JPH11281689A - 振動子の測定治具における対地間容量および損失の決定方法 - Google Patents

振動子の測定治具における対地間容量および損失の決定方法

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JPH11281689A
JPH11281689A JP8657298A JP8657298A JPH11281689A JP H11281689 A JPH11281689 A JP H11281689A JP 8657298 A JP8657298 A JP 8657298A JP 8657298 A JP8657298 A JP 8657298A JP H11281689 A JPH11281689 A JP H11281689A
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vibrator
load capacitance
measuring
load
ground
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JP8657298A
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Koichi Yanagawa
光一 柳川
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Hewlett Packard Japan Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】負荷容量付き測定における振動子の特性測定に
おいて測定誤差の一因となる対地間容量およびその損失
分を高精度で測定することのできる方法を提供する。 【解決手段】本発明の一実施例によれば、対地間容量は
直接的に測定されるのではなく、負荷容量の値から予想
される共振周波数の偏移と実測による共振周波数偏移と
の関係から求められる。容量の直接測定は正確さに欠
け、かつ測定自体も困難なものであるが、本発明によれ
ば、容易な方法で精度良く対地間容量を求めることがで
きる。対地間抵抗も同様に、負荷容量の無い場合の直列
共振抵抗と、負荷容量CL、対地間容量Cy、未知の対地
間抵抗Ryとの関係を示す関係式より求められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に、水晶振動子や
セラミック振動子のような振動子における電気的等価4
素子定数(L1、C1、R1、C0)の測定方法に関し、特
に、振動子に負荷容量を接続して振動子の直列共振時抵
抗を測定する場合に測定誤差の一因となる対地間容量お
よびその損失分の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水晶振動子やセラミック振動子のよう
な、電気−機械系の相互作用を利用した振動子の共振周
波数近傍での電気的等価4素子定数(L1、C1、R1
0)の測定法には、JIS規格 C 6701や、IEC規格Pub.44
4-1に規定されたパイ(π)回路法、EIA規格512のSパ
ラメータ法、反射係数から求める反射法(EIA規格512)が
ある。パイ回路法およびSパラメータ法は伝送特性から
振動子のインピーダンス特性および振動子定数を求める
方法であり、伝送法と呼ばれる。他方、反射法は振動子
の反射特性から振動子のインピーダンス特性および振動
子定数を求める方法である。伝送法は反射法に比べ、測
定可能なインピーダンス範囲が広いので伝送法が広く採
用されており、日本やヨーロッパでは、その中でもパイ
回路法が主要な測定方法となっている。
【0003】図1にパイ回路法による測定回路の一部を
示す。パイ回路法ではパイ型に組まれた抵抗回路網を2
個使用する。このパイ回路は50Ω系と12.5Ω系との間の
インピーダンス変換を行なう働きをしており、例えば図
1の左側のパイ回路Pi-1は159Ωの抵抗側が50Ω系であ
り、14.2Ω側が12.5Ω系になっている。水晶振動子等の
被測定デバイス(DUT)はDUT端子間に接続される。
【0004】図1の回路を組み込んだ治具(パイ治具)を
不図示のインピーダンスアナライザやネットワークアナ
ライザ、ベクトルボルトメータ等に接続して、DUT端子
間に接続された被測定デバイスの特性を測定する方法が
パイ回路法と呼ばれるものである。例えばネットワーク
アナライザの信号源側をパイ回路Pi-1の159Ω側に接続
し、パイ回路Pi-2の159Ω側をネットワークアナライザ
のレシーバに接続して測定を行なう。
【0005】パイ治具およびネットワークアナライザを
含めた測定系は通常3つの標準器を用いて校正される
(3点校正)。一般のインピーダンス測定における誤差要
因は3個あり、即ち3個の標準器を用いて完全に誤差を
補正できることは当業者には周知の事実である。典型的
には3つの標準器としてオープン、ショート、ロードが
使われ、ロードは50Ωが一般に使用される。3点校正に
より振動子の接続端子からパイ回路までの回路パターン
の特性も補正されてしまうので、回路パターンが大地電
位に対してもつ浮遊静電容量Cy1、Cy2やパターンのイ
ンダクタンス分(図示せず)による特性も補正され、測定
誤差とはならない。
【0006】水晶やセラミックを素材とした振動子では
直列共振周波数付近での特性を4つの素子で近似するこ
とが一般に広く行われており、これら4つの等価素子定
数を測定することが振動子の重要な評価項目になってい
る。この測定は直列測定と呼ばれる。これらの等価素子
は一般に、等価直列インダクタンスL1、等価直列容量
1、等価直列抵抗R1、および等価並列容量C0で示さ
れる。図2の(a)に、これら4つの等価素子によって
表わされた振動子の等価回路を示す。
【0007】一般に水晶振動子では共振周波数の微調整
や、共振周波数の温度特性を補償する目的で振動子に静
電容量(負荷容量と呼ばれる)を直列接続して使用する
場合が多い。したがって、負荷容量を接続した実使用状
態での等価4素子定数を求めることも振動子の製造業者
とユーザにとっては重要な関心事である。この測定は負
荷容量測定と呼ばれる。このように、多くの場合、負荷
容量接続時と負荷容量の無い時との両方の測定が必要と
される。しかしながら、両方の測定を行なうことは煩雑
であり、片方の測定結果から他方の測定結果が推測でき
ることが望ましい。
【0008】図2に示すように、負荷容量CLが無い時
(a)と負荷容量接続時(b)とのそれぞれの振動子の
等価直列インダクタンス、等価直列抵抗、等価直列容
量、および等価並列容量をそれぞれL1、L1'、R1、R
1'、C1、C1'、およびC0、C0'とし、直列共振周波数
をそれぞれfs、fs'とした場合、これらの定数間には
下記の計算式で示される関係があることが当業者には知
られている。
【0009】
【数1】
【0010】しかしながら、パイ回路法による負荷容量
接続時の直列共振抵抗の測定においては負荷容量無しで
の測定に比べ、大地との間の浮遊静電容量(対地間容量)
の存在およびその損失分が大きな誤差要因となることが
わかった。この誤差は振動子のQが大きくなるほど大き
くなるため、近年の移動体通信分野で需要が増している
高安定、高Qの振動子の測定を行なう場合、特に問題と
なる。
【0011】一般に負荷容量接続状態での振動子の特性
測定のため、図3に示すような、負荷容量が取り付けら
れる構造をしたパイ治具が提供されている。このパイ治
具の校正も上述の場合と同様に行われる。すなわちCL端
子を短絡した状態で振動子取り付け端子(DUT端子)を3
点校正する。その後CL端子を開放し、必要な負荷容量を
CL端子に接続して測定する。
【0012】振動子と負荷容量素子とを支える回路部分
は大地電位との間で浮遊静電容量Cyを形成する。これ
は対地間容量と呼ばれる。負荷容量付き振動子測定治具
において、対地間容量は、振動子と負荷容量素子とを支
える保持機構や印刷回路基板のインピーダンスが大きな
構成要素となるが、典型的に用いられる保持材や印刷回
路基板の損失分は水晶振動子の動作周波数では1〜3%程
度あり、振動子のQに比べると非常に損失が大きいこと
がわかる。この損失が対地間容量とともに水晶振動子の
様な高Qのデバイスを測定するときの誤差要因となる。
典型的な水晶振動子では直列共振抵抗は10Ω〜50Ω程度
であるが、対地間容量の損失分による誤差分も同程度に
なり得る。
【0013】負荷容量素子と振動子との直列回路の共振
周波数(負荷共振周波数fs')では負荷容量と振動子との
直列回路は数10Ω程度の低い純抵抗値を示すが、負荷容
量および振動子単体のインピーダンスは大きく、負荷容
量と振動子を接続している部分から大地電位への信号の
漏れが測定誤差となって効いてくる。これを負荷容量付
き測定時における対地間容量を含めた摸式図4を使って
詳細に説明する。
【0014】負荷容量および対地間容量は典型的にはそ
れぞれ10pFおよび3pF程度である。負荷共振周波数が10M
Hzの振動子では典型的な負荷共振抵抗は30Ω程度であ
る。一方負荷容量の10MHzでのインピーダンスは-j1.6k
Ωであり、振動子のインピーダンス30Ω+j1.6kΩの虚数
部と打ち消しあって、全体として30Ωの抵抗性となって
いる。したがってCL端子とDUT端子の間の回路パターン
部分PからCL端子側を見てもDUT端子側を見ても、1.6k
Ω程度の高インピーダンスが見えるため、Pから大地へ
のインピーダンスが十分大きくないと誤差を生ずる。こ
の様に負荷容量付き測定時には全体としてのインピーダ
ンスは低いにも関わらず、個々のCLおよび振動子は高
インピーダンス状態にあることが測定誤差を大きくする
原因である。
【0015】上述のことは、Sパラメータ法を用いた測
定の場合についても同様のことが言える。Sパラメータ
法とパイ回路法とは被測定デバイスから測定系側を見た
ときのインピーダンスが異なるだけで、測定原理、した
がって誤差の生ずるメカニズムも同列に扱うことができ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の対地間容量およびその損失分を高精度で求めることの
できる方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の一実施例によれ
ば、対地間浮遊静電容量(対地間容量)は直接的に測定
されるのではなく、負荷容量の値から予想される共振周
波数の偏移と実測による共振周波数偏移とから求められ
る。対地間容量の直接測定は正確さに欠け、かつ測定自
体も困難なものであるが、本発明によれば、容易な方法
で精度良く対地間容量を求めることができる。
【0018】本発明による対地間浮遊静電容量の測定方
法は、負荷容量素子が無いときの振動子の等価素子定数
0、C1および共振周波数fsを測定するステップと、
負荷容量CLを測定するステップと、負荷容量素子を接
続したときの振動子の直列共振周波数fs'を測定するス
テップと、を備えて成る。
【0019】具体的には、対地間浮遊静電容量Cyは、上
述のステップによって求められた各種値から、式fs'=
√(1+C1/(C0+CL+Cy))×fs、または、近似式fs'≒
(1+(1/2)(C1/(C0+CL+Cy)))×fs(ここで、Cyは対
地間浮遊静電容量)を用いて求められる。
【0020】また、本発明による対地間浮遊抵抗(対地
間損失)の測定方法は、上記対地間浮遊静電容量の測定
方法に、負荷容量素子を接続したときの振動子の直列共
振抵抗R1'を測定するステップ、をさらに備えて成る。
【0021】具体的には、対地間浮遊抵抗Ryは、上述
のステップによって求められた各種値から、
【0022】
【数8】
【0023】(ここで、Ryは対地間浮遊静抵抗)を用
いて求められる。
【0024】
【実施例】図5は対地間インピーダンスZyを考慮した
場合の等価回路を示す図である。ZX、ZLは、それぞれ
振動子インピーダンス、負荷容量インピーダンスを示
す。Zyは通常使用される周波数範囲では数100Ω以上の
高インピーダンスであり、負荷容量無しの測定(ZL
0)ではパイ治具のインピーダンス12.5Ωが並列に加わ
るため小さな影響しか及ぼさないが、負荷容量付き測定
時にはZX、Zy、ZLが全て大きなインピーダンスとな
っており、伝送特性がZyの存在により大きく変化す
る。図5において伝送アドミタンスYmを求めると、
【0025】
【数2】
【0026】ここでY0は測定系のインピーダンスでパ
イ回路法の場合は12.5Ω、Sパラメータ法の場合は50Ω
である。対地間インピーダンスが無限大、すなわちYy
=0の場合は、 Ym=YXL/(YX+YL) となり、振動子と負荷容量の直列アドミタンスが求まる
ことが分かる。見通しをよくするため、Yy/Y0、YL
/Y0<<1と仮定して式(4)を簡略化すると次式を得る。
【0027】
【数3】
【0028】式(5)は対地間アドミタンスYyが負荷容量
のアドミタンスYLに並列に加わるばかりでなく、アド
ミタンスの測定値をYL/(YL+Yy)だけ小さく見せ
ることを示している。対地間アドミタンスYyが負荷容
量のアドミタンスに並列に加わることは、共振周波数お
よび等価素子定数の誤差となり、アドミタンスの測定値
がYL/(YL+Yy)だけ小さくなることはそのまま等
価素子定数の誤差となる。
【0029】対地間容量Cyが無いとき、すなわちCy
0のとき、負荷容量接続時の等価素子定数が前述の式
(1)〜(3)で与えられることは当業者には良く知られた事
実である。式(5)と、式(1)〜(3)とを見比べれば視察に
より負荷容量CLおよび対地間容量Cyがある時の式は、
【0030】
【数4】
【0031】で与えられることがわかる。
【0032】[対地間容量とその損失分による測定値へ
の影響]しかしながら、対地間容量に損失分が存在する
と、直列共振抵抗の測定値に影響が生じる。いま、図6
に示すように、対地間アドミタンスYyを対地間容量Cy
とその損失分Ryとの等価並列回路で表わし、負荷容量
をCLで表わした場合の実際の素子値を式(5)に変数とし
て代入すると、
【0033】
【数5】
【0034】直列共振周波数ωsは分母の虚数部=0に
なる周波数であるので、ωs 2L1C1(C0+CL+Cy)=(C0+C
L+Cy)+C1(1+R1/Ry)より、
【0035】
【数6】
【0036】並列共振周波数ωpは式(9)において分子の
虚数部=0になる周波数であるから、ωp 2=(1/L1C1)
(1+C1/C0)となる。直列共振周波数ωsでのアドミタン
スY|ω=ωs は、
【0037】
【数7】
【0038】1−ωs 2L1C1=−C1(1+R1/Ry)/(C0+CL
+Cy)を代入し、R1/Ry<<1を考慮してこの項を省略す
れば次式を得る。
【0039】
【数8】
【0040】よって、R1'には対地間容量およびその損
失分による誤差分が含まれることが分かる。
【0041】したがって、負荷容量無しでの等価直列抵
抗の測定値R1から負荷容量付きでの等価直列抵抗R1'
を計算するときは、上記計算式(13)を用いて対地間容量
およびその損失分による測定誤差を補正してやれば良
い。この逆に、負荷容量付きでの等価直列抵抗R1'から
負荷容量無しでの等価直列抵抗の測定値R1を計算する
ときも同様に、上記計算式(13)を用いた補正計算を行な
う。この補正計算も、測定器本体の機能としてファーム
ウエアに組み込んで行なったり、外部の制御用コンピュ
ータのソフトウエアに組み込んで行なうなど、周知の技
術で行なうことができる。
【0042】なお、直列共振点における、負荷容量無し
での等価4素子定数C0、C1、R1、L1、および直列共
振周波数fsの実測値から、直列共振点における、負荷
容量付きでの等価4素子定数C0'、C1'、R1'、L1'、
および直列共振周波数fs'をシミュレーション・ソフト
ウエアを用いて、対地間容量の損失抵抗Ryが有限値
(100kΩ)の場合と無限大である場合とで計算して
求めた結果、Ryによる影響はR1'にのみ大きく現れる
ことが分かった。したがって、C0'、C1'、L1'、fs'
の測定においては、対地間容量の損失分Ryによる影響
は考慮する必要はないと言える。
【0043】式(13)から対地間容量の損失分による誤差
項は負荷容量の値CLが小さいほど大きくなることが分
かる。近年は大きなQの振動子に小さな値の負荷容量が
用いられてきているので、測定誤差の増加を防ぐために
は対地間容量の損失分による誤差を除去することが重要
である。
【0044】[対地間容量の値付け]ここで対地間容量と
その損失分の値付け方法について述べる。対地間容量C
yを測定するには2通りの方法が考えられる。Cyの存在
する部分に別の測定器の測定端子を接続して直接測定す
る方法と、パイ回路等の測定治具に接続されている測定
器(通常はネットワークアナライザ)を利用する方法とで
ある。
【0045】前者の方法は別の測定器を用意する必要が
あるばかりでなく、測定対象そのものの物理的サイズや
形状が測定器にそぐわないため、便利な方法とは言い難
い。後者の方法でCyを測定するには、例えば負荷容量
端子および測定端子の両方を短絡した状態で伝送特性を
測ることになる。しかしながら、ネットワークアナライ
ザなどの伝送特性測定器は一般にはスルー校正が不可欠
であり、スルー校正時には測定対象(この場合はCy)を
一旦はずした状態で校正する必要がある。Cyは明らか
に取り外し不可能であり、この方法は使えない。仮に、
何らかの別の方法でスルー校正できたとしても、Cy
インピーダンスはで伝送特性はほとんど1に近く、測定
値の誤差が大きい。
【0046】したがって、ここでは、Cyをより高精度
で測定することのできる方法について説明する。結論か
ら言えば、Cyは、C0、C1、CL、fs、fs'の測定値
から式 fs'=√(1+C1/(C0+CL+Cy))×fs を用いて求められる。
【0047】以下に、対地間容量Cyを精度良く求める
ための手順を示す。 ステップ1:負荷容量取り付け部を短絡し、振動子取り
付け部を3点校正する。 ステップ2:最終的に測定したい振動子の中から適当な
ものを選び、標準振動子とする。標準振動子を振動子取
り付け部に接続して測定し直列測定状態での等価素子定
数C0、C1および共振周波数fsを求める。この3定数
の測定方法は典型的に用いられる方法を使えばよいが、
0は共振特性からではなく共振点から数%程度離れた
周波数で静電容量として直接測ることが精度の点から推
奨される。
【0048】ステップ3:振動子取り付け部を短絡し、
負荷容量取り付け部分に適合するオープン/ショート/
ロードを用意して負荷容量取り付け部にて3点校正を実
行する。このとき、振動子取り付け部と負荷容量取り付
け部が同じ形状であれば共通の校正器が使えて便利であ
る。
【0049】ステップ4:負荷容量取り付け部を3点校
正した後、負荷容量を取り付けてキャパシタンスCL
測定する。近年は、デバイスの伝送特性をインピーダン
スに変換する機能をもったネットワークアナライザが市
販されており、この目的に活用できる。
【0050】ステップ5:負荷容量取り付け部の3点校
正を終了した状態で負荷容量を取り付け部に接続し、測
定対象の振動子を測定端子に取り付けて直列共振周波数
s'を測定する。
【0051】ステップ6:式fs'=√(1+C1/(C0+CL
+Cy))×fs、または、近似式fs'≒(1+(1/2)(C1/(C
0+CL+Cy)))×fs を用いてCyを求める。以上の手順に
よって求められた対地間容量Cyを用いれば、前述の式
(6)〜(8)を用いて共振周波数や等価素子定数の測定精度
を向上させることができる。なお、上記各ステップは所
望により順序を適宜入れ替えることができる。
【0052】[対地間容量の損失分の値付け]次に、対地
間容量の損失分Ryをより高精度で測定することのでき
る測定方法について説明する。対地間容量の損失分Ry
を精度良く求めるための手順を以下に示す。 ステップ1:負荷容量取り付け部を短絡し、振動子取り
付け部を3点校正する。 ステップ2:最終的に測定したい振動子の中から適当な
ものを選び、標準振動子とする。標準振動子を振動子取
り付け部に接続して測定し直列測定状態での等価素子定
数C0、C1、R1および共振周波数fsを求める。この4
定数の測定方法は典型的に用いられる方法を使えばよい
が、C0は共振特性からではなく共振点から数%程度離
れた周波数で静電容量として直接測ることが精度の点か
ら推奨される。
【0053】ステップ3:振動子取り付け部を短絡し、
負荷容量取り付け部分に適合するオープン/ショート/
ロードを用意して負荷容量取り付け部にて3点校正を実
行する。このとき、振動子取り付け部と負荷容量取り付
け部が同じ形状であれば共通の校正器が使えて便利であ
る。
【0054】ステップ4:負荷容量取り付け部を3点校
正した後に、負荷容量を取り付けてキャパシタンスCL
を測定する。近年は、デバイスの伝送特性をインピーダ
ンスに変換する機能をもったネットワークアナライザが
市販されており、この目的に活用できる。
【0055】ステップ5:負荷容量取り付け部の3点校
正を終了した状態で負荷容量を取り付け部に接続し、標
準振動子を測定端子に取り付けて直列共振周波数fs'を
測定する。
【0056】ステップ6:式fs'=√(1+C1/(C0+CL
+Cy))×fs、または、近似式fs'≒(1+(1/2)(C1/(C
0+CL+Cy)))×fsを用いてCyを求める。
【0057】ステップ7:標準振動子の直列共振抵抗R
1'を測定し、標準振動子の等価素子定数C0、C1、R1
および共振周波数fsの値と式(13)を使ってRyを求め
る。以上の手順によって求められたCy、RyをCLとと
もに用いれば、式(13)を使って測定値に補正を加えるこ
とにより、直列共振抵抗を高精度で測定することができ
る。なお、上記各ステップは所望により順序を適宜入れ
替えることができる。
【0058】上述した対地間容量Cyの測定方法によれ
ば、容量を負荷した状態で共振点付近で測定しており、
このとき、負荷容量と振動子のインピーダンスは互いに
打ち消しあって全体の伝送特性は1に近い状態にある。
したがって、ネットワークアナライザの受信部が受け取
る信号レベルの低下が小さい状態で、すなわちS/Nの
良い状態での測定値が得られ、Cyをより高精度に測定
することができる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明を用いるこ
とにより、対地間容量Cyを高精度に測定することがで
きる。また、対地間容量の損失分も高精度に測定するこ
とができる。本発明により求められた対地間容量Cy
よびその損失分Ryを用いて負荷容量付き測定における
振動子の特性測定の誤差補正を行なうことにより、高精
度の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パイ回路法による測定回路の一部を示す図であ
る。
【図2】負荷容量無しの場合と負荷容量付きの場合での
負荷容量と振動子との直列接続等価回路を示す図であ
る。
【図3】負荷容量付き測定における測定回路の一部を示
す図である。
【図4】負荷容量付き測定における対地間容量の影響を
説明するための図である。
【図5】振動子と負荷容量素子との接続部分が有する対
地間インピーダンスを考慮した場合の等価回路を示す図
である。
【図6】図5に示された回路をより具体的に示す図であ
る。
【符号の説明】
Pi-1、Pi-2:パイ形抵抗回路網

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定デバイスである振動子を取り付ける
    ための振動子取り付け部と、該振動子に接続される負荷
    容量素子を取り付けるための負荷容量素子取り付け部と
    を有する測定治具において、前記両素子の接続部が有す
    る対地間浮遊静電容量を測定する方法であって、 前記負荷容量素子が無いときの振動子の等価素子定数C
    0、C1および共振周波数fsを測定するステップと、 負荷容量CLを測定するステップと、 前記負荷容量素子を接続したときの振動子の直列共振周
    波数fs'を測定するステップと、 を備えて成る方法。
  2. 【請求項2】被測定デバイスである振動子を取り付ける
    ための振動子取り付け部と、該振動子に接続される負荷
    容量素子を取り付けるための負荷容量素子取り付け部と
    を有する測定治具において、前記両素子の接続部が有す
    る対地間浮遊静電容量を測定する方法であって、 前記負荷容量素子取り付け部を短絡し、前記振動子取り
    付け部にて校正を行なうステップと、 前記負荷容量素子取り付け部を短絡したままの状態で振
    動子を前記振動子取り付け部に接続して測定し、等価素
    子定数C0、C1および共振周波数fsを求めるステップ
    と、 前記振動子取り付け部を短絡し、前記負荷容量素子取り
    付け部に適合するインピーダンス標準器により前記負荷
    容量素子取り付け部にて校正を行なうステップと、 前記負荷容量素子取り付け部にて校正を行なった後、負
    荷容量素子を取り付けて負荷容量CLを測定するステッ
    プと、 負荷容量素子を前記負荷容量素子取り付け部に接続した
    ままの状態で、測定対象の振動子を前記振動子取り付け
    部に取り付けて直列共振周波数fs'を測定するステップ
    と、 を備えて成る方法。
  3. 【請求項3】式fs'=√(1+C1/(C0+CL+Cy))×fs
    または、近似式fs'≒(1+(1/2)(C1/(C0+CL+Cy)))
    ×fs(ここで、Cyは対地間浮遊静電容量)を用いて対
    地間浮遊静電容量Cyを求めるステップをさらに備えて成
    る請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】被測定デバイスである振動子を取り付ける
    ための振動子取り付け部と、該振動子に接続される負荷
    容量素子を取り付けるための負荷容量素子取り付け部と
    を有する測定治具において、前記両素子の接続部が有す
    る対地間抵抗を測定する方法であって、 前記負荷容量素子が無いときの振動子の等価素子定数C
    0、C1、R1および共振周波数fsを測定するステップ
    と、 負荷容量CLを測定するステップと、 前記負荷容量素子を接続したときの振動子の直列共振周
    波数fs'を測定するステップと、 式fs'=√(1+C1/(C0+CL+Cy))×fs、または、近似
    式fs'≒(1+(1/2)(C1/(C0+CL+Cy)))×fs(ここ
    で、Cyは対地間浮遊静電容量)を用いて対地間浮遊静電
    容量Cyを求めるステップと、 前記負荷容量素子を接続したときの振動子の直列共振抵
    抗R1'を測定するステップと、 を備えて成る方法。
  5. 【請求項5】被測定デバイスである振動子を取り付ける
    ための振動子取り付け部と、該振動子に接続される負荷
    容量素子を取り付けるための負荷容量素子取り付け部と
    を有する測定治具において、前記両素子の接続部が有す
    る対地間抵抗を測定する方法であって、 前記負荷容量素子取り付け部を短絡し、前記振動子取り
    付け部にて校正を行なうステップと、 前記負荷容量素子取り付け部を短絡したままの状態で振
    動子を前記振動子取り付け部に接続して測定し、等価素
    子定数C0、C1、R1および共振周波数fsを求めるステ
    ップと、 前記振動子取り付け部を短絡し、前記負荷容量素子取り
    付け部に適合するインピーダンス標準器により前記負荷
    容量素子取り付け部にて校正を行なうステップと、 前記負荷容量素子取り付け部にて校正を行なった後、負
    荷容量素子を取り付けて負荷容量CLを測定するステッ
    プと、 負荷容量素子を前記負荷容量素子取り付け部に接続した
    ままの状態で、測定対象の振動子を前記振動子取り付け
    部に取り付けて直列共振周波数fs'を測定するステップ
    と、 式fs'=√(1+C1/(C0+CL+Cy))×fs、または、近似
    式fs'≒(1+(1/2)(C1/(C0+CL+Cy)))×fs(ここ
    で、Cyは対地間浮遊静電容量)を用いて対地間浮遊静電
    容量Cyを求めるステップと、 前記振動子の直列共振抵抗R1'を測定するステップと、 を備えて成る方法。
  6. 【請求項6】 【数8】 (ここで、Ryは対地間抵抗)を用いて対地間抵抗Ry
    求めるステップをさらに備えて成る請求項4または5に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】前記C0は共振点から数%程度離れた周波
    数で測られることを特徴とする請求項1または4に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】前記校正は3つのインピーダンス標準器
    (オープン、ショート、ロード)を順次接続して行われ
    ることを特徴とする請求項1または4に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006105927A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 素子測定装置
WO2019188246A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 日本電産リード株式会社 電気標準器

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