JPH11277687A - 織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11277687A
JPH11277687A JP10080690A JP8069098A JPH11277687A JP H11277687 A JPH11277687 A JP H11277687A JP 10080690 A JP10080690 A JP 10080690A JP 8069098 A JP8069098 A JP 8069098A JP H11277687 A JPH11277687 A JP H11277687A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
resin layer
layer
transparent
acrylic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10080690A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Fujimoto
貴博 藤本
Kazuhisa Sakayama
和久 坂山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd filed Critical Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Priority to JP10080690A priority Critical patent/JPH11277687A/ja
Publication of JPH11277687A publication Critical patent/JPH11277687A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明アクリル樹脂層と幾何学的に規則性のあ
る強化用織布繊維層とをホットプレスにより加熱加圧し
て積層一体化することにより、乱れや歪みのない繊維層
を視覚認識することができる外観品質の高い織布繊維強
化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 強化用織布繊維層と透明アクリル樹脂層
とを、両者の間に透明アクリル樹脂層の熱変形温度より
も20℃乃至80℃高い熱変形温度を有する透明熱可塑
性樹脂層を介在させて積層一体化した織布繊維強化熱可
塑性樹脂成形体とする。前記織布繊維強化熱可塑性樹脂
成形体はホットプレスにより160℃乃至220℃の範
囲でありかつ透明熱可塑性樹脂層の熱変形温度より高い
温度条件と、2kg/cm2 乃至50kg/cm2 の圧
力条件の下で積層一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、透明アクリル樹
脂層を強化用織布繊維層で強化した織布繊維強化熱可塑
性樹脂成形体及びその製造方法に関する。さらに詳しく
は、建築内装用の各種パネル、機械機器類の保護用パネ
ル、車両内外装用部品、各種スポーツ用品等に使用され
る、外観品質の高い織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂を炭素繊維、ガラス
繊維及び有機繊維等の化学繊維を用いて強化した繊維強
化熱可塑性樹脂成形体は、それ自体の高い機械的強度を
理由に室内用装飾間仕切、壁材等の建築内装用パネル、
機械機器類の保護用パネル、スポイラーやメーターパネ
ル等の各種車両内外用部品、スキー、スノーボート等の
スポーツ用品等、多くの分野に適用されているが、一方
外観品質も同様に重要な要素となっている。
【0003】通常、繊維強化熱可塑性樹脂成形体の多く
は、熱可塑性樹脂に不透明乃至半透明の熱可塑性樹脂が
用いられ、機械的性質の強化を主体にするか、またはこ
れに加えて平滑性、模様、色彩等の単に表面上の視覚効
果を付加した形態のものが一般的である。
【0004】しかし、一部には、熱可塑性樹脂成形体の
機械的性質の強化に加え、同時に視覚的な意匠効果を得
る目的で、該強化用繊維が外部から視覚認識できるよう
に、意図的に透明の熱可塑性樹脂を用いて該強化用繊維
を被覆する場合がある。この場合、通常は、不織布状や
マット状等の幾何学的には規則性の低い強化用繊維が多
く利用されるが、逆に幾何学的な規則性があって、比較
的緻密なメッシュからなる織布状の強化用繊維はあまり
利用されていないのが実情である。
【0005】上記のように、幾何学的に規則性のある強
化用繊維が多く利用されない主な理由は、透明の熱可塑
性樹脂を用いるこの種成形体では、多くの場合その製造
にプレス方式が適用されるため、成形時の樹脂の流れに
伴って強化用繊維に乱れや歪みが生じ、仮にそれが局部
的に生じたものであっても、外観品質を大きく損なう原
因となり、実用上の意匠効果を低下させるためである。
例えば、複数本のストランドが引き揃えられた経緯糸か
らなり、かつ格子縞を現した平織りクロスは、外観的に
幾何学的な視覚を与えて意匠性の高いものであるが、透
明の熱可塑性樹脂の強化用繊維として適用することは上
記のような理由で困難であった。
【0006】一方、例えば特開平9−85841号公報
には、上記のような形態の織布状の布状基材に、揮発性
溶剤に透明アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を溶解したマ
トリックス溶液を含浸させて予備揮発させたのち、さら
に前記布状基材の表面側に同質の熱可塑性樹脂からなる
透明樹脂板をラミネートして両者を結合し、前記布状基
材の立体感を表面に現わす手段が提案されている。しか
し、この提案によるものも、プレスの圧力による加工方
式では前記布状基材の立体構造を維持することができな
いこと、繊維同士の干渉によって破壊すること等の問題
があり、前記加工方式を回避するものであって、結果的
には強化用織布繊維層を立体感覚で認識できると同時に
表面が平滑でありしかも耐擦傷性の高いものは得られな
い。
【0007】ところで、表層が平滑かつ透明で強化用織
布繊維層を透視できる繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得
る方法として、透明熱可塑性樹脂製のマトリックスを用
い、プレス方式により加熱加圧して積層一体化する方法
は公知である。中でも表層の平滑性に加え表面硬度の高
い成形体を得るために、アクリル樹脂が代表的なマトリ
ックスとして採用されることも広く知られた技術事項で
ある。
【0008】しかし、従来の状況の下では、この種の繊
維強化熱可塑性樹脂成形体にアクリル樹脂を用いるに
は、当該樹脂がホットプレスの際に、加熱昇温時におけ
る当該樹脂の流動性が増加し、前記織布状の繊維のよう
に幾何学的に規則性の高い意匠性に富む強化用繊維は、
当該樹脂の流動に伴って乱れや歪みが生じ易く、その程
度も他の熱可塑性樹脂に比べて割合に大きいので、プレ
ス方式によって外観品質の高いこの種の繊維強化熱可塑
性樹脂成形体を得ることは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記のよ
うな従来の問題点を解決することにより、透明アクリル
樹脂層と幾何学的に規則性のある強化用織布繊維層と
を、プレス方式により加熱加圧して積層一体化し成形体
とするものでありながら、繊維層の乱れや歪みがなく繊
維層自体の意匠性を損なわずして視覚認識することがで
きる外観品質の高い織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明者らは、上記の
ような目的に対して、強化用織布繊維層と透明アクリル
樹脂層とを積層する際に、前記透明アクリル樹脂層に適
用されるアクリル樹脂よりも熱変形温度が一定の範囲内
において高く、かつ加熱昇温時の同温度下における流動
性が前記アクリル樹脂に対して相対的に小さい透明熱可
塑性樹脂層を介在させれば、強化用織布繊維層の乱れや
歪みのない織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体が得られる
ことを見出しこの発明を完成した。
【0011】即ち、この発明の第1の発明は、強化用織
布繊維層と透明アクリル樹脂層との積層体であって、前
記強化用織布繊維層と前記透明アクリル樹脂層との間に
前記透明アクリル樹脂層の熱変形温度よりも20℃乃至
80℃高い熱変形温度を有する透明熱可塑性樹脂層を介
在させ、加熱加圧により積層一体化してなることを特徴
とする織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体を要旨とする。
【0012】第1の発明の好適な実施態様は、請求項2
に記載した織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体であって、
前記透明熱可塑性樹脂層の厚さが0.1mm乃至0.5
mmである。
【0013】第1の発明の別の好適な実施態様は、請求
項3に記載した織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体であっ
て、前記透明熱可塑性樹脂層がポリカーボネート樹脂で
ある。
【0014】この発明の第2の発明は、強化用織布繊維
層と透明アクリル樹脂層との間に、前記透明アクリル樹
脂層の熱変形温度よりも20℃乃至80℃高い熱変形温
度を有する透明熱可塑性樹脂層を介在させて積層したの
ち、160℃乃至220℃の範囲にありかつ前記透明熱
可塑性樹脂層の熱変形温度より高い温度条件と、2kg
/cm2 乃至50kg/cm2 の圧力条件の下でホット
プレスにより積層一体化することを特徴とする織布繊維
強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法を要旨とする。
【0015】この発明で用いられる強化用織布繊維層と
しては、炭素繊維、ガラス繊維及び有機繊維等の化学繊
維を用いる。中でも炭素繊維には例えばアクリル繊維を
黒鉛化したアクリル系の炭素繊維が、また有機繊維とし
ては例えばポリメタフェニレンイソフタールアミド、ポ
リパラフェニレンテレフタールアミド等のアラミド繊維
が好適である。当該繊維層は、これら化学繊維の一種以
上の混織或いは交織されたものであってもよい。
【0016】前記強化用織布繊維層の織成の形態は、原
則として織布状のものとし、幾何学的に規則性のある形
態に織成されたものを対象とする。例えば、複数本のス
トランドが引き揃えられた経緯糸からなる平織、綾織或
いは朱子織などの織布が好適に利用できる。さらに、強
化用織布繊維層の形態は、前記各織布に限定されず、例
えば重ね織りやネット状に織成されたものであってもよ
い。なお、後者のネット状に織成されたものでは、綟り
織りされたものが好ましく、また少なくとも経緯糸の交
点が熱可塑性樹脂で被覆された、例えば特表昭58−5
00900号公報に開示された形態のものも使用可能で
ある。
【0017】なお、前記強化用織布繊維層は、前記透明
熱可塑性樹脂層との密着性を向上するために、一般に公
知の処理剤により表面処理ないしは含浸処理されたもの
であってもよい。例えば、当該織布繊維が炭素繊維また
はアラミド繊維からなる場合はエポキシ樹脂系の表面処
理剤が使用され、またガラス繊維からなる場合は塩化ビ
ニル樹脂系処理剤あるいはシラン系カップリング剤等が
使用することができる。
【0018】また、この発明で用いられる前記透明熱可
塑性樹脂層としては、表層の透明アクリル樹脂層を形成
するアクリル樹脂の熱変形温度(HDT100℃)に対
して、20乃至80℃高い熱変形温度、即ち120℃乃
至180℃の範囲にある熱変形温度(HDT)を有する
透明の熱可塑性樹脂が適用される。例えば、ポリカーボ
ネート樹脂(HDT135℃)、ポリアリレート(HD
T160℃)、ポリサルフォン(HDT170℃)、シ
クロオレフィン系樹脂(HDT150℃)、ノルボルネ
ン系樹脂(HDT160℃)等が挙げられる。また、上
記の各樹脂に、例えばPET、PBT等の他の樹脂をブ
レンドしたポリマーアロイも使用可能である。上記各樹
脂の中でもポリカーボネート樹脂が、透明性、耐衝撃
性、表層のアクリル樹脂との接着性等の点から、最も好
適に使用可能のものである。なお、この発明でいう透明
熱可塑性樹脂とは、光線透過率が厚さ0.1mm乃至
0.5mmにおいて、80%以上の透明熱可塑性樹脂を
指すものとする。
【0019】さらに、前記透明熱可塑性樹脂層の厚さ
は、0.1mm乃至0.5mmの範囲とする。厚さが
0.1mm未満であると、アクリル樹脂層の流動に伴っ
て該アクリル樹脂層の変位が当該透明熱可塑性樹脂層を
通して強化用繊維層に伝わり、その結果、強化用繊維層
の織目の乱れや歪みを助長して、外観品質を低下するの
で好ましくなく、また厚さが0.5mmを超えると、該
アクリル樹脂層の変位が強化用繊維層に伝わるのを遮断
する効果はあるものの、厚さに見合ったさらなる効果は
期待でず、むしろ全体の厚さが増加して、重量アップや
コストアップを招き好ましくないので、透明熱可塑性樹
脂層の厚さは、上述の厚さの範囲とする。
【0020】つぎに、この発明の第2の発明は、強化用
織布繊維層と透明アクリル樹脂層との間に、前記透明ア
クリル樹脂層の熱変形温度よりも20℃乃至80℃高い
熱変形温度を有する透明熱可塑性樹脂層を介在させて積
層したのち、160℃乃至220℃の範囲にありかつ前
記透明熱可塑性樹脂層の熱変形温度より高い温度条件
と、2kg/cm2 乃至50kg/cm2 の圧力条件の
下でホットプレスにより積層一体化することを特徴とす
る織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法を要旨と
する。
【0021】前記強化用織布繊維層と前記透明アクリル
樹脂層とを透明熱可塑性樹脂層を介在させて積層一体化
する際の加熱条件は、160℃乃至220℃の範囲とし
かつ前記透明熱可塑性樹脂層の熱変形温度より高い温度
条件とする。この場合前記透明熱可塑性樹脂層の熱変形
温度より高い温度条件ではあっても、160℃未満の温
度では、透明熱可塑性樹脂層の溶融が不十分となって強
化用織布繊維層との密着性が劣り、積層不良を招くので
好ましくなく、また220℃を超えると、表層を形成す
るアクリル樹脂層の粘度が低下して大きく流動し、これ
に伴って、透明熱可塑性樹脂層の存在にかかわらず、前
記強化用織布繊維層がズレを生じて大きく乱されるので
好ましくない。従って、好ましくは170℃乃至210
℃の範囲とする。
【0022】また、ホットプレスによる圧力条件は、2
kg/cm2 乃至50kg/cm2の範囲とする。圧力
が2kg/cm2 未満であると、アクリル樹脂層と透明
熱可塑性樹脂層、及び透明熱可塑性樹脂層と強化用織布
繊維層の各層間の密着性ないしは接着性が悪くなり、ひ
いては全体の積層性が不十分となるので好ましくない。
また50kg/cm2 を超えると、アクリル樹脂層の流
動が大きくなり、前記設定温度範囲を超える場合と同様
に、前記強化用織布繊維層がズレを生じて大きく乱され
るので好ましくない。従って、好ましくは5kg/cm
2 乃至45kg/cm2 の範囲である。
【0023】この発明においては、加熱昇温時の流動性
が高い表層のアクリル樹脂層が、該樹脂層よりも相対的
に流動性の低い透明熱可塑性樹脂層を介して強化用織布
繊維層と相対する状態に積層されるから、前記透明熱可
塑性樹脂層は、加熱時の前記アクリル樹脂層の流れを抑
制するとともに前記強化用織布繊維への直接の影響を遮
断し、該強化用織布繊維の乱れや歪みを防止するように
作用する。
【0024】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態
を、実施例及び図面に基づいて比較例とともに説明す
る。まず、この発明の織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体
の実施例に適用される材料を以下に示す。
【0025】[強化用織布繊維層]炭素繊維からなる格
子縞を現した平織りの織布(東レ社製、品番CO634
3、目付量200g/m2 )であって、これにポリカー
ボネート樹脂を30重量%含浸させたもの。 [透明アクリル樹脂層]透明のポリメチルメタクリレー
トを押出成形して得た厚さ1mmのシート。 [透明熱可塑性樹脂層]下記の各樹脂を押出成形して得
た厚さ0.05mm乃至0.7mmのフィルム。 ・PC(ポリカーボネート) ・PSU(ポリサルフォン)
【0026】
【実施例】実施例1〜6 上記で挙げた各材料を、図1に示す構成で積層するもの
とし、強化用織布繊維層(1)、透明アクリル樹脂層
(2)及び透明熱可塑性樹脂層(3)の各内容を実施例
別に表1に示した。なお、透明アクリル樹脂層(2)は
同表中の「表層樹脂」の欄に、また透明熱可塑性樹脂層
(3)は同表中の「介在樹脂」の欄に記載した。
【0027】
【表1】
【0028】つぎに、表1の各実施例の積層構成材料を
2枚の金属製鏡面板の間に挟み、同じく表1に記載した
各実施例の加熱加圧条件に従って、通常のホットプレス
により加熱加圧し積層一体化して、図2に示す織布繊維
強化熱可塑性樹脂成形体(4)に仕上げた。
【0029】得られた成形体(4)は、強化用織布繊維
層(1)が表層の平滑鏡面状の透明アクリル樹脂層
(2)を通して視覚認識できる板状体であり、各実施例
別に、織布繊維の乱れないしは歪み、積層性、透明性、
耐擦傷性及び耐薬品性の各項目について評価し、表1に
併記した。なお、上記各項目の評価は、下記の評価方法
と基準に基づいて行った。
【0030】−織布繊維の乱れまたは歪み− 視覚観察によるものとし、織布繊維に乱れまたは歪みの
認められないものを良(◎)、僅かに乱れまたは歪みの
認められるものをやや良(○)、明らかに乱れ、歪みの
認められるものを不良(×)とした。
【0031】−積層性− 成形体の端面部分の厚さ方向中央部にナイフの挿入を試
み、挿入できないもの及び挿入できても剥離できないも
のを良(◎)、挿入すると剥離可能のものをやや良
(○)、加熱加圧後に剥離しているものを不良(×)と
した。
【0032】−透明性− 強化用織布繊維層の織布繊維が明瞭に見えるものを良
(◎)、織布繊維が若干着色して見えるものをやや良
(○)、織布繊維がぼやけてみえるものを不良(×)と
した。
【0033】−耐擦傷性− 傷の発生度合を鉛筆硬度によるものとし、2H以上で発
生するものを良(◎)、B以上、2H未満で発生するも
のをやや良(○)、2B以下で発生するものを不良
(×)とした。
【0034】−耐薬品性− シンナー塗布により、クラックが発生しないものを良
(◎)、発生するものを不良(×)とした。
【0035】上記で明らかなように、各実施例のうち、
実施例5について積層性及び透明性が、また実施例6に
ついて繊維の歪みがやや良(○)であった以外はいずれ
の実施例も各評価項目において良(◎)であった。
【0036】比較例1〜7 比較例1、4及び5は、図3に示す構成で積層するもの
とし、比較例2、3、6及び7は、実施例と同様に図1
に示す構成で積層するものとした。また、織布繊維(1
1)は実施例の強化用織布繊維層(1)と同様とした。
比較例1〜3、6及び7の透明層(12)は実施例と同
様の透明アクリル樹脂とし、その他の比較例の透明層
(12)の種類、熱変形温度、厚さの内容は比較例別に
表1の「表層樹脂」の欄に記載した。さらに、上記実施
例と同様に図1に示す構成で積層する場合の透明樹脂層
(3)は、これを用いる場合は下記の透明熱可塑性樹脂
のいずれかを用い、同表中の「介在樹脂」の欄に記載し
た。 ・PC(ポリカーボネート) ・PVC(ポリ塩化ビニル) ・PEI(ポリエーテルイミド)
【0037】ついで、表1に併記した積層構成材料を、
同じく表1の各比較例の加熱加圧条件に従い、実施例と
同様ホットプレスにより積層一体化し、比較例1、4及
び5については図2に示す織布繊維強化熱可塑性樹脂成
形体(4)と形式的に同じ構造の成形体を、また比較例
2、3、6及び7については図4に示す介在樹脂の層の
ない成形体(14)を得た。
【0038】得られた成形体は、実施例と同様にして評
価し、その評価結果を表1に併記した。表1で明らかな
ように、比較例1、2、5及び6は、織布繊維の乱れな
いしは歪みが明らかに認められて不良(×)であり、ま
た比較例3及び7では積層性が不良(×)であった。ま
た、比較例4は耐擦傷性、耐薬品性に劣るものであっ
た。
【0039】
【発明の効果】以上のように、この発明の第1の発明に
よる織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、請求項1に記
載のとおり、強化用織布繊維層と透明アクリル樹脂層と
の積層体であって、前記強化用織布繊維層と前記透明ア
クリル樹脂層との間に前記透明アクリル樹脂層の熱変形
温度よりも20℃乃至80℃高い熱変形温度を有する透
明熱可塑性樹脂層を介在させ、加熱加圧により積層一体
化してなるものであるから、強化用織布繊維層に乱れや
歪みの発生がなく、当該繊維層をそれ自体の意匠性を損
なわずに、透明性が高く表面硬度に優れた表層を通して
明瞭に視覚認識することができ、高い外観品質を有する
織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体となし得るという効果
がある。
【0040】また、この発明による織布繊維強化熱可塑
性樹脂成形体は、強化用織布繊維層と透明アクリル樹脂
層との間に前記透明アクリル樹脂層の熱変形温度よりも
20℃乃至80℃高い熱変形温度を有する透明熱可塑性
樹脂層を介在させたから、常温における高い機械的強度
を有することは勿論のこと、当該成形体の耐熱強度を一
層高めることができるという利点がある。
【0041】さらに、この発明においては、透明熱可塑
性樹脂層を0.1mm乃至0.5mmと比較的厚さの薄
い態様で用い得るから、比較的高価な材料でありながら
コスト低廉を図れるいう利点がある。
【0042】この発明の第2の発明による織布繊維強化
熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、請求項4に記載のと
おり、強化用織布繊維層と透明アクリル樹脂層との間
に、前記透明アクリル樹脂層の熱変形温度よりも20℃
乃至80℃高い熱変形温度を有する透明熱可塑性樹脂層
を介在させて積層したのち、160℃乃至220℃の範
囲にありかつ前記透明熱可塑性樹脂層の熱変形温度より
高い温度条件と、2kg/cm2 乃至50kg/cm2
の圧力条件の下でホットプレスにより積層一体化するす
るものであるから、表層の平滑性を十分に高めることが
でき、当該成形体の内部の強化用織布繊維層をより一層
明瞭に視覚できるようになし得るとともに、プレス方式
を採用しながらも、前記透明熱可塑性樹脂層によって加
熱時の前記アクリル樹脂層の流れが抑制され、同時に前
記強化用織布繊維への直接の影響が遮断されて該強化用
織布繊維の乱れや歪みの発生が防止されるという効果が
ある。しかも、汎用的なプレス方式によるものであるか
ら、外観品質の高い当該成形体を安価に製造できるとい
う利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による織布繊維強化熱可塑性樹脂成
形体の積層構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体
の積層一体化の状態を示す断面図である。
【図3】 比較例を示す成形体の積層構成を示す断面図
である。
【図4】 比較例を示す成形体の積層一体化の状態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1…強化用織布繊維層 2…透明アクリル樹脂層 3…透明熱可塑性樹脂層 4…織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 31/20 B32B 31/20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化用織布繊維層と透明アクリル樹脂層
    との積層体であって、前記強化用織布繊維層と前記透明
    アクリル樹脂層との間に前記透明アクリル樹脂層の熱変
    形温度よりも20℃乃至80℃高い熱変形温度を有する
    透明熱可塑性樹脂層を介在させ、加熱加圧により積層一
    体化してなることを特徴とする織布繊維強化熱可塑性樹
    脂成形体。
  2. 【請求項2】 前記透明熱可塑性樹脂層の厚さが0.1
    mm乃至0.5mmである、請求項1に記載の織布繊維
    強化熱可塑性樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 前記透明熱可塑性樹脂層がポリカーボネ
    ート樹脂である、請求項1または請求項2に記載の織布
    繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 強化用織布繊維層と透明アクリル樹脂層
    との間に、前記透明アクリル樹脂層の熱変形温度よりも
    20℃乃至80℃高い熱変形温度を有する透明熱可塑性
    樹脂層を介在させて積層したのち、160℃乃至220
    ℃の範囲にありかつ前記透明熱可塑性樹脂層の熱変形温
    度より高い温度条件と、2kg/cm2 乃至50kg/
    cm2 の圧力条件の下でホットプレスにより積層一体化
    することを特徴とする織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体
    の製造方法。
JP10080690A 1998-03-27 1998-03-27 織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 Pending JPH11277687A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10080690A JPH11277687A (ja) 1998-03-27 1998-03-27 織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10080690A JPH11277687A (ja) 1998-03-27 1998-03-27 織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11277687A true JPH11277687A (ja) 1999-10-12

Family

ID=13725341

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10080690A Pending JPH11277687A (ja) 1998-03-27 1998-03-27 織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11277687A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2664445A1 (de) * 2012-05-14 2013-11-20 EDAG GmbH & Co. KGaA Mehrschichtverbundstruktur aus faserverstärktem Kunststoff und Verfahren zur Herstellung einer Mehrschichtverbundstruktur
CN106863969A (zh) * 2015-12-14 2017-06-20 杜邦公司 热塑性复合层合体和由其制备的制品
CN109489483A (zh) * 2017-09-11 2019-03-19 南京新莱尔材料科技有限公司 一种商业和军用石墨烯防弹衣及其制造方法
JP2021059036A (ja) * 2019-10-04 2021-04-15 和告 漆原 加飾性シート及びその製造方法、並びに成形品

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2664445A1 (de) * 2012-05-14 2013-11-20 EDAG GmbH & Co. KGaA Mehrschichtverbundstruktur aus faserverstärktem Kunststoff und Verfahren zur Herstellung einer Mehrschichtverbundstruktur
CN106863969A (zh) * 2015-12-14 2017-06-20 杜邦公司 热塑性复合层合体和由其制备的制品
WO2017105995A1 (en) * 2015-12-14 2017-06-22 E I Du Pont De Nemours And Company Thermoplastic composite laminate and articles manufactured therefrom
CN106863969B (zh) * 2015-12-14 2018-10-12 杜邦公司 热塑性复合层合体和由其制备的制品
US10946631B2 (en) 2015-12-14 2021-03-16 Dupont Safety & Construction, Inc. Thermoplastic composite laminate and articles manufactured therefrom
CN109489483A (zh) * 2017-09-11 2019-03-19 南京新莱尔材料科技有限公司 一种商业和军用石墨烯防弹衣及其制造方法
JP2021059036A (ja) * 2019-10-04 2021-04-15 和告 漆原 加飾性シート及びその製造方法、並びに成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107531969B (zh) 包含化学改性聚合物的半透明纤维复合材料
JP2010514625A (ja) ポリカーボネートグレージングシステム及び同システムを製造する方法
EP3476587A1 (en) Sheet
JP5970908B2 (ja) 炭素繊維強化プラスチック用加飾シート及び加飾複合材料
JP6163970B2 (ja) 加飾成形品及び加飾成形品の製造方法
JP6464063B2 (ja) ポリオレフィン系繊維強化樹脂積層シート及びその製造方法
JPH11277687A (ja) 織布繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法
CN112399917B (zh) Cfrp片材、使用cfrp片材的层叠体及cfrp片材的制造方法
JP6994584B2 (ja) 表面被覆フィルム並びに表面被覆繊維強化樹脂成形品及びその製造方法
JP6098086B2 (ja) 炭素繊維強化プラスチック用積層シート、積層複合材料及びその製造方法
JP6478737B2 (ja) 繊維強化樹脂積層シート
JPH10292255A (ja) 複合材料用強化繊維基材
JP6918546B2 (ja) 表面被覆フィルム
JP2013202921A (ja) 炭素繊維強化プラスチック用加飾シート、並びに加飾複合材料及びその製造方法
JP4759303B2 (ja) 多軸織物を用いた複合材料
JP6464062B2 (ja) ポリオレフィン系繊維強化樹脂積層シート及びその製造方法
JP6433869B2 (ja) ポリオレフィン系繊維強化樹脂積層シート及びその製造方法
JPH10156881A (ja) 炭素繊維複合成形品の製法
JP5935441B2 (ja) 加飾複合材料の製造方法
KR20050088249A (ko) 강화 섬유시트와 그 제조방법 및 그 시트를 사용한드레스업 시트
JP6482915B2 (ja) 繊維強化樹脂積層シート
JP3065974B2 (ja) 炭素繊維複合成形品及びその製法
KR100913476B1 (ko) 입체감이 우수한 엠보시트 및 그 제조방법
JPS6229247Y2 (ja)
EP4279247A1 (en) Decorative molded body and method for manufacturing same

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080305

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090305

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090305

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 12