JPH11276857A - 焼却設備の排ガス処理剤および処理方法 - Google Patents

焼却設備の排ガス処理剤および処理方法

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JPH11276857A
JPH11276857A JP10086634A JP8663498A JPH11276857A JP H11276857 A JPH11276857 A JP H11276857A JP 10086634 A JP10086634 A JP 10086634A JP 8663498 A JP8663498 A JP 8663498A JP H11276857 A JPH11276857 A JP H11276857A
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exhaust gas
carbon black
dioxins
treating agent
blown
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JP10086634A
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English (en)
Inventor
Kenji Uejima
健二 上島
Hiroyasu Higuchi
博保 樋口
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Treating Waste Gases (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却炉から排出される排気ガスに含まれるダ
イオキシン類等の有害有機物を効率的に除去する排ガス
処理剤および処理方法を提供する。 【解決手段】 カーボンブラックもしくはカーボンブラ
ックを主たる成分とする排ガス処理剤を用いて焼却炉排
ガス中の有害成分を吸着、処理することにより除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却施設の排
ガス処理設備で排出されるダイオキシン類等の有害有機
物を含有する排ガス処理の処理剤および処理方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイオキシン類等の有機有機物に
よる環境汚染が問題視されている。これは、他の汚染物
質と比較して、ダイオキシン類の毒性がきわめて高いた
めである。例えば、最も毒性が強いと言われる2、3、
7、8−ダイオキシンのモルモットでのLD50は2μg
/kgである。更に、ダイオキシン類は上記のように非
常に強い急性毒性を有しているものであるが、強力な発
癌性物質や催奇形性物質でもあることが確認されてる。
【0003】例えば、 2、3、7、8−ダイオキシン
の場合には、0.01〜0.07μg/kg/dayと
いう微量で発癌性を示すという報告がある。また、1〜
10μg/kgの2、3、7、8−ダイオキシンを妊娠
中のラットの母胎に投与することにより、奇形を生ずる
ことが確認されており、他に類を見ない強い催奇形性物
質であることが判明している。
【0004】ダイオキシン類の発生源としては、都市ゴ
ミ焼却施設、製鋼所や金属製錬産業等の工業プロセス、
自動車の排ガス、紙パルプ産業における塩素漂白過程、
農薬類などの化学工業製品等があげられる。日本は、国
土が狭くゴミ発生量が非常に多いため、欧米と比較して
一般ゴミの焼却処分率が高く、ほとんどの一般ゴミが焼
却処分した後埋め立てられている。この為、日本におい
ては都市ゴミ焼却場から発生するダイオキシン類が最も
多いとされている。
【0005】日本では約4800万トン(1988年)
の一般廃棄物と約3.1億トン(1985年)の産業廃
棄物が排出されている。西暦2000年には、一般廃棄
物は約8000万トンに、産業廃棄物は約6億トンに達
すると予測されている。そのうち一般廃棄物の約7割が
焼却処理され約3割が直接処分されている。また、産業
廃棄物は約4割が再生利用され、約3割が焼却などによ
って減容化されて処分、約3割が直接最終処分場で廃棄
されている。これらの一般廃棄物や産業廃棄物を焼却す
る際には多量のダイオキシン類が発生することが明らか
となっており、焼却設備から排出されるダイオキシン類
に関する排出規制が大幅に強化される方向にある。
【0006】ダイオキシン類等の有害物質への対策方法
に関する研究は、まだ始まったばかりであり、現在のと
ころ完全に確立された技術というものは見当たらない。
現在考えられている焼却施設におけるダイオキシン類等
の有害物質への対策法は大きく分けて以下の5つに分類
される。すなわち、A:ゴミ中の原因物質の除去、B:
燃焼条件での生成抑制、C:熱回収・冷却過程での生成
抑制、D:排ガス処理過程での生成抑制と除去、E:飛
灰の無害化があり、これらの方法の内、D:排ガス処理
過程での生成抑制と除去が、近年盛んに検討されている
技術である。
【0007】排ガス処理過程において、一般的に試みら
れる対策は、集じん機の温度を低下させること、および
バグフィルターの導入である。ダイオキシン類発生防止
ガイドラインでは、集じん機の温度を既設炉では250
〜280℃に、新設炉では200℃以下にすることが示
されているが、既設の焼却炉で最も多く使用されている
電気集じん機は温度を余り下げることができない上、コ
ロナ放電でダイオキシン類が生成することが判明してい
る。したがって、ほとんどの新設炉ではバグフィルタ方
式の集じん機が取り入れられており、既設の焼却炉でも
電気集じん機からバグフィルターへの改良が検討されて
いる。しかながら、バグフィルターへの改良には多大な
費用を要するし、バグフィルターを用いたとしても安定
的にダイオキシン類の排出量を防止することは困難であ
る。そこで、初期設備投資の少ない活性炭吹込法が、盛
んに検討されている。活性炭吹込法とは、粉体状の活性
炭や活性コークスを排ガス中に吹き込み、排ガス中のダ
イオキシン類等の有害物質を吸着させた後、バグフィル
ターや電気集塵機で回収する方法である。
【0008】このような排ガス処理剤に使用される活性
炭や活性コークス等の製法は、天然資源である石炭、コ
ークス、木材、椰子殻、籾殻等を蒸し焼きにして炭化さ
せた後、賦活という操作を施すことにより、微細な穴を
開けて表面活性を高め、更に機械的に粉砕するものであ
る(化学便覧 応用編、改訂3版、126頁)。従っ
て、活性炭の活性表面の多くは活性炭粒子の内部構造に
起因するものである。例えば、化学便覧によれば、活性
炭の比表面積は700〜1600m2/gであるが、平
均細孔径は20〜60オングストロームであり、非常に
微細な孔により活性表面が構成されていることがわか
る。
【0009】しかし、このような方法で生産される活性
炭および活性コークス等には、いくつかの問題がある。
まず、天然原料を加工して得るため、表面構造等の品質
が一定しない。活性炭および活性コークス等の吸着性能
は表面状態に大きく依存するため、表面構造により性能
がばらつくという問題がある。また、石炭や木材の原料
中に含有される鉄、銅等の金属類が活性炭に残存するた
め、排ガス処理剤として使用した場合、これらの金属類
がダイオキシン類を再合成させるための触媒になる恐れ
がある。さらに、活性炭および活性コークス等の粉末を
得るためには、塊状の品物を粉砕して作製せざるを得
ず、十分微細な粉体とすることが出来ないため、煙道中
に吹き込んだ場合の粒子の分散性が悪い。恐らく、通常
工業的に用いられる方法では、平均粒径を5μm以下に
することは困難である。このような大きな粒径の粉体
は、排ガス煙道中に吹き込んだ際に、空間中に均一に分
散することが出来ず、ガスとの接触効率が悪い。又、活
性炭や活性コークスは、700〜1600m2/gと言
う非常に大きな比表面積を有するため、一見ガスの吸着
体として有効で有るかの如く思われるが、その表面の大
部分は、数μmの粒子中に存在する直径20〜60オン
グストロームと言う細孔から形成される内部構造に起因
する表面である。しかしながら、このような内部構造が
ダイオキシン類等の有害物質の吸着に対して有効な表面
ではない。その理由は、まず活性炭の内部構造表面全体
にダイオキシン類等の有害物質が拡散して吸着するには
時間が必要であること。次に、ダイオキシン類のような
高融点化合物(約300℃)は、煙道から集じん機内部
での温度(150〜300℃)では、分子状態でガス化
しているのではなく、いくつかの分子が凝縮したミスト
状若しくは微粒子状で存在していると推定されるので、
活性炭や活性コークスの内部に存在する直径20〜60
オングストロームの微細内部構造がミスト状のダイオキ
シン類の吸着に関与しづらいと考えられる。特に電気集
塵機を用いる活性炭吹込法では、集塵機内での活性炭の
滞留時間は数秒間という短時間であり、ダイオキシン類
等の有害物質が活性炭粒子の内部構造に起因する活性表
面に有効に吸着されないと推定される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
都市ごみ等の焼却設備の排ガスからダイオキシン類等の
有害物質の排出を薬剤にて簡便かつより効果的に吸着除
去する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な問題を解決するために鋭意検討した結果、この目的を
達成し得る処理方法を得るに至った。すなわち、本発明
の特徴はカーボンブラック単体もしくは必要に応じてカ
ーボンブラックと他の物質を配合することにより得られ
るカーボンブラックを主たる構成成分とする焼却炉煙道
吹込剤および、該吹込剤を焼却炉煙道中に吹き込み、排
ガス中に含まれるダイオキシン類等の有害有機物を吸着
せしめた後に、集塵機を用いて排ガスから吹込剤を含有
する煤塵を分離することを特徴とする排ガス処理方法で
ある。
【0012】すなわち、本発明は、カーボンブラック単
体もしくはカーボンブラックを主たる構成成分とする排
ガス処理剤(請求項1)、カーボンブラックが、平均粒
子直径が1μm以下の粉体であることを特徴とする請求
項1に記載の排ガス処理剤(請求項2)、カーボンブラ
ックが、単位粒子直径70nm以下、BET法で測定し
た比表面積が50m2/g以上、JIS規格により測定
したDBP吸収量が50cm3/100g以上の粉体で
あることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス
処理剤(請求項3)、カーボンブラックがゴム添加用の
カーボンブラックであることを特徴とする請求項1、
2、または3に記載の排ガス処理剤(請求項4)、。排
ガス処理剤が焼却炉煙道吹込剤である請求項1記載の排
ガス処理剤(請求項5)、カーボンブラック単体もしく
はカーボンブラックを主たる構成成分とする排ガス処理
剤を焼却炉煙道に吹き込み、カーボンブラックにダイオ
キシン類等の有害有機物を吸着せしめた後、集塵機を用
いて排ガスから該吹込剤を含有する煤塵を分離すること
を特徴とする排ガス処理方法(請求項6)、および排ガ
ス中のカーボンブラック濃度として10〜300mg/
Nm3程度になるような量のカーボンブラックを吹き込
むことを特徴とする請求項6に記載の排ガス処理方法
(請求項7)に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の特徴を理解する為
に、本発明で言う粉体粒子の粒子直径および粉体粒子の
外部表面、内部表面について以下説明する。本発明で言
う粒子直径とは物質が粉体粒子として単独で挙動しうる
大きさの粒径を言う。例えば、カーボンブラックは、後
述するように数十nmオーダーの単位粒子により形成さ
れるが、単位粒子は単独で粉体として挙動するのではな
く、単位粒子が葡萄の房状に凝集して構成される2次粒
子若しくは2次粒子が更に凝集した3次粒子が粉体粒子
として挙動する。この様な凝集体の挙動単位の大きさを
粒子直径と言い、単位粒子の大きさは単位粒子直径と言
う。また、本発明では、粒子の表面を外部表面と内部表
面に区別して考える。本発明で言う外部表面とは、粉体
粒子の外部構造に起因する表面の面積である。粉体の外
部表面構造は極めて複雑であり、内部構造と外部構造を
明確に区別し、外部表面の表面積を知ることは困難であ
る為、本発明では微粒子を真球と仮定した場合の粒子直
径から計算される表面積を便宜的に外部比表面積とい
う。本発明で言う内部表面とは粒子の内部構造に起因す
る表面であるが、内部構造に起因する表面積のみを分離
することは困難であるので、窒素置換方式のBET法で
測定した値を、便宜的に内部比表面積と呼ぶ。
【0014】BET法は活性炭、触媒、触媒単体、ゼオ
ライトなどの多孔質物質の比表面積を測定する方法とし
て、一般的に使用される方法である。この方法では、物
質表面に窒素などの気体分子を吸着させた後、サンプル
を昇温して吸着した気体分子の脱離量から比表面積が測
定される。吸着させる気体分子の種類は窒素・アルゴン
等が使われる。BET法では、サンプルの前処理によっ
て測定値が左右されるので、本発明では、オーブン中で
200℃で3時間以上乾燥させたサンプルを使用する。
このようにして、サンプルを十分乾燥させれば細孔中の
水分等の吸着分子が離脱し、正確な表面積や細孔容積を
測定することができる。また本発明では窒素ガスを用い
る置換法での測定値である。気体分子は、吸着した細孔
径の大きさにより、脱離温度や離脱圧力が異なる。した
がって、BET法では測定系内の温度や圧力等を徐々に
変化させることにより、各細孔領域に相当する比表面積
および細孔容積の分布を測定することが出来る。このよ
うな比表面積および細孔容積の細孔径分布のデータは、
ダイオキシン類のような大きな分子量の物質を吸着性能
を判定する上で、重要な情報である。
【0015】本発明の方法でのダイオキシン類の除去メ
カニズムついて説明する。前述のように、焼却設備での
ダイオキシン類の発生は未燃有機物と塩素ガスもしくは
塩酸ガスと反応し生成する有機塩素化物である。これら
のダイオキシン類は非常に疎水性の強い物質であり、炭
素や活性炭等の疎水性の物質に強力に吸着されることが
知られている。したがって、従来から活性炭や活性コー
クスを焼却炉煙道に吹き込んだ後に、集塵機を用いて排
ガスから活性炭や活性コークスを含有する煤塵を分離す
る排ガス処理方法が提案されていることは先にも述べた
通りである。一方、カーボンブラックも疎水性の高い炭
素表面を有しており、ダイオキシン類の吸着力の強さ
は、活性炭と同等と考えられる。一方、本発明で問題に
している焼却設備等の排ガス中のダイオキシン類の濃度
は、一〜数十ng/Nm3程度の極めて低濃度の領域で
ある。この様な低濃度領域において、ダイオキシン類の
吸着剤に必要とされる特性は、必ずしも大容量の吸着量
を有する吸着剤ではなく、極めて低濃度のダイオキシン
類と効率的に衝突することが出来る吸着剤、則ち外部表
面が大きな粉体が有効である。したがって、排ガス中の
ダイオキシン吸着剤としては粒子直径が小さな粉体を使
用することが有効である。何故ならば、粒子の体積は粒
子直径の3乗に比例し、粒子の外表面積は粒子直径の2
乗に比例するので、単位体積当たりの粒子の外表面積
は、粒子直径に反比例することになるからである。
【0016】活性炭粒子を作製するには、賦活した活性
炭塊から粉砕法で微粒子を作製せざるを得ないため、活
性炭粉末は通常は10〜100μ程度の粒子から構成さ
れ、かなり特殊な方法を使用しない限り、1〜5μm程
度の粒径が粉砕限界であると推定される(超微粒子ハン
ドブック フジテクノシステム 251〜255頁)。
これに対して、数十nmの単位粒子の集合体であるカー
ボンブラックは(化学便覧 応用編、改訂3版、127
頁)、簡単に1μm以下の超微粒子に分離させることが
出来る。したがって、同じ量のカーボンブラックと活性
炭を比較すると、カーボンブラックは活性炭の十分の1
〜百分の1の直径の微粒子を排ガス中に分散させること
になる為、十倍から百倍の外部表面積を有することにな
り、低濃度領域でのダイオキシン類との接触効率が高く
なる。参考のため、カーボンブラック及び活性炭の粒子
直径の分布を測定した例を図1に示す。
【0017】本発明に用いるカーボンブラックについて
説明する。カーボンブラックの製法については、化学便
覧 応用編、改訂3版、128頁に、詳しく説明されて
いる。基本的には、天然ガスや石油類を気化させて得ら
れる気体状の炭化水素を800℃以上の温度で無酸素状
態で熱分解させ、析出した炭素凝集体を集塵機で捕捉す
る方法で生産される。この様に、カーボンブラックはガ
ス状の炭化水素分子が熱分解し析出、凝集するため、数
十nmの単位粒子が葡萄の房状に凝集した構造を有して
おり、活性炭とは比べものにならない微細粒子を形成す
る。更に、カーボンブラックは、ガス状の炭化水素を熱
分解するため、生産条件さえ十分制御すれば、製品の均
一性を保つことが出来る上に、ダイオキシン類の再合成
触媒となる鉄や銅などの不純物が製品中に混入しない。
したがって、カーボンブラックを排ガス中のダイオキシ
ン類等の有害物質の吸着剤として使用することにより、
前述したような活性炭や活性コークスを使用した場合の
問題点を解決することができる。
【0018】本発明では、工業的に使用されているカー
ボンブラックは、何れも使用可能である。前述したよう
に、カーボンブラックの凝集体の平均粒子直径は小さい
方がダイオキシンとの接触効率が高く、1μm以下であ
ることが好ましい。但し、余り細かすぎると、粉塵が舞
いやすく扱い難くなる事もあるので、必要に応じて水等
のバインダーを用いて造粒しても良い。また、内部表面
も全くダイオキシン類の吸着に寄与しないわけではいの
で、内部表面積が大きいカーボンブラックを使用する方
がよく、BET法で測定した比表面積が50m3/g以
上であることが好ましい。さらに、凝集体の平均粒子径
を小さくする為および内部表面積を大きくする為には、
単位粒子の大きさを小さくすることが必要であり、単位
粒子の大きさは70nm以下であることが望ましい。ま
た、給油が大きいカーボンブラックの方ダイオキシン類
の吸着するのには有効であり、JIS規格(K621
7)のDBP吸収量が50cm3/100g以上である
ことが望ましい。更に、カーボンブラックにはゴム添加
用、顔料用など種々のものがあるが、ゴム添加用のもの
が安価に且つ大量に入手できるので、ゴム添加用カーボ
ンブラックを使用することが好ましい。
【0019】本発明で用いる排ガス処理剤について説明
する。本発明で使用する排ガス処理剤は、カーボンブラ
ックを含有したものであり、焼却炉等の排ガス煙道中に
吹き込むことができる形態で使用する場合はどのような
ものを混合しても良い。カーボンブラックは単体で用い
ても良いし、カーボンブラックを主たる構成成分とし
て、更に他の排ガス処理剤等と混合して使用しても良
い。例えば、排ガス中の酸性ガスを除去する為に、粉体
状の消石灰や水酸化マグネシウム等とカーボンブラック
を予め混合したものを処理剤としても良い。また、集塵
機で回収した煤塵を固化したり、煤塵中に含有される重
金属類を安定化させるために、セメント、燐酸、燐酸ナ
トリウム、燐酸カルシウム、燐酸カリウム、珪酸、珪酸
ナトリウム、珪酸カルシウム、珪酸カリウム、炭酸、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水ガラ
ス、キレート系重金属安定化剤等の重金属安定化薬剤と
カーボンブラックを混合したものでも良い。更に、バグ
フィルターに使用する場合には、バグフィルターの濾布
表面を保護し、濾過時の圧損を低減するために使用する
濾過助剤として活性白土、酸性白土、珪藻土、パーライ
ト、ベントナイト、アロフェン等の粉体と混合してもよ
い。必要に応じて活性炭や活性コークス等を混合して使
用することもできる。
【0020】本発明での排ガス処理剤の使用方法につい
て説明する。図2に一般的な焼却設備および本発明の排
ガス処理法方の説明図を示す。本発明では、上記の排ガ
ス処理剤を焼却設備の排ガス処理工程の煙道中に吹き込
み、電気集塵機やバグフィルター等で回収することによ
り、排ガス中のダイオキシン類等の有害有機物を除去す
ることが出来る。本発明の排ガス処理剤を吹き込む位置
は、燃焼部出口から集塵機手前の間のどの位置でもよ
い。ただし、カーボンブラックの発火点は350℃程度
であるので、望ましくはガス温度が300℃以下になる
部分、即ち、熱交換機後段直後(図2A部)から電気集
塵機前段(図2B部)までの間に吹き込むことが望まし
く、薬剤の滞留時間を出来るだけ長くすという観点か
ら、熱交換機出口直後が最も望ましい。本発明で用いる
排ガス処理剤の使用形態としては、粉体状のカーボンブ
ラック若しくはカーボンブラックを含有する粉体状の薬
剤を焼却炉煙道に吹き込む方法が最も望ましい。また、
排ガス中の酸性ガス中和剤として使用される消石灰粉末
とカーボンブラック粉末を予め混合し、この粉体を消石
灰用貯留槽に充填し、消石灰吹込口より(図2C部)消
石灰と共に吹き込む事もできる。別の方法としては、カ
ーボンブラック若しくはカーボンブラックを含有する薬
剤を水と混合したスラリー状の液体を、焼却炉煙道内に
吹き込んでも良い。この場合、高温の煙道中に吹き込ま
れたスラリーは瞬時に乾燥し、カーボンブラックはダイ
オキシン類の吸着性能を発揮することが出来るし、排ガ
スを短時間に冷却しダイオキシン類の吸着除去能力を向
上させる事が出来る。薬剤の吹込量に関しては、煙道中
に吹き込んだ後の煙道排ガス中のカーボンブラック濃度
で表現するのが適当である。本発明の薬剤に関しては、
カーボンブラック濃度として10〜300mg/Nm3
程度になるような量を吹き込むことが望ましい。これ以
上少なすぎると、ダイオキシン類の除去効果が十分発揮
できないし、多すぎると集塵機からカーボンブラックが
漏れ出てしまう可能性がある。
【0021】
【実施例】(実施例1)有機塩素化物のモデル物質として
クロロベンゼンを用いた。室温にて飽和状態にあるクロ
ロベンゼンを3Lのガスバッグに採取した。この時のク
ロロベンゼン濃度は200ppmであった。カーボンブ
ラック(東海カーボン社製:シースト3、シースト6、
シーストSの3種類)を0.5g充填したカラムをリボ
ンヒーターで250℃に加熱し、カラムの一端に上記の
クロロベンゼンの入ったガスバックを、反対側に北川式
ガス検知管を取り付けた。ガス検知器を用いて200c
cづつ8回、計2000ccのクロロベンゼンガスを上
記カラムを通して検知管に吸引することにより、カラム
を通過した後のガス中のクロロベンゼン濃度を測定し
た。カラム通過前後のクロロベンゼン濃度の変化より、
カーボンブラックのクロロベンゼンガスの吸着量を算出
した。比較例として、天然シリカ系吸着剤のクロロベン
ゼンガスの吸着量も測定した。表1に本実施例に使用し
たカーボンブラックの特性を示す。また、表2には本実
施例の結果を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかな様に、カーボンブラック
は有機塩素化物に対する高い吸着性能を有することが分
かる。また、カーボンブラックの中でも、単位粒子径が
小さく、比表面積と吸油量が大きいシースト3およびシ
ースト6が有機塩素化物の吸着量が大きいことが分か
る。また、シリカ系吸着剤は比表面積が大きく吸油量も
大きいのに係わらず、有機塩素化物の吸着量は小さいこ
とがわかる。
【0025】(実施例2)ストーカー式、塩酸処理方式
が乾式、集じん方式が電気集塵方式、電気集塵機の運転
温度が300℃で、乾きガス排出量が11000Nm3
/hr、通常運転時の消石灰吹き込み量が10kg/h
rである都市ごみ焼却炉にて実験を行った。酸性ガスの
除去剤するために、排ガス処理工程の電気集塵機手前に
消石灰を吹き込む形式の焼却炉(乾式処理)の煙道に、
別途カーボンブラック(東海カーボン社製:シースト
6、同製品は造粒物であるので、微粉砕した。その粒度
分布は図2に示してある。)を処理剤1として1kg/
hrの割合で吹き込んだ。
【0026】本処理剤を吹き込む手前位置でのガス中の
ダイオキシン類の濃度(入口濃度)および電気集塵機出
口に於けるガス中のダイオキシン類の濃度(出口濃度)
を測定した。その結果を表3に示す。尚、比較例とし
て、ヤシ殻活性炭を比較剤1とし、石炭系活性炭を比較
剤2として、1kg/hrの割合で煙道に吹き込んだ場
合および薬剤を吹き込まない場合のダイオキシン類の濃
度を比較例として併記する。
【0027】表3より、本処理剤を焼却炉煙道に吹き込
むと、吹込前後において、排ガス中のダイオキシン類の
濃度が75%低下し、排出量は1ng/nm3以下まで
低下していることが分かる。一方、ヤシ殻系の活性炭を
吹き込んだ場合には、ダイオキシン類の除去率が低く、
石炭系の活性炭ではダイオキシン類濃度が増大してお
り、再合成していることが分かる。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】本発明の廃棄物処理剤を用いて産業廃棄
物や都市ゴミの焼却炉から排ガスとして排出されるダイ
オキシン類等の有害有機物を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用されるカーボンブラックおよび活
性炭の粒径分布の例を示す図である。
【図2】焼却設備の概要および本発明の排ガス処理方法
の説明である。
【図3】実施例1で使用された装置の概略図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンブラック単体もしくはカーボン
    ブラックを主たる構成成分とする排ガス処理剤。
  2. 【請求項2】 カーボンブラックが、平均粒子直径が1
    μm以下の粉体であることを特徴とする請求項1に記載
    の排ガス処理剤。
  3. 【請求項3】 カーボンブラックが、単位粒子直径70
    nm以下、BET法で測定した比表面積が50m2/g
    以上、JIS規格(K6217)により測定したDBP
    吸収量が50cm3/100g以上の粉体であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の排ガス処理剤。
  4. 【請求項4】 カーボンブラックがゴム添加用のカーボ
    ンブラックであることを特徴とする請求項1、2、また
    は3記載の排ガス処理剤。
  5. 【請求項5】 排ガス処理剤が焼却炉煙道吹込剤である
    請求項1記載の排ガス処理剤。
  6. 【請求項6】 カーボンブラック単体もしくはカーボン
    ブラックを主たる構成成分とする排ガス処理剤を焼却炉
    煙道に吹き込み、カーボンブラックにダイオキシン類等
    の有害有機物を吸着せしめた後、集塵機を用いて排ガス
    から該吹込剤を含有する煤塵を分離することを特徴とす
    る排ガス処理方法。
  7. 【請求項7】 排ガス中のカーボンブラック濃度として
    10〜300mg/Nm3程度になるような量のカーボ
    ンブラックを吹き込むことを特徴とする請求項6に記載
    の排ガス処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020235623A1 (ja) * 2019-05-21 2020-11-26 国立大学法人九州大学 ガス吸収材料、ガス吸収体、ガス分離材、フィルターおよびガス分離装置
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