JPH11246392A - 経口用固形製剤 - Google Patents

経口用固形製剤

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JPH11246392A
JPH11246392A JP10050629A JP5062998A JPH11246392A JP H11246392 A JPH11246392 A JP H11246392A JP 10050629 A JP10050629 A JP 10050629A JP 5062998 A JP5062998 A JP 5062998A JP H11246392 A JPH11246392 A JP H11246392A
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JP
Japan
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esophagus
capsule
substance
chitosan
indomethacin
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JP10050629A
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English (en)
Inventor
Makoto Otsuka
誠 大塚
Yoshihisa Matsuda
芳久 松田
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Aicello Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aicello Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、咽頭および/または食道に
付着しにくく、且つ万が一該製剤が咽頭に付着した場合
にも、咽頭から食道内にかけては薬剤を放出することが
なく、胃内に移行した後に速やかに崩壊溶出する特性を
有する経口用固形製剤を提供することである。 【解決手段】 食道潰瘍誘発性の薬剤を有効成分とす
る、カチオン性官能基および負の表面電位を有し、且つ
中性領域で不溶性で酸性領域で可溶性である特性を有す
る物質を含有する材料にて実質的に覆われていることを
特徴とする経口用固形製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固形製剤に関し、特
に咽頭および/または食道への付着性が抑制され、且つ
食道内での薬剤の放出が抑制された経口用固形製剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、医学薬学の進歩発展によりさまざ
まな薬理活性をもつ新規な医薬品が開発されるようにな
ってきたが、これらの薬物は、正しい投与経路により適
用された場合には適正な治療効果を発揮するが、その適
用方法が正しくない場合には逆に著しい副作用を伴う場
合が多い。最近、高齢者や幼児等の嚥下能が低い患者に
おいて、カプセル、錠剤、顆粒剤等の固形製剤を服用す
る際に、しばしば咽頭に当該薬剤を付着させ、そこで該
製剤が停滞、崩壊し、薬剤が局部的に溶出して付着部位
に潰瘍を生じる症例が報告されており、臨床医学的な問
題となっている。例えば、固形製剤の滞留により、臨床
的な食道潰瘍が頻発する報告がある(S. J. Bott and
R. W. McCallum, Medical Toxicology, 1, 449-457 (19
86))。また、頻用されているゼラチンカプセルが最も
食道に付着しやすいことが知られている(M.Marvola
ら, J. Pharm. Sci., 72, 1034 (1983) )。このような
問題に鑑み、食道潰瘍の誘発といった副作用の低減をは
かるべく、有効成分たる薬剤の開発や改良が試みられて
きたが、未だ十分とはいえず、依然として問題点が残っ
ているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、咽頭
および/または食道に付着しにくく、且つ万が一該製剤
が咽頭に付着した場合にも、咽頭から食道内にかけて薬
剤を放出せず、胃内に移行した後に速やかに崩壊溶出す
る特性を有する経口用固形製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、カチオン性官能
基および負の表面電位を有する物質が咽頭および/また
は食道の粘膜に対して付着性が低いことを見出し、さら
に上記特性と食道内の液性である中性領域では溶解せ
ず、胃液の液性である酸性領域では速やかに溶解すると
いう特性とを併せ持つ物質を含有する材料にて実質的に
製剤を覆うことにより、当該製剤に、咽頭および/また
は食道に付着しにくく、且つ万が一該製剤が咽頭に付着
した場合にも、食道内では薬物を放出せず、胃内に移行
した後に速やかに崩壊溶出する特性を付与できることを
見出し、これに基づいて本発明を完成した。
【0005】即ち本発明は下記の通りである。 (1)食道潰瘍誘発性の薬剤を有効成分とする、カチオ
ン性官能基および負の表面電位を有し、且つ中性領域で
不溶性で酸性領域で可溶性である特性を有する物質を含
む材料にて実質的に覆われていることを特徴とする経口
用固形製剤。 (2)当該物質がキトサン、キチンおよびそれらの誘導
体から選ばれるものである上記(1)記載の経口用固形
製剤。 (3)当該物質がメタクリル酸高分子の誘導体である上
記(1)記載の経口用固形製剤。
【0006】本発明の経口用固形製剤は、カチオン性官
能基および負の表面電位を有し、且つ中性領域で不溶性
で酸性領域で可溶性である特性を有する物質を含む材料
にて実質的に覆われていることを特徴とする。ここで
「覆われている」とは、通常、各種製剤を当該物質でコ
ーティングすることを意味し、さらに、後述するが、当
該経口用固形製剤がカプセル剤の場合はカプセル殻用の
基剤として用いることをも包含する。本発明において
「実質的に」とは、本発明の目的が達成される程度に製
剤の表面が覆われていることを意味し、好ましくは全体
が覆われている。当該物質を含む材料としては、少なく
とも1種の上記特性を有する物質を含むものであって
(必要に応じて複数の当該物質を含み得る)、さらに必
要に応じて適宜添加剤(例えば、可塑剤、希釈剤、溶媒
等)を添加することもできる。当該物質は本発明の目的
を達成しうるに充分な量が、また各種添加剤は添加の目
的が達せられるのに充分な量がそれぞれ用いられる。
【0007】カチオン性官能基としては具体的には、例
えば、ジアルキルアミノ基(R2 N−;Rはアルキル
基、例えばジエチルアミノ基等)、トリアルキルアンモ
ニウム基(R3 + −;Rはアルキル基、例えばトリメ
チルアンモニウム基等)、ジアルキルアミノアルキル基
(R2 −N−R’−;RおよびR’は同一または異なっ
てアルキル基、例えばジメチルアミノエチル基等)等が
挙げられる。本発明において、負の表面電位とは好まし
くは0〜−100mVの範囲にある表面電位を示し、例
えば当該物質の一つであるキトサンの表面電位は−40
mVである。当該表面電位は、通常、当分野で行われて
いる測定方法によって測定、算出することができるが、
具体的には、例えば、当該物質で形成される膜の両側に
塩化カリウム水溶液を充填し、異なる濃度で膜電位計に
より測定、算出することができる。より具体的には例え
ばキトサンの場合、以下の方法により測定することがで
きる。2%酢酸キトサン溶液(脱アセチル化率97%の
ものが片倉チャッカリン(株)より入手可能)からキャ
スト膜を調製し、4%NaOH水溶液で中和した。銀−
塩化銀電極と膜を挟む2つのチャンバーからなる測定セ
ル中に1×10-4Nおよび5×10-4Nの塩化カリウム
を入れ攪拌子で1時間攪拌した後、電位測定装置により
測定する。尚、膜電位は以下の式に従うことが知られて
いる。
【0008】
【化1】
【0009】式中Eは膜電位、Rは気体定数、Tは絶対
温度、Fはファラデー定数、a1 およびa2 は両側の電
解質溶液の平均活量をそれぞれ表している。
【0010】本発明において、咽頭および/または食道
に対する付着性はM.Marvola らによって報告されている
方法(M.Marvola ら, J. Pharm. Sci., 72, 975 (198
2))あるいはこれに準じた方法により測定することがで
きる。本発明の経口用固形製剤は、咽頭および/または
食道に対する低い付着性が要求されるが、具体的には製
剤あたり1.5g以下の荷重で食道壁から離脱する程度
の付着性であることが望ましい。
【0011】本発明において、中性領域とは食道内の液
性と同程度のpHであることを示し、具体的にはpH7
付近のものであり、好ましくはpH5〜7.5程度であ
る。酸性領域とは、胃液の液性と同程度のpHであるこ
とを示し、具体的にはpH1〜4程度、好ましくはpH
1.2〜3.0程度である。
【0012】不溶性とは、当該物質を含有する材料にて
実質的に覆われている製剤が、胃に到達するまでは該製
剤の崩壊ならびに薬剤の溶出を抑制することを可能とす
る程度に溶けにくいこと示し、可溶性とは、当該物質を
含有する材料にて実質的に覆われている製剤が、胃内に
到達して初めて該製剤の崩壊ならびに薬剤の溶出を開始
することを可能とする程度に溶けやすいことを示す。
【0013】本発明において用いられる、カチオン性官
能基および負の表面電位を有し、且つ中性領域で不溶性
で酸性領域で可溶性である特性を有する物質としては、
当該特性を有し、且つ薬理学的に許容されるものであれ
ば特に限定されない。具体的には、キチン、キトサンな
らびにそれらの誘導体(N,O−硫酸化キトサン、N,
O−硫酸化アセチルキトサン、N,O−硫酸化カルボキ
シメチルキトサン、エチレングリコールキチン、カルボ
キシメチルキチン、ヒドロキシキチン、ジヒドロキシプ
ロピルキチン、リン酸化キトサン等)、アミノアルキル
メタアクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギ
ットRS)やアミノアルキルメタアクリレートコポリマ
ーE(商品名:オイドラギットE)(共に樋口商会から
入手可能)等のメタアクリル酸高分子の誘導体、ポリビ
ニルアセタールジエチルアミノアセテート(三共から入
手可能)等のポリビニル系誘導体等が挙げられる。これ
らの物質は、それぞれ自体公知の方法で合成、半合成、
精製等を行うことにより得ることができ、また商業的に
も入手可能である。例えばキチンは広く天然に存在する
ことが知られ、通常、カニやエビ等の甲殻類の甲殻を原
料としてアルカリ処理により抽出して製造される。キト
サンは天然に存在するものの他、キチンを濃アルカリと
加熱することにより脱アセチル化することによっても得
られる。さらに側鎖のアミノ基を用いて種々の誘導体が
合成できる。
【0014】本発明の経口用固形製剤の態様としては、
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤等が挙げられ、
また、カプセル剤の態様である本発明においては、水不
溶性のカプセル基剤を用いることにより液状の医薬品を
充填することも可能である。さらに上述の如く、カプセ
ル剤においては、カプセル剤を上記物質でコーティング
するもの以外に、当該物質を含む材料若しくは当該物質
をカプセル殻用の基剤として使用したものも本発明の経
口用固形製剤に包含される。
【0015】本発明の経口用固形製剤の製造は、まず公
知の手法に準じて各種の固形製剤を製造し、最終段階で
上記物質で当該製剤の表面を実質的に、好ましくは全体
を覆うことにより行われる。当該工程は、通常当分野で
行われるコーティングの方法に準じて行うことができ
る。当該物質の量は使用する物質の種類によって異なる
が通常、製剤の5〜100%程度、好ましくは20〜5
0%程度の量が用いられる。また、上記物質を含む材
料、若しくは当該物質をカプセル殻用の基剤として使用
する場合には、上記物質の充分量を基剤として用いて製
造したカプセルに所望の医薬品を充填することにより製
せられる。当該カプセルは従来公知の方法で製すること
ができ、また別用途ではあるが既に市販されているもの
を利用することも可能である(キトサンカプセル(アイ
セロ化学製)等)。当該市販品は従来本発明とは別の用
途で用いられているものであり、例えばキトサンカプセ
ルについては栄養食品としての使用が知られている。し
かしながら、ある種の薬剤を服用した際に問題となる食
道性潰瘍の誘発という副作用の軽減乃至防止を目的とし
た当該物質の使用は勿論のこと、当該物質の咽頭や食道
の粘膜に対する低付着性という特性についても全く知ら
れていなかった。また前述したが従来型カプセル(例え
ばゼラチンカプセル)は咽頭等の粘膜に付着しやすい
(Marvola ら、上述)こと、アスピリン等のある種の薬
物は、食道に滞留することにより食道潰瘍を引き起こす
危険があること(Bottら、上述)が報告されている。
【0016】本発明の経口用固形製剤に、好適に有効成
分として含められる薬剤としては、食道に滞留し、食道
内で薬物が溶出された場合、重篤な食道潰瘍を引き起こ
す可能性のあるものである。より具体的にはセファレキ
シン、塩酸セフォチアムヘキセチル、塩酸ドキシサイク
リン、塩酸ミノサイクリンおよびテトラサイクリン等の
抗生物質、インドメタシン、アスピリン、ボルタレン、
スリンダク、イブプロフェン、ジクロフェナックおよび
メフェナム酸等の非ステロイド性消炎鎮痛薬、塩化カリ
ウム、テオフィリン、塩酸メキシレチン、キニジン、フ
ェナセチン、フェノバルビタール等が挙げられる。本発
明の経口用固形製剤に含められる薬剤は、相互に悪影響
を及ぼさない限り疾患の種類、重篤度等によって2種以
上を含めることができる。
【0017】さらに本発明の経口用固形製剤には、通常
の経口用固形製剤と同様に、有効成分となる薬剤ととも
に、例えば結合剤、例えばデンプンのり液、アラビアゴ
ム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロー
ス(MC)、エチルセルロース(EC)、ポリビニルピ
ロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PV
A)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カル
ボキシメチルセルロース(CMC)等;賦形剤、例えば
乳糖、白糖、ブドウ糖及びマンニトールなどの糖類、バ
レイショデンプン、トウモロコシデンプン、コムギデン
プンなどのデンプン類、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩
類、結晶セルロース等;滑沢剤、例えばステアリン酸マ
グネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、
シリコーン油等;崩壊剤、例えばデンプン、寒天、ゼラ
チン末、結晶セルロース、CMC・Na、CMC・C
a、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸
ナトリウム等;または許容し得る湿潤剤、例えばラウリ
ル硫酸ナトリウム等を含有してもよい。さらに液状の医
薬品を充填したカプセル剤等、液状の医薬品を使用する
場合は、通常の液体製剤と同様に、有効成分となる薬剤
とともに、例えば懸濁化剤、例えばソルビットシロッ
プ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウ
ムゲル等;乳化剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソ
ルビタン、アラビアゴム等;防腐剤、例えばp−ヒドロ
キシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソル
ビン酸等を含有してもよい。なお本発明の経口用固形製
剤に加えることができる添加剤は、前記列挙したものに
限定されず、製剤学上利用可能なものであれば特に限定
されない。
【0018】本発明の経口用固形製剤の投与量、投与回
数等は、有効成分となる薬剤の種類や配合量、患者の状
態等によって適宜決定される。
【0019】
【実施例】以下に本発明の代表的な実施例を示し、本発
明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何
ら限定的に解釈されるものでないことは、言うまでもな
いところである。本発明には、本発明の趣旨を逸脱しな
い限りにおいて、当業者の知識に基づき、種々の変更、
修正、改良等を加え得ることが理解されるべきである。
【0020】実施例1 食道潰瘍を引き起こすことが知られているインドメタシ
ンを50%含有する乳糖混合粉末80mgを3号キトサ
ンカプセル(アイセロ化学製)に充填し、インドメタシ
ンのキトサンカプセルを調製した。調製したカプセル剤
について、1%ポリソルベート含有蒸留水あるいは1%
ポリソルベート含有日本薬局方崩壊試験法第一液800
ml(pH1.2、37℃)で日本薬局方溶出試験法第
1法に準じて溶出試験を行った。経時的に3mlの試料
を採取し、0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾
過後、蒸留水で10倍に希釈し、紫外線吸収スペクトル
により260nmの波長で吸光度を測定した。あらかじ
め作成しておいた検量線を用いて薬物濃度を算出した。
横軸は溶出試験開始後の時間を、縦軸は薬物濃度(カプ
セル剤に充填されたインドメタシンの全量が溶出液中に
含まれている場合の濃度を100%とした)を表してい
る。結果を図1に示す。酸性溶液中では5分以内に崩壊
が観察され、10分以内にインドメタシンを100%溶
出した。一方、蒸留水中では30分経過後も崩壊、溶出
は観察されなかった。
【0021】実施例2 食道潰瘍を引き起こすことが知られているアスピリンの
粉末100mgを3号キトサンカプセル(アイセロ化学
製)に充填し、アスピリンのキトサンカプセルを調製し
た。調製したカプセル剤について、蒸留水あるいは日本
薬局方崩壊試験法第一液800ml(pH1.2、37
℃)で日本薬局方溶出試験第1法に準じて溶出試験を行
った。経時的に3mlの試料を採取し、0.8ミクロン
のメンブランフィルターで濾過後、蒸留水で10倍に希
釈し、紫外線吸収スペクトルにより260nmの波長で
吸光度を測定した。あらかじめ作成しておいた検量線を
用いて薬物濃度を算出した。横軸は溶出試験開始後の時
間を、縦軸は薬物濃度(カプセル剤に充填されたアスピ
リンの全量が溶出液中に含まれている場合の濃度を10
0%とした)を表している。結果を図2に示す。酸性溶
液中では5分以内に崩壊が観察され、10分以内にアス
ピリンを100%溶出した。一方、蒸留水中では30分
経過後も崩壊、溶出は観察されなかった。
【0022】実施例3 実施例1と同様にしてインドメタシンのキトサンカプセ
ルを調製した。調製したカプセル剤について、1%ポリ
ソルベート含有蒸留水800mlで日本薬局方溶出試験
第1法に準じて溶出試験を行った。溶出試験開始後15
分後に、10mlの希塩酸溶液を添加し、溶出液をpH
1以下に調整し、さらに溶出試験を継続した。経時的に
3mlの試料を採取し、0.8ミクロンのメンブランフ
ィルターで濾過後、蒸留水で希釈し、紫外線吸収スペク
トルにより260nmの波長で吸光度を測定した。あら
かじめ作成しておいた検量線を用いて薬物濃度を算出し
た。横軸は溶出試験開始後の時間を、縦軸は薬物濃度
(カプセル剤に充填されたインドメタシンの全量が溶出
液中に含まれている場合の濃度を100%とした)を表
している。結果を図3に示す。希塩酸溶液添加後、5分
以内に崩壊が観察され、10分以内にインドメタシンを
100%溶出した。この結果は、本発明のインドメタシ
ンのキトサンカプセルは、食道内に滞留している状態で
は崩壊せず、薬剤も溶出されないが、胃内に到達した後
に薬物を溶出する特性を有していることを示している。
【0023】参考例1 インドメタシンを50%含有する乳糖混合粉末80mg
を日本薬局方3号ゼラチンカプセル(カプシジェル社
製)に充填し、インドメタシンのゼラチンカプセル剤を
調製した。調製したカプセル剤について、1%ポリソル
ベート含有蒸留水あるいは1%ポリソルベート含有日本
薬局方崩壊試験法第一液800ml(pH1.2、37
℃)で日本薬局方溶出試験第1法に準じて溶出試験を行
った。経時的に3mlの試料を採取し、0.8ミクロン
のメンブランフィルターで濾過後、蒸留水で希釈し、紫
外線吸収スペクトルにより260nmの波長で吸光度を
測定した。あらかじめ作成しておいた検量線を用いて薬
物濃度を算出した。横軸は溶出試験開始後の時間を、縦
軸は薬物濃度(カプセル剤に充填されたインドメタシン
の全量が溶出液中に含まれている場合の濃度を100%
とした)を表している。結果を図4に示す。当該ゼラチ
ンカプセルは、酸性溶液中でも蒸留水中でも5分以内に
崩壊が観察され、10分以内にインドメタシンを100
%溶出した。
【0024】参考例2 アスピリンの粉末100mgを日本薬局方3号ゼラチン
カプセル(カプシジェル社製)に充填し、アスピリンの
ゼラチンカプセル剤を調製した。調製したカプセル剤に
ついて、蒸留水あるいは日本薬局方崩壊試験法第一液8
00ml(pH1.2、37℃)で日本薬局方溶出試験
第1法に準じて溶出試験を行った。経時的に3mlの試
料を採取し、0.8ミクロンのメンブランフィルターで
濾過後、蒸留水で希釈し、紫外線吸収スペクトルにより
260nmの波長で吸光度を測定した。あらかじめ作成
しておいた検量線を用いて薬物濃度を算出した。横軸は
溶出試験開始後の時間を、縦軸は薬物濃度(カプセル剤
に充填されたアスピリンの全量が溶出液中に含まれてい
る場合の濃度を100%とした)を表している。結果を
図5に示す。当該ゼラチンカプセルは、酸性溶液中でも
蒸留水中でも5分以内に崩壊が観察され、10分以内に
アスピリンを100%溶出した。
【0025】試験例1 崩壊試験法1 実施例1と同様にしてインドメタシンのキトサンカプセ
ル剤(本発明)ならびに参考例1と同様にしてインドメ
タシンのゼラチンカプセル剤をそれぞれ調製した。調製
したカプセル剤について、1%ポリソルベート含有蒸留
水あるいは1%ポリソルベート含有日本薬局方崩壊試験
法第一液800ml(pH1.2、37℃)で日本薬局
方崩壊試験法に準じて崩壊試験を行い、各カプセル剤に
ついて崩壊する迄に要した時間を測定した。崩壊試験の
結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】キトサンカプセルの場合は酸性溶液中では
速やかに崩壊されるのに対し、蒸留水中では30分経過
後も全く崩壊していなかった。一方ゼラチンカプセルの
場合は酸性溶液中、蒸留水中ともに5分以内に崩壊が観
察された。
【0028】試験例2 ブタ食道付着試験1 実施例1および2で調製したインドメタシンのキトサン
カプセル剤およびアスピリンのキトサンカプセル剤、な
らびに参考例1および2で調製したインドメタシンのゼ
ラチンカプセル剤およびアスピリンのゼラチンカプセル
剤について、ブタ食道への付着力をM.Marvola らの方法
(M.Marvola ら, J. Pharm. Sci., 71,975 (1982))に
準じて応力試験器(AG1KNG型、島津製作所)を用
いて測定した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】一般に食道への付着停滞は充分量の水の服
用により回避されることが知られており、本試験例にお
いても充分量の生理的食塩水(0.9%NaCl)の使
用によりカプセル通過が確保された。しかしながら、水
のない場合には、ゼラチンカプセルはブタ食道に対して
極めて高い付着特性を示し、患者の嚥下能が低い場合
や、水の服用がない、もしくは少ない場合にゼラチンカ
プセルを服用することは、食道への付着滞留を起こす可
能性が高いことが示された。一方、水のない場合でもキ
トサンカプセルのブタ食道への付着性は低く(ゼラチン
カプセルの約十分の一の付着力)、従って、キトサンカ
プセルが食道への付着滞留の可能性を効率的に回避し得
るものであることが明らかになった。
【0031】実施例4 以下に示すインドメタシンを20%含有する粉末200
mgを菊水単発式打錠機(6B−2)で打錠し、10%
アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(樋口商
会)と可塑剤として1〜5%のクエン酸トリエチルを含
むエタノール溶液を錠剤表面に散布し、熱風で乾燥する
ことにより、錠剤表面を総重量20%の該コポリマーで
覆った。 インドメタシン粉末 20% 結晶セルロース 10% 乳糖 68% ステアリン酸マグネシウム 1% タルク 1% 全量 100%
【0032】参考例3 実施例4と同様にしてインドメタシンを20%含有する
粉末200mgを菊水単発式打錠機(6B−2)で打錠
することによりインドメタシンの裸錠を調製した。
【0033】試験例3 崩壊試験法2 実施例4と同様にして、アミノアルキルメタアクリレー
トコポリマーEで覆われたインドメタシン錠(以下コー
ティング錠ともいう)ならびに参考例3と同様にしてイ
ンドメタシン裸錠(以下裸錠ともいう)を用いて、蒸留
水あるいは日本薬局方第一液800ml(pH1.2、
37℃)で日本薬局方崩壊試験法に準じて崩壊試験を行
い、各錠剤について崩壊する迄に要した時間を測定し
た。崩壊試験の結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】コーティング錠については酸性溶液中では
崩壊が認められたが、蒸留水中では30分経過後も全く
崩壊しなかった。
【0036】試験例4 ブタ食道付着試験2 試験例2と同様にして、実施例4および参考例3で調製
したインドメタシン錠を用いて、ブタ食道に対する付着
試験を行った。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】コーティング錠はブタ食道に対して低い付
着性を有するものであった。
【0039】
【発明の効果】本発明においては、カチオン性官能基お
よび負の表面電位を有し、且つ中性領域で不溶性で酸性
領域で可溶性である特性を有する物質を含む材料にて製
剤を実質的に覆うことにより、当該製剤に、咽頭および
/または食道に付着しにくく、且つ万が一該製剤が咽頭
に付着した場合にも、食道内では薬物を放出せず、胃内
に移行した後に速やかに崩壊溶出する特性を付与でき
る。当該製剤は食道内で薬剤を放出しないために、食道
壁に障害をもたらすことがない。咽頭への付着の回避、
ならびに食道内での薬剤の放出抑制という二重の機能を
製剤に持たせることにより、従来懸念されてきた嚥下能
の低い高齢者や幼児、重症の患者等の固形製剤服用の際
の障害を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インドメタシンキトサンカプセルの溶出試験の
結果を表すグラフである。−○−は酸性溶液中の、−●
−は蒸留水中のインドメタシン濃度をそれぞれ示してい
る。
【図2】アスピリンキトサンカプセルの溶出試験の結果
を表すグラフである。−○−は酸性溶液中の、−●−は
蒸留水中のアスピリン濃度をそれぞれ示している。
【図3】インドメタシンキトサンカプセルの溶出試験の
結果を表すグラフである。矢印は10mlの希塩酸溶液
を添加し溶出液を酸性にした時点を示す。
【図4】インドメタシンゼラチンカプセルの溶出試験の
結果を表すグラフである。−○−は酸性溶液中の、−●
−は蒸留水中のインドメタシン濃度をそれぞれ示してい
る。
【図5】アスピリンゼラチンカプセルの溶出試験の結果
を表すグラフである。−○−は酸性溶液中の、−●−は
蒸留水中のアスピリン濃度をそれぞれ示している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食道潰瘍誘発性の薬剤を有効成分とす
    る、カチオン性官能基および負の表面電位を有し、且つ
    中性領域で不溶性で酸性領域で可溶性である特性を有す
    る物質を含有する材料にて実質的に覆われていることを
    特徴とする経口用固形製剤。
  2. 【請求項2】 当該物質がキトサン、キチンおよびそれ
    らの誘導体から選ばれるものである請求項1記載の経口
    用固形製剤。
  3. 【請求項3】 当該物質がメタクリル酸高分子の誘導体
    である請求項1記載の経口用固形製剤。
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