JPH11268950A - 軽量無機質ボード成型体とその製造方法 - Google Patents

軽量無機質ボード成型体とその製造方法

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JPH11268950A
JPH11268950A JP7077098A JP7077098A JPH11268950A JP H11268950 A JPH11268950 A JP H11268950A JP 7077098 A JP7077098 A JP 7077098A JP 7077098 A JP7077098 A JP 7077098A JP H11268950 A JPH11268950 A JP H11268950A
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JP
Japan
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water
composition
lightweight inorganic
soluble
water glass
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JP7077098A
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Tadashi Kitamura
正 北村
Hideki Kuroki
英樹 黒木
Masayoshi Aoki
正義 青木
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Mitsui Chemicals Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/24Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing alkyl, ammonium or metal silicates; containing silica sols
    • C04B28/26Silicates of the alkali metals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
    • C04B2103/0045Polymers chosen for their physico-chemical characteristics
    • C04B2103/0053Water-soluble polymers

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 平均粒径1〜300μm、嵩比重が0.
05〜0.6g/cm3にある軽量無機骨材の50〜9
0容量%と下記の結着用バインダー組成物(α)の10
〜50容量%から成る成型用組成物を、バッチ式及び/
または連続式の脱型可能な成型器を介して1次成型後、
更にその1次成型体を室温〜1000℃未満の温度雰囲
気下で脱水乾燥及び/または焼成させる軽量無機質ボー
ド成型体の製造方法とその軽量無機質ボード成型体。結
着用バインダー組成物が、アルカリ水ガラス、水ガラス
硬化剤、水に対しいかなる割合にも相溶及び/または乳
化する性質を示す水溶性有機高分子及び水とを含有して
なり、かつゲル化前の溶液に於いて海相−島相からなる
複相構造をなしその複相構造を反映した固結含水ゲルを
生成させる事が可能な不均一溶液組成物。 【効果】 ボード成型体密度が高くとも0.6g/cm
3以下と非常に軽いにもかかわらず高い圧縮強度特性を
持ち併せ、耐水性、不燃性、断熱性にも優れ、機能性複
合建材の芯材として有益な安価な軽量無機質ボード成型
体を供給出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平均粒子径1〜3
00μmかつ嵩比重が0.05〜0.6g/cm 3の軽
量無機骨材をアルカリ水ガラス系の結着用バインダー組
成物で高次構造的に結着後・脱水及び/または焼成して
なる軽量無機質ボード成型体の製造方法とその軽量無機
質ボード成型体に関する。詳しくはアルカリ水ガラス、
水ガラス硬化剤、水に対しいかなる割合にも相溶する性
質を示す水溶性有機高分子、水の4成分系からなり、そ
の混合溶液は海相−島相からなる不均一相構造を有する
結着用バインダー組成物(α)の10〜50容量%と、
平均粒子径1〜300μmかつ嵩比重が0.05〜0.
6g/cm 3の軽量無機骨材の50〜90容量%とから
なる成型用組成物を、結着用バインダー組成物(α)に
由来する高次構造ゲル化反応の性質を生かして結着一体
成型する、いわゆる微細な独立気泡を内包する多孔質シ
リカエアロゲル硬化体の高次構造体を介して該軽量無機
骨材の粒子間を強く結着安定化させる方法で製造され
た、難燃性、断熱性、耐水性に富む軽量かつ高強度な無
機質ボード成型体とその製造方法に関する。
【0002】ここで軽量無機質ボード成型体とは圧縮変
形しずらく、みかけ密度が高くとも0.6g/cm3
下にあり、軽量無機骨材自体の1次構造粒子を結着用バ
インダー組成物(α)に由来の多孔質シリカエアロゲル
硬化体を介して強く結着させて成るボード成型体を意味
するものである。
【0003】なお、本願記載の1ショット方式とは主剤
と硬化剤とを予め一括混合する形で調整して1液化し、
その1液を吐出させる方式をいう。また同様に、1.5
ショット方式とは主剤と硬化剤とを別々に調整し、その
2液をそれぞれべつべつに送液すると共に吐出口附近で
衝突混合させてその混合液を得て、所定の場所に吐出/
流出させる方式をいう。また2ショット方式とは、主剤
と硬化剤とを別々に調整し、その2液を2重管や2本を
束にした流路を確保する形でべつべつに供給し、該送液
管先端部や成型容器内で衝突混合させる方式をいう。
【0004】
【従来の技術】一般に無機質硬化体は耐火性や剛性に優
れるとされ、そのボード状成型物は広く建設資材として
重宝されている。それら公知の無機質ボードの代表的な
ものには、水硬性微粒子である例えば、セメント、水砕
スラグ、半水石膏、生石灰、消石灰等の少なくとも1種
を水と共に懸濁させ同時に空気等の気泡を含有させた懸
濁スラリー溶液を調整し、そのまま型に流し込んで水和
硬化させるなどの方法で軽量な無機質ボードを得ている
が、実用的な機械的強度を満足する為の該硬化体のみか
け密度の現状は、市場に出回っている建材用途向けの材
料で判断すると、おおよそ0.7〜1.2g/cm 3
なっており、必ずしも十分軽い素材とは言えないのが実
態である。すなわち、一般的に知られる無機質ボードは
プラスチック発砲硬化体では得られない耐熱性、不燃
性、耐火性等の性質を保有する半面、前記した様に、ま
だより一層の軽量化が強く望まれるという課題を有して
いる。
【0005】また無機質素材の究極的な軽量化を目的
に、すでに提案された公知技術としては、例えば193
1年のNatuer,vol.127、741ページの
記載によればKistler,S.Sによって溶媒置換
したシリカウェットゲルをオートクレーブ中で超臨界状
態で乾燥することでようやくシリカエアロゲルの製造に
初めて成功した例があげられる。また1968年に至っ
ては、Bull.Soc.Chem.Fr.,の190
6ページにNicolsonらとTeichnerらに
よるウェットシリカゲルの製造方法に関する提案例が見
られ、その内容はオルトケイ酸アルキルエステル化合物
を出発原料としたゾルゲル化技術でウェットシリカゲル
の製造方法を開示している。なお該エアロゲル製造技術
例等によれば、気孔率がおおよそ85%〜98%の超軽
量シリカ硬化体が製造可能であるとしている。すなわ
ち、オルトケイ酸アルキルエステル化合物を出発物質と
する公知のエアロゲル製造技術を駆使すれば、みかけ密
度で0.01〜0.3g/cm3の超軽量多孔質無機硬
化体を容易に製造する事が出来る事が判る。
【0006】しかし、総じて該エアロゲル製造公知技術
で生成される超軽量多孔質硬化体はたいへん高価であり
かつその剛直性の目安である1軸圧縮強度特性は0.5
kgf/cm2に満たない事から非常に脆い素材である
事が広く知られている。したがって高剛直性(高い1軸
圧縮強度)を必要とする建材用ボード素材としては全く
不向きであるという課題を持つ。特にオルトケイ酸アル
キルエステルを主要な原材料とするゾルゲル法による公
知のシリカエアロゲルの製造では有機溶媒の大量使用が
欠かせないという課題がある。
【0007】また一方、近年では軽量かつ高剛性で不燃
化を向上させる取り組みとして、有機無機複合硬化体に
関する提案が多数なされている。例えば特許公開公報・
昭50−78700号、特許公開公報・昭50−871
91号、同・昭50−87193号、同・昭50−67
194号、同・昭51−105393号、同・昭51−
119095号、同・昭55−65212号などによれ
ば、アルカリ水ガラスとジイソシアナート化合物等から
多孔質で軽量な有機無機複合材を容易に製造する事が出
来るとしている。それらの公知技術で得られる有機無機
複合硬化体は、総じて火炎抵抗性に富むと同時に弾性や
加熱寸法安定性に優れたフォーム等が容易に形成出来る
としているが、理由は不明だが、具体的に建設資材とし
て国内で実用に供せられたと言う例は全く知られてな
い。
【0008】近年に於いては、前記したアルカリ水ガラ
スとジイソシアナート化合物等からなる有機無機複合組
成物をトンネル工事の際の安全確保を目的とした緊急止
水剤または岩盤亀裂注入固結剤(単に岩盤固結薬剤とも
言う)として大いに利用されているのが実態である。す
なわち、該組成物群からなる岩盤固結薬剤に関する公開
技術例としては、例えば特許公開公報・平4−2832
90号、同・平4−309616号、同・平5−786
67号、同・平5−79278号、同・平5−3206
45号、同・平6−207174号等が代表的な例とし
て挙げられる。
【0009】また更に、近年に於ける有機無機複合硬化
体に関する提案例には、特開平3−275546号公報
や特開平3−275547号公報などがある。それらに
よれば、無機質粉体(砂)と熱硬化性樹脂とを事前に混
合し、加熱硬化成型して得た1次ボート成型基材に金属
アルコキシドを主原料とするゾル−ゲル系バインダーを
含浸させ、乾燥させることで耐火性に富む有機無機複合
材が製造できると述べている。しかし該提案法では高軽
量化を図りつつ高剛直性を得る為には比較的大量の熱硬
化性樹脂を必要とし、結果として不燃化が極めて困難と
なる課題や製造工程が複雑であり経済性に著しく欠ける
という課題を持つ。
【0010】ところで、アルカリ水ガラスとは一般にア
ルカリ珪酸ナトリウムやアルカリ珪酸カリウムで代表さ
れるもので、安価に入手出来、高アルカリ物質ではある
ものの、人体に対して安全性が高い物質である事が広く
知られている。そのアルカリ水ガラスは酸などの水ガラ
ス硬化剤とあわさると直ちに珪酸高分子となって珪酸コ
ロイド含水硬化体を生成し、基本的に不燃性の無機高分
子ゲルを与える。よってアルカリ水ガラスは工業用の重
要な原材料製品の1つに位置付けられているのが実態で
ある。そのアルカリ水ガラスを主原料として無機フォー
ムの製造を検討した報告例がある。アルカリ水ガラスフ
ォームの製造報告例としては、例えば、昭和57年5月
25日発行の化学工業時報(第1785号)に記載され
た「あたらしい工業材料として注目されるセラミックフ
ォームの技術開発動向」の記事で明らかな様に、アルカ
リ水ガラス濃厚水溶液を釜の中で強加熱または高周波オ
ーブン等で水を激しく沸騰・蒸発させてフォーム状に固
化させて製造する方法が知られている。そのフォーム密
度は0.08〜0.24g/cm3、可使最高温度は8
70℃の物を得ることができるとされるが、しかし全く
耐水性に欠け、水中で溶解または崩壊する課題を持つ。
【0011】アルカリ水ガラス系バインダー組成物を用
い、みかけ密度が高くとも0.6g/cm3以下と極め
て軽量でかつ高剛直性、耐水性、不燃性の性質を併せ持
った高機能性の軽量無機質ボード成型体やその製造方法
を提案した例は何等見当たらない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来に無く
軽量でかつ耐水性、断熱性、寸法安定性等に優れた剛直
な軽量無機質ボード成型体の出現が建設資材分野で特に
強く切望されている事に鑑み、市場で安価に入手できる
軽量無機骨材とアルカリ水ガラス等を主な出発原料と
し、市場の要望に適合する剛直な軽量無機質ボード成型
体とその製造技術を提供する事にある。より詳しくは、
みかけ密度が高くとも0.6g/cm3以下と軽量かつ
その1軸圧縮強度特性が低くとも10kgf/cm2
越える剛直かつ耐水性、断熱性、寸法安定性等に優れた
軽量無機質ボード成型体とその製造方法を提供する事に
ある。
【0013】
【課題を解決する為の手段】前記課題を解決する為の手
段として、鋭意研究を行なった結果、水ガラス硬化剤の
存在下、アルカリ水ガラス含有水溶液と水溶性有機高分
子含有水溶液とを相分離状態で安定化させてなる、いわ
ゆる該水溶性有機高分子相を島相ならびにアルカリ水ガ
ラス液相を海相とした不均一溶液な結着用バインダー組
成物と、平均粒径1〜300μmかつ嵩比重が0.05
〜0.6g/cm3の範囲にある1種または2種以上の
軽量無機骨材とを成型器を介して一体ゲル化成型し、そ
の1次成型体を更に室温から最高1000℃未満の温度
下で乾燥及び/または焼成させることで前記目的が達成
出来る事を見出し、本発明を達成した。
【0014】すなわち本発明の軽量無機質ボード成型体
の製造方法とは、平均粒径1〜300μmかつ嵩比重が
0.05〜0.6g/cm3の範囲にある1種または2
種以上の軽量無機骨材の50〜90容量%と下記の結着
用バインダー組成物(α)の10〜50容量%から成る
成型用組成物を、バッチ式及び/または連続式の脱型可
能な成型器を介して1次成型後、更にその1次成型体を
室温〜1000℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥及び/
または焼結させる方法で2次成型体である軽量無機質ボ
ードが製造される事を特徴とする軽量無機質ボード成型
体の製造方法である。その結着用バインダー組成物
(α)としては、アルカリ水ガラス、水ガラス硬化剤、
水に対しいかなる割合にも相溶する性質を示す水溶性有
機高分子、及び水とを含有してなり、ゲル化前の溶液が
海相−島相からなる複相構造となすと同時にその複相構
造を反映した固結含水ゲルを与える事が出来る不均一溶
液組成物である。
【0015】特に結着用バインダー組成物(α)が、ゲ
ル化前の溶液中に占めるアルカリ水ガラス濃度で5〜2
0重量%のアルカリ水ガラスと、そのアルカリ水ガラス
成分の(Na2O+K2O)で表される全アルカリ分の5
0〜200モル%分に相当する水ガラス硬化剤と、ゲル
化前の溶液を複相溶液とするに必要な量の水に対しいか
なる割合にも相溶する性質を示す水溶性有機高分子及び
残り水とを含有してなる結着用バインダー組成物とする
事を特徴とする前記の軽量無機質ボード成型体の製造方
法が良い。
【0016】また更に好ましくは、以下の工程A〜工程
Cまたは工程A〜工程Dのいずれかを順次経て製造され
る事を特徴とする前記軽量無機質ボード成型体の製造方
法が挙げられる。 工程A.あらかじめ離型可能な成型容器中に軽量無機骨
材を高密度に充填する型仕込工程。 工程B.充填され非流動下の軽量無機骨材の粒子間隙を
十分満たす様に結着用バインダー組成物(α)を外部か
ら送液して注入含浸させると共に、5℃〜80℃の温度
下で該軽量無機骨剤と結着用バインダ−組成物とを結着
一体化させる成型工程。 工程C.成型型から取りだされた1次成型体を室温〜2
00℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥する工程。 工程D.大気中または不活性ガス雰囲気下、到達焼成温
度を500〜1,000℃とする焼成処理工程。
【0017】また結着用バインダー組成物(α)がアル
カリ水ガラスを含む水溶液とした主剤液Aと水ガラス硬
化剤を含む水溶液とした硬化剤液Bの2液型からなり、
水に対しいかなる割合にも相溶する性質を示す水溶性有
機高分子の全量が硬化剤Bに事前に配合され、かつその
主剤液Aと硬化剤液Bとを主剤液A:硬化剤液Bで表し
た容積混合比率で(10:100)〜(100:10)
の範囲で混合してなる組成物である事を特徴とする前記
した軽量無機質ボード成型体の製造方法はより最も好ま
しい。
【0018】また本発明の軽量無機質ボード成型体と
は、前記の製造方法で得られた軽量無機質ボード成型体
である。好ましくは、結着用バインダー組成物(α)に
由来する軽量無機骨材粒子相互間の間隙結着構造の特徴
として、角に丸みを持った10〜18多面体からなる1
〜200μmサイズの独立気泡を内蔵するみかけ蜂の巣
様のミクロ構造からなる多孔質シリカエアロゲル硬化体
の高次構造で構成されている事を特徴とする前記した軽
量無機質ボード成型体が挙げられる。特に好ましくは、
密度が0.1〜0.6g/cm3の範囲にある前記の軽
量無機質ボード成型体が挙げられる。
【0019】前記した軽量無機質ボード成型体のモルフ
ォロジに関する特性値は、公知の分析方法や観察方法な
どで求めて良く、特に制約は無いが、例えば得られた軽
量無機質ボード成型体の小片の破断面や切削断面を光学
顕微鏡、電子顕微鏡、マイクロスコープのいずれかで拡
大観察しその結果で表されて良く、本発明の軽量無機質
ボード成型体やその製造方法に関してはノナメーターサ
イズ(以下の記載では単にnmと略す)の相構造やその
1次構造に何等制約を受けない。
【0020】すなわち、本発明は以下の(1)〜(2
4)を提供するものである。 (1) 平均粒径1〜300μmかつ嵩比重が0.05
〜0.6g/cm3の範囲にある1種または2種以上の
軽量無機骨材の50〜90容量%と下記の結着用バイン
ダー組成物(α)の10〜50容量%から成る成型用組
成物を、バッチ式及び/または連続式の脱型可能な成型
器を介して1次成型後、更にその1次成型体を室温〜1
000℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥及び/または焼
成させて、2次成型体である軽量無機質ボードを製造す
る事を特徴とする軽量無機質ボード成型体の製造方法。
結着用バインダー組成物(α)が、アルカリ水ガラス、
水ガラス硬化剤、水に対しいかなる割合にも相溶する性
質を示す水溶性有機高分子及び水を含有してなり、ゲル
化前の溶液が海相−島相からなる複相構造となすと同時
にその複相構造を反映した固結含水ゲルを与える事が出
来る不均一溶液組成物。
【0021】(2) 結着用バインダー組成物(α)
が、ゲル化前の溶液中に占めるアルカリ水ガラス濃度で
5〜20重量%のアルカリ水ガラスと、そのアルカリ水
ガラス成分の(Na2O+K2O)で表される全アルカリ
分の50〜200モル%分に相当する水ガラス硬化剤
と、ゲル化前の溶液を複相溶液とするに必要な量の水に
対しいかなる割合にも相溶する性質を示す水溶性有機高
分子及び残り水とを含有してなる結着用バインダー組成
物とする事を特徴とする(1)記載の軽量無機質ボード
成型体の製造方法。
【0022】(3) 以下の工程A〜工程Cまたは工程
A〜工程Dのいずれかを順次経て製造する事を特徴とす
る(1)または(2)記載の軽量無機質ボード成型体の
製造方法。 工程A.あらかじめ離型可能な成型容器中に軽量無機骨
材を高密度に充填する型仕込工程。 工程B.充填された非流動下の軽量無機骨材の粒子間隙
を十分満たす様に結着用バインダー組成物(α)を外部
から送液して注入含浸させると共に、5℃〜80℃の温
度下で該軽量無機骨剤と結着用バインダ−組成物とを結
着一体化させる成型工程。 工程C.成型型から取りだされた1次成型体を室温〜2
00℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥する工程。 工程D.大気中または不活性ガス雰囲気下、到達焼結温
度を500〜1,000℃とする焼成処理工程。
【0023】(4) 結着用バインダー組成物(α)
が、アルカリ水ガラスを含む水溶液からなる主剤液Aと
水ガラス硬化剤を含む水溶液からなる硬化剤液Bの2液
型からなり、水に対しいかなる割合にも相溶する性質を
示す水溶性有機高分子の全量が硬化剤液Bに事前に配合
され、かつその主剤液Aと硬化剤液Bとを主剤液A:硬
化剤液Bで表した容積混合比率で(10:100)〜
(100:10)の範囲で混合してなる組成物である事
を特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の軽量無
機質ボード成型体の製造方法。
【0024】(5) 軽量無機骨材が、平均粒径10〜
300μm、嵩比重0.05〜0.5g/cm3の範囲
であり、かつ真球状の中空セラミックス粒子の1種であ
る事を特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の軽
量無機質ボード成型体の製造方法。
【0025】(6) アルカリ水ガラスが、SiO2
Na2O及び/またはSiO2/K2Oで表されるモル比
で1〜4.5の範囲にある珪酸ナトリウム及び/または
珪酸カリウムとする事を特徴とする(1)〜(5)のい
ずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0026】(7) 水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子が、以下の(a)〜
(h)から選ばれた1種及び/または2種以上からなる
事を特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の軽量
無機質ボード成型体の製造方法。 (a)水溶性ポリエーテルポリオール (b)水溶性ポリビニルアルコール (c)水溶性デンプン (d)水溶性セルロース誘導体 (e)水溶性ポリアルキレンオキサイド (f)水溶性アクリル (g)水溶性ポリエポキサイド (h)水溶性ウレタン
【0027】(8) 水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子が、加水分解によってシ
ロキサン架橋する性質を示す下記一般式(1)[化2]
【0028】
【化2】 −Si(R1n−(X)3-n (1) (但し、R1は水素原子、クロル原子、メチル基、エチ
ル基又はプロピル基から選ばれた1種、Xは炭素数が1
〜5の整数で表されるアルコキシル基、オキシム基又は
アセトキシル基から選ばれた一種、nは0〜1をそれぞ
れ表す。)で表される活性シリル基末端が1分子中に少
なくとも平均0.7ケ以上導入され、その活性シリル基
を除く主鎖が水溶性の、アクリル、ウレタン、ポリエー
テル、ポリエーテルポリエステル又はポリエステルから
選ばれた1種または2種以上であり、かつ重量平均分子
量が2,000〜50,000の範囲にある活性シリル
基含有プレポリマー及び/またはその加水分解生成物で
ある活性シラノール基含有プレポリマーの1種とする事
を特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の軽量無
機質ボード成型体の製造方法。
【0029】(9) 水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子が、前記(a)〜(h)
の1種及び/または2種以上で表され、かつアルカリ水
ガラスと非反応性の水溶性有機高分子と、前記活性シリ
ル基含有プレポリマーとを使用し、その配合比率を非反
応性水溶性有機高分子:活性シリル基含有プレポリマー
で表される重量比率で(1:100)〜(100:1)
の範囲で使用する事を特徴とする(1)〜(6)のいず
れかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0030】(10) 水ガラス硬化剤が、水溶性の有
機酸、アルカリ水中で徐放性の酸を放出する水溶性有機
単量硬化剤、無機質硬化剤又はCO2などから選ばれた
少なくとも1種または2種以上を用いる事を特徴とする
(1)〜(9)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成
型体の製造方法。
【0031】(11) アルカリ水中で徐放性の酸を放
出する水溶性有機単量硬化剤が、水溶性アルキレンカー
ボネート類、水溶性ラクトン類、水溶性アルキレングリ
コールジアセテート化合物又は水溶性2塩基酸アルキル
エステル類等から選ばれた1種または2種以上とする事
を特徴とする(10)記載の軽量無機質ボード成型体の
製造方法。
【0032】(12) 主剤液A中のアルカリ水ガラス
含有濃度が、固形分換算で5〜50重量%となる様に含
有させる事を特徴とする(4)〜(11)のいずれかに
記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0033】(13) 主剤液Aの全量と混合された際
にその主剤液A中のNa2O及び/またはK2Oで表され
る全アルカリ分の50〜250モル%分に相当する水ガ
ラス硬化剤と、硬化剤液中に占める含有濃度で2.5〜
50重量%である、水に対しいかなる割合にも相溶する
性質を示す水溶性有機高分子とを含有してなる水溶液を
硬化剤液Bとして用いる事を特徴とする(4)〜(1
2)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造
方法。
【0034】(14) 主剤液Aと硬化剤液Bの2液混
和型の結着用バインダー組成物(α)であって、主剤液
Aが以下に記載の主剤液E、硬化剤液Bが以下に記載の
硬化剤液Fからなる事を特徴とする(4)〜(13)の
いずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
主剤液Eが、SiO2/Na2Oのモル比が2.5〜3.
5からなるアルカリ水ガラスの固形分15〜40重量%
である水溶液。硬化剤液Fが、該主剤液Eの全量と混合
された時、その硬化液E中のNa2Oで表されるアルカ
リ分の50〜250モル%分に相当するアルカリ水中で
徐放性の有機酸を放出する水溶性有機単量硬化剤と、水
溶性有機高分子がエチレングリコール及び/またはグリ
セリンに対し付加変性量を100とした割合でエチレン
オキサイドの80〜99重量%、プロピレンオキサイド
の20〜1重量%をランダム付加またはブロック付加さ
せて得られた重量平均分子量が2,000〜30,00
0の範囲にあるポリエーテルジオール及び/またはポリ
エーテルトリオールの1種または2種以上であり、該硬
化剤F液中に占める含有濃度で5〜35重量%である水
溶性有機高分子とを配合してなる水溶液。
【0035】(15) 水ガラス硬化剤が、グリオキザ
ールの単独若しくは更に炭酸、硫酸又は燐酸から選ばれ
た1種、炭酸水素アルカリ金属塩及び/または硫酸水素
アルカリ金属塩との併用のいずれかからなり、かつその
合計量が系中のアルカリ水ガラスの(Na2O+K2O)
で表される全アルカリ分の70〜200モル%分に相当
する量を含有する事を特徴とする(1)〜(14)のい
ずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0036】(16) 水ガラス硬化剤として、エチレ
ンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの単独を
用い、かつその合計量が系中のアルカリ水ガラスの(N
2O+K2O)で表される全アルカリ分の55〜110
モル%分に相当する量を含有する事を特徴とする(1)
〜(14)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体
の製造方法。
【0037】(17) 水ガラス硬化剤として、γ−ブ
チロラクトンの単独を用い、かつ混和されてなる系中の
アルカリ水ガラスの(Na2O+K2O)で表される全ア
ルカリ分の110〜210モル%分に相当する量を含有
させる事を特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記
載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0038】(18) 水ガラス硬化剤として、アルキ
ル鎖長部位が炭素数1から3の整数で表される水溶性ジ
カルボン酸アルキルエステル化合物の1種を用い、かつ
混和されてなる系中のアルカリ水ガラスの(Na2O+
2O)で表される全アルカリ分の55〜110モル%
分に相当する量を含有する事を特徴とする(1)〜(1
4)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造
方法。
【0039】(19) (1)〜(18)のいずれかに
記載の製造方法で得られる軽量無機質ボード成型体。
【0040】(20) (1)〜(18)のいずれかに
記載の製造方法で得られ、結着用バインダー組成物
(α)に由来する軽量無機骨材粒子相互間の間隙結着構
造が角に丸みを持った10〜18多面体からなる1〜2
00μmサイズの独立気泡を内蔵するみかけ蜂の巣様の
ミクロ構造からなる多孔質シリカエアロゲル硬化体の高
次構造で構成されている事を特徴とする軽量無機質ボー
ド成型体。
【0041】(21) 密度が、0.1〜0.6g/c
3の範囲にある事を特徴とする(19)または(2
0)記載の軽量無機質ボード成型体。
【0042】(22) 片表面にシーラー組成物及び/
または塗料組成物を塗付し、もう一方の片表面が化粧コ
ートされた非透水性の性質を有する事を特徴とする(1
9)〜(21)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成
型体。
【0043】(23) シーラー組成物が、シリコンま
たはフッ素化合物を含有してなる溶液またはエマルショ
ン組成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エポ
キシ樹脂組成物等から選ばれた少なくとも1種とする事
を特徴とする(22)記載の軽量無機質ボード成型体。
【0044】(24) 塗料組成物が、シリコンまたは
フッ素化合物を含有してなる溶液またはエマルション組
成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エポキシ
樹脂組成物から選ばれた少なくとも1種とする事を特徴
とする(22)記載の軽量無機質ボード成型体。
【0045】
【発明の実施の形態】以下に本発明をより詳細に説明す
る。本発明の軽量無機質ボード成型体の製造する上で必
要な原材料の構成成分には以下の物が挙げられる。構成
する上で欠かせない原材料には、平均粒子径が1〜30
0μm、嵩比重が0.05〜0.6g/cm3の範囲に
ある軽量無機骨材(イ)、アルカリ水ガラス(ロ)、水
ガラス硬化剤(ハ)、水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子(ニ)、及び水(ホ)を
挙げる事ができる。前記(イ)を除いて構成された液状
組成物を本発明では結着用バインダー組成物(α)と定
義する。すなわち本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)とは、アルカリ水ガラス(ロ)(以下の記載では
アルカリ水ガラスを記号ではWで表すことがある)、水
ガラス硬化剤(ハ)、水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子(ニ)(以下の記載では
水溶性有機高分子を記号では0で表すことがある)、及
び水(ホ)とを含有してなり、ゲル化前の溶液が海相−
島相からなる複相構造となすと同時にその複相構造を反
映した固結含水ゲルを与える事が出来る不均一溶液組成
物である。
【0046】平均粒子径が1〜300μm、嵩比重が
0.05〜0.6g/cm3の範囲にある軽量無機骨材
(イ)には、すでに公知の物を使用して良く、特に制約
は無い。具体例としては例えば、シラスバルーン等で代
表される天然シラス鉱物微粒子を加熱発砲させて得られ
た微粒子、ゼオライトやアルミナ等の成分からなる合成
セラミックス製のシェル層を持つ中空微粒子、ガラスバ
ルーン、フライアッシュバルーン等で代表される。合成
セラミックス製のシェル層を持つ中空微粒子には例えば
秩父小野田社製の商品名マイクロセルズ等が好ましい例
として挙げられる。またガラスバルーンでは住友スリー
エム社製の商品名グラスバブルズやカルシード社製の商
品名TERRA−FINE等が好ましい例として挙げら
れる。またシラスバルーンではシラックスウ社製の商品
名SILAX等が好ましい例である。それらの1種また
は2種以上を使用する事で良い。
【0047】軽量無機骨材(イ)としてより好ましく
は、平均粒子径が10〜300μm、嵩比重が0.05
〜0.5g/cm3の範囲、更に好ましくは平均粒子径
が20〜200μm、嵩比重が0.1〜0.5g/cm
3の範囲にある1種または2種以上を選定使用する事が
良く、最も好ましくは平均粒子径が30〜150μm、
嵩比重が0.1〜0.5g/cm3の範囲にある秩父小
野田社製の商品名マイクロセルズの1種からなる事が特
に好ましい。
【0048】本発明の軽量無機質ボード成型体を製造す
る際に用いられる該軽量無機骨材の使用割合としては、
1次成型体を得る為の成型用組成物に換算して表され、
その成型体組成物中の配合割合として軽量無機骨材
(イ)の50〜90容量%と結着用バインダー組成物
(α)の50〜10容量%となる様にする事が肝要であ
る。成型体組成物中の軽量無機骨材(イ)量が50容量
%に満たない場合は本発明の目的の一つである不燃性が
十分確保できないケースがあるからである。また一方、
軽量無機骨材(イ)量が90容量%を超えた配合では剛
直かつ耐水性に富む軽量無機質ボード成型体を形成出来
ないからである。
【0049】ところで結着用バインダー組成物(α)
は、その溶液が海相−島相からなる不均一相構造を成す
と同時に、該溶液中に配合された全W成分の少なくとも
60重量%以上が海相に分配させてなるO/W型の不均
一溶液組成物とする事が大いに好ましい。より好ましく
は、同時に、該溶液中に配合の全O成分の少なくとも5
0重量%以上が島相にそれざれ分配させてなるO/W型
の不均一組成物とする事がよい。
【0050】その結着用バインダー組成物(α)は、調
製直後からゲル化までの間の該溶液組成物は極く薄い白
濁系を成し、少なくとも2相以上のいわゆる海相−島相
からなる複相構造(以下単に海島構造と呼ぶ)を成して
いる事が肝要な点として挙げられる。ただし、その調製
直後の液組成物が一旦は均一透明な液系を経た後、水ガ
ラスの硬化反応の進行に伴ってまたは液温を徐々に下げ
る等の操作によって、2つまたはそれ以上の複相が新た
に発現するケースを包含するものである。
【0051】2相またはそれ以上からなる海島構造を成
している事を確認する手段としては、すでに公知の相構
造観察法で判定して良く、特に制約は無いが、好ましく
は以下の方法で判別した結果で表される。その一つに
は、その混合溶液の1滴を透明なスライドガラス上面に
採取した後、すばやく生物顕微鏡または位相差型光学顕
微鏡で覗いて、2相またはそれ以上の液相の存在を示す
光透過画像を得た場合である。その際、肉眼で観察す
る、または静止画写真に取る、またはビデオテープや光
ディスク等にその光透過画像情報を記録すると同時にブ
ラウン管でその像を表示する等の方法を適宜採用して良
い。また別の判別方法の一つとしては、試験管内に一定
量を採取した後、そのまま静置状態ではすぐに上下2層
に分離しないが、毎分100〜50,000回転下に3
0秒〜数時間遠心分離器にかけることにより試験管内部
の液面が2つまたはそれ以上の複層分離が観察されれば
海島構造を成す系であると判別できる。
【0052】また前記の結着用バインダー組成物(α)
やその単独ウェットゲルのO/W型の海島構造に於い
て、特に島相を形成する液滴の大きさ(島相のサイズ)
や形には特に限定は無い。好ましくは島相サイズとして
は0.01μm〜1mmの範囲、より好ましくは0.1
μm〜500μmの範囲、より最も好ましくは1μm〜
200μmの範囲にある事が良い。またその島相の好ま
しい形状には、例えば角に丸みを持つ多面体状、球状、
フットボール状、タマゴ状、円柱状、円盤状、ドーナツ
状、角柱状、ダンゴ状、糸状、ブドウの房状、落下途中
の雨滴状、アメーバ状などが挙げられる。特に好ましく
は角に丸みを持つ10〜18多面体状や球状またはフッ
トボール状並びらそれらの2次集合形などで存在してい
る事が好ましい事である。
【0053】本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)に於いては、その系中に含まれる全アルカリ水ガ
ラス量を100とした時、その60〜100重量%相当
量が、より好ましくは80〜100%相当量が海相に分
配されてなるO/W型の溶液とする事が肝要なことであ
るとした。なお、好ましくはその系中に含まれる全水溶
性有機高分子量を100とした時、その60〜100重
量%相当量が、より好ましくは80〜100%相当量が
島相に多く分配されている事を前記した事と同時に満足
させてなる該組成物がより好ましいものとして挙げられ
る。
【0054】前記した要件を満足する結着用バインダー
組成物(α)の単独系からは、1軸圧縮強度特性がおよ
そ2〜30kgf/cm2の高強度で耐水性に富むシリ
カウェットゲルが生成され、本発明記載のO/W型の結
着用バインダー組成物(α)のバインダー作用効果を強
く特徴ずけるものとして前記性質が好ましく挙げられ
る。また更に、そのシリカウェットゲルを特定された条
件下で適宜脱水乾燥及び/または高温で焼成して誘導さ
れるシリカエアロゲルは、非常に軽量でかつ1軸圧縮強
度特性をおよそ3〜50kgf/cm2程度とかなり剛
直な硬化物とする事が出来、該シリカウェットゲルの特
徴のひとつであり、この点も前記同様に、結着用バイン
ダー組成物(α)のバインダー作用効果の特徴の一つに
加えられる。
【0055】前記した逆のW/O型の結着用バインダー
組成物(α)では、しばしばその単独系から得られるシ
リカウェットゲルは軟弱またはペースト状であり、一定
の形に附形して取りだす事が困難な傾向にある。それ
故、W/O型の不均一溶液組成物は本発明記載の結着用
バインダー組成物(α)に向かない傾向にある。
【0056】ところで前記(ロ)〜(ホ)の必須4成分
を含有してなる結着用バインダー組成物(α)が、前記
した要件を満足してなるO/W型の溶液であるか否かを
事前に判別する方法としては、特に制約する物では無い
が、以下の方法が判別する事が好ましい。その判別方法
の一つは、水ガラス硬化剤を除いた3成分系、すなわ
ち、アルカリ水ガラス(ロ)−水溶性有機高分子(ニ)
−水(ホ)の3成分系からなる相平衡図を事前に求めて
おいて、そのアルカリ水ガラス(ロ)の海相への分配率
をその相平衡図から概算する方法である。
【0057】該3成分からなる相平衡図からは、一般的
にアルカリ水ガラスを高率で分配含有してなる海相を安
定的に形成する組成領域、ならびに均一系しか形成しな
い組成領域等を知る事が出来る。なお、アルカリ水ガラ
ス(ロ)−水溶性有機高分子(ニ)−水(ホ)の3成分
系からなる相平衡図を作成するに際しては、その構成を
かえてなりかつ不均一溶液な3成分系組成物を一定温度
下で数種類調整し、その組成物をそれぞれ強制的に遠心
分離して上下各層を分別採取秤量する。分別採取した上
層、下層の容量または重量の測定結果からは、海相なら
びに島相のそれぞれの分配容積比率または各分配重量比
率が判明する。また採取した上層、下層の各試料を用い
てそれぞれの相中(層中)のアルカリ水ガラス(ロ)濃
度や水溶性有機高分子(ニ)濃度ならびに水(ホ)濃度
を求める事で容易に作図できる。
【0058】一般的にアルカリ水ガラス(ロ)濃度を求
める分析方法としては、例えばJIS−K−1408に
準じた方法が良い。JIS−K−1408はいわゆるメ
チルオレンジを指示薬とする既知濃度の塩酸溶液を用い
た中和滴定分析法であり、試料中の(Na2O+K2O)
で表される含有濃度として求められる。またJIS−K
−1408ではSiO2の分析法も開示されており、そ
の両方の測定値から系中(分離された各溶液層中)のア
ルカリ水ガラス濃度が判明する。一般に市販のアルカリ
水ガラス溶液を購入して使用する場合では事前に品質証
明としてSiO 2/Na2Oのモル比、SiO2/K2Oの
モル比、SiO2濃度、Na2O濃度、K 2O濃度等が明
らかになっていることから、市販のアルカリ水ガラスを
用いた該3成分系の相平衡測定では、分離採取した各層
中の例えばSiO2濃度、Na2OまたはK2O濃度のい
ずれか1つを求め、その値を元にアルカリ水ガラス含有
量(珪酸塩濃度)を容易に算出できる。また海相を占め
る液層中のアルカリ水ガラス含有総量が求まれば、次の
計算式:海相を占めるアルカリ水ガラスの分配率%=
(海相中のアルカリ水ガラス含有総量値/グラウト剤組
成物中に配合したアルカリ水ガラス量)×100]が求
まる。
【0059】また一般的に水溶性有機高分子(ニ)濃度
を求める方法としては、公知の定量方法を適宜採用して
よく、例えば吸光度定量法、有機炭素分析換算法、疎水
性有機溶媒抽出法などが挙げられる。また水(ホ)の濃
度を求める一般的な方法としては、この系の場合、たと
えば蒸発乾固重量法で無機固形量と蒸発成分量(濃度)
とを求め、その蒸発減量値(濃度)から別に求めた水溶
性有機高分子(ニ)濃度を差し引いて求めることでよ
い。
【0060】前記した方法で求めた相図より、海相中に
占めるアルカリ水ガラス(ロ)の分配率として、仕込の
全アルカリ水ガラス量を100とした時、その60重量
%以上、好ましくは80〜100重量%の範囲となる様
な3成分組成を事前に知ってのち、その系に水ガラス硬
化剤(ハ)の必要量を加えて本発明記載の結着用バイン
ダー組成物(α)を調製する方法を特に推奨するもので
ある。
【0061】ところで結着用バインダー組成物(α)に
於ける海相中に占めるアルカリ水ガラス(ロ)の分配率
を直接求める分析方法は以下の方法が代表的である。例
えば、ゲルタイムが3分以上あり、かつ水ガラス硬化剤
(ハ)としてアルカリ水中で徐々に酸を遊離放出する性
質を持つ水溶性有機単量硬化剤を用いた溶液系に於いて
は、直接その組成物を短時間内に半強制的に高速遠心分
離器にかけて2層に分離後、すばやく下相または上相の
構成容量や構成重量を実測すると共に、上下2層からそ
れぞれ一定量の試料を採取し、その秤量サンプルを用い
た500〜800℃焼却加熱残分を[SiO2+Na2
+K2O]量とする事でアルカリ水ガラス分配相中に対
する全アルカリ水ガラスの分配比率を直接知る事が出来
る。
【0062】また例えば、ゲルタイムが3分未満である
場合、またゲルタイムが3分以上ありかつ水ガラス硬化
剤(ハ)として無機質硬化剤を用いてなる結着用バイン
ダー組成物(α)とするケースでは、前記3成分系の相
平衡概念図での値で代用しても良い。好ましくは該組成
物からなる直接シリカウェットゲル体を得て後、そのミ
クロな構造形態観察と同時に同画像を用いた、炭素、S
i、Na、K等の構成要件からくる必須構成元素に着目
した元素分析解析図形から各複相を構成する成分構成比
を各相ごとに定量分析する方法で得た値としてもよい。
すなわち、前記した方法やその他公知の組成分解析定量
法のいずれかで求めたアルカリ水ガラス(ロ)の海相に
対する分配率の値が、前記した要件の範囲にあるものは
本発明記載の結着用バインダー組成物(α)として好ま
しく包含される。
【0063】ところで、一般的に知られる均一系で取り
扱つかわれる公知のアルカリ水ガラス溶液の硬化反応で
は、生成する珪酸コロイドの析出凝集を進めれば進める
ほど、その占有ゲル体積は元の溶液体積よりかなり減少
する事が知られ、その事は離漿水の発生で肉眼でしばし
ば観察される現象である。またその際生成する珪酸コロ
イドは通常数ノナメーターから数十ノナメーターサイズ
の範囲の1次粒子といわれ、その1次粒子が凝集及び/
または結合して一定体積の含水ゲルを与える事が公知で
ある。
【0064】本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)ではアルカリ水ガラスの硬化挙動が主に海相に局
在化されて発生する点が極めて特徴的である。その為ア
ルカリ水ガラスの硬化反応の進行に伴う相構造変化は海
相の占有体積を減少しながら進行する硬化挙動を呈す
る。また島相は膨張し占有体積を増大させる相構造変化
が観察される。こうした相構造の変化によって本発明記
載の結着用バインダー組成物(α)から生成されるシリ
カウェットゲルはみかけ蜂の巣様のミクロO/W型の構
造を持つ。また該複相含水ゲルを乾燥及び/または焼結
することで本発明の軽量無機質ボード成型体を構成する
上で欠かせない剛直な結着用バインダーゲル(剛直かつ
蜂の巣状の高次構造を持つシリカエアロゲル)が誘導可
能となる。
【0065】ところで結着用バインダー組成物(α)
は、前記した(ロ)〜(ホ)の各成分を必須成分として
構成された1液型または2液型または3液混合型の組成
物とすることで良く、特に制約はない。特に2液型が好
ましい。その2液型とする際には、例えば(ロ)と
(ホ)から成る液、または(ロ)と(ニ)と(ホ)とを
含む液、またさらには(ロ)と(ニ)と(ホ)と30分
以内は全くゲルを呈さない範囲で更に(ハ)とを含む液
をそれぞれ主剤液として取り扱う事が出来る。また一
方、硬化剤液としては例えば、(ハ)と(ホ)からなる
液、または(ハ)と(ニ)と(ホ)とからなる液、また
さらには(ハ)と(ニ)と(ホ)と30分以内は全くゲ
ルを呈さない範囲で更に(ロ)とを含む液等をそれぞれ
硬化剤液として取り扱う事が出来、特にその調整方法や
取扱形態などには制約は無い。
【0066】一般にゲルタイムが30分以上ある場合に
は1液型の結着用バインダー組成物(α)として取り扱
うことが可能である。その際には1ショット方式で取り
扱ってよく、ゲル化しない時間内にすべての液を軽量無
機骨材(イ)と型中で一体化・結着させる事が好まし
い。また2液型からなる結着用バインダー組成物(α)
では主剤液と硬化剤液とを1.5ショット方式または2
ショット方式のいずれかで取扱う事が一般的である。
【0067】また結着用バインダー組成物(α)に於い
て、好ましくはアルカリ水ガラス(ロ)と水(ホ)とか
らなる水溶液を主剤液Aとし、一方下記の水溶性有機高
分子(ニ)と下記の水ガラス硬化剤(ハ)と水(ホ)と
から成る硬化剤液Bとの2液を事前に用意し、必要に際
してその2液を主剤:硬化剤で表される混和容量比率で
(10:100)〜(100:10)の範囲、より好ま
しくは1:1に出来る限り近似混合させて得られる結着
用バインダー組成物(α)とする事が良い。その理由は
主剤液Aと硬化剤液Bとの混合比率に準じて容易に任意
なゲルタイム及びシリカウェットゲル強度を任意に調整
可能で有るからである。また各2液自体の保存安定性に
優れていることもその理由の一つに加えられる。
【0068】次に結着用バインダー組成物(α)を構成
する上で必須成分の一つであるアルカリ水ガラス(ロ)
について詳細に記述する。本発明記載のアルカリ水ガラ
ス(ロ)とは、詳しくは水溶性かつ非晶質な珪酸ナトリ
ウム及び/または珪酸カリウムの事であり、すでに公知
の物を何等問題無く使用でき、特に制約する物では無い
が、具体例としては例えばSiO2/Na2O及び/又は
SiO2/K2Oで表されるモル比で1〜50で表される
珪酸ナトリウム及び/または珪酸カリウムがあげられ
る。また更に好ましく物に、SiO2/Na2O及び/又
はSiO2/K2Oのモル比が1〜4.5で表されるもの
をあげることができる。
【0069】本発明記載の特に推奨される2液主剤型の
結着用バインダー組成物(α)に於いては、アルカリ水
ガラス(ロ)と水(ホ)とからなる溶液を主剤液Aとし
て用いる事が良い。その主剤液A中に占めるアルカリ水
ガラス(ロ)の含有濃度は水溶液状態で送液できる最高
粘度を限界とし、特に制約は無いが、一般的には固形分
換算濃度で5〜50重量%の範囲、より好ましくは10
〜35重量%の範囲、最も経済的には10〜25重量%
が適当である。5重量%以下では1軸圧縮強度で3kg
f/cm2以上の結着性シリカ質アエロゲルを再現性良
く誘導出来ない事があるので留意が必要である。
【0070】ここでSiO2/Na2Oのモル比が1〜
4.5で表される珪酸ソーダ系水ガラスとしては、例え
ばオルト珪酸ソーダの他、日本工業規格・JIS K−
1408に規定されている1号〜4号珪酸ソーダ等を挙
げることが出来る。特に3号珪酸ソーダは市場で最も入
手しやすい事から大いに好ましい例である。
【0071】JIS3号珪酸ソーダは、SiO2含有量
が28〜30重量%、Na2O含有量が9〜10重量%
と日本工業規格に規定されており、その規定値から算出
されるSiO2/Na2Oのモル比は2.8〜3.33で
ある。
【0072】SiO2/K2Oのモル比が1〜5で表され
る珪酸カリも前記した珪酸ソーダ同様である。
【0073】またSiO2/Na2O及び/またはSiO
2/K2Oのモル比が5〜50のアルカリ水ガラスには、
前記JIS適合水ガラスをすでに公知の処理法である例
えばイオン交換樹脂で脱アルカリと同時にポリ珪酸反応
を適宜進めて製造された弱アルカリ性のコロイド水ガラ
ス溶液などを列記できる。SiO2/Na2O及び/また
はSiO2/K2Oのモル比が1以下の物を選定使用した
場合、そのアルカリ水ガラス(ロ)のアルカリ分を中和
または凝結活性するに必要な水ガラス硬化剤(ハ)を、
高濃度かつ大量に使用する必要がある事から経済的に不
利となる傾向がある。
【0074】また前記アルカリ水ガラス(ロ)にはSi
2/Na2O及び/またはSiO2/K2Oのモル比が5
0以上からなるアルカリ水ガラスを選定使用する場合、
得られる結着用バインダー組成物(α)が高価格となる
傾向にあり不経済である。
【0075】次に本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)の必須構成成分の一つである水ガラス硬化剤
(ハ)について詳細に記述する。その水ガラス硬化剤
(ハ)とは、すでに公知のアルカリ水ガラスの硬化剤や
その機能を持っている水溶性物質であれば好ましく包含
され、特に制約は無く、以下に代表的な例を列記する。
例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、燐酸などで代表さ
れる無機酸類、水溶性重硫酸塩類、水溶性重炭酸塩類、
水溶性酸性硫酸塩類、水溶性酸性燐酸塩類等で代表され
る無機酸塩類、水溶性有機酸類、アルカリ水中で徐放性
の酸を放出する水溶性有機単量硬化剤等が挙げられ、そ
れらの1種または2種以上を併用してなる物が好ましい
例である。
【0076】前記の硫酸とは工業的に入手可能なもので
あれば良く、粗硫酸であったり、精製硫酸、濃硫酸、希
薄硫酸溶液、無水硫酸などであって良い。また前記燐酸
についても同様に、燐鉱石と硫酸と水から誘導されかつ
脱石膏、脱フッ素化工程を経て産出される粗燐酸または
精製燐酸またはそれらの希薄溶液であって良い。また水
溶性重硫酸塩類の具体例には例えば重硫酸ナトリウム、
重硫酸カリウム、重硫酸リチウム等が挙げられる。また
水溶性重炭酸塩には例えば重炭酸ナトリウム、重炭酸カ
リウム、重炭酸リチウム等を例示できる。また更に水溶
性酸性硫酸塩には例えば硫酸マグネシウム等の具体例が
あげられる。また水溶性酸性燐酸塩には例えば燐酸2水
素ナトリウム塩、燐酸2水素カリウム塩、酸性ピロ燐酸
ナトリウム塩、酸性ピロ燐酸カリウム塩、メタ燐酸ナト
リウム、メタ燐酸カリウム等を例示できる。
【0077】また前記水溶性有機酸の例としては例えば
蟻酸、無水酢酸または酢酸、グリコール酸、グリオキシ
ル酸、乳酸、リンゴ酸、ソルビン酸、フィチン酸、アビ
エチン酸等やそれら水溶性の酸性塩類等を例示でき、よ
り最も好ましい水溶性有機酸の例には無水酢酸または酢
酸、フィチン酸とその酸性塩類を例示出来る。
【0078】また前記したアルカリ水中で徐放性の酸を
放出する水溶性有機単量硬化剤には、例えばグリオキザ
ールで代表される水溶性アルデヒド化合物類、エチレン
カーボネートやプロピレンカーボネートの如きアルキレ
ンカーボネート化合物類、γ−ブチロラクトンで代表さ
れる環状ラクトン類、2酢酸エチレン(以下の記載では
エチレングリコールジアセテートとも言う)で代表され
る低分子グリコール類のアセテート化合物類、コハク酸
ジメチルエステル、コハク酸ジエチルエステル、コハク
酸ジプロピルエステル、アジピン酸ジメチルエステル、
アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸ジプロピルエ
ステル、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエ
チルエステル、マレイン酸ジプロピルエステル、イタコ
ン酸ジメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、
イタコン酸ジプロピルエステル等で代表される2塩基酸
アルキルエステル類(以下の記載では別名:ジカルボン
酸アルキルエステル類とも言う)などが例示出来る。
【0079】水ガラス硬化剤(ハ)としてより好ましく
は、アルカリ水中で徐放性の酸を放出する水溶性有機単
量硬化剤が水溶性アルキレンカーボネート類、水溶性ラ
クトン類、水溶性アルキレングリコールジアセテート化
合物、水溶性ジカルボン酸アルキルエステル類等から選
ばれた1種または2種以上とする態様例、また前記した
無機酸の1種とアルカリ水中で徐放性の酸を放出する水
溶性有機単量硬化剤の1種とを必ず併用してなる態様
例、また塩酸、水溶性の重炭酸塩類、硫酸、水溶性の重
硫酸塩類、燐酸及び/またはその水溶性酸性塩類から選
ばれた1種または2種以上から成る態様例、高圧炭酸ガ
スまたは液化炭酸水とする態様例、水溶性酸性塩類から
選ばれた1種とアルカリ水中で徐放性の酸を放出する水
溶性有機単量硬化剤の1種とを必ず併用してなる態様例
等がそれぞれ好ましい事として挙げられる。
【0080】ここで(ハ)をグリオキザールの単独とし
た場合には、その使用割合の割に、ゲル化が一般的にゆ
っくりと進行する特徴を持つ。すなわち、中結〜超長結
型のゲルタイム特性を与えやすい。一方、(ハ)が水溶
性アルキレングリコールジアセテート化合物であり、そ
れらの内、炭素数が2から4の整数で表されるアルキレ
ングリコールのモノ及び/またはジアセチル化物または
グリセリンのジ及び/またはトリアセテートから選ばれ
た少なくとも1種である場合、その使用割合の割にゲル
タイムが比較的早い特徴を持つ。言換えれば、結着用バ
インダー組成物(α)中に含有される(ロ)の含有モル
濃度を一定とした比較で、その作用効果が比較的緩やか
である(ハ)にはグリオキザールが挙げられ、その作用
効果が強く働く(ハ)に水溶性アルキレングリコールジ
アセテート化合物、アルキレンカーボネート類、ジカル
ボン酸アルキルエステル類があげられる。環状ラクトン
類はそれらの中間的な位置付けがされる。
【0081】2酢酸エチレン以外の水溶性アルキレング
リコールジアセテート化合物の例には、例えば、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオ−ル、1,5−ペンタンジオールなどのモノ及び/
またはジアセチル化物が好ましい例として挙げられる。
【0082】また本発明記載の(ハ)の更に好ましい物
質としては、エチレンカーボネートまたはプロピレンカ
ーボネートの単独系とする事や、γ−ブチロラクトンの
単独系とする事がより更に好ましい。その理由の1つに
は、それ自体純度の良い物が容易に入手出来、本発明の
記載の硬化剤液Bの溶液保存安定性をより一層確保出来
る点にある。その理由の2つ目には、結着用バインダー
組成物(α)に於いて前記アルカリ水ガラス(ロ)を多
く含む液相を海相とするに適した(ハ)成分と言えるか
らである。
【0083】本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)中に占める水ガラス硬化剤(ハ)の配合割合は、
該組成物中に存在するアルカリ水ガラス(ロ)の全アル
カリ分、すなわち(Na2O+K2O)で表される全アル
カリ分の全モル当量に対してその5〜400モル%相当
分、好ましくは10〜300モル%相当分、更により好
ましくは50〜250モル%相当分のモル当量で配合さ
れてなる事が良い。
【0084】また特に本発明記載の結着用バインダー組
成物(α)を2液主剤型とする態様例の場合には、主剤
液Aの全量と一括混合された時、そのA液中に含有され
る(Na2O+K2O)で表されるアルカリ成分の合計モ
ル当量に対して前記した割合、好ましくは50〜250
モル%分に相当する量とすることが好ましい態様例とし
て記述出来る。
【0085】5モル%以下とした場合では、強固な一次
成型体を生成しずらい傾向となる事、主剤の一定量に対
し大量の硬化剤を必要とする等、性能と価格がアンバラ
ンスとなりやすい。400モル%以上とした場合では、
生成する一次成型体の強度や耐久性にそれ以上顕著な優
位点を引出せない事及びコスト面で不利となる傾向にあ
る。
【0086】次に本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)を構成する上で必須成分の一つである水溶性有機
高分子(ニ)について詳細に記述する。その水溶性有機
高分子(ニ)とは、水に対しいかなる割合にも相溶及び
/またはミクロ分散安定化する性質を示すとともに、そ
の含有水溶液はアルカリ水ガラス溶液と混和させると相
溶せずに不均一相を形成する性質を示す物であれば良
く、すでに公知の水溶性有機高分子やその機能を持って
いると確認される新規な水溶性有機高分子物質等を適宜
選択使用して良く、特に限定は無い。
【0087】好ましくはその水溶性有機高分子(ニ)と
しては、例えば(a)水溶性ポリエーテルポリオール、
(b)水溶性ポリビニルアルコール、(c)水溶性デン
プン、(d)水溶性セルロース誘導体、(e)水溶性ポ
リアルキレンオキサイド、(f)水溶性アクリル、
(g)水溶性ポリエポキサイド、(h)水溶性ウレタン
ポリビニルアルコール、(i)水溶性ポリビニルピロリ
ドン、(j)水溶性アクリルアミド、(k)水溶性ポリ
−N−ビニルアセトアミド、(l)水溶性アミノ樹脂な
どから選ばれた1種または2種以上の混合物が代表的で
ある。前記(a)〜(l)等はいわゆるアルカリ水ガラ
スと非反応性の水溶性有機高分子である。
【0088】(a)水溶性ポリエーテルポリオールとは
すでに公知のもので良く、特に制約は無い。一般的には
別名水溶性ポリアルキレングリコールまたは水溶性ポリ
オールとも言われ、炭素数2〜5の整数で表されるアル
キレン基のエーテル結合連鎖構造を持ち末端基がヒドロ
キシル基で安定化された水に相溶するポリオールであれ
ば好ましく包含され、好ましくはポリエーテル系ジオー
ルやポリエーテル系トリオールとする事が良い。
【0089】(b)水溶性ポリビニルアルコールとはす
でに公知のもので良く、特に制約は無く、例えばポリ酢
酸ビニル重合体を一部及び/または全部ケン化(脱酢酸
反応)変性して得た水に溶解またはミクロ分散安定なも
のとする事が良い。
【0090】(c)水溶性デンプンとはすでに公知のも
ので良く、特に制約は無く、カチオン化デンプン、酸化
デンプンなどであって良い。
【0091】(d)水溶性セルロース誘導体とはすでに
公知のもので良く、特に制約は無く、例えばメチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等であって
良い。
【0092】(e)水溶性ポリアルキレンオキサイドと
はすでに公知のもので良く、特に制約は無く、例えばポ
リエチレンオキサイドで代表される。
【0093】(f)水溶性ポリアクリルすでに公知のも
ので良く、特に制約は無く、たとえば水溶性ポリヒドロ
キシアクリレート、水溶性ポリヒドロキシメタクリレー
ト、ヒドロキシアクリレート及び/またはヒドロキシメ
タクリレートとアクリル酸及び/またはメタアクリル酸
などの水溶性2元共重合体または更にその他の共重合可
能なアクリレート類との水溶性3元共重合体等で代表さ
れる。
【0094】(g)水溶性ポリエポキサイドとはすでに
公知のもので良く、特に制約は無く、前記したポリアル
キレングリコールのモノエポキサイドを含む多価エポキ
サイド化合物で代表される。
【0095】(h)水溶性ポリウレタンとはすでに公知
のもので良く、特に制約は無く、前記したポリアルキレ
ングリコールとジイソシアナート化合物から誘導された
水溶性の樹脂やその乳化樹脂溶液が代表的な例である (i)水溶性ポリビニルピロリドンとはすでに公知のも
ので良く、特に制約は無く、例えばN−ビニルピロリド
ンの高分子量体やその水溶性の2元共重合体樹脂等で代
表される。
【0096】(j)水溶性アクリルアミドとはすでに公
知のもので良く、特に制約は無く、例えばアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、
N−ジメチルメタクリルアミド等で代表される(メタ)
アクリルアミドモノマーのホモポリマーやコポリマー、
またはそのモノマーと共重合可能なビニル化合物との水
溶性コポリマーが代表的である。
【0097】(k)水溶性ポリ−N−ビニルアセトアミ
ドとはすでに公知のもので良く、特に制約は無く、N−
ビニルアセトアミドモノマーを用いたホモポリマーや水
溶性コポリマーが代表的である。
【0098】(l)水溶性アミノ樹脂とはすでに公知の
もので良く、特に制約は無く、エポキシ樹脂の常温硬化
剤として利用されている水溶性または自己乳化型ポリア
ミン樹脂(水溶性ポリアルキレンエーテルモノアミン、
水溶性ポリアルキレンエーテルジアミン、水溶性ポリア
ルキレンエーテルトリアミン等を含む意味である。)
や、また例えば尿素−ホルマリン樹脂、尿素−メラミン
−ホルマリン樹脂等であっても良い。
【0099】特に好ましい水ガラス有機高分子(ニ)と
しては、前記(a)〜(h)から選ばれた1種または2
種以上の混合物とすることが良い。また更に好ましく
は、平均重量平均分子量が2,000〜50,000の
範囲にあり、かつ(a)水溶性ポリエーテルポリオー
ル、(e)水溶性ポリアルキレンオキサイド、(h)水
溶性ウレタンから選ばれた1種または2種以上の混合物
であるとする事が良い。
【0100】また前記した以外で本発明の水ガラス有機
高分子(ニ)として適用出来る物の具体例としては、加
水分解によってシロキサン架橋する性質を示す下記一般
式(1)[化3]
【0101】
【化3】 −Si(R1n−(X)3-n (1) (但し、R1は水素原子、クロル原子、メチル基、エチ
ル基、プロピル基から選ばれた1種、Xは炭素数が1〜
5の整数で表されるアルコキシル基、オキシム基、アセ
トキシル基から選ばれた一種、nは0〜1をそれぞれ表
す。)で表される活性シリル基末端を1分子中に少なく
とも平均0.7ケ以上導入され、その活性シリル基を除
く主鎖が水溶性の、アクリル、ウレタン、ポリエーテ
ル、ポリエーテルポリエステル、ポリエステルから選ば
れた1種または2種以上であり、重量平均分子量が2,
000〜50,000の範囲にある活性シリル基含有プ
レポリマー(ニ−1)及び/またはその加水分解生成物
である活性シラノール基含有プレポリマー(ニ−2)等
が好ましく挙げられる。
【0102】活性シリル基含有プレポリマー(ニ−1)
はすでに公知の方法で得て良く、製造方法等には制約は
無い。活性シリル基を分子末端に持つ高分子の製造方法
の代表的な公知製造例としては、例えば特開昭50−1
56599号に代表されるポリエーテル骨格を持つシリ
ル変性組成物の製造方法、または特開昭53−1396
95号に代表されるポリエステル骨格を持つシリル変性
組成物の製造方法等が良く知られている。本発明記載の
活性シリル基含有プレポリマーはその公知方法に準じた
方法で容易に製造可能である。
【0103】活性シリル基含有プレポリマー(ニ−1)
のより詳細な具体的例を挙げる。例えば、グリセリン、
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、エチレンジアミン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、炭素数1〜8の整数で表さ
れる脂肪族及びまたは芳香族または脂環族のモノアルコ
ール類等から選ばれた1種である活性水素基含有低分子
化合物に対し、その全付加変性量を100として算出さ
れたエチレンオキサイドの60〜100重量%とプロピ
レンオキサイド及びまたはブチレンオキサイドの40〜
0重量%の付加変性誘導体であるポリアルキレングリコ
ール骨格(以下ではポリエーテル骨格とも呼ぶ)を成す
前記一般式(1)で示された末端シリル基変性のポリエ
ーテル系プレポリマー、及び/または、例えば分子量が
低くとも1,000以上のポリエチレングリコールと琥
珀酸、マレイン酸、アジピン酸等の脂肪族二塩基酸とか
ら誘導された水溶性のポリエーテルポリエステル骨格を
成す前記式(1)で示された末端シリル基変性のポリエ
ーテルポリエステル系プレポリマー、及び/または、例
えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール等の高
くとも重量平均分子量が1,000以下のグリコール類
と、琥珀酸、マレイン酸、アジピン酸等の脂肪族二塩基
酸から選ばれた1種または2種以上とをエステル化して
得た、いわゆるポリエステル骨格を成す前記一般式
(1)で示された末端シリル基変性のポリエステル系プ
レポリマー、または重量平均分子量が400〜3,00
0以内のポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイ
ソシアネートやノルボルナンジイソシアネートで代表さ
れる脂肪属ジイソシアネート化合物とから誘導される水
溶性ポリウレタンポリオール骨格を成す前記一般式
(1)で示された末端シリル基変性のポリウレタン系プ
レポリマー等の例が挙げられる。特に経済性の点で水溶
性の末端シリル基変性のポリエーテル系プレポリマーま
たはポリウレタン系プレポリマーのいずれかとする事が
特に好ましい。
【0104】本発明記載の活性シリル基含有プレポリマ
ー(ニ−1)では、前記式(1)のR1がメチル基、エ
チル基、プロピル基から選ばれた1種、Xが炭素数が1
〜5の整数で表されるアルコキシル基、アセトキシル基
から選ばれた一種とする活性シリル基末端を1分子中に
少なくとも平均1.2〜6ケ導入され、その活性シリル
基を除く主鎖が水溶性のポリエーテルであり、重量平均
分子量が2,000〜20,000の範囲にある活性シ
リル基含有プレポリマーとする事がよい更に好ましい。
またより最も好ましくは、その活性シリル基末端を1分
子中に少なくとも平均2〜3ケ導入されてなるものが挙
げられる。
【0105】次に、活性活性シラノール基含有プレポリ
マー(ニ−2)とは、下記の一般式(2)[化4]
【0106】
【化4】 −Si(R1n−(X)3-n (2) (但し、R1は塩素原子、水素原子、メチル基、エチル
基、プロピル基から選ばれた1種、Yは−O-・H+基、
−O-・Na+基、−O-・K+基、−O-・Li+基から選
ばれた1種、nは0〜1をそれぞれ表す。)で表される
活性シラノール基末端を1分子中少なくとも平均0.7
ケ以上導入され、かつその活性シラノール基導入部分を
除く主鎖有機高分子の重量平均分子量が2,000〜5
0,000の範囲の1種または2種以上から成る組成物
の事であり、その製造方法などに制約は無い。R1とし
て好ましくはメチル基、エチル基のいずれかであり、ま
た好ましいY基には−O-・H+基及び/または−O-
Na+基が挙げられる。
【0107】活性シラノール基含有プレポリマー(ニ−
2)を事前に得る方法では、例えば前記した活性シリル
基含有プレポリマー(ニ−1)を水で加水分解する方法
等で容易に得ることが出来る。またその際、遊離生成す
る加水分解遊離揮発性成分は適宜系外に除去精製する方
法が特に好ましい。
【0108】本発明記載の水溶性有機高分子(ニ)の1
種として特に活性シラノール基含有プレポリマー(ニ−
2)を使用する事の利点としては以下の点を挙げること
ができる。水に基本的に非相溶の活性シリル基含有プレ
ポリマー(ニ−1)ではそのまま(ニ)成分の1種とし
て使用できないが、その水に基本的に非相溶の活性シリ
ル基含有プレポリマー(ニ−1)を加水分解して前記式
−(2)に改質すると、そのものは水に相溶および/ま
たはミクロに懸濁する性質とする事が出来る利点を示
す。すなわち、水に難溶またはすぐ2層分離してしまう
非相溶性の有機ポリオール類を高分子骨格とする活性シ
リル基含有プレポリマー(ニ−1)前駆体は(ニ)の1
成分とは成りえないが、該前駆体を更に加水分解して製
造された活性シラノール基含有プレポリマー(ニ−2)
は(ニ)の好ましい1種として有効に使用出来る利点を
持つ。
【0109】活性シラノール基含有プレポリマー(ニ−
2)は、活性シラノール基末端を1分子中に好ましくは
2〜6ケ有してなる物が良く、特に好ましくは2〜3ケ
である。またその重量平均分子量は2,000〜30,
000の範囲がより好ましいと言える。また活性シラノ
ール基含有プレポリマー(ニ−2)を液状で安定に取り
扱う目的でアルカリ水希釈溶液の形態で取り扱う事は大
いに好ましい。そして該アルカリ度はpH値で9〜14
で良く、より好ましくは10〜13.8の範囲がより好
ましい。また前記したpH値を達成する手段として水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどか
ら選ばれた1種を溶存させることで達成することが良
い。一方、該活性シラノール基含有プレポリマー(ニ−
2)のpH値で0.1〜6の酸性水希釈溶液とする事で
も良く特に制約は無い。例えば公知の無機酸や水溶性の
有機酸を少量共存させて該pH値領域下の水希釈溶液と
することで良い。
【0110】また水溶性有機高分子(ニ)では、前記
(a)〜(h)の1種及び/または2種以上で表される
いわゆるアルカリ水ガラスと非反応性の水溶性有機高分
子と、前記活性シリル基含有プレポリマー(ニ−1)と
を併用する形で使用されて何等問題無く、その配合比率
を非反応性水溶性有機高分子:活性シリル基含有プレポ
リマーで表される重量比率で(1:100)〜(10
0:1)の範囲で使用されて良い。
【0111】また水溶性有機高分子(ニ)成分として
は、それ自体の水溶液安定性からして、活性シラノール
基含有プレポリマー(ニ−2)よりも活性シリル基含有
プレポリマー(ニ−1)の方が、活性シリル基含有プレ
ポリマー(ニ−1)よりも非反応性の水溶性有機高分子
の方がより優位である。
【0112】水溶性有機高分子(ニ)の最小使用配合量
としては、結着用バインダー組成物(α)が海島のO/
W型複相溶液を成す量(範囲)で表され、一方最大配合
量は系の粘度がB型粘度計測定値で50ポイズを越えな
い配合量で用いる事が肝要な事である。 特に制約する
ものでは無いが、結着用バインダー組成物(α)を特に
2液主剤型とした際の主剤液A及び/または硬化剤液B
中には、おおよそ含有濃度が2.5〜50重量%の範
囲、より好ましくは5〜35重量%の範囲とする事が良
い。その理由は、2.5重量%以下では不均一相を形成
しずらい傾向にあるからであり、50重量%以上では経
済的に不利となる傾向にあるからである。なお、(ニ)
の含有濃度2.5〜50重量%の範囲は本発明を何等特
に制約するものでは無い。
【0113】次に水(ホ)成分には特に制約は無く、例
えば地下水、湧き水、雨水、河川水、湖水、イオン交換
水、純水、水道水、海水などが好ましく使用できる。
【0114】本発明の軽量無機質ボード成型体の製造方
法は、その(1)として、1種または2種以上の軽量無
機骨材(イ)の50〜90容量%と結着用バインダー組
成物(α)の10〜50容量%から成る成型用組成物
を、バッチ式及び/または連続式の脱型可能な成型器を
介して1次成型後、更にその1次成型体を室温〜100
0℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥及び/または焼結さ
せる方法で2次成型体である軽量無機質ボードが製造さ
れる事を特徴とする軽量無機質ボード成型体の製造方法
である。
【0115】バッチ式及び/または連続式の脱型可能な
成型器には特に限定は無い。一般的に使用される本発明
記載の成型器としては寸法安定性に富む物とする事が良
く、鋼製容器や硬質なプラステック容器などとすること
が良い。該容器内面には成型に際し事前に公知の離型剤
を塗付するなど本発明記載の結着用バインダー組成物
(α)から誘導される1次成型体を容易に脱型する事が
出来る様に表面加工されている物を使用する事が好まし
い。
【0116】本発明の軽量無機質ボード成型体の製造方
法(1)では、軽量無機骨材(イ)と結着用バインダー
組成物(α)とからなる成型用組成物を前記型中にとじ
込め、固結成型させる事が重要である。その際の固結温
度を5℃〜80℃の範囲とする事が特に肝要な事として
挙げられる。5℃未満の低温下では著しく固結時間が長
くなり、生産性と経済性に欠ける傾向にあるからであ
り、また80℃を超えると逆に成型用組成物の固結時間
が極端に早くなり過ぎ、均一な物性を示す1次成型体が
再現性良く得られにくい傾向にあるからである。より好
ましい成型時の固結温度(熟成温度を含む)としては、
10〜50℃の範囲、より最も好ましくは15〜35℃
の範囲とする事が再現性や経済性の点で良い。
【0117】本発明の軽量無機質ボード成型体の製造方
法では、脱型する際の1次成型体自体の1軸圧縮強度特
性としては、低くとも2kgf/cm2以上、好ましく
は5〜25kgf/cm2の範囲、最も好ましくは10
〜25kgf/cm2の強度となっていることが肝要な
事として挙げられる、すなわち、生成する1次成型体強
度が前記値に到達するまで、一定時間内の固結養生工程
または固結塾成工程を経る事が次に重要な製造上の肝要
な点として挙げられる。強度が2kgf/cm 2に至ら
ない1次成型体では脱型時に割れたり欠けたりすること
が多く好ましく無いからである。
【0118】前記の固結養生または固結熟成工程(以下
総称して養生工程と言う)には、特に制約は無いが、例
えば水ガラス硬化剤(ハ)にアルカリ水中で徐放性の酸
を放出する水溶性有機単量硬化剤の単独からなる本発明
記載の結着用バインダー組成物(α)から製造された1
次成型体の養生工程では、特に本発明を制約する物では
無いが、例えば室温で3時間〜30日間程度、また例え
ば80℃では10分間〜10日間程度とすることが代表
的である。また例えば水ガラス硬化剤(ハ)に無機酸と
アルカリ水中で徐放性の酸を放出する水溶性有機単量硬
化剤の併用系からなる本発明記載の結着用バインダー組
成物(α)から製造された1次成型体の養生工程では、
特に制約する物では無いが、例えば室温で1時間〜12
0時間程度とすることが好ましい。また養生の方法とし
ては、オートクレーブ容器中で高圧下で加熱養生促進す
る方法、温水浴に浸漬して養生促進する方法、有機溶剤
を温めた浴槽に一定時間浸漬促進する方法などを適宜採
用しても本発明の軽量無機質ボード成型体の製造方法に
好ましく包含される。
【0119】また(1)のより好ましい軽量無機質ボー
ド成型体の製造例としては以下の(2)〜(18)があ
る。
【0120】(2) 結着用バインダー組成物(α)
が、ゲル化前の溶液中に占めるアルカリ水ガラス濃度で
5〜20重量%のアルカリ水ガラスと、そのアルカリ水
ガラス成分の(Na2O+K2O)で表される全アルカリ
分の50〜200モル%分に相当する水ガラス硬化剤
と、ゲル化前の溶液を複相溶液とするに必要な量の水に
対しいかなる割合にも相溶する性質を示す水溶性有機高
分子及び残り水とを含有してなる結着用バインダー組成
物とする事が好ましい軽量無機質ボード成型体の製造方
法。
【0121】(3) 以下の工程A〜工程Cまたは工程
A〜工程Dのいずれかを順次経て製造される(1)また
は(2)に記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。 工程A.あらかじめ離型可能な成型容器中に軽量無機骨
材を高密度に充填する型仕込工程。 工程B.充填され非流動下の軽量無機骨材の粒子間隙を
十分満たす様に結着用バインダー組成物(α)を外部か
ら送液して注入含浸させると共に、5℃〜80℃の温度
下で該軽量無機骨剤と結着用バインダ−組成物とを結着
一体化させる成型工程。 工程C.成型型から取りだされた1次成型体を室温〜2
00℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥する工程。 工程D.大気中または不活性ガス雰囲気下、到達焼結温
度を500〜1,000℃とする焼成処理工程。
【0122】(4) 結着用バインダー組成物(α)
が、アルカリ水ガラスを含む水溶液からなる主剤液Aと
水ガラス硬化剤を含む水溶液からなる硬化剤液Bの2液
型からなり、水に対しいかなる割合にも相溶する性質を
示す水溶性有機高分子の全量が硬化剤液Bに事前に配合
され、かつその主剤液Aと硬化剤液Bとを主剤液A:硬
化剤液Bで表した容積混合比率で(10:100)〜
(100:10)の範囲で混合してなる組成物である事
を特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の軽量無
機質ボード成型体の製造方法。
【0123】(5) 軽量無機骨材が、平均粒径10〜
300μm、嵩比重0.05〜0.5g/cm3の範囲
であり、かつ真球状の中空セラミックス粒子の1種であ
る事を特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の軽
量無機質ボード成型体の製造方法。
【0124】(6) アルカリ水ガラスが、SiO2
Na2O及び/またはSiO2/K2Oで表されるモル比
で1〜4.5の範囲にある珪酸ナトリウム及び/または
珪酸カリウムとする事を特徴とする(1)〜(5)のい
ずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0125】(7) 水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子が、以下の(a)〜
(h)から選ばれた1種及び/または2種以上からなる
事を特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の軽量
無機質ボード成型体の製造方法。 (a)水溶性ポリエーテルポリオール (b)水溶性ポリビニルアルコール (c)水溶性デンプン (d)水溶性セルロース誘導体 (e)水溶性ポリアルキレンオキサイド (f)水溶性アクリル (g)水溶性ポリエポキサイド (h)水溶性ウレタン
【0126】(8) 水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子が、加水分解によってシ
ロキサン架橋する性質を示す下記一般式(1)[化5]
【0127】
【化5】 −Si(R1n−(X)3-n (1) (但し、R1は水素原子、クロル原子、メチル基、エチ
ル基又はプロピル基から選ばれた1種、Xは炭素数が1
〜5の整数で表されるアルコキシル基、オキシム基又は
アセトキシル基から選ばれた一種、nは0〜1をそれぞ
れ表す。)で表される活性シリル基末端が1分子中に少
なくとも平均0.7ケ以上導入され、その活性シリル基
を除く主鎖が水溶性の、アクリル、ウレタン、ポリエー
テル、ポリエーテルポリエステル又はポリエステルから
選ばれた1種または2種以上であり、かつ重量平均分子
量が2,000〜50,000の範囲にある活性シリル
基含有プレポリマー及び/またはその加水分解生成物で
ある活性シラノール基含有プレポリマーの1種とする事
を特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の軽量無
機質ボード成型体の製造方法。
【0128】(9) 水に対しいかなる割合にも相溶す
る性質を示す水溶性有機高分子が、前記(a)〜(h)
の1種及び/または2種以上で表され、かつアルカリ水
ガラスと非反応性の水溶性有機高分子と、前記活性シリ
ル基含有プレポリマーとを使用し、その配合比率を非反
応性水溶性有機高分子:活性シリル基含有プレポリマー
で表される重量比率で(1:100)〜(100:1)
の範囲で使用する事を特徴とする(1)〜(6)のいず
れかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0129】(10) 水ガラス硬化剤が、水溶性の有
機酸、アルカリ水中で徐放性の酸を放出する水溶性有機
単量硬化剤、無機質硬化剤又はCO2などから選ばれた
少なくとも1種または2種以上を用いる事を特徴とする
(1)〜(9)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成
型体の製造方法。
【0130】(11) アルカリ水中で徐放性の酸を放
出する水溶性有機単量硬化剤が、水溶性アルキレンカー
ボネート類、水溶性ラクトン類、水溶性アルキレングリ
コールジアセテート化合物又は水溶性2塩基酸アルキル
エステル類等から選ばれた1種または2種以上とする事
を特徴とする(10)記載の軽量無機質ボード成型体の
製造方法。
【0131】(12) 主剤液A中のアルカリ水ガラス
含有濃度が、固形分換算で5〜50重量%となる様に含
有させる事を特徴とする(4)〜(11)のいずれかに
記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0132】(13) 主剤液Aの全量と混合された際
にその主剤液A中のNa2O及び/またはK2Oで表され
る全アルカリ分の50〜250モル%分に相当する水ガ
ラス硬化剤と、硬化剤液中に占める含有濃度で2.5〜
50重量%である、水に対しいかなる割合にも相溶する
性質を示す水溶性有機高分子とを含有してなる水溶液を
硬化剤液Bとして用いる事を特徴とする(4)〜(1
2)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造
方法。
【0133】(14) 主剤液Aと硬化剤液Bの2液混
和型の結着用バインダー組成物(α)であって、主剤液
Aが以下に記載の主剤液E、硬化剤液Bが以下に記載の
硬化剤液Fからなる事を特徴とする(4)〜(13)の
いずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
主剤液Eが、SiO2/Na2Oのモル比が2.5〜3.
5からなるアルカリ水ガラスの固形分15〜40重量%
である水溶液。硬化剤液Fが、該主剤液Eの全量と混合
された時、その硬化液E中のNa2Oで表されるアルカ
リ分の50〜250モル%分に相当するアルカリ水中で
徐放性の有機酸を放出する水溶性有機単量硬化剤と、水
溶性有機高分子がエチレングリコール及び/またはグリ
セリンに対し付加変性量を100とした割合でエチレン
オキサイドの80〜99重量%、プロピレンオキサイド
の20〜1重量%をランダム付加またはブロック付加さ
せて得られた重量平均分子量が2,000〜30,00
0の範囲にあるポリエーテルジオール及び/またはポリ
エーテルトリオールの1種または2種以上であり、該硬
化剤F液中に占める含有濃度で5〜35重量%である水
溶性有機高分子とを配合してなる水溶液。
【0134】(15) 水ガラス硬化剤が、グリオキザ
ールの単独若しくは更に炭酸、硫酸又は燐酸から選ばれ
た1種、炭酸水素アルカリ金属塩及び/または硫酸水素
アルカリ金属塩との併用のいずれかからなり、かつその
合計量が系中のアルカリ水ガラスの(Na2O+K2O)
で表される全アルカリ分の70〜200モル%分に相当
する量を含有する事を特徴とする(1)〜(14)のい
ずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0135】(16) 水ガラス硬化剤として、エチレ
ンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの単独を
用い、かつその合計量が系中のアルカリ水ガラスの(N
2O+K2O)で表される全アルカリ分の55〜110
モル%分に相当する量を含有する事を特徴とする(1)
〜(14)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体
の製造方法。
【0136】(17) 水ガラス硬化剤として、γ−ブ
チロラクトンの単独を用い、かつ混和されてなる系中の
アルカリ水ガラスの(Na2O+K2O)で表される全ア
ルカリ分の110〜210モル%分に相当する量を含有
させる事を特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記
載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
【0137】(18) 水ガラス硬化剤として、アルキ
ル鎖長部位が炭素数1から3の整数で表される水溶性ジ
カルボン酸アルキルエステル化合物の1種を用い、かつ
混和されてなる系中のアルカリ水ガラスの(Na2O+
2O)で表される全アルカリ分の55〜110モル%
分に相当する量を含有する事を特徴とする(1)〜(1
4)のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造
方法。
【0138】前記中、室温から200℃未満の脱水乾燥
工程には、特に制約は無いが、例えば40℃で30日〜
1日程度、100〜120℃では10日〜30分程度行
う事で良く、1次成型体中の自由水の含有濃度として3
0重量%以内、好ましくは15重量%以内、最も好まし
くは0.01〜5%の範囲内に至るまで脱水乾燥する事
が良く、特に制約は無い。またその乾燥の方法には公知
の乾燥方法を採用して良く、例えば天日乾燥、電熱加熱
乾燥、赤外線加熱乾燥、熱風加熱乾燥、電子線照射加熱
乾燥などであって良い。
【0139】また前記中、大気中または不活性ガス中で
最高到達温度400℃〜1,000℃未満とする焼成工
程には、すでに公知の焼結方法や焼成方法を採用して良
く、例えば電気炉焼成法、ガス燃焼複写熱による焼成法
などを好ましく採用出来る。好ましくは800℃未満の
低温焼成法とする事、より最も好ましくは室温または1
20℃乾燥温度から引続き等速昇温し800℃とする低
温昇温焼成法を採用することが良い。焼成中の温度は任
意に昇温または下温させて行って良い。特に最も好まし
くは、脱水乾燥工程を経た後引続き焼成工程を経て本発
明の軽量無機質ボード成型体を製造する方法が特に好ま
しい。また更に最もおおいに好ましくは、脱水乾燥工程
を経た後引続き焼成の工程を経て製造される軽量無機質
ボード成型体の製造方法に際して、焼成工程を120℃
から徐々に昇温させて800℃とし、同温度で1〜48
時間保つ焼成方法を経てなる軽量無機質ボード成型体の
製造方法がおおいに好ましい方法である。
【0140】焼成が完了後はそのまま加熱源を断ち放冷
させても強制冷却させても良い。また冷却と切削・バリ
取り工程等を併用させても良く、乾燥及び/または焼成
工程以降の付随する処理方法には特に制約は無く、以降
の処理として、例えば、室温冷却法、冷風による強制冷
却法、フロン浴などによる浸漬冷却法などを任意に組入
れてよい。
【0141】また本発明で製造された軽量無機質ボード
成型体の意匠性を向上させる為に、公知のシーラー・塗
装工程を施す事が出来る。そのシーラー・塗装工程に
は、すでに公知の各種発砲無機硬化体に用いられている
有機高分子及び/または無機高分子からなる公知のシー
ラー組成物や同塗料組成物をそのまま使用して目的を達
成してよく、特に制約は無い。好ましい例をあげれば、
湿気硬化型及び/または熱硬化型のポリエステルウレタ
ン樹脂組成物、湿気硬化型及び/または熱硬化型のアク
リル樹脂組成物、湿気硬化型及び/または熱硬化型のシ
リコン樹脂組成物、湿気硬化型及び/または熱硬化型の
フッ素樹脂組成物、熱硬化型のエポキシ樹脂組成物、熱
硬化型のメラミン樹脂組成物、熱硬化型のフェノール樹
脂組成物、熱硬化型の尿素樹脂組成物、水和硬化性セメ
ント組成物、水和硬化性しっくい組成物、水和硬化性ス
ラグ組成物、それらの複合シーラー組成物及び/または
塗料組成物を用いることができる。塗付する際の制約は
無く、ハケ塗り、スプレー塗付、ロールコーター塗付、
バーコーター塗付などで行って良い。また特に制約する
ものでは無いが、例えば0.01〜5kg/m2の塗付
量とすることが良い。
【0142】また本発明の軽量無機質ボード成型体と
は、前記した(1)〜(18)にいずれか記載の製造方
法で得られ、その破断面や切削断面の光学顕微鏡、電子
顕微鏡、マイクロスコープのいずれかで観察測定され、
多数内蔵する独立気泡サイズがおよそ0.01μm〜1
mm未満、好ましくは1〜250μmの範囲にある結着
用バインダー組成物(α)由来の多孔質構造のバインダ
ー硬化層で軽量無機骨材(イ)が一体的に結着されてな
る成型体である事がその特徴である。
【0143】ところで本発明の軽量無機質ボード成型体
とは、前記(1)〜(18)にいずれか記載の製造方法
で得られた軽量無機質ボード成型体その物を指す。
【0144】また好ましくは以下の(20)〜(24)
で示す順により好ましい軽量無機質ボード成型体の態様
例である。
【0145】(20) (1)〜(18)のいずれかに
記載の製造方法で得られ、軽量無機骨材相互の間隙結着
構造が、角に丸みを持った10〜18多面体からなる1
〜200μmサイズの独立気泡を内蔵するみかけ蜂の巣
様のミクロ構造からなる多孔質シリカエアロゲル硬化体
の高次構造で構成されている事を特徴とする軽量無機質
ボード成型体。
【0146】(21) 密度が、0.1〜0.6g/c
3の範囲にある事を特徴とする(20)記載の軽量無
機質ボード成型体。
【0147】(22) 片表面にシーラー組成物及び/
または塗料組成物を塗付し、もう一方の片表面が化粧コ
ートされた非透水性の性質を有する事を特徴とする(2
0)又は(21)に記載の軽量無機質ボード成型体。
【0148】(23) シーラー組成物が、シリコンま
たはフッ素化合物を含有してなる溶液またはエマルショ
ン組成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エポ
キシ樹脂組成物等から選ばれた少なくとも1種とする事
を特徴とする(22)記載の軽量無機質ボード成型体。
【0149】(24) 塗料組成物が、シリコンまたは
フッ素化合物を含有してなる溶液またはエマルション組
成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エポキシ
樹脂組成物から選ばれた少なくとも1種とする事を特徴
とする(22)記載の軽量無機質ボード成型体。
【0150】ここで本発明を特に限定するものでは無い
が、結着用バインダー組成物(α)の室温下での好まし
い溶液粘度は、BL型粘度計による4番ローターを用い
た60回転測定値で20,000mPa・sを超える物
はあまり最適ではない。20,000mPa・sを越え
る物では粘性抵抗が高すぎて型投入時のフロー性や附形
再現性に著しく欠ける傾向にあるからであり、より好ま
しくは1mPa・s〜10,000mPa・sの範囲、
最も好ましくは1mPa・s〜100mPa・sの範囲
とする事が良い。
【0151】本発明の軽量無機質ボード成型体の用途に
は特に限定が無く、例えば、建設資材向けのパネル強化
芯材としての用途、断熱パネル芯材への用途、遮音材へ
の用途などで代表され、軽量かつ不燃の性質を活かした
各種の工業用素材として多目的に使用されて良い。
【0152】
【実施例】以下に本発明の実施例及び比較例を示すが記
載の部または%はそれぞれ容量部、容量%を意味すると
共に、記載の実施例によって本発明が特に限定されるも
のでは無い。また例中に相構造を表す記号として、O/
Wとの表示記号はアルカリ水ガラスを多く含む液相が連
続した相すなわち海相を成し一方水溶性有機高分子を多
く含む液相が非連続な液滴分離相すなわち島相を成した
状態で不均一安定な混合溶液を形成している状態の相構
造形態を意味する。またW/Oとの表示記号は水ガラス
を多く含む液相が非連続相すなわち島相を成し一方水溶
性有機高分子をおおく含む液相が連続した相すなわち海
相を成す状態で不均一安定な混合溶液を形成している状
態の相構造形態を意味するものである。
【0153】なお実施例や比較例に供したアルカリ水ガ
ラス成分には以下の物を使用した。すなわち市販されて
いるJIS−2号珪酸ソーダ系水ガラス(2号水ガラス
と表示)、JIS−3号珪酸ソーダ系水ガラス(3号水
ガラスと表示)、JIS−4号珪酸ソーダ系水ガラス
(4号水ガラスと表示)をそれぞれ用いた。
【0154】次に実施例や比較例に供した水溶性有機高
分子成分については以下の記号で表される各成分を用い
た。(記号とその水溶性有機高分子の内容説明) PEG−2,000 GPC測定でポリスチレン換算値で表される重量平均分
子量が1,980のポリエチレングリコール。水に可
溶。
【0155】PEG−3,000 GPC測定でポリスチレン換算値で表される重量平均分
子量が3,060のポリエチレングリコール。水に可
溶。
【0156】PEG−20,000 GPC測定でポリスチレン換算値で表される重量平均分
子量が20,000のポリエチレングリコール。水に可
溶。
【0157】トリオール1 グリセリンを出発原料としエチレンオキサイド(EO)
とプロピレンオキサイド(PO)のランダム付加重量比
率で75:25で付加変性して得たヒドロキシル価が5
5mgKOH/gのポリエーテルトリオール。OH価か
ら換算した分子量が3,060、水に可溶。
【0158】トリオール2 トリエタノールアミンを出発原料としエチレンオキサイ
ド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)のランダム
付加モル比率で80:20で付加変性して得たヒドロキ
シル価が57mgKOH/gのポリエーテルトリオー
ル。ただしOH価から換算した分子量が2,950、水
に可溶。
【0159】PEO ポリアルキレンオキサイド樹脂の事であり、黒金化成社
製品の商品名:「アルコックスR−150」を用いた。
該樹脂の重量平均分子量はGPC測定で約13万。水に
可溶。
【0160】デンプン カチオン化デンプン(試薬品)、水に可溶。
【0161】HEC GPC測定による重量平均分子量が約8〜9万程度のヒ
ドロキシエチルセルロース。水に可溶。
【0162】PVA ポリビニルアルコールであり、電気化学社製品である商
品名「デンカポバールK−17」を用いた。該樹脂の重
量平均分子量はGPC測定で約7.5万、かつケン化度
は99モル%。水に可溶。
【0163】水溶性アクリル ヒドロキシメタクリレートとメタクリル酸の重量配合比
で8:2からなるアクリルモノマーの30部とイオン交
換水の67部からなる80℃の溶液に、pH値を9〜1
1に保持しつつ過硫酸カリウムの3部を加えて5時間重
合反応をおこなって、最終的にGPCによる重量平均分
子量が3,640のアクリル樹脂30重量%からなる水
溶液を得て、それを水溶性アクリルとして用いた。
【0164】水溶性ウレタン OH価から求められた重量平均分子量が9,200のポ
リエチレングリコールの100部に対し、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートの1.83部を窒素気流中120℃
で60分作用させてGPC測定でその重量平均分子量が
29万の水に相溶するウレタン樹脂を得た。
【0165】エマルゲン840S 水溶性高分子界面活性剤(ノニオン界面活性剤)の1種
として花王社製品:商品名「エマルゲン840S」を使
用。なお、エマルゲン840Sとはポリオキシエチレン
アルキルエーテル系高分子海面活性剤の1種で、HLB
(Hydrophiie Lipophile Bal
ance)値17.9である。
【0166】また水溶性の活性シリル基含有有機高分子
には以下の物を用いた。
【0167】プレポリマー1 環流冷却器付きの1リットル容量の4ツ口反応フラスコ
を用意し、ポリエーテルポリオールとして、重量平均分
子量が6,000のポリエチレングリコールの500部
(0.0833モル)とγ−イソシアナートプロピルト
リメトキシシランの35部(0.167モル/活性NC
O当量)及び触媒として0.1部のアセチルアセトンア
ルミ錯体とを仕込、窒素気流中、110℃で5時間反応
させた後冷却し、ジブチルアミン溶液法によるNCO基
含有定量分析結果で0%を確認し、結果として、分子量
6,000ポリエーテル主鎖の末端に加水分解活性シリ
ル基が平均2ケ導入された活性シリル基含有のプレポリ
マー1を得た。該活性シリル基含有のプレポリマー1は
水溶性の溶液型樹脂であり、その5〜30重量%含有水
希釈溶液は数時間は安定であるが燐酸などの無機酸触媒
を1重量%存在させると数分で含水ゲルを与える性質を
示す樹脂であった。
【0168】プレポリマー2 環流冷却器付きの1リットル容量の4ツ口反応フラスコ
を用意し、トリオール1の500部(0.163モル)
とγ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランの1
22.5部(0.490モル/活性NCO当量)及び触
媒としてジブチルチンオキサイドの0.01部とを仕
込、窒素気流中、80℃で2時間反応させた後冷却し、
ほぼ定量的に分子量3,060/ポリエーテル主鎖に加
水分解活性シリル基末端を3ケ持つ活性シリル基含有の
プレポリマー2を得た。該活性シリル基含有のプレポリ
マー2は水溶性の溶液型樹脂であり、その5〜30重量
%含有水希釈溶液は数時間は安定であるが燐酸などの無
機酸触媒を1重量%存在させると数分で含水ゲルを与え
る性質を示す樹脂であった。
【0169】プレポリマー3 前記のプレポリマー2に於いて、γ−イソシアナートプ
ロピルトリエトキシシランの仕込量を147部とした以
外は同様にして、ほぼ定量的に分子量3,060/ポリ
エーテル主鎖に加水分解活性シリル基末端3ケを持つ樹
脂前駆体96.2%と未反応γ−イソシアナートプロピ
ルトリエトキシシラン3.8%とを含むプレポリマー液
3を得た。その末端シリル基含有水溶性有機高分子の1
種であるプレポリマー3は水溶性を示し、5〜30重量
%水溶液は長時間安定に取り扱うことが出来た。またそ
の5〜30重量%水溶液は燐酸や硫酸などの無機強酸溶
液を1重量%添加すると数分以内に透明な含水ゲルを生
成する性質を有していた。
【0170】プレポリマー4 前記のプレポリマー1に於いて、γ−イソシアナートプ
ロピルトリメトキシシランの0.167モルを同モル量
のγ−イソシアナートプロピルトリアセトキシシランに
した以外は同様にして、プレポリマー4を得た。その末
端シリル基含有水溶性有機高分子の1種であるプレポリ
マー4は水溶性を示し、5〜30重量%水溶液は長時間
安定に取り扱うことが出来た。またその5〜30重量%
水溶液は燐酸や硫酸などの無機強酸溶液を1重量%添加
すると数分以内に透明な含水ゲルを生成する性質を有し
ていた。
【0171】プレポリマー5 前記のプレポリマー1に於いて、γ−イソシアナートプ
ロピルトリメトキシシランを31部とした以外は同様に
して、プレポリマーの一分子中平均1.8ケ活性トリメ
チルシラン基が分子末端に導入されたプレポリマー5を
得た。その末端シリル基含有水溶性有機高分子の1種で
あるプレポリマー5は水溶性を示し、5〜30重量%水
溶液は長時間安定に取り扱うことが出来た。またその5
〜30重量%水溶液は燐酸や硫酸などの無機強酸溶液を
1重量%添加すると10分以内に透明な含水ゲルを生成
する性質を有していた。
【0172】また例中の各種試験方法は以下のとおりで
ある。 ゲルタイム ゲルタイムとは、一定温度下で結着用バインダー組成物
自体の溶液流動性が完全になくなるまでに要した時間で
あり、その時間が59秒以内の物を[瞬結]と表示、1
〜5分以内を[中結]と表示、5〜30分以内を[中長
結]と表示、30分以上1時間未満のものを[長結]と
した。また1時間〜1昼夜かかる物を[超長結]と表示
した。
【0173】1次成型体の強度 各実施例または各比較例中に記載の各組成物から誘導さ
れた厚さ(10〜15)mm×(40〜50)cm×
(40〜50)cm大の板状から切出した1cm×5c
m×5cmの1次成型体を1軸圧縮強度試験器にかけて
単位面積当りの破壊降伏強度値を求め、その値を1次成
型体の強度とした。1軸圧縮試験はJIS−A−121
6に準じた方法で実施し、測定機器としては丸東製作所
のSG−2033B型電動式1軸圧縮試験器を用い、圧
縮速度0.1mm/分でおこなった。
【0174】成型体の外観 各例で得られた板状に成型されてなる軽量無機質ボード
成型体の外観を肉眼で観察し、目に見えるミクロクラッ
クや反りが無いものを○の記号で、また顕著なヒビ割れ
は無いが、1mm以内のごく僅かな反りがある場合を△
の記号で、1mmを超える反りや多数のミクロクラック
の発生や割れが観察された場合を×の記号で表示した。
【0175】結着用バインダー組成物の粘度 300ml容量のビーカーに20℃に調整した試料20
0mlを採り、、BLまたはBM型粘度計を用いて測定
した値で表示。
【0176】Na2Oに対する理論中和率 なお各表中に記載のNa2Oに対する理論中和率(%)
とは主剤液A液の全量とあわさった時その主剤液A液中
に含まれるNa2Oで表されるアルカリ分に対する硬化
剤B液中の水ガラス硬化剤が100%作用したと仮定し
た際の理論中和率を意味する。
【0177】1次成型法−[1] カルナバワックスを極く薄く塗りつけ離型処理した2枚
のステンレス製平板(大きさ2mm×50cm×50c
m)と、厚さ10mmのステンレス製スペーサーとを組
合わせて、幅10mm×縦40cm×横40cmの内容
積を持つ縦形の液吸引含浸型成型器を用意した。あらか
じめ該成型器中には各例中に示した乾燥状態にある軽量
無機骨材をその例中記載の嵩密度に応じた密度となる様
に密閉充填させてあるものとした。該成型容器の下部か
らは結着用バインダー組成物を吸引導入できる小孔およ
びコック付き導入管が設置され、また一方、その成型器
上部には容器内を減圧する為の小孔及びコック付き吸引
管が設置されており、上方コックを開とする事で成型器
内部を減圧条件とする事が出来、その後下部のコックを
開く事で各例中記載の結着用バインダー組成物を吸引導
入する事を可能としている。すなわち、1次成型法−
[1]とは基本的に前記した方法で、該成型容器内部に事
前に充填されている軽量無機骨材の粒子間間隙を埋める
様に結着用バインダー組成物を吸引導入し、結果として
軽量無機骨材と結着用バインダー組成物を一体的に固結
成型させる方法である。その1次成型法−[1]に於い
て、成型器中の空隙部が結着用バインダー組成物で完全
に粒子間空隙を充填させる事が出来た場合を○の記号で
表し、十分に浸透せず、液充填が未達であった場合を×
の記号で各例中の[1]成型適性の覧に表示した。
【0178】1次成型法−[2] 前記の1次成型法−[1]に於いて、減圧吸引法では無
く、下部から加圧下で結着用バインダー組成物を浸透流
動させるいわゆる加圧浸透方法で前記同様に行う方法を
特に1次成型法−[2]とした。その1次成型法−[2]に於
いて、成型器中の空隙部が結着用バインダー組成物で完
全に粒子間空隙を充填させる事が出来た場合を○の記号
で表し、十分に浸透せず、液充填が未達であった場合を
×の記号で各例中に[2]成型適性の覧表示した。
【0179】1次成型法−[3] 幅15mm×縦50cm×横50cmの内容積を持つ脱
型可能かつ開放型のプラスチック製成型容器を用意し、
その成型器上部より軽量無機骨材と結着用バインダー組
成物からなる懸濁状態にある成型用組成物を流し込み、
各例記載の成型温度下に一定時間放置して後、脱型し対
応する1次成型体を得るとする成型方法を1次成型法−
[3]とした。
【0180】実施例1〜実施例5 主剤液Aとして比重1.41のJIS−3号珪酸ソーダ
系水ガラスの50〜65mlと残り水道水からなる液を
表1記載の様にそれぞれ用意し、一方硬化剤液Bとして
はそれぞれ水溶性有機高分子の1種であるPEG−3,
000、PEG−20,000、ポリオール1と水ガラ
ス硬化剤として純度75%の精製燐酸、純度40%のグ
リオキザール溶液、γ−ブチロラクトン、エチレンカー
ボネート、2酢酸エチレンのいずれかを用いて表1記載
の各硬化剤液Bを用意した。なお、表1の硬化剤B液に
於いて、合計容量と各成分の配合部との関係は、各実施
例の硬化剤B液の調整方法として、まず水以外の各成分
をメスシリンダー中に採取し、残り水を加えて合計容量
となる様に調整されてなる事を表す。
【0181】それらの主剤液Aと硬化剤液Bとを23℃
雰囲気下で表1記載の容量比率に従って2ショット方式
で混和させて結着用バインダー組成物(GU−1)〜
(GU−5)を得ると同時に前記1次成型法−[1]に従
って成型器へ導液した。なお、1次成型法−[1]に際
し、成型器中には軽量無機骨材として中空セラミックス
微粒子、秩父小野田セメント社製品であるマイクロセル
ズSL−150[平均粒子径;100μm、嵩密度:
0.4g/cm3、真比重0.68g/cm3]の160
0容量部(640重量部)を充填させてある。より具体
的には、幅10mm×縦50cm×横50cm容量の液
吸引型成型器の上部コックを開き、−50mmHg下に
減圧しつつ下部コックを開いて、表−1記載の各結着用
バインダー組成物を(GU−1)〜(GU−5)をそれ
ぞれ吸引導入させた。導入開始後、上部コックより結着
用バインダー組成物の流出が観察され、気泡の混入がほ
とんど無い液の流出が観察された時点で両コックを閉と
し、表1記載の成型温度で1昼夜放置して各実施例の1
次成型体、B1〜B5を各6枚づつ製造した。B1とは
実施例1で製造された1次成型体を意味し、同様に、B
2は実施例2で製造された1次成型体、B3は実施例3
で製造された1次成型体、B4は実施例4で製造された
1次成型体、B5は実施例5で製造された1次成型体を
表す。それら1次成型体の各2枚のJIS−A−121
6に準じた1軸圧縮強度の平均値で表される圧縮強度特
性値を表1に併せて記載した。
【0182】また一方、各結着用バインダー組成物の1
滴をスライドガラスに取り、カバーグラスを載せ、位相
差型光学顕微鏡で覗いて、該混和液が不均一な海島構造
を有する液であるか否かの観察を行った。その結果を表
1の混和液の観察結果の欄に記載した。またその顕微鏡
観察を結着用バインダー組成物自体のゲル化観察を継続
し、析出する不透明な珪酸コロイドゲルがどの相に発生
するかを観察し、海相が濃く不透明化(ゲル化網目構造
を形成相)する観察結果をアルカリ水ガラス含有相が海
相を形成してなるシリカウェットゲルを与える性質の該
組成物であると判断した場合はO/W型の相構造を持つ
ものとして、表1にO/W型と表示した。
【0183】また各結着用バインダー組成物の溶液粘度
結果も同様に表1に記載した。また、その1次成型体
(厚さ10mm×50cm×50cmの板状)の各3ケ
を用いて、40℃の乾燥器中に3〜5日間放置してなる
脱水乾燥処理を施し、120℃/1時間の強制乾燥によ
る水分含有量測定値でおよそ3重量%以下と絶乾状態に
ある2次成型体の各3枚を得た。ここで、40℃乾燥処
理を施して製造された2次成型物をそれぞれ実施例番号
毎に、S1(実施例1)、S2(実施例2)、S3(実
施例3)、S4(実施例4)、S5(実施例5)と呼
ぶ。
【0184】その内の各1枚からは密度、断熱係数、1
次成型体の体積を100とした時の2次成型体の体積収
縮率、及びJIS−A−1216に準じた1軸圧縮強度
を測定。また別の1枚を用いてJIS−A−1321に
準じた表面燃焼試験に供した。また残りの1枚を半分に
切断して耐水性試験に供した。以上、40℃乾燥処理で
得た2次成型体に関し、密度、断熱係数、体積収縮率、
圧縮強度、24時間水に浸漬させた後の強度保持率[強
度保持率%=(耐水後の強度/試験前の強度)×10
0]で表される耐水性指標値、表面燃焼試験結果をそれ
ぞれ表1の乾燥2次成型体の特性覧に併せて記載した。
【0185】なお、表面燃焼試験結果として準不燃性と
は準不燃材としての基準を満足している素材である事を
示す。また同様に、以下の各例中に於いては、不燃性と
の表示は不燃材としての表面燃焼試験に合格している
事、また難燃1級とは表示は同試験で難燃1級素材とし
て認定できる事、難燃2級との表示は同試験で難燃1級
素材として認定できる事、可燃性との表示は同試験で特
殊可燃物または易可燃物としての分類が妥当な事を意味
する。
【0186】またもう1枚の1次成型体(厚さ10mm
×50cm×50cmの板状)を用いて、それぞれ毎分
0.2℃の等速昇温可能な電気炉中で最高到達温度とし
て800℃まで昇温焼成し、引続き800℃一定温度下
で約2〜3時間焼成を継続して後、加熱を止め室温まで
放冷する方法でそれぞれ2次成型体(実施例記載順にC
6〜C10)を得た。ここで、前記焼成処理を施して製
造された2次成型物をそれぞれ実施例番号毎に、S6
(実施例1)、S7(実施例2)、S8(実施例3)、
S9(実施例4)、S10(実施例5)と呼ぶ。得られ
た軽量無機質ボード成型体C6〜C10の1軸圧縮強度
をそれぞれ測定し、表1の焼成2次成型体の特性覧に記
載した。
【0187】なお、実施例1の溶液番号GU−1組成物
に於いて、水ガラス硬化剤を除きアルカリ水ガラスと水
溶性有機高分子の含有濃度を同一とした、アルカリ水ガ
ラス−水溶性有機高分子−水の3成分系からなる水ガラ
ス組成物を別個に調製した。その水ガラス組成物は実施
例1とほぼ同一の海島構造を持つものであった。そして
またその水ガラス組成物の200重量部を試験管に取
り、毎分5000回転の遠心分離器で1時間強制的に2
層分離させて各上層と下層に分離採取して、その占有体
積を計測した結果、上層が35容量%、下層が65容量
%と判明した。またその上層または下層の1gを秤量採
取してJIS−K−1408(1966年)に準じてメ
チルオレンジ指示薬の存在下に、およそ0.1モル/リ
ットルの既知濃度の塩酸溶液で中和滴定して試料中のア
ルカリ量(Na2O)濃度を求めた結果、上層液中のア
ルカリ水ガラス濃度が6.5%、下層液中のアルカリ水
ガラス濃度が21%程度と計算された。すなわち系中の
全アルカリ水ガラスを100とするとその33%が上層
に、またその67%が下層に分配されていると判明し
た。また各層のアルカリ分析結果と採取した各層分配平
衡の結果及び光学顕微鏡観察によるミクロ相構造観察等
を総合判断し、実施例1記載の結着用バインダー組成物
であるGU−1は何等疑問を呈することなくO/W型の
複相溶液組成物であると判明した。
【0188】また更に、実施例1の結着用バインダー組
成物:GU−1(B型粘度計測定値で18mpa・se
c)に於いて、そのGU−1で使用した水ガラス硬化剤
量を100として時、その25モル%相当量を配合した
以外は全く同様にした作成された水ガラス溶液組成物
(数時間はゲルしない系)を用意し、その組成物を毎分
5000回転の遠心分離器で1時間強制的に2層分離さ
せた結果、上層(島相)が前記同様35容量%、下層
(海相)が65容量%と判明し、その分配比率は前記実
施例1で示した基本3成分系からなる組成物、すなわち
アルカリ水ガラス−水溶性有機高分子−水の3成分系の
結果となんら大差が無いことが判明した。また実施例1
の結着用バインダー組成物;GU−1の調整後(A,B
液混和後)30秒前後の位相差光学顕微鏡観察写真を用
いた海島の画像解析で、海相の占有面積が66〜68
%、島相の占有面積が34〜32%と判明した。
【0189】以上の総合結果から、実施例1のGU−1
の結着用バインダー組成物は連続相(海相)が調製時に
およそ約67容量%を占めかつその海相はアルカリ水ガ
ラスを67%以上分配されてなる液相から成っているこ
とが判明した。
【0190】また2次成型体C1の小片を一部採取し、
その小変の光学顕微鏡またはマイクロスコープの50〜
1000倍拡大写真からはバインダー含浸硬化層の構造
として蜂の巣様の独立気泡を数多く内蔵する多孔質なシ
リカアエロゲル高次構造で占有されている事が認められ
た。またC1の小片を、走査型電子顕微鏡で1500倍
から50,000倍の任意に拡大して観察した結果、軽
量無機骨材種として用いた商品名;マイクロセルズに由
来する真球状の中空微粒子の存在と共に、バインダー成
分に由来し固着硬化層であるシリカアエロゲルの高次構
造が明確に観察され、特に固結層高次構造は数十nmサ
イズの珪酸質コロイド凝結相が蜂の巣様の連続相を成
し、1〜50ミクロンサイズ、平均すると18ミクロン
サイズ程度の独立気泡を数多く内包したシリカエアロゲ
ルの高次硬化体で占有されている事が判明した。
【0191】また、実施例1記載の結着用バインダー組
成物GU−1と同様の組成からなる別個な調整されたG
U−1の単独から誘導されたシリカウェットゲルのモル
フォロジーは画像解析の結果、おおよそ島相部分が約7
7容量%、連続相部分が約23容量%を占める有機無機
複合複相ゲルと判明した。
【0192】次に、実施例2記載の結着用バインダー組
成物GU−2では、調製直後の液滴を採取して位相差型
光学顕微鏡による観察画像を解析すると、おおよそ海相
が83容量%、島相が17容量%から成るO/W型の溶
液であり、GU−2のみから誘導したシリカウェットゲ
ルは5〜20ミクロンサイズの液滴島相を内包する海相
の占有容積率で20%前後、島相の占有容積率で約80
%のO/W型含水ゲルであった。
【0193】実施例3記載の結着用バインダー組成物G
U−3を別個に調製して、直ちに位相差型光学顕微鏡を
用いた画像写真解析による海相分配容積率で68%、島
相容積分配率32%と判明。またその200容量部を用
いて毎分30,000回転の遠心分離器で1〜2分間強
制的に2層分離させた上層及び下層の5〜10gをそれ
ぞれ秤量採取してJIS−K−1408(1966年)
に準じて濃塩酸10〜20mlを加えて蒸発乾固させ、
析出した固体を純水で洗浄ロ過乾燥してSiO 2分とし
て定量した。SiO2濃度からそれぞれ上層液中のアル
カリ水ガラス含有濃度が約5%、下層液中のアルカリ水
ガラス含有濃度が約17%と計算された。すなわち位相
差型光学顕微鏡画像解析結果及びアルカリ水ガラス濃度
分配分析結果から、該系中の全アルカリ水ガラスを10
0とするとその12%弱が上層に、またその88%強が
下層に分配されていた事から、アルカリ水ガラスの海相
への分配率は88%と判明。
【0194】また実施例2に於いて、別個に調整された
GU−2から誘導されたシリカウェットゲルを、更に4
0℃で3日脱水乾燥した得られたシリカエアロゲル硬化
体は、みかけ蜂の巣状の無機質硬化相を持つ事が判明。
そのゲルの光学顕微鏡観察によると、無機質硬化連続相
占有面積が17〜19容量%を占め、かつ気泡サイズと
しておよそ10〜150μmの範囲、平均すると40μ
mサイズの独立気泡を数多く内蔵する高強度軽量エアロ
ゲル体が誘導されていた。また、実施例3に於いて、別
個に調整されたGU−3から誘導されたシリカウェット
ゲルはO/W型のゲルであり、海相がおよそ22容積
%、島相がおよそ78容積%を占める事が判明。
【0195】実施例4記載の結着用バインダー組成物
は、位相差型光学顕微鏡を用いた画像写真解析または遠
心分離による分配容量比測定等から、海相分配率80容
量%、島相分配率20容量%なO/W型溶液組成物であ
ると判明。またそのGU−4のみの200容量部を用い
て毎分30,000回転の遠心分離器で1〜2分間強制
的に2層分離させ、その上層または下層の5〜10gを
秤量採取してJIS−K−1408(1966年)に準
じて濃塩酸10〜15mlを加えて加熱蒸発乾固させ、
析出した固体を純水で洗浄ロ過してSiO2分として定
量した。SiO2濃度から、概略それぞれ上層液中のア
ルカリ水ガラス含有濃度で約6.4%、下層液中のアル
カリ水ガラス濃度が約16.5%と判明した。すなわち
系中の全アルカリ水ガラスを100とするとその10%
弱が上層(島相)に、またその90%強が下層(連続相
・海相)に分配されていた。
【0196】実施例4記載の別個に調整した結着用バイ
ンダー組成物GU−4のみから誘導されたリシリカウェ
ットゲル体の小片を、純水で洗浄し、更に40℃雰囲気
下で乾燥したシリカエアロゲルの小片の高次構造は、走
査型電子顕微鏡の100〜2,000倍の任意倍率の観
察の結果、連続硬化層がシリカアエロゲルからなり、平
均70μmで比較的揃った独立気泡の内存する蜂の巣様
構造をもつものである事が判明した。なお実施例4で使
用したGU−4に於いて、水溶性有機単量硬化剤(水ガ
ラス硬化剤)の1種であるエチレンカーボネートは、一
般にアルカリ水中で適宜加水分解し、アルカリ水ガラス
を硬化可能なCO2(炭酸)を徐々に系中に放出する物
質として公知で、従って実施例4(水ガラス溶液組成物
番号GU−4)の組成物では実質炭酸ガスによってアル
カリ水ガラスが硬化している系であるとみなす事が出来
る。
【0197】実施例5記載のGU−5組成物を別個に調
製して、直ちに位相差型光学顕微鏡を用いた画像写真解
析の結果は、実施例4と同様、島相分配率18〜23容
量%、海相分配率77〜82容量%であった。この結果
から、水ガラス硬化剤種を変更してもその溶液調整時の
海島分配比率に大差が無いことが判明した。またその2
00容量部を用いて毎分30,000回転の遠心分離器
で1〜2分間強制的に2層分離させ、その上層または下
層の5〜10gを秤量採取してJIS−K−1408
(1966年)に準じて濃塩酸10〜15mlを加えて
加熱蒸発乾固させ、析出した固体を純水で洗浄ロ過して
SiO2分として定量した。SiO2濃度からそれぞれ上
層液中のアルカリ水ガラス含有濃度で約6.4%、下層
液中のアルカリ水ガラス濃度が約16.5%と計算され
た。すなわち系中の全アルカリ水ガラスを100とする
とその10%弱が上層(島相)に、またその90%強が
下層(連続相・海相)に分配されていた。またそのGU
−5のみから誘導されたシリカウェットゲルは蜂の巣状
のミクロ構造を持つものであった。
【0198】
【表1】
【0199】実施例6〜実施例10 主剤液Aとして比重1.6のJIS−2号珪酸ソーダ系
水ガラスの50mlまたは比重1.41のJIS−3号
珪酸ソーダ系水ガラスの50mlまたは比重1.27の
JIS−4号珪酸ソーダ系水ガラスの50mlと残り水
道水からなる液を表2記載の様にそれぞれ用意し、一方
硬化剤液Bとしてはそれぞれ表2記載の水溶性有機高分
子及びアルカリ水中で徐放性の酸成分を遊離放出する水
溶性有機単量硬化剤を用いて表2記載の各硬化剤液Bを
用意した。なお、表2の硬化剤B液に於いて、合計容量
と各成分の配合部との関係は、各実施例の硬化剤B液の
調整方法として、まず水以外の各成分をメスシリンダー
中に採取し、残り水を加えて合計容量となる様に調整さ
れてなる事を表す。
【0200】それらの主剤液Aと硬化剤液Bとを23℃
雰囲気下で表2記載の容量比率に従って2ショット方式
で混和させて結着用バインダー組成物(GU−6)〜
(GU−10)を得ると同時に前記1次成型法−[2]に
従って成型器へ導液した。GU6は実施例6で用いた結
着用バインダー組成物であり、GU−7とは実施例7で
用いた結着用バインダー組成物、GU8は実施例8の結
着用バインダー組成物、GU9は実施例9の結着用バイ
ンダー組成物、GU10は実施例10の結着用バインダ
ー組成物を意味する。なお、1次成型法−[2]に際し、
成型器中には軽量無機骨材として中空セラミックス微粒
子、秩父小野田社製品であるマイクロセルズSL−35
0[平均粒子径;175μm、嵩密度:0.4g/cm
3]の800容量部(320重量部)とマイクロセルズ
SL−75[平均粒子径;45μm、嵩密度:0.4g
/cm 3]の800容量部(320重量部)とを事前に
ドライ混合してなる微粒子状軽量無機骨材を充填させて
ある。より具体的には、幅10mm×縦50cm×横5
0cm容量の液吸引型成型器の上部コックを開き、1.
3気圧の加圧下に下部コックを開いて、表2記載の各結
着用バインダー組成物を(GU−6)〜(GU−10)
をそれぞれ成型器下部から徐々に圧入含浸させた。圧入
開始後、上部コックより結着用バインダー組成物の流出
が観察され時点で両コックを閉とし、表2記載の成型温
度で1昼夜放置して各実施例の1次成型体、B6〜B1
0を各5枚づつ製造した。B6とは実施例6で製造され
た1次成型体を意味し、同様に、B7は実施例7で製造
された1次成型体、B8は実施例8で製造された1次成
型体、B9は実施例9で製造された1次成型体、B10
は実施例10で製造された1次成型体を表す。それら1
次成型体の各2枚を用いて1軸圧縮強度測定を行い、そ
の平均値を1次成型体の1軸圧縮強度として表2に併せ
て記載した。
【0201】また一方、各結着用バインダー組成物の1
滴をスライドガラスに取り、カバーグラスを載せ、位相
差型光学顕微鏡で覗いて、該混和液が不均一な海島構造
を有する液であるか否かの観察を行った。その結果を表
2の混和液の観察結果の欄に記載した。またその顕微鏡
観察を結着用バインダー組成物自体のゲル化観察を継続
し、析出する不透明な珪酸コロイドゲルがどの相に発生
するかを観察し、海相が濃く不透明化(ゲル化網目構造
を形成相)する観察結果をアルカリ水ガラス含有相が海
相を形成してなるシリカウェットゲルを与える性質の該
組成物であると判断した場合はO/W型の相構造を持つ
ものとして、表2にO/W型と表示した。
【0202】また、その1次成型体(厚さ10mm×5
0cm×50cmの板状)の各3ケを用いて、40℃の
乾燥器中に3〜5日間放置してなる脱水乾燥処理を施
し、120℃/1時間の強制乾燥による水分含有量測定
値でおよそ3重量%以下と絶乾状態にある2次成型体の
各3枚を得た。ここで、40℃乾燥処理を施して製造さ
れた2次成型物をそれぞれ実施例番号毎に、P1(実施
例6)、P2(実施例7)、P3(実施例8)、P4
(実施例9)、P5(実施例10)と呼ぶ事とする。そ
の内の各1枚からは密度、断熱係数、1次成型体の体積
を100とした時の2次成型体の体積収縮率、及び1軸
圧縮強度を測定。また別の1枚を用いてJIS−A−1
321(1975)に準じた表面燃焼試験に供した。ま
た残りの1枚を半分に切断して耐水性試験に供した。以
上、40℃乾燥処理で得た2次成型体に関し、密度、断
熱係数、体積収縮率、圧縮強度、24時間水に浸漬させ
た後の強度保持率[強度保持率%=(耐水後の強度/試
験前の強度)×100]で表される耐水性指標値をそれ
ぞれ表2の乾燥2次成型体の物性覧に併せて記載した。
【0203】(GU−6)〜(GU−10)の各結着用
バインダー組成物に於いて、混合は30秒間すばやく行
ってのち、その1滴をスライドガラスに取りカバーグラ
スを載せ位相差型光学顕微鏡で覗いて該混和液が不均一
な海島構造を有する液であるか否かの観察を行った。そ
の結果を表2の混和液の観察結果の欄に記載した。また
その顕微鏡による、結着用バインダー組成物自体の不均
一相構造に関する観察結果を、アルカリ水ガラス含有相
が海相を形成して有機無機複合複相ゲルを与える性質の
薬液組成物であると判断されるケースでは表中にO/W
型と記載した。なお、表2中記載の島:海分配比率とは
結着用バインダー組成物の調整時点からおおよそ30秒
前後の液滴を採取し、すばやく位相差型光学顕微鏡観察
し、その画像を解析して、海相と島相の容積比率を求め
た結果を表すものである。
【0204】
【表2】
【0205】実施例11 表1、実施例3のGU−3溶液組成物に於いて、γ−ブ
チロラクトンの12.6部(主剤液A中の全Na2Oに
対する仕込モル比で140モル%に相当する、またはN
2Oに対する理論中和率では70%相当量)に替え
て、プロピレンカーボネートの7.5部(主剤液A中の
全Na2Oに対する仕込モル比で70モル%に相当す
る、またはNa2Oに対する理論中和率では70%相当
量)とした以外は全く実施例3と同様にして得た水ガラ
ス溶液組成物番号GU−11は、12mpa・secと
低粘度でかつその混和液の相構造がO/W型であり室温
下で測定したゲルタイムは約1〜1.5分と中結型の結
着用バインダー組成物であった。なお、そのGU−11
の35容量%と軽量無機骨材として平均粒子径が70μ
m、嵩密度0.2g/cm3のほぼ真球状シラスバルー
ンの65容量%とからなる成型用組成物の約3,800
容量部を用いて、1次成型法−[3]で室温下に成型し、
1日養生後脱型、1次成型体の1軸圧縮強度特性が1
2.6kgf/cm 2の含水成型ボード(大きさ15m
m×50cm×50cm)C11を得た。C11を更に
80℃で5時間、120℃で1時間乾燥し、2次成型体
Q1を得た。Q1ボードの小片を採取し、電子顕微鏡観
察した結果、結着用バインダー組成物に由来する高次構
造を持つシリカアエロゲル硬化体が、C11中の35〜
40容量%で表される、無機骨材以外の空隙部をほほ占
有する状態かつ該軽量無機骨材粒子を相互に強く結着せ
しめた複合硬化体像が観察された。Q1の密度が0.2
3g/cm3、1軸圧縮強度特性が約25kgf/c
2、断熱係数が0.08kcal/m℃、表面燃焼試
験結果が準不燃性、耐水性指標で89%を示すことがそ
れぞれ判明。以上の結果、Q1は剛直かつ耐水性、断熱
性に富む軽量無機質ボード成型体である事が判明した。
【0206】実施例12 表1、実施例3のGU−3溶液組成物に於いて、γ−ブ
チロラクトンの12.6部(主剤液A中の全Na2Oに
対する仕込モル比で140モル%に相当する、またはN
2Oに対する理論中和率では70%相当量)に替え
て、エチレンカーボネートの6.5部((主剤液A中の
全Na2Oに対する仕込モル比で70モル%に相当す
る、またはNa2Oに対する理論中和率では70%相当
量)とし、更にPEG−20,000の10部の内、そ
の半量の5部を両末端に活性なトリアルコキシシリル基
末端を有するプレポリマー1で代替した以外は全く実施
例3と同様にして得た結着用バインダー組成物GU−1
2は、GU−3と同様に10〜11mpa・secと低
粘度、相構造がO/W型、室温下のゲルタイムが約1.
5〜2分と中結型の結着用バインダー組成物であった。
なお、そのGU−11の1,520容量部と軽量無機骨
材として真球状かつ中空ガラスバルーン(嵩密度0.1
g/cm3、平均粒子径=29μm)の2,280容量
部とからなる成型用組成物を1次成型法−[3]で室温下
・5時間養生・成型し、1軸圧縮強度特性が10.6k
gf/cm2の1次成型体である含水成型ボードC12
を得た。C12を更に天日で2日間、更に120℃で3
時間乾燥し、2次成型体Q2を得た。
【0207】Q2ボードの小片を採取し、電子顕微鏡観
察した結果、結着用バインダー組成物に由来する高次構
造を持つシリカアエロゲル硬化体が、C12中の38〜
40容量%に相当する、いわゆる軽量無機骨材粒子間空
隙部をほほ占有する形で該骨材粒子を強く結着している
複合硬化体像が観察された。Q2は密度が0.15g/
cm3、1軸圧縮強度特性が約23kgf/cm2、断熱
係数が0.06kcal/m℃、表面燃焼試験結果が準
不燃性、耐水性指標で90%を示すことが判明し、その
結果、Q2は剛直かつ耐水性、断熱性に富む軽量無機質
ボード成型体である事が判明した。
【0208】実施例13 表1、実施例5のGU−5溶液組成物に於いて、硬化剤
液B中に配合された75%精製燐酸の2.75部に替え
て、75%濃度の硫酸2.8部とした以外は全く実施例
5と同様にした得た結着用バインダー組成物であるGU
−13溶液組成物は、8mpa・secと低粘度であり
かつその混和液の相構造がO/W型、室温下のゲルタイ
ムが約3分の性質を示す結着用バインダー組成物であっ
た。そのGU−13の594容量部と軽量無機骨材とし
て真球状かつ中空セラミツクス微粒子である商品名マイ
クロセルズSL−125(嵩密度0.4g/cm3、平
均粒子径が80μm)の1,206容量部とからなる成
型用組成物を1次成型法−[3]に準じて室温下に成型
し、1次成型体の1軸圧縮強度特性が21kgf/cm
2の含水成型ボードC13を得た。C13を更に80℃
で2時間、120℃で1時間乾燥し、2次成型体Q3を
得た。そのQ3は密度が0.46g/cm3、1軸圧縮
強度特性が約76kgf/cm2、断熱係数が0.11
kcal/m℃、表面燃焼試験結果が準不燃性、耐水性
指標で96%を示すことが判明し、その結果、Q3は剛
直かつ耐水性、断熱性に富む軽量な軽量無機質ボード成
型体である事が判明した。
【0209】実施例14 表1の実施例5のGU−5溶液組成物に於いて、硬化剤
液B中に配合された75%精製燐酸の2.75部に替え
て、その2倍モル当量に相当する量の酢酸を用いた以外
は全く同様にした得た結着用バインダー組成物GU−1
4組成物の50容量%と、嵩密度0.06g/cm3
平均粒子径が200μmのパーライトの50容量%とか
ら成る1次成型体を1次成型法−[1]で調製し、その1
次成型法を更に50℃で2日間乾燥して、軽量無機質ボ
ード成型体であるQ4を製造した。得られたQ4は密度
が約0.15g/cm3、1軸圧縮強度特性が約33k
gf/cm2、断熱係数が0.07kcal/m℃、表
面燃焼試験結果が難燃1級を示すことが判明し、その結
果、Q4は剛直かつ断熱性と難燃性に富む軽量無機質ボ
ード成型体であると判明した。なお、GU−14はO/
W型不均一溶液であり、20℃のゲルタイムは3分を示
す組成物である。
【0210】実施例15 実施例13で、75%硫酸に替えて2倍モル当量に相当
する量の重炭酸ナトリウムと重炭酸カリウムの重量比
1:1の比率で混合してなる重炭酸塩とした以外は全く
同様にして得た軽量無機質ボード成型体Q5は、実施例
13で得たQ3と圧縮強度、密度、不燃性、耐水性など
の特性はほぼ一緒であった。なお、実施例13で、75
%硫酸に替えて2倍モル当量に相当する量の重炭酸ナト
リウムと重炭酸カリウムの重量比1:1の比率で混合し
てなる重炭酸塩とした以外は全く同様にして得た結着用
バインダー組成物GU−15はO/W型不均一溶液で、
10℃下では2分、20℃では100秒前後のゲルタイ
ム特性を持つものであった。
【0211】実施例16 実施例13で、75%硫酸に替えて2倍モル当量に相当
する量の硫酸水素ナトリウムと硫酸水素カリウムの重量
比1:1の比率で混合してなる重硫酸塩とした以外は全
く同様にして得た軽量無機質ボード成型体Q6は、実施
例13で得たQ3と圧縮強度、密度、不燃性などの特性
はほとんど一緒であった。なお、実施例13で、75%
硫酸に替えて2倍モル当量に相当する量の硫酸水素ナト
リウムと硫酸水素カリウムの重量比1:1の比率で混合
してなる重炭酸塩とした以外は全く同様にして得た結着
用バインダー組成物GU−16はO/W型不均一溶液
で、室温下では100秒前後のゲルタイム特性を持つも
のであった。
【0212】実施例17 実施例13で、75%硫酸に替えて2倍モル当量に相当
する量の1N−塩酸溶液とした以外は全く同様にした得
た軽量無機質ボード成型体Q7は、実施例13で得たQ
3と圧縮強度、密度、不燃性などの特性はほとんど一緒
であった。なお、実施例13で、75%硫酸に替えて2
倍モル当量に相当する量の1N−塩酸溶液とした以外は
全く同様にして得た結着用バインダー組成物GU−15
はO/W型不均一溶液で、ほぼGU−13と同じ特性を
持つ溶液組成物であった。
【0213】実施例18 表2の実施例6のGU−6溶液組成物に於いて、トリオ
ール2の15部の替りに、トリオール1の15部とした
以外は全く実施例6の2次成型体番号P1と同様な調製
方法を経て製造された軽量無機質ボード成型体Q8は、
実施例6のP1の持つ機械物性ならびに断熱特性、比重
はほぼ同一であった。なお、実施例6のGU−6溶液組
成物に於いて、トリオール2の15部の替りに、トリオ
ール1の15部とした以外は全く同様にして得た結着用
バインダー組成物GU−18はO/W型不均一溶液であ
り、ほぼGU−6と同じ特性を持つ溶液組成物であっ
た。
【0214】実施例19 表2の実施例7のGU−7溶液組成物に於いて、PEO
の3部の替りに、HECの2部とした以外は全く実施例
7の2次成型体番号P2と同様な調製方法を経て製造さ
れた軽量無機質ボード成型体Q9は、実施例7のP2の
持つ機械物性ならびに断熱特性、比重はほぼ同一であっ
た。なお、実施例7のGU−7溶液組成物に於いて、P
EOの3部の替りに、HECの2部とした以外は全く同
様にして得た結着用バインダー組成物GU−19はO/
W型不均一溶液であり、ほぼGU−7と同じ特性を持つ
溶液組成物であった。
【0215】比較例1〜比較例5 表3記載の様に主剤液Aと硬化剤液Bの2液をそれぞれ
用意し、その主剤液Aと硬化剤液Bとを表3記載の配合
容量比率で混和した物を、ここでは比較結着用バインダ
ー組成物E−1(比較例1)、比較結着用バインダー組
成物E−2(比較例2)、比較結着用バインダー組成物
E−3(比較例3)、比較結着用バインダー組成物E−
4(比較例3)、比較結着用バインダー組成物E−5
(比較例5)と呼ぶ。なお、表3の硬化剤B液に於い
て、合計容量と各成分の配合部との関係は、各硬化剤B
液の調整方法として、まず水以外の各成分をメスシリン
ダー中に採取し、残り水を加えて合計容量となる様に調
整されてなる事を表す。各比較例1〜5の結着用バイン
ダー組成物自体の溶液特性試験に供し、その結果を表3
に併せて記載した。主剤液Aと硬化剤液Bとを23℃雰
囲気下で表3記載の容量比率に従って2ショット方式で
混和させて結着用バインダー組成物(E−1)〜(E−
5)を得ると同時に前記1次成型法−[1]に従って成型
器へ導液した。
【0216】なお、1次成型法−[1]に際し、成型器中
には軽量無機骨材として中空セラミックス微粒子、秩父
小野田セメント社製品であるマイクロセルズSL−15
0[平均粒子径;100μm、嵩密度:0.4g/cm
3、真比重0.68g/cm3]の1600容量部(64
0重量部)を充填させてある。まず液吸引型成型器の上
部コックを開き、−50mmHg下に減圧しつつ下部コ
ックを開いて、表3記載の各結着用バインダー組成物
(E−1)〜(E−5)をそれぞれ吸引導入させた。導
入開始後、上部コックより結着用バインダー組成物の流
出が観察され、気泡の混入がほとんど無い液の流出が観
察された時点で両コックを閉とし、表3記載の成型温度
で1昼夜放置して各実施例の1次成型体X1〜X5を製
造した。その結果X1、X2、X5はそれぞれ1次成型
体の各6枚が得られたが、X3とX4は弱いヨウカン様
の固結体を形成しているのみで、成型器から脱型も出来
ず、従って比較例3と比較例4では軽量無機骨材との複
合成型体の製造は不可能と判明した。前記X1とは比較
例1で製造された1次成型体を意味し、同様に、X2は
比較例2で製造された1次成型体、X3は比較例3で製
造された1次成型体、X4は比較例4で製造された1次
成型体、X5は比較例5で製造された1次成型体を意味
する。X1、X2、X5の2枚を用いて、各1次成型体
の1軸圧縮強度を測定し、表3に併せて記載したが、総
じて脆弱な1次成型体であった。
【0217】また一方、各結着用バインダー組成物の1
滴をスライドガラスに取り、カバーグラスを載せ、位相
差型光学顕微鏡で覗いて、該混和液が不均一な海島構造
を有する液であるか否かの観察を行った。その結果を表
3の混和液の観察結果の欄に記載した。またその顕微鏡
観察を結着用バインダー組成物自体のゲル化観察を継続
し、析出する不透明な珪酸コロイドゲルがどの相に発生
するかを観察し、島相が濃く不透明化(ゲル化網目構造
を形成相)する観察結果をアルカリ水ガラス含有相が島
相を形成してなるシリカウェットゲルを与える性質の該
組成物であると判断し、W/O型の相構造を持つものと
して、表3にW/O型と表示した。
【0218】X1、X2、X5の1次成型体(厚さ10
mm×50cm×50cmの板状)の残り、各3枚を用
いて、40℃の乾燥器中に3〜5日間放置してなる脱水
乾燥処理法で2次成型体の調製を行った。ここで、40
℃乾燥処理を施して製造された2次成型物をそれぞれ実
施例番号毎に、Y1(比較例1)、Y2(比較例2)、
Y5(比較例5)と呼ぶ事とする。その結果、表3の2
次成型体の性質の覧にも記載したが、著しい反りと局部
的な収縮によると見られる割れが観察され結果として1
次成型形を反映した平板(平ボード)が製造出来かっ
た。したがって2次成型体としての各種物性測定は行な
っていない。すなわち、比較例1〜比較例5で示した製
造方法では良質な軽量無機質ボード成型体の調製は極め
て困難であるとの結論に至った。
【0219】
【表3】
【0220】実施例20 3号水ガラスの100mlと水道水の100mlとから
なる主剤液を45℃に加温し用意し、一方硬化剤液とし
て、水溶性有機高分子の1種としてOH価から算出され
た分子量で約9,000のポリエチレングリコールの両
末端ヒドロキシル基に対して化学的理論量のエピクロル
ヒドリンを作用させて後、脱塩酸・精製してなる分子量
で約9,140のポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル(別名;PEGのジエポキサイド変性物)の2
2部と、40%グリオキザールの49.5ml(アルカ
リ水ガラスのNa2Oに対するモル当量比率で210
%)と水の128mlとからなる45℃に加温調整して
なる溶液を用意した。その主剤液と硬化剤液を2ショッ
ト方式で容量比率が1:1で混和吐出して成る結着用バ
インダー組成物GU−20の594容量部と、軽量無機
骨材として真球状かつ中空セラミツクス微粒子である商
品名マイクロセルズSL−125(嵩密度0.4g/c
3、平均粒子径が80μm)の1,206容量部とか
らなる成型用組成物を1次成型法−[3]に準じて室温下
に成型し、1次成型体の1軸圧縮強度特性が21kgf
/cm2の含水成型ボードを得た。更に80℃で2時
間、120℃で1時間乾燥し、2次成型体Q10を得
た。
【0221】Q10は密度が0.44g/cm3、1軸
圧縮強度特性が約65kgf/cm2、断熱係数が0.
10kcal/m℃、表面燃焼試験結果が準不燃性、耐
水性指標で98%を示すことがそれぞれ判明。以上の結
果、Q10は剛直かつ耐水性、断熱性に富む軽量無機質
ボード成型体である事が判明した。なお、GU−20は
O/W型不均一溶液であり、調製直後の海−島分配平衡
関係はおよそ位相差型顕微鏡による観察結果で、島相分
配率31容積%/海相分配容積69%であった。また同
GU−20の海相中へのアルカリ水ガラス分配率は遠心
分離した下層中の水ガラス濃度測定値から、およそ87
重量%と算出され、また同様に、島層中に対するポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテルの割合は96重
量%と算出された。またSU−20溶液組成物自体の2
0℃のゲルタイムは12〜15分、45℃のゲルタイム
が3分を示す組成物であった。
【0222】比較例6 3号水ガラスの100mlと水道水の100mlとから
なる主剤液200mlを25℃に加温し用意し、一方、
40%グリオキザールの49.5ml(アルカリ水ガラ
スのNa2Oに対するモル当量比率で210%)と水の
150.5mlとからなる25℃に加温調整してなる硬
化剤溶液200mlをそれぞれ用意した。その主剤液と
硬化剤液を2ショット方式で容量比率が1:1で混和吐
出して成る均一系からなる比較結着用バインダー組成物
E−6を得た。その25℃に加温されてなる比較結着用
バインダー組成物E−6はゲルタイムが23分11秒
(中長結型)、溶液粘度が5mpa・secで示される
溶液特性を持っており1ショット方式で取扱が出来た。
比較結着用バインダー組成物E−6の594容量部と、
軽量無機骨材として真球状かつ中空セラミツクス微粒子
である商品名マイクロセルズSL−125(嵩密度0.
4g/cm3、平均粒子径が80μm)の1,206容
量部とからなる成型用組成物を1次成型法−[3]に準じ
て室温下に成型し、1次成型体の1軸圧縮強度特性が
4.2kgf/cm2の含水成型ボードを得た。それを
更に80℃で2時間、120℃で1時間乾燥し、2次成
型体X6を得ようとしたが、乾燥中に著しい反りと割れ
があり、所定サイズの平ボード成型体は得られなかっ
た。
【0223】実施例21〜実施例25 主剤液Aとして比重1.41のJIS−3号珪酸ナトリ
ウム系水ガラスの50mlと残り水道水からなる液を表
4記載の様にそれぞれ用意し、一方硬化剤液Bとしては
末端シリル基含有水溶性有機高分子と、水溶性有機単量
硬化剤ならびに必要に応じて水溶性有機界面活性剤等を
併用使用してなる表4記載配合からなる各硬化剤液Bを
用意した。なお、硬化剤B液の表4記載の合計容量(m
l)と各成分の配合部との関係は、末端シリル基含有水
溶性有機高分子と水溶性有機単量硬化剤また更に必要に
応じて有機界面活性剤等を表5記載の配合割合となる様
にそれぞれメスシリンダー中に秤量採取し、水道水を加
えて表4記載の硬化剤B液の合計容量に調整して成る組
成物である事を表す。その主剤液Aと硬化剤液Bとを2
0℃で表4記載の配合比率ですばやく混和してなる結着
用バインダー組成物を実施例順に、GU−21(実施例
21)、GU−22(実施例22)、GU−23(実施
例23)、GU−24(実施例24)、GU−25(実
施例25)の各200mlとした。混合を30秒間すば
やく行って1液化したのち、その1滴をスライドガラス
に取りカバーガラスを静かにのせて位相差透過型光学顕
微鏡で覗いて該混和溶液が不均一な海島構造を有する系
であるか否かの観察を行った結果、実施例21〜実施例
25のすべて系で不均一な海島構造を有する系であった
為、表4ではその相構造の特徴のみを記載し、その結果
をO/W型(アルカリ水ガラス溶液が連続相を形成する
系)、W/O型(アルカリ水ガラス溶液が島相を形成す
る系)のいずれかで記号で判定し記載した。
【0224】その5℃主剤液と5℃硬化剤液を2ショッ
ト方式で容量比率が1:1で混和吐出して成る各結着用
バインダー組成物の594容量部と、軽量無機骨材とし
て真球状かつ中空セラミツクス微粒子である商品名マイ
クロセルズSL−125(嵩密度0.4g/cm3、平
均粒子径が80μm)の1,206容量部とからなる各
成型用組成物を1次成型法−[3]に準じて室温・3日養
生成型し、1次成型体Z1〜Z5をそれぞれ得た。Z1
は実施例21の1次成型体であり、以下同様にZ2は実
施例22の1次成型体、Z3は実施例23の1次成型
体、Z4は実施例24の1次成型体、Z5は実施例25
の1次成型体である。そのZ1〜Z5の1軸圧縮強度特
性は表4に記載した。
【0225】また更に、別個に製造したZ1〜Z5を用
いて、更に80℃で2時間、120℃で1時間乾燥し、
2次成型体すなわち乾燥法による軽量無機質ボード成型
体W1〜W5をそれぞれ得た。W1は実施例21の2次
成型体であり、以下同様にW2は実施例22の2次成型
体、W3は実施例23の2次成型体、W4は実施例24
の2次成型体、W5は実施例25の2次成型体である。
いずれの2次成型体も、表4記載の様に、軽量かつ剛直
で、断熱性、不燃性、耐水性に富む軽量無機質ボード成
型体である事が判明した。
【0226】
【表4】
【0227】実施例26〜実施例28 表1記載の実施例5に相当する主剤液Aと硬化剤液Bと
を23℃雰囲気下で表1記載の容量比率に従って2ショ
ット方式で混和させて結着用バインダー組成物GU−5
を得ると同時に、表5記載の比率でGU−5と下記の軽
量無機骨材とからなる成型用組成物を用いて1次成型法
−[3]に従って成型し、それぞれ1次成型体R1〜R3
を得た。軽量無機骨材としては、中空セラミックス微粒
子であるマイクロセルズSL−150[平均粒子径;1
00μm、嵩密度:0.4g/cm3、真比重0.68
g/cm3]を使用。 R1とは実施例26製造された
1次成型体を意味し、同様に、R2は実施例27で製造
された1次成型体、R3は実施例28で製造された1次
成型体を表す。R1〜R3の圧縮強度特性値は表5に示
す結果を得、比較的剛直で脱型の際には何等かけや割れ
は無かった。
【0228】また、その1次成型体を厚さ15mm×3
0cm×30cmと切削加工した後、その各4枚を40
℃の乾燥器中に3〜5日間放置してなる脱水乾燥処理を
施してT1〜T3の各軽量無機質ボード成型体を得た。
T1とは実施例26で製造された2次成型体を意味し、
同様に、T2は実施例27で製造された2次成型体、T
3は実施例28で製造された2次成型体を表す。そのT
1〜T3の各1枚を密度、断熱係数、1次成型体の体積
を100とした時の2次成型体の体積収縮率、1軸圧縮
強度試験に供し、その結果を表5に記載した。また別の
1枚を用いてJIS−A−1321(1975)に準じ
た表面燃焼試験に供し、その結果を表5に記載した。ま
た残りの1枚を半分に切断して耐水性試験に供し、その
結果を表5に記載した。
【0229】また残り各1枚の1次成型体を用いて、そ
れぞれ毎分0.2℃の等速昇温可能な電気炉中で最高到
達温度として1000℃まで昇温焼成した後、加熱を止
め室温まで放冷する方法でそれぞれ軽量無機質ボード成
型体H1(実施例26)、H2(実施例27)、H3
(実施例28)を得た。得られた軽量無機質ボード成型
体H1〜H3の密度と圧縮強度特性をそれぞれ表5に記
載した。
【0230】
【表5】
【0231】実施例29〜実施例33 実施例5で製造された軽量無機質ボード成型体C10を
5枚用意し、それぞれその1ケづつの片面に以下のシー
ラー剤及び/または塗料組成物をそれぞれ合計10kg
/cm2の塗工量となる様に塗付し、室温で/30分更
に80℃/30分の2段方式で乾燥焼き付け処理して、
各実施例29〜実施例33の各片面塗装シールして成る
軽量無機質ボード成型体を製造した。その結果得られた
塗工軽量無機質ボード成型体の塗工面の性質を表6に合
せて記載した。
【0232】
【表6】
【0233】記号の説明 Em1;東レ・ダウコーニング社製品である#SH82
00(シリコンエマルション)。 Em2;水性ウレタン樹脂である三井東圧化学社製品
「ユーバン」を使用。 AEアルマテックス;溶剤型アクリルラッカー塗料組成
物である三井東圧化学社製品「アルマテックス」を使
用。 ポリクリート;2液エポキシ塗料組成物である三井東圧
化学社製品「ポリクリート」を使用。 MTエラスタイル;特殊アクリルゴム系エマルション塗
料組成物である三井東圧化学社製品の「MTエラスタイ
ル」を使用。 速硬化ウレタン;2液速硬化型ウレタン塗料組成物であ
る三井東圧化学社製品で商品名「リムスプレー」を使
用。 塗膜密着性の判定基準;セロテープを密着させてよ90
゜ピールで剥離が無い場合を記号◎で、また極く極く僅
かにセロテープに塗膜の付着が観察される場合を○の記
号で、下地が出る様な場合を×の記号で表した。 耐透水性付与効果の判定;透水係数が1×10-6cc/
sec以下と非透水材料となっている場合を○の記号
で、1×10-4〜0.9×10-6cc/secの範囲に
ある場合を△の記号で、0.9×10-4以上と悪い場合
は×の記号で表した。
【0234】
【発明の効果】実施例1〜実施例28と比較例1〜比較
例6との対比から明らかな様に、不均一かつ安定なミク
ロ海島構造を有しかつアルカリ水ガラスを主成分とする
液相が海相に高分配率で含有されてなる本発明記載のO
/W型の結着用バインダー組成物(α)の10〜50容
量%と軽量無機骨材の90〜50容量%とから成る成型
用組成物を用い、脱型可能な成型器を介して1次成型さ
れ、その1次成型体を常温から最高到達温度1,000
の範囲で乾燥及び/または焼成する方法で製造された軽
量無機質ボード成型体は、最大でも0.5g/cm3
軽量であっても30〜75kgf/cm2と剛直であり
ことが明確である。それと共に各実施例で明らかに断熱
性、不燃性、耐水性に富んでいることも明確である。一
方、比較例からは本発明の目的に合致する良質かつ平板
性に富む軽量無機質ボード成型体が製造出来ない事が明
らかである。
【0235】すなわち、本発明の軽量無機質ボード成型
体の製造方法によれば、密度が0.5g/cm3に満た
ない極めて軽量、と同時に超高強度な圧縮強度を有しか
つ耐水劣化の少ない軽量無機質ボード成型体が安価に製
造される極めて画期的な成果を得たと言える。また実施
例29〜実施例33に於いて明らかな事は、本発明の軽
量無機質ボード成型体の意匠性の向上は汎用のエマルシ
ョン組成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エ
ポキシ樹脂組成物等から選ばれた少なくとも1種とする
シーラー組成物及び/または塗料組成物を適宜片面コー
ティングする事で建材向けのボード材料としての価値を
一層高まることが明らかである。
【0236】すなわち、平均粒径1〜300μm、嵩比
重が0.05〜0.6g/cm3にある軽量無機骨材の
50〜90容量%と下記の結着用バインダー組成物
(α)の10〜50容量%から成る成型用組成物を、バ
ッチ式及び/または連続式の脱型可能な成型器を介して
1次成型後、更にその1次成型体を室温〜1000℃未
満の温度雰囲気下で脱水乾燥及び/または焼成させる方
法を特徴として製造された本発明の軽量無機質ボード成
型体は、特に制約する物では無いがそのもっとも優れた
作用効果としてボード成型体密度が高くとも0.5g/
cm3以下と非常に軽いにもかかわらず高い圧縮強度特
性を持ち併せ、耐水性、不燃性、断熱性にも優れ、機能
性複合建材の芯材として有益な安価な軽量無機質ボード
成型体を安価に供給、またはその製造方法を、共に社会
に提供出来る事を挙げる事が出来る。
【0237】結着用バインダー組成物(α)が、アルカ
リ水ガラス、水ガラス硬化剤、水に対しいかなる割合に
も相溶及び/または乳化する性質を示す水溶性有機高分
子及び水とを含有してなり、かつゲル化前の溶液に於い
て海相−島相からなる複相構造をなしその複相構造を反
映した固結含水ゲルを生成させる事が可能な液状組成
物。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図−1 :実施例1で製造された軽量無機質
ボード成型体C1の走査型電子顕微鏡観察像の例 (2
00倍拡大写真)
【図2】 図−2 :実施例5で製造された軽量無機質
ボード成型体C5の走査型電子顕微鏡観察像の例(1,
500倍拡大写真)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 41/80 C04B 41/80 A //(C04B 28/26 24:32 24:26 24:38 14:02 24:26 24:28 24:42)

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径1〜300μmかつ嵩比重が
    0.05〜0.6g/cm3の範囲にある1種または2
    種以上の軽量無機骨材の50〜90容量%と下記の結着
    用バインダー組成物(α)の10〜50容量%から成る
    成型用組成物を、バッチ式及び/または連続式の脱型可
    能な成型器を介して1次成型後、更にその1次成型体を
    室温〜1000℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥及び/
    または焼成させて、2次成型体である軽量無機質ボード
    を製造する事を特徴とする軽量無機質ボード成型体の製
    造方法。結着用バインダー組成物(α)が、アルカリ水
    ガラス、水ガラス硬化剤、水に対しいかなる割合にも相
    溶する性質を示す水溶性有機高分子及び水を含有してな
    り、ゲル化前の溶液が海相−島相からなる複相構造とな
    すと同時にその複相構造を反映した固結含水ゲルを与え
    る事が出来る不均一溶液組成物。
  2. 【請求項2】 結着用バインダー組成物(α)が、ゲル
    化前の溶液中に占めるアルカリ水ガラス濃度で5〜20
    重量%のアルカリ水ガラスと、そのアルカリ水ガラス成
    分の(Na2O+K2O)で表される全アルカリ分の50
    〜200モル%分に相当する水ガラス硬化剤と、ゲル化
    前の溶液を複相溶液とするに必要な量の水に対しいかな
    る割合にも相溶する性質を示す水溶性有機高分子及び残
    り水とを含有してなる結着用バインダー組成物とする事
    を特徴とする請求項1記載の軽量無機質ボード成型体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 以下の工程A〜工程Cまたは工程A〜工
    程Dのいずれかを順次経て製造する事を特徴とする請求
    項1または2記載の軽量無機質ボード成型体の製造方
    法。 工程A.あらかじめ離型可能な成型容器中に軽量無機骨
    材を高密度に充填する型仕込工程。 工程B.充填された非流動下の軽量無機骨材の粒子間隙
    を十分満たす様に結着用バインダー組成物(α)を外部
    から送液して注入含浸させると共に、5℃〜80℃の温
    度下で該軽量無機骨剤と結着用バインダ−組成物とを結
    着一体化させる成型工程。 工程C.成型型から取りだされた1次成型体を室温〜2
    00℃未満の温度雰囲気下で脱水乾燥する工程。 工程D.大気中または不活性ガス雰囲気下、到達焼結温
    度を500〜1,000℃とする焼成処理工程。
  4. 【請求項4】 結着用バインダー組成物(α)が、アル
    カリ水ガラスを含む水溶液からなる主剤液Aと水ガラス
    硬化剤を含む水溶液からなる硬化剤液Bの2液型からな
    り、水に対しいかなる割合にも相溶する性質を示す水溶
    性有機高分子の全量が硬化剤液Bに事前に配合され、か
    つその主剤液Aと硬化剤液Bとを主剤液A:硬化剤液B
    で表した容積混合比率で(10:100)〜(100:
    10)の範囲で混合してなる組成物である事を特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の軽量無機質ボード成
    型体の製造方法。
  5. 【請求項5】 軽量無機骨材が、平均粒径10〜300
    μm、嵩比重0.05〜0.5g/cm3の範囲であ
    り、かつ真球状の中空セラミックス粒子の1種である事
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軽量無機
    質ボード成型体の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ水ガラスが、SiO2/Na2
    及び/またはSiO 2/K2Oで表されるモル比で1〜
    4.5の範囲にある珪酸ナトリウム及び/または珪酸カ
    リウムとする事を特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
  7. 【請求項7】 水に対しいかなる割合にも相溶する性質
    を示す水溶性有機高分子が、以下の(a)〜(h)から
    選ばれた1種及び/または2種以上からなる事を特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の軽量無機質ボード
    成型体の製造方法。 (a)水溶性ポリエーテルポリオール (b)水溶性ポリビニルアルコール (c)水溶性デンプン (d)水溶性セルロース誘導体 (e)水溶性ポリアルキレンオキサイド (f)水溶性アクリル (g)水溶性ポリエポキサイド (h)水溶性ウレタン
  8. 【請求項8】 水に対しいかなる割合にも相溶する性質
    を示す水溶性有機高分子が、加水分解によってシロキサ
    ン架橋する性質を示す下記一般式(1)[化1] 【化1】 −Si(R1n−(X)3-n (1) (但し、R1は水素原子、クロル原子、メチル基、エチ
    ル基又はプロピル基から選ばれた1種、Xは炭素数が1
    〜5の整数で表されるアルコキシル基、オキシム基又は
    アセトキシル基から選ばれた一種、nは0〜1をそれぞ
    れ表す。)で表される活性シリル基末端が1分子中に少
    なくとも平均0.7ケ以上導入され、その活性シリル基
    を除く主鎖が水溶性の、アクリル、ウレタン、ポリエー
    テル、ポリエーテルポリエステル又はポリエステルから
    選ばれた1種または2種以上であり、かつ重量平均分子
    量が2,000〜50,000の範囲にある活性シリル
    基含有プレポリマー及び/またはその加水分解生成物で
    ある活性シラノール基含有プレポリマーの1種とする事
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の軽量無機
    質ボード成型体の製造方法。
  9. 【請求項9】 水に対しいかなる割合にも相溶する性質
    を示す水溶性有機高分子が、前記(a)〜(h)の1種
    及び/または2種以上で表され、かつアルカリ水ガラス
    と非反応性の水溶性有機高分子と、前記活性シリル基含
    有プレポリマーとを使用し、その配合比率を非反応性水
    溶性有機高分子:活性シリル基含有プレポリマーで表さ
    れる重量比率で(1:100)〜(100:1)の範囲
    で使用する事を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
    載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
  10. 【請求項10】 水ガラス硬化剤が、水溶性の有機酸、
    アルカリ水中で徐放性の酸を放出する水溶性有機単量硬
    化剤、無機質硬化剤又はCO2などから選ばれた少なく
    とも1種または2種以上を用いる事を特徴とする請求項
    1〜9のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 アルカリ水中で徐放性の酸を放出する
    水溶性有機単量硬化剤が、水溶性アルキレンカーボネー
    ト類、水溶性ラクトン類、水溶性アルキレングリコール
    ジアセテート化合物又は水溶性2塩基酸アルキルエステ
    ル類等から選ばれた1種または2種以上とする事を特徴
    とする請求項10記載の軽量無機質ボード成型体の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 主剤液A中のアルカリ水ガラス含有濃
    度が、固形分換算で5〜50重量%となる様に含有させ
    る事を特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載の軽
    量無機質ボード成型体の製造方法。
  13. 【請求項13】 主剤液Aの全量と混合された際にその
    主剤液A中のNa2O及び/またはK2Oで表される全ア
    ルカリ分の50〜250モル%分に相当する水ガラス硬
    化剤と、硬化剤液中に占める含有濃度で2.5〜50重
    量%である、水に対しいかなる割合にも相溶する性質を
    示す水溶性有機高分子とを含有してなる水溶液を硬化剤
    液Bとして用いる事を特徴とする請求項4〜12のいず
    れかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
  14. 【請求項14】 主剤液Aと硬化剤液Bの2液混和型の
    結着用バインダー組成物(α)であって、主剤液Aが以
    下に記載の主剤液E、硬化剤液Bが以下に記載の硬化剤
    液Fからなる事を特徴とする請求項4〜13のいずれか
    に記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。主剤液E
    が、SiO2/Na2Oのモル比が2.5〜3.5からな
    るアルカリ水ガラスの固形分15〜40重量%である水
    溶液。硬化剤液Fが、該主剤液Eの全量と混合された
    時、その硬化液E中のNa2Oで表されるアルカリ分の
    50〜250モル%分に相当するアルカリ水中で徐放性
    の有機酸を放出する水溶性有機単量硬化剤と、水溶性有
    機高分子がエチレングリコール及び/またはグリセリン
    に対し付加変性量を100とした割合でエチレンオキサ
    イドの80〜99重量%、プロピレンオキサイドの20
    〜1重量%をランダム付加またはブロック付加させて得
    られた重量平均分子量が2,000〜30,000の範
    囲にあるポリエーテルジオール及び/またはポリエーテ
    ルトリオールの1種または2種以上であり、該硬化剤F
    液中に占める含有濃度で5〜35重量%である水溶性有
    機高分子とを配合してなる水溶液。
  15. 【請求項15】 水ガラス硬化剤が、グリオキザールの
    単独若しくは更に炭酸、硫酸又は燐酸から選ばれた1
    種、炭酸水素アルカリ金属塩及び/または硫酸水素アル
    カリ金属塩との併用のいずれかからなり、かつその合計
    量が系中のアルカリ水ガラスの(Na2O+K2O)で表
    される全アルカリ分の70〜200モル%分に相当する
    量を含有する事を特徴とする請求項1〜14のいずれか
    に記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
  16. 【請求項16】 水ガラス硬化剤として、エチレンカー
    ボネートまたはプロピレンカーボネートの単独を用い、
    かつその合計量が系中のアルカリ水ガラスの(Na2
    +K2O)で表される全アルカリ分の55〜110モル
    %分に相当する量を含有する事を特徴とする請求項1〜
    14のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 水ガラス硬化剤として、γ−ブチロラ
    クトンの単独を用い、かつ混和されてなる系中のアルカ
    リ水ガラスの(Na2O+K2O)で表される全アルカリ
    分の110〜210モル%分に相当する量を含有させる
    事を特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の軽量
    無機質ボード成型体の製造方法。
  18. 【請求項18】 水ガラス硬化剤として、アルキル鎖長
    部位が炭素数1から3の整数で表される水溶性ジカルボ
    ン酸アルキルエステル化合物の1種を用い、かつ混和さ
    れてなる系中のアルカリ水ガラスの(Na2O+K2O)
    で表される全アルカリ分の55〜110モル%分に相当
    する量を含有する事を特徴とする請求項1〜14のいず
    れかに記載の軽量無機質ボード成型体の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載の製
    造方法で得られる軽量無機質ボード成型体。
  20. 【請求項20】 請求項1〜18のいずれかに記載の製
    造方法で得られ、結着用バインダー組成物(α)に由来
    する軽量無機骨材粒子相互間の間隙結着構造が角に丸み
    を持った10〜18多面体からなる1〜200μmサイ
    ズの独立気泡を内蔵するみかけ蜂の巣様のミクロ構造か
    らなる多孔質シリカエアロゲル硬化体の高次構造で構成
    されている事を特徴とする軽量無機質ボード成型体。
  21. 【請求項21】 密度が、0.1〜0.6g/cm3
    範囲にある事を特徴とする請求項19または20記載の
    軽量無機質ボード成型体。
  22. 【請求項22】 片表面にシーラー組成物及び/または
    塗料組成物を塗付し、もう一方の片表面が化粧コートさ
    れた非透水性の性質を有する事を特徴とする請求項19
    〜21のいずれかに記載の軽量無機質ボード成型体。
  23. 【請求項23】 シーラー組成物が、シリコンまたはフ
    ッ素化合物を含有してなる溶液またはエマルション組成
    物、アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エポキシ樹
    脂組成物等から選ばれた少なくとも1種とする事を特徴
    とする請求項22記載の軽量無機質ボード成型体。
  24. 【請求項24】 塗料組成物が、シリコンまたはフッ素
    化合物を含有してなる溶液またはエマルション組成物、
    アクリル樹脂組成物、ウレタン組成物、エポキシ樹脂組
    成物から選ばれた少なくとも1種とする事を特徴とする
    請求項22記載の軽量無機質ボード成型体。
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