JPH11221094A - インターロイキン−8の製造法 - Google Patents

インターロイキン−8の製造法

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JPH11221094A
JPH11221094A JP34180398A JP34180398A JPH11221094A JP H11221094 A JPH11221094 A JP H11221094A JP 34180398 A JP34180398 A JP 34180398A JP 34180398 A JP34180398 A JP 34180398A JP H11221094 A JPH11221094 A JP H11221094A
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interleukin
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cells
chromatography
treatment
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JP34180398A
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Kensaku Ohashi
研作 大橋
Shoichi Matsumoto
庄市 松本
Masahiko Iizuka
雅彦 飯塚
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】N末端がヘテロなIL-8溶液から72アミノ酸型
IL-8の高純度品を得るための製造法を提供することにあ
る。 【解決手段】真核細胞を培養して得られるIL-8溶液を分
画した後にpH3〜7処理することを特徴とする72ア
ミノ酸型IL-8の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は純度の高い72アミ
ノ酸型インターロイキン−8(以下72IL-8と略す)の製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】IL-8はサイトカインの一種であり、19
87年に松島らによって単球由来の好中球走化性因子
(MDNCF)として精製され(Yoshimura T.et al., P
roc.Natal.Acad.Sci.USA 84 9233頁 1987年)、その遺伝
子もクローニングされている(Matsushima K.et al.,J.E
xp.Med.167 1883頁 1988年)。IL-8の前駆体は99個
のアミノ酸より成り立ちN末端部位に分泌に必須と考え
られるシグナルペプチドを有する。成熟型IL-8は一般に
28番目のSer残基で始まる72個のアミノ酸の長さ
をもつものとみなされている。ところがいくつかの異な
る部位でプロセスされた形のIL-8の存在が知られてい
る。
【0003】IL-1、LPSもしくはTNF刺激したヒ
ト血管内皮細胞(Grimbrone M.A.et al., J.Immunol.142
244頁 1989年)、およびIL-1、TNF刺激した皮膚線
維芽細胞の産生するIL-8は77アミノ酸型の割合が高い
(Schroder J.-M. et al., J.Immunol.144 2223頁 1990
年)。それに対し、IL-1、LPS、ConA、PHA、
もしくはTNF刺激したヒト単球もしくはリンパ球は7
7アミノ酸型IL-8(77IL-8と略す)と72IL-8の両者を産
生する(Gregory H.et al., Biochem.Biophys.Res.Commu
n.151 883頁 1988年)。また、ConA刺激したヒト末
梢血単核細胞の産生するIL-8は72アミノ酸型以外に7
0アミノ酸型、69アミノ酸型の存在が報告されている
(Van Demme J.,et al., Eur J Immunol.20 2113頁 1990
年)。つまり刺激を受けた細胞が産生するIL-8は、様々
なアミノ酸型のサブタイプをもつことが報告されてい
る。
【0004】IL-8サブタイプの生物活性について、in v
itroでウサギ腹膜好中球に対する細胞内Ca2+の流入で
活性を測定した場合、72IL-8の方が77IL-8より強い活性
を示した。ヒト好中球に対する親和性は72IL-8の方が77
IL-8より10倍強い。このようにin vitroの生物活性で
は77IL-8と72IL-8の生物活性には差異が存在する(Nours
hargh S,et al., J.Immunol.148 106頁 1992年)。
【0005】IL-8を単離精製する方法には下記のような
報告がある。
【0006】松島らはLPS刺激した末梢血単球の培養
上清を膜濃縮後透析しDEAE基を有する陰イオン交換
体を用いたクロマトグラフィー、CM基を結合した陽イ
オン交換体、逆相−HPLCにより72IL-8を単離した(Y
oshimura T.et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84 9233
頁 1987年)。
【0007】JENS−M.SCHRODERらはLP
S刺激したヒト末梢血単球培養上清を膜濃縮し陽イオン
交換、ゲルろ過、逆相クロマトグラフィーによってIL-8
を単離している。単離されたIL-8は72IL-8がメインであ
る(Schroder J.-M. et al.,J.Immunol.139 3474頁 1987
年)。
【0008】WalzA.らはLPS刺激したヒト単核
細胞の培養上清を80%硫安沈殿により濃縮し、ゲルろ
過、陽イオン交換、ハイドロキシルアパタイト、逆相ク
ロマトグラフィーを順次行いIL-8を単離した(Walz A.,e
t al., 149 Biochem.Biophys.Res.Commun.149 755頁 19
87年)。
【0009】これら膜濃縮、透析といった操作を含む方
法は無菌性の確保、操作の煩雑性などの問題が残り、特
に工業生産のような大量精製には不都合なことが多い。
また医薬品の製造を目的として精製を行う場合、アセト
ニトリルおよびトリフルオロ酢酸を溶媒とする逆相-HPL
Cも、医薬品の安全性を保証する上でその使用はできる
限り避けたい。
【0010】医薬品製造用とした精製方法として、粗IL
-8溶液をシリカ系吸着担体により濃縮し陽イオン交換ク
ロマトにより高度に精製できる技術の開示もある(特開
平5−170799)。しかしながらこの方法で得られ
たIL-8は72、77、79アミノ酸型IL-8の混合物であ
る。
【0011】精製標品中のIL-8のN末端バリアントにつ
いて詳細に解析した以下の報告がある。
【0012】Van Damme J.らはConAも
しくはLPS刺激したヒト末梢血単核白血球培養上清を
中性で2時間ケイ酸にバッチ吸着させ50%エチレング
リコール、1.4MNaCl、0.3Mグリシン/塩酸緩
衝液で回収した。透析後、ヘパリンクロマトもしくはゲ
ルろ過により回収し、さらに透析後pH4での陽イオン
交換クロマトによりIL-8を単離している。得られたIL-8
は主に72IL-8であるが、その他77、79、71、7
0、69アミノ酸型IL-8型も検出される。またプレパレ
ーションの相違によりN末端バリアントに相違がみられ
た(Van Demme J.,et al., Eur. J. Biochem.181 337頁
1989年)。この様な陽イオン交換を主体とする精製方法
では個々のバリアントを分離するにはいたっていない。
【0013】この精製方法は前記の松島ら、JENS−
M.SCHRODERら、あるいはWalzA.らによ
る精製方法と陽イオン交換クロマトを用いる上で類似し
ている。これらのグループからは、精製標品中のIL-8の
N末端バリアントを示す詳細な報告はないが、マイナー
なバリアント成分の混入は否定できない。
【0014】さらに、陽イオン交換クロマトを用いたIL
-8バリアントの分離としてC.A.HEBERTらは77
IL-8と72IL-8の分離状態について詳細に報告している
が、電気泳動による分析では明らかに72IL-8画分に77IL
-8が含まれる(A.Hebert et al., J.Immunol. 145 3033
頁 1990年)。この様に、77IL-8と72IL-8の混合物より72
IL-8のみを単離すること、すなわちバリアントの分離は
容易ではない。
【0015】単一なN末端を有するIL-8を得ようとした
場合、一つの方法として酵素による処理が考えられる。
77IL-8を72IL-8にプロセシング(変換)する酵素として
は、トロンビン(Hebert CA.et al.,J.Immunol.145 3033
頁 1990年)、プラスミン(Nakagawa H.et al., FEBS Let
t.282 412頁 1991年)が報告されている。またヒト好中
球をホモジネートして調製した溶解産物が77IL-8を72IL
-8に変換することも報告されている(Padrines M.et a
l.,FEBS Lett.352 231頁 1994年)。しかし医薬品組成物
としてIL-8を利用する場合には、トロンビン、もしくは
プラスミンなどの外来からの酵素の添加はなるべく避け
たい。同じ理由でヒト由来の好中球の溶解産物の添加も
適さない。
【0016】LPS刺激した単球は77IL-8と72IL-8の両
者を産生する事は前述した。この培養上清については、
10倍濃縮後37℃下12時間インキュベーションする
ことにより、72IL-8に変換することが報告されている
(Yoshimura T. dt al. Molecular Immunology 26 87頁
1989)。しかし、他の細胞種を用いたときに、この条
件で変換できるかについては明らかではない。
【0017】本発明では細胞が産生するN末端がヘテロ
であるIL-8を72アミノ酸型のIL-8に変換して得るこ
と、さらに、簡便なる方法により高純度のIL-8を得るこ
とが課題として挙げられる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この課題を
解決すべく高純度の72アミノ酸型IL-8の製造法を提供
することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の発
明により達成される。すなわち、本発明は真核細胞を培
養して得られるIL-8溶液を分画した後にpH処理(pH
3〜7)することを特徴とする高純度の72アミノ酸型
IL-8の簡便なる製造法である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明によって得られるIL-8は高
純度のN末端が単一な72アミノ酸型である。
【0021】IL-8溶液は真核細胞を培養することにより
得られる培養上清液を用いる。真核細胞としては動物細
胞、あるいは昆虫由来細胞のいずれを用いることが可能
である。動物細胞として、好ましくは線維芽細胞、上皮
細胞、白血球が用いられ、さらに好ましくは線維芽細胞
が用いられる。動物細胞の培養方法としては、IL-1、TN
Fなどのサイトカイン類、Con A、PHAなどのレクチン
類、LPS、あるいは合成核酸などの誘導刺激剤を用いる
のが望ましい。特に望ましくは、ヒト細胞の中でも線維
芽細胞を合成核酸で刺激したものが良い(特開平6-3195
82)。
【0022】また、真核細胞としてIL-8遺伝子を導入し
たチャイニーズ・ハムスター・オバリー(CHO)細胞、
マウスc127細胞あるいはベビー・ハムスター・キドニー
(BHK)細胞などの動物細胞(特開昭62-32896)、ある
いはカイコ由来のBM-N細胞、ヨトウガ由来のsf-9細胞な
どの昆虫由来細胞を用いることも可能である。
【0023】細胞が72アミノ酸型以外のIL-8を産生す
る場合72IL-8に変換する必要がある。これは細胞が副次
的に産生するタンパク質分解酵素を利用し切断すること
により成し遂げられる。真核細胞を培養して得られたIL
-8溶液は、IL-8及び変換に働くタンパク質分解酵素を吸
着する担体を用いて分画した後変換に用いる。吸着担体
としては、イオン交換体、ハイドロキシアパタイト、シ
リカ系吸着担体などが考えられるが、シリカ系吸着担体
が好んで用いられる。シリカ系吸着担体は二酸化ケイ素
(シリカ)、ケイ酸塩ガラスなどが用いられるが好まし
くは、担体自身を微小球状にしたマイクロビーズ状のシ
リカゲルを用いるのが良い。さらに粒子径としては、50
〜325メッシュのものが好ましく用いられる。例えば”
マイクロビーズシリカゲル”やCPG(Controlled pore gl
ass)等が用いられる。通常これらの担体にはポアが存在
するが、ポアサイズとしては25〜500オングストローム
のものが望ましい。
【0024】72IL-8を得るためには分画して得られたIL
-8溶液をpH処理する。pH処理はpH3〜7、好ましくは
pH4〜6で行う。pH処理は2〜40℃で行うことができ、3
7℃で行うことがより好ましい。pH処理に要する時間
は酵素活性、温度、pHに依存するが、通常、pH3〜7で
2〜40℃で2時間〜14日間インキュベーションするこ
とで満足する結果が得られる。より好ましくは、pH4〜6
で37℃で2時間〜7日間インキュベーションであるが、
これに限定されない。IL-8溶液はIL-8濃度が10μg/ml〜
2000μg/mlであるものが用いられるがこれに限定される
ものではない。
【0025】N末端の異なるIL-8の定量は、トリシンゲ
ルを用いたSDS-PAGEを行い、クマシーブリリアントブル
ー染色後、デンシトメータなどを用いてバンドの濃度を
測定する方法、N末端アミノ酸シークエンサーを用いて
アミノ酸含量を測定する方法がある。いずれの方法を用
いても本発明の製造方法により得られたIL-8は95%以
上の単一バンドとして検出される。
【0026】pH処理後の電気泳動による分析で、72IL
-8と分子量の異なるIL-8がわずかに検出される場合があ
るが、この場合には残存が示された分子量の異なるIL-8
をさらに低減化するために、陽イオン交換クロマトが有
効である。
【0027】わずかに77IL-8が含まれる場合には酸性で
陽イオン交換体に吸着し、吸着したIL-8が担体より溶出
されない濃度のNaClを含む酸性緩衝液で洗浄する。続い
て中性の緩衝液で洗浄してから、イオン強度を上昇させ
ることにより、IL-8を担体より溶出させる。IL-8を吸着
した担体を酸性緩衝液で洗浄することによりIL-8の溶出
順序は77IL-8、続いて72IL-8となり、72IL-8の精製が容
易になる。ここで用いる陽イオン交換体は、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、リン酸基を結合した担体を指し、
担体の骨格としてはセルロース、アガロース、デキスト
ランなどを材料とする多糖体、及びポリビニルアルコー
ル、スチレンジビニルベンゼン重合体などの合成高分子
系、などいずれでも良い。
【0028】このようにして得られたIL-8精製標品は、
通常十分に高純度として得られるが、必要に応じてさら
に純度を向上させるには、アルキル基(C1〜C18)などを
有する担体をカラムに充填した逆相系高速液体クロマト
グラフィーを用いることができたり、後段に陽イオン交
換体、シリカ系吸着担体精製法を組み合わせることがで
きる。これは、濃縮を目的とする事もできる。
【0029】目的に応じて脱塩を行いたい場合は、脱塩
カラムなどの使用も考えられる。
【0030】本発明で対象とするIL-8は、1次抗体とし
てヤギ抗IL-8ポリクローナル抗体、2次抗体としてペル
オキシダーゼ標識したマウス抗IL-8モノクローナル抗体
を組み合わせるサンドイッチ法による酵素免疫測定法に
より定量できる。
【0031】本発明の製造法は、高純度の72アミノ酸
型IL-8の簡便な製造法として有用である。また、スケー
ルアップが容易であることから、工業規模での生産も可
能な製造法である。
【0032】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。実施例中で用いている粗IL-8溶液という用語は、真
核細胞を培養して得られたIL-8を含有する培養上清液を
意味する。
【0033】実施例1 線維芽細胞によるIL-8の産生:20リットルのガラス製培
養槽を用いて16リットルの5%新生子牛血清を含むイー
グルMEM培地中で細胞数がおよそ105個/mlになるよ
うにヒト線維芽細胞を培養した[使用したマイクロキャ
リア:”サイトデックス1"(ファルマシア社)、37℃]。
その後、培地を0.1%カルボキシメチルセルロースを含
む無血清イーグルMEM培地16リットルに交換し、100国際
単位/mlのヒト天然型インターフェロンβを添加した。
翌日さらにポリI:ポリC 10mg/リットルを添加した。そ
の2時間後、産生培地としての1%メチルセルロースを含
むイーグルMEM培地に置換し、6日間さらに培養を続け
た。撹拌を停止してマイクロキャリアを沈降させた後、
上清を得た。この上清中には好中球遊走活性が存在して
おり、また、抗IL-8抗体を用いた酵素免疫測定法により
5μg/mlのIL-8の存在が確認されたので、粗IL-8溶液と
した。
【0034】実施例2 シリカクロマトグラフィーによるIL-8の精製:シリカ系
無機吸着担体としては、マイクロビーズシリカゲル(富
士デビソン製、ポアサイズ:100オングストローム)を1
00ml用いた。シリカ担体はあらかじめ、リン酸ナトリウ
ム緩衝液中で高圧蒸気滅菌(121℃、30分)した後、内
径26mmのガラスカラムに充填した。これに細胞片を除去
する目的でフィルター濾過しながら、粗IL-8溶液を流速
250ml/hrで流し、吸着させた。全量流した後、1MNaC
lを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液300mlで順次
洗浄を行ってから、20mMのHCl(pH2)を通じること
でIL-8を含む画分を回収した。回収されたIL-8画分は3
00mlで、IL-8量およびタンパク量はそれぞれ190
ug/ml、170ug/mlであった。直ちに0.5M
リン酸緩衝液pH7.0を30ml添加しpHを中性にし
た。そのときやや沈殿を生じた。
【0035】実施例3 シリカクロマトグラフィー回収液の変換処理1:中和し
たIL-8溶液200mlに約2mlの0.5NHClを添加
しpH6.0±0.1に調整した。37℃下で3日間インキュ
ベーションした後、0.5NNaOHによりpH7.0
に調整した。変換活性を調べるために変換処理した液を
100ulサンプリングし等量のサンプルバッファー
(8%SDS、24%グリセロール、0.1Mトリス緩
衝液pH6.8、0.6%ブロモフェノールブルー)を
添加し混合し、16%アクリルアミド、トリス/トリシ
ンゲルシステム(Schagger,H.Anal.Biochem.166 368頁
1987年)を用いて電気泳動した。泳動終了後クマシー・
ブリリアント・ブルーによりゲル中の蛋白質を染色し
た。継時的にサンプリングしたものを含めて電気泳動
し、pH処理により77IL-8から72IL-8に変換されること
を確認した(図1)。
【0036】実施例4 シリカクロマトグラフィー回収液の変換処理2:実施例
2で中和したIL-8溶液のpHは6.7であった。これをた
だちに4℃で2日間インキュベーション後、77IL-8から
72IL-8への変換を実施例3と同様に電気泳動により調べ
た。その結果、77IL-8はわずかとなり、それに対し72IL
-8が増加していることがわかった(図2)。
【0037】実施例5 IL-8の分子種分離:IL-8のN末端のタイプがなにである
かを正確に調べるために、シリカクロマトにより回収し
たIL-8溶液(実施例2)を逆相カラムを取り付けた高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製し
た。カラムにはプロテインC4(バイダック社)を用
い、0.1%TFAを含む水で平衡化した。IL-8を含むサ
ンプルをアプライ後、30分間で0.1%TFAを含むア
セトニトリル濃度を70%まで直線的に上昇させた。蛋
白質を検出するために210nmの吸光度を連続的にモ
ニターした。IL-8は保持時間約22分にピークとして検
出された。このピークを分取し、凍結乾燥機を用いて溶
媒を蒸発させた。水0.1mlで蛋白質を再溶解した。N
末端アミノ酸配列はプロテインシークエンサーG100
0A(ヒューレット・パッカード社)を用い、蛋白質の
分子量の分析には質量分析装置コンパクトマルディ(島
津)を用いた。シリカクロマト回収液中の77IL-8:72IL
-8は8:2だった。pH処理後は72IL-8のみが検出され
た。
【0038】実施例6 変換のpH依存性 中和したシリカクロマト回収液(実施例2)を下記の液
を用いてpHを2から8まで調整し、変換活性を調べた。 pH2:20mM塩酸 pH3:20mMクエン酸緩衝液pH3 pH4:50mM酢酸緩衝液pH4 pH5:50mM酢酸緩衝液pH5 pH6:20mMリン酸緩衝液pH6 pH7:20mMリン酸緩衝液pH7 pH8:20mMリン酸緩衝液pH8 pHの微妙な調整には0.5NHClもしくは0.5NNaO
Hを用いた。37℃下で1時間、および4日間37℃イ
ンキュベーション後、変換活性を電気泳動により調べた
(図3)。インキュベーション1時間ではpH5で変換
が早く進み、pH4および6でも弱いながら変換が観察
された。pH2、3、7、8では72IL-8への変換は観察
されなかった。インキュベーション4日間ではpH6で
は完全に72IL-8に変換された。pH4、5では72IL-8の
バンドは薄くなりその下に新たなバンドが検出された。
おそらく72IL-8より更に消化されて短くなった69型IL
-8と考えられた。
【0039】実施例7 陽イオン交換クロマトグラフィーによる72IL-8の精製:
中和したシリカクロマト回収液(実施例2)をpH6.
0処理した後、その77mlをソース15Sカラム
(1.1x11cm、ファルマシア社)を用いたクロマ
トグラフィーを行った。
【0040】酢酸でpHを4に調整した変換処理済みサ
ンプルを50mM酢酸緩衝液pH4に平衡化しカラムに
アプライし、平衡化液、0.5MNaClを含む50mM
酢酸緩衝液pH4、平衡化液、20mMリン酸緩衝液p
H7、0.1MNaClを含む20mMリン酸緩衝液p
H7それぞれ100mlでカラムを洗浄した。その後
0.1MNaClを含む20mMリン酸緩衝液pH7か
らNaCl濃度を0.25MNaClに200分間でリ
ニアグラジエントで上昇させた。流速は3ml/分とし
て行った。得られたピークを9つのフラクションに分け
て回収した(図4)。回収画分中のIL-8の分子種を電気
泳動により分析した(図5)。1、2番目のフラクショ
ンは72IL-8の他に77IL-8が含まれていた。3番目以降の
フラクションには72IL-8のみが検出され、77IL-8は検出
されなかった。3番目以降を72IL-8フラクションとして
回収した。逆相−HPLCでの純度は99%であった。
IL-8濃度は120ug/mlであった。
【0041】実施例8 IL-8の濃縮:ソース15Sカラムクロマトグラフィーに
より得られた72IL-8を濃縮するため、再度陽イオン交換
クロマトを行った。
【0042】ソース15Sクロマトで得られた72アミ
ノ酸型IL-8を水で4倍に希釈し、20mMリン酸緩衝液
pH7で平衡化したリソースSカラム(ベッドボリュー
ム1ml、ファルマシア社)にアプライした。平衡化液
10mlで洗浄後、10mlの0.1MNaClを含む2
0mMリン酸緩衝液pH7で洗浄し、0.5MNaClを
含む20mMリン酸緩衝液pH7でIL-8の溶出を行っ
た。回収したIL-8の濃度は1.5mg/mlであった。
【0043】実施例9 線維芽細胞培養上清液中での77IL-8の72IL-8への変換 粗IL-8溶液として線維芽細胞培養上清液(実施例1)を
用い、これを限外ろ過膜で10倍に濃縮した。限外ろ過
膜としては、クラボウ社製のセントリカットU-10を用い
た。濃縮液200uLに77IL-8を7ug添加し、pH7.3、pH7.0、
pH6.0に調整後37℃下1日間(d1)インキュベーション
したが、72IL-8への変換を観察する事はできなかった
(図6)。ここで調製した濃縮液はpH7.5以上であった
ので、次に、培養上清液(粗IL-8溶液)をリン酸緩衝液
pH7.2を終濃度50mMになるように加えてpH7.2に調整後、
セントリカットU-10を用いて10倍に濃縮した。濃縮液に
77IL-8を添加して、pH7.2およびpH6.0にて変換を試み
た。しかしながら、72IL-8への変換は観察されなかった
(図7)。さらに粗IL-8溶液を、pH6に調整後濃縮し、
変換を試みたが、変換活性を検出することはできなかっ
た(図7)。
【0044】同一ロットの培養上清液(粗IL-8溶液)を
用いて、液量として培養液の1/10になるようにシリカク
ロマト回収液(実施例2)を調製した。続いてpH6下で3
7℃1日間インキュベーションする事により、72IL-8へ
の変換を観察することができた。図8にインキュベーシ
ョン前(d0)とインキュベーション1日後(d1)のサン
プルを分析した結果を示した。
【0045】これらの結果から、線維芽細胞より得た粗
IL-8溶液の濃縮物は、77IL-8から72IL-8への変換活性を
有しておらず、変換にはpH処理前のシリカクロマトに
よる分画が必要であることがわかった。
【0046】実施例10 変換処理における温度と時間の関係 シリカクロマト回収液(実施例2)をpH6.0に調整後、
その300uLに30ugの77IL-8を添加した。37℃もしくは4℃
でインキュベーションを行い、経時的にサンプリング
し、実施例3と同様に電気泳動をおこなった。その結
果、37℃では14.5時間でほぼ完全に72IL-8に変換した
が、4℃では7日間のインキュベーションでもわずかに77
IL-8が検出された(図9)。これらの結果より、72IL-8
への変換には、変換活性の強度に応じて37℃でのインキ
ュベーションが必要であることが示唆された。
【0047】
【発明の効果】本発明により72アミノ酸型IL-8の高純
度品を得ることが可能になった。また、本発明の製造法
はスケールアップが容易であり、工業規模での生産も可
能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリカクロマト回収液をpH6.0に調整し、37℃
3日間インキュベーションした時の77IL-8が72IL-8に変
換する様子を表す。
【図2】シリカクロマト回収液(pH6.7)をただちに4
℃で2日間インキュベーションした時の77IL-8が72IL-8
に変換する様子を表す。
【図3】シリカクロマト回収液をpH2.0から8.0まで調整
し、37℃で1日および4日間インキュベーションした時
の77IL-8の72IL-8への変換の様子を表す。
【図4】シリカクロマト回収液をpH6.0処理した後、陽
イオン交換クロマトグラフィーによるIL-8の分離を示し
ている。
【図5】図4の陽イオン交換クロマトのIL-8回収画分の
77IL-8と72IL-8の含有を示している。
【図6】粗IL-8溶液の濃縮液に変換活性が検出されない
ことを示している。
【図7】粗IL-8溶液をpH7.2に調整後濃縮した液、pH6に
調整後濃縮した液に、変換活性が検出されないことを示
している。
【図8】粗IL-8溶液のシリカクロマト回収液をpH6で処
理することにより、77IL-8が72IL-8に変換されたことを
示している。
【図9】シリカクロマト回収液中の77IL-8の72IL-8への
変換を37℃、4℃行った時の様子を示している。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真核細胞を培養して得られるインターロイ
    キン−8溶液を分画した後に、pH処理(pH3〜7)
    することを特徴とする72アミノ酸型インターロイキン
    −8の製造法。
  2. 【請求項2】真核細胞が動物細胞あるいは昆虫由来細胞
    である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】分画の方法がシリカ系吸着担体を用いたク
    ロマトグラフィーである請求項1または2記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】pH処理をpH4〜6の範囲内ですること
    を特徴とする請求項1ないし3記載の製造法。
  5. 【請求項5】pH処理を2〜40℃で2時間〜14日間
    行うことを特徴とする請求項1ないし4記載の製造法。
  6. 【請求項6】pH処理後に陽イオン交換体を用いたクロ
    マトグラフィーを行うことを特徴とする請求項1ないし
    5記載の製造法。
JP34180398A 1997-12-01 1998-12-01 インターロイキン−8の製造法 Pending JPH11221094A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008533464A (ja) * 2005-03-07 2008-08-21 ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ 滅菌法

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