JPH11251131A - 高周波用圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents
高周波用圧粉磁心及びその製造方法Info
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Abstract
た理想的な圧粉磁心構成及びその製造方法を実現する。 【解決手段】 燐酸塩化成処理液により表面に絶縁被膜
を形成した金属磁性粉末と、熱硬化性樹脂粉末とを用い
た圧粉磁心において、金属磁性粉末の表面に形成した前
記絶縁被膜の膜厚が10nm以上、100nm以下であ
ると共に、圧粉磁心は、容積比で84%以上の前記金属
磁性粉末と、1重量%以上の熱硬化性樹脂からなり、得
られる固有抵抗が2Ωcm以上に形成されている構成で
ある。
Description
ル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイ
ル等の高周波用として好適な圧粉磁心及びその製造方法
に関する。
鉄損であり、かつ、高磁束密度であることに加え、それ
らの磁気特性が高周波領域(1〜10MHz)において
も低下しないことが要求される。鉄損には磁心の固有抵
抗と関係の大きい渦電流損と、鉄粉の製造の過程および
その後のプロセス履歴から生じる鉄粉内の歪みに影響を
受けるヒステリシス損とがある。そして、この鉄損Wは
次式1のように渦電流損とヒステリシス損の和で示すこ
とができる。式1中、fは周波数、Bmは励磁磁束密
度、ρは固有抵抗値、tは材料の厚み、k1,k2は係数
である。
1.6f
例して大きくなり、高周波での特性を向上するためには
渦電流損を下げなければならない。渦電流損を下げるに
は渦電流を小領域に閉じこめる必要があり、磁性粉を圧
縮により成形し、かつ、個々の磁性粉粒子が絶縁された
構成の圧粉磁心とすると効果が高い。このような圧粉磁
心でも、絶縁が不十分であると渦電流損が大きくなる。
絶縁被膜を厚くすると磁心中の磁性粉の占める割合が下
がり、磁束密度が低下する。この磁束密度を圧粉磁心の
密度を上げて向上するとなると、高圧下での圧縮成形と
なって成形時の歪みが避けられず、ヒステリシス損が大
きくなり、鉄損の増大を招くことになる。したがって、
圧粉磁心の製作には、密度を下げることなく、磁心の固
有抵抗を上げることが重要となる。そのためには薄く
て、かつ、絶縁性の良好な絶縁被膜で粉末を覆うことが
必須となる。
薄い絶縁被膜を形成する方法として、本願出願人が先に
開発した特願平8−133239号記載のものがある。
この方法は、化学反応により絶縁被膜を形成する場合、
燐酸塩化成処理液を改良すると共にその処理液に界面活
性剤を入れて表面張力を下げ、該処理液と磁性粉の濡れ
性を向上することにより、磁性粉表面に対し良質な絶縁
被膜をより薄く均一に形成可能にしたものである。そし
て、絶縁被膜を形成した金属磁性粉末は、通常、エポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂と混合され、金型で圧縮成形さ
れると共に加熱硬化されて圧粉磁心に製作される。
は、絶縁被膜で覆われた金属磁性粉末を熱硬化性樹脂の
結着力により所定の強度に形成されるが、その場合、前
記開発された方法により絶縁された金属磁性粉末を用い
ても、使用樹脂量等により鉄損Wや固有抵抗ρの値が大
きく変わる。本出願人はこの圧粉磁心の鉄損Wと固有抵
抗ρの間の関係について調査し、鉄損Wと固有抵抗ρの
間に図1に示す関係があることを見出した。すなわち、
樹脂の成分組成、配合量および絶縁被膜の成分組成を一
定にし、絶縁被膜の膜厚を変化させたり、絶縁層形成処
理時の乾燥時間を短縮して、故意に錆を発生させて一部
の絶縁被膜を破壊させたりと、様々な条件で作製した圧
粉磁心の鉄損と固有抵抗とを測定したところ、圧粉磁心
の製造条件に関係なく図1に示す曲線の関係になること
が得られたわけである。したがって、鉄損を低く抑制す
るためには、固有抵抗が2Ωcm以上であればよいこと
が分かる。このため、高性能化を図る上では、絶縁被膜
の厚さ、金属磁性粉末と熱硬化性樹脂の配合比率等の成
形条件の設定が重要となり、適正な磁束密度で、鉄損を
より低くする上では更なる的確な圧粉磁心構成、製法の
条件設定及びその解明が求められている。
の固有抵抗を2Ωcm以上にすることで鉄損が低い理想
的な圧粉磁心構成及びその製造方法を提供することにあ
る。
本発明者らは、先の開発(特願平8−133239号
等)方法を適用した絶縁被膜付きの金属磁性粉末を使用
して、特に、固有抵抗に及ぼす様々な因子の影響を解明
すべく検討する過程で、金属磁性粉末表面の絶縁被膜の
膜厚、使用金属磁性粉末の容積比の観点から調整する
と、圧粉磁心の鉄損をより低く性能的に向上できること
を知見し、完成されたものである。すなわち、本発明の
圧粉磁心は、燐酸塩化成処理液により表面に絶縁被膜を
形成した圧粉磁心用金属磁性粉末と、熱硬化性樹脂とを
用いたものであり、前記金属磁性粉末が前記絶縁被膜を
10nm以上、100nm以下の膜厚に処理したものか
らなり、圧粉磁心が、容積比で84%以上の前記金属磁
性粉末と、1重量%以上の熱硬化性樹脂からなり、かつ
固有抵抗2Ωcm以上に形成されている。また、本発明
の製造方法は、界面活性剤を含む燐酸塩化成処理液によ
り表面に絶縁被膜を形成した金属磁性粉末と、熱硬化性
樹脂とを混合した後、圧縮成形すると共に加熱硬化する
圧粉磁心の製造方法において、前記金属磁性粉末とし
て、使用金属磁性粉末の80重量%以上が前記絶縁被膜
を10nm以上、100nm以下の膜厚に形成したもの
を用い、混合条件として前記熱硬化性樹脂粉末1重量%
以上を前記金属磁性粉末と混合し、成形条件として、前
記金属磁性粉末の圧粉磁心中の容積比を84%以上にな
るよう調整することにより、固有抵抗が2Ωcm以上の
圧粉磁心を得るものである。
属磁性粉末は、特願平8−133239号に記載されて
いるように、燐酸塩化成処理液(燐酸、ほう酸、マグネ
シウムイオンを主とするもので、溶媒である水等に所定
の混合率で溶かすと共に界面活性剤を0.01〜1重量
%の範囲で混入したもの)により金属磁性粉末(純鉄以
外に、Fe−Si合金やFe−Al合金等の鉄系磁性合
金粉末)の表面に絶縁被膜を形成したものである。熱硬
化性樹脂粉末としては、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリアミド樹脂等が従来と同様に使用される。そし
て、本発明では、前記絶縁被膜を形成した金属磁性粉末
と、熱硬化性樹脂粉末とを混合した後、圧縮成形すると
共に加熱硬化するが、その際、成形条件として次のよう
なことが重要項目となる。なお、熱硬化性樹脂は、通
常、樹脂粉末の状態で金属磁性粉末と混合されるが、そ
れに限られず、樹脂粉末を溶媒に溶かした状態で金属磁
性粉末と混合してもよいものである。
形成される絶縁被膜が10〜100nmの膜厚、より好
ましくは30〜60nmの膜厚に形成されたものであ
る。これは、後述する如く絶縁被膜の膜厚が10nm以
上のものを用いると、磁束密度を維持して固有抵抗を2
Ωcm以上にすることができ、また、金属磁性粉末に形
成された絶縁被膜の膜厚の増加に伴って固有抵抗が増加
するが、100nmを越えると固有抵抗の増加率が減少
すること、膜厚の増加にしたがい圧粉磁心中の金属磁性
粉末の含める割合(容積比)が小さくなって、圧粉磁心
の磁束密度を適正値に維持できなくなることに基づいて
いる(図2,図3参照)。また、このように、上記の膜
厚に形成した金属磁性粉末を100%用いることが最も
好ましいが、前記した値の膜厚に形成した金属磁性粉末
は、80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の
比率であってもよい。これは、磁束密度を低下すること
なく固有抵抗2Ωcm以上を同様に維持できることが判
明したことに基づいている(図4)。このような試験結
果から、本発明は金属磁性粉末として、絶縁被膜を10
nm以上、100nm以下の膜厚に形成したものを、使
用する金属磁性粉末の80重量%以上の比率で用いるこ
とが要件となる。
比を84%以上になるよう調整することである。これ
は、上記値の膜厚に形成した絶縁被膜付き金属磁性粉末
を用いる場合、その絶縁被膜の膜厚、熱硬化性樹脂(粉
末)の添加量、圧縮圧力等により金属磁性粉末の容積比
が変わるが、その場合の基準となるものであり、上記成
形条件にて作製された圧粉磁心試料について、固有抵抗
と鉄損の関係、磁束密度に及ぼす金属磁性粉末の密度又
は容積比の影響を調べた結果に基づいている(図1)。
また、圧粉磁心としては、樹脂量が最低1重量%ないと
固有抵抗値が2Ωcm以上を満足できないこと(図5)
から、使用する熱硬化性樹脂(粉末)に応じて金属粉末
の圧粉磁心中の容積比の上限が定まる。
粉末を用いる場合、使用樹脂粉末の平均粒径が100μ
m以下のものを、1〜3重量%の範囲で添加することで
ある。樹脂粉末の添加量は、少なすぎると強度的に充足
し難くなり、また、金属磁性粉末同士が接触すると絶縁
被膜が薄いため、絶縁が完全には為されず、圧粉磁心の
固有抵抗が低下することになる。一方、添加量を多くす
るほど圧粉磁心の固有抵抗が増加するが、圧粉磁心中の
金属磁性粉末の含める割合(容積比)が小さくなり、圧
粉磁心の磁束密度が低下することになる。添加量として
1〜3重量%の値は試験からも好適であり(図5)、特
に、上限が従来よりも低くなっている。また、樹脂粉末
の添加量が同じ圧粉磁心であっても、固有抵抗が使用樹
脂粉末の平均粒径(粒度)により大きく変動する。具体
的には、上記した膜厚の絶縁被膜を形成した金属磁性粉
末を用いた場合、使用樹脂粉末として大きな粒度(平均
粒径)のものほど固有抵抗が小さくなり、粒径が100
μmよりも大きなものを用いると、固有抵抗が2Ωcm
よりも小さくなってしまう(図6)。これは、大きな粒
度の熱硬化性樹脂粉末を用いると、熱硬化性樹脂粉末が
均一に分散されず、金属磁性粉末同士が接触する部分が
でき、せっかく絶縁被膜を形成しても、絶縁が完全に行
われない部分が発生するからである。一方、粒度の小さ
い熱硬化性樹脂粉末を用いると、樹脂が金属磁性粉末の
周囲を完全に覆い絶縁が完全に為されるからである。
やWコーン型混合機を用いて金属磁性粉末と熱硬化性樹
脂粉末とを混合する場合は、回転数が15〜35rpm
の条件で、少なくとも45分以上、好ましくは60分以
上混合することである。これは混合時間45分以上で作
製される圧粉磁心が固有抵抗2Ωcm以上になるが、こ
れ以下の混合時間では2Ωcmの固有抵抗を得ることが
できないことによる((図7)。この混合時間は、従来
の常識よりかなり長い時間であり、混合時間が長くなる
と二次凝集した熱硬化性樹脂粉末が適度に粉砕されて、
金属磁性粉末により均一に混合されることに起因してお
り、45分に満たない混合時間では二次凝集粉末の粉砕
が完全には為されず残留する結果、大きな粒径の熱硬化
性樹脂粉末を用いた場合と等しく、金属磁性粉末と熱硬
化性樹脂粉末の分散が完全には為されず金属磁性粉末同
士が接触し、絶縁が不完全な部分ができるからである。
また、120分を超えて混合しても、二次凝集粉末の粉
砕が完了し、金属磁性粉末と熱硬化性樹脂粉末が均一に
分散した後は、長く混合しても意味はなく、いたずらに
時間とエネルギーを費やすのみなので効果はない。
料)は、成形条件として次の点で共通している。金属磁
性粉末としては平均粒径が70μmのアトマイズ球状鉄
粉を用いた。燐酸塩化成処理液は、水1リットルに燐酸
20g、ホウ酸4g、金属酸化物としてMgOを4g溶
解し、界面活性剤としてEF−104(トーケミプロダ
クツ製)を用い、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.
04molを加えたものである。絶縁被膜の形成は、前
記金属磁性粉末と前記燐酸塩化成処理液とを容器に入
れ、定時間混合した後、恒温槽を用いて180℃で60
分間乾燥した。絶縁被膜の厚さは、金属磁性粉末に対す
る燐酸塩化成処理液の添加量を変えることにより調整
し、膜厚が異なる複数のものを作り使用した。これに対
し、熱硬化性樹脂粉末としては何れもポリアミド樹脂を
使用した。
には、V型混合機を使用し、回転数25rpmの設定で
行った。圧縮成形では、金属磁性粉末と熱硬化性樹脂粉
末との混合物を金型に充填し、500MPaの圧力で圧
縮成形した。加熱処理は200℃で、4時間硬化した。
これらは何れの試料の圧粉磁心でも同じである。また、
鉄損の測定は15kHz,0.05Tで行い、磁束密度
の測定は50Hz,30kA/mで行った。また、容積
比については、上記条件より求まる重量比を理論密度に
より容積比に換算して行い、膜厚についてはさらに、鉄
粉の表面積より計算した理論膜厚値を用いた。
粉末を用い、上記成形条件及び段落0006に記載した
条件にて作製された圧粉磁心試料について、固有抵抗と
鉄損の関係、磁束密度に及ぼす金属磁性粉末の密度や容
積比の影響を調べた。このときの試験結果を図1,2に
示す。各試料である圧粉磁心は、上記成形条件におい
て、使用金属磁性粉末として膜厚の異なる絶縁被膜に形
成されたものを使用し、それ以外(溶媒、使用熱硬化性
樹脂粉末及び添加量、混合条件、圧縮圧力等)を全て同
じ条件で作製したものをサンプリングしたものである。
図1は各試料について、固有抵抗と鉄損とを測定した値
をグラフにプロットし、図2は図1に使用した試料のう
ち、6つの試料を選んで磁束密度を測定し、その値と金
属磁性粉末の密度及び容積比をグラフにプロットしたも
のである。
被膜を形成した金属磁性粉末を用いた圧粉磁心の場合、
図1のように、鉄損W(W/kg)が固有抵抗2Ωcm
よりも小さくなると急速に高くなり、逆に固有抵抗2Ω
cm以上になると低くかつ安定した値になることと、図
2のように、磁束密度B(T)が使用金属磁性粉末の容
積比(%)に比例して大きくなるが、その場合、磁束密
度B(T)として0.8以上にするには金属磁性粉末の
容積比を84%以上にしなければならないことが分か
る。これらは、適正な磁束密度で、低鉄損である理想的
な圧粉磁心を実現する上で、その磁心構成及び成形条件
を決める際の目安を示唆するものである。
圧粉磁心試料について、固有抵抗に及ぼす絶縁被膜の厚
さの影響と、密度や金属磁性粉末の容積比に及ぼす絶縁
被膜の厚さの影響を調べた。このときの試験結果を図3
に示す。各試料である圧粉磁心は、上記成形条件におい
て、図1の実施例と同様に使用金属磁性粉末として膜厚
の異なる絶縁被膜に形成されたもの(絶縁被膜のないも
のも含む)を使用し、それ以外(溶媒、使用熱硬化性樹
脂粉末及び添加量、混合条件、圧縮圧力等)を全く同じ
条件で作製したものである。図3(a)は各試料につい
て、絶縁被膜の膜厚とその固有抵抗を代表的なもののみ
グラフにプロットし、図3(b)は全試料について絶縁
被膜の膜厚とその密度及び金属磁性粉末の容積比をグラ
フにプロットしたものである。
膜厚が0つまり絶縁被膜がない金属磁性粉末を用いたも
のと、絶縁被膜を形成した金属磁性粉末を用いたもので
は固有抵抗が明瞭に区別され、固有抵抗2Ωcm以上に
するには絶縁被膜の厚さが10nm以上のものを用いな
ければならないことと、絶縁被膜の厚さが約100nm
以上になると固有抵抗の増加率が減少し、しかも図3
(b)のように金属磁性粉末の容積比が84%以下にな
り上記した磁束密度も低下することが分かる。これら
は、適正な磁束密度で、低鉄損である理想的な圧粉磁心
を得る上で、使用金属磁性粉末として、絶縁被膜の膜厚
10nm以上,100nm以下のものが最も好ましいこ
とを示している。
あり、固有抵抗に及ぼす金属磁性粉末の未絶縁部の比率
の影響を調べたときの一例である。各試料である圧粉磁
心は、上記成形条件において、使用金属磁性粉末として
上記絶縁被膜の膜厚が30nmに形成されたものに、絶
縁被膜を形成しないものを異なる比率(重量%)で混
ぜ、それ以外(溶媒、使用熱硬化性樹脂粉末及び添加
量、混合条件、圧縮圧力等)を全く同じ条件で作製した
ものである。このときの試験結果を図4に示す。この試
験例からは、固有抵抗2Ωcm以上を維持する上で、上
記絶縁被膜付きの金属磁性粉末を必ずしも百%にする必
要がなく、少なくとも80重量%の比率で用いればよい
ことが分かる。
す熱硬化性樹脂粉末の添加量(以下、樹脂量と略称す
る)の影響と、密度や金属磁性粉末の容積比が及ぼす絶
縁被膜の厚さの影響を調べたときの一例である。各試料
である圧粉磁心は、上記成形条件において、使用金属磁
性粉末として絶縁被膜の膜厚が30nmに形成されたも
のを使用し、使用樹脂量を0〜3.5重量%の範囲で変
えて、それ以外(溶媒、使用熱硬化性樹脂粉末、混合条
件、圧縮圧力等)を全く同じ条件で作製したものであ
る。このときの試験結果を図5に示す。図5(a)は各
試料について、樹脂量とその固有抵抗をグラフにプロッ
トし、図5(b)はそれについて樹脂量とその密度及び
金属磁性粉末の容積比をグラフにプロットしたものであ
る。
樹脂量が0つまり熱硬化性樹脂粉末を添加しない圧粉磁
心(単に圧縮により形状保持されている圧粉磁心)と、
例えば0.5重量%添加した圧粉磁心では固有抵抗が大
きく異なり、固有抵抗2Ωcm以上にするには少なくと
も1重量%の樹脂量を添加しなければならないことと、
図5(b)のように3重量%の樹脂量を添加すると金属
磁性粉末の容積比が84%以下になり上記した磁束密度
も低下することが分かる。これらは、適正な磁束密度
で、低鉄損である理想的な圧粉磁心を得る上で、使用熱
硬化性樹脂粉末として、1〜3重量%の範囲で添加する
ことが最も好ましいことを示している。なお、樹脂量が
1重量%以上であることから強度的にも充足される。
あり、固有抵抗に及ぼす熱硬化性樹脂粉末の粒径の影響
を調べたときの一例である。各試料である圧粉磁心は、
上記成形条件において、熱硬化性樹脂粉末として、その
平均粒径が10,20,30,50,100,200,
300および500μmのものを用い、それら粒径別に
上記絶縁被膜の膜厚が30nmに形成された金属磁性粉
末に混ぜ、それ以外(溶媒、使用熱硬化性樹脂粉末及び
添加量、混合条件、圧縮圧力等)を全く同じ条件で作製
したものである。このときの試験結果を図6に示す。こ
の試験例からは、固有抵抗2Ωcm以上を維持する上
で、同じ熱硬化性樹脂粉末であっても、その樹脂粉末の
粒度(平均粒径)の相違により固有抵抗が大きく変わる
ことと、2Ωcm以上を維持する上で、少なくとも平均
粒径100μm以下という微細なのものが好適であると
言える。
混合時間の影響を調べたときの一例である。各試料であ
る圧粉磁心は、上記成形条件において、上記絶縁被膜付
きの金属磁性粉末と熱硬化性樹脂粉末とを混合する場
合、V型混合機を用いて、混合時間を除いて全く同じ条
件で作製したものである。このときの試験結果を図7に
示す。この試験例からは、混合時間が60分になるまで
固有抵抗が大きく変わることと、固有抵抗2Ωcm以上
を維持する上で、少なくとも40分以上という長い時間
にわたって混合しなければならないことが分かる。この
ような、混合時間の影響については、試験過程で知見し
たものであり、製造上、次に述べる理由により極めて重
要な成形条件となる。すなわち、粉末冶金関係において
は、V型混合機やWコーン型混合機等を用いて原材料を
混合する場合、通常、回転数15〜35rpmの設定
で、必要とされる混合時間が長くて20分であり、製造
上の誤差を見込んでも30分以内が常識となっている。
ところが、上記した絶縁被膜付きの金属磁性粉と熱硬化
性樹脂粉末とを混合し、圧縮及び加熱硬化して圧粉磁心
を作製する場合、混合時間を従来の粉末冶金法によるも
のよりも長くする必要があるからである。
は、均一で良質な絶縁被膜を形成した金属磁性粉末を用
いている磁心構成において、適正な磁束密度で、固有抵
抗2Ωcm以上、すなわち低鉄損であるという高性能化
が達成される。また、本発明の製造方法は、従来に比し
てより的確な成形条件を解明したことから、高性能の圧
粉磁心を確実かつ安定して量産することが可能となる。
係を調べたときのグラフである。
磁性粉末の容積比の影響を調べたときのグラフである。
厚さの影響、並びに金属磁性粉末の容積比に及ぼす絶縁
被膜の厚さの影響を調べたグラフである。
末の未絶縁部の比率の影響を調べたグラフである。
響、並びに金属磁性粉末の容積比に及ぼす樹脂量の影響
を調べたグラフである。
粒度(平均粒径)の影響を調べたグラフである。
影響を調べたグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 燐酸塩化成処理液により表面に絶縁被膜
を形成した金属磁性粉末と、熱硬化性樹脂とを用いた圧
粉磁心において、 前記金属磁性粉末の表面に形成した前記絶縁被膜の膜厚
が10nm以上、100nm以下であると共に、圧粉磁
心は、容積比で84%以上の前記金属磁性粉末と、1重
量%以上の熱硬化性樹脂からなり、得られる固有抵抗が
2Ωcm以上であることを特徴とする高周波用圧粉磁
心。 - 【請求項2】 界面活性剤を含む燐酸塩化成処理液によ
り表面に絶縁被膜を形成した金属磁性粉末と、熱硬化性
樹脂とを混合した後、圧縮成形すると共に加熱硬化する
圧粉磁心の製造方法において、 前記金属磁性粉末として、使用金属磁性粉末の80重量
%以上が前記絶縁被膜を10nm以上、100nm以下
の膜厚に形成したものを用い、 混合条件として、前記熱硬化性樹脂1重量%以上を前記
金属磁性粉末と混合し、 成形条件として、前記金属磁
性粉末の圧粉磁心中の容積比を84%以上になるよう調
整することにより、固有抵抗が2Ωcm以上の圧粉磁心
を得ることを特徴とする高周波用圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項3】 前記熱硬化性樹脂として、平均粒径が1
00μm以下の熱硬化性樹脂粉末を、前記金属磁性粉末
に対し1〜3重量%の範囲で添加する請求項2に記載の
高周波用圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項4】 前記金属磁性粉末と前記熱硬化性樹脂粉
末との混合を、通常粉末冶金法で用いられるV型やWコ
ーン型混合機を用い、回転数が15〜35rpmの条件
で、少なくとも45分以上混合する請求項3に記載の高
周波用圧粉磁心の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04912498A JP3690562B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 高周波用圧粉磁心の製造方法 |
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JP04912498A JP3690562B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 高周波用圧粉磁心の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11251131A true JPH11251131A (ja) | 1999-09-17 |
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