JPH11269837A - 水漬構造物の防汚方法及び保護被膜 - Google Patents
水漬構造物の防汚方法及び保護被膜Info
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- JPH11269837A JPH11269837A JP7086898A JP7086898A JPH11269837A JP H11269837 A JPH11269837 A JP H11269837A JP 7086898 A JP7086898 A JP 7086898A JP 7086898 A JP7086898 A JP 7086898A JP H11269837 A JPH11269837 A JP H11269837A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 透明な防汚塗膜を利用して面方向の光線伝送
性を高めて、各所で光触媒反応を発生させて防汚を行な
い、防汚対象範囲を拡大するとともに、暗所のようにデ
ッドスペースとなる箇所に対しても防汚性の向上を図
る。 【解決手段】 水漬構造物の外殻表面に対して防汚処理
を行なう技術であり、外殻表面に、下層塗膜,中間塗膜
及び上層塗膜を組み合わせた複合構造の防汚塗膜を形成
するとともに、防汚塗膜を全体として透明となるように
形成し、上層塗膜中に光触媒粒子を混入しておき、紫外
線または可視光線の照射時における光触媒反応により、
上層塗膜の近傍における水生生物の死滅,繁殖防止また
は分解促進を図って、外殻表面近傍の防汚を行なう技術
が採用される。
性を高めて、各所で光触媒反応を発生させて防汚を行な
い、防汚対象範囲を拡大するとともに、暗所のようにデ
ッドスペースとなる箇所に対しても防汚性の向上を図
る。 【解決手段】 水漬構造物の外殻表面に対して防汚処理
を行なう技術であり、外殻表面に、下層塗膜,中間塗膜
及び上層塗膜を組み合わせた複合構造の防汚塗膜を形成
するとともに、防汚塗膜を全体として透明となるように
形成し、上層塗膜中に光触媒粒子を混入しておき、紫外
線または可視光線の照射時における光触媒反応により、
上層塗膜の近傍における水生生物の死滅,繁殖防止また
は分解促進を図って、外殻表面近傍の防汚を行なう技術
が採用される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水漬構造物の防汚
方法及び保護被膜に係り、特に、光触媒反応を利用して
防汚効果を得るものである。
方法及び保護被膜に係り、特に、光触媒反応を利用して
防汚効果を得るものである。
【0002】
【従来の技術】船舶や海洋構造物のように、水漬け状態
で供用されるものは、防食及び対策として、例えば、有
機スズ系塗料を構造物の外殻表面に塗布し、海洋生物が
外殻表面に付着することを妨げる技術が採用されてい
る。
で供用されるものは、防食及び対策として、例えば、有
機スズ系塗料を構造物の外殻表面に塗布し、海洋生物が
外殻表面に付着することを妨げる技術が採用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機ス
ズ等の重金属は、防汚剤として有効であるものの、生物
体に対する毒性が強く、かつ自然分解し難い特性を有し
ているため、海洋に流出して底泥に堆積する等の環境汚
染の大きな要因となる。また、防汚塗料が剥がれた場合
には、船舶等の表面に対する再塗装作業時の労力が多大
なものとなる。さらに、補修作業を繰り返し行なうと、
外殻表面の凹凸が次第に増大し、海洋生物(水生生物)
の幼生が付着し易くなり、該幼生が時間とともに次第に
成長してしまうために、その後の清掃作業労力が多大な
ものとなる。
ズ等の重金属は、防汚剤として有効であるものの、生物
体に対する毒性が強く、かつ自然分解し難い特性を有し
ているため、海洋に流出して底泥に堆積する等の環境汚
染の大きな要因となる。また、防汚塗料が剥がれた場合
には、船舶等の表面に対する再塗装作業時の労力が多大
なものとなる。さらに、補修作業を繰り返し行なうと、
外殻表面の凹凸が次第に増大し、海洋生物(水生生物)
の幼生が付着し易くなり、該幼生が時間とともに次第に
成長してしまうために、その後の清掃作業労力が多大な
ものとなる。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成するものである。 防汚対象範囲の全域で光触媒反応を発生させ、水生
生物を死滅させて防汚を行なうこと。 暗部となる箇所に対しても自然光を利用して配光
し、デッドスペースを形成することなく防汚対象範囲を
拡大すること。 自然光の利用により、メンテナンスを省略して防汚
労力を低減すること。 有機スズ系塗料を使用することなく防汚を行ない、
海洋の環境汚染を防止すること。
ので、以下の目的を達成するものである。 防汚対象範囲の全域で光触媒反応を発生させ、水生
生物を死滅させて防汚を行なうこと。 暗部となる箇所に対しても自然光を利用して配光
し、デッドスペースを形成することなく防汚対象範囲を
拡大すること。 自然光の利用により、メンテナンスを省略して防汚
労力を低減すること。 有機スズ系塗料を使用することなく防汚を行ない、
海洋の環境汚染を防止すること。
【0005】
【課題を解決するための手段】少なくとも一部が水漬け
状態に配される水漬構造物の外殻表面に対して防汚処理
を行なう技術であり、外殻表面に、下層塗膜,中間塗膜
及び上層塗膜を組み合わせた複合構造の防汚塗膜を形成
するとともに、防汚塗膜を全体として透明となるように
形成し、上層塗膜中に光触媒粒子を混入しておき、紫外
線または可視光線の照射時における光触媒反応により、
上層塗膜の近傍における水生生物の死滅,繁殖防止また
は分解促進を図って、外殻表面近傍の防汚を行なう技術
が採用される。紫外線または可視光線の照射時に、防汚
塗膜の透明性に基づいて面方向に光線を伝送し、上層塗
膜の光触媒粒子に対して、各方向から光線を当てること
により光触媒反応を発生させる。下層塗膜が、石英粒等
の透明粒体を介在させた状態で形成される技術、中間塗
膜が、透明な塗膜により形成される技術や、上層塗膜
が、透明または半透明の塗膜により形成されるととも
に、塗膜中に光触媒粒子を混入させて、光触媒粒子の一
部が露出するように設定される技術も適用される。外殻
表面には、予め粗面加工を施しておくことが望ましく、
粗面加工を施す場合には、透明粒体の粒径が粗面の窪部
の直径よりも相対的に小さく設定される。下層塗膜に、
透明粒体を集合させた状態の透明粒体層を配して、該透
明粒体層における透明粒体の間に光触媒粒子を介在させ
た状態に配して、外殻表面の近傍でも光触媒反応を発生
させ、外殻が鋼材等である場合に、防食を図る技術も採
用される。
状態に配される水漬構造物の外殻表面に対して防汚処理
を行なう技術であり、外殻表面に、下層塗膜,中間塗膜
及び上層塗膜を組み合わせた複合構造の防汚塗膜を形成
するとともに、防汚塗膜を全体として透明となるように
形成し、上層塗膜中に光触媒粒子を混入しておき、紫外
線または可視光線の照射時における光触媒反応により、
上層塗膜の近傍における水生生物の死滅,繁殖防止また
は分解促進を図って、外殻表面近傍の防汚を行なう技術
が採用される。紫外線または可視光線の照射時に、防汚
塗膜の透明性に基づいて面方向に光線を伝送し、上層塗
膜の光触媒粒子に対して、各方向から光線を当てること
により光触媒反応を発生させる。下層塗膜が、石英粒等
の透明粒体を介在させた状態で形成される技術、中間塗
膜が、透明な塗膜により形成される技術や、上層塗膜
が、透明または半透明の塗膜により形成されるととも
に、塗膜中に光触媒粒子を混入させて、光触媒粒子の一
部が露出するように設定される技術も適用される。外殻
表面には、予め粗面加工を施しておくことが望ましく、
粗面加工を施す場合には、透明粒体の粒径が粗面の窪部
の直径よりも相対的に小さく設定される。下層塗膜に、
透明粒体を集合させた状態の透明粒体層を配して、該透
明粒体層における透明粒体の間に光触媒粒子を介在させ
た状態に配して、外殻表面の近傍でも光触媒反応を発生
させ、外殻が鋼材等である場合に、防食を図る技術も採
用される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る防汚技術の第
1実施形態について、図1ないし図3を参照して説明す
る。
1実施形態について、図1ないし図3を参照して説明す
る。
【0007】図1は、本発明に係わる防汚技術(水漬構
造物の防汚方法及び保護被膜)の第1実施形態を示し、
防汚対象となる水漬構造物が、少なくとも外殻(例えば
鋼材)Sの一部が水漬け状態に配される場合に適用され
る。水漬構造物は、船舶等の他、石油掘削プラント,海
中展望塔や港湾施設等とされており、海上(水上)に浮
揚するもの、海底等に固定されているものを含むものと
し、その一部(上部)が大気雰囲気に露出しているもの
が好適である。
造物の防汚方法及び保護被膜)の第1実施形態を示し、
防汚対象となる水漬構造物が、少なくとも外殻(例えば
鋼材)Sの一部が水漬け状態に配される場合に適用され
る。水漬構造物は、船舶等の他、石油掘削プラント,海
中展望塔や港湾施設等とされており、海上(水上)に浮
揚するもの、海底等に固定されているものを含むものと
し、その一部(上部)が大気雰囲気に露出しているもの
が好適である。
【0008】外殻Sの表面には、下層塗膜1,中間塗膜
2及び上層塗膜3を組み合わせた複合構造の防汚塗膜M
が形成されるとともに、該防汚塗膜Mは、全体として透
明膜状となるように形成される。そして、外殻Sの表面
には、防汚塗膜Mの付着性を高めるために、予め粗面加
工が施される。この場合の粗面は、例えばエンボス加工
により、直径及び深さが、0.1〜数mm程度の窪部k
を形成するものとされる。
2及び上層塗膜3を組み合わせた複合構造の防汚塗膜M
が形成されるとともに、該防汚塗膜Mは、全体として透
明膜状となるように形成される。そして、外殻Sの表面
には、防汚塗膜Mの付着性を高めるために、予め粗面加
工が施される。この場合の粗面は、例えばエンボス加工
により、直径及び深さが、0.1〜数mm程度の窪部k
を形成するものとされる。
【0009】前記下層塗膜1は、図1例に示すように、
外殻Sの粗面の上に密着状態に形成されるものであり、
透明樹脂中に石英粒等の透明粒体cを多数介在させた状
態として透明粒体cを集積させた透明粒体層を形成し、
透明樹脂を固化させることにより透明粒体cと透明樹脂
とを複合化して透明性を付与した構造とされる。該下層
塗膜1の表面は、外殻Sに粗面が形成されているため
に、塗膜を形成しても凹凸が残された状態となるが、こ
こでは特に問題視しない。
外殻Sの粗面の上に密着状態に形成されるものであり、
透明樹脂中に石英粒等の透明粒体cを多数介在させた状
態として透明粒体cを集積させた透明粒体層を形成し、
透明樹脂を固化させることにより透明粒体cと透明樹脂
とを複合化して透明性を付与した構造とされる。該下層
塗膜1の表面は、外殻Sに粗面が形成されているため
に、塗膜を形成しても凹凸が残された状態となるが、こ
こでは特に問題視しない。
【0010】一方、外殻Sが、例えば鋼材のように錆び
やすい金属材である場合には、透明樹脂の中に、粒子の
小さな光触媒粒子(TiO2 等からなる光触媒の粒子)
dを混入しておく。なお、透明樹脂は、耐酸性(耐酸化
性)を有するものが望ましく、2ふっ化エチレン等の溶
融性を具備する弗素樹脂等が適用される。これらの場合
において、透明粒体cの外径は、図1に示すように、複
数個が窪部kの中に入り込むように、相対的に窪部kよ
りも小さくなるように、例えば数10μm〜0.1mm
程度に設定され、光触媒粒子の外径は、相対的に透明粒
体cよりも小さくなるように、例えば数10μm以下に
設定される。
やすい金属材である場合には、透明樹脂の中に、粒子の
小さな光触媒粒子(TiO2 等からなる光触媒の粒子)
dを混入しておく。なお、透明樹脂は、耐酸性(耐酸化
性)を有するものが望ましく、2ふっ化エチレン等の溶
融性を具備する弗素樹脂等が適用される。これらの場合
において、透明粒体cの外径は、図1に示すように、複
数個が窪部kの中に入り込むように、相対的に窪部kよ
りも小さくなるように、例えば数10μm〜0.1mm
程度に設定され、光触媒粒子の外径は、相対的に透明粒
体cよりも小さくなるように、例えば数10μm以下に
設定される。
【0011】前記中間塗膜2は、下層塗膜1の上に、こ
れを覆うように一体に配され、前述の透明樹脂により透
明な塗膜となるように形成される。なお、中間塗膜2の
表面は、下層塗膜1の表面形状を引き継ぐために、多少
の凹凸が残される場合が多いが、ここでも凹凸の程度に
ついて特に問題視しない。
れを覆うように一体に配され、前述の透明樹脂により透
明な塗膜となるように形成される。なお、中間塗膜2の
表面は、下層塗膜1の表面形状を引き継ぐために、多少
の凹凸が残される場合が多いが、ここでも凹凸の程度に
ついて特に問題視しない。
【0012】前記上層塗膜3は、中間塗膜2の上に、こ
れを覆うように一体に配されるが、前述した透明樹脂等
を使用して、透明性または半透明性を有する塗膜により
形成されるとともに、塗膜中に粒子の小さな光触媒粒子
dを混入して介在させ、さらに、光触媒粒子dの一部が
表面から露出するように設定される。
れを覆うように一体に配されるが、前述した透明樹脂等
を使用して、透明性または半透明性を有する塗膜により
形成されるとともに、塗膜中に粒子の小さな光触媒粒子
dを混入して介在させ、さらに、光触媒粒子dの一部が
表面から露出するように設定される。
【0013】このような構成の水漬構造物であると、図
1の矢印で示すように、防汚塗膜Mの外から内に向かう
太陽光,紫外線または自然光の照射が得られる場合に、
上層塗膜3から露出している光触媒粒子dの近傍で光触
媒反応が発生し、その際の強力な酸化力に基づき、上層
塗膜3やその近傍に接触している水生生物の死滅促進や
繁殖防止が行なわれる。
1の矢印で示すように、防汚塗膜Mの外から内に向かう
太陽光,紫外線または自然光の照射が得られる場合に、
上層塗膜3から露出している光触媒粒子dの近傍で光触
媒反応が発生し、その際の強力な酸化力に基づき、上層
塗膜3やその近傍に接触している水生生物の死滅促進や
繁殖防止が行なわれる。
【0014】そして、図1例では、下層塗膜1と中間塗
膜2とに透明性が付与されているために、これら下層塗
膜1及び中間塗膜2、特に中間塗膜2が光伝送路とな
る。上層塗膜3の部分等で取り入れた太陽光またはその
他の自然光(光線)は、防汚塗膜Mの面方向に伝送され
て、防汚塗膜Mの表裏面及び各層の境界で反射させられ
ること,下層塗膜1の透明粒体cが凹凸であること,あ
るいは上層塗膜3の裏面が凹凸であること等に基づい
て、図1に各矢印で示すように、防汚塗膜Mの層の中で
反射を繰り返しながら各方向に分散し、一部の光線が、
上層塗膜3の裏面から各光触媒粒子を照射することによ
り、防汚塗膜Mの表面に直接光線が照射されない部分で
も、光触媒反応が発生するものとなる。加えて、下層塗
膜1に、透明粒体cを集積させた状態の透明粒体層が形
成されている場合には、該透明粒体層によっても下層塗
膜1の各方向に光線の伝送がなされる。したがって、大
気雰囲気となっている場合のように、太陽光線が防汚塗
膜Mに照射されていると、下層塗膜1の全域においても
光触媒反応が発生することになる。
膜2とに透明性が付与されているために、これら下層塗
膜1及び中間塗膜2、特に中間塗膜2が光伝送路とな
る。上層塗膜3の部分等で取り入れた太陽光またはその
他の自然光(光線)は、防汚塗膜Mの面方向に伝送され
て、防汚塗膜Mの表裏面及び各層の境界で反射させられ
ること,下層塗膜1の透明粒体cが凹凸であること,あ
るいは上層塗膜3の裏面が凹凸であること等に基づい
て、図1に各矢印で示すように、防汚塗膜Mの層の中で
反射を繰り返しながら各方向に分散し、一部の光線が、
上層塗膜3の裏面から各光触媒粒子を照射することによ
り、防汚塗膜Mの表面に直接光線が照射されない部分で
も、光触媒反応が発生するものとなる。加えて、下層塗
膜1に、透明粒体cを集積させた状態の透明粒体層が形
成されている場合には、該透明粒体層によっても下層塗
膜1の各方向に光線の伝送がなされる。したがって、大
気雰囲気となっている場合のように、太陽光線が防汚塗
膜Mに照射されていると、下層塗膜1の全域においても
光触媒反応が発生することになる。
【0015】図2に模式化して示しているように、水生
生物(海洋生物)の幼生yは、暗部や防汚塗膜Mの窪部
kに着床する性質を有しているものがあり、そのまま長
期間放置しておけば、次第に成長して水生生物の個体に
なり得るが、上層塗膜3への光線の照射に基づく光触媒
反応の発生によって、幼生yの殺生が行なわれる(死滅
状態に導かれる)か、あるいは繁殖,成長が著しく阻害
されて、新たな汚損物質(水生生物や有機物)の付着を
阻害することになる。さらに、十分な光量の光線(特に
紫外線)が得られる条件下では、強力な酸化力に基づい
て、水生生物の死骸や汚損物(有機物)を分解して分子
を小さなものとする作用が生じて除去されることによ
り、水中の環境において、防臭,脱臭,有機物分解,水
浄化,防汚がなされる。
生物(海洋生物)の幼生yは、暗部や防汚塗膜Mの窪部
kに着床する性質を有しているものがあり、そのまま長
期間放置しておけば、次第に成長して水生生物の個体に
なり得るが、上層塗膜3への光線の照射に基づく光触媒
反応の発生によって、幼生yの殺生が行なわれる(死滅
状態に導かれる)か、あるいは繁殖,成長が著しく阻害
されて、新たな汚損物質(水生生物や有機物)の付着を
阻害することになる。さらに、十分な光量の光線(特に
紫外線)が得られる条件下では、強力な酸化力に基づい
て、水生生物の死骸や汚損物(有機物)を分解して分子
を小さなものとする作用が生じて除去されることによ
り、水中の環境において、防臭,脱臭,有機物分解,水
浄化,防汚がなされる。
【0016】また、上層塗膜3の凸部には、幼生yが付
着,着床しにくいため、光線の取り入れ量が大きくな
り、防汚塗膜Mの厚さ方向における光線の取り入れ性の
確保がなされる。
着,着床しにくいため、光線の取り入れ量が大きくな
り、防汚塗膜Mの厚さ方向における光線の取り入れ性の
確保がなされる。
【0017】次いで、下層塗膜1による外殻Sの防食作
用について説明する。防汚塗膜Mには、微細な孔が形成
されて、海水の一部が外殻Sの表面まで達して、表面を
腐食する現象の発生も考えられるが、下層塗膜1に光触
媒粒子dが混入されて、その一部が図3に示すように、
外殻Sに接触していると、その部分まで到達した光線に
基づき光触媒反応が発生するとともに、外殻Sの腐食電
位を低下させることにより防錆、つまり腐食防止がなさ
れる。なお、外殻Sに粗面加工を施している場合には、
粒径の小さな光触媒粒子dが窪部kに多く配分され易く
なる。
用について説明する。防汚塗膜Mには、微細な孔が形成
されて、海水の一部が外殻Sの表面まで達して、表面を
腐食する現象の発生も考えられるが、下層塗膜1に光触
媒粒子dが混入されて、その一部が図3に示すように、
外殻Sに接触していると、その部分まで到達した光線に
基づき光触媒反応が発生するとともに、外殻Sの腐食電
位を低下させることにより防錆、つまり腐食防止がなさ
れる。なお、外殻Sに粗面加工を施している場合には、
粒径の小さな光触媒粒子dが窪部kに多く配分され易く
なる。
【0018】〔他の実施の形態〕本発明にあっては、以
下の技術も包含するものである。 a)自然光による照射に代えて、あるいは併用して、紫
外線ランプ等による紫外線照射を防汚塗膜Mの一部に対
して行なうこと。 b)粗面加工をすることなく、外殻Sが本来有している
凹凸を利用して防汚塗膜Mを形成すること。
下の技術も包含するものである。 a)自然光による照射に代えて、あるいは併用して、紫
外線ランプ等による紫外線照射を防汚塗膜Mの一部に対
して行なうこと。 b)粗面加工をすることなく、外殻Sが本来有している
凹凸を利用して防汚塗膜Mを形成すること。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る水漬構造物の防汚方法及び
保護被膜によれば、以下の効果を奏する。 (1) 光線を上層塗膜の光触媒粒子に対して直接的に
照射し、あるいは光線を全体として透明な防汚塗膜を利
用して面方向に伝送して、光触媒粒子に対して間接的に
照射することにより、防汚塗膜の全域で光触媒反応を発
生させ、水生生物の死滅,繁殖防止または分解促進を図
って、防汚を行なうことができる。 (2) 暗部あるいは夜間等に防汚塗膜に付着した水生
生物の幼生等を、十分な自然光が得られる場合の光触媒
反応に基づく酸化力により死滅させることにより、デッ
ドスペースを形成することなく、防汚塗膜の形成範囲全
域で防汚を行なうことができる。 (3) 自然光を利用して光触媒反応を発生させるによ
り、メンテナンスを省略して防汚労力を低減することが
できる。 (4) TiO2 を主成分とする光触媒を使用すること
により、有機スズ系塗料の使用量を低減し得ることと相
まって、海洋の環境汚染の発生を防止することができ
る。 (5) 防汚塗膜を、下層塗膜,中間塗膜及び上層塗膜
を組み合わせた複合構造とすることにより、光線伝送,
光触媒反応機能の付与が容易になり、効率の高い防汚を
行なうことができる。 (6) 下層塗膜に、透明粒体の層を介在させ、かつ光
触媒粒子を配することにより、外殻表面の近傍で光触媒
反応を発生させ、腐食効果を高めることができる。
保護被膜によれば、以下の効果を奏する。 (1) 光線を上層塗膜の光触媒粒子に対して直接的に
照射し、あるいは光線を全体として透明な防汚塗膜を利
用して面方向に伝送して、光触媒粒子に対して間接的に
照射することにより、防汚塗膜の全域で光触媒反応を発
生させ、水生生物の死滅,繁殖防止または分解促進を図
って、防汚を行なうことができる。 (2) 暗部あるいは夜間等に防汚塗膜に付着した水生
生物の幼生等を、十分な自然光が得られる場合の光触媒
反応に基づく酸化力により死滅させることにより、デッ
ドスペースを形成することなく、防汚塗膜の形成範囲全
域で防汚を行なうことができる。 (3) 自然光を利用して光触媒反応を発生させるによ
り、メンテナンスを省略して防汚労力を低減することが
できる。 (4) TiO2 を主成分とする光触媒を使用すること
により、有機スズ系塗料の使用量を低減し得ることと相
まって、海洋の環境汚染の発生を防止することができ
る。 (5) 防汚塗膜を、下層塗膜,中間塗膜及び上層塗膜
を組み合わせた複合構造とすることにより、光線伝送,
光触媒反応機能の付与が容易になり、効率の高い防汚を
行なうことができる。 (6) 下層塗膜に、透明粒体の層を介在させ、かつ光
触媒粒子を配することにより、外殻表面の近傍で光触媒
反応を発生させ、腐食効果を高めることができる。
【図1】 本発明に係わる防汚技術の第1実施形態を示
す正断面図である。
す正断面図である。
【図2】 図1の上層塗膜による幼生の着床から分解ま
での状況を示す模式図である。
での状況を示す模式図である。
【図3】 図1の下層塗膜による防食状況を示す正断面
図である。
図である。
S 外殻(鋼材) M 防汚塗膜、 1 下層塗膜 2 中間塗膜 3 上層塗膜 c 透明粒体 d 光触媒粒子 k 窪部 y 幼生
Claims (7)
- 【請求項1】 少なくとも一部が水漬け状態に配される
水漬構造物の外殻(S)表面の防汚を行なう方法であっ
て、外殻表面に、下層塗膜(1),中間塗膜(2)及び
上層塗膜(3)を組み合わせた複合構造の防汚塗膜
(M)を形成するとともに、防汚塗膜を全体として透明
となるように形成し、上層塗膜中に光触媒粒子(d)を
混入しておき、紫外線または可視光線の照射時における
光触媒反応により、上層塗膜の近傍における水生生物の
死滅,繁殖防止または分解促進を図って、外殻表面近傍
の防汚を行なうことを特徴とする水漬構造物の防汚方
法。 - 【請求項2】 防汚塗膜(M)の透明性に基づいて面方
向に光線を伝送し、上層塗膜(3)の光触媒粒子(d)
に光線を照射することを特徴とする請求項1記載の水漬
構造物の防汚方法。 - 【請求項3】 少なくとも一部が水漬け状態に配される
水漬構造物であって、外殻(S)表面に、下層塗膜
(1),中間塗膜(2)及び上層塗膜(3)を組み合わ
せた複合構造の防汚塗膜(M)が形成されるとともに、
防汚塗膜が全体として透明となるように形成され、上層
塗膜中に光触媒粒子(d)が混入されることを特徴とす
る水漬構造物の保護被膜。 - 【請求項4】 下層塗膜(1)が、透明粒体(c)を介
在させた状態で形成されることを特徴とする請求項3記
載の水漬構造物の保護被膜。 - 【請求項5】 上層塗膜(3)が、透明または半透明の
塗膜により形成されるとともに、塗膜中に光触媒粒子
(d)を混入させて形成されることを特徴とする請求項
3または4記載の水漬構造物の保護被膜。 - 【請求項6】 外殻(S)表面に、粗面加工が施され、
透明粒体(c)の粒径が粗面の窪部(k)の直径よりも
相対的に小さく設定されていることを特徴とする請求項
4または5記載の水漬構造物の保護被膜。 - 【請求項7】 下層塗膜(1)に、透明粒体(c)を集
合させた状態の透明粒体層が配され、該透明粒体層にお
ける透明粒体の間に光触媒粒子(d)が介在させた状態
に配されることを特徴とする請求項4、5または6記載
の水漬構造物の保護被膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7086898A JPH11269837A (ja) | 1998-03-19 | 1998-03-19 | 水漬構造物の防汚方法及び保護被膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7086898A JPH11269837A (ja) | 1998-03-19 | 1998-03-19 | 水漬構造物の防汚方法及び保護被膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11269837A true JPH11269837A (ja) | 1999-10-05 |
Family
ID=13443978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7086898A Pending JPH11269837A (ja) | 1998-03-19 | 1998-03-19 | 水漬構造物の防汚方法及び保護被膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11269837A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010528121A (ja) * | 2007-05-10 | 2010-08-19 | ピーピージー・ベー・ブイ | プライマー組成物 |
-
1998
- 1998-03-19 JP JP7086898A patent/JPH11269837A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010528121A (ja) * | 2007-05-10 | 2010-08-19 | ピーピージー・ベー・ブイ | プライマー組成物 |
US9085701B2 (en) | 2007-05-10 | 2015-07-21 | Ppg B.V. | Primer composition |
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