JPH11262821A - ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、ワイヤ放電加工用ワイヤ電極及び押出成形用金型 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、ワイヤ放電加工用ワイヤ電極及び押出成形用金型

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JPH11262821A
JPH11262821A JP6824798A JP6824798A JPH11262821A JP H11262821 A JPH11262821 A JP H11262821A JP 6824798 A JP6824798 A JP 6824798A JP 6824798 A JP6824798 A JP 6824798A JP H11262821 A JPH11262821 A JP H11262821A
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JP
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wire
electric discharge
wire electrode
discharge machining
electrode
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Application number
JP6824798A
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English (en)
Inventor
Masayuki Hironaga
昌幸 弘永
Kazuhiko Hamazuka
和彦 浜塚
Akifumi Nishio
彰文 西尾
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】厚みの大きいワークに対して、幅が狭くかつ深
さの大きい加工溝をワイヤ放電加工にて容易に形成でき
るようにする。 【解決手段】ワイヤ電極130をワークWに対向させて
送給させるワイヤ駆動系132と、ワイヤ電極130に
電力を供給するための給電部134とを有し、ワイヤ電
極130とワークWとの間に放電を行わせてワークWを
任意の形状に加工するワイヤ放電加工装置10におい
て、ワイヤ電極130は表面が絶縁被覆され、ワイヤ電
極130の送給経路のうち、給電部134の前段に、放
電加工の状態に応じて、ワイヤ電極130の絶縁被膜1
92の一部を選択的に除去する被膜除去手段200を設
けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ電極と被加
工物との間に放電を行わせて被加工物を任意の形状に加
工するワイヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法と、
これらワイヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法に使
用されるワイヤ電極と、これらワイヤ放電加工装置及び
ワイヤ放電加工方法によって作製される押出成形用金型
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、細いワイヤ電極による切抜き加
工方式の1つであるワイヤ放電加工は、放電現象をワイ
ヤ電極と被加工物の間に介在させるため、被加工物の強
度や硬度、じん性などの材料の特性値に関係なく加工が
できる利点があるほか、以下に示す利点も有する。 (1)油以外の不燃性加工液を有効に利用できる。 (2)電極の使い捨てが可能である。 (3)電極の消耗が加工精度に大きく影響しない。 (4)CNC(コンピュータ数値制御化)機能を十分に
利用できる。
【0003】また、ワイヤ放電加工は、加工の際に被加
工物にかかる機械的な力が比較的小さいため、薄い被加
工物、もろい材質のもの、きわめて小さい穴やスリット
などのような微細形状の加工にも有利である。
【0004】ところで、上述のワイヤ放電加工におい
て、加工進行方向の放電効率を向上させ、更に、加工速
度を向上させるためには、ワイヤ電極と被加工物との加
工間隙である微小間隙に生じるスラッジ(加工粉)の排
出をよくすることが望ましい。
【0005】そのためには、加工間隙に噴出させる加工
液の液圧を高くするなどの方法があるが、前記液圧を高
くすると、ワイヤ電極に振動を与える要因となり、加工
精度の低下、及び気泡の発生のためワイヤ電極切れを生
じるなどの欠点があった。
【0006】そこで、従来では、特殊形状のワイヤ電極
を使用することで、効率よくスラッジを排出しながらワ
イヤ放電加工する方法が提案されている。例えば特開昭
56−152531号公報には、表面に溝、突起、凹凸
を設けたワイヤを用いてスラッジを排出することが記載
され、実開昭62−110816号公報には、断面形状
を三角、四角あるいは楕円形にし、回転させて送ること
によってスラッジを排出することが記載され、特開平1
−222821号公報には、平角断面ワイヤを螺旋状に
したワイヤを用いてスラッジを排出することが記載され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ワイヤ放電加
工は、図29に示すように、斜線で示す範囲aが標準的
に加工ができる範囲であり、これを逸脱する条件では所
望の形状に加工できず、ワイヤの断線や加工溝幅の異常
な拡大を引き起こすという問題がある。例えば、厚みが
約220mmのワークに対し、ワイヤ径が0.10mm
以下のワイヤで4mmの加工溝を形成する場合を考える
と、この条件は、図29において、一点鎖線で示す範囲
bとなり、標準加工条件からかけ離れた条件となる。
【0008】このような条件は、例えば自動車用触媒に
使用されるハニカムセラミックスを押出成形で作製する
ための金型、特に、ハニカムセラミックスのセルの開口
幅を決定付けるためのスリットを形成する場合などが挙
げられる。
【0009】この場合、放電加工の初期の段階では、規
定の加工溝で放電加工を行うことができるが、加工溝が
深くなると、ワイヤ電極と加工溝との間にスラッジがた
まりやすくなり、加工溝の拡大やワイヤ電極の断線を引
き起こす。
【0010】そこで、特殊形状が施されたワイヤ電極を
使用してワイヤ放電加工を行う方法が考えられるが、従
来の方法は、あくまでも標準加工条件での放電加工を良
好に行うことであり、前記のような標準加工条件を逸脱
した条件下での放電加工を想定していない。その理由
は、従来の方法では、放電加工の初期段階(標準加工条
件をほぼ満足する)から特殊形状のワイヤを使用するよ
うにしており、どうしても加工溝幅が広くなり、上述し
たハニカムセラミックスのセルの開口幅を決定付けるた
めのスリットを形成する場合には適さないからである。
【0011】しかも、ワイヤ電極への給電方式として特
殊なものを使用する必要から、ワイヤ放電加工装置の構
成を大幅に変更しなければならず、製造コストの増大を
招くおそれもある。
【0012】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、ワイヤ放電加工の一般的な標準加工条件
を逸脱した条件、例えば厚みの大きいワークに対して、
幅が狭くかつ深さの大きい加工溝をワイヤ放電加工にて
容易に形成することができ、例えばハニカムセラミック
スのセルの開口幅を決定付けるためのスリットを設計通
りに作成することができるワイヤ放電加工装置及びワイ
ヤ放電加工方法を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明の他の目的は、例えば厚みの
大きいワークに対して、幅が狭くかつ深さの大きい加工
溝をワイヤ放電加工にて容易に形成させることができる
ワイヤ放電加工用ワイヤ電極を提供することにある。
【0014】また、本発明の他の目的は、ハニカムセラ
ミックスを押出成形で容易に作製することができる押出
成形用金型を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、ワイヤ電極を
被加工物に対向させて送給させるワイヤ駆動系と、ワイ
ヤ電極に電力を供給するための給電部とを有し、前記ワ
イヤ電極と前記被加工物との間に放電を行わせて被加工
物を任意の形状に加工するワイヤ放電加工装置におい
て、前記ワイヤ電極は表面が絶縁被覆され、前記ワイヤ
電極の送給経路のうち、前記給電部の前段に、放電加工
の状態に応じて、前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一部を選
択的に除去する被膜除去手段を設けて構成する。
【0016】これにより、まず、放電加工の初期段階に
おいては、放電加工の状態が良好であることから、ワイ
ヤ電極に被覆された絶縁被膜は被膜除去手段にてすべて
除去される。即ち、絶縁被膜がすべて除去されたワイヤ
電極にてワークが放電加工されることになる。
【0017】放電加工が進行して、放電加工状態が悪化
する直前あるいは直後において、被膜除去手段は、ワイ
ヤ電極の絶縁被膜の全部ではなく一部を除去する。つま
り、ワイヤ電極は、その表面に絶縁被膜が一部残った状
態となる。その結果、ワークに形成されている加工溝と
ワイヤ電極との間に存在するスラッジ等が、ワイヤ電極
の表面に一部残存する絶縁被膜によって効率よく排出さ
れ、二次放電等の加工溝の拡大につながる要因が回避さ
れる。
【0018】この状態から、更に放電加工が進行し、再
び放電加工状態が悪化する直前あるいは直後となった段
階で、被膜除去手段は、絶縁被膜の除去パターンを前回
のパターンとは異なったものとする。この場合、ワイヤ
電極に残存させる絶縁被膜のパターンとしては、スラッ
ジ等の排出を良好に行うことができるパターンとされ
る。
【0019】このように、本発明においては、放電加工
の状態に応じて絶縁被膜の除去パターンを変えるように
しているため、ワイヤ放電加工の一般的な標準加工条件
を逸脱した条件、例えば厚みの大きいワークに対して、
幅が狭くかつ深さの大きい加工溝をワイヤ放電加工にて
容易に形成することができ、例えばハニカムセラミック
スのセルの開口幅を決定付けるためのスリットを設計通
りに作成することができる。
【0020】そして、本発明においては、前記構成にお
いて、前記被膜除去手段に、前記ワイヤ電極の絶縁被膜
の一部を該ワイヤ電極に沿って連続的に除去する第1の
被膜除去手段と、放電加工の状態に応じて前記ワイヤ電
極の絶縁被膜の一部を選択的に除去する第2の被膜除去
手段を設けて構成するようにしてもよい。
【0021】この場合、第1の被膜除去手段にて、絶縁
被膜の一部がワイヤ電極に沿って連続的に除去されるこ
とから、ワイヤ電極の長さ方向にワイヤ電極の本体(導
体部分)が連続的に露出した部分が形成されることにな
る。そのため、給電部でのワイヤ電極に対する給電を良
好に行うことができ、従来から用いられている給電部の
構成を踏襲させることができ、ワイヤ放電加工装置を新
たに特注しなければならないという不都合を回避するこ
とができる。これは、例えばハニカムセラミックスの製
造コストの低廉化につながる。
【0022】また、前記構成において、前記第2の被膜
除去手段に、前記放電加工の状態を電気的に検出するセ
ンサと、前記センサからの電気信号に基づいて前記ワイ
ヤ電極の絶縁被膜の除去パターンを生成するパターン生
成回路と、生成された前記除去パターンに応じて前記ワ
イヤ電極の絶縁被膜を除去するデバイスとを設けて構成
してもよい。
【0023】この場合、センサを通じて放電加工の状態
が電気的に検出されて電気信号として出力されることに
なる。パターン生成回路は、センサからの電気信号のレ
ベル(電流、電圧、周波数等)に基づいてワイヤ電極の
絶縁被膜の除去パターンを生成する。例えば、加工状態
に応じた除去パターンが2つ以上登録されたテーブルを
用意しておき、センサからの電気信号をデコードして、
前記テーブルのうち、前記デコード結果に応じたレコー
ドに格納された除去パターンを取り出して出力する手法
などを採用することができる。
【0024】前記パターン生成回路から出力される除去
パターンは、後段のデバイスに入力され、該デバイスを
通じて、前記入力された除去パターンに応じてワイヤ電
極の絶縁被膜が除去される。
【0025】これにより、加工状態に応じて絶縁被膜の
除去パターンを様々なパターンに変えることができ、ワ
イヤ放電加工の最適化を図ることができると共に、規定
の深さまで加工溝を良好に加工することができる。
【0026】前記センサとしては、例えば被加工物に形
成される加工溝の深さに応じたレベルの電気信号を出力
するようにしてもよい。この場合、加工過程にある加工
溝の深さに応じて絶縁被膜の除去パターンが生成される
ことから、加工溝の拡大やワイヤ電極の断線を有効に防
止することができる。
【0027】また、前記センサとしては、異常放電回避
のためのワイヤ電極の逆駆動動作を検出するようにして
もよい。これは、加工状態が悪化する直前で前記逆駆動
動作が行われることから、加工状態が悪化されると思わ
れる加工溝の深さをいちいち計算して求めておく必要が
なくなり、種々のワークをワイヤ放電加工に投入するま
での時間を短縮させることができ、ワークに関するスル
ープットの向上を図ることができる。
【0028】また、前記センサとしては、放電波形中の
高周波成分を抽出し、その高周波成分に応じたレベルの
電気信号に変換するようにしてもよい。この場合、放電
加工によって発生する放電波形に含まれる高周波成分に
応じて絶縁被膜の除去パターンが生成されることから、
加工溝の拡大やワイヤ電極の断線を有効に防止すること
ができる。
【0029】一方、前記デバイスとしては、レーザ発振
装置と、前記除去パターンに応じて前記レーザ発振装置
をON/OFF制御する光変調器とを有するものを採用
してもよい。この場合、前記パターン生成回路からの除
去パターンが光変調器に供給され、該光変調器は、入力
された前記除去パターンに応じてレーザ発振装置をON
/OFF制御する。レーザ発振装置からは、除去パター
ンに応じてレーザが発振、出射され、送給過程にあるワ
イヤ電極の表面に形成された絶縁被膜のうち、レーザが
照射された部分のみが蒸発し、除去されることになる。
【0030】このように、絶縁被膜を直接除去するデバ
イスとしてレーザ発振装置を用いるようにしたので、第
2の被膜除去手段の構成を簡単化することができ、従来
から使用されているワイヤ放電加工装置に簡単な設計変
更を行うだけで、本発明に係るワイヤ放電加工装置を構
成させることができる。
【0031】これは、いままで不可能であった標準加工
条件を超えた条件での放電加工を安定して、かつ、高精
度に行うことができるワイヤ放電加工装置を簡単な構成
で実現できることにつながり、ワイヤ放電加工の普及を
促進させることができる。
【0032】なお、レーザ発振装置としては、固体レー
ザ(YAGレーザやガラスレーザ等)、液体レーザ(色
素レーザ)、ガスレーザ、気体レーザ(アルゴンレー
ザ、炭素ガスレーザ、ヘリウム・ネオンレーザ等)や半
導体レーザを使用することができる。
【0033】また、前記ワイヤ電極の絶縁被膜に砥粒を
混入させるようにしてもよい。この場合、例えばセラミ
ックスと金属の複合材料で構成されたワークを放電加工
する際に有効である。
【0034】つまり、ワークのうち、ワイヤ電極と対向
する部分に金属成分が多い場合は、良好に放電が行われ
て加工が進行することになるが、セラミックス成分が多
い場合は放電が行われなくなり、加工の進度が遅くな
る、あるいは加工不能となる場合がある。しかし、ワイ
ヤ電極の絶縁被膜に砥粒を混入させておけば、砥粒によ
ってセラミックス成分を研削、研磨することができるた
め、放電加工の進度が遅くなることや放電加工が中断す
るという不都合を回避することができる。
【0035】特に、規定の深さまで加工した後に、放電
を停止してワイヤ電極を送給させることにより、放電加
工にて形成された加工溝の表面を砥粒で研磨することが
可能となり、放電加工と研磨処理を連続して行うことが
でき、製造工程の簡略化、製造設備の簡素化並びに工数
の短縮化を有効に図ることができる。
【0036】次に、本発明は、ワイヤ駆動系を通じてワ
イヤ電極を被加工物に対向させて送給させ、給電部を通
じて前記ワイヤ電極に電力を供給することにより、前記
ワイヤ電極と前記被加工物との間に放電を行わせて被加
工物を任意の形状に加工するワイヤ放電加工方法におい
て、前記ワイヤ電極として、表面に絶縁被覆が施された
ワイヤ電極を使用し、前記ワイヤ電極の送給経路のう
ち、前記給電部の前段において、放電加工の状態に応じ
て前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一部を選択的に除去する
ことを特徴とする。
【0037】これにより、放電加工の状態に応じて絶縁
被膜の除去パターンを変えることができるため、ワイヤ
放電加工の一般的な標準加工条件を逸脱した条件、例え
ば厚みの大きいワークに対して、幅が狭くかつ深さの大
きい加工溝をワイヤ放電加工にて容易に形成することが
でき、例えばハニカムセラミックスのセルの開口幅を決
定付けるためのスリットを設計通りに作成することがで
きる。
【0038】そして、前記ワイヤ電極の絶縁被膜の除去
処理として、前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一部を該ワイ
ヤ電極に沿って連続的に除去する第1の被膜除去処理
と、放電加工の状態に応じて前記ワイヤ電極の絶縁被膜
の一部を選択的に除去する第2の被膜除去処理とを含め
るようにしてもよい。
【0039】この場合、前記第2の被膜除去処理とし
て、前記放電加工の状態を電気的に検出し、その検出信
号に基づいて前記ワイヤ電極の絶縁被膜の除去パターン
を生成し、生成された前記除去パターンに応じて前記ワ
イヤ電極の絶縁被膜を除去するようにしてもよい。
【0040】そして、前記放電加工の状態の電気的な検
出を、前記被加工物に形成される加工溝の深さに応じた
レベルを有する電気信号の出力によって行うようにして
もよいし、異常放電回避のためのワイヤ電極の逆駆動動
作を検出することによって行うようにしてもよく、ま
た、放電波形中の高周波成分を抽出し、その高周波成分
に応じたレベルの電気信号に変換することよって行うよ
うにしてもよい。
【0041】一方、前記除去パターンに応じた前記ワイ
ヤ電極の絶縁被膜の除去処理は、光変調器を通じてレー
ザ発振装置をON/OFF制御することによって行うよ
うにしてもよい。なお、前記ワイヤ電極の絶縁被膜に砥
粒を混入させるようにしてもよい。
【0042】次に、本発明は、ワイヤ電極と被加工物と
の間に放電を行わせて被加工物を任意の形状に加工する
ワイヤ放電加工処理に使用されるワイヤ電極において、
導体で構成されたワイヤ電極本体の表面に、絶縁被膜が
間欠的に形成された部分と、前記ワイヤ電極本体の一部
が軸線に沿って連続的に露出された部分とを含めるよう
にしてもよい。
【0043】この場合、放電加工の際に、絶縁被膜が間
欠的に形成された部分でスラッジ等を良好に排出させる
ことができ、加工溝を高精度に加工することが可能とな
る。また、ワイヤ電極本体の一部が軸線に沿って連続的
に露出された部分を通じて給電部からの電力供給を良好
に行わせることができるため、従来から用いられている
給電部の構成を踏襲させることができ、ワイヤ放電加工
装置を新たに特注しなければならないという不都合を回
避することができる。これは、例えばハニカムセラミッ
クスの製造コストの低廉化につながる。
【0044】なお、前記ワイヤ電極の絶縁被膜に砥粒を
混入させるようにしてもよい。この場合、例えばセラミ
ックスと金属の複合材料で構成されたワークを放電加工
する際に特に有効となる。
【0045】次に、本発明は、前面に多数のスリットが
碁盤の罫状に穿設され、前記多数のスリットに坏土を供
給するための坏土導入孔が裏面側に多数設けられた押出
成形用金型において、前記多数のスリットを、表面が絶
縁被覆されたワイヤ電極の送給経路のうち、該ワイヤ電
極に電力を供給するための給電部の前段に、放電加工の
状態に応じて、前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一部を選択
的に除去しながら、前記ワイヤ電極と被加工物との間に
放電を行わせて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工
によって形成して構成する。
【0046】即ち、前記ワイヤ放電加工においては、放
電加工の状態に応じて絶縁被膜の除去パターンを変える
ようにしているため、ワイヤ放電加工の一般的な標準加
工条件を逸脱した条件、例えば厚みの大きいワークに対
して、幅が狭くかつ深さの大きい加工溝をワイヤ放電加
工にて容易に形成することができる。
【0047】本発明は、前記ワイヤ放電加工を用いて金
型のスリットを作成するようにしているため、この発明
に係る金型を用いて例えばハニカムセラミックスを作製
する場合、セルの開口幅が非常に小さく、かつ、セルに
ついて型くずれのない例えばハニカムセラミックスを容
易に作製することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るワイヤ放電加
工装置を例えば自動車用触媒に使用されるハニカムセラ
ミックスを押出成形で作製するための金型、特に、ハニ
カムセラミックスのセルの開口幅を決定付けるためのス
リットを形成する場合に適用した実施の形態例(以下、
単に実施の形態に係るワイヤ放電加工装置と記す)を図
1〜図29を参照しながら説明する。
【0049】まず、本実施の形態に係るワイヤ放電加工
装置10を説明する前に、該ワイヤ放電加工装置10に
て作製される押出成形用金型12と押出成形にて作製さ
れるハニカムセラミックス14について図1〜図5を参
照しながら説明する。
【0050】図1〜図4に示すように、押出成形用金型
12は、前面に多数のスリット16が碁盤の罫状(図4
参照)に穿設されたスリット部18と、該スリット部1
8における多数のスリット16に坏土を供給するための
坏土導入孔20が裏面側に多数設けられた坏土導入部2
2とを有して構成されている。
【0051】寸法は、一例として、スリット部18にお
いては、直径aが約60mm、厚みbが4mm、各スリ
ット16の幅t(図3及び図4参照)が50μm〜18
0μmであり、坏土導入部22においては、その直径c
が約120mm、厚みdが35mm、各坏土導入孔20
の径D(図3参照)が約2mmである。
【0052】坏土導入部22における各坏土導入孔20
は、配列ピッチPが約3mmでドリル加工によって形成
され、スリット部18における各スリット16は、配列
ピッチPが約3mmで後述するワイヤ放電加工により形
成されている。
【0053】そして、この押出成形用金型12を使用し
て図5に示すハニカムセラミックス14を成形すること
により、該ハニカムセラミックス14の各セル30間の
隔壁32の厚さも50μm〜180μmとなる。従っ
て、このハニカムセラミックス14を焼成することによ
って得られる触媒担体も、そのセル間の隔壁の厚みを非
常に薄いものとすることができるため、例えば自動車の
排ガス浄化用として軽量で、かつ、エンジンの始動時の
温度上昇にも時間がかからないで、排ガスの浄化を支障
なく行うことができる。
【0054】次に、ハニカムセラミックス14における
各セル30間の隔壁32を50μm〜180μmに形成
することができる本実施の形態に係るワイヤ放電加工装
置10について図6〜図29を参照しながら説明する。
【0055】このワイヤ放電加工装置10は、図6及び
図7に示すように、ワイヤ放電加工装置10の装置本体
100が取り付けられたコラム102と、ワークW(正
確には後述する加工槽116)を水平方向(XY方向)
に移動させるXYテーブル104とが基台106の上面
に固定されて構成されている。
【0056】装置本体100は、コラム102の上部か
らXYテーブル104の上方に向かって水平方向に延
び、図示しない第1の移動駆動機構によってコラム10
2の軸方向に向かって上下に移動可能とされた上部アー
ム108と、該上部アーム108の下面のうち、コラム
102寄りの部分から下方に向かって延びる下部アーム
110とを有する。
【0057】下部アーム110の上部前面(上部アーム
108に近接する部分)には上部アーム108と平行に
延び、図示しない第2の移動駆動機構によって下部アー
ム110の軸方向に向かって上下に移動可能とされた上
部支持板112が設けられ、下部アーム110の下部前
面(XYテーブル104に近接する部分)には上部アー
ム108と平行に延びる下部支持板114が一体に設け
られている。
【0058】前記XYテーブル104の上面には加工槽
116が固定されている。この加工槽116内には、ワ
ークWを保持固定するためのワーク保持機構118が取
り付けられ、更に、このワーク保持機構118にて保持
固定されたワークW全体が没するように加工液(例えば
水道水)120が注ぎ込まれている。
【0059】また、この実施の形態に係るワイヤ放電加
工装置10は、ワイヤ電極130をワークWに対向させ
て送給させるワイヤ駆動系132と、ワイヤ電極130
に電力を供給するための給電部134が設けられてい
る。
【0060】ワイヤ駆動系132は、上部アーム108
の側面に設けられたワイヤ供給部136と、下部アーム
110の側面に設けられたワイヤ巻取り部138とを有
して構成され、給電部134は、上部支持板112の端
部側面に設けられた上部給電ユニット140と、下部支
持板114の端部側面に設けられた下部給電ユニット1
42とを有して構成されている。
【0061】ワイヤ供給部136は、線状のワイヤ電極
130が多数ターン巻回されたワイヤ供給ボビン150
と、該ワイヤ供給ボビン150から導出されたワイヤ電
極130を上部給電ユニット140に導く第1〜第3の
プーリ152a〜152cと、第2及び第3のプーリ1
52b及び152cの間に設けられ、ワイヤ電極130
の送給速度を制御するブレーキローラ154と、該ブレ
ーキローラ154と第3のプーリ152cの間に設けら
れ、ワイヤ電極130に対して負荷をかけてワイヤ電極
130の張力調整を行うワイヤ押さえ156とを有して
構成されている。
【0062】ワイヤ巻取り部138は、ワークWに対す
る放電加工を終えた使用済みのワイヤ電極130(下部
給電ユニット142を通じて導出されたワイヤ電極13
0)を巻き取るためのワイヤ巻取りボビン160と、下
部支持板114の端部下面近傍に設けられた第4のプー
リ152dと、使用済みのワイヤ電極130を前記第4
のプーリ152dの案内で下部アーム110側に導くワ
イヤ巻上げローラ162と、該ワイヤ巻上げローラ16
2にて巻き上げられた使用済みワイヤ電極130をワイ
ヤ巻取りボビン160側に向けて搬送するピンチローラ
164と、使用済みワイヤ電極130をワイヤ巻取りボ
ビン160に整列させて巻回させるためのワイヤ整列巻
き装置166とを有して構成されている。
【0063】また、上部支持板112には、ワイヤ放電
加工による加工部分の冷却のために、下方にワイヤ電極
130の送給方向に沿って加工液120を噴射させる上
部ノズル170が設けられ、下部支持板114にも、ワ
イヤ放電加工による加工部分の冷却のために、上方にワ
イヤ電極130の送給方向に沿って加工液120を噴射
させる下部ノズル172が設けられている。
【0064】このワイヤ放電加工装置10を使用する場
合は、まず、加工槽116内に設置されたワーク保持機
構118にワークWを取り付けるために、図示しない第
1の移動駆動機構を通じて上部アーム108を上方に移
動させる。その後、ワークWをワーク保持機構118に
保持させた後、加工槽116内に加工液120をワーク
Wが没するまで注入する。
【0065】次いで、図示しない第1の移動駆動機構を
通じて上部アーム108を下方に移動させた後、図示し
ない第2の移動駆動機構を通じて上部支持板112をワ
ークWの板厚Tに応じて上下に移動させる。
【0066】その後、ワイヤ供給ボビン150からワイ
ヤ電極130を送給しながら、XYテーブル104の駆
動によって加工槽116をワーク保持機構118にて保
持されたワークWがワイヤ電極130に接近するように
移動させる。送給過程にあるワイヤ電極130がワーク
に対向し、かつ、近接した段階から放電が開始され、図
8に示すように、この放電によってワークWに加工溝1
80が形成されることになる。
【0067】そして、この実施の形態に係るワイヤ放電
加工装置10においては、ワイヤ電極130として、図
9に示すように、導体にて構成された線状の電極本体1
90の表面全体に絶縁被膜192が形成されたものが使
用される。この場合、電極本体190としては、例えば
銅、Cu−Znやタングステンが使用され、絶縁被膜1
92としては、例えばテフロン、ポリウレタン、ポリエ
ステル、その他の高分子材料、ガラス繊維等が使用され
る。
【0068】また、本実施の形態に係るワイヤ放電加工
装置10は、図6及び図7に示すように、ワイヤ電極1
30の送給経路のうち、給電部134の前段に、放電加
工の状態に応じて、ワイヤ電極130の絶縁被膜192
の一部を選択的に除去する被膜除去手段200が設けら
れている。本実施の形態では、上部アーム108の側面
のうち、第3のプーリ152cの下流側に被膜除去手段
200を設けるようにしている。
【0069】この被膜除去手段200は、ワイヤ電極1
30の絶縁被膜192の一部を該ワイヤ電極130に沿
って連続的に除去する第1の被膜除去手段202と、放
電加工の状態に応じて、ワイヤ電極130の絶縁被膜1
92の一部を選択的に除去する第2の被膜除去手段20
4とを有して構成されている。
【0070】第1の被膜除去手段202は、図10に示
すように、ワイヤ電極130の絶縁被膜192の除去パ
ターンを生成する第1のパターン生成回路210と、該
第1のパターン生成回路210にて生成された除去パタ
ーンに応じてワイヤ電極130の絶縁被膜192を除去
する第1のデバイス212とを有して構成されている。
【0071】前記第1のデバイス212は、絶縁被膜1
92に対してレーザ光L1を照射するための第1のレー
ザ発振装置214と、前記第1のパターン生成回路21
0からの除去パターンに応じて第1のレーザ発振装置2
14をON/OFF制御する第1の光変調器216とを
有して構成されている。
【0072】前記構成を有する第1の被膜除去手段20
2は、ワイヤ電極130の絶縁被膜192のうち、ワー
クWと対向しない部分の絶縁被膜192を除去すること
ができる位置、即ち、第1のレーザ発振装置214にお
けるレーザ光L1の出射部分が上部アーム108の前方
に向かい、かつ、ワイヤ電極130に対向する位置に配
設されている。
【0073】一方、第2の被膜除去手段204は、図1
0に示すように、この実施の形態に係るワイヤ放電加工
装置10の放電加工状態を電気的に検出するセンサ22
0と、該センサ220からの検出信号Siに基づいてワ
イヤ電極130の絶縁被膜192の除去パターンを生成
する第2のパターン生成回路222と、該第2のパター
ン生成回路222にて生成された除去パターンに応じて
ワイヤ電極130の絶縁被膜192を除去する第2のデ
バイス224とを有して構成されている。
【0074】前記第2のデバイス224は、絶縁被膜1
92に対してレーザ光L2を照射するための第2のレー
ザ発振装置226と、前記第2のパターン生成回路22
2からの除去パターンに応じて第2のレーザ発振装置2
26をON/OFF制御する第2の光変調器228とを
有して構成されている。
【0075】前記構成を有する第2の被膜除去手段20
4は、ワイヤ電極130の絶縁被膜192のうち、ワー
クWと対向する部分の絶縁被膜192を除去することが
できる位置、即ち、第2のレーザ発振装置226におけ
るレーザ光L2の出射部分が上部アーム108の後方に
向かい、かつ、ワイヤ電極130に対向する位置に配設
されている。
【0076】センサ220としては、例えば図6に示す
ように、ワイヤ放電加工によってワークWに形成される
加工溝180の深さf(図8参照)に応じたレベルの電
気信号を出力するもの、例えばハウジング240に1本
の接触子242が進退自在に取り付けられた電圧計(あ
るいは電流計)244を用いることができる。
【0077】接触子242は、例えばばね等の弾性部材
にて常時外方に付勢された状態とされている。図6の例
では例えば電圧計244を用いた場合を示しており、こ
の電圧計244からは、接触子242の変位量に応じた
電圧レベルの検出信号Siが出力されるようになってい
る。
【0078】例えば、接触子242が最も外方に突出し
ている段階では、電圧計244から例えば0Vが出力さ
れ、外方からの押圧(上部支持板112による押圧)に
よって接触子242がハウジング240側に変位するに
従い、電圧計244から出力される電圧がリニアに増加
するようになっている。
【0079】また、このセンサ220は、そのハウジン
グ240の下部に図示しないアジャスタ機構を有する取
付部246が設けられている。
【0080】そして、このセンサ220を使用する場合
は、まず、センサ220の取付部246を絶縁体248
を介して加工槽116の上縁に固定する。このとき、接
触子242の先端が上部支持板112の先端あるいは下
部アーム110に対向するように固定する。その後、取
付部246の図示しないアジャスタ機構を操作して、接
触子242の先端が上部支持板112の先端に対向する
ように位置決めする。
【0081】なお、上部支持板112の先端には絶縁体
(緩衝材)250を設けることが好ましい。これは、放
電加工が進行して上部支持板112の先端が接触子24
2に衝突した際に、前記センサ220に加わる衝撃(振
動)を抑えることができ、検出信号Siの急激なレベル
変化を抑圧することができるからである。
【0082】第2のパターン生成回路222は、図11
に示すように、センサ220から送出される検出信号S
iの電圧レベルをデコードして、その電圧レベルに応じ
た数値データに変換するデコーダ260と、加工状態に
応じた除去パターンが2つ以上登録されたテーブルTB
L(図13参照)が格納されたROM262と、デコー
ダ260からの数値データを前記テーブルTBLのレコ
ード番号として、該テーブルTBLから除去パターンD
pを読み出すパターン読出し回路264と、該パターン
読出し回路264を通じて読み出された除去パターンD
pに応じたパルス波形に変換して第2のデバイス224
における第2の光変調器228にパルス信号Piとして
出力するパルス発生回路266を有して構成されてい
る。
【0083】デコーダ260は、例えば図12に示すよ
うに、電源ライン270とGND間に例えば4つの抵抗
R1〜R4が直列接続されて構成された抵抗分圧回路2
72と、各非反転端子に入力端子φiからの検出信号S
iが供給され、各反転端子に抵抗分圧回路272の各電
圧レベルに合わせた接点a1〜a4が接続された第1〜
第4のコンパレータ274a〜274dとを有して構成
されている。
【0084】これにより、センサ220の電圧計244
から出力される検出信号Siの電圧レベルが上昇するに
従って高レベル信号が出力される出力端子の数が段階的
に増加することになる。
【0085】後段のパターン読出し回路264は、高レ
ベル信号の入力数(デコーダ260からの高レベル信号
の出力数)に応じた数値データとして認識する。例え
ば、すべての出力端子φo1〜φo4から低レベル信号
が出力される場合は、数値データ「0」として認識し、
第1の出力端子φo1のみから高レベル信号が出力され
る場合は、数値データ「1」として認識し、第1及び第
2の出力端子φo1及びφo2から高レベル信号が出力
される場合は、数値データ「2」として認識し、第1〜
第3の出力端子φo1〜φo3から高レベル信号が出力
される場合は、数値データ「3」として認識し、すべて
の出力端子φo1〜φo4から高レベル信号が出力され
る場合は、数値データ「4」として認識する。
【0086】テーブルTBLに登録される除去パターン
Dpとしては、例えば第2のレーザ発振装置226から
常時レーザ光L2を出射させるための初期段階用の除去
パターンDp0と、放電加工が不安定になる深さとなっ
た時点以降の数種の加工安定化用の除去パターンDp1
〜Dp4である。図13の例では、テーブルTBLの0
レコード目に初期段階用の除去パターンDp0が登録さ
れ、テーブルTBLの1レコード目から4レコード目に
それぞれ加工安定化用の除去パターンDp1〜Dp4が
登録された場合を示している。
【0087】加工安定化用の除去パターンDp1〜Dp
4は、ワークWの板厚T、放電条件、フラッシング条件
を固定し、加工溝180の深さf(図8参照)を変数と
して予めコンピュータでのシミュレーション等を用いて
作成される。この場合、加工溝180の深さfに応じて
徐々に絶縁被膜192の残存率が高くなるような除去パ
ターンが作成される。
【0088】ここで、前記第2の被膜除去手段204で
の処理動作を説明する。まず、例えば、センサ220の
接触子242が最も外方に突出している段階では、電圧
計244から例えば0Vがデコーダ260の入力端子φ
iに供給されることから、デコーダ260の第1〜第4
のコンパレータ274a〜274dの各出力端子φo1
〜φo4からはいずれも低レベル信号が出力され、この
場合、デコーダ260からの出力が後段のパターン読出
し回路264において数値データ「0」として認識さ
れ、テーブルTBLの0レコード目から初期段階用の除
去パターンDp0が読み出されて第2のデバイス224
に出力される。
【0089】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、常時レーザ光L2が出射され、ワイヤ電極13
0に被覆された絶縁被膜192のうち、ワークWに対向
する部分の絶縁被膜192がすべて除去されることにな
る。このとき、第1のレーザ発振装置214からも常時
レーザ光L1が出射されて、ワークWに対向しない部分
の絶縁被膜192もすべて除去されていることから、放
電加工の初期段階においては、ワイヤ電極130の電極
本体190がすべて露出された状態(図14A参照)で
行われることになる。
【0090】ワークWに対する放電加工が進み、加工溝
180の深さfが第1の深さとなって、図12に示すよ
うに、デコーダ260の入力端子φiに供給される検出
信号Siの電圧レベルが第1の電圧V1を超えると、第
1の出力端子φo1のみから高レベル信号が出力され
る。この場合、デコーダ260からの出力が後段のパタ
ーン読出し回路264において数値データ「1」として
認識され、テーブルTBLの1レコード目から加工安定
化用の第1の除去パターンDp1が読み出されて第2の
デバイス224に出力される。
【0091】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、前記第1の除去パターンDp1に応じたタイミ
ングでレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130に被
覆された絶縁被膜192のうち、レーザ光L2が照射さ
れた部分の絶縁被膜192が除去される。この場合、ワ
イヤ電極130は、図14Bに示すように、ワークWと
対向する部分に例えば2mm長の絶縁被膜192が例え
ば400mmピッチで残存されたワイヤ電極130とさ
れる。
【0092】ワークWに対する放電加工が更に進み、加
工溝180の深さfが第2の深さとなって、デコーダ2
60の入力端子φiに供給される検出信号Siの電圧レ
ベルが第2の電圧V2を超えると、第1及び第2の出力
端子φo1及びφo2から高レベル信号が出力される。
この場合、デコーダ260からの出力が後段のパターン
読出し回路264において数値データ「2」として認識
され、テーブルTBLの2レコード目から加工安定化用
の第2の除去パターンDp2が読み出されて第2のデバ
イス224に出力される。
【0093】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、前記第2の除去パターンDp2に応じたタイミ
ングでレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130は、
図14Cに示すように、ワークWと対向する部分に例え
ば2mm長の絶縁被膜192が例えば200mmピッチ
で残存されたワイヤ電極130とされる。
【0094】ワークWに対する放電加工が更に進み、加
工溝180の深さfが第3の深さとなって、デコーダ2
60の入力端子φiに供給される検出信号Siの電圧レ
ベルが第3の電圧V3を超えると、第1〜第3の出力端
子φo1〜φo3から高レベル信号が出力される。この
場合、デコーダ260からの出力が後段のパターン読出
し回路264において数値データ「3」として認識さ
れ、テーブルTBLの3レコード目から加工安定化用の
第3の除去パターンDp3が読み出されて第2のデバイ
ス224に出力される。
【0095】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、前記第3の除去パターンDp3に応じたタイミ
ングでレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130は、
図14Dに示すように、ワークWと対向する部分に例え
ば2mm長の絶縁被膜192が例えば100mmピッチ
で残存されたワイヤ電極130とされる。
【0096】ワークWに対する放電加工が更に進み、加
工溝180の深さfが第4の深さとなって、デコーダ2
60の入力端子φiに供給される検出信号Siの電圧レ
ベルが第4の電圧V4を超えると、すべての出力端子φ
o1〜φo4から高レベル信号が出力される。この場
合、デコーダ260からの出力が後段のパターン読出し
回路264において数値データ「4」として認識され、
テーブルTBLの4レコード目から加工安定化用の第4
の除去パターンDp4が読み出されて第2のデバイス2
24に出力される。
【0097】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、前記第4の除去パターンDp4に応じたタイミ
ングでレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130は、
図14Eに示すように、ワークWと対向する部分に例え
ば2mm長の絶縁被膜192が例えば60mmピッチで
残存されたワイヤ電極130とされる。
【0098】このように、本実施の形態に係るワイヤ放
電加工装置10においては、ワイヤ電極130の表面を
絶縁被覆し、ワイヤ電極130の送給経路のうち、給電
部134の前段に、放電加工の状態に応じて、ワイヤ電
極130の絶縁被膜192の一部を選択的に除去する被
膜除去手段200を設けるようにしたので、ワークWに
形成されている加工溝180とワイヤ電極130との間
に存在するスラッジ等が、ワイヤ電極130の表面に一
部残存する絶縁被膜192によって効率よく排出され、
二次放電等の加工溝180の拡大につながる要因が回避
される。
【0099】従って、ワイヤ放電加工の一般的な標準加
工条件を逸脱した条件、例えば厚みの大きいワークWに
対して、幅が狭くかつ深さfの大きい加工溝180をワ
イヤ放電加工にて容易に形成することができ、例えば図
1に示す押出成形用金型12のうち、図5に示すハニカ
ムセラミックス14のセル30の開口幅を決定付けるス
リット16を設計通り(例えば50μm〜180μm)
に作成することができる。
【0100】従って、このハニカムセラミックス14を
焼成することによって得られる触媒担体も、そのセル間
の隔壁の厚みを非常に薄いものとすることができ、例え
ば自動車の排ガス浄化用として軽量で、かつ、エンジン
の始動時の温度上昇にも時間がかからないで、排ガスの
浄化を支障なく行うことができる。
【0101】しかも、従来、スリット16の形成後に行
っていたスリット16の幅狭化のためのめっき工程を省
略することができ、製造工程の簡略化を図ることができ
る。
【0102】特に、本実施の形態においては、被膜除去
手段200に、ワイヤ電極130の絶縁被膜192の一
部を該ワイヤ電極130に沿って連続的に除去する第1
の被膜除去手段202と、放電加工の状態に応じて前記
ワイヤ電極130の絶縁被膜192の一部を選択的に除
去する第2の被膜除去手段204を設けるようにしてい
る。この場合、第1の被膜除去手段202にて、絶縁被
膜192の一部がワイヤ電極130に沿って連続的に除
去されることから、ワイヤ電極130の長さ方向にワイ
ヤ電極130の電極本体190が連続的に露出した部分
が形成されることになる。
【0103】そのため、給電部134でのワイヤ電極1
30に対する給電を良好に行うことができ、従来から用
いられている給電部134の構成を踏襲させることがで
き、ワイヤ放電加工装置10を新たに特注しなければな
らないという不都合を回避することができる。これは、
例えばハニカムセラミックス14の製造コストの低廉化
につながる。
【0104】また、本実施の形態に係るワイヤ放電加工
装置10においては、第2の被膜除去手段204に、放
電加工の状態を電気的に検出するセンサ220と、該セ
ンサ220からの検出信号Siに基づいてワイヤ電極1
30の絶縁被膜192の除去パターンDpを生成する第
2のパターン生成回路222と、生成された除去パター
ンDpに応じてワイヤ電極130の絶縁被膜192を除
去する第2のデバイス224を設けるようにしたので、
加工状態に応じて絶縁被膜192の除去パターンを様々
なパターンに変えることができ、ワイヤ放電加工の最適
化を図ることができると共に、規定の深さfまで加工溝
180を良好に加工することができる。
【0105】センサ220として、例えばワークWに形
成される加工溝180の深さfに応じたレベルの検出信
号Siを出力するようにしたので、加工過程にある加工
溝180の深さfに応じて絶縁被膜192の除去パター
ンDpを後段の回路系にて容易に生成することが可能と
なり、加工溝180の拡大やワイヤ電極130の断線を
有効に防止することができる。
【0106】絶縁被膜192を直接除去する第1及び第
2のデバイス212及び224として第1及び第2のレ
ーザ発振装置214及び226を用いるようにしたの
で、第1及び第2の被膜除去手段202及び204の構
成をそれぞれ簡単化することができ、従来から使用され
ているワイヤ放電加工装置に簡単な設計変更を行うだけ
で、本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置10を構成
させることができる。
【0107】これは、いままで不可能であった標準加工
条件を超えた条件での放電加工を安定して、かつ、高精
度に行うことができるワイヤ放電加工装置10を簡単な
構成で実現できることにつながり、ワイヤ放電加工の普
及を促進させることができる。
【0108】次に、第2の被膜除去手段204の2つの
変形例について図15及び図16を参照しながら説明す
る。
【0109】まず、第1の変形例に係る第2の被膜除去
手段204aは、異常放電回避のためのワイヤ電極の逆
駆動動作を検出するように構成したもので、基本的に
は、図11に示す第2の被膜除去手段204の構成とほ
ぼ同じであるが、図15に示すように、第2のパターン
生成回路222が以下のように異なる。即ち、図11の
デコーダ260に代えて、センサ220からの検出信号
Siを所定時間τだけ遅延させる遅延回路280と、セ
ンサ220からの現在の検出信号Siのレベルと前記遅
延回路280からの遅延信号dSiのレベルとを比較す
るコンパレータ282と、該コンパレータ282からの
出力を一定時間保持する例えばSRフリップフロップか
らなるラッチ回路284と、該ラッチ回路284の出力
が高レベルになるたびに計数値を1つずつカウントアッ
プするカウンタ286とを有する。
【0110】コンパレータ282とラッチ回路284
は、コンパレータ282の出力が直接ラッチ回路284
のセット端子Sに入力されるように配線接続され、コン
パレータ282の出力がインバータ288を介してラッ
チ回路284のリセット端子Rに入力されるように配線
接続されている。カウンタ286は、ラッチ回路284
の出力端子Qのレベルが低レベルから高レベルに移行し
たときにのみ計数値を更新する。
【0111】パターン読出し回路264は、前記カウン
タ286からの計数値をテーブルTBLのレコード番号
として、該テーブルTBLから除去パターンを読み出す
ように構成されている。
【0112】次に、前記第1の変形例に係る第2の被膜
除去手段204aの処理動作について説明する。
【0113】まず、例えば、図16に示すように、ワイ
ヤ電極130によるワークWに対する放電加工が開始さ
れ、最初の放電不安定状態が検出されるまでの期間T1
は、センサ220から放電加工の進行に伴って(時間の
経過に伴って)、電圧レベルが直線的に増加する検出信
号Siが出力されることになる。
【0114】これにより、コンパレータ282からは低
レベルの比較結果信号Scが出力されて、ラッチ回路2
84のリセット端子Rに高レベル信号が入力され、カウ
ンタ286の計数値は「0」の状態が維持されることに
なる。
【0115】従って、前記期間T1においては、後段の
パターン読出し回路264においてテーブルTBLの0
レコード目から初期段階用の除去パターンDp0が読み
出されて第2のデバイス224に出力され、これによ
り、放電加工は、ワイヤ電極130の電極本体190が
すべて露出された状態(図14A参照)で行われること
になる。
【0116】ワークWに対する放電加工が進み、最初の
放電不安定状態が検出されると、XYテーブル104に
よるワークWの搬送動作が逆方向となって、ワイヤ電極
130が相対的にワークWから離間することになるた
め、センサ220からは、図16の期間T2に示すよう
に、時間の経過に伴って電圧レベルが直線的に低下する
検出信号Siが出力されることになる。
【0117】これにより、コンパレータ282からは高
レベルの比較結果信号Scが出力されて、ラッチ回路2
84のセット端子Sに高レベル信号が入力され、カウン
タ286の計数値は「1」となる。
【0118】従って、前記期間T2においては、後段の
パターン読出し回路264においてテーブルTBLの1
レコード目から加工安定化用の第1の除去パターンDp
1が読み出されて第2のデバイス224に出力され、こ
れにより、第2のレーザ発振装置226からは、前記第
1の除去パターンDp1に応じたタイミングでレーザ光
L2が出射され、ワイヤ電極130は、例えば図14B
に示すように、ワークWと対向する部分に例えば2mm
長の絶縁被膜192が例えば400mmピッチで残存さ
れたワイヤ電極130とされる。
【0119】この段階から、XYテーブル104による
ワークWの搬送動作が再びワイヤ電極130に向かい、
ワイヤ電極130が相対的にワークWに接近することと
なって、ワークWに対する放電加工が再開されることに
なる。この放電加工は、次の不安定状態が検出されるま
での期間T3にわたって行われる。このとき、カウンタ
286での計数値は「1」が維持されることから、放電
加工が再開されてもワイヤ電極130は、ワークWと対
向する部分に例えば2mm長の絶縁被膜192が例えば
400mmピッチで残存されたワイヤ電極130とされ
る。
【0120】ワークWに対する放電加工が進み、2回目
の放電不安定状態が検出されると、XYテーブル104
によるワークWの搬送動作が逆方向となって、ワイヤ電
極130が相対的にワークWから離間することになるた
め(図16の期間T4参照)、カウンタ286の計数値
は「2」となり、後段のパターン読出し回路264にお
いてテーブルTBLの2レコード目から加工安定化用の
第2の除去パターンDp2が読み出されることになる。
【0121】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、第2の除去パターンDp2に応じたタイミング
でレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130は、例え
ば図14Cに示すように、ワークWと対向する部分に例
えば2mm長の絶縁被膜192が例えば200mmピッ
チで残存されたワイヤ電極130とされる。
【0122】この段階から、ワークWに対する放電加工
が再開され、次の不安定状態が検出される期間T5にわ
たって放電加工が行われることになる。この場合も、カ
ウンタの計数値は「2」が維持される。
【0123】以下、同様に、3回目及び4回目の放電不
安定状態が検出されると、それぞれにおいて、XYテー
ブル104によるワークWの搬送動作が逆方向となっ
て、ワイヤ電極130が相対的にワークWから離間する
ことになるため(図16の期間T8及び期間T10参
照)、カウンタ286の計数値は「3」及び「4」とな
り、後段のパターン読出し回路264においてテーブル
TBLの3レコード目及び4レコード目から加工安定化
用の第3及び第4の除去パターンDp3及びDp4が読
み出されることになる。
【0124】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、第3及び第4の除去パターンDp3及びDp4
に応じたタイミングでレーザ光L2が出射され、ワイヤ
電極130は、例えば図14D及び図14Eに示すよう
に、第3の除去パターンDp3に対しては、ワークWと
対向する部分に例えば2mm長の絶縁被膜192が例え
ば100mmピッチで残存されたワイヤ電極130とさ
れ、第4の除去パターンDp4に対しては、ワークWと
対向する部分に例えば2mm長の絶縁被膜192が例え
ば60mmピッチで残存されたワイヤ電極130とされ
る。
【0125】このように、第1の変形例に係る第2の被
膜除去手段204aにおいては、加工状態が悪化する直
前でXYテーブル104の逆駆動動作が行われることか
ら、加工状態が悪化されると思われる加工溝180の深
さfをいちいち計算して求めておく必要がなくなり、種
々のワークWをワイヤ放電加工に投入するまでの時間を
短縮させることができ、ワークWに関するスループット
の向上を図ることができる。
【0126】次に、第2の変形例に係る第2の被膜除去
手段204bについて図17及び図18を参照しながら
説明する。
【0127】この第2の変形例に係る第2の被膜除去手
段204bは、放電波形中の高周波成分を抽出し、その
高周波成分に応じたレベルの電気信号に変換するように
構成したものである。
【0128】基本的には、図11に示す構成とほぼ同じ
であるが、図17に示すように、センサ220の代わり
にワイヤ電極130とワークW間に発生する放電波形を
検出する放電波形検出回路300が使用されている点
と、第2のパターン生成回路222のデコーダ260
(図11参照)に代えて以下の回路が組み込まれている
点で異なる。
【0129】即ち、図11のデコーダ260に代えて、
前記放電波形検出回路300からの放電波形から高周波
成分を抽出するFFT等の周波数解析装置302と、該
周波数解析装置302にて抽出された周波数としきい値
とを比較する比較回路304と、該比較回路304から
の出力を一定時間保持する例えばSRフリップフロップ
からなるラッチ回路306と、該ラッチ回路306の出
力が高レベルになるたびに計数値を1つずつカウントア
ップするカウンタ308を設けて構成する。
【0130】前記周波数解析装置302は、前記放電波
形検出回路300にて検出された放電加工時に生じるパ
ルス波形を数100ms間隔で観察し、高周波成分を抽
出して電圧信号Sfとして出力する。比較回路304
は、前記周波数解析装置302にて検出された周波数が
放電状態が悪化したときに生じる周波数帯域(数MH
z)であるかどうかを比較する。
【0131】具体的には、比較回路304は、図18に
示すように、周波数解析装置302からの電圧信号Sf
のレベルと放電状態が悪化したときに生じる周波数帯域
の下限周波数に相当する電圧レベル(下限レベル)Va
とを比較する第1のコンパレータ310と、周波数解析
装置302からの電圧信号Sfのレベルと放電状態が悪
化したときに生じる周波数帯域の上限周波数に相当する
電圧レベル(上限レベル)Vbとを比較する第2のコン
パレータ312と、第1及び第2のコンパレータ310
及び312からの各出力に対して排他的論理和演算(Ex
clusive-OR)を行って比較結果信号Scとして出力する
論理回路314とを有して構成されている。
【0132】また、図17に示すように、比較回路30
4とラッチ回路306は、論理回路314の出力が直接
ラッチ回路306のセット端子Sに入力されるように配
線接続され、比較回路304の出力がインバータ316
を介してラッチ回路306のリセット端子Rに入力され
るように配線接続されている。カウンタ308は、ラッ
チ回路306の出力端子Qのレベルが低レベルから高レ
ベルに移行したときにのみ計数値を更新する。
【0133】パターン読出し回路264は、カウンタ3
08からの計数値をテーブルTBLのレコード番号とし
て、該テーブルTBLから除去パターンDpを読み出す
ように構成されている。
【0134】次に、前記第2の変形例に係る第2の被膜
除去手段204bの処理動作について説明する。
【0135】まず、例えば、ワイヤ電極130によるワ
ークWに対する放電加工が開始され、最初の放電不安定
状態が検出されるまでの期間は、周波数解析装置302
から下限レベルVaよりも低い電圧レベルあるいは上限
レベルVbよりも高い電圧レベルの電圧信号Sfが出力
されることになる。
【0136】これにより、比較回路304における第1
及び第2のコンパレータ310及び312からはそれぞ
れ低レベルの信号が出力され、論理回路314からは低
レベルの比較結果信号Scが出力されることとなる。そ
の結果、ラッチ回路306のリセット端子Rに高レベル
信号が入力され、カウンタ308の計数値は「0」の状
態が維持されることになる。
【0137】従って、前記期間においては、後段のパタ
ーン読出し回路264においてテーブルTBLの0レコ
ード目から初期段階用の除去パターンDp0が読み出さ
れて第2のデバイス224に出力され、これにより、放
電加工は、ワイヤ電極130の電極本体190がすべて
露出された状態(図14A参照)で行われることにな
る。
【0138】ワークWに対する放電加工が進み、放電加
工状態が不安定となった段階で、周波数解析装置302
からは電圧レベルが下限レベルVa以上で、かつ、上限
レベルVb以下の電圧信号Sfが出力されることにな
る。
【0139】これにより、比較回路304における第1
のコンパレータ310から高レベル信号が出力され、第
2のコンパレータ312から低レベル信号が出力され、
論理回路314からは高レベルの比較結果信号Scが出
力されることとなる。その結果、ラッチ回路306のセ
ット端子Sに高レベル信号が入力され、カウンタ308
の計数値は「1」となる。
【0140】つまり、放電加工状態が不安定となった段
階で、後段のパターン読出し回路264を通じてテーブ
ルTBLの1レコード目から加工安定化用の第1の除去
パターンDp1が読み出されて第2のデバイス224に
出力され、これにより、第2のレーザ発振装置226か
らは、前記第1の除去パターンDp1に応じたタイミン
グでレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130は、例
えば図14Bに示すように、ワークWと対向する部分に
例えば2mm長の絶縁被膜192が例えば400mmピ
ッチで残存されたワイヤ電極130とされる。
【0141】この段階から、再び放電加工が安定化し、
周波数解析装置302からは電圧レベルが下限レベルV
a未満あるいは上限レベルVbを超えた電圧信号Sfが
出力され、論理回路314から低レベルの比較結果信号
Scが出力されるが、カウンタ308での計数値は
「0」に戻らず、そのまま「1」が維持されることにな
る。
【0142】ワークWに対する放電加工が進み、2回目
の放電不安定状態が検出されると、再び比較回路304
から高レベルの比較結果信号Scが出力されることにな
るため、カウンタ308の計数値は「2」となり、後段
のパターン読出し回路264においてテーブルTBLの
2レコード目から加工安定化用の第2の除去パターンD
p2が読み出されることになる。
【0143】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、第2の除去パターンDp2に応じたタイミング
でレーザ光L2が出射され、ワイヤ電極130は、例え
ば図14Cに示すように、ワークWと対向する部分に例
えば2mm長の絶縁被膜192が例えば200mmピッ
チで残存されたワイヤ電極130とされる。
【0144】この段階から、再び放電加工が安定化し、
周波数解析装置302からは電圧レベルが下限レベルV
a未満あるいは上限レベルVbを超えた電圧信号Sfが
出力され、論理回路314から低レベルの比較結果信号
Scが出力されるが、カウンタ308での計数値はその
まま「2」が維持されることになる。
【0145】以下、同様に、3回目及び4回目の放電不
安定状態が検出されると、それぞれにおいて、比較回路
304から高レベルの比較結果信号Scが出力されるこ
とになるため、カウンタ308の計数値は「3」及び
「4」となり、後段のパターン読出し回路264におい
てテーブルTBLの3レコード目及び4レコード目から
加工安定化用の第3及び第4の除去パターンDp3及び
Dp4が読み出されることになる。
【0146】これにより、第2のレーザ発振装置226
からは、第3及び第4の除去パターンDp3及びDp4
に応じたタイミングでレーザ光L2が出射され、ワイヤ
電極130は、例えば図14D及び図14Eに示すよう
に、第3の除去パターンDp3に対しては、ワークWと
対向する部分に例えば2mm長の絶縁被膜192が例え
ば100mmピッチで残存されたワイヤ電極130とさ
れ、第4の除去パターンDp4に対しては、ワークWと
対向する部分に例えば2mm長の絶縁被膜192が例え
ば60mmピッチで残存されたワイヤ電極130とされ
る。
【0147】このように、第2の変形例に係る第2の被
膜除去手段204bにおいては、放電加工によって発生
する放電波形に含まれる高周波成分に応じて絶縁被膜1
92の除去パターンDpが生成されることから、加工溝
180の拡大やワイヤ電極130の断線を有効に防止す
ることができる。
【0148】図11に示す第2の被膜除去手段204、
図15に示す第1の変形例に係る第2の被膜除去手段2
04a及び図17に示す第2の変形例に係る第2の被膜
除去手段204bは、いずれも1つの初期段階用の除去
パターンDp0と4つの加工安定化用の除去パターンD
p1〜Dp4を用意して、放電加工の状態に応じて除去
パターンを順次変えるようにしていたが、その他、1つ
の初期段階用の除去パターンDp0と1つの加工安定化
用の除去パターン(例えば図14Cに示す第2の除去パ
ターンDp2)を用意するようにしてもよい。
【0149】この場合、図11の第2の被膜除去手段2
04においては、デコーダ260の代わりに1つのコン
パレータを接続するだけで済み、回路構成を非常に簡単
化することができる。図15に示す第1の変形例に係る
第2の被膜除去手段204a及び図17に示す第2の変
形例に係る第2の被膜除去手段204bにおいては、そ
れぞれカウンタ286及び308を省略させることがで
きる。
【0150】また、センサ220として、接触子242
を用いた接触式の変位センサとしたが、その他、非接触
式のセンサ、例えば、レーザ光による三角測距方式によ
るレーザ変位センサ、平行度の高いレーザ光を対象物体
に照射することにより変位を測定するレーザ走査方式の
センサ、CCDカメラを用いて変位を測定するCCDカ
メラ方式のセンサ、渦電流を利用した渦電流式センサ、
平行板コンデンサの原理を用いた静電容量式センサ等を
用いることができる。
【0151】次に、ワイヤ電極130の変形例について
図19〜図29を参照しながら説明する。この変形例に
係るワイヤ電極130aは、図19に示すように、図9
に示すワイヤ電極130とほぼ同じ構成を有するが、絶
縁被膜192内に砥粒318が混入されている点で異な
る。ワイヤ放電加工装置は、本実施の形態に係るワイヤ
放電加工装置10と同じものを使用することができる。
【0152】この場合、本実施の形態に係るワイヤ放電
加工装置10における第2の被膜除去手段204として
は、放電状態が不安定となった時点をリアルタイムに検
出して迅速に対応できるものが好ましく、例えば図15
に示す第1の変形例に係る第2の被膜除去手段204
a、あるいは図17に示す第2の変形例に係る第2の被
膜除去手段204bを用いることが好ましい。
【0153】そして、この変形例に係るワイヤ電極13
0aにおいては、例えばセラミックスと金属の複合材料
で構成されたワークWを放電加工する際に有効である。
【0154】つまり、ワークWのうち、ワイヤ電極13
0aと対向する部分に金属成分が多い場合は、良好に放
電が行われて加工が進行することになるが、セラミック
ス成分が多い場合は放電が行われなくなり、加工の進度
が遅くなる、あるいは加工不能となる場合がある。
【0155】しかし、この変形例に係るワイヤ電極13
0aでは、絶縁被膜192に砥粒318を混入させるよ
うにしているため、砥粒318によってセラミックス成
分を研削、研磨することができ、上述した放電加工の進
度が遅くなることや放電加工が中断するという不都合を
有効に回避することができる。
【0156】特に、加工溝180を規定の深さfまで加
工した後に、放電を停止してワイヤ電極130aを送給
させることにより、放電加工にて形成された加工溝18
0の表面を砥粒318で研磨することが可能となる。即
ち、この変形例に係るワイヤ電極130aを用いれば、
放電加工と研磨処理を連続して行うことができ、製造工
程の簡略化、製造設備の簡素化並びに工数の短縮化を有
効に図ることができる。
【0157】また、この変形例に係るワイヤ電極130
aを用いることにより、次のような複合材料で構成され
たワークWに対して放電加工を行うことが可能となり、
ワイヤ放電加工にて加工できる材料の選択の幅を広げる
ことができる。
【0158】即ち、複合材料としては、例えば銅の熱膨
張率よりも低い熱膨張率をもつ多孔質体を予備焼成して
ネットワーク化することによって得られる多孔質焼結体
に銅又は銅合金が含浸されて構成された複合材料が挙げ
られる。
【0159】例えばSiCからなる多孔質焼結体の開気
孔部(オープンポア部)に銅又は銅合金が含浸されて構
成された複合材料を例にとった場合、以下に示す条件の
複合材料を最適に放電加工することができる。 (1)SiCの気孔率(銅又は銅合金の含浸率とほぼ同
じ)が20vol%〜70vol%であること。 (2)SiCの平均開気孔径(気孔径)の値が0.5μ
m〜50μmであること。 (3)SiCの平均開気孔に関する分布(気孔分布)が
0.5μm〜50μmに90%以上分布していること。 (4)SiCの曲げ強度が10MPa以上であること。
【0160】なお、複合材料には、Be、Al、Si、
Mg、Ti、Niを1種類以上含み、かつ、Ag、C
d、Zn、Au、Pd、In、Ga、Pt、Cr、G
e、Rh、Sb、Ir、Co、As、Zr、Fe、S
n、Mn、P、Pb等の不可避の不純物、ガス成分を含
んでいてもよい。
【0161】ここで、変形例に係るワイヤ電極130a
の作り方について図20〜図29を参照しながら説明す
る。
【0162】まず、底部に複数のプロペラスクリュー3
20からなる撹拌手段322が配置された槽324内
に、砥粒318と樹脂液との混合液326を投入し、該
槽324内の混合液326を前記撹拌手段322にて十
分に撹拌する。撹拌手段322としては、上述のプロペ
ラスクリュー320のほかに、図21に示すように、横
型のスクリュー328を用いるようにしてもよい。
【0163】その後、十分に撹拌されている混合液32
6内を線状の電極本体(芯線)190を走行させ、電極
本体190の表面に混合液326を付着させた後、該電
極本体190をガイド部330に通して、最終的なワイ
ヤ電極130aの外径を規定する。その後、冷却水33
2が入れられた槽334内にワイヤ電極130aを走行
させて砥粒付きの絶縁被膜192を完全に固化させる。
この場合、前記水冷を行う前に空冷装置336を用いて
冷却風338による乾燥処理を行うようにしてもよい。
【0164】前記ガイド部330は、一次ガイド340
と二次ガイド342からなり、二次ガイド342にて最
終的な外径寸法が規定されるようになっている。これ
は、砥粒318が電極本体190の表面に付着している
ため、ガイド部330の摩耗に伴う該ガイド部330の
寸法変化の影響をなるべく抑えるためである。なお、必
要に応じて三次ガイド以降も設置するようにしてもよ
い。
【0165】一次ガイド340は、熱膨張率が小さく、
かつ、硬い材料、例えばAl2 3やZrO2 等のセラ
ミックスにて構成されている。そして、この一次ガイド
340は、例えば図22及び図23に示すように、電極
本体190の搬送方向に沿って電極本体190の挿通孔
350が形成され、外形ほぼ円錐台の形状を有する。挿
通孔350の後方開口(電極本体190が導入される側
の開口)350aの径は、非常に大きく設定されて、表
面に混合液326が付着された中間段階の電極本体19
0を容易に一次ガイド340の挿通孔350内に導入で
きるようになっている。
【0166】挿通孔350の前方開口(電極本体190
が導出される側の開口)350bの径は、最終的なワイ
ヤ電極130aの外径よりも10μmほど大きく設定さ
れて、表面に付着された混合液326のうち、余分な混
合液326(あるいは半乾燥状態の余分な砥粒付き絶縁
被膜192)をある程度除去できるようになっている。
【0167】また、この一次ガイド340は、その下部
に切欠き352が複数設けられ、一次ガイド340に付
着した混合液326が容易に下方に落ちるように構成さ
れている。
【0168】二次ガイド342は、例えば図24及び図
25に示すように、全体的に円筒状に形成され、ワイヤ
電極130aの走行方向のほぼ中央部分に配された規定
部360と、該規定部360の後方及び前方に配された
導入部362及び導出部364とを有して構成されてい
る。
【0169】規定部360は、例えばダイヤモンドにて
構成され、中央に最終的なワイヤ電極130aの外径と
同じ径の孔366が設けられたリング状の形状を有す
る。導入部362及び導出部364は、共に一次ガイド
340と同じ材質の材料で構成され、導入部362の内
壁はワイヤ電極130aの搬送方向に向かって徐々に径
が小さくなるテーパ面362aとして形成され、導出部
364の内壁はワイヤ電極130aの搬送方向に向かっ
て徐々に径が大きくなるテーパ面364aとして形成さ
れている。
【0170】特に、導入部362の下部には切欠き36
8が設けられ、規定部360にて除去された余分な混合
液326(あるいは半乾燥状態の余分な砥粒付き絶縁被
膜192)が容易に下方に落ちるように構成されてい
る。
【0171】ガイド部330(一次ガイド340及び/
又は二次ガイド342)に混合液326又は半乾燥状態
の砥粒付き絶縁被膜192の付着が激しい場合は、ガイ
ド部330を適当な温度(二次ガイド342の場合、ダ
イヤモンドで構成された規定部360に影響が少ない6
00℃未満)に加熱することが望ましい。
【0172】混合液326の樹脂液として硬化速度が速
い材料を用いた場合は、以下のような不都合が生じるこ
とがある。 (1)電極本体190がガイド部330に到達するまで
に、表面に付着した混合液326が乾燥し、ガイド部3
30を通過した際に、電極本体190の表面がささくれ
状態になる。 (2)電極本体190がガイド部330に到達するまで
に表面に付着した混合液326が完全に乾燥し、ガイド
部330で余分な絶縁被膜192を除去できない。 (3)電極本体190がひっかかり断線する。 (4)混合液326がガイド部330の直前で完全に固
化すると、ガイド部330を砥粒318により傷つける
可能性がある。
【0173】このように、硬化速度が速い材料で構成さ
れた樹脂液に砥粒318が混入した混合液326による
絶縁被膜192のうち、余分な絶縁被膜192をスムー
ズに除去し、かつ、除去後の絶縁被膜192の表面を滑
らかにし、ガイド部330を砥粒318で傷つけないた
めに、ガイド部330(一次ガイド340及び/又は二
次ガイド342)をヒータで加熱することが望ましい。
図26は一次ガイド340に加熱用のヒータ370を設
けた例を示す。もちろん混合液326が付着した電極本
体190をガイド部330の直前でヒータ370で加熱
するようにしてもよい。
【0174】また、ガイド部330をヒータ370で加
熱することにより、ガイド部330で除去された絶縁被
膜192を再溶融させて該ガイド部330から容易に除
去することができ、走行してくる電極本体190にその
絶縁被膜192を再付着させることも可能である。
【0175】前記ガイド部330にて外径が規定された
ワイヤ電極130aは、図27に示すように、表面に形
成された絶縁被膜192中に砥粒318が混入した状態
とされているが、砥粒318が完全に絶縁被膜192中
に埋め込まれた状態となる可能性がある。
【0176】このような場合、砥粒318によるワーク
Wの研磨効果を十分に発揮できなくなるおそれがあるた
め、図20に示すように、水冷用の槽334の前段に、
複数のレーザ発振装置380及び382を設置し、これ
らレーザ発振装置380及び382から出射されるレー
ザ光をワイヤ電極130aに照射させることにより、図
28に示すように、絶縁被膜192の表面を薄く除去し
て、砥粒318の一部を絶縁被膜192の表面より突き
出させるようにしてもよい。
【0177】なお、この発明に係るワイヤ放電加工装
置、ワイヤ放電加工方法、ワイヤ放電加工用ワイヤ電極
及び押出成形用金型は、上述の実施の形態に限らず、こ
の発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得
ることはもちろんである。
【0178】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るワイ
ヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法によれば、ワイ
ヤ放電加工の一般的な標準加工条件を逸脱した条件、例
えば厚みの大きいワークに対して、幅が狭くかつ深さの
大きい加工溝をワイヤ放電加工にて容易に形成すること
ができ、例えばハニカムセラミックスのセルの開口幅を
決定付けるためのスリットを設計通りに作成することが
できる。
【0179】また、本発明に係るワイヤ放電加工用ワイ
ヤ電極によれば、例えば厚みの大きいワークに対して、
幅が狭くかつ深さの大きい加工溝をワイヤ放電加工にて
容易に形成させることができる。
【0180】また、本発明に係る押出成形用金型によれ
ば、ハニカムセラミックスを押出成形で容易に作製する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置にて作
製される押出成形用金型(本実施の形態に係る押出成形
用金型と記す)を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態に係る押出成形用金型を示す平面
図である。
【図3】本実施の形態に係る押出成形用金型を一部拡大
して示す縦断面図である。
【図4】本実施の形態に係る押出成形用金型を一部拡大
して示す平面図である。
【図5】本実施の形態に係る押出成形用金型を用いて作
製されるハニカムセラミックスの構成を示す斜視図であ
る。
【図6】本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置を一部
破断して示す側面図である。
【図7】本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置を示す
斜視図である。
【図8】放電加工によりワークに形成される加工溝の形
状を示す斜視図である。
【図9】本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置にて使
用されるワイヤ電極を一部省略して示す斜視図である。
【図10】本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置に設
置される被膜除去手段を示す構成図である。
【図11】第2の被膜除去手段の構成を示すブロック図
である。
【図12】第2の被膜除去手段内におけるデコーダの構
成を示す回路図である。
【図13】第2の被膜除去手段内のROMに登録された
テーブルの内訳を示す説明図である。
【図14】図14Aは初期段階の除去パターンに応じた
ワイヤ電極の構成を示す説明図であり、図14Bは加工
安定化用の第1の除去パターンに応じたワイヤ電極の構
成を示す説明図であり、図14Cは加工安定化用の第2
の除去パターンに応じたワイヤ電極の構成を示す説明図
であり、図14Dは加工安定化用の第3の除去パターン
に応じたワイヤ電極の構成を示す説明図であり、図14
Eは加工安定化用の第4の除去パターンに応じたワイヤ
電極の構成を示す説明図である。
【図15】第1の変形例に係る第2の被膜除去手段の構
成を示すブロック図である。
【図16】異常放電回避のためのワイヤ電極の逆駆動動
作の検出に伴うセンサからの検出信号の推移を示す波形
図である。
【図17】第2の変形例に係る第2の被膜除去手段の構
成を示すブロック図である。
【図18】第2の変形例に係る第2の被膜除去手段内の
比較回路の構成を示す回路図である。
【図19】変形例に係るワイヤ電極の構成を一部省略し
て示す斜視図である。
【図20】変形例に係るワイヤ電極の製造ラインの一例
を示す構成図である。
【図21】撹拌手段の他の例を示す斜視図である。
【図22】一次ガイドの構成を示す斜視図である。
【図23】一次ガイドの構成を示す縦断面図である。
【図24】二次ガイドの構成を示す斜視図である。
【図25】二次ガイドの構成を示す縦断面図である。
【図26】一次ガイドにヒータを設けた場合の構成を示
す斜視図である。
【図27】ガイド部にて外径が規定されたワイヤ電極を
一部省略して示す図である。
【図28】レーザ光により絶縁被膜の表面を薄く除去し
て、砥粒の一部を絶縁被膜の表面から突き出させた状態
のワイヤ電極を一部省略して示す図である。
【図29】ワイヤ放電加工の標準加工条件を示す特性図
である。
【符号の説明】
10…ワイヤ放電加工装置 12…押出成形用
金型 14…ハニカムセラミックス 16…スリット 18…スリット部 20…坏土導入孔 22…坏土導入部 30…セル 32…隔壁 100…装置本体 130、130a…ワイヤ電極 132…ワイヤ駆
動系 134…給電部 180…加工溝 190…電極本体 192…絶縁被膜 200…被膜除去手段 202…第1の被
膜除去手段 204、204a、204b…第2の被膜除去手段 210…第1のパターン生成回路 212…第1のデ
バイス 214…第1のレーザ発振装置 216…第1の光
変調器 220…センサ 222…第2のパ
ターン生成回路 224…第2のデバイス 226…第2のレ
ーザ発振装置 228…第2の光変調器 300…放電波形
検出回路 302…周波数解析装置 318…砥粒 L1、L2…レーザ光
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】ワイヤ駆動系132は、上部アーム108
の側面に設けられたワイヤ供給部136と、下部アーム
110の側面に設けられたワイヤ巻取り部138とを有
して構成され、給電部134は、上部支持板112の端
部側面に設けられた上部給電ユニット170と、下部支
持板114の端部側面に設けられた下部給電ユニット
72とを有して構成されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】ワイヤ供給部136は、線状のワイヤ電極
130が多数ターン巻回されたワイヤ供給ボビン150
と、該ワイヤ供給ボビン150から導出されたワイヤ電
極130を上部給電ユニット170に導く第1〜第3の
プーリ152a〜152cと、第2及び第3のプーリ1
52b及び152cの間に設けられ、ワイヤ電極130
の送給速度を制御するブレーキローラ154と、該ブレ
ーキローラ154と第3のプーリ152cの間に設けら
れ、ワイヤ電極130に対して負荷をかけてワイヤ電極
130の張力調整を行うワイヤ押さえ156とを有して
構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】ワイヤ巻取り部138は、ワークWに対す
る放電加工を終えた使用済みのワイヤ電極130(下部
給電ユニット172を通じて導出されたワイヤ電極13
0)を巻き取るためのワイヤ巻取りボビン160と、下
部支持板114の端部下面近傍に設けられた第4のプー
リ152dと、使用済みのワイヤ電極130を前記第4
のプーリ152dの案内で下部アーム110側に導くワ
イヤ巻上げローラ162と、該ワイヤ巻上げローラ16
2にて巻き上げられた使用済みワイヤ電極130をワイ
ヤ巻取りボビン160側に向けて搬送するピンチローラ
164と、使用済みワイヤ電極130をワイヤ巻取りボ
ビン160に整列させて巻回させるためのワイヤ整列巻
き装置166とを有して構成されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】また、上部支持板112には、ワイヤ放電
加工による加工部分の冷却のために、下方にワイヤ電極
130の送給方向に沿って加工液120を噴射させる上
部ノズル140が設けられ、下部支持板114にも、ワ
イヤ放電加工による加工部分の冷却のために、上方にワ
イヤ電極130の送給方向に沿って加工液120を噴射
させる下部ノズル142が設けられている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤ電極を被加工物に対向させて送給さ
    せるワイヤ駆動系と、ワイヤ電極に電力を供給するため
    の給電部とを有し、前記ワイヤ電極と前記被加工物との
    間に放電を行わせて被加工物を任意の形状に加工するワ
    イヤ放電加工装置において、 前記ワイヤ電極は表面が絶縁被覆され、 前記ワイヤ電極の送給経路のうち、前記給電部の前段
    に、放電加工の状態に応じて、前記ワイヤ電極の絶縁被
    膜の一部を選択的に除去する被膜除去手段を有すること
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記被膜除去手段は、 前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一部を該ワイヤ電極に沿っ
    て連続的に除去する第1の被膜除去手段と、 放電加工の状態に応じて前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一
    部を選択的に除去する第2の被膜除去手段とを有するこ
    とを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載のワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記第2の被膜除去手段は、 前記放電加工の状態を電気的に検出するセンサと、 前記センサからの電気信号に基づいて前記ワイヤ電極の
    絶縁被膜の除去パターンを生成するパターン生成回路
    と、 生成された前記除去パターンに応じて前記ワイヤ電極の
    絶縁被膜を除去するデバイスとを有することを特徴とす
    るワイヤ放電加工装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載のワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記センサは、 前記被加工物に形成される加工溝の深さに応じたレベル
    の電気信号を出力することを特徴とするワイヤ放電加工
    装置。
  5. 【請求項5】請求項3記載のワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記センサは、 異常放電回避のためのワイヤ電極の逆駆動動作を検出す
    ることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  6. 【請求項6】請求項3記載のワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記センサは、 放電波形中の高周波成分を抽出し、その高周波成分に応
    じたレベルの電気信号に変換することを特徴とするワイ
    ヤ放電加工装置。
  7. 【請求項7】請求項3〜6のいずれか1項に記載のワイ
    ヤ放電加工装置において、 前記デバイスは、 レーザ発振装置と、 前記除去パターンに応じて前記レーザ発振装置をON/
    OFF制御する光変調器とを有することを特徴とするワ
    イヤ放電加工装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載のワイ
    ヤ放電加工装置において、 前記ワイヤ電極の絶縁被膜に、砥粒が混入されているこ
    とを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  9. 【請求項9】ワイヤ駆動系を通じてワイヤ電極を被加工
    物に対向させて送給させ、給電部を通じて前記ワイヤ電
    極に電力を供給することにより、前記ワイヤ電極と前記
    被加工物との間に放電を行わせて被加工物を任意の形状
    に加工するワイヤ放電加工方法において、 前記ワイヤ電極として、表面に絶縁被覆が施されたワイ
    ヤ電極を使用し、 前記ワイヤ電極の送給経路のうち、前記給電部の前段に
    おいて、放電加工の状態に応じて前記ワイヤ電極の絶縁
    被膜の一部を選択的に除去することを特徴とするワイヤ
    放電加工方法。
  10. 【請求項10】請求項9記載のワイヤ放電加工方法にお
    いて、 前記ワイヤ電極の絶縁被膜の除去処理は、 前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一部を該ワイヤ電極に沿っ
    て連続的に除去する第1の被膜除去処理と、 放電加工の状態に応じて前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一
    部を選択的に除去する第2の被膜除去処理とを有するこ
    とを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  11. 【請求項11】請求項10記載のワイヤ放電加工方法に
    おいて、 前記第2の被膜除去処理は、 前記放電加工の状態を電気的に検出し、 その検出信号に基づいて前記ワイヤ電極の絶縁被膜の除
    去パターンを生成し、 生成された前記除去パターンに応じて前記ワイヤ電極の
    絶縁被膜を除去することを特徴とするワイヤ放電加工方
    法。
  12. 【請求項12】請求項10記載のワイヤ放電加工方法に
    おいて、 前記放電加工の状態の電気的な検出は、 前記被加工物に形成される加工溝の深さに応じたレベル
    を有する電気信号の出力によって行われることを特徴と
    するワイヤ放電加工方法。
  13. 【請求項13】請求項10記載のワイヤ放電加工方法に
    おいて、 前記放電加工の状態の電気的な検出は、 異常放電回避のためのワイヤ電極の逆駆動動作を検出す
    ることによって行われることを特徴とするワイヤ放電加
    工方法。
  14. 【請求項14】請求項10記載のワイヤ放電加工方法に
    おいて、 前記放電加工の状態の電気的な検出は、 放電波形中の高周波成分を抽出し、その高周波成分に応
    じたレベルの電気信号に変換することよって行われるこ
    とを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  15. 【請求項15】請求項10〜14のいずれか1項に記載
    のワイヤ放電加工方法において、 前記除去パターンに応じた前記ワイヤ電極の絶縁被膜の
    除去処理は、 光変調器を通じてレーザ発振装置をON/OFF制御す
    ることによって行われることを特徴とするワイヤ放電加
    工方法。
  16. 【請求項16】請求項9〜15のいずれか1項に記載の
    ワイヤ放電加工方法において、 前記ワイヤ電極の絶縁被膜に、砥粒が混入されているこ
    とを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  17. 【請求項17】ワイヤ電極と被加工物との間に放電を行
    わせて被加工物を任意の形状に加工するワイヤ放電加工
    処理に使用されるワイヤ電極において、 導体で構成されたワイヤ電極本体の表面に、絶縁被膜が
    間欠的に形成された部分と、前記ワイヤ電極本体の一部
    が軸線に沿って連続的に露出された部分とを有すること
    を特徴とするワイヤ放電加工用ワイヤ電極。
  18. 【請求項18】請求項17記載のワイヤ電極において、 前記ワイヤ電極の絶縁被膜に、砥粒が混入されているこ
    とを特徴とするワイヤ放電加工用ワイヤ電極。
  19. 【請求項19】前面に多数のスリットが碁盤の罫状に穿
    設され、前記多数のスリットに坏土を供給するための坏
    土導入孔が裏面側に多数設けられた押出成形用金型にお
    いて、 前記多数のスリットは、 表面が絶縁被覆されたワイヤ電極の送給経路のうち、該
    ワイヤ電極に電力を供給するための給電部の前段に、放
    電加工の状態に応じて、前記ワイヤ電極の絶縁被膜の一
    部を選択的に除去しながら、前記ワイヤ電極と被加工物
    との間に放電を行わせて前記被加工物を加工するワイヤ
    放電加工によって形成されていることを特徴とする押出
    成形用金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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