JPH11230369A - 流体機器 - Google Patents

流体機器

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JPH11230369A
JPH11230369A JP3085198A JP3085198A JPH11230369A JP H11230369 A JPH11230369 A JP H11230369A JP 3085198 A JP3085198 A JP 3085198A JP 3085198 A JP3085198 A JP 3085198A JP H11230369 A JPH11230369 A JP H11230369A
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康彦 佐々木
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顕臣 河野
Kiju Endo
喜重 遠藤
Takeshi Harada
武 原田
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  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】流体機器からの流体の流出又は流入を操作する
機器としては従来はバルブが用いられてきたが、バルブ
は可動部と制止部とを密着させる必要があるため密着部
で摩擦抵抗が生じ機械的動力の損失がある。 【解決手段】流体機械の開口部の流体と接する面にフッ
素を含む樹脂又はフッ素を含む化合物を設ける。この構
成により、流体の圧力を変化させることにより開口部か
らの流体の流出を制御することができ、機械的動力の損
失の無い流量制御手段を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体を蓄える容器
と、この容器の内部と外部とを連通する連通手段等を備
えた流体機器に係り、特に流体機器からの流体の漏れ防
止、流体制御の低損失化、流動抵抗の低減等を図った流
体機器に関する。
【0002】
【従来の技術】(1)流体機器からの流体の流出又は流
入を操作する機器としては従来はバルブが用いられてき
た。たとえば、化学実験室等に設置されているコック付
き給水タンクは、コックの回転で流路が開閉し給水を調
節している。
【0003】(2)流体機器からの漏れを防止するため
に従来はガスケットやパッキンが用いられてきた。たと
えば、汚水浄化装置等の観察窓のフランジにはガスケッ
トが用いられ水漏れを防止している。同様にカメラの水
中撮影用ハウジングなどの蓋にはパッキンが設けられて
おり水の流入を防止している。
【0004】(3)流体が流れる連通手段の流路表面が
平滑であり層流である場合、流路を流れる流体の速度
は、流体が流路に接触する流路表面ではゼロとなること
が従来から知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】(1)従来技術のバル
ブにおいては、可動部を有するため流体の流出量を高精
度に行うため、可動部と制止部との間からの流体の漏れ
を最小限にする必要があり、そのためには可動部と制止
部とを密着させなければならない。しかしながら、密着
度を高めると接触部で摩擦抵抗が生じ機械的動力の損失
があると同時に、加工精度も向上させなければならない
という課題があった。
【0006】(2)従来のようにパッキンやガスケット
を使用して流体機器からの流体の漏れを防止する場合
は、パッキンやガスケットと流体機器との間に隙間がで
きないような力で加圧固定する必要があり、加圧固定機
構を設けなければならず、また、金属ガスケット等の剛
体物を使用する場合は、接触面に高い加工精度を要求さ
れるという課題があった。
【0007】(3)流体が流れる連通手段の流路表面が
平滑であり流体の流れが層流である場合、流路を流れる
流体の速度は、流体が流路に接触する流路表面ではゼロ
となるため、流路が微細な場合、流体の粘性以外の領域
で流動抵抗が増加し、流動負荷が大きくなるという課題
があった。
【0008】本発明は、上記の課題を解決し、機械的動
力の損失の少ない流量制御手段を備えた流体機器、ガス
ケットやパッキンを必要とせず簡単な構造で流体の漏れ
を防止できる流体機器、流体の流動抵抗を低減した流体
機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明の流体機器は上
記の課題を解決するために以下の構成を備えたことを特
徴とする。 (1)流体を蓄える容器と、この容器の内部と外部とを
連通する開口部とを備えた流体機器において、開口部の
流体と接する面にはフッ素を含む樹脂又はフッ素を含む
化合物が設けられていること。
【0010】開口部の流体と接する面にフッ素を含む樹
脂又はフッ素を含む化合物を設けることにより開口部の
流体と接する面は撥水状態となり、容器内の流体が開口
部から外部に流出するのを制御する。
【0011】容器内の流体が開口部から流出するかしな
いかは開口部の大きさ、撥水処理の程度(接触角)、流
体の圧力により決定される。つまり、所望の条件で開口
部の大きさと撥水処理の程度(接触角)を決めれば、流
体の圧力を変化させることにより開口部からの流体の流
出を制御することができ、機械的動力の損失の無い流量
制御手段を提供することができる。
【0012】(2)流体を蓄える容器と、この容器の内
部と外部とを連通する連通手段と、この連通手段から前
記流体が流出するのを制御する制御手段とを備えた流体
機器において、前記制御手段は第1制御部材と第2制御
部材とが摺動することにより前記流体を制御するように
構成されており、前記第1制御部材の前記第2制御部材
と対向する面および/または前記第2制御部材の前記第
1制御部材と対向する面にはフッ素を含む樹脂又はフッ
素を含む化合物が設けられていること。
【0013】第1制御部材の第2制御部材と対向する面
および/または第2制御部材の第1制御部材と対向する
面にフッ素を含む樹脂又はフッ素を含む化合物を設ける
ことにより、第1制御部材と第2制御部材とは撥水処理
層を介して対向することになる。そして、撥水処理層に
は流体が浸入しないため、第1制御部材と第2制御部材
とを密着させなくても、第1制御部材と第2制御部材と
の隙間からは流体の漏れが生じないため、第1制御部材
と第2制御部材との摩擦抵抗を大幅に低減することがで
きる。また、第1制御部材と第2制御部材とを密着させ
る必要が無いため、従来は連通手段及び制御手段に要求
されていた加工精度も要求されない。
【0014】(3)流体を蓄える容器と、この容器の内
部と外部とを連通する開口部と、この開口部を封止する
封止手段を備えた流体機器において、前記開口部の前記
封止手段と対向する面および/または前記封止手段の前
記開口部と対向する面にはフッ素を含む樹脂又はフッ素
を含む化合物が設けられていること。
【0015】開口部の封止手段と対向する面および/ま
たは封止手段の開口部と対向する面にフッ素を含む樹脂
又はフッ素を含む化合物を設けることにより開口部と封
止手段とは撥水処理層を介して対向することになる。そ
して、撥水処理層には流体が浸入しないため、開口部と
封止手段とを密着させなくても、通通手段と制御手段と
の隙間からは流体の漏れが生じないため、従来のように
パッキンやガスケットを使用しなくても流体機器からの
流体の漏れを防止することができる。また、従来は必要
であった封止部材の加圧固定機構も不要となる。
【0016】(4)流体を蓄える容器と、この容器の内
部と外部とを連通する開口部と、この開口部に対向して
移動可能に配設された移動部材とを備えた流体機器にお
いて、前記開口部の前記移動部材と対向する面および/
または前記移動部材の前記開口部と対向する面にはフッ
素を含む樹脂又はフッ素を含む化合物が設けられている
こと。
【0017】開口部の移動部材と対向する面および/ま
たは移動部材の開口部と対向する面にフッ素を含む樹脂
又はフッ素を含む化合物を設けることにより開口部と移
動部材とは撥水処理層を介して対向することになる。そ
して、撥水処理層には流体が浸入しないため、開口部と
移動部材とを密着させなくても、開口部と移動部材との
隙間からは流体の漏れが生じないため、開口部と移動部
材との摺動抵抗を大幅に低減することができる。
【0018】(5)流体を蓄える容器と、この容器の内
部と外部とを連通する連通手段とを備えた流体機器にお
いて、前記連通手段の前記流体と接する面にはフッ素を
含む樹脂又はフッ素を含む化合物が設けられているこ
と。
【0019】連通手段の流体と接する面にフッ素を含む
樹脂又はフッ素を含む化合物を設けることにより、連通
手段の流体と接する面が撥水状態となるため、連通手段
の流体と接する面においても流体の速度がゼロとならな
い。従って、微細な流路に流体を流す場合であっても、
流体の粘性以外の領域で流動抵抗が小さく、流動負荷が
小さいため、送液の駆動力も小さくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に
示した実施例を参照して詳細に説明する。 〔実施例1〕図1は本発明の一実施例に係る流体機器の
開口部(以下、本実施例では貫通孔という)の断面構造
図である。容器100の底に貫通孔110が形成されて
いる。貫通孔110の内壁111には撥水加工により撥
水部分120を形成している。容器100に液体140
を入れたとき、シール部分131は撥水部分120と液
体140が接する位置になり、シール部分131を周長
とする面がシール面130となる。なお、撥水部分12
0の幅は撥水加工に使用する分子1個の大きさ以上であ
る。
【0021】図2を用いて円形貫通孔のシール耐圧の求
め方を説明をする。直径dの貫通孔110のシール耐圧
△P1は液体140がシール面130に加える力とシー
ル部分131が液体140をはじく力の釣り合いから求
めることができる。液体140がシール面130に加え
る力は、液体140の圧力P11と気体141の圧力P
12の差、すなわちシール耐圧△P1とシール面130
の面積S1の積である。また、シール部分131が液体
140をはじく力は、シール部分131の周長L1、液
体140の表面張力γおよび接触角θの余弦の積であ
る。したがって、液体140がシール面130に加える
力とシール部分131が液体140をはじく力の釣り合
いの式は式1Aとなる。ここで、シール面130の面積
S1はπd2/4、シール部分131の周長L1はπd
であるので、これらを前記式1Aに代入すると式1Bと
なり、シール耐圧△P1で整理すると式1Cとなる。
【0022】すなわち、液体140の圧力がシール耐圧
△P1以下であれば液体140が貫通孔110から流出
することは無く、液体140の圧力がシール耐圧△P1
以上であれば、液体140が貫通孔110から流出する
ことになる。
【0023】したがって、バルブ等の開閉手段を用いな
くても液体140の圧力を制御することにより貫通孔1
10からの液体140の流出を制御することが可能とな
る。
【0024】流体140の圧力を制御する手段として
は、例えば、容器100が開放型容器であれば液体14
0の水位を変化させる手段、容器100が密閉型容器で
あれば容器100内への液体140の供給量を変化させ
る手段などがある。
【0025】図3は、表面張力γが0.076g/cm
の液体140で、接触角θが170°の撥水処理を施し
た円形貫通孔における直径dとシール耐圧△P1の関係
を前記式1Cで求めた結果である。なお、実験からも同
様な結果を得ている。
【0026】上記実施例のシール部すなわち撥水部分に
実施する撥水加工方法について説明する。撥水加工の種
類としては、低表面エネルギーの単分子被膜や高分子被
膜あるいは低表面エネルギー材料分散被膜等の被膜形成
による方法と、素材自体を低表面エネルギー部材で形成
する方法、または、低表面エネルギー物質をシール部分
に注入し表面を改質する方法がある。
【0027】低表面エネルギーの単分子被膜の構造は、
末端基に低表面エネルギー物質である−CF3基または−C
F2基を有する直鎖型化合物をシール部分の表面に化学結
合させた構造で、−CF3基または−CF2基が最表面に配置
した構造である。単分子被膜の形成方法は、たとえば撥
水材料としてヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシ
ラン(CF3(CF2)7(CF2)2Si(OCH3)3)を使用した場合、ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシランをエタノー
ルまたはオクタデカフルオロオクタン(C8F18)に溶か
し、0.1〜5%に調整した溶液に被処理構造体を5〜
60分浸漬した後、引き上げ、100℃〜160℃の加
熱手段により5〜60分間乾燥し、その後余剰のヘプタ
デカフルオロデシルトリメトキシシランを除去するため
にエタノールまたはオクタデカフルオロオクタンで洗浄
する方法である。形成された被膜は、理想状態ではその
膜厚が単分子長さの被膜であるが、現実には分子の配列
の不規則性や、複数個の分子が折り重なる。この単分子
被膜に略0.05ミリリットルの水を滴下した時の水の
接触角は100°〜120°であった。また、単分子被
膜を形成する別の方法としては、上記のヘプタデカフル
オロデシルトリメトキシシランを100℃〜300℃で
加熱して、その蒸気を30秒から60分間、構造体に接
触させる方法がある。この方法で単分子被膜を形成した
場合、前記の浸漬による方法より撥水材料の被覆密度が
高くなることは光電子分光分析法により確認した。図4
に光電子分光分析結果を示す。図4(a)は構造体の浸
漬により単分子膜を被覆した結果で、図4(b)は、蒸
気を接触することにより被覆した構造体の分析結果であ
る。それぞれ縦軸はフッ素の電子軌道ピークを示し、横
軸は分析表面のエッチング時間を示す。図4(b)で示
されるように、蒸気を接触した構造体の方がフッ素の電
子軌道ピークの強度が高い。
【0028】高分子被膜の場合は、たとえば低表面エネ
ルギー材料であるポリテトラフルオロエチレン等のフッ
素系樹脂やシリコン樹脂の被膜をシール部分に設ける。
高分子被膜の成膜方法は、パーフルオロカーボン系の非
晶質物を含む液状樹脂又は非晶質を含む液状ゴムをエタ
ノールまたはオクタデカフルオロオクタンに溶かし、
0.01〜5%に調整した溶液に被処理構造体を浸漬し
た後、毎秒5センチメートルで引き上げ、100℃〜3
00℃の加熱手段により1〜60分間乾燥する方法であ
る。形成された樹脂被膜の厚みは、浸漬時間には依存せ
ず構造体の引き上げ速度に依存することを確認してお
り、引き上げ速度が速い方が膜厚を厚くすることができ
る。本実施例では、毎秒5センチメートルで略1マイク
ロメートルの膜厚であった。また、樹脂被膜の膜厚は厚
い方が、基体である構造体まで貫通するピンホールがな
くなるため、樹脂被膜が腐食性の液体等に接触しても液
体が樹脂被膜に浸透して基体である構造体に接触するこ
とがなく、基体の腐食による被膜の剥離はない。本実施
例では、PH12の強アルカリ性液、PH1の強酸性液
に3ヶ月間浸漬しても樹脂被膜の剥離はなかった。さら
に、構造体を使用する間に、流体内の遺物や振動による
接触よって被膜が削りとられる場合でも、膜厚を厚くで
きる樹脂被膜は、耐久時間にあわせて好適な膜厚に設定
することが可能であり、長期寿命も保証できる。この樹
脂被膜に略0.05ミリリットルの水を滴下した時の水
の接触角は100°〜120°であった。
【0029】また、本実施例では樹脂被膜は上記のよう
に形成したが、他の方法としては以下の方法がある。溶
融させた高分子材料、たとえばフッ素系樹脂又はシリコ
ン系樹脂、あるいはゴムの吹き付けまたははけ塗りまた
は浸漬による方法と前記高分子材料を膜状に成形したも
のをシール部に接着または熱接合または圧力接合する方
法がある。
【0030】低表面エネルギー材料分散被膜の構造は、
ポリテトラフルオロエチレン等の低表面エネルギーの粒
子を樹脂やゴム等で形成された被膜に分散した構造であ
る。低表面エネルギー材料分散被膜の形成方法は、低表
面エネルギーの粒子を樹脂やゴム等のバインダーに分散
し、シール部分に吹き付けまたははけ塗りまたは浸漬で
塗布し、乾燥する方法である。具体的には、粒径1マイ
クロメートル〜50マイクロメートルのポリテトラフル
オロエチレン粒子を界面活性剤を含むエタノール又は水
又はオクタデカフルオロオクタン等の溶媒に0.1〜5
%分散し、この分散液に構造体を浸漬した後引き上げ、
100℃から500℃で加熱する。加熱温度が高いほ
ど、粒子が溶融して粒子形状物が減少し膜状に近くなっ
た。また、被膜厚さは、粒径に依存する。この粒子被覆
膜に略0.05ミリリットルの水を滴下した時の水の接
触角は100°〜130°であった。
【0031】素材自体を低表面エネルギー材料で形成す
る場合は、ポリテトラフルオロエチレン等の低表面エネ
ルギー材料等を、シール部分の部分として成形し、シー
ル部分に組み込むことによってシール部分を構成する。
【0032】低表面エネルギー物質をシール部分に注入
し表面を改質する方法は、フッ素原子または−CF ↓3や
−CF ↓2等のフッ素を含む化合物を加速する手段によ
り加速して、シール部分に打ち込む方法である。加速す
る手段は、たとえばイオンビームやプラズマまたは磁場
等である。
【0033】なお前記の撥水加工方法により形成した撥
水被膜の撥水性能を向上するためには、シール部すなわ
ち撥水処理部分の表面に凹凸を形成することが好まし
い。凹凸の大きさは、これまで調査した結果では高低差
の範囲が2ナノメータ以上で100マイクロメータ以下
であることが好ましいが、均一な凹凸を形成し、なおか
つ微細な水滴に対しても撥水効果が得られ、また、粒子
製造のコストや製造の容易性を考慮すると、20ナノメ
ータ以上で50マイクロメータ以下であることが好まし
い。また凹凸の大きさは均一である方が、撥水性能も均
一になり好ましい。凹凸を形成することにより、流体ま
たは液体のシール部との接触面積が低下するため接触角
が大きくなり、撥水性能が増大し、シール性能が向上す
る。
【0034】〔実施例2〕図5は、本発明の他の実施例
に係る流体機器の開口部(以下、本実施例では間隙とい
う)の封止構造の断面構造図である。容器200の底に
間隙210が設けられている。間隙210を形成する壁
211、212には撥水加工により撥水部分221、2
22が設けられている。容器200に液体240を入れ
たとき、シール部分231、232は撥水部分221、
222と流体240が接する位置になり、シール部分2
31、232を辺とする筒状の面がシール面230とな
る。なお、撥水部分221、222の厚みは撥水加工に
使用する分子1個の大きさ以上である。
【0035】図6を用いて間隙のシール耐圧の求め方を
説明をする。間隔hの間隙210のシール耐圧△P2は
液体240がシール面230に加える力とシール部分2
31、232が液体240をはじく力の釣り合いから求
めることができる。液体240がシール面230に加え
る力は、液体240の圧力P21と気体241の圧力P
22の差、すなわちシール耐圧△P2とシール面230
の面積S2の積である。また、シール部分231,23
2が液体240をはじく力は、シール部分231,23
2の周長の和L2、液体240の表面張力γおよび接触
角θの余弦の積である。したがって、液体240がシー
ル面230に加える力とシール部分231、232が液
体240をはじく力の釣り合いの式は式2Aとなる。こ
こで、シール面230の面積S2はπDh、シール部分
231、232の周長の和L2は2πDであるので、こ
れらを前記式2Aに代入すると式2Bとなり、シール耐
圧△P2で整理すると式2Cとなる。
【0036】図7は、表面張力γが0.076g/cm
の液体240で、接触角θが170°の撥水処理を施し
た間隙における間隔hとシール耐圧△P2の関係を前記
式2Cで求めた結果である。なお、実験からも同様な結
果を得ている。
【0037】本実施例では、壁212が静止部材となっ
ているが、撥水部分221と撥水部分222壁211と
の位置関係が変化しなければ、壁212が移動部材(例
えば、直径Dの中心を回転中心として回転する回転部
材)であっても同様の効果が得られる。
【0038】〔実施例3〕図8は、本発明のさらに他の
実施例に係る流体機器の連通手段(以下、本実施例では
微細流路部という)の断面構造図である。流路を構成す
る管301内部の表面に実施例1で説明した低表面エネ
ルギー物質302が設けられた構造である。低表面エネ
ルギー物質としては、フッ素樹脂又はフッ素を含む化合
物を使用した。これにより流体が流路表面に濡れにくく
なり、流体と流路表面との接触抵抗が低下し、接触部に
おける流体の速度がゼロとはならず流動の損失を低減す
ることが可能となる。このため、流体の流動に対して接
触抵抗の影響が大きくなる微細な流路においても流体の
移送効率が向上し、コンパクト化した流体機器に有効に
活用することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、機械的動力の損失の少
ない流量制御手段を備えた流体機器、ガスケットやパッ
キンを必要とせず簡単な構造で流体の漏れを防止できる
流体機器、流体の流動抵抗を低減した流体機器を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る流体機器の開口部の断
面構造図である。
【図2】本発明の一実施例に係る流体機器のシール耐圧
の求め方を説明する図である。
【図3】本発明の一実施例に係る流体機器のシール耐圧
とシール部分の直径との関係を示した図である。
【図4】本発明の一実施例に係る流体機器の撥水処理部
分の分析結果を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る流体機器の開口部の
封止構造の断面構造図である。
【図6】本発明の一実施例に係る流体機器の開口部のシ
ール耐圧の求め方を説明する図である。
【図7】本発明の一実施例に係る流体機器のシール耐圧
とシール部分の直径との関係を示した図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例に係る流体機器の微
細流路部の断面構造図である。
【符号の説明】
100、200・・・容器、110・・・貫通孔、11
1・・・内壁、120、221,222・・・撥水部
分、130、230・・・シール面、131、231,
232・・・シール部分、140、240・・・液体、
141,241・・・気体、210・・・間隙。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
部とを連通する連通手段と、この連通手段から前記流体
が流出するのを制御する制御手段とを備えた流体機器に
おいて、 前記制御手段は第1制御部材と第2制御部材とが摺動す
ることにより前記流体を制御するように構成されてお
り、前記第1制御部材の前記第2制御部材との対向する
面および/または前記第2制御部材の前記第1制御部材
との対向する面にはフッ素を含む樹脂またはフッ素を含
む化合物が設けられていることを特徴とする流体機器。
【請求項】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
部とを連通する開口部と、この開口部を封止する封止手
段を備えた流体機器において、 前記開口部は前記封止手段と対向する面および/または
前記封止手段の前記開口部と対向する面にはフッ素を含
む樹脂又はフッ素を含む化合物が設けられていることを
特徴とする流体機器。
【請求項】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
部とを連通する開口部と、この開口部に対して移動可能
に配設された移動部材とを備えた流体機器において、 前記開口部の前記移動部材と対向する面および/または
前記移動部材の前記開口部と対向する面にはフッ素を含
む樹脂またはフッ素を含む化合物が設けられていること
を特徴とする流体機器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 喜重 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 原田 武 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
    部とを連通する開口部とを備えた流体機器において、 前記開口部の前記流体と接する面にはフッ素を含む樹脂
    又はフッ素を含む化合物が設けられていることを特徴と
    する流体機器。
  2. 【請求項2】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
    部とを連通する連通手段と、この連通手段から前記流体
    が流出するのを制御する制御手段とを備えた流体機器に
    おいて、 前記制御手段は第1制御部材と第2制御部材とが摺動す
    ることにより前記流体を制御するように構成されてお
    り、前記第1制御部材の前記第2制御部材と対向する面
    および/または前記第2制御部材の前記第1制御部材と
    対向する面にはフッ素を含む樹脂又はフッ素を含む化合
    物が設けられていることを特徴とする流体機器。
  3. 【請求項3】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
    部とを連通する開口部と、この開口部を封止する封止手
    段を備えた流体機器において、 前記開口部の前記封止手段と対向する面および/または
    前記封止手段の前記開口部と対向する面にはフッ素を含
    む樹脂又はフッ素を含む化合物が設けられていることを
    特徴とする流体機器。
  4. 【請求項4】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
    部とを連通する開口部と、この開口部に対向して移動可
    能に配設された移動部材とを備えた流体機器において、 前記開口部の前記移動部材と対向する面および/または
    前記移動部材の前記開口部と対向する面にはフッ素を含
    む樹脂又はフッ素を含む化合物が設けられていることを
    特徴とする流体機器。
  5. 【請求項5】流体を蓄える容器と、この容器の内部と外
    部とを連通する連通手段とを備えた流体機器において、 前記連通手段の前記流体と接する面にはフッ素を含む樹
    脂又はフッ素を含む化合物が設けられていることを特徴
    とする流体機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007237038A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Kobe Steel Ltd 内部空間を有する複合基板
JP2017020400A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 株式会社荏原製作所 遠心ポンプ

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