JPH11256121A - タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造、及びその構造を有するプレキャストコンクリート成形品 - Google Patents

タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造、及びその構造を有するプレキャストコンクリート成形品

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JPH11256121A
JPH11256121A JP10061717A JP6171798A JPH11256121A JP H11256121 A JPH11256121 A JP H11256121A JP 10061717 A JP10061717 A JP 10061717A JP 6171798 A JP6171798 A JP 6171798A JP H11256121 A JPH11256121 A JP H11256121A
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tile
adhesive
radio wave
ferrite
tiled
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JP10061717A
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English (en)
Inventor
Teruo Nakagawa
輝雄 中川
Yoshio Sawada
凱夫 澤田
Tsuneo Yoshida
恒男 吉田
Haruo Sasaki
春夫 佐々木
Yoshihiro Moriya
善裕 守屋
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DENPA HOSHO ENGINEERING KK
TECHNO PRECON KK
Nippon Kasei Chemical Co Ltd
Fujita Corp
Nihon Kasei Co Ltd
Original Assignee
DENPA HOSHO ENGINEERING KK
TECHNO PRECON KK
Nippon Kasei Chemical Co Ltd
Fujita Corp
Nihon Kasei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェライトタイル用のセメント系接着剤を開
発し、タイル張り仕上げ電波吸収壁に一般建築外装用の
汎用タイルを使用できるようにすることである。 【解決手段】 本発明のタイル張り仕上げ電波吸収壁の
構造では、汎用タイル10の裏に、モルタルにゴム系ま
たは熱可塑性樹脂系のポリマーディスパージョンを混和
させた接着剤20が所定層厚塗布されている。接着剤2
0の層に、フェライトタイル30が間隔W離して接着さ
れ、フェライトタイル30の裏側に、電波反射部材5
0、配筋60を埋設させた状態のコンクリート40の層
が形成されている。コンクリート40は、隣接間隔Wを
通して、接着剤20の層と接合させられている。この構
造は、タイル張り仕上げ電波吸収PCパネルとして構成
しても構わない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライトタイル
への良好な接着性を有するセメント系接着剤、およびそ
れを使用したタイル張り仕上げ電波吸収壁の構造、並び
にかかる構造を有するタイル張り仕上げプレキャストコ
ンクリート成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年都市部では、高い建物によるテレビ
電波の反射障害などのいわゆる電波障害が発生し大きな
問題となっている。かかる建物の電波障害に対する対策
として、建物の外壁を電波吸収壁とする方法が知られて
いる。
【0003】一方、従来の建築では、美観、耐火性、耐
久性などの観点から、外壁仕上げ材などとしてタイルが
使用されている。タイルには、磁器質、せっ器質、陶磁
質など種々のものがあり、建築意匠あるいは使用環境に
合わせたタイルが選択されて使用されている。
【0004】電波吸収壁にも、建築意匠などの観点から
タイルの使用が求められ、外壁面にタイル張り仕上げが
採用されている。かかる電波吸収壁は、例えば、外壁表
面に使用するタイルの裏側にフェライトタイルを設けた
タイル張り仕上げプレキャストコンクリートパネル(以
下、簡単のためにタイル張り仕上げ電波吸収PCパネル
という。)を予め工場生産しておき、このタイル張り仕
上げ電波吸収PCパネルを現場で組み付けるなどして施
工されている。
【0005】フェライトタイルは、タイルの接着に際し
て通常使用されるセメントモルタルやコンクリートとは
接着しないため、従来は特公平1−45238号公報に
記載のようにフェライトタイルを裏側に抱え込みながら
コンクリートとの接着性を確保できるように予め特殊形
状に形成されたタイルや、あるいは実開平6−8639
8号公報に記載のように裏打ちのコンクリートの接着性
を確保する留め金を設けた特殊なタイルが使用されてい
る。
【0006】また、特開平9−235799号公報に記
載されているように、フェライトタイルの厚み方向に貫
通孔を設け、到来電波の電界成分方向のフェライト寸法
の2倍以上の電界成分方向寸法を有するタイルと前記フ
ェライトタイルとの互いの当接面間と、フェライトタイ
ルの上記貫通孔とに、エポキシ樹脂系などの液状樹脂に
よる樹脂モルタルを充填して、フェライトタイルとタイ
ルを一体化させ、タイル仕上げ電波吸収壁PCパネルを
製作している。
【0007】特殊形状タイルを使用した例としては、図
12(a)、(b)に示すように、断面略コ字型に形成
された、いわゆるC形タイル1を使用したタイル張り仕
上げ電波吸収PCパネルが知られている。
【0008】C形タイル1は、2枚の平板状のタイル足
2が間隔をあけて対面するようにタイル裏側から一体に
伸ばされた特殊な形状に構成されている。C形タイル1
の裏側のタイル足2で構成された凹部3に、フェライト
タイル4を抱え込ませるようにして、セメントモルタル
などとの接着性のないフェライトタイルを壁面構成用の
タイルの裏側に確実に設けることができるようになって
いる。
【0009】C形タイル1を使用したタイル張り仕上げ
電波吸収PCパネルの製造は、次のようにして行ってい
る。
【0010】先ず、PC用打設型枠の定盤(図示せず)
面上に、複数のC形タイル1の表面を向けて、目地ます
に合わせて敷き並べる。C形タイル1の裏面側の凹部3
内に、フェライトタイル4を面接触させるようにして配
置する。凹部3内のフェライトタイル4とタイル足2と
の隙間には、緩衝材5を充填してフェライトタイル4が
動かないようにする。フェライトタイル4は、敷き並べ
たC形タイルの各々に上記要領で設けられる。
【0011】このようにしてC形タイル1およびフェラ
イトタイル4を配置したPC用打設型枠内に、さらに、
電波反射用の金属製の反射メッシュ6aと、パネル補強
用の鉄筋6bとを、フェライトタイル4の裏面側から所
定高さそれぞれ離した状態で設け、このPC用型枠(図
示せず)内にコンクリート(裏打ちコンクリートと呼ぶ
場合もある)7を打設する。
【0012】打設後所定時間、所定温度で蒸気養生を行
い、その後PC用型枠から脱型すれば従来構成のタイル
張り仕上げ電波吸収PCパネルが成形されることとな
る。
【0013】かかる従来構成のタイル張り仕上げ電波吸
収PCパネルの構成では、フェライトタイル4にはコン
クリート7との接着性がないため、フェライトタイル4
を裏側に設けたC形タイル1は、コンクリート7層中に
伸ばしたタイル足2によりコンクリートとの接合性が確
保されている。
【0014】また、コンクリート7との接合性を確保す
るための留め金具8を設けた特殊形状のタイル9を用い
て、タイル張り仕上げ電波吸収PCパネルを製造する方
法も知られている。
【0015】タイル9は、図13(a)に示すように、
フェライトタイル4より大きな略平板状のタイルに形成
され、これには留め金具8の取り付け孔8aが当初より
設けられた特殊形状に形成されている。
【0016】このタイル9を使用したタイル張り仕上げ
電波吸収PCパネルは以下のようにして製造されてい
る。
【0017】先ず、使用するタイル9の各々に留め金具
8を図13(b)に示すように取り付け、留め金具8を
取り付けたタイル9の裏面側にフェライトタイル4を、
図13(a)に示すように載せて配置する。
【0018】裏面側にフェライトタイル4を載せたタイ
ル9を、PC用型枠の定盤面上に目地ますに合わせて敷
き並べる。さらに、上記C形タイル1を使用した製造方
法と同様に、反射メッシュ6a、鉄筋6bをPC用型枠
内に設けて、図13(c)に示すように、裏打ちコンク
リート7を打設し、コンクリート7の養生後脱型すれば
従来構成のタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルが製造
できる。
【0019】このようにして製造されたタイル張り仕上
げ電波吸収PCパネルでは、フェライトタイル4にはコ
ンクリート7との接着性がないため、留め金具8がタイ
ル9とコンクリート7との接合性を補強する重要な役目
を担っている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】フェライトタイルはセ
メントモルタルやコンクリートと接着しないため、従来
のタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルに使用する壁面
形成用のタイルには、その裏側にフェライトタイルを設
けても、タイルとコンクリートとの接合性を確保する構
成が必要であった。
【0021】そのため、前記従来例で説明したように、
裏側にフェライトタイルを抱え込むとともに、裏打ちコ
ンクリート層中に接合性確保用に伸ばせるタイル足を設
けたC形タイルや、あるいはコンクリートとの接合性を
補強するための留め金具用の取り付け孔を設けた特殊形
状のタイルが提供されていた。
【0022】さらには、タイルとコンクリートとの接合
性を確保するためには、裏側に設けるフェライトタイル
より大きなタイルを使用する必要があった。タイル裏側
のフェライトタイルの周囲からはみ出たタイル裏面部分
を、裏打ちコンクリートとの所謂糊代部分として確保す
る必要があるためである。
【0023】このような特殊形状のタイルは、専らタイ
ル張り仕上げ電波吸収PCパネル用に生産されているた
め、どうしても一般建築外装用などの幅広い需要対象を
有する汎用タイルに比べて生産量が少なく、その分品揃
えも限られている。
【0024】一方、一般建築外装用などに使用されるい
わゆる汎用タイルは、その需要が多いため、色彩や形
状、大きさ、化粧模様など意匠的にも、耐久性、耐火
性、透水性などの機能的にも豊富な品揃えがなされてお
り、建築意匠あるいは建物の機能に合致したタイルが幅
広く選択できるようになっている。
【0025】すなわち、従来の特殊形状のタイルを使用
する限りは、どうしても意匠面や機能面などの建築設計
の多様性に十分対応できるタイル張り仕上げ電波吸収P
Cパネルを提供することが難しい。
【0026】さらに、特殊形状のタイルを使用する場合
には、一般建築用のタイル張り仕上げPCパネルの製造
に比べて、作業性に手間がかかるため低コストでの製造
が難しく、電波吸収壁の需要を狭めている一つの要因で
もある。電波吸収壁の普及により電波障害が解消される
ことが望まれる。
【0027】例えば、C形タイルを使用してタイル張り
仕上げ電波吸収PCパネルを製造する場合には、タイル
足により形成された裏面側凹部にフェライトタイルを配
置したり、さらにタイル足との間に緩衝材を充填したり
など細かな作業が必要となり、どうしても手間がかか
る。
【0028】また、留め金具を使用するタイルでは、フ
ェライトタイルをタイルの裏面に載せる工程の前後いず
れかの工程で、タイル一枚ずつに留め金具を取り付けな
ければならない。かかる留め金具の取り付け作業も面倒
で、手間がかかる。現場からは、かかるタイル張り仕上
げ電波吸収PCパネルの製造作業における作業性の改善
が強く求められていた。
【0029】また、上記従来の製造方法で製造されたタ
イル張り仕上げ電波吸収PCパネルでは、フェライトタ
イルは壁面構成用の特殊形状のタイルの裏面側には接着
されていない。パネル強度などの技術的観点からは、フ
ェライトタイルを確実に接着させる構成が望まれる。
【0030】また、フェライトタイルの厚さ方向に貫通
孔を設け、タイルとフェライトタイルの当接面とフェラ
イトタイル貫通孔に充填された樹脂モルタルにて圧着一
体化する方法は、フェライトタイル自体の加工に多くの
費用を要すると共に、フェライトタイルが脆く破損し易
くなる問題がある。
【0031】また、フェライトタイルとの接着性を良好
にするためにエポキシ樹脂などの液状樹脂に珪砂などの
骨材を配合した樹脂モルタルを用いているが、高価なう
えに火災の場合の剥落が懸念される。かかる剥落の虞が
なく、コンクリートやフェライトタイルへの良好な接着
性を示す安価なセメント系の接着剤の開発が求められて
いる。
【0032】本発明の目的は、タイルやフェライトタイ
ル自体の加工を行わずに、フェライトタイルの接着性を
確保できるセメント系の接着剤を提供することにある。
【0033】本発明の目的は、フェライトタイルへの良
好な接着性を有するセメント系の接着剤を使用して、タ
イル張り仕上げ電波吸収PCパネルに、一般建築用の汎
用タイル、ならびに汎用フェライトタイルを使用できる
ようにすることにある。
【0034】本発明の目的は、フェライトタイルへの良
好な接着性を有するセメント系の接着剤を使用して、タ
イル張り仕上げ電波吸収壁構造に、フェライトタイル寸
法より小さな一般建築用の汎用タイルを使用できるよう
にすることにある。
【0035】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。
【0036】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0037】すなわち、本発明のタイル張り仕上げ電波
吸収壁の構造では、壁面側のタイルには、建物の外壁な
どの外装用に一般的に使用される汎用タイルを使用する
ことができ、その汎用タイルが上下、左右に整然と割り
つけされて並べられている。
【0038】なお、本明細書で使用する「汎用タイル」
という言葉は、専ら使用目的を電波吸収壁構成用とした
前記説明のC形タイルや、留め金具取り付けタイプのタ
イルを除き、従来より一般に電波吸収目的を期待しない
建築外装用あるいは内装用に使用されている磁器質、せ
っ器質、陶磁質などを素材とするタイルを主に意味す
る。
【0039】しかし、タイル素材をこれらに限定する必
要はない。外壁などの外装用、あるいは内壁、床などの
内装用に従来より使用されている素材のタイルでも、本
発明の趣旨に適うものであれば構わない。
【0040】また、テラッコッタなどのタイル類似の粘
土焼成品類も、本発明の趣旨に適う範囲で、「汎用タイ
ル」という言葉の意味に含めてよい。
【0041】かかる汎用タイルの裏側には、セメント系
フェライト用接着剤の接着剤層が設けられ、さらにその
接着剤層の裏側には、フェライトタイルが、到来電波の
電界成分方向に間隔を設けて配置され、その表面を接着
剤層に張り付けるようにして設けられている。本発明の
構成では、フェライトタイルは接着剤層を介して、壁面
側のタイル面にほぼ面平行に接着されて設けられてい
る。
【0042】また、セメント系フェライト用接着剤に
は、ゴム系または熱可塑性樹脂系のポリマーディスパー
ジョンを混入したモルタルを使用して、セメントモルタ
ルやコンクリートとの接着性がないフェライトタイルを
汎用タイルの裏面側に確実に接着している。
【0043】ゴム系のポリマーディスパージョンとして
は、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)系エ
マルション(ラテックス)などが挙げられる。熱可塑性
樹脂系のポリマーディスパージョンとしては、例えば、
エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)系、アクリル酸エス
テル樹脂(PAE)系などのエマルションが挙げられ
る。
【0044】このようにして接着剤層の裏に設けられた
電波吸収体としてのフェライトタイルの裏側に、さらに
コンクリート層が設けられている。フェライトタイル
は、隣同士間隔を設けて配置されているので、この間隔
を通してコンクリート層が接着剤層と接触して接合させ
られている。
【0045】また、このコンクリート層内には、金網、
メッシュ筋などの金属製の電波反射部材が埋設させられ
ている。さらに、壁体補強用に鉄筋などをコンクリート
層中に配筋されている。
【0046】なお、壁体補強用に使用する上記鉄筋は、
電波反射部材としても機能するため、コンクリート層内
には例えば上記金属製の電波反射部材を使用せずに、壁
体補強用の鉄筋のみを使用して、電波反射部材の代用を
補強鉄筋にさせるようにしても構わない。
【0047】このようにして、フェライトタイルは、そ
の表面側が上記構成のセメント系フェライト用接着剤の
接着剤層により接着され、さらにその裏面側と側方部分
とが、接着剤層と接合したコンクリート層により囲まれ
て、汎用タイルの裏側に接着剤層を介して面平行に安定
して設けられている。
【0048】なお、上記構成のエマルションを混入した
モルタルの配合比率の範囲は、セメントと骨材の配合比
率は重量比で1:0.5〜3の範囲であり、細骨材などの
骨材の重量比が水硬性セメントなどのセメント量1に対
して、0.5未満ではセメント量が過剰となり乾燥収縮量
が増加してその収縮応力によって剥離の危険を生ずる。
【0049】また、骨材の重量比がセメント量1に対し
て3を越える場合には、セメント量が不足し接着強度を
低下させることとなる。
【0050】エマルションの固形分として混入量はセメ
ントと骨材からなる粉体に対して3〜25wt%となるよ
うにすればよい。実用的な範囲としては、より好ましく
は、5〜15wt%の範囲である。また、その他常用され
る混和剤を配合することは勿論である。
【0051】さらに、要求性能に応じてメチルセルロー
スなどの保水剤、流動化剤、消泡剤、収縮低減剤、硬化
調整剤、顔料などを添加しても構わない。
【0052】3wt%未満では、状況によってはフェライ
トタイルに対する接着性が十分でない場合も想定され、
25wt%を越えるとフェライトタイルに対する接着性は
増すものの、弾性係数が低下しすぎ剥離に対する応力が
集中し易いなどの点でモルタルの強度が悪くなる。併せ
て、作業性も悪くなり、さらには生産コストも高騰し実
用的ではない。
【0053】接着性と、作業性やモルタルの強度との兼
ね合いで、両者を良好に確保できる実用的範囲として
は、5wt%以上、15wt%以下の範囲内が好ましい。
【0054】また、接着剤層は、汎用タイルの裏面側
に、例えば所定層厚でおおむね均一に塗布すればよい。
塗布後接着剤層が硬化する前にフェライトタイルを張り
込む。接着剤層の塗布層厚は、2〜20mmの範囲であ
ればよい。より好ましくは、2〜10mmの範囲であ
る。
【0055】2mm未満では、フェライトタイルを押し
付けて張り込むに際して、若干接着剤層にフェライトタ
イルがめり込み、汎用タイル裏面との接着剤の層厚が薄
くなりすぎ接着性が十分に確保されない場合があるため
である。
【0056】また、20mmを越えると、層厚が厚くな
り過ぎ、フェライトタイルの面精度の低下のような不具
合が考えられる。10mm以下であれば、面精度や接着
力が確保されより好ましい。そこで、接着剤の塗布層の
厚さは、2mm以上、10mm以下の範囲が、実用的範
囲としてより好ましい。
【0057】なお、接着剤の塗布に際しては、接着強度
が十分に確保できるならば、接着剤を点付けにして、接
着剤層を散点状などに設ける方法も考えられる。
【0058】さらに、上記構成の接着剤層中に、例えば
非導電性の繊維メッシュなどのようなメッシュ部材を補
強部材として埋設させておけば、タイル張り仕上げ電波
吸収壁の接着剤層を介した汎用タイルとフェライトタイ
ルとのいわゆる積層部分の曲げ強度が向上して、この積
層部分をより強固にすることができる。
【0059】また、上記接着剤層中に埋設させられる補
強部材としては、ガラスやビニロンなど非導電性の短繊
維を使用しても構わない。メッシュ部材に代えて短繊維
を使用しても、あるいは両者を併用しても構わない。
【0060】補強部材として使用する短繊維は、その長
さが5〜30mmの範囲であればよい。5mm未満で
は、短すぎて短繊維を混在させない接着剤層と比べて、
有意の差がみとめられない。また、30mmを越えて
は、長すぎで、接着剤層の層厚を2〜10mmをより好
ましい範囲とする本発明では扱いにくくなる。
【0061】また、使用する繊維の太さは、1.5〜40
00デニールの範囲にあればよい。1.5デニール未満で
は、細過ぎて短繊維を混在させない接着剤層と比べて、
有意の差がみとめられない。また、4000デニールを
越える場合には、太すぎて、接着剤層の層厚を2〜10
mmをより好ましい範囲とする本発明では扱いにくくな
る。
【0062】また、短繊維の接着剤への混入量はモルタ
ルの粉体に対して0.05〜1wt%の範囲が好ましい。0.
05wt%未満では、少なすぎて短繊維を混入させない接
着剤層に比べて、有意の差が認めにくい。また、1wt%
を越える場合には、多すぎて練り混ぜ不十分となり接着
剤層に空隙などが発生するなどの不都合が起き易い。
【0063】上記構成のように、メッシュ部材や短繊維
などからなる補強部材が接着剤層中に埋設されていれ
ば、積層部の曲げ強度が向上させられて、上記応力が働
いた場合でも、フェライトタイルの接着剤層からの剥が
れや、かかる積層部のき裂などを防止することができる
のである。
【0064】メッシュ部材に使用する非導電性繊維メッ
シュとしては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポ
リエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などを使
用すればよい。また、本発明の趣旨に適う範囲であれ
ば、天然繊維を使用しても構わない。
【0065】非導電性短繊維として使用する繊維には、
例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポ
リエステル繊維、アラミド繊維などを使用することがで
きる。本発明の趣旨に適う範囲であれば、その他の合成
繊維や天然繊維を使用しても構わない。
【0066】さらに、接着剤層中に埋設させたメッシュ
部材に一端側を係止させて、他端側をコンクリート層中
に突き出すように構成した定着部材を設けることによ
り、コンクリート層と接着剤層との接合を機械的結合を
利用してより一層強くすることができる。
【0067】定着部材は、例えば直状部分の一端側を、
メッシュ部材のメッシュ部に引っかけて簡単に係止でき
るようにL字型などに曲げた構成にしておけばよい。
【0068】さらには、定着部材の一端側を上記構成に
形成しておけば、接着剤層中に埋設させた短繊維に引っ
掛かるようにさせることもできるので、短繊維を混入さ
せた接着剤層とコンクリート層との間に定着部材を設け
て、接着剤層とコンクリート層との接合を機械的結合を
利用してより一層強くすることができる。
【0069】このようにフェライトタイルへの良好な接
着性を有するセメント系フェライト用接着剤を用いたか
かる構成のタイル張り仕上げ電波吸収壁では、C形タイ
ルなどの特殊形状のタイルを使用せずに、汎用タイルを
使用することができるため、従来構成のタイル張り仕上
げ電波吸収壁とは異なり、一般建築と同様に種々の建築
意匠などに対応できるタイル張り仕上げ電波吸収壁を施
工することができる。
【0070】特に、従来はフェライトタイルを確実に裏
側に抱えることができるように、特殊形状タイルの面積
をフェライトタイルより大きくする必要があったが、上
記構成のセメント系フェライト用接着剤の接着剤層を介
して汎用タイルとフェライトタイルとを接着させること
ができるので、使用するタイルの大きさに制限がなく、
フェライトタイルよりも小さいタイルの使用ができる。
【0071】また、上記タイル張り仕上げ電波吸収壁構
造を、例えばプレキャストコンクリートパネル(PCパ
ネル)などのプレキャストコンクリート成形品(PC成
形品)に適用しても構わない。かかるPC成形品を使用
することにより、建築物などの電波吸収構造を簡単に施
工することができる。
【0072】特に、上記構成の構造をタイル張り仕上げ
電波吸収PCパネルに適用することにより、従来のC形
タイルや留め金具付きなどの特殊形状のタイルを使用し
ないで済み、タイル足で構成された凹部にフェライトタ
イルを配置したり、あるいは留め金具をタイル一枚毎に
取り付けたりなどの手間のかかる作業が不要となる。
【0073】その分、タイル張り仕上げ電波吸収PCパ
ネルの製造工程の簡略が図れ、タイル張り仕上げ電波吸
収PCパネルの低コストの生産が可能となる。
【0074】また、汎用タイルを使用した上記タイル張
り仕上げ電波吸収PCパネルを使用すれば、従来とは異
なり、建築意匠などの要請に十分対応できるタイル張り
仕上げ電波吸収PCパネル組み付けによるタイル張り仕
上げ電波吸収壁の施工が簡単に行える。
【0075】なお、本発明の構成は、上記の如く、汎用
タイルを使用することにより従来構成にはみられない種
々の効果が得られるものであるが、しかし、かかる汎用
タイル以外にも、従来構成の特殊形状タイルを本発明の
構成に使用することは可能である。
【0076】また、上記構成では、フェライトタイルの
表面側を接着剤層を介して汎用タイルの裏側に設ける構
成としたが、接着剤層でフェライトタイルの両面側を挟
むようにして、汎用タイルの裏側に設けるようにしても
構わない。かかる構成では、フェライトタイルの背面側
も接着剤層に接着され、且つこの接着材層が裏打ちコン
クリートとも接合させられるため、より強固なタイル張
り仕上げ電波吸収壁の構造とすることができる。
【0077】かかる構成における接着剤の層厚、調製、
また接着剤層中に埋設させる補強部材、さらには定着部
材に関しては、上記構成と同様にして行えばよい。
【0078】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0079】(実施の形態1)本実施の形態では、セメ
ント系フェライト用接着剤を用いて、一般の建築外装用
などに使用されている汎用タイルを使用したタイル張り
仕上げ電波吸収壁の構造について説明する。
【0080】汎用タイル10は、図1に示すように、そ
のタイル面が外壁表面を向くようにして設けられてい
る。この汎用タイル10には、本実施の形態では、一般
建築物の外壁などの外装用として市販されている略矩形
の平板状タイルが使用されている。
【0081】なお、汎用タイル10としては、例えば、
磁器質、せっ器質、陶磁質で形成したタイルを使用する
ことができる。また、テラコッタなどのタイル類似の粘
土焼成品類も汎用タイル10として使用しても構わな
い。
【0082】本実施の形態の構造では、壁面表面側に、
汎用タイル10が、左右上下に、従来より知られている
割付要領で整然と平面的に張り詰められている。上下左
右にわたって整然と張り詰められた汎用タイル10の裏
面側には、ゴム系または熱可塑性樹脂系のポリマーディ
スパージョンをモルタルに混入してなる接着剤20が所
定層厚で設けられている。
【0083】本実施の形態では、汎用タイル10の目地
部分にも接着剤20が少し入り込むように構成されてい
る。しかし、目地部分には、接着剤20以外の従来構成
のモルタルなどを詰めてコーキング処理を施しても構わ
ない。
【0084】接着剤20には、本実施の形態では、モル
タルの粉体重量に対して5〜15wt%となるように、モ
ルタル用ポリマーディスパージョンが混入されている。
【0085】モルタル用ポリマーディスパージョンとし
ては、例えば、エチレン酢酸ビニル樹脂系(EVA)、
アクリル酸エステル樹脂系(PAE)などのエマルショ
ンを使用すればよい。
【0086】また、スチレン・ブタジエンゴム系(SB
R)などのゴム系のエマルション(ラテックス)を使用
しても構わない。
【0087】上記要領で調製された接着剤20は、本実
施の形態では、層厚2〜10mmの範囲で汎用タイル1
0の裏面側に均一に塗布して設けられている。
【0088】このようにして設けられた接着剤20の裏
面側には、電波吸収体としてフェライトタイル30が設
けられている。フェライトタイル30は、本実施の形態
では、表面に張り詰めた汎用タイル10より大きな形状
のものが使用されている。
【0089】フェライトタイル30は、図1に示すよう
に、隣接するフェライトタイル30同士が所定間隔W離
されて接着剤20の裏側に張り付けて設けられている。
本実施の形態では、外壁表面側に設けた汎用タイル10
の一枚分の幅より少し広めの長さが、間隔Wとして設定
されている。
【0090】また、かかるフェライトタイル30は、到
来電波の磁界成分方向に連続して結合し、且つ前記到来
電波の電界成分方向に間をあけて設けられている。
【0091】さらに、フェライトタイル30の裏側に
は、コンクリート40の層が設けられている。コンクリ
ート40の層は、外壁表面側に設けた汎用タイル10か
らフェライトタイル30までの層厚dよりも十分に厚い
層厚Dに形成されている。
【0092】また、フェライトタイル30の裏側に設け
られた上記コンクリート40の層は、フェライトタイル
30の隣接間の間隔Wを通して、フェライトタイル30
が張り付けられている接着剤20と繋がって、接着剤2
0の層とコンクリート40の層とが強固に接合させられ
ている。
【0093】さらに、コンクリート40の層内には、電
波反射部材50が、メッシュ面をフェライトタイル30
の面に面平行にして埋設させられている。電波反射部材
50には、金網、メッシュ筋などを使用すればよい。
【0094】併せて、コンクリート40の層内には、鉄
筋を使用した補強用の配筋60が、電波反射部材50の
背面側に所定間隔離して埋設させられている。
【0095】このようにして上記構成の構造では、フェ
ライトタイル30は、その表面側は汎用タイル10の裏
面に接着剤20で接着させられ、周囲の側方部分を含め
て背面側がコンクリート40の層とで囲まれるようにし
て設けられている。
【0096】(実施の形態2)本実施の形態では、上記
実施の形態1で説明した構造を有するタイル張り仕上げ
電波吸収PCパネルについて説明する。
【0097】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収
PCパネルAの製造に際しては、先ず、図2に示すよう
に、PC用型枠(図示省略)の定盤X面に設けた目地ま
すCの矩形枠内に、汎用タイル10を配置して、前後左
右に整然と敷き並べておく。
【0098】このようにして定盤X面上に敷き並べられ
た汎用タイル10の裏側に、接着剤20を一様の厚さに
塗布して接着剤20の層を設ける。接着剤20は、層厚
2〜10mmの範囲で均一の層厚となるように塗布して
おく。
【0099】接着剤20は、上記実施の形態1と同様
に、モルタルの粉体重量に対して5〜15wt%となるよ
うに、モルタル用ポリマーディスパージョンを添加して
よく攪拌して調製されている。
【0100】モルタル用ポリマーディスパージョンとし
ては、建築業界において普段に一般的に用いられている
エマルションを使用すればよい。
【0101】上記スチレン・ブタジエンゴム系(SB
R)系、エチレン酢酸ビニル樹脂系(EVA)、あるい
はアクリル酸エステル樹脂系(PAE)エマルションを
モルタルに混入した接着剤20を汎用タイル10の裏に
塗布後、電波吸収体としてフェライトタイル30を、図
2に示すように、隣接間に所定の間隔Wを設けて一枚ず
つ表面側を接着剤20の層面に接着させるようにして敷
き並べる。フェライトタイル30と汎用タイル10と
は、面平行になるように並べられている。
【0102】フェライトタイル30を敷き並べた後、振
動具を用いてPC用型枠に振動を与えて、接着剤20に
フェライトタイル30を密着させる。バイブレータなど
の振動具を使用した本作業は、気象条件により変化する
が、約30分以内に完了させる必要がある。30分を越
えると、接着剤20の表面に被膜を形成しフェライトタ
イル30とのなじみが低下し好ましくない。
【0103】その後、PC用型枠内に、図2に示すよう
に、定盤X面から所定高さに、電波反射部材50をフェ
ライトタイル30の面に対して面平行になるように設置
する。電波反射部材50としては、上記実施の形態1で
述べたように、金網、メッシュ筋などを使用すればよ
い。
【0104】さらに、本実施の形態では、電波反射部材
50よりもさらに上方に所定間隔離して、鉄筋などを格
子状に組んだ配筋60を設ける。
【0105】上記一連の工程を経た後、PC用型枠内に
コンクリート(裏打ちコンクリートともいう)40を打
設する。このコンクリート40の打設は、接着剤20の
塗布後2時間以内に完了させるのが好ましい。
【0106】コンクリート打設後は、蒸気養生など一般
のタイル張り仕上げPCパネルの製造と同様に行えばよ
い。蒸気養生後に脱型すれば、上記実施の形態1と同様
の構造を有するタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルA
が製造できる。
【0107】また、本実施の形態では、上記実施の形態
1と同様の構造をプレキャストコンクリートパネルAに
適用した場合について説明したが、上記実施の形態1と
同様の構造を、壁に相当する構造部分を有するパネル以
外の他のプレキャストコンクリート成形品に適用しても
構わない。
【0108】(実施例1)本実施例では、以下の要領
で、本発明にかかわるタイル張り仕上げ電波吸収PCパ
ネルを構成し、その強度確認試験を行った。
【0109】本実施の形態2で説明したように、汎用タ
イル10をPC用型枠内の定盤X面上に、目地ますCを
使用して前後左右に整然と敷き並べ、その裏側に接着剤
20を塗布する。本実施例の試験では、汎用タイル10
には、45mm角のモザイクタイルを使用した。
【0110】また、本実施例の接着剤20は、セメント
と骨材(5、6、7号珪砂)の重量比1:1.5のセメン
トモルタルに、モルタル用ポリマーディスパージョンと
してSBR系エマルション(モルタルの粉体に対して5
wt%の割合となるように)を混ぜて調製されている。
【0111】かかる構成の接着剤20を汎用タイル10
の裏側に3mm層厚で塗布し、塗布してから30分後に
フェライトタイル30を張り付けた。
【0112】さらに、接着剤20の塗布後2時間後に、
裏打ちコンクリート40を打設し、蒸気養生後に脱型し
てタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルAを作成した。
【0113】このようにして作成されたタイル張り仕上
げ電波吸収PCパネルAの28日材令の接着強度を試験
した。試験に際しては、図3に示すように、接着剤20
に裏側が接着している汎用タイル10、および接着剤2
0の層を介して裏側にフェライトタイル30が設けられ
ている汎用タイル10を、建研式接着力試験機(山本扛
重機株式会社製)の引張り試験用治具Tを使用して上方
に引上げのその強度を測定した。
【0114】上記測定により、汎用タイル/裏打ちコン
クリート、汎用タイル/フェライトタイルとの接合強度
が確かめられた。測定結果は、汎用タイル10とフェラ
イトタイル30では、接合強度が25.7kgf/cm2
であった。
【0115】また、汎用タイル10と裏打ちコンクリー
ト40では、その接合強度が36.2kgf/cm2 であ
った。
【0116】さらに、破断状況は、それぞれ汎用タイル
10とフェライトタイル30との間では界面破壊100
%、コンクリートの凝集破壊100%であった。
【0117】上記強度試験の結果から、本発明にかかわ
るタイル張り仕上げ電波吸収壁構造、あるいはかかる構
造を有するタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルでは、
汎用タイルの接着性が十分に実用に耐えるものであるこ
とが確認された。
【0118】(実施の形態3)本実施の形態では、前記
実施の形態2で説明したタイル張り仕上げ電波吸収PC
パネルAの接着剤20の層内に、補強部材100が埋設
させられている構成について説明する。補強部材100
は、本実施の形態では、メッシュ部材100aに構成し
た。
【0119】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収
PCパネルAでも、図4に示すように、前記実施の形態
2と同様に、PC用型枠内の定盤X面上に、目地ますC
(図示省略)を使用して整然と敷き並べた汎用タイル1
0の裏側に接着剤20を塗布する。接着剤20の層内
に、メッシュ部材100a(100)を埋設する。
【0120】メッシュ部材100aの接着剤20の層内
への埋設に際しては、左官こてを使用して、接着剤20
の塗布後に直ちにメッシュ部材100aを接着剤20内
に押し込めるようにして埋設させればよい。
【0121】本実施の形態では、非導電性のガラス繊
維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、
アラミド繊維などの繊維メッシュをメッシュ部材100
aとして使用すればよい。使用する繊維は、上記繊維の
他に、接着剤20内に埋設した状態で、腐蝕、分解など
化学的に安定な材質の繊維であればよい。本発明の趣旨
に適い、かかる条件を満たすものであれば、天然繊維で
も構わない。
【0122】また、本実施の形態では、図5(a)、
(b)に示すように、メッシュ寸法(目合)aを、矩形
汎用タイル10の長辺寸法の1/4〜4/5に設定する
とよい。1/4未満では、メッシュ寸法が小さく、接着
剤20の層内への埋設性が低下するなどの点で好ましく
なく、4/5を越えるとメッシュ寸法が大きすぎ、汎用
タイル10の裏側にメッシュを構成する繊維のクロス部
Eがかからなかったり、あるいはかかる割合が極端に少
なくなり好ましくない。
【0123】このように1/4〜4/5の範囲を外れる
と、繊維メッシュなどのメッシュ部材100aを接着剤
20の層内に埋設させても、曲げ強度の強化向上に関し
ては、メッシュ部材100aを埋設しない構成と比較し
て有意の差が十分に認められなく実効が得られない。
【0124】メッシュ形状は、図5(a)、(b)に示
すように、メッシュ形状が菱形状でも、あるいは正方形
状で格子状に編み上げたられたものでも、さらにこれ以
外の形状でも構わない。
【0125】本実施の形態のようにメッシュ部材100
aに構成した補強部材100を接着剤20の層内に埋設
させる構成では、メッシュ面を完全に埋設できるよう
に、塗布層厚を2〜10mmの範囲内で少し厚めに設定
しておくのが好ましい。
【0126】このようにして、メッシュ部材100aを
接着剤20の層内に埋設しておけば、タイル張り仕上げ
電波吸収PCパネルAを大面積に形成した場合に往々に
して発生し易い曲げ応力に対しても、十分な曲げ強度の
確保ができる。歪みや、撓みを発生しにくくすることが
できる。
【0127】フェライトタイル30の接着剤20の層か
らの剥がれや、接着剤20の層を介在させて汎用タイル
10とフェライトタイル30が張り付けられている積層
部Fのき裂などをも防止することができる。
【0128】また、かかる曲げ強度の強化は、上記の如
く、タイル張り仕上げ電波吸収PCパネルAを大面積に
構成した場合に発生し易い歪みや撓みなどを防止できる
ので、タイル張り仕上げ電波吸収PCパネルの組み付け
精度を向上させる効果もある。
【0129】なお、本実施の形態では、タイル張り仕上
げ電波吸収PCパネルAを例にとりメッシュ部材100
aの接着剤20の層内へ埋設した構成を説明したが、P
Cパネル以外の施工方法で形成した電波吸収壁にこの構
成を適用しても構わない。
【0130】(実施の形態4)本実施の形態では、前記
実施の形態2で説明したタイル張り仕上げ電波吸収PC
パネルAの接着剤20の層内に、非導電性の短繊維10
0bに構成した補強部材100が埋設させられている構
成について説明する。
【0131】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収
PCパネルBでも、図6に示すように、前記実施の形態
2と同様に、PC用型枠内の定盤X面上に、目地ますC
(図示省略)を使用して整然と敷き並べた汎用タイル1
0の裏側に接着剤20を塗布する。かかる接着剤20の
層内に、短繊維100b(100)が埋設させられてい
る。
【0132】短繊維100bの接着剤20の層内への埋
設に際しては、接着剤20の調製時に、短繊維100b
を所定量混入させるようにすればよい。本実施の形態で
は、接着剤20を前記実施の形態2と同様のモルタル用
ポリマーディスパージョンをモルタルに混入して調製さ
れている。
【0133】本実施の形態では、モルタル用ポリマーデ
ィスパージョンの混入量は、前記実施の形態2とは異な
り、モルタル粉体重量に対して4〜25wt%の範囲で調
製した。その他は前記実施の形態2と同様にして行っ
た。
【0134】また、かかる接着剤20の調製の際には、
短繊維100bをモルタル粉体重量に対して0.05〜1
wt%となるように混入させた。
【0135】本実施の形態で使用する短繊維には、非導
電性のガラス繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、
ナイロン繊維、アラミド繊維などを使用すればよい。他
には接着剤20内に埋設した状態で、腐蝕、分解など化
学的に安定な材質の繊維であれば使用できる。本発明の
趣旨に適いかかる条件を満たすものであれば、天然繊維
でも構わない。
【0136】また、本実施の形態で使用する短繊維10
0bとしては、1.5〜4000デニールの太さで、5〜
30mmの範囲の長さの繊維を使用した。
【0137】かかる要領で短繊維100bを混入した接
着剤20は、本実施の形態では2mm以上、10mmの
範囲内の層厚で均一に塗布され、その層中に短繊維10
0bが埋設状態にされている。
【0138】このようにして本実施の形態では、接着剤
20の層内に短繊維100bが分散させられているの
で、メッシュ部材100aを接着剤20の層内に略平面
的に埋設する場合に比べて、接着剤20を層厚範囲全体
にわたって、曲げ強度との強化をも含めて、ほぼ均一に
強靱にすることができる。汎用タイル10の剥落防止効
果が十分に得られる。
【0139】特に、タイル張り仕上げ電波吸収PCパネ
ルBを大面積に形成した場合には往々にして表面タイル
の裏打ちが脆弱なため剥落が発生し易いが、短繊維10
0bを混入させた接着剤20を使用することにより、大
面積に構成した場合でもかかる剥落を効果的に防止する
ことができる。
【0140】併せて、フェライトタイル30の接着剤2
0の層からの剥がれや、接着剤20の層を介在させて汎
用タイル10とフェライトタイル30が張り付けられて
いる積層部Fのき裂などをも上記実施の形態3と同様に
防止することができる。
【0141】なお、本実施の形態では、タイル張り仕上
げ電波吸収PCパネルBを例にとり短繊維100bの接
着剤20の層内へ埋設した構成を説明したが、PCパネ
ル以外の施工方法で形成した電波吸収壁にこの構成を適
用しても構わない。
【0142】さらには、本実施の形態で使用した短繊維
100bを混入させた接着剤20に、上記実施の形態3
で説明したと同様にメッシュ部材100aを埋設させる
ようにして、両構成の相乗効果を得られるようにしても
構わない。
【0143】(実施例2)本実施例では、以下の要領
で、短繊維100bを接着剤20の層中に混入させたタ
イル張り仕上げ電波吸収PCパネルBを構成し、その強
度確認試験を行った。上記実施の形態3と同様に、汎用
タイル10をPC用型枠内の定盤X面上に、目地ますC
(図示省略)を使用して前後左右に整然と敷き並べ、そ
の裏側に接着剤20を塗布する。本実施例の試験では、
汎用タイル10には、45mm角のモザイクタイルを使
用した。
【0144】また、この場合の接着剤20は、セメント
と骨材(5、6、7号珪砂)の重量比1:1.5のセメン
トモルタルに、モルタル用ポリマーディスパージョンと
してSBR系エマルション(モルタルの粉体に対して5
wt%の割合となるように)を混ぜて調製されている。
【0145】補強部材100としては、太さ15デニー
ルで長さ5mmの短繊維100bを、モルタル粉体重量
に対して0.2wt%の割合で、上記接着剤20に混入し
た。
【0146】かかる接着剤20を汎用タイル10の裏側
に4mm層厚で塗布し、塗布してから約30分後にフェ
ライトタイル30を張り付けた。
【0147】さらに、接着剤20の塗布後2時間後に、
裏打ちコンクリート40を打設し、蒸気養生後に脱型し
てタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルBを作成した。
【0148】このようにして作成されたタイル張り仕上
げ電波吸収PCパネルBの28日材令の接着強度を試験
した。試験に際しては、図7に示すように、接着剤20
に裏側が接着している汎用タイル10、および接着剤2
0の層を介して裏側にフェライトタイル30が設けられ
ている汎用タイル10を、建研式接着力試験機(山本扛
重機株式会社製)の引っ張り試験用治具Tを使用して上
方に引上げのその強度を測定した。
【0149】上記測定により、汎用タイル/裏打ちコン
クリート、汎用タイル/フェライトタイルとの接合強度
が確かめられた。測定結果は、汎用タイル10とフェラ
イトタイル30では、接合強度が22kgf/cm2
あった。また、汎用タイル10と裏打ちコンクリート4
0では、その接合強度が37kgf/cm2 であった。
【0150】さらに、破断状況は、それぞれ汎用タイル
10とフェライトタイル30との間では界面破壊100
%、コンクリートの凝集破壊100%であった。
【0151】上記強度試験の結果から、本発明にかかわ
る短繊維100bを補強材100として接着剤20層中
に埋設させたタイル張り仕上げ電波吸収壁構造では、汎
用タイルの接着性が十分に実用に耐えるものであること
が確認された。
【0152】(実施例3)本実施例では、以下の要領
で、短繊維100bを接着材20の層中に混入させたモ
ルタルでモルタル柱を形成し、そのモルタル柱の曲げ強
度、乾燥収縮率を測定して、短繊維100bを混入させ
た場合の接着剤20自体の強靱性の確認をした。
【0153】本実施例で使用する接着剤20は、上記実
施例2で使用したと同じ構成に調製した。すなわち、セ
メントと骨材(5、6、7号珪砂)の重量比1:1.5の
セメントモルタルにSBR系エマルション(モルタルの
粉体重量に対して5wt%の割合となるように)とを混ぜ
て接着剤20を調製した。
【0154】この接着剤20に、太さ15デニールで長
さ5mmの短繊維100bを、セメント重量に対して0.
2wt%の割合となるように混入した。
【0155】かかる構成のSBRポリマーセメントモル
タルを使用して、4×4×16cmのモルタル柱を作製
し、28日後の曲げ強さ、乾燥収縮率を測定した。短繊
維100bを入れずに、その他の構成は同様にしたSB
Rポリマーセメントモルタルと比較すると、曲げ強度の
点については、SBRポリマーセメントモルタルは10
2kgf/cm2 であるのに対して、短繊維100bを
混入させない場合には、88kgf/cm2 であった。
【0156】明らかに短繊維100bを混入した接着剤
20の層が、短繊維100bを混入しない場合よりも曲
げ強度が高く、強靱であることが分かった。
【0157】一方、乾燥収縮率は、短繊維100bを混
入させた場合の方が−0.04%で、短繊維100bを混
入させない場合の方が−0.09%であった。短繊維10
0bを混入させた場合の方が、混入させない場合よりも
乾燥収縮率が小さく、積層部Fのき裂や、剥離が発生し
にくいことが分かる。
【0158】(実施の形態5)本実施の形態では、前記
実施の形態3で説明したメッシュ部材100aを補強部
材100として、接着剤20の層内に埋設した構造で、
さらにコンクリート40と接着剤20との接合性を定着
部材200で強化した構成について説明する。
【0159】本実施の形態でも、上記実施の形態3で説
明したと同様に、汎用タイル10を敷き並べた裏面側
に、接着剤20が所定層厚で塗布されている。また、そ
の接着剤20内には、図8に示すように、上記実施の形
態3で説明したようなビニロン繊維などで形成された繊
維メッシュ100cが補強部材100として埋設させら
れている。
【0160】この繊維メッシュ100cには、定着部材
200の一端側が係止させられて、裏打ちのコンクリー
ト40と接着剤20との接合性がさらに機械的に強化さ
れるようになっている。定着部材200としては、本実
施の形態では、図8に示すように、スプリング形に構成
されている。
【0161】スプリング形状の定着部材200の高さh
は、取り付け状態で汎用タイル10の裏面側の接着剤2
0の層から、フェライトタイル30よりも高くなる程度
に設定しておけばよい。
【0162】定着部材200は、その一端側を繊維メッ
シュ100cのメッシュ部に引っ掛けて起立させてお
き、接着剤20の硬化により固定できるようになってい
る。定着部材200の取り付け作業は、接着剤20の層
へのフェライトタイル30の密着作業に続けて行えばよ
い。
【0163】定着部材200の取り付け本数は、1平方
メートル当たり4本以上取り付ければよい。4本以上に
することにより、コンクリート40の定着性が格段と向
上する。このようにして定着部材200を取り付けた後
に、コンクリート40をPC用型枠内に打設してタイル
張り仕上げ電波吸収PCパネルA’を構成すればよい。
【0164】定着部材200の形状は、上記説明では、
図8、図9(a)に示すように、スプリング形を代表と
して説明したが、コンクリート40と接着剤20との接
合性を強化できる形状であればスプリング形以外の形状
でも構わない。
【0165】例えば、図9(b)〜(e)に示すよう
に、直状部分の一端側を繊維メッシュ100cのメッシ
ュ部に引っかけられるように曲げておけばよい。さらに
は、図9(c)、(d)に示すように、直状部分を先割
れに構成したり、左右に枝を出したりした構成でも構わ
ない。さらには、異形鋼棒状に形成しておいても一向に
構わない。
【0166】図9(a)〜(e)の形状の定着部材20
0では、0.6mm径以上のステンレス線を使用し、特に
図9(b)〜(d)ではその一端側を略L形に曲げ、図
9(e)では、一端側を略円形に巻いてその部分を直角
に曲げて幅広のストッパ部210を設けた形状に構成さ
れている。ストッパ部210をメッシュ部へ引っ掛ける
ようにすれば、簡単な構成で、定着部材200の接着剤
20の層からの抜け防止が図れる。
【0167】図9(f)、(g)では、0.2mm以上の
厚みのステンレス板を細長い帯状板に形成し、その一端
側を直角に折り曲げたり、あるいは上下両端側を先割れ
に構成したりして、幅広のストッパ部210を設けた形
状に構成されている。簡単な構成で、ストッパ部210
をメッシュ部に引っかけて起立させることができるよう
に形成されている。
【0168】なお、直状部分の高さhは、フェライトタ
イル30の厚さの4倍以上に設定しておけばよい。
【0169】また、上記構成の定着部材200を使用し
て、図10に示すように、前記実施の形態4で説明した
短繊維100bを混入させた接着剤20の層を有するタ
イル張り仕上げ電波吸収PCパネルBのコンクリート4
0の層と、接着剤20の層との機械的な接合の強化を図
ることもできる。
【0170】かかる構成でも、定着部材200の下端側
のストッパ部210が、接着剤20の層中に埋設されて
いる短繊維100bに引っ掛かって、接着剤20の層中
から抜けないようにして、その直状部分がコンクリート
40の層中に埋設され、機械的接合強化がなされてい
る。
【0171】(実施の形態6)上記実施の形態1〜5で
は、フェライトタイル30はその表面側が接着剤20を
介して汎用タイル10の裏面側に設けられているが、上
記実施の形態1〜5の構成の接着剤20でフェライトタ
イル30の両面を挟むようにして、汎用タイル10と裏
打ちコンクリート40との間にフェライトタイル30を
設けるようにしても構わない。
【0172】かかる構成にすれば、フェライトタイル3
0の両面は接着剤20に接合され、汎用タイル10の裏
面側と、裏打ちのコンクリート40との接合性を接着剤
20を介して確保することができ、より効果的に剥離防
止が図れる。
【0173】例えば、図11(a)では、フェライトタ
イル30は接着剤20の層中に埋設させるようにして、
フェライトタイル30の両面が接着剤20により挟まれ
ている。かかる構成では、フェライトタイル30の両面
ばかりでなく、周縁端面部分も接着剤20に囲まれるた
め、極めて良好な接着性の確保ができる。
【0174】また、図11(b)では、フェライトタイ
ル30を接着剤20の層中に埋設させずに、フェライト
タイル30の裏面側に接着剤20を所定層厚で塗布した
構成を示した。
【0175】さらに、接着剤20の層中には、メッシュ
部材100aに構成した補強部材100を前記実施の形
態と同様に埋設させても構わない。さらには、定着部材
200を接着剤20とコンクリート40との両層中に介
在させても構わない。
【0176】以上、本発明者によってなされた発明を実
施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の
形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない
範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0177】また、以上の説明では主として本発明者に
よってなされた発明をその利用分野であるタイル張り仕
上げ電波吸収壁に使用した場合について説明したが、壁
以外の電波吸収構造部分にも適用できる。
【0178】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0179】(1).本発明の接着剤は、ゴム系または
熱可塑性樹脂系のポリマーディスパージョンをモルタル
に混和して構成され、フェライトタイル、コンクリート
および汎用タイルへの良好な接着性を有する。
【0180】(2).本発明では、ゴム系または熱可塑
性樹脂系のポリマーディスパージョンを混和したセメン
ト系フェライト用接着剤を間に介在させて、汎用タイル
裏側に電波吸収体としてのフェライトタイルを接着させ
ることができるため、従来のような特殊形状タイルや特
殊形状フェライトタイルを使用する必要がない。
【0181】(3).本発明では、ゴム系または熱可塑
性樹脂系のポリマーディスパージョンを混和したセメン
ト系フェライト用接着剤で、フェライトタイルの両面が
挟まれるようにして、汎用タイルとコンクリートとの間
に設けられる構造となっているため、汎用タイルとコン
クリートとの両方に対するフェライトタイルの接着性を
確保することができ、従来のような特殊形状タイルを使
用する必要がない。
【0182】(4).本発明では、ゴム系または熱可塑
性樹脂系のポリマーディスパージョンをモルタルに混和
したセメント系フェライト用接着剤中に、補強部材が埋
設させられているので、間に上記接着剤を介した汎用タ
イルとフェライトタイルとからなる積層部の曲げ強度を
向上させることができる。
【0183】(5).本発明では、ゴム系または熱可塑
性樹脂系のポリマーディスパージョンをモルタルに混入
した接着剤層中に埋設させた補強部材に、一端側を係止
した定着部材が設けられているので、上記接着剤層と裏
打ちコンクリートとの接合が機械的に補強されて強固に
されている。
【0184】(6).本発明では、汎用タイルを使用す
ることができるため、従来のC形タイルなどの特殊形状
タイルを使用する場合に比べて、例えばタイル張り仕上
げ電波吸収PCパネル製造などに際しても、手間がかか
らず低コストで生産することができる。
【0185】(7).本発明では、タイルの寸法、形状
に制限を受けることなく、また、豊富な品揃えの汎用タ
イルを使用することができるため、従来のC形タイルな
どの品揃えがあまり豊富でない特殊形状タイルを使用す
る場合に比べて、タイル張り仕上げ電波吸収PCパネル
やタイル張り仕上げ電波吸収壁において、一般建築物と
同様に多様な建築意匠に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のタイル張り仕上げ電波
吸収壁構造の要部断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態のタイル張り仕上げ電波
吸収PCパネルの構造を定盤面に載せられている状態で
示した要部断面図である。
【図3】実施例1における汎用タイルの接合強度試験の
状況を示す要部断面図である。
【図4】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収PC
パネルの接着剤層中にメッシュ部材を埋設した状況を示
す要部断面図である。
【図5】(a)、(b)は、本実施の形態のメッシュ部
材を示す要部平面図である。
【図6】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収PC
パネルの接着剤層中に短繊維を埋設した状況を示す要部
断面図である。
【図7】実施例2における汎用タイルの接合強度試験の
状況を示す要部断面図である。
【図8】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収PC
パネルに定着部材を設けた構成を示す要部断面図であ
る。
【図9】(a)〜(g)は、本実施の形態の定着部材を
示す斜視図である。
【図10】本実施の形態のタイル張り仕上げ電波吸収P
Cパネルに定着部材を設けた構成を示す要部断面図であ
る。
【図11】(a)、(b)は、フェライトタイルの両面
を接着剤で挟むように構成されている本発明のタイル張
り仕上げ電波吸収壁構造の要部断面図である。
【図12】(a)は、従来のC形タイルを示す斜視図で
ある。(b)は、C形タイルを使用した従来構成のタイ
ル張り仕上げ電波吸収PCパネルの構造を示す要部断面
図である。
【図13】(a)は、留め金具を設けたタイルにフェラ
イトタイルを載せた状態を示す斜視図である。(b)
は、タイルへの留め金具の取付け状況を示す端面図であ
る。(c)は、(a)に示すタイルを使用した従来構成
のタイル張り仕上げ電波吸収PCパネルの構造を示す要
部断面図である。
【符号の説明】
1 C形タイル 2 タイル足 3 凹部 4 フェライトタイル 5 緩衝材 6a 反射メッシュ 6b 鉄筋 7 コンクリート 8 留め金具 8a 取り付け孔 9 タイル 10 汎用タイル 20 接着剤 30 フェライトタイル 40 コンクリート 50 電波反射部材 60 配筋 100 補強部材 100a メッシュ部材 100b 短繊維 100c 繊維メッシュ 200 定着部材 210 ストッパ部 A タイル張り仕上げ電波吸収PCパネル A’ タイル張り仕上げ電波吸収PCパネル B タイル張り仕上げ電波吸収PCパネル C 目地ます a 目地寸法(目合) D 幅 d 幅 E クロス部 F 積層部 h 高さ W 間隔 X 定盤
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 タイル張り仕上げ電波吸収壁の構
造、及びその構造を有するプレキャストコンクリート成
形品
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造であ
って、 壁面形成用に並べたタイルと、 前記タイルの裏面側に設けられ、モルタルにゴム系また
は熱可塑性樹脂系のポリマーディスパージョンが混和さ
れてコンクリートとフェライトタイルとに接着性を有す
セメント系フェライト用接着剤の接着剤層と、 前記接着剤層の裏に、到来電波の磁界成分方向に連続し
て結合し、且つ前記到来電波の電界成分方向に間隔をあ
けて設けたフェライトタイルと、 前記フェライトタイルの背面側に設けたコンクリート層
とを有し、前記フェライトタイルは、壁面形成用に並べた前記タイ
ルより大きい形状で、 前記コンクリート層内には電波反射部材が埋設させら
れ、且つ前記フェライトタイル間の前記間隔を通して、
前記コンクリート層が前記接着剤層に接合させられてい
ることを特徴とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構
造。
【請求項】 タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造であ
って、 壁面形成用に並べたタイルと、 前記タイルの裏面側に、モルタルにゴム系または熱可塑
性樹脂系のポリマーディスパージョンが混和されてコン
クリートとフェライトタイルとに接着性を有するセメン
ト系フェライト用接着剤の接着剤層を介して設けられた
フェライトタイルと、 前記フェライトタイルの裏面側に別途設けた前記接着剤
層を介して設けられたコンクリート層とを有し、 前記フェライトタイルは、壁面形成用に並べた前記タイ
ルより大きい形状である ことを特徴とするタイル張り仕
上げ電波吸収壁の構造。
【請求項】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造において、 前記接着剤層中に、補強部材が埋設させられていること
を特徴とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構造。
【請求項】 請求項記載のタイル張り仕上げ電波吸
収壁の構造において、 前記補強部材が、メッシュ部材であることを特徴とする
タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造。
【請求項】 請求項記載のタイル張り仕上げ電波吸
収壁の構造において、 前記補強部材が、短繊維であることを特徴とするタイル
張り仕上げ電波吸収壁の構造。
【請求項】 請求項乃至のいずれか1項に記載の
タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造において、 前記接着剤とコンクリートとの接合を強化する定着部材
が、その一端側を前記補強部材に引っかけられて、前記
接着剤層と前記コンクリート層との両層中にわたって埋
設させられていることを特徴とするタイル張り仕上げ電
波吸収壁の構造。
【請求項】 請求項乃至のいずれか1項に記載の
タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造を有することを特徴
とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構造を有するプレ
キャストコンクリート成形品。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0179
【補正方法】変更
【補正内容】
【0179】(1).本発明によれば、ゴム系または熱
可塑性樹脂系のポリマーディスパージョンをモルタルに
混和して構成され、フェライトタイル、コンクリートお
よび汎用タイルへの良好な接着性を有する接着剤を使用
して、タイル張り仕上げ電波吸収壁構造に、壁面形成用
のタイルより大きな形状のフェライトタイルを使用する
ことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正内容】
【0185】(7).本発明では、タイルの寸法、形状
がフェライトタイルより小さくて済み、また、豊富な品
揃えの汎用タイルを使用することができるため、従来の
C形タイルなどの品揃えがあまり豊富でない特殊形状タ
イルを使用する場合に比べて、タイル張り仕上げ電波吸
収PCパネルやタイル張り仕上げ電波吸収壁において、
一般建築物と同様に多様な建築意匠に対応することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E04F 13/08 101 E04F 13/08 101K H01Q 17/00 H01Q 17/00 (72)発明者 中川 輝雄 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 澤田 凱夫 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 吉田 恒男 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目23番15号 株 式会社テクノプレコン内 (72)発明者 佐々木 春夫 東京都千代田区神田小川町2丁目14番地 電波保証エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 守屋 善裕 東京都新宿区西新宿7丁目21番1号 日本 化成株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライトへの接着性を有するセメント
    系の接着剤であって、 モルタルに、ゴム系または熱可塑性樹脂系のポリマーデ
    ィスパージョンを混和してなることを特徴とするセメン
    ト系フェライト用接着剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセメント系フェライト用
    接着剤において、 前記ゴム系のポリマーディスパージョンとは、スチレン
    ブタジエン系エマルションであり、 前記熱可塑性樹脂系のポリマーディスパージョンとは、
    エチレン酢酸ビニル系エマルションまたはアクリル酸エ
    ステル系エマルションのいずれかであることを特徴とす
    るセメント系フェライト用接着剤。
  3. 【請求項3】 タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造であ
    って、 壁面形成用に並べたタイルと、 前記タイルの裏面側に設けられた請求項1または2記載
    のセメント系フェライト用接着剤の接着剤層と、 前記接着剤層の裏に、到来電波の磁界成分方向に連続し
    て結合し、且つ前記到来電波の電界成分方向に間隔をあ
    けて設けたフェライトタイルと、 前記フェライトタイルの背面側に設けたコンクリート層
    とを有し、 前記コンクリート層内には電波反射部材が埋設させら
    れ、且つ前記フェライトタイル間の前記間隔を通して、
    前記コンクリート層が前記接着剤層に接合させられてい
    ることを特徴とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構
    造。
  4. 【請求項4】 タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造であ
    って、 壁面形成用に並べたタイルと、 前記タイルの裏面側に、請求項1または2記載のセメン
    ト系フェライト用接着剤の接着剤層を介して設けられた
    フェライトタイルと、 前記フェライトタイルの裏面側に別途設けた前記接着剤
    層を介して設けられたコンクリート層とを有することを
    特徴とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構造。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載のタイル張り仕上
    げ電波吸収壁の構造において、 前記接着剤層中に、補強部材が埋設させられていること
    を特徴とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構造。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のタイル張り仕上げ電波吸
    収壁の構造において、 前記補強部材が、メッシュ部材であることを特徴とする
    タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のタイル張り仕上げ電波吸
    収壁の構造において、 前記補強部材が、短繊維であることを特徴とするタイル
    張り仕上げ電波吸収壁の構造。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の
    タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造において、 前記接着剤とコンクリートとの接合を強化する定着部材
    が、その一端側を前記補強部材に引っかけられて、前記
    接着剤層と前記コンクリート層との両層中にわたって埋
    設させられていることを特徴とするタイル張り仕上げ電
    波吸収壁の構造。
  9. 【請求項9】 請求項3乃至8のいずれか1項に記載の
    タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造を有することを特徴
    とするタイル張り仕上げ電波吸収壁の構造を有するプレ
    キャストコンクリート成形品。
JP10061717A 1998-03-12 1998-03-12 タイル張り仕上げ電波吸収壁の構造、及びその構造を有するプレキャストコンクリート成形品 Pending JPH11256121A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002081011A (ja) * 2000-06-28 2002-03-22 Tdk Corp 路面用電波吸収体およびその製造方法ならびに施工方法
EP2154310A1 (de) 2008-08-06 2010-02-17 Deutsche Amphibolin-Werke Von Robert Murjahn Stiftung & Co. KG Gebäudewandbekleidung mit Bekleidungsplatten
JP2013108257A (ja) * 2011-11-18 2013-06-06 Canon Machinery Inc 組立装置

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