JPH11221576A - セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥の処理方法 - Google Patents

セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥の処理方法

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JPH11221576A
JPH11221576A JP2301798A JP2301798A JPH11221576A JP H11221576 A JPH11221576 A JP H11221576A JP 2301798 A JP2301798 A JP 2301798A JP 2301798 A JP2301798 A JP 2301798A JP H11221576 A JPH11221576 A JP H11221576A
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barium
anion
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JP2301798A
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English (en)
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Makoto Naganuma
誠 長沼
Ai Maeda
愛 前田
Hiroshi Saitama
弘 埼玉
Yukinori Hashimoto
幸紀 橋本
Shigeko Takada
薫子 高田
Takayo Tsumita
貴代 積田
Koji Mitani
孝司 三谷
Rie Kobayashi
理恵 小林
Akio Shimono
彰夫 下野
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SANYU PLANT SERVICE KK
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/30Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies
    • Y02W10/37Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】セレン含有廃水もしくは汚泥の廃棄処理につい
て、セレンには4価と6価の存在形態があり、従来の方
法はいずれも4価、もしくは6価の一方のセレンに対し
てのみしか有効でなかったり、4価と6価の双方のセレ
ンに対して有効な場合でも、不完全な効果しか得られな
かったり、高額なコストが掛かるといった問題があった
ので、比較的低額なコストで4価と6価の双方のセレン
に対して有効な処理方法を提供する。 【解決手段】1価の陰イオンを化学吸着できる化合物も
しくは1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成す
る化合物、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形
成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその
混合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成する
バリウム化合物もしくはその混合物を添加して攪拌する
ことにより、廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合
物として沈澱させて分離除去するか、或いは固体中に不
溶性化合物として固定して処理するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式複写機感光体、熱
吸収板ガラスの着色剤、鉛ガラスの消色剤、赤色顔料の
原料、電子製品、テレビ用カメラ、光電セル、計算機の
磁器コア、太陽電池、整流器、リレー、触媒等様々な製
品用途に使用され、周期律表では硫黄と同じ6A族に属す
るため、普遍的に硫黄と共存し、硫化鉱や石炭中に多く
存在するセレンの処理に関するもので、これら製品の製
造に関連する電子工業やガラス製造業等の工場廃水及び
工場廃水を処理するために生じた汚泥に含有されるセレ
ン、あるいは硫化鉱や石炭を原料あるいは燃料として焙
焼もしくは焼却する過程から生じた排煙を湿式処理した
廃水、及びその廃水を処理するために生じた汚泥に含有
されるセレンを除去処理するための、セレン含有廃水も
しくはセレン含有汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セレンは元素自体は比較的刺激性がなく
吸収されにくいが、化合物は強い毒性を有し、皮膚との
接触により接触性皮膚炎を起こし、吸入により気管支炎
さらに肺炎、嚥下により嘔吐、下痢等を起こすことが指
摘されており、廃水中のセレン濃度、汚泥の埋立処分に
係る溶出試験におけるセレン濃度は厳しく規制されてい
る。
【0003】廃水中ではセレンは元素状態では存在せ
ず、ほとんどの場合、4価もしくは6価のセレンとして
存在しており、従来、セレン含有廃水からセレンを除去
処理する方法としては、4価のセレンに対するものとし
て、塩化第二鉄を廃水中に添加し水酸化物を形成して共
沈処理する方法、活性アルミナ等を用いて吸着処理する
方法、6価のセレンに対するものとして、強アニオン交
換樹脂を用いてイオン交換する方法等が行われてきてい
る。
【0004】以上の方法はいずれも4価、もしくは6価
の一方のセレンに対してのみ有効な方法であったため、
最近、4価と6価の双方のセレンに対して有効な方法と
して、逆浸透膜処理法や4価を6価に酸化させてイオン
交換するイオン交換法が開発されている。
【0005】しかし、逆浸透膜処理法ならびにイオン交
換法はいずれも初期投資が大きく運転費用も高価である
うえに、前者では処理後に濃厚なセレン廃水が残留し、
また後者ではイオン交換樹脂の再生により濃厚なセレン
廃水が発生して、それらの処理が更に問題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来行われているセレ
ンの除去処理については、4価と6価の双方のセレンに
対する対応が取れず、効果的にも不完全な部分が指摘さ
れている。また、4価と6価の双方のセレンが除去可能
な方法においても、特に高濃度のセレン廃水や濃厚なセ
レンの吸着する樹脂材の残留は二次公害を発生し根本的
な解決とならない点が問題である。
【0007】また、セレン除去の処理費用が余りに高額
で、小規模な企業の工場排水に適用することが困難であ
り、深刻な毒性問題があるにもかかわらず費用の点から
放置されかねないのが実情である。
【0008】本発明が解決しようとする課題は、以上の
ような事態に対処し、4価と6価の双方のセレンに対し
て充分な効果が期待でき、不安定な残留物を残さず、比
較的低廉な費用で処理が可能なセレン含有廃水もしくは
セレン含有汚泥の処理方法の開発にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオンを利用
した化学吸着と溶解度積を利用した特異的な沈澱反応に
より、4価と6価の双方のセレンを不溶性化合物として
沈澱除去するようにしたもので、不溶性化合物は安定性
があり、地中に埋設してもセレンの溶出は有り得ないの
で、残留物の処理も安心して行うことができるものであ
る。
【0010】即ち、セレン含有廃水もしくはセレン含有
汚泥中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もし
くは1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する
化合物、2価のバリウムイオンと不溶性の沈澱物を形成
する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混
合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成するバ
リウム化合物もしくはその混合物を添加して攪拌した
後、酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調整し
て、廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合物として
沈澱除去するようにしたものである。
【0011】また、現在の日本では未規制であるが、米
国等では規制対象となっており、今後はその除去も求め
られると思われるバリウムイオンの残留にも対応して、
セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥中に、1価の陰
イオンを化学吸着できる化合物もしくは1価の陰イオン
を化学吸着できる化合物を生成する化合物、溶解して2
価のバリウムイオンを生成するバリウム化合物もしくは
その混合物並びに2価のバリウムイオンと不溶性の沈澱
物を形成する陰イオンに対して、それと不溶性の化合物
を形成する陽イオンを生成する溶解性の化合物もしくは
その混合物を添加して攪拌した後、更に2価のバリウム
イオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する
溶解性の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌し、
酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調整して、
廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合物として沈澱
除去するようにした。
【0012】更に、残留バリウムイオンの調整手段とし
て、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは1
価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
物、2価のバリウムイオンと不溶性の沈澱物を形成する
陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混合物
並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成するバリウ
ム化合物もしくはその混合物の添加をpHを2から10程度
の範囲に保ちながら行うようにし、更にまた、添加量と
pH調整を利用することにより残留バリウムイオンに対す
る対応を図るようにした。
【0013】
【作用】4価のセレンは水中においては、亞セレン酸H2
SeO3、その1段解離したイオンHSeO3 - 及び2段解離し
たイオンSeO3 2-の存在形態を示し、各形態毎の存在量は
系のpHおよび4価のセレンの濃度により異なり、6価の
セレンはセレン酸H2SeO4、その1段解離したイオンHSeO
4 -及び2段解離したイオンSeO4 2-の存在形態を示し、
各形態毎の存在量は系のpHおよび6価のセレンの濃度に
より異なる。
【0014】廃水中での一般的な濃度を想定して4価の
セレンの濃度を10ppm とした場合、pHを変化させたとき
のH2SeO3、HSeO3 - 、SeO3 2-の各形態毎の存在量は、水
中での亞セレン酸の解離平衡により計算される。
【0015】亞セレン酸の1段目および2段目の酸解離
平衡定数はそれぞれ10-2.75 (M)および10-8.50 (M)
であり、(参照文献:Baes,C.F.and Mesmer,R.E.,The
Hydorlysis of Cations,Wiley-Interscience,New York,
1976.)、これより各pH毎の存在量を計算し、横軸をp
H、縦軸をこれら各イオンの存在量をモル濃度(M)の
常用対数値で表示した値とすると図1のようになる。
【0016】また、6価のセレンの濃度を10ppm とした
場合、pHを変化させたときのH2SeO4、HSeO4 - 、SeO4 2-
の各形態毎の存在量は、水中でのセレン酸の解離平衡に
より計算される。
【0017】セレン酸の1段目および2段目の酸解離平
衡定数はそれぞれ103.0(M) および10-1.66 (M) で
あり、(参照文献:Lange’s Handbook of Chemistry,1
2th Edition,John A,Dean,Ed.,McGraw-Hill,1979,Table
5-7,p.5-16およびBaes,C.F.andMesmer,R.E.,The Hydor
lysis of Cations,Wiley-Interscience,New York,197
6.)、これより各pH毎の存在量を計算し、横軸をpH、縦
軸をこれら各イオンの存在量をモル濃度(M)の常用対
数値で表示した値とすると図2のようになる。
【0018】一般に水中における酸解離は、高いpHほど
解離が進むが本発明において処理を行なうpH範囲は2か
ら10程度の範囲、しかも通常は5から8程度の中性域で
行なうので、表1に示すように4価のセレンは大部分が
HSeO3 -として存在し、一部がSeO3 2-として存在する。
一方、6価のセレンについては、そのほとんどがSeO4 2-
として存在し、残りがHSeO4 - として存在する。
【0019】1価の陰イオンを化学吸着できる化合物の
例としてオキシ水酸化鉄、1価の陰イオンを化学吸着で
きる化合物を生成する化合物の例として塩化第2鉄があ
るが、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物は固形物
であり、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成
する化合物は水中に添加することにより、本発明のpH条
件では不溶性の水酸化鉄粒子を生成している。
【0020】そこでセレン含有廃水もしくはセレン含有
汚泥中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を加
えると、これら化合物は水酸基 -0Hを有しているので、
水酸基1分子が4価のセレン1分子のHSeO3 - または6
価のセレン1分子のHSeO4 -と配位子交換をする内圏配
位機構により、HSeO3 - またはHSeO4 - はこれら化合物
に化学吸着し、その化学吸着は結合が強固であり脱着を
しない。すなわち、HSeO3 - またはHSeO4 - は再溶解し
ないので水中より沈澱除去される。
【0021】そこで、含有セレンのうち化学吸着された
1価の陰イオンの後に残る2価の陰イオンと反応する2
価のバリウムイオンと不溶性の沈澱物を形成する陰イオ
ンを生成する溶解性の化合物を反応に充分な量、すなわ
ち酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調整した
後において、セレンと反応した残余の2価のバリウムイ
オンが廃水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l程度以
上残留する量の2価のバリウムイオン(Ba2+)を生成す
るバリウム化合物もしくはその混合物、例えば塩化バリ
ウムを加えると、4価のセレンにおけるHSeO3 2- と、6
価のセレンにおけるHSeO4 2- とは不溶性の化合物を形成
するが、廃水中のこれらセレンの濃度は多くの場合は低
濃度であるため、生成した沈澱物が沈降分離し難いの
で、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する
陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくは混合物、例
えば硫酸を加えると、硫酸イオン(SO4 2- )を生成して
2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する。
【0022】このとき、添加される2価のバリウムイオ
ン(Ba2+)を生成するバリウム化合物もしくはその混合
物、即ち塩化バリウムの量が少ない場合には、沈澱の生
成は不十分であり、水中にセレンイオン(SeO3 2-および
SeO4 2-)が残留することになる。
【0023】以上の過程で、2価のバリウムイオンとSe
O3 2-およびSeO4 2-との沈澱生成反応が効率よく起こる
が、セレンイオン(SeO3 2-およびSeO4 2-)はこのような
他の陰イオンと2価のバリウムイオンとの不溶性化合物
の中に複塩の形で取り込まれるものと考えられる。
【0024】廃水中に2価のバリウムイオンが残留する
のが好ましくない場合、酸またはアルカリによりpHを5
から9程度に調整した後において、セレンと反応した残
余の2価のバリウムイオンが廃水もしくは汚泥中に数mg
/lから数百mg/l程度以上残留するバリウムイオンの残留
状態を解消する必要があるが、2価のバリウムイオンと
不溶性の化合物を形成する陰イオンを溶解性の化合物も
しくはその混合物、例として硫酸イオン(SO4 2- )を生
成する硫酸をバリウムイオン過剰状態を除去する量まで
加えた場合、セレンイオン(SeO3 2-およびSeO4 2-)の除
去効率が大幅に低下する。
【0025】これはこのような他の陰イオンと2価のバ
リウムイオンとの反応の反応速度が、セレンイオンと2
価のバリウムイオンとの反応の反応速度に比較して大き
くなるため、セレンイオンは2価のバリウムイオンと効
率よく沈澱生成反応を行えないものと考えられる。
【0026】そこで、あらかじめ2価のバリウムイオン
との不溶性の化合物を形成する陰イオンに対して、それ
と不溶性の化合物を形成する陽イオンを形成する溶解性
の化合物もしくはその混合物、例として陰イオンが硫酸
イオンである場合においては、陽イオンとしてカルシウ
ムイオン(Ca2+)を生成する塩化カルシウムを加えてお
くと、バリウムイオン過剰の除去およびセレンイオンの
除去が両立できる。
【0027】これは他の陰イオンの一部が加えた陽イオ
ンとの沈澱生成反応で消費され、この様な他の陰イオン
と2価のバリウムイオンとの反応の反応速度が、比較的
小さくなり、セレンイオンは2価のバリウムイオンと効
率よく沈澱生成反応を行なえるようになるものと考えら
れる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施は、通常は図3に1
例として示す攪拌機を備えたバッチ式の反応槽によって
対象廃水に各添加物の添加を行なっていくものである
が、これに限定されるものではなく、連続式の処理装置
により行なってもよい。対象が汚泥である場合には、図
4に1例として示す充分な攪拌能力を有するバッチ式の
混錬装置により行なう。
【0029】セレン含有廃水とセレン含有汚泥の差は、
含有水分によるその流動性がどの程度であるかによる相
対的なもので、中間形態もあるので反応槽によるか混錬
装置によるかは状况判断によって選択されることにな
る。
【0030】以下、廃水の場合の1実施例について説明
すると、廃水受入用配管2によって反応槽1に1000
リットル程度充填されたセレン含有廃水Aに、1価の陰
イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合物として
塩化第二鉄(38%溶液)を2kg程度、2価のバリウムイ
オンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶
解性の化合物として硫酸を7.5 kg程度、混合物並びに溶
解して2価のバリウムイオンを生成するバリウム化合物
として塩化バリウム(BaCl2・2H2O) 20kg程度を、順次或
いは同時に投入すると共に、攪拌機3を回動させて攪拌
する。
【0031】なお、セレン含有廃水には、その生成過程
によってpHが1以下、或いは11以上となっているものが
存在し、このようなpH条件では添加された化合物による
正常な反応効果が期待し難いので、廃水が充填された段
階でpH計測を行い、pHを少なくとも2から10に調整して
おくことにより効率よく沈澱生成反応を行うことができ
る。
【0032】セレン含有廃水中に、塩化第二鉄が加えら
れると、含有セレンのうち1価の陰イオンを化学吸着し
て化合物を生成して沈澱するので、含有セレンのうち2
価の陰イオンだけが残留することになる。
【0033】含有セレンのうち上記により残留する2価
の陰イオンは、廃水中のセレンの濃度が多くの場合は低
濃度であるため、溶解して2価のバリウムイオン(B
a2+)を生成するバリウム化合物と反応し難い状况にあ
る。そこで、2価の陰イオンと反応する2価のバリウム
イオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する
溶解性の化合物を反応に充分な量、すなわち前記塩化バ
リウム20kg程度を投入することにより低濃度のセレンイ
オンを捕捉して反応効率を挙げるようにする。
【0034】更に、2価のバリウムイオンと不溶性の化
合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物とし
て硫酸を7.5kg 程度を添加することにより、投入された
硫酸が廃水中で硫酸イオン(SO4 2- )を生成して、添加
されたバリウムの2価のバリウムイオンと沈澱性のよい
不溶性の化合物を形成するので、沈澱生成が促進され
る。
【0035】このように反応に充分な量の塩化バリウム
が投入されると、バリウムが過剰な状態となり、酸また
はアルカリによりpHを5から9程度に調整した後におい
て、セレンと反応した残余の2価のバリウムイオンが廃
水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l程度以上残留す
ることになるが、セレンについては完全な除去が行われ
る。
【0036】沈澱生成が完了すると、酸またはアルカリ
により放流もしくは埋立て可能な程度までpHを調整し排
水バルブ4を開いて上澄液を排出すると共に、反応槽1
の底部に沈澱した不溶性の化合物はバルブ5の開放によ
り、汚泥ピット6に排出され給泥ポンプ7を通じてフィ
ルタープレス脱水機8に送られて濾液と脱水汚泥に分離
されてそれぞれ処理される。
【0037】処理対象の流動性が低く汚泥状態の場合の
1実施例について説明すると、汚泥投入口12を通じて混
練槽11に1m3程度のセレン含有汚泥Bを投入し、これ
に1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化
合物として塩化第二鉄を2kg程度、2価のバリウムイオ
ンと不溶性の沈澱物を形成する陰イオンを生成する溶解
性の化合物として硫酸ナトリウム(Na2SO4)を9.1kg 程
度、混合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成
するバリウム化合物として塩化バリウム20kg程度を、順
次或いは同時に投入すると共に、混練槽11に設定された
タービン翼攪拌機13を回動させて攪拌することにより、
前記廃水の場合と同様にセレンの化学吸着と不溶性の化
合物形成による固定化を行うことができる。
【0038】セレンの化学吸着と不溶性の化合物形成に
よる固定化の後、酸またはアルカリ(上記例の場合は消
石灰)により放流もしくは埋立て可能な程度までpHを調
整する。なお、セレンの分解除去のための添加物投入の
段階でもpHは添加物の影響で変化するので、酸またはア
ルカリによる調整によりpHを2から10程度の範囲に保ち
ながら添加攪拌することにより、セレンの分離除去をス
ムーズに行うなうことができる。
【0039】化学吸着と不溶性の化合物形成による固定
化によってセレンは溶出することのない不溶性の化合物
として固定化された段階で、酸またはアルカリにより放
流もしくは埋立て可能な程度までpHを調整し、混練槽11
の底部に設けられた可動扉14によって排出口に送られ処
理される。この場合、水分は混練攪拌時の発熱によって
ほとんどが蒸発するため、直接埋立て可能となる。
【0040】上記の実施例では1価の陰イオンを化学吸
着できる化合物を生成する化合物として塩化第二鉄を使
用したが、その他に鉄化合物もしくはその混合物の分野
では1価の陰イオンを化学吸着できる化合物として、水
酸化鉄、酸化鉄、四三酸化鉄、オキシ水酸化鉄等があ
り、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する
化合物として、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、過塩素酸鉄等
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0041】アルミニウム化合物もしくはその混合物に
ついては、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物とし
て、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(活性アル
ミナを含める)、オキシ水酸化アルミニウム等があり、
1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
物として、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化ア
ルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0042】実施例で2価のバリウムイオンと不溶性の
化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物と
して使用した硫酸のほかにも、2価のバリウムイオンと
不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の
化合物もしくはその混合物として、2価のバリウムイオ
ンと不溶性の化合物を形成する陰イオンが硫酸イオンで
ある場合にあっては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸マグネシウムカリウム、硫酸セシウ
ム、硫酸セシウムアルミニウム、硫酸第一セリウム、硫
酸第二セリウム、硫酸アンモニウム第二セリウム、硫酸
アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸第
一鉄、硫酸第二鉄、硫酸カリウム第二鉄、硫酸アンモニ
ウム第一鉄、硫酸アンモニウム第二鉄、硫酸第一コバル
ト、硫酸アンモニウム第一コバルト、硫酸第一コバルト
カリウム等を挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。
【0043】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンが炭酸イオンである場合にあっては、
炭酸、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸セシウム等を挙げる
ことができるが、これらに限定されるものではない。
【0044】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンがリン酸イオンである場合にあって
は、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、
リン酸カリウム等を挙げることができるが、これらに限
定されるものではない。
【0045】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンがモリブデン酸イオンである場合にあ
っては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナト
リウム、モリブデン酸カリウム等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0046】実施例で溶解して2価のバリウムイオンを
生成するバリウム化合物として使用した塩化バリウムの
ほかにも、溶解して2価のバリウムイオンを生成するバ
リウム化合物もしくはその混合物としては、水酸化バリ
ウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、塩素酸バリウム、
過塩素酸バリウム等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。
【0047】以上のような多種多様な添加物は処理対象
となる廃水もしくは汚泥が多様な生成環境から発生する
ため、その性質、状况も極めて多様であることに応じて
それぞれ選択し、添加を行いながら反応処理を行ってい
くものである。
【0048】以上の実施例では、バリウムが過剰な状態
となり、酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調
整した後において、セレンと反応した残余の2価のバリ
ウムイオンが廃水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l
程度以上残留することになるのである。
【0049】そこで、廃水もしくは汚泥中に残留するバ
リウムイオンを除去する必要がある場合には、上記添加
物のほかに2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形
成する陰イオンに対して、それと不溶性の化合物を形成
する陽イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混
合物を添加して攪拌した後、更に2価のバリウムイオン
と不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性
の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌することに
より、対応することができる。
【0050】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンに対して、それと不溶性の化合物を形
成する陽イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその
混合物としては、2価のバリウムイオンと不溶性の化合
物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしく
はその混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性
の化合物を形成する陰イオンが硫酸イオンである場合に
あっては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の化合
物である塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ素
酸カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、
臭化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム
等、あるいは2価のストロンチウムイオンを含む溶解性
の化合物である塩化ストロンチウム、過塩素酸ストロン
チウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロンチウム等
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0051】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性の沈
澱物を形成する陰イオンが炭酸イオンである場合にあっ
ては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の化合物で
ある塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カ
ルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭化
カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等、2
価のストロンチウムイオンを含む溶解性の化合物である
塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸ス
トロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロンチ
ウム等、2価の鉄イオンを含む溶解性の化合物である塩
化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、過塩素酸第一鉄、
ヨウ化第一鉄、臭化第一鉄、硫酸アンモニウム第一鉄
等、あるいは2価のコバルトイオンを含む溶解性の化合
物である塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、
過塩素酸コバルト、ヨウ化コバルト、臭化コバルト等を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0052】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性の沈
澱物を形成する陰イオンがリン酸イオンである場合にあ
っては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の化合物
である塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ素酸
カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭
化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等、
2価のストロンチウムイオンを含む溶解性の化合物であ
る塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸
ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロン
チウム等、2価のコバルトイオンを含む溶解性の化合物
である塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、過
塩素酸コバルト、ヨウ化コバルト、臭化コバルト等、3
価の鉄イオンを含む溶解性の化合物である塩化第二鉄、
硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、過塩素酸第二鉄、臭化第二
鉄、硫酸アンモニウム第二鉄等、3価のアルミニウムイ
オンを含む溶解性の化合物である塩化アルミニウム、硫
酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニ
ウム、ヨウ化アルミニウム、臭化アルミニウム等、ある
いは3価のセリウムイオンを含む溶解性の化合物である
塩化第一セリウム、硫酸第一セリウム、硫酸第二セリウ
ム、硝酸第一セリウム、硝酸第二セリウム、過塩素酸第
一セリウム、ヨウ化第一セリウム、臭化第一セリウム、
硫酸アンモニウム第一セリウム、硝酸アンモニウム第一
セリウム、硝酸アンモニウム第二セリウム等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性の化
合物を形成する陰イオンがモリブデン酸イオンである場
合にあっては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の
化合物である塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨ
ウ素酸カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウ
ム、臭化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウ
ム等、2価のストロンチウムイオンを含む溶解性の化合
物である塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過
塩素酸ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ス
トロンチウム等を挙げることができるが、これらに限定
されるものではない。
【0054】更に、2価のバリウムイオンと不溶性の化
合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もし
くはその混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶
性の化合物を形成する陰イオンが上記以外のものである
場合にあっては、以上に限定されるものではない。
【0055】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年2月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 セレン含有廃水もしくはセレン含
有汚泥の処理方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式複写機感光体、熱
吸収板ガラスの着色剤、鉛ガラスの消色剤、赤色顔料の
原料、電子製品、テレビ用カメラ、光電セル、計算機の
磁器コア、太陽電池、整流器、リレー、触媒等様々な製
品用途に使用され、周期律表では硫黄と同じ6A族に属す
るため、普遍的に硫黄と共存し、硫化鉱や石炭中に多く
存在するセレンの処理に関するもので、これら製品の製
造に関連する電子工業やガラス製造業等の工場廃水及び
工場廃水を処理するために生じた汚泥に含有されるセレ
ン、あるいは硫化鉱や石炭を原料あるいは燃料として焙
焼もしくは焼却する過程から生じた排煙を湿式処理した
廃水、及びその廃水を処理するために生じた汚泥に含有
されるセレンを除去処理するための、セレン含有廃水も
しくはセレン含有汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セレンは元素自体は比較的刺激性がなく
吸収されにくいが、化合物は強い毒性を有し、皮膚との
接触により接触性皮膚炎を起こし、吸入により気管支炎
さらに肺炎、嚥下により嘔吐、下痢等を起こすことが指
摘されており、廃水中のセレン濃度、汚泥の埋立処分に
係る溶出試験におけるセレン濃度は厳しく規制されてい
る。
【0003】廃水中ではセレンは元素状態では存在せ
ず、ほとんどの場合、4価もしくは6価のセレンとして
存在しており、従来、セレン含有廃水からセレンを除去
処理する方法としては、4価のセレンに対するものとし
て、塩化第二鉄を廃水中に添加し水酸化物を形成して共
沈処理する方法、活性アルミナ等を用いて吸着処理する
方法、6価のセレンに対するものとして、強アニオン交
換樹脂を用いてイオン交換する方法等が行われてきてい
る。
【0004】以上の方法はいずれも4価、もしくは6価
の一方のセレンに対してのみ有効な方法であったため、
最近、4価と6価の双方のセレンに対して有効な方法と
して、逆浸透膜処理法や4価を6価に酸化させてイオン
交換するイオン交換法が開発されている。
【0005】しかし、逆浸透膜処理法ならびにイオン交
換法はいずれも初期投資が大きく運転費用も高価である
うえに、前者では処理後に濃厚なセレン廃水が残留し、
また後者ではイオン交換樹脂の再生により濃厚なセレン
廃水が発生して、それらの処理が更に問題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来行われているセレ
ンの除去処理については、4価と6価の双方のセレンに
対する対応が取れず、効果的にも不完全な部分が指摘さ
れている。また、4価と6価の双方のセレンが除去可能
な方法においても、特に高濃度のセレン廃水や濃厚なセ
レンの吸着する樹脂材の残留は二次公害を発生し根本的
な解決とならない点が問題である。
【0007】また、セレン除去の処理費用が余りに高額
で、小規模な企業の工場排水に適用することが困難であ
り、深刻な毒性問題があるにもかかわらず費用の点から
放置されかねないのが実情である。
【0008】本発明が解決しようとする課題は、以上の
ような事態に対処し、4価と6価の双方のセレンに対し
て充分な効果が期待でき、不安定な残留物を残さず、比
較的低廉な費用で処理が可能なセレン含有廃水もしくは
セレン含有汚泥の処理方法の開発にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオンを利用
した化学吸着と溶解度積を利用した特異的な沈澱反応に
より、4価と6価の双方のセレンを不溶性化合物として
沈澱除去するようにしたもので、不溶性化合物は安定性
があり、地中に埋設してもセレンの溶出は有り得ないの
で、残留物の処理も安心して行うことができるものであ
る。
【0010】即ち、セレン含有廃水もしくはセレン含有
汚泥中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もし
くは1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する
化合物、2価のバリウムイオンと不溶性の沈澱物を形成
する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混
合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成するバ
リウム化合物もしくはその混合物を添加して攪拌した
後、酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調整し
て、廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合物として
沈澱除去するようにしたものである。
【0011】また、現在の日本では未規制であるが、米
国等では規制対象となっており、今後はその除去も求め
られると思われるバリウムイオンの残留にも対応して、
セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥中に、1価の陰
イオンを化学吸着できる化合物もしくは1価の陰イオン
を化学吸着できる化合物を生成する化合物、溶解して2
価のバリウムイオンを生成するバリウム化合物もしくは
その混合物並びに2価のバリウムイオンと不溶性の沈澱
物を形成する陰イオンに対して、それと不溶性の化合物
を形成する陽イオンを生成する溶解性の化合物もしくは
その混合物を添加して攪拌した後、更に2価のバリウム
イオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する
溶解性の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌し、
酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調整して、
廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合物として沈澱
除去するようにした。
【0012】更に、残留バリウムイオンの調整手段とし
て、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは1
価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
物、2価のバリウムイオンと不溶性の沈澱物を形成する
陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混合物
並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成するバリウ
ム化合物もしくはその混合物の添加をpHを2から10程度
の範囲に保ちながら行うようにし、更にまた、添加量と
pH調整を利用することにより残留バリウムイオンに対す
る対応を図るようにした。
【0013】
【作用】4価のセレンは水中においては、亞セレン酸H2
SeO3、その1段解離したイオンHSeO3 - 及び2段解離し
たイオンSeO3 2-の存在形態を示し、各形態毎の存在量は
系のpHおよび4価のセレンの濃度により異なり、6価の
セレンはセレン酸H2SeO4、その1段解離したイオンHSeO
4 -及び2段解離したイオンSeO4 2-の存在形態を示し、
各形態毎の存在量は系のpHおよび6価のセレンの濃度に
より異なる。
【0014】廃水中での一般的な濃度を想定して4価の
セレンの濃度を10ppm とした場合、pHを変化させたとき
のH2SeO3、HSeO3 - 、SeO3 2-の各形態毎の存在量は、水
中での亞セレン酸の解離平衡により計算される。
【0015】亞セレン酸の1段目および2段目の酸解離
平衡定数はそれぞれ10-2.75 (M)および10-8.50 (M)
であり、(参照文献:Baes,C.F.and Mesmer,R.E.,The
Hydorlysis of Cations,Wiley-Interscience,New York,
1976.)、これより各pH毎の存在量を計算し、横軸をp
H、縦軸をこれら各イオンの存在量をモル濃度(M)の
常用対数値で表示した値とすると図1のようになる。
【0016】また、6価のセレンの濃度を10ppm とした
場合、pHを変化させたときのH2SeO4、HSeO4 - 、SeO4 2-
の各形態毎の存在量は、水中でのセレン酸の解離平衡に
より計算される。
【0017】セレン酸の1段目および2段目の酸解離平
衡定数はそれぞれ103.0(M) および10-1.66 (M) で
あり、(参照文献:Lange’s Handbook of Chemistry,1
2th Edition,John A,Dean,Ed.,McGraw-Hill,1979,Table
5-7,p.5-16およびBaes,C.F.andMesmer,R.E.,The Hydor
lysis of Cations,Wiley-Interscience,New York,197
6.)、これより各pH毎の存在量を計算し、横軸をpH、縦
軸をこれら各イオンの存在量をモル濃度(M)の常用対
数値で表示した値とすると図2のようになる。
【0018】一般に水中における酸解離は、高いpHほど
解離が進むが本発明において処理を行なうpH範囲は2か
ら10程度の範囲、しかも通常は5から8程度の中性域で
行なうので、表1に示すように4価のセレンは大部分が
HSeO3 -として存在し、一部がSeO3 2-として存在する。
一方、6価のセレンについては、そのほとんどがSeO4 2-
として存在し、残りがHSeO4 - として存在する。
【0019】1価の陰イオンを化学吸着できる化合物の
例としてオキシ水酸化鉄、1価の陰イオンを化学吸着で
きる化合物を生成する化合物の例として塩化第2鉄があ
るが、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物は固形物
であり、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成
する化合物は水中に添加することにより、本発明のpH条
件では不溶性の水酸化鉄粒子を生成している。
【0020】そこでセレン含有廃水もしくはセレン含有
汚泥中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を加
えると、これら化合物は水酸基 -0Hを有しているので、
水酸基1分子が4価のセレン1分子のHSeO3 - または6
価のセレン1分子のHSeO4 -と配位子交換をする内圏配
位機構により、HSeO3 - またはHSeO4 - はこれら化合物
に化学吸着し、その化学吸着は結合が強固であり脱着を
しない。すなわち、HSeO3 - またはHSeO4 - は再溶解し
ないので水中より沈澱除去される。
【0021】そこで、含有セレンのうち化学吸着された
1価の陰イオンの後に残る2価の陰イオンと反応する2
価のバリウムイオンと不溶性の沈澱物を形成する陰イオ
ンを生成する溶解性の化合物を反応に充分な量、すなわ
ち酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調整した
後において、セレンと反応した残余の2価のバリウムイ
オンが廃水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l程度以
上残留する量の2価のバリウムイオン(Ba2+)を生成す
るバリウム化合物もしくはその混合物、例えば塩化バリ
ウムを加えると、4価のセレンにおけるHSeO3 2- と、6
価のセレンにおけるHSeO4 2- とは不溶性の化合物を形成
するが、廃水中のこれらセレンの濃度は多くの場合は低
濃度であるため、生成した沈澱物が沈降分離し難いの
で、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する
陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくは混合物、例
えば硫酸を加えると、硫酸イオン(SO4 2- )を生成して
2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する。
【0022】このとき、添加される2価のバリウムイオ
ン(Ba2+)を生成するバリウム化合物もしくはその混合
物、即ち塩化バリウムの量が少ない場合には、沈澱の生
成は不十分であり、水中にセレンイオン(SeO3 2-および
SeO4 2-)が残留することになる。
【0023】以上の過程で、2価のバリウムイオンとSe
O3 2-およびSeO4 2-との沈澱生成反応が効率よく起こる
が、セレンイオン(SeO3 2-およびSeO4 2-)はこのような
他の陰イオンと2価のバリウムイオンとの不溶性化合物
の中に複塩の形で取り込まれるものと考えられる。
【0024】廃水中に2価のバリウムイオンが残留する
のが好ましくない場合、酸またはアルカリによりpHを5
から9程度に調整した後において、セレンと反応した残
余の2価のバリウムイオンが廃水もしくは汚泥中に数mg
/lから数百mg/l程度以上残留するバリウムイオンの残留
状態を解消する必要があるが、2価のバリウムイオンと
不溶性の化合物を形成する陰イオンを溶解性の化合物も
しくはその混合物、例として硫酸イオン(SO4 2- )を生
成する硫酸をバリウムイオン過剰状態を除去する量まで
加えた場合、セレンイオン(SeO3 2-およびSeO4 2-)の除
去効率が大幅に低下する。
【0025】これはこのような他の陰イオンと2価のバ
リウムイオンとの反応の反応速度が、セレンイオンと2
価のバリウムイオンとの反応の反応速度に比較して大き
くなるため、セレンイオンは2価のバリウムイオンと効
率よく沈澱生成反応を行えないものと考えられる。
【0026】そこで、あらかじめ2価のバリウムイオン
との不溶性の化合物を形成する陰イオンに対して、それ
と不溶性の化合物を形成する陽イオンを形成する溶解性
の化合物もしくはその混合物、例として陰イオンが硫酸
イオンである場合においては、陽イオンとしてカルシウ
ムイオン(Ca2+)を生成する塩化カルシウムを加えてお
くと、バリウムイオン過剰の除去およびセレンイオンの
除去が両立できる。
【0027】これは他の陰イオンの一部が加えた陽イオ
ンとの沈澱生成反応で消費され、この様な他の陰イオン
と2価のバリウムイオンとの反応の反応速度が、比較的
小さくなり、セレンイオンは2価のバリウムイオンと効
率よく沈澱生成反応を行なえるようになるものと考えら
れる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施は、通常は図3に1
例として示す攪拌機を備えたバッチ式の反応槽によって
対象廃水に各添加物の添加を行なっていくものである
が、これに限定されるものではなく、連続式の処理装置
により行なってもよい。対象が汚泥である場合には、図
4に1例として示す充分な攪拌能力を有するバッチ式の
混錬装置により行なう。
【0029】セレン含有廃水とセレン含有汚泥の差は、
含有水分によるその流動性がどの程度であるかによる相
対的なもので、中間形態もあるので反応槽によるか混錬
装置によるかは状况判断によって選択されることにな
る。
【0030】以下、廃水の場合の1実施例について説明
すると、廃水受入用配管2によって反応槽1に1000
リットル程度充填されたセレン含有廃水Aに、1価の陰
イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合物として
塩化第二鉄(38%溶液)を2kg程度、2価のバリウムイ
オンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶
解性の化合物として硫酸を7.5 kg程度、混合物並びに溶
解して2価のバリウムイオンを生成するバリウム化合物
として塩化バリウム(BaCl2・2H2O) 20kg程度を、順次或
いは同時に投入すると共に、攪拌機3を回動させて攪拌
する。
【0031】なお、セレン含有廃水には、その生成過程
によってpHが1以下、或いは11以上となっているものが
存在し、このようなpH条件では添加された化合物による
正常な反応効果が期待し難いので、廃水が充填された段
階でpH計測を行い、pHを少なくとも2から10に調整して
おくことにより効率よく沈澱生成反応を行うことができ
る。
【0032】セレン含有廃水中に、塩化第二鉄が加えら
れると、含有セレンのうち1価の陰イオンを化学吸着し
て化合物を生成して沈澱するので、含有セレンのうち2
価の陰イオンだけが残留することになる。
【0033】含有セレンのうち上記により残留する2価
の陰イオンは、廃水中のセレンの濃度が多くの場合は低
濃度であるため、溶解して2価のバリウムイオン(B
a2+)を生成するバリウム化合物と反応し難い状况にあ
る。そこで、2価の陰イオンと反応する2価のバリウム
イオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する
溶解性の化合物を反応に充分な量、すなわち前記塩化バ
リウム20kg程度を投入することにより低濃度のセレンイ
オンを捕捉して反応効率を挙げるようにする。
【0034】更に、2価のバリウムイオンと不溶性の化
合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物とし
て硫酸を7.5kg 程度を添加することにより、投入された
硫酸が廃水中で硫酸イオン(SO4 2- )を生成して、添加
されたバリウムの2価のバリウムイオンと沈澱性のよい
不溶性の化合物を形成するので、沈澱生成が促進され
る。
【0035】このように反応に充分な量の塩化バリウム
が投入されると、バリウムが過剰な状態となり、酸また
はアルカリによりpHを5から9程度に調整した後におい
て、セレンと反応した残余の2価のバリウムイオンが廃
水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l程度以上残留す
ることになるが、セレンについては完全な除去が行われ
る。
【0036】沈澱生成が完了すると、酸またはアルカリ
により放流もしくは埋立て可能な程度までpHを調整し排
水バルブ4を開いて上澄液を排出すると共に、反応槽1
の底部に沈澱した不溶性の化合物はバルブ5の開放によ
り、汚泥ピット6に排出され給泥ポンプ7を通じてフィ
ルタープレス脱水機8に送られて濾液と脱水汚泥に分離
されてそれぞれ処理される。
【0037】処理対象の流動性が低く汚泥状態の場合の
1実施例について説明すると、汚泥投入口12を通じて混
練槽11に1m3程度のセレン含有汚泥Bを投入し、これ
に1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化
合物として塩化第二鉄を2kg程度、2価のバリウムイオ
ンと不溶性の沈澱物を形成する陰イオンを生成する溶解
性の化合物として硫酸ナトリウム(Na2SO4)を9.1kg 程
度、混合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成
するバリウム化合物として塩化バリウム20kg程度を、順
次或いは同時に投入すると共に、混練槽11に設定された
タービン翼攪拌機13を回動させて攪拌することにより、
前記廃水の場合と同様にセレンの化学吸着と不溶性の化
合物形成による固定化を行うことができる。
【0038】セレンの化学吸着と不溶性の化合物形成に
よる固定化の後、酸またはアルカリ(上記例の場合は消
石灰)により放流もしくは埋立て可能な程度までpHを調
整する。なお、セレンの分解除去のための添加物投入の
段階でもpHは添加物の影響で変化するので、酸またはア
ルカリによる調整によりpHを2から10程度の範囲に保ち
ながら添加攪拌することにより、セレンの分離除去をス
ムーズに行うなうことができる。
【0039】化学吸着と不溶性の化合物形成による固定
化によってセレンは溶出することのない不溶性の化合物
として固定化された段階で、酸またはアルカリにより放
流もしくは埋立て可能な程度までpHを調整し、混練槽11
の底部に設けられた可動扉14によって排出口に送られ処
理される。この場合、水分は混練攪拌時の発熱によって
ほとんどが蒸発するため、直接埋立て可能となる。
【0040】上記の実施例では1価の陰イオンを化学吸
着できる化合物を生成する化合物として塩化第二鉄を使
用したが、その他に鉄化合物もしくはその混合物の分野
では1価の陰イオンを化学吸着できる化合物として、水
酸化鉄、酸化鉄、四三酸化鉄、オキシ水酸化鉄等があ
り、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する
化合物として、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、過塩素酸鉄等
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0041】アルミニウム化合物もしくはその混合物に
ついては、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物とし
て、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(活性アル
ミナを含める)、オキシ水酸化アルミニウム等があり、
1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
物として、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化ア
ルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0042】実施例で2価のバリウムイオンと不溶性の
化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物と
して使用した硫酸のほかにも、2価のバリウムイオンと
不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の
化合物もしくはその混合物として、2価のバリウムイオ
ンと不溶性の化合物を形成する陰イオンが硫酸イオンで
ある場合にあっては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸マグネシウムカリウム、硫酸セシウ
ム、硫酸セシウムアルミニウム、硫酸第一セリウム、硫
酸第二セリウム、硫酸アンモニウム第二セリウム、硫酸
アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸第
一鉄、硫酸第二鉄、硫酸カリウム第二鉄、硫酸アンモニ
ウム第一鉄、硫酸アンモニウム第二鉄、硫酸第一コバル
ト、硫酸アンモニウム第一コバルト、硫酸第一コバルト
カリウム等を挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。
【0043】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンが炭酸イオンである場合にあっては、
炭酸、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸セシウム等を挙げる
ことができるが、これらに限定されるものではない。
【0044】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンがリン酸イオンである場合にあって
は、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、
リン酸カリウム等を挙げることができるが、これらに限
定されるものではない。
【0045】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンがモリブデン酸イオンである場合にあ
っては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナト
リウム、モリブデン酸カリウム等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0046】実施例で溶解して2価のバリウムイオンを
生成するバリウム化合物として使用した塩化バリウムの
ほかにも、溶解して2価のバリウムイオンを生成するバ
リウム化合物もしくはその混合物としては、水酸化バリ
ウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、塩素酸バリウム、
過塩素酸バリウム等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。
【0047】以上のような多種多様な添加物は処理対象
となる廃水もしくは汚泥が多様な生成環境から発生する
ため、その性質、状况も極めて多様であることに応じて
それぞれ選択し、添加を行いながら反応処理を行ってい
くものである。
【0048】以上の実施例では、バリウムが過剰な状態
となり、酸またはアルカリによりpHを5から9程度に調
整した後において、セレンと反応した残余の2価のバリ
ウムイオンが廃水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l
程度以上残留することになるのである。
【0049】そこで、廃水もしくは汚泥中に残留するバ
リウムイオンを除去する必要がある場合には、上記添加
物のほかに2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形
成する陰イオンに対して、それと不溶性の化合物を形成
する陽イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混
合物を添加して攪拌した後、更に2価のバリウムイオン
と不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性
の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌することに
より、対応することができる。
【0050】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンに対して、それと不溶性の化合物を形
成する陽イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその
混合物としては、2価のバリウムイオンと不溶性の化合
物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしく
はその混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性
の化合物を形成する陰イオンが硫酸イオンである場合に
あっては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の化合
物である塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ素
酸カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、
臭化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム
等、あるいは2価のストロンチウムイオンを含む溶解性
の化合物である塩化ストロンチウム、過塩素酸ストロン
チウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロンチウム等
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0051】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性の沈
澱物を形成する陰イオンが炭酸イオンである場合にあっ
ては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の化合物で
ある塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カ
ルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭化
カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等、2
価のストロンチウムイオンを含む溶解性の化合物である
塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸ス
トロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロンチ
ウム等、2価の鉄イオンを含む溶解性の化合物である塩
化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、過塩素酸第一鉄、
ヨウ化第一鉄、臭化第一鉄、硫酸アンモニウム第一鉄
等、あるいは2価のコバルトイオンを含む溶解性の化合
物である塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、
過塩素酸コバルト、ヨウ化コバルト、臭化コバルト等を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0052】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性の沈
澱物を形成する陰イオンがリン酸イオンである場合にあ
っては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の化合物
である塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ素酸
カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭
化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等、
2価のストロンチウムイオンを含む溶解性の化合物であ
る塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸
ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロン
チウム等、2価のコバルトイオンを含む溶解性の化合物
である塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、過
塩素酸コバルト、ヨウ化コバルト、臭化コバルト等、3
価の鉄イオンを含む溶解性の化合物である塩化第二鉄、
硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、過塩素酸第二鉄、臭化第二
鉄、硫酸アンモニウム第二鉄等、3価のアルミニウムイ
オンを含む溶解性の化合物である塩化アルミニウム、硫
酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニ
ウム、ヨウ化アルミニウム、臭化アルミニウム等、ある
いは3価のセリウムイオンを含む溶解性の化合物である
塩化第一セリウム、硫酸第一セリウム、硫酸第二セリウ
ム、硝酸第一セリウム、硝酸第二セリウム、過塩素酸第
一セリウム、ヨウ化第一セリウム、臭化第一セリウム、
硫酸アンモニウム第一セリウム、硝酸アンモニウム第一
セリウム、硝酸アンモニウム第二セリウム等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶性の化
合物を形成する陰イオンがモリブデン酸イオンである場
合にあっては、2価のカルシウムイオンを含む溶解性の
化合物である塩化カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨ
ウ素酸カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ化カルシウ
ム、臭化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウ
ム等、2価のストロンチウムイオンを含む溶解性の化合
物である塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過
塩素酸ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ス
トロンチウム等を挙げることができるが、これらに限定
されるものではない。
【0054】更に、2価のバリウムイオンと不溶性の化
合物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もし
くはその混合物に含まれる2価のバリウムイオンと不溶
性の化合物を形成する陰イオンが上記以外のものである
場合にあっては、以上に限定されるものではない。
【0055】以上のような多種多様な添加物は処理対象
となる廃水もしくは汚泥が多様な生成環境から発生する
ため、その性質、状况も極めて多様であることに応じて
それぞれ選択し、添加を行いながら反応処理を行ってい
くものである。
【0056】なお、廃水もしくは汚泥中に残留するバリ
ウムイオンの除去については、基本添加物である1価の
陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは1価の陰イオ
ンを化学吸着できる化合物を生成する化合物、2価のバ
リウムイオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生
成する溶解性の化合物もしくはその混合物並びに溶解し
て2価のバリウムイオンを生成するバリウム化合物もし
くはその混合物のほかに、2価のバリウムイオンと不溶
性の化合物を形成する陰イオンに対して、それと不溶性
の化合物を形成する陽イオンを生成する溶解性の化合物
もしくはその混合物を添加して攪拌した後、更に2価の
バリウムイオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを
生成する溶解性の化合物もしくはその混合物を添加して
攪拌するが、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
の混合物を、基本添加物と2価のバリウムイオンと不溶
性の沈澱物を形成する陰イオンに対して、それと不溶性
の沈澱物を形成する陽イオンを生成する溶解性の化合物
もしくはその混合物の添加時にも添加することにより、
きめ細かいバリウムイオンの除去を行なうことができ
る。
【0057】次に、本願発明の作用効果を確認するため
に出願人において行なったサンプル疑似廃水を用いたビ
ーカーによる凝集沈澱処理実験の結果を説明する。
【0058】先ず、サンプルとした擬似廃水は、 100ml
の廃水中に4価のセレン20mg/lを含有させたもの、
6価のセレン20mg/lを含有させたもの、4価のセレン
5mg/l、6価のセレン5mg/lを含有させたもの,4価
のセレン10mg/l、6価のセレン10mg/lを含有させたも
の、4価のセレン20mg/l、6価のセレン20mg/lを含有
させたものの5通りのものである。
【0059】サンプルの場合には、先ず公知の処理方
法である塩化第二鉄のみよる処理方法を対照として試験
した。38%塩化第二鉄(FeCl3 )溶液2mlを添加し、更
に20%水酸化ナトリウム(NaOH) 水溶液約2mlを添加し
てpHを5.5 に調整して15分間攪拌した。生成した沈澱を
分離して得られた上澄液のセレン濃度は0.05mg/l以下で
あった。
【0060】同様に操作し、水酸化ナトリウム水溶液の
添加を多くしてpHを8に調整して15分間攪拌した場合に
は、上澄液のセレン濃度は1.12mg/lとなり処理不十分で
あった。塩化第二鉄水溶液の添加を5mlに増加し、pHを
8に調整した場合にも上澄液のセレン濃度は0.76mg/lで
あった。このように公知の方法による処理ではpH調整の
条件に大きく左右され、実装置での安定した処理効果が
得られない。
【0061】これに対してサンプルで、最初に38%塩
化第二鉄溶液2mlを添加し、次いで水1容に対してH2SO
4 1容を加えて調整した(1+1)硫酸水溶液0.23ml、塩化
バリウム(Bacl2 ・2H2O)2g を添加して15分間攪拌
し、更に20%水酸化ナトリウム水溶液約2.5ml を添加し
てpHを8に調整した。この場合、生成した沈澱を分離し
て得られた上澄液のセレン濃度は0.05mg/l以下であっ
た。この時上澄液のバリウム濃度は5850mg/lであった。
【0062】サンプルの場合には、先ず公知の処理方
法である塩化第二鉄のみよる処理方法を対照として試験
した。38%塩化第二鉄溶液5mlを添加し、更に20%水酸
化ナトリウム水溶液約5mlを添加してpHを5.5 に調整し
て15分間攪拌した。生成した沈澱を分離して得られた上
澄液のセレン濃度は16.1mg/lとなり処理不十分であっ
た。このように公知の方法による処理では6価のセレン
の処理は困難である。
【0063】これに対してサンプルで、最初に(1+1)
硫酸水溶液0.69ml、塩化バリウム3gを添加し、次いで
38%塩化第二鉄溶液2mlを添加し、15分間攪拌し、更に
20%水酸化ナトリウム水溶液約2.5ml を添加してpHを8
に調整した、この場合、生成した沈澱を分離して得られ
た上澄液のセレン濃度は0.062mg/l であった。この時上
澄液のバリウム濃度は4990mg/lであった。
【0064】次いで、塩化バリウムを2g,38%塩化第
二鉄溶液2ml,塩化カルシウム(CaCl2)1gを添加して1
5分間攪拌し、更に20%水酸化ナトリウム水溶液約2〜
3mlを添加してアルカリ性にpH調整した。
【0065】サンプルの場合には、(1+1)硫酸水溶
液0.46mlを最初に添加した。そこで、(1+1)硫酸水溶液
0.54mlを添加し、更に20%水酸化ナトリウム水溶液を添
加してpHを8に調整した。これにより白色の沈澱を生成
した。
【0066】サンプルの場合には、(1+1)硫酸水溶液
0.69mlを最初に添加した。次いで、塩化バリウムを3
g,38%塩化第二鉄溶液2ml,塩化カルシウム(CaCl2)
1gを添加して15分間攪拌し、更に20%水酸化ナトリウム
水溶液約2〜3mlを添加してアルカリ性にpH調整した。
【0067】そこで、(1+1)硫酸水溶液0.82mlを添加
し、更に20%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8
に調整した。これにより白色の沈澱を生成した。以上の
設定において、サンプル、、中の処理後のセレン
とバリウムの測定確認を行った結果、サンプル、、
共にセレンは0.05mg/l以下、バリウムは1mg/l以下と
なっていることを確認した。
【0068】本発明は以上のように、4価と6価の双方
のセレンを同時に不溶性の塩として沈澱除去することが
でき、しかも生成する不溶性化合物からセレンが再度溶
出することなく固体中に固定化されるので、従来行われ
てきた無駄な処理工程を大幅に省略することができ、し
かも設定費も極めて低廉である。
【0069】
【図面の簡単な説明】
【図1】4価のセレンの水中存在形態である亞セレン酸
の1段目および2段目の酸解離平衡定数をそれぞれ10
-2.75 (M) および10-8.50 (M) として、これより各
pH毎の存在量を計算し、横軸をpH、縦軸をこれら各イオ
ンの存在量をモル濃度(M)の常用対数値で表示した値
として示したグラフ
【図2】6価のセレンの水中存在形態であるセレン酸の
1段目および2段目の酸解離平衡定数をそれぞれ103.0
(M) および10-1.66 (M) として、これより各pH毎の
存在量を計算し、横軸をpH、縦軸をこれら各イオンの存
在量をモル濃度(M)の常用対数値で表示した値として
示したグラフ
【図3】本発明をセレン含有廃水について実施するため
の装置の1例を示す側断面図
【図4】本発明をセレン含有汚泥について実施するため
の装置の1例を示す側断面図
【符号の説明】 1 廃水受入反応槽 2 廃水受入用配管 3 反応槽攪拌機 4 排水バルブ 5 沈澱物排出バルブ 6 汚泥ピット 7 給泥ポンプ 8 フィルタープレス脱水機 11 汚泥混練槽 12 汚泥投入口 13 タービン翼攪拌機 14 混練槽の底部に設けられた可動扉 15 添加物投入口 A セレン含有廃水 B セレン含有汚泥
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 埼玉 弘 神奈川県相模原市宮下2−15−6 三友プ ラントサービス株式会社第二工場分析室内 (72)発明者 橋本 幸紀 神奈川県相模原市宮下2−15−6 三友プ ラントサービス株式会社第二工場分析室内 (72)発明者 高田 薫子 神奈川県相模原市宮下2−15−6 三友プ ラントサービス株式会社第二工場分析室内 (72)発明者 積田 貴代 神奈川県相模原市宮下2−15−6 三友プ ラントサービス株式会社第二工場分析室内 (72)発明者 三谷 孝司 北海道勇払郡早来町安平308 三友プラン トサービス株式会社安平環境総合研究所内 (72)発明者 小林 理恵 北海道勇払郡早来町安平308 三友プラン トサービス株式会社安平環境総合研究所内 (72)発明者 下野 彰夫 神奈川県相模原市橋本台1−8−21 三友 プラントサービス株式会社技術部内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥
    中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは
    1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
    物、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する
    陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混合物
    並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成するバリウ
    ム化合物もしくはその混合物を添加して攪拌することに
    より、廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合物とし
    て沈澱させて分離除去するか、或いは固体中に不溶性化
    合物として固定することを特徴とするセレン含有廃水も
    しくはセレン含有汚泥の処理方法
  2. 【請求項2】 溶解して2価のバリウムイオンを生成す
    るバリウム化合物もしくはその混合物の添加量を、所定
    の添加物を添加して攪拌しセレンが不溶性化合物化した
    後に、酸またはアルカリによりpHを5ないし9程度まで
    調整し、その状態において、セレンと反応した残余の2
    価のバリウムイオンが廃水もしくは汚泥中に数mg/lから
    数百mg/l程度以上残留するようにバリウムイオン過剰の
    状態を形成する添加量とした請求項1記載のセレン含有
    廃水もしくはセレン含有汚泥の処理方法
  3. 【請求項3】 1価の陰イオンを化学吸着できる化合物
    もしくは1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成
    する化合物、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
    形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
    の混合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成す
    るバリウム化合物もしくはその混合物の添加をpHを2か
    ら10程度の範囲に保ちながら行うようにした請求項1ま
    たは請求項2記載のセレン含有廃水もしくはセレン含有
    汚泥の処理方法
  4. 【請求項4】 セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥
    中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは
    1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
    物、溶解して2価のバリウムイオンを生成するバリウム
    化合物もしくはその混合物、並びに2価のバリウムイオ
    ンと不溶性の化合物を形成する陰イオンに対して、それ
    と不溶性の化合物を形成する陽イオンを生成する溶解性
    の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌した後、更
    に2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する陰
    イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混合物を
    添加して攪拌することにより、廃水もしくは汚泥中のセ
    レンを不溶性化合物として沈澱させ、或いは固体中に固
    定して分離除去することを特徴とするセレン含有廃水も
    しくはセレン含有汚泥の処理方法
  5. 【請求項5】 溶解して2価のバリウムイオンを生成す
    るバリウム化合物もしくはその混合物の添加量を、2価
    のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成する陰イオン
    を生成する溶解性の化合物もしくはその混合物を添加す
    る前において、セレンと反応した残余の2価のバリウム
    イオンが廃水もしくは汚泥中に数mg/lから数百mg/l程度
    以上残留するようにバリウムイオン過剰の状態を形成す
    る添加量とした請求項4記載のセレン含有廃水もしくは
    セレン含有汚泥の処理方法
  6. 【請求項6】 1価の陰イオンを化学吸着できる化合物
    もしくは1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成
    する化合物、2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を
    形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはそ
    の混合物並びに溶解して2価のバリウムイオンを生成す
    るバリウム化合物もしくはその混合物、並びに2価のバ
    リウムイオンと不溶性の化合物を形成する陰イオンに対
    して、それと不溶性の化合物を形成する陽イオンを生成
    する溶解性の化合物もしくはその混合物の添加をpHを2
    から10程度の範囲に保ちながら行うようにした請求項
    4または請求項5記載のセレン含有廃水もしくはセレン
    含有汚泥の処理方法
  7. 【請求項7】 2価のバリウムイオンと不溶性の化合物
    を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくは
    その混合物の添加量を、最終的に廃水もしくは汚泥中の
    バリウムイオンを1mg/l以下にするのに十分な添加量と
    した請求項4、5または請求項6記載のセレン含有廃水
    もしくはセレン含有汚泥の処理方法
  8. 【請求項8】 セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥
    中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは
    1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
    物、溶解して2価のバリウムイオンを生成するバリウム
    化合物もしくはその混合物、並びに2価のバリウムイオ
    ンと不溶性の化合物を形成する陰イオンに対して、それ
    と不溶性の化合物を形成する陽イオンを生成する溶解性
    の化合物もしくはその混合物、並びに2価のバリウムイ
    オンと不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶
    解性の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌した
    後、更に2価のバリウムイオンと不溶性の化合物を形成
    する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしくはその混
    合物を添加して攪拌することにより、廃水もしくは汚泥
    中のセレンを不溶性化合物として沈澱させ、或いは固体
    中に固定して分離除去することを特徴とするセレン含有
    廃水もしくはセレン含有汚泥の処理方法
  9. 【請求項9】 セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥
    中に、1価の陰イオンを化学吸着できる化合物もしくは
    1価の陰イオンを化学吸着できる化合物を生成する化合
    物、溶解して2価のバリウムイオンを生成するバリウム
    化合物もしくはその混合物並びに2価のバリウムイオン
    と不溶性の化合物を形成する陰イオンに対して、それと
    不溶性の化合物を形成する陽イオンを生成する溶解性の
    化合物もしくはその混合物をpHを2から10程度の範囲に
    保ちながら添加して攪拌した後、2価のバリウムイオン
    と不溶性の化合物を形成する陰イオンを生成する溶解性
    の化合物もしくはその混合物を添加して攪拌することに
    より、廃水もしくは汚泥中のセレンを不溶性化合物とし
    て沈澱させ、或いは固体中に固定して分離除去すること
    を特徴とするセレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥の
    処理方法
  10. 【請求項10】 2価のバリウムイオンと不溶性の化合
    物を形成する陰イオンを生成する溶解性の化合物もしく
    はその混合物、並びに2価のバリウムイオンと不溶性の
    化合物を形成する陰イオンに対して、それと不溶性の化
    合物を形成する陽イオンを生成する溶解性の化合物もし
    くはその混合物の添加量を、最終的に廃水もしくは汚泥
    中のバリウムイオンを1mg/l以下にするのに十分な添加
    量とした請求項8または請求項9記載のセレン含有廃水
    もしくはセレン含有汚泥の処理方法
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