JPH11213347A - 磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果型ヘッド

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JPH11213347A
JPH11213347A JP1294998A JP1294998A JPH11213347A JP H11213347 A JPH11213347 A JP H11213347A JP 1294998 A JP1294998 A JP 1294998A JP 1294998 A JP1294998 A JP 1294998A JP H11213347 A JPH11213347 A JP H11213347A
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magnetoresistive
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magnetoresistive head
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した読み出し特性を有し、現在の製造
工程で歩留まり良く製造できる磁気抵抗効果型ヘッドを
提供する。 【解決手段】 磁気抵抗効果型ヘッドAの磁気シール
ド21、22を、磁気記録装置として組み立てられたと
きのトラック幅方向に一軸磁気異方性を有し、かつ飽和
磁束密度と異方性磁界とで表される磁気異方性定数が2
50J/m3以上である軟磁性薄膜で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果型ヘ
ッドに関し、特に、安定した読み出し特性を有し、製造
歩留まりの高い磁気抵抗効果型ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッドは、薄膜形成技術やフォ
トリソグラフィ技術を駆使して基板上に微細な磁気回路
を形成後、切断工程あるいは研磨工程といった機械加工
工程を経て作製される磁気ヘッドで、近年の磁気ディス
ク装置及び磁気テープ装置などの磁気記録装置の高記録
密度化に欠かせない主要な技術の一つとなっている。特
に、磁性膜の抵抗値が外部から印加される磁界によって
変化する磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型ヘッド
は、近年のハード磁気ディスク装置の小型化、大容量化
を推進するキーデバイスである。
【0003】磁気抵抗効果型ヘッドの中でも抵抗変化が
2枚の隣接する磁性層の磁化方向間の余弦と対応するス
ピンバルブ効果を利用したものは、小さな信号磁界に対
し大きな抵抗変化を示すことから、盛んに開発が進めら
れている。
【0004】図4に、スピンバルブ効果を利用した磁気
抵抗効果型ヘッドにおける各磁性層の一般的な形態を示
す。信号磁界に応答する磁化自由層11と、信号磁界方
向に磁化が固定された磁化固定層12が中央に位置し、
これらの両側に隣接して磁化自由層の磁区安定化のため
のバイアス磁界を印加するバイアス層13、13が形成
され、これらの磁化自由層11、磁化固定層12及びバ
イアス層13、13が磁気抵抗効果素子を構成してい
る。
【0005】また、隣接する記録データからの漏れ磁束
をカットするため、これらの層を挟み込むように一対の
磁気シールド121、122が形成されている。ここ
で、磁化固定層12において、信号磁界方向に磁化を固
定するための施策として、磁化固定層10に反強磁性層
(図示せず)を積層させ、両層界面における交換結合磁
界を利用することが一般に行われている。
【0006】磁気抵抗効果型ヘッドにおいては、磁気抵
抗効果素子を挟み込むように形成される一対の磁気シー
ルド122、121が、間接的に磁気抵抗効果素子の感
磁層磁化のバイアス状態に影響を与える、いわゆる鏡像
バイアス効果が存在することが知られている。磁気シー
ルド121、122は軟磁性薄膜からなり、一般に磁気
抵抗効果素子のトラック幅方向と同一方向に磁化容易軸
を有する環流磁区構造を形成する。このとき、磁気シー
ルドの磁区構造が安定に形成されず、ヘッド個体毎にば
らついた場合、鏡像バイアス効果が変動し、その結果、
読み出し特性がヘッド個体毎にばらついてしまい、製造
歩留まりの向上を妨げるといった問題が生じる。特に、
この問題は、磁気ディスク装置の高記録密度化に伴い、
読み出しギャップの薄層化が進むにつれて影響が大きく
なることが考えられる。
【0007】このように、ヘッド個体毎に磁気シールド
121、122の磁区構造がばらつく原因として応力誘
導異方性の寄与について考える必要がある。特に、前述
したスピンバルブ効果を利用した磁気抵抗効果型ヘッド
では、磁化固定層12における磁化方向の安定性を増す
ために、製造工程中、あるいは製造工程の最後に信号磁
界方向の磁場中で高温熱処理が行われることがある。こ
の熱処理は、磁気シールド121、122を形成する軟
磁性薄膜に対しては、本来の磁化容易軸方向に直行する
方向への磁場中でなされるために、その磁気異方性が成
膜時よりも低減してしまう。その結果、前述の応力誘導
異方性が磁気シールドの磁区構造に及ぼす影響が相対的
に大きくなってしまう。
【0008】磁気シールドの磁区構造を安定に形成する
ための試みとして、特開平8−212521号公報で
は、磁気シールドに対し磁区安定化のための磁区制御層
を設ける技術が開示されている。具体的には磁気シール
ドに対して反強磁性膜あるいは硬質磁性膜を形成し、単
一の磁化方向を有する単磁区構造を実現する方法が記載
されている。
【0009】また、同様の効果を得る方法として、特開
平7−169023号公報では、磁気シールドを軟磁性
膜と非磁性膜の積層体からなる多層膜構造とすることが
記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法は、いずれも製造工程の大幅な変更が必要であ
り、製造工程を複雑化させるため、実用性の観点で問題
があった。
【0011】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、安定した読み出し特性を有し、現在の製造工程
で歩留まり良く製造できる磁気抵抗効果型ヘッドの提供
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッドは、磁気記録
媒体からの信号磁界を抵抗変化を利用して検出する磁気
抵抗効果素子と、該磁気抵抗効果素子を読み出しギャッ
プを介して挟む一対の磁気シールドとを備える磁気抵抗
効果型ヘッドにおいて、前記磁気シールドが、磁気記録
装置として組み立てられたときのトラック幅方向に一軸
磁気異方性を有し、かつ飽和磁束密度と異方性磁界とで
表される磁気異方性定数が250J/m3以上である軟
磁性薄膜で構成される。
【0013】実際のヘッド製造工程を考えた場合、応力
誘導異方性は主に軟磁性膜の磁歪定数により決定され
る。このうち、応力については膜質、熱処理条件、ある
いはヘッドエアベアリング面形成のための機械研磨条件
といった変動要因を精密に制御することが必要である。
一方、磁歪定数については、軟磁性膜の組成に大きく影
響されるため成膜ラン毎との組成バラツキ、あるいはウ
エハ内の組成バラツキをなくすことが必要であるが、製
造歩留まりの向上を考えた場合、上記応力誘導異方性の
影響がヘッド個体毎にある程度ばらついたとしても、磁
気シールドの磁区構造が大きく影響されない条件を導出
するのが現実的な方法である。本発明はかかる観点か
ら、磁気シールドを形成する軟磁性薄膜の磁気特性に要
求される条件について検討した結果、見出されたもので
ある。
【0014】磁気シールドのように有限の大きさを有す
る軟磁性薄膜パターンでは、膜の静磁エネルギーを低減
するようにパターン端面に磁荷が発生しない状態、すな
わち環流磁区構造を一般的に形成する。このとき、膜が
一軸磁気異方性を有する場合、磁気異方性エネルギーと
磁壁エネルギーの和が最小となるような磁区幅を有する
磁区構造が実現する。磁気異方性エネルギーと磁壁エネ
ルギーは共に膜の磁気異方性定数で表されるから、磁気
シールドにおける磁区構造(磁区幅)は膜の磁気異方性
定数の大きさで制御できることがわかる。
【0015】ここで、一軸磁気異方性を有する膜の磁気
異方性定数は一般に次の式(1)で表される。
【0016】 磁気異方性定数=〔膜の飽和磁束密度×膜の異方性磁界〕/2 …(1) 実際には前述のように応力誘導異方性の影響が無視でき
ないため、実効的な磁気異方性定数の大きさが変化する
ことがある。ここで、ヘッド製造工程中に応力誘導異方
性の影響がヘッド個体毎にある程度ばらついたとして
も、磁気シールドの磁区構造が大きく変化しない条件に
ついて計算機シミュレーションにより調べた。その結果
を図2に示す。
【0017】図2は、膜の磁気異方性定数をパラメータ
にして通常の製造工程中に発生する程度の応力誘導異方
性の変動(±50J/m3)が磁区構造に及ぼす影響
を、磁区幅の変動率を指標に調べた結果を示すグラフで
ある。図2から、膜の磁気異方性定数が大きくなるにつ
れ磁区幅の変動率は急激に減少し、250J/m3以上
の範囲で変動率は10%以下まで抑制できることが認め
られる。好ましくは、磁気異方性定数は400J/m3
以上とすることにより、磁区幅の変動率をほぼ5%程度
まで抑制できる。
【0018】従って、請求項1記載の発明によれば、磁
区構造が安定し、かつ従来と同じ製造工程で生産できる
磁気抵抗効果型ヘッドとしたので、簡便な方法で製造歩
留まりが良く、安定した読み出し特性を有する磁気抵抗
効果型ヘッドを提供することができる。
【0019】請求項2記載の磁気抵抗効果型ヘッドは、
前記磁気抵抗効果素子が、スピンバルブ素子からなる中
央感磁領域と、この中央感磁領域に隣接してバイアス磁
界とセンス電流を供給する端部領域とを備える構成とし
てある。
【0020】このような構成の発明によれば、より安定
な読み出し特性を得ることができ、製造歩留まり向上に
寄与できる。
【0021】請求項3記載の磁気抵抗効果型ヘッドは、
前記磁気シールドを構成する軟磁性薄膜が、Coを主成
分とする非晶質材料からなる構成としてある。このよう
な構成の発明によれば、磁気シールドの磁気異方性定数
を前述した範囲にすることが可能となる。
【0022】請求項4記載の磁気抵抗効果型ヘッドは、
前記磁気シールドを構成する軟磁性薄膜が、Ni、F
e、Coから選ばれる金属の少なくとも2種を主成分と
する合金材料からなる構成としてある。このような構成
の発明によれば、磁気シールドの磁気異方性定数を前述
した範囲にすることが可能となる。
【0023】請求項5記載の磁気抵抗効果型ヘッドは、
前記一対の磁気シールドの一方又は双方が、複数の軟磁
性薄膜から構成される。このような構成の発明によって
も、磁気シールドの磁気異方性を前述した範囲にするこ
とが可能である。
【0024】請求項6記載の磁気抵抗効果型ヘッドは、
前記磁気シールドの一方が、磁気記録媒体に磁気信号を
書き込むためのインダクティブ型ヘッドの磁極膜の一方
を兼ねる構造を有する構成としてある。このような構成
の発明によれば、記録用インダクティブ型ヘッドと再生
用磁気抵抗効果型ヘッドとの複合ヘッドとすることがで
きる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気抵抗効果型ヘ
ッドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明す
る。図1は、本発明にかかる磁気ヘッドの一実施形態を
示す断面図であり、磁気ディスク装置として組み立てら
れたときの、磁気記録媒体の表面に平行な面で切ったと
きの断面図である。
【0026】この磁気ヘッドは、再生用の磁気抵抗効果
型ヘッドAと記録用のインダクティブヘッドBとを備え
た複合型磁気ヘッドである。この磁気ヘッドは、例えば
Al2O3−TiCで構成される基板1上に形成され、ア
ルミナなどのオーバーコート層2で全体が保護されてい
る。磁気抵抗効果型ヘッドAは、磁気記録媒体からの信
号磁界を抵抗変化を利用して検出する磁気抵抗効果素子
10と、該磁気抵抗効果素子10を読み出しギャップ3
1、32を介して挟む一対の第1磁気シールド21と第
二磁気シールド22を備え、基板1側から第一磁気シー
ルド21、読み出しギャップ31、磁気抵抗効果素子1
0、読み出しギャップ32、第2磁気シールド22の順
序で基板1上に積層されている。
【0027】また、インダクティブヘッドBは、磁気抵
抗効果型ヘッドAの第2磁気シールド21が書き込み磁
極を兼用し、基板側から書き込み磁極(第2磁気シール
ド)21、書き込みギャップ33、コイル(図示せ
ず)、コイル絶縁部(図示せず)、書き込み磁極41の
順序で積層されている。
【0028】第一磁気シールド21と第二磁気シールド
22は、記録媒体からの余分な磁束を吸収し、再生信号
にノイズを含まないようにするためのものであり、上述
したように、磁気異方性定数が250J/m3以上、好
ましくは400J/m3以上である。このような磁気異
方性定数を有する材料としては、Coを主成分とする非
晶質材料、あるいはNi、Fe、Coから選ばれる金属
の2種以上を含有する合金材料を選定することができ
る。
【0029】具体的には、Co−Zr−Ta、Co−N
i−Fe、Ni−Fe等を挙げることができる。成膜法
は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、フレームメ
ッキ法等で0.5〜数μmの厚さに形成することが好ま
しい。また、第一磁気シールド21と第二磁気シールド
22の両方又はいずれか一方を二層以上の複合層で構成
することができる。図3は書き込みギャップ33を挟み
込むように高飽和磁束密度特性を有する軟磁性薄膜を配
した高密度記録に適した複合型磁気ヘッドであり、例え
ば基板側から、第二磁気シールド22をNi−Fe層2
2a、Co−Ni−Fe層22bとし、書き込み磁極4
1をCo−Ni−Fe層41a、Ni−Fe層41bと
することができる。
【0030】また、読み出しギャップ31,32、書き
込みギャップ33は、アルミナなどの非磁性材料で構成
することができる。
【0031】更に、磁気抵抗効果素子10は、記録媒体
に対して垂直に配置され、記録媒体からの磁束の垂直成
分を検出するもので、図4に示した磁化自由層11と磁
化固定層12とを有するスピンバルブ素子からなる中央
感磁領域13とこれの両側に隣接してバイアス磁界とセ
ンス電流を供給する端部領域14、14とで構成されて
いる。
【0032】この構造では、外部磁場が印加されると、
磁化自由層11の磁化方向は外部磁化の方向に一致して
自由に回転するため、磁化固定層12の磁化方向と角度
差が生じる。この角度差に依存して、伝導電子のスピン
に依存した散乱が変化し、電気抵抗値が変化する。この
電気抵抗値の変化を検出することにより、磁気記録媒体
からの信号磁場を検出するものである。
【0033】このような磁気ヘッドは、磁気シールドの
磁区構造がバラツキが少なく安定であり、そのため、磁
気抵抗効果素子の感磁層磁化のバイアス状態への影響が
少なく、安定した読み出し特性を有すると共に、製造時
の歩留まりが良好である。
【0034】次に、図1に示したような磁気ヘッドを実
際に作製した例を、実施例と比較例を示して説明する。 〔実施例1〕まずはじめに、スピンバルブ効果を利用し
た再生用の磁気抵抗効果型ヘッドの作成方法について説
明する。
【0035】最終工程にてスライダ形状に加工される基
板にAl2O3−TiC基板1を用い、その上にスパッタ
リング法により膜厚1μmのCo−Zr−Ta膜を形成
した。その後、初期熱処理として磁気記録装置として組
み立てられたときのトラック幅方向に静磁場を印加しな
がら350℃、1時間の熱処理を行った。膜をパターニ
ングし、第一磁気シールド21を形成した。次に、読み
出しギャップ31となる0.06μm厚のAl2O3膜を
スパッタリング法により形成した。
【0036】続いてスパッタリング法により基板側から
Ni−Fe、Cu、Co−Fe、及び磁化固定層の磁化
方向を固定するための反強磁性材料としてのNi−Mn
の順に成膜し、中央感磁領域13を構成するスピンバル
ブ積層体を形成した。膜厚は、それぞれ8nm、2.5
nm、4nm、30nmとした。この成膜後、磁化固定
層(図4参照)における磁化方向の固着のために、第一
磁気シールド21の初期熱処理時と直交する方向の静磁
場中において、270℃、10時間の熱処理を行った。
次に、スピンバルブ素子を再生トラック幅相当の1μm
幅にパターニングし、中央感磁領域13を形成した。
【0037】更に、端部領域14として、中央感磁領域
13にバイアス磁界を印加するための20nm厚のCo
−Cr−Pt膜と、センス電流を供給するための150
nm厚のAu膜をスパッタリング法により形成した後、
所定の形状に加工して端部領域14を形成した。
【0038】次に、読み出しギャップ32となる0.0
9μm厚のAl2O3膜をスパッタリング法により形成し
た。その後、第二磁気シールド22となる膜厚2μmの
Co−Zr−Ta膜をスパッタリング法により形成し、
第一磁気シールド21の初期熱処理時と同一方向の静磁
場中において、200℃、1時間の熱処理を行った後、
所定形状にパターニングし、第二磁気シールド22を形
成した。
【0039】続いて、インダクティブ型の書き込み素子
部の形成に入り、0.3μm厚のAl2O3膜をスパッタ
リング法により成膜し、書き込みギャップ33を形成し
た。
【0040】次に、書き込み素子部の磁場発生用コイル
(図示せず)を形成した。具体的には、ハードキュアフ
ォトレジストからなるコイル絶縁部、フレームメッキ法
によるCuコイル部、ハードキュアフォトレジストから
なるコイル絶縁部の順で、Cuコイル部がハードキュア
フォトレジストに埋め込まれた構造を形成した。ここ
で、フォトレジストのハードキュアのために260℃、
1時間の熱処理を行った。続いて、フレームメッキ法に
より書き込み磁極膜41となるNi−Fe膜を形成し
た。
【0041】最後に、全体をカバーするようにAl2O3
膜からなるオーバーコート層2を形成した。
【0042】なお、スピンバルブ素子磁化固定層の磁化
方向は、成膜直後に一度固着された後、書き込み素子部
形成工程中の様々な熱処理を経ることによって乱される
ことがある。このような磁化固定層12における磁化方
向の乱れを再配列させるために、磁気記録装置として組
み立てられたときのトラック幅方向に直交する方向の静
磁場中において、200℃、1時間の熱処理を全ウエハ
工程終了後に行った。
【0043】以上のウエハ行程を終えた後、所定の機械
研磨工程、ヘッドアッセンブリ工程を経て図1に示した
ような磁気抵抗効果型ヘッドAを含む複合型ヘッドの作
製を完了した。
【0044】得られた磁気ヘッドをモニタ試料の磁気特
性測定結果によると、これら一連の熱処理後の第一磁気
シールド21と第二磁気シールド22の異方性磁界はい
ずれも8Oeであった。また、飽和磁束密度はいずれも
1.5Tであった。この結果より、対応する膜の磁気異
方性定数は、共に480J/m3であった。
【0045】このようにして作製された磁気抵抗効果型
ヘッドについて読み出し特性の安定性を調べた。読み出
し特性の安定性の指標として、1000回の書き込み/
読み出し動作を繰り返し、そのたびに読み出し波形の対
称性を評価し、その平均値に対する変動率を調べた。こ
こで、波形の対称性は、上ピークの大きさをVp、下ピ
ークの大きさをVNとしたときに、下記式(2)で定義
した。
【0046】 (Vp−VN)/(Vp+VN)×100%…(2) ウエハ内の異なる位置、あるいは異なるウエハからヘッ
ドを抜き取り、上記指標により読み出し特性の安定性を
調べた結果、全てのヘッドにおいて、対称性変動率は5
%程度と小さく、高い製造歩留まりが得られた。
【0047】〔実施例2〕第二磁気シールド22にフレ
ームメッキ法により形成したCo−Ni−Fe膜を用い
た以外は、実施例1と全く同様の工程で磁気抵抗効果型
ヘッドを作製した。
【0048】一連の熱処理後の第一磁気シールド21と
第二磁気シールド22の異方性磁界は、それぞれ8O
e、6Oeであった。また、飽和磁束密度はそれぞれ
1.5T、2Tであった。この結果より、対応する膜の
磁気異方性定数は共に480J/m3であった。
【0049】このようにして作製された磁気抵抗効果型
ヘッドについても、実施例1と同様に読み出し特性の安
定な製造歩留まりの高い磁気抵抗効果型ヘッドが得られ
ることがわかった。
【0050】〔実施例3〕第二磁気シールド22にフレ
ームメッキ法により形成したNi−Fe/Co−Ni−
Fe膜を用いた。膜形成順序は図3に示すように基板側
からNi−Fe膜22a、Co−Ni−Fe膜22bと
した。膜厚は共に1μmとした。また書き込み磁極41
にフレームメッキ法により形成したCo−Ni−Fe/
Ni−Fe膜を用いた。膜形成順序は図3に示すように
基板側からCo−Ni−Fe膜41a、Ni−Fe膜4
1bとした。それ以外は、実施例1と全く同様の工程で
図3に示した磁気抵抗効果型ヘッドを作製した。なお、
図3では、図1と同一部材には同一の符号を付し、その
説明は省略する。
【0051】一連の熱処理後の第一磁気シールド21と
第二磁気シールド22の異方性磁界は、それぞれ8O
e、4Oeであった。また、飽和磁束密度はいずれも
1.5Tであった。この結果より、対応する膜の磁気異
方性定数は、それぞれ480J/m3、250J/m3
あった。
【0052】このようにして作製された磁気抵抗効果型
ヘッドについても、実施例1と同様に読み出し特性の安
定な製造歩留まりの高い磁気抵抗効果型ヘッドが得られ
ることがわかった。
【0053】〔比較例1〕第一磁気シールド21と第二
磁気シールド22共にフレームメッキ法により形成した
Ni−Fe膜を用いた。第二磁気シールド22の熱処理
温度は200℃とした。それ以外は、実施例1と全く同
様の工程で磁気抵抗効果型ヘッドを作製した。
【0054】一連の熱処理後の第一磁気シールド21と
第二磁気シールド22の異方性磁界は、それぞれ1.5
Oe、2Oeであった。また、飽和磁束密度はいずれも
1Tであった。この結果より、対応する膜の磁気異方性
定数は、それぞれ60J/m3、80J/m3であった。
【0055】このようにして作製された磁気抵抗効果型
ヘッドについて、ウエハ内の異なる位置、あるいは異な
るウエハからヘッドを抜き取り、読み出し特性の安定性
を調べた結果、対称性変動率は5%程度から30%程度
と大きくばらつき、結果的に製造歩留まりが低下するこ
とがわかった。
【0056】〔比較例2〕第一磁気シールド21に反応
性スパッタリング法により形成したFe−Ta−N膜
を、第二磁気シールド22にフレームメッキ法により形
成したNi−Fe膜を用いた。第一磁気シールド21の
熱処理温度は500℃とした。それ以外は、実施例1と
全く同様の工程で磁気抵抗効果型ヘッドを作製した。
【0057】一連の熱処理後の第一磁気シールド21と
第二磁気シールド22の異方性磁界は、共に2Oeであ
った。また、飽和磁束密度は、それぞれ1.6T、1T
であった。この結果より、対応する膜の磁気異方性定数
は、それぞれ130J/m3、80J/m3であった。
【0058】このようにして作製された磁気抵抗効果型
ヘッドについて、ウエハ内の異なる位置、あるいは異な
るウエハからヘッドを抜き取り、読み出し特性の安定性
を調べた結果、対称性変動率は5%程度から30%程度
と大きくばらつき、結果的に製造歩留まりが低下するこ
とがわかった。
【0059】以上示した実施例、比較例の結果から、磁
気シールドの磁気異方性定数を250J/m3以上とす
ることにより、読み出し特性の安定な製造歩留まりの高
い磁気抵抗効果型ヘッドが得られることが認められる。
これは、ヘッド個体毎の応力誘導異方性のバラツキによ
る磁区幅の変動率を、図2に示したように10%以下の
小さな変動率に保持できることにより、磁気シールドの
磁区構造のバラツキに起因する鏡像バイアス効果の変動
を小さくできたためと考えられる。
【0060】なお、磁化固定層の磁化方向を固定するた
めの反強磁性材料はNi−Mnに限定されるものではな
く、元素Mnを母材としたところのMn−X(XはC
r、Fe、Ni、Pd、Ir、Ru、Pt、Rhから選
択される少なくとも1種類の元素)であればよい。ま
た、Ni−O等の酸化物反強磁性材料でもよい。
【0061】また、上記態様では再生ヘッドと記録ヘッ
ドの複合ヘッドとしているが、再生用の抵抗効果型ヘッ
ドだけで構成してもよい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気抵抗
効果型ヘッドによれば、特に製造プロセスを変更せずに
磁気シールドの磁区構造のバラツキを最小限に抑制でき
るため、製造歩留まりが高いと共に、読み出し特性が安
定し、再現性のよい再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる再生用の磁気抵抗効果型ヘッド
と記録用のインダクティブヘッドとを備えた複合型磁気
ヘッドの一形態を示し、磁気ディスクとして組み立てら
れたときの磁気記録媒体の表面に平行な面で切ったとき
の断面図である。
【図2】磁気シールドを構成する軟磁性薄膜の磁気異方
性定数と磁区幅の変動率の関係を示すグラフである。
【図3】実施例3で形成した磁気ヘッドを示すもので、
磁気ディスクとして組み立てられたときの磁気記録媒体
の表面に平行な面で切ったときの断面図である。
【図4】スピンバルブ効果を利用した磁気抵抗効果型ヘ
ッドの各磁性層の一般的な形態を示す概念図である。
【符号の説明】
1 基板 2 オーバーコート層 10 磁気抵抗効果素子 13 中央感磁領域 14 端部領域 21 第一磁気シールド 22 第二磁気シールド 31,32 読み出しギャップ 33 書き込みギャップ 41 書き込み磁極 A 再生用ヘッド B 記録用ヘッド

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体からの信号磁界を抵抗変化
    を利用して検出する磁気抵抗効果素子と、該磁気抵抗効
    果素子を読み出しギャップを介して挟む一対の磁気シー
    ルドとを備える磁気抵抗効果型ヘッドにおいて、 前記磁気シールドが、磁気記録装置として組み立てられ
    たときのトラック幅方向に一軸磁気異方性を有し、かつ
    飽和磁束密度と異方性磁界とで表される磁気異方性定数
    が250J/m3以上である軟磁性薄膜で構成されるこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記磁気抵抗効果素子が、スピンバルブ
    素子からなる中央感磁領域と、この中央感磁領域に隣接
    してバイアス磁界とセンス電流を供給する端部領域とを
    備えることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果型
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記磁気シールドを構成する軟磁性薄膜
    が、Coを主成分とする非晶質材料からなることを特徴
    とする請求項1又は2記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記磁気シールドを構成する軟磁性薄膜
    が、Ni、Fe、Coから選ばれる金属の少なくとも2
    種を主成分とする合金材料からなることを特徴とする請
    求項1又は2記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記一対の磁気シールドの一方又は双方
    が、複数の軟磁性薄膜から構成されることを特徴とする
    請求項1〜4いずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記磁気シールドの一方が、磁気記録媒
    体に磁気信号を書き込むためのインダクティブ型ヘッド
    の磁極膜の一方を兼ねる構造を有することを特徴とする
    請求項1〜5いずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
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