JPH11265555A - ディスク装置および制御方法 - Google Patents

ディスク装置および制御方法

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JPH11265555A
JPH11265555A JP6251998A JP6251998A JPH11265555A JP H11265555 A JPH11265555 A JP H11265555A JP 6251998 A JP6251998 A JP 6251998A JP 6251998 A JP6251998 A JP 6251998A JP H11265555 A JPH11265555 A JP H11265555A
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JP
Japan
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head
trajectory
target
calculating
operation amount
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Application number
JP6251998A
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English (en)
Inventor
Masato Kobayashi
正人 小林
Iwao Oshimi
巌 押味
Yoshio Soyama
良夫 曽山
Akio Shiotani
秋夫 塩谷
Yuji Hata
裕二 秦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Moving Of Head For Track Selection And Changing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】100トラック程度以下のショートスパンシー
クを高速化する。 【解決手段】サーボ情報の割り込み周期を4分割したサ
ンプリング周期で動作するマルチレートフィードフォワ
ード制御器77とマルチレートD/A変換器66を有す
るディスク装置を提供する。フィードフォワード制御器
77に入力する目標位置軌道82は、予め決められた時
刻だけ進ませ75、フォロイング制御器に対する目標位
置軌道は、予め決められた時刻だけ遅らせる73。以上
により、目標位置軌道に高精度にヘッド位置を追従させ
ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク装置
や光ディスク装置などのディスク装置に係り、特に、位
置制御のみで高速なヘッドの移動を行うディスク装置お
よびヘッドの位置決め制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ディスク装置のサーボ情報に基づい
たヘッドの位置決め方式では、ヘッドを目標のシリンダ
上へ高速に移動させるシーク動作や、目標のトラック中
心に高精度に追従させるフォロイング動作を行うのに適
している。このシーク動作中のヘッドの移動時間すなわ
ちシーク時間と、フォロイング動作中のヘッドの追従精
度すなわち位置決め精度は、磁気ディスク装置の記憶能
力と装置性能を決定する重要な要素である。
【0003】ところで、短いスパンのシーク動作を高速
化する技術として、特開平9-82050号公報や特開平9-139
032号公報に制御モードの切り替えを必要とせず、位置
制御のみでシーク動作を行う技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、以下
のような問題があった。
【0005】(1) 高速な移動を可能とするために、公
知技術である目標加速度軌道と目標位置軌道を用いたシ
ーク動作を行っている。しかし、それぞれの目標軌道の
設計時に、制御対象の遅れ要素や制御対象の離散化につ
いて考慮していないため、思考錯誤的に求めた目標位置
軌道修正値を別途設けて、目標位置軌道を逐次修正する
必要があった。更に、目標軌道の設計時に、フィードフ
ォワード制御器の演算時間とフィードバック制御器の演
算時間を考慮していない。このため、順次制御器を演算
し、演算が終了した時点で順次D/A変換器に出力する
などの処理が必要であった。
【0006】(2) 目標加速度軌道を出力するタイミン
グを、位置信号を取得するサンプリングの1/2のサン
プリングで処理するマルチレート制御を行っているが、
ソフト的にマルチレート出力信号のタイミングを処理し
ているため、正確なマルチレートサンプリング周期の設
定が不可能であり、また、1サンプリング内に出力する
マルチレート出力の数を任意に設定することが困難であ
った。
【0007】(3) 目標加速度軌道を加速・減速で対称
な三角波形としているため、目標軌道の移動周期をヘッ
ド支持機構の共振周期の2倍以上に設定しなければなら
ず、シーク時間の更なる短縮が困難であった。
【0008】上記課題は、ディスク装置の高速位置決め
を図るために解決されるべき重要な課題である。
【0009】ゆえに、本発明の一つの目的は、制御対象
の離散化、演算時間遅れ、ノッチフィルタやパワーアン
プの位相遅れに基づいた目標軌道の設計を行うことで、
設定した目標位置の軌道に正確にヘッドの位置信号を追
従させることを可能とするディスク装置および位置決め
制御方式を提供することである。
【0010】また、本発明のもう一つの目的は、マルチ
レート制御の出力数およびマルチレートサンプリング周
期をディジタル回路を用いて正確に設定することを可能
とするディスク装置および位置決め制御方式を提供する
ことである。
【0011】さらに、本発明の他の一つの目的は、目標
加速度軌道の形状を加速・減速で非対称とすることで、
ヘッドの移動周期をヘッド支持機構の共振周期の1.5
倍以上に設定可能で、かつヘッドの位置決めの整定が良
好なディスク装置および位置決め制御方式を提供するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ヘッドの位置を所定のサンプリング周期
で検出する位置信号検出手段と、マイクロプロセッサに
よりヘッドを位置決め制御する操作量を演算する制御手
段と、操作量をディジタル・アナログ変換するD/A変
換器とを備えたディスク装置において、前記D/A変換
器の変換のタイミングを設定する少なくとも一つ以上の
タイミングレジスタと、設定されたタイミングにディジ
タル・アナログ変換する操作量を設定する少なくとも一
以上の操作量レジスタを設けた構成とした。
【0013】また、制御手段に、目標位置軌道を所定の
時間進ませる進み手段を設け、その進み手段の出力に目
標軌道を基にフィードフォワード制御量を演算するフィ
ードフォワード制御器を接続し、目標位置軌道を所定の
時間遅らせた目標軌道を基にフィードバック制御量を演
算するフィードバック制御器を設けた構成とした。
【0014】
【発明の実施の形態】これまでは、位置信号を検出し、
その位置信号に基づいてヘッドの操作量を演算し、その
操作量をヘッドを駆動するパワーアンプに1回出力する
ことが行われていた。すなわち、1サンプリング周期の
間に、1回の操作量を出力するだけであった。ヘッドの
高速な移動や高精度の位置決めを達成するためには、サ
ンプリング周期を短くすることが重要であるが、磁気デ
ィスク装置においては、ディスク面に位置情報を記録す
るため、多くの位置情報をディスク面に予め記録してお
くことは、それだけデータを記憶する領域が狭くなり望
ましくない。
【0015】以下、本発明の実施例を図面により詳細に
説明する。図1は、本発明のディスク装置の一実施例の
ハードウエア構成図である。本図では、位置信号を取得
してから、次の位置信号を取得する間に、4回の操作量
をパワーアンプに出力するマルチレート制御を実施する
ハードウエアの構成を示している。
【0016】図1において、マルチレート設定システム
27により、マルチレート制御の演算結果である操作量
を出力するタイミングを制御することができる。これに
より、データの記憶領域を狭くすることなく、ヘッドを
駆動する操作量の数を増やすことができ、パワーアンプ
31の出力電流が滑らかとなり、ヘッド1の移動中の振
動の低減やヘッドの移動の高速化を実現できる。以下、
マルチレート設定システム27の構成を説明する。
【0017】本実施例の磁気ディスク装置においては、
上位コントローラから記録もしくは再生の命令がコマン
ドインターフェイス12に送られる。このコマンドイン
ターフェイス12は、マイクロプロセッサ15に目的の
磁気ディスク3上に形成されたトラックへのヘッド1の
移動を指令するものである。スピンドルモータで駆動さ
れる軸2には、磁気ディスク3が取り付けられており、
磁気ディスク面上をヘッド1が僅かにすき間をおいて浮
上している。ヘッド1は、板バネ4により支持され、板
バネ4はキャリッジアーム5に支持されている。キャリ
ッジアーム5は、ボイスコイルモータ6に一体に固定さ
れている。ボイスコイルモータ6の移動に伴い、ヘッド
1は、ピボット軸7を中心にして、磁気ディスク3の外
周から内周方向あるいはその逆方向へ移動し、磁気ディ
スク3のトラック上に記録されたデータをヘッドアンプ
10とR/W回路(図示せず)を介して、読み取りまた
は書き込みをする。
【0018】本実施例の磁気ディスク装置は、高密度記
録達成のため、磁気ディスク3のトラックのセクタの先
頭に記録されたサーボ情報8をヘッド1で読み取り、位
置決めを行うセクタサーボ方式を採用している。ヘッド
1から得られたサーボ情報8は、フレキシブル・プリン
テッド・サーキット(FPC)9を介し、ヘッドアンプ
10で増幅して、位置信号復調回路11で、位置信号に
変換される。ディスク3は、一定の回転数で回転してい
るため、サーボ情報8は一定の間隔で変換される。この
間隔をサンプリング時間とよび、Tsと表わす。位置信
号は、A/D変換器リードフラグ信号14をトリガとし
て、A/D(アナログ・ディジタル)変換器13により
デジタル信号に変換される。また、サーボ情報8のなか
にはシリンダ番号を記録した箇所があり、これは、シリ
ンダ番号復調回路12により復調される。位置信号およ
びシリンダ番号は、バスライン20を介して、マイクロ
プロセッサ15に取り込まれる。
【0019】マイクロプロセッサシステム18は、マイ
クロプロセッサ15がバスライン20を介して、RAM
(ランダムアクセスメモリ)16、ROM(読み出し専
用メモリ)17に接続されている。ROMには、各種制
御系などのプログラムを格納する。RAM16は、位置
制御系のフォロイング制御器の状態変数や、可変ゲイン
等を一時的に格納する。マイクロプロセッサ15は、各
種制御系の演算を実行し、ヘッド1を駆動する指令値で
ある操作量(目標位置やそこに至るまでの目標加速度等
を含む制御量)をD/A変換器30に出力する。これま
では、1サンプリング周期の間に、1回の操作量を出力
するだけであったが、本実施例では、1サンプリング時
間Tsの間に4回の操作量を出力するようにした。その
出力された操作量はマルチレート設定システム27内の
4つのレジスタ22に格納される。各4つの操作量(DA
C0、DAC1、DAC2、DAC3)は、マルチレート設定システム
27中のタイミングレジスタ21に設定されたタイミン
グタイミングで、D/A変換器30によりアナログ信号
に変換された後、ボイスコイルモータ6を駆動するパワ
ーアンプ31に送出され、ヘッド1の位置決めが行われ
る。
【0020】図1に示すマルチレート設定システム27
は、マルチレート設定回路23と、4つのマルチレート
操作量レジスタ22と、3つのタイミングレジスタ21
から構成される。マルチレート設定回路23は、サンプ
リング時間Tsを4分割したマルチレート周期(Tss=
Ts/4)でマルチレート操作量レジスタ22に格納さ
れた操作量(DAC0、DAC1、DAC2、DAC3)を、タイミング
レジスタ21に格納された予め決められたタイミング
(TIME1、TIME2、TIME3)でD/A変換器30に出力す
る回路である。マルチレート設定回路は、タイマースタ
ートフラグ24で動作を開始し、D/A変換器に対しD
/A変換器ライトフラグ29を設定する。
【0021】以下、マルチレート設定システム27の動
作タイミングの説明を図2を用いて行う。また、マルチ
レート設定システム27の詳細なハードウエア構成の説
明を図3を用いて行う。なお、ここでは、サーボ情報を
4分割するマルチレート設定回路について述べている
が、本発明は4分割に限定するものではなく、任意の分
割数が設定可能である。このように、サーボ情報を分割
し所定のタイミングで出力できるように構成することに
より、高精度の位置制御が可能になる。
【0022】図2にマルチレート設定システム27の動
作タイミングの一例を示す。
【0023】サーボ情報(セクタ情報)8の割り込みフ
ラグ35の周期は、一定のサンプリング時間でTsとす
る。本実施例では150μsとしている。サーボ情報の
割り込みフラグ35立ち下がると、位置信号復調回路1
1が働き、A/D変換器のリードフラグ36が立ち下が
り、マイクロプロセッサ15は、位置信号を読み取る。
マイクロプロセッサ15は、位置信号とシリンダ復調回
路12で復調したシリンダ番号から全シリンダで有効な
位置信号を生成し、これを基に、目的のトラックに高速
に移動するためのヘッド1を駆動する操作量を演算する
39−1。
【0024】操作量の具体的な演算方法は、図4を用い
て後に詳細に説明する。ここでは、位置信号を読み取っ
て初めに演算したヘッドを駆動するための操作量を第一
の操作量と呼び、DAC0で表わす。この演算した操作量DA
C0に対して、マルチレート設定回路23は、直ちにD/
A変換器30に対し、D/A変換器ライトフラグ37を
送出し、D/A変換が実施される。なお、A/D変換器
のリードフラグ36−1の立ち下がりから、第一の操作
量DAC0に対するD/A変換器のライトフラグ37−1の
立ち下がりまでの時間をTdとする。この時間は、第一
の操作量を演算するのに要した時間であることから演算
時間遅れと呼ぶ。
【0025】その後、タイマースタートフラグ38−1
を設定し、第二、第三、第四の操作量DAC1、DAC2、DAC3
を演算し39−2、これを所定の操作量レジスタ22に
格納する。マルチレート設定システム27は、タイマー
スタートフラグ38−1の立ち下がりから時刻のカウン
トを開始し、時刻の監視を行う。そして、時刻TIME1後
に、第二の操作量DAC1をD/A変換してパワーアンプに
出力するため、D/A変換器ライトフラグ37−2を設
定する。同様に、タイマースタートフラグから時刻TIME
2後に、第三の操作量DAC2をD/A変換して出力するた
め、D/A変換器ライトフラグ37−3を設定する。そ
して、タイマースタートフラグから時刻TIME3後に、第
四の操作量DAC3をD/A変換して出力するため、D/A
変換器ライトフラグ37−4を設定する。DAC1からDAC3
までの操作量の演算は、第一の操作量DAC0を出力した後
に演算する39−2。そうすることで、演算時間遅れT
dに影響を与えない。
【0026】例えば、図2に示すように、サーボ周期
(Ts=150μs)を均等に4分割したマルチレート
周期(Tss=37.5μs)でマルチレート出力したい
場合には、第一の操作量DAC0を出力(37−1)してか
らタイマースタートフラグを設定する(38−1)まで
の時間が10μs要したとすると、TIME1=37.5−
10=27.5μs、TIME2=75−10=65μs、T
IME3=112.5−10=102.5μsをタイマーレ
ジスタに設定すればよい。本発明によれば、サーボ周期
を均等に4分割するだけでなく、上記タイマーレジスタ
の値を変えることにより、任意の時間で分割可能であ
る。なお、上述のマルチレート処理は、タイマースター
トフラグ38を設定することにより、有効となる。この
ように、従来サーボ周期はサンプリングタイムに同期し
ていたものを、更に細分割することができ、位置制御を
アナログ制御並みに滑らかに精度良く行うことが可能と
なる。なお、タイマースタートフラグを設定しない場合
には、従来の第一の操作量DAC0のみを出力するシングル
レートの処理とすることができる。
【0027】図3は、図1に示すマルチレート設定シス
テム27の詳細な回路構成の一例である。
【0028】マルチレート設定システムは、4つの操作
量レジスタ22に対応する4つのフリップフロップ回路
40〜43、3つのタイミングレジスタ21に対応する
3つのフリップフロップ回路44〜46、カウンタ回路
47、カウンタの出力とタイミングレジスタの出力を比
較する比較器48、そして比較器の出力に応じてD/A
変換器へ出力する操作量を決定する選択器49からな
る。マイクロプロセッサ15は、第一の操作量レジスタ
にDAC0の値を書き込むと、バスライン25を介してフリ
ップフロップ回路40にDAC0の値が設定される。それと
同時に、D/A変換ライトフラグ29が設定される。
【0029】タイマースタートフラグ24が選択器49
に設定されると、選択器49は、カウンタ47の出力を
ゼロクリアする。マイクロプロセッサ18は、第二の操
作量DAC1、第二の操作量DAC2、第三の操作量DAC3を操作
量レジスタ22に書き込む。それぞれの値は、フリップ
フロップ回路41〜43に設定される。また、マイクロ
プロセッサ18は、タイミングレジスタ21に、時刻TI
ME1、TIME2、TIME3の値を書き込む。それらは、バスラ
イン26を介してフリップフロップ回路44〜46に設
定される。
【0030】カウンタ47は、設定した分解能のクロッ
ク54でカウントアップする。ここでは、クロックを2
MHzとする。すなわち、1カウントは0.5μsであ
る。選択器49は、タイマースタートフラグ24が設定
されると同時に、フラグ51を選択し、時刻TIME1の値
を比較器48に、操作量DAC1の値をD/A変換器30に
設定する。例えば、先に示したTIME1=27.5μsを実
現するには、TIME1=55をタイミングレジスタ21に
設定すれば良い。比較器48は、TIME1とカウンタの出
力が等しくなったとき、すなわち、カウンタが55の値
となったとき、選択器49に出力信号を送出する。選択
器49は、D/A変換器30にD/A変換器ライトフラ
グ29を送出し、D/A変換器30は、予め設定されて
いたDAC1の値をアナログ信号に変換し、パワーアンプ3
1に出力する。
【0031】以上の操作が終了した後、選択器49は、
フラグ52を選択し、上記と同様に、時刻TIME2の値を
比較器に、操作量DAC2の値をD/A変換器30に設定す
る。TIME2とカウンタの出力が等しくなったとき、DAC2
がD/A変換器30から出力される。さらに、選択器4
9は、フラグ53を選択し、時刻TIME3の値を比較器4
8に、操作量DAC3の値をD/A変換器30に設定する。
TIME3とカウンタの出力が等しくなったとき、DAC3がD
/A変換器30から出力される。
【0032】図1及び図3に示す構成とすることによっ
て、操作量を従来のサンプリングに対し一回から、複数
回に増やすことができる。これにより、ヘッドの駆動電
流がより滑らかとなり、また、より細かな制御が可能と
なり、ヘッドの高速な移動や、振動の低減や、外乱に対
し強いヘッド位置決め制御系を実現できる。以下、上記
ハードウエアを用い、ヘッドの高速な移動などを実現す
るマルチレート制御に関するソフトウエア処理について
ブロック線図およびフローを用いて説明する。
【0033】図4は、本発明に係わるディスク装置の一
実施例を示す位置決めマルチレート制御系のブロック線
図である。
【0034】従来の、フィードフォワード制御器とフィ
ードバック制御器を組み合わせてヘッドの高速な移動を
行う方法におけるフィードフォワード制御系の基本的な
考え方は、フィードフォワード制御器に、制御対象の逆
ダイナミックスを設定するものである。すると、目標位
置軌道から制御対象の出力までの伝達関数が1となり、
ヘッド位置が目標位置軌道に追従する。ヘッド位置と目
標位置との差、すなわち、追従誤差は、フォロイング制
御器で抑圧する。ところで先に述べたように、従来は、
思考錯誤的に求めた目標位置軌道修正値を別途設けて、
目標位置軌道を逐次修正する方法や、順次制御器を演算
し、演算が終了した時点で順次D/A変換器に出力する
などの処理が必要があった。
【0035】本発明は、制御対象の離散化、演算時間遅
れ、ノッチフィルタやパワーアンプの位相遅れに基づい
た目標軌道の設計の設計を行うものである。
【0036】本発明の第1の特徴は、目標軌道の未来値
を利用することにより、目標位置軌道から制御量である
ヘッドの位置までの応答の位相差をなくし、高精度に目
標位置軌道にヘッドを追従させるフィードフォワード制
御系を構成することである。すなわち、フィードフォワ
ード制御系に印加する目標位置軌道はある設計値だけ進
ませることを行う。図4では、フィードフォワード制御
器をマルチレート周期Tssで演算する構成となってい
る。
【0037】第2の特徴は、フィードバック制御系に印
加する目標位置軌道をある値だけ遅延させることであ
る。図4では、フィードバック制御系は、シングルレー
ト周期(サンプリング周期)Tsで演算する構成となって
いる。
【0038】更に、第3の特徴は、ヘッドを支持する機
構系を励振しにくい目標軌道にすることである。なお、
目標軌道の設計法は、図9を用いて後述する。以上によ
り、高速なヘッドの移動を実現できる。
【0039】図4は、マルチレートD/A変換器66と
マルチレートフィードフォワード制御器77を持つ。図
4のマルチレートD/A変換器66は、図1のマルチレ
ート設定システム27とD/A変換器30に相当する。
本図では、機構共振71を抑圧するノッチフィルタ67
を備えている。更に、ボイスコイルモータ6を駆動する
パワーアンプ31のゲインKA68や、ボイスコイルモ
ータ6の推力定数KF69を備えている。
【0040】外力70は、図1で示すFPC9などによ
りキャリッジ5に加わる外力である。この力は、ヘッド
のトラック位置に対応して変動する。本図では、図1で
示したヘッドを搭載したキャリッジを質量mの慣性体6
0としてモデル化している。キャリッジはピボット部の
弾性変形や曲げ特性により機構共振71を持つ。ヘッド
の位置72は、サーボ情報8の間隔でサンプル検出61
される。このサンプルタイムはTsである。Kp62は、
ヘッド位置の検出ゲインである。ここで、議論している
磁気ディスク装置は、トラックピッチとして7000トラッ
ク/インチ(TPI)、サンプルタイムとしてTs=150μ
s、4分割したマルチレートサンプルタイムとしてTss
=37.5μsのものを想定している。
【0041】以下、数式を用いながら本発明によるマル
チレートフィードフォワード制御器77、目標位置軌道
72の生成方法を詳細に説明する。磁気ディスク装置の
ヘッド位置決め機構系の制御対象を連続時間で記述する
と次式となる。ここでは話を簡潔にするために二重積分
でモデル化する。
【0042】
【数1】
【0043】ここで、kは、制御対象のループゲインで
あり、D/A変換器66の変換ゲイン、パワーアンプの
ゲインKA68、ボイスコイルモータの推力ゲインKF6
9、慣性質量m60より算出することができる。上式を
サンプルタイムTssで離散化すると、離散時間系の制御
対象は、次式となる。
【0044】
【数2】
【0045】ただし、
【0046】
【数3】
【0047】
【数4】
【0048】(数4)は1ステップ遅れを表わし、時刻Ts
sの遅れを作用させる演算子を意味する。(数2)の分
子多項式は、安定限界であり、その逆ダイナミック数
は、不安定となる。よって、単純に制御対象を離散化し
てその逆ダイナミックスをマルチレートフィードフォワ
ード制御器77に構成することはできない。
【0049】ここで、マルチレートフィードフォワード
制御器77の設計を説明するため、制御対象を一般化し
て説明する。一般化した離散時間制御対象を次式とす
る。
【0050】
【数5】
【0051】但し、
【0052】
【数6】
【0053】
【数7】
【0054】次に、(数5)の分子多項式を安定な多項
式と不安定な多項式の2つの部分に分ける。
【0055】
【数8】
【0056】但し、
【0057】
【数9】
【0058】
【数10】
【0059】但し、
【0060】
【数11】
【0061】とする。ここで、不安定な多項式の極零消
去をさけるため、安定な零点のみの逆システムを構成す
るとするとそれは、次式となる。
【0062】
【数12】
【0063】さらに、不安定な零点を有する多項式を基
に次式を演算する。
【0064】
【数13】
【0065】マルチレートフィードフォワード制御器7
7は、(数12)と(数13)を用いて次式で構成す
る。
【0066】
【数14】
【0067】なお、本発明においては、上記マルチレー
トフィードフォワード制御器への印加入力である目標位
置軌道82を、(s+d)ステップだけ進めた目標位置軌道
の未来値を使用することに特徴がある。(s+d)ステップ
は、時間に変換すると時刻Tf=Tss・(s+d)となり、ブロッ
ク75で時刻Tfだけ進ませることを行う。これをマルチ
レートサンプルタイムTssでサンプリングして76、マ
ルチレートフィードフォワード制御器77に印加する。
これにより、目標位置軌道yd(k)82から制御出力y
(k)94までの関係は下記のようになる。
【0068】
【数15】
【0069】ここで、(数15)の周波数特性は下記の
ようになる。但し、Tss=Tとした。
【0070】
【数16】
【0071】ただし、
【0072】
【数17】
【0073】
【数18】
【0074】ここで、(数16)は、複素部分をもたな
い。このことは、すべての周波数において、位相の変化
はないことを意味する。また、低周波数領域では、cos
関数は1として、sin関数は0として近似できるため、
(数16)のゲインは1に近づくことがわかる。
【0075】さて、(数2)で記述される磁気ディスク
装置の制御対象に対するマルチレートフィードフォワー
ド制御器を(数14)に従って構成すると次式となる。
【0076】
【数19】
【0077】また、目標位置軌道は、(s+d)ステップ
は、この場合、2ステップであることから、2ステップ
進めた未来値yd(k+2)を用いる。これにより、目標位置
軌道yd(k)からヘッド位置y(k)までの関係は、次式とな
る。
【0078】
【数20】
【0079】上式は、先に説明したように、位相特性
は、周波数に対し一定となり、ゲイン特性は、高周波数
領域において僅かながら低下する。このため、制御対象
を高周波数で移動しよとすると、目標位置軌道にヘッド
は僅かながら追従しきれなくなるが、位相特性は、目標
軌道に完全に一致するため、応答は良好である。
【0080】目標加速度軌道の設計手順は、図9のフロ
ーを用いて後で詳細に述べる。また、マルチレート制御
器の演算は、ヘッドの動作中に演算してもよいが、ここ
では、離散時間系の目標加速度軌道としてメモリ84に
予め記憶させておく。
【0081】一方、制御系の安定性を確保するフィード
バック制御系は、従来よりフォロイング動作時に用いら
れているフォロイング制御器63をそのまま使用する。
例えば、リード・ラグフィルタやPIDフィルタなどと
する。Gb64は、開ループ系のゼロクロス周波数が所
定の周波数、例えば500Hzとなるように設定する。
また、外力70を打ち消すため、予め求めておいた外力
の推定値65をトラック位置に応じて加算する。さて、
予めメモリに記憶させておく離散時間系の目標位置軌道
79は、連続時関係の目標位置軌道72を時刻Tmだけ
遅らせ73、サンプリングTsでサンプル74して得
る。ここで、時刻Tmは、ノッチフィルタとパワーアン
プの位相遅れに相当する時間遅れと図2で示した演算時
間遅れTdを加算した時間とする。
【0082】マルチレートフィードフォワード制御器7
7と目標位置軌道を時刻Tfだけ進ませることにより、制
御対象60の安定な離散時間系の逆モデルを構築でき、
他のブロックの遅れ、ここではノッチフィルタ67とパ
ワーアンプ68と演算時間遅れTdの合計の遅れ時間Tm
は、フォロイング制御器63への目標位置軌道を時刻Tm
だけ遅らせることでヘッド位置72は、正確に目標位置
軌道82に追従することができる。
【0083】以上、マルチレートフィードフォワード制
御器77の設計において、制御対象を慣性体として説明
したが、制御対象を慣性体と演算時間遅れTdとした次
式の連続時関係の制御対象を離散化しても設計可能であ
る。なお、目標位置軌道は2ステップ未来値を用いる。
【0084】
【数21】
【0085】この場合は、ブロック73の遅れ要素Tm
は、ノッチフィルタ67とパワーアンプ68の位相遅れ
に相当する時間遅れを設定すればよい。
【0086】また、マルチレートフィードフォワード制
御器77の設計において、制御対象を慣性体と機構共振
として構成しても良い。この場合は、機構共振の振動の
影響を最小に抑える目標軌道を設計可能となる。また、
ボイスコイルモータの周波数特性やノッチフィルタの周
波数特性と組み合わせても良い。
【0087】図5は、本発明の一実施例であるマルチレ
ートフィードフォワード制御の実行手順を示すシーク処
理全体のフローチャートである。
【0088】まず、上位コントローラからシーク命令を
受ける(ステップS1)。次に、目標のヘッド番号を取
得し、ヘッドの切り替えを行う(S2)。また、目標の
シリンダ番号を取得し、目標シリンダ番号と現在のシリ
ンダ番号の差を求め、移動シリンダ数を算出する(S
3)。移動シリンダ数が、100トラック以上の場合に
は(S4)、フォロイング制御器63の状態変数をゼロ
クリアし(S5)、通常のシーク制御でトラック近傍ま
で移動し(S6)、そして通常のセトリング制御に制御
モードを切り替えて(S7)、ヘッドが目標トラック上
で整定した後に、通常のフォロイング制御に切り替える
(S13)。一方、S4で、移動シリンダが100トラ
ック以下の場合、サンプルカウンタcountをゼロクリア
する(S8)。そして、マルチレートフィードフォワー
ド制御を実行する(S9)。これは、図6にて詳細に説
明する。
【0089】次に、サンプルカウンタを1つ繰り上げ
(S10)、サンプルカウンタが16に至るまでマルチ
レートフィードフォワード制御(S9)を実施し、サン
プルカウンタが17の時、マルチレートD/A変換器の
設定をクリアする(S12)。この時、フィードフォワ
ード軌道と目標位置軌道がゼロとなっているので、通常
のフォロイング制御に移行している(S13)。
【0090】ここで、本発明のマルチレートフィードフ
ォワード制御(S9)を通過する処理では、フォロイン
グ制御器の状態変数をゼロクリアしていないことに注意
する。このことは、本発明の制御器は、一定値外力に対
し特に強い。
【0091】図6は、図5のステップS9で示すマルチ
レートフィードフォワード制御の詳細フローチャートで
ある。ステップS15からステップS27までは、図2の
マイクロプロセッサ演算処理39−1に対応し、ステッ
プS28からステップS29までは、図2の演算処理39
−2に対応する。
【0092】まず、ステップS15でサーボ情報の割り
込みフラグが発生すると、ステップS16でA/D変換
器より現在の位置信号を取得する。そして、目標の位置
から現在の位置の偏差を残距離として演算する(S1
7)。ステップS18で、ステップカウンタcountが0
のとき、残距離を初期残距離:X(0)として、メモリに格
納し(ステップS19)、移動シリンダに対応した離散
時間系の目標位置軌道のテーブル:tbl_pos[]83と離
散時間系の目標加速度軌道のテーブル:tbl_acc[][]8
4を選択する(ステップS20)。
【0093】図14に一例として16シリンダシークに
使用する目標位置軌道のテーブル83と目標加速度軌道
のテーブル84を示す。テーブルの作成方法は図9を用
いて後に詳細に説明する。ここでは、目標位置テーブル
は、サンプルタイムTsに対応したステップカウンタcou
ntの関数であり、目標加速度テーブルは、ステップカウ
ンタcountとマルチレートサンプリングTssに対応したマ
ルチレートカウンタmcountの関数であることに注意す
る。ここで、countは0から15まで、マルチレートカ
ウンタmcountは、ここではマルチレートサンプルタイム
は通常のサンプルタイムを4分割していることから0か
ら3までとする。
【0094】さて、ステップS21では、countに対応
した目標位置軌道と、ccountとmcount=0に対応した目標
加速度軌道0を算出する。目標位置軌道は、tbl_pos[cou
nt]*X(0)で算出する。目標加速度軌道0は、tbl_acc[cou
nt][mcount=0]*X(0)*ゲイン調整で算出する。ここでゲ
イン調整は、トラック位置に依存したボイスコイルモー
タのゲインの変動を打ち消すゲインを乗算する。ステッ
プS22では、演算した目標位置軌道と残距離との偏差
をとり、フォロイング偏差信号98を演算する。このフ
ォロイング偏差信号を通常の位相進み・遅れ補償やPI
D補償などで構成されるフォロイング制御器63で補償
し、操作量U95を算出する(S23)。
【0095】次に、操作量Uに推定外力65を加算し、
DAC_U96を算出する(ステップS24)。ここで、推
定外力65は、外乱オブザーバ等によりトラック毎に予
め求めておく。ステップS25では、DAC_U96を一時
メモリに格納する。ステップS26は、DAC_Uと目標加
速度軌道0:80を加算して第一の操作量DAC0を算出す
る。そしてマルチレート操作量レジスタ22にDAC0を出
力する(ステップS27)。ステップS28では、マル
チレートD/A変換器66に設定する第二、第三、第四
の操作量を演算する。このフローは、図7にて詳細に説
明する。最後に、ステップS29にて、フォロイング制
御器の状態変数を更新する。
【0096】図7は、図6のステップS28で示したマ
ルチレート操作量レジスタ22に設定する第二、第三、
第四の操作量の演算を説明するフローチャートである。
【0097】まず、ステップS30で、マルチレート設
定システム27のタイマーレジスタ21に設定するマル
チレート設定時間:TIME1、TIME2、TIME3を出力する。
設定時間の決定方法は、前に述べた。次に、図2で説明
したマルチレートタイマーフラグ38をスタートさせる
(ステップS31)。マルチレートカウントmcount=0の
時と同様にして、目標加速度軌道1=tbl_acc[count][m
count=1]*X(0)*ゲイン調整を演算する。目標加速度軌
道2=tbl_acc[count][mcount=2]*X(0)*ゲイン調整を
演算する。目標加速度軌道3=tbl_acc[count][mcount
=3]*X(0)*ゲイン調整を演算する(ステップS32)。
ステップS33では、先に演算したDAC_U:96に目標
加速度軌道1、2、3を加算して、それぞれ第二の操作
量DAC1、第三の操作量DAC2、第四の操作量DAC3を算出す
る。最後に、ステップS34で、マルチレート設定シス
テムの操作量レジスタ22に、DAC1、DAC2、DAC3を出力
する。以上の手順により、予め決められた時刻TIME1、T
IME2、TIME3にマルチレートフィードフォワード制御器
とフォロイング制御器で演算した第二、第三、第四の操
作量DAC1、DAC2、DAC3をD/A変換器30により、出力
することができる。
【0098】図8は、図5のステップS12で示したマ
ルチレートD/A変換器の設定をクリアするフローチャ
ートである。
【0099】D/A変換器のタイマーを無効化する処理
を施し(ステップS35)、次に、DAC1、DAC2、DAC3に
それぞれ推定外力の値を設定し(S36)、操作量レジ
スタに出力する(ステップS37)。これは、フォロイ
ング動作中に、回路が誤動作した時に過大な操作量を出
力することを防ぐためである。
【0100】目標軌道へ追従するフィードフォワード制
御系を構成する上で、目標軌道の設計は、重要である。
従来技術として、加速・減速で対称な三角波形や、正弦
波状の波形、エネルギー最小の滑らかな波形などが公知
技術として提案されている。本発明では、位置制御で制
御モードを切り替えることなく、台形波形で加速して、
台形波形で減速して、最後は指数関数で目標位置に突入
する台形加速・台形指数減速目標加速度軌道を設計す
る。
【0101】図9に本発明による目標位置軌道と目標加
速度軌道の設計手順を示すフローチャートの一例を示
す。
【0102】このフローチャートは、図4にて、離散時
間系の目標加速度軌道84と離散時間系の目標位置軌道
83を導出する手順である。特に、時刻Tf進ませるブ
ロック75は、ステップS44に対応し、時刻Tm遅ら
せるブロック73は、ステップS48に対応することに
注意する。なお、ここで求めた目標位置軌道のテーブル
83と目標加速度軌道のテーブル84は、図6のステッ
プS21と図7のステップS32で示した目標位置軌道
と目標加速度軌道の演算に使用する。目標位置軌道と目
標加速度軌道は、ヘッド移動中に演算してもよいが、事
前にこれらを求めておき、テーブルとして格納する手法
について説明する。
【0103】まず、設計する目標シリンダを設定する
(ステップS41)。次に、連続時関係の目標加速度軌
道の設計を行う(ステップS42)。これを以下の(数
22)から(数26)に示す。ここでは台形加速・台形
指数減速の目標加速度軌道とする。設計者は、時刻T
1、T2、T3、T4、T5と、指数関数の指数部cを設定
する。
【0104】
【数22】
【0105】
【数23】
【0106】
【数24】
【0107】
【数25】
【0108】
【数26】
【0109】ここで、時刻t=T5において、目標速度
がゼロとなり、かつ、目標位置が先に設定した目標シリ
ンダに到達するように、上式の最大加速度amaxと最小
加速度aminを算出する。
【0110】次に、ステップS43で、上式を二回積分
して連続時関係の目標位置軌道を演算する。この目標位
置軌道を2ステップだけすすませる。ここでは、マルチ
レート処理をサンプルタイムTsを均等に4分割すると
していることから、マルチレートサンプルタイムはTss
=Ts/4となり、よって、Tf=2×Tssだけ進ませる
(S44)。ステップS45で、上記目標位置軌道をT
ssでサンプリングして、上述の(数14)で示したマル
チレートフィードフォワード制御器77の演算をサンプ
ルタイムTssで実行して(S46)、離散時間系の目標
加速度軌道を得る(S47)。
【0111】一方、ステップS48では、連続時関係の
目標位置軌道をボイスコイルモータの位相遅れとノッチ
フィルタの位相遅れに相当する時間遅れTcと、演算時
間遅れTdを加算したTmだけ目標位置軌道を遅らせる。
これをサンプルタイムTsでサンプルし(S49)、離
散時間系の目標軌道を得る(S50)。
【0112】ステップS51で、得られた目標加速度軌
道と、目標位置軌道によりフィードフォワード制御を実
行し、満足する応答波形が得られたかを調べる。ヘッド
の応答が振動していたり、ボイスコイルモータの能力以
上の目標軌道を設定していたりすることがわかると、再
度ステップS42に戻り、連続時関係の目標加速度軌道
の設計をやり直す。満足する応答波形が得られたら、ス
テップS52に移行して、目標位置テーブルtbl_pos[]
と目標加速度テーブルtbl_acc[][]を格納する。
【0113】図10の実線が、本実施例の16シリンダ
を目標シリンダとした図9のステップS42で得られる
連続時間系の目標加速度軌道の一例である。
【0114】目標加速度W1を用いてマルチレート制御
を実行するため、T1からT5までの時刻に設定できる最
小の刻み時刻は、マルチレートサンプルタイムTssであ
るため、細かな目標加速度の設計が可能となる。これを
二回積分して図9ステップS43で得られた連続時関係
の目標位置軌道を図11のW2に示す。図11のW3
は、図9のステップS50で得られた目標位置軌道、図
11のW4は、図9のステップS45で得られた軌道で
ある。W2に対しW3は時刻Tmだけ遅れ、また、W2
に対しW4は時刻Tfだけ進んでいることが図より分か
る。
【0115】図12のW5は、図9のステップS47で
得られた目標加速度軌道である。一方、W6は、図4に
示す構成でヘッドを16トラック移動させたときの、ヘ
ッド加速度の連続時関係の応答波形である。目標加速度
軌道W5は、ステップS44で2サンプル進ませている
が、これを2サンプル遅らせてヘッド加速度の応答波形
と比較すると、目標加速度軌道とヘッドの加速度は、一
致することがわかる。
【0116】一方、図13のW3は、図9のステップS
50で得られた目標位置軌道であり、図11のW3と同
じ波形である。W7は、先と同様に図4で示す構成でヘ
ッドを16トラック移動させた時の連続時関係で表わし
たヘッド位置の応答波形である。図より、明らかに、目
標位置軌道とヘッドの位置は一致しており、本発明の有
効性を確認することができる。
【0117】図14は、この時用いた図9のステップS
52で得られた目標位置軌道のテーブルtbl_pos[]83
と目標加速度軌道のテーブルtbl_acc[][]84の数値デ
ータである。目標位置テーブルは、規格化してメモリに
格納し、目標加速度テーブルは、加速度データそのもの
を格納している。
【0118】別のトラックへの移動に対しては、新た
に、図9に従った手順で目標軌道を求めればよい。すべ
てのトラックに対し、対応する目標軌道を求めてもよい
が、あるスパンに対する代表の目標軌道を設計し、その
スパンへの移動は、その代表の目標軌道を用いて移動し
てもよい。
【0119】他のトラックに対する目標加速度軌道の設
計例として、図15にその一例を示す。図15は、図9
のステップS42で設定する目標加速度軌道のT4設計
例であり、目標シリンダに対する設定値の一例を示して
いる。例えば、図10で示した16シリンダに対して
は、T4=26×Tss=0.975msを設定すればよい
ことが分かる。ここでは、目標シリンダを72までの値
を示す。このように、本発明によれば、目標シリンダに
対し、目標軌道の設定時刻T1、T2、T3、T4、T
5をルート関数的に設定することができる。
【0120】さて、図4に示したマルチレートフィード
フォワード制御器77は、全てのブロックがサンプリン
グ周期Tsで動作する、通常のシングルレートフィード
フォワード制御器として用いることもできることは明ら
かである。この場合は、マルチレートD/A変換器66
の変わりにシングルレートD/A変換器を用いる。ま
た、図6において、マルチレート制御とシングルレート
制御の違いは、目標加速度テーブルtbl_acc[]がサンプ
ルカウントcountのみの関数となるところである。
【0121】また、シングルレートの目標軌道を決定す
るフローにおいて、図9との違いは、目標位置軌道を進
ませるステップS44で、Tf=2×Tsだけ進ませる
ことになる。また、ステップS45では、サンプルタイ
ムTsでサンプリングし、ステップS46でサンプルタ
イムTsでシングルレートフィードフォワード制御器の
演算を実行することになる。シングルレートフィードフ
ォワード制御器は、(数19)でよい。
【0122】図10の一点鎖線W10は、シングルレー
トフィードフォワード制御器で設計する際に使用する、
16シリンダを目標シリンダとした連続時間系の目標加
速度軌道の一例である。ここで、各目標軌道の設定時刻
はTsの倍数であることから図10実線W1に示すごと
く、細かな設定ができない。しかし、本発明のシングル
レートフィードフォワード制御系を構成することで、高
速な移動な達成できる。それを、図11、図16、図1
3を用いて説明する。
【0123】ここで、図11の目標軌道W2はマルチレ
ートフィードフォワード制御器の目標軌道W1を2回積
分して求めたものであるがシングルレートフィードフォ
ワード制御器の目標軌道W10を2回積分すると略同じ
値となる。また、時刻Tmだけ遅らせたフォロイング制
御器の目標位置として使用する目標位置軌道はマルチレ
ートの場合と同じ目標位置軌道W3である。時刻Tfだ
け進ませた目標位置軌道は破線で示すW13となる。こ
れは、シングルレートフィードフォワード制御器に印加
する軌道である。
【0124】さて、図16のW14は、シンググレート
フィードフォワード制御器の出力結果である目標加速度
軌道であり、W15は、制御を実施した時の実際のヘッ
ドを加速度信号である。
【0125】この結果最終的なヘッドの動きは、図13
で示したマルチレートの場合と略同じ徒なる。これよ
り、本発明により高速なヘッドの移動が実現できること
が分かる。
【0126】なお、上述した実施例では、磁気ディスク
装置を取り上げたが、本発明は、他の記憶媒体、例え
ば、光ディスクを用いる場合にも同様に実現が可能であ
る。また、上述した実施例では、数値を具体化して説明
したが、本発明は、数値による制限は受けない。
【0127】さらに、上述した実施例では、フィードフ
ォワード制御器のみをマルチレート処理して演算を実施
していたが、マルチレート処理する制御器は、フィード
フォワード制御器に限定しているわけではなく、例え
ば、フォロイング制御器63をマルチレートで演算して
もよく、また、従来技術であるシーク制御やセトリング
制御も本発明のマルチレート設定システム27を用いて
マルチレートで演算することも可能である。
【0128】
【発明の効果】本発明では、サーボ情報の割り込み周期
を、複数に分割したサンプリング周期で動作するマルチ
レートフィードフォワード制御器とマルチレートD/A
変換器を有するディスク装置を提供する。フィードフォ
ワード制御器に入力する目標位置軌道は、予め決められ
た時刻だけ進ませ、フォロイング制御器に対する目標位
置軌道は、予め決められた時刻だけ遅らせる。以上によ
り、目標位置軌道に高精度にヘッド位置を追従させるこ
とが可能となる。また、本発明のフィードフォワード制
御を実施する際、フォロイング制御器の内部変数をゼロ
クリアしないため、一定値外力に対し特に強い。本発明
により、従来、特に実現が困難であった、100トラッ
ク程度以下のショートスパンシークを高速化することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク装置のハードウエアの構成
図。
【図2】マルチレート設定システムの動作タイミングを
示す図。
【図3】マルチレート設定システムの回路構成図。
【図4】本発明の位置決め制御系のブロック線図。
【図5】本発明のシーク制御の手順を示すフローチャー
ト。
【図6】マルチレートフィードフォワード制御の手順を
示すフローチャート。
【図7】マルチレートD/A変換器に設定する操作量の
演算を示すフローチャート。
【図8】マルチレートD/A変換器の設定をクリアする
手順を示すフローチャート。
【図9】目標位置軌道と目標加速度軌道の設計手順を示
すフローチャート。
【図10】図9のステップS42で得られる応答波形。
【図11】図9のステップS43、ステップS45、ス
テップS49で得られる応答波形。
【図12】図9のステップS47で得られる応答波形。
【図13】図9のステップS50で得られる応答波形。
【図14】目標値テーブルと目標加速度テーブル。
【図15】目標シリンダに対する目標加速度軌道の時刻
T4の設定値の関係。
【図16】図10対応のシングルレート制御の応答波
形。
【符号の説明】
1…ヘッド、8…サーボ情報、15…マイクロプロセッ
サ、21…タイミングレジスタ、22…マルチレート操
作量レジスタ、23…マルチレート設定回路、27…マ
ルチレート設定システム、30…D/A変換器、31…
パワーアンプ、47…カウンタ、48…比較器、49…
選択器、63…フォロイング制御器、73…時刻Tm遅
らせるブロック、74…時刻Tf進ませるブロック、7
7…マルチレートフィードフォワード制御器、83…離
散時間系目標位置軌道のテーブル、84…離散時間系目
標加速度軌道のテーブル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩谷 秋夫 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 秦 裕二 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報が記録される円板と、前記円板との間
    で少なくとも情報の読み出しを行うヘッドと、前記ヘッ
    ドの位置を所定のサンプリング周期で検出する位置信号
    検出手段と、前記ヘッドの位置決めの操作量を演算する
    演算手段と前記操作量をディジタル・アナログ変換する
    D/A変換器とを備えた制御手段を備えたディスク装置
    において、 前記D/A変換器の変換のタイミングを設定する1つ以
    上のタイミングレジスタと、前記タイミングレジスタに
    ディジタル・アナログ変換する操作量を設定する1つ以
    上の操作量レジスタを設けたことを特徴とするディスク
    装置。
  2. 【請求項2】前記タイミングレジスタの値とカウンタの
    値を比較する比較器と、該比較した値が一致した時、前
    記設定したタイミングレジスタに対応する操作量レジス
    タの値を前記D/A変換器へ出力する選択器を設けたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
  3. 【請求項3】情報が記録される円板と、該円板との間で
    情報の読み出しまたは書き込みを行うヘッドと、該ヘッ
    ドの位置を所定のサンプリング周期で検出する位置信号
    検出手段と、マイクロプロセッサにより該ヘッドを位置
    決め制御する操作量を演算する制御手段と、該操作量を
    ディジタル・アナログ変換するD/A変換器とを備えた
    ディスク装置において、 前記制御手段は、目標位置軌道を所定の時間進ませる進
    み手段と、前記進み手段に接続され、目標軌道を基にフ
    ィードフォワード制御量を求めるフィードフォワード制
    御器と、前記目標位置軌道を所定の時間遅らせる遅延手
    段と、前記遅延手段に接続され、目標軌道を基にフィー
    ドバック制御量を演算するフィードバック制御器とを設
    けたことを特徴とするディスク装置。
  4. 【請求項4】前記フィードフォワード制御量は、前記ヘ
    ッド位置を検出した後、少なくとも一回以上の演算を行
    い、前記フィードバック制御量は、前記ヘッド位置を検
    出した後、少なくとも一回以上の演算を行うことを特徴
    とする請求項3に記載のディスク装置。
  5. 【請求項5】前記目標位置軌道は、台形関数で加速及
    び、減速し、目標トラックへ指数関数で突入する目標加
    速度軌道を基に演算を行うことを特徴とする請求項3に
    記載のディスク装置。
  6. 【請求項6】少なくとも情報が記録された円板から少な
    くとも情報の読み出しを行うヘッドの現在位置を読み取
    るステップと、目標位置と前記現在位置との差である残
    距離を算出するステップと、前記残距離に基づきマイク
    ロプロセッサにより前記ヘッドを位置決め制御する操作
    量を演算するステップと、前記操作量をディジタル・ア
    ナログ変換するステップとを含む制御方法であって、 前記残距離に基づき第一の操作量をディジタル・アナロ
    グ変換するステップと、タイミングレジスタに第二以降
    の操作量をディジタル・アナログ変換するタイミングを
    出力するステップと、タイマの動作を開始するステップ
    と、前記タイマの出力と前記タイミングレジスタの出力
    を比較するステップと、前記比較結果が一致したとき前
    記設定したタイミングレジスタに対応する第二以降の操
    作量をディジタル・アナログ変換するステップとを有す
    ることを特徴とする制御方法。
  7. 【請求項7】少なくとも情報が記録された円板から少な
    くとも情報の読み出しを行うヘッドの現在位置を読み取
    るステップと、目標位置と前記現在位置との差である残
    距離を算出するステップと、前記残距離に基づきマイク
    ロプロセッサにより前記ヘッドを位置決め制御する操作
    量を演算するステップと、前記操作量をディジタル・ア
    ナログ変換するステップとを含む制御方法であって、 目標位置軌道を所定の時間進ませた目標軌道を基にフィ
    ードフォワード制御量を演算するステップと、前記目標
    位置軌道を所定の時間遅らせた目標軌道を基にフィード
    バック制御量を演算するステップとを含むことを特徴と
    する制御方法。
  8. 【請求項8】前記フィードフォワード制御量の演算を、
    前記ヘッドの現在位置を検出した後、少なくとも一回以
    上の演算を行うステップと、前記フィードバック制御量
    の演算を、前記ヘッドの現在位置を検出した後、少なく
    とも一回以上の演算を行うステップとを含むことを特徴
    とする請求項7に記載の制御方法。
JP6251998A 1998-01-13 1998-03-13 ディスク装置および制御方法 Pending JPH11265555A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006351200A (ja) * 2006-09-07 2006-12-28 Fujitsu Ltd 制御方法、制御回路及び記憶装置

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JP2006351200A (ja) * 2006-09-07 2006-12-28 Fujitsu Ltd 制御方法、制御回路及び記憶装置

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