JPH11270324A - 潤滑オイル排出構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑オイルの交換作業を容易且つ短時間で行
う。 【解決手段】 エンジンブロック１の下部に位置して潤
滑オイル４が溜められるオイルパン２の最下部１４を、
周辺部より一段低くなるよう段部を有して下方凸状に形
成すると共に、オイルレベルゲージが挿通されるレベル
ゲージガイド５を、エンジンブロック１を貫通し且つエ
ンジンブロック１内部からオイルパン２内部の最下部１
４まで延在するよう、エンジンブロック１に備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オイルパンに溜め
られた潤滑オイルを排出する潤滑オイル排出構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】エンジンブロックの下部に位置するオイ
ルパンに溜められている潤滑オイルは、エンジンの運転
時に、オイルポンプによって吸上げられると共にエンジ
ンの各潤滑部に送られて各潤滑部を潤滑した後、各潤滑
部から落下してオイルパンに流入し、再びオイルポンプ
によって吸上げられてエンジン内を循環する。

【０００３】従って、エンジン内を循環する潤滑オイル
は劣化しやすく、潤滑オイルが劣化した場合にはエンジ
ンの性能が落ちるため、潤滑オイルを交換する必要があ
る。

【０００４】斯かる潤滑オイルを交換するために必要な
潤滑オイル排出構造の一例を図４，図５に示す。

【０００５】図４に示された潤滑オイル排出構造は、エ
ンジンブロック１の下部に位置するオイルパン２の最下
部に、ドレインプラグ３を設けたものであり、ドレイン
プラグ３をオイルパン２から取外して潤滑オイル４を外
部に排出することができる。

【０００６】又、エンジンブロック１の側壁には、エン
ジンブロック１の側壁外部の上方からエンジンブロック
１の側壁を貫通し且つエンジンブロック１の内部でオイ
ルパン２の上部近傍まで直線状に延在するよう、筒状の
レベルゲージガイド５を備えており、該レベルゲージガ
イド５には、先端部が平板状のレベルステック７を有す
るオイルレベルゲージ６を挿通しており、該オイルレベ
ルゲージ６によりオイルパン２に溜められている潤滑オ
イル４の残量すなわちレベルを測定することができる。

【０００７】一方、乗用車等において潤滑オイル４を交
換する際には、図５に示すごとくオイルレベルゲージ６
を引き抜いてレベルゲージガイド５の外出口８を開放
し、吸引装置９を取付ける方法も多く用いられている。

【０００８】ここで、吸引装置９は、レベルゲージガイ
ド５の外出口８にアダプタ１０と、オイルパン２内部に
挿入されるようアダプタ１０の先端部に取付けられるオ
イル吸出しパイプ１１と、アダプタ１０からホース１２
を介して接続されるポンプ１３とから構成されている。

【０００９】レベルゲージガイド５の外出口８に、吸引
装置９のオイル吸出しパイプ１１がオイルパン２の底に
つくまで挿入すると、オイル吸出しパイプ１１がオイル
パン２内部の最下部に到達し得る長さを有するため、オ
イル吸出しパイプ１１の吸出口は潤滑オイル４に浸漬さ
れる。

【００１０】オイル吸出しパイプ１１の吸出口が潤滑オ
イル４に浸漬された後、ポンプ１３を駆動すると、潤滑
オイル４をオイルパン２内部から外部に排出することが
できる。

【００１１】上記２つの例において、オイルパン２内部
の潤滑オイル４を排出した後には、新たな潤滑オイル４
をヘッドカバーオイルフィラ部（図４、図５共に図示せ
ず）から補充して潤滑オイル４の交換を完了する。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
潤滑オイル排出構造の例において、ドレインプラグ３に
より潤滑オイル４を排出する潤滑オイル排出構造には、
ドレインプラグ３を取外すために車両下部にもぐる作業
が必要であると共にエンジン停止直後オイルが熱いため
危険であり、交換作業に非常な手数を有した。また、レ
ベルゲージガイド５から潤滑オイル４を排出する潤滑オ
イル排出構造には、オイル吸出しパイプ１１が図５のご
とく潤滑オイル４中で湾曲しオイルパン２の最下部まで
ガイドできず、確実に潤滑オイル４を排出できないおそ
れがあると共に、レベルゲージガイド５が細いためオイ
ル吸出しパイプ１１の径が細く潤滑オイル４の排出に時
間がかかるという問題があった。さらに前記２つの潤滑
オイル排出構造には、潤滑オイル４内に生じた鉄粉等の
ゴミを積極的に排出することができないという問題もあ
った。

【００１３】本発明は上述の実情に鑑み、潤滑オイルの
交換作業を容易且つ確実に行い、また、潤滑オイルの排
出を短時間で行うと共に潤滑オイル中にゴミ等を積極的
に排出することができる潤滑オイル排出構造を提供する
ことを目的としてなしたものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明において、エンジ
ンブロックの下部に位置して潤滑オイルが溜められるオ
イルパンの最下部を、周辺部より一段低くなるよう段部
を有して下方凸状に形成すると共に、オイルレベルゲー
ジが挿通されるレベルゲージガイドを、前記エンジンブ
ロックを貫通し且つエンジンブロック内部からオイルパ
ン内部の前記最下部まで延在するよう、エンジンブロッ
クに備えている。

【００１５】オイルパン内に溜められた潤滑オイルを外
部に排出するためには、オイル吸出しパイプを有する吸
引装置またはレベルゲージガイドに嵌合可能な吸引装置
をレベルゲージガイドに取付け、吸引装置のダイヤフラ
ムポンプを駆動して潤滑オイルを排出する。

【００１６】このようにすれば、エンジンの上部側方か
らの作業で潤滑オイルを交換するため交換作業が容易に
なり、また、レベルゲージガイドがオイルパンの最下部
まで延在されているので、オイル吸出しパイプを用いて
潤滑オイルを排出する場合には、オイル吸出しパイプが
オイルパンの最下部まで確実にガイドされ、潤滑オイル
を完全に排出できる。一方、レベルゲージガイドをオイ
ル吸出しパイプとして利用する場合には、レベルゲージ
ガイドが従来のオイル吸出しパイプの径よりも大きい径
を有するので、短時間で排出を行うことができる。さら
にまた、オイルパンの形状により、下方凸状部に潤滑オ
イル中のゴミ等が沈殿するので、ゴミを集める作業を特
に行わなくても積極的に潤滑オイル中にゴミ等を排出す
ることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例と共に説明する。

【００１８】図１〜図３は、本発明の潤滑オイル排出構
造であって、図中、図４、図５と同一の符号を付した部
分は同一物を表わしている。

【００１９】而して、図１〜図３に示される潤滑オイル
排出構造は、図４、図５に示すレベルゲージガイド５及
びオイルパン２を変形した形状になっている。

【００２０】すなわちレベルゲージガイド５は、エンジ
ンブロック１の側壁に、エンジンブロック１の側壁外部
の上方からエンジンブロック１の側壁を貫通し且つエン
ジンブロック１の内部でオイルパン２の最下部１４近傍
まで直線状に延在されるよう、筒状に形成されて備えら
れており、レベルゲージガイド５には、通常、従来例と
略同様なオイルレベルゲージを挿通している。

【００２１】また、オイルパン２の最下部１４は、周辺
部より一段低くなるよう段部を有して下方凸状に形成さ
れている。

【００２２】さらに、潤滑オイル４を排出する際には、
レベルゲージガイド５の外出口８に吸引装置９を取付け
ており、図１は、従来例と同様な吸引装置９を取付けた
場合の第一の例を示している。

【００２３】吸引装置９は、レベルゲージガイド５の外
出口８に嵌合するアダプタ１０と、オイルパン２内部に
挿入されるようアダプタ１０の先端部に取付けられるテ
フロン製のオイル吸出しパイプ１１と、アダプタ１０か
らホース１２を介して接続されるポンプ１３とから構成
されている。

【００２４】以下、第一の例の吸引装置９を取付けた場
合の本発明の実施の形態例の作用を説明する。

【００２５】潤滑オイル４を交換する際には、オイルレ
ベルゲージを引き抜いてレベルゲージガイド５の外出口
８を開放し、該外出口８にオイル吸出しパイプ１１がオ
イルパン２の底につくまで吸引装置９を挿入する。

【００２６】挿入されたオイル吸出しパイプ１１はレベ
ルゲージガイド５によって確実にオイルパン２の最下部
１４まで到達するので、ポンプ１３を駆動すると、全て
の潤滑オイル４をオイルパン２内部から外部に確実に排
出することができる。

【００２７】また、エンジンの上部側方からの作業で潤
滑オイル４を交換するため交換作業が容易になり、さら
に、オイルパン２の形状により、下方凸状部に潤滑オイ
ル４中のゴミ等が沈殿するので、積極的に潤滑オイル４
中のゴミ等を排出することができる。なお、レベルゲー
ジガイド５の径を従来のレベルゲージよりも大きく形成
すれば、従来のオイル吸出しパイプよりも径の大きいオ
イル吸出しパイプ１１を挿入することができるため、短
時間で排出を行うことができると共に積極的に潤滑オイ
ル４中にゴミ等を取り除くことができる。

【００２８】図２は、他の吸引装置９を取付けた場合の
第二の例を示しており、吸引装置９は、レベルゲージガ
イド５の外出口８に嵌合するアダプタ１０と、アダプタ
１０からホース１２を介して接続されるポンプ１３から
構成されており、アダプタ１０の先端部には、Ｏリング
１５を二重に取付けている。

【００２９】以下、第二の例の吸引装置９を取付けた場
合の本発明の実施の形態例の作用を説明する。

【００３０】潤滑オイル４を交換する際には、オイルレ
ベルゲージ６を引き抜いてレベルゲージガイド５の外出
口８を開放し、該外出口８に吸引装置９のアダプタ１０
を嵌合する。

【００３１】このとき、アダプタ１０の先端部には、予
めＯリング１５が取付けられているので、アダプタ１０
とレベルゲージガイド５の外出口８の間に隙間が生じる
ことなく気密に保たれる。

【００３２】アダプタ１０を嵌合の後、ポンプ１３を駆
動すると、レベルゲージガイド５がオイル吸出しパイプ
として作用し潤滑オイル４を外部に排出する。

【００３３】この際、レベルゲージガイド５は従来のオ
イル吸出しパイプよりも径が大きいので、短時間で潤滑
オイル４を排出することができる。

【００３４】また、エンジンの上部側方からの作業で潤
滑オイル４を交換するため交換作業が容易になり、さら
に、オイルパン２の形状により、下方凸状部に潤滑オイ
ル４中のゴミ等が沈殿すると共に径の大きいレベルゲー
ジガイド５をオイル吸出しパイプとして用いるので、潤
滑オイル４中のゴミ等を積極的に排出することができ
る。

【００３５】図３は、レベルゲージガイド５の外出口８
及び吸引装置９の接続口の形状を変更した第三の例を示
しており、第三の例は、レベルゲージガイド５の外出口
８をテーパ状に形成すると共に、吸引装置９の接続口を
前記レベルゲージガイド５の外出口８に嵌合するよう形
成するものである。

【００３６】以下、第三の例において本発明の実施の形
態例の作用を説明する。

【００３７】潤滑オイル４を交換する際には、オイルレ
ベルゲージ６を引き抜いてレベルゲージガイド５の外出
口８を開放し、テーパ状の外出口８に吸引装置９のアダ
プタ１０を嵌合する。

【００３８】このため、レベルゲージガイド５の外出口
８と吸引装置９のアダプタ１０の嵌合が容易であり、潤
滑オイル４の交換作業が一層容易になる。また、第二の
例と同様に、レベルゲージガイド５は従来のオイル吸出
しパイプよりも径が大きいので、短時間で潤滑オイル４
を排出することができる。さらに、オイルパン２の形状
により、下方凸状部に潤滑オイル４中のゴミ等が沈殿す
ると共に径の大きいレベルゲージガイド５をオイル吸出
しパイプとして用いるので、潤滑オイル４中のゴミ等を
積極的に排出することができる。

【００３９】上記３つの形態例において、オイルパン２
内部の潤滑オイル４を排出した後には、従来例と同様に
新たな潤滑オイル４をヘッドカバーオイルフィラ部（図
１〜図３に図示せず）から補充して潤滑オイル４の交換
を完了する。

【００４０】なお、本発明の実施の形態は、上述の形態
例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論で
ある。

【００４１】

【発明の効果】本発明の潤滑オイル排出構造によれば、
エンジンの上部側方からの作業で潤滑オイルを交換する
ため交換作業が容易になり、また、レベルゲージガイド
がオイルパンの最下部まで延在されているので、オイル
吸出しパイプを用いて潤滑オイルを排出する場合には、
オイル吸出しパイプがオイルパンの最下部まで確実にガ
イドされ、潤滑オイルを完全に排出できる。一方、レベ
ルゲージガイドをオイル吸出しパイプとして利用する場
合には、レベルゲージガイドが従来のオイル吸出しパイ
プの径よりも大きい径を有するので、短時間で排出する
ことができる。さらにまた、オイルパンの形状により、
下方凸状部に潤滑オイル中のゴミ等が沈殿するので、ゴ
ミを集める作業を特に行わなくても積極的に潤滑オイル
中にゴミ等を排出することができるという種々の優れた
効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の潤滑オイル排出構造の実施の形態の第
一の例を示す縦断面図である。

【図２】本発明の潤滑オイル排出構造において他の吸引
装置を用いた第二の例を示す縦断面図である。

【図３】本発明の潤滑オイル排出構造においてレベルゲ
ージガイドの外出口と吸引装置のアダプタの形状を変更
した第三の例を示す縦断面図である。

【図４】従来の潤滑オイル排出構造の一例を示す縦断面
図である。

【図５】従来の潤滑オイル排出構造の他の例を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１ エンジンブロック ２ オイルパン ４ 潤滑オイル ５ レベルゲージガイド ６ オイルレベルゲージ １４ 最下部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンブロックの下部に位置して潤滑
   オイルが溜められるオイルパンの最下部を、周辺部より
   一段低くなるよう段部を有して下方凸状に形成すると共
   に、オイルレベルゲージが挿通されるレベルゲージガイ
   ドを、前記エンジンブロックを貫通し且つエンジンブロ
   ック内部からオイルパン内部の前記最下部まで延在する
   よう、エンジンブロックに備えたことを特徴とする潤滑
   オイル排出構造。