JPH11246813A - 水性顔料分散体およびそれを用いた水性印刷インキ組成物 - Google Patents

水性顔料分散体およびそれを用いた水性印刷インキ組成物

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JPH11246813A
JPH11246813A JP5355498A JP5355498A JPH11246813A JP H11246813 A JPH11246813 A JP H11246813A JP 5355498 A JP5355498 A JP 5355498A JP 5355498 A JP5355498 A JP 5355498A JP H11246813 A JPH11246813 A JP H11246813A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性および疎水性の両方の顔料において高
濃度化が可能で、高い光沢と鮮明な色彩を有する水性顔
料分散体、およびそれを用いてなる撥水紙乗り適性等の
良好な水性印刷インキ組成物を提供する。 【解決手段】 顔料分散用樹脂を用いて水中に顔料を分
散させた水性顔料分散体において、前記顔料分散用樹脂
として、下記の一般式(1)で表される基を分子内に少
なくとも1個含有する、酸価50〜300mgKOH/
g、重量平均分子量1000〜20000のα−オレフ
ィン・マレイン酸系共重合体を、顔料100重量部に対
して5〜1000重量部の割合で含有することを特徴と
する水性顔料分散体。 −(C24O)p(C36O)q1 (1) ここで、R1はHまたは炭素数が1〜8のアルキル基で
あり、また、pおよびqは0以上の整数で、p+q≧1
で、かつ一般式(1)の式量を450以下とする条件を
満足する数の組み合わせである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性顔料分散体およ
びそれを用いた水性印刷インキ組成物に関する。より詳
しくは、多種の顔料にわたって高濃度化が可能で、印刷
インキ組成物に用いられたときに、重ね刷り適性、撥水
紙乗り適性等の良好な水性印刷インキ組成物を与える水
性顔料分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】環境問題、防災、また省資源といった観
点から、印刷インキや塗料の分野では古くから脱有機溶
剤化・水性化が検討されてきた。
【0003】例えば印刷インキの分野では、フレキソや
グラビアの印刷方式で利用されるリキッドインキが古く
からその対象となっているが、なかでもいち早く水性化
を果たしたのは、段ボールや紙袋に代表される紙を被着
体とした分野のインキである。
【0004】これは、紙が多孔質であり、また、表面が
水に濡れやすいために、水分が浸透してインキが速やか
に乾燥し、印刷むらが生じにくいなど、被着体としてイ
ンキの水性化に適していたからである。
【0005】しかしながら、近年、包装容器の印刷の目
的が、単なる内容物の表示にとどまらず、より高級・高
品質なイメージを抱かせるものになると、それに利用さ
れるインキも高い光沢と鮮明な色彩が要求されるように
なっている。
【0006】さらに、複雑に重なり合う精緻な図柄が多
くなり、また、紙の弱点である水濡れに対して高い撥水
性を持たせたライナー紙が使用されるようになると、イ
ンキどうしの重ね刷り適性、撥水紙での印刷適性(撥水
紙乗り適性)も必要となっている。
【0007】これらのインキ性能を向上させる手段とし
て、高い光沢や鮮明な色彩を付与するには、顔料表面に
バインダー樹脂がよく濡れ、かつ、顔料をより微細に分
散させることが不可欠であるが、基本的に有機顔料の表
面は疎水性であり、水性系で利用されるアクリル系等の
通常のバインダー樹脂は濡れにくいという問題があっ
た。
【0008】そこで、この問題を解決し、さらに顔料の
微細分散状態を長期安定化(経時保存安定性の良化)さ
せるために、古くから顔料表面に親水化処理を行う方法
や界面活性剤などの顔料分散剤を用いる方法が利用され
てきた。
【0009】しかしながら、これらの方法では発泡や変
色の原因となったり、あるいはコストアップを招く等の
新たな問題が生じることになる。
【0010】また、特定の顔料分散用樹脂を用いて顔料
を分散させる方法も検討されており、α−オレフィン・
無水マレイン酸共重合体をはじめ、その改良として前記
共重合体のアルキルエステル化物(特開平1−2614
74号公報)、オキシ酸、アミノ酸およびノニオン乳化
剤による反応物(特開平4−89809号公報)等を用
いる方法も知られている。
【0011】しかし、前記アルキルエステル化物、オキ
シ酸反応物では、顔料表面が親水性であるか疎水性であ
るかによって分散効果が異なり、限られた顔料にのみ有
効であったり、また、ノニオン乳化剤の反応物では経時
保存安定性が低くなるという問題があった。
【0012】他方、撥水紙乗り適性等については、バイ
ンダー樹脂の分子構造に若干の依存性が認められるもの
の、良化のための特に有効な手段は見当たらないという
のが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は親水性および疎水性の両方の顔料において高濃度化が
可能で、高い光沢と鮮明な色彩を有する水性顔料分散体
と、それを用いてなる、撥水紙乗り適性等の良好な水性
印刷インキ組成物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)顔料分散用樹脂を用いて水中に顔料を分散させた
水性顔料分散体において、前記顔料分散用樹脂として、
下記の一般式(1)で表される基を分子内に少なくとも
1個含有する、酸価50〜300mgKOH/g、重量
平均分子量1000〜20000のα−オレフィン・マ
レイン酸系共重合体を、顔料100重量部に対して5〜
1000重量部の割合で含有することを特徴とする水性
顔料分散体。
【0015】 −(C24O)p(C36O)q1 (1) ここで、R1はHまたは炭素数が1〜8のアルキル基で
あり、また、pおよびqは0以上の整数で、p+q≧1
で、かつ一般式(1)の式量を450以下とする条件を
満足する数の組み合わせである。
【0016】さらに本発明は、(2)前記α−オレフィ
ン・マレイン酸系共重合体が、一般式(1)において、
p=1〜3、q=0、R1が炭素数1〜4のアルキル基
である一般式(1)で表される基を分子中に1個以上含
有するα−オレフィン・マレイン酸系共重合体である前
記(1)項記載の水性顔料分散体に関する。
【0017】さらに本発明は、(3)前記α−オレフィ
ン・マレイン酸系共重合体の重量平均分子量をMw、1
分子中に含まれる一般式(1)で表される基の数をNと
するとき、 N≧(Mw/1000) であるα−オレフィン・マレイン酸系共重合体を用いて
なる前記(1)または(2)項記載の水性顔料分散体に
関する。
【0018】さらに本発明は、(4)前記α−オレフィ
ン・マレイン酸系共重合体として、さらに炭素数が1〜
30のアルキル基の少なくとも1つを分子内に有するα
−オレフィン・マレイン酸系共重合体を用いてなる前記
(1)〜(3)項のいずれかに記載の水性顔料分散体に
関する。
【0019】さらに本発明は、前記(1)〜(4)項の
いずれかに記載の水性顔料分散体を用いてなる水性印刷
インキ組成物に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてより詳細に
説明する。
【0021】まず、本発明で使用する顔料としては、一
般に水性印刷インキや塗料で使用できる各種の無機顔料
や有機顔料が利用できる。
【0022】具体的に無機顔料としては、酸化チタン、
ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コ
バルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛な
どの有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、ク
レー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の
体質顔料を挙げることができる。さらに有機顔料として
は、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、
縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料な
どを挙げることができる。本発明の水性顔料分散体にお
いて、これらの顔料の含有量は、通常、3〜60重量%
程度であり、つぎに述べる顔料分散用樹脂を用いて水中
に良好に分散させる事ができる。
【0023】次に、本発明において、顔料を分散させる
ために使用する顔料分散用樹脂は、下記の一般式(1)
で表される基を少なくとも1個分子内に含有するα−オ
レフィン・マレイン酸系共重合体を必須成分とするもの
であり、塩基性化合物の存在下で水中に溶解させて水溶
性樹脂ワニスとして利用する。
【0024】 −(C24O)p(C36O)q1 (1)
【0025】ここで、R1はHまたは炭素数が1〜8の
アルキル基であり、また、pおよびqは0以上の整数
で、p+q≧1で、かつ一般式(1)の式量を450以
下とする条件を満足する数の組み合わせである。
【0026】このα−オレフィン・マレイン酸系共重合
体を合成するためのα-オレフィンとしては、反応時に
液状の炭素数6以上、40以下のものが利用でき、たと
えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−
ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
セン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−オクタコ
セン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1
−テトラトリアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、
1−オクタトリアコンテン等が挙げられる。
【0027】その中でも、分子量の小さいものは、親水
性表面を有する顔料の分散性に有利であり、分子量の大
きいものは疎水性表面を有する顔料の分散性に有利であ
るから、α−オレフィンの分子量により、顔料表面の特
性に応じた分散性の調整が可能である。しかし、過度の
分子量を有するものでは、共重合体の十分な水溶性を維
持することが困難となるため、炭素数が8〜20程度の
α−オレフィンが望ましい。
【0028】本発明の共重合体は上記のα−オレフィン
と、さらに(無水)マレイン酸あるいはマレイン酸エス
テル化合物を反応させて生成されるものである。
【0029】そして、下記の一般式(2)で表される化
合物による無水物基の開環反応またはカルボキシル基と
のエステル化反応により、最終的な共重合体において、
前記一般式1で示される基の少なくとも1つがエステル
結合によって主鎖に結合した構造を有する事になる。
【0030】 HO−(C24O)p(C36O)q1 一般式(2)
【0031】ここで、R1は一般式(1)と同定義であ
り、また、pおよびqは0以上の整数で、p+q≧1
で、かつ一般式(2)の分子量を467以下とする条件
を満足する数の組み合わせである。またC24O基とC
36O基とはランダムでもよく、ブロックでもよい。
【0032】具体的に、一般式(2)で表される化合物
としては、分子量が467までの範囲で、(ポリ)エチ
レングリコール、(ポリ)プロピレングリコールとそれ
らの炭素数が8までのモノアルキルエーテル化合物、エ
チレングリコール又はプロピレングリコールを開始剤と
したエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのコポ
リマーとそれらの炭素数が8までのモノアルキルエーテ
ル化合物等の水酸基含有化合物が利用できる。
【0033】その中でも、特に親水性と疎水性の両表面
に対して良好な分散性効果を有するという点から、一般
式(2)において、p=1〜3、q=0で、R1が炭素
数1〜4のアルキル基である化合物が好適に利用でき
る。
【0034】なお、前記一般式(2)で表される化合物
の分子量が467より大きくなると、すなわち、一般式
(1)の式量が450より大きくなると、十分な水溶性
を維持した中で高いエステル化率の共重合体が得られに
くくなり、顔料分散性が低下するという問題がある。ま
た、R1の炭素数が8を超えると、親水性表面を有する
顔料の分散性が不良となり好ましくない。
【0035】さらに、本発明では必要に応じて、前記一
般式(2)で表される化合物以外の水酸基含有成分とし
て、炭素数が1〜30程度のモノアルコール化合物、ま
た、水酸基を含有しない成分として、炭素数が1〜30
程度のモノアルキルアミン化合物を反応成分として利用
でき、特に顔料表面の親水性と疎水性のバランスに応じ
て、これらの成分とのバランスを図ることにより、顔料
分散性の調節が可能となる。
【0036】以上の反応成分を用いたα−オレフィンと
マレイン酸系単量体との共重合反応、および水酸基含有
化合物とのエステル化反応については、通常の方法が利
用できるが、エステル化反応はα−オレフィンと(無
水)マレイン酸のラジカル重合の反応前でも反応後でも
よい。すなわち、先に(無水)マレイン酸と前記水酸基
含有化合物を反応させて、マレイン酸エステル単量体を
得た後、α−オレフィンと共重合させても良く、α−オ
レフィン・(無水)マレイン酸共重合体を合成した後、
前記水酸基含有化合物を反応させてエステル化しても良
い。
【0037】なお、エステル化反応を先に行った場合
は、後にα−オレフィンと共重合させる際に脱エステル
化の起こらない重合条件を選択し、一方、エステル化を
後に行うときは、エステル化の反応性を高くするという
点から、共重合体成分として無水マレイン酸を使用する
事が望ましい。また、水酸基を2つ有する化合物を水酸
基含有成分として利用する場合は、架橋反応を起こさな
いように、予め、無水マレイン酸1モルに対して、当該
水酸基含有成分を2モルよりも大過剰量とし、低温で長
時間かけて反応させたマレイン酸モノエステル化合物を
得てから使用する事が好ましい。
【0038】さらに、本発明のα−オレフィン・マレイ
ン酸系共重合体は、1分子中に前記一般式(1)で表さ
れる基が1個以上となるように、好ましくは共重合体の
重量平均分子量をMw、一般式(1)で表される基の数
をNとするとき、N≧(Mw/1000)となるよう
に、α−オレフィン、(無水)マレイン酸および水酸基
含有化合物の反応量を調整する。
【0039】その調整方法としては、共重合体を構成す
る全材料の仕込み量をW(total)g、得られた共
重合体の重量平均分子量をMw(resin)、前記水
酸基含有化合物の仕込み量をW(ol)g、その水酸基
含有化合物の分子量をMw(ol)とし、全材料が反応
すると仮定すると、 {W(ol)/Mw(ol)}/{W(total)/Mw
(resin)}≧1 となる条件で共重合体を調製することが必要であり、よ
り好ましくは {W(ol)/Mw(ol)}/{W(total)/100
0}≧1 となる条件で共重合体を調製する。
【0040】以上の反応材料を用いて本発明のα−オレ
フィン・マレイン酸系共重合体を製造するためには既知
の方法が利用できる。例えば、α−オレフィンとマレイ
ン酸系化合物との共重合は、アセトン、メチルエチルケ
トン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルなどの不活性溶
媒中で、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイド等の有機過酸化物やα,α′−アゾビスイ
ソブチロニトリル等のアゾビス化合物の様なラジカル重
合触媒を用いて、約40〜170℃の反応温度で行われ
る。
【0041】また、水酸基含有化合物によるマレイン酸
の無水物基の開環反応は、無溶媒系もしくは水酸基含有
化合物を溶解させる不活性溶媒中で、100〜180℃
程度で加熱して行なうことができる。
【0042】以上のようにして得られる本発明のα−オ
レフィン・マレイン酸系共重合体は、さらに塩基性化合
物の存在下、水中に溶解させて水性樹脂ワニスとして使
用するが、ここで利用可能な塩基性化合物としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム
等の無機塩基性化合物、トリエチルアミン、モノエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基性化合
物を挙げることができる。これら塩基性化合物の使用量
は、共重合体の良好な溶解性と乾燥性を維持しうる範囲
であればよいが、特に共重合体を中和するのに必要な量
に対して80〜120モル%程度が適量である。
【0043】本発明のα−オレフィン・マレイン酸系共
重合体の酸価は50〜300mgKOH/g、好ましく
は100〜250mgKOH/g、重量平均分子量は1
000〜20000、好ましくは3000〜17000
である。当該共重合体の酸価が50mgKOH/g未満
では水中での溶解性が低下し、一方、300mgKOH
/gを超えると印刷物の耐水性が低下して好ましくな
い。また、当該共重合体の重量平均分子量が1000よ
り低くなると、共重合体の顔料を微細に分散させる効果
が低下し、一方、20000より高くなると経時におけ
る粘度安定性が不良となり好ましくない。
【0044】次に、顔料と顔料分散用樹脂を用いて、水
性顔料分散体を製造する方法について説明する。
【0045】通常、インキや塗料の分野では、顔料分散
用樹脂の水溶性ワニスと顔料を攪拌混合した後、ビーズ
ミル、ボールミル、アトライター等の各種分散機で混練
する方法が利用されているが、顔料を分散させる為に必
要な分散用樹脂量としては、顔料100重量部に対して
10〜200重量部程度である。
【0046】ここで、勿論、顔料分散用樹脂の前記使用
量の全量を本発明で特定するα−オレフィン・マレイン
酸系共重合体として顔料分散を行なうこともできるが、
当該α−オレフィン・マレイン酸系共重合体の量を顔料
100重量部に対して少なくとも5重量部、とくに少な
くとも10重量部とし、分散に必要な樹脂量の残りに通
常のインキや塗料で用いられる公知の水性樹脂を併用し
ても顔料分散性が良好であり、十分に高い貯蔵安定性と
光沢を有する水性顔料分散体を得ることができる。
【0047】更に顔料の分散安定化のために、伸ばし処
方と呼ばれる所定量の樹脂や水を加えて、水性顔料分散
体を得る方法が一般的であるが、本発明の水性顔料分散
体を段ボール印刷用インキ組成物に利用する場合は、撥
水紙乗り適性を考慮して、予め本発明で特定するα−オ
レフィン・マレイン酸系共重合体を多く含有させておく
と有利である。その場合は、配合組成と実用に適した粘
度が維持できる限りにおいて、当該α−オレフィン・マ
レイン酸系共重合体を、顔料100重量部に対して10
00重量部程度まで含有させることができる。
【0048】本発明の水性顔料分散体は、水性印刷イン
キや塗料用の材料として利用でき、必要に応じて他のバ
インダー樹脂、有機溶剤、各種添加剤を加え、水性印刷
インキ組成物や塗料を製造することができる。
【0049】ここで、特に水性印刷インキ組成物で使用
する他のバインダー樹脂としては、一般に水性印刷イン
キで使用されるシェラック樹脂、アクリル樹脂、スチレ
ン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレ
ン−アクリル−マレイン酸樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げる事ができ、
分子内にカルボキシル基を導入し、塩基性化合物の存在
下で水中に溶解させた水溶性樹脂ワニス、または、乳化
剤の存在下で水中に分散させた水分散性樹脂ワニスとし
て、上記の水性顔料分散体に添加される。なお、本発明
のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体が低酸価の場
合は、相溶性の面から、アクリル樹脂、スチレン−アク
リル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アク
リル−マレイン酸樹脂を利用するインキ系で利用するこ
とが好ましい。
【0050】また、水性印刷インキ組成物に利用可能な
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノ
ール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロ
ピレングリコールとそのアルキルエーテル類等の水混和
性溶剤を挙げることができる。さらに添加剤として、架
橋剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、成膜助剤、レベリ
ンダ剤、転移性向上剤などの使用は任意である。
【0051】本発明の水性印刷インキ組成物の好ましい
組成はつぎのとおりである。
【0052】 成 分 重 量 % 顔料 1〜50 本発明のα−オレイン・マレイン酸系共重合体 0.05〜40 他の顔料分散用樹脂 0〜20 バインダー樹脂 0〜40 水 30〜80 水混和性有機溶剤 0〜30
【0053】以上のようにして得られた水性印刷インキ
組成物は、フレキソあるいはグラビア印刷方式で、紙ま
たはプラスチックフィルム等の被着体に印刷することが
できる。具体的に、被着体として用いられる紙の種類と
しては、ジュート紙、クラフト紙、撥水紙、各種コート
紙を挙げることができ、プラスチックフィルムとして
は、ポリエチレン、延伸および無延伸ポリプロピレン、
ポリエステル、ナイロン、セロファンなどを挙げること
ができる。
【0054】本発明の印刷インキ組成物は、印刷物とし
て高い光沢と鮮明な色相を有するものであり、また、複
雑に重なり合う図柄に対しても良好な重ね刷り適性を有
する。さらに、有機溶剤の含有量が少なくとも、水性イ
ンキとして濡れ性の低い撥水紙での印刷に対して本発明
の印刷インキ組成物は有効である。
【0055】
【実施例】以下、実施例でもって本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0056】なお、特に断りのない限り本実施例におい
て「部」および「%」は「重量部」および「重量%」を
表す。
【0057】顔料分散用樹脂製造例 <α−オレフィン・マレイン酸系共重合体の製造方法> 製造例1 オートクレーブ中に無水マレイン酸98部、トルエン5
00部及びアゾビスイソブチロニトリル2.5部を仕込
み、窒素気流下、1−オクテン120部を加えて60℃
で15時間攪拌後、トルエンを留去して、1−オクテン
と無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子量約
44000のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体を
得た。
【0058】このα−オレフィン・マレイン酸系共重合
体を当量の水酸化ナトリウムを含む水中に溶解させ、過
酸化水素を添加して分子鎖を切断した後、塩酸を加えて
沈殿させて、それぞれ重量平均分子量が約1700、約
5100および約13000のα−オレフィン・マレイ
ン酸系共重合体を得た。
【0059】製造例2 製造例1の1−オクテンの代わりに1−テトラデセン2
10部を加え、同様の操作で、1−テトラデセンと無水
マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子量約520
0のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体を得た。
【0060】製造例3 製造例1の1−オクテンの代わりに平均炭素数が18の
α−オレフィン270部を加え、同様の操作で、平均炭
素数が18のα−オレフィンと無水マレイン酸のモル比
率1:1、重量平均分子量約12000のα−オレフィ
ン・マレイン酸系共重合体を得た。
【0061】製造例4 製造例1の1−オクテンの代わりに平均炭素数が24の
α−オレフィン360部を加え、同様の操作で、平均炭
素数が24のα−オレフィンと無水マレイン酸のモル比
率1:1、重量平均分子量約13000のα−オレフィ
ン・マレイン酸系共重合体を得た。
【0062】製造例5 製造例1の1−オクテンの代わりに平均炭素数が24の
α−オレフィン1080部を加え、同様の操作で平均炭
素数が24のα−オレフィンと無水マレイン酸のモル比
率3:1、重量平均分子量約13000のα−オレフィ
ン・マレイン酸系共重合体を得た。
【0063】製造例6 製造例1の1−オクテンの量を480部として、同様の
操作で1−オクテンと無水マレイン酸のモル比率4:
1、重量平均分子量約5500のα−オレフィン・マレ
イン酸系共重合体を得た。
【0064】<エステル化α−オレフィン・マレイン酸
系共重合体の製造方法>以下の製造例7〜22、27で
使用した水酸基含有化合物は次式で示されるものであ
る。
【0065】 式a HO−(C24O)3−C25 式b HO−(C24O)9−CH3 式c HO−(C24O)−C25 式d HO−(C24O)2−(C36O)2−C817 式e HO−(C24O)12−CH3 式f HO−(C24O)3−C1429
【0066】製造例7 フラスコに製造例1で得られた1−オクテンと無水マレ
イン酸のモル比率1:1、重量平均分子量約1700の
α−オレフィン・マレイン酸系共重合体210部と、式
aで表される水酸基含有化合物178部を仕込み、18
0℃で6時間反応させて、重量平均分子量約3100、
酸価148mgKOH/gのエステル化α−オレフィン
・マレイン酸系共重合体(共重合体A)を得た。
【0067】製造例8 製造例7と同様の操作で、製造例2で得られた1−テト
ラデセンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均
分子量約5200のα−オレフィン・マレイン酸系共重
合体294部と、式aで表される水酸基含有化合物17
8部を反応させて、重量平均分子量約8200、酸価1
21mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレ
イン酸系共重合体(共重合体B)を得た。
【0068】製造例9 製造例7と同様の操作で、製造例3で得られた平均炭素
数が18のαオレフィンと無水マレイン酸のモル比率
1:1、重量平均分子量約12000のα−オレフィン
・マレイン酸系共重合体350部と、式aで表される水
酸基含有化合物178部を反応させて、重量平均分子量
約18000、酸価108mgKOH/gのエステル化
α−オレフィン・マレイン酸系共重合体(共重合体C)
を得た。
【0069】製造例10 製造例7と同様の操作で、製造例2で得られた1−テト
ラデセンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均
分子量約5200のα−オレフィン・マレイン酸系共重
合体294部と、式bで表される水酸基含有化合物42
8部を反応させて、重量平均分子量約13000、酸価
80mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレ
イン酸系共重合体(共重合体D)を得た。
【0070】製造例11 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式aで表される水酸基含有化合物124部
を反応させて、重量平均分子量約7500、酸価228
mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレイン
酸系共重合体(共重合体E)を得た。
【0071】製造例12 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式aで表される水酸基含有化合物89部を
反応させて、重量平均分子量約7500、酸価285m
gKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレイン酸
系共重合体(共重合体F)を得た。
【0072】製造例13 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1であり、重量平
均分子量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共
重合体210部と、式cで表される水酸基含有化合物8
9部を反応させて、重量平均分子量約6600、酸価2
00mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレ
イン酸系共重合体(共重合体G)を得た。
【0073】製造例14 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式dで表される水酸基含有化合物334部
を反応させて、重量平均分子量約13000、酸価10
6mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレイ
ン酸系共重合体(共重合体H)を得た。
【0074】製造例15 製造例7と同様の操作で、製造例4で得られた平均炭素
数約24のαオレフィンと無水マレイン酸のモル比率
1:1、重量平均分子量約13000のα−オレフィン
・マレイン酸系共重合体440部と、式aで表される水
酸基含有化合物178部を反応させて、重量平均分子量
約18000、酸価93mgKOH/gのエステル化α
−オレフィン・マレイン酸系共重合体(共重合体I)を
得た。
【0075】製造例16 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式aで表される水酸基含有化合物89部、
n−ブタノール37部を反応させて、重量平均分子量約
8100、酸価170mgKOH/gのエステル化α−
オレフィン・マレイン酸系共重合体(共重合体J)を得
た。
【0076】製造例17 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式aで表される水酸基含有化合物53部、
オクタデカノール189部を反応させて、重量平均分子
量約11000、酸価125mgKOH/gのエステル
化α−オレフィン・マレイン酸系共重合体(共重合体
K)を得た。
【0077】製造例18 製造例7と同様の操作で、製造例5で得られた平均炭素
数約24のαオレフィンと無水マレイン酸のモル比率
3:1、重量平均分子量約13000のα−オレフィン
・マレイン酸系共重合体1116部と、式bで表される
水酸基含有化合物428部を反応させて、重量平均分子
量約18000、酸価41mgKOH/gのエステル化
α−オレフィン・マレイン酸系共重合体(共重合体L)
を得た。
【0078】製造例19 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式aで表される水酸基含有化合物71部を
反応させて、重量平均分子量約6600、酸価320m
gKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレイン酸
系共重合体(共重合体M)を得た。
【0079】製造例20 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約13000のα−オレフィン・マレイン酸系共重合
体210部と、式aで表される水酸基含有化合物178
部を反応させて、重量平均分子量約24000、酸価1
48mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレ
イン酸系共重合体(共重合体N)を得た。
【0080】製造例21 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率が1:1であり、重量
平均分子量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系
共重合体210部と、式eで表される水酸基含有化合物
417部を反応させて、重量平均分子量約15000、
酸価112mgKOH/gのエステル化α−オレフィン
・マレイン酸系共重合体(共重合体O)を得た。
【0081】製造例22 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、式fで表される水酸基含有化合物360部
を反応させて、重量平均分子量約13000、酸価10
0mgKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレイ
ン酸系共重合体(共重合体P)を得た。
【0082】製造例23 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率1:1、重量平均分子
量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
210部と、セチルアルコール242部を反応させて、
重量平均分子量約10000、酸価126mgKOH/
gのエステル化α−オレフィン・マレイン酸系共重合体
(共重合体Q)を得た。
【0083】製造例24 製造例7と同様の操作で、製造例6で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率4:1、重量平均分子
量約5500のα−オレフィン・マレイン酸系共重合体
546部に、12−ヒドロキシステアリン酸300部を
反応させて、重量平均分子量約8300、酸価140m
gKOH/gのエステル化α−オレフィン・マレイン酸
系共重合体(共重合体R)を得た。
【0084】製造例25 製造例7と同様の操作で、製造例6で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率が4:1、重量平均分
子量約5500のα−オレフィン・マレイン酸系共重合
体546部に、グルタミン酸147部を反応させて、重
量平均分子量約6900、酸価245mgKOH/gの
エステル化α−オレフィン・マレイン酸系共重合体(共
重合体S)を得た。
【0085】製造例26 製造例7と同様の操作で、製造例1で得られた1−オク
テンと無水マレイン酸のモル比率が1:1であり、重量
平均分子量約5100のα−オレフィン・マレイン酸系
共重合体210部に、ノニルフェノールのエチレンオキ
サイド14モル付加物423部を反応させて、重量平均
分子量約15000、酸価135mgKOH/gのエス
テル化α−オレフィン・マレイン酸系共重合体(共重合
体T)を得た。
【0086】<スチレン・アクリル・マレイン酸系共重
合体の製造> 製造例27 フラスコ中にキシレン600部を仕込み、窒素気流下、
約135℃の反応温度で、スチレン208部、メタクリ
ル酸メチル96部、無水マレイン酸98部およびジ−t
ert−ブチルパーオキサイド4部の混合物を2時間か
けて滴下し、更に2時間反応させた後、同温度で式aで
表される水酸基含有化合物178部を反応させ、キシレ
ンを留去して、重量平均分子量約11000、酸価98
mgKOH/gのスチレン・アクリル・マレイン酸共重
合体(共重合体U)を得た。
【0087】<インキ用バインダー樹脂製造例>攪拌
機、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコ
に、酢酸エチル350部を仕込んで75℃に加熱し、窒
素ガスを導入しながら、スチレン100部、メタクリル
酸メチル100部、メタクリル酸50部、および開始剤
としてジターシャリーブチルパーオキサイド2.5部の
混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら
2時間共重合させた後、酢酸エチルを留去して、重量平
均分子量18000、酸価130のインキ用バインダー
樹脂を得た。
【0088】<水性樹脂ワニスの製造方法>以上の方法
で得られた共重合体A〜Uのそれぞれ40部およびイン
キ用バインダー樹脂40部を、共重合体の中和量の10
5%に相当するモノエタノールアミンを溶解させたアミ
ン水溶液60部に加熱溶解させて、それぞれ水性樹脂ワ
ニスA〜U及び水性インキ用バインダー樹脂ワニスを調
製した。
【0089】<実施例1〜24及び比較例1〜20> 実施例1の製造 有機顔料としては相対的に親水性の溶性アゾ赤色顔料
(3110、大日本インキ化学工業(株)製)30部、
水性樹脂ワニスA7.5部、水性樹脂ワニスU32.5
部を攪拌混合してビーズミル練肉した後、更に水性樹脂
ワニスU及び水の合計量30部で、系の粘度が20℃で
3ポイズとなるように希釈して、実施例1の水性顔料分
散体を得た。
【0090】実施例2〜12及び比較例1〜10 前記と同じ溶性アゾ赤色顔料30部および水性樹脂ワニ
スA〜Uのそれぞれ40部を攪拌混合してビーズミル練
肉した後、練肉に使用したものと同じ水性樹脂ワニスお
よび水の合計量30部で、系の粘度が20℃で3ポイズ
となるように希釈して、実施例2〜13および比較例1
〜10の水性顔料分散体を得た。
【0091】実施例13 有機顔料としては相対的に疎水性のフタロシアニン青色
顔料(TRG、大日本インキ化学工業(株)製)30
部、水性樹脂ワニスA7.5部、水性樹脂ワニスU3
2.5部を攪拌混合してビーズミル練肉した後、更に水
性樹脂ワニスU及び水の合計量30部で、系の粘度が2
0℃で3ポイズとなるように希釈して、実施例13の水
性顔料分散体を得た。
【0092】実施例14〜24及び比較例11〜20 前記と同じフタロシアニン青色顔料30部および水性樹
脂ワニスA〜Uのそれぞれ40部を攪拌混合してビーズ
ミル練肉した後、練肉に使用したのと同じ水性樹脂ワニ
スおよび水の合計量30部で、系の粘度が20℃で3ポ
イズとなるように希釈して、実施例14〜24および比
較例11〜20の水性顔料分散体を得た。
【0093】<白色水性顔料分散体の製造>酸化チタン
30重量部、水性樹脂ワニスU10部を攪拌混合してビ
ーズミルで練肉後、更に水性樹脂ワニスU及び水の合計
量60部で、系の粘度が20℃で3ポイズとなるように
希釈して白色水性顔料分散体Aを得た。
【0094】<赤色および青色水性印刷インキ組成物の
製造>実施例1〜24および貯蔵安定性の劣悪なものを
除く比較例2、4〜8、10、12、14〜18、20
の水性顔料分散液40部に、水性インキ用バインダー樹
脂ワニス30部を加えビーズミルで練肉後、更に水性イ
ンキ用バインダー樹脂ワニス及び水の合計量30部で、
系の粘度が20℃で1.5ポイズとなるように希釈して
赤色および青色水性印刷インキを得た。
【0095】実施例および比較例の評価 以上の実施例および比較例で得られた水性顔料分散体及
び水性印刷インキについて、下記の評価項目で性能を評
価し、その結果を表1および2に示した。
【0096】<水性顔料分散体の評価> 貯蔵安定性 水性顔料分散体の調製直後の粘度(初期粘度)および4
0℃の雰囲気温度下で7日間経時させた後の粘度(経時
粘度)の比率から、貯蔵安定性を評価した。
【0097】 経時粘度/初期粘度(B型粘度計、30rpm) A:粘度比が1.5以下のもの B:粘度比が1.5を超え、2.0以下のもの C:粘度比が2.0を超え、3.0以下のもの D:粘度比が3.0を超えるもの
【0098】着色力 比較例10の水性顔料分散体10部を水性白色顔料分散
体A100部で希釈した時の色濃度と同一になるまで、
実施例1〜12および比較例1〜9の水性顔料分散体1
0部を希釈するのに要した水性白色顔料分散体Aの量に
より、赤色水性顔料分散体の着色力を評価した。
【0099】また、比較例20の水性顔料分散体10部
を水性白色顔料分散体A100部で希釈した時の色濃度
と同一になるまで、実施例13〜24および比較例11
〜19の水性顔料分散体10部を希釈するのに要した水
性白色顔料分散体Aの量により、青色水性顔料分散体の
着色力を評価した。
【0100】 A:水性白色インキAの希釈量が106部以上のもの B:水性白色インキAの希釈量が103部以上、106
部未満のもの C:水性白色インキAの希釈量が103部未満のもの
【0101】光沢 レンゴーCRCライナー(レンゴー(株)製)に165
線ハンドプルーファーで試料インキを展色し、75°グ
ロスメーターで光沢値を測定し、光沢を評価した。
【0102】 A:測定値が60以上のもの B:測定値が50以上60未満のもの C:測定値が50未満のもの
【0103】<水性印刷インキ組成物の評価> ブロンズの浮き レンゴーCRCライナー(レンゴー(株)製)に0.1
5mmメーヤバーで試料インキを展色し、ブロンズの浮
きの有無を目視にて判定した。
【0104】A:ブロンズの浮きが全く見られない。 B:ブロンズの浮きが展色面積の50%未満で見られ
る。 C:ブロンズの浮きが展色面積の50%以上で見られ
る。
【0105】撥水紙乗り適性 撥水紙(王子製紙(株)製、スーパーK)に165線ハ
ンドプルーファーで試料インキを展色し、インキの転移
性、色ムラの程度の目視判断から撥水紙乗り適性を評価
した。
【0106】 A:印刷面に抜けがなく、全く色ムラが認められないも
の B:印刷面に抜けはないが、僅かに色ムラが認められる
もの C:印刷面に抜けがあり、色ムラも激しいもの
【0107】耐水性 Kライナー(王子製紙(株)製、K)に165線ハンド
プルーファーで試料インキを展色し、乾燥後、学振型堅
牢度試験機にて、当て紙に0.2mlの水を染み込ませ
たさらしを用いながら、200gの荷重で50回摩擦す
る。当て紙の着色の度合いを目視にて判定し、耐水性を
評価した。
【0108】A:当て紙が全く着色しないもの B:当て紙がうっすらと着色するもの C:当て紙が色濃く着色するもの
【0109】乾燥性 室温20℃、相対湿度60%の環境下、Kライナー(王
子製紙(株)製、K)に0.15mmメーヤバーで試料
インキを展色し、指触にて乾燥性を評価した。
【0110】A:展色後5秒以内で乾燥するもの B:展色後5秒を越えて乾燥するもの
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【発明の効果】以上、実施例を用いて具体的に説明した
ように、本発明の水性顔料分散体は、貯蔵安定性、着色
力および光沢が良好であり、それを用いて得られる水性
印刷インキ組成物は、優れた色相、撥水紙乗り適性、耐
水性および乾燥性を有するものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料分散用樹脂を用いて水中に顔料を分
    散させた水性顔料分散体において、前記顔料分散用樹脂
    として、下記の一般式(1)で表される基を分子内に少
    なくとも1個含有する、酸価50〜300mgKOH/
    g、重量平均分子量1000〜20000のα−オレフ
    ィン・マレイン酸系共重合体を、顔料100重量部に対
    して5〜1000重量部の割合で含有することを特徴と
    する水性顔料分散体。 −(C24O)p(C36O)q1 (1) ここで、R1はHまたは炭素数が1〜8のアルキル基で
    あり、また、pおよびqは0以上の整数で、p+q≧1
    で、かつ一般式(1)の式量を450以下とする条件を
    満足する数の組み合わせである。
  2. 【請求項2】 前記α−オレフィン・マレイン酸系共重
    合体が、一般式(1)において、p=1〜3、q=0、
    1が炭素数1〜4のアルキル基である一般式(1)で
    表される基を分子中に1個以上含有するα−オレフィン
    ・マレイン酸系共重合体である請求項1記載の水性顔料
    分散体。
  3. 【請求項3】 前記α−オレフィン・マレイン酸系共重
    合体の重量平均分子量をMw、1分子中に含まれる一般
    式(1)で表される基の数をNとするとき、 N≧(Mw/1000) であるα−オレフィン・マレイン酸系共重合体を用いて
    なる請求項1または2記載の水性顔料分散体。
  4. 【請求項4】 前記α−オレフィン・マレイン酸系共重
    合体として、さらに炭素数が1〜30のアルキル基の少
    なくとも1つを分子内に有するα−オレフィン・マレイ
    ン酸系共重合体を用いてなる請求項1〜3のいずれかに
    記載の水性顔料分散体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の水性顔
    料分散体を用いてなる水性印刷インキ組成物。
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