JPH11271228A - 塗膜性能の評価方法 - Google Patents

塗膜性能の評価方法

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JPH11271228A
JPH11271228A JP9282998A JP9282998A JPH11271228A JP H11271228 A JPH11271228 A JP H11271228A JP 9282998 A JP9282998 A JP 9282998A JP 9282998 A JP9282998 A JP 9282998A JP H11271228 A JPH11271228 A JP H11271228A
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test
solution
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JP9282998A
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Shoichi Watanabe
正一 渡辺
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性、耐湿性、耐レトルト性、耐候性、低
分子吸収性又は低分子吸着性、耐溶剤性等の塗膜の性能
を簡便にかつ迅速に評価することができる塗膜性能の評
価方法を提供する。 【解決手段】 塗膜と、実質的に不揮発性の共役化合物
の溶液又は分散液とを接触させた後、上記塗膜表面の一
定の波長領域における吸光強度又は蛍光強度を測定する
塗膜特性の評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実質的に不揮発性
の共役化合物を用いて種々の塗膜の性能を容易に評価す
ることができる塗膜性能の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の工業製品の表面には、美観を付与
したり、環境から製品を保護するために、また、その他
必要とされる機能を付与するために、塗膜が施される。
この塗膜は、自然環境下、風雨や日光にさらされたり、
温度変化を受けたりすること等により劣化し、例えば、
塗膜の色の変化や浸食による凹凸等の外観に変化が生じ
るとともに、耐水性等の塗膜性能が低下することが知ら
れている。
【0003】この外観の変化は、可視光で認識すること
ができる程度まで塗膜が浸食され、凹凸が生じることに
より初めて認識することができるものであり、外観によ
って塗膜の劣化が認識できたときには、すでに内部に腐
食等が進行している場合が多い。従って、外観によって
劣化が認識できる程度まで劣化が進行する前に、劣化の
進行の程度を知りたい場合であっても、従来において
は、早期に塗膜の劣化の進行の程度を予測することがで
きるような適切で簡便な評価方法はなかった。
【0004】また、塗膜の耐水性、耐湿性、耐レトルト
性、耐溶剤性等について評価を行いたい場合、従来の方
法では、実際に長時間にわたる耐水性試験や耐溶剤性試
験を行って、塗膜の外観等を観察する方法しかなく、評
価結果を得るまでに時間がかかる問題があるほか、実際
に実用に供される形状の基材等に形成された塗膜をこの
ような方法で評価するのは困難である。
【0005】一方、食料品用の缶や、ドラム缶に内部コ
ーティングを施した場合、これらの容器に入れられた内
容物中の低分子成分が塗膜に吸着され、内容物の組成変
化が生じることがあり、食料品用の缶の場合には、内容
物の風味の変化が生じ、ドラム缶の場合には、内容物の
貯蔵安定性が損なわれる場合がある。このため、このよ
うな分野で用いられる塗膜には、内容物の安定性のため
に低分子吸収性又は低分子吸着性が重要である。例え
ば、食料品用の缶においては、塗膜の低分子成分の吸着
をフレーバー性と称し、官能評価に供したり、香料成分
を含む溶液中に浸漬させた後、溶液中に残存する成分を
ガスクロマト分析することにより内容物の安定性を評価
している。しかしながら、このような方法では、塗膜が
実際に吸着した化合物の量を直接定量しているものでは
なく、香料成分の揮散や、その他の影響を受ける問題が
ある。
【0006】ところで、実用に供された塗膜の種類を識
別するための方法として、例えば、自動車のバンパに、
濃色系塗膜であっても識別が可能である色素の乳酸水溶
液を用いて着色して、バンパに使用されている塗膜がメ
ラミン系のものであるかウレタン系のものであるかを短
時間で容易に識別することができる方法が開示されてい
る(自動車技術会1995年春季大会学術講演会前刷
集、952頁、1995年)。しかしながら、この技術
では、塗膜の種類を識別することができるものの、塗膜
の性能の評価までは行われていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、耐水性、耐湿性、耐レトルト性、耐候性、低分子吸
収性又は低分子吸着性、耐溶剤性等の塗膜の性能を簡便
にかつ迅速に評価することができる塗膜性能の評価方法
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、塗膜と、実質
的に不揮発性の共役化合物の溶液又は分散液とを接触さ
せた後、上記塗膜表面の一定の波長領域における吸光強
度又は蛍光強度を測定する塗膜性能の評価方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】本発明においては、まず、評価に供される
塗膜と、実質的に不揮発性の共役化合物の溶液又は分散
液とを接触させる。上記塗膜としては、評価を行ってい
る間に溶解しないものであれば特に限定されず、熱硬化
性塗料、熱可塑性塗料等の塗料を焼き付けたり、自然乾
燥又は強制乾燥させることにより得られるもの等を挙げ
ることができる。これらは、評価の対象に応じて、適宜
選択することができる。
【0010】上記塗料としては特に限定されず、例え
ば、アルキドメラミン塗料、エポキシ変性アルキドメラ
ミン塗料、アクリルメラミン塗料、エポキシ塗料、シリ
コーン塗料、エマルション塗料、塩化ビニル塗料等を挙
げることができる。なかでも、測定の誤差が小さいの
で、アルキドメラミン塗料、エポキシ塗料、エマルショ
ン塗料、アクリルメラミン塗料が好ましい。
【0011】上記塗料は、通常、バインダー樹脂及び硬
化剤からなる。上記バインダー樹脂としては特に限定さ
れず、例えば、アルキド樹脂、アクリル樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、これらの変性
物等を挙げることができる。上記硬化剤としては特に限
定されず、例えば、メラミン、イソシアネート化合物、
エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0012】上記塗料は、必要に応じて、有機顔料、無
機顔料等の顔料;ウレタンエマルション、ラテックス、
マイクロジェル等の流動調整剤から形成される成分;硬
化触媒、その他の添加剤成分等を含んでいてもよい。
【0013】本発明においては、上記塗膜の性能を評価
するために、実質的に不揮発性の共役化合物の溶液又は
分散液を使用する。本明細書中、実質的に不揮発性の共
役化合物とは、複数の隣接した二重結合を有し、かつ、
他の化合物に吸着又は他の化合物と結合した後、揮発し
ない化合物を意味する。上記共役化合物は、複数の隣接
した二重結合を有しているので、紫外領域又は可視領域
において吸光又は蛍光を示すことができるため、この特
性を利用して、目視や、色差計、分光計等の機械を用い
て検出や定量が可能である。また、上記共役化合物は、
塗膜に一旦吸着されると、揮発しにくいので、定量性が
損なわれない利点がある。
【0014】上記共役化合物は、紫外領域において吸光
又は蛍光を示すもの、紫外領域において吸光を示し、可
視領域において蛍光を示すもの、及び、可視領域におい
て吸光又は蛍光を示すものに分類することができる。上
記共役化合物のうち紫外領域において吸光又は蛍光を示
すものとしては、比較的吸光係数が高いベンゼン環や複
素環を有するものが好ましく、例えば、ブチルベンゼ
ン、ヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチル
ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、アニリン、メチルア
ニリン、エチルアニリン、ブチルアニリン、ジメチルア
ニリン、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン等のベン
ゼン環を含むもの;エチルピリジン、ブチルピリジン等
の含窒素複素環化合物;ナフタレン、アントラセン、フ
ェナントレン、ピレン、アズレン、フェニレン等の縮合
系多環芳香族化合物等を挙げることができる。
【0015】上記紫外領域において吸光を示し、可視領
域において蛍光を示すものとしては、比較的吸光係数が
高いベンゼン環や複素環を有するものが好ましく、例え
ば、アニリノナフタレン、アニリノナフタレンスルホン
酸(ANS)、ジメチルアニリノナフタレンスルホン酸
(DANS)等のアニリノナフタレン系化合物;アニリ
ノフェナントレン、アニリノフェナントレンスルホン
酸、ジメチルアニリノアニリノフェナントレン等のアニ
リノフェナントレン系化合物等を挙げることができる。
【0016】なかでも、より吸光係数が高く、検出が容
易であるので、縮合系多環芳香族化合物、アニリノナフ
タレン系化合物、アニリノフェナントレン系化合物等の
多環芳香族化合物が好ましい。
【0017】上記共役化合物のうち可視領域において吸
光又は蛍光を示すものとしては特に限定されず、例え
ば、「カラーケミカル事典」(有機合成化学協会編、1
988年、シーエムシー社刊)に記載されている色素化
合物等を挙げることができる。上記色素化合物は、その
存在を自然光の下で目視で確認することができる。なか
でも、ローダミンB、ローダミン6G、フルオレセイ
ン、アミノアクリジン、メチルアクリジンクロリド等の
蛍光色素が好ましい。上記蛍光色素は、特に視認性に優
れ、目視による評価が容易であるうえに、吸光波長と蛍
光波長が異なるので、分光計等による測定時に励起光の
散乱の影響を受けにくく、定量性が非常に高い。
【0018】本発明においては、上記化合物のうち、紫
外領域において吸光を示し、可視領域において蛍光を示
すもの、及び、可視領域において吸光又は蛍光を示すも
のが好ましい。上記可視領域において吸光又は蛍光を示
す化合物は、分光計を用いる測定、評価のほか、目視や
色差測定により半定量的に測定、評価が可能である。ま
た、本発明においては、測定の精度が要求される場合に
は、上記共役化合物のうち、紫外領域、可視領域のいず
れの波長領域であっても、蛍光を示すものが好ましい。
上記共役化合物の蛍光は、照射する光、すなわち励起光
とは異なる波長の発光であるので、励起光の散乱等の影
響を受けることがなく、測定の精度が高い。
【0019】上記共役化合物は、感度及び検出精度を高
めるために、モル吸光係数が5000以上であるものが
好ましい。5000未満であると、塗膜に吸着しても検
出することができない場合がある。
【0020】また、上記共役化合物は、溶媒の比誘電率
の増加に伴い、吸光波長又は蛍光波長が長波長側にシフ
トし、吸光強度又は蛍光強度が増大する、いわゆるソル
バソクロミックシフトを生じるものが好ましい。上記ソ
ルバソクロミックシフトにより、塗膜と結合した共役化
合物の吸光強度又は蛍光強度が増大する場合があるの
で、高精度で測定、評価が可能である。
【0021】本発明において、上記共役化合物は、溶液
又は分散液として使用される。好ましくは、上記塗膜と
上記共役化合物とを均一に接触させることができる溶液
である。上記共役化合物を溶解又は分散させる溶媒とし
ては特に限定されず、水及び有機溶剤のいずれも使用す
ることができる。上記溶媒の選択は、溶解又は分散させ
る共役化合物の溶解性や評価する塗膜の特性に応じて、
適宜選択することができる。例えば、耐水性試験、耐候
性試験等の場合には、水を用いることが好ましく、耐溶
剤性試験の場合は、試験の対象となる有機溶剤を用いれ
ばよい。
【0022】上記水としては特に限定されず、工業用上
水、上水道水、脱イオン水、蒸留水のいずれも用いるこ
とができる。なかでも、伝導度400マイクロジーメン
ス以下の脱イオン水、蒸留水を使用することが好まし
い。400マイクロジーメンスを超える伝導度を有する
水を使用すると、実験ごとの吸光度が異なり、再現性に
支障を来す場合がある。
【0023】上記有機溶剤としては特に限定されず、例
えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ガソリン、灯油、ベ
ンゼン、トルエン、キシロール、ソルベッソ100、ソ
ルベッソ150等の炭化水素;エチルエーテル、ブチル
エーテル、ヘキシルエーテル等のエーテル類;アセト
ン、エチルケトン、イソブチルケトン等のケトン類;酢
酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エ
チル、蟻酸エチル等のエステル類;酢酸、蟻酸、プロピ
オン酸等のカルボン酸;γ−ブチロラクトン、δ−バレ
ロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;エタ
ノール、メタノール、プロパノール、ブチルセロソル
ブ、ブチルジグリコール、メトキシプロパノール、エト
キシプロパノール、ブチルアルコール、iso−ブチル
アルコール、t−ブチルアルコール、ソルフィット等の
アルコール類;ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジ
メチルホルムアミド等のアミド類;クロロホルム、塩化
エチレン、四塩化炭素等のハロゲン類等を挙げることが
できる。なかでも、塗膜と接触させた後に乾燥させやす
いので、揮発性のものが好ましい。
【0024】本発明においては、上記溶媒として水を使
用する場合、上記共役化合物を容易に溶解させるため
に、また、試験時間の短縮のために、補助的に少量の有
機溶剤を用いてもよい。上記補助的に使用される有機溶
剤としては、水に対する溶解度が10%以上の水溶性有
機溶剤を使用することが好ましい。上記水溶性有機溶剤
としては特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエ
チルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;エチルエー
テル、ブチルエーテル等のエーテル類;蟻酸、酢酸、プ
ロピオン酸等のケトン類;エタノール、メタノール、プ
ロパノール、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール、
メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、ブチル
アルコール、iso−ブチルアルコール、t−ブチルア
ルコール、ソルフィット等の水溶性アルコール等を挙げ
ることができる。
【0025】上記補助的に使用される有機溶剤は、水へ
の添加量が10%以下であることが好ましい。10%を
超えると、耐水性、耐候性等の評価結果に影響を及ぼ
す。
【0026】上記共役化合物を溶液として使用する場
合、上記溶液の濃度は、1×10-8〜1Mが好ましい。
1×10-8M未満であると、着色に要する時間がかかり
すぎる場合があり、1Mを超えると、上記共役化合物の
溶解が困難になる。より好ましくは、10-6〜10-2
である。この範囲内であれば、着色に要する時間を、目
的に応じて、容易に制御することができる。
【0027】本発明においては、上記塗膜と上記共役化
合物の溶液又は分散液とを接触させる。上記塗膜は、も
ちろん基材等から剥離して使用することができるが、基
材等の表面に形成されたままの状態で使用することもで
きる。
【0028】上記塗膜と上記共役化合物の溶液又は分散
液との接触方法としては特に限定されず、例えば、浸漬
法、噴霧法、メガネセル法等を挙げることができる。こ
れらの接触方法は、評価される塗膜の特性や塗膜の状態
に応じて適宜選択することができるが、通常は、均一に
上記塗膜と上記共役化合物とを接触させることができ、
多くの塗膜を同時に処理することができるので、浸漬法
が好ましい。
【0029】上記浸漬法による接触は、例えば、上記共
役化合物の溶液又は分散液に、基材表面に形成させた塗
膜を基材ごと浸漬させ、一定時間経過後、塗膜を取り出
し、水洗、拭き取り等を行って、塗膜表面の余分な上記
共役化合物の溶液又は分散液を除去すること等により行
うことができる。
【0030】上記浸漬法における浸漬時間は、1分〜6
0時間が好ましい。1分未満であると、塗膜と共役化合
物の溶液又は分散液との接触が不充分となり、60時間
を超えると、塗膜が共役化合物の溶液又は分散液に使用
される溶剤自体の影響を受けて、剥離等を生じるおそれ
がある。
【0031】上記共役化合物の溶液又は分散液と接触し
た塗膜は、表面に吸着された共役化合物の量を測定器を
用いて測定することができる。上記測定器としては特に
限定されず、例えば、吸光分光光度計、蛍光分光光度計
等の分光計;色差計等を挙げることができる。上記色差
計を用いた場合、容易に測定を行うことができるが、よ
り精密な評価を行う必要があるときには、分光計を用い
ることが好ましい。なお、上記分光計の試料室に評価さ
れる塗膜が入らない場合には、上記分光計に光ファイバ
ーを装着することにより、測定が可能となる。
【0032】更に精度の高い評価を行う必要があるとき
には、照射する光の散乱等の影響を受けないように、上
記塗膜へ吸着した共役化合物の蛍光により吸着量を、上
記分光計を用いて測定することが好ましい。
【0033】また、本発明においては、上記共役化合物
が可視領域において吸光又は蛍光を示すものである場合
には、塗膜の着色や、塗膜に紫外光を照射して発する蛍
光を視認することができるので、その着色強度や蛍光強
度を目視で観察することにより塗膜への共役化合物の吸
着量を測定することができる。目視による測定は、定量
性に劣るものの、非常に簡便である。
【0034】本発明の塗膜性能の評価方法においては、
塗膜の特性、例えば、耐水性、耐候性、低分子吸収性又
は低分子吸着性、耐溶剤性等を評価することができる。
以下、これら塗膜の特性それぞれについての評価方法に
ついて詳述する。
【0035】1.塗膜の耐水性 塗膜の耐水性は、塗膜が親水性であることによるもので
あり、塗膜が親水性であると、水中において親水性の共
役化合物を吸着しやすい。本発明においては、この現象
を利用して、共役化合物の溶液又は分散液とを接触させ
た塗膜の表面での吸光強度又は蛍光強度を測定すること
により、より短時間で簡便に塗膜の耐水性を評価するこ
とができる。
【0036】塗膜の耐水性の評価において使用される共
役化合物の溶液又は分散液は、溶媒として水を使用する
ことが好ましい。より好ましくは、水溶液である。上記
共役化合物としては、上述したもののいずれも使用する
ことができるが、水溶液とするためには、純水に対して
1×10-8M以上の溶解度を示すものが好ましい。溶解
度が1×10-8M未満であると、分散してしまい、塗膜
と均一に接触することができなくなる。
【0037】塗膜の耐水性の評価において、塗膜と上記
共役化合物の水溶液又は水分散液との接触は、上述した
いずれの方法であってもよいが、浸漬法により行うこと
が好ましい。上記塗膜の浸漬時間は、最長でも60時
間、短い場合には1分程度と従来の耐水性試験と比較し
て非常に短時間であるため、塗膜が形成された試験片の
側面からの水の浸入の影響を考慮しなくてもよいので、
試験片の加工が不要である。また、万一試験片の側面か
ら水が浸入した場合であっても、紫外光を照射すると直
ちに形跡を検出することができるので、試験片の側面を
保護する必要がない。
【0038】塗膜の耐水性は、上述のようにして塗膜と
共役化合物の水溶液又は分散液とを接触させた後、上記
塗膜への上記共役化合物の吸着量を可視領域又は紫外領
域における吸光強度若しくは蛍光強度を目視又は測定器
を用いて測定することにより評価する。塗膜の耐水性
は、上記共役化合物の吸着量が少ないほど良好であるの
で、吸光強度又は蛍光強度で吸着量を測定する場合に
は、吸光強度又は蛍光強度が小さいものほど塗膜の耐水
性が良好であるとすることができる。本発明において
は、これと同様にして、塗膜の耐レトルト性、耐湿性に
ついても評価することができる。なお、耐レトルト性と
は、飲料缶等を加熱処理する際に、スチーム加熱される
が、このスチーム処理に対する塗膜の耐性をいう。
【0039】2.塗膜の耐候性 塗膜は、一般に、屋外での使用により、劣化が生じ、光
沢、耐水性、耐酸性等の塗膜性能が低下するが、この劣
化により塗膜に吸着可能な化合物の塗膜への吸着量が変
化する。本発明においては、この現象を利用して、共役
化合物の溶液又は分散液とを接触させた塗膜の表面での
吸光強度又は蛍光強度を測定することにより、より短時
間で簡便に塗膜の劣化の程度を評価することができる。
また、共役化合物の溶液又は分散液とを接触させた塗膜
の表面での吸光強度又は蛍光強度の変化を測定すること
により、塗膜の使用限界の予測も可能である。
【0040】建築用等の自然乾燥又は比較的低温で乾燥
させた後屋外で用いられる塗膜の外観低下等を評価する
場合には、評価される塗膜として、主に建造物や建材用
に用いられるエマルション塗料から得られるものを使用
すると、塗膜外観等の低下の度合と共役化合物の吸着量
との間に良好な相関があり、評価をより正確に行うこと
ができる。上記エマルション塗料から得られる塗膜は、
経時的に塗膜の吸光強度又は蛍光強度が減少し、塗膜使
用限界の予測が容易である。
【0041】一方、自動車用等の焼き付け後屋外で用い
られる塗膜の耐水性等の低下を評価する場合には、評価
される塗膜として、主に自動車車体や配電盤に用いられ
る熱硬化性塗料から得られるものを使用すると、耐水性
等の低下の度合と上記共役化合物の吸着量との間に良好
な相関があり、評価をより正確に行うことができる。上
記熱硬化性塗料から得られる塗膜は、経時的に塗膜の吸
光強度又は蛍光強度が増大し、検出が容易である。
【0042】塗膜の耐候性の評価は、基材に塗膜を形成
させて新たに試験片を作成して行ってもよく、建造物や
自動車等の実用に供されている既存の被塗物を用いて行
ってもよい。
【0043】塗膜の耐候性の評価において使用される共
役化合物としては、目視又は色差計を用いて評価するこ
とができるように、紫外領域にのみ吸収を持ち、可視領
域において蛍光を示すものが好ましい。このような共役
化合物としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、
フェナントレン、ピレン、アズレン、フェニレン等の縮
合系多環芳香族化合物;アニリノナフタレン、アニリノ
ナフタレンスルホン酸(ANS)、ジメチルアニリノナ
フタレンスルホン酸(DANS)等のアニリノナフタレ
ン系化合物;アニリノフェナントレン、アニリノフェナ
ントレンスルホン酸、ジメチルアニリノフェナントレン
等のアニリノフェナントレン系化合物等を挙げることが
できる。
【0044】上記共役化合物を用いて評価を行った場
合、このような化合物は自然光では発光しないので、新
たに作成された試験片のみではなく、既存の被塗物をそ
のままの状態で評価に供することができるので、一種の
非破壊検査となりうる。また、既存の被塗物の塗膜性能
を評価した場合には、上記共役化合物が吸着していて
も、自然光の下での使用であれば試験の痕跡が現れるこ
とがなく、外観を損なわない。
【0045】塗膜と上記共役化合物の溶液又は分散液と
の接触の方法としては、試験片の場合には、例えば、浸
漬法、噴霧法、メガネセル法等のいずれの方法も利用す
ることが可能であるが、既存の被塗物を評価する場合に
は、浸漬法が利用できないことがあるため、一定時間均
一に塗膜と共役化合物を接触させることができるメガネ
セル法が好ましい。
【0046】上記メガネセル法による接触は、例えば、
塗膜に試験溶液の入ったメガネセルを所定の時間付着さ
せた後、セルをはずし、水洗、拭き取り等により塗膜表
面の余分な上記共役化合物の溶液又は分散液を除去する
こと等により行うことができる。
【0047】塗膜の耐候性は、上述のようにして塗膜と
共役化合物の水溶液又は分散液とを接触させた後、上記
塗膜への上記共役化合物の吸着量を可視領域又は紫外領
域における吸光強度若しくは蛍光強度を目視又は測定器
を用いて測定することにより評価する。吸光強度又は蛍
光強度と塗膜の劣化の状態とは、評価の対象である経時
変化する塗膜性能により異なる。例えば、塗膜外観の低
下を評価する場合には、吸光強度又は蛍光強度が大きい
ものほど良好である。
【0048】塗膜の耐候性の評価によれば、建造物等に
用いられる塗膜については、塗膜外観等の低下の度合を
評価することができるほか、塗膜の使用限界の予測が可
能である。上記塗膜の使用限界の予測は、劣化が進行し
た塗膜の上記共役化合物の吸着量の変化を追跡し、全く
劣化が起こっていない塗膜での吸光強度又は蛍光強度が
一定値以上、例えば、90%程度低下した塗膜が、その
後、短時間で外観、耐水性等の塗膜性能が顕著に低下
し、使用に耐えなくなる。
【0049】また、自動車車体等に用いられる塗膜につ
いては、実用に供されている既存の塗膜の特性の経時変
化を、実用試験を行うことなく追跡することができる。
このため、塗膜に問題が発生する前に塗膜性能を使用者
に通知して、塗膜の塗り替え、再塗装等の必要な対策を
採ることができる。
【0050】3.塗膜の低分子吸収性、低分子吸着性 食料品用の缶、ドラム缶等に使用される塗膜の低分子吸
収性又は低分子吸着性は、缶等の容器内の内容物の安定
性と密接に関係したものであり、塗膜と接触する内容物
に含まれる低分子成分の吸収量又は吸着量により評価さ
れる。本発明においては、低分子成分として上記共役化
合物を用い、共役化合物の溶液又は分散液とを接触させ
た塗膜の表面での吸光強度又は蛍光強度を測定すること
により、迅速にかつ定量的に塗膜の低分子吸収性又は低
分子吸着性を評価することができる。
【0051】塗膜の低分子吸収性又は低分子吸着性の評
価において使用される共役化合物としては、評価される
塗膜が実用に供されるときに接触する内容物に含まれる
化合物であることが好ましい。これに該当する共役化合
物が存在しない場合には、類似の構造を有するものを用
いてもよい。
【0052】また、食料品用の缶の塗料から形成される
塗膜を評価する場合には、香料の吸着による風味の変
化、すなわちフレーバー性が問題とされるため、上記共
役化合物としては、香料又は香料と類似の構造を有する
化合物が好ましい。上記香料又は香料と類似の構造を有
する化合物としては、例えば、「12695の化学商
品」(化学工業日報社刊)に香料又は食品添加物として
記載されているもの等を挙げることができる。なかで
も、香料は疎水的で低分子の化合物が多数存在している
ため、比較的低分子のものが好ましい。
【0053】上記比較的低分子の化合物としては、例え
ば、ブチルベンゼン、ヘキシルベンジン、ジエチルベン
ゼン、トリエチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、ア
ニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、ブチルアニ
リン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジブチル
アニリン等のベンゼン環を1個含むもの;エチルピリジ
ン、ブチルピリジン等の含窒素複素環を1個含むもの;
ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、
アズレン、フェニレン等の比較的低分子の縮合系多環芳
香族化合物;アニリノナフタレン、アニリノナフタレン
スルホン酸(ANS)、ジメチルアニリノナフタレンス
ルホン酸(DANS)等の比較的低分子のアニリノナフ
タレン系化合物;アニリノフェナントレン、アニリノフ
ェナントレンスルホン酸、ジメチルアニリノフェナント
レン等の比較的低分子のアニリノフェナントレン系化合
物等を挙げることができる。
【0054】水性の内容物に対する評価においては、上
記共役化合物は、純水に対して1×10-8M以上の溶解
度を示すものが好ましい。溶解度が1×10-8M未満で
あると、分散してしまい、塗膜と均一に接触することが
できなくなる。
【0055】上記塗膜の低分子吸収性又は低分子吸着性
を評価する際には、上記共役化合物を溶解又は分散させ
る溶媒としては、評価される塗膜が実用に供されるとき
の内容物そのものを用いる必要はなく、内容物が水性の
ものであれば水を用いればよく、内容物が油性のもので
あれば有機溶剤を用いればよい。
【0056】上記塗膜の低分子吸収性又は低分子吸着性
の評価において、塗膜と上記共役化合物の溶液又は分散
液との接触は、上述したいずれの方法であってもよい
が、浸漬法により行うことが好ましい。また、実際に食
料品用の缶やドラム缶に塗膜が形成されている場合に
は、塗膜が形成された缶に共役化合物の溶液又は分散液
を注入し、一定時間放置後、共役化合物の溶液又は分散
液を排出し、洗浄、拭き取り等により余分な共役化合物
の溶液又は分散液を塗膜表面から除去することにより接
触させる。
【0057】塗膜の低分子吸収性又は低分子吸着性は、
上述のようにして塗膜と共役化合物の水溶液又は分散液
とを接触させた後、上記塗膜への上記共役化合物の吸着
量を可視領域又は紫外領域における吸光強度若しくは蛍
光強度を目視又は測定器を用いて測定することにより評
価する。塗膜の低分子吸収性又は低分子吸着性は、上記
共役化合物の吸着量が少ないほど良好であるので、吸光
強度又は蛍光強度で吸着量を測定する場合には、吸光強
度又は蛍光強度が小さいものほど塗膜の低分子吸収性又
は低分子吸着性が良好であるとすることができる。
【0058】4.塗膜の耐溶剤性 塗膜の耐溶剤性は、有機溶剤に対する塗膜の親和性に影
響を受けるものであり、塗膜が有機溶剤に対して親和性
を有するものであると、有機溶剤中に含まれる化合物を
吸着しやすい。本発明においては、この現象を利用し
て、共役化合物の溶液又は分散液とを接触させた塗膜の
表面での吸光強度又は蛍光強度を測定することにより、
より短時間で簡便に塗膜の耐溶剤性を評価することがで
きる。
【0059】塗膜の耐溶剤性を評価する場合、共役化合
物は有機溶剤に溶解させて使用される。従って、上記共
役化合物は、有機溶剤に容易に溶解し、均一に塗膜への
吸着が行われるように、有機溶剤に対して1×10-8
以上の溶解度を示すものが好ましい。溶解度が1×10
-8M未満であると、分散してしまい、均一に吸着しない
ことがある。
【0060】上記有機溶剤としては特に限定されず、目
的に応じて適宜選択される。例えば、耐揮発油性におい
ては、GP−1(日本石油社製)等のガソリン等を使用
すればよく、耐キシレン性においては、キシレンを使用
すればよく、耐アセトン性においては、アセトンを使用
すればよい。
【0061】本発明においては、上述した揮発油、キシ
レン、アセトン等のほか、当業者が通常用いている有機
溶剤に対する耐溶剤性も評価することができる。上記有
機溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、
灯油、ベンゼン、トルエン、キシロール、ソルベッソ1
00、ソルベッソ150等の炭化水素;エチルエーテ
ル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等のエーテル
類;エチルケトン、イソブチルケトン等のケトン類;酢
酸、蟻酸、プロピオン酸等のカルボン酸;γ−ブチロラ
クトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の
ラクトン類;エタノール、メタノール、プロパノール、
ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール、メトキシプロ
パノール、ソルフィット等のアルコール類;ホルムアミ
ド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のア
ミド類;クロロホルム、塩化エチレン、四塩化炭素等の
ハロゲン類等を挙げることができる。
【0062】上記塗膜と上記共役化合物の溶液との接触
は、上述したいずれの方法であってもよいが、耐溶剤性
の評価においては、浸漬法が好ましい。上記浸漬法にお
ける浸漬時間は、最長でも60時間、短い場合には1分
程度と従来の耐溶剤性試験と比較して非常に短時間であ
るため、塗膜が形成された試験片の側面からの有機溶剤
の浸入の影響を考慮しなくてもよいので、試験片の加工
が不要である。また、万一試験片の側面から有機溶剤が
浸入した場合であっても、紫外光を照射すると直ちに形
跡を検出することができるので、試験片の側面を保護す
る必要がない。
【0063】塗膜の耐溶剤性は、上述のようにして塗膜
と共役化合物の溶液とを接触させた後、上記塗膜への上
記共役化合物の吸着量を可視領域又は紫外領域における
吸光強度若しくは蛍光強度を目視又は測定器を用いて測
定することにより評価する。塗膜の耐溶剤性は、上記共
役化合物の吸着量が少ないほど良好であるので、吸光強
度又は蛍光強度で吸着量を測定する場合には、吸光強度
又は蛍光強度が小さいものほど塗膜の耐溶剤性が良好で
あるとすることができる。
【0064】本発明の塗膜性能の評価方法は、上述して
きたように、耐水性、耐候性、低分子吸収性又は低分子
吸着性、耐溶剤性等の塗膜性能を、共役化合物の塗膜へ
の吸着量により評価しているので、短時間でかつ定量的
に評価することができる。従って、従来の試験方法の代
表法として好適であり、従来の試験方法よりも簡便に効
率よく塗膜性能を評価することができる。
【0065】本発明においては、上述したような塗膜性
能の評価を塗料試験用の塗膜に適用することによって、
短時間で簡便に塗膜の特性を評価することができるの
で、必要とされる性能を有する塗膜を形成するための塗
料組成の設計を容易に行うことができる。本発明の塗膜
性能の評価方法を適用した塗料組成の設計方法もまた、
本発明の一つである。
【0066】また、本発明の塗膜性能の評価方法は、試
験片として新たに作成された塗膜だけではなく、実用に
供された被塗物の塗膜のように、浸漬が不可能であるよ
うなものであっても塗膜性能の評価が可能である。この
ため、従来の実用試験を行うことなく、使用中の塗膜の
使用限界を予測したり、劣化状態を追跡することがで
き、塗膜の塗り替えや再塗装等が必要であるか否かを使
用者に知らせることができる。また、塗膜の着色強度等
を目視で観察する方法は、非常に簡便であるので、場合
によっては、使用者自身でも、本発明の方法を使用する
ことにより、塗膜の劣化の程度等を簡単に評価すること
ができる。このように、既存の被塗物の塗膜性能を評価
する方法もまた、本発明の一つである。
【0067】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0068】試験板作成例1 りん酸亜鉛処理鋼板上に、アルキドメラミン塗料(1)
(酸価5mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/g
のアルキド樹脂80重量%含有の溶剤型塗料、顔料:酸
化チタン、固形分45%)を膜厚が40μmとなるよう
にスプレー塗装した後、140℃で20分間焼き付けし
て試験板(1)を得た。
【0069】試験板作成例2 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(2)(酸価40mgKOH/g、水酸基価60mgK
OH/gのアルキド樹脂80重量%含有の溶剤型塗料、
顔料:酸化チタン、固形分45%)としたこと以外は、
試験板作成例1と同様にして、試験板(2)を得た。
【0070】試験板作成例3 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(3)(酸価40mgKOH/g、水酸基価60mgK
OH/gのアルキド樹脂80重量%含有の水性塗料、顔
料:酸化チタン、固形分45%)としたこと以外は、試
験板作成例1と同様にして、試験板(3)を得た。
【0071】試験板作成例4 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(4)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140mg
KOH/gのアルキド樹脂80重量%含有の水性塗料、
顔料:酸化チタン、固形分45%)としたこと以外は、
試験板作成例1と同様にして、試験板(4)を得た。
【0072】試験板作成例5 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(5)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140mg
KOH/gのアルキド樹脂75重量%含有の水性塗料、
顔料:酸化チタン、固形分45%)としたこと以外は、
試験板作成例1と同様にして、試験板(5)を得た。
【0073】試験板作成例6 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(6)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140mg
KOH/gのアルキド樹脂40重量部、非水溶性のメラ
ミン樹脂15重量部、顔料:酸化チタン40重量部、及
び、硫酸バリウム5重量部からなる水性塗料)としたこ
と以外は、試験板作成例1と同様にして、試験板(6)
を得た。
【0074】試験板作成例7 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(7)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140mg
KOH/gのアルキド樹脂40重量部、非水溶性のメラ
ミン樹脂15重量部、顔料:酸化チタン40重量部、及
び、炭酸カルシウム5重量部からなる水性塗料)とした
こと以外は、試験板作成例1と同様にして、試験板
(7)を得た。
【0075】試験板作成例8 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(8)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140mg
KOH/gのアルキド樹脂40重量部、水溶性のメラミ
ン樹脂15重量部、及び、顔料:酸化チタン45重量部
からなる水性塗料)としたこと以外は、試験板作成例1
と同様にして、試験板(8)を得た。
【0076】試験板作成例9 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(9)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140mg
KOH/gのアルキド樹脂40重量部、水溶性のメラミ
ン樹脂15重量部、顔料:酸化チタン45重量部、及
び、ポリシロキサン5重量部からなる水性塗料)とした
こと以外は、試験板作成例1と同様にして、試験板
(9)を得た。
【0077】試験板作成例10 アルキドメラミン塗料(1)をアルキドメラミン塗料
(10)(酸価40mgKOH/g、水酸基価140m
gKOH/gのアルキド樹脂40重量部、水溶性のメラ
ミン樹脂15重量部、顔料:酸化チタン45重量部、及
び、ポリシロキサン10重量部からなる水性塗料)とし
たこと以外は、試験板作成例1と同様にして、試験板
(10)を得た。
【0078】試験板作成例11 分子量3000、エポキシ等量200のエポキシ樹脂7
0重量部の存在下、アクリルモノマー30重量部を重合
して得られた熱可塑性エポキシ・アクリル樹脂混合物
(固形分40%、固形分酸価10mgKOH/g)を、
アルミニウム板上に膜厚20μmとなるようにバーコー
ター塗装後、200℃で2分間焼き付けして、試験板
(11)を得た。
【0079】試験板作成例12 分子量5000、エポキシ等量100のエポキシ樹脂7
0重量部の存在下、アクリルモノマー30重量部を重合
して得られた熱可塑性エポキシ・アクリル樹脂混合物に
水を加えて調製した水溶液(固形分30%、固形分酸価
40mgKOH/g)を、アルミニウム板上に膜厚20
μmとなるようにバーコーター塗装後、200℃で2分
間焼き付けして、試験板(12)を得た。
【0080】試験板作成例13 分子量5000、エポキシ等量100のエポキシ樹脂の
代わりに、分子量10000、エポキシ等量70のエポ
キシ樹脂を用いたこと以外は、試験板作成例12と同様
にして、試験板(13)を得た。
【0081】試験板作成例14 熱可塑性エポキシ・アクリル樹脂混合物の代わりに、水
性アクリル・メラミン塗料(14)(固形分酸価50m
gKOH/g、水酸基価70mgKOH/gのアクリル
樹脂70重量部、及び、非水溶性メラミン樹脂30重量
部含有の水性塗料)を用いたこと以外は、試験板作成例
11と同様にして、試験板(14)を得た。
【0082】試験板作成例15 熱可塑性エポキシ・アクリル樹脂混合物の代わりに、水
性アクリル・メラミン塗料(15)(固形分酸価60m
gKOH/g、水酸基価90mgKOH/gのアクリル
樹脂70重量部、及び、非水溶性メラミン樹脂30重量
部含有の水性塗料)を用いたこと以外は、試験板作成例
11と同様にして、試験板(15)を得た。
【0083】試験板作成例16 熱可塑性エポキシ・アクリル樹脂混合物の代わりに、水
性アクリル・メラミン塗料(16)(固形分酸価60m
gKOH/g、水酸基価90mgKOH/gのアクリル
樹脂70重量部、及び、水溶性メラミン樹脂30重量部
含有の水性塗料)を用いたこと以外は、試験板作成例1
1と同様にして、試験板(16)を得た。
【0084】試験板作成例17 パワートップU500(電着塗料、日本ペイント社製)
を、りん酸亜鉛処理鋼板PB−144(日本テストパネ
ル社製)上に、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗
装後、水洗し、130℃で20分間焼き付けして、試験
板(17)を得た。
【0085】試験板作成例18 150℃で20分間焼き付けしたこと以外は、試験板作
成例17と同様にして、試験板(18)を得た。 試験板作成例19 170℃で20分間焼き付けしたこと以外は、試験板作
成例17と同様にして、試験板(19)を得た。
【0086】試験板作成例20 乾燥膜厚を40μmとし、170℃で20分間焼き付け
したこと以外は、試験板作成例17と同様にして、試験
板(20)を得た。
【0087】試験板作成例21 乾燥膜厚を10μmとし、170℃で20分間焼き付け
したこと以外は、試験板作成例17と同様にして、試験
板(21)を得た。
【0088】試験板作成例22 アクリルエマルション(固形分30%、軟化点70℃)
100重量部、酸化チタン15重量部、着色顔料ペース
ト(リオファースト410N、東洋インキ社製)1重量
部、着色顔料ペースト(リオファースト408N、東洋
インキ社製)0.5重量部、及び、着色顔料ペースト
(リオファースト409N、東洋インキ社製)0.5重
量部含有のエマルション塗料を、シーラーを塗布したフ
レキシブルボード(ノザワ社製)上に、エアスプレーに
て塗布量100g/m2 となるように塗布した後、10
0℃で10分間乾燥して、試験板(22)を得た。
【0089】試験板作成例23 アクリルエマルション(固形分30%、軟化点70℃)
の代わりに、アクリルエマルション(固形分30%、軟
化点40℃)を用いたこと以外は、試験板作成例22と
同様にして、試験板(23)を得た。
【0090】試験板作成例24 アクリルエマルション(固形分30%、軟化点70℃)
の代わりに、シリコーン変性アクリルエマルション(固
形分30%、軟化点60℃)を用いたこと以外は、試験
板作成例22と同様にして、試験板(24)を得た。
【0091】試験板作成例25 アクリルエマルション(固形分30%、軟化点70℃)
の代わりに、シリコーン変性アクリルエマルション(固
形分30%、軟化点30℃)を用いたこと以外は、試験
板作成例22と同様にして、試験板(25)を得た。
【0092】試験板作成例26〜31 厚さ0.2mmのアルミニウム板を、直径50mm、高
さ120mmの円筒状容器に打ち抜き成型した。このも
のの内面に、試験板作成例11〜16で用いた塗料を、
それぞれスピンコートにより乾燥膜厚10μmとなるよ
うに塗装した後、140℃で20分間加熱乾燥して、試
験容器(26)〜(31)を得た。
【0093】試験板作成例32 自動車用溶剤型塗料(OS−20、日本ペイント社製)
を、電着板に中塗り塗膜を形成させた試験用塗板(日本
テストパネル社製)に膜厚40μmとなるように塗装
後、140℃で20分間加熱乾燥して、試験板(32)
を得た。
【0094】試験板作成例33 焼き付け温度を120℃としたこと以外は、試験板作成
例32と同様にして、試験板(33)を得た。 試験板作成例34 焼き付け温度を100℃としたこと以外は、試験板作成
例32と同様にして、試験板(34)を得た。
【0095】試験板作成例35 自動車用溶剤型塗料(OS−20、日本ペイント社製)
の代わりに、水性ポリエステルメラミン塗料(酸価30
mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/gのポリエ
ステル樹脂44重量部、非水溶性のメラミン樹脂11重
量部、及び、顔料:酸化チタン45重量部からなる水溶
性塗料)を用いたこと以外は、試験板作成例32と同様
にして、試験板(35)を得た。
【0096】試験板作成例36 自動車用溶剤型塗料(OS−20、日本ペイント社製)
の代わりに、水性ポリエステルメラミン塗料(酸価30
mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/gのポリエ
ステル樹脂44重量部、非水溶性のメラミン樹脂11重
量部、及び、顔料:酸化チタン45重量部からなる水溶
性塗料)を用い、焼き付け温度を120℃としたこと以
外は、試験板作成例32と同様にして、試験板(36)
を得た。
【0097】試験板作成例37 自動車用溶剤型塗料(OS−20、日本ペイント社製)
の代わりに、水性ポリエステルメラミン塗料(酸価30
mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/gのポリエ
ステル樹脂44重量部、非水溶性のメラミン樹脂11重
量部、及び、顔料:酸化チタン45重量部からなる水溶
性塗料)を用い、焼き付け温度を100℃としたこと以
外は、試験板作成例32と同様にして、試験板(37)
を得た。
【0098】試験溶液調製例1 ピレン(和光純薬社製)を、濃度が1×10-2Mとなる
ように、エタノールに溶解した。この溶液10gを脱イ
オン水990gに混合し、ピレンの1%エタノール水溶
液(ピレンの濃度1×10-4M)を調製した。
【0099】試験溶液調製例2 ジメチルアニリノナフタレンスルホン酸(DANS、東
京化成社製)を、濃度が1×10-4Mとなるように脱イ
オン水に溶解して、DANSの水溶液を調製した。 試験溶液調製例3 ローダミン6G(和光純薬社製)を、濃度が1×10-6
Mとなるように脱イオン水に溶解して、ローダミン6G
の水溶液を調製した。
【0100】試験溶液調製例4 アニリノナフタレンスルホン酸・アンモニウム塩(AN
S−NH4 、東京化成社製)を、濃度が1×10-2Mと
なるように、脱イオン水に溶解して、ANSの水溶液を
調製した。 試験溶液調製例5 アンスラニル酸メチル(香料)の0.01%エタノール
性水溶液(水/エタノール=90/10)を調製した。
【0101】試験溶液調製例6 ピレンを、濃度が1×10-4Mとなるように、キシレン
に溶解して、ピレンのキシレン溶液を調製した。 試験溶液調製例7 ジメチルアニリノナフタレンスルホン酸アミド(DAN
A、東京化成社製)を、濃度が1×10-4Mとなるよう
に、ガソリン/エタノール=90/10(重量比)の混
合液に溶解した。なお、ガソリンは、GP−1(日本石
油社製)を用いた。 試験溶液調製例8 アニリノナフタレンスルホン酸(ANS、東京化成社
製)を、濃度が1×10-4Mとなるように、脱イオン水
に溶解して、ANSの水溶液を調製した。
【0102】実施例1 耐水性の評価(ピレン) 試験板作成例1〜10で得られた試験板(1)〜(1
0)のそれぞれを、試験溶液調製例1で得られた水溶液
に60℃で1時間浸漬した。浸漬後、表面を水洗し、乾
燥した布で表面に残った水滴を拭き取った。この試験板
を用いて、以下の評価を行った。また、試験板作成例1
〜10で得られた試験板(1)〜(10)のそれぞれに
ついて、耐水性試験を行った。
【0103】着色の有無 試験板の表面を目視で観察し、着色されたか否かを判断
した。結果を表1に示した。 ◎:強い着色あり(括弧内は、着色された色種を示す) ○:着色あり(括弧内は、着色された色種を示す) ×:着色なし なお、着色が確認された場合には、その強度を目視で判
定した。結果を表1に示した。ブラックライトによる発色の有無 試験板の表面に、ブラックライト(波長254nm)の
紫外光を照射し、発色の有無を目視で評価した。結果を
表1に示した。 ◎:強い発色あり(括弧内は、発色の色種を示す) ○:発色あり(括弧内は、発色の色種を示す) ×:発色なし なお、発色が確認された場合には、その強度を目視で判
定した。結果を表1に示した。スペクトル測定 蛍光分光計FP−777(日本分光社製)を用いて、励
起波長320nmで蛍光測定を行い、極大発光を示す波
長とその発光強度を測定した。結果を表1に示した。
【0104】耐水性試験 試験板作成例1〜10で得られた試験板(1)〜(1
0)のそれぞれについて、JIS K 5400 8.
19に従って、試験板を40℃で30日間水に浸漬し
た。この間、毎日試験板の外観を観察し、浸漬部の色調
変化を生じるまでの日数を記録した。結果を表1に示し
た。
【0105】実施例2 耐水性の評価(DANS) 試験板作成例1〜10で得られた試験板(1)〜(1
0)のそれぞれを、試験溶液調製例2で得られた水溶液
に25℃で60分間浸漬した。浸漬後、表面を水洗し、
乾燥した布で表面に残った水滴を拭き取った後、実施例
1と同様にして、着色の有無、ブラックライトによる発
色の有無を確認し、スペクトル測定を行った。結果を表
1に示した。
【0106】実施例3 耐水性の評価(ローダミン6
G) 試験板作成例1〜10で得られた試験板(1)〜(1
0)のそれぞれを、試験溶液調製例3で得られた水溶液
に20℃で30分間浸漬した。浸漬後、表面を水洗し、
乾燥した布で表面に残った水滴を拭き取った後、実施例
1と同様にして、着色の有無、ブラックライトによる発
色の有無を確認し、スペクトル測定を行った。結果を表
1に示した。また、耐水性試験で得られた各試験板の耐
水時間と、実施例1〜3の発光強度との関係を、図1に
示した。
【0107】
【表1】
【0108】以上の結果から、塗膜表面において、水溶
性の共役化合物を吸着した際の蛍光測定で極大吸収を示
した波長における吸収強度が大きくなるほど耐水性が低
下し、吸収強度と耐水性との間に相関があることが判っ
た。これは、塗膜と水溶性の共役化合物との結合の度合
及び塗膜の耐水性の双方が、塗膜の親水性に影響するた
めであると考えられる。
【0109】実施例4 耐レトルト性の評価 試験板作成例11〜16で得られた試験板(11)〜
(16)のそれぞれを、試験溶液調製例3で得られた水
溶液に80℃で30分間浸漬した。浸漬後、表面を水洗
し、乾燥した布で表面に残った水滴を拭き取った後、実
施例1と同様にして、着色の有無、ブラックライトによ
る発色の有無を確認し、スペクトル測定を行った。結果
を表2に示した。また、試験板作成例11〜16で得ら
れた試験板(11)〜(16)のそれぞれについて、耐
レトルト性試験を行った。
【0110】耐レトルト性試験 各試験板の光沢を測定した。次に、5cm角に切断し、
水を加えたオートクレーブ中で140℃に加熱し、20
分間保持した。試験板をオートクレーブから取り出した
後、再び試験板の光沢を測定した。加熱前後の光沢及び
光沢保持率を表2に示した。
【0111】
【表2】
【0112】実施例5 耐湿性の評価 試験板作成例17〜21で得られた試験板(17)〜
(21)のそれぞれを、試験溶液調製例3で得られた水
溶液に40℃で30分間浸漬した。浸漬後、表面を水洗
し、乾燥した布で表面に残った水滴を拭き取った後、実
施例1と同様にして、着色の有無、ブラックライトによ
る発色の有無を確認し、スペクトル測定を行った。結果
を表3に示した。また、試験板作成例17〜21で得ら
れた試験板(17)〜(21)のそれぞれについて、耐
湿性試験を行った。
【0113】耐湿性試験 試験板を、JIS K 8400 9.21に従って、
カッターナイフで傷をつけて試験を行った。この切り傷
の周囲にふくれ、さび等の異常が生じるまでの日数を測
定した。結果を表3に示した。
【0114】
【表3】
【0115】実施例6 促進耐候性の評価 試験板作成例22〜25で得られた試験板(22)〜
(25)のそれぞれの上に、直径30mm、高さ20m
mの円形のスポンジを静置した。このスポンジに試験溶
液調製例3で得られた水溶液を2ml加えた。試験溶液
は、スポンジを浸透し、試験板に到達した。この状態で
12時間放置後、スポンジを外した。その後、試験板を
水拭きし、付着した試験溶液を除去した。この試験板を
用いて、以下の測定を行った。
【0116】色差測定 各試験板の試験溶液と接触した部分、及び、試験溶液と
接触していない部分の色調を、それぞれ色差計(CR−
200、ミノルタ社製)を用いて測定した。これらの部
分の色差〔赤み成分Δa(以下、着色度という)〕を表
4に示した。また、この試験板の一部を、下記の耐候性
試験の評価のために切り取り、20℃の暗室で保持し
た。これを初期塗板とした。
【0117】促進耐候性試験 試験板の周縁部をアルミニウムテープで保護した後、ダ
イプラメタルウエザオメーターKU−R3(ダイプラウ
インテス社製)による促進耐候性試験を行った。表4に
示した試験時間ごとに試験板を取り出し、上述した色差
測定を行った。結果を表4に示した。暴露時間と、各試
験時間における試験板の着色度と初期塗板の着色度との
比(各時間における試験板の着色度/初期塗板の着色
度)との関係を図2に示した。次に、初期塗板との色差
(ΔE)を測定した。暴露時間と、得られた結果(Δ
E)との関係を図3に示した。なお、色差測定におい
て、色差(ΔE)が大きいと、チョーキングと呼ばれる
塗膜の激しい劣化が生じていることを示す。
【0118】
【表4】
【0119】以上の結果から、塗膜のチョーキングが生
じる前に、着色度が低下し、初期塗板の着色度との比が
約0.1に達した後にチョーキングが発生すると予測す
ることができることが判った。一方、色差(ΔE)は、
斬増するのみで、チョーキングを予測することができな
いことが判った。
【0120】実施例7 促進耐候性の評価 試験溶液調製例3で得られた水溶液の代わりに、試験溶
液調製例4で得られた水溶液を用いたこと以外は、実施
例6と同様にして、試験板(22)〜(25)を試験溶
液で着色した。得られた試験板を、実施例6と同様にし
て、促進耐候性試験を行った。評価は、試験板上の試験
溶液を接触させた部分にブラックライトを照射し、着色
の程度を目視により行った。また、外観の変化も、目視
評価により行った。結果を表5に示した。
【0121】
【表5】
【0122】以上の結果から、着色後の塗膜では、ブラ
ックライトを照射して観察を行うことにより、緑から青
又は無着色状態への変化が起こった後、塗膜のチョーキ
ングが発生することが判った。
【0123】実施例8 フレーバー性の評価 試験板作成例26〜31で得られた試験容器(26)〜
(31)に、試験溶液調製例5で得られた水溶液100
mlを加え、室温で12時間静置した後、水溶液を容器
から除去し、残った水滴を水拭きにより除去した。この
容器から溶液に接触した部分と接触していない部分とを
切り出し、反射紫外スペクトル(励起波長275nm)
を測定した。差スペクトルのピーク強度を表6に示し
た。また、試験板作成例26〜31で得られた試験容器
(26)〜(31)のそれぞれについて、フレーバー性
試験を行った。
【0124】フレーバー性試験 試験後の水溶液の臭気の強さをブランクテストした。臭
いの強さの順に並べた結果を表6に示した。なお、表6
中の数値は、順位を表す。
【0125】
【表6】
【0126】以上の結果から、差スペクトルの強度と臭
いの強さが逆の順序であることが判り、塗膜の差スペク
トルとフレーバー性との間に相関があることが判った。
【0127】実施例9 耐溶剤性の評価 試験板作成例32〜37で得られた試験板(32)〜
(37)のそれぞれを、試験溶液調製例6及び7の各々
の溶液に20℃で30分間浸漬した。浸漬後、表面を乾
燥した布で表面に残った溶剤を拭き取り、1時間放置し
た。この試験板を用いて、実施例1と同様にして、着色
の有無、ブラックライトによる発色の有無を評価した。
また、スペクトル測定は、励起波長を340nmとした
こと以外は、実施例1と同様にして行った。また、試験
板作成例32〜37で得られた試験板(32)〜(3
7)のそれぞれについて、耐溶剤性試験を行った。
【0128】耐溶剤性試験 各試験板を、JIS K 5400 8.24に従っ
て、20℃で24時間浸漬し、取り出してから1時間後
の浸漬部の色調変化(ΔE)を測定した。結果を表7に
示した。また、極大発光での蛍光強度と、色調変化(Δ
E)との関係を図4に示した。
【0129】
【表7】
【0130】実施例10 自動車用塗料の促進耐候性の
評価 試験板作成例32〜34で得られた試験板(32)〜
(34)のそれぞれの上に、直径30mm、高さ20m
mの円形のスポンジを静置した。このスポンジに試験溶
液調製例8で得られた水溶液を2ml加えた。試験溶液
は、スポンジを浸透し、試験板に到達した。この状態で
12時間放置後、スポンジを外した。その後、試験板を
水拭きし、付着した試験溶液を除去した。この試験板を
用いて、実施例1と同様にして、着色の有無、ブラック
ライトによる発色の有無を評価し、スペクトル測定を行
った。結果を表8に示した。また、試験板作成例32〜
34で得られた試験板(32)〜(34)のそれぞれに
ついて、促進耐候性試験を行った。
【0131】促進耐候性試験 試験板(32)〜(34)の各々5枚に対して、スーパ
ーロングライフサンシャインウエザオメーター(スガ試
験機社製)による促進耐候性試験を行った。表8に示し
た試験時間ごとに試験板を1枚ずつ取り出し、実施例1
と同様にして、着色の有無、ブラックライトによる発色
の有無を評価し、スペクトル測定を行った。結果を表8
に示した。また、耐水時間と蛍光強度との関係を図5に
示した。
【0132】
【表8】
【0133】以上の結果から、塗膜の耐候性と蛍光強度
との間には相関があり、目視評価により耐水性が低下し
た塗膜を識別することができることが判った。また、図
5から、耐水性の低下の程度を読み取ることができ、塗
膜が初期の耐水品質(例えば、40℃、10日間)を満
足できなくなっているか否かを判断することができるこ
とが判った。
【0134】
【発明の効果】本発明の塗膜性能の評価方法は上述の構
成よりなるので、従来の塗膜性能の評価方法と比較し
て、非常に短時間で効率よく簡便に評価を行うことがで
きるため、従来の塗膜性能の評価方法の代用法として好
適である。また、従来の試験方法では性能を評価するこ
とができなかった使用中の塗膜についても、使用限界を
予測したり、劣化の度合を簡便に評価することができ、
補修等の必要性を使用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3の試験板(1)〜(10)におけ
る耐水時間と、極大発光での発光強度との関係を示す図
である。縦軸は、発光強度であり、横軸は、耐水時間
(日)である。○は、実施例1であり、△は、実施例2
であり、□は、実施例3である。
【図2】実施例6の試験板(22)〜(25)における
暴露時間と、各時間での着色度の初期塗板の着色度に対
する比との関係を示す図である。縦軸は、着色度(Δ
a)であり、横軸は、促進暴露時間(時間)である。○
は、試験板(22)であり、◇は、試験板(23)であ
り、△は、試験板(24)であり、□は、試験板(2
5)である。
【図3】実施例6の試験板(22)〜(25)における
暴露時間と、各時間での初期塗板との色差(ΔE)との
関係を示す図である。縦軸は、色差(ΔE)であり、横
軸は、促進暴露時間(時間)である。○は、試験板(2
2)であり、◇は、試験板(23)であり、△は、試験
板(24)であり、□は、試験板(25)である。
【図4】実施例9の試験板(32)〜(37)における
極大発光での蛍光強度と、色調変化(色差)との関係を
示す図である。縦軸は、発光強度であり、横軸は、色差
(ΔE)である。○は、試験溶液調製例6の溶液を用い
た場合であり、□は、試験溶液調製例7の溶液を用いた
場合である。
【図5】実施例10の試験板(32)〜(34)におけ
る耐水時間と、極大発光での蛍光強度との関係を示す図
である。縦軸は、発光強度であり、横軸は、暴露後の耐
水時間(日)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/32 G01N 33/32

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗膜と、実質的に不揮発性の共役化合物
    の溶液又は分散液とを接触させた後、前記塗膜表面の一
    定の波長領域における吸光強度又は蛍光強度を測定する
    ことを特徴とする塗膜性能の評価方法。
  2. 【請求項2】 塗膜は、アルキドメラミン塗料、エポキ
    シ塗料、エマルション塗料及びアクリルメラミン塗料か
    らなる群より選択される少なくとも1種から得られるも
    のである請求項1記載の塗膜性能の評価方法。
  3. 【請求項3】 実質的に不揮発性の共役化合物は、ベン
    ゼン環及び複素環のうち少なくとも1種を含むものであ
    る請求項1又は2記載の塗膜性能の評価方法。
  4. 【請求項4】 実質的に不揮発性の共役化合物は、多環
    芳香族化合物である請求項3記載の塗膜性能の評価方
    法。
  5. 【請求項5】 実質的に不揮発性の共役化合物は、可視
    領域において吸光又は蛍光を示すものである請求項3又
    は4記載の塗膜性能の評価方法。
  6. 【請求項6】 実質的に不揮発性の共役化合物は、蛍光
    色素である請求項5記載の塗膜性能の評価方法。
  7. 【請求項7】 実質的に不揮発性の共役化合物は、溶媒
    の比誘電率の増加に伴い、吸収波長又は蛍光波長が長波
    長側にシフトし、吸光強度又は蛍光強度が増大するもの
    である請求項1、2、3、4、5又は6記載の塗膜性能
    の評価方法。
  8. 【請求項8】 実質的に不揮発性の共役化合物の溶液
    は、濃度が1×10-8〜1Mである請求項1、2、3、
    4、5、6又は7記載の塗膜性能の評価方法。
  9. 【請求項9】 塗膜と、実質的に不揮発性の共役化合物
    の溶液又は分散液との接触は、前記実質的に不揮発性の
    共役化合物の溶液又は分散液に前記塗膜を浸漬すること
    によるものである請求項1、2又は3記載の塗膜性能の
    評価方法。
  10. 【請求項10】 評価の対象は、塗膜の耐水性である請
    求項1〜9のいずれかに記載の塗膜性能の評価方法。
  11. 【請求項11】 評価の対象は、塗膜の耐候性である請
    求項1〜9のいずれかに記載の塗膜性能の評価方法。
  12. 【請求項12】 評価の対象は、塗膜の低分子吸収性又
    は低分子吸着性である請求項1〜9のいずれかに記載の
    塗膜性能の評価方法。
  13. 【請求項13】 評価の対象は、塗膜の耐溶剤性である
    請求項1〜9のいずれかに記載の塗膜性能の評価方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかに記載の塗
    膜性能の評価方法を塗料試験用の塗膜に適用することを
    特徴とする塗料組成の設計方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜13のいずれかに記載の塗
    膜性能の評価方法を、実用に供される基材の表面に形成
    された既存の塗膜に適用することを特徴とする被塗物の
    塗膜性能の評価方法。
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