JPH11218175A - 減衰力発生装置 - Google Patents

減衰力発生装置

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JPH11218175A
JPH11218175A JP2004598A JP2004598A JPH11218175A JP H11218175 A JPH11218175 A JP H11218175A JP 2004598 A JP2004598 A JP 2004598A JP 2004598 A JP2004598 A JP 2004598A JP H11218175 A JPH11218175 A JP H11218175A
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JP
Japan
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damping force
working fluid
force generator
cylinder
weight
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JP2004598A
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English (en)
Inventor
Junichi Ikeda
純一 池田
Yoshihiro Gofuku
義博 呉服
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Tokico Ltd
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Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化、軽量化することができる減衰力発生
装置を提供する。 【解決手段】 ロッド2と、このロッド2に設けられた
ピストン3と、このピストン3が摺動するシリンダ4
と、このシリンダ4内に封入された作動流体を備えた減
衰力発生装置1において、前記作動流体は、グリセリ
ン、アルキレングリコール、あるいはこれらの化合物か
ら選ばれる1種以上をモノマーとする重合物を、30重
量%以上含むことを特徴とする減衰力発生装置を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築用ダンパ、車両
用ダンパ、自動車用緩衝器として有用な、作動流体を用
いた減衰力発生装置に関し、特に小型化、軽量化するこ
とができる減衰力発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、減衰力発生装置の構成の一例を
示すものであって、この減衰力発生装置1は、ロッド
2、ピストン3、シリンダ4、作動流体だめ5から概略
構成されている。前記ロッド2にはピストン3が取り付
けられ、ロッド2とピストン3とが連動して、シリンダ
4内を摺動するようになっている。このピストン3には
バルブA6が設けられており、バルブA6によって発生
減衰力を調整できるようになっている。シリンダ4と作
動流体だめ5は、バルブB7を介して連通しており、こ
のシリンダ4と作動流体だめ5には、作動流体が封入さ
れている。シリンダ4と作動流体だめ5との間に設けら
れたバルブB7は、オリフィスと逆止弁を備え、シリン
ダ4が負圧になるのを防止するとともに、シリンダ4内
の作動流体が熱膨張して体積が増加する分の作動流体
と、作動中に発生する気泡を作動流体だめ5内に逃がす
ように動作する。
【0003】このような減衰力発生装置1は、建築物、
車両、自動車などの物体の振動がロッド2に伝わるよう
に設置される。前記物体が振動すると、ロッド2とピス
トン3がシリンダ4内を摺動し、このシリンダ4内に封
入された作動流体の作用によってこの振動が吸収され、
減衰させられる。しかしながら、従来の減衰力発生装置
1は、大型で重いという問題があった。このため人力で
運ぶことができず、取り付け時の作業が大がかりにな
り、操作性が低かった。また、大きな設置スペースが必
要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記事情に鑑
みてなされたもので、小型化、軽量化することができる
減衰力発生装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
ロッドと、このロッドに設けられたピストンと、このピ
ストンが摺動するシリンダと、このシリンダ内に封入さ
れた作動流体を備えた減衰力発生装置において、前記作
動流体は、グリセリン、アルキレングリコール、あるい
はこれらの化合物から選ばれる1種以上をモノマーとす
る重合物を、30重量%以上含むことを特徴とする減衰
力発生装置である。第2の発明は、前記作動流体は、グ
リセリン、アルキレングリコールから選ばれる1種以上
をモノマーとする重合物を30重量%以上含み、かつ酸
化防止剤を含むことを特徴とする第1の発明の減衰力発
生装置である。
【0006】上述の減衰力発生装置においては、以下の
様な効果を得ることができる。すなわち、第1の発明に
おいて用いられる作動流体は、体積弾性係数が非常に大
きく、また、空気の溶解度が小さいため、作動中のみか
けの体積弾性係数の低下を小さくすることができる。こ
の結果、作動流体の体積を小さくして、減衰力発生装置
の大幅な小型化、軽量化を図ることができる。また、第
2の発明においては、酸化防止剤の添加によって、重合
物が有するエーテル結合の切断によって発生する性能劣
化を防ぐことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】従来、減衰力発生装置の作動流体
としては、鉱油を基材とし、これに粘度指数向上剤、潤
滑剤、消泡剤などの各種添加剤を添加したものが用いら
れている。従来の鉱油を用いた減衰力発生装置において
は、減衰させるエネルギー量を大きくして必要な特性を
確保するためには、ピストン面積を増して、作動流体の
体積を大きくする必要がある。以下図1、2を参照しな
がら、モデルと数式を用いて説明する。図2は、図1に
示す減衰力発生装置1を解析するための、マクスウェル
モデルとよばれるモデルであって、図中符号8はダッシ
ュポット、9はバネである。このバネ9に、X=A*s
in(ωt)で示される強制変位Xを加えると、減衰力
(発生減衰力)Fが発生する。伝達関数F/Xは、以下
の式(1)のように表される。
【0008】
【数1】
【0009】式(1)中、Cはダッシュポット8の等価
減衰係数、Kは等価バネ定数、sはラプラス演算子、C
sは理想ダンパ特性を示す。ここで、等価バネ定数K
は、以下の(A)〜(D)の4項目の剛性を直列に接続
したものである。 (A)作動流体の体積弾性係数 (B)液圧によるシリンダ4の内径の増加量および、フ
ランジのたわみによるシリンダ4の体積の増加量 (C)ロッド2の変形量 (D)減衰力発生装置1を取り付けた部位の剛性
【0010】前記式(1)より、理想ダンパ特性Cs
に、バネ9の影響として、時定数τ=C/Kの一次遅れ
が加わるということがわかる。前記式(1)に、s=j
ω(jは√(−1)を示している。)を代入して書き換
えると、発生させることができる減衰力Fは、以下の式
(2)で表すことができる。
【0011】
【数2】
【0012】強制変位Xが加えられる1周期の間に、ダ
ッシュポット8において吸収、減衰させられるエネルギ
ーをEとする。このエネルギーEは、等価バネ定数Kが
無限大で、理想特性のときのエネルギーをE0とする
と、以下の式(3)にように表される。
【0013】
【数3】
【0014】式(3)より、このエネルギーEは、減衰
力Fの振幅低下と位相遅れによって低下し、K=Cωの
場合には、前記E0に対して1/2になってしまうこと
がわかる。すなわち、前記式(3)より、等価バネ係数
Kができるだけ大きい方が、エネルギーEが大きくな
り、好ましいことがわかる。
【0015】上述のように等価バネ係数Kを構成する第
1の項目は、(A)作動流体の体積弾性係数である。し
たがって、体積弾性係数ができるだけ大きい作動流体を
選択すると好ましい。しかし、従来の減衰力発生装置1
に用いられている鉱油は、体積弾性係数が1.3〜1.
5GPaであり、小さい。また、減衰力発生装置1の作
動中にロッド2とピストン3がシリンダ4を摺動するこ
とによって、作動流体中に溶解していた空気が、静圧の
低下にともなって気泡を発生し、作動流体のみかけの体
積弾性係数を低下させることが知られている。したがっ
て作動流体は、空気の溶解度ができるだけ小さいものが
好ましい。しかし、鉱油に対する空気の溶解度は、7〜
9容量%(1気圧の場合)と大きい。
【0016】等価バネ係数を構成する前記(B)〜
(D)の3項目は、減衰力発生装置1の機構に関わる部
位の剛性に係るものであって、できるだけ、これらの部
位の剛性を向上させることが有効であることを示してい
る。
【0017】本発明においては上述の解析を基に、従来
の減衰力発生装置において、最も等価バネ係数Kを低下
させる原因となっている前記(A)作動流体の体積弾性
係数を向上させることができる、作動流体として好まし
い特性を有するものについて検討を行った。この結果、
本発明者らは、グリセリン、アルキレングリコールが好
適であることを見いだした。アルキレングリコールとし
ては、エチレングリコール、プロピレングリコールが好
適である。グリセリン、エチレングリコール、プロピレ
ングリコールは、それぞれ下記一般式(a),(b),
(c)で示される。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】また、グリセリン、アルキレングリコール
から選ばれる1種以上をモノマーとして、重合して得ら
れる重合物も好適である。この重合物は、ホモポリマー
であってもよいし、コポリマーであってもよい。ホモポ
リマーとしては、ポリグリセリン、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコールなどが好適である。
【0022】これらの化合物と重合物は単独で用いるこ
とのできるし、2種以上の混合物として用いることもで
きる。また、これらの化合物および/または重合物は、
一般に市販されているものを用いることができる。例え
ばエチレングリコールとして市販されているものには、
OH基を二つ有するジオールの他に、OH基をひとつ有
するモノオールが含まれている場合が多く、ブレーキフ
ルードの基材、不凍液などに用いられている。また、プ
ロピレングリコールとして市販されているものにも、O
H基を二つ有するジオールの他に、OH基をひとつ有す
るモノオールが含まれている場合が多く、特定のブレー
キフルードなどに用いられている。
【0023】これらの化合物および/または重合物は、
潤滑性を有し、さらに鉱油と比較して体積弾性係数が非
常に大きく、空気の溶解度が小さい特性を有している。
表1は、各種液体の体積弾性係数を示すものである。表
1にされているスピンドル油が、従来用いられている鉱
油である。
【0024】
【表1】
【0025】表1より、グリセリンの体積弾性係数は
4.5GPaである。これは鉱油の体積弾性係数の約3
倍にあたる。このため体積弾性係数の値のみを比較する
と、減衰力発生装置1において、理論的には鉱油を用い
た場合の1/3の作動流体の使用体積で、同様の性能が
得られることになる。また、グリセリンの空気の溶解度
は2〜3重量%であって、鉱油の空気の溶解度の約1/
3である。したがって、鉱油よりも作動中の気泡の発生
による作動流体のみかけの体積弾性係数の低下を小さく
することができる。この結果、減衰力発生装置1におけ
る作動流体の体積を大幅に小さくすることができ、減衰
力発生装置1の小型化、軽量化を図ることができる。ア
ルキレングリコールも、鉱油よりも体積弾性係数が大き
く、空気の溶解度が小さいので、減衰力発生装置1の小
型化、軽量化を図ることができる。特にエチレングリコ
ール、プロピレングリコールの体積弾性係数と空気の溶
解度は、グリセリンと同程度であり、効果が高く、好適
である。さらに、これらの化合物および/または重合物
を用いると、シリンダ4内に錆が発生しにくいという効
果も得られ、減衰力発生装置1の耐久性を向上させるこ
とができる。減衰力発生装置1は一度設置してしまう
と、その内部の点検が困難な場合があるので、錆の発生
を抑制できることは大きな効果である。
【0026】前記重合物は、モノマーよりも体積弾性係
数が大きく、さらに効果を向上させることができる。し
かし、平均分子量が大きくなりすぎると粘度が高くなり
すぎるため、不都合である。作動流体としての好適な粘
度は5〜50cStである。重合物の平均分子量と粘度
との関係は、モノマーの種類などによって異なるので、
前記粘度の好適な数値範囲を満足するように、重合物の
平均分子量を適宜調整する。これらの化合物および/ま
たは重合物の中では、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールが最も潤滑性に優れ、また吸湿性が低
いため好適である。
【0027】作動流体中の、前記化合物および/または
重合物の量は、30重量%〜100重量%とされる。3
0重量%未満であると、作動流体の体積を小さくする効
果が十分に得られない場合がある。また、作動流体には
これら必須の化合物および/または重合物の他に、鉱
油、リン酸エステルなどの潤滑性を有する液体を混合し
て用いることができる。また、作動流体には潤滑剤(極
圧添加材)、酸化防止剤、粘度指数向上剤、消泡剤、防
錆剤などの公知の添加物を添加することができる。特に
重合物はエーテル結合を有し、このエーテル結合が切れ
ると、揮発性の低分子量の化合物が発生し、作動流体の
みかけの体積弾性係数の低下などの性能劣化を生じるこ
とがある。このエーテル結合の切断を防止するには、酸
化防止剤の添加が有効である。酸化防止剤は、作動流体
中に0.5〜2.0重量%程度添加される。酸化防止剤
としては公知のものを用いることができ、例えばフェノ
ール系抗酸化剤、イオウ系抗酸化剤などを例示すること
ができる。
【0028】図3は、本発明の一実施例と、鉱油を用い
た従来品と、理想特性に関するそれぞれの減衰力曲線を
示すグラフである。横軸はロッド2およびピストン3の
変位、縦軸は発生減衰力(減衰力F)であり、どちらも
理想特性の最大値を1として相対値として表示してい
る。等価バネ定数Kが無限大の理想特性と、本発明の一
実施例と従来品を比較すると、明らかに従来品は、発生
減衰力の低下と位相遅れが大きく、本発明の実施例は、
理想特性に近いグラフとなっており、発生減衰力の低下
と位相遅れが大幅に改善されていることが明らかであ
る。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明におい
ては、グリセリン、アルキレングリコール、あるいはこ
れらの化合物から選ばれる1種以上をモノマーとする重
合物を、30重量%以上含む作動流体を用いたので、以
下のような効果が得られる。すなわち、これらの化合物
は鉱油と比較して、体積弾性係数が非常に大きい。ま
た、鉱油と比較して空気の溶解度が小さいため、作動中
のみかけの体積弾性係数の低下を小さくすることができ
る。この結果、作動流体の体積を小さくして、減衰力発
生装置の大幅な小型化、軽量化を図ることができる。さ
らに、シリンダ内に錆が発生しにくいという効果も得ら
れ、減衰力発生装置の耐久性を向上させることができ
る。また、第2の発明において、グリセリン、アルキレ
ングリコールから選ばれる1種以上をモノマーとする重
合物を30重量%以上含み、かつ酸化防止剤を含む作動
流体を用いたので、酸化防止剤の添加によって、前記重
合物が有するエーテル結合の切断によって発生する性能
劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 減衰力発生装置の構成の一例を示す一部側断
面図である。
【図2】 減衰力発生装置を解析するための、マクスウ
ェルモデルの構成図である。
【図3】 本発明の減衰力発生装置と従来の減衰力発生
装置の減衰力曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1…減衰力発生装置、2…ロッド、3…ピストン、4…
シリンダ、5…作動流体だめ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロッドと、このロッドに設けられたピス
    トンと、このピストンが摺動するシリンダと、このシリ
    ンダ内に封入された作動流体を備えた減衰力発生装置に
    おいて、 前記作動流体は、グリセリン、アルキレングリコール、
    あるいはこれらの化合物から選ばれる1種以上をモノマ
    ーとする重合物を、30重量%以上含むことを特徴とす
    る減衰力発生装置。
  2. 【請求項2】 前記作動流体は、グリセリン、アルキレ
    ングリコールから選ばれる1種以上をモノマーとする重
    合物を30重量%以上含み、かつ酸化防止剤を含むこと
    を特徴とする請求項1記載の減衰力発生装置。
JP2004598A 1998-01-30 1998-01-30 減衰力発生装置 Pending JPH11218175A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009036257A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Kayaba Ind Co Ltd 緩衝器

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