JPH11278644A

JPH11278644A - 自動給油装置付きチェーン

Info

Publication number: JPH11278644A
Application number: JP8163798A
Authority: JP
Inventors: Makoto Fujiwara; 誠藤原; Masayuki Yoshikawa; 雅之吉川
Original assignee: Tsubakimoto Chain Co
Current assignee: Tsubakimoto Chain Co
Priority date: 1998-03-27
Filing date: 1998-03-27
Publication date: 1999-10-12

Abstract

(57)【要約】【課題】搬送時にチェーンが転向する動きを潤滑油を
押し出すための動力として利用することによって潤滑油
を確実に安定して給油することができ、しかも、潤滑油
の補給などの保守メンテナンスが簡便で、優れた耐久性
を発揮することができ、特に、荷揚げバケットチェーン
や大荷重用チェーンとして好適に用いることができる自
動給油装置付きチェーンを提供することである。【解決手段】自動給油装置付きチェーン１００は、ピ
ン外周面に開口する給油路１１０ａを内設した連結ピン
１１０の端部に自動給油装置１２０を着脱自在に冠着し
てなり、該自動給油装置１２０が、潤滑油Ｍを給油路１
１０ａに供給する押し出し盤１２１ａを底壁とする貯溜
室１２１と押し出し盤１２１ａの作動機構１２２とを備
え、さらに、該作動機構１２２が、チェーン転向時の振
動で揺動する振り子１２２ａによって生じた一方向クラ
ッチ軸１２２ｂの回転を減速手段１２２ｃを介して伝動
させた回転シャフト１２２ｄと該回転シャフト１２２ｄ
の螺杆部に螺合する押し出し盤支持部材１２２ｅとを備
えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動給油装置付き
チェーンに関し、特に、鉄鉱石、石炭などを荷揚げする
ためのバケットチェーンや自動車などの重量物を搬送す
るための大荷重用チェーンとして好適に用いることがで
きる自動給油装置付きチェーンの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動給油装置付きチェーンとし
て、潤滑油を連続して供給することによりチェーンの長
寿命化を図るための種々のチェーンが開発されている。
例えば、実開平６−６３５１６号公報に示されているよ
うな、プレートをお互いに連結するピン部材内に、ピン
部材の一端側から摺動部を潤滑すべく注入される潤滑油
を貯留するチェーンにおいて、ピン部材内に注入側に向
けてピン軸方向に移動自在に設けられ潤滑油を貯留する
貯留室の一側部を区画するピストンと、貯留室内に貯留
される潤滑油を摺動部に押し出すべくピストンをピン軸
方向に付勢するバネとを備えたものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の自動給油装置付きチェーンでは、バネの力を利用
して潤滑油を押し出しているため、常に一定の圧力で潤
滑油を押し出すことができず、安定して潤滑油を供給す
ることができない。また、ピン部材内に潤滑油を貯留す
る貯留室や貯留される潤滑油を摺動部に押し出すピスト
ンなどを備えていることによって、ピン内径部を大きく
削らなければならず、ピンの強度が不十分となったり、
チェーンの駆動状態と無関係に常に潤滑油が押し出され
ることによって生じるピンとブシュの間隙からの潤滑油
の流出を防止するために密封性の高いシール構造が要求
されたり、補充用ニップルから潤滑油を補給する場合に
その補給量などの確認ができないなどの困難な問題があ
った。

【０００４】本発明の目的は、搬送時にチェーンが転向
する動きを潤滑油を押し出すための動力として利用する
ことによってグリースなどの潤滑油を確実に安定して給
油することができ、しかも、潤滑油の補給などの保守メ
ンテナンスが簡便で、優れた耐久性を発揮することがで
き、特に、鉄鉱石、石炭などを荷揚げするためのバケッ
トチェーンや自動車などの重量物を搬送するための大荷
重用チェーンとして好適に用いることができる自動給油
装置付きチェーンを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明の自動給
油装置付きチェーンは、ピン外周面に開口する給油路を
内設した連結ピンの端部に、チェーン転向時の振動によ
り潤滑油を該給油路に押し出す自動給油装置を着脱自在
に冠着したものであって、該自動給油装置が、潤滑油を
給油路に供給する押し出し盤を底壁とする貯溜室と押し
出し盤の作動機構とを備えており、さらに、該作動機構
が、チェーン転向時の振動によって揺動する振り子と、
該振り子の揺動によって回転する一方向クラッチ軸と、
該一方向クラッチ軸の回転を減速手段を介して連動させ
る回転シャフトと、該回転シャフトの螺杆部に螺合する
押し出し盤支持部材とを備えたことにより、前記課題を
解決した。

【０００６】

【作用】本発明の自動給油装置付きチェーンは、連結ピ
ンの端部に自動給油装置を冠着したことによって、チェ
ーンが搬送方向を転向させた時に生じる振動によりグリ
ースなどの潤滑油を給油路を介してピン外周面に押し出
し、連結ピンとブシュとの間やブシュとローラとの間な
どに潤滑油が給油される。

【０００７】また、本発明に用いた自動給油装置の作動
機構は、振り子と一方向クラッチ軸と減速手段と回転シ
ャフトと押し出し盤支持部材とを備えたことによって、
まず、チェーンが搬送方向を転向させた時に生じる振動
で振り子を揺動させる。次いで、この振り子の揺動作用
で一方向クラッチ軸を回転させ、この一方向クラッチ軸
の回転を減速手段によって減速して回転シャフトに伝動
して回転させる。そして、この回転シャフトの螺杆部に
螺合する押し出し盤支持部材を連結ピンに向けて移動さ
せ、この押し出し盤支持部材に固定された押し出し盤が
給油路に向けて潤滑油を押し出し供給することになる。

【０００８】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の自動給油装置
付きチェーンによる実施例を説明する。

【０００９】図１乃至図４は、本発明による自動給油装
置付きチェーンの実施例を示している。

【００１０】本発明の第１の実施例である自動給油装置
付きチェーン１００は、大荷重用ローラチェーンやバケ
ットチェーンとして用いられるものであって、図１は、
連結ピン１１０と自動給油装置１２０との全体的な相互
関係を示している。自動給油装置付きチェーン１００
は、外周にローラ１６０が遊嵌されるか、あるいは、両
端に内プレート１３０，１３０が圧嵌されたブシュ１４
０と、このブシュ１４０を貫通して両端に外プレート１
５０，１５０が圧嵌された連結ピン１１０と、この連結
ピン１１０の少なくとも一つの端部に冠着した自動給油
装置１２０とを有している。そして、この連結ピン１１
０には、ピン端部からピン外周面に向けて開口して連通
する給油路１１０ａが内設されている。

【００１１】次に、本発明の第１の実施例である自動給
油装置付きチェーン１００の自動給油装置１２０は、図
２の（ａ）に、連結ピン１１０の端部に冠着した状態の
詳細な構造が示され、また、図２の（ｂ）に図２の
（ａ）のＡ−Ａ断面の平面図が示されているように、潤
滑油Ｍを給油路１１０ａに供給する押し出し盤１２１ａ
を底壁とする貯溜室１２１と、この押し出し盤１２１ａ
の作動機構１２２とを備えており、輸送物等との衝突に
よる破損を防止するとともに貯溜室１２１の側壁を形成
するためのカバー部材１２３で覆われており、カバー部
材１２３の開口端部がＯ−リング１２４を介して連結ピ
ン１１０の端部に固着されるか、あるいは、着脱自在に
取り付けられている。なお、この貯溜室１２１には、潤
滑油Ｍの連通口１２１ｂを有するキャップ盤１２１ｃが
連結ピン１１０の端部側に嵌着されている。また、この
カバー部材１２３の底部とキャップ盤１２１ｃとの間に
は、押し出し盤１２１ａが連結ピン１１０の端部に向け
てカバー部材１２３の内周壁を摺動するための数本の案
内支柱１２１ｄが立設されている。

【００１２】さらに、押し出し盤１２１ａの作動機構１
２２の具体的な装置構造とその作動機能について説明す
る。まず、ここで用いる作動機構１２２は、チェーン転
向時の振動によってプレートの側面と平行して揺動する
扇状の振り子１２２ａと、この振り子１２２ａの揺動に
よって回転する一方向クラッチ軸１２２ｂと、この一方
向クラッチ軸１２２ｂの回転を減速手段１２２ｃを介し
て連動させる回転シャフト１２２ｄと、この回転シャフ
トの螺杆部に螺合する押し出し盤支持部材１２２ｅとを
備えている。なお、振り子１２２ａは、前記カバー部材
１２３の底部に揺動自在に軸着されており、前記回転シ
ャフト１２２ｄを遊嵌させるための開口部を有してい
る。一方向クラッチ軸１２２ｂは、振り子１２２ａが有
する揺動爪に相対して噛み合う爪歯車の回転軸を意味し
ている。また、減速手段１２２ｃは、数組のウォームと
ウォーム・ホイールとからなり、潤滑油Ｍを徐々に給油
するために一方向クラッチ軸１２２ｂの回転を所定の減
速比で減速している。回転シャフト１２２ｄは、前記カ
バー部材１２３の底部中央に回転自在に軸着され、連結
ピン１１０と同軸方向に延設された螺杆部を有してお
り、この螺杆部は、例えば、ナットのごとき押し出し盤
支持部材１２２ｅに螺合されている。そして、この押し
出し盤支持部材１２２ｅは、前記押し出し盤１２１ａに
固着されている。

【００１３】このようにして得られた本発明の第１の実
施例の自動給油装置付きチェーン１００における作動機
構１２２は、振り子１２２ａと一方向クラッチ軸１２２
ｂと減速手段１２２ｃと回転シャフト１２２ｄと押し出
し盤支持部材１２２ｅとを備えたことによって、まず、
チェーンが搬送方向を転向させた時に生じる振動で振り
子１２２ａを揺動させる。次いで、この振り子１２２ａ
の揺動作用で一方向クラッチ軸１２２ｂを回転させ、こ
の一方向クラッチ軸１２２ｂの回転を減速手段１２２ｃ
によって減速して回転シャフト１２２ｄに伝動して回転
させる。そして、この回転シャフト１２２ｄの螺杆部に
螺合する押し出し盤支持部材１２２ｅを連結ピン１１０
に向けて移動させ、この押し出し盤支持部材１２２ｅに
固定された押し出し盤１２１ａが給油路１１０ａに向け
て潤滑油Ｍを押し出し供給することになる。

【００１４】以上のように、本発明の第１の実施例の自
動給油装置付きチェーン１００は、搬送時にチェーンが
転向する動きを利用して、連結ピン１１０とブシュ１４
０などとの間に必要とされる量の潤滑油Ｍを確実に安定
して給油することができ、特に、バケットチェーンや大
荷重用チェーンとして好適に用いることができる。そし
て、連結ピン１１０の軸部に給油源を内設する必要が無
くなり、また、連結ピン１１０の軸部に内設する給油路
１１０ａの径を狭小化することができるので、チェーン
の強度低下を最小限に押さえることができる。

【００１５】また、本発明の第１の実施例である自動給
油装置付きチェーン１００は、連結ピン１１０の端部に
自動給油装置１２０を着脱自在に冠着したことによっ
て、自動給油装置１２０の交換や自動給油装置１２０へ
の潤滑油Ｍの補給などの保守メンテナンスが簡便で、優
れた耐久性を発揮することができる。

【００１６】次に、本発明の他の実施例である自動給油
装置付きチェーンは、図３に示すように、上述した連結
ピン１１０の端部に冠着する自動給油装置１２０の作動
機構１２２を変形したものである。すなわち、図３の
（ａ）は、本発明の第２の実施例である作動装置２２２
の詳細な側面構造を示したものであり、図３の（ｂ）
は、図３の（ａ）のＢ−Ｂ断面の平面図を示したもので
あって、潤滑油Ｍを徐々に給油するために一方向クラッ
チ軸２２２ｂの回転を所定の減速比で減速する減速手段
２２２ｃは、数組の多段歯車からなり、上述した第１の
実施例と同様な回転シャフト２２２ｄに連動している。
すなわち、減速手段２２２ｃの具体的な構造の他は、第
１の実施例とまったく同じである。

【００１７】このような本発明の第２の実施例である自
動給油装置付きチェーンは、減速手段２２２ｃとして数
組の多段平歯車を用いているため、数組のウォームとウ
ォーム・ホイルを用いたものと比較すると、自動給油装
置の内部において減速手段のより円滑な噛み合わせがで
き、動力伝達が安定している。

【００１８】さらに、本発明の第３の実施例である自動
給油装置付きチェーンは、図３に示すように、上述した
自動給油装置２２０の作動機構２２２を更に変形したも
のである。すなわち、図４の（ａ）は、本発明の第３の
実施例である作動装置３２２の詳細な側面構造を示した
ものであり、図４の（ｂ）は、図４の（ａ）のＣ−Ｃ断
面の平面図を示したものであって、扇状の振り子３２２
ａの揺動軸は、連結ピン３１０の軸芯、および、回転シ
ャフト３２２ｄと同一位置とし、振り子３２２ａは、カ
バー部材３２３の底部と平行して全面的に揺動自在とな
っている。そして、この振り子３２２ａの揺動軸に対し
て噛み合いクラッチの一方向クラッチ軸３２２ｂを同軸
方向に配置し、この一方向クラッチ軸３２２ｂの回転を
減速手段３２２ｃに伝動している。これら以外の装置構
造については、第１の実施例、および、第２の実施例と
まったく同じ装置構造である。

【００１９】このように、本発明の第３の実施例である
自動給油装置付きチェーンは、振り子３２２ａの揺動軸
が連結ピン３１０の軸芯と同一位置であるため、チェー
ン転向時の振動に対してカバー部材３２３の底部におけ
る如何なる位置でも機敏に反応して揺動することができ
るので、第１の実施例の振り子１２２ａ、および、第２
の実施例の振り子２２２ａを用いたものと比較すると、
チェーンの駆動状態に適応するタイミングと量で潤滑油
Ｍを効果的に給油することができる。

【００２０】

【発明の効果】前述したように、本発明の自動給油装置
付きチェーンは、連結ピンの端部に自動給油装置を冠着
したことによって、搬送時にチェーンが転向する動きを
潤滑油を押し出すための動力として利用するため、チェ
ーンの動きに応じて連結ピンとブシュなどの間に必要と
される量の潤滑油が確実に安定して給油されるので、チ
ェーンの円滑な駆動と優れた耐久性を発揮することがで
き、特に、鉄鉱石、石炭などのバラ物を荷揚げするため
のバケットチェーンや自動車などの重量物を昇降搬送す
るための大荷重用チェーンとして好適に用いることがで
きる。

【００２１】また、本発明の自動給油装置付きチェーン
は、連結ピンの端部とピン外周面との間に給油路のみを
内設し、連結ピンの端部に自動給油装置を冠着したこと
によって、連結ピンの軸部に給油源を内設する必要が無
くなり、また、連結ピンの軸部に内設する給油路の径を
狭小化することができるので、チェーンの強度低下を最
小限に押さえることができる。

【００２２】さらに、本発明の自動給油装置付きチェー
ンは、連結ピンの端部に自動給油装置を着脱自在に冠着
したことによって、自動給油装置の交換や自動給油装置
への潤滑油の補給などの保守メンテナンスが簡便で、優
れた耐久性を発揮することができる。

【００２３】そして、本発明で用いる自動給油装置は、
潤滑油を給油路に供給する押し出し盤を底壁とする貯溜
室と、押し出し盤の作動機構とを備えたことによって、
チェーン駆動時に必要な時のみ必要な量の潤滑油を供給
する構造となっているため、特に、潤滑油に対して密封
性の高いシールを必要としないので、一般のチェーンと
しても応用することができる。

【００２４】また、本発明に用いた自動給油装置の作動
機構は、振り子と一方向クラッチ軸と減速手段と回転シ
ャフトと押し出し盤支持部材とを備えたことによって、
チェーンが搬送方向を転向させた時に生じる振り子の揺
動作用で押し出し盤を給油路に向けて潤滑油を供給する
ように押し出すことになるため、従来のようなバネを用
いた自動給油装置と比較すると、潤滑油の適切な供給管
理を自動的に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自動給油装置付きチェーンである第
１の実施例を示し、自動給油装置と連結ピンとの組み立
て図である。

【図２】図１における自動給油装置の要部拡大図であ
る。

【図３】本発明の自動給油装置付きチェーンである第
２の実施例を示し、その自動給油装置の要部拡大図であ
る。

【図４】本発明の自動給油装置付きチェーンである第
３の実施例を示し、その自動給油装置の要部拡大図であ
る。

【符号の説明】

１００・・・自動給油装置
付きチェーン１１０・・・連結ピン１１０ａ・・・給油路１２０，２２０，３２０・・・自動給油装置１２１・・・貯溜室１２１ａ，２２１ａ，３２１ａ・・・押し出し盤１２２，２２２，３２２・・・作動機構１２２ａ，２２２ａ，３２２ａ・・・振り子１２２ｂ，２２２ｂ，３２２ｂ・・・一方向クラッ
チ軸１２２ｃ，２２２ｃ，３２２ｃ・・・減速手段１２２ｄ，２２２ｄ，３２２ｄ・・・回転シャフト１２２ｅ，２２２ｅ，３２２ｅ・・・押し出し盤支
持部材１３０・・・内プレート１４０・・・ブシュ１５０・・・外プレート１６０・・・ローラＭ・・・潤滑油

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ピン外周面に開口する給油路を内設した
連結ピンの端部に、チェーン転向時の振動により潤滑油
を該給油路に押し出す自動給油装置を冠着したことを特
徴とする自動給油装置付きチェーン。
【請求項２】前記自動給油装置を、着脱自在に冠着し
たことを特徴とする請求項１記載の自動給油装置付きチ
ェーン。
【請求項３】前記自動給油装置が、潤滑油を給油路に
供給する押し出し盤を底壁とする貯溜室と、該押し出し
盤の作動機構とを備えたことを特徴とする請求項１また
は２記載の自動給油装置付きチェーン。
【請求項４】前記作動機構が、チェーン転向時の振動
によって揺動する振り子と、該振り子の揺動によって回
転する一方向クラッチ軸と、該一方向クラッチ軸の回転
を減速手段を介して連動させる回転シャフトと、該回転
シャフトの螺杆部に螺合する押し出し盤支持部材とを備
えたことを特徴とする請求項３記載の自動給油装置付き
チェーン。