JPH112694A - 溶融塩廃棄物の処理方法 - Google Patents

溶融塩廃棄物の処理方法

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JPH112694A
JPH112694A JP15523597A JP15523597A JPH112694A JP H112694 A JPH112694 A JP H112694A JP 15523597 A JP15523597 A JP 15523597A JP 15523597 A JP15523597 A JP 15523597A JP H112694 A JPH112694 A JP H112694A
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JP
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molten salt
waste
radioactive
zeolite
inorganic ion
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JP15523597A
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Shuichi Ito
秀一 伊藤
Toshio Sawa
俊雄 沢
Tadahiro Hoshikawa
忠洋 星川
Akira Suzuoki
昭 鈴置
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融塩を用いた原子燃料再処理で発生する使
用済溶融塩の高レベル廃棄物の処分形態を均一固化体と
することを目的とする。 【解決手段】 使用済溶融塩中の放射性金属元素を無機
イオン交換体の吸脱着作用により分離し、脱着した廃液
は均一な放射性廃棄物固化体に転換する。また、無機イ
オン交換体は再利用する。 【効果】 本発明により乾式再処理で発生する高レベル
溶融塩廃棄物を現在PUREX 法の高レベル廃棄物処理固化
体と同様にホウケイ酸ガラス固化体または同様な均一固
化体として処分できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融塩を用いた原子
燃料の再処理において発生する放射性アルカリ金属及び
放射性アルカリ土類金属を含む溶融塩廃棄物の処理方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融塩を用いた原子燃料再処理は、溶融
塩の中に使用済燃料を溶融し、さらに電解操作によって
ウラン、超ウラン元素を陰極に回収する方法である。し
かし、溶融塩中には電解操作によって回収できないアル
カリ金属(例えば、Cs)、アルカリ土類金属(例え
ば、Sr、Ba)及び希土類元素(例えば、Ru)の放
射性核分裂生成物元素(以下、「FP元素」と略記す
る)が蓄積する。
【0003】これらのFP元素が蓄積すると、崩壊熱に
より溶融塩温度の上昇、及び溶融塩の粘性が大きくなり
ウラン、超ウラン元素の回収効率が低下する。そこで、
この溶融塩中のFP元素の処理方法としては、人工ゼオ
ライトにFP元素を吸着させ除去する方法(M.A.Lewis,
et al., J. Am. Ceram. Soc., 76(11), 2826-2832(193
3))がある。
【0004】図4に米国アルゴンヌ国立研究所で検討さ
れている溶融塩を用いた原子燃料再処理フローを示す。
同図の電解精製槽1中の溶融塩にはウラン、超ウラン元
素(以下、「TRU等」と略記する)とFP元素等が含
まれる。TRU等はTRU抽出器2で回収され、FP元
素はゼオライトカラム3で除去される。TRU等及びF
P元素が除去された溶融塩は、塩化物転換器4で処理さ
れ電解精製槽1で再利用する。一方、TRU抽出器2で
回収されたTRU等は塩化物転換器4へ送られ電解精製
槽1へ戻される。また、FP元素を飽和吸着したゼオラ
イトはガラス結合型ゼオライト固化体製造器5に送ら
れ、高レベル廃棄物としてガラス固化体(ガラス結合型
ゼオライト固化体)にする。
【0005】また、廃溶融塩を高レベル廃棄物としてガ
ラス固化体にする別の方法は、特開平5−87985号
公報に開示されている。この方法は、金属核燃料の乾式
再処理の電解精製工程において発生する塩廃棄物を、安
定な固化体であるガラス固化体として処分するために、
塩廃棄物を無水ほう酸と高温で反応させることにより酸
化物とする方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
前者の検討段階の方法で処理した場合、溶融塩廃棄物の
最終的な処分形態は、ガラス結合型ゼオライト固化体に
なる。ガラス結合型ゼオライト固化体は、ガラスマトリ
クス中にゼオライトが分散した形態であり、ガラス相と
ゼオライト相が混在する不均一な固化体である。
【0007】それに対し、現在日本で、高レベル廃棄物
の固化法で最も開発が進められているホウケイ酸ガラス
固化体は単相の均一固化体である。前記したガラス結合
型ゼオライト固化体のような不均一固化体として処理・
処分するには、ホウケイ酸ガラス固化体と同様に安全評
価を新たに実施する必要があり、相当な研究投資を要し
現実的でない。
【0008】本発明の目的は、溶融塩を用いた使用済原
子燃料再処理で発生する使用済溶融塩の高レベル廃棄物
の処分形態を均一固化体とすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の請求項1の溶融塩廃棄物の処理方法は、溶
融塩を用いた使用済原子燃料の再処理で、高温溶融塩中
に含まれる放射性金属成分を無機イオン交換体で選択的
に吸着除去し、溶融塩から該放射性金属成分を高レベル
放射性廃棄物として分離する放射性元素除去工程を有す
る溶融塩廃棄物の処理方法において、無機イオン交換体
に吸蔵した該溶融塩を高純度水で脱着する溶融塩脱着工
程と、該工程に引き続く工程として、無機イオン交換体
に飽和吸着した前記放射性金属成分を、アルカリ金属塩
水溶液あるいはアルカリ土類金属塩水溶液で脱着する放
射性金属成分脱着工程と、脱着した前記溶融塩と前記放
射性金属成分とを、それぞれの放射能レベルに応じて2
種類以上の放射性廃棄物固化体に転換する廃棄物転換工
程と、を有することを特徴としている。
【0010】上記の目的を達成するため、本発明の請求
項2の溶融塩廃棄物の処理方法は、請求項1記載の溶融
塩廃棄物の処理方法において、前記放射性金属成分脱着
工程を終えた後の前記無機イオン交換体を乾燥させ、こ
の無機イオン交換体を前記放射性元素除去工程で再利用
することを特徴としている。
【0011】上記の目的を達成するため、本発明の請求
項3の溶融塩廃棄物の処理方法は、請求項1及び2記載
の溶融塩廃棄物の処理方法において、前記無機イオン交
換体としてアルミノケイ酸塩、水酸化物、含水物、酸性
塩、塩基性塩、複合水酸化物、ヘテロポリ酸類、ヘキサ
シアノ鉄(III)のうち少なくとも1つ以上使用するこ
とを特徴としている。
【0012】上記の目的を達成するため、本発明の請求
項4の溶融塩廃棄物の処理方法は、前記溶融塩を用いた
使用済原子燃料の再処理で、高温溶融塩中の前記放射性
金属成分を前記無機イオン交換体で吸着除去して高レベ
ル放射性廃棄物を分離する前記放射性元素除去工程を有
する溶融塩廃棄物の処理方法において、前記無機イオン
交換体に吸蔵した前記溶融塩を高純度水で脱着する前記
溶融塩脱着工程と、該工程に引き続く工程として、前記
無機イオン交換体に飽和吸着した前記放射性金属成分
を、前記アルカリ金属塩水溶液あるいは前記アルカリ土
類金属塩水溶液で脱着する前記放射性金属成分脱着工程
と、前記溶融塩脱着工程で脱着した廃液中に含まれる前
記放射性金属成分を、再度別個の無機イオン交換体で吸
着除去して放射性廃棄物を分離し、吸着した前記放射性
金属成分を前記アルカリ金属塩水溶液あるいは前記アル
カリ土類金属塩水溶液で脱着する浄化工程と、前記放射
性金属成分脱着工程と該浄化工程とで脱着した前記放射
性金属成分を放射性廃棄物固化体に転換する前記廃棄物
転換工程と、を有することを特徴としている。
【0013】上記の目的を達成するため、本発明の請求
項5の溶融塩廃棄物の処理方法は、請求項4記載の溶融
塩廃棄物の処理方法において、前記浄化工程を終えた後
の無機イオン交換体を乾燥させ、この無機イオン交換体
を前記浄化工程で再利用することを特徴としている。
【0014】上記の目的を達成するため、本発明の請求
項6の溶融塩廃棄物の処理方法は、請求項4および5記
載の溶融塩廃棄物の処理方法において、前記浄化工程で
使用する前記無機イオン交換体に、カチオン交換体を使
用することを特徴としている。
【0015】
【作用】放射性レベルの高い廃溶融塩の処理において、
溶融塩廃棄物中のFP元素は、ゼオライトのイオン交換
作用と吸蔵作用により吸着される。イオン交換作用は、
ゼオライトを構成しているナトリウム等の構成元素とF
P元素等とがイオン交換する作用であり、吸蔵作用は、
ゼオライトのかご構造中に極弱い力でNaCl、LiCl-KCl等
の塩化物が吸着されている作用である。ゼオライトのイ
オン交換作用で吸着している元素は、大部分のFP元素
とNa、K 、Liであり、吸蔵しているものは、主にNaCl、
LiCl-KCl等である。
【0016】水溶液中でのA型ゼオライトのイオン交換
平衡序列としてはSr<Ba<Cs<Li<K <Naの順で交換し
やすいことが知られている(妹尾学、阿部光雄、鈴木
喬、イオン交換,p87, 講談社(1991)参照) 。つまり、S
r、Ba、Csに代表されるアルカリ金属及びアルカリ土類
金属のFP元素は、Li、K 、Na塩水溶液で脱着が可能で
ある。一方、吸蔵されている元素は高純度水に浸漬する
と拡散現象により溶出する。一般に拡散速度は温度が高
い程大きいことから温水を溶離液として使用すると効果
的である。
【0017】本発明においては、まず高純度水で吸蔵し
た塩を脱着し、この脱着液は、ほとんどFP元素を含ま
ないので低レベル廃棄物として扱えるため、濃縮及び乾
固させたあと、セメント固化体に転換する。また、ゼオ
ライトとイオン交換したFP元素は、アルカリ金属元素
及びアルカリ土類元素の塩溶液で脱着し、乾固させたあ
とガラス固化体に転換する。
【0018】また、別の本発明では、ゼオライトに吸蔵
した成分を高純度水で脱着した溶液から、FP元素を無
機イオン交換体によりさらに吸着除去することにより低
レベル廃棄物量を低減する。無機イオン交換体で吸着除
去されたFP元素は脱着し乾固したあとガラス固化体に
転換する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の基礎となる実験例を、図
3を用いて説明する。
【0020】図3に、模擬溶融塩を吸着させたゼオライ
トからの元素の溶出試験の装置構成図を示す。カラム6
には、表1に組成を示す模擬塩をゼオライトに吸着させ
たものを充填する。
【0021】
【表1】
【0022】カラム6は、径20mm、有効長さ50mmを用い
た。試験方法は、ポンプ7により高純度水を高純度水供
給槽8から線流速10cm/minでカラム6に供給する。カラ
ム6を通った高純度水は、吸着している元素を脱着し脱
着液受槽9に供給される。脱着液受槽9からサンプリン
グして、各元素濃度を測定し脱着率を求める。
【0023】表2に測定結果を示す。
【0024】
【表2】
【0025】この表2が示すとおり、塩素イオンが大部
分脱着していることから吸蔵した塩化物の大部分が脱着
されたことが判る。それに対し、模擬FP元素として吸
着したSr、Ba及びCsは高純度水ではほとんど脱着せず、
排出される液は低レベル廃棄物として扱えると考えられ
る。よって乾燥することによりセメント固化体に転換可
能である。また、FP元素については、イオン交換して
いると推定できるので、例えば、Na2SO4水溶液等の塩溶
液で脱着が可能である。脱着液は乾燥させガラス固化体
に転換することができる。
【0026】〈実施例1〉以下、本発明の1実施例を図
1により説明する。溶融塩廃棄物は溶融塩廃棄物供給槽
10に一時的に貯留される。溶融塩廃棄物中にはFP元
素を含み、主成分はNaCl、LiCl-KClからなる。一時的に
貯留された溶融塩廃棄物は、溶融塩廃棄物供給槽10か
ら切り替えバルブ11を介してゼオライトカラム12へ
送られる。ゼオライトカラム12では、溶融塩廃棄物中
のFP元素がゼオライトを構成しているNa等の構成元素
とのイオン交換作用により吸着され、溶融塩廃棄物中か
ら除去される。一方、溶融塩廃棄物の一部は、その構成
物質であるNaCl、LiCl-KClがゼオライトの篭構造中に極
弱い力で吸蔵されるが、大部分は吸蔵されず切り替えバ
ルブ13を介し、溶融塩回収槽14へ送られる。
【0027】上記の一連の過程では、溶融塩廃棄物供給
槽10、切り替えバルブ11と13、ゼオライトカラム
12、溶融塩回収槽14とそれらを接続する配管はヒー
ターにより、約400℃に保持され、溶融塩を溶融状態
に保持する。なお、溶融塩回収槽14へ送られた溶融塩
は再使用される。
【0028】次に、切り替えバルブ13を切り替え、約
90℃の高純度水を高純度水供給槽15から、ゼオライ
トカラム12へ供給する。高純度水は、ゼオライトカラ
ム12内に吸蔵された溶融塩廃棄物の構成物質であるNa
Cl、LiCl-KClを拡散現象により溶出する。この時、ゼオ
ライトとイオン交換作用で吸着した溶融塩廃棄物中のF
P元素の吸着力は、溶融塩廃棄物の構成物質であるNaC
l、LiCl-KClの吸蔵力よりも強いので、FP元素をゼオ
ライトへ吸着させたまま、溶融塩廃棄物の構成物質であ
るNaCl、LiCl-KClを溶出することにより、大部分のFP
元素を除去した溶融塩廃棄物を得ることができる。
【0029】高純度水をゼオライトカラム12に供給す
ることにより、溶出した溶液は廃液受槽16へ貯留され
る。一時貯留後、この高純度水をゼオライトカラム12
に供給することによる溶出溶液には、ゼオライトカラム
12に吸蔵していた溶融塩成分が含まれ、かつ非放射性
廃棄物にするほどFP元素が十分に除去されていないこ
とから、セメント固化体製造器19により低レベル廃棄
物としてセメント固化体20に転換し、処理する。
【0030】次いで、切り替えバルブ11を切り替え、
Na2SO4溶液をNa2SO4溶液供給槽17から、ゼオライトカ
ラム12へ供給する。Na2SO4溶液は、ゼオライトカラム
12内に吸着されたFP元素をイオン交換作用により溶
出する。ゼオライトの水中でのイオン交換特性によれ
ば、Sr<Ba<Cs<Li<K <Naの順で置換し易いことか
ら、ゼオライトカラムでイオン交換作用によりゼオライ
トに吸着しているアルカリ金属及びアルカリ土類金属の
FP元素はNa2SO4溶液中のNaイオンと交換反応により溶
液中に脱離し、ゼオライトに吸着していたFP元素を回
収する。
【0031】Na2SO4溶液をゼオライトカラム12に供給
することにより溶出したFP元素を含む溶液は廃液受槽
18へ送られる。一時貯留後、このNa2SO4溶液をゼオラ
イトカラム12に供給することにより溶出したFP元素
を含む溶液は、ガラス固化体製造器21で乾燥、ガラス
固化されガラス固化体22となる。
【0032】FP元素を脱着したゼオライトは再び廃溶
融塩を処理するため、乾燥させ再利用する。
【0033】以上の方法によれば、ゼオライトカラム1
2に溶融塩廃棄物を供給後、高純度水、Na2SO4溶液また
はBaSO4 溶液(Srを脱着対象とした場合)を順次ゼオラ
イトカラムへ供給することにより、ゼオライトとの相互
作用の弱い順でゼオライトから脱離し、それぞれを分離
回収する。即ち、弱い力で吸蔵された溶融塩成分を溶出
させた後、イオン交換作用で吸着したFP元素を脱離し
分離回収する。従って、乾式再処理で発生する溶融塩廃
棄物を、現在再処理の主流技術で開発が進められている
PUREX 法の高レベル廃棄物固化体と同様に、ホウケイ酸
ガラス固化体または同様な均一固化体として処分でき
る。
【0034】〈実施例2〉以下、本発明の別の実施例を
図2により説明する。溶融塩廃棄物は溶融塩廃棄物供給
槽10に一時的に貯留される。溶融塩廃棄物はFP元素
を含むNaCl、LiCl-KClからなる。溶融塩廃棄物供給槽1
0からは、一時的に貯留された溶融塩廃棄物は切り替え
バルブ11を介しゼオライトカラム12へ送られる。
【0035】ゼオライトカラム12では溶融塩廃棄物中
のFP元素がゼオライトを構成しているNa等の構成元素
とイオン交換作用により吸着され、溶融塩廃棄物中から
除去される。一方、溶融塩廃棄物の一部はその構成物質
であるNaCl、LiCl-KClはゼオライトの篭構造中に極弱い
力で吸蔵されるが、大部分は吸蔵されず切り替えバルブ
13を介し、溶融塩回収槽14へ送られる。
【0036】上記の一連の過程では、溶融塩廃棄物供給
槽10、切り替えバルブ11と13、ゼオライトカラム
12、溶融塩回収槽14とそれらを接続する配管はヒー
ターにより、約400℃に保持され、溶融塩を溶融状態
に保持する。なお、溶融塩回収槽14へ送られた溶融塩
は再使用される。
【0037】次に、切り替えバルブ13を切り替え、約
90℃の高純度水を高純度水供給槽15から、切り替え
バルブ11を介してゼオライトカラム12へ供給する。
高純度水はゼオライトカラム12内に吸蔵された溶融塩
廃棄物の構成物質であるNaCl、LiCl-KClを拡散現象によ
り溶出する。
【0038】この時、ゼオライトとイオン交換作用で吸
着した溶融塩廃棄物中のFP元素の吸着力は、溶融塩廃
棄物の構成物質であるNaCl、LiCl-KClの吸蔵力よりも強
いので、FP元素をゼオライトへ吸着させたまま、溶融
塩廃棄物の構成物質であるNaCl、LiCl-KClを溶出するこ
とにより、FP元素を除去した溶融塩廃棄物を得る。高
純度水をゼオライトカラム12に供給することにより溶
出した溶液は、切り替えバルブ13を介して廃液受槽1
6へ貯留される。一時貯留後、この高純度水をゼオライ
トカラム12に供給することにより得られる溶出溶液
は、ゼオライトカラム12に吸蔵していた溶融塩成分が
含まれ、かつ非放射性廃棄物であるとするほどFP元素
が十分に除去されていないことから、さらに無機イオン
交換体カラム23に通し、塩廃液受槽24に送られる。
【0039】上記の溶出溶液中のFP元素は、再び無機
イオン交換体カラム23中の無機イオン交換体に吸着さ
れるので、塩廃液受槽24中の廃液は非放射性廃棄物と
みなされ処分する。一方無機イオン交換体に吸着したF
P元素は、脱着液供給槽25から供給されるNa2SO4溶液
で脱着され廃液受槽18に排出される。
【0040】次いで、切り替えバルブ11を切り替え、
Na2SO4溶液をNa2SO4溶液供給槽17から、ゼオライトカ
ラム12へ供給する。Na2SO4溶液はゼオライトカラム1
2内に吸着されたFP元素をイオン交換作用により溶出
する。ゼオライトの水中でのイオン交換特性によれば、
Sr<Ba<Cs<Li<K <Naの順で置換し易いことから、ゼ
オライトカラムでイオン交換作用によりゼオライトに吸
着しているアルカリ金属及びアルカリ土類金属のFP元
素は、Na2SO4溶液中のNaイオンと交換反応により溶液中
に脱離し、ゼオライトに吸着したFP元素を回収する。
【0041】Na2SO4溶液をゼオライトカラム12に供給
することにより溶出したFP元素を含む溶液は廃液受槽
18へ送られる。一時貯留後、このNa2SO4溶液をゼオラ
イトカラム12に供給することにより溶出したFP元素
を含む溶液は、ガラス固化体製造器21で乾燥、ガラス
固化されガラス固化体21となる。FP元素を脱着した
ゼオライトは再び廃溶融塩を処理するため、乾燥させ再
利用する。
【0042】以上の方法によれば、ゼオライトカラムに
溶融塩廃棄物を供給後、高純度水、Na2SO4溶液またはBa
SO4 溶液(Srを脱着対象とした場合)を順次ゼオライト
カラムへ供給することにより、ゼオライトとの相互作用
の弱い順でゼオライトから脱離し、それぞれを分離回収
する。即ち、弱い力で吸蔵された溶融塩成分を溶出させ
た後、イオン交換作用で吸着したFP元素を脱離し分離
回収する。従って、乾式再処理で発生する溶融塩廃棄物
を、PUREX 法の高レベル廃棄物固化体と同様にホウケイ
酸ガラス固化体または同様な均一固化体として処分でき
る。
【0043】本発明によれば、イオン交換カラム23を
設け、廃液受槽16へ貯留される高純度水をゼオライト
カラム12に供給することにより溶出した溶液からFP
元素を除去するため、上記発明で発生するセメント固化
体20の発生を避けることができ、廃棄物量低減に寄与
できる。しかし、イオン交換カラム23を設けるため、
工程が複雑になる。
【0044】なお、上記実施例1及び2では無機イオン
交換体としてゼオライトを例としたが、アルミノケイ酸
塩、水酸化物、含水物、酸性塩、塩基性塩、複合水酸化
物、ヘテロポリ酸類、ヘキサシアノ鉄(III)のいずれ
かを使用してもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明により、乾式再処理で発生する溶
融塩廃棄物を、PUREX 法の高レベル廃棄物固化体と同様
に、安定したホウケイ酸ガラス固化体または同様な均一
固化体として処分できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融塩廃棄物の処理に使用したゼオライトに吸
着したFP元素を脱着しセメント固化体とガラス固化体
に転換するプロセスフロー
【図2】溶融塩廃棄物の処理に使用したゼオライトに吸
着したFP元素を脱着しガラス固化体に転換するプロセ
スフロー
【図3】模擬廃溶融塩を吸着したゼオライトからの各種
元素の脱着特性評価試験装置構成図
【図4】米国アルゴンヌ国立研究所において検討されて
いる溶融処理プロセスフロー
【符号の説明】
1:電解精製槽、 2:TRU抽出
器、3:ゼオライトカラム、 4:塩化物転
換器、5:ガラス結合型ゼオライト固化体製造器、6:
カラム、 7:ポンプ、8:高純
度水供給槽、 9:脱着液受槽、10:溶
融塩廃棄物供給槽、 11:切り替えバルブ、1
2:ゼオライトカラム、 13:切り替えバル
ブ、14:溶融塩回収槽、 15:高純度
水供給槽、16:廃液受槽、 17:
Na2SO4 溶液供給槽、18:廃液受槽、
19:セメント固化体製造器、20:セメント固化
体、 21:ガラス固化体製造器、22:ガ
ラス固化体、 23:無機イオン交換体カ
ラム、24:塩廃液受槽、 25:脱着
液供給槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴置 昭 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融塩を用いた使用済原子燃料の再処理
    で、高温溶融塩中に含まれる放射性金属成分を無機イオ
    ン交換体で選択的に吸着除去し、溶融塩から該放射性金
    属成分を高レベル放射性廃棄物として分離する放射性元
    素除去工程を有する溶融塩廃棄物の処理方法において、 無機イオン交換体に吸蔵した該溶融塩を高純度水で脱着
    する溶融塩脱着工程と、該工程に引き続く工程として、
    無機イオン交換体にイオン交換した前記放射性金属成分
    を、アルカリ金属塩水溶液あるいはアルカリ土類金属塩
    水溶液で脱着する放射性金属成分脱着工程と、脱着した
    前記溶融塩と前記放射性金属成分とを、それぞれの放射
    能レベルに応じて2種類以上の放射性廃棄物固化体に転
    換する廃棄物転換工程と、を有することを特徴とする溶
    融塩廃棄物の処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶融塩廃棄物の処理方法
    において、 前記放射性金属成分脱着工程を終えた後の前記無機イオ
    ン交換体を乾燥させ、この無機イオン交換体を前記放射
    性元素除去工程で再利用することを特徴とする溶融塩廃
    棄物の処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1及び2記載の溶融塩廃棄物の処
    理方法において、 前記無機イオン交換体としてアルミノケイ酸塩、水酸化
    物、含水物、酸性塩、塩基性塩、複合水酸化物、ヘテロ
    ポリ酸類、ヘキサシアノ鉄(III)のうち少なくとも1つ
    以上使用することを特徴とする溶融塩廃棄物の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記溶融塩を用いた使用済原子燃料の再
    処理で、高温溶融塩中の前記放射性金属成分を前記無機
    イオン交換体で吸着除去して高レベル放射性廃棄物を分
    離する前記放射性元素除去工程を有する溶融塩廃棄物の
    処理方法において、 前記無機イオン交換体に吸蔵した前記溶融塩を高純度水
    で脱着する前記溶融塩脱着工程と、該工程に引き続く工
    程として、前記無機イオン交換体にイオン交換した前記
    放射性金属成分を、前記アルカリ金属塩水溶液あるいは
    前記アルカリ土類金属塩水溶液で脱着する前記放射性金
    属成分脱着工程と、前記溶融塩脱着工程で脱着した廃液
    中に含まれる前記放射性金属成分を、再度別個の無機イ
    オン交換体で吸着除去して放射性廃棄物を分離し、吸着
    した前記放射性金属成分を前記アルカリ金属塩水溶液あ
    るいは前記アルカリ土類金属塩水溶液で脱着する浄化工
    程と、前記放射性金属成分脱着工程と該浄化工程とで脱
    着した前記放射性金属成分を放射性廃棄物固化体に転換
    する前記廃棄物転換工程と、を有することを特徴とする
    溶融塩廃棄物の処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の溶融塩廃棄物の処理方法
    において、 前記浄化工程を終えた後の無機イオン交換体を乾燥さ
    せ、この無機イオン交換体を前記浄化工程で再利用する
    ことを特徴とする溶融塩廃棄物の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項4および5記載の溶融塩廃棄物の
    処理方法において、 前記浄化工程で使用する前記無機イオン交換体に、カチ
    オン交換体を使用することを特徴とする溶融塩廃棄物の
    処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009053097A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Japan Atomic Energy Agency 使用済媒質の再生システム

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