JPH11258056A - 放射検出装置 - Google Patents

放射検出装置

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JPH11258056A
JPH11258056A JP10074871A JP7487198A JPH11258056A JP H11258056 A JPH11258056 A JP H11258056A JP 10074871 A JP10074871 A JP 10074871A JP 7487198 A JP7487198 A JP 7487198A JP H11258056 A JPH11258056 A JP H11258056A
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film
change
electric resistance
radiation
heat
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JP10074871A
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English (en)
Inventor
Katsushi Nakano
勝志 中野
Toru Ishizuya
徹 石津谷
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線等の放射の検出効率を高める。 【解決手段】 入射した赤外線は、検出膜部4により吸
収されて熱に変換される。その結果、検出膜部4の一部
を構成するn型にドープされたポリシリコン膜6の温度
は上昇し、膜6が熱膨張する。膜6の両側部分は脚部3
にて支えられているので、膜6内に圧縮応力が発生す
る。この応力によるピエゾ抵抗効果により、膜6の両側
部分間の電気抵抗は減少する。同時に、膜6の温度の上
昇によるボロメータ効果により、膜6の電気抵抗は減少
する。さらに、前記圧縮応力により膜6の断面積が増加
することにより、膜6の電気抵抗は減少する。これら3
つの原因により膜6の電気抵抗の温度上昇による減少を
引き起こすことにより、膜6の電気抵抗の変化量は増大
し、検出効率が高まる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線、X線、紫
外線などの放射を検出する放射検出装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】放射検出装置の一種である従来の赤外線
イメージセンサでは、受光素子としてボロメータを面内
に集積し、被測定物からの赤外線が、前記受光素子に入
射した時の、当該素子の温度上昇による電気抵抗の変化
を高感度に検出することにより、被測定物の温度分布を
画像化している(米国特許第5300915号公報)。
【0003】一方、膨張係数の違う2種類の物質を積層
したバイモルフで赤外線を吸収し、その時のバイモルフ
の温度上昇により生じるバイモルフの撓みを検出するこ
とにより、赤外線を検出する赤外線検出装置も、従来か
ら提供されている。このバイモルフによる赤外線の検出
では、当該バイモルフの撓みを、当該バイモルフを構成
する膜に内部応力が作用することより引き起こされる当
該膜の電気抵抗値の変化(ピエゾ抵抗効果)によって赤
外線を検出する技術(SPIE Vol. 2744, pp.345-354)等
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
から種々の検出原理により放射を検出する放射検出装置
が提供されているが、放射の検出効率を一層高めること
が望まれている。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、従来の放射検出装置に比べて検出効率の高い
放射検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様による放射検出装置は、基板
と、該基板に対して膜面方向の両側部分が支持され1層
以上の膜からなる検出膜部と、を備え、前記1層以上の
膜のうちの少なくとも1層の膜が、受けた放射を吸収し
て熱に変換する特性を有し、前記1層以上の膜のうちの
1層の膜は、前記熱による膨張又は収縮に従って前記両
側部分が支持されていることにより生ずる膜面方向の応
力によって、当該膜の前記両側部分間の電気抵抗が変化
するピエゾ抵抗効果を示す特性を有するとともに、前記
熱による温度変化によって当該膜の電気抵抗が変化する
ボロメータ効果(ボロメータとしての効果)を示す特性
を有する抵抗変化膜であり、前記熱の増減に対する前記
ピエゾ抵抗効果による前記電気抵抗の変化の方向と前記
ボロメータ効果による前記電気抵抗の変化の方向とが一
致しているものである。
【0007】この第1の態様によれば、検出膜部を構成
する膜のうちの少なくとも1層の膜により、放射が吸収
されて熱に変換される。そして、検出膜部における膜面
方向の両側部分が基板に対して支持されているので、抵
抗変化膜は、前記熱による膨張又は収縮に従って当該熱
に応じた応力を受ける。したがって、抵抗変化膜がピエ
ゾ抵抗効果を示す特性を有しているので、抵抗変化膜の
電気抵抗は、当該ピエゾ抵抗効果により前記熱に応じて
変化する。一方、抵抗変化膜は、ピエゾ抵抗効果のみな
らず、ボロメータ効果を示す特性も有しているので、抵
抗変化膜の電気抵抗は、当該ボロメータ効果により前記
熱に応じて変化する。そして、前記第1の態様では、熱
の増減に対する前記ピエゾ抵抗効果による前記電気抵抗
の変化の方向と前記ボロメータ効果による前記電気抵抗
の変化の方向とが一致しているので、前記熱による抵抗
変化膜の電気抵抗の変化量は、ピエゾ抵抗効果による電
気抵抗の変化量とボロメータ効果による電気抵抗の変化
量とを加えたものとなり、前述した従来の放射検出装置
の場合のようなピエゾ抵抗効果又はボロメータ効果の一
方のみの単独の効果による電気抵抗の変化量に比べて増
大する。このため、前記第1の態様によれば、従来の放
射検出装置に比べて検出効率が高まり感度が向上する。
【0008】なお、前記第1の態様では、用途に応じ
て、入射する放射の種類は適宜選択することができる。
【0009】本発明の第2の態様による放射検出装置
は、前記第1の放射検出装置において、前記熱の増減に
対する前記ピエゾ抵抗効果による前記電気抵抗の変化の
方向及び前記ボロメータ効果による前記電気抵抗の変化
の方向は、前記熱による膨張又は収縮に従って前記両側
部分が支持されていることにより生ずる当該膜の断面積
の変化が引き起こす当該膜の電気抵抗の変化の前記熱の
増減に対する方向と一致しているものである。
【0010】前記第1の態様では、検出膜部における膜
面方向の両側部分が基板に対して支持されているので、
抵抗変化膜の断面積は、前記熱による膨張又は収縮に従
って変化する。したがって、抵抗変化膜の電気抵抗は、
ボロメータ効果及びピエゾ抵抗効果によって変化するの
みならず、前記熱に応じた断面積の変化によっても変化
することになる。このため、前記第2の態様のように、
ボロメータ効果及びピエゾ抵抗効果による抵抗変化膜の
電気抵抗の熱の増減に対する変化の方向を、前記断面積
の熱の増減に対する変化の方向と一致させておくと、抵
抗変化膜の電気抵抗の変化量は、ピエゾ抵抗効果による
電気抵抗の変化量、ボロメータ効果による電気抵抗の変
化量、及び断面積変化による電気抵抗の変化量を加えた
ものとなり、一層検出効率が高まり、好ましい。
【0011】もっとも、断面積変化による電気抵抗の変
化量は、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化量やボロ
メータ効果による電気抵抗の変化量に比べればかなり小
さいので、前記第1の態様では、ボロメータ効果及びピ
エゾ抵抗効果による抵抗変化膜の電気抵抗の熱の増減に
対する変化の方向は、前記断面積の熱の増減に対する変
化の方向と一致していなくてもよい。
【0012】本発明の第3の態様による放射検出装置
は、前記第1又は第2の態様による放射検出装置におい
て、前記抵抗変化膜の前記両側部分間の電気抵抗に応じ
た信号を出力する読み出し回路を備えたものである。
【0013】なお、前記第1乃至第3の態様において
は、検出膜部の支持構造として脚部を用いて支持しても
よいし、このような脚部を用いずに、例えば、基板に穴
を形成し、該穴を跨ぐように検出膜部を形成し、基板に
おける当該穴の両側部分によって検出膜部の両側部分を
支持するようにしてもよい。
【0014】本発明の第4の態様による放射検出装置
は、基板と、2層以上の膜からなる検出膜部と、を備
え、前記2層以上の膜のうちの少なくとも1層の膜が、
受けた放射を吸収して熱に変換する特性を有し、前記2
層以上の膜のうちの互いに重なった2層の膜が、互いに
異なる膨張係数を有する異なる物質からなり、前記検出
膜部は、前記互いに重なった2層の膜の膨張係数の相違
により前記熱に応じて前記検出膜部が撓み得るように、
前記基板に対してフローティング状態となるように支持
され、前記2層以上の膜のうちの1層の膜は、前記検出
膜部の撓みに応じて受ける応力によって、当該膜の電気
抵抗が変化するピエゾ抵抗効果を示す特性を有するとと
もに、前記熱による温度変化によって当該膜の電気抵抗
が変化するボロメータ効果を示す特性を有する抵抗変化
膜であり、前記熱の増減に対する前記ピエゾ抵抗効果に
よる前記電気抵抗の変化の方向と前記ボロメータ効果に
よる前記電気抵抗の変化の方向とが一致しているもので
ある。
【0015】この第4の態様によれば、検出膜部を構成
する膜のうちの少なくとも1層の膜により、放射が吸収
されて熱に変換される。そして、検出膜部は、互いに異
なる膨張係数を有する異なる物質からなる互いに重なっ
た2層の膜を有し、いわゆる熱バイモルフ構造が採用さ
れており、検出膜部が基板に対して撓み可能に支持され
ていることから、検出膜部が前記熱に応じて撓む。この
ため、抵抗変化膜は、この撓みにより前記熱に応じた応
力を受ける。このように、第4の態様では、熱によって
抵抗変化膜が応力を受けるメカニズムが前記第1の態様
とは異なるが、前記第1の態様と同様に、抵抗変化膜
は、放射が変換された熱に応じた応力を受ける。したが
って、抵抗変化膜がピエゾ抵抗効果を示す特性を有して
いるので、抵抗変化膜の電気抵抗は、当該ピエゾ抵抗効
果により前記熱に応じて変化する。一方、前記第4の態
様においても、前記第1の態様と同様に、抵抗変化膜
は、ピエゾ抵抗効果のみならず、ボロメータ効果を示す
特性も有しているので、抵抗変化膜の電気抵抗は、当該
ボロメータ効果により前記熱に応じて変化する。そし
て、前記第4の態様においても、前記第1の態様と同様
に、熱の増減に対する前記ピエゾ抵抗効果による前記電
気抵抗の変化の方向と前記ボロメータ効果による前記電
気抵抗の変化の方向とが一致しているので、前記熱によ
る抵抗変化膜の電気抵抗の変化量は、ピエゾ抵抗効果に
よる電気抵抗の変化量とボロメータ効果による電気抵抗
の変化量とを加えたものとなり、前述した従来の放射検
出装置の場合のようなピエゾ抵抗効果又はボロメータ効
果の一方のみの単独の効果による電気抵抗の変化量に比
べて増大する。このため、前記第4の態様によっても、
従来の放射検出装置に比べて検出効率が高まり感度が向
上する。
【0016】なお、前記第4の態様においても、用途に
応じて、入射する放射の種類は適宜選択することができ
ることは、言うまでもない。
【0017】本発明の第5の態様による放射検出装置
は、前記第4の態様による放射検出装置において、前記
抵抗変化膜の電気抵抗に応じた信号を出力する読み出し
回路を備えたものである。
【0018】なお、前記第4及び第5の態様において
も、検出膜部の支持構造として脚部を用いて支持しても
よいし、このような脚部を用いずに、例えば、基板に穴
を形成し、該穴に突き出すように検出膜部を形成し、基
板における当該穴の縁部分によって検出膜部を支持する
ようにしてもよい。
【0019】本発明の第6の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第5のいずれかの態様による放射検出
装置において、前記検出膜部を前記基板に対して支持す
るための脚部を備え、該脚部が導電性を有するものであ
る。
【0020】この第6の態様のように、検出膜部の支持
構造として脚部を用い、該脚部が導電性を有していれ
ば、当該脚部が検出膜部を支持するための支持構造と抵
抗変化膜の電気抵抗を読み出し回路等に電気的に接続す
るための配線構造とを兼用することとなるので、構造が
簡単となる。もっとも、脚部を絶縁材料で構成し、該脚
部上に配線となる金属膜等を形成してもよい。
【0021】本発明の第7の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第6のいずれかの態様による放射検出
装置において、nを奇数、前記放射の中心波長をλ0
して、前記少なくとも1層の膜から実質的にnλ0/4
の間隔をあけて配置された前記放射を反射する放射反射
膜を備えたものである。
【0022】この第7の態様によれば、いわゆるオプチ
カルキャビティの原理により、検出膜部の放射を吸収す
る膜の放射吸収率が高まり、放射から熱への変換効率を
高めることができ、ひいては、放射の検出効率が更に高
まる。
【0023】本発明の第8の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第7のいずれかに態様による放射検出
装置において、前記検出膜部が、前記抵抗変化膜上に形
成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された金属膜とを
含むものである。
【0024】この第8の態様によれば、検出膜部が金属
膜を有しているが、金属膜は赤外線等の放射に対する吸
収係数が高いことから、放射の熱変換効率が一層高ま
る。そして、このように金属膜を用いているにも関わら
ず、抵抗変化膜上に絶縁膜を介して金属膜が形成されて
いるので、金属膜が抵抗変化膜に対して絶縁膜により電
気的に絶縁され、抵抗変化膜の電気抵抗の変化に応じた
信号の取り出しに支障を来すことがない。
【0025】本発明の第9の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第8のいずれかの態様による放射検出
装置において、前記検出膜部を1個の素子として当該素
子を複数個有し、当該素子が1次元状又は2次元状に配
列されたものである。
【0026】前記第1乃至第8の態様では、単に放射を
検出する場合には1個の素子(画素に相当)のみを有し
ていればよい。しかし、前記第9の態様のように、1次
元状又は2次元状に配列された複数の素子を有していれ
ば、放射による1次元又は2次元の像を撮像することが
できる。
【0027】なお、前記第1乃至第9の態様において、
前記抵抗変化膜の材料と例としてn型又はp型にドープ
されたポリシリコンを挙げることができるが、抵抗変化
膜の材料がこれに限定されるものではないことは言うま
でもない。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明による放射検出装置
について図面を参照して説明する。以下の説明では、検
出すべき放射を赤外線とした例、すなわち、赤外線検出
装置の例について説明するが、本発明では、検出すべき
放射を赤外線以外のX線や紫外線やその他の種々の放射
としてもよい。
【0029】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態による放射検出装置としての赤外線検出装
置について、図1を参照して説明する。
【0030】図1は本実施の形態による赤外線検出装置
の単位素子2を模式的に示す図であり、図1(a)は当
該単位素子2を示す概略斜視図、図1(b)は赤外線入
射前における当該単位素子2を示す概略縦断面図、図1
(c)は赤外線入射中の当該単位素子2を示す概略断面
図、図1(d)は当該単位素子2の等価回路図である。
【0031】本実施の形態による赤外線検出装置は、基
板1と、該基板1に2次元状に配列された複数の単位素
子2(図1では1つの単位素子2のみを示している。)
とを備えている。各単位素子2は、基板1に対して膜面
方向の両側部分がそれぞれ対応する脚部3,3を介して
基板1から間隔をあけて支持された検出膜部4と、該検
出膜部4の下方において基板1上に形成された赤外線反
射膜5とから構成されている。図1には示していない
が、基板1には、トランジスタや配線パターン等を含む
後述する図2に示すような読み出し回路が形成されてい
る。赤外線反射膜5は、例えば比較的厚いアルミニウム
膜からなり、赤外線を全反射するようになっている。
【0032】本実施の形態では、検出膜部4は、基板1
側から順に積層された抵抗変化膜6、絶縁膜としての窒
化珪素膜7、及び金属膜としてのアルミニウム膜8によ
り構成されている。
【0033】アルミニウム膜8は赤外線吸収係数が高
く、主としてアルミニウム膜8が、受けた赤外線を吸収
して熱に変換するが、他の膜6,7も赤外線を吸収す
る。本実施の形態では、アルミニウム膜8の膜厚等が適
宜設定されて検出膜部4全体の赤外線吸収率が約33%
とされている。そして、nを奇数、検出すべき赤外線の
中心波長をλ0として、検出膜部4(特にそのアルミニ
ウム膜8)と赤外線反射膜5との間の間隔が実質的にn
λ0/4とされている。すなわち、本実施の形態では、
検出膜部4(特にそのアルミニウム膜8)と赤外線反射
膜5との間で入射赤外線と反射赤外線の間で干渉を起こ
すいわゆるオプチカルキャビティ構造が採用されてい
る。入射赤外線は検出膜部4(特にそのアルミニウム膜
8)で一部吸収され、残りは検出膜部4を透過し赤外線
反射膜5の上面で反射し再度検出膜部4に入射する。こ
のため、検出膜部4と赤外線反射膜5の間で干渉現象が
起こり、両者の間隔が入射赤外線の中心波長の1/4の
奇数倍とされているので、検出膜部4での赤外線吸収が
最大となり、検出膜部4における赤外線の吸収率が更に
高まり、好ましい。もっとも、本発明では、必ずしもオ
プチカルキャビティ構造を採用する必要はない。
【0034】抵抗変化膜6は、前述のようにして赤外線
が変換された検出膜部4の熱による膨張又は収縮に従っ
て、検出膜部4における膜面方向の両側部分が基板1に
対して支持されていることにより生ずる膜面方向の応力
(本実施の形態では、図1(c)に示すように、圧縮応
力)によって、当該膜6の前記両側部分間の電気抵抗が
変化するピエゾ抵抗効果を示す特性を有している。ま
た、抵抗変化膜6は、前記熱による温度変化によって当
該膜6の電気抵抗が変化するボロメータ効果を示す特性
も合わせて有している。そして、前記熱の増減に対する
前記ピエゾ抵抗効果による前記電気抵抗の変化の方向と
前記ボロメータ効果による前記電気抵抗の変化の方向と
が一致している。本実施の形態では、前記熱の増減によ
って抵抗変化膜6に生ずる前記膜面方向の応力によって
抵抗変化膜6の断面積が変化するが、この断面積の変化
が引き起こす抵抗変化膜6の電気抵抗の変化の前記熱の
増減に対する方向と、前記熱の増減に対する前記ピエゾ
抵抗効果による前記電気抵抗の変化の方向及び前記ボロ
メータ効果による前記電気抵抗の変化の方向とが、一致
している。もっとも、断面積変化による電気抵抗の変化
量は、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化量やボロメ
ータ効果による電気抵抗の変化量に比べればかなり小さ
いので、ボロメータ効果及びピエゾ抵抗効果による抵抗
変化膜の電気抵抗の熱の増減に対する変化の方向は、前
記断面積の熱の増減に対する変化の方向と必ずしも一致
していなくてもよい。
【0035】本実施の形態では、前記抵抗変化膜6とし
て、具体的には、n型にドープされたポリシリコン膜が
用いられている。この場合、n型にドープされたポリシ
リコン膜は、当該膜が受ける熱が増大して膨張すること
により膜面方向に圧縮応力を受けると、前記両側部分間
の電気抵抗が減少するピエゾ抵抗効果を示す特性を有し
ている。また、n型にドープされたポリシリコン膜は、
当該膜が受ける熱が増大して温度が上昇すると、当該膜
の電気抵抗が減少するボロメータ効果を示す特性を有し
ている。このように、n型にドープされたポリシリコン
膜は、ピエゾ抵抗効果を示す特性とボロメータ効果を示
す特性とを合わせ持っており、しかも、前記熱の増減に
対する電気抵抗の変化方向が一致している。また、抵抗
変化膜6は、当該膜6が受ける熱が増大して膨張するこ
とにより膜面方向に圧縮応力を受けると、その断面積が
増加し、当該膜6の電気抵抗が減少するので、抵抗変化
膜6としてn型にドープされたポリシリコンを用いれ
ば、ボロメータ効果及びピエゾ抵抗効果による抵抗変化
膜の電気抵抗の熱の増減に対する変化の方向は、前記断
面積の熱の増減に対する変化の方向と一致することとな
る。
【0036】なお、前記抵抗変化膜6は、n型にドープ
されたポリシリコン膜に限定されるものではなく、例え
ば、GaAs、Ge、InSb等の膜を用いることがで
きる。
【0037】また、ポリシリコン膜等は赤外線吸収係数
が比較的高いので、抵抗変化膜6としてn型にドープさ
れたポリシリコン膜等を用いた場合には、必ずしもアル
ミニウム膜8や窒化珪素膜7を設ける必要がなく、検出
膜部4を抵抗変化膜6のみで構成してもよい。また、ア
ルミニウム膜8に代えて赤外線吸収係数の高い他の金属
膜やその他の膜(例えば、金黒、TiNなどの窒化金属
膜、Pt、FeNiなどの合金等の膜)を用いてもよい
し、窒化珪素膜7に代えて他の絶縁膜(例えば、SiO
N:オキシナイトライド、SiO等の膜)を用いてもよ
い。窒化珪素膜7などの絶縁膜は、アルミニウム膜8な
どの金属膜を抵抗変化膜6に対して電気的に絶縁し、抵
抗変化膜6の電気抵抗の変化に応じた信号の取り出しに
支障を来すのを防止する作用を担う。
【0038】本実施の形態では、前記脚部3は、導電性
を有する材料、例えばn型又はp型にドープされたポリ
シリコンからなり、抵抗変化膜6の両側部分をそれぞれ
基板1に形成された読み出し回路に接続する配線として
の機能も担うようになっている。もっとも、脚部3を絶
縁材料で構成し、該脚部3に、抵抗変化膜6の両側部分
をそれぞれ基板1に形成された読み出し回路に接続する
配線を形成してもよい。この場合、各配線を独立させれ
ば、隣接する単位素子2の脚部3を適宜一体化すること
もできる。なお、例えば、基板1に穴を形成し、該穴を
跨ぐように検出膜部4を形成し、基板1における当該穴
の両側部分によって検出膜部4の両側部分を支持するよ
うにすれば、脚部3は不要である。
【0039】前記単位素子2の等価回路は、図1(d)
に示すように、抵抗変化膜6の前記両側部分間の電気抵
抗として表され、入射した赤外線はこの電気抵抗の変化
として検出される。すなわち、図1(b)に示す赤外線
入射前の状態から赤外線が単位素子2に入射した場合、
入射赤外線は、前述したオプティカルキャビティ構造に
よりトラップされ、検出膜部4により吸収されて熱に変
換される。その結果、抵抗変化膜6の温度は上昇し、抵
抗変化膜6が熱膨張する。抵抗変化膜6の両側部分は脚
部3にて支えられており、この部分は変位しないため、
図1(c)に示すように、抵抗変化膜6内に圧縮応力が
発生する。この応力によるピエゾ抵抗効果により、抵抗
変化膜6として用いられたn型にドープされたポリシリ
コン膜の前記両側部分間の電気抵抗は減少する。また、
抵抗変化膜6の温度の上昇によるボロメータ効果によ
り、抵抗変化膜6の電気抵抗は減少する。さらに、前記
圧縮応力により抵抗変化膜6の断面積が増加することに
より、抵抗変化膜6の電気抵抗は減少する。これら3つ
の原因により抵抗変化膜6の電気抵抗の温度上昇による
減少を引き起こすことにより、抵抗変化膜6の電気抵抗
の変化量は、前述した従来の放射検出装置の場合のよう
なピエゾ抵抗効果又はボロメータ効果の一方のみの単独
の効果による電気抵抗の変化量に比べて増大する。この
ため、本実施の形態によれば、赤外線検出の効率を向上
させることができる。
【0040】ところで、本実施の形態による赤外線検出
装置は、各単位素子2の前記電気抵抗の変化に応じた信
号(すなわち、入射赤外線に応じた信号)を出力する読
み出し回路を備えている。この読み出し回路の一例につ
いて、図2を参照して説明する。図2は本実施の形態に
よる赤外線検出装置の読み出し回路の一例を示す図であ
り、図2(a)は1つの単位画素2に関する基本回路構
成を示す回路図、図2(b)は2×2個の単位画素2に
関する全体の回路構成を示す回路図である。
【0041】図2(a)において、前記単位素子2は行
選択スイッチ用のトランジスタ10を介してオペアンプ
11の非反転入力端子に接続され、オペアンプ11の反
転入力端子には基準電圧Vrefが印加され、オペアンプ
11の非反転入力端子と出力端子との間に抵抗12が接
続されている。オペアンプ11の出力電圧をVout、オ
ペアンプ11の非反転入力端子の電圧をVG、フィード
バック用の抵抗12の抵抗値をR2とする。今、トラン
ジスタ10が導通している状態において、単位素子2の
抵抗変化膜6の抵抗値がR1であるとすると、出力電圧
Voutは下記の数1により与えられる。ここで、単位
素子2の検出膜部4への赤外線の入射量が変化して、当
該単位素子2の抵抗変化膜6の抵抗値がR1からΔR1
だけ増加したときの出力電圧Voutの変化分であるΔ
Voutは、下記の数2により与えられる。
【0042】
【数1】Vout=Vref{1+(R2/R1)}
【0043】
【数2】ΔVout=Vref[(R2/R1)−{R2/(R1
+ΔR1)}]
【0044】この図2(a)に示す基本回路を用いて2
×2個の単位素子2から信号を読み出す場合には、例え
ば、読み出し回路は図2(b)に示すように構成され
る。図2(a)において、図2(b)中の要素と同一又
は対応する要素には同一符号を付している。各単位素子
2に対応して設けられたトランジスタ10のゲートは、
配線13により、水平走査方向(行方向)に各行毎に共
通に接続され、更にシフトレジスタ等からなる垂直走査
回路15に接続されている。また、各単位素子2に対応
して設けられたトランジスタ10のドレインは、垂直信
号線14により、垂直走査方向(列方向)に各列毎に共
通に接続され、更に列選択スイッチ用の各トランジスタ
17のソースにそれぞれ接続されている。各トランジス
タ17のゲートは、シフトレジスタ等からなる水平走査
回路16に接続され、水平走査回路16から順次列選択
信号が供給される。各トランジスタ17のドレインは、
オペアンプ11の非反転入力端子に共通に接続されてい
る。この読み出し回路によれば、垂直走査回路15及び
水平走査回路16により順次行選択信号及び列選択信号
を供給することにより、各単位素子2がオペアンプ11
の非反転入力端子に順次接続され、各単位素子2の電気
抵抗に応じた信号がオペアンプ11の出力端子から順次
出力され、画像信号を得ることができる。
【0045】なお、本実施の形態では各単位素子2が2
次元状に配列されているが、必要に応じて基板1上に1
次元状に配置してもよいし、単に放射の強度のみを検出
するような場合には、単一の素子のみを基板1上に配置
してもよい。
【0046】次に、図1に示す赤外線検出装置の製造方
法の一例について、図3及び図4を参照して説明する。
図3はこの製造方法の各工程を示す概略断面図、図4は
図3に示す工程に引き続く工程を示す概略断面図であ
る。
【0047】まず、半導体基板として、厚さ250μ
m、(100)面方位のシリコン単結晶基板20(図1
中の基板1に相当)に、前述した読み出し回路を通常の
製造方法により形成する(図示せず)。次に、通常のフ
ォトリソエッチ法又はリフトオフ法により、基板20上
にW、Pt、Tiなどの高融点金属膜21(図1中の赤
外線反射膜5に相当)を形成する(図3(a))。
【0048】次に、減圧CVD法により、図3(a)に
示す状態のシリコン基板20上面に、厚さ2.5μmの
ポリシリコン膜22(図1中の脚部3に相当)を成長さ
せる。このポリシリコン膜22はn型あるいはp型にド
ープされており、導電性を有する。その後、ポリシリコ
ン膜22上にレジスト23を塗布する(図3(b))。
【0049】その後、フォトエッチ法により、上面に成
長させたポリシリコン膜22を、前記脚部3に相当する
部分を残してそれ以外を除去するようにパターニングす
る(図3(c))。
【0050】次に、図3(c)に示す状態の基板上に、
オゾン−TEOS酸化膜24を常圧CVD法でデポした
後リフロー処理を行い、その表面が平坦になるようにす
る(図3(d))。
【0051】次いで、オゾン−TEOS酸化膜及びポリ
シリコンが同じレートでエッチングされる条件でドライ
エッチングによりオゾン−TEOS酸化膜層24をエッ
チバックし、前記脚部3に相当するポリシリコン22の
上面を露出させる(図4(a))。
【0052】その後、図4(a)に示す状態の基板上
に、n型にドープされた厚さ50nmのポリシリコン膜
25(図1中の抵抗変化膜6に相当)を減圧CVD法に
より成長させる。さらに、このポリシリコン膜25上
に、厚さ20nm程度の窒化珪素膜26(図1中の窒化
珪素膜7に相当)を、同じく減圧CVD法により成長さ
せる。さらにまた、この窒化珪素膜26上に、厚さ約5
0nmのアルミニウム膜27(図1中のアルミニウム膜
8に相当)を蒸着法により成長させる。その後、このア
ルミニウム膜27上にレジスト28を塗布し(図4
(b))、フォトエッチ法により膜25,26,27に
おける前記検出膜部4に相当する領域を形成する(図4
(c))。
【0053】最後に、レジスト28を除去した後、オゾ
ン−TEOS酸化膜24をウエット又はドライエッチン
グ法により取り去る(図4(d))。これにより、図1
に示す赤外線検出装置が完成する。
【0054】次に、図1に示す赤外線検出装置の製造方
法の他の例について、図5を参照して説明する。図5は
この製造方法の各工程を示す概略断面図である。なお、
図5において、図3及び図4中の要素と同一又は対応す
る要素には同一符号を付している。
【0055】まず、半導体基板として、厚さ250μ
m、(100)面方位のシリコン単結晶基板20(図1
中の基板1に相当)に、前述した読み出し回路を通常の
製造方法により形成する(図示せず)。次に、通常のフ
ォトエッチ法又はリフトオフ法により、基板20上に
W、Pt、Tiなどの高融点金属膜21(図1中の赤外
線反射膜5に相当)を形成する(図5(a))。
【0056】次に、図5(a)に示す状態の基板上に、
厚さ2.5μmのオゾン−TEOS酸化膜24を常圧C
VD法でデポする(図5(b))。
【0057】次いで、オゾン−TEOS酸化膜24にお
ける前記脚部3に相当する部分をフォトエッチングによ
り除去する(図5(c))。
【0058】その後、図5(c)に示す状態の基板上
に、減圧CVD法により、n型にドープされたポリシリ
コン層22を3μm堆積させる。
【0059】次に、図5(c)に示す状態の基板の上面
をドライエッチングによりエッチバックするかあるいは
CMP法により研磨することにより、図4(a)に示す
状態となる。それ以降のプロセスは図4を参照して説明
した製造方法と同じである。
【0060】(第2の実施の形態)まず、本発明の第2
の実施の形態による放射検出装置としての赤外線検出装
置について、図6を参照して説明する。
【0061】図6は本実施の形態による赤外線検出装置
の単位素子32を模式的に示す図であり、図6(a)は
当該単位素子32を示す概略斜視図、図6(b)は当該
単位素子32を示す概略平面図、図6(c)は赤外線入
射前における当該単位素子32を示す概略縦断面図、図
6(d)は赤外線入射中の当該単位素子32を示す概略
断面図である。
【0062】本実施の形態による赤外線検出装置は、基
板31と、該基板31に2次元状に配列された複数の単
位素子32(図6では1つの単位素子32のみを示して
いる。)とを備えている。各単位素子32は、基板31
に対して2つの脚部33,33を介して基板31から間
隔をあけて支持された検出膜部34と、該検出膜部34
の下方において基板31上に形成された赤外線反射膜3
5とから構成されている。図6には示していないが、基
板1には、トランジスタや配線パターン等を含む前述し
た図2に示すような読み出し回路が形成されている。赤
外線反射膜35は、例えば比較的厚いアルミニウム膜か
らなり、赤外線を全反射するようになっている。
【0063】本実施の形態では、検出膜部34は、基板
31側から順に積層された抵抗変化膜36、絶縁膜とし
ての窒化珪素膜37、及び金属膜としてのアルミニウム
膜38により構成されている。
【0064】アルミニウム膜38は赤外線吸収係数が高
く、主としてアルミニウム膜38が、受けた赤外線を吸
収して熱に変換するが、他の膜36,37も赤外線を吸
収する。本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同
様に、アルミニウム膜38の膜厚等が適宜設定されて検
出膜部34全体の赤外線吸収率が約33%とされてい
る。そして、nを奇数、検出すべき赤外線の中心波長を
λ0として、検出膜部34(特にそのアルミニウム膜3
8)と赤外線反射膜35との間の間隔が実質的にnλ0
/4とされ、いわゆるオプチカルキャビティ構造が採用
されている。なお、オプチカルキャビティ構造の特徴は
既に述べた通りである。
【0065】検出膜部34を構成する膜36,37,3
8のうちの互いに重なった少なくとも2層の膜は、互い
に異なる膨張係数を有する異なる物質で構成されてお
り、いわゆる熱バイモルフ構造を構成している。また、
本実施の形態では、検出膜部34は、図6(b)に示す
ようにコ字状(V字状等でもよい)に形成され、そのコ
字状の開いた側(図6(b)中の左側)の両端部分がそ
れぞれ対応する脚部33,33により、片持ち梁のよう
に支持されることにより、各膜の膨張係数の相違により
熱に応じて撓み得るように支持されている。抵抗変化膜
36として、p型にドープされたポリシリコン膜を用い
た場合、アルミニウム膜38の膨張係数が他の2つの膜
36,37の膨張係数に比べて大きいため、検出膜部3
4に前記熱が生じると、当該熱に応じて検出膜部34が
図6(d)に示すように下方に撓む。このような検出膜
部34の撓みによって、抵抗変化膜34は図6(d)に
示すように応力を受ける。
【0066】抵抗変化膜36は、前述のようにして赤外
線が変換された検出膜部34の熱により生ずる検出膜部
34の撓みに応じて受ける応力によって、当該膜36の
電気抵抗が変化するピエゾ抵抗効果を示す特性を有して
いる。また、抵抗変化膜36は、前記熱による温度変化
によって当該膜36の電気抵抗が変化するボロメータ効
果を示す特性も合わせて有している。そして、前記熱の
増減に対する前記ピエゾ抵抗効果による前記電気抵抗の
変化の方向と前記ボロメータ効果による前記電気抵抗の
変化の方向とが一致している。
【0067】本実施の形態では、前記抵抗変化膜36と
して、具体的には、p型にドープされたポリシリコン膜
が用いられている。この場合、p型にドープされたポリ
シリコン膜は、検出膜部34の熱が増大して図6(d)
に示すように下方に撓むことにより図6(d)に示すよ
うな応力を受けると、電気抵抗が減少するピエゾ抵抗効
果を示す特性を有している。また、p型にドープされた
ポリシリコン膜は、当該膜が受ける熱が増大して温度が
上昇すると、当該膜の電気抵抗が減少するボロメータ効
果を示す特性を有している。このように、p型にドープ
されたポリシリコン膜は、ピエゾ抵抗効果を示す特性と
ボロメータ効果を示す特性とを合わせ持っており、しか
も、前記熱の増減に対する電気抵抗の変化方向が一致し
ている。
【0068】なお、前記抵抗変化膜36は、p型にドー
プされたポリシリコン膜に限定されるものではなく、例
えば、GaAs、Ge、InSb等の膜を用いることが
できる。
【0069】また、ポリシリコン膜等は赤外線吸収係数
が比較的高いので、抵抗変化膜36としてp型にドープ
されたポリシリコン膜等を用いた場合には、必ずしもア
ルミニウム膜38を設ける必要がなく、検出膜部34を
抵抗変化膜36及び窒化珪素膜37のみで構成してもよ
い。また、アルミニウム膜38に代えて赤外線吸収係数
の高い他の金属膜やその他の膜(例えば、金黒、TiN
などの窒化金属膜、Pt、FeNiなどの合金等の膜)
を用いてもよいし、窒化珪素膜37に代えて他の絶縁膜
(例えば、SiON:オキシナイトライド、SiO等の
膜)を用いてもよい。窒化珪素膜37などの絶縁膜は、
アルミニウム膜38などの金属膜を抵抗変化膜36に対
して電気的に絶縁し、抵抗変化膜の電気抵抗の変化に応
じた信号の取り出しに支障を来すのを防止する作用を担
う。
【0070】本実施の形態においても、前記脚部33
は、導電性を有する材料、例えばn型又はp型にドープ
されたポリシリコンからなり、抵抗変化膜36の両端子
をそれぞれ基板31に形成された読み出し回路に接続す
る配線としての機能も担うようになっている。もっと
も、脚部33を絶縁材料で構成し、該脚部33に、抵抗
変化膜36の前記両端子をそれぞれ基板31に形成され
た読み出し回路に接続する配線を形成してもよい。この
場合、各配線を独立させれば、隣接する脚部33を適宜
一体化することもできる。なお、例えば、基板31に穴
を形成し、該穴を突き出すように検出膜部34を形成
し、基板31における当該穴の縁部分によって検出膜部
34を支持するようにすれば、脚部33は不要である。
【0071】前記単位素子32の等価回路は、抵抗変化
膜36の前記2つの部分間の電気抵抗として表され、入
射した赤外線はこの電気抵抗の変化として検出される。
すなわち、図6(c)に示す赤外線入射前の状態から赤
外線が単位素子32に入射した場合、入射赤外線は、前
述したオプティカルキャビティ構造によりトラップさ
れ、検出膜部34により吸収されて熱に変換される。そ
の結果、前述した熱バイモルフの動作により熱酸化膜3
4が図6(d)に示すように下方に撓み、これにより抵
抗変化膜36は図6(d)に示すように引っ張り応力を
受ける。この応力によるピエゾ抵抗効果により、抵抗変
化膜36として用いられたp型にドープされたポリシリ
コン膜の前記2つの部分間の電気抵抗は減少する。ま
た、抵抗変化膜36の温度の上昇によるボロメータ効果
により、抵抗変化膜36の電気抵抗は減少する。これら
2つの原因により抵抗変化膜36の電気抵抗の温度上昇
による減少を引き起こすことにより、抵抗変化膜36の
電気抵抗の変化量は、前述した従来の放射検出装置の場
合のようなピエゾ抵抗効果又はボロメータ効果の一方の
みの単独の効果による電気抵抗の変化量に比べて増大す
る。このため、本実施の形態によれば、赤外線検出の効
率を向上させることができる。
【0072】なお、本実施の形態においても、読み出し
回路については、前述した第1の実施の形態と同じであ
る。
【0073】次に、図6に示す赤外線検出装置の製造方
法の一例について、図7及び図8を参照して説明する。
図7はこの製造方法の各工程を示す概略断面図、図8は
図7に示す工程に引き続く工程を示す概略断面図であ
る。
【0074】まず、半導体基板として、厚さ250μ
m、(100)面方位のシリコン単結晶基板40(図6
中の基板31に相当)に、前記読み出し回路を通常の製
造方法により形成する(図示せず)。次に、通常のフォ
トリソエッチ法又はリフトオフ法により、基板40上に
W、Pt、Tiなどの高融点金属膜41(図6中の赤外
線反射膜35に相当)を形成する(図7(a))。
【0075】次に、減圧CVD法により、図7(a)に
示す状態のシリコン基板40上面に、厚さ2.5μmの
ポリシリコン膜42(図6中の脚部33に相当)を成長
させる。このポリシリコン膜42はn型あるいはp型に
ドープされており、導電性を有する。その後、ポリシリ
コン膜42上にレジスト43を塗布する(図7
(b))。
【0076】その後、フォトエッチ法により、上面に成
長させたポリシリコン膜42を、前記脚部33に相当す
る部分を残してそれ以外を除去するようにパターニング
する(図7(c))。
【0077】次に、図7(c)に示す状態の基板上に、
オゾン−TEOS酸化膜44を常圧CVD法でデポした
後リフロー処理を行い、その表面が平坦になるようにす
る(図7(d))。
【0078】次いで、オゾン−TEOS酸化膜及びポリ
シリコンが同じレートでエッチングされる条件でドライ
エッチングによりオゾン−TEOS酸化膜層44をエッ
チバックし、前記脚部33に相当するポリシリコン42
の上面を露出させる(図8(a))。
【0079】その後、図8(a)に示す状態の基板上
に、p型にドープされた厚さ50nmのポリシリコン膜
45(図6中の抵抗変化膜36に相当)を減圧CVD法
により成長させる。さらに、このポリシリコン膜45上
に、厚さ20nm程度の窒化珪素膜46(図6中の窒化
珪素膜37に相当)を、同じく減圧CVD法により成長
させる。さらにまた、この窒化珪素膜46上に、厚さ約
50nmのアルミニウム膜47(図6中のアルミニウム
膜38に相当)を蒸着法により成長させる。その後、こ
のアルミニウム膜47上にレジスト48を塗布し(図8
(b))、フォトエッチ法により膜45,46,47に
おける前記検出膜部34に相当する領域を形成する(図
8(c))。
【0080】最後に、レジスト48を除去した後、オゾ
ン−TEOS酸化膜44をウエット又はドライエッチン
グ法により取り去る(図8(d))。これにより、図6
に示す赤外線検出装置が完成する。
【0081】次に、図6に示す赤外線検出装置の製造方
法の他の例について、図9を参照して説明する。図9は
この製造方法の各工程を示す概略断面図である。なお、
図9において、図7及び図8中の要素と同一又は対応す
る要素には同一符号を付している。
【0082】まず、半導体基板として、厚さ250μ
m、(100)面方位のシリコン単結晶基板40(図6
中の基板31に相当)に、前述した読み出し回路を通常
の製造方法により形成する(図示せず)。次に、通常の
フォトエッチ法又はリフトオフ法により、基板40上に
W、Pt、Tiなどの高融点金属膜41(図6中の赤外
線反射膜35に相当)を形成する(図9(a))。
【0083】次に、図9(a)に示す状態の基板上に、
厚さ2.5μmのオゾン−TEOS酸化膜44を常圧C
VD法でデポする(図9(b))。
【0084】次いで、オゾン−TEOS酸化膜44にお
ける前記脚部33に相当する部分をフォトエッチングに
より除去する(図9(c))。
【0085】その後、図9(c)に示す状態の基板上
に、減圧CVD法により、p型にドープされたポリシリ
コン層42を3μm堆積させる。
【0086】次に、図9(c)に示す状態の基板の上面
をドライエッチングによりエッチバックするかあるいは
CMP法により研磨することにより、図8(a)に示す
状態となる。それ以降のプロセスは図8を参照して説明
した製造方法と同じである。
【0087】以上、本発明の各実施の形態について説明
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、ピエゾ抵抗効果及びボ
ロメータ効果を同時に巧みに利用することにより、従来
の放射検出装置に比べて放射検出の効率を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による赤外線検出装
置の単位画素を模式的に示す図であり、図1(a)は当
該単位素子を示す概略斜視図、図1(b)は赤外線入射
前における当該単位素子2を示す概略縦断面図、図1
(c)は赤外線入射中の当該単位素子を示す概略断面
図、図1(d)は当該単位素子の等価回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による赤外線検出装
置の読み出し回路の一例を示す図であり、図2(a)は
1つの単位画素2に関する基本回路構成を示す回路図、
図2(b)は2×2個の単位画素2に関する全体の回路
構成を示す回路図である。
【図3】図1に示す赤外線検出装置の第1の例の製造方
法の各工程を示す概略断面図である。
【図4】図1に示す赤外線検出装置の第1の例の製造方
法の工程であって図3に引き続く工程を示す概略断面図
である。
【図5】図1に示す赤外線検出装置の第2の例の製造方
法の各工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による赤外線検出装
置の単位素子を模式的に示す図であり、図6(a)は当
該単位素子を示す概略斜視図、図6(b)は当該単位素
子を示す概略平面図、図6(c)は赤外線入射前におけ
る当該単位素子を示す概略縦断面図、図6(d)は赤外
線入射中の当該単位素子を示す概略断面図である。
【図7】図6に示す赤外線検出装置の第1の例の製造方
法の各工程を示す概略断面図である。
【図8】図6に示す赤外線検出装置の第1の例の製造方
法の工程であって図7に引き続く工程を示す概略断面図
である。
【図9】図6に示す赤外線検出装置の第2の例の製造方
法の各工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,31 基板 2,32 単位素子 3,33 脚部 4,34 検出膜部 5,35 赤外線反射膜(アルミニウム膜) 6 抵抗変化膜(n型にドープされたポリシリコン膜) 7,37 窒化珪素膜 8.38 アルミニウム膜 36 抵抗変化膜(p型にドープされたポリシリコン
膜)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板に対して膜面方向の両側
    部分が支持され1層以上の膜からなる検出膜部と、を備
    え、 前記1層以上の膜のうちの少なくとも1層の膜が、受け
    た放射を吸収して熱に変換する特性を有し、 前記1層以上の膜のうちの1層の膜は、前記熱による膨
    張又は収縮に従って前記両側部分が支持されていること
    により生ずる膜面方向の応力によって、当該膜の前記両
    側部分間の電気抵抗が変化するピエゾ抵抗効果を示す特
    性を有するとともに、前記熱による温度変化によって当
    該膜の電気抵抗が変化するボロメータ効果を示す特性を
    有する抵抗変化膜であり、 前記熱の増減に対する前記ピエゾ抵抗効果による前記電
    気抵抗の変化の方向と前記ボロメータ効果による前記電
    気抵抗の変化の方向とが一致していることを特徴とする
    放射検出装置。
  2. 【請求項2】 前記熱の増減に対する前記ピエゾ抵抗効
    果による前記電気抵抗の変化の方向及び前記ボロメータ
    効果による前記電気抵抗の変化の方向は、前記熱による
    膨張又は収縮に従って前記両側部分が支持されているこ
    とにより生ずる当該膜の断面積の変化が引き起こす当該
    膜の電気抵抗の変化の前記熱の増減に対する方向と一致
    していることを特徴とする請求項1記載の記載の放射検
    出装置。
  3. 【請求項3】 前記抵抗変化膜の前記両側部分間の電気
    抵抗に応じた信号を出力する読み出し回路を備えたこと
    を特徴とする請求項1又は2記載の放射検出装置。
  4. 【請求項4】 基板と、2層以上の膜からなる検出膜部
    と、を備え、 前記2層以上の膜のうちの少なくとも1層の膜が、受け
    た放射を吸収して熱に変換する特性を有し、 前記2層以上の膜のうちの互いに重なった2層の膜が、
    互いに異なる膨張係数を有する異なる物質からなり、 前記検出膜部は、前記互いに重なった2層の膜の膨張係
    数の相違により前記熱に応じて前記検出膜部が撓み得る
    ように、前記基板に対してフローティング状態となるよ
    うに支持され、 前記2層以上の膜のうちの1層の膜は、前記検出膜部の
    撓みに応じて受ける応力によって、当該膜の電気抵抗が
    変化するピエゾ抵抗効果を示す特性を有するとともに、
    前記熱による温度変化によって当該膜の電気抵抗が変化
    するボロメータ効果を示す特性を有する抵抗変化膜であ
    り、 前記熱の増減に対する前記ピエゾ抵抗効果による前記電
    気抵抗の変化の方向と前記ボロメータ効果による前記電
    気抵抗の変化の方向とが一致していることを特徴とする
    放射検出装置。
  5. 【請求項5】 前記抵抗変化膜の電気抵抗に応じた信号
    を出力する読み出し回路を備えたことを特徴とする請求
    項4記載の放射検出装置。
  6. 【請求項6】 前記検出膜部を前記基板に対して支持す
    るための脚部を備え、該脚部が導電性を有することを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射検出装
    置。
  7. 【請求項7】 nを奇数、前記放射の中心波長をλ0
    して、前記少なくとも1層の膜から実質的にnλ0/4
    の間隔をあけて配置された前記放射を反射する放射反射
    膜を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の放射検出装置。
  8. 【請求項8】 前記検出膜部が、前記抵抗変化膜上に形
    成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された金属膜とを
    含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載
    の放射検出装置。
  9. 【請求項9】 前記検出膜部を1個の素子として当該素
    子を複数個有し、当該素子が1次元状又は2次元状に配
    列されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに
    記載の放射検出装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100339353B1 (ko) * 1999-10-01 2002-06-03 구자홍 마이크로 볼로메터 및 제조 방법
KR100853202B1 (ko) * 2006-12-06 2008-08-20 한국전자통신연구원 볼로미터 및 그 제조 방법
WO2018014438A1 (zh) * 2016-07-18 2018-01-25 上海集成电路研发中心有限公司 红外探测器像元结构及其制备方法
CN116002606A (zh) * 2023-02-20 2023-04-25 北京中科海芯科技有限公司 一种红外热辐射探测器及制作方法

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