JPH1123796A - 多層膜x線反射鏡 - Google Patents

多層膜x線反射鏡

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JPH1123796A
JPH1123796A JP9183594A JP18359497A JPH1123796A JP H1123796 A JPH1123796 A JP H1123796A JP 9183594 A JP9183594 A JP 9183594A JP 18359497 A JP18359497 A JP 18359497A JP H1123796 A JPH1123796 A JP H1123796A
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multilayer
ray
reflectance
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JP9183594A
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Wakana Ishiyama
若菜 石山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟X線領域において波長30.4nmのHe輝線ス
ペクトル(He II)を反射しない多層膜X線反射鏡を提供
すること。 【解決手段】 軟X線領域における屈折率と真空の屈折
率との差が大きい物質からなる第1層2と、前記差が小
さい物質からなる第2層3とを基板1上に交互に繰り返
し積層してなる多層膜X線反射鏡において、前記積層に
おける最上層4の厚さを波長30.4 nm の光に対する反射
率を低減させる様に最適化したことを特徴とする多層膜
X線反射鏡。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟X線領域で用い
られる多層膜反射鏡、特に太陽観察を行うためのX線望
遠鏡に用いて好適な多層膜X線反射鏡に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】X線領域における物質の複素屈折率は、
n=1−δ−ik(δ、k:実数、kはX線の吸収を示
す)で表され、δ、kとも1に比べて非常に小さい。そ
のため、X線領域では可視光領域のような屈折を利用し
たレンズは利用できない。そこで、反射を利用した光学
系が用いられる。
【0003】しかし、全反射臨界角θc(波長10nm
で20゜程度以下)よりも垂直に近い入射角では、反射
率が非常に小さいので、界面の振幅反射率がなるべく高
い物質の組み合わせを何層も積層することにより、反射
面を多数(例えば数百層も)設けて、それぞれの反射波
の位相が合うように、光学干渉理論に基づいて各層の厚
さを調整した多層膜X線反射鏡が用いられる。
【0004】より具体的に説明すれば、多層膜X線反射
鏡は使用するX線波長における屈折率と真空の屈折率
(=1)との差が大きい物質層(第1層)と、差の小さ
い物質層(第2層)とを交互に多数積層することによっ
て得られる。その代表例として、W(タングステン)/
C(炭素)、Mo(モリブデン)/Si(シリコン)な
どの組み合わせが従来から知られており、スパッタリン
グ、真空蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition )
などの薄膜形成技術により形成されている。
【0005】多層膜X線反射鏡は、X線を垂直に反射す
ることも可能なので、全反射を利用した斜入射光学系よ
りも収差の小さい光学系を構成することができる。ま
た、多層膜X線反射鏡はブラッグの式:2dsinθ=
mλ(d:多層膜の周期長、θ:斜入射角、λ:X線の
波長、m:正の整数)を満たすときのみX線を強く反射
するので波長選択性を有する。なお、dは前記屈折率の
差が小さい物質層と大きい物質層を各1層ずつ積層した
積層体の層厚(膜厚)に相当する。
【0006】近年、X線望遠鏡を宇宙空間に設置して天
体のX線像を観測する、いわゆるX線天文学分野の研究
が盛んに行われるようになった。我国でも、これまでに
「ようこう」、「あすか」と名付けられた人工衛星にX
線望遠鏡が搭載され、太陽等の天体からのX線観測が行
われている。しかし、これらの人工衛星に搭載されたX
線望遠鏡は、全反射を利用した斜入射光学系によるもの
であり、斜入射光学系には波長選択性がないことと、収
差が大きいために解像力が悪いという問題点があった。
【0007】例えば、太陽フレアで生成される高温プラ
ズマやコロナの観測においては、ある特定の温度領域の
画像を得ることが望まれており、そのために多層膜X線
反射鏡を用いたX線望遠鏡が開発されつつある。観測対
象の温度は、そこから発生するX線の波長により知るこ
とができるので、多層膜光学系により特定波長のX線の
みの画像を観測すれば、特定の温度分布のみを抽出して
観測することができることになる。
【0008】具体的には、鉄の輝線スペクトルの13.28n
m(Fe XXIII)、17.11nm(Fe IX)、18.04nm(Fe XI)、21.1
3nm(Fe XIV) の波長が重要である。これらの波長はそれ
ぞれ11.2、0.93、1.29、1.78MKの温度に相当する。一
般に、多層膜X線反射鏡は、ピーク波長において数〜数
十%の反射率、ピーク波長近傍以外では0.1 〜1%程度
の反射率である。ここで、ピーク波長とそれ以外の波長
とのコントラストは、少なくとも1/10〜1/100
程度となる。
【0009】多層膜X線反射鏡を用いる際に使われる光
源には、シンクロトロン放射光(SR光)やレーザープ
ラズマX線源(LPX)などがある。SR光は白色光源
であるが、多層膜鏡の上流側に分光器をおいて、所望波
長の光のみを取り出して用いることができる。LPXな
ど、元素の特性X線を利用した光源では、所望波長の光
のみが得られる。これらの光源を用いる際には、所望波
長の光のみをとりだすことができるため、ピーク波長以
外の波長の光は反射光中に混入することはない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、X線望遠鏡で
太陽を観察する場合には、太陽スペクトル中に多数存在
する輝線スペクトルが問題となる。観測波長は、比較的
強度が高い輝線スペクトルの中から選択されるが、観測
波長以外にも強度の高い輝線スペクトルが存在する。
【0011】そこで、観測波長以外の波長が反射光中へ
混入するのを防ぐためには、高い波長分解能の多層膜が
望ましい。ここで、波長分解能とは、波長に対する反射
率のカーブを描いた際のピーク波長をλ、ピークの半値
幅をΔλとして、λ/Δλで定義される値である。しか
し、多層膜の波長分解能を向上させる上で使用できる材
料には、屈折率、吸収による制限があるので、多層膜だ
けで他波長の混入を防ぐことはできない。
【0012】そして、これらの輝線スペクトルが観測輝
線スペクトルよりも短波長側にある場合には、フィルタ
ーにより取り除くことが容易であるが、長波長側にある
場合には困難であり、問題点となっている。とりわけ、
He II の輝線スペクトル(30.4nm)は、非常にスペクト
ル強度が高く、例えば21.13nm(Fe XIV) の強度に対し
て、30.4nm(He II) はおよそ50倍である。
【0013】このHe II の輝線スペクトル(30.4nm)
は、観測波長よりも長波長側であるためフィルターは使
用できず、反射光中に30.4nmの波長が混入する。このた
め、太陽スペクトルの観察が正確に行えなくなるという
問題点があった。本発明は、かかる問題点に鑑みてなさ
れたものであり、軟X線領域において波長30.4nmのHe
輝線スペクトル(He II)を反射しない多層膜X線反射鏡
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「軟X線領域における屈折率と真空の屈折率との差が
大きい物質からなる第1層と、前記差が小さい物質から
なる第2層とを基板上に交互に繰り返し積層してなる多
層膜X線反射鏡において、前記積層における最上層の厚
さを波長30.4 nm の光に対する反射率を低減させる様に
最適化したことを特徴とする多層膜X線反射鏡(請求項
1)を提供する。
【0015】また、本発明は第二に「前記最上層を前記
多層膜の構成物質のうち吸収の小さい物質からなる層と
したことを特徴とする請求項1記載の多層膜X線反射鏡
(請求項2)」を提供する。また、本発明は第三に「前
記積層の回数を反射率が飽和する値にしたことを特徴と
する請求項1または2記載の多層膜X線反射鏡(請求項
3)」を提供する。
【0016】また、本発明は第四に「前記第1層と前記
第2層を1層ずつ積層した積層体の層厚に相当する前記
積層の周期長、及び前記第1層と前記周期長との層厚比
(Γ)を反射率の中心波長が13.28nm (または略13.28n
m )、17.11nm (または略17.11nm )、18.04nm (また
は略18.04nm )、21.13nm (または略21.13nm )になる
値の組み合わせにしたことを特徴とする請求項1〜3記
載の多層膜X線反射鏡(請求項4)」を提供する。
【0017】また、本発明は第五に「前記屈折率の差が
小さい物質としてSiまたはSi化合物を用い、前記屈
折率の差が大きい物質としてMoまたはMo化合物を用
いたことを特徴とする請求項1〜4記載の多層膜X線反
射鏡(請求項5)」を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】多層膜X線反射鏡は、高屈折物質
から成る層と低屈折物質から成る層を基板上に交互に繰
り返し積層し、これらの界面における反射光の位相をそ
ろえることにより、所望波長で高反射率を得るものであ
る。そして、この多層膜の上にさらに単層膜を付加する
と、単層膜による反射光とその下の多層膜の反射光との
干渉により分光反射率が変化する。
【0019】ここで、付加した単層膜の屈折率と層厚を
適宜選択すれば、反射率を抑えたい波長(以下逆ピーク
波長と称す)における反射率を低くすることができる。
従って、本発明(請求項1〜5)のように、多層膜の最
上層を単層膜として用いて、その層厚を最適化すれば、
30.4nmを逆ピーク波長とすることができる。即ち、本発
明(請求項1〜5)によれば、軟X線領域において波長
30.4nmのHe輝線スペクトル(He II)を反射しない多層
膜X線反射鏡を提供することができる。
【0020】多層膜X線反射鏡の反射率と波長分解能を
高めるためには、使用する多層膜材料の選択が重要であ
る。多層膜の波長分解能は、反射率が飽和するまでは多
層膜の積層回数(積層数)に比例して増加する。そのた
め、これを高めるためには、多数の層を積層しても反射
率が飽和しないように、吸収の小さい物質の組み合わせ
を用いるのがよい。
【0021】即ち、多層膜の波長分解能を高めるために
は、複素屈折率n=1−δ−ikの虚部k(物質の吸収
の大きさを表す量)の値が小さい物質を用いるのがよ
い。一方、高い反射率の多層膜を得るためには、各界面
での反射率が高くなるような材料を用いるのがよい。垂
直入射の場合における多層膜界面での振幅反射率rは、
フレネルの式より、多層膜を構成する二つの物質の屈折
率をそれぞれn1 ,n2 として、次式で与えられる。
【0022】 r=(n2 −n1 )/(n2 +n1 ) ={(δ12+i(k1-k2 )}/{(δ12+i(k1+k2 )} ここではkの小さい物質(吸収が小さい物質)を用いる
ので、δ》kとなり、前式は次式のように近似すること
ができる。 r=(δ1 −δ2 )/(δ1 +δ2 ) 従って、多層膜界面での反射率を高くするためには、δ
の差の大きい物質の組み合わせを用いるのがよい。
【0023】そして多層膜を製作する際に、最上層は各
層を構成する物質のうち吸収の小さい物質を配置する
と、多層膜X線反射鏡のピーク反射率の低下が起こりに
くいので好ましい(請求項2)。また、多層膜X線反射
鏡の反射率と波長分解能の両方を高めるために、反射率
の値が飽和するまで積層回数を多くすることが好ましい
(請求項3)。
【0024】さらに、多層膜X線反射鏡の反射率の中心
波長が13.28nm (または略13.28nm)、17.11nm (また
は略17.11nm )、18.04nm (または略18.04nm )、21.1
3nm(または略21.13nm )となるように、積層の周期長
とΓ(第1層の厚さ/周期長)の組み合わせを選択する
ことが好ましい(請求項4)。また、前記2条件(kが
小さい物質、δの差の大きい物質)の組み合わせを考慮
して、多数の物質の組み合わせを検討した結果、「前記
屈折率の差が小さい物質/前記屈折率の差が大きい物
質」の組み合わせとして、Si(またはSi化合物)と
Mo(またはMo化合物)の組み合わせが軟X線領域に
おいて、特に波長21.13nm の鉄の輝線スペクトル(Fe XI
V)に対して、高い反射率と波長分解能を有することが分
かった(請求項5)。
【0025】そして、この中でも後記の実施例にかかる
組み合わせが特に好ましいことが分かった。本発明にか
かる組み合わせのMoSi2 /Si(周期長11.0nm、Γ
=0.2 、60ペア)の分光反射率(R)を図5示す。ピー
ク反射率は最上層厚にかかわらず、31%、波長分解能は
29である。
【0026】通常の多層膜では30.4nm近傍で反射率は0.
4 %程度であるが、最上層厚を最適化したものは、0.00
7 %以下となり、ピーク波長(=21.13nm)反射率とのコ
ントラスト(=30.4nmの反射率/21.13nm の反射率。以
下、除去比という)はおよそ2桁も向上した。従って、
これらの本発明にかかる多層膜を用いれば、X線望遠鏡
に用いる多層膜X線反射鏡として十分な性能を得ること
ができる。
【0027】なお、計算値のみならず、実際に作製した
各多層膜の実測値においても、最上層厚を変化させない
通常の多層膜では、X線望遠鏡に用いる多層膜X線反射
鏡として、30.4nmの除去比は大きかった(ピーク反射率
19%、波長分解能28、除去比0.18)。一方、本発明にか
かる最上層厚を最適化した多層膜を用いると、計算値の
みならず実測値においても、X線望遠鏡に用いる多層膜
X線反射鏡として十分な30.4nmの除去比が得られた。ま
た、ピーク反射率及び波長分解能も最上層厚の最適化に
より低下しなかった(ピーク反射率18%、波長分解能3
0、除去比0.001 )。
【0028】以下、実施例を通じて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこの実施例にて限定されない。
【0029】
【実施例1】本実施例では、重原子層としてMo、軽原
子層としてSiを用いた。基板1には鏡面研磨した合成
石英を用いた。MoとSiの各ターゲットを用いて、イ
オンビームスパッタリングにより、基板1上にMo層2
とSi層3を交互に繰り返し積層して多層膜を作製し
た。
【0030】基板上の第1層をMo、第2層をSiと
し、多層膜の周期長は6.7nm 、Γは0.15、積層数は149.
5 ペアとした。更にこの上にSi層4を14.2nm成膜し
た。図1に、その断面図を示す(図中では多層膜の層数
は、実際よりも少なく描いてある)。本実施例にかかる
Mo/Si多層膜(周期長6.7nm 、Γ=0.15、積層数14
9.5ペア、最上層(Si層)厚14.2nm)と、通常のMo
/Si多層膜(周期長6.7nm、Γ=0.15、積層数150 ペ
ア)の反射率を波長に対して描いた曲線(計算値)を図
2に示す。
【0031】波長13.28nm における反射率は約60%、波
長30.4nmにおける反射率は約0.015%であり、除去比は
約0.00025 である。また、作製した多層膜の垂直入射に
おける軟X線反射率を放射光を用いて実測したところ、
X線望遠鏡に用いる多層膜反射鏡として十分な反射特性
が得られた(ピーク反射率50%、波長分解能45、除去比
0.001)。
【0032】
【実施例2】本実施例では、重原子層としてMo、軽原
子層としてSiを用いた。基板1には鏡面研磨した合成
石英を用いた。MoとSiの各ターゲットを用いて、イ
オンビームスパッタリングにより、基板1上にMo層2
とSi層3を交互に繰り返し積層して多層膜を作製し
た。
【0033】基板上の第1層をMo、第2層をSiと
し、多層膜の周期長は8.8nm 、Γは0.1 、積層数は99.5
ペアとした。更にこの上にSi層4を15.2nm成膜した。
図1に、その断面図を示す(図中では多層膜の層数は、
実際よりも少なく描いてある)。本実施例にかかるMo
/Si多層膜(周期長8.8nm 、Γ=0.1 、積層数99.5ペ
ア、最上層(Si層)厚15.2nm)と、通常のMo/Si
多層膜(周期長8.8nm 、Γ=0.1 、積層数100 ペア)の
反射率を波長に対して描いた曲線(計算値)を図3に示
す。
【0034】波長17.11nm における反射率は約42%、波
長30.4nmにおける反射率は約0.015%であり、除去比は
約0.00035 である。また、作製した多層膜の垂直入射に
おける軟X線反射率を放射光を用いて実測したところ、
X線望遠鏡に用いる多層膜反射鏡として十分な反射特性
が得られた(ピーク反射率36%、波長分解能35、除去比
0.001)。
【0035】
【実施例3】本実施例では、重原子層としてMo、軽原
子層としてSiを用いた。基板1には鏡面研磨した合成
石英を用いた。MoとSiの各ターゲットを用いて、イ
オンビームスパッタリングにより、基板1上にMo層2
とSi層3を交互に繰り返し積層して多層膜を作製し
た。
【0036】基板上の第1層をMo、第2層をSiと
し、多層膜の周期長は9.3nm 、Γは0.1 、積層数は99.5
ペアとした。更にこの上にSi層4を15.6nm成膜した。
図1に、その断面図を示す(図中では多層膜の層数は、
実際よりも少なく描いてある)。本実施例にかかるMo
/Si多層膜(周期長9.3nm 、Γ=0.1 、積層数99.5ペ
ア、最上層(Si層)厚15.6nm) と、通常のMo/Si
多層膜(周期長9.3nm 、Γ=0.1 、積層数100 ペア)の
反射率を波長に対して描いた曲線(計算値)を図4に示
す。
【0037】波長18.04nm における反射率は約34%、波
長30.4nmにおける反射率は約0.05%であり、除去比は約
0.0013である。また、作製した多層膜の垂直入射におけ
る軟X線反射率を放射光を用いて実測したところ、X線
望遠鏡に用いる多層膜反射鏡として十分な反射特性が得
られた(ピーク反射率30%、波長分解能40、除去比0.00
2)。
【0038】
【実施例4】本実施例では、重原子層としてMoS
2 、軽原子層としてSiを用いた。基板1には鏡面研
磨した合成石英を用いた。MoSi2 とSiの各ターゲ
ットを用いて、イオンビームスパッタリングにより、基
板1上にMoSi2 層2とSi層3を交互に繰り返し積
層して多層膜を作製した。
【0039】基板上の第1層をMoSi2 、第2層をS
iとし、多層膜の周期長は11.0nm、Γは0.2 、積層数は
59.5ペアとした。更にこの上にSi層4を15.2nm成膜し
た。図1に、その断面図を示す(図中では多層膜の層数
は、実際よりも少なく描いてある)。本実施例にかかる
MoSi2 /Si多層膜(周期長11.0nm、Γ=0.2 、積
層数59.5ペア、最上層(Si層)厚15.2nm)と、通常の
MoSi2 /Si多層膜(周期長11.0nm、Γ=0.2 、積
層数60ペア)の反射率を波長に対して描いた曲線(計算
値)を図5に示す。
【0040】波長21.13nm における反射率は約31%、波
長30.4nmにおける反射率は約0.007%であり、除去比は
約0.0002である また、作製した多層膜の垂直入射にお
ける軟X線反射率を放射光を用いて実測したところ、X
線望遠鏡に用いる多層膜反射鏡として十分な反射特性が
得られた(ピーク反射率18%、波長分解能30、除去比0.
001)。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる多層膜X
線反射鏡は、軟X線領域において(例えば、太陽からの
X線観測において重要な鉄の輝線スペクトルの13.28nm
(Fe XXIII)、17.11nm(Fe IX)、18.04nm(Fe XI)、21.13n
m(Fe XIV) の波長に対して)、反射率と波長分解能の両
方を低下させずに30.4nmの除去比を低下させることがで
きる。
【0042】従って、本発明にかかる多層膜X線反射鏡
をX線望遠鏡に用いると、その性能を著しく向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる多層膜X線反射鏡(一例)の概
略断面図である。
【図2】本発明にかかるピーク波長13.28nm 用の多層膜
X線反射鏡(一例、Mo/Siの最上層厚を最適化した
もの)と、従来の多層膜X線反射鏡(一例、Mo/S
i)の分光反射率を比較した図である。
【図3】本発明にかかるピーク波長17.11nm 用の多層膜
X線反射鏡(一例、Mo/Siの最上層厚を最適化した
もの)と、従来の多層膜X線反射鏡(一例、Mo/S
i)の分光反射率を比較した図である。
【図4】本発明にかかるピーク波長18.04nm 用の多層膜
X線反射鏡(一例、Mo/Siの最上層厚を最適化した
もの)と、従来の多層膜X線反射鏡(一例、Mo/S
i)の分光反射率を比較した図である。
【図5】本発明にかかるピーク波長21.13nm 用の多層膜
X線反射鏡(一例、MoSi2/Siの最上層厚を最適
化したもの)と、従来の多層膜X線反射鏡(一例、Mo
Si2 /Si)の分光反射率を比較した図である。
【主要部分の符号の説明】
1・・・基板 2・・・多層膜を構成する物質のうち、高屈折率物質で
構成される層 3・・・多層膜を構成する物質のうち、低屈折率物質で
構成される層 4・・・多層膜を構成する物質のうち、低吸収物質で構
成される層 以上

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟X線領域における屈折率と真空の屈折
    率との差が大きい物質からなる第1層と、前記差が小さ
    い物質からなる第2層とを基板上に交互に繰り返し積層
    してなる多層膜X線反射鏡において、 前記積層における最上層の厚さを波長30.4 nm の光に対
    する反射率を低減させる様に最適化したことを特徴とす
    る多層膜X線反射鏡。
  2. 【請求項2】 前記最上層を前記多層膜の構成物質のう
    ち吸収の小さい物質からなる層としたことを特徴とする
    請求項1記載の多層膜X線反射鏡。
  3. 【請求項3】 前記積層の回数を反射率が飽和する値に
    したことを特徴とする請求項1または2記載の多層膜X
    線反射鏡。
  4. 【請求項4】 前記第1層と前記第2層を1層ずつ積層
    した積層体の層厚に相当する前記積層の周期長、及び前
    記第1層と前記周期長との層厚比(Γ)を反射率の中心
    波長が13.28nm (または略13.28nm )、17.11nm (また
    は略17.11nm)、18.04nm (または略18.04nm )、21.13
    nm (または略21.13nm )になる値の組み合わせにした
    ことを特徴とする請求項1〜3記載の多層膜X線反射
    鏡。
  5. 【請求項5】 前記屈折率の差が小さい物質としてSi
    またはSi化合物を用い、前記屈折率の差が大きい物質
    としてMoまたはMo化合物を用いたことを特徴とする
    請求項1〜4記載の多層膜X線反射鏡。
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