JPH11233802A - 光起電力素子の製造方法 - Google Patents

光起電力素子の製造方法

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JPH11233802A
JPH11233802A JP10343700A JP34370098A JPH11233802A JP H11233802 A JPH11233802 A JP H11233802A JP 10343700 A JP10343700 A JP 10343700A JP 34370098 A JP34370098 A JP 34370098A JP H11233802 A JPH11233802 A JP H11233802A
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JP
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electrode layer
photovoltaic device
layer
photovoltaic element
component
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JP10343700A
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Hirobumi Ichinose
博文 一ノ瀬
Yukie Ueno
雪絵 上野
Tsutomu Murakami
勉 村上
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Original Assignee
Canon Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積にわたる光起電力素子のピンホール等
の欠陥部の存在に起因する漏れ電流を減少させ、低照度
における起電圧特性に優れた光起電力素子の製造方法を
提供する。 【解決手段】 基板201上に少なくとも第一の電極層
202、半導体層203、第二の電極層204が形成さ
れた光起電力素子200を電解液207中に浸漬し、電
界の作用で該光起電力素子の欠陥205による短絡電流
通路を除去する工程を有する光起電力素子の製造方法に
おいて、前記電解液中の第一の成分の量と第二の成分の
量を調整して電解液207の水素イオン濃度を調整し、
第一の成分により第二の電極層204の構成物質を電気
的に溶解する光起電力素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光起電力素子の製造
方法に関するものであり、より詳しくは、欠陥による短
絡電流通路を除去し、特性の優れた光起電力素子を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽電池などの光起電力素子の大
面積化に伴い、大面積にわたってアモルファスシリコン
等の半導体層を成膜した多層構成の光起電力素子の開発
が進められている。また、大面積の光起電力素子を製造
するためにロールツーロール等の連続工程法等が着目さ
れている。
【0003】しかしながら、大面積にわたって欠陥のな
い多層構成の光起電力素子を作製することは困難であ
る。例えば、アモルファスシリコン等の薄膜を多数積層
した光起電力素子においては、半導体層の成膜時にダス
トの影響などによりピンホールや欠陥が生じ、シャント
やショートの原因となり易く、これらのシャントやショ
ートは光起電力素子の特性を著しく低下させることが知
られている。シャントやショートが生じると、該特性の
中でも起電圧特性の低下が著しいことが分かっている。
【0004】ピンホールや欠陥ができる原因と影響につ
いてさらに詳しく述べる。例えばステンレス基板上に堆
積したアモルファスシリコン太陽電池の場合、基板表面
は完全に平滑な面とは言えず、傷やへこみ、あるいはス
パイク状の突起が存在する。また、基板上に光を散乱す
ることを目的でステンレス基板上に凹凸のある電極層
(バックリフレクター)を設けたりする。そのため、
p,n層のように数100Åの厚みの薄膜の半導体層が
このような表面を完全にカバーできないことが欠陥やピ
ーンホールが生じる一つの大きな原因となっている。ま
た、前述したように成膜時の微小なダストなどが原因と
なってピンホールが生じることがある。
【0005】このように、太陽電池の第一の電極(下部
電極)と第二の電極(上部電極)との間の半導体層がピ
ンホールにより失われてしまい、第一の電極と第二の電
極とが直接接触したり、基板のスパイク状欠陥が第二の
電極と接触したり、半導体層が完全に失われていないま
でも低抵抗なシャントまたはショートとなっている場合
には、光によって発生した電流が第二の電極を平行に流
れてシャント部またはショート部の低抵抗部分に流れ込
むこととなり、発生した電流を損失することが起こる。
このような電流損失があると太陽電池の開放電圧すなわ
ち電圧特性が著しく低下し、その現象は低照度の下では
より顕著になり、あらゆる天候条件でも発電が要求され
る太陽電池にとっては深刻な問題となる。
【0006】以上のようにショートが生じている場合に
は、ショート部の低抵抗部分に流れ込むことによる発生
した電流の損失を小さくするような対策を講じることが
求められる。このような対策としては、欠陥部やピンホ
ールを直接に除去するか、もしくは、ショート部周辺の
部材を除去するか絶縁化することにより電流損失を小さ
くする、もしくはなくすことが知られている。
【0007】具体的には、米国特許4,166,918
号明細書には、大面積太陽電池の電気的短絡部の欠陥部
を除去する方法として、降伏電圧以下の十分高い逆バイ
アス電圧を用いて太陽電池の欠陥部を焼き取る方法が記
載されている。しかし、かかる方法では太陽電池に高い
逆バイアス電圧を印加するため、欠陥部を焼き切る際に
欠陥部以外の正常部にダメージを与える可能性があり、
その制御が困難であるという問題がある。
【0008】また、特公昭62−59901号公報には
半導体装置のピンホールをレーザーにより埋設する方法
が開示されている。しかし、かかる方法においてはピン
ホールにレーザーの焦点を合わせるために特別なアプリ
ケーションを必要とする。更に、レーザーにより他の正
常部にダメージを与える可能性がある。
【0009】更には、特公昭62−4869号公報には
光起電力素子の非晶質膜を貫通して生じるピンホールに
絶縁物を充填する方法が開示されている。しかし、かか
る方法は感光性絶縁物を塗布した後に、透光性基板を介
して光照射をすることにより選択的にピンホールに絶縁
物を充填する方法であり、不透明の導電性基板を用いる
場合には適用できず、応用範囲も限られていた。
【0010】また、米国特許4,729,970号明細
書には透明導電性膜を含む電気デバイスのショート欠陥
部に変換試薬を接触し、欠陥付近の導電膜を高抵抗化す
ることにより電極と電気的に絶縁する方法が開示されて
いる。具体的な方法としてはルイス酸(より具体的には
両性元素の塩)を中に包含する試薬、詳しくはAlCl
3,ZnCl2等の塩化物を含む試薬を用いて処理を行う
ことが記載されているが、このようなハロゲン化物を用
いて処理を行う場合、多層膜構成の光起電力素子中にA
lなどの両性金属が用いられていると該両性金属を著し
く侵食してしまうため、処理中に剥離などの副作用の問
題が生じていた。
【0011】更には、米国特許5,084,400号明
細書、米国特許5,320,723号明細書には金属基
板に堆積した光起電力素子のショート欠陥部を、H2
4など酸溶液中で電圧を印加して欠陥付近の導電膜の
高抵抗化することにより、電極と電気的に絶縁する方法
が開示されている。たしかに、かかる方法においてはH
2SO4などの硫酸基を含む酸を用いることにより前記の
ようなAlの剥れの問題は改善されたが、侵食度合いが
水素イオン濃度に大きく影響を受けるZnOのような材
料を光起電力素子を構成する薄膜に用いる場合、処理中
に剥離等の問題を引き起こす結果となった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は以上の
ような課題を克服して、大面積にわたる光起電力素子の
ピンホール等の欠陥部の存在に起因する漏れ電流を減少
させ、低照度における起電圧特性に優れた光起電力素子
の製造方法を提供することである。更には、量産性が高
く、信頼性の高い光起電力素子の製造方法を提供するこ
とである。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、基板
上に少なくとも第一の電極層、半導体層、第二の電極層
が形成された光起電力素子を電解液中に浸漬し、電界の
作用で該光起電力素子の欠陥による短絡電流通路を除去
する工程を有する光起電力素子の製造方法において、前
記電解液中の第一の成分の量と第二の成分の量を調整し
て該電解液の水素イオン濃度を調整し、該第一の成分に
より前記第二の電極層の構成物質を電気的に溶解するこ
とを特徴とする光起電力素子の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上述した目的を達
成するために、光起電力素子の中に存在するピンホール
等の欠陥部からの漏れ電流を減少させ、更に剥離などの
副作用を生じずに長期的に安定な処理が行なえる光起電
力素子の製造方法について鋭意検討した結果、以下に述
べる知見を得た。
【0015】すなわち、光起電力素子を電解液中に浸漬
し、電界の作用で該光起電力素子の欠陥による短絡電流
通路を除去する際に、該電解液が、第一の電極層の剥離
(電解液への溶解)を抑制するように水素イオン濃度が
調整され、かつ、光起電力素子の欠陥部表面に第二の電
極層の構成物質が残留しないように第二の電極層から溶
け出る構成物質を安定して溶液中に取り込むイオンを電
解質として含むために、第一電極層の侵食度合いを抑制
して、電解処理中に剥離が生じず、ピンホール等の欠陥
部付近の第二の電極層を還元することにより電解液中に
安定して構成物質を溶かし込み、光起電力素子の欠陥部
表面に第二の電極層の構成物質を残留させない。
【0016】水素イオンの調整について更に詳述する
と、後述するように、第一の電極層は入射光の反射を高
め、光起電流を向上させるために、好ましくは金属層や
合金層をもしくはこれらの積層体により構成される。よ
り好ましくは、Ag、Al、AlSiなどからなる金属
層または合金層の上にZnO等の金属酸化物からなる層
を積層して構成される。この際、反射量を増大させるた
め、金属層の材料の選択や成膜条件が重要となる。例え
ば、反射量増加のため、Agを用いる方法があるが、A
gは水分の影響によりイオン化してエレクトロマイグレ
ーションを起こし易く、屋外で光起電力素子を使用する
場合には水分の完全な遮断を行なわなければ長期信頼性
の面で問題がある。そのため、水分の影響を受けにくい
材料としてAlやAlSiなどを用いることが好まし
い。しかし、この場合、成膜条件によっては、酸性やア
ルカリ性の溶液などで処理をする際に、ハロゲンイオ
ン、特にCl-イオンの存在により部分的な剥離の問題
が生じる。その対策として成膜温度や成膜速度などを工
夫することが考えられるが、反射量を増大させ且つ密着
力の高く剥離しにくい層を得る条件を得るのは非常に困
難である。この剥離現象は具体的には金属(合金)層の
下に位置する金属基板(SUS)、または上に位置する
金属酸化物層(透明導電性酸化物層)との界面で見られ
る。
【0017】第一の電極層の剥離を抑制するためにはハ
ロゲンイオンの濃度を低下させる、すなわち電解液の濃
度を低濃度化する方法や、極端に処理速度を速める方法
が考えられる。しかし、第二の電極層を還元し得る濃度
で、第一の電極層の剥離を抑制することは難しい。ま
た、搬送や洗浄等の後工程を考慮すると十分短時間で処
理することも難しい。
【0018】電解液の成分としてハロゲンイオンを用い
ない物質、例えば硫酸、硝酸、セレン酸等の強酸性の電
解質を用いた場合、水素イオン濃度が強酸性に偏るため
Al,AlSi以外の層の侵食による剥離(例えばZn
O層の剥離)が発生して、例えば金属層との界面で剥離
が生じてしまう。このような侵食による剥離は水素イオ
ン濃度に依存して発生するので、浸食を抑制する手段と
しては水素イオンの調整が有効となる。
【0019】このような調整を行うことにより、欠陥部
の電気抵抗を局所的に増加させ、漏れ電流を防止させる
ことができ、それにより、光起電力素子の特性、特に光
起電力素子の低照度における起電圧特性が向上する。
【0020】本発明はこれらの知見に基づいて完成され
たものであり、本発明の光起電力素子の製造方法は、基
板上に少なくとも第一の電極層、半導体層、第二の電極
層が形成された光起電力素子を電解液中に浸漬し、電界
の作用で該光起電力素子の欠陥による短絡電流通路を除
去する工程を有する光起電力素子の製造方法において、
前記電解液中の第一の成分の量と第二の成分の量を調整
して該電解液の水素イオン濃度を調整し、該第一の成分
により前記第二の電極層の構成物質を電気的に溶解する
ことを特徴とする。
【0021】基板上に第一の電極層、半導体層、第二の
電極層が形成された光起電力素子を電解液中に浸漬し、
電界の作用で該光起電力素子の欠陥による短絡電流通路
を除去する際に、第一の電極層の剥離を抑制し、かつ、
還元反応により第二の電極層から溶け出る構成物質を安
定して溶液中に溶かし込み、光起電力素子の欠陥部表面
に第二の電極層の構成物質を残さないようにした。その
結果、電解処理中の剥離、光起電力素子表面の金属粒の
残留等に起因する外観不良など問題点を回避し、かつ、
低照度における起電圧特性を向上させることが可能とな
る。
【0022】また、酸性溶液と塩基性溶液を混合するこ
とにより水素イオン濃度の調整が可能となる。その結
果、第一の電極層の剥離の抑制(中性側)と第二の電極
層の構成物質の取り込み(強酸性側)といった相反する
作用の調整が可能となるため、光起電力素子を構成する
金属層の剥離、素子表面の金属粒の残留等に起因する外
観不良や特性上の問題を回避して、かつ、安定して起電
圧特性の良好な光起電力素子を製造することができる。
【0023】さらに、第二の電極層の電極材の種類に応
じて電解液中の電解質(具体的には第一の成分)を選択
することにより、第二の電極層から溶けだした構成物質
を錯形成などによって安定して溶液中に溶かし込むこと
ができる。その結果、第二の電極層の構成物質が光起電
力素子の欠陥部表面に金属粒として残留すること等に起
因する外観不良などの問題点をふせぎ、かつ、低照度に
おける起電圧特性を向上させることが可能となる。
【0024】また、第一の電極層、半導体層、第二の電
極層の種類に合わせて前記電解液の水素イオン濃度を
1.0×10-1.0〜1.0×10-2.0mol/lに調整
することにより、光起電力素子の剥離、素子表面の金属
粒の残留等に起因する外観不良や特性上の問題を回避し
て、かつ、起電圧特性の良好な光起電力素子を製造する
ことができる。
【0025】さらに、前記電解液の電導度を10〜10
0mS/cmにすることにより、欠陥部の第二の電極層
の溶出を安定して行なうことができる。そのため金属粒
の残留に起因する外観不良、特性不良を回避して、か
つ、起電圧特性の良好な光起電力素子を製造することが
できる。
【0026】また、第二の電極層の種類に応じて電解質
としての酸を選択することにより、第二の電極層の構成
物質が還元されて生じた金属イオンと選択された酸と
が、錯塩や複塩を安定して形成する(金属イオンを取り
込む)ため、電解液中に溶け出した金属イオンが金属粒
となって残留しておこる外観不良、特性不良を回避し
て、かつ、起電圧特性の良好な光起電力素子を製造する
ことができる。
【0027】さらに塩基性溶液を選択することにより、
微妙な中和反応によって水素イオン濃度を簡単に調整す
ることができる。この結果、第一の電極層の浸食による
剥離の抑制(中性側)と第二の電極層の構成物質の電解
液への取り込み(強酸性側)といった相反する作用の調
整が可能となり最適点で電界処理を行なえるため、光起
電力素子の剥離、素子表面の金属粒の残留等に起因する
外観不良や特性上の問題を回避して、かつ、安定して起
電圧特性の良好な光起電力素子の製造ができる。
【0028】また、光起電力素子にバイアスを印加する
ことにより電界を発生させるため、電界条件を多様に選
択出来る。
【0029】さらに、前記バイアスを光起電力素子に対
し順方向に印加することにより、光起電力素子の正常部
に悪影響を与えることなく処理することができる。
【0030】また、光起電力素子に光を照射することに
より該光起電力素子本体の起電圧により電界を発生させ
ることにより、光起電力素子に無理な電界がかからず、
しかも欠陥部へ確実に電界の作用がおよび、特性が回復
できる。
【0031】さらに、基板を導電性基板とすることによ
り、電解処理の際に電極の取り出し等が容易にでき、処
理が簡便に行なえる。
【0032】また、第一の電極層を少なくとも1種類の
金属層を含む複数の層とすることにより、光入射の際に
反射の効果を増加させ、特性の良好な光起電力素子を製
造することができる。
【0033】さらに、半導体層をアモルファス半導体と
することにより、ロールツーロールによる大面積による
光起電力素子が製造できる。
【0034】また、第二の電極層が金属酸化物からなる
ことにより、還元反応を第二の電極層に半導体層より優
先的に起こさせることができ、欠陥部の電気的短絡が排
除できる。
【0035】以下、図面を用いて本発明の実施態様例を
説明する。
【0036】まず、本発明により製造される光起電力素
子について説明する。
【0037】図1は本発明により製造される光起電力素
子の一例を示す模式図であり、図1(a)は断面図、図
1(b)は平面図である。
【0038】図1はアモルファスシリコン半導体層を有
する光起電力素子100を示し、光起電力素子100は
入射する光の吸収に反応して電流の流れを発生する複数
のpin接合103、113及び123から構成される
半導体層110を有する。101は太陽電池本体を支持
する基板、102は第一の電極層、104は透明導電膜
からなる第二の電極層、105は集電電極として用いら
れるグリッド電極、106は光起電力素子中に存在する
ピンホール等の欠陥部、107は還元除去された高抵抗
部、108はプラス電極(プラスタブ)、109はマイ
ナス電極(マイナスタブ)を示す。
【0039】図1に基板と反対側から光入射するアモル
ファスシリコン系光起電力素子を示す。本発明はこのよ
うな光起電力素子の製造に関して使用可能であるが、本
発明はこのような特定の構造もしくは形状の光起電力素
子の製造方法に限定されるものではない。
【0040】(基板101)基板101は、アモルファ
スシリコン等からなる多層薄膜を積層した構成による光
起電力素子の場合の半導体層110を機械的に支持する
基板であり、また同時に電極として用いられる場合もあ
る。
【0041】基板101としては、例えばステンレス基
板や、錫金属箔等の金属部材、ガラスや合成高分子樹脂
の上の少なくとも一部分に導電性膜を堆積したもの等の
導電性の基板が好ましい。
【0042】(第一の電極層102)第一の電極層10
2は、半導体層110が発生した電力を取り出すための
一方の電極であり、半導体層110に対してはオーミッ
クコンタクトとなる仕事関数を持つことが要求される。
第一の電極層は光の乱反射を起こさせるためにテクスチ
ャー化して起電流特性を向上させることが好ましい。
【0043】第一の電極層102の材料としては、好ま
しくはAl、Ag、Pt、ZnO、In23、ITO、
AlSi等の金属体または合金及び透明導電性酸化物
(TCO)が用いられる。第一の電極層の作製法として
はメッキ、蒸着、スパッタ等の方法が好適である。
【0044】ここで、第一の電極層102は、導電性が
高く、反射率の高い金属または金属合金よりなる金属層
を含むことが、光起電力素子の特性を向上させるために
は重要である。また、第一の電極層は、少なくとも一種
類の金属層を含む複数の層から形成されることが好まし
い。例えば、基板101上に金属層、透明導電性酸化物
層を順次積層した構成とした第一の電極層とすると、金
属層と半導体層110との界面でアロイ化し、シリーズ
抵抗を増加させるという問題がなく好ましい。
【0045】(半導体層110)半導体層110として
は、アモルファスシリコン系光起電力素子を例に挙げる
と、i型層を構成する半導体材料として、a−Si,a
−SiGe,a−SiC等のいわゆるIV族及びIV族
合金系アモルファス半導体が挙げられる。p型層または
n型層を構成する半導体材料は、前述したi型層を構成
する半導体材料に価電子制御剤をドーピングすることに
よって得られる。p型半導体を得るための価電子制御剤
としては第III族の元素を含む化合物が用いられる。
第III族の元素としては、B,Al,Ga,Inが挙
げられる。n型半導体を得るための価電子制御剤として
は第V族の元素を含む化合物が用いられる。第V族の元
素としてはP,N,As,Sbが挙げられる。
【0046】アモルファスシリコン半導体層の成膜法と
しては、蒸着法、スパッタ法、RFプラズマ法、マイク
ロ波プラズマCVD法、ECR法、熱CVD法、LPC
VD法等の公知の方法を所望に応じて用いる。また、大
面積のものを得るためにロールツーロール法で基板を連
続的に搬送して成膜する方法が用いられる。
【0047】本発明は、分光感度や電圧の向上を目的と
して半導体接合(pin接合やpn接合)を1つだけ有
するものや2層以上積層するいわゆるタンデムセルや図
1に示したようなトリプルセルに用いることもできる。
【0048】(第二の電極層104)第二の電極層10
4は、半導体層110で発生した起電力を取り出すため
の電極であり、第一の電極層102と対をなすものであ
る。
【0049】第二の電極層104はアモルファスシリコ
ン系光起電力素子のようにシート抵抗が高い半導体を用
いた光起電力素子の場合に必要である。また、第二の電
極層104は、光入射側に位置するため透明であること
が必要で透明電極とも呼ばれる。第二の電極層104
は、太陽や蛍光灯等からの光を半導体層110内に効率
良く吸収するために光の透過率が85%以上であること
が望ましく、さらに、電気的には光で発生した電流を半
導体層110に対し横方向に流れるようにするために、
シート抵抗は100Ω/□以下であることが望ましい。
【0050】このような特性を備えた材料としてSnO
2,In23,ZnO,CdO,CdSnO4,ITO
(インジウム錫酸化物)等の金属酸化物が挙げられる。
【0051】(グリッド電極105)グリッド電極10
5は、半導体層110で発生させ、第二の電極層104
により取り出した電流を、更に集電するものである。
【0052】グリッド電極105は櫛状に形成され、第
二の電極層104のシート抵抗の大きさから好適な幅や
ピッチ等が設計決定される。グリッド電極105は比抵
抗が低く、光起電力素子の直列抵抗にならないことが要
求される。具体的なグリッド電極105の形成方法とし
ては、Ag,Ni,Al,Ti,Cr,W,Cu等の金
属を粉末にしてポリマーのバインダー、溶剤と混合しペ
ーストとし、スクリーン印刷法により形成する方法、蒸
着法により直接形成する方法、半田法、メッキ法、ま
た、前記金属をワイヤ状にして敷設する方法などが挙げ
られる。
【0053】(欠陥部106)前述したアモルファスシ
リコン系光起電力素子において、堆積される半導体層1
10は、その厚みの合計がおよそ4000Åの薄膜層で
ある。このため、上下からの突起や異物等が存在する場
合、その突起や異物を十分に堆積により覆うことは困難
となる。
【0054】例えば、基板101にステンレススチール
を用いて、その上に半導体層110を連続的に堆積する
場合、基板101表面を平滑に処理をしたとしても、突
出やくぼみ、歪みを全くなくすことは困難である。ま
た、連続成膜の搬送中に基板101裏面側から機械的な
打痕や傷が少なからず生じてしまう。このため、1μm
以上の凹凸や半導体層110への機械的ダメージが生
じ、欠陥部106の発生につながる。例えば、基板10
1表面からの突起の高さが大きいと半導体層110がそ
の突起を覆うことができず、その後に第二の電極層10
3がその突起上に直接積層されてしまい、基板101や
第一の電極層102と第二の電極層103とが直接接触
してしまいシャントやショートが生じる。また、半導体
層110の成膜時にダスト等が堆積した場合、半導体層
110の未成膜部が形成されたり、剥れが生じたりし
て、ピンホールの原因となるばかりか、第二の電極層1
03が直接に第一の電極層102や基板101上に形成
されてしまいシャントやショートが生じる。
【0055】これらの欠陥の存在は低照度における電圧
特性に影響する。すなわち、光起電力素子の光起電流は
照明が強くなると共に直線的に増加するが、その結果得
られる起電圧は指数的に増加する。すなわち、起電圧は
照度が強い場合、極端には明るさがAM−1の照明下で
は、欠陥の程度にかかわらず殆ど差がでないが、照度が
下がるにつれて欠陥のあるものとないものの差が現れ
る。この傾向は照度1000Lux以下からより顕著に
なる。このため、室内や太陽光が集まりにくい環境では
欠陥による影響を排除することが重要である。
【0056】(高抵抗部107)本発明を用いることに
より、光起電力素子100の半導体層110中の欠陥部
106の上にある第二の電極層104の一部に高抵抗部
107が形成されることによって欠陥部106への電流
経路が防がれる。この際、第二の電極層104の高抵抗
化は欠陥部106の近傍でのみ行なわれるため、第二の
電極層104の抵抗率自体は増加せず、そのため、光起
電力素子全体の直列抵抗は増加しない。
【0057】次に、本発明に係る製造方法について説明
する。
【0058】図2は本発明を実施するための製造装置の
一例を示す模式的な断面図であり、図2(a)は外部電
源を用いた装置、図2(b)は光照射部を設けた装置を
表す。図2において、200は光起電力素子、201は
基板、202は第一の電極層、203は最上層(図2
(a)では左側)にp層が堆積された半導体層、204
は第二の電極層、205は欠陥部、206は電解処理
槽、207は電解液、208は対向電極、209は電
源、210は光照射部を表している。
【0059】前述のように、本発明によれば、欠陥部2
05の上にある第二の電極層204の一部に高抵抗部が
形成されることによって欠陥部205への電流経路が防
がれるが、高抵抗部の形成は例えば第二の電極層204
の一部を還元することにより達成される。
【0060】以下、図2(a)を用いて説明する。電解
処理槽206中の電解液207に光起電力素子200を
浸漬し、電源209のマイナス極側に接続し、対向電極
208をプラス極側に接続する。すなわち光起電力素子
200には順方向にバイアス電圧が印加される仕組みと
なる。この際、電極間にバイアス電圧が印加されると、
電解液207を媒体として、電流が低抵抗率である欠陥
部205を通して優先的に流れる。このとき陰極側とな
る光起電力素子200側に発生期水素(活性水素)が生
じ、欠陥部205周辺、つまりは第二の電極層204の
欠陥部205の上部に相当する部分との間に化学反応が
生じる。すなわち、金属酸化物等からなる第二の電極層
204が還元されることになる。この還元反応と同時に
反応生成物の電解液への溶解が始まり、溶解した部分は
第二の電極層204が欠落した形になり、実質的には第
二の電極層204を介して横方向から欠陥部205に流
れ込む漏れ電流の経路が遮断されることになる。
【0061】また、図2(b)に示すように、上記の電
界は電解液中で光起電力素子に光を照射することによっ
ても発生させることができる。この際、光によって光起
電力素子が発生する起電圧自体が印加バイアス電圧とな
る。なお照射する光の強度によりバイアス条件をコント
ロールすることができる。
【0062】本発明の光起電力素子の製造方法は、第一
の成分と第二の成分を混合して電解液207とする等の
方法で、第一の成分の量と第二の成分の量を調整して電
解液207の水素イオン濃度を調整することにより第一
の電極層202の構成物質の溶解を抑制し、第一の成分
により第二の電極層204の構成物質を電気的に溶解す
ることを特徴とする。
【0063】ここで、第一の成分としては、第二の電極
層204の構成物質を電気的に溶解するものであれば特
に限定されないが、酸性溶液であることが好ましく、電
解液207中に溶解された第二の電極層204の構成物
質をとり込むためのイオンを含有することが好ましい。
具体的には、例えば硫酸、硝酸、酢酸、しゅう酸、りん
酸、セレン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少
なくとも1種を含有する酸性溶液等が挙げられる。これ
らの酸性溶液は還元されて電解液中に溶け出した金属イ
オンを錯塩や複塩を形成することにより取り込む。これ
は安定して電解液中に溶けるため金属粒として析出しな
い。
【0064】また、第二の成分としては、第一の成分と
混合して電解液207の水素イオン濃度を調整できるも
のであれば特に限定されないが、水素イオン濃度の調製
の容易さから塩基性溶液が好ましい。具体的には、例え
ば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシ
ウム、水酸化アルミニウム、アンモニアよりなる群から
選ばれる少なくとも1種を含有する塩基性溶液等が挙げ
られる。
【0065】第一の電極層202の剥離を有効に防止す
るためには、電解液207の水素イオン濃度が1.0×
10-3.0〜1.0×10-1.0mol/lであることが好
ましく、1.0×10-1.6〜1.0×10-1.3mol/
lであることがより好ましい。
【0066】また、電解液207の電気電導度は10〜
100mS/cmであることが好ましく、20〜70m
S/cmであることがより好ましい。
【0067】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳しく説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0068】(実施例1)本発明の光起電力素子の一実
施例として図1に示すようなpin接合型トリプル構成
の太陽電池100を作製した。
【0069】まず、ロール状のステンレス430BA基
板101上に、第一の電極層102として、スパッタリ
ング法にてAl層を1000Å、続いてZnO層を1μ
m積層した。その後、不図示のプラズマCVD成膜装置
に入れn型層、i型層、p型層の順で堆積を行いボトム
層(pin接合)103を形成した。この時i型層はa
−SiGe層とした。次にn型層、i型層、p型層の順
で堆積を行いミドル層(pin接合)113を形成し
た。i型層はボトム層と同様にa−SiGe層とした。
次にn型層、i型層、p型層の順で堆積を行いトップ層
(pin接合)123を形成した。i型層はa−Si層
とした。なお、n型層、p型層は全てa−Si層とし
た。また、ボトム層のi型層とミドル層のi型層はマイ
クロ波プラズマCVD法で形成し、その他の層はRFプ
ラズマCVD法で形成した。次に反射防止効果を兼ねた
機能を有する透明な第二の電極層104としてITOを
700Å堆積した。こうして、光起電力素子を形成し
た。
【0070】次に、30cm×30cm角にこの光起電
力素子をカットし、公知の化学エッチング法でパターニ
ングした後、図2(a)に示す電解処理装置にセットし
た。光起電力素子200の裏面側すなわち、ステンレス
基板側を電源209のマイナス極側と接続し、31cm
角のSUS316製の対向電極208をプラス極側に接
続した。電解液207としては1%硫酸と8N水酸化カ
リウム水溶液を98:2の割合で混合した液を用いた。
その際電解液の電導度は25.0mS/cm、水素イオ
ン濃度は1.0×10-1.5mol/lとした。液温は室
温と同じ25.0℃とした。
【0071】電解条件は、極間距離を4.0cmとし、
印加電圧を4.5V、印加時間を1秒間、印加間隔を
0.5秒間として5回のパルス電圧を印加した。電解が
終了した後、光起電力素子200を取り出し、洗浄、乾
燥を行なった。その後、銅ワイヤーをカーボンペースト
で被覆した電極を熱圧着装置で接着し、グリッド電極1
05を形成した。銅箔を用いたプラス電極108とグリ
ッド電極105を接続し、マイナス電極109を裏面の
SUS基板101に半田付けして接続して太陽電池を得
た。
【0072】これらの試料の初期特性を下のように測定
した。
【0073】まず、暗状態での電圧電流特性を測定し、
原点付近の傾きからシャント抵抗を求めたところ、平均
で200kΩ・cm2でシャントは生じていなかった。
次に、蛍光灯装置を用い照度を変化させながら起電圧を
測定したところ、照度200Luxの下でも1.2V以
上の起電圧が得られた。更に、AM1.5グローバルの
太陽光スペクトルで100mW/cm2の光量の疑似太
陽光源(SPIRE社製)を用いて太陽電池特性を測定
し、変換効率を求めたところ9.0%±0.2%で良好
であった。更に、太陽電池のアクティブエリアを詳細に
顕微鏡で観察したところ、SUS基板101の上や第一
の電極層102であるアルミニウム層の上からの剥離に
よる下地表面の露出は観察されず、しかも、下地が露出
していない剥れかけの膜のふくらみも観察されなかっ
た。このとき、歩留まりは98%であった。
【0074】更にこれらの試料を公知方法でラミネート
してモジュール化し、信頼性試験を、日本工業規格C8
917の結晶系太陽電池モジュールの環境試験法及び耐
久試験法に定められた温湿度サイクル試験A−2に基づ
いて行なった。
【0075】試料を、温湿度が制御出来る恒温恒湿器に
投入し、−40℃から+85℃(相対湿度85%)に変
化させるサイクル試験を20回繰り返し行なった。次に
試験終了後の試料を初期と同様にシミュレーターで測定
したところ、初期変換効率に対して平均で0.5%の劣
化しか生じておらず、有意な劣化は生じていなかった。
【0076】本実施例の結果から、本発明により製造さ
れた光起電力素子は歩留まりよく、特性も外観も良好
で、信頼性も優れていることが分かる。
【0077】(比較例1)比較のために、従来使用され
ている電解液として硫酸のみの水溶液を用いたこと以外
は実施例1と同様にして太陽電池100を作製した。
【0078】このとき、電解液としては硫酸1.25%
溶液を用い、電解液の電導度は55.8mS/cmで水
素イオン濃度は1.0×10-0.8mol/lであった。
液温は室温と同じ25.0℃とした。
【0079】実施例1と同様にして、シャント抵抗を測
定したところ、平均で80kΩcm2でシャントぎみの
ものが幾つかあった。低照度における起電圧を測定した
ところ、0.79Vで実施例1と比較して200Lux
における電圧値が低い値となった。また、変換効率は
7.2%±1.8%とばらつきが大きかった。また、顕
微鏡による観察によると、最大直径1mmの剥れ部分が
多数観察された。シャント抵抗が低く、効率が良好でな
いものはグリッド電極の下に剥れ部分が位置していた。
しかも、下地部分の剥れによるピンホールが観察され
た。
【0080】更にこれらの試料を公知方法でラミネート
してモジェール化し、実施例1と同様の信頼性試験を行
なったところ、効率で10%の低下が、また、シャント
抵抗で15%の低下が見られた。顕微鏡観察によると、
これは、第一の電極層102が剥離した部分から水分が
侵入し、その熱収縮により剥離が進行したためであっ
た。
【0081】(実施例2)電解液を硝酸と水酸化マグネ
シウム水溶液の混合液としたこと以外は実施例1と同様
にして太陽電池100を作製した。
【0082】このときの電解液の電導度は40.0mS
/cmで水素イオン濃度は1.0×10-1.7mol/l
とした。液温は室温と同じ25.0℃とした。
【0083】電解条件は、極間距離を4.0cmとし、
印加電圧を5.0V、印加時間を1.0秒間、印加間隔
を1.0秒間として5回のパルス電圧を印加した。
【0084】これらの試料の初期特性を実施例1と同様
に測定したところ、照度200Luxにおける起電圧は
平均で1.21V、変換効率9.0±0.2%で良好だ
った。また、実施例1同様に観察したところ剥れの発生
は見られなかった。
【0085】(実施例3)電解液をしゅう酸と水酸化ア
ルミニウム水溶液の混合液としたこと以外は実施例1と
同様にして太陽電池100を作製した。
【0086】このとき、電解液の電導度は35.0mS
/cmで水素イオン濃度は1.0×10-1.8mol/l
とした。液温は室温と同じ25.0℃とした。
【0087】電解条件は、極間距離を4.0cmとし、
印加電圧を5.0V、印加時間を1.0秒間、印加間隔
を0.5秒間として5回のパルス電圧を印加した。
【0088】これらの試料の初期特性を実施例1と同様
に測定したところ、照度200Luxにおける起電圧は
平均で1.21V、変換効率9.1±0.2%で良好だ
った。また、実施例1同様に観察したところ剥れの発生
は見られなかった。
【0089】(実施例4)本実施例では電界を光照射に
より発生させたこと以外は実施例1と同様にして太陽電
池100を作成した。
【0090】実施例1で用いた電解液が入った図2
(b)の処理槽208中に実施例1と同様にして作製し
たパターニング済の光起電力素子200を光照射面(第
二の電極層204側)を上にしてセットした。メタルハ
ライドランプからなる光照射部210から光強度がほぼ
100mW/cm2の光量の光を60秒間照射した。電
解が終了した後、光起電力素子200を取り出し、洗
浄、乾燥を行なった。その後、実施例1と同様にして、
グリッド電極、プラス電極、マイナス電極を接続した。
【0091】次にこれらの試料の初期特性を実施例1と
同様に測定したところ、照度200Luxにおける起電
圧は平均で1.22V、変換効率9.0±0.2%で良
好だった。また、実施例1同様に観察したところ剥れの
発生は見られなかった。
【0092】(実施例5)電解液をりん酸とアンモニア
水溶液の混合液としたこと以外は実施例1と同様にして
太陽電池100を作成した。
【0093】このとき電解液の電導度は20.5mS/
cm、水素イオン濃度は1.0×10-1.7mol/lと
した。液温は室温と同じ25.0℃とした。
【0094】次にこれらの試料の初期特性を実施例1と
同様に測定したところ、照度200Luxにおける起電
圧は平均で1.20V、変換効率8.9%±0.3%で
良好だった。また、実施例1同様に観察したところ剥れ
の発生は見られなかった。
【0095】(実施例6)電解液をセレン酸と水酸化ナ
トリウム水溶液の混合液としたこと以外は実施例1と同
様にして太陽電池100を作成した。
【0096】このとき電解液の電導度は30.4mS/
cm、水素イオン濃度は1.0×10-1.3mol/lと
した。液温は室温と同じ25.0℃とした。
【0097】次にこれらの試料の初期特性を実施例1と
同様に測定したところ、照度200Luxにおける起電
圧は平均で1.25V、変換効率9.4%±0.1%で
良好だった。また、実施例1同様に観察したところ剥れ
の発生は見られなかった。
【0098】(実施例7)電解液の水素イオン濃度を
1.0×10-3.5mol/lから1.0×10-0.8mo
l/lの間で変化させたこと以外は実施例1と同様にし
て太陽電池100を作成した。
【0099】このとき電解液の電導度を表1に示す。ま
た液温は室温と同じ25.0℃とした。
【0100】次にこれらの試料の初期特性を実施例1と
同様に測定した。結果を表1に示す。この結果から、水
素イオン濃度を1.0×10-3.0〜1.0×10-1.0
ol/lとしたときに優れた変換効率及び良好な外観を
有する太陽電池が得られることがわかった。また水素イ
オン濃度を1.0×10-1.6〜1.0×10-1.3mol
/lとしたときに特に優れた変換効率を有する太陽電池
が得られることがわかった。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】本発明の光起電力素子の製造方法によれ
ば、剥離や金属粒の残留による外観不良や特性不良の問
題がなく、初期特性、長期信頼性に優れた光起電力素子
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される光起電力素子の一例を
示す模式図である。
【図2】本発明を実施するための製造装置の一例を示す
模式的な断面図である。
【符号の説明】
100、200 光起電力素子(アモルファス太陽電
池) 101、201 基板 102、202 第一の電極層 103、113、123 pin接合 104、204 第二の電極層 105 グリッド電極 106、205 欠陥部 107 高抵抗部 108 プラス電極(プラスタブ) 109 マイナス電極(マイナスタブ) 110、203 半導体層 206 電解処理槽 207 電解液 208 対向電極 209 電源 210 光照射部

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも第一の電極層、半導
    体層、第二の電極層が形成された光起電力素子を電解液
    中に浸漬し、電界の作用で該光起電力素子の欠陥による
    短絡電流通路を除去する工程を有する光起電力素子の製
    造方法において、前記電解液中の第一の成分の量と第二
    の成分の量を調整して該電解液の水素イオン濃度を調整
    し、該第一の成分により前記第二の電極層の構成物質を
    電気的に溶解することを特徴とする光起電力素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記第一の成分が酸性溶液であり、前記
    第二の成分が塩基性溶液であることを特徴とする請求項
    1に記載の光起電力素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第一の成分が、前記電解液中に溶解
    された第二の電極層の構成物質をとり込むためのイオン
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    光起電力素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電解液の水素イオン濃度が1.0×
    10-3.0〜1.0×10-1.0mol/lであることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光起電力素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電解液の電気電導度が10〜100
    mS/cmであることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の光起電力素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第一の成分が、硫酸、硝酸、酢酸、
    しゅう酸、りん酸、セレン酸及びこれらの塩よりなる群
    から選ばれる少なくとも1種を含有する酸性溶液である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光起
    電力素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第二の成分が、水酸化ナトリウム、
    水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
    ウム、アンモニアよりなる群から選ばれる少なくとも1
    種を含有する塩基性溶液であることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の光起電力素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電界が、光起電力素子にバイアスを
    印加することにより発生する電界であることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の光起電力素子の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記バイアスを、光起電力素子に対し順
    方向に印加することを特徴とする請求項8に記載の光起
    電力素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記電界が、光起電力素子に光を照射
    することによる該光起電力素子本体の起電圧により発生
    する電界であることを特徴とする請求項1〜9のいずれ
    かに記載の光起電力素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記基板が、導電性の基板であること
    を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光起電
    力素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第一の電極層が、少なくとも一種
    類の金属層を含む複数の層から形成されることを特徴と
    する請求項1〜11のいずれかに記載の光起電力素子の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 前記半導体層が、アモルファス半導体
    からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに
    記載の光起電力素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記第二の電極層が、金属酸化物から
    形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか
    に記載の光起電力素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6902948B2 (en) 2003-02-06 2005-06-07 Canon Kabushiki Kaisha Method of producing photovoltaic element
JP2015177177A (ja) * 2014-03-18 2015-10-05 シャープ株式会社 化合物半導体太陽電池セルおよび化合物半導体太陽電池セルの製造方法

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