JPH11241195A - 固体電解質型電気化学セル及び水素製造方法 - Google Patents

固体電解質型電気化学セル及び水素製造方法

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JPH11241195A
JPH11241195A JP10046850A JP4685098A JPH11241195A JP H11241195 A JPH11241195 A JP H11241195A JP 10046850 A JP10046850 A JP 10046850A JP 4685098 A JP4685098 A JP 4685098A JP H11241195 A JPH11241195 A JP H11241195A
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JP
Japan
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solid electrolyte
hydrogen
electrochemical cell
electrode
oxygen
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JP10046850A
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Akihiro Yamashita
晃弘 山下
Tsutomu Hashimoto
勉 橋本
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率の良い固体電解質型電気化学セルであっ
て、特に水素製造分野に好適な前記電気化学セル、及び
これを用いた水素製造装置及び水素製造方法を提供す
る。 【解決手段】固体電解質として酸素イオン導電体、水素
イオン導電体、酸素イオン−電子混合導電体、水素イオ
ン−電子混合導電体を用い、該固体電解質の外側,内側
に夫々電極を設け、CH4 及びH2 Oを原料ガスとして
外側電極近傍に供給し、温度800〜1000導電体で
加熱して該原料ガスを電気分解し、前記固体電解質を介
して内側電極に発生するH2 又はH2 を含むガスを取り
出す。イオン−電子混合導電体を用いれば、電気分解に
際して両極間に電圧を印加する必要はなく、エネルギ効
率良くCH4 (及びH2 O)からH2 を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解質型電気化
学セルに関し、特に水素製造分野に用いて好適な固体電
解質型電気化学セル及び水素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素は天然ガスやナフサを原料として、
アンモニア合成用や石油精製用に大量に使用されてい
る。水素の製造方法としては、次の方法がある。 電気分解法:水を電気分解して水素を発生させる。現
在実用化されているが、エネルギ効率は約70%程度と低
い。 熱化学法:化1に示す化学式(1),(2)によっ
て、水を熱分解して水素を得る方法で、Mには水銀、カ
ルシウムなどを利用するが、実用化においては材料腐食
の問題を解決する必要がある。
【化1】H2 O+MOx =MOx+1 +H2 (1) MOx+1 =MOx + 1/2O2 (2) 直接熱分解法:2000℃以上の高温で直接熱分解す
る方法であるが、高温材料の開発が必要である。 メタンの水蒸気改質法:触媒によりメタンなど炭化水
素と水蒸気の反応から水素を製造することを一般に改質
反応と称し、化2に示す式(3)で示される。
【化2】CH4 +H2 O=CO+3H2 (3) 改質触媒はMgO−NiやAl2 3 −Niなど、Ni
を主成分としたもので、改質反応は300〜400℃で
行われる。改質反応(3)は吸熱反応であり、触媒層温
度の監視・制御を常時行なう必要がある。また(3)式
で生成したCOが還元されると触媒での炭素の析出をみ
るため、この析出防止のために過剰の水蒸気を添加する
必要がある。すなわち、水蒸気供給モル量をメタンのそ
れに対して2.5〜3.0倍とする必要がある。 固体電解質型電気化学セルによる方法:ジルコニアな
どの酸素イオン導電体により水蒸気を高温で電気分解す
る方法であり、900〜1000℃で行なう。原子力プ
ラントなどの高温熱源を利用できるという利点がある
が、セル抵抗の低減や大型化などの点に問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した現状に鑑み、
本発明は上記のCH4 の水蒸気改質を触媒ではなく、
固体電解質による電気化学反応で行なうことにより、高
効率の水素製造を実現することを課題とする。すなわ
ち、本発明は水素製造装置として高性能な固体電解質型
電気化学セルを提供すること、及び該固体電解質型電気
化学セルによる水素の製造方法を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段
として、本発明は固体電解質の外側及び内側にそれぞれ
電極を設けてなる電気化学セルにおいて、CH4 及びH
2 Oを含む混合ガスを外側電極近傍に導入する手段、及
び前記固体電解質を介して反対側の内側電極側に発生す
るH2 又はH2 を含むガスを取り出す手段を有すること
を特徴とする固体電解質型電気化学セルを提供する。
【0005】また本発明は、固体電解質の外側及び内側
にそれぞれ電極が設けられ、CH4及びH2 Oを含む混
合ガスを該外側電極近傍に導入する手段及び前記固体電
解質を介して反対側の内側電極側に発生するH2 又はH
2 を含むガスを取り出す手段を有してなる固体電解質型
電気化学セル、該固体電解質型電気化学セルの上方に設
けた酸素供給手段、及び該固体電解質型電気化学セルを
加熱する手段を有してなることを特徴とする水素製造装
置を提供する。
【0006】さらにまた本発明は固体電解質の外側及び
内側にそれぞれ電極を設けてなる電気化学セルを温度8
00〜1000℃に加熱し、前記外側電極近傍にCH4
及びH2 Oを含む混合ガスを導入し、該混合ガスを該電
気化学セルにおいて電気分解し、前記固体電解質を介し
て反対側の内側電極側に発生するH2 又はH2 を含むガ
スを取り出すことを特徴とする水素の製造方法を提供す
る。
【0007】本発明において前記固体電解質としては酸
素イオン導電体、水素イオン導電体、酸素イオン−電子
混合導電体、水素イオン−電子混合導電体を用いること
ができ、酸素イオン−電子混合導電体又は水素イオン−
電子混合導電体を用いた場合には外側電極と内側電極の
間に電圧を印加することなく電気分解することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】固体電解質として固体酸素イオン
導電体を使用した場合を例にとり、本発明の原理を図1
により説明する。本発明においては、管状の固体電解質
1の内外面に内側電極2及び外側電極3を各々設けてな
る電気化学セルに直流電源により電圧を印加しながら、
外側電極3にメタン(CH4 )と水蒸気(H2 O)を供
給する。これにより下記の1)〜3)のように水素(H2
を製造できる。 1)外側電極3では水蒸気が水素と酸素に電解されて、酸
素イオンは固体電解質1(酸素イオン導電体)中を内側
電極2へと移動してゆき、内側電極2で電解酸素が発生
する。メタン及び電解で生成した水素はセル外側を通過
して内側電極2側へと流入する。 2)内側電極2では上記メタンと電解酸素が反応して水素
と二酸化炭素を生成する。生成した水素と二酸化炭素を
セル外へ取り出す。 3)セル内でメタンを完全に酸化するために、上記電解酸
素が不足する場合は図示は省略したが、別に設けた酸素
供給セルから酸素を電気化学的に供給する。
【0009】固体電解質を用いた水素の製造としては前
記の水蒸気のみを原料とした方法が知られているが、
本発明は製造原料としてCH4 も利用できること、さら
に本発明は固体電解質として酸素イオン導電体の他、水
素イオン導電体、酸素イオン−電子混合導電体又は水素
イオン−電子混合導電体という各種固体電解質を使用で
きること、特にイオン−電子混合導電体を使用した場合
は外部からの電気分解用電気エネルギ供給が不要である
こと、という利点を有する。本発明に用いる固体電解質
の具体的な材料としては、この種分野で公知の固体電解
質、例えばYSZ、CSZ、MSZ等が挙げられる。ま
た、本発明の管状の固体電解質としては、両端開放型
(円筒型)でも先端閉鎖型(逆有底円筒型)でもよく、
さらには管状のベース表面に固体電解質を薄膜状に被覆
したものでもよい。該ベースとして導電性セラミックス
管を用いると該導電性セラミック管自体が電極として作
用できる。
【0010】図2を参照して、本発明の電気化学セルの
構成を更に具体的に説明する。固体電解質1として酸素
イオン導電体、例えばZrO2 −8mol%Y2 3
のYSZ、ZrO2 −15mol%CaO等のCSZ、
ZrO2 −15mol%MgO等のMSZなどを両端開
放型の円筒形に成形し、この円筒形の固体電解質1の内
外面に内側電極2及び外側電極3を設け、電気化学セル
(以下、単にセルと略記する場合もある)11とする。
各電極としては貴金属電極やNiを主成分とした電極を
用いることができる。図2中、4,5,6及び7はPt
製のリード線であり、電流計27,直流電源28,電圧
計29に図示のように接続されている。セル11は、円
筒形の固体電解質1の上部を開放端8とし、下部にはセ
ル固定フランジ9を貫通するガス出口10を設けること
により両端開放型となっている。電気炉12は発熱体1
3と上部気密板14及び下部気密板15からなり、この
下部気密板15の外側から電気炉12内へ貫通して、セ
ル11及びガス入口16が設けられている。
【0011】図2の電気化学セルを用いて水素を製造す
る方法を具体的に説明する。発熱体13によりセル11
を800〜1000℃に加熱し、固体電解質1の外側電
極3が陰極となるように直流電源28から電圧を印加す
る。ここでガス入口16から水蒸気とメタンの混合ガス
を原料ガスとして供給する。混合ガスのうち水蒸気は外
側電極3で電気分解されて、酸素イオンと水素ガスに分
解する。生成した水素はメタンと共に固体電解質1の管
の内側に流入する。酸素イオンは固体電解質1内を拡散
して内側電極2で電子を放出して酸素ガスとなり、ここ
で流入してきたメタンと反応して水素ガス及び二酸化炭
素を生成する。以上により生成したガス及び未反応ガス
の混合ガスをガス出口10から取り出し、該混合ガス中
の二酸化炭素をPSA(圧力スイング吸着法)等により
除去したあと水素のみを回収する。
【0012】ところで、図2の例では、内側電極2での
酸化反応用として酸素を補給するための酸素補給セル2
1がセル11の上方に取り付けられている。該酸素供給
セル21はYSZ製の緻密管17の先端部分18を閉じ
た構造であり、先端部分18の内側及び外側に貴金属電
極19及び20を設けてある。22,23,24及び2
5はPt製のリード線であり、電流及び電圧測定用であ
る。緻密管17の他端26から空気を導入し、貴金属電
極19及び20の間に電圧を印加して、空気中の酸素を
電解させることにより、化3に示す(4),(5)
【化3】
貴金属電極19の反応: O2 + 4e- → 2O2- (4) 貴金属電極20の反応: 2O2- → O2 + 4e- (5) の反応により酸素を発生させ、必要な酸素を供給する。
酸素供給セル21の作動は、ガス入口16より混合ガス
として供給する水蒸気の量がメタンを完全酸化するのに
不足する場合のみ行なう。
【0013】本発明において、ガス入口16より供給す
る混合ガスにおけるCH4 /H2 Oの混合比は任意であ
るが、例えばCH4 /H2 O=1/1(モル比)の場合
の化学反応は化4に示す(6)〜(8)のとおりであ
る。
【化4】 セル外側電極:H2 O=H2 + 1/2O2(電解酸素) (6) セル内側電極:CH4 + 1/2O2(電解酸素)+ 1/2O2(供給酸素) =CO2 +2H2 (7) トータル反応:H2 O+ 1/2O2(供給酸素)+CH4 =CO2 +3H2 (8)
【0014】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。 〔実施例1〕図2の本発明装置を作製した。電気化学セ
ル11の酸素イオン導電体からなる固体電解質1は、Y
SZ粉体を成型して製造した。具体的にはYSZ(Zr
2−8mol%Y2 3 )粉体を外径63mm、内径
62mm、長さ250mmの管状に成型し、電気炉によ
り、空気中、1500℃で5時間焼成した。焼成後の寸
法は外径約50mm、内径約49mm及び長さ約200
mmであった。図3に示すようにこの酸素イオン導電体
1の管の内外面に白金からなる内側電極2及び外側電極
3を付けた。図3中のa、b及びcは夫々電極位置(長
さ)を示し、本実施例ではa:20mm、b:100m
m、c:200mmである。内側電極2及び外側電極3
の製法は、長さ約100mmとなるように白金ペースト
を塗布し、150℃で1時間乾燥後、1000℃で1時
間焼成した。電極の厚さが約100μmとなるようにこ
の塗布/焼成を数回繰り返した。焼成後の電極表面全体
に白金ネットを白金ペーストとともに取り付け、150
℃で1時間乾燥後、1000℃で1時間焼成した。内外
電極2及び3のそれぞれから2本づつリード線(白金
製)4,5,6及び7を取り出し、電流および電圧計測
用とした。
【0015】酸素供給セル21はYSZ粉体を外径約2
5mm、内径24mm,長さ250mmの管状に成型
し、電気炉により、空気中、1500℃で5時間焼成し
た。焼成後の寸法は外径約20mm,内径約19mmお
よび長さ約200mmであった。この酸素イオン導電体
の管17の内外面に図2のような位置に白金からなる内
側電極19及び外側電極20を付けた。各電極19,2
0は長さ約30mmとなるように白金ペーストを塗布
し、150℃で1時間乾燥後、1000℃で1時間焼成
した。白金電極の厚さが約100μmとなるように塗布
/焼成を数回繰り返した。焼成後の電極表面全体に白金
ネットを白金ペーストとともに取り付け、150℃で1
時間乾燥後、1000℃で1時間焼成した。内側電極1
9及び外側電極20の各々から2本ずつ白金製のリード
線22,23,24及び25を取り出し、電流及び電圧
計測用とした。
【0016】上記のように作製した電気化学セル11及
び酸素供給セル21を図2のように電気炉12に設置
し、後記の条件で加熱及び電圧印加をして、水蒸気とメ
タンの混合ガスをガス入口16より外側電極3へ供給し
た。該混合ガスは外側電極3で反応した後、セル11の
上部から内側へ流通し、内側電極2で反応した後、ガス
出口10より排気した。排気ガスの成分は水蒸気をトラ
ップしてガスクロマトグラフィー装置で測定した。なお
前記混合ガスは2%メタンガス(窒素バランス)500
cc/minを室温(24〜25℃)の蒸留水に通気し
て、水蒸気を飽和(2%:0.00016リットル/s
ec)させて供給した。該混合ガスのメタン/水蒸気の
モル比は約1/1であり、前記の式(8)によるメタン
の完全酸化に必要な酸素が水蒸気から供給できないた
め、電解に加えて酸素供給が必要である。このとき、セ
ル11で水蒸気を完全に電解するために必要な電流値I
(H2 O)は、化5の式(9)に示すようにファラデー
の法則から1.43Aである。
【化5】 I(H2O)=0.00016 リットル/sec× 2×96484/22.414 =1.43(A) (9)
【0017】そこで酸素供給セル21を作動してセル1
1の内側電極2に酸素を供給した。酸素供給セル21の
内側には空気を500cc/min供給した。セル11
及び酸素供給セル21を1000℃まで昇温し、100
0℃到達後にセル11及び酸素供給セル21へ電圧を印
加した。印加電圧は、それぞれ最大1.5Vとした。図
5に印加電圧(V)と電気化学セル11の電流値(A)
を○印で示す。1.5Vで供給水蒸気を完全に電解する
約1.4Aが得られた。また酸素供給セル21では1.
5Vで約1.4Aが得られ、セル11に1.2V,酸素
供給セルに1.4V印加で式(8)が成立する電気量を
満足した。
【0018】電気化学セル11の排気成分をガスクロマ
トグラフィー分析の結果、電気化学セルに1.2V、酸
素供給セルに1.4Vの印加状態で、水素(H2 )が約
5.8%、二酸化炭素(CO2 )が約1.6%、及び残
り窒素(N2 )のガス組成が得られた。式(8)が成立
した場合の理論排ガス組成は水素約6%、二酸化炭素約
2%である。排ガス中にはメタン及び一酸化炭素は存在
しなかったこと、及び排ガス組成が理論値と同程度であ
ったことから、本発明の装置により、また上記の電圧印
加により式(8)のように反応が進行したことが判っ
た。すなわち、本発明の装置により酸素イオン導電体製
固体電解質管の内外面に電極を設けたセルにメタンと水
蒸気を供給し、外部から電圧を印加することにより水素
を製造できる。
【0019】〔実施例2〕本実施例においては、メタン
と水蒸気から水素を生成するに際して、内側電極として
作用する導電性セラミックス製の管の表面に薄膜化した
固体電解質を設け、該固体電解質の外面に電極を設けた
セルに電圧を印加して水素を製造する。図4のように導
電性のセラミックス管32の外表面に固体電解質31と
して酸素イオン導電体、例えばZrO2 −8mol%Y
2 3 (YSZ)、ZrO2 −15mol%CaO(C
SZ)、ZrO2 −15mol%MgO(MSZ)など
を成膜し、さらに固体電解質膜31の表面に外側電極3
3を付け、導電性セラミックス管32にはリード線34
および35を、また外側電極33にはリード線36およ
び37を取り付け、両端開放型の円筒形の電気化学セル
とする。導電性セラミックス管32の厚さは2〜3m
m、固体電解質31の膜厚は10〜20μmである。す
なわち、実施例1の固体電解質を薄膜化して、導電性セ
ラミックス管32を内側電極として用い、セルを作動さ
せることが本実施例の特徴である。セルを800〜10
00℃に加熱し、セルの外側から水蒸気とメタンの混合
ガスを供給して固体電解質の外側を陰極となるように外
部から電圧を印加する。実施例1と同様に、反応に必要
な酸素は酸素供給セルから供給できる。
【0020】(電気化学セルの製造)導電性セラックス
管31としてはNiO/YSZを用いた。平均粒径が
1.2μmのNiO粉体と平均粒径が3.5μmのYS
Z粉体を重量比で60:40となるように混合し、外径
63mm,内径62mm,長さ250mmの管状に成型
した。この導電性セラミックス管の外表面に、固体電解
質1としてYSZ膜をスクリーン印刷法で成膜した。す
なわち、YSZ粉体とエチレングリコールを重量比で3
0:70となるように混合してペースト状態とし、この
ペーストを厚さ10μm、長さ10cmとなるようにス
クリーン印刷し、電気炉により、空気中、1500℃で
5時間焼成した。焼成後の導電性セラミックス管の寸法
は外径約50mm、内径約49mm、及び長さ約200
mmであった。
【0021】この導電性セラミックス管32の表面に形
成した固体電解質(酸素イオン導電体)31の外側に図
4のように外側電極33を付けた。図4中のa′,b′
及びc′は夫々電極等の位置(長さ)を示し、本実施例
ではa′:20mm、b′:100mm、c′:200
mmである。外側電極33は長さ約100mmとなるよ
うに白金ペーストを塗布し、150℃で約1時間乾燥
後、1000℃で1時間焼成した。白金電極の厚さが約
100μmとなるように塗布/焼成を数回繰り返した。
焼成後の白金電極表面全体に白金ネットを白金ペースト
とともに取り付け、150℃で1時間乾燥後、1000
℃で1時間焼成し、外側電極33とした。導電性セラミ
ックス管32及び外側電極33それぞれから2本ずつ白
金製のリード線34〜37を取り出し、電流及び電圧計
測用とした。なお、酸素供給セルは実施例1と同様に製
作した。
【0022】(電気化学セルによる水素の製造)実施例
1と同様の電気炉に本実施例で作製したセル及び酸素供
給セルを設置し、水蒸気とメタンの混合ガスを電気化学
セルの外側電極33へ供給した。供給ガスその他の条件
は実施例1と全て同様である。印加電圧は、それぞれ最
大1.5Vとした。図5に本実施例の電流−電圧特性を
□印で示す。1.2Vの印加で供給水蒸気を完全に電解
する約1.4Aが得られた。また酸素供給セルでは1.
5Vの印加で約1.4Aが得られ、電気化学セルに1.
2V,酸素供給セルに1.5V の印加で式(8)が成
立する電気量を満足した。電気化学セルの排気ガスをガ
スクロマトグラフィー分析した結果、電気化学セルに
1.2V、酸素供給セルに1.5Vの印加状態で、水素
が約5.3%、二酸化炭素が約1.4%、及び残り窒素
のガス組成が得られた。排ガス中にはメタン及び一酸化
炭素は存在しなかったこと、及び排ガス組成が理論値と
同程度であったことから、式(8)の反応が進行したこ
とが判った。すなわち、、導電性セラミックス管の表面
に酸素イオン導電性固体電解質の薄膜を設け、該薄膜外
面に電極を設けたセルにメタンと水蒸気を供給し、導電
性セラミック管と外側電極の間に外部から電圧を印加す
ることにより水素を製造できる。
【0023】〔実施例3〕本実施例においては、メタン
と水蒸気から水素を生成するに際して、炭素の析出の抑
制や反応温度の制御を容易に行なうために、酸素イオン
−電子混合導電性(酸素イオン伝導に加えて電子伝導性
を有する性質)を有する固体電解質を用いて水素を製造
する。酸素イオン−電子混合導電体としては、例えばZ
rO2 −8mol%Y2 3(YSZ)−10mol%
TiO2 (YTSZ)を用い、該混合導電体を実施例1
と同様の両端開放型の円筒形に成形し、この円筒形固体
電解質の内外面に貴金属電極やNiを主成分とした金属
電極を設けて電気化学セルとし、実施例1と同様の電気
炉に設置する。セルを800〜1000℃に加熱し、電
気化学セルの外側から水蒸気とメタンの混合ガスを供給
する。供給ガスの混合比は任意であるが、例えばCH4
/H2 O=1/1のモル比で供給する場合を考える。図
6の模式図に示すように供給された水蒸気は外側電極4
3で酸素イオンと水素ガスに分離し、酸素イオンは電気
化学セルの内側電極42に向けて酸素イオン−電子混合
導電体41内を拡散する。拡散した酸素イオンは内側電
極42において電子を放出し、酸素ガスとなる。放出さ
れた電子は固体電解質(酸素イオン−電子混合導電体4
1)内部を外側電極43に向かって拡散する。すなわ
ち、酸素イオン−電子混合導電体を用いたことにより、
外部から電圧を印加することなく、水蒸気は酸素イオン
と水素ガスに分解される。供給した混合ガスのメタンは
内側電極42に流通し、水蒸気電解で発生した酸素によ
り酸化されて、炭酸ガスと水素ガスを生じる。生成した
水素ガス及び二酸化炭素は、電気化学セル内側へ排気さ
れる。本実施例の電気化学セルでは、外部から電圧を印
加することなく、固体電解質内部のイオンと電子の流れ
によって、反応を進行させるが、反応の駆動力は固体電
解質内外の酸素分圧差である、反応を進行させるには、
常に固体電解質内外の酸素分圧差を維持することが必要
である。
【0024】酸素供給セルはYSZ製の緻密管で、その
一端は閉じた構造となっており、YSZ管の閉じた先端
部分の内外面に貴金属電極を設けてある。この貴金属電
極間に電圧を印加して、必要な酸素を供給する。酸素供
給セルの作動は供給する水蒸気の量がメタンを完全酸化
するのに不足する場合のみ行なう。電気化学セル内側の
排気ラインには、水素及び二酸化炭素が含まれるが、二
酸化炭素を除去した後、水素のみを回収する。
【0025】(電気化学セルの作製)電気化学セルの、
酸素イオン−電子の混合導電性を有する固体電解質とし
ては、ZrO2 −8mol%Y2 3 −10mol%T
iO2 (YTSZ)粉体を成型し製造した。製造寸法は
実施例1と同様である。この酸素イオン−電子混合導電
性の管の内外面にに実施例1と同様の位置に白金電極を
取り付けた。本実施例では電極からリード線は取り付け
ていない。電極の焼成条件は実施例1と同様である。酸
素供給セルは実施例1と同様にYSZを用いて作製し
た。
【0026】(電気化学セルによる水素の製造)実施例
1と同様の条件で水素を製造した。電気化学セル及び酸
素供給セルを電解炉に設置し、水蒸気とメタンの混合ガ
スを電気化学セル外側電極へ供給した。供給ガスは電気
化学セルの外側電極で反応した後、その上部から電気化
学セル内側へ流通し、内側電極で反応した後排気した。
排気ガスの成分は、水蒸気をトラップしてガスクロマト
グラフィーで測定した。混合ガスは、2%メタンガス
(窒素バランス)500cc/minを室温(24〜2
5℃)の蒸留水に通気して水蒸気を飽和(2%:0.0
0016リットル/sec)させて供給した。供給した
混合ガスのメタン/水蒸気のモル比は約1/1であり、
メタンの完全酸化に必要な酸素が、水蒸気から供給でき
ないため、酸素セルを作動して電気化学セルの内側電極
へ酸素を供給した。この不足酸素を供給するのに必要な
電流値はファラデーの法則から約1.43Aである。酸
素供給セルの内側には空気を500cc/minで2m
in供給した。電気化学セル及び酸素供給セルを800
℃まで昇温し、800℃到達後に酸素供給セルに電圧を
印加してメタン酸化に不足している酸素を供給した。電
気化学セルの排気をガスクロマトグラフィー分析した結
果、電気化学セルに上記混合ガスを流通した状態で、水
素が約4.8%、二酸化炭素が約1.3%、及び残り窒
素のガス組成が得られた。式(8)が成立した場合の理
論排ガス組成は水素6%、二酸化炭素2%である。排ガ
ス中にはメタン及び一酸化炭素を存在しなかったことか
ら、式(8)が進行したことが判った。排ガス組成は理
論値より低かったが、外部から電力を投入することな
く、水素と二酸化炭素が生成した。このように、酸素イ
オン−電子混合導電性固体電解質にメタンと水蒸気を供
給し、外部から電力を投入することなく、容易に水素を
製造できる。
【0027】〔実施例4〕固体電解質として酸素イオン
と電子の混合導電体、例えばZrO2 −8mol%Y2
3 −10mol%TiO2 (YTSZ)を用い、この
酸素イオン−電子混合導電体を実施例2のように、導電
性セラミックス管の表面に薄膜化して成膜し、両端開放
型の円筒形として、この固体電解質(混合導電体)の外
面に貴金属電極又はNiを主成分とした金属電極を外側
電極として設けた。すなわち、図4の固体電解質31で
ある酸素イオン導電体に代えて酸素イオン−電子混合導
電体を用いて電気化学セルとする。該電気化学セルを8
00〜1000℃に加熱し、セルの外側から水蒸気とメ
タンの混合ガスを供給する。供給された水蒸気は外側電
極で酸素イオンと水素ガスに分離し、酸素イオンはセル
の内側電極に拡散する。拡散した酸素イオンは電子を放
出し、酸素ガスとなる。放出された電子は固体電解質内
部を外側電極に向かって拡散する。すなわち、外部から
電圧を印加することなく、水蒸気は酸素イオンと水素ガ
スに分解される。すなわち、本発明はメタンと水蒸気か
ら水素を生成するに際して、酸素イオン−電子の混合導
電性を有する固体電解質を用いて電圧の印加なく電解す
るため、炭素の析出の抑制や反応温度の制御は容易であ
り、従来より効率良く水素を製造できる。
【0028】(電気化学セルの作製と水素の製造)導電
性セラミックス管は実施例2と同様に作製した。電気化
学セルの酸素イオン−電子の混合導電性を有する固体電
解質は、ZrO2 −8mol%Y2 3 −10mol%
TiO2 (YTSZ)を用いて実施例2と同様に製造し
た。水素の製造は電力投入をしない点以外は実施例2と
同様の条件で実施した。電気化学セル及び酸素供給セル
を800℃まで昇温し、800℃到達後に酸素供給セル
に電圧を印加してメタン酸化に不足している酸素を供給
した。電気化学セルの排気をガスクロマトグラフィー分
析した結果、電気化学セルに上記混合ガスを流通した状
態で、水素が約5.3%、二酸化炭素が約1.7%、及
び残り窒素のガス組成が得られた。式(8)が成立した
場合の理論排ガス組成は水素6%、二酸化炭素2%であ
る。排ガス中にはメタン及び一酸化炭素は存在しなかっ
たことから、式(8)が進行したことが判った。排ガス
組成は理論値より低かったが、外部から電力を投入する
ことなく、水素と二酸化炭素が生成した。以上のよう
に、酸素イオン−電子混合導電性固体電解質を導電性セ
ラミックス管上に薄膜化し、これにメタンと水蒸気を供
給すると、外部から電力を投入することなく、容易に水
素を製造できる。
【0029】〔実施例5〕固体電解質として水素イオン
導電体、例えばSrCeO3 ,BaCeO3 ,SrZr
3 などを用い、図7に示すように水素イオン導電体5
1を先端を閉じた円筒形に加工して、この円筒形の水素
イオン導電体51の内外面に貴金属電極やNiを主成分
とした金属電極を設けて、電気化学セルとする。該電気
化学セルを800〜1000℃に加熱し、セルの外側か
ら水蒸気とメタンの混合ガスを供給して水素イオン導電
体の内側を陰極となるように外部から電圧を印加する。
供給ガスの混合比は任意であるが、例えばCH4 /H2
O=1/1のモル比で供給する場合を考える。図8の模
式図に示すように供給された混合ガスのうち水蒸気は外
側電極53で電気分解されて水素イオンと酸素ガスに分
解する。水素イオンは固体電解質(水素イオン導電体5
1)内を拡散して内側電極52で電子を受け取り、水素
ガスとなる。電気分解で生成した水素ガスはセル内側を
通過して排気される。炭素は水蒸気電解で発生した酸素
と化合して一酸化炭素を生成する。セル内側の排気ライ
ンには、水素のみが含まれる。これらの化学反応を化6
の(9)〜(12)に示す。
【化6】セル外側電極 H2 O=水素+1/2 O2 (電解酸素) (9) CH4 =C+2H2 (8) C+1/2 酸素( 電解酸素)=CO (10) セル内側電極 2H+ +2e- =H2 (11) トータル反応 H2 O + CH4 =CO +3H2 (12) すなわち、トータル反応(12)としてはメタンの改質
反応(3)と同一であるが、水素イオン導電性を有する
固体電解質を用いた電解反応を利用するため、炭素の析
出を抑制でき、反応温度の制御も容易であり、効率良く
水素を製造することができる。
【0030】(電気化学セルの作製)電気化学セルの水
素イオン導電体は、CaZrO3 (CZO)粉体を成型
して製造した。CZO粉体を用いて実施例1と同様形状
の円筒を作製し、円筒上部には円形の蓋を付けて一端を
閉じた。円形の蓋はCZOからなり、蓋と円筒の間はガ
ラスを接着して、1200℃で1時間、空気中で接合し
た。この水素イオン導電体の管の内外面に実施例1の図
3と同様の位置にNiO/YSZ電極を付けた。電極は
長さ約100mmとなるように電極材料を塗布し、15
0℃で1時間乾燥後、1000℃で1時間焼成した。電
極の厚さが約100μmになるように塗布/焼成を数回
繰り返した。焼成後の電極表面全体に白金ネットを白金
ペーストとともに取り付け、150℃で1時間乾燥の
後、1000℃で1時間焼成した。内外電極それぞれか
ら2本ずつリード線(白金)を取り出し、電流及び電圧
計測用とした。
【0031】なお、前記NiO/YSZ電極材料は次の
ように調製した。硝酸ニッケル80gを蒸留水200g
中に溶解し、約80℃で蒸留水を蒸発させて乾燥物を得
た。これを1000℃で5時間、空気中で焼成してNi
Oを得た。酸化ジルコニウム86gと酸化イットリウム
14gをボールミル中で混合し、これを空気中1500
導電性で焼成し、ジルコニア−イットリア固溶体(YS
Z)を得た。NiOとYSZを、重量比で8:2とした
もの100gと、蒸留水100gをボールミルで10時
間混合し電極材料とした。
【0032】(電気化学セルによる水素の製造)図9に
示すように上記で得られた電気化学セル61を電気炉6
2に設置し、水蒸気とメタンの混合ガスをガス入口60
から外側電極53へ供給し、反応させた後、ガス出口6
8から排気した排気ガス中の水素濃度をガスクロマトグ
ラフ装置により測定した。電気化学セル61の内側に
は、窒素ガス導入口66から窒素ガスを流通させ、発生
した水素ガスを排気口67からセル外部に排気した。こ
の排気ガス中の水素濃度もガスクロマトグラフ装置によ
り測定した。なお、図9中54,55,56及び57は
リード線、58は固体電解質の管の閉じた先端部、59
はセル固定フランジ、64は上部気密板、65は下部気
密板を表す。
【0033】電気化学セル61の外側に供給した混合ガ
スは、2%メタンガス(窒素バランス)500cc/m
inを室温(24〜25℃)の蒸留水に通気して、水蒸
気を飽和(2%:0.00016Nl/sec)させて
供給した。該混合ガスのメタン/水蒸気のモル比は約1
/1であり、このとき電気化学セルで水蒸気を完全に電
解するために必要な電流値I(H2 O)は、化7の式
(13)に示すようにファラデーの法則から1.43A
である。
【化7】 I(H2O)=0.00016 リットル/sec× 2×96484/22.414 =1.43(A) (13) また、メタン分解に要する電気量は、同様にして2.8
6Aであり、1.43+2.86=4.29Aで供給し
た水蒸気とメタンを100%電解する。図11に本実施
例における印加電圧と電気化学セルの電流値を○印で示
す。印加電圧は最大1.5Vとし、1.5Vで供給水蒸
気を完全電解する約4.25Aを得た。
【0034】電気化学セル61の内側からの排気(排気
口67からの排気)をガスクロマトグラフ分析した結
果、電気化学セルが4.25Aの状態で、水素濃度が
5.2%得られていた。式(12)が成立する場合の発
生水素量は、供給水蒸気(標準状態)の3倍であるが、
試験条件は水蒸気を0.00016Nl/secで供給
しているので、理論水素量は、その3倍、すなち0.0
0048Nl/sec(28.8cc/min)であ
る。セル内側は500cc/minの窒素を流通してい
るので、発生水素の理論濃度は5.45%である。発生
水素濃度が理論値と同程度であったことから、式(1
2)が進行したことが判った。以上のように本実施例か
ら、水素イオン導電性固体電解質にメタンと水蒸気を供
給し、外部から電圧を印加する電解操作で水素を製造で
きることがわかる。
【0035】〔実施例6〕実施例5の水素イオン導電体
を固体電解質として、先端の閉じたセラミックス管の表
面に薄膜化して成膜し、該水素イオン導電体の膜外面に
貴金属電極やNiを主成分とした電極を外側電極として
設けて、図10に示すような電気化学セルとする。該電
気化学セルを800〜1000℃に加熱し、電気化学セ
ルの外側から水蒸気とメタンの混合ガスを供給し、導電
性セラミックス管が陰極となるように外部から電圧を印
加することにより、メタンと水蒸気から水素と一酸化炭
素を生成する。すなわち、本実施例では、いわゆるメタ
ンの水蒸気改質反応に際して、導電性セラミックス管の
表面に薄膜化した水素イオン導電性を有する固体電解質
を成膜した電気化学セルを用いる。
【0036】(電気化学セルの作製及び水素の製造)実
施例2と同様の材料を用い、実施例2と同様に円筒形状
の導電性セラミックス管を作製した。円筒の蓋は導電性
セラミックス管と同一組成からなり、蓋と円筒の間はガ
ラスを接着して、1200℃で1時間、空気中で加熱接
合した。また、電気化学セルの水素イオン導電体は、C
aZrO3 (CZO)粉体を使用し、実施例2と同様の
方法で成膜した。この水素イオン導電体の管の外面に実
施例5と同様にNiO/YSZ電極を付けた。実施例5
と同様に電気化学セルを電気炉に設置し、実施例5と同
様の条件で水素を製造した。図11に印加電圧と電気化
学セルの電流値を□印で示す。1.2Vで供給水蒸気を
完全に電解する約4.25Aが得られた。電気化学セル
の内側からの排気ガスをガスクロマトグラフ分析した結
果、電気化学セルが4.25Aの状態で、水素濃度が
5.35%が得られた。発生水素の理論濃度は5.45
%であるが、本実施例による発生水素濃度が理論値と同
程度であったことから、式(12)が進行したことが判
った。このように本発明によれば導電性セラックス管の
表面に薄膜化した水素イオン導電性固体電解質を設け、
これにメタンと水蒸気を供給し、外部から電圧を印加す
る電解操作で水素を製造できる。
【0037】[実施例7]固体電解質に水素イオン−電
子の混合導電体、例えばSr0.9 Ce0.1 TiO 3 (S
TC)などを使用し、この導電体を実施例5と同様に、
先端を閉じた円筒形に加工して、この円筒形固体電解質
の内外面に貴金属電極やNiを主成分とした電極を設け
て、電気化学セルとする。セルを800〜1000℃に
加熱し、セルの外側から水蒸気とメタンの混合ガスを供
給する。供給ガスの混合比は任意であるが、例えばCH
4 /H2 O=1/1のモル比で供給する場合を考える。
図12に示すように供給された水蒸気は外側電極83で
電子を放出し、放出された電子は固体電解質(水素イオ
ン−電子混合導電体)81の内部を内側電極82へ拡散
する。拡散した水素イオンは電子を受け取り、水素ガス
となる。すなわち、外部から電圧を印加することなく、
水蒸気は酸素イオンと水素ガスに分解される。本実施例
の電気化学セルでは、外部から電圧を印加することな
く、固体電解質内部のイオンと電子の流れによって、反
応を進行させるが、反応の駆動力は固体電解質内外の水
素分圧差である、反応を進行させるには、常に固体電解
質内外の水素分圧差を維持することが必要である。
【0038】(電気化学セルの作製及び水素の製造)電
気化学セルの水素イオン導電体は、Sr0.9 Ce0.1
iO3 (STC)粉体を成型して製造した。SCT粉体
を用いて実施例5と同様形状の円筒を作製し、円筒上部
には円形の蓋を付けて一端を閉じた。円形の蓋はSCT
からなり、蓋と円筒の間はガラスを接着して、1200
℃で1時間、空気中で加熱接合した。NiO/YSZ電
極は実施例3と同様の方法で作製し、電極の厚さが約1
00μmとなるように塗布/焼成を数回繰り返した。実
施例5と同様に電気化学セルを電気炉に設置し、水蒸気
とメタンの混合ガスを電気化学セルの外側電極71に供
給し、該供給ガスを電気化学セル外側電極71の回りに
流通させ、反応させた後、その上部から排気した。排気
ガスの成分は水蒸気をトラップしてガスクロマトグラフ
装置で測定した。セルの内側には、窒素ガスを流通さ
せ、発生した水素ガスをセル外部に排気した。排気ガス
中の水素濃度はガスクロマトグラフ装置で測定した。な
お、セル外側に供給した混合ガスは、2%メタンガス
(窒素バランス)500cc/minを室温(24〜2
5導電性)の蒸留水に通気して、水蒸気を飽和(2%:
0.00016Nl/sec)させて供給した。供給し
た混合ガスのメタン/水蒸気のモル比は約1/1であ
る。
【0039】混合ガスを流通させた状態で、電気化学セ
ルの内側からの排気ガスを分析した結果、セル内側の水
素濃度は3.8%が得られた。また、外側電極からの排
気ガスを分析した結果、一酸化炭素のみが検出された。
式(12)が成立する場合の発生水素量は、供給水蒸気
量(標準状態)の3倍である。時間条件は水蒸気を0.
00016Nl/sec供給しているので、理論水素量
は、その3倍、すなわち0.00048Nl/sec
(28.8cc/min)である。セル内側は500c
c/minの窒素を流通しているので、発生水素の理論
濃度は5.45%である。発生水素濃度が理論値より低
かったが、外側電極出口で一酸化炭素のみが検出された
ことから、式(12)が進行したことが判った。本実施
例の結果に示されるように、本発明によれば水素イオン
−電子混合固体電解質にメタンと水蒸気を供給するだけ
で、水素を製造できる。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明の固体電解質型電
気化学セルを用いて、メタン及び水蒸気を原料とし、該
原料を電解することにより、炭素析出の抑制及び反応温
度制御のいずれも容易に行なうことができ、効率よく水
素を製造することができる。この際、固体電解質として
酸素イオン導電体、又は水素イオン導電体を用いた場合
には電圧印加が必要であるが、酸素イオン−電子混合導
電体又は水素イオン−電子混合導電体を固体電解質とし
て用いれば、電圧を印加することなく、すなわち外部か
らの電気分解用の電気エネルギーを要せずに、エネルギ
効率良く水素を製造することができる。また、本発明に
おいては電解酸素のみでは必要酸素量に達しない場合に
は、酸素供給電極を電解セル内側に設けて空気等の電解
により酸素を供給すればよいので、この点でもエネルギ
効率良く水素を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気化学セルの原理を説明する模式
図である。
【図2】 本発明の実施例1を説明する概略断面図であ
る。
【図3】 本発明の実施例1の電気化学セルの構造を説
明する概略断面図である。
【図4】 本発明の実施例2の電気化学セルの構造を説
明する概略断面図である。
【図5】 本発明の実施例1及び実施例2の電流−電圧
特性図である。
【図6】 本発明の実施例3を説明する模式図図であ
る。
【図7】 本発明の実施例5の電気化学セルの構造を説
明する概略断面図である。
【図8】 本発明の実施例5の電気化学セルの原理を説
明する模式図である。
【図9】 本発明の実施例5を説明する概略断面図であ
る。
【図10】本発明の実施例6の電気化学セルの構造を説
明する概略断面図である。
【図11】本発明の実施例5及び実施例6の電流−電圧
特性図である。
【図12】本発明の実施例7の電気化学セルの原理を説
明する模式図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質の外側及び内側にそれぞれ電
    極を設けてなる電気化学セルにおいて、CH4 及びH2
    Oを含む混合ガスを外側電極近傍に導入する手段、及び
    前記固体電解質を介して反対側の内側電極側に発生する
    2 又はH2を含むガスを取り出す手段を有することを
    特徴とする固体電解質型電気化学セル。
  2. 【請求項2】 前記固体電解質の形状が両端開放筒状又
    は逆有底円筒であること特徴とする請求項1記載の固体
    電解質型電気化学セル。
  3. 【請求項3】 前記内側電極が筒状又は逆有底円筒の導
    電性セラミックスからなり前記固体電解質が前記導電性
    セラミックス表面に膜状に形成されてなることを特徴と
    する請求項1記載の固体電解質型電気化学セル。
  4. 【請求項4】 前記固体電解質が酸素イオン導電体であ
    り、外側電極及び内側電極間に電圧を印加する手段を有
    することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか
    に記載の固体電解質型電気化学セル。
  5. 【請求項5】 前記固体電解質が水素イオン導電体であ
    り、外側電極及び内側電極間に電圧を印加する手段及び
    外側電極側に発生するCOを含むガスを取り出す手段を
    有することを特徴とする請求項1記載の固体電解質型電
    気化学セル。
  6. 【請求項6】 前記固体電解質が酸素イオン−電子混合
    導電体であることを特徴とする請求項1記載の固体電解
    質型電気化学セル。
  7. 【請求項7】 前記固体電解質が水素イオン−電子混合
    導電体であり、外側電極側に発生するCOを含むガスを
    取り出す手段を有することを特徴とする請求項1記載の
    固体電解質型電気化学セル。
  8. 【請求項8】 固体電解質の外側及び内側にそれぞれ電
    極が設けられ、CH 4 及びH2 Oを含む混合ガスを該外
    側電極近傍に導入する手段及び前記固体電解質を介して
    反対側の内側電極側に発生するH2 又はH2 を含むガス
    を取り出す手段を有してなる固体電解質型電気化学セ
    ル、前記内側電極近傍に酸素を供給する酸素供給手段、
    及び該固体電解質型電気化学セルを加熱する手段を有し
    てなることを特徴とする水素製造装置。
  9. 【請求項9】 前記酸素供給手段が固体電解質の外側及
    び内側にそれぞれ電極を設けてなり、外側電極及び内側
    電極の間に電圧を印加しながら内側電極に酸素含有ガス
    を導入することにより外側電極側に酸素を発生できる酸
    素供給セルであることを特徴とする請求項8記載の水素
    製造装置。
  10. 【請求項10】 固体電解質の外側及び内側にそれぞれ
    電極を設けてなる電気化学セルを温度800〜1000
    ℃に加熱し、前記外側電極近傍にCH4 及びH2 Oを含
    む混合ガスを導入し、要すれば前記内側電極側に酸素を
    供給しながら該混合ガスを該電気化学セルにおいて電気
    分解し、前記固体電解質を介して反対側の内側電極側に
    発生するH2 又はH2 を含むガスを取り出すことを特徴
    とする水素の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記固体電解質が酸素イオン導電体又
    は水素イオン導電体からなり、外側電極及び内側電極の
    間には電圧を印加しながら電気分解することを特徴とす
    る請求項10記載の水素の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記固体電解質が酸素イオン−電子混
    合導電体又は水素イオン−電子混合導電体からなり、外
    側電極及び内側電極の間には電圧を印加せずに電気分解
    することを特徴とする請求項11記載の水素の製造方
    法。
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