JPH11221492A - 電気式集塵エレメント及び空気清浄機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 集塵効率を高めるために、電極形成における
面積のロスを減らし、かつ絶縁性も確保できる様にした
高電圧電極で構成されるコレクタ部を有する電気式集塵
エレメントを提供すること。 【解決手段】 フィルム状の絶縁体と、この絶縁体の一
方の面より突出して絶縁体を一部加工して形成された突
起部と、絶縁体の他方の面に絶縁体より若干幅が狭くか
つ突起部の近傍までの部分に塗布された導電性塗料とを
備え、二枚の絶縁体を、導電性塗料塗布面を内側にして
貼り合わせて形成するフィルム状の電極をコレクタ部の
高電圧電極としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、居住空間の空気
を浄化する空気清浄機等に組み込まれる電気式集塵エレ
メントに関する。

【０００２】

【従来の技術】居住空間の空気はタバコ煙等により汚染
されるため、その浄化手段として電気式集塵エレメント
を搭載した空気清浄機が設置される。電気式集塵エレメ
ント（以下集塵エレメント）の具体的な構成としては特
開平５−１８６２９号公報や特公平７−７３６８６号公
報に示されるように、流入する塵埃をコロナ放電により
帯電させるイオン化部と帯電した塵埃をクーロン力によ
り電極へ付着させるコレクタ部とが個別に構成されてい
る二段荷電形集塵エレメントが主流である。

【０００３】二段荷電形集塵エレメントにおける集塵効
率ηは一般的に次式で表わされる。 η＝１−ｅｘｐ（−ｖ・Ａ／Ｑ） ここで、ｖ：帯電した塵埃のコレクタ部電極への移動速
度，Ａ：コレクタ部の電極面積，Ｑ：処理風量である。
従って、集塵効率を高めるための手段の一つとしてコレ
クタ部の電極面積Ａを大きくすることがあげられるが、
エレメントの外形を大きくすることなく実現する方法と
しては特開平５−１４６７１４号公報に示されるものが
一般的である。

【０００４】すなわち、コレクタ部の高電圧電極の導電
層をフィルム状の絶縁体でラミネートして形成し、接地
電極との絶縁性を高めることにより両電極の積層間隔を
狭めるものである。この方式においては狭めた電極の間
隔を一定に保つために絶縁フィルムに突起部を設けてい
るが、さらに絶縁性を向上させるために突起部部分には
導電層がかからないようにしている。これは絶縁破壊電
圧Ｖ_S が一般的に次式によることに起因する。 Ｖ_S ＝α・（ｄ／ε）^0.5 ここで、ｄ：絶縁体の厚さ，ε：絶縁体の比誘電率，
α：絶縁体により決まる定数である。すなわち、突起部
の部分に導電層があるとｄはフィルム状絶縁体の厚さと
なるが、導電層がないとｄは突起部の高さ（一般的にフ
ィルム状の絶縁体の厚さの５〜１０倍程度）となり絶縁
破壊電圧値が増大するためである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の二段荷電形集塵
エレメントは以上のように構成されているので、フィル
ム状の絶縁体に突起部を形成する際には、その加工バラ
ツキを考慮しこの部分に導電層がかからないように裕度
をもって導電層を形成するため、結果集塵電極としては
その面積が減少することになる。

【０００６】この発明は、かかる問題点を解決するため
になされたもので、集塵効率を高めるために、電極形成
における面積のロスを減らし、かつ絶縁性も確保できる
様にした高電圧電極で構成されるコレクタ部を有する電
気式集塵エレメントを提供することを目的とする。ま
た、使用者に運転状態を容易に知らしめることができる
空気清浄機を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係る電気式集
塵エレメントは、フィルム状の絶縁体と、この絶縁体の
一方の面より突出して絶縁体を一部加工して形成された
突起部と、絶縁体の他方の面に絶縁体より若干幅が狭く
かつ突起部の近傍までの部分に塗布された導電性塗料と
を備え、二枚の絶縁体を、導電性塗料塗布面を内側にし
て貼り合わせて形成するフィルム状の電極をコレクタ部
の高電圧電極としたものである。

【０００８】また、突起部は、二枚の絶縁体を接着した
場合に、互いの突起部がずれた配置になるように形成さ
れたものである。

【０００９】また、突起部は、絶縁体の一部を密着曲げ
して形成されたものである。

【００１０】この発明に係る空気清浄機は、請求項１記
載の電気式集塵エレメントを有するものにおいて、運転
停止、異常の有無及び電気集塵エレメントの洗浄要否を
示すインジケータランプを有する表示部とを備えたもの
である。

【００１１】

【発明の実施の形態】実施の形態１．以下、この発明の
実施の形態１を図面を参照して説明する。図１に一般的
な空気清浄機の概略の全体構成図を示す。図において、
室内の汚染空気２は、空気清浄機１に取り外し可能に組
み付けられたグリル３とそのグリル３に取り外し可能に
組み付けられたプレフィルタ４を通過し、集塵エレメン
ト５に導かれる。この際、汚染空気中の大きな塵埃はプ
レフィルタ４により捕集される。集塵エレメント５は空
気清浄機１に取り外し可能でかつ組込み時には高電圧電
源（図示せず）からの電圧供給回路に接続する構造とな
っており、高電圧が印加された状態でプレフィルタ４を
通過した汚染空気中の微小塵埃を捕集する。

【００１２】脱臭エレメント６は空気清浄機１に取り外
し可能でかつ集塵エレメント５の下流側に組み付けら
れ、プレフィルタ４及び集塵エレメント５を通過して除
塵された汚染空気中の臭気成分を除去する。送風機７は
ファンとそれを駆動するモータより構成されそのモータ
により空気清浄機１に取り付けられており、室内の汚染
空気２を空気清浄機１に導き清浄空気８として室内に排
出する風の流れを形成する。

【００１３】図２は一般的に空気清浄機に搭載される集
塵エレメント（二段荷電形）の詳細構成図である。図に
おいて、集塵エレメント５は流入する汚染空気２中の塵
埃（図示せず）を、互いに並行配置された複数の平板状
の接地電極９とそれらの中間に配置された放電線（高電
圧）電極１０の間に高電圧電源１１により数ｋＶ程度の
電圧を印加して得られるコロナ放電により帯電させるイ
オン化部１２と、帯電した塵埃を複数の平板状の高電圧
電極１３とその中間に並行配置された接地電極１４との
間に高電圧電源１５により数ｋＶ程度の電圧を印加して
得られるクーロン力により接地電極へ吸着させるコレク
タ部１６よりなる。

【００１４】図３に、この発明の実施の形態１としての
コレクタ部の高電圧電極の構成図を示す。図に示すよう
に、フィルム状の絶縁体１３ａにこれより若干幅が狭く
かつ突起部１３ｂを形成する部分に対し裕度をもった近
傍までの範囲に導電性塗料１３ｃを塗布する。この場合
塗布範囲は突起部１３ｂ形成部近傍を境として断続的
（図示せず）となっても良い。突起部１３ｂは、導電性
塗料１３ｃが塗布される面とは反対側の面に突出して形
成される。

【００１５】このように形成されたもの２枚を導電性塗
料塗布面を内側にし接着して貼り合わせる。フィルム状
の絶縁体１３ａによる突起部１３ｂは、２枚の絶縁体フ
ィルムを接着した時互いの突起部がずれた配置になるよ
うに形成されている。これにより突起部１３ｂの近傍で
欠けていたり不連続となる導電層（導電性塗料１３ｃ塗
布領域）は、接着する相手側の導電層に接触させること
により補完されるため突起部１３ｂを含め導電層が広く
形成される。

【００１６】図４に、この発明の実施の形態１によるフ
ィルム状電極をコレクタ部の高電圧電極として使用した
集塵エレメントの構成図を示す。コレクタ部の高電圧電
極１３を形成するフィルム状の絶縁体１３ａの突起部１
３ｂにより接地電極１４との間隙が保たれる構成となっ
ており、高電圧電極１３の電極となる導電性塗料１３ｃ
塗布面と接地電極１４との絶縁性能は突起部１３ｂの形
成の仕方に依存する。

【００１７】実施の形態２．図５に、この発明の実施の
形態２としてのコレクタ部の高電圧電極の構成図を示
す。フィルム状の絶縁体１３ａの突起部１３ｂは、図示
の通りにその一部を折り曲げて形成することができる。
この場合、突起部分に導電層（導電性塗料１３ｃ塗布領
域）がかからないようにするためには、折り曲げの近傍
で導電層を不連続にしなければならない。しかし実施の
形態１に示す様に、この導電層の無い部分に相対するフ
ィルムの導電層が跨いで接触するように貼り合わせるこ
とにより、フィルム電極の全面にわたり広く電極が形成
される。

【００１８】実施の形態３．図６に、この発明の実施の
形態３としての空気清浄機の概略の全体構成図を示す。
空気清浄機１では、電気式集塵エレメント５に堆積した
塵埃を除去するために定期的に取り外し洗浄する必要が
あり、その時期を使用者に知らせる表示が要求される。
またそれと併せて、空気清浄機１が運転中かそうでない
か、さらには異常が発生しているかどうかの表示も必要
とされる。そこで実施の形態３における空気清浄機で
も、図６に示すように空気清浄機１の表面に運転、異常
の有無及び電気式集塵エレメントの洗浄要否を示すイン
ジケータランプを有する表示部１７を設け、使用者に空
気清浄機の状態が分かるようにするものである。

【００１９】

【発明の効果】この発明に係る電気式集塵エレメント
は、フィルム状の絶縁体と、この絶縁体の一方の面より
突出して絶縁体を一部加工して形成された突起部と、絶
縁体の他方の面に絶縁体より若干幅が狭くかつ突起部の
近傍までの部分に塗布された導電性塗料とを備え、二枚
の絶縁体を、導電性塗料塗布面を内側にして貼り合わせ
て形成するフィルム状の電極をコレクタ部の高電圧電極
としたので、コレクタ部の高電圧電極の面積をより広範
囲に形成することができるため集塵効率が高くなる。

【００２０】また、突起部は、二枚の絶縁体を接着した
場合に、互いの突起部がずれた配置になるように形成さ
れたことにより、突起部の近傍で欠けていたり不連続と
なる導電性塗料塗布面は、接着する相手側の導電性塗料
塗布面に接触させることにより補完されるため突起部を
含め導電層が広く形成される。

【００２１】また、突起部を絶縁体の一部を密着曲げし
て形成するようにしたので、その製造の容易化が図れ
る。

【００２２】この発明に係る空気清浄機は、請求項１記
載の電気式集塵エレメントを有するものにおいて、運転
停止、異常の有無及び電気集塵エレメントの洗浄要否を
示すインジケータランプを有する表示部とを備えた構成
により、使用者に空気清浄機の運転状態を容易に知らし
めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 一般的な空気清浄機の概略の全体構成図であ
る。

【図２】 一般的な空気清浄機に搭載される集塵エレメ
ント（二段荷電形）の詳細構成図である。

【図３】 この発明の実施の形態１に示すコレクタ部の
高電圧電極を示す図である。

【図４】 この発明の実施の形態１に示す高電圧電極を
コレクタ部に用いた集塵エレメントの詳細構成図であ
る。

【図５】 この発明の実施の形態２に示すコレクタ部の
高電圧電極示す図である。

【図６】 この発明の実施の形態３に示す空気清浄機の
概略の全体構成図である。

【符号の説明】

１ 空気清浄機、２ 汚染空気、３ グリル、４ プレ
フィルタ、５ 電気式集塵エレメント、６ 脱臭エレメ
ント、７ 送風機、８ 清浄空気、９ 接地電極、１０
放電線電極、１１ 高電圧電源、１２ イオン化部、
１３ 高電圧電極、１３ａ フィルム状の絶縁体、１３
ｂ 突起部、１３ｃ 導電性塗料、１４接地電極、１５
高電圧電源、１６ コレクタ部、１７ 表示部。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フィルム状の絶縁体と、 この絶縁体の一方の面より突出して前記絶縁体を一部加
   工して形成された突起部と、 前記絶縁体の他方の面に前記絶縁体より若干幅が狭くか
   つ前記突起部の近傍までの部分に塗布された導電性塗料
   と、を備え、前記二枚の絶縁体を、導電性塗料塗布面を
   内側にして貼り合わせて形成するフィルム状の電極をコ
   レクタ部の高電圧電極としたことを特徴とする電気式集
   塵エレメント。
2. 【請求項２】 前記突起部は、前記二枚の絶縁体を接着
   した場合に、互いの突起部がずれた配置になるように形
   成されたことを特徴とする請求項１記載の電気式集塵エ
   レメント。
3. 【請求項３】 前記突起部は、前記絶縁体の一部を密着
   曲げして形成されたことを特徴とする請求項１記載の電
   気式集塵エレメント。
4. 【請求項４】 請求項１記載の電気式集塵エレメントを
   有する空気清浄機において、 運転停止、異常の有無及び前記電気集塵エレメントの洗
   浄要否を示すインジケータランプを有する表示部を備え
   たことを特徴とする空気清浄機。