JPH11216387A - 粉塵含有排ガスの処理方法 - Google Patents

粉塵含有排ガスの処理方法

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JPH11216387A
JPH11216387A JP1861498A JP1861498A JPH11216387A JP H11216387 A JPH11216387 A JP H11216387A JP 1861498 A JP1861498 A JP 1861498A JP 1861498 A JP1861498 A JP 1861498A JP H11216387 A JPH11216387 A JP H11216387A
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dust
exhaust gas
gas
wet
water
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JP1861498A
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English (en)
Inventor
Hideo Sugiyama
秀雄 杉山
Yoshiyuki Ichimaru
義行 市丸
Hiroyuki Nagasaki
裕之 長崎
Yasushi Abe
康 阿部
Mitsuya Tsukada
允哉 塚田
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Seikow Chemical Engr and Machinery Ltd
Original Assignee
Seikow Chemical Engr and Machinery Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバー製造工程の排ガスのように、粉
塵及び水溶性ガスを含む排ガスを湿式電気集塵機で処理
する場合において、処理効率の向上し維持費用の低減す
ること。 【解決手段】排ガスをダクト(2)内での粉塵の堆積を抑
制し得るダクト内速度で吸引し、バグフィルター(20)と
スプレー塔(18)で前処理して湿式電気集塵機(4)で除塵
し、更に湿式スクラバー(5)でNa2SO3を含有する弱ア
ルカリ水溶液で水溶性ガスを吸収除去する最終処理を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバー製造
工程等から排出される、粉塵及び水溶性ガスを含む排ガ
スの、湿式電気集塵機を用いた処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバーは、炉内で種母材に高温で
SiCl4及びドーピング剤として微量のGeCl4を吹き付け、
酸水素炎高温分解による加水分解生成物SiO2、GeO2を堆
積させ、光ファイバー母材を形成した後、焼結、延伸、
線引き等を経て製造される。この製造工程からの排ガス
として、主にSiO2からなる上記生成物の約50%が粉塵と
して排出され、同時に分解生成物であるHCl、Cl2が排出
される。
【0003】この排ガスは、従来、湿式スクラバーによ
り除塵及びガス吸収処理されていたが、光ファイバー形
成母材が大型化するにつれて、SiO2 やHCl、Cl2 等のガ
スが高濃度に排出されるようになり、より高度の処理が
要求されるようになってきた。
【0004】高度の除塵には電気集塵機が最も効果的で
あり、集塵板に捕集された粉塵の最飛散がなく高い集塵
効率が得られる点から、上記の排ガス処理には湿式電気
集塵機(WEP)が使用され、集塵電極には耐食性の高電導
性樹脂板が用いられている。
【0005】湿式電気集塵機への高温排ガスの流入は捕
集効率を低下させるため好ましくなく(図4参照)、放
電極は金属を使用するため高濃度HClガスとの接触を避
ける必要がある。また濃度負荷、すなわち排ガス中の粉
塵が高濃度であるほど、集塵極板へ粉塵が局部的に堆積
し、極間距離が狭まり、荷電圧が低下し、スパーク頻度
が高くなり、更に荷電圧の低下、集塵率低下の現象が生
じやすくなる。
【0006】従って、排ガスをジェットスクラバーなど
で前処理して、ある程度の除塵とガス冷却をして湿式電
気集塵機に供給し、除塵処理されたガスを更に湿式スク
ラバー(充填塔や多孔板塔)で最終処理してガス中のHC
l、Cl2を除去している。
【0007】光ファイバー製造工程の排ガス処理に湿式
電気集塵機を用いた従来の処理方法を図2に示す。
【0008】排ガス中の各物質の濃度は、炉の稼働状態
により変動があるが、粒径1〜2μmの微細なSiO2 粉塵50
0〜3000mg/m3、HCl 300〜2500ppm、Cl2 1〜20ppm程度で
あり、排ガス温度は50〜80℃程度である。
【0009】炉1からダクト2を通して排出される上記
組成の排ガスを、まず水洗浄方式のジェットスクラバー
3で予備除塵とある程度のガス吸収ガス冷却をした後、
湿式電気集塵機4で高度に除塵し、除塵されたガス中の
HCl、Cl2を湿式スクラバー5でNaOH等のアルカリ水溶液
により吸収除去し、処理ガスをファン6で大気中に放出
する。
【0010】ジェットスクラバー3、湿式電気集塵機
4、及び湿式スクラバー5には、それぞれ内部に洗浄水
が循環させるための水槽7、8、9が設けられており、
洗浄水中の粉塵濃度や吸収成分の濃度が高くなると、水
槽7、8、9から洗浄水一部を中間受入れタンク10に抜
き出し、中和槽11で中和した後、第1凝集槽12で無機凝
集剤を、第2凝集槽13で高分子凝集剤を添加し、沈降分
離槽14で固形物を濃縮液として分離し、更にフィルター
15を通した水を洗浄水として水槽7、8に返送し、水槽
9には工業用水16を補充している。沈降分離槽14で分離
された濃縮液17は、脱水、乾燥した後、処分または有効
利用される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の排ガス
処理方法には以下のような問題点がある。
【0012】1)ジェットスクラバー3の出口で排ガス
が40〜45℃に冷却され、湿式電気集塵機4の温度負荷が
低減され、集塵率向上に寄与する。また粉塵55%、HCl 8
5%、Cl2 21%が除去されるため湿式電気集塵機に対する
前処理の効果は大きい。
【0013】しかし、ジェットスクラバー3は、高速で
噴射される洗浄水によって排ガスを吸引し排ガス中の粉
塵を捕捉する構造であるため、1基当たりの処理風量が
限られる。従って排ガスが大風量になるとジェットスク
ラバーを多数並列して処理する必要となり、広い設置ス
ペースと動力費を要する。
【0014】2)水槽7、8内の洗浄水の粉塵濃度が高
くなると、洗浄水の一部を中間槽10に抜き出して、中
和、凝集、沈降分離の各操作がなされ、フィルターによ
り濾過された回収液が洗浄水として再利用される。しか
し、排ガス中の粉塵のほぼ全部が洗浄液に移行するた
め、水槽7、8からの洗浄水の抜き出しが高頻度とな
り、処理すべき廃水の量が多くなる。従って、凝集剤量
も嵩み、また液再生のフィルター交換頻度も高くなるた
め、廃水処理に係る費用も相当なものとなる。
【0015】また、粉塵を回収して処分するにしても有
効利用するにしても、沈降分離した濃縮液の脱水、乾燥
工程が必要となり、粉塵を有効利用するためには、凝集
剤の添加に伴って生じる金属水酸化物や高分子物が混入
することも問題となる。
【0016】3)排ガスの排出源から処理装置に至る排
出ダクトの内壁において、高濃度粉塵の慣性衝突、静電
気凝集付着、排ガス中の水分の凝縮による粉塵の付着促
進、などによって管路が狭まり、排ガス速度が低下し、
速度低下により粉塵が更に堆積する悪循環が生じるとと
もに、その抵抗により静圧損失が上昇していき、排ガス
を吸引するファンの吸引力はダンパーやインバーターな
どで調整可能であるが、さらにダクト内での粉塵の堆積
が増加するとファンの吸引能力をオーバーして、排ガス
吸引不足となり、光ファイバーの母材形成時に堆積むら
を生じる悪影響や、作業環境汚染をもたらしたりする。
従って、炉を停止するごとに、ダクトを振動させたり、
圧縮空気を吹き付けるなどして、付着した粉塵を剥離回
収して頻繁にダクト内を清掃する必要がある。
【0017】4)湿式スクラバーでは、HClはpH9程度で
も95%除去される(図6参照)が、Cl2はpH13以上にしな
いと充分な除去は得られない(図7参照)。しかし循環
液をpH13以上にすると空気中の炭酸ガスによってpH値の
低下が促進され、多量のNaOHを必要とし、またpH制御す
る電極も高アルカリのため劣化が速く、維持管理にも問
題がある。また、大気環境保全の点から、HCl、Cl2の除
去効率を更に高める必要がある。
【0018】本発明の課題は、以上の問題を解決した排
ガス処理方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の課題は本発明の方
法によって解決することができる。即ち、本発明の排ガ
ス処理方法は、請求項1に記載のとおり、粉塵及び水溶
性ガスを含む排ガスを、粉塵の堆積抑制可能なダクト風
速で導き、バグフィルター及びスプレー塔で前処理して
湿式電気集塵機に供給し、湿式電気集塵機の処理ガスを
湿式スクラバーで最終処理することを特徴としている。
【0020】処理対象となる排ガスは、請求項2に記載
のとおり、光ファイバー製造工程から排出される排ガス
であり、粉塵がSiO2 であり、水溶性ガスがHCl、Cl2
スである。
【0021】光ファイバ製造工程の排ガス処理では、Si
O2 粉塵の、慣性衝突、静電気凝集、吸湿などの作用が
あって排気ダクト内に堆積しやすいため、排出ダクト内
のガス速度を、粉塵の堆積が抑制できる速度とすること
が重要である。
【0022】長期間安定した排気を行うため、排気ダク
ト風速とブロワーの吸引限界を、炉排気直後の空気取り
入れ口を調整したりダクト径を変えたりしながら検討し
た結果、16m/s以上、好ましくは17.5m/s以上のダクト風
速に調整すれば粉塵の堆積を大幅に抑制できることがわ
かった(図3参照)。
【0023】この排ガスを、まずバグフィルターに通す
ことにより、粉塵の90%以上が回収され、従って、洗浄
水に移行する粉塵が従来の方法に比べて1/10以下とな
る。従って、廃水処理に係る維持管理費を大幅に低減す
ることができる。また、粉塵が乾燥状態で回収されるた
め粉塵の有効利用が容易となる。
【0024】バグフィルターで除塵されたガスを、次に
スプレー塔で処理する。スプレー塔は構造が簡単で充填
物を使用しないため粉塵捕捉による圧損の増加がなく、
排ガス風量が増加しても1塔で処理できるため、ジェッ
トスクラバーに比べて設置スペースで35%、動力費で55%
と大幅に節減できる(表1参照)。
【0025】スプレー塔では、ガス温度35〜40℃、粉塵
50%、HCl 92%、Cl2 32%が除去され、湿式電気集塵機へ
の前処理効果はジェットスクラバーより若干優る程度で
あるが、増湿効率がジェットスクラバーの49%に対して8
0%と大幅に向上する。
【0026】スプレー塔については、請求項3に記載の
とおり、ネットスプレー塔であることが望ましい。ネッ
トスプレー塔は、ネットとスプレーを1対としたスプレ
ー段を、塔内に1段または多段に設けたもので、気液接
触効率が向上するため、ガス温度を30〜35℃と更に低下
させることができ、湿式電気集塵機の集塵率がより向上
して、粉塵87%、HCl 95%、Cl2 45%となり、特に増湿効
率が92%と非常に良くなる。ネットスプレー塔では、ネ
ットの網目に水膜が展張し、遮り効果から粉塵捕集に効
果的であり、かつ高い増湿効果をもたらすことによるも
ので、湿式電気集塵機の前処理塔として最も好ましい
(表2参照)。
【0027】なお、バグフィルターで除塵された排ガス
中に残存する粉塵はスプレー塔での捕集限界以下の微粒
子であるが、ガスの増湿性が良好であるため、粉塵粒子
表面に水膜が形成されやすく、湿式電気集塵機内で表面
伝導による電気抵抗値が低下し、集塵されやすくなる作
用がある。また、HClガスが吸湿することによりミスト
化され、このHClミストにCl2や微粒子が吸着し、これが
あたかも大径の粒子のような挙動をとるため、湿式電気
集塵機で捕捉可能となる作用もあり、スプレー塔の前処
理塔としての機能は非常に効果的である。
【0028】湿式電気集塵機では、一般に荷電圧が高い
ほど高集塵率が得られるが、上記の前処理を経たガス中
の高湿低濃度粉塵に対しては、低い荷電圧でも高集塵率
が可能であることがわかった(表4参照)。
【0029】なお、バグフィルターに流入する排ガスが
高湿度であると、水分の凝縮やSiO2の吸湿ゲル化によ
り、フィルターに付着した粉塵が振動やエア噴射では剥
離しなくなって閉塞することがあるため、排ガスの相対
湿度が98%を超える場合は、熱風を取り入れたり吸湿材
を設置するなどして、バッグフィルターに流入する排ガ
スの相対湿度を低下させる配慮が必要となる。
【0030】湿式電気集塵機の後処理としては、請求項
4に記載のとおり、湿式スクラバーの洗浄液にNa2SO3
添加した弱アルカリ水溶液を使用している。
【0031】この湿式スクラバーでは、HClはpH9程度で
も95%除去される(図6参照)が、Cl2はpH13以上にしな
いと充分な除去は得られない(図7参照)。しかし、循
環液をpH13以上に維持すると空気中の炭酸ガスによって
pH値の低下が促進され、多量のNaOHを必要とし、またpH
制御する電極も高アルカリのため劣化が速く、維持管理
にも問題があったが、洗浄液にNa2SO3を添加してCl2
酸化分解すれば、洗浄液がpH9〜10程度の弱アルカリ性
であってもCl2の除去効率95%が容易に達成され、炭酸ガ
スの吸収もほとんどなく、電極の劣化もなくなり、電極
の維持管理が容易になる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の排ガス処理方法を
図1に基づいて説明する。なお、図1では図2と共通の
装置には同一符号を使用している。
【0033】本発明の処理方法では、ダクト内風速を16
m/s以上に速めた結果、ダクト2内の粉塵の堆積は大幅
に抑制されている。そして、湿式電気集塵機4の前処理
にバグフィルター20とスプレー塔21を使用すため、排ガ
ス中の粉塵の90%以上がバグフィルター20に捕捉され、
捕捉された粉塵は受け槽22に貯留される。
【0034】バグフィルター20を通ったガス中の残存粉
塵は、スプレー塔21の捕捉限界以下の微粒子であるが、
前記の増湿効果により、HClガスが吸湿してミスト化さ
れ、このミストに微細粉塵やCl2が吸着して、あたかも
大径粒子のような挙動をとるため、スプレー塔21は、湿
式電気集塵機4でガス状物質も捕捉可能とする著しい前
処理効果を呈する。
【0035】スプレー塔21では、ガス温度35〜40℃、粉
塵50%、HCl 92%、Cl2 35%が除去され、湿式電気集塵機
への前処理効果はジェットスクラバ3より若干優る程度
であるが、増湿効率は80%と大幅に向上し、塔内に1対
の散布装置23とネット24からなるスプレー段を設けたネ
ットスプレー塔では、ガス温度を30〜35℃と更に冷却す
ることができ、粉塵87%、HCl 95%、Cl2 45%を除去で
き、また増湿効率が92%と非常に良くなる。
【0036】湿式電気集塵機4では、一般に荷電圧が高
いほど高集塵率が得られるが、前記の前処理を経た増湿
低濃度粉塵に対しては、低い荷電圧でも高集塵率が達成
され、通常は処理できないHClやCl2 も前処理塔での増
湿効果により相当除去される(表3参照)。
【0037】しかし、HCl、Cl2 については最終処理が
必要である。最終処理として、充填物をパックした充填
塔や、多孔板塔などの、いわゆる湿式スクラバー5によ
り吸収処理するが、前記のように、Na2SO3を100〜200mg
/l以上添加した洗浄液でCl2を酸化分解すれば、洗浄液
がpH9〜10程度の弱アルカリ性であってもCl2 の除去効
率95%が可能となる。これにより炭酸ガスの吸収もほと
んどなく、電極の劣化もなくなり、維持管理が容易にな
る。
【0038】光ファイバー製造工程排ガスを、バグフィ
ルター、及びスプレーまたはネットスプレー塔で前処理
した後、湿式電気集塵機で処理し、さらに湿式スクラバ
ーでpH9〜10のNa2SO3含有洗浄液で吸収除去することに
より、粉塵、HCl、Cl2 の高濃度排出ガスを高度に処理
することができる。この処理方法により、湿式スクラバ
ーの出口での各物質の濃度は、SiO2 粉塵0.5〜15mg/
m3、HCl 0.4〜4ppm、Cl2 0.1〜0.8ppm以下となる。
【0039】光ファイバー製造工程排ガスの処理を、炉
から排出ダクト内のガス速度を16m/s以上、好ましくは1
7.5m/s以上とし、バグフィルター及びスプレー塔による
前処理をして、湿式電気集塵機で処理し、湿式スクラバ
ーで処理することにより、最終出口での処理ガスを、粉
塵0.4mg/m3以下、HCl 0.4〜4ppm、Cl2 0.1〜0.8p
pm以下と大幅に改善でき、かつ、捕集粉塵に係る廃水
処理費用を、ジェットスクラバー、湿式電気集塵機、湿
式スクラバー処理に比べて72%低減でき、バグフィル
ターによる回収粉塵を有効利用する場合は、93%も低減
となり、廃液処理費用は大幅に縮小される(表8参照)
とともに、バグフィルターにより排ガス中の粉塵の90%
以上が乾燥状態で回収され、洗浄液中に移行する粉塵量
が従来の1/10以下となるため、それだけ洗浄水の抜き出
し頻度が少なくなり、廃水処理が容易となる。
【0040】
【実施例】1)排気ダクトと風速とブロワ吸引限界に至
る日数の関係 内径200mmのダクトに、SiO2平均40kg/d流入する場合の
排出ダクト風速(m/s)と、ファン能力限界に至る日数の
関係を図3に示す。SiO2 は中位径1〜2μmの微細な粉塵
であるが、排気ダクト内の慣性衝突、静電気凝集、吸湿
などの作用があって排気ダクト内に堆積しやすい。長期
間安定した排気を行うため、排気ダクト風速とブロワー
の吸引限界を、炉排気直後の空気取り入れ口を調整しな
がら検討した結果、16m/s以下では10日ももたないが、1
7.5m/sの速度にすれば32日、18.2m/sでは少なくとも175
日の安定した操業が可能であり、ダクト内には粉塵の堆
積は見られなかった。炉1からの排気ダクト2につい
て、ダクト風速を2次空気導入により調整し、その状態
をインバーターで維持しながら吸引能力の限界に至る時
間を調査した。その結果、ダクト内風速が16m/sを超え
る頃から、限界に至る時間が急速に伸び、17.5m/sで約
1ヶ月、18.2m/sで約6ヶ月ダクト清掃せずにすむこと
がわかった。
【0041】2)ジェットスクラバー(JET)、スプレー
塔(S)、ネットスプレー塔(NS)の設置スペース及び動力
費の比較を表1に示す。但し、処理風量150m3/minでの
比較では、ジェットスクラバーは6基並設、スプレー塔
は1基であり、この場合、設置スペースで35%、動力費
で55%の低減となる。
【0042】
【表1】
【0043】3)湿式電気集塵機の温度と集塵率の関係 30℃での集塵率を1とした湿式電気集塵機(WEP)ガス温
度と捕集率低下度の関係を図4に示す。各温度での集塵
率比を見た場合、80℃で57%、120℃で39%程度の集塵効
果しか得られず、温度の集塵率に及ぼす影響は大きいこ
とがわかる。
【0044】4)ジェットスクラバー(JET)、スプレー
塔(S)、ネットスプレー塔(NS)の入口、出口ガス温度、
増湿効率、集塵率及び、HCl、Cl2 除去率の比較を表2
に示す。但し、粉塵3g/Nm3、排ガス量10m3/min(80℃)、
JET: L/G 35 l/m3、S(NS):空塔速度0.7m/s、L/G 20、3
段、水洗浄、補給水量 2 l/minである。
【0045】
【表2】
【0046】ジェットスクラバーに比べてスプレー塔で
は、出口ガス温度を更に低下することができ、増湿効果
が特に顕著である。ネットスプレー塔では網目に形成さ
れる水膜の遮り効果によりSiO2 の捕集率が向上する。H
Clは比較的除去されやすいが、液滴との衝突や遮り効果
により除去率は高くなる。粉塵と共存するCl2ガスは、
粉塵への吸着や、水への溶解性から多少除去されるが、
スプレー塔での増湿率が高いため、塔内でHClガスのミ
スト粒子化が促進されるため、それへの吸着からCl2
去率が上がることがわかる。
【0047】5)前処理塔を通過後の湿式電気集塵機(W
EP)での除去率の比較を表3に示す。但し、WEP荷電圧が
40kvである以外は、表2の場合と同条件である。
【0048】
【表3】
【0049】一般に、WEPでのガス吸収は期待できな
い。しかし、増湿性の高いスプレー塔を通過する際、塔
内での粉塵への水分の凝縮や、HClガスのミスト粒子
化、さらにはCl2ガスのそれらへの吸着により粒子性を
帯びていることから、前処理塔で除去されずにリークし
たものがWEPで除去されことがわかる。
【0050】6)WEPの荷電圧と集塵率の関係(乾燥粉
塵の場合) 乾燥粉塵に対する荷電圧40kvでの集塵率を1とし、荷電
圧(kv)と集塵率の低下度の関係を図5に示す。この関係
からみると、荷電圧40kvに対し、30kvで22%、20kvで5%
程度の効果しか得られない。
【0051】7)WEPの荷電圧と粉塵濃度の関係(増湿
粉塵の場合) スプレー塔、WEPとバグフィルタ・スプレー塔・WEPフロ
ーとでは、WEPに流入する粉塵濃度は異なるが、それぞ
れ荷電圧変化に対する集塵率を表4に示す。但し、排ガ
ス量130m3/min(72℃)、S: L/G203段、 WEP: ガス流速
0.45m/s、1回/日 定期散水
【0052】
【表4】
【0053】粉塵が増湿された場合、粉塵のWEPへの流
入濃度が高い場合は荷電圧の影響があるが、前処理によ
り流入濃度が低い場合は荷電圧20〜30kvでも高集塵率が
維持されることがわかる。
【0054】8)湿式スクラバーにおけるHClの除去率
を図6に示す。 但し、NaOH-HCl系:循環液pH 6〜14、ネットリング1.1/
2" 1m充填、V: 2.0m/s,L: 200 l/min-m2 高濃度ほど除去率がよく、15ppm以上で95%以上除去され
る。10ppm以下から除去率の低下は顕著となるが、その
傾向はpH6以上では変わらない。
【0055】9)湿式スクラバーでのNaOH - Cl2 系で
のpHと除去率の関係 、及びpH9、NaOH + Na2SO3 系での
除去率の関係 Cl2濃度7.6〜42ppmでNaOH水溶液を洗浄除去した例であ
るが、pH13以上では除去率は92%で安定しているが、pH1
3以下ではpH値が低くなるほど除去率が低下し、pH9での
除去率は30%である(図7参照)。しかし、pH9〜10に制
御し、Na2SO3が100〜200mg/l以上の濃度では除去率95%
を維持できることを確認した。
【0056】10)本発明の処理方法として、バグフィ
ルター(BF)−スプレー塔(S)−湿式電気集塵機(WEP)−湿
式スクラバー(SC)の処理フローによる除去率を表5に示
し、バグフィルター(BF)−ネットスプレー塔(NS)−湿式
電気集塵機(WEP)−湿式スクラバー(SC)の処理フローに
よる除去率を表6に示す。但し、風量130m/mi
n(72℃)、BF: 面風速1.2m/s、S(NS): 空塔速度0.6
m/s、L/G20(l/m3)、WEP: 荷電圧20kv、ガス流速0.45m/
s、1回/日 定期散水、SC: 空塔速度0.6m/s、L/G8(l/
m3)、pH 9.2、Na2SO3 140mg/lである。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】これに対し、従来のジェットスクラバー(J
ET)−湿式電気集塵機(WEP)−湿式スクラバー(SC)からな
る処理方法による処理結果を表7に示す。但し、風量10
m3/min(80℃)、JET: L/G 35(l/m3)、WEP: 荷電圧40kv、
ガス流速0.45m/s、1回/日定期散水、SC: 空塔速度0.5
m/s、L/G 7(l/m3)、pH 13.5である。
【0060】
【表7】
【0061】11)バグフィルタの有無の廃液処理費用
の比較を表8に示す。
【0062】
【表8】
【0063】なお、バグフィルターからの回収粉塵345k
g/dを有効利用する場合の費用比A/Bは0.07である。光フ
ァイバー製造工程から、粉塵の大半を占めるSiO2粉塵お
よびHCl、Cl2ガスなどが排出されるが、その排ガス処理
方法として、炉排出ダクト内のガス速度を16m/s以上、
好ましくは17.5m/s以上とし、バグフィルター・スプレ
ー塔・WEP・湿式スクラバーの順に処理することによ
り、炉排出ダクトの維持管理頻度が大幅な削減が可能と
なり、また、バグフィルターで粉塵を乾燥状態で回収
し、スプレー塔により、冷却効果や高濃度HClの高除去
はもとより、優れた増湿作用により、粉塵粒子表面に水
膜を形成しやすくするとともに、HCl、Cl2ガスを顕著に
粒子化する効果が現れ、WEPの濃度負荷、温度負荷を低
減し、放電極の腐食抑制やガス状物質をも捕捉可能にす
ることができる。更には、湿式スクラバーを弱アルカリ
性の還元剤水溶液でHClガスやCl2ガスを除去すること
で、いずれの物質も高効率で除去し、かつ廃液処理費用
の大幅な低減ができる。
【0064】この処理方法におけるバグフィルターやWE
Pは粉塵の性質を殆ど問わないため、前記の光ファイバ
ー製造工程の排ガス以外の、少なくとも水溶性ガスが共
存する粉塵排ガスを湿式電気集塵機で処理する場合に適
用することができ、回収粉塵が有効利用できる場合は更
に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粉塵含有排ガスの処理方法のフロー
シートである。
【図2】 従来の粉塵含有排ガスの処理方法のフローシ
ートである。
【図3】 ダクト風速とSiO2 粉塵によるダクト閉塞の
関係を示すグラフである。
【図4】 湿式電気集塵機のガス温度と粉塵捕集率の関
係を示すグラフである。
【図5】 湿式電気集塵機の荷電圧と粉塵捕集率の低下
度の関係を示すグラフである。
【図6】 湿式スクラバーにおけるHClの濃度とHCl除去
率の関係を示すグラフである。
【図7】 湿式スクラバーにおけるpH値とCl2 除去率の
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・炉 2・・・ダクト 3・・・ジェットスクラバー 4・・・湿式電気集塵機 5・・・湿式スクラバー 6・・・ファン 7、8、9・・・水槽 10・・・中間受入れタンク 11・・・中和槽 12、13・・・凝集槽 14・・・沈降分離槽 15・・・フィルター 16・・・工業用水 17・・・濃縮液 20・・・バグフィルター 21・・・スプレー塔 22・・・粉塵受け槽 23・・・散水ノズル 24・・・ネット
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B03C 3/155 (72)発明者 阿部 康 兵庫県尼崎市水堂町4丁目1番31号 セイ コー化工機株式会社本社内 (72)発明者 塚田 允哉 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社日立工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉塵及び水溶性ガスを含む排ガスを湿式
    電気集塵機で処理する方法において、排ガスを、粉塵の
    堆積抑制可能なダクト風速で導き、バグフィルター及び
    スプレー塔で前処理して湿式電気集塵機に供給し、湿式
    電気集塵機の処理ガスを湿式スクラバーで最終処理する
    ことを特徴とする粉塵含有排ガス処理方法。
  2. 【請求項2】 前記排ガスが光ファイバー製造工程の排
    ガスであり、粉塵がSiO2 であり、水溶性ガスがHCl、Cl
    2 ガスである請求項1記載の排ガス処理方法。
  3. 【請求項3】 前記スプレー塔がネットスプレー塔であ
    る請求項1記載の請求項1記載の排ガス処理方法。
  4. 【請求項4】 前記湿式スクラバの洗浄水がNa2S03を添
    加した弱アルカリ性水溶液である請求項2記載の排ガス
    処理方法。
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