JPH11215881A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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JPH11215881A
JPH11215881A JP10314000A JP31400098A JPH11215881A JP H11215881 A JPH11215881 A JP H11215881A JP 10314000 A JP10314000 A JP 10314000A JP 31400098 A JP31400098 A JP 31400098A JP H11215881 A JPH11215881 A JP H11215881A
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JP
Japan
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rotation
time interval
rotation angle
estimated
control device
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Application number
JP10314000A
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English (en)
Inventor
Tomokuni Iijima
友邦 飯島
Kazunari Narasaki
和成 楢崎
Yoshiaki Igarashi
祥晃 五十嵐
Taro Kishibe
太郎 岸部
Yukinori Maruyama
幸紀 丸山
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転位置信号発生器からの回転位置信号に基
づき回転角度を補間して推定し、正弦波状の電流をステ
ータ巻線に流すモータ制御装置において、回転位置信号
発生器におけるホール素子のオフセット電圧のばらつき
などにより回転位置信号がばらついても、推定回転角度
がふらつかず、リップルのない安定したトルクを出力す
るモータ制御装置を実現する。 【解決手段】 本発明のモータ制御装置は、時間間隔測
定手段がロータの回転位置を示す回転位置信号に基づき
前記回転位置信号の時間間隔を測定し、補正係数記憶手
段が前記回転位置信号のばらつきを示す補正係数を記憶
し、推定回転角度作成手段が前記時間間隔と前記補正係
数とに基づき回転角度を補完し回転角度の推定値である
推定回転角度を作成し、そして指令作成手段が前記推定
回転角度に基づき前記電流指令または前記電圧指令を作
成してモータを駆動する駆動手段に出力するよう構成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低分解能の回転位
置信号からモータにおけるロータの回転角度を推定し、
実質的な正弦波形状等の波形で変化する電流や電圧をス
テータ巻線に供給するモータ制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】整流子、ブラシ等の整流機構が設けられ
ていないブラシレスモータを駆動制御するためには、回
転しているロータの位置を常に正確に検出する必要があ
った。従来のモータ制御装置としては、低分解能の回転
位置信号から120度通電型矩形波駆動方式と呼ばれる
ものがある。このモータ制御装置は、ステータ巻線への
電力供給が矩形波状の電圧によりなされている。そのた
め、ステータ巻線に流れる電流が大きく歪み、それ故発
生トルクの変動が大きく、ブラシレスモータが振動し騒
音の原因となっていた。
【0003】上記問題を解決するものとして、ブラシレ
スモータにおけるロータの回転角度を推定し、略正弦波
形状の波形で変化する電圧を当該ブラシレスモータのス
テータ巻線に供給して当該ブラシレスモータを駆動制御
するモータ制御装置があった。このような従来のモータ
制御装置としては、日本の特開平1−126191号公
報と日本の特開平4−304191号公報とに開示され
たものが知られている。
【0004】以下、特開平4−304191号公報に開
示されたブラシレスモータ駆動装置について説明する。
まず、そのブラシレスモータ駆動装置の構成について説
明する。図32は従来のブラシレスモータ駆動装置の構
成を示すブロック図である。図32において、ブラシレ
スモータ9には、ステータ巻線1U、1V、1Wが巻回
されたステータ(図示せず)と、このステータ(図示せ
ず)に近接して配置され、回転自在に支持されたロータ
5とが設けられている。また、ブラシレスモータ9に
は、ロータ5の回転位置を検知するための回転位置検出
手段が設けられている。この回転位置検出手段は、ロー
タ5と回転中心が同一でロータ5と同一の磁極数に外周
面が着磁された回転位置検出円盤4と、この回転位置検
出円盤4の外周面に近接してそれぞれ機械角で60°
(磁極数が4であるため、電気角で120°)づつ離れ
て配置された3つの回転位置信号発生器3U、3V、3
Wが設けられている。回転位置信号発生器3U、3V、
3Wは、ホールICで構成され、回転位置信号CSU、
CSV、CSWをそれぞれ出力する。
【0005】図32に示すモータ制御装置は、回転位置
信号発生器3U、3V、3Wからの回転位置信号CS
U、CSV、CSWが入力され回転位置信号割り込み信
号IntCssを出力するエッジ検出手段1030と、
回転位置信号割り込み信号IntCssが入力され第1
のタイマ割り込み信号IntTm1を出力する逓倍手段
1040と、回転位置信号割り込み信号IntCssと
第1のタイマ割り込み信号IntTm1とが入力され推
定回転角度下位アドレス信号θlowを出力するカウン
タ1071とを有している。
【0006】また、従来のモータ制御装置は、メモリ1
020と駆動手段1010とを具備している。メモリ1
020は、回転位置信号発生器3U、3V、3Wからの
回転位置信号CSU、CSV、CSWとカウンタ107
1からの推定回転角度下位アドレスθlowとが入力さ
れ、ステータ電圧指令vu*、vv*、vw*を駆動手
段1010へ出力する。駆動手段1010は、ステータ
巻線1U、1V、1Wが接続されている。なお、ステー
タ電圧指令vu*、vv*、vw*における記号*は指
令を示す。
【0007】次に、上記のように構成された従来のモー
タ制御装置の動作について説明する。エッジ検出手段1
030は、方形波状の回転位置信号CSU、CSV、C
SWのそれぞれの立ち上がりと立ち下がりのタイミング
で回転位置信号割り込み信号IntCssを発生する。
逓倍手段1040は、後述の方法で回転位置割り込み信
号IntCssを逓倍し、第1のタイマ割り込み信号I
ntTm1をカウンタ1071へ出力する。
【0008】カウンタ1071は、第1のタイマ割り込
み信号IntTm1が入力されるたびにカウント値をア
ップし、そのカウント値を推定回転角度下位アドレス信
号θlowとして出力する。また、カウンタ1071
は、回転位置割り込み信号IntCssが入力されたと
きカウント値を0にリセットする。メモリ1020は、
回転位置信号CSU、CSV、CSWと推定回転角度下
位アドレス信号θlowとに基づき、ステータ電圧指令
vu*、vv*、vw*を作成する。駆動手段1010
は、ステータ電圧指令vu*、vv*、vw*に基づき
ステータ巻線1U、1V、1Wに電力を供給する。
【0009】次に、従来のモータ制御装置の逓倍手段1
040の構成と動作について説明する。図33は、逓倍
手段1040の構成を示すブロック図である。図33に
おいて、逓倍手段1040は、クロック発生器104
1、分周器1042、第1のタイマ1046、第2のタ
イマ1043、ラッチ1044、及び比較器1045を
具備している。クロック発生器1041は、周波数fc
k1を持つ第1のクロック信号ck1を発生し、この第
1のクロック信号ck1を分周器1042及び第1のタ
イマ1046へ出力する。分周器1042は、第1のク
ロック信号ck1と回転位置信号割り込み信号IntC
ssとが入力され第2のクロック信号ck2を出力す
る。
【0010】第2のタイマ1043は、第2のクロック
信号ck2と回転位置信号割り込み信号IntCssと
が入力され、第2のタイマ値信号Tm2を出力する。ラ
ッチ1044は、第2のタイマ値信号Tm2と回転位置
信号割り込み信号IntCssが入力され、時間間隔C
ssCntを出力する。第1のタイマ1046は、第1
のクロック信号ck1と回転位置信号割り込み信号In
tCssと第1のタイマ割り込み信号IntTm1とが
入力され、第1のタイマ値信号Tm1を比較器1045
へ出力する。比較器1045は、時間間隔CssCnt
と第1のタイマ値信号Tm1とが入力され、第1のタイ
マ割り込み信号IntTm1を出力する。
【0011】上記のように構成された従来のモータ制御
装置の逓倍手段1040の動作について説明する。クロ
ック発生器1041からの周波数fck1を持つ第1の
クロック信号ck1が入力された分周器1042は、第
1のクロック信号ck1を分周し、第1のクロック信号
ck1の周波数より低い周波数fck2である第2のク
ロック信号ck2を作成する。ここで、fck1/fc
k2を分周数と名付ける。分周器1042は、タイマに
より構成され、第1のクロック信号ck1が入力される
とタイマ値をカウントアップし、タイマ値が分周数(f
ck1/fck2)に達すると第2のクロック信号ck
2を出力し、タイマ値を0にリセットする。また、回転
位置割り込み信号IntCssが分周器1042に入力
されると、タイマ値は0にリセットされる。
【0012】第2のタイマ1043は、第2のクロック
信号ck2が入力されるごとに第2のタイマ値信号Tm
2をカウントアップし、回転位置信号割り込み信号In
tCssが入力されるごとに第2のタイマ値信号Tm2
を0にリセットする。ラッチ1044は、回転位置信号
割り込み信号IntCssが入力されたときの第2のタ
イマ値信号Tm2を時間間隔CssCntとして保存す
る。
【0013】第1のタイマ1046は、第1のクロック
信号ck1が入力されるごとに第1のタイマ値信号Tm
1をカウントアップし、回転位置信号割り込み信号In
tCss、または、第1のタイマ割り込み信号IntT
m1が入力されるごとに第1のタイマ値信号Tm1を0
にリセットする。比較器1045は、時間間隔CssC
ntと第1のタイマ値信号Tm1とを比較し、等しいと
き第1のタイマ割り込み信号IntTm1を出力する。
第1のタイマ1046と比較器1045の動作により、
第1のタイマ値信号Tm1が時間間隔CssCntにな
るごとに第1のタイマ割り込み信号IntTm1が出力
され、第1のタイマ値信号Tm1が0にリセットされ
る。
【0014】このように、逓倍手段1040は、[fc
k1/fck2]倍だけ回転位置信号割り込み信号In
tCssを逓倍化した第1のタイマ割り込み信号Int
Tm1を作成する。
【0015】上記のような構成により、従来のモータ制
御装置は、分解能が60°である回転位置信号CSU、
CSV、CSWの各エッジである回転位置信号割り込み
信号IntCssを逓倍化して、分解能を上げた第1の
タイマ割り込み信号IntTm1を作成した。そして、
このモータ制御装置は、略正弦波状のステータ電圧指令
vu*、vv*、vw*を作成し、ステータ巻線1U、
1V、1Wに正弦波状電圧を印加し、ステータ巻線1
U、1V、1Wに略正弦波状のステータ電流iu、i
v、iwを流す。このように構成することにより、出力
トルクの変動が小さく、モータの振動や騒音の小さいモ
ータ制御装置を実現していた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来のモータ制御装置において、回転位置信号発生器
3U、3V、3Wにおいてホール素子のオフセット電圧
のばらつきや取り付け誤差、回転位置検出円盤4の着磁
のばらつきなどにより、回転位置信号CSU、CSV、
CSWにばらつきが生じることがあった。このようなば
らつきがあると、従来のモータ制御装置において、時間
間隔CssCntがばらつき、推定回転角度θがふらつ
き、トルクリップルが発生するという問題があった。
【0017】本発明は、上記のような問題を解決するも
のであり、回転位置信号CSU、CSV、CSWがばら
ついている場合においても、推定回転角度θのふらつき
をなくし、トルクリップルなくブラシレスモータを高精
度に駆動制御することができるモータ制御装置を提供す
ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るモータ制御装置は、ロータの回転位
置を示す回転位置信号に基づき前記回転位置信号の時間
間隔を測定する時間間隔測定手段と、前記回転位置信号
のばらつきを示す補正係数を記憶する補正係数記憶手段
と、前記時間間隔と前記補正係数とに基づき回転角度を
補間し回転角度の推定値である推定回転角度を作成する
推定回転角度作成手段と、前記推定回転角度に基づきス
テータ巻線に流す電流指令または前記ステータ巻線に印
加する電圧指令を作成する指令作成手段と、前記電流指
令または前記電圧指令に基づき前記ステータ巻線に電力
を印加する駆動手段とを具備している。この構成によ
り、本発明によれば、回転位置信号のばらつきを補正す
ることができるとともに、出力トルクの変動が小さく、
モータの振動や騒音の小さいモータ制御装置を実現する
ことができる。
【0019】また、他の観点の発明によるモータ制御装
置は、ロータの回転位置を示す回転位置信号に基づき前
記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間隔測定手段
と、前記回転位置信号に基づきロータが1回転する時間
である回転時間間隔を測定する回転時間間隔測定手段
と、回転角度の推定方式を切り替えるしきい値である推
定方式切替回転数を設定する推定方式切替回転数設定手
段と、前記推定方式切替回転数より前記ロータの回転数
が低いときは前記時間間隔に基づき回転角度を補間し回
転角度の推定値である推定回転角度を作成し、前記推定
方式切替回転数より前記ロータの回転数が高いときは前
記回転時間間隔に基づき回転角度を補間し前記推定回転
角度を作成する推定回転角度作成手段と、前記推定回転
角度に基づきステータ巻線に流す電流指令または前記ス
テータ巻線に印加する電圧指令を作成する指令作成手段
と、前記電流指令または前記電圧指令に基づき前記ステ
ータ巻線に電力を供給する駆動手段とを具備している。
この構成により、本発明によれば、回転数が高いときの
演算回数を減らすことができ、高回転でも確実な駆動を
するモータ制御装置を実現することができる。
【0020】また、他の観点の発明によるモータ制御装
置は、ロータの回転位置を示す回転位置信号に基づき前
記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間隔測定手段
と、前記時間間隔に基づき回転角度の推定値である推定
回転角度をどれだけ進めればよいかを示す進み量を作成
する進み量作成手段と、前記進み量に基づき制御周期ご
とに前記推定回転角度を作成する推定回転角度作成手段
と、前記推定回転角度に基づき前記制御周期ごとにステ
ータ巻線に流す電流または前記ステータ巻線に印加する
電圧を制御する制御手段とを具備している。この構成に
より、本発明によれば、推定回転角度の分解能を高める
ことができ、トルクリップルの小さいモータ制御装置を
実現することができる。
【0021】また、他の観点の発明によるモータ制御装
置は、ロータの回転位置を示す回転位置信号に基づき前
記ロータが1回転する時間である回転時間間隔を測定す
る回転時間間隔測定手段と、回転角度の推定値である推
定回転角度の進み量を前記回転時間間隔に基づき作成す
る進み量作成手段と、前記進み量に基づき制御周期ごと
に前記推定回転角度を作成する推定回転角度作成手段
と、前記推定回転角度に基づき前記制御周期ごとにステ
ータ巻線に流す電流または前記ステータ巻線に印加する
電圧を制御する制御手段とを具備している。この構成に
より、本発明によれば、推定回転角度の分解能を高める
ことができ、トルクリップルの小さいモータ制御装置を
実現することができる。
【0022】また、他の観点の発明によるモータ制御装
置は、ロータの回転位置を示す回転位置信号に基づき前
記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間隔測定手段
と、回転角度の推定値である推定回転角度と実際の回転
角度のずれを演算するずれ演算手段と、前記時間間隔に
ローパスフィルタを作用させたものと前記ずれとに基づ
き前記推定回転角度を作成する推定回転角度作成手段
と、前記推定回転角度に基づきステータ巻線に流す電流
または前記ステータ巻線に印加する電圧を制御する制御
手段とを具備している。この構成により、本発明によれ
ば、推定回転角度を連続的に変化させることができ、ト
ルクリップルの小さいモータ制御装置を実現することが
できる。
【0023】また、他の観点の発明によるモータ制御装
置は、ロータの回転位置を示す回転位置信号に基づき前
記ロータが1回転する時間である回転時間間隔を測定す
る回転時間間隔測定手段と、回転角度の推定値である推
定回転角度と実際の回転角度のずれを演算するずれ演算
手段と、前記回転時間間隔にローパスフィルタを作用さ
せたものと前記ずれに基づき前記推定回転角度を作成す
る推定回転角度作成手段と、前記推定回転角度に基づき
ステータ巻線に流す電流または前記ステータ巻線に印加
する電圧を制御する制御手段とを具備している。この構
成により、本発明によれば、推定回転角度を連続的に変
化させることができ、トルクリップルの小さいモータ制
御装置を実現することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明のモータ制御装置の
一実施の形態である具体的な実施例について添付の図面
を参照して説明する。
【0025】《実施例1》以下、本発明の実施例1であ
るモータ制御装置について説明する。実施例1のモータ
制御装置は、分解能が電気角で60°の回転位置信号を
逓倍して分解能を上げ、回転角度を推定し、ステータ巻
線に略正弦波状の電流を流すモータ制御装置である。な
お、実施例1におけるモータ制御装置は、3相4極のブ
ラシレスモータを制御するよう構成されている。
【0026】[実施例1の全体の構成]まず、本発明の
実施例1のモータ制御装置の全体の構成について説明す
る。図1は実施例1におけるモータ制御装置の構成を示
すブロック図である。図1において、ブラシレスモータ
9には、ステータ巻線1U、1V、1Wが巻回されたス
テータ(図示せず)と、このステータ(図示せず)に磁
気的結合関係を保ち、近接して配置され、回転自在に支
持されたロータ5とが設けられている。また、ブラシレ
スモータ9には、ロータ5の回転位置を検知するための
回転位置検出手段が設けられている。この回転位置検出
手段は、ロータ5と回転中心が同一でロータ5と同一の
磁極数に外周面が着磁された回転位置検出円盤4と、こ
の回転位置検出円盤4の外周面に近接してそれぞれ機械
角で60°(磁極数が4であるため、電気角で120
°)づつ離れて配置された3つの回転位置信号発生器3
U、3V、3Wを具備している。回転位置信号発生器3
U、3V、3Wは、ホールICで構成され、回転位置信
号CSU、CSV、CSWをそれぞれ出力する。
【0027】実施例1のモータ制御装置は、トルク指令
T*を出力するトルク指令設定手段27、駆動方式切替
回転数ωdrvを出力する駆動方式切替回転数設定手段
28、及び推定方式切替回転数ωestを出力する推定
方式切替回転数設定手段29の3つの設定手段を具備し
ている。また、実施例1のモータ制御装置は、トルク/
電流変換手段25、電流指令作成手段20、駆動手段1
0、推定回転角度制御手段8、及びステータ巻線1U、
1V、1Wに流れる電流を検知してステータ電流値信号
iu、iv、iwを駆動手段10へ出力する電流センサ
2U、2V、2Wを有している。
【0028】推定回転角度制御手段8は、回転位置信号
CSU、CSV、CSWと駆動方式切替回転数ωdrv
と推定方式切替回転数ωestが入力され、駆動方式切
替信号FDrvと推定回転角度θとを出力する。トルク
/電流変換手段25は、トルク指令T*が入力されq軸
電流指令Iq*を出力する。ここで、q軸の方向とは、
ロータの永久磁石が発生する磁束の向きと直交する向き
の磁束を発生させる電流の方向をいう。電流指令作成手
段20は、回転位置信号CSU、CSV、CSWとq軸
電流指令Iq*と駆動方式切替信号FDrvと推定回転
角度θとが入力され、ステータ電流指令iu*、iv
*、iw*を駆動手段10へ出力する。駆動手段10
は、ステータ電流値信号iu、iv、iwとステータ電
流指令iu*、iv*、iw*とが入力され、ステータ
巻線1U、1V、1Wに適切な電力を供給する。
【0029】図2は実施例1のモータ制御装置における
駆動手段10の回路構成図である。図2に示すように、
駆動手段10は、駆動素子制御手段11、電源12、こ
の電源12に並列に接続された電解コンデンサである平
滑コンデンサ13、上側IGBT(IGBTは 絶縁ゲ
ートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar
Transistor)の略称)14U、14V、14W、上側
ダイオード15U、15V、15W、下側IGBT16
U、16V、16W、及び下側ダイオード17U、17
V、17Wを具備している。
【0030】駆動素子制御手段11は、ステータ電流値
信号iu、iv、iwとステータ電流指令iu*、iv
*、iw*とが入力され、後述の方法で上側IGBT1
4U、14V、14W、及び下側IGBT16U、16
V、16Wの通電・非通電を制御する。
【0031】上側IGBT14U、14V、14Wの各
コレクタは電源12の正端子にそれぞれ接続されてお
り、下側IGBT16U、16V、16Wの各コレクタ
は上側IGBT14U、14V、14Wのエミッタとス
テータ巻線1U、1V、1Wとにそれぞれ接続されてい
る。また、下側IGBT16U、16V、16Wのエミ
ッタは電源12の負端子に接続されている。上側ダイオ
ード15U、15V、15Wは、それぞれ上側IGBT
14U、14V、14Wに逆並列接続されている。ま
た、下側ダイオード17U、17V、17Wは、それぞ
れ下側IGBT16U、16V、16Wに逆並列接続さ
れている。
【0032】図3は実施例1のモータ制御装置における
推定回転角度制御手段8の構成を示すブロック図であ
る。図3において、推定回転角度制御手段8の時間間隔
測定手段30は、第2のタイマ31を有し、回転位置信
号CSU、CSV、CSWが入力され、回転位置信号割
り込み信号IntCssと時間間隔CssCntとをタ
イマ比較値作成手段40へ出力する。
【0033】時間間隔記憶手段61は、タイマ比較値作
成手段40から与えられる時間間隔記憶値StrCss
を記憶する。第3のタイマ50は、ある設定された時間
ごとに第3のタイマ割り込み信号IntTm3を補正係
数作成手段51へ出力する。補正係数作成手段51は、
第3のタイマ50の第3のタイマ割り込み信号IntT
m3で起動され、時間間隔記憶値StrCssが入力さ
れ、補正係数記憶値StrCorと絶対角度記憶値St
rθCssとを出力する。補正係数記憶手段62は、補
正係数記憶値StrCorを記憶し、絶対角度記憶手段
63は、絶対角度記憶値StrθCssを記憶する。
【0034】タイマ比較値作成手段40は、回転位置信
号割り込み信号IntCssにより起動され、駆動方式
切替回転数ωdrvと推定方式切替回転数ωestと時
間間隔CssCntと補正係数記憶値StrCorと絶
対角度記憶値StrθCssとが入力される。そして、
タイマ比較値作成手段40は、駆動方式切替信号FDr
vと時間間隔記憶値StrCssと第1のスタート割り
込み信号StaTm1と第1のストップ割り込み信号S
tp1Tm1とタイマ比較値CmpTm1と回転角度更
新リセット割り込み信号Resθと絶対回転角度θ0と
を出力する。
【0035】第1のタイマ70は、第1のスタート割り
込み信号StaTm1でタイマ値のカウントアップを始
め、第1のストップ割り込み信号Stp1Tm1または
第2のストップ割り込み信号Stp2Tm1で動作を停
止する。また、第1のタイマ70はタイマ比較値Cmp
Tm1が入力され、第1のタイマ割り込み信号IntT
m1を出力する。回転角度更新手段71は、第1のタイ
マ割り込み信号IntTm1または回転角度更新リセッ
ト割り込み信号Resθにより起動され、絶対回転角度
θ0が入力され、第2のストップ割り込み信号Stp2
Tm1と推定回転角度θとを出力する。実施例1におい
て、タイマ比較値作成手段40と第1のタイマ70と回
転角度更新手段71とにより推定回転角度作成手段が構
成されている。
【0036】[実施例1の動作の概要]次に、実施例1
のモータ制御装置における動作の概要について説明す
る。図4はモータ制御装置の逓倍方式と推定回転角度の
ずれ補正方式を概念的に説明する波形図である。図4の
(a)は、回転位置信号CSU、CSV、CSWの各エ
ッジを示す回転位置信号割り込み信号IntCssであ
る。図4の(b)は、第2のタイマ31のタイマ値Tm
2を示しており、図4の(c)は、第1のタイマ70の
タイマ値Tm1を示している。図4の(d)は、回転位
置信号CSU、CSV、CSWに基づく120度通電型
矩形波駆動時のステータ電流指令iu*、iv*、iw
*の1つの波形を示し、図4の(e)は、推定回転角度
θに基づく正弦波駆動時のステータ電流指令iu*、i
v*、iw*の1つの波形を示す。
【0037】はじめに、モータ制御装置の逓倍方法につ
いて説明する。図4の(a)に示す回転位置信号割り込
み信号IntCssは、回転位置信号CSU、CSV、
CSW(図7の(d)、(e)、(f)に示す)の各立
ち上がりエッジと立ち下がりエッジを合わせたものであ
り、電気角で60°の分解能を持つ。そのため、従来の
モータ制御装置において、ブラシレスモータの駆動制御
は図4の(d)に示すような120度通電型矩形波駆動
のステータ電流指令iu*、iv*、iw*により行っ
てきた。
【0038】周波数fck2の第2のタイマ31により
タイマ値Tm2をカウントアップし、回転位置信号割り
込み信号IntCss間のカウント数(N0、N1、・
・・:以後、時間間隔と呼ぶ)が測定される。図4の
(c)のように、第2のタイマ31より整数倍高い周波
数fck1を持つ第1のタイマ70によりタイマ値Tm
1をカウントアップする。ここで、時間間隔N0、N
1、・・・を比較のための基準値(以後、タイマ比較値
と呼ぶ)とし、タイマ値Tm1がタイマ比較値N0、N
1、・・・になるごとにタイマ値Tm1をリセットし、
再びカウントアップする。このようにして、(fck1
/fck2)だけ逓倍化された信号を得る。
【0039】図4において、(fck1/fck2)=
6であり、逓倍化された回転角度の分解能は10°であ
る。そして、この逓倍化された回転角度に基づき図4の
(e)に示すような正弦波状のステータ電流指令iu
*、iv*、iw*を作成する。上記のように、モータ
制御装置の逓倍方法においては、回転位置信号を逓倍化
して分解能を上げ、回転角度を補間して推定することに
より、正弦波状のステータ電流iu、iv、iwを実現
する。
【0040】次に、モータ制御装置における推定回転角
度のずれ補正方式を説明する。図4の(a)におけるi
=3の時点で回転速度がステップ状に遅くなったときを
考えると、i=3までの時間間隔はN0=N1=N2=
N3であり、i=4以降の時間間隔はN4=N5=N6
=・・・となり、N3<N4である。このため、i=4
の時点では推定回転角度が実際の回転角度(絶対角度)
に比べてαだけ進んでおり、そのまま時間間隔N4をタ
イマ値Tm1のタイマ比較値とするとずれは消えない。
そのため、i=4の時点とき、タイマ比較値にkcss
×αを加え、N4+kcss×αとし、i=5の時点と
きにずれをなくす。
【0041】このように、ずれを測定し、推定回転角度
が進んでいるときはタイマ比較値を大きくするように補
正し、推定回転角度が遅れているときはタイマ比較値を
小さくするように補正することにより、ずれ補正を行
う。この補正処理において、kcssはずれ補正のゲイ
ンである。ここで、図4に示すように、ずれ補正ゲイン
kcssを回転位置信号割り込み信号IntCssの1
回でずれがなくなるように設定しても、ずれ補正ゲイン
kcssを小さくし、回転位置信号割り込み信号Int
Cssの複数回を受けることによりずれをなくすように
設定してもよい。
【0042】次に、推定回転角度と実際の回転角度のず
れの大きさの評価方法について説明する。図5は、ずれ
の大きさの評価方法を説明する概念図である。図5にお
いて、三角波は、タイマ値Tm1の動きを示し、タイマ
値Tm1はカウントアップされていき、タイマ比較値N
(時間間隔N0、N1、・・・から作成される)に到達
するとタイマ値は0にリセットされ、再びカウントアッ
プされる。タイマ値Tm1がリセットされるごとに推定
回転角度θはθstep(図4の(C)では10°)づ
つ進む。図4に示すように、回転位置信号割り込み信号
IntCssが発生するときの実際の回転角度はθ0で
あるとし(i=0のときθ0=0°、i=1のときθ0
=60°、・・・。以後、θ0を絶対回転角度と呼
ぶ)、説明を簡単にするため、推定回転角度θが絶対回
転角度θ0を含み、図5のように推定されているときを
考える。
【0043】図5において、回転位置信号割り込み信号
IntCssが時点Pで発生したとき、角度推定にずれ
はなく、推定回転角度θが絶対回転角度θ0に一致し、
タイマ値Tm1が0である。図5の矢印a、b、cに示
す時点において、すなわち時点Pよりも遅く回転位置信
号割り込み信号IntCssが発生するときは、角度推
定が実際の回転角度より進んでいる。また、図5の矢印
A、B、Cに示す時点において、すなわち時点Pより早
く回転位置信号割り込み信号IntCssが発生すると
きは、角度推定が実際の回転角度より遅れている。この
角度推定と実際の回転角度のずれは、時点Pと実際の回
転位置信号割り込み信号IntCssが発生したときの
時間的差であり、第1のタイマ70のカウント数を用い
て評価する。
【0044】回転位置信号割り込み信号IntCssが
矢印aで示す時点(以後、時点aと称す)において発生
したとき、時間的ずれは第1のタイマ70が示すタイマ
値Tm1である。すなわち、時点aにおいてα=Tm
1。ここで、αは第1のタイマ70により計測された時
間的ずれであり、角度推定が進んでいるとき正とし、角
度推定が遅れているとき負とする。また、回転位置信号
割り込み信号IntCssが矢印bで示す時点(以後、
時点bと称す)において発生したとき、時点Pのときか
ら第1のタイマ70が1回リセットされているため、時
間的ずれは第1のタイマ70が示すタイマ値Tm1に1
つのタイマ比較値Nを加えたものである。すなわち、時
点bにおいて、α=N×1+Tm1。
【0045】また、回転位置信号割り込み信号IntC
ssが矢印cで示す時点(以後、時点cと称す)におい
て発生したとき、時点Pのときから第1のタイマ70が
2回リセットされているため、時間的ずれは第1のタイ
マ70が示すタイマ値Tm1にタイマ比較値Nの2倍を
加えたものである。すなわち、時点cにおいてα=N×
2+Tm1。
【0046】一方、回転位置信号割り込み信号IntC
ssが矢印Aで示す時点(以後、時点Aと称す)におい
て発生したとき、時点Pからの遅れはタイマ比較値Nか
ら第1のタイマ70のタイマ値Tm1を引いたもので表
される。すなわち時点Aにおいて、α=−(N−Tm
1)=N×(−1)+Tm1。ここで、遅れは負で表さ
れる。また、回転位置信号割り込み信号IntCssが
矢印Bで示す時点(以後、時点Bと称す)において発生
したとき、その発生時点から時点Pのときまでに第1の
タイマ70が1回リセットされるため、遅れはタイマ比
較値Nから第1のタイマ70のタイマ値Tm1を引いた
ものに1つのタイマ比較値Nを加えたものである。すな
わち時点Bにおいてα=−(N−Tm1+N)=N×
(−2)+Tm1。また、回転位置信号割り込み信号I
ntCssがCにおいて発生したとき、その発生時点か
ら時点Pのときまでに第1のタイマ70が2回リセット
されるため、遅れはタイマ比較値Nから第1のタイマ7
0のタイマ値Tm1を引いたものにタイマ比較値Nの2
倍を加えたものである。すなわち、時点Cにおいて、
【0047】α=−(N−Tm1+N×2)=N×(−
3)+Tm1。
【0048】上記のように、ずれαはα=N×j+Tm
1(jは整数)のように表現できる。ところで、推定回
転角度θは、時点aのとき絶対回転角度θ0と等しく、
時点bのとき絶対回転角度θ0よりもθstepだけ大
きく、時点cのとき絶対回転角度θ0よりも2×θst
epだけ大きい。また、時点Aのとき絶対回転角度θ0
よりもθstepだけ小さく、時点Bのとき絶対回転角
度θ0よりも2×θstepだけ小さく、時点Cのとき
絶対回転角度θ0よりも3×θstepだけ小さい。こ
のような関係において、推定回転角度θと絶対回転角度
θ0との差をθstepで割ると、ずれαを示す式、α
=N×j+Tm1におけるjを示す整数となる。従っ
て、ずれαは下記式(1)のように表される。式(1)
において、タイマ比較値Nは時間間隔とほぼ等しいの
で、タイマ比較値Nを時間間隔に置き換えている。
【0049】 α = (時間間隔)/θstep×(θ−θ0)+Tm1 ・・・ (1)
【0050】なお、上記の説明では、絶対回転角度θ0
が推定回転角度θに含まれていたが、絶対回転角度θ0
が推定回転角度θに含まれないとき(例えば、以下に説
明するように、絶対回転角度θ0が0°、64°、13
0°、・・・のとき)も一般に成り立つ。
【0051】次に、実施例1における回転位置信号のば
らつき補正方式について図6を参照して説明する。図6
は回転位置信号のばらつき補正方式を説明する表であ
る。回転位置信号CSU、CSV、CSWの各エッジで
ある回転位置信号割り込み信号IntCssは、理想的
には電気角で60°おきに発生する。しかし、回転位置
信号CSU、CSV、CSWを発生する回転位置信号発
生器3U、3V、3W(図1)を構成するホールIC中
のホール素子のオフセット電圧のばらつきや取り付け位
置のばらつき、あるいは回転位置検出円盤4の着磁のば
らつきなどにより、回転位置信号CSU、CSV、CS
Wにずれが生じることがある。
【0052】以下、上記のような状態において発生した
ずれにより、定常回転時に、例えば、第2のタイマ31
で測定した時間間隔が図6に示す定常時時間間隔のよう
になったときを考える。このときの時間間隔の平均であ
る定常時平均時間間隔は30であり、補正係数(Str
Cor[i])を定常時平均時間間隔と定常時時間間隔
の比として記憶する。このような状態において、1/4
倍で等速で回転させると、時間間隔(CssCnt)は
(112、128、132、108、124、116)
のように変化するが、補正係数(StrCor[i])
により補正することにより、補正後時間間隔は一定値で
ある120となる。
【0053】つまり、定常回転時に測定した時間間隔に
基づき補正係数(StrCor[i])を求め、通常の
動作中において、時間間隔を補正係数により補正するこ
とにより、回転位置信号割り込み信号IntCssが正
確に60°おきに発生しなくても60°おきに発生する
ときと同様の時間間隔を求めることができ、精度よく逓
倍化することができる。
【0054】また、回転位置信号割り込み信号IntC
ssが発生するときの回転角度も60°おきでなく、補
正して用いる(補正後回転角度:絶対角度StrθCs
s[i])。つまり、定常回転時に測定した時間間隔に
基づき補正し、i=0の回転位置信号割り込み信号In
tCssが発生したとき(i=0)を基準(0°)とし
て、補正後の回転角度は、i=1のとき64°、i=2
のとき130°、i=3のとき184°、i=4のとき
246°、i=5のとき304°とする。
【0055】図6の説明においては、電気角1回転で変
化する回転位置信号CSU、CSV、CSWのばらつき
があることのみを考慮して説明した。しかし、回転位置
円盤4(図1)の着磁のばらつきにより、機械角1回転
で変化する回転位置信号CSU、CSV、CSWのばら
つきが発生するため、機械角1回転分の補正係数Str
Corと絶対角度StrθCssとを求めて、補正処理
を行うことによりさらに精度を向上させることができ
る。なお、実施例1のモータ制御装置では、機械角1回
転分の補正を行う。
【0056】[実施例1の動作の詳細]次に、実施例1
のモータ制御装置における全体の動作について図7を参
照して説明する。図7は、実施例1におけるステータ巻
線1U、1V、1Wに誘起される誘起電圧Vbemf
U、VbemfV、VbemfWと、回転位置信号CS
U、CSV、CSWと、回転位置信号割り込み信号In
tCssと、矩形波駆動時のステータ電流指令iu*、
iv*、iw*と、正弦波駆動時のステータ電流指令i
u*、iv*、iw*との関係を示す波形図である。
【0057】ロータ5が回転するとそのロータ5に接続
された回転位置検出円盤4が回転し、回転位置信号発生
器3U、3V、3Wに鎖交する磁束が変化する。ホール
ICである回転位置信号発生器3U、3V、3Wは、そ
の磁束量を増幅して、波形整形された図7に示すような
回転位置信号CSU、CSV、CSWをそれぞれ出力す
る。図7において、角度は電気角を表し、回転位置信号
CSUの立ち上がり位置を便宜上0°とする。以後、特
に明示しないとき、角度は電気角を表す。実施例1のブ
ラシレスモータは4極であるため、機械角180°が電
気角360°にあたる(電気角=機械角×(磁極数/
2))。実施例1において、回転位置信号発生器3U、
3V、3Wは互いに電気角で120°づつずれて配置さ
れているため、回転位置信号CSU、CSV、CSWは
互いに電気角で120°づつずれる。また、回転位置信
号発生器3U、3V、3Wは、回転位置信号CSU、C
SV、CSWのゼロクロスの位置がステータ巻線1U、
1V、1Wのそれぞれ誘起される誘起電圧Vbemf
U、VbemfV、VbemfWに比べて、30°遅れ
るように配置されている。
【0058】駆動方式切替回転数設定手段28は駆動方
式切替回転数ωdrvを設定し、その駆動方式切替回転
数ωdrvを推定回転角度制御手段8へ出力する。推定
方法切替回転数設定手段29は推定方式切替回転数ωe
stを設定し、その推定方式切替回転数ωestを推定
回転角度制御手段8へ出力する。推定回転角度制御手段
8は、後述の方法により、回転位置信号CSU、CS
V、CSWと駆動方式切替回転数ωdrvと推定方式切
替回転数ωestとに基づき、駆動方式切替信号FDr
vと推定回転角度θとを出力する。
【0059】トルク指令設定手段27は、トルク指令T
*を設定し、トルク/電流変換手段25へ出力する。ト
ルク/電流変換手段25は、下記式(2)のように、ト
ルク指令T*に基づきq軸電流指令Iq*を作成する。
式(2)において、K1はある設定された定数である。
【0060】 Iq* ← K1 × T* ・・・ (2)
【0061】電流指令作成手段20は、駆動方式切替信
号FDrvがローレベル(FDrv=0)のとき、矩形
波状のステータ電流指令iu*、iv*、iw*を作成
し、駆動方式切替信号FDrvがハイレベル(FDrv
=1)のとき、正弦波状のステータ電流指令iu*、i
v*、iw*を作成する。以下、電流指令作成手段20
における動作の詳細について説明する。
【0062】駆動方式切替信号FDrv=0のとき、電
流指令作成手段20は回転位置信号CSU、CSV、C
SWとq軸電流指令Iq*とに基づき、図7の(h)、
(i)、(j)に示す矩形波状のステータ電流指令iu
*、iv*、iw*を作成する。矩形波状のステータ電
流指令iu*、iv*、iw*は、通電区間が120°
であり、波高値がq軸電流指令Iq*であり、ステータ
巻線1U、1V、1Wに誘起される誘起電圧Vbemf
U、VbemfV、VbemfWとの関係が図7に示す
関係を有している。図7に示すように、区間(1)にお
いて回転位置信号(CSU、CSV、CSW)=(1、
0、1)のとき、矩形波状のステータ電流指令(iu
*、iv*、iw*)=(Iq*、−Iq*、0)とす
る。また、区間(2)における回転位置信号(CSU、
CSV、CSW)=(1、0、0)のとき、矩形波状の
ステータ電流指令(iu*、iv*、iw*)=(Iq
*、0、−Iq*)とする。区間(3)以下は図7に示
すとおりであり、このような通電方法は120度通電型
矩形波駆動と呼ばれる。
【0063】一方、駆動方式切替信号FDrv=1のと
き、電流指令作成手段20は、推定回転角度θとq軸電
流指令Iq*とに基づきそれぞれステータ巻線1U、1
V、1Wに流すステータ電流指令iu*、iv*、iw
*を作成する。ステータ電流指令iu*、iv*、iw
*は、正弦波状であり、ステータ巻線1U、1V、1W
に誘起される誘起電圧VbemfU、VbemfV、V
bemfWと同一の位相とし、波高値をq軸電流指令I
q*とする。具体的には、下記式(3)から(5)のよ
うに作成される。
【0064】 iu* ← Iq* × sin(θ+30°) ・・・ (3) iv* ← Iq* × sin(θ−90°) ・・・ (4) iw* ← Iq* × sin(θ−210°) ・・・ (5)
【0065】以下、ステータ巻線1U、1V、1Wにス
テータ電流指令iu*、iv*、iw*に基づき適切な
電流を流す駆動手段10における動作の詳細について説
明する。前述の図2に示したように、駆動手段10にお
いて、電源12から電力が供給され、平滑コンデンサ1
3により供給電源は平滑化される。図8は、実施例1の
駆動手段10における駆動素子制御手段11の構成を示
す回路図である。駆動素子制御手段11は、差動増幅器
11aU、11aV、11aWと比較器11bU、11
bV、11bWと三角波発生回路11cとを具備してい
る。
【0066】差動増幅器11aU、11aV、11aW
は、ステータ電流指令iu*、iv*、iw*からステ
ータ電流iu、iv、iwを減算した結果と、ある定数
である電流マイナーゲインKeの乗算結果をそれぞれP
WM用電流誤差eu、ev、ewとして作成する。この
作成方法を下記式(6)から(8)に示す。式(6)か
ら(8)においては、比例動作のみを行うが、比例・積
分動作や比例・積分・微分動作を行ってもよい。特に、
ステータ電流指令iu*、iv*、iw*の分解能が低
く波形が階段状になるとき、積分動作を含めると、ステ
ータ電流指令iu*、iv*、iw*の波形を滑らかに
したのと同様の効果がある。
【0067】 eu ← Ke × (iu*−iu) ・・・ (6) ev ← Ke × (iv*−iv) ・・・ (7) ew ← Ke × (iw*−iw) ・・・ (8)
【0068】三角波発生回路11cは、三角波(数kH
zから数十kHz)を発生する。比較器11bUはPW
M用電流誤差euと三角波を比較し、PWM用電流誤差
euが大きいときは上側IGBT14Uを通電、下側I
BGT16Uを非通電とする。一方、PWM用電流誤差
euが小さいときは上側IBGT14Uを非通電、下側
IBGT16Uを通電とする。なお、上側IGBTと下
側IGBTの通電状態が遷移するとき、上側IGBTと
下側IGBTをともに非通電とし駆動電源12の短絡を
防ぐための短い移行時間(デットタイム)を設けてい
る。他相についても同様に動作させる。
【0069】[推定回転角度制御手段8の動作]次に、
図3に示した推定回転角度制御手段8の動作について説
明する。時間間隔測定手段30は、回転位置信号割り込
み信号IntCssを作成する回転位置信号割り込み作
成部と時間間隔CssCntを測定する時間間隔測定部
である第2のタイマ31とから構成される。
【0070】時間間隔測定手段30の回転位置信号割り
込み作成部は、図7の(g)に示すように、回転位置信
号CSU、CSV、CSWのそれぞれの立ち上がりと立
ち下がりのタイミングで回転位置信号割り込み信号In
tCssを発生する。この回転位置信号割り込み信号I
ntCssにおいて、ハイレベルが割り込みを表す。
【0071】図9は、実施例1のモータ制御装置におけ
る時間間隔測定手段30の時間間隔測定部の動作を示す
説明図である。時間間隔測定手段30の時間間隔測定部
である第2のタイマ31は、図9に示すように、周波数
fck2で第2のタイマ31のタイマ値Tm2をカウン
トアップ動作させる。そして、回転位置信号割り込み信
号IntCssが入るごとに、第2のタイマ31のタイ
マ値Tm2を時間間隔CssCntとして設定し、同時
に第2のタイマ31のタイマ値Tm2をリセットする。
【0072】推定回転角度制御手段8の時間間隔記憶手
段61は、時間間隔記憶値StrCssを記憶するRA
M領域であり、一回転割り込み数NCss分だけの記憶
領域を持つ。この一回転割り込み数NCssは、機械角
1回転あたりの回転位置信号割り込み信号IntCss
の割り込みの数であり、実施例1では磁極数が4である
ため12となる(NCss=6×(磁極数/2))。
【0073】補正係数記憶手段62は、補正係数記憶値
StrCorを記憶するRAM領域であり、一回転割り
込み数NCss分だけの記憶領域を持つ。この補正係数
記憶値StrCorは全て1に初期化する。絶対角度記
憶手段63は、絶対角度記憶値StrθCssを記憶す
るRAM領域であり、一回転割り込み数NCss分だけ
の記憶領域を持つ。絶対角度記憶手段63においては、
0番目の絶対角度記憶値StrθCss[0]=0°、
1番目の絶対角度記憶値StrθCss[1]=60
°、2番目の絶対角度記憶値StrθCss[2]=1
20°、・・・、というように絶対角度記憶値Strθ
Cssを60°づつ増加させ、初期化する。
【0074】図10及び図11は、実施例1の推定回転
角度制御手段8におけるタイマ比較値作成手段40の動
作を示すフローチャートである。タイマ比較値作成手段
40は、回転位置信号割り込み信号IntCssにより
起動され、図10及び図11に示す動作を行う。図3に
示したように、タイマ比較値作成手段40には、時間間
隔CssCnt、駆動方式切替回転数ωdrv、推定方
式切替回転数ωest、補正係数記憶値StrCor、
絶対角度記憶値StrθCssが入力される。これらの
値に基づき、タイマ比較値作成手段40は、時間間隔記
憶手段61へ出力され補正係数作成手段51で使用され
る時間間隔記憶値StrCss、電流指令作成手段20
を制御する駆動方式切替信号FDrvが作成され出力さ
れる。また、タイマ比較値作成手段40は、第1のタイ
マ70を制御するタイマ比較値CmpTm1と、第1の
スタート割り込み信号StaTm1と、第1のストップ
割り込み信号Stp1Tm1とを出力する。また、タイ
マ比較値作成手段40は、回転角度更新手段71を制御
する回転角度更新リセット割り込み信号Resθと、絶
対回転角度θ0とを作成し出力する。
【0075】次に、図10及び図11に示したフローチ
ャートにより、実施例1におけるタイマ比較値作成手段
40の動作について説明する。ステップ(S401)に
おいて、回転位置信号割り込み信号IntCssの割り
込みにより、タイマ比較値作成手段40を起動する。ス
テップ(S402)において、i+1をiとし、iを一
回転割り込み数NCssで除算したときの剰余をiに代
入する。このステップにおいて、図7における回転位置
割り込み信号IntCssの波形の下にiで示すよう
に、回転位置信号割り込み信号IntCssが入力され
るたびにカウントアップされ、機械角で1回転すると0
にリセットされる。つまり、i=0、1、・・・、NC
ss−1まで変化し、i=NCssにおいて0にリセッ
トされる。実施例1におけるブラシレスモータの磁極数
は4であるため、前述のように一回転割り込み数はNC
ss=12であり、実施例1においてはi=0、1、・
・・、11まで変化し、i=12で0にリセットされ
る。ここで、iは最初の回転位置信号CSUの立ち上が
りによる回転位置信号割り込み信号IntCssが入力
されたとき、i=0となるように初期化する。
【0076】また、ステップ(S402)において、今
回の時間間隔CssCntをi番目の時間間隔記憶値S
trCss[i]とする。また、ステップ(S402)
において、時間間隔総和ZCntと時間間隔CssCn
tの和を時間間隔総和ZCntとする。時間間隔総和Z
Cntは機械角1回転あたりの時間間隔CssCntの
総和を計算するためのものであり、後述するステップ
(S406)において時間間隔の総和として使用され
(CmpTm1←ZCnt/NCss)、後に0にリセ
ットされる(ZCnt←0)。
【0077】さらに、ステップ(S402)において、
時間間隔CssCntとi番目の補正係数記憶値Str
Cor[i]との乗算結果を時間間隔CssCntとす
る。ここで、回転位置信号CSU、CSV、CSWのば
らつきによる時間間隔CssCntのばらつきを補正係
数記憶値StrCorにより補正する。補正係数Str
Corは後述の補正係数作成手段51において作成され
ている。ステップ(S402)において、i番目の絶対
角度記憶値StrθCss[i]を絶対回転角度θ0と
する。i番目の絶対角度記憶値StrθCss[i]
は、後述の補正係数作成手段51において作成されてお
り、i番目の回転位置信号割り込み信号IntCssの
割り込みが入力されたときの絶対的な回転角度が保存さ
れている。
【0078】ステップ(S403)において、時間間隔
CssCntと駆動方式切替時間間隔CssCntDr
vとを比較する。ここで、駆動方式切替時間間隔Css
CntDrvは、ブラシレスモータの回転数が駆動方式
切替回転数ωdrvのときの時間間隔であり、駆動方式
切替回転数ωdrvから計算される。ステップ(S40
3)において、時間間隔CssCntが駆動方式切替時
間間隔CssCntDrvより小さいときステップ(S
404)へ進む。一方、時間間隔CssCntが駆動方
式切替時間間隔CssCntDrvより小さくないと
き、ステップ(S413)へ進む。従って、ステップ
(S404)以下のフロー動作は、ブラシレスモータの
回転数が駆動方式切替回転数ωdrvより大きいとき行
われ、推定回転角度θに基づく正弦波駆動を行う。一
方、ステップ(S413)以下の動作は、ブラシレスモ
ータの回転数が駆動方式切替回転数ωdrvより小さい
とき行われ、回転位置信号CSU、CSV、CSWに基
づく120度通電型矩形波駆動を行う。
【0079】ステップ(S404)において、時間間隔
CssCntと推定方式切替時間間隔CssCntEs
tとを比較する。ここで、推定方式切替時間間隔Css
CntEstは、ブラシレスモータの回転数が推定方式
切替回転数ωestのときの時間間隔であり、推定方式
切替回転数ωestから計算される。ステップ(S40
4)において、時間間隔CssCntが推定方式切替時
間間隔CssCntEstより小さいとき、ステップ
(S405)へ進む。一方、時間間隔CssCntが推
定方式切替時間間隔CssCntEstより小さくない
とき、図11のステップ(S407)へ進む。従って、
ステップ(S405)以下の動作は、ブラシレスモータ
の回転数が推定方式切替回転数ωestより大きいとき
行われ、機械角1回転ごとにタイマ比較値CmpTm1
を作成する。一方、ステップ(S407)以下の動作
は、ブラシレスモータの回転数が推定方式切替回転数ω
estより小さいとき行われ、回転位置信号割り込みI
ntCssごとにタイマ比較値CmpTm1を作成す
る。
【0080】ステップ(S405)において、iと0と
を比較し、それぞれが等しいとき、図11のステップ
(S406)へ進む。一方、iと0が等しくないとき、
図11のステップ(S410)へ進む。従って、ステッ
プ(S406)の動作をするときは、回転位置信号CS
Uの立ち上がりにおける特定の1つであり、機械角1回
転あたり1回動作する。
【0081】ステップ(S406)において、時間間隔
総和ZCntを一回転割り込み数NCssで除算し、そ
の値をタイマ比較値CmpTm1とする。時間間隔総和
ZCntを一回転割り込み数NCssで除算したものは
機械角1回転中の時間間隔の平均であり、個別の時間間
隔CssCntを代入する代わりに、時間間隔の平均値
を用いる。
【0082】ステップ(S406)において、タイマ比
較値CmpTm1は下記式(9)のように補正される。
【0083】 CmpTm1 ← CmpTm1+kz×{ka×(θ−θ0)+Tm1} ・・・ (9)
【0084】なお、式(9)において、Tm1は第1の
タイマ70のタイマ値であり、kaは(CssCntの
平均値)/θstepである。また、θstepは後述
の回転角度更新手段71中のステップ(S712)で用
いられる定数であり、前述の[実施例1の動作の概要]
で説明した逓倍された信号の分解能に相当し、θste
p=60°/(fck1/fck2)である。このよう
に補正することにより、ずれ補正の効果を有する。式
(9)において、kzは機械1回転に1度だけタイマ比
較値CmpTm1を作成するときのずれ補正ゲインであ
り、ka×(θ―θ0)+Tm1はずれを表し、前述の
[実施例1の動作の概要]において説明した式(1)の
αに相当する。
【0085】ステップ(S406)において、時間間隔
総和ZCntに0を代入し、時間間隔総和ZCntを0
にリセットする。ステップ(S407)において、時間
間隔CssCntをタイマ比較値CmpTm1に代入す
る。タイマ比較値CmpTm1を下記式(10)のよう
に補正する。
【0086】 CmpTm1 ← CmpTm1+kcss×{kb×(θ−θ0)+Tm1} ・・・ (10)
【0087】なお、式(10)において、Tm1は第1
のタイマ70のタイマ値であり、kbはCssCnt/
θstepである。このように補正することにより、ず
れ補正の効果を有する。式(10)において、kcss
は回転位置割り込みIntCssが入力されるごとにタ
イマ比較値CmpTm1を作成するときのずれ補正ゲイ
ンであり、kb×(θ―θ0)+Tm1はずれを表し前
述の[実施例1の動作の概要]の式(1)におけるαに
相当する。
【0088】ステップ(S408)において、正弦波駆
動判断フラッグFFirstSinと1を比較する。正
弦波駆動判断フラッグFFirstSinと1が等しい
とき、ステップ(S409)へ進む。一方、正弦波駆動
判断フラッグFFirstSinと1が等しくないと
き、ステップ(S410)へ進む。ステップ(S40
9)において、回転角度更新リセット割り込み信号Re
sθを出力し、正弦波駆動判断フラッグFFirstS
inに0を代入する。
【0089】矩形波駆動から正弦波駆動に切り替わった
ときには、推定回転角度θは不定である。このため、矩
形波駆動から正弦波駆動に切り替わったときに、推定回
転角度θを正しい値にリセットする必要がある。そこ
で、ステップ(S408)、ステップ(S409)、お
よびステップ(S413)において、正弦波判断フラッ
グFFirstSinを用いて、矩形波駆動から正弦波
駆動に切り替わったことを判断し、回転角度更新リセッ
ト割り込み信号Resθを回転角度更新手段71へ出力
する。そして、推定回転角度θを回転位置信号割り込み
信号IntCssの割り込み入力時の絶対的な値(θ0
=StrθCss[i])にリセットする。
【0090】ステップ(S410)において、第1のタ
イマ70の動作を確認し、第1のタイマ70が動作して
いるとき、ステップ(S412)へ進む。一方、第1の
タイマ70の動作が停止しているとき、ステップ(S4
11)へ進む。ステップ(S411)において、停止し
ている第1のタイマ70を動作させるため、タイマスタ
ート割り込み信号StaTm1を出力する。ステップ
(S412)において、駆動方式切替信号FDrvに1
を代入する。駆動方式切替信号をFDrv=1(ハイレ
ベル)とし、推定回転角度θを用いた正弦波駆動するこ
とを電流指令作成手段20に伝える。
【0091】ステップ(S413)において、第1のタ
イマストップ割り込み信号Stp1Tm1を出力する。
第1のタイマ70をストップし、推定回転角度θの作成
を中止する。一方、図10のステップ(S413)にお
いて、駆動方式切替信号FDrvに0を代入する。駆動
方式切替信号をFDrv=0(ローレベル)とし、回転
位置信号CSU、CSV、CSWを用いた120度通電
型矩形波駆動することを電流指令作成手段20に伝え
る。そして、正弦波駆動判断フラッグFFirstSi
nに1を代入する。ステップ(S414)において、タ
イマ比較値作成手段40の動作が終了する。
【0092】図12は実施例1における推定回転角度制
御手段8の第3のタイマ50(図3)の動作を説明する
図である。図12に示すように、第3のタイマ50は、
周波数fck3でカウントアップする。タイマ値Tm3
がある設定された値CmpTm3と等しくなると、第3
のタイマ50は第3のタイマ割り込み信号IntTm3
を出力し、タイマ値Tm3を0にリセットし、再びカウ
ントアップする。
【0093】図13は実施例1における推定回転角度制
御手段8の補正係数作成手段51(図3)の動作を示す
フローチャートである。推定回転角度制御手段8の補正
係数作成手段51は、第3のタイマ50の第3のタイマ
割り込み信号IntTm3により起動され、図13のフ
ローチャートに示す動作を行う。補正係数作成手段51
は、回転数がある程度大きく回転数の変動が小さいと
き、時間間隔記憶値StrCssに基づき、補正係数記
憶値StrCorと絶対角度StrθCssとを作成す
る。
【0094】以下、補正係数作成手段51の動作の詳細
について説明する。ステップ(S511)において、第
3のタイマ割り込み信号IntTm3により、補正係数
作成手段51が起動される。ステップ(S512)にお
いて、時間間隔合計SumCssを計算する。0番目か
ら(NCss−1)番目までの時間間隔記憶値(Str
Css[0]〜StrCss[NCss−1])の総和
を時間間隔合計SumCssとする。
【0095】ステップ(S513)において、時間間隔
合計SumCssとある設定された値SumCorとを
比較する。時間間隔合計SumCssが設定された値S
umCorより小さいとき、ステップ(S514)へ進
む。一方、時間間隔合計SumCssが設定された値S
umCorより小さくないとき、ステップ(S517)
へ進む。このように動作することにより、ブラシレスモ
ータの回転数がある程度大きいときのみ、補正係数を作
成する。
【0096】ステップ(S514)において、時間間隔
合計SumCssと時間間隔合計前回値SumCssB
ackとの差の絶対値を、ある設定された値SumCs
sDiffと比較する。前記絶対値が設定された値Su
mCssDiffより小さいとき、ステップ(S51
5)へ進む。一方、絶対値が設定された値SumCss
Diffより小さくないとき、ステップ(S517)へ
進む。このように動作することにより、ブラシレスモー
タの回転数の変動が小さいときにのみ補正係数を作成す
る。
【0097】ステップ(S515)において、時間間隔
CssCntの平均値は(SumCss/NCss)で
表され、この平均値とi番目の時間間隔記憶値StrC
ss[i]の比をi番目の補正係数記憶値StrCor
[i]とする。ここで、iは0からNCss−1まで変
化させる。ステップ(S516)において、0番目の絶
対角度記憶値StrθCss[0]に0°を代入する。
また、i番目の時間間隔記憶値StrCss[i]と時
間間隔CssCntの平均値SumCss/NCssの
比と60°の乗算結果と、(i−1)番目の絶対角度記
憶値StrθCss[i−1]との和をi番目の絶対角
度記憶値StrθCss[i]とする。ここで、iは1
から(NCss−1)まで変化させる。ステップ(S5
17)において、今回の時間間隔合計値SumCssを
次回の処理時に使用するため、時間間隔合計前回値Su
mCssBackに代入する。ステップ(S518)に
おいて、補正係数作成手段51の動作は終了する。
【0098】図14は実施例1における推定回転角度制
御手段8の第1のタイマ70(図3)の動作を説明する
図である。図14に示すように、第1のタイマ70は、
周波数fck1でカウントアップする。タイマ値Tm1
がタイマ比較値CmpTm1と等しくなると、第1のタ
イマ70は第1のタイマ割り込み信号IntTm1を出
力し、タイマ値Tm1を0にリセットし、再びカウント
アップする。なお、第1のタイマ70は、第1のスター
ト割り込み信号StaTm1で動作を開始し、第1のス
トップ割り込み信号Stp1Tm1、又は第2のストッ
プ割り込み信号Stp2Tm1で動作を停止する。
【0099】図15は実施例1における推定回転角度制
御手段8の回転角度更新手段71(図3)の動作を示す
フローチャートである。回転角度更新手段71は、第1
のタイマ割り込み信号IntTm1により起動され、図
15のフローチャートに示す動作を行う。第1のタイマ
割り込み信号IntTm1が入力されるごとに、推定回
転角度θを進め、異常に進んだときは第2のストップ割
り込み信号Stp2Tm1を出力し、第1のタイマ70
を停止する。
【0100】以下、推定回転角度制御手段8における回
転角度更新手段71(図3)の動作について詳細に説明
する。図15のステップ(S711)において、第1の
タイマ割り込み信号IntTm1が入力されることによ
り、回転角度更新手段71は起動する。ステップ(S7
12)において、推定回転角度θと回転角度ステップθ
stepの和を推定回転角度θに代入する。前述の[実
施例1の動作の概要]で説明したように、回転位置信号
割り込み信号IntCssは第1のタイマ70の周波数
fck1と第2のタイマ31の周波数fck2の比の分
だけ逓倍されるため、回転角度ステップはθstep=
60°/(fck1/fck2)である。
【0101】ステップ(S713)において、推定回転
角度θと絶対回転角度θ0との差とある設定された値θ
allowを比較する。推定回転角度θと絶対回転角度
θ0の差が設定された値θallowより小さいとき、
ステップ(S715)へ進む。一方、推定回転角度θと
絶対回転角度θ0の差が設定された値θallowより
小さくないとき、ステップ(S714)へ進む。ステッ
プ(S714)において、回転角度更新手段71は第2
のストップ割り込み信号Stp2Tm1を第1のタイマ
70へ出力する。
【0102】ステップ(S713)とステップ(S71
4)とにより、推定回転角度θが進み過ぎているとき
は、第2のストップ割り込み信号Stp2Tm1を出力
し、第1のタイマ70を停止させて、推定回転角度θが
さらに進むことを禁止している。なお、図11に示した
タイマ比較値作成手段40のステップ(S410)とス
テップ(S411)において停止した第1のタイマ70
を再び動かすため、回転位置信号割り込み信号IntC
ssにより、前記禁止が解かれ、推定回転角度θが再び
進むことが可能となる。ステップ(S715)におい
て、回転角度更新手段71の動作は終了する。
【0103】また、推定回転角度制御手段8における回
転角度更新手段71は、回転角度更新リセット割り込み
信号Resθにより起動され、図16に示すフローチャ
ートの動作を行う。図16は実施例1における回転角度
更新リセット割り込み信号Resθにより起動される回
転角度更新手段71の動作を示すフローチャートであ
る。タイマ比較値作成手段40が矩形波駆動から正弦波
駆動に切り替わるときに発生する回転角度更新リセット
割り込み信号Resθが回転角度更新手段71に入力さ
れると、回転角度更新手段71は推定回転角度θを絶対
回転角度θ0にリセットする。
【0104】以下、回転角度更新手段71の動作につい
て図16を参照して詳細に説明する。ステップ(S71
6)において、回転角度更新リセット割り込み信号Re
sθにより、回転角度更新手段71が起動される。ステ
ップ(S717)において、絶対回転角度θ0を推定回
転角度θに代入する。ステップ(S718)において、
回転角度更新手段71の動作が終了する。
【0105】[実施例1の効果]次に、実施例1のモー
タ制御装置により実現された効果を説明する。従来のモ
ータ制御装置において、回転位置信号CSU、CSV、
CSWを用いた120度通電型矩形波駆動を行うと、ス
テータ電流iu、iv、iwが歪み、出力トルクの変動
が大きくなり、モータの振動や騒音が大きくなるという
問題があった。そこで、実施例1のモータ制御装置にお
いては、周波数fck2の第2のタイマ31によりカウ
ントアップし、カウントアップして得た時間間隔Css
Cntをタイマ比較値CmpTm1として周波数fck
1の第1のタイマ70を動作させる。第1のタイマ70
の動作により、(fck1/fck2)倍だけ逓倍化し
た信号を作成する。これにより、正弦波状のステータ電
流指令iu*、iv*、iw*を作成し、正弦波状のス
テータ電流iu、iv、iwをステータ巻線に流す。こ
の結果、実施例1によれば、出力トルクの変動が小さ
く、モータの振動や騒音の小さいモータ制御装置を実現
することができる。
【0106】また、従来のモータ制御装置において、実
際の回転角度と推定回転角度θがずれていると、トルク
指令T*のとおりにトルクを出力できないという問題が
あった。そこで、図10及び図11に示したタイマ比較
値作成手段40のステップ(S406)、およびステッ
プ(S407)でずれ補正し、実際の回転角度と推定回
転角度θのずれをなくした。そして、実際の回転角度に
基づいた正弦波状のステータ電流指令iu*、iv*、
iw*を作成し、実際の回転角度に基づいた正弦波状の
ステータ電流iu、iv、iwを流す。この結果、実施
例1によれば、トルク指令T*のとおりの出力トルクを
実現し、出力トルクの変動が小さく、モータの振動や騒
音が小さいモータ制御装置を実現することができる。
【0107】また、従来のモータ制御装置において、ブ
ラシレスモータが停止しているときは、回転位置信号割
り込み信号IntCssが入力されないため、回転角度
を推定できず、さらに、回転速度が小さいときは、第2
のタイマ31がオーバーフローすることがあるため、回
転角度を推定できないという問題があった。そこで、本
発明に係る実施例1のモータ制御装置は、タイマ比較値
作成手段40中のステップ(S403)を動作させ、ブ
ラシレスモータの回転数が駆動方式切替回転数ωdrv
より低いときは120度通電型矩形波駆動を行い、回転
数が高いときは正弦波駆動を行う。これにより、実施例
1のモータ制御装置は、ブラシレスモータを確実に起動
させる。この結果、実施例1によれば、低回転でも確実
にトルクを出力するモータ制御装置を実現することが可
能となる。
【0108】また、従来のモータ制御装置において、ブ
ラシレスモータの回転速度が速くなると、タイマ比較値
作成手段40の計算負荷が大きくなり、計算が終わる前
に次の回転位置信号割り込み信号IntCssが入力さ
れ、回転角度を推定できないという問題があった。そこ
で、タイマ比較値作成手段40中のステップ(S40
4)を動作させ、ブラシレスモータの回転数が推定方式
切替回転数ωestより低いときは回転位置信号割り込
み信号IntCssごとにタイマ比較値CmpTm1を
作成し、回転数が高いときは機械角1回転ごとにタイマ
比較値CmpTm1を作成する。これにより、実施例1
においては、回転数が高くても推定回転角度θを作成
し、正弦波状のステータ電流指令iu*、iv*、iw
*を作成し、そして正弦波状のステータ電流iu、i
v、iwを流すことにより、出力トルクの変動が小さ
く、モータの振動や騒音の小さいモータ制御装置が実現
される。
【0109】また、前述の[実施例1の動作の概要]に
おいて説明したように、従来のモータ制御装置におい
て、ホールICなどの回転位置信号発生器3U、3V、
3W(図1)の出力信号のばらつきや取り付け誤差、回
転位置検出円盤4の着磁のばらつきなどにより、回転位
置信号CSU、CSV、CSWにばらつきが生じること
がある。このため、時間間隔CssCntがばらつき、
推定回転角度θがふらつき、トルクリップルが発生する
という問題があった。そこで、本発明に係る実施例1の
補正係数作成手段51において、補正係数記憶値Str
Corと絶対角度記憶値StrθCssとを作成し、タ
イマ比較値作成手段40中のステップ(S402)にお
いて時間間隔CssCntを補正し、ステップ(S40
6)、およびステップ(S407)において絶対回転角
度θ0として絶対角度記憶値StrθCssを用いるこ
とにより、ふらつきのない推定回転角度θを作成してい
る。この結果、上記実施例1によれば、トルクリップル
なくブラシレスモータを制御するモータ制御装置を実現
することができる。
【0110】また、従来のモータ制御装置において、ブ
ラシレスモータの回転数が急激に低くなると、推定回転
角度θが進みすぎ、出力トルクが小さくなることがあ
る。そこで、図15に示す回転角度更新手段71中のス
テップ(S713)及びステップ(S714)におい
て、推定回転角度θが進みずぎたとき、第2のストップ
割り込み信号Stp2Tm1を出力し、第1のタイマ7
0を停止することにより、推定回転角度θが進みすぎる
のを防止している。この結果、実施例1によれば、ブラ
シレスモータに確実にトルクを出力させるモータ制御装
置を実現することができる。
【0111】《実施例2》次に、本発明のモータ制御装
置の実施例2について添付の図面を参照して説明する。
前述の実施例1では、電流指令を作成した例で示した
が、実施例2のモータ制御装置は3相4極のブラシレス
モータを電圧指令を用いて制御するものである。実施例
2は、電圧指令を作成し、ステータ巻線に電圧指令で表
される電圧を印加するモータ制御装置を説明するもので
ある。実施例1と比較し、実施例2のモータ制御装置は
電流センサ2U、2V、2Wをなくすことにより、低コ
スト化を実現している。
【0112】[実施例2の全体の構成]まず、実施例2
のモータ制御装置の全体の構成について説明する。図1
7は実施例2のモータ制御装置の構成を示すブロック図
である。図17において、実施例2のブラシレスモータ
9の構成は前述の実施例1のブラシレスモータ9と同じ
であり、その説明は省略する。また、実施例2におい
て、前述の実施例1を示した図1、図2及び図3におけ
るものと同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付
して実施例1の説明を援用し、その説明は省略する。
【0113】実施例2のモータ制御装置は、トルク指令
T*を出力するトルク指令設定手段27、駆動方式切替
回転数ωdrvを出力する駆動方式切替回転数設定手段
28、推定方式切替回転数ωestを出力する推定方式
切替回転数設定手段29の3つの設定手段を有してい
る。また、実施例2のモータ制御装置は、推定回転角度
制御手段8、駆動手段2010、電圧指令作成手段20
20、及びトルク/電圧変換手段2025を具備してい
る。
【0114】図17に示すように、推定回転角度制御手
段8は、回転位置信号CSU、CSV、CSW、駆動方
式切替回転数ωdrv、推定方式切替回転数ωestが
入力され、駆動方式切替信号FDrvと推定回転角度θ
とを出力するよう構成されている。トルク/電圧変換手
段2025には、トルク指令設定手段27からのトルク
指令T*が入力され、q軸電圧指令Vq*を電圧指令作
成手段2020へ出力する。電圧指令作成手段2020
は、回転位置信号CSU、CSV、CSW、q軸電圧指
令Vq*、推定回転角度制御手段8からの駆動方式切替
信号FDrv及び推定回転角度θが入力され、ステータ
電圧指令vu*、vv*、vw*を駆動手段2010へ
出力する。駆動手段2010は、ステータ電圧指令vu
*、vv*、vw*が入力され、ステータ巻線1U、1
V、1Wが接続されている。
【0115】図18は実施例2のモータ制御装置におけ
る駆動手段2010の回路構成図である。図18に示す
ように、駆動手段2010は、駆動素子制御手段201
1、電源12、この電源12に並列に接続された電解コ
ンデンサである平滑コンデンサ13、上側IGBT14
U、14V、14W、上側ダイオード15U、15V、
15W、下側IGBT16U、16V、16W、下側ダ
イオード17U、17V、17Wを具備している。
【0116】駆動素子制御手段2011は、ステータ電
圧指令vu*、vv*、vw*が入力され、後述の方法
で上側IGBT14U、14V、14W、下側IGBT
16U、16V、16Wの通電・非通電を制御する。上
側IGBT14U、14V、14Wの各コレクタはそれ
ぞれ電源12の正端子に接続されており、下側IGBT
16U、16V、16Wの各コレクタはそれぞれ上側I
GBT14U、14V、14Wのエミッタとステータ巻
線1U、1V、1Wとに接続されている。また、下側I
GBT16U、16V、16Wのエミッタは電源12の
負端子に接続されている。上側ダイオード15U、15
V、15Wは、それぞれ上側IGBT14U、14V、
14Wに逆並列接続されている。下側ダイオード17
U、17V、17Wは、それぞれ下側IGBT16U、
16V、16Wに逆並列接続されている。
【0117】実施例2の推定回転角度制御手段8の構成
は、前述の実施例1の図3に示した推定回転角度制御手
段8と同じであり、その説明は省略する。
【0118】[実施例2の全体の動作]次に、実施例2
のモータ制御装置の全体の動作について説明する。実施
例2のモータ制御装置において、ブラシレスモータ9、
駆動方式切替回転数設定手段28、推定方式切替回転数
設定手段29、推定回転角度制御手段8、及びトルク指
令設定手段27は前述の実施例1と同じであり、それら
の説明は省略する。
【0119】トルク/電圧変換手段2025は、下記式
(11)のように、トルク指令T*によりq軸電圧指令
Vq*を作成する。式(11)において、K12はある
設定された定数である。
【0120】 Vq* ← K12 × T* ・・・ (11)
【0121】電圧指令作成手段2020は、推定回転角
度制御手段8の駆動方式切替信号FDrvがローレベル
(FDrv=0)のとき、矩形波状のステータ電圧指令
vu*、vv*、vw*を作成し、駆動方式切替信号F
Drvがハイレベル(FDrv=1)のとき、正弦波状
のステータ電圧指令vu*、vv*、vw*を作成す
る。
【0122】以下、電圧指令作成手段2020の動作に
ついて詳細に説明する。図19は、実施例2におけるス
テータ巻線1U、1V、1Wに誘起される誘起電圧Vb
emfU、VbemfV、VbemfWと、回転位置信
号CSU、CSV、CSWと、回転位置信号割り込み信
号IntCssと、矩形波駆動時のステータ電圧指令v
u*、vv*、vw*と、正弦波駆動時のステータ電圧
指令vu*、vv*、vw*との関係を示す波形図であ
る。
【0123】駆動方式切替信号がFDrv=0のとき、
電圧指令作成手段2020は、回転位置信号3U、3
V、3Wとq軸電圧指令Vq*とに基づきそれぞれステ
ータ巻線1U、1V、1Wに印加する矩形波状のステー
タ電圧指令vu*、vv*、vw*(図19の(h)、
(i)、(j))を作成する。ステータ電圧指令vu
*、vv*、vw*は、通電区間が120°で、波高値
がq軸電圧指令Vq*である。ステータ電圧指令vu
*、vv*、vw*とステータ巻線1U、1V、1Wに
誘起される誘起電圧VbemfU、VbemfV、Vb
emfWとは、図19に示す関係を有している。
【0124】具体的には、図19に示すように、区間
(1)の回転位置信号(CSU、CSV、CSW)=
(1、0、1)のとき、ステータ電圧指令を(vu*、
vv*、vw*)=(Vq*、−Vq*、0)とする。
また、区間(2)の回転位置信号(CSU、CSV、C
SW)=(1、0、0)のとき、ステータ電圧指令を
(vu*、vv*、vw*)=(Vq*、0、−Vq
*)とする。区間(3)以下は図19に示すとおりであ
り、このような通電方法は120度通電型矩形波駆動と
呼ばれる。
【0125】駆動方式切替信号がFDrv=1のとき、
電圧指令作成手段2020は、推定回転角度θとq軸電
圧指令Vq*とに基づきそれぞれステータ巻線1U、1
V、1Wに印加する正弦波状のステータ電圧指令vu
*、vv*、vw*(図19の(k)、(l)、
(m))を作成する。ステータ電圧指令vu*、vv
*、vw*は、正弦波状とし、ステータ巻線1U、1
V、1Wに誘起される誘起電圧VbemfU、Vbem
fV、VbemfWより位相を所定角度θadだけ進め
ており、波高値をq軸電圧指令Vq*とする。具体的に
は、下記式(12)、(13)及び(14)によりステ
ータ電圧指令vu*、vv*、vw*が算出される。
【0126】 vu* ← Vq* × sin(θ+30°+θad) ・・・ (12) vv* ← Vq* × sin(θ−90°+θad) ・・・ (13) vw* ← Vq* × sin(θ−210°+θad)・・・ (14)
【0127】図18に示した駆動手段2010はステー
タ巻線1U、1V、1Wにステータ電圧指令vu*、v
v*、vw*で表される電圧を印加する。
【0128】以下、駆動手段2010の動作について詳
細に説明する。電源12は駆動手段2010の電力源で
あり、平滑コンデンサ13は電源12を平滑する。図2
0は実施例2における駆動手段2010の駆動素子制御
手段2011等の回路構成図であり、駆動素子制御手段
2011は増幅器2011aU、2011aV、201
1aW、比較器11bU、11bV、11bW、および
三角波発生回路11cを有している。増幅器2011a
U、2011aV、2011aWは、下記式(15)、
(16)、(17)のように、ステータ電圧指令vu
*、vv*、vw*とある設定された定数Ke2の乗算
結果をそれぞれPWM用電圧eu2、ev2、ew2と
して作成する。
【0129】 eu2 ← Ke2 × vu* ・・・ (15) ev2 ← Ke2 × vv* ・・・ (16) ew2 ← Ke2 × vw* ・・・ (17)
【0130】式(15)、(16)、(17)において
は、比例動作のみを行っているが、比例・積分動作や比
例・積分・微分動作を行ってもよい。特に、ステータ電
圧指令vu*、vv*、vw*の分解能が低く波形が階
段状になるとき、積分動作を含めると、ステータ電圧指
令vu*、vv*、vw*の波形を滑らかにしたのと同
様の効果がある。
【0131】三角波発生回路11cは三角波(数kHz
から数十kHz)を発生する。比較器11bUはPWM
用電圧eu2と三角波を比較する。PWM用電圧eu2
が大きいときは上側IGBT14Uを通電状態とし、下
側IBGT16Uを非通電状態とする。一方、PWM用
電圧eu2が小さいときは上側IBGT14Uを非通電
状態とし、下側IBGT16Uを通電状態とする。な
お、上側IGBTと下側IGBTの通電状態が遷移する
とき、上側IGBTと下側IGBTをともに非通電と
し、駆動電源12の短絡を防ぐための短い移行時間(デ
ットタイム)を設ける。他相についても同様に動作させ
る。その他、実施例2における推定回転角度制御手段8
等の動作は前述の実施例1と同様であるため省略する。
【0132】[実施例2の効果]前述の実施例1では駆
動手段10にステータ電流指令iu*、iv*、iw*
を与える構成であったが、実施例2のモータ制御装置の
ように駆動手段2010にステータ電圧指令vu*、v
v*、vw*を与える構成であっても、実施例1と同様
の効果を実施例2のモータ制御装置は有する。
【0133】《実施例3》次に、本発明のモータ制御装
置の実施例3について添付の図面を参照して説明する。
前述の実施例1及び実施例2ではモータ制御装置がブラ
シレスモータを制御し、回転させているときに、補正係
数作成手段51を起動し、ブラシレスモータの回転数が
ある程度高く、回転数の変動が小さいときに、補正係数
記憶値StrCorと絶対角度記憶値StrθCssと
を作成した例を示した。実施例3のモータ制御装置で
は、ブラシレスモータを外部より回転させ、補正係数作
成手段3051を起動する割り込み信号(IntCo
r)を外部から与えてやり、補正係数記憶値StrCo
rと絶対角度記憶値StrθCssを作成し、不揮発性
メモリに保存する。実施例3のモータ制御装置において
は、再起動時においても最初から補正係数記憶値Str
Corと絶対角度記憶値StrθCssを用いて、ふら
つきのない推定回転角度θを作成し、トルクリップルな
くブラシレスモータを制御するものである。
【0134】[実施例3の全体の構成]まず、実施例3
のモータ制御装置の全体の構成について説明する。図2
1は実施例3のモータ制御装置の構成を示すブロック図
である。図22は実施例3における推定回転角度制御手
段3008等の構成を示すブロック図である。実施例3
において、前述の実施例1におけるものと同じ機能、構
成を有するものには同じ符号を付して、その説明は省略
する。
【0135】実施例3のモータ制御装置は、実施例1の
推定回転角度制御手段8(図3)における補正係数作成
手段51を起動するための第3のタイマ割り込み信号I
ntTm3を発生する第3のタイマ50を削除し、推定
回転角度制御手段3008の外部に補正開始信号作成手
段3050を設け、この補正開始信号作成手段3050
が推定回転角度制御手段3008の内部の補正係数作成
手段3051に補正開始割り込み信号IntCorを出
力するよう構成したものである。
【0136】また、実施例1における補正係数記憶手段
62と絶対角度記憶手段63はRAM領域を用いたが、
実施例3のモータ制御装置では推定回転角度制御手段3
008(図22)の補正係数記憶手段3062と絶対角
度記憶手段3063をPROM、またはフラッシュメモ
リなどの不揮発性メモリの領域を用いている。また、実
施例3のモータ制御装置では補正係数記憶値StrCo
r、および絶対角度記憶値StrθCssの初期化の必
要はない。
【0137】さらに、実施例1においては、一回転割り
込み数NCssが機械角1回転あたりの回転位置信号割
り込み信号IntCss割り込みの数であり、磁極数が
4である場合には一回転割り込み数は12であったが、
実施例3においては、一回転割り込み数NCssが電気
角1回転あたりの回転位置信号割り込み信号IntCs
s割り込みの数として6とする。実施例3におけるその
他の構成は前述の実施例1と同様であり、説明を省略す
る。
【0138】[実施例3の全体の動作]次に、実施例3
のモータ制御装置における動作を説明する。出荷時の検
査時において、外部よりブラシレスモータ9を回転させ
る。十分な時間が経過し、ブラシレスモータ9の回転数
が一定となった後、補正開始信号作成手段3050は補
正開始割り込み信号IntCorを補正係数作成手段3
051へ出力する。このため、補正係数作成手段305
1は起動状態となる。補正係数作成手段3051は、補
正開始割り込み信号IntCorにより起動され、時間
間隔記憶値StrCssに基づき、補正係数記憶値St
rCorと絶対角度記憶値StrθCssとを作成す
る。前述の実施例1ではブラシレスモータ9の回転数と
回転数変動を監視したが、実施例3では監視していな
い。
【0139】以下、補正係数作成手段3051の動作に
ついて図23を用いて詳細に説明する。図23は実施例
3における補正係数作成手段3051の動作を示すフロ
ーチャートである。ステップ(S3511)において、
補正開始割り込み信号IntCorにより、補正係数作
成手段3051が起動される。ステップ(S515)及
び(S516)において、前述の実施例1の図13に示
した補正係数作成手段51のステップ(S515)及び
(S516)の動作と同じ動作が実行される。そのた
め、ここではステップ(S515)及び(S516)の
動作についての説明を省略する。ステップ(S351
8)において、補正係数作成手段3051の動作が終了
する。
【0140】補正係数記憶値StrCorと絶対角度記
憶値StrθCssは、不揮発性メモリの領域に保存さ
れるため、モータ制御装置が停止しているときにも保持
され、起動時から補正係数記憶値StrCorと絶対角
度記憶値StrθCssを用いて回転位置信号CSU、
CSV、CSWのばらつきを補正することができる。実
施例3におけるその他の動作は前述の実施例1と同様で
あり、説明を省略する。
【0141】[実施例3の効果]次に、実施例3のモー
タ制御装置により実現された効果を説明する。回転位置
信号CSU、CSV、CSWのばらつきの原因は、回転
位置信号発生器3U、3V、3WであるホールIC中の
ホール素子のオフセット電圧のばらつきや取り付け誤差
や回転位置検出円盤4の着磁むらである。このため、回
転位置信号発生器3U、3V、3Wに起因するばらつき
は、CSUとCSVのずれなどの回転位置信号CSU、
CSV、CSW同士のばらつきとなり、電気角1回転で
変動する。一方、回転位置検出円盤4に起因するばらつ
きは、回転位置信号CSUの変動などの回転位置信号C
SU、CSV、CSW自身のばらつきとなり、機械角1
回転で変動する。回転位置信号発生器3U、3V、3W
に起因するばらつきが回転位置検出円盤4に起因するば
らつきに比べて大きいとき、ばらつきのほとんどの成分
が電気角1回転で変動するため、機械角1回転ではな
く、電気角1回転で補正することにより大きな効果が得
られる。
【0142】磁極数が4のときは機械角1回転あたり2
つの回転位置信号CSUの立ち上がりがあるため、モー
タ制御装置を再起動したとき特定の立ち上がりを認識で
きない。したがって、機械角1回転で変化するばらつき
の情報を保存しても、回転位置と1対1に対応できな
い。
【0143】しかし、電気角1回転で変化するばらつき
が大きいときは、実施例3のように、あらかじめ補正係
数記憶値StrCorと絶対角度StrθCssとを求
め不揮発性メモリの領域に保存しておけば、再起動後の
最初から回転位置信号CSU、CSV、CSWのばらつ
きを補正できる。
【0144】このように、補正係数作成手段3051に
おいて補正係数記憶値StrCorと絶対角度記憶値S
trθCssを作成し、不揮発メモリに保存し、図10
及び図11に示した実施例1と同様に、タイマ比較値作
成手段40中のステップ(S402)において時間間隔
CssCntを補正し、ステップ(S406)、および
(S407)で絶対回転角度θ0として絶対角度記憶値
StrθCssを用いることにより、ふらつきのない推
定回転角度θを作成する。このため、実施例3によれ
ば、トルクリップルなくブラシレスモータを高精度に駆
動制御することのできるモータ制御装置を実現すること
ができる。なお、前述の実施例1と実施例3の各構成を
組み合わせてモータ制御装置を得ることもできる。ま
た、前述の実施例2と実施例3の各構成を組み合わせて
モータ制御装置を得ることもできる。このようにモータ
制御装置を構成することにより、製品出荷前にモータ制
御装置の時間間隔等を補正することができるともに、製
品稼働時においても常に補正して出力トルクを発生させ
る高精度の電流指令又は電圧指令を用いたモータ制御装
置を得ることができる。
【0145】《実施例4》次に、本発明に係るモータ制
御装置の実施例4について添付の図面を参照して説明す
る。前述の実施例1、実施例2、及び実施例3のモータ
制御装置においては、正弦波状の電流指令iu*、iv
*、iw*、あるいは正弦波状の電圧指令vu*、vv
*、vw*を作成し、ステータ巻線1U、1V、1Wに
正弦波状のステータ電流iu、iv、iwが流れるよう
構成した。実施例4は、回転座標系であるd−q軸上で
電流を制御し、正弦波状のステータ電流iu、iv、i
wを実現するものである。ここで、d軸とはロータの永
久磁石により生ずる磁束と同じ向きの磁束が発生する電
流成分の軸をいう。また、q軸は前記d軸と直交する電
流成分の軸をいう。
【0146】前述の前述の実施例1、実施例2、及び実
施例3は、第1のタイマ70の周波数fck1を第2の
タイマ31の周波数fck2の整数倍で逓倍化し、推定
回転角度θをθstepづつ更新した。実施例4は、推
定回転角度θを電流制御周期ごとに演算により求める。
回転位置信号割り込み信号IntCssが入力されるた
びに進み量Δθを演算し、電流制御周期ごとに推定回転
角度θを進み量Δθだけ進めるものである。以下、実施
例4のモータ制御装置について詳細に説明する。
【0147】[実施例4の全体の構成]まず、本発明の
実施例4のモータ制御装置の全体構成について説明す
る。図24は、実施例4におけるモータ制御装置の構成
を示すブロック図である。図24において、実施例4の
ブラシレスモータ9は、前述の実施例1と同じ構成であ
るため、実施例1の説明を援用して重複する説明を省略
する。
【0148】実施例4のモータ制御装置は、トルク指令
T*を出力するトルク指令設定手段27、駆動方式切替
回転数ωdrvを出力する駆動方式切替回転数設定手段
28、及び推定方式切替回転数ωestを出力する推定
方式切替回転数設定手段29の3つの設定手段を具備し
ている。また、実施例4のモータ制御装置は、トルク/
dq軸電流変換手段4025、電流制御手段4020、
駆動手段2010、推定回転角度進み量作成手段400
8、及びステータ巻線1U、1Vに流れる電流を検知し
てステータ電流値信号iu、ivを電流制御手段402
0へ出力する電流センサ2U、2Vを有している。
【0149】推定回転角度進み量作成手段4008は、
回転位置信号CSU、CSV、CSWと駆動方式切替回
転数ωdrvと推定方式切替回転数ωestと推定回転
角度θと第4のタイマ4210(図25)のタイマ値T
m4とが入力され、駆動方式切替信号FDrvと進み量
Δθと推定回転角度θとが出力される。
【0150】トルク/dq軸電流変換手段4025は、
トルク指令設定手段27のトルク指令T*が入力され、
d軸電流指令Id*とq軸電流指令Iq*とを出力す
る。電流制御手段4020は、回転位置信号CSU、C
SV、CSWとd軸電流指令Id*とq軸電流指令Iq
*と駆動方式切替信号FDrvと進み量Δθと推定回転
角度θとが入力され、ステータ電圧指令vu*、vv
*、vw*を駆動手段2010へ出力し、推定回転角度
θと第4のタイマ4210(図25)のタイマ値Tm4
とを推定回転角度進み量作成手段4008に出力する。
実施例4の駆動手段2010は、前述の実施例2と同様
であり、その説明は省略する。
【0151】図25は、実施例4のモータ制御装置にお
ける電流制御手段4020の構成を示すブロック図であ
る。図25において、電流制御手段4020は、第4の
タイマ4210とステータ電圧指令作成手段4220と
から構成される。第4のタイマ4210は、ある設定さ
れた時間ごとに第4のタイマ割り込み信号IntTm4
をステータ電圧指令作成手段4220に出力する。ま
た、第4のタイマ4210はタイマ値Tm4を推定回転
角度進み量作成手段4008に出力する。ステータ電圧
指令作成手段4220は、第4のタイマ割り込み信号I
ntTm4により起動され、ステータ電流値iu、iv
とd軸電流指令Id*とq軸電流指令Iq*と推定回転
角度θと進み量Δθと回転位置信号CSU、CSV、C
SWと駆動方式切替信号FDrvとが入力され、ステー
タ電圧指令vu*、vv*、vw*と推定回転角度θと
を出力する。このステータ電圧指令作成手段4220
は、正弦波駆動時ステータ電圧指令作成手段4230と
矩形波駆動時ステータ電圧指令作成手段4240とステ
ータ電圧指令選択手段4250とから構成される。
【0152】正弦波駆動時ステータ電圧指令作成手段4
230は、ステータ電流値iu、ivとd軸電流指令I
d*とq軸電流指令Iq*と推定回転角度θと進み量Δ
θとが入力され、正弦波駆動時ステータ電圧指令vu*
1、vv*1、vw*1をステータ電圧指令選択手段4
250に出力し、推定回転角度θを推定回転角度進み量
作成手段4008に出力する。
【0153】矩形波駆動時ステータ電圧指令作成手段4
240は、ステータ電流値iu、ivと回転位置信号C
SU、CSV、CSWとq軸電流指令Iq*とが入力さ
れ、矩形波駆動時ステータ電圧指令vu*2、vv*
2、vw*2をステータ電圧指令選択手段4250に出
力する。ステータ電圧指令選択手段4250は、駆動方
式切替信号FDrvと正弦波駆動時ステータ電圧指令v
u*1、vv*1、vw*1と矩形波駆動時ステータ電
圧指令vu*2、vv*2、vw*2とが入力され、ス
テータ電圧指令vu*、vv*、vw*を駆動手段20
10に出力する。
【0154】図26は実施例4のモータ制御装置におけ
る推定回転角度進み量作成手段4008の構成を示すブ
ロック図である。図26において、推定回転角度進み量
作成手段4008の時間間隔測定手段30は、第2のタ
イマ31を有し、回転位置信号CSU、CSV、CSW
が入力され、回転位置信号割り込み信号IntCssと
時間間隔CssCntとを進み量演算手段4040へ出
力する。時間間隔記憶手段61は進み量演算手段404
0からの時間間隔記憶値StrCssを記憶する。第3
のタイマ50は、ある設定された時間ごとに第3のタイ
マ割り込み信号IntTm3を補正係数作成手段51へ
出力する。補正係数作成手段51は第3のタイマ50の
第3のタイマ割り込み信号IntTm3で起動され、時
間間隔記憶値StrCssが入力され、補正係数記憶値
StrCorと絶対角度記憶値StrθCssとを出力
する。補正係数記憶手段62は補正係数記憶値StrC
orを記憶し、絶対角度記憶手段63は絶対角度記憶値
StrθCssを記憶する。
【0155】進み量演算手段4040は、回転位置信号
割り込み信号IntCssにより起動され、駆動方式切
替回転数ωdrvと推定方式切替回転数ωestと時間
間隔CssCntと補正係数記憶値StrCorと絶対
角度記憶値StrθCssと推定回転角度θと第4のタ
イマ4210のタイマ値Tm4とが入力される。そし
て、進み量演算手段4040は、駆動方式切替信号FD
rvと進み量Δθと推定回転角度θと時間間隔記憶値S
trCssとを出力する。
【0156】[実施例4の動作の詳細]次に、実施例4
のモータ制御装置における全体の動作を説明する。ロー
タ5が回転するとそのロータ5に接続された回転位置検
出円盤4が回転し、回転位置信号発生器3U、3V、3
Wに鎖交する磁束が変化する。ホールICである回転位
置信号発生器3U、3V、3Wは、その磁束量が増幅さ
れ、波形整形された前述の図7に示したような回転位置
信号CSU、CSV、CSWをそれぞれ出力する。図7
において、角度は電気角を表し、回転位置信号CSUの
立ち上がり位置を便宜上0°とする。実施例4のブラシ
レスモータは4極であるため、機械角180°が電気角
360°にあたる(電気角=機械角×(磁極数/
2))。実施例4において、回転位置信号発生器3U、
3V、3Wは互いに電気角で120°づつずれて配置さ
れているため、回転位置信号CSU、CSV、CSWは
互いに電気角で120°づつずれる。また、回転位置信
号発生器3U、3V、3Wは、回転位置信号CSU、C
SV、CSWのゼロクロスの位置がステータ巻線1U、
1V、1Wのそれぞれ誘起される誘起電圧Vbemf
U、VbemfV、VbemfWに比べて、30°遅れ
るよう配置されている。
【0157】駆動方式切替回転数設定手段28は駆動方
式切替回転数ωdrvを設定し、その駆動方式切替回転
数ωdrvを推定回転角度進み量作成手段4008へ出
力する。推定方法切替回転数設定手段29は推定方式切
替回転数ωestを設定し、その推定方式切替回転数ω
estを推定回転角度進み量作成手段4008に出力す
る。推定回転角度進み量作成手段4008は、後述の方
法により、回転位置信号CSU、CSV、CSWと駆動
方式切替回転数ωdrvと推定方式切替回転数ωest
と補正係数記憶値StrCorと絶対角度記憶値Str
θCssと推定回転角度θと第4のタイマ4210のタ
イマ値Tm4に基づき、駆動方式切替信号FDrvと進
み量Δθと推定回転角度θと時間間隔記憶値StrCs
sとを出力する。
【0158】トルク指令設定手段27はトルク指令T*
を設定し、トルク/dq軸電流変換手段4025へ出力
する。トルク/dq軸電流変換手段4025は、下記式
(18)のように、d軸電流指令Id*を0とする。ま
た、前述の実施例1の式(2)と同じように、トルク指
令T*に基づきq軸電流指令Iq*を作成する。
【0159】Id* ← 0 ・・・ (18)
【0160】次に、図25に示した電流制御手段402
0の動作を説明する。電流制御手段4020は、ステー
タ電圧指令vu*、vv*、vw*を制御し、ステータ
巻線1U、1V、1Wに所定の電流を流す。駆動方式切
替信号FDrvがローレベル(FDrv=0)のとき、
矩形波状のステータ電流指令iu*、iv*、iw*を
作成し、ステータ巻線1U、1V、1Wに矩形波状の電
流を流す。駆動方式切替信号FDrvがハイレベル(F
Drv=1)のとき、d軸電流Id、q軸電流がそれぞ
れd軸電流指令Id*、q軸電流指令Iq*になるよう
に制御し、ステータ巻線1U、1V、1Wに正弦波状の
電流を流す。以下、実施例4における電流制御手段40
20における動作の詳細について説明する。
【0161】図27は実施例4における電流制御手段4
020の第4のタイマ4210の動作を説明する図であ
る。図27に示すように、第4のタイマ4210は、周
波数fck4でカウントアップする。タイマ値Tm4が
ある設定された値CmpTm4と等しくなると、第4の
タイマ4210は第4のタイマ割り込み信号IntTm
4を出力し、タイマ値Tm4を0にリセットし、再びカ
ウントアップする。ステータ電圧指令作成手段4220
は、第4のタイマ割り込み信号IntTm4により起動
される。矩形波駆動時ステータ電圧指令作成手段424
0は、矩形波駆動時に使用するステータ電圧指令(矩形
波駆動時ステータ電圧指令)vu*2、vv*2、vw
*2を作成する。以下、その詳細を説明する。
【0162】矩形波電流指令作成手段4241は、回転
位置信号CSU、CSV、CSWとq軸電流指令Iq*
とに基づき、図7の(h)、(i)、(j)に示す矩形
波状のステータ電流指令iu*、iv*、iw*を作成
する。矩形波状のステータ電流指令iu*、iv*、i
w*は、通電区間が120°であり、波高値がq軸電流
指令Iq*であり、ステータ巻線1U、1V、1Wに誘
起される誘起電圧VbemfU、VbemfV、Vbe
mfWとの関係が図7に示す関係を有している。図7に
示すように、区間(1)において回転位置信号(CS
U、CSV、CSW)=(1、0、1)のとき、矩形波
状のステータ電流指令(iu*、iv*、iw*)=
(Iq*、−Iq*、0)とする。また、区間(2)に
おける回転位置信号(CSU、CSV、CSW)=
(1、0、0)のとき、矩形波状のステータ電流指令
(iu*、iv*、iw*)=(Iq*、0、−Iq
*)とする。区間(3)以下は図7に示すとおりであ
り、このような通電方法は120度通電型矩形波駆動と
呼ばれる。
【0163】そして、下記式(19)のように、ステー
タ電流指令iu*からステータ電流値iuを減算したも
のを比例ゲインKPK、積分ゲインKIKで比例積分し
たものを矩形波駆動時ステータ電流指令vu*2とす
る。V相についても同様に、下記式(20)のようにす
る。また、W相については、下記式(21)のように、
ステータ電流iuとivとの加算結果を符号を変えたも
のをW相のステータ電流iwとして使用する。
【0164】 vu*2 ← (KPK+KIK/s)×(iu*−iu) ・・・(19) vv*2 ← (KPK+KIK/s)×(iv*−iv) ・・・(20) vw*2 ← (KPK+KIK/s)×[iw*−{−(iu+iv)}] ・・・ (21) 実施例4において、sはラプラス演算子であり、1/s
は積分を表す。
【0165】正弦波駆動時ステータ電圧指令作成手段4
230は、正弦波駆動時に使用するステータ電圧指令
(正弦波駆動時ステータ電圧指令)vu*1、vv*
1、vw*1を作成する。
【0166】以下、実施例4における正弦波駆動時ステ
ータ電圧指令作成手段4230の詳細について説明す
る。推定回転角度制御手段4231は、推定回転角度θ
に進み量Δθを加算し、新しい推定回転角度θとする。
3/2変換手段4232は、下記式(22)、(23)
のように、ステータ電流iu、ivと推定回転角度θと
に基づき、d軸電流Id、q軸電流Iqを作成する。こ
こで、q軸電流Iqとは、ステータ巻線1U、1V、1
Wに流れる電流のうち、逆起電圧VbemfU、Vbe
mfV、VbemfWと同一の位相をもつ電流の成分で
ある。また、d軸電流Idを、q軸電流よりも90°位
相が遅れた成分であると定義する。
【0167】
【数1】
【0168】そして、下記式(24)のように、d軸電
流指令Id*からd軸電流Idを減算したものを比例ゲ
インKPD、積分ゲインKIDで比例積分したものをd
軸電圧指令Vd*とする。また、q軸電流指令Iq*か
らq軸電流Iqを減算したものを比例ゲインKPQ、積
分ゲインKIQで比例積分したものをq軸電圧指令Vq
*とする。
【0169】 Vd* ← (KPD+KID/s)×(Id*−Id) ・・・(24) Vq* ← (KPQ+KIQ/s)×(Iq*−Iq) ・・・(25)
【0170】2/3変換手段4233は、下記式(2
6)(27)(28)のように、d軸電圧指令Vd*と
q軸電圧指令Vq*と推定回転角度θとに基づき、正弦
波駆動時ステータ電圧指令vu*、vv*、vw*を作
成する。
【0171】 vu* ← − Vd* × cos(θ+30°) + Vq* × sin(θ+30°) ・・・(26) vv* ← − Vd* × cos(θ−90°) + Vq* × sin(θ−90°) ・・・(27) vw* ← − Vd* × cos(θ−210°) + Vq* × sin(θ−210°) ・・・(28)
【0172】ステータ電圧指令選択手段4250は、駆
動切替信号FDrv=0で矩形波駆動をするとき、矩形
波駆動時ステータ電圧指令vu*2、vv*2、vw*
2をステータ電圧指令vu*、vv*、vw*とする。
一方、駆動切替信号FDrv=1で正弦波駆動をすると
き、正弦波駆動時ステータ電圧指令vu*1、vv*
1、vw*1をステータ電圧指令vu*、vv*、vw
*とする。実施例4におけるステータ巻線1U、1V、
1Wに適切な電力を供給する駆動手段2010は、前述
の実施例2と同様であるため、その説明を省略する。
【0173】[推定回転角度進み量作成手段4008の
動作]次に、図26に示した推定回転角度進み量作成手
段4008の動作について説明する。時間間隔測定手段
30、第3のタイマ50、補正係数作成手段51、時間
間隔記憶手段61、補正係数記憶手段62、及び絶対角
度記憶手段63の動作は前述の実施例1と同様であり、
その説明を省略する。
【0174】図28及び図29は、実施例4の推定回転
角度進み量作成手段4008における進み量演算手段4
040の動作を示すフローチャートである。進み量演算
手段4040は、回転位置信号割り込み信号IntCs
sにより起動され、図28及び図29に示す動作を行
う。図26に示したように、進み量演算手段4040に
は、時間間隔CssCnt、駆動方式切替回転数ωdr
v、推定方式切替回転数ωest、補正係数記憶値St
rCor、絶対角度記憶値StrθCss、推定回転角
度θ、及び第4のタイマ4210のタイマ値Tm4が入
力される。これらの値に基づき、進み角演算手段404
0は、時間間隔記憶手段61で記憶され補正係数作成手
段51で使用される時間間隔記憶値StrCssを出力
する。また、進み量演算手段4040は、電流制御手段
4020を制御する駆動方式切替信号FDrv、進み量
Δθ、及び推定回転角度θが作成され出力される。
【0175】次に、図28及び図29に示したフローチ
ャートにより、実施例4における進み量演算手段404
0の動作について説明する。ステップ(S4401)に
おいて、回転位置信号割り込み信号IntCssの割り
込みにより、進み量演算手段4040を起動する。ステ
ップ(S402)の動作は実施例1と同様であり、説明
を省略する。ステップ(S4403)において、時間間
隔CssCntと駆動方式切替時間間隔CssCntD
rvとを比較する。ここで、駆動方式切替時間間隔Cs
sCntDrvは、ブラシレスモータの回転数が駆動方
式切替回転数ωdrvのときの時間間隔であり、駆動方
式切替回転数ωdrvから計算される。ステップ(S4
403)において、時間間隔CssCntが駆動方式切
替時間間隔CssCntDrvより小さいときステップ
(S4404)へ進む。一方、時間間隔CssCntが
駆動方式切替時間間隔CssCntDrvより小さくな
いとき、ステップ(S4413)へ進む。
【0176】したがって、ステップ(S4404)以下
のフロー動作は、ブラシレスモータの回転数が駆動方式
切替回転数ωdrvより大きいとき行われ、推定回転角
度θによる正弦波駆動を行う。一方、ステップ(S44
13)以下のフロー動作は、ブラシレスモータの回転数
が駆動方式切替回転数ωdrvより小さいとき行われ、
回転位置信号CSU、CSV、CSWによる120度通
電型矩形波駆動を行う。ステップ(S4404)におい
て、時間間隔CssCntと推定方式切替時間間隔Cs
sCntEstとを比較する。ここで、推定方式切替時
間間隔CssCntEstは、ブラシレスモータの回転
数が推定方式切替回転数ωestのときの時間間隔であ
り、推定方式切替回転数ωestから計算される。ステ
ップ(S4404)において、時間間隔CssCntが
推定方式切替時間間隔CssCntEstより小さいと
き、ステップ(S4405)へ進む。一方、時間間隔C
ssCntが推定方式切替時間間隔CssCntEst
より小さくないとき、図29のステップ(S4407)
へ進む。
【0177】したがって、ステップ(S4405)以下
の動作は、ブラシレスモータの回転数が推定方式切替回
転数ωestより大きいとき行われ、機械角1回転ごと
に進み量Δθを作成する。一方、ステップ(S440
7)以下の動作は、ブラシレスモータの回転数が推定方
式切替回転数ωestより小さいとき行われ、回転位置
信号割り込みIntCssごとに進み量Δθを作成す
る。ステップ(S4405)において、iと0とを比較
し、それぞれが等しいとき、図29のステップ(S44
06)へ進む。一方、iと0が等しくないとき、図29
のステップ(S4410)へ進む。従って、ステップ
(S4406)の動作をするときは、回転位置信号CS
Uの立ち上がりにおける特定の1つであり、機械角1回
転あたり1回動作する。ステップ(S4406)におい
て、下記式(30)のように、時間間隔総和ZCntを
一回転割り込み数NCssで除算し、その値に1次ディ
ジタルLPF(ローパスフィルタ)を作用させたものを
LPF後時間間隔LpfCssCntとする。ここで、
klzは0から1までのある値に設定されたローパスフ
ィルタの係数であり、klzが小さくなればなるほど、
LPFの作用が大きくなる。また、時間間隔総和ZCn
tを一回転割り込み数NCssで除算したものは機械角
1回転中の時間間隔の平均であり、個別の時間間隔Cs
sCntにLPFを作用させる代わりに、時間間隔の平
均値を用いる。
【0178】 LpfCssCnt ← klz・Zcnt/NCss + (1−klz)・LpfCssCnt ・・・ (30)
【0179】ステップ(S4406)において、下記式
(31)のように、ずれ量Zureを演算する。電流制
御手段4020の推定回転角度制御手段4231(図2
5)において、推定回転角度θは電流制御周期ごと(第
4のタイマ割り込み信号IntTm4が発生するごと)
に進み量Δθだけ進められる。最後の電流制御時(最後
の第4のタイマ割り込み信号IntTm4が入力された
とき)から、回転位置信号割り込み信号IntCssが
入力され進み量演算手段4040(図26)が起動され
るまで時間が経過しているため、ずれ量Zureを評価
するにあたり、推定回転角度θをそのまま用いると誤差
が生じる。そのため、第4のタイマ4210のタイマ値
Tm4と設定値CmpTm4との比に進み量Δθを乗じ
た結果を推定回転角度θに加算したもの(θ+Δθ・T
m4/CmpTm4)をその時点での推定した回転角度
となる。したがって、ずれ量Zureはこの加算結果か
ら絶対回転角度θ0を減算したものとなる。なお、下記
式(31)で用いられる進み量Δθは、前回の回転位置
信号割り込み信号IntCssが入力されたときに求め
られたものである。
【0180】 Zure ← θ +Δθ・Tm4/CmpTm4 −θ0 ・・・ (31)
【0181】ステップ(S4406)において、下記式
(32)のように、進み量Δθは演算される。理想的に
60°おきに回転位置信号割り込み信号IntCssが
入力されるときを考える。ロータ5が電気角で60°進
むのに要する時間は、時間間隔CssCntを周波数f
ck2で除算(CssCnt/fck2)したものであ
る。一方、電流制御周期(第4のタイマ割り込み信号I
ntTm4が入力される周期)は、設定値CmpTm4
を周波数fck4で除算(CmpTm4/fck4)し
たものである。したがって、進み量Δθは前者の時間に
対する後者の時間の比に60°を乗じたもの(60°・
(CmpTm4/fck4)/(CssCnt/fck
1))となる。ここで、60°・CmpTm4・fck
1/fck4=kdθと定義すると、進み量Δθは、Δ
θ=kdθ/CssCntと表される。実施例4では、
時間間隔CssCntにずれ補正kz2・Zureを加
算することによりずれ補正を行っている。絶対回転角度
θ0より推定回転角度θが進んでいるとき、ずれ量Zu
reは正となる。このとき、進み量Δθを小さくするよ
うに補正する。一方、絶対回転角度θ0より推定回転角
度θが遅れているとき、ずれ量Zureは負となる。こ
のとき、進み量Δθを大きくするように補正する。ここ
で、kz2は機械1回転に1度だけ進み量Δθを作成す
るときのずれ補正ゲインである。また、ずれ量Zure
は前述の[実施例1の動作の概要]において説明した式
(1)のαに比例する。さらに、実施例4では、時間間
隔CssCntをそのまま使用せず、1次ディジタルL
PF(ローパスフィルタ)を作用させたLPF後時間間
隔LpfCssCntを使用する。
【0182】 Δθ ← kdθ / (LpfCssCnt + kz2・Zure) ・・・ (32)
【0183】ステップ(S4406)において、時間間
隔総和ZCntに0を代入し、時間間隔総和ZCntを
0にリセットする。ステップ(S4407)において、
下記式(33)のように、時間間隔CssCntに1次
ディジタルLPF(ローパスフィルタ)を作用させたも
のをLPF後時間間隔LpfCssCntとする。ここ
で、klcssは0から1までのある値に設定されたロ
ーパスフィルタの係数である。
【0184】 LpfCssCnt ← klcss・CssCnt + (1−klcss)・LpfCssCnt ・・・ (33)
【0185】ステップ(S4407)において、式(3
1)のように、ずれ量Zureを演算する。ステップ
(S4407)において、下記式(34)のように、進
み量Δθを演算する。実施例4では、時間間隔CssC
ntにkcss2・Zureを加算することによりずれ
補正を行っている。絶対回転角度θ0より推定回転角度
θが進んでいるとき、ずれ量Zureは正となる。この
とき、進み量Δθを小さくするように補正する。一方、
絶対回転角度θ0より推定回転角度θが遅れていると
き、ずれ量Zureは負となる。このとき、進み量Δθ
を大きくするように補正する。ここで、kcss2は回
転位置割り込み信号IntCssが入力されるごとに進
み量Δθを作成するときのずれ補正ゲインであり、ずれ
量Zureは前述の[実施例1の動作の概要]において
説明した式(1)のαに比例する。さらに、実施例4で
は、時間間隔CssCntをそのまま使用せず、第1次
ディジタルLPFを作用させたLPF後時間間隔Lpf
CssCntを使用する。
【0186】 Δθ ← kdθ / (LpfCssCnt + kcss2・Zure) ・・・ (34)
【0187】ステップ(S4408)において、正弦波
駆動判断フラッグFFirstSinと1を比較する。
正弦波駆動判断フラッグFFirstSinと1が等し
いとき、ステップ(S4409)へ進む。一方、正弦波
駆動判断フラッグFFirstSinと1が等しくない
とき、ステップ(S4410)へ進む。ステップ(S4
409)において、推定回転角度θに絶対回転角度θ0
を代入し、正弦波駆動判断フラッグFFirstSin
に0を代入する。
【0188】矩形波駆動から正弦波駆動に切り替わった
ときには推定回転角度θは不定である。このため、矩形
波駆動から正弦波駆動に切り替わったときに、推定回転
角度θを正しい値にリセットする必要がある。そこで、
ステップ(S4408)、ステップ(S4409)、お
よびステップ(S4413)において、正弦波判断フラ
ッグFFirstSinを用いて、矩形波駆動から正弦
波駆動に切り替わったことを判断し、推定回転角度θに
絶対回転角度θ0を代入する。
【0189】ステップ(S4410)において、下記式
(34)から(36)のように、推定回転角度θを制限
する。式(34)に示すように、推定回転角度θから絶
対回転角度θ0を減じた結果が−θallowより小さ
いとき、絶対回転角度θ0からθallowを減じた結
果を推定回転角度θとする。一方、式(36)に示すよ
うに、推定回転角度θから絶対回転角度θ0を減じた結
果がθallowより大きいとき、絶対回転角度θ0に
θallowを加えた結果を推定回転角度θとする。上
記以外の状態のとき、推定回転角度θは制限されない
(式(35))。ここで、θallowは制限幅を示す
ある設定された値である。
【0190】 θ = θ0 − θallow ((θ−θ0) < −θallowのとき) ・・・ (34) θ = θ (−θallow ≦ (θ−θ0) < θallowのとき) ・・・ (35) θ = θ0 + θallow ((θ−θ0) ≧ θallowのとき) ・・・ (36)
【0191】ステップ(S4412)において、駆動方
式切替信号FDrvに1を代入する。駆動方式切替信号
をFDrv=1(ハイレベル)とし、推定回転角度θを
用いた正弦波駆動を行うことを電流制御手段4020に
伝える。一方、ステップ(S4413)においては、駆
動方式切替信号FDrvに0を代入する。駆動方式切替
信号をFDrv=0(ローレベル)とし、回転位置信号
CSU、CSV、CSWを用いた120度通電型矩形波
駆動することを電流制御手段4020に伝える。そし
て、正弦波駆動判断フラッグFFirstSinに1を
代入する。
【0192】ステップ(S4414)において、進み量
作成手段4040の動作は終了する。
【0193】[実施例4の効果]次に、実施例4のモー
タ制御装置により実現された効果を説明する。従来のモ
ータ制御装置において、回転位置信号CSU、CSV、
CSWを用いた120度通電型矩形波駆動を行うと、ス
テータ電流iu、iv、iwが歪み、出力トルクの変動
が大きくなり、モータの振動や騒音が大きくなるという
問題があった。そこで、実施例4のモータ制御装置にお
いては、回転位置信号割り込み信号IntCssが入力
されるたびに進み量Δθを作成し、電流制御周期(第4
のタイマ割り込み信号IntTm4が入力される周期)
ごとに推定回転角度θを進み量Δθだけ進め、dq軸上
で電流を制御する。これにより、正弦波状のステータ電
流iu、iv、iwをステータ巻線に流す。この結果、
実施例4によれば、出力トルクの変動が小さく、モータ
の振動や騒音の小さいモータ制御装置を実現することが
できる。
【0194】また、従来のモータ制御装置においては、
実際の回転角度と推定回転角度θがずれていると、トル
ク指令T*のとおりにトルクを出力できないという問題
があった。そこで、図28及び図29に示した実施例4
の進み量演算手段4040のステップ(S4406)、
およびステップ(S4407)においてずれ補正し、実
際の回転角度と推定回転角度θのずれをなくした。そし
て、dq軸上で電流を制御し、実際の回転角度に基づい
た正弦波状のステータ電流iu、iv、iwを流す。こ
の結果、実施例4によれば、トルク指令T*のとおりの
出力トルクを実現し、出力トルクの変動が小さく、モー
タの振動や騒音が小さいモータ制御装置を実現すること
ができる。
【0195】また、従来のモータ制御装置において、ブ
ラシレスモータが停止しているときは、回転位置信号割
り込み信号IntCssが入力されないため、回転角度
を推定できず、さらに、回転速度が小さいときは、第2
のタイマ31がオーバーフローすることがあるため、回
転角度を推定できないという問題があった。そこで、本
発明に係る実施例4のモータ制御装置は、進み量演算手
段4040中のステップ(S4403)を動作させ、ブ
ラシレスモータの回転数が駆動方式切替回転数ωdrv
より低いときは120度通電型矩形波駆動を行い、回転
数が高いときは正弦波駆動を行うことにより、モータ制
御装置はブラシレスモータを確実に起動させる。この結
果、実施例4によれば、低回転でも確実にトルクを出力
するモータ制御装置を実現することが可能となる。
【0196】また、従来のモータ制御装置において、ブ
ラシレスモータの回転速度が速くなると、進み量演算手
段4040の計算負荷が大きくなり、計算が終わる前に
次の回転位置信号割り込み信号IntCssが入力さ
れ、回転角度を推定できないという問題があった。そこ
で、実施例4の進み量演算手段4040においてステッ
プ(S4404)を動作させ、ブラシレスモータの回転
数が推定方式切替回転数ωestより低いときは回転位
置信号割り込み信号IntCssごとに進み量Δθを作
成し、回転数が高いときは機械角1回転ごとに進み量Δ
θを作成している。これにより、実施例4によれば、回
転数が高くても推定回転角度θを作成し、dq軸上で電
流制御し、正弦波状のステータ電流iu、iv、iwを
流すことにより、出力トルクの変動が小さく、モータの
振動や騒音の小さいモータ制御装置を実現する。
【0197】また、前述の[実施例1の動作の概要]に
おいて説明したように、従来のモータ制御装置におい
て、ホールICなどの回転位置信号発生器3U、3V、
3W(図1)の出力信号のばらつきや取り付け誤差、回
転位置検出円盤4の着磁のばらつきなどにより、回転位
置信号CSU、CSV、CSWにばらつきが生じること
がある。このため、時間間隔CssCntがばらつき、
推定回転角度θがふらつき、トルクリップルが発生する
という問題があった。そこで、本発明に係る実施例4の
補正係数作成手段51において、補正係数記憶値Str
Corと絶対角度記憶値StrθCssを作成し、進み
量演算手段4040におけるステップ(S402)にお
いて時間間隔CssCntを補正し、ステップ(S44
06)、およびステップ(S4407)において絶対回
転角度θ0として絶対角度記憶値StrθCssを用い
ることにより、ふらつきのない推定回転角度θを作成し
ている。この結果、上記実施例4によれば、トルクリッ
プルなくブラシレスモータを制御するモータ制御装置を
実現することができる。
【0198】また、従来のモータ制御装置において、ブ
ラシレスモータの回転数が急激に低くなると、推定回転
角度θが進みすぎ、出力トルクが小さくなることがあ
る。そこで、進み量演算手段4040におけるステップ
(S4410)において、推定回転角度θを制限するこ
とにより、推定回転角度θが大幅にずれることを防止し
ている。この結果、実施例4によれば、ブラシレスモー
タに確実にトルクを出力させるモータ制御装置を実現す
ることができる。
【0199】また、前述の実施例1、実施例2、及び実
施例3において、回転位置信号割り込み信号IntCs
sを逓倍化し、推定回転角度θをθstepごとに進め
たため、推定回転角度θの分解能はθstepであっ
た。したがって、分解能を上げるためには、逓倍数を大
きくしなければならないが、第1のタイマ割り込み信号
IntTm1が多くなり、CPUの負荷が大きくなるた
め、ある程度以上は大きくできず、推定回転角度θの分
解能には限界があった。そこで、実施例4の進み量演算
手段4040において進み量Δθを作成し、電流制御手
段4020の推定回転角度制御手段4231において推
定回転角度θを進み量Δθだけ進めることにより、分解
能を上げることができる。そして、さらにきれいな正弦
波状のステータ電流iu、iv、iwを実現し、さらに
トルクリップルを小さくしてブラシレスモータを制御す
るモータ制御装置を実現することができる。
【0200】また、前述の実施例1、実施例2、及び実
施例3においては、時間間隔CssCntをそのまま用
いたため、回転位置信号CSU、CSV、CSWにノイ
ズがのったとき、推定回転角度θが大きくずれ、出力ト
ルクが急変することがあった。そこで、実施例4の進み
量演算手段4040においては、進み量Δθを求めると
き、ローパスフィルタを作用させた時間間隔CssCn
tを用いることにより、ノイズの影響を少なくしてい
る。したがって、回転位置信号CSU、CSV、CSW
にノイズがのっても、安定したトルクを出力するモータ
の制御装置を実現することができる。
【0201】また、前述の実施例1、実施例2、及び実
施例3において、補正係数記憶値StrCorと絶対角
度記憶値StrθCssが収束するまでは、回転位置信
号CSU、CSV、CSWのばらつきにより、推定回転
角度θがばらつき、トルクリップルが発生することがあ
った。そこで、実施例4の進み量演算手段4040にお
いて進み量Δθを求めるとき、時間間隔CssCntに
ローパスフィルタを作用させ、ずれ量Zureを求め進
み量Δθを補正することにより、連続的に推定回転角度
θを変化させている。したがって、補正係数記憶値St
rCorと絶対角度記憶値StrθCssが収束してい
ないときも、トルクリップルを小さくしてブラシレスモ
ータを制御するモータ制御装置を実現することができ
る。なお、前述の実施例3と実施例4の各構成を組み合
わせてモータ制御装置を得ることもできる。このように
モータ制御装置を構成することにより、製品出荷前にモ
ータ制御装置の時間間隔等を補正することができるとと
もに、製品稼働時においても常に補正して安定した出力
トルクを発生させることができる高精度の電流指令を用
いたモータ制御装置を得ることができる。
【0202】《実施例5》次に、本発明のモータ制御装
置の実施例5について添付の図面を参照して説明する。
前述の実施例4では、ある周期ごとに電流制御を行うモ
ータ制御装置の例を示したが、実施例5のモータ制御装
置はある周期ごとに電圧制御するものである。実施例5
のモータ制御装置は、簡単な構成の電圧制御手段502
0を用い、実施例4において用いた電流センサ2U、2
Vを削除して低コスト化を図ったものである。
【0203】[実施例5の構成と動作]まず、実施例5
のモータ制御装置の全体の構成について説明する。図3
0は実施例5のモータ制御装置の構成を示すブロック図
である。図30において、ブラシレスモータ9と推定回
転角度進み量作成手段4008とトルク指令設定手段2
7と駆動方式切替回転数設定手段28と推定方式切替回
転数設定手段29とは前述の実施例4と同様であり、実
施例4の説明を援用して、その説明を省略する。また、
実施例5においては、実施例4と比較して、トルク/d
q軸電流指令変換手段4025と電流制御手段4020
とがそれぞれトルク/dq軸電圧変換手段5025と電
圧制御手段5020とに置き換わっている。
【0204】トルク/dq軸電圧変換手段5025に
は、トルク指令設定手段27のトルク指令T*が入力さ
れる。トルク/dq軸電圧変換手段5025は、下記式
(37)のように、d軸電圧指令Vd*を0とする。前
述の実施例2の式(11)のように、トルク指令T*に
基づきq軸電圧指令Vq*を作成する。そして、電圧制
御手段5020にd軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令V
q*とを出力する。
【0205】Vd* ← 0 ・・・ (37)
【0206】電圧制御手段5020には、回転位置信号
CSU、CSV、CSWとd軸電圧指令Vd*とq軸電
圧指令Vq*と駆動方式切替信号FDrvと進み量Δθ
と推定回転角度θが入力される。そして、電圧制御手段
5020は、ステータ電圧指令vu*、vv*、vw*
を駆動手段2010へ出力し、推定回転角度θと第4の
タイマ4210(図25)のタイマ値Tm4とを推定回
転角度進み量作成手段4008に出力する。
【0207】図31は、実施例5のモータ制御装置にお
ける電圧制御手段5020の構成を示すブロック図であ
る。図31において、電圧制御手段5020は、第4の
タイマ4210とステータ電圧指令作成手段5220と
から構成される。第4のタイマ4210は、前述の実施
例4と同じであるため、実施例4の説明を援用し、重複
する説明を省略する。
【0208】ステータ電圧指令作成手段5220は、第
4のタイマ割り込み信号IntTm4により起動され、
d軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令Vq*と推定回転角
度θと進み量Δθと回転位置信号CSU、CSV、CS
Wと駆動方式切替信号FDrvが入力される。そして、
ステータ電圧指令作成手段5220は、ステータ電圧指
令vu*、vv*、vw*と推定回転角度θとを出力す
る。ステータ電圧指令作成手段5220は、正弦波駆動
時ステータ電圧指令作成手段5230と矩形波駆動時ス
テータ電圧指令作成手段5240とステータ電圧指令選
択手段4250とから構成される。
【0209】矩形波駆動時ステータ電圧指令作成手段5
240は、回転位置信号CSU、CSV、CSWとq軸
電圧指令Vq*が入力され、矩形波駆動時に使用するス
テータ電圧指令(矩形波駆動時ステータ電圧指令)vu
*2、vv*2、vw*2を作成する。矩形波駆動時ス
テータ電圧指令vu*2、vv*2、vw*2は、前述
の実施例2において矩形波駆動時に作成されるステータ
電圧指令vu*、vv*、vw*と同様のものである。
したがって、矩形波駆動時ステータ電圧指令vu*2、
vv*2、vw*2の説明はここでは省略する。
【0210】正弦波駆動時ステータ電圧指令作成手段5
230には、前述の実施例4における正弦波駆動時ステ
ータ電圧指令値作成手段4230の推定回転角度制御手
段4231と2/3変換手段4233とが設けられてい
る。また、実施例5においては、トルク/dq軸電圧変
換手段5025で作成されたd軸電圧指令Vd*とq軸
電圧指令Vq*が直接2/3変換手段4233に入力さ
れるよう構成されている以外は前述の実施例4と同様の
構成である。したがって、正弦波駆動時ステータ電圧指
令作成手段5230の説明はここでは省略する。ステー
タ電圧指令選択手段4250は、前述の実施例4と同様
であり、その説明を省略する。
【0211】[実施例5の効果]実施例5においても回
転位置信号割り込み信号IntCssごとに進み量Δθ
を演算し、電圧制御手段5040において電圧制御周期
ごと(第4のタイマ割り込み信号IntTm4が入力さ
れるごと)に推定回転角度θを進めることにより、前述
の実施例4で実現された効果と同様の効果を実現する。
【0212】なお、前述の実施例3と実施例5の各構成
を組み合わせてモータ制御装置を得ることもできる。こ
のようにモータ制御装置を構成することにより、製品出
荷前にモータ制御装置の時間間隔等を補正することがで
きるとともに、製品稼働時においても常に補正して出力
トルクを安定して発生させることができる高精度の電圧
指令を用いたモータ制御装置を得ることができる。ま
た、前述の実施例4及び実施例5において、図28に示
したステップ(S402)で、時間間隔CssCntを
補正するCSばらつき補正を行った。ここで、本質的に
時間間隔CssCntを補正する動作があれば、本発明
に含まれる。例えば、図29に示したステップ(S44
07)において、kdθを補正する構成でもよい。
【0213】前述の実施例1から実施例5においては、
補正係数記憶値StrCorと絶対位置記憶値Strθ
Cssの両方を用いて制御した。しかし、本発明のモー
タ制御装置は、どちらか一方だけを記憶し、使用すると
きに、他方を計算して求めてもよい。両方を記憶すると
演算時間を短くすることができる効果があり、片方を記
憶すると記憶領域を小さくすることができる効果があ
る。このように、補正係数として、少なくとも回転角度
の比(補正係数記憶値StrCor)と回転位置自身
(絶対位置記憶値StrθCss)との1つを用いれば
よく、本発明のモータ制御装置は少なくともどちらかが
記憶されている構成であればよい。
【0214】前述の実施例1から実施例5において、回
転位置信号CSU、CSV、CSWの全てのエッジ間の
時間を時間間隔として測定し、全てのエッジ発生時で処
理を行った例で示したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、例えば、エッジの1つおきで時間間隔を測
定し、処理を行ったり、立ち上がりエッジのみで時間間
隔を測定し、処理を行ってもよい。このようにすること
により、演算処理時間を短くすることができ、演算速度
の遅いCPUを用いたときも、制御を行うことができ
る。
【0215】前述の実施例1から実施例5において、図
10及び図11に示したタイマ比較値作成手段40、又
は図28及び図29に示した進み量演算手段4040中
のステップ(S403)、(S4403)において駆動
方式切替回転数ωdrvにより駆動方式を切り替えたの
ち、ステップ(S404)、(S4404)において推
定方式切替回転数ωestにより推定方式を切り替えた
が、ステップ(S403)、(S4403)と(S40
4)(S4404)の順序を入れ替えてもよい。このよ
うに処理することにより、特に、回転数が高いとき、判
断の処理が少なくなるため有効である。
【0216】前述の実施例1、実施例2、実施例4、及
び実施例5において、図13に示した補正係数作成手段
51のステップ(S513)において、ある程度回転数
が高いときに、補正係数記憶値StrCorと絶対角度
記憶値StrθCssとを作成したが、回転数がある範
囲にあるときに、補正係数記憶値StrCorと絶対角
度記憶値StrθCssとを作成してもよい。特に、あ
る特定の回転数において共振が発生する場合、この回転
数範囲を避ける効果がある。また、ステップ(S51
4)において、前回と今回の時間間隔を用いて回転数変
動が小さいとき補正係数記憶値StrCorと絶対角度
記憶値StrθCssとを作成したが、前回値以前の時
間間隔も記憶しておき複数回だけ回転数変動がなかった
ら補正係数記憶値StrCorと絶対角度記憶値Str
θCssとを作成するとさらに精度のよい補正を実現す
ることが可能となる。
【0217】前述の実施例1から実施例3において、第
1のタイマ70の周波数fck1を第2のタイマ31の
周波数fck2の整数倍とし、逓倍化した例で説明し
た。しかし、本発明のモータ制御装置は、第1のタイマ
70の周波数fck1と第2のタイマ31の周波数fc
k2を等しくし、第2のタイマ31により時間間隔Cs
sCntを測定し、タイマ比較値作成手段40において
時間間隔CssCntを逓倍数で除算た値をタイマ比較
値CmpTm1とし、第1のタイマ70でタイマ比較値
CmpTm1までカウントアップすることで逓倍化して
もよい。
【0218】前述の実施例1から実施例5において、ブ
ラシレスモータの回転数が通電方式切替回転数ωdrv
より低いとき回転位置信号に基づき120度通電型矩形
波駆動を行い、回転数が通電方式切替回転数ωdrvよ
り高いとき推定回転角度に基づき正弦波駆動をしたが、
通電方式切替回転数ωdrvにヒステリシスを設け、第
1の通電方式切替回転数ωdrv1において120度通
電型矩形波駆動から正弦波駆動に切り替え、第2の通電
方式切り替え回転数ωdrv2において正弦波駆動から
120度通電型矩形波駆動に切り替え、第1の通電方式
切替回転数ωdrv1を第2の通電方式切替回転数ωd
rv2より大きくしてもよい。このように構成すること
により、本発明のモータ制御装置は、特に、ブラシレス
モータの回転数が駆動方式切替回転数ωdrv付近であ
るとき、駆動方式が頻繁に切り替わるのを防止し、制御
が安定する。
【0219】また、推定方式切替回転数設定手段29の
推定方式切替回転数ωestについても同様である。つ
まり、上記実施例1から実施例5においては、ブラシレ
スモータの回転数が推定方式切替回転数ωestより低
いとき回転位置信号割り込み信号IntCssが入力さ
れるたびにタイマ比較値CmpTm1や進み量Δθを作
成し、回転数が推定方式切替回転数ωestより高いと
き回転角1回転ごとにタイマ比較値CmpTm1や進み
量Δθを作成した。しかし、本発明のモータ制御装置
は、推定方式回転数ωestにヒステリシスを設け、第
1の推定方式切替回転数ωest1において回転位置信
号割り込みIntCssの入力ごとのタイマ比較値Cm
pTm1や進み量Δθの作成から回転角1回転ごとのタ
イマ比較値CmpTm1や進み量Δθの作成に切り替
え、第2の推定方式切り替え回転数ωest2において
回転角1回転ごとのタイマ比較値CmpTm1や進み量
Δθの作成から回転位置信号割り込み信号IntCss
の入力ごとのタイマ比較値CmpTm1や進み量Δθの
作成に切り替え、第1の推定方式切替回転数ωest1
を第2の推定方式切替回転数ωest2より大きくして
もよい。このように構成することにより、本発明のモー
タ制御装置は、特に、ブラシレスモータの回転数が推定
方式切替回転数ωest付近であるとき、推定方式が頻
繁に切り替わるのを防止し、制御が安定する効果があ
る。
【0220】前述の実施例において、120度通電型矩
形波駆動時と正弦波駆動時のステータ電流指令iu*、
iv*、iw*、またはステータ電圧指令vu*、vv
*、vw*の波高値が等しい場合には、120度通電型
矩形波駆動時のほうが実効値が大きく、120度通電型
矩形波駆動時のほうが平均出力トルクが大きくなる。そ
こで、本発明のモータ制御装置は、切替の前後で平均出
力トルクを等しくするため、120度通電型矩形波駆動
時の波高値を小さくするように補正してもよい。
【0221】前述の実施例1から実施例5において、低
回転時に120度通電型矩形波駆動の構成で示したが、
本発明のモータ制御装置は、低回転時も正弦波駆動する
構成でも前述の実施例と同様の効果を奏する。このよう
な構成は、起動トルクがあまり必要でない場合に可能で
あり、この場合には停止時の回転角度を回転位置信号C
SU、CSV、CSWの組み合わせで表される中間の回
転角度とする。
【0222】前述の実施例1、実施例2、実施例4、及
び実施例5では高速時に機械角1回転ごとにタイマ比較
値CmpTm1や進み量Δθを更新し、実施例3では高
速時に電気角1回転ごとにタイマ比較値CmpTm1を
更新しており、低速時に回転位置信号割り込み信号In
tCssごとにタイマ比較値CmpTm1や進み量Δθ
を更新した例で示した。しかし、本発明のモータ制御装
置は、高速時にも回転位置信号割り込みIntCssご
とにタイマ比較値CmpTm1や進み量Δθを更新する
構成でも上記実施例と同様の効果を奏する。このような
構成は、高速のCPUを用いたときに可能である。
【0223】前述の実施例1から実施例3において、時
間間隔記憶値StrCssから加速度を計算し、加速度
が正のときタイマ比較値CmpTm1を減らすように補
正し、加速度が負のときタイマ比較値CmpTm1を増
やすように補正すると、さらに精度よく出力トルクを発
生させることができる。また、実施例4及び実施例5に
おいて、時間間隔記憶値StrCssから加速度を計算
し、加速度が正のとき進み量Δθを大きくするように補
正し、加速度が負のとき進み量Δθを小さくするように
補正すると、さらに精度よく出力トルクを発生させるこ
とができる。
【0224】前述の実施例1から実施例3において、ト
ルク指令T*が増加したときタイマ比較値CmpTm1
を減らすように補正し、トルク指令T*が減少したとき
タイマ比較値CmpTm1を増やすように補正すると、
さらに安定した出力トルクを発生させることができる。
また、実施例4及び実施例5において、トルク指令T*
が増加したとき進み量Δθを大きくするように補正し、
トルク指令T*が減少したとき進み量Δθを小さくする
ように補正すると、さらに安定した出力トルクを発生さ
せることができる。前述の実施例4においては、矩形波
駆動時にステータ電流iu、iv、iwを電流指令iu
*、iv*、iw*に追従するように、単純に比例積分
制御した。このため、ブラシレスモータが高速回転とな
ったとき、出力トルクが減少するという問題がある。そ
こで、実施例4のモータ制御装置において、回転位置信
号割込み信号IntCssが入力され、ステータ電流指
令が変化するとき、積分項を引き継ぐように構成する
と、例えば、図7のi=2のとき、u相の積分項(KI
K・(iu*−iu)/s)をv相の積分項(KIK・
(iv*−iv)/s)に代入するなど、ブラシレスモ
ータは高速回転となっても出力トルクが減少することが
なくなる。また、前述の実施例4において、矩形波駆動
/正弦波駆動の切り替え時に、積分項を引き継ぐように
構成すると、例えば、図7のi=2のとき、矩形波駆動
から正弦波駆動に切り替えたとき、矩形波駆動時の積分
項(KIK・(iu*−iu)/s)を正弦波駆動時の
q軸の積分項(KIQ・(iq*−iq)/s)に代入
するなど、切り替え時の出力トルクの落ち込みを減少さ
せることができる。前述の実施例1から実施例5におい
て、回転数を制御するとき、図10に示すステップ(S
402)において補正係数記憶値StrCorにより補
正された時間間隔CssCntである設定された値を除
算したものを回転数として用いればよい。また、前述の
実施例4及び実施例5においては、回転数を制御すると
き、LPF後時間間隔LpfCssCntである設定さ
れた値を除算したものを回転数として用いてもよい。
【0225】前述の実施例4及び実施例5において、電
流制御手段4020や電圧制御手段5020は、ある設
定された一定の周期で電流または電圧を制御したが、回
転数などで制御周期を可変にしてもよい。また、前述の
各実施例においては、q軸電流指令Iq*、またはq軸
電圧指令Vq*のみを用いて、電流位相を固定して制御
したが、d軸電流指令Id*、d軸電圧指令Vd*を用
いても前述の実施例と同様の効果を奏する。また、本発
明のモータ制御装置においては、回転数などに基づき電
流位相を変化させるときでも前述の実施例と同様の効果
を奏する。埋め込み磁石型モータにおいて電流位相を進
めて出力トルクを増加させるときに用いても本発明は有
効である。さらに、本発明はブラシレスモータを高速回
転させる弱め界磁制御を行うときに用いても有効であ
り、制御遅れによる位相補償を行うときに用いても有効
である。
【0226】前述の実施例1から実施例3において、3
相のステータ電流を測定したが、2相を測定し、残りの
1相を他の2相に基づき求めても前述の実施例と同様の
効果を奏する。本発明のモータ制御装置は、駆動素子は
IGBTに限定されず、MOS−FETやバイポーラト
ランジスタなどの他の駆動素子を用いてもよい。また、
本発明のモータ制御装置は、回転位置信号発生器3U、
3V、3WはホールICに限定されず、ホール素子、M
R素子、インダクタンス検出素子などでもよい。さら
に、回転位置信号発生器3U、3V、3Wはモータに取
り付けられていなくてもよい。例えば、中性点や疑似中
性点と各相間の電圧にLPFをかけ波形整形したものを
回転位置信号CSU、CSV、CSWとしてもよい。こ
のように、回転位置信号CSU、CSV、CSWがロー
タ5の回転位置を示すものであれば、本発明のモータ制
御装置に含まれる。
【0227】本発明のモータ制御装置は、正弦波駆動時
に発生するステータ電流指令、またはステータ電圧指令
は正弦波でなくてもよく、台形波状のものや、高調波を
含むものでもよい。特に、誘起電圧に高調波が含まれる
ときは、ステータ電流指令に高調波を含めることで、ト
ルクリップルを減らす効果がある。前述の各記実施例の
モータ制御装置は3相4極ブラシレスモータを制御する
構成で示したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、多相のモータに適用することができ、磁極数は2、
または6以上のモータでもよい。また、本発明はブラシ
レスモータの制御に限定されるものでなく、シンクロナ
スリラクタンスモータなど他のモータの制御に適用する
ことができる。さらに、本発明のブラシレスモータにお
ける表面磁石型モータだけに限定されず、埋め込み磁石
型モータに用いることができる。
【0228】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、実際の
回転角度に基づいた正弦波状のステータ電流iu、i
v、iwを流して、出力トルクの変動が小さく、ブラシ
レスモータの振動や騒音の小さいモータ制御装置を実現
することができる。また、本発明によれば、停止時、お
よび回転数が低いときは120度通電型矩形波駆動を行
い、回転数が高いときは正弦波駆動を行うことにより、
確実に起動するとともに、低回転でも確実にトルクを安
定して出力するモータ制御装置を実現することができ
る。
【0229】さらに、本発明によれば、高速時に回転角
1回転ごとにタイマ比較値を更新することにより、高速
時においても正弦波状のステータ電流iu、iv、iw
を流すことにより、出力トルクの変動が小さく、モータ
の振動や騒音の小さいモータ制御装置を実現することが
できる。また、本発明によれば、回転位置信号CSU、
CSV、CSWにばらつきがあるときでも、補正係数記
憶値StrCorと絶対角度記憶値StrθCssを作
成し、タイマ時間間隔CssCntを補正することによ
り、ふらつきのない推定回転角度θを作成し、トルクリ
ップルなくブラシレスモータを精度高く駆動制御するこ
とができるモータ制御装置を実現できる。
【0230】さらに、本発明によれば、進み量Δθの分
解能を高くすることにより、分解能よく推定回転角度を
作成することができるとともに、さらに、トルクリップ
ルなくブラシレスモータを駆動制御することができるモ
ータ制御装置を実現できる。また、本発明によれば、進
み量Δθを求めるとき、時間間隔CssCntにローパ
スフィルタを作用させ、ずれ量Zureを求め進み量Δ
θを補正することにより、補正係数記憶値StrCor
と絶対角度記憶値StrθCssが収束していないとき
も、トルクリップルを小さくしてブラシレスモータを制
御するモータ制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるモータ制御装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】実施例1におけるモータ制御装置の駆動手段の
回路構成図である。
【図3】実施例1におけるモータ制御装置の推定回転角
度制御手段の構成を示すブロック図である。
【図4】逓倍方式と推定回転角度のずれ補正方式を説明
する概念図である。
【図5】推定回転角度と実際の回転角度とのずれの大き
さの評価方法を説明する概念図である。
【図6】回転位置信号のばらつき補正方式を説明する表
である。
【図7】実施例1におけるステータ巻線に誘起される誘
起電圧と回転位置信号と回転位置信号割り込み信号と矩
形波駆動時のステータ電流指令と正弦波駆動時のステー
タ電流指令との関係を示す波形図である。
【図8】実施例1における駆動素子制御手段の回路構成
図である。
【図9】実施例1における第2のタイマの動作を示す概
念図である。
【図10】実施例1におけるタイマ比較値作成手段の動
作を示すフローチャートである。
【図11】実施例1におけるタイマ比較値作成手段の動
作を示すフローチャートである。
【図12】実施例1における第3のタイマの動作を示す
概念図である。
【図13】実施例1における補正係数作成手段の動作を
示すフローチャートである。
【図14】実施例1における第1のタイマの動作を示す
概念図である。
【図15】実施例1における第1のタイマ割り込みによ
り起動される回転角度更新手段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図16】実施例1における回転角度更新リセット割り
込みにより起動される回転角度更新手段の動作を示すフ
ローチャートである。
【図17】本発明の実施例2におけるモータ制御装置の
構成を示すブロック図である。
【図18】実施例2におけるモータ制御装置の駆動手段
の回路構成図である。
【図19】実施例2におけるステータ巻線に誘起される
誘起電圧と回転位置信号と回転位置信号割り込み信号と
矩形波駆動時のステータ電圧指令と正弦波駆動時のステ
ータ電圧指令との関係を示す波形図である。
【図20】実施例2における駆動素子制御手段の回路構
成図である。
【図21】本発明の実施例3におけるモータ制御装置の
構成を示すブロック図である。
【図22】実施例3におけるモータ制御装置の推定回転
角度制御手段の構成を示すブロック図である。
【図23】実施例3における補正係数作成手段の動作を
示すフローチャートである。
【図24】本発明の実施例4におけるモータ制御装置の
構成を示すブロック図である。
【図25】実施例4におけるモータ制御装置の電流制御
手段の構成を示すブロック図である。
【図26】実施例4におけるモータ制御装置の推定回転
角度進み量作成手段の構成を示すブロック図である。
【図27】実施例4における第4のタイマの動作を示す
概念図である。
【図28】実施例4における進み量演算手段の動作を示
すフローチャートである。
【図29】実施例4における進み量演算手段の動作を示
すフローチャートである。
【図30】本発明の実施例5におけるモータ制御装置の
構成を示すブロック図である。
【図31】実施例5におけるモータ制御装置の電圧制御
手段の構成を示すブロック図である。
【図32】従来の技術におけるモータ制御装置の構成を
示すブロック図である。
【図33】従来の技術における逓倍手段の構成図であ
る。
【符号の説明】
1U、1V、1W ステータ巻線 3U、3V、3U 回転位置信号発生器 4 回転位置検出円盤 5 ロータ 8 推定回転角度制御手段 9 ブラシレスモータ 10 駆動手段 20 電流指令作成手段 25 トルク/電流変換手段 27 トルク指令設定手段 28 駆動方式切替回転数設定手段 29 推定方式切替回転数設定手段 30 時間間隔測定手段 40 タイマ比較値作成手段 51 補正係数作成手段 61 時間間隔記憶手段 62 補正係数記憶手段 63 絶対角度記憶手段 71 回転角度更新手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸部 太郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丸山 幸紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータの回転位置を示す回転位置信号に
    基づき前記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間隔
    測定手段と、 前記回転位置信号のばらつきを示す補正係数を記憶する
    補正係数記憶手段と、 前記時間間隔と前記補正係数とに基づき回転角度を補間
    し回転角度の推定値である推定回転角度を作成する推定
    回転角度作成手段と、 前記推定回転角度に基づきステータ巻線に流す電流指令
    または前記ステータ巻線に印加する電圧指令を作成する
    指令作成手段と、 前記電流指令または前記電圧指令に基づき前記ステータ
    巻線に電力を印加する駆動手段と、を具備すること特徴
    とするモータ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記補正係数を作成する補正係数作成手
    段と、前記補正係数作成手段を起動させる補正係数起動
    手段とをさらに具備することを特徴とする請求項1に記
    載のモータ制御装置。
  3. 【請求項3】 ロータの回転位置を示す回転位置信号に
    基づき前記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間隔
    測定手段と、 前記回転位置信号に基づきロータが1回転する時間であ
    る回転時間間隔を測定する回転時間間隔測定手段と、 回転角度の推定方式を切り替えるしきい値である推定方
    式切替回転数を設定する推定方式切替回転数設定手段
    と、 前記推定方式切替回転数より前記ロータの回転数が低い
    ときは前記時間間隔に基づき回転角度を補間して回転角
    度の推定値である推定回転角度を作成し、前記推定方式
    切替回転数より前記ロータの回転数が高いときは前記回
    転時間間隔に基づき回転角度を補間して前記推定回転角
    度を作成する推定回転角度作成手段と、 前記推定回転角度に基づきステータ巻線に流す電流指令
    または前記ステータ巻線に印加する電圧指令を作成する
    指令作成手段と、 前記電流指令または前記電圧指令に基づき前記ステータ
    巻線に電力を供給する駆動手段と、を具備することを特
    徴とするモータ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記回転時間間隔測定手段は、前記ロー
    タが機械角で1回転する時間を前記回転時間間隔として
    測定するよう構成されたことを特徴とする請求項3に記
    載のモータ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記回転時間間隔測定手段は、前記ロー
    タが電気角で1回転する時間を前記回転時間間隔として
    測定するよう構成されたことを特徴とする請求項3に記
    載のモータ制御装置。
  6. 【請求項6】 駆動方式を切り替えるしきい値である駆
    動方式切替回転数を設定する駆動方式切替回転数設定手
    段をさらに具備し、 前記指令作成手段は、前記駆動方式切替回転数より前記
    ロータの回転数が低いときは前記回転位置信号に基づき
    前記電流指令または前記電圧指令を作成し、前記駆動方
    式切替回転数より前記ロータの回転数が高いときは前記
    推定回転角度に基づき前記電流指令または前記電圧指令
    を作成するよう構成されたことを特徴とする請求項1又
    は請求項3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 【請求項7】 ロータの回転位置を示す回転位置信号に
    基づき前記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間隔
    測定手段と、 前記時間間隔に基づき回転角度の推定値である推定回転
    角度をどれだけ進めればよいかを示す進み量を作成する
    進み量作成手段と、 前記進み量に基づき制御周期ごとに前記推定回転角度を
    作成する推定回転角度作成手段と、 前記推定回転角度に基づき前記制御周期ごとにステータ
    巻線に流す電流または前記ステータ巻線に印加する電圧
    を制御する制御手段と、を具備することを特徴とするモ
    ータ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記回転位置信号のばらつきを示す補正
    係数を記憶する補正係数記憶手段をさらに具備し、 前記進み量作成手段は、前記補正係数に基づき前記進み
    量を作成するよう構成されたことを特徴とする請求項7
    に記載のモータ制御装置。
  9. 【請求項9】 前記回転位置信号に基づき前記ロータが
    1回転する時間である回転時間間隔を測定する回転時間
    間隔測定手段と、 回転角度の推定方式を切り替えるしきい値である推定方
    式切替回転数を設定する推定方式切替回転数設定手段と
    をさらに具備し、 前記進み量作成手段は、前記推定方式切替回転数より前
    記ロータの回転数が低いとき前記時間間隔に基づき前記
    進み量を作成し、前記推定方式切替回転数より前記ロー
    タの回転数が高いとき前記回転時間間隔に基づき前記進
    み量を作成するよう構成されたことを特徴とする請求項
    7に記載のモータ制御装置。
  10. 【請求項10】 ロータの回転位置を示す回転位置信号
    に基づき前記ロータが1回転する時間である回転時間間
    隔を測定する回転時間間隔測定手段と、 回転角度の推定値である推定回転角度の進み量を前記回
    転時間間隔に基づき作成する進み量作成手段と、 前記進み量に基づき制御周期ごとに前記推定回転角度を
    作成する推定回転角度作成手段と、 前記推定回転角度に基づき前記制御周期ごとにステータ
    巻線に流す電流または前記ステータ巻線に印加する電圧
    を制御する制御手段と、を具備することを特徴とするモ
    ータ制御装置。
  11. 【請求項11】 前記回転時間間隔測定手段は、前記ロ
    ータが機械角で1回転する時間を前記回転時間間隔とし
    て測定するよう構成されたことを特徴とする請求項9又
    は請求項10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  12. 【請求項12】 前記回転時間間隔測定手段は、前記ロ
    ータが電気角で1回転する時間を前記回転時間間隔とし
    て測定するよう構成されたことを特徴とする請求項9又
    は請求項10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  13. 【請求項13】 駆動方式を切り替えるしきい値である
    駆動方式切替回転数を設定する駆動方式切替回転数設定
    手段をさらに具備し、 前記制御手段は、前記駆動方式切替回転数より前記ロー
    タの回転数が低いときは前記回転位置信号に基づき前記
    電流または前記電圧を制御し、前記駆動方式切替回転数
    より前記ロータの回転数が高いときは前記推定回転角度
    に基づき前記電流または前記電圧を制御するよう構成さ
    れたことを特徴とする請求項7又は請求項10のいずれ
    か一項に記載のモータ制御装置。
  14. 【請求項14】 ロータの回転位置を示す回転位置信号
    に基づき前記回転位置信号の時間間隔を測定する時間間
    隔測定手段と、 回転角度の推定値である推定回転角度と実際の回転角度
    のずれを演算するずれ演算手段と、 前記時間間隔にローパスフィルタを作用させたものと前
    記ずれとに基づき前記推定回転角度を作成する推定回転
    角度作成手段と、 前記推定回転角度に基づきステータ巻線に流す電流また
    は前記ステータ巻線に印加する電圧を制御する制御手段
    と、を具備することを特徴とするモータ制御装置。
  15. 【請求項15】 前記回転位置信号のばらつきを示す補
    正係数を記憶する補正係数記憶手段をさらに具備し、 前記推定回転角度作成手段は、前記補正係数にも基づき
    前記推定回転角度を作成するよう構成されたことを特徴
    とする請求項14に記載のモータ制御装置。
  16. 【請求項16】 前記回転位置信号に基づき前記ロータ
    が1回転する時間である回転時間間隔を測定する回転時
    間間隔測定手段と、 回転角度の推定方式を切り替えるしきい値である推定方
    式切替回転数を設定する推定方式切替回転数設定手段と
    をさらに具備し、 前記推定回転角度作成手段は、前記推定方式切替回転数
    より前記ロータの回転数が低いときは前記時間間隔にロ
    ーパスフィルタを作用させたものと前記ずれとに基づき
    前記推定回転角度を作成し、前記推定方式切替回転数よ
    り前記ロータの回転数が高いときは前記回転時間間隔に
    ローパスフィルタを作用させたものと前記ずれとに基づ
    き前記推定回転角度を作成するよう構成されたことを特
    徴とする請求項14に記載のモータ制御装置。
  17. 【請求項17】 ロータの回転位置を示す回転位置信号
    に基づき前記ロータが1回転する時間である回転時間間
    隔を測定する回転時間間隔測定手段と、 回転角度の推定値である推定回転角度と実際の回転角度
    のずれを演算するずれ演算手段と、 前記回転時間間隔にローパスフィルタを作用させたもの
    と前記ずれとに基づき前記推定回転角度を作成する推定
    回転角度作成手段と、 前記推定回転角度に基づきステータ巻線に流す電流また
    は前記ステータ巻線に印加する電圧を制御する制御手段
    と、 を具備することを特徴とするモータ制御装置。
  18. 【請求項18】 前記推定回転角度作成手段は、前記ず
    れを徐々に小さくするように前記推定回転角度を作成す
    るよう構成されたことを特徴とする請求項14又は請求
    項17のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  19. 【請求項19】 前記回転時間間隔測定手段は、前記ロ
    ータが機械角で1回転する時間を前記回転時間間隔とし
    て測定するよう構成されたことを特徴とする請求項16
    又は請求項17のいずれか一項に記載のモータ制御装
    置。
  20. 【請求項20】 前記回転時間間隔測定手段は、前記ロ
    ータが電気角で1回転する時間を前記回転時間間隔とし
    て測定するよう構成されたことを特徴とする請求項16
    又は請求項17のいずれか一項に記載のモータ制御装
    置。
  21. 【請求項21】 駆動方式を切り替えるしきい値である
    駆動方式切替回転数を設定する駆動方式切替回転数設定
    手段をさらに具備し、 前記制御手段は、前記駆動方式切替回転数より前記ロー
    タの回転数が低いときは前記回転位置信号に基づき前記
    電流または前記電圧を制御し、前記駆動方式切替回転数
    より前記ロータの回転数が高いときは前記推定回転角度
    に基づき前記電流または前記電圧を制御するよう構成さ
    れたことを特徴とする請求項14又は請求項17のいず
    れか一項に記載のモータ制御装置。
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