012-02-23 Kajima Corp 掘り起こし残土の仮置き方法
CN104307862A (zh) * 2014-09-03 2015-01-28 中科华南(厦门)环保有限公司 一种用热脱附高温循环喷淋废水提高常温解吸大棚处理效率的余热利用系统
CN108273842A (zh) * 2018-05-02 2018-07-13 北京高能时代环境技术股份有限公司 一种土壤修复热脱附加热装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001327954A (ja) * 2000-05-22 2001-11-27 Kajima Corp 汚染土壌の浄化装置および浄化方法
JP2008073691A (ja) * 2002-03-15 2008-04-03 Kajima Corp 既設アスファルトプラント兼用油汚染土壌処理装置
JP4577728B2 (ja) * 2002-03-15 2010-11-10 鹿島建設株式会社 既設アスファルトプラント兼用油汚染土壌処理装置
JP2012035224A (ja) * 2010-08-10 2012-02-23 Kajima Corp 掘り起こし残土の仮置き方法
JP2011212669A (ja) * 2010-12-17 2011-10-27 Eco Renaissance Entec:Kk 土壌汚染浄化方法
CN104307862A (zh) * 2014-09-03 2015-01-28 中科华南(厦门)环保有限公司 一种用热脱附高温循环喷淋废水提高常温解吸大棚处理效率的余热利用系统
CN108273842A (zh) * 2018-05-02 2018-07-13 北京高能时代环境技术股份有限公司 一种土壤修复热脱附加热装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3389966B2 (ja) 2003-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5836718A (en) Method and apparatus for ex situ cleaning of contaminated soil
US5271693A (en) Enhanced deep soil vapor extraction process and apparatus for removing contaminants trapped in or below the water table
EP0557623B1 (en) Mobile material decontamination apparatus
US5193934A (en) In-situ thermal desorption of contaminated surface soil
US7866920B2 (en) Methods and systems for remediating contaminated soil
US5181796A (en) Method for in situ contaminant extraction from soil
JP3389966B2 (ja) 有害物質の分離除去方法及び装置
JP2010221220A (ja) 汚染された土壌を改良するための方法およびシステム
JP4697671B2 (ja) 有害物質の分離除去装置
JP3555738B2 (ja) 有害物質の分離除去装置及び方法
JPH1190410A (ja) 汚染物質の原位置浄化システム
US5622641A (en) Method for in-situ reduction of PCB-like contaminants from concrete
JP4009882B2 (ja) 有害物質の分離除去装置
JP4009883B2 (ja) 有害物質の分離除去方法及び装置
US5681130A (en) Active cooling-based surface confinement system for thermal soil treatment
JP2011073000A (ja) 有害物質の分離除去方法
US7589248B2 (en) Mercury contamination extraction
JP3526012B2 (ja) 有害物質の分離除去装置
Ghassemi Innovative in situ treatment technologies for cleanup of contaminated sites
KR20040082635A (ko) 마이크로웨이브를 이용한 유류 오염토양 정화장치
US5931600A (en) Thermal desorption and destruction of dense non-aqueous phase liquid in fractured bedrock
CN215879215U (zh) 一种高效热脱附模块化处理装置
JP3344999B1 (ja) 溶融処理方法及びその処理容器
KR100733607B1 (ko) 초음파에 의한 유류분리방법
JP2002301465A (ja) 揮発性有機化合物汚染土壌・地下水の浄化システム

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20021219

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080117

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100117

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100117

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110117

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110117

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120117

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130117

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130117

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140117

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees