JPH11257651A - 燃焼制御装置 - Google Patents

燃焼制御装置

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Publication number
JPH11257651A
JPH11257651A JP8275298A JP8275298A JPH11257651A JP H11257651 A JPH11257651 A JP H11257651A JP 8275298 A JP8275298 A JP 8275298A JP 8275298 A JP8275298 A JP 8275298A JP H11257651 A JPH11257651 A JP H11257651A
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JP
Japan
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combustion
air
fuel
amount
air ratio
Prior art date
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Application number
JP8275298A
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English (en)
Inventor
Mikio Ochi
幹夫 越智
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JFE Steel Corp
Toto Ltd
Nihon Yupro Corp
Original Assignee
Toto Ltd
Kawasaki Steel Corp
Nihon Yupro Corp
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Publication date
Application filed by Toto Ltd, Kawasaki Steel Corp, Nihon Yupro Corp filed Critical Toto Ltd
Priority to JP8275298A priority Critical patent/JPH11257651A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼の結果得られる物理量に基づいて空気比
を検出していたので、燃焼の結果得られる物理量が判明
するまでに物理的な遅れや検出器の遅れが重なり、特に
排気を清浄にするため燃焼装置の性能の限界付近で運転
しているときには過渡的な条件下で検出遅れによる異常
燃焼が発生することがあった。 【解決手段】 空間302での燃焼に伴う現象に基づい
て空気比を求める空気比検出手段101によって検出さ
れた空気比に基づいて、燃料供給手段305が供給する
燃料の供給量または空気供給手段301が供給する空気
の供給量を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料とその燃焼に
充分な空気を予め混合して混合気とし、前記混合気が炎
口から吐出した後の空間で燃焼する燃焼装置の燃焼制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料とその燃焼に充分な空気を予
め混合して混合気とし、前記混合気が炎口から吐出した
後の空間で燃焼する全一次方式の燃焼装置は知られてい
た。また、全一次方式の燃焼装置を排気の清浄な範囲で
燃焼させるため、燃焼の状態を検出し、適正に制御する
こともなされている。燃焼状態の検出手段としては、以
下のような物が一般的であった。
【0003】燃焼の原因となる燃料の成分、燃料の供給
量、空気の供給量を測定し、その値から燃焼状態を推定
する手段、燃焼の結果である燃焼気の成分または燃焼気
の熱を利用した後の排気の成分、排気の量から燃焼状態
を推定する手段、燃焼の結果である燃焼気の温度または
燃焼気の温度と相関のある燃焼気の音速、燃焼気の温度
と相関のあるバーナタイルや通気性多孔質固体の温度、
燃焼気の温度によって加熱された被加熱物体の温度上昇
あるいは、燃焼気の温度によって発光する輝炎の熱発光
から燃焼状態を推定する手段などである。
【0004】これらの検出手段は、いずれも古くから利
用されてきた予混合空気量が燃焼に不十分なブンゼンバ
ーナや、予混合空気の無い赤火バーナなどを用いた燃焼
装置で発達してきた技術である。
【0005】ブンゼンバーナや赤火バーナでは、燃料は
一次空気だけでは燃焼できず、二次空気に触れて適度に
拡散したところに火炎面が生じて燃焼する。そのため、
例えば供給される空気量の過不足があっても、火炎面の
生じる位置は変わるが、燃焼している場所での空気比は
ほぼ一定で、燃焼に伴う現象には差が現れない。
【0006】そこで、前述のような燃焼の原因または結
果から燃焼状態を推定することが有効な方法であり、燃
焼に伴う現象は、火炎の有無の確認などにしか用いられ
なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の燃焼制御装置は
前述のように燃焼の結果得られる物理量に基づいて空気
比を検出していたので、燃焼の結果得られる物理量が判
明するまでに物理的な遅れや検出器の遅れが重なり、特
に排気を清浄にするため燃焼装置の性能の限界付近で運
転しているときには過渡的な条件下で検出遅れによる異
常燃焼が発生することがあった。
【0008】この異常燃焼を回避するため、排気の清浄
性を犠牲にして燃焼装置の性能に余裕のある条件で運転
するのが一般的であった。また、その制御装置も試行錯
誤的に操作量を変更して目標値に近づけて行く通常のフ
ィードバック制御により制御されるので、収束に時間が
かかり、その間に燃焼状態が不適正な状態となる物であ
った。
【0009】また、燃焼の原因となる燃料の成分、燃料
の量、空気の量を測定した物では、前記のような遅れは
ないが、測定個所と燃焼装置の間で他所からの漏れ込
み、他所への漏れ出しなどが発生するとそれらの値が変
化するため、結局前述の燃焼の結果の値による制御を併
用する必要があった。
【0010】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、本発明の目的は、燃料とその燃焼に充分な
空気を予め混合して混合気とし、前記混合気が炎口から
吐出した後の空間で燃焼する全一次方式の燃焼装置にお
いて混合気の空気比を速く検出する検出器と、それに見
合った速やかに収束できる制御方式からなる制御装置と
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及びその作用・効果】上記
目的を達成するために請求項1は、少なくとも定常燃焼
中には燃料とその燃焼に充分な空気を予め混合して混合
気とし、混合気が炎口から吐出した後の空間で燃焼する
燃焼装置において、燃料の供給量を操作する燃料供給手
段と、空気の供給量を操作する空気供給手段と、空間で
の燃焼に伴う現象に基づいて混合気中の空気量の燃料の
理論空気量に対する比率である空気比を求める空気比検
出手段とを設け、少なくとも空気比検出手段によって検
出された空気比に基づいて、燃料供給手段が供給する燃
料の供給量または空気供給手段が供給する空気の供給量
を調整する事を特徴とする燃焼制御装置を設けた。
【0012】燃料とその燃焼に充分な空気を予め混合し
た混合気を燃焼させる全一次燃焼気では、火炎面で燃焼
に関与している成分は全て混合気中に存在していた物に
由来するので、混合気の成分に燃焼に伴う現象が直結す
る。
【0013】そのため、全一次燃焼装置では、燃焼に伴
う現象を観察することで、混合気成分に関する有効な情
報が即時的ないし速やかに得られ、この情報に基づいて
空気比を求め、燃料の供給量または空気の供給量を調整
すれば制御手段は速やかに収束することができる。
【0014】また、請求項2では燃焼に伴う現象は、燃
焼反応に伴って発生する遊離基の発光強度とした。
【0015】燃焼反応は、多数の素反応の組み合わせで
進行しており、その途中段階には、多種類の分子、原
子、基、イオン、電子からなる化学種が中間生成物とし
て発生する。
【0016】多数考えられる素反応の内、どの反応が優
勢となって進むかは、混合気の初期成分に強く依存する
ため、中間生成物からの発光を観察することで混合気の
初期成分を速やかに推定することができるので、この情
報に基づいて空気比を求め、燃料の供給量または空気の
供給量を調整すれば制御手段は速やかに収束することが
できる。
【0017】また、請求項3では燃料には、炭化水素系
の成分を含み、燃焼反応に伴って発生する遊離基の発光
は、波長516.5nm付近のC2の発光、波長43
1.5nm付近のCHの発光、波長306.4nm付近
のOHの発光のいずれかを含むこととした。
【0018】燃料として利用されることの多い炭化水素
の燃焼に伴う化学発光には多くの種類が知られている
が、全一次燃焼装置で利用するには、空気比が1以上の
範囲で空気比につれて単調に増加または減少する発光
が、発光強度に対する空気比が一意に求まるので都合が
よい。
【0019】また、発光強度も大きい方が、速やかに精
度良く検出可能である。そこで、空気比が1以上の範囲
で単調に減少する発光の内、比較的強度の大きい前述の
3種類を選んだので、この情報に基づいて空気比を求
め、燃料の供給量または空気の供給量を調整すれば制御
手段は速やかに収束することができる。
【0020】また、請求項4では燃料には、炭化水素系
の成分を含み、燃焼反応に伴って発生する遊離基の発光
は、波長516.5nm付近のC2の発光、波長43
1.5nm付近のCHの発光、波長306.4nm付近
のOHの発光のうちいずれか複数の発光強度の相互の関
連に基づくこととした。
【0021】燃焼に伴う化学発光を観察する場合、燃焼
装置の設計によっては燃焼熱量や観測窓の曇りなどによ
って絶対的な値が変化することがある。
【0022】このような場合には、複数の発光強度の相
互の関連に基づいて検出すれば、それぞれの発光には同
様の値の変化があるので、精度良く高速に空気比を求
め、燃料の供給量または空気の供給量を調整すれば制御
手段は速やかに収束することができる。
【0023】また、請求項5では燃料には、炭化水素系
の成分を含み、燃焼に伴う現象は、燃焼反応に伴って発
生する正イオンまたはイオン生成に伴って遊離する電子
であることとした。
【0024】炭化水素の燃焼反応に特有の現象として正
イオンの発生またはイオン生成に伴う電子の遊離があ
る。これらの生成物は空気比が1以上の範囲では単調に
減少するので、この情報に基づいて空気比を求め、燃料
の供給量または空気の供給量を調整すれば制御手段は速
やかに収束することができる。
【0025】また、請求項6では燃焼反応に伴って発生
する正イオンまたはイオン生成に伴って遊離する電子を
火炎面付近の正の電位または火炎面から離れた場所の負
の電位によって検出することとした。
【0026】前述の正イオンと電子とは火炎面で同数発
生するが、イオンは大きいので他の化学種に衝突する頻
度が大きく、火炎面に留まり、電子は小さいので他の化
学種に衝突する前に火炎面から離れたところまで到達で
きる。
【0027】そのため、燃焼に伴う現象として火炎面の
正の帯電と火炎面から離れた場所の負の帯電が生じ、こ
の現象は電位を測定することで速く検出できるので、こ
の情報に基づいて空気比を求め、燃料の供給量または空
気の供給量を調整すれば制御手段は速やかに収束するこ
とができる。
【0028】また、請求項7では燃焼反応に伴って発生
する正イオンまたはイオン生成に伴って遊離する電子を
火炎面付近に設けた電極に負の電位をかけたときの電流
または火炎面から離れた場所に設けた電極に正の電位を
かけたときの電流によって検出することとした。
【0029】正イオンまたは電子が存在する場所に、逆
電位の電極を置くことで電極近傍のイオンまたは電子を
泳動させて集めることができ、小型の検出器でも大きな
出力が得られるようになり、より精度良く火炎面の電離
現象を観察することができるので、この情報に基づいて
空気比を求め、燃料の供給量または空気の供給量を調整
すれば制御手段は速やかに収束することができる。
【0030】また、請求項8では燃焼に伴う現象は、燃
焼に伴って発生する音とした。全一次燃焼に伴う特有の
現象として、炎口から吐出する混合気の乱れが火炎面で
音に変換する現象があり、その変換する比率は混合気の
空気比が1以上の範囲では空気比が大きくなるにつれ低
下して行くため、燃焼に伴う音の情報に基づいて空気比
を求め、燃料の供給量または空気の供給量を調整すれば
制御手段は速やかに収束することができる。
【0031】また、請求項9では燃焼に伴って発生する
音を空間に隣接して設けた空冷構造のマイクロホンで検
出したので、前述の音を直接検出することができ、燃焼
に伴う音の情報に基づいて空気比を求め、燃料の供給量
または空気の供給量を調整すれば制御手段は速やかに収
束することができる。
【0032】また、請求項10では少なくとも空気比検
出手段によって検出される空気比の目標値と、単位時間
当たりの燃焼熱量の目標値が一定の時に、空気比検出手
段によって実際に検出された空気比が目標値と略等しく
なかった場合には、空気供給手段が供給する空気量を一
定に保ったまま、空気比の実測値と空気比の目標値の比
に、その時に燃料供給手段が供給していた燃料の供給量
を乗じた量に燃料の供給量を変更することとした。
【0033】制御対象である空気比が目標値と一致しな
かった場合に、従来のようなフィードバック制御で徐々
に収束させる方法ではなく、燃料の発熱量と理論空気量
の関係から一意に定まる操作量に調整することで、空気
比はその目標値に速やかに収束することができる。
【0034】また、請求項11では少なくとも空気比検
出手段によって検出される空気比の目標値と、単位時間
当たりの燃焼熱量の目標値がそれぞれ変化しているとき
に、空気比検出手段によって実際に検出された空気比が
目標値と略等しくなかった場合には、空気比の目標値の
変化割合と、燃焼熱量の目標値の変化割合とを乗じた値
に、その時に空気供給手段が供給していた空気の供給量
を乗じた量に空気の供給量を変更し、空気比の実測値と
空気比の目標値の比と、燃焼熱量の目標値の変化割合と
を乗じた値に、その時に燃料供給手段が供給していた燃
料の供給量を乗じた量に燃料の供給量を変更することと
した。
【0035】前述の燃料の発熱量と理論空気量の関係か
ら一意に定まる操作量を空気比の目標値と燃焼熱量の目
標値がそれぞれ変化しているときにも拡張したので、着
火直後や燃焼負荷の変動しているときにも、空気比はそ
の目標値に速やかに収束することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面により詳細に説明する。
【0037】図1は本発明を家庭用給湯機に適用した全
体構成図である。
【0038】水は上水から供給され、湯は給湯栓などに
接続される。ガスは天然ガス系の都市ガスを使用し、電
源は家庭用AC100Vの商用電源に接続される。給湯
栓が開かれると、水流スイッチ201により水流を検知
して空気供給手段である燃焼用送風機301を駆動さ
せ、燃焼室302を換気した後、ガス電磁弁303を開
くとともに点火装置401によりバーナ304に着火さ
せる。
【0039】着火の確認を火炎検知器402によって行
った後、出湯温度検出サーミスタ403で検出される出
湯温度が温度設定器404で設定された温度になるよ
う、マイコンを組み込んだ電装基板405が単位時間当
たりの燃焼熱量の目標値を算出し、燃料供給手段である
ガス比例弁305および空気供給手段である燃焼用送風
機301を制御する。
【0040】さらに、マイコンを組み込んだ電装基板4
05は、空間302での燃焼に伴う現象に基づいて空気
比を求める空気比検出手段101によって検出された空
気比に基づいて、燃料供給手段305が供給する燃料の
供給量または空気供給手段301が供給する空気の供給
量を調整する。
【0041】全一次空気式のバーナ304の炎は燃焼す
る空間である燃焼室302内で完全燃焼し、燃焼気とな
る。この燃焼気は熱交換器203で水を加熱し、燃焼排
気となり排気路306に導かれ大気に放出される。バー
ナ304同士の隙間と燃焼室302の内面には、それぞ
れの過熱を防止するために、少量の二次空気をそれぞれ
供給している。
【0042】上水から供給され、給水路を通った水は、
フィンチューブ式熱交換器203で加熱され、給湯路に
導かれ、図示しない給湯栓などに供給されシャワーなど
に利用される。
【0043】図2は本実施の形態で使用したバーナ30
4の要部の断面図である。
【0044】図示しない混合器で燃料と空気が混合され
た混合気は混合気流路307に供給される。混合気流路
307から、一部の混合気が、バーナ側壁315に開け
られた複数の直径1mmの小孔で流量を制限する混合気
横穴308を通り、バーナ側壁315とリテーナ314
の隙間よりなる袖火混合気路上部309を通り、リテー
ナ314と火炎付着面311との間の0.8mmの隙間
よりなる袖火炎口310から吐出する。
【0045】このとき、袖火炎口310の開口面積は、
その上流の混合気横穴308よりも大きいので、吐出流
速は低く抑えられており、袖火火炎313の吹き消えを
防止している。
【0046】また、袖火混合気流路上部309は混合気
横穴308よりも広く、袖火炎口310よりも広い断面
積を有し、図示しない混合気横穴同士のピッチよりも長
い行程なので、袖火混合気はほぼ均一な流速の流れとな
って袖火炎口310から吐出することができる。
【0047】袖火炎口310から吐出した袖火混合気
は、バーナ側壁315を外向きに略直角に曲げた火炎付
着面311に接する袖火火炎面313で燃焼する。袖火
炎口310の外側には、リテーナ314と一体で袖火炎
口面よりも上方に延びる側壁312を設け、外部からの
冷気の浸入を防止し、高温の燃焼気の再循環を促進する
ことで、火炎のリフトを防止している。
【0048】特に、本実施の形態では、高空気比で高負
荷燃焼させたときにもリフトを防止できるよう、側壁3
12は袖火炎口310を覆うよう内側に曲げて、いっそ
う外部からの冷気の浸入を防止し、高温の燃焼気を火炎
付着面311の上部空間に向かって再循環させている。
【0049】混合気流路307に供給された残りの混合
気は、バーナ側壁315の間に置かれ、多数の平行平板
よりなるリボン316の隙間を通り、主炎口317より
吐出し、前述の袖火火炎313によって高温に保たれた
火炎付着面311の上部空間に保持された主火炎面31
8で燃焼する。
【0050】このとき、主混合気中に図示しない混合器
中で生じた小さな渦よりなる流れの乱れがあると、その
乱れが火炎面を通過するときに燃焼の加減速を発生さ
せ、圧力の上昇下降である音を発生させるので、静粛性
を求められる家庭用給湯機ではこの乱れを低減する必要
がある。
【0051】その方法として、本実施の形態では前記平
板リボンの壁面摩擦を利用したが、これ以外にも、平板
と波板のリボンを交互に並べた構造、ピッチの異なる波
板のリボンを交互に並べた構造、目開きの小さい金網、
多数の六角形または四角形の孔よりなる整流格子、多孔
質で通気性のある金属燒結体、金属繊維で作られた綿様
体、下流へ向かって流路の狭まる加速流疑似層流化構造
などを用いてもよい。特に、加速流疑似層流化構造を用
いた場合には、乱れを低減しつつ、主炎口面317に於
ける境界速度勾配を大きくとることができるので、石炭
ガスなど高燃焼速度の燃料で低負荷燃焼を行ったときの
バック防止に有効である。
【0052】前記リボンのような狭い流路を流れる流体
の乱れ低減効果について以下に述べる。流路において、
流れの方向に垂直な幅と流れの方向に平行な長さとが比
例関係にない形状での慣性力と粘性力の比は、次式で表
される無次元数Rで代表化できる。
【0053】R=(ρ×d×d×v)/(μ×l) ここで、ρは流体の密度、dは流路の幅の相当直径で平
行平板間の隙間では隙間の2倍で近似可能、vは流体の
平均流速、μは流体の粘性係数、lは流路の長さであ
る。流路入り口でほぼ均一な流速分布になっている流れ
に対して、前記Rの値が30以下の場合に乱れの低減効
果は大きく、特に15以下の場合には、その上流の乱れ
はほとんど残らない。
【0054】図3は本実施の形態で使用したバーナ30
4のリボン316の構造を示す図である。
【0055】1枚のリボンは幅25mm、厚さ0.4m
mのフェライト系ステンレス鋼の帯状の板を図3の図A
に示すように平板部319の両側でS字型の折り曲げ部
320とZ字型の折り曲げ部321を有し、それを適宜
交互に繰り返した形状である。ここで、平板部319の
長さは20mm、S字型の折り曲げ部320とZ字型の
折り曲げ部321はそれぞれ5mmの幅である。
【0056】S字型の折り曲げ部320同士と、Z字型
の折り曲げ部321同士がそれぞれ接するように重ね合
わせ、リボンと同じ板厚のバーナ側壁315の間に挟み
込むと図3の図Bのように、リボンの平板部319同士
の間には板厚の略2倍の隙間を確保できる。
【0057】S字型の折り曲げ部320とZ字型の折り
曲げ部321の接触部分の断面を図3の図Cに示す。各
々のリボンは1枚重ね合わせる度に、かしめ込み部32
2に幅2.4mmの切り込みを入れながら板厚に相当す
る深さまでくの字型に隣のリボンに押し込まれ、かしめ
込まれて堅固に結びつく。この工程をリボンの枚数に相
当する回数繰り返したのち、バーナ側壁315の間に挟
んで同じ方向から同様にかしめ込む。
【0058】逆側のバーナ側壁は、切り込みの代わりに
同じ幅の穴323を開けておくことで、外への飛び出し
を無くすことができる。本実施の形態のバーナではかし
め込み部は上下2箇所ずつ設けたが、リボンの深さに応
じて適宜増減することもできる。
【0059】また、図示しないバーナの両端部分もS字
型の折り曲げ部320またはZ字型の折り曲げ部321
の接触部分で閉じているので、バーナ外への混合気の漏
れ出しを防止できる。
【0060】以上のリボンの製作組立構造をとること
で、いくらでも多くのリボンを重ね合わせることができ
るので、幅の広いバーナも容易に製作できる。しかも一
定の隙間を確保しつつリボン同士が堅固に結びついてい
るので、燃焼によって熱応力がかかっても隙間が変化す
るようなこともない。
【0061】図4は本実施の形態で使用したバーナ30
4のリボン316の接触部分の断面を示す図である。
【0062】リボンのS字型の折り曲げ部320同士と
Z字型の折り曲げ部321同士の接触部分は主炎口31
7から見ると主火炎318の端部にあたるので、火炎を
保持する構造でなければ主火炎がリフトする。
【0063】そこで、リボン同士の接触部324の上方
にS字型の折り曲げ部320とZ字型の折り曲げ部32
1の折り曲げ幅に相当する幅の架橋部分325を設けて
側壁312同士をつないだ。
【0064】そのため、リボン同士の接触部324と架
橋部分325の間の空間326に袖火火炎313ないし
主火炎318またはそれらの高温の燃焼気が再循環して
閉じこめられ、主火炎318を保持することができる。
【0065】架橋部分325は赤熱するため、リテーナ
には耐熱性の高いチタン・ニオブ添加の極低炭素クロム
鋼板を用いているが、更に高温になる場合には、架橋部
分325のみを窒化珪素などのセラミック他、リテーナ
と異なる耐熱材料で構成しても良い。
【0066】また、リボン同士の接触部324の下に位
置する混合気横孔327はこの空間326で主火炎31
8を最適に保持するため、他所の混合気横孔308とは
適宜異なる孔径、個数とすることができる。
【0067】本実施の形態では、袖火混合気の量は前述
のように混合気横穴308によって制限しているので、
混合気横穴308を通る混合気の動圧が混合気通路30
9の圧力に相当するため、袖火混合気の量は混合気通路
309の圧力の略平方根に比例する。
【0068】また、主火炎への流路はリボン316によ
って構成されるので、リボン表面の層流摩擦損失が混合
気通路309の圧力に相当するため、主火炎に供給され
る混合気の量は混合気通路309の圧力の略1乗に比例
する。
【0069】主火炎に供給する混合気と袖火に供給する
混合気が共通の混合気通路309から同じ圧力で供給さ
れるので、両者の比率は総燃焼量によって自ずと変化
し、総燃焼量が大きいときには袖火の比率が小さくな
り、総燃焼量が小さいときには袖火の比率が大きくな
る。
【0070】そのため、総燃焼量が大きいときにも袖火
炎口310の流速が過大になって吹き消えることは起こ
りにくく、総燃焼量が小さいときにも袖火混合気量が過
小になってリフトすることは起こりにくく、従ってター
ンダウンの広い燃焼装置が実現できる。
【0071】また、着火直後のように一時的に袖火火炎
313が不安定になり易いときには、袖火混合気路下部
328に図示しない別の燃料供給系路から燃料を供給
し、前記袖火混合気とともに袖火炎口から吐出させ、濃
淡燃焼とすることで燃焼を安定させても良い。この場合
には、燃焼の安定が確認できた後、前記別の燃料供給経
路をからの燃料の供給を停止し、本来の全一次燃焼に移
行するのがよい。
【0072】図5は、本発明の一実施形態に関する説明
図であり、横軸に本発明で制御する対象とする全一次燃
焼装置の空気比をとり、縦軸には、天然ガスを燃焼させ
たときの発光強度を示すが、センサの波長に対する感度
特性を無くすため、それぞれ最大値で除して無次元化し
ている。
【0073】古くから知られているブンゼンバーナや赤
火バーナでも化学発光はあったが、その一次空気比に対
する相関はほとんどなかった。その理由は、ブンゼンバ
ーナや赤火バーナでは、燃料は一次空気だけでは燃焼で
きず、二次空気に触れて適度に拡散したところに火炎面
が生じて燃焼するためであり、その化学発光は一次空気
比よりも燃料成分との相関が大きかった。
【0074】図5の曲線Aは、波長306.4nm付近
のOHの発光である。発光する活性OH基は燃焼反応が
盛んなときに多く発生する酸素原子と水素原子とが反応
したときに発生するので、最も燃焼反応が盛んになる空
気比1付近で発光も最大となる。
【0075】図5の曲線Cは、波長516.5nm付近
のC2の発光である。発光する活性C2基は比較的燃料過
剰なときに多く発生するCH2基と炭素原子とが反応し
たときに発生するので、燃料過剰側の空気比0.8付近
で発光も最大となる。
【0076】図5の曲線Bは、波長431.5nm付近
のCHの発光である。発光する活性CH基は比較的燃料
過剰なときに多く発生するC2基と燃焼反応が盛んなと
きに多く発生するOH基とが反応したときに発生するの
で、両者の中間の空気比0.9付近で発光も最大とな
る。いずれの波長の発光も全一次燃焼装置で使用される
空気比1以上の範囲では単調に減少するので、この値か
ら混合気の空気比を推定することができる。
【0077】一つの実施形態では、波長516.5nm
付近に中心波長がありバンド幅10nmの干渉フィルタ
ー付のシリコンフォトダイオードと、波長431.5n
m付近に中心波長がありバンド幅10nmの干渉フィル
ター付のシリコンフォトダイオードと、波長306.4
nm付近に中心波長がありバンド幅10nmの干渉フィ
ルター付のショットキ型ガリウム燐フォトダイオードと
を用意して、燃焼室側壁に開けられた一つの観測窓から
得られる火炎の化学発光を2枚のハーフミラーによって
前記3個のフォトダイオードに分けている。
【0078】3個のフォトダイオードで同時に発光強度
を検出し、それぞれ前述の発光強度の曲線と照らし合わ
せ、得られた空気比が1ないしそれ以下の時には波長5
16.5nmのフォトダイオードから得られた値を採用
し、得られた空気比が1〜1.15の時には波長43
1.5nmのフォトダイオードから得られた値を採用
し、得られた空気比が1.15以上の時には波長30
6.4nmのフォトダイオードから得られた値を採用す
ることで広い範囲で高い精度を保っている。
【0079】検出対象とする空気比の範囲が狭いときや
精度が許容できるときには、前記3個のフォトダイオー
ドの数を適宜減らすことができるし、その時にはハーフ
ミラーの数もそれに応じて減らすまたは無くすことがで
きる。
【0080】また、燃焼室内に点火プラグ、バーナタイ
ル、はみ出したパッキンなど赤熱する物体が無いまたは
無視しうる場合には、前述の干渉フィルターの代わりに
安価な色ガラスフィルターなどを用いることもできる。
【0081】また、燃焼室内がほぼ均一な燃焼状態の燃
焼装置においては、複数のフォトダイオードをそれぞれ
燃焼室側壁に開けられた観測窓に向かわせることで、ハ
ーフミラーを省略することもできる。
【0082】別の実施形態では、波長516.5nm付
近に中心波長がありバンド幅10nmの干渉フィルター
付のシリコンフォトダイオードと、波長431.5nm
付近に中心波長がありバンド幅10nmの干渉フィルタ
ー付のシリコンフォトダイオードと、波長306.4n
m付近に中心波長がありバンド幅10nmの干渉フィル
ター付のショットキ型ガリウム燐フォトダイオードとを
用意して、燃焼室側壁に開けられた一つの観測窓からえ
られる火炎の化学発光を2枚のハーフミラーによって前
記3個のフォトダイオードに分けている。
【0083】3個のフォトダイオードで同時に発光強度
を検出し、波長516.5nmのフォトダイオードから
得られた値を波長431.5nmのフォトダイオードか
ら得られた値で除した値から空気比を推定し、波長43
1.5nmのフォトダイオードから得られた値を波長3
06.4nmのフォトダイオードから得られた値で除し
た値からも空気比を推定し、空気比の値が1.1以下の
場合には波長516.5nmのフォトダイオードと波長
431.5nmのフォトダイオードの値を採用し、空気
比の値が1.1以上の場合には波長431.5nmのフ
ォトダイオードと波長306.4nmのフォトダイオー
ドの値を採用することで広い範囲で高い精度を保つとと
もに、燃焼熱量や観測窓の曇りによる絶対的な値の変化
をキャンセルしている。
【0084】検出対象とする空気比の範囲が狭いときや
精度が許容できるときには、前記3個のフォトダイオー
ドの数を適宜減らすことができるし、その時にはハーフ
ミラーの数もそれに応じて減らすことができる。
【0085】また、燃焼室内に点火プラグ、バーナタイ
ル、はみ出したパッキンなど赤熱する物体が無いまたは
無視しうる場合には、前述の干渉フィルターの代わりに
安価な色ガラスフィルターなどを用いることもできる。
【0086】また、燃焼室内がほぼ均一な燃焼状態の燃
焼装置においては、複数のフォトダイオードをそれぞれ
燃焼室側壁に開けられた観測窓に向かわせることで、ハ
ーフミラーを省略することもできる。
【0087】別の実施形態では、応答がより高速で紫外
域にも感度のあるPNN+接合のシリコンフォトダイオ
ードまたは、ショットキ型ガリウム砒素燐フォトダイオ
ードを燃焼室側壁に開けられた一つの観測窓に向かわ
せ、その光路上に二酸化テルルまたはモリブデン酸鉛の
単結晶音響光学媒体とそれに接着した圧電セラミックよ
りなる音響光学フィルターを介在させている。
【0088】この音響光学フィルターは圧電セラミック
に所定の駆動周波数の交流電力を加えることで、超音波
を発生し、音響光学媒体中をその超音波が伝搬する事で
異方性ブラッグ回折を発生させ、特定の波長の光のみを
透過させる。前述の波長に相当する周波数の交流電力を
15μsec間隔で切り替えながら圧電セラミックに印
加し、周波数切り替えに同期したアナログマルチプレク
サでフォトダイオード付属のプリアンプの出力を複数の
信号系に分け、切り替え後12μsec経過した時にそ
れぞれの信号系でサンプルアンドホールドする事で、複
数の波長の信号をほぼ連続的に検出している。
【0089】この構成によれば、単一の光学系およびセ
ンサで構成しているので、光軸のズレやセンサ感度のば
らつきの影響を受けず、安定して高精度の検出が可能で
ある。その後の信号処理は前述の2形態のいずれの方法
を採っても良い。
【0090】図6は、本発明の一実施形態に関する説明
図であり、横軸に本発明で制御する対象とする全一次燃
焼装置の空気比をとり、縦軸には、天然ガスを燃焼させ
たときの電気量を、それぞれ最大値で除して無次元化し
ている。
【0091】古くから知られているブンゼンバーナや赤
火バーナでも電離現象はあったが、その一次空気比に対
する相関はほとんどなかった。その理由は、ブンゼンバ
ーナや赤火バーナでは、燃料は一次空気だけでは燃焼で
きず、二次空気に触れて適度に拡散したところに火炎面
が生じて燃焼するためであり、その電離現象は一次空気
比よりも燃料成分との相関が大きかった。
【0092】炭化水素系燃料が燃焼したときには、燃焼
に伴って正イオンとそれと同数の遊離電子が発生する。
その検出方法はいくつかあるが、燃焼反応そのものには
影響を与えないので、前記のように無次元化して表せ
ば、全て同じ曲線に乗る。イオンおよび遊離電子は燃焼
反応が盛んなときに多く発生するので、図6に示すよう
に最も燃焼反応が盛んになる空気比1付近で電気的検出
量も最大となり、空気比1以上の範囲では単調に減少す
る。
【0093】先端部分以外をアルミナなどのセラミック
で絶縁したエスイット線などの耐熱合金製電極を火炎面
部分に設置し、接地との電位差を測定すると図6に示す
ような空気比1以上の範囲では単調に減少する正の電位
が測定できる。
【0094】また、同じ電極を火炎面から約1mm離し
て外側に設置し、接地との電位差を測定すると絶対値が
図6に示すような空気比1以上の範囲では単調に減少す
る負の電位が測定できる。
【0095】このときの電位測定用プリアンプには、M
OSFETプロセスで製作された入力抵抗の大きなオペ
アンプを用いるのがよい。この現象は、正イオンと電子
とは火炎面で同数発生するが、イオンは大きいので他の
化学種に衝突する頻度が大きく、火炎面に留まり、電子
は小さいので他の化学種に衝突する前に火炎面から離れ
たところまで到達できるためである。
【0096】この様にして得られた電位を予め判ってい
る図6の曲線に照らし合わせれば、少なくとも空気比が
1以上の範囲では、空気比を推定することができる。
【0097】また、同じ電極を火炎面部分に設置し、接
地との間に負の電位をかけて電流を測定すると絶対値が
図6に示すような空気比1以上の範囲では単調に減少す
る電流が測定できる。
【0098】また、同じ電極を火炎面から約1mm離し
て外側に設置し、接地との間に正の電位をかけて電流を
測定すると図6に示すような空気比1以上の範囲では単
調に減少する電流が測定できる。
【0099】この様にして得られた電流を予め判ってい
る図6の曲線に照らし合わせれば、少なくとも空気比が
1以上の範囲では、空気比を推定することができる。ま
た、この電流による測定の方が前述の電位差による方法
よりも小型の電極で高感度ないし高速に検出することが
できる。
【0100】前述の火炎面または火炎面から離れた場所
の電位は、イオンまたは電子が電極表面に偶然衝突する
事で測定できるので、充分な出力を得るには検出子の表
面積を大きくするか、入力抵抗の大きい増幅器を用いる
必要があったが、限定された場所で大きな表面積の検出
子を置くことは小型の燃焼装置では困難であり、入力抵
抗の大きい増幅器は増幅率または応答速度に限界がある
ためである。
【0101】図7は、本発明の一実施形態に関する説明
図であり、横軸に本発明で制御する対象とする全一次燃
焼装置の空気比をとり、縦軸には混合気の乱れが一定の
時の燃焼音を最大値で除して無次元化してデシベル表示
している。古くから知られているブンゼンバーナや赤火
バーナでも燃焼音はあったが、その一次空気比に対する
相関はほとんどなかった。
【0102】その理由は、ブンゼンバーナや赤火バーナ
では、燃料は一次空気だけでは燃焼できず、二次空気に
触れて適度に拡散したところに火炎面が生じて燃焼する
ためであり、一次空気比よりも二次空気の乱れや二次空
気との相対速度との相関が大きかった。
【0103】前述のように全一次燃焼では混合気中に小
さな渦よりなる流れの乱れがあると、その乱れが火炎面
を通過するときに燃焼の加減速を発生させ、圧力の上昇
下降である音を発生させる。
【0104】この乱れが火炎面で音に変換される比率は
燃焼反応が盛んなときに大きくなるので、乱れが一定の
場合には図7に示すように最も燃焼反応が盛んになる空
気比1付近で燃焼音も最大となり、空気比1以上の範囲
では単調に減少する。
【0105】本実施形態では燃焼室壁面に穴を開け、燃
焼に伴う音を直接検出するためのマイクロホンを設置し
ている。このマイクロホンが過熱しないように、前述の
壁面保護に用いている二次空気の一部をバイパスさせ、
マイクロホンの外周および背面を冷却している。このマ
イクロホンにより検出された音を予め判っている図7の
曲線に照らし合わせれば、少なくとも空気比が1以上の
範囲では、空気比を推定することができる。
【0106】図8は本実施の形態で使用した前述の燃焼
装置から排出される窒素酸化物濃度の混合気空気比に対
する値である。
【0107】また、図9は本実施の形態で使用した前述
の燃焼装置から排出される一酸化炭素濃度の混合気空気
比に対する値である。いずれも、空気比1以上の範囲で
は、空気比が高いほど低い排出レベルにあることが判
る。
【0108】また、本実施の形態で使用した前述のバー
ナの安定燃焼範囲は、空気比0.8〜1.35である。
したがって、当燃焼装置は、少なくとも定常燃焼中は燃
焼範囲上限の空気比1.35付近で燃焼させるのがよい
と言える。
【0109】図10は、世界各地で産出される天然ガス
の発熱量と理論空気比の関係である。図から明らかなよ
うに理論空気量A0は、発熱量Hと略比例関係にあり、 A0=K×H とあらわされる。
【0110】本実施の形態で使用する天然ガスでは比例
係数Kは、0.2381標準立方メートル毎メガジュー
ルである。この関係は天然ガスに限らず他の石炭ガスな
どについても同様の式が成り立つ。
【0111】また、天然ガスの発熱量および理論空気量
はそれぞれの中央値に対して上下12%のばらつきがあ
る。
【0112】一般に、家庭用給湯機には燃料の発熱量な
どを測定する装置は付帯していない。
【0113】また、前述の空気比検出器は、いずれも燃
焼させてから検出する物なので、最初の燃焼に対して、
目標の空気比m(目)、目標の燃焼熱量I(目)が定ま
った場合にも、発熱量は仮定した値H(仮)を用いる。
【0114】初期の空気供給量をA(仮)、初期の燃料
供給量をG(仮)としたとき、以下の関係式で表され
る。 A(仮)=m(目)×A0×G(仮) 上式を代入して A(仮)=m(目)×K×H(仮)×G(仮) この時、前記空気比検出器によって空気比m(実)が判
明した場合には A(仮)=m(実)×K×H(実)×G(仮)
【0115】ここで、Kは定数なので、実際の発熱量H
(実)は次式で表される。 H(実)=H(仮)×m(目)/m(実) また、燃焼熱量は燃料の発熱量と燃料供給量を乗じた物
なので、 I(目)=H(仮)×G(仮)
【0116】前記実際の発熱量が判明したので、目標の
燃焼熱量が一定の時に、次の燃料供給量G(次)は G(次)=G(仮)×H(仮)/H(実) =G(仮)×m(実)/m(目)
【0117】また、検出された空気比を目標空気比にす
るためには、次の空気供給量A(次)は A(次)=m(目)×K×H(実)×G(次) となるが、目標空気比が不変の時には、上記の関係から A(次)=A(仮) となり、空気量は変更しないことになる。
【0118】以上の関係を前記燃焼装置に適用すると、
前述のように排気を清浄にするため、安定燃焼範囲の上
限に目標空気比を定めm(目)=1.35とする。初期
燃焼の時に実際の発熱量が仮定の発熱量よりも低い側に
ばらついてm(実)が安定燃焼範囲の上限を超えると、
火炎が吹き消えることになるので、前述の仮定発熱量H
(仮)は前述の発熱量のばらつきの下限値に設定するの
がよい。
【0119】この設定で前述の燃焼制御を行うと、初期
の実空気比は必ず目標値以下となり、その検出ができた
後、空気供給量を変えないまま、仮の燃料供給量に検出
された空気比を目標の空気比で除した値を乗じた量に燃
料供給量を減らして目標の空気比にする事になる。
【0120】空気比の検出誤差を見込んで、安定燃焼上
限に若干の余裕を持たせて目標値を設定することや、検
出された空気比を目標の空気比で除した値を多少緩和し
て用いることもできる。
【0121】上記発熱量を下限値と仮定して燃焼する方
法でも速やかに目標空気比に収束するが、初期の燃焼で
は必ず燃焼熱量が目標値を上回ることになるので、一時
的に給湯温度が設定温度を超えることがある。
【0122】この初期温度の誤差を最小にするため、仮
定発熱量をばらつきの略中央値とし、発熱量が下限であ
っても実空気比が安定燃焼範囲を超えないように、例え
ば初期目標の空気比m(目1)を1.2程度に設定し、
空気比検出後の目標値m(目2)を安定燃焼範囲の上限
値1.35に設定する。
【0123】なお、この設定は、着火直後はバーナが加
熱されていないため、安定燃焼範囲が定常燃焼よりも狭
いような場合にも有効で、その時には初期目標の空気比
を着火直後安定燃焼範囲の中央付近の例えば1.0程度
に設定する。前述と同様、燃焼熱量の目標値が不変の時
には、 G(次)=G(仮)×m(実)/m(目1)×m(目1)/m(目2) =G(仮)×m(実)/m(目2) A(次)=A(仮)×m(目2)/m(目1) となり空気比の目標値の変化割合に、その時に空気供給
手段が供給していた空気の供給量を乗じた量に空気の供
給量を変更し、空気比の実測値と空気比の目標値の比
に、その時に燃料供給手段が供給していた燃料の供給量
を乗じた量に燃料の供給量を変更することになる。
【0124】以上の運転方法では燃焼熱量の目標値が一
定であるとしたが、例えば着火時点で燃焼装置で燃焼で
きる熱量の最大値が要求されたような場合、着火の燃焼
範囲が狭く、目標空気比を下げても前述の発熱量のばら
つきを吸収できないことがある。
【0125】そのような場合にはやや低めの燃焼熱量の
目標値I(目1)で着火した後、空気比を確認して要求
される燃焼熱量I(目2)に変更する方法を採る。
【0126】前述と同様空気比の目標が不変の時には、 G(次)=G(仮)×m(実)/m(目)×I(目2)/I(目1) A(次)=A(仮)×I(目2)/I(目1) となり燃焼熱量の目標値の変化割合に、その時に空気供
給手段が供給していた空気の供給量を乗じた量に空気の
供給量を変更し、空気比の実測値と空気比の目標値の比
と、燃焼熱量の目標値の変化割合とを乗じた値に、その
時に燃料供給手段が供給していた燃料の供給量を乗じた
量に燃料の供給量を変更することになる。
【0127】さらに空気比の目標値と、単位時間当たり
の燃焼熱量の目標値がそれぞれ変化しているときには、
前述と同様、 G(次)=G(仮)×m(実)/m(目1)×m(目1)/m(目2)×I( 目2)/I(目1) =G(仮)×m(実)/m(目2)×I(目2)/I(目1) A(次)=A(仮)×m(目2)/m(目1)×I(目2)/I(目1) となり空気比の目標値の変化割合と、燃焼熱量の目標値
の変化割合とを乗じた値に、その時に空気供給手段が供
給していた空気の供給量を乗じた量に空気の供給量を変
更し、空気比の実測値と空気比の目標値の比と、燃焼熱
量の目標値の変化割合とを乗じた値に、その時に燃料供
給手段が供給していた燃料の供給量を乗じた量に燃料の
供給量を変更することになる。
【0128】以上、燃料供給手段は、燃料供給量を操作
することで説明したが、例えば、燃料供給手段の操作量
がガス圧などである場合には、前述の燃料供給量の代わ
りにガス圧とし、発熱量の代わりにウォッベ指数とし、
理論空気量の代わりにウェーバーの一次空気に関する指
数とすれば、互いの相対関係により全く同じ式で表すこ
とができるので、前述と同じ運転が可能である。
【0129】このように、燃料供給手段の操作量が直接
燃料の供給量である必要はなく、燃料供給量と一定の相
関のある値と読み替えることもできる。例えば、前述の
ガス圧や比例弁電流、燃料供給ポンプ回転数、燃料供給
弁開度、燃料供給弁開弁時間などである。
【0130】同様に、空気量供給手段が操作する空気供
給量は空気供給量と一定の相関のある値と読み替えるこ
ともできる。例えば、ファン回転数、ダンパ開度、空気
圧、風速などである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を家庭用給湯機に適用した全体構成図
【図2】実施の形態で使用したバーナ304の要部の断
面図
【図3】実施の形態で使用したバーナ304のリボン3
16の構造を示す図
【図4】実施の形態で使用したバーナ304のリボン3
16の接触部分の断面を示す図
【図5】本発明の一実施形態に関する説明図
【図6】本発明の一実施形態に関する説明図
【図7】本発明の一実施形態に関する説明図
【図8】燃焼装置から排出される窒素酸化物濃度の混合
気空気比に対する値の図
【図9】燃焼装置から排出される一酸化炭素濃度の混合
気空気比に対する値の図
【図10】天然ガスの発熱量と理論空気比の関係の図
【符号の説明】
101…空気比検出手段、301…空気供給手段、30
2…燃焼する空間 304…全一次燃焼バーナ、305…燃料供給手段、4
05…電装基板

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも定常燃焼中には燃料とその燃
    焼に充分な空気を予め混合して混合気とし、前記混合気
    が炎口から吐出した後の空間で燃焼する燃焼装置におい
    て、前記燃料の供給量を操作する燃料供給手段と、前記
    空気の供給量を操作する空気供給手段と、前記空間での
    燃焼に伴う現象に基づいて前記混合気中の空気量の前記
    燃料の理論空気量に対する比率である空気比を求める空
    気比検出手段とを設け、少なくとも空気比検出手段によ
    って検出された空気比に基づいて、前記燃料供給手段が
    供給する燃料の供給量または前記空気供給手段が供給す
    る空気の供給量を調整する事を特徴とする燃焼制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記燃焼に伴う現象は、燃焼反応に伴っ
    て発生する遊離基の発光強度であることを特徴とする請
    求項1記載の燃焼制御装置。
  3. 【請求項3】 前記燃料には、炭化水素系の成分を含
    み、前記燃焼反応に伴って発生する遊離基の発光は、波
    長516.5nm付近のC2の発光、波長431.5n
    m付近のCHの発光、波長306.4nm付近のOHの
    発光、のいずれかを含むことを特徴とする請求項2記載
    の燃焼制御装置。
  4. 【請求項4】 前記燃料には、炭化水素系の成分を含
    み、前記燃焼反応に伴って発生する遊離基の発光は、波
    長516.5nm付近のC2の発光、波長431.5n
    m付近のCHの発光、波長306.4nm付近のOHの
    発光、のうちいずれか複数の発光強度の相互の関連に基
    づくことを特徴とする請求項2または3記載の燃焼制御
    装置。
  5. 【請求項5】 前記燃料には、炭化水素系の成分を含
    み、前記燃焼に伴う現象は、燃焼反応に伴って発生する
    正イオンまたはイオン生成に伴って遊離する電子である
    ことを特徴とする請求項1記載の燃焼制御装置。
  6. 【請求項6】 燃焼反応に伴って発生する正イオンまた
    はイオン生成に伴って遊離する電子を火炎面付近の正の
    電位または火炎面から離れた場所の負の電位によって検
    出することを特徴とする請求項5記載の燃焼制御装置。
  7. 【請求項7】 燃焼反応に伴って発生する正イオンまた
    はイオン生成に伴って遊離する電子を火炎面付近に設け
    た電極に負の電位をかけたときの電流または火炎面から
    離れた場所に設けた電極に正の電位をかけたときの電流
    によって検出することを特徴とする請求項5記載の燃焼
    制御装置。
  8. 【請求項8】 前記燃焼に伴う現象は、燃焼に伴って発
    生する音であることを特徴とする請求項1記載の燃焼制
    御装置。
  9. 【請求項9】 前記燃焼に伴って発生する音を前記空間
    に隣接して設けた空冷構造のマイクロホンで検出するこ
    とを特徴とする請求項8記載の燃焼制御装置。
  10. 【請求項10】 少なくとも前記空気比検出手段によっ
    て検出される空気比の目標値と、単位時間当たりの燃焼
    熱量の目標値が一定の時に、前記空気比検出手段によっ
    て実際に検出された空気比が前記目標値と略等しくなか
    った場合には、前記空気供給手段が供給する空気量を一
    定に保ったまま、前記空気比の実測値と前記空気比の目
    標値の比に、その時に前記燃料供給手段が供給していた
    燃料の供給量を乗じた量に燃料の供給量を変更すること
    を特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の燃焼
    制御装置。
  11. 【請求項11】 少なくとも前記空気比検出手段によっ
    て検出される空気比の目標値と、単位時間当たりの燃焼
    熱量の目標値がそれぞれ変化しているときに、前記空気
    比検出手段によって実際に検出された空気比が前記目標
    値と略等しくなかった場合には、前記空気比の目標値の
    変化割合と、前記燃焼熱量の目標値の変化割合とを乗じ
    た値に、その時に前記空気供給手段が供給していた空気
    の供給量を乗じた量に空気の供給量を変更し、前記空気
    比の実測値と前記空気比の目標値の比と、前記燃焼熱量
    の目標値の変化割合とを乗じた値に、その時に前記燃料
    供給手段が供給していた燃料の供給量を乗じた量に燃料
    の供給量を変更することを特徴とする請求項1ないし1
    0のいずれかに記載の燃焼制御装置。
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Cited By (5)

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