JPH1123590A - カンチレバー及びその製造方法 - Google Patents

カンチレバー及びその製造方法

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JPH1123590A
JPH1123590A JP9194843A JP19484397A JPH1123590A JP H1123590 A JPH1123590 A JP H1123590A JP 9194843 A JP9194843 A JP 9194843A JP 19484397 A JP19484397 A JP 19484397A JP H1123590 A JPH1123590 A JP H1123590A
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hole
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probe
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JP9194843A
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Katsushi Nakano
勝志 中野
Shinya Hara
信也 原
Yoshihiko Suzuki
美彦 鈴木
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスペクト比が高くて微細な隙間に探針部を
差し入れることが可能であり、しかも、大量生産が可能
で安価なカンチレバーを提供する。 【解決手段】 カンチレバーは、薄板状のレバー部21
と、該レバー部21の先端側に設けられた突起物22と
を備える。突起物22は、レバー部21の先端側に突設
された柱状のポスト部24と、底面側部分がポスト部2
4の先端に連結された四角錐状の探針部25とを有す
る。探針部25の先端の頂点25aに向かう全ての稜線
が内側に湾曲する。探針部25の底面側部分の角部25
bがポスト部24における先端付近の部分の側方位置よ
り側方に突出する。探針部25の底面側部分の角部25
bに向かう全ての稜線が内側に湾曲する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡等に用いられるカンチレバー及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、走査型プローブ顕微鏡では、平板
状のレバー部と、該レバー部の先端側領域に突設された
ピラミッド型又は円錐型の探針とを有するカンチレバー
が用いられ、試料の3次元形状等が測定されてきた。し
かし、これらの探針のアスペクト比は、ピラミッド型の
探針では1程度、円錐型の探針では2程度とそれ程高く
なく、探針の基部の幅がかなり大きかった。そのため、
例えば、急峻な斜面形状や、深い溝等の観察は、探針の
側面が当該斜面や溝の入口部に接触してしまったり、探
針先端が溝の底や斜面に届かない等の理由で、正確な形
状等の測定が不可能であった。前記従来のカンチレバー
を原子間力顕微鏡のカンチレバーとして用いて、半導体
プロセスで作られたアスペクト比の高い溝3を有する試
料2を観察しようとする例を図6(a)に示す。溝3の
幅は現在のリソグラフィーの限界の分解能である0.2
μmであり、溝3の深さは1μmである。図6(a)に
おいて、1は前記従来のカンチレバーの探針を示す。図
6(a)からわかるように、探針1の先端が、試料2の
溝3の底4に届かない。また、この探針1では、溝3の
側面5の形状も測定することは不可能である。
【0003】そこで、比較的アスペクト比の高いブーツ
型の探針の製造方法が提案され(特開平3−13570
2号公報)、また、その探針を用いて試料の側面形状を
測定する技術が報告されている(Yves Martin and H. K
rmar Wickramasinghe, Appl.Phys. Lett. 64 (19), 9 M
ay 1994, "Method for imaging sidewalls by atomic f
orce microscopy")。
【0004】また、アスペクト比の高い他のプローブと
して、従来のプローブの先端に電子線を照射し、カーボ
ンのウイスカーを成長させる技術がある(Y. Akamine,
E. Nishimura and A. Sakai, J. Vac. Sci. Technol. A
8 (1), Jan / Feb 1990)。
【0005】また、アスペクト比の高い更に他のプロー
ブとして、細長い部分と、前記細長い部分の先端に前記
細長い部分の軸方向に向いて突出した1つの円錐状の突
起(スパイク)と、前記細長い部分の先端付近における
周囲表面に前記細長い部分の軸と垂直な方向に向いて突
出した2つの円錐状の突起(スパイク)とからなる探針
を有する、カンチレバーの製造方法が、特開平8−28
5872号公報において提案されている。この製造方法
では、周囲表面と前端部表面とを有する実質上縦方向に
細長い固体チップを形成し、上記固体チップ上の上記周
囲表面に沿って第1、第2のマスクを、上記前端部表面
上に第3のマスクをそれぞれ形成し、上記固体チップと
上記第1、第2及び第3のマスクの両者から材料を除去
するために予め定められた時間だけ上記固体チップをエ
ッチングし、予め定められた時間の後に上記各マスクを
完全に除去し、上記固体チップからの材料の除去によっ
て上記各マスクが除去された位置の方向を向いた3個の
スパイクを形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たいずれの従来のカンチレバーにおいても、問題が生じ
ていた。
【0007】すなわち、前記ブーツ型探針は、横幅を3
00nm程度より小さく形成することが難しく、それよ
り細い隙間には探針を差し入れることができなかった。
一方、工業製品分野では特に半導体産業においてメモリ
ーやICパターンの微細化が進み、VLSI等の線幅は
200nm程度になっている。また、ブーツ型プローブ
は先端が平らのため、溝の底面をイメージングすること
もできなかった。
【0008】また、前記カーボンのウイスカーを成長さ
せるカンチレバーでは、探針部のアスペクト比を高くす
ることができるものの、製造に際して、プローブ1本1
本に電子線を照射しなければならないため、大量生産が
困難でコストが高くなっていた。さらに、成長させるウ
イスカーがカーボンであるため、シリコンや窒化シリコ
ンでできている従来のプローブに比べ脆くてすぐに折れ
てしまうという問題点もあった。
【0009】さらに、特開平8−285872号公報に
開示されたカンチレバーでは、探針部のアスペクト比を
高くすることができるとともに側面形状の測定も可能で
あるが、製造に手数を要し、大量生産が困難でコストが
高くなってしまう。すなわち、前記第1、第2及び第3
のマスクをそれぞれ固体チップの3方向の面にそれぞれ
形成するためには、固体チップをカーボンベースのガス
を含んだ雰囲気に配置し、電子ビームを固体チップに3
方向から照射しなければならず、やはりプローブ1本1
本に電子ビームを照射しなければならないのみならず、
各プローブ毎に3方向から電子ビームを照射しなければ
ならないことから、大量生産が困難でコストが高くなっ
ていた。また、各スパイクの先鋭度を高めるためには、
固体チップのエッチングは前記第1、第2及び第3のマ
スクがちょうど除去される時点で停止させる必要がある
が、当該時点でエッチングをちょうど停止させることは
極めて困難であり、当該時点を過ぎてもエッチングが継
続されてしまうことが多い。このため、各スパイクの先
鋭度が低下してしまい、測定の分解能が低下せざるを得
なかった。
【0010】なお、以上説明した事情は、原子間力顕微
鏡用のカンチレバーに限らず、走査型トンネル顕微鏡、
走査型電気容量顕微鏡、走査型静電気力顕微鏡及び走査
型磁気力顕微鏡などの他の種々の走査型プローブ顕微鏡
用のカンチレバーについても、同様である。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、アスペクト比が高くて微細な隙間に探針部を
差し入れることが可能であり、しかも、大量生産が可能
で安価なカンチレバー及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0012】また、本発明は、アスペクト比が高くて微
細な隙間に探針部を差し入れることが可能であるととも
に溝の底のみならず側面の測定も可能であり、しかも、
大量生産が可能で安価なカンチレバー及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様によるカンチレバーは、薄板状
のレバー部と、該レバー部の先端側に設けられた突起物
とを備えたカンチレバーであって、前記突起物は、前記
レバー部の先端側に突設された柱状のポスト部と、底面
側部分が前記ポスト部の先端に連結された四角錐状の探
針部とを有するものである。
【0014】この第1の態様によるカンチレバーでは、
探針部が柱状のポスト部の先端に設けられているので、
アスペクト比が高くなり、微細な隙間に探針部を差し入
れることが可能となる。また、前記第1の態様によるカ
ンチレバーでは、ポスト部が柱状をなすとともに探針部
が四角錐状をなしており、当該突起物の形状が従来のカ
ンチレバーの突起物の形状とは全く異なるため、後述す
る第4乃至第17の態様のような製造方法によって製造
することができる。すなわち、前記第1の態様によるカ
ンチレバーによれば、電子ビームの照射等、技術的に難
しいプロセスは用いることなく、既に確立された半導体
微細加工技術を使い、バッチプロセスで、一括して大量
に製造することができる。したがって、前記第1の態様
によるカンチレバーは、安価に提供することができる。
また、前記第1の態様によるカンチレバーは、後述する
第4乃至第17の態様のような型を用いた製造方法によ
って製造することができるので、特開平8−28587
2号公報に開示されたカンチレバーと異なり、エッチン
グ時間に依存することなく探針の先鋭化を図ることがで
き、測定の分解能が低下するような事態を招くことがな
い。
【0015】本発明の第2の態様によるカンチレバー
は、前記第1の態様によるカンチレバーにおいて、前記
探針部の先端の頂点に向かう全ての稜線が内側に湾曲し
たものである。
【0016】この第2の態様によるカンチレバーでは、
前記第1の態様によるカンチレバーと同様の利点が得ら
れる他、探針部の先端の頂点に向かう全ての稜線が内側
に湾曲しているので、当該探針部の先端の頂点を一層先
鋭化することができ、試料の溝の底等の測定の分解能を
向上させる上で好ましい。
【0017】本発明の第3の態様によるカンチレバー
は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバーにおい
て、前記探針部の底面側部分の角部が前記ポスト部にお
ける先端付近の部分の側方位置より側方に突出したもの
である。
【0018】この第3の態様によるカンチレバーでは、
前記第1の態様によるカンチレバーと同様の利点が得ら
れる他、探針部の底面側部分の角部が側方に突出してい
るので、当該角部によって、試料の溝の側面も測定する
ことができ、好ましい。
【0019】本発明の第4の態様によるカンチレバー
は、前記第3の態様によるカンチレバーにおいて、前記
探針部の底面側部分の角部に向かう全ての稜線が内側に
湾曲したものである。
【0020】この第4の態様によるカンチレバーでは、
探針部の底面側部分の角部に向かう全ての稜線が内側に
湾曲しているので、当該角部を一層先鋭化することがで
き、試料の溝の側面の測定の分解能を向上させる上で好
ましい。
【0021】本発明の第5の態様によるカンチレバーの
製造方法は、前記第1乃至第4のいずれかの態様による
カンチレバーを製造する方法であって、(a)第1の部
材と第2の部材とが接合されてなる型部材であって、前
記第1の部材は前記ポスト部の形状を転写するための転
写用貫通穴を有し、前記第2の部材は前記探針部の形状
を転写するための四角錐状の転写用凹部であって前記転
写用貫通穴と連通する転写用凹部を有し、前記転写用貫
通穴及び前記転写用凹部は前記転写用貫通穴の一方の開
口のみで外部に開口する空間を形成する、型部材を用意
する段階と、(b)前記転写用貫通穴を含む前記型部材
上の領域に前記レバー部及び前記突起物を構成すべき材
料を成膜させる段階と、(c)成膜された前記材料を所
定形状にパターニングする段階と、(d)前記型部材を
除去する段階と、を備えたものである。
【0022】この第5の態様によれば、前述した構成を
有する型部材が用いられているので、電子ビームの照射
等、技術的に難しいプロセスは用いることなく、既に確
立された半導体微細加工技術を使い、バッチプロセス
で、一括して大量にカンチレバーを製造することができ
る。
【0023】本発明の第6の態様によるカンチレバーの
製造方法は、前記第5の態様による製造方法において、
前記転写用貫通穴における前記転写用凹部側の開口に対
して、前記転写用凹部の矩形の開口の4つの角のうちの
少なくとも1つがはみ出しているものである。
【0024】この第6の態様によれば、前記第3の態様
のような、探針部の底面側部分の角部がポスト部におけ
る先端付近の部分の側方位置より側方に突出したカンチ
レバーを製造することができる。
【0025】本発明の第7の態様によるカンチレバーの
製造方法は、前記第5又は第6の態様による製造方法に
おいて、前記転写用凹部の内面には酸化膜が形成されて
いるものである。
【0026】この第7の態様では、転写用凹部の内面に
は酸化膜が形成されているので、例えば酸化膜を熱酸化
により成長させて形成すると、その成長速度は平坦な部
分では速いとともに角の部分では遅いという性質を有し
ていることから、転写用凹部の内面を急峻化することが
できる。したがって、前記第2の態様のような、探針部
の先端の頂点に向かう全ての稜線が内側に湾曲したカン
チレバーを製造することができる。
【0027】本発明の第8の態様によるカンチレバーの
製造方法は、前記第6の態様による製造方法において、
前記転写用貫通穴及び前記転写用凹部が形成する前記空
間の内壁の全体には、酸化膜が形成されているものであ
る。
【0028】この第8の態様では、転写用貫通穴及び転
写用凹部が形成する空間の内壁の全体に酸化膜が形成さ
れているので、例えば酸化膜を熱酸化により成長させて
形成すると、その成長速度は平坦な部分では速いととも
に角の部分では遅いという性質を有していることから、
探針部の先端の頂点に向かう全ての稜線が内側に湾曲す
るとともに、探針部の底面側部分の角部に向かう全ての
稜線が内側に湾曲したカンチレバーを製造することがで
きる。
【0029】本発明の第9の態様によるカンチレバーの
製造方法は、前記第5の態様による製造方法において、
前記第1の部材は、第1の基板と、該第1の基板上に形
成された半導体膜とを有し、前記半導体膜は前記転写用
貫通穴に対応する貫通穴を有し、前記第1の基板は前記
半導体膜の前記貫通穴付近の部分において除去部を有す
るものである。前記第1の基板は、単層の基板であって
もよいし、単層の基板に1層以上の膜を成膜した積層基
板であってもよい。
【0030】本発明の第10の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第9の態様による製造方法におい
て、前記第1の部材は、前記半導体膜の前記貫通穴の内
面を覆うとともに前記第1の基板及び前記半導体膜から
なる構造体の全体を覆う耐エッチング性を持った保護膜
を有するものである。
【0031】本発明の第11の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第10の態様による製造方法におい
て、前記保護膜が酸化膜であるものである。
【0032】本発明の第12の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第9乃至第11のいずれかの態様に
よる製造方法において、前記第2の部材は、前記第1の
部材の前記第1の基板の前記除去部内に入って前記第1
の部材における前記貫通穴付近の部分に接合される凸部
を持った第2の基板を有し、該第2の基板の前記凸部に
前記転写用凹部に対応する凹部が形成されたものであ
る。
【0033】本発明の第13の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第12の態様による製造方法におい
て、前記第2の基板の前記凸部に形成された前記凹部の
内面に、酸化膜が形成されているものである。
【0034】前記第9乃至第13の態様は、型部材の具
体的な構造例を挙げたものである。なお、前記半導体膜
がポスト部の型を構成するが、当該半導体膜の厚さ(ポ
スト部の長さに対応)は薄く、当該半導体膜単独では剛
性を保つことができずに製造時の取り扱いが困難とな
る。そこで、前記第9の態様では、半導体膜を支持する
第1の基板を設けることによって、製造時の取り扱いの
際の剛性を担保したものである。
【0035】本発明の第14の態様によるカンチレバー
の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載のカン
チレバーを製造する方法であって、(a)第1の基板
と、該第1の基板上に形成された半導体膜と、耐エッチ
ング性を持った保護膜とを有する第1の部材であって、
前記半導体膜は前記ポスト部の形状を転写するための転
写用貫通穴に対応する貫通穴を有し、前記第1の基板は
前記半導体膜の前記貫通穴付近の部分において除去部を
有し、前記保護膜は前記半導体膜の前記貫通穴の内面を
覆うとともに前記第1の基板及び前記半導体膜からなる
構造体の全体を覆っている、第1の部材を用意する段階
と、(b)前記第1の部材の前記第1の基板の前記除去
部内に入って前記第1の部材における前記貫通穴付近の
部分に接合可能である凸部を持った第2の基板を用意す
る段階と、(c)前記第2の基板の前記凸部が前記第1
の部材の前記第1の基板の前記除去部内に入って前記第
1の部材における前記貫通穴付近の部分に接合されるよ
うに、前記第1の部材と前記第2の基板とを接合する段
階と、(d)前記第1の部材と前記第2の基板とを接合
した後に、前記第1の部材における前記保護膜で覆われ
た前記貫通穴から前記第2の基板の前記凸部をエッチン
グして、前記凸部に、前記探針部の形状を転写するため
の四角錐状の転写用凹部に対応する凹部を形成する段階
と、(e)前記凸部に前記凹部を形成した後に、前記第
1の部材の前記貫通穴を含む前記第1の部材上の領域に
前記レバー部及び前記突起物を構成すべき材料を成膜さ
せる段階と、(f)成膜された前記材料を所定形状にパ
ターニングする段階と、(g)前記第1の部材及び前記
第2の基板を除去する段階と、を備えたものである。
【0036】前記第9乃至第13の態様では、型部材を
構成する第1及び第2の部材をそれぞれ別個に予め完成
させておき、両者を接合することによって型部材を用意
してもよいし、あるいは、例えば、前記第1の部材を予
め完成させるか又は前記第1の部材のいわば半製品を用
意するとともに、前記第2の部材のいわば半製品を用意
し、両者を接合した後に更に処理を施すことにより型部
材を用意してもよい。前者の場合には、第1部材と第2
の部材との接合の際に第1の型部材の転写用貫通穴と第
2の型部材の転写用凹部とを厳密に位置合わせする必要
がある。これに対し、後者の場合には、第2の部材の半
製品として転写用凹部の形成前のものを用意し、第1の
部材と第2の部材との接合後に、第1の型部材の転写用
貫通穴に相当する貫通穴を利用してエッチングを施すこ
とによって転写用凹部を形成すれば、接合時の厳密な位
置合わせが不要となり、一層好ましい。前記第14の態
様は、このような例に相当するものである。
【0037】本発明の第15の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第14の態様による製造方法におい
て、前記凸部に前記凹部を形成する段階において、前記
エッチングはアンダーエッチングを起こすように行われ
るものである。
【0038】この第15の態様のようにアンダーエッチ
ングを起こすようにすると、転写用貫通穴における転写
用凹部側の開口に対して、転写用凹部の矩形の開口の4
つの角がはみ出した状態を実現することができ、ひいて
は、前記第3の態様のような、探針部の底面側部分の角
部がポスト部における先端付近の部分の側方位置より側
方に突出したカンチレバーを製造することができる。
【0039】本発明の第16の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第14又は第15の態様による製造
方法において、前記凸部に前記凹部を形成する段階の後
であって前記材料を成膜させる段階の前に、当該構造体
を酸化させて酸化膜を形成する段階と、前記パターニン
グする段階の後に前記酸化膜を除去する段階と、を備え
たものである。
【0040】この第16の態様によれば、前記構造体を
酸化させるので、転写用貫通穴及び転写用凹部が形成す
る空間の内壁全体に酸化膜が形成されることになる。酸
化膜の成長速度は平坦な部分では速いとともに角の部分
では遅いという性質を有していることから、探針部の先
端の頂点に向かう全ての稜線が内側に湾曲するととも
に、探針部の底面側部分の角部に向かう全ての稜線が内
側に湾曲したカンチレバーを製造することができる。
【0041】本発明の第17の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第14乃至第16のいずれかの態様
による製造方法において、前記第1の部材を用意する段
階は、(a)片面に酸化膜を持ち、もう片面には酸化膜
とその上に半導体膜を持つ半導体基板に、前記半導体膜
上にダミー基板を接合する段階と、(b)前記積層基板
における下面の前記酸化膜及び前記半導体基板の一部を
除去して除去部を形成する段階と、(c)前記除去部の
形成後に前記ダミー基板を除去する段階と、(d)前記
ダミー基板の除去後に前記除去部に対応する位置におい
て前記半導体膜に貫通穴を形成する段階と、(e)前記
貫通穴の形成後に前記積層基板における上面の酸化膜の
うちの前記除去部から外部に露出した部分を除去する段
階と、(f)前記露出した部分を除去した後の構造体の
全体に前記酸化膜を形成する段階と、を含むものであ
る。
【0042】前記第17の態様は第1の部材を用意する
段階の例であるが、この段階はこの例に限定されるもの
ではない。
【0043】本発明の第18の態様によるカンチレバー
の製造方法は、前記第17の態様による製造方法におい
て、前記半導体基板及び前記第2の基板がそれぞれシリ
コン単結晶基板であるものである。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態によ
るカンチレバーについて、図1を参照して説明する。本
実施の形態によるカンチレバーは、原子間力顕微鏡用の
カンチレバーとして構成されている。図1は、本実施の
形態によるカンチレバーを示す概略斜視図である。
【0045】本実施の形態によるカンチレバーは、図1
に示すように、薄板状のレバー部21と、該レバー部2
1の先端側部分に設けられた突起物22と、レバー部2
1を支持する支持体23とから構成されている。突起物
22は、レバー部21の先端側に突設された柱状のポス
ト部24と、底面側部分がポスト部24の先端に連結さ
れた四角錐状の探針部25とを有している。
【0046】本実施の形態では、ポスト部24は、四角
柱状に構成されているが、例えば円柱状に構成してもよ
い。
【0047】また、本実施の形態では、探針部25の先
端の頂点25aに向かう全ての稜線が内側に湾曲してお
り、探針部25の先端の頂点25aが極めて先鋭化され
ている。本実施の形態では、このように探針部25の先
端の頂点25aが先鋭化されているので、試料の溝の底
等の測定の分解能を向上させる上で好ましい。もっと
も、本発明では、必ずしもこのような先鋭化を図らなく
てもよい。
【0048】さらに、本実施の形態では、探針部25の
底面側部分の4つの角部25bがポスト部24の先端の
付近の部分の側方位置よりも側方に突出している(後述
する図6(b)も参照)。したがって、本実施の形態で
は、当該角部25によって、アスペクト比の高い試料で
ある半導体のラインアンドスペースやトレンチの側面を
イメージングすることができ、好ましい。なお、4つの
角部25bの全てが側方に突出している必要はなく、少
なくとも1つが側方に突出していればよい。もっとも、
本発明では、溝の側面の測定を行わない場合には、4つ
の角部25bの全てが側方に突出していなくてもよい。
【0049】また、本実施の形態では、各角部25bに
向かう全ての稜線も内側に湾曲しており、探針部25の
底面側部分の角部25bも極めて先鋭化されている。本
実施の形態では、角部25bが先鋭化されているので、
試料の側面の測定の分解能を向上させる上で好ましい。
もっとも、本発明では、必ずしもこのような先鋭化を図
らなくてもよい。
【0050】また、本実施の形態では、レバー部21が
窒化珪素膜で構成され、ポスト部24及び探針部25も
同じく窒化珪素で構成されている。しかし、本発明で
は、レバー部21、ポスト部24及び探針部25の材料
は窒化珪素膜に限定されるものではない。前記支持体2
4は、パイレックスガラス(商品名)部材26と、該パ
イレックスガラス部材26が接合されている箇所の前記
窒化珪素膜とから構成されている。もっとも、支持体2
4の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、半
導体基板を用いて構成してもよい。
【0051】次に、図1に示すカンチレバーの製造方法
の一例について、図2、図3、図4及び図5を参照して
説明する。図2は図1に示すカンチレバーの製造工程の
一例を示す概略断面図、図3は図2に示す工程に引き続
く工程を示す概略断面図、図4は図3に示す工程に引き
続く工程を示す概略断面図、図5は図4示す工程に引き
続く工程を示す概略断面図である。
【0052】まず、シリコン単結晶基板30上の上面に
シリコン酸化膜31とその上にシリコン単結晶膜34を
持ち、下面にはシリコン酸化膜32を持つ、市販されて
いるSOIウエハ(積層基板)33を用意する(図2
(a))。
【0053】その後、シリコン膜34の上面にダミー基
板35をクールグリース36を用いて接合する。このダ
ミー基板35は、後述する除去部37の形成のためのエ
ッチングからシリコン膜34を保護するためのものであ
る。したがって、ダミー基板35としては、その保護作
用を有するものを用いればよく、例えば、シリコン基板
やガラス基板など任意の材料の基板を用いることができ
る。なお、シリコン基板を用いた場合には、除去部37
の形成のためのエッチングにより厚みが減ることにな
る。なお、ダミー基板35に代えて、適宜、保護膜を形
成してもよい。
【0054】次いで、リソグラフィー法及びドライエッ
チング法を用いてSOIウエハ33の下面のシリコン酸
化膜32をパターニングすることによって、シリコン酸
化膜32の所定箇所に、基板30の下面を露出させる一
辺が30μmの正方形の開口32aを形成する(図2
(b))。開口32aの形状、大きさ等は任意に設定す
ることができる。
【0055】次に、図2(b)に示す状態のウエハを水
酸化カリウム(KOH)水溶液又はテトラメチルアンモ
ニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液などのシ
リコン用のエッチング液に浸漬し、シリコン酸化膜32
をマスクとして、開口32aから露出したシリコン基板
30の部分を台形状に異方性エッチングして、開口32
aに連続した凹部30aを形成する(図2(c))。前
記開口32a及び凹部30aが、SOIウエハ33にお
ける下面のシリコン酸化膜32及びシリコン基板30の
一部を除去して形成した除去部37を構成している。
【0056】次に、図2(c)に示す状態のウエハを7
0゜C程度に加熱してクールグリース36を溶かし、ダ
ミー基板35を剥離して除去し、その後、シリコン膜3
4上に付着して残ったクールグリース36を、払拭して
取り除く。次いで、シリコン膜34上にレジスト38を
塗布し、前記除去部37に対応する位置において、リソ
グラフィーによりレジスト38に一辺が0.3μmの正
方形の開口38aを形成する(図2(d))。次に、ド
ライエッチングにより、レジスト38をマスクとして開
口38aからシリコン膜34に四角形の貫通穴34aを
形成する(図2(e))。この貫通穴34aは、図1に
示すカンチレバーのポスト部24の形状を転写するため
の転写用貫通穴に対応するものである。その後、ドライ
エッチングによりレジスト38を除去するとともに、上
面のシリコン酸化膜31のうちの前記除去部37から外
部に露出した部分及び下面のシリコン酸化膜31を取り
去る(図3(a))。
【0057】その後、図3(a)に示す状態の構造体を
熱酸化によって酸化し、当該構造体の全体に酸化膜39
を形成する(図3(b))。本実施の形態では、この酸
化膜39が、図3(d)を参照して後述する凹部51b
の形成のためのエッチングに対して耐エッチング性を有
する保護膜となっている。
【0058】本実施の形態では、以上説明した図1
(a)から図3(b)までの工程が、図3(b)に示す
第1の部材を用意する段階を構成している。前述した説
明からわかるように、図3(b)に示す第1の部材は、
シリコン基板30とシリコン膜34及びシリコン酸化膜
31からなる積層基板(第1の基板)と、耐エッチング
性を有する保護膜としての酸化膜39とを有している。
そして、シリコン膜34は、図1に示すカンチレバーの
ポスト部24の形状を転写するための転写用貫通穴に対
応する貫通穴34aを有している。シリコン基板30及
びシリコン酸化膜31からなる積層基板は、貫通穴34
aの付近の部分において除去部40(この除去部40
は、シリコン基板30に形成された前記凹部30aとシ
リコン酸化膜31の前記除去部分とから構成されてい
る。)を有している。酸化膜39は、シリコン膜34の
貫通穴34aの内面を覆うとともに、シリコン基板30
とシリコン膜34及びシリコン酸化膜31からなる積層
基板からなる構造体の全体を覆っている。
【0059】このようにして図3(b)に示す第1の部
材を用意する一方、前記第1の部材の除去部40内に入
って前記第1の部材における貫通穴34a付近の部分に
接合可能である凸部51aを持った第2の基板51を用
意する(図3(c))。この基板51は、具体的には、
厚さ250μm、(100)面方位のシリコン単結晶基
板を用い、当該基板に対してリソグラフィーと異方性エ
ッチングを施すことにより、高さ20μm程度の凸部5
1aを形成することによって、用意する。
【0060】次に、この第2の基板51の凸部51aが
図3(b)に示す第1の部材の除去部40内に入って前
記第1の部材における貫通穴34a付近の部分に接合さ
れるように、前記第1の部材と第2の基板51とを直接
接合法等により接合する(図3(c))。
【0061】その後、図3(c)に示す状態の構造体を
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMA
H)水溶液に浸漬することによって、酸化膜39をマス
クとして、前記第1の部材における酸化膜39で覆われ
た貫通穴34から第2の基板51の凸部51aを四角錐
状に異方性エッチングして、凸部51aに、図1に示す
カンチレバーの探針部25の形状を転写するための転写
用凹部に対応する凹部(トレンチ)51bを形成する
(図3(d)、図4(a))。この異方性エッチングは
アンダーエッチングを起こすように行われ、凹部51b
の矩形の開口の各辺の長さが貫通穴34aの下側の開口
の各辺の長さより長くなる。この部分の拡大図を図4
(a)に示す。
【0062】次に、図3(d)及び図4(a)に示す状
態の構造体を熱酸化によってもう一度酸化し、その表面
に酸化膜52を形成する(図4(b))。この酸化の現
象は、シリコン表面に大気中の酸素が飛び込むことによ
り起こり、酸化された部分は飛び込んだ酸素の量に応じ
て膨れる。ここで特に微小な形状である四角柱状の貫通
穴34a及び四角錐状の凹部51bを見てみると、酸化
膜の膨張により、それぞれのコーナーにおいて膜内部に
応力集中が起こり、コーナーにおける酸化レートは、そ
の他の部分に比べ遅くなっている。そのため、それぞれ
のコーナー部分がくびれを起こす。この部分の拡大図を
図4(c)に示す。さらに、酸化によりシリコン表面が
盛り上がるため、貫通穴34aと、四角錐状の凹部51
bの空間が狭くなる。これによって、後述工程によりこ
の空間を型として形成されるカンチレバーのポスト部2
4及び探針部25はより微細に形成されるとともに、探
針部25の先端の頂点25aの前述した先鋭化及び探針
部25の底面側部分の角部25bの前述した先鋭化を図
ることができることになる。
【0063】本実施の形態では、以上説明した図2
(a)から図4(b)(c)までの工程が、図4(b)
(c)に示す型部材を用意する段階を構成している。図
4(b)(c)に示す型部材は、図3(b)に示す部材
に前記酸化膜52が更に形成されてなる第1の部材と、
第2の部材とが接合された構成を有している。内面に酸
化膜39,52が形成された貫通穴34aが、図1に示
すカンチレバーのポスト部24の形状を転写するための
転写用貫通穴となっている。また、前記第2の部材は、
内面に酸化膜52が形成された四角錐状の凹部51bが
形成された凸部51aを持った第2の基板51と、該第
2の基板51の下面に形成された酸化膜52とから構成
されている。内面に酸化膜52が形成された凹部51b
が、図1に示すカンチレバーの探針部25の形状を転写
するための四角錐状の転写用凹部であって前記転写用貫
通穴と連通する転写用凹部となっている。前記転写用貫
通穴(内面に酸化膜39,52が形成された貫通穴34
a)及び前記転写用凹部(内面に酸化膜52が形成され
た四角錐状の凹部51b)は、前記転写用貫通穴の上側
の開口のみで外部に開口する空間(図1に示すカンチレ
バーの突起物22の型となる空間)を形成している。ま
た、前述した説明からわかるように、当該空間の内壁全
体には酸化膜が形成されている。さらに、前記転写用貫
通穴における前記転写用凹部側の下側開口に対して、前
記転写用凹部の矩形の開口の4つの角がはみ出してい
る。
【0064】以上のようにして図4(b)(c)に示す
型部材を用意した後、前記転写用貫通穴(内面に酸化膜
39,52が形成された貫通穴34a)を含む当該型部
材上の領域に、図1に示すカンチレバーのレバー部2
1、突起物22及び支持体23の一部を構成すべき材料
としての窒化珪素53を、減圧CVD法等により成膜さ
せる(図4(d))。これにより、前記転写用貫通穴及
び前記転写用凹部が形成している空間内にも窒化珪素5
3が入り込み、当該空間に入り込んだ窒化珪素53に、
図1に示すカンチレバーのポスト部24及び探針部25
からなる突起物22の形状が転写される。なお、同時
に、基板51の下面の酸化膜52の下面にも、窒化珪素
膜54が成膜される。
【0065】次に、リソグラフィー法を用いて、前記型
部材の上面に成膜された窒化珪素膜53に対して、レバ
ー部21及び支持体23の所望の形状に合わせて、パタ
ーニングする。同時に、下面の窒化珪素膜54が除去さ
れる。その後、窒化珪素膜53上の所定箇所に支持体2
3を構成するパイレックスガラス部材26を陽極接合法
等により接合する(図5(a))。
【0066】次いで、図5(a)に示す状態の構造体を
KOH水溶液又はTMAH水溶液に浸漬して、カンチレ
バーのレバー部21、ポスト部24、探針部25及び支
持体23の一部を構成する窒化珪素膜53と、支持体2
3の他の一部を構成するパイレックスガラス部材55を
残し、他の全てを除去する(図5(b))。
【0067】最後に、必要に応じて、レバー部21の上
面に、原子間力顕微鏡の力検出に広く用いられている光
てこ法用の反射面として、金56をメタライズする。こ
れにより、図1に示すカンチレバーが完成する。
【0068】以上説明した製造方法では、電子ビームの
照射等、技術的に難しいプロセスは用いられておらず、
既に確立された半導体微細加工技術が使用されており、
バッチプロセスで、図1に示すカンチレバーを一括して
大量に製造することができる。したがって、図1に示す
カンチレバーは、安価に提供することができる。
【0069】図1に示す本実施の形態によるカンチレバ
ーを使いて、半導体プロセスで作られたアスペクト比の
高い溝3を有する試料2の溝3をイメージングする例
を、図6(b)に示す。溝3の幅は現在のリソグラフィ
ーの限界の分解能である0.2μmであり、溝3の深さ
は1μmである。前述した製造方法では、ポスト部24
と探針部25をリソグラフィーの技術を用いて形成する
が、前述したように酸化によるシリコン酸化膜の膨張を
利用することにより、カンチレバーの探針部25の横幅
をリソグラフィーの限界の分解能の値よりも細くするこ
とができる。そのため、図6(b)に示すように、リソ
グラフィーの限界の大きさで形成された溝3の内部に差
し入れることができ、溝3の底面4をイメージングする
ことができる。さらに、図1に示すカンチレバーでは、
探針部25の底面側部分の4つの角部25bが側方に突
出しているため、溝3の側面5もイメージングすること
ができる。
【0070】以上、本発明の一実施の形態について説明
したが、本発明はその実施の形態に限定されるものでは
ない。
【0071】例えば、本発明では、前述した製造方法を
次のように変形してもよい。
【0072】すなわち、探針部25の先鋭化の程度は低
下するものの、前述した製造方法において、図3(d)
に示す構造体を酸化させる工程を省略し、図3(d)に
示す構造体をそのまま型部材として用いてもよい。
【0073】また、前述した製造方法では、図3(b)
に示す第1の部材と基板51とを接合した後に、当該第
1の部材をエッチングマスクとして利用して基板51の
凸部51aに凹部51bを形成していた。しかし、本発
明では、図3(b)に示す第1の部材と基板51とを接
合する前に、基板51単独の状態において予め凸部51
aに凹部51bを形成しておき、前記第1の部材の貫通
穴34aと基板51の凸部51aに形成した凹部51b
とを位置合わせして、前記第1の部材と前記基板51と
を接合してもよい。この場合、貫通穴34a及び凹部5
1bの大きさや両者の位置合わせを適宜設定することに
より、転写用貫通穴における転写用凹部側の下側開口に
対して、転写用凹部の矩形の開口の4つの角がはみ出さ
ないように設定したり、当該4つの角のうちの一部のみ
がはみ出すように設定することもできる。また、基板5
1単独の状態において予め凸部51aに凹部51bを形
成する場合には、図3(b)に示す第1の部材をエッチ
ングマスクとして利用しないので、図3(b)に示すよ
うな酸化膜39の形成は不要となり、図3(a)に示す
構造体をそのまま基板51と接合してもよい。
【0074】また、前述した図1に示すカンチレバーに
おいて、少なくとも探針部25の先端に金属膜等の導電
膜や磁性膜を形成すれば、走査型トンネル顕微鏡、走査
型電気容量顕微鏡、走査型静電気力顕微鏡及び走査型磁
気力顕微鏡などの他の種々の走査型プローブ顕微鏡にお
いて用いることができる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アスペクト比が高くて微細な隙間に探針部を差し入れる
ことが可能であり、しかも、大量生産が可能で安価なカ
ンチレバー及びその製造方法を提供することができる。
【0076】また、本発明は、アスペクト比が高くて微
細な隙間に探針部を差し入れることが可能であるととも
に溝の底のみならず側面の測定も可能であり、しかも、
大量生産が可能で安価なカンチレバー及びその製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるカンチレバーを示
す概略斜視図である。
【図2】図1に示すカンチレバーの製造工程の一例を示
す図である。
【図3】図1に示すカンチレバーの製造工程であって図
2に引き続く製造工程を示す概略断面図である。
【図4】図1に示すカンチレバーの製造工程であって図
3に引き続く製造工程を示す概略断面図である。
【図5】図1に示すカンチレバーの製造工程であって図
4に引き続く製造工程を示す概略断面図である。
【図6】図1に示すカンチレバーを用いて試料を観察す
る例及び従来のカンチレバーを用いて試料を観察する例
を示す図である。
【符号の説明】
21 レバー部 22 突起物 23 支持体 24 ポスト部 25 探針部 26 パイレックスガラス部材 30 シリコン単結晶基板 31,32 シリコン酸化膜 33 SOIウエハ 34 シリコン膜 34a 貫通穴 35 ダミー基板 36 クールグリース 37 除去部 38 レジスト 39,52 酸化膜 40 除去部 51 シリコン単結晶基板 51a 凸部 51b 凹部 53,54 窒化珪素膜

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄板状のレバー部と、該レバー部の先端
    側に設けられた突起物とを備えたカンチレバーであっ
    て、 前記突起物は、前記レバー部の先端側に突設された柱状
    のポスト部と、底面側部分が前記ポスト部の先端に連結
    された四角錐状の探針部とを有することを特徴とするカ
    ンチレバー。
  2. 【請求項2】 前記探針部の先端の頂点に向かう全ての
    稜線が内側に湾曲したことを特徴とする請求項1記載の
    カンチレバー。
  3. 【請求項3】 前記探針部の底面側部分の角部が前記ポ
    スト部における先端付近の部分の側方位置より側方に突
    出したことを特徴とする請求項1又は2記載のカンチレ
    バー。
  4. 【請求項4】 前記探針部の底面側部分の角部に向かう
    全ての稜線が内側に湾曲したことを特徴とする請求項3
    記載のカンチレバー。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のカン
    チレバーを製造する方法であって、 第1の部材と第2の部材とが接合されてなる型部材であ
    って、前記第1の部材は前記ポスト部の形状を転写する
    ための転写用貫通穴を有し、前記第2の部材は前記探針
    部の形状を転写するための四角錐状の転写用凹部であっ
    て前記転写用貫通穴と連通する転写用凹部を有し、前記
    転写用貫通穴及び前記転写用凹部は前記転写用貫通穴の
    一方の開口のみで外部に開口する空間を形成する、型部
    材を用意する段階と、 前記転写用貫通穴を含む前記型部材上の領域に前記レバ
    ー部及び前記突起物を構成すべき材料を成膜させる段階
    と、 成膜された前記材料を所定形状にパターニングする段階
    と、 前記型部材を除去する段階と、 を備えたことを特徴とするカンチレバーの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記転写用貫通穴における前記転写用凹
    部側の開口に対して、前記転写用凹部の矩形の開口の4
    つの角のうちの少なくとも1つがはみ出していることを
    特徴とする請求項5記載のカンチレバーの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記転写用凹部の内面には酸化膜が形成
    されていることを特徴とする請求項5又は6記載のカン
    チレバーの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記転写用貫通穴及び前記転写用凹部が
    形成する前記空間の内壁の全体には、酸化膜が形成され
    ていることを特徴とする請求項6記載のカンチレバーの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の部材は、第1の基板と、該第
    1の基板上に形成された半導体膜とを有し、前記半導体
    膜は前記転写用貫通穴に対応する貫通穴を有し、前記第
    1の基板は前記半導体膜の前記貫通穴付近の部分におい
    て除去部を有することを特徴とする請求項5記載のカン
    チレバーの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第1の部材は、前記半導体膜の前
    記貫通穴の内面を覆うとともに前記第1の基板及び前記
    半導体膜からなる構造体の全体を覆う耐エッチング性を
    持った保護膜を有することを特徴とする請求項9記載の
    カンチレバーの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記保護膜が酸化膜であることを特徴
    とする請求項10記載のカンチレバーの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第2の部材は、前記第1の部材の
    前記第1の基板の前記除去部内に入って前記第1の部材
    における前記貫通穴付近の部分に接合される凸部を持っ
    た第2の基板を有し、該第2の基板の前記凸部に前記転
    写用凹部に対応する凹部が形成されたことを特徴とする
    請求項9乃至11のいずれかに記載のカンチレバーの製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2の基板の前記凸部に形成され
    た前記凹部の内面に、酸化膜が形成されていることを特
    徴とする請求項12記載のカンチレバーの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至4のいずれかに記載のカ
    ンチレバーを製造する方法であって、 第1の基板と、該第1の基板上に形成された半導体膜
    と、耐エッチング性を持った保護膜とを有する第1の部
    材であって、前記半導体膜は前記ポスト部の形状を転写
    するための転写用貫通穴に対応する貫通穴を有し、前記
    第1の基板は前記半導体膜の前記貫通穴付近の部分にお
    いて除去部を有し、前記保護膜は前記半導体膜の前記貫
    通穴の内面を覆うとともに前記第1の基板及び前記半導
    体膜からなる構造体の全体を覆っている、第1の部材を
    用意する段階と、 前記第1の部材の前記第1の基板の前記除去部内に入っ
    て前記第1の部材における前記貫通穴付近の部分に接合
    可能である凸部を持った第2の基板を用意する段階と、 前記第2の基板の前記凸部が前記第1の部材の前記第1
    の基板の前記除去部内に入って前記第1の部材における
    前記貫通穴付近の部分に接合されるように、前記第1の
    部材と前記第2の基板とを接合する段階と、 前記第1の部材と前記第2の基板とを接合した後に、前
    記第1の部材における前記保護膜で覆われた前記貫通穴
    から前記第2の基板の前記凸部をエッチングして、前記
    凸部に、前記探針部の形状を転写するための四角錐状の
    転写用凹部に対応する凹部を形成する段階と、 前記凸部に前記凹部を形成した後に、前記第1の部材の
    前記貫通穴を含む前記第1の部材上の領域に前記レバー
    部及び前記突起物を構成すべき材料を成膜させる段階
    と、 成膜された前記材料を所定形状にパターニングする段階
    と、 前記第1の部材及び前記第2の基板を除去する段階と、 を備えたことを特徴とするカンチレバーの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記凸部に前記凹部を形成する段階に
    おいて、前記エッチングはアンダーエッチングを起こす
    ように行われることを特徴とする請求項14記載のカン
    チレバーの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記凸部に前記凹部を形成する段階の
    後であって前記材料を成膜させる段階の前に、当該構造
    体を酸化させて酸化膜を形成する段階と、前記パターニ
    ングする段階の後に前記酸化膜を除去する段階と、を備
    えたことを特徴とする請求項14又は15記載のカンチ
    レバーの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第1の部材を用意する段階は、片
    面に酸化膜を持ち、もう片面には酸化膜とその上に半導
    体膜を持つ半導体基板に、前記半導体膜上にダミー基板
    を接合する段階と、前記積層基板における下面の前記酸
    化膜及び前記半導体基板の一部を除去して除去部を形成
    する段階と、前記除去部の形成後に前記ダミー基板を除
    去する段階と、前記ダミー基板の除去後に前記除去部に
    対応する位置において前記半導体膜に貫通穴を形成する
    段階と、前記貫通穴の形成後に前記積層基板における上
    面の酸化膜のうちの前記除去部から外部に露出した部分
    を除去する段階と、前記露出した部分を除去した後の構
    造体の全体に前記酸化膜を形成する段階と、を含むこと
    を特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載のカ
    ンチレバーの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記半導体基板及び前記第2の基板が
    それぞれシリコン単結晶基板であることを特徴とする請
    求項17記載のカンチレバーの製造方法。
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