JPH11207886A - 熱可塑性多層フイルム - Google Patents
熱可塑性多層フイルムInfo
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Abstract
熱収縮性などの特性を維持しつつ、シール強度などのシ
ール特性、及びセルフウエルド性に優れた熱可塑性多層
フィルムを提供すること。 【解決手段】 外側樹脂層(A)と内側シール性樹脂層
(B)との間に、ガスバリヤー性樹脂層(C)、及び少
なくとも1つの中間樹脂層(D)を有する熱可塑性多層
フィルムにおいて、(1)内側シール性樹脂層(B)
が、イオン化度15%超過〜25%以下のアイオノマー
樹脂層(B1)であり、(2)アイオノマー樹脂層(B
1)に直接的に隣接して中間樹脂層(D1)が積層さ
れ、かつ、(3)中間樹脂層(D1)の厚みがアイオノ
マー樹脂層(B1)の厚みよりも大きいことを特徴とす
る熱可塑性多層フィルム。
Description
脂層が積層された熱可塑性多層フィルムに関し、さらに
詳しくは、延伸性が良好で、熱収縮性に優れるととも
に、特に、衝撃時のシール強度やセルフウエルド性が顕
著に優れた熱可塑性多層フィルムに関する。本発明の熱
可塑性多層フィルムは、食肉などの食品包装用フィルム
として好適である。
シール性樹脂層とを有し、所望により内外両層間にガス
バリヤー性樹脂層や中間樹脂層(非ガスバリヤー性の熱
可塑性樹脂層)を配置した熱収縮性の熱可塑性多層フィ
ルムが、食品包装用フィルムとして知られている。外側
樹脂層及び内側シール性樹脂層の材質としては、通常、
各種ポリオレフィン系樹脂が用いられている。各層間に
は、必要に応じて、接着層が配置されている。このよう
な層構成の熱可塑性多層フィルムにおいて、内側シール
性樹脂層を構成する樹脂として、アイオノマー樹脂を用
いると、延伸性が良好で、熱収縮性に優れた熱可塑性多
層フィルムを得ることができる。アイオノマー樹脂とし
ては、延伸性、熱収縮性、透明性、光沢、抗張力などの
観点から、一般に、イオン化度(酸基の中和度)が30
〜60%程度のアイオノマー樹脂が用いられている。
いアイオノマー樹脂を熱可塑性多層フィルムのシール性
樹脂層に用いると、延伸性や熱収縮性に優れるものの、
実用上のシール強度が不十分となる。特に、衝撃時のシ
ール強度については、イオン化度が30〜60%程度の
アイオノマー樹脂をシール性樹脂層に配した熱可塑性多
層フィルムをヒートシールして袋を作製し、5kgのボ
ールを袋の開放側からシール部分に落下させる実用試験
を行うと、シール部が容易に破れてしまう。このよう
に、熱可塑性多層フィルムの低温でのシール強度が不足
すると、袋を開けて包装すべき製品を充填する際に、シ
ール部から破袋し易いため、例えば、強い応力にさらさ
れる自動包装過程に適合することができない。シール性
樹脂層として、超低密度ポリエチレン(VLDPE)層
を配置した熱可塑性多層包装フィルムが提案されている
が(特公平3−78065号公報)、該VLDPE層を
必要なシール強度が得られる厚みにすると、延伸性が低
下し、熱水収縮率(特に70〜80℃)やセルフウエル
ド性も不十分となり易い。
のアイオノマー樹脂層が有する延伸性、熱収縮性などの
特性を維持しつつ、シール強度などのシール特性、及び
セルフウエルド性に優れた熱可塑性多層フィルムを提供
することにある。本発明者らは、前記従来技術の有する
問題点を克服するために鋭意研究した結果、熱可塑性多
層フィルムにおいて、シール性樹脂層として、イオン
化度15%超過〜25%以下のアイオノマー樹脂層を用
い、該アイオノマー樹脂層に直接的に隣接する中間樹
脂層を配置し、かつ、該中間樹脂層の厚みをアイオノ
マー樹脂層の厚みよりも大きくすることにより、延伸性
や熱収縮性を損なうことなく、シール特性やセルフウエ
ルド性を改善できることを見いだした。該中間樹脂層
は、接着樹脂層を介することなく、該アイオノマー樹脂
層に直接的に隣接して積層する。該中間樹脂層の厚み
は、アイオノマー樹脂層の厚みの好ましくは2〜10
倍、より好ましくは4.5〜10倍とする。特に、該中
間樹脂層の厚みを該アイオノマー樹脂層の厚みの4.5
〜10倍の大きさとし、熱可塑性多層フィルムを照射架
橋することにより、熱収縮性やシール特性を顕著に改善
することができる。本発明は、これらの知見に基づいて
完成するに至ったものである。
脂層(A)と内側シール性樹脂層(B)との間に、ガス
バリヤー性樹脂層(C)、及び少なくとも1つの中間樹
脂層(D)を有する熱可塑性多層フィルムにおいて、
(1)内側シール性樹脂層(B)が、イオン化度15%
超過〜25%以下のアイオノマー樹脂層(B1)であ
り、(2)アイオノマー樹脂層(B1)に直接的に隣接
して中間樹脂層(D1)が積層され、かつ、(3)中間
樹脂層(D1)の厚みがアイオノマー樹脂層(B1)の
厚みよりも大きいことを特徴とする熱可塑性多層フィル
ムが提供される。
ール性樹脂層(B)と、該内側シール性樹脂層に隣接し
て積層された樹脂層(D1)とを有する熱可塑性多層フ
ィルムにおいて、(1)内側シール性樹脂層(B)が、
イオン化度15%超過〜25%以下のアイオノマー樹脂
層(B1)であり、(2)樹脂層(D1)が、アイオノ
マー樹脂層(B1)に直接的に隣接して積層されたポリ
オレフィン系樹脂層(PO1)であり、(3)ポリオレ
フィン系樹脂層(PO1)の厚みがアイオノマー樹脂層
(B1)の厚みの4.5〜10倍であり、かつ、(4)
電離性放射線により照射架橋されていることを特徴とす
る熱可塑性多層フィルムが提供される。
層として、イオン化度が15%超過〜25%以下のアイ
オノマー樹脂からなる層を用いる。アイオノマー樹脂と
しては、ベースポリマーとして、エチレン−不飽和カル
ボン酸共重合体またはエチレン−エチレン性不飽和カル
ボン酸−エチレン性不飽和カルボン酸エステル三元共重
合体を用い、これら共重合体中のカルボキシル基を陽イ
オンで中和した樹脂を挙げることができる。不飽和カル
ボン酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸な
どが好ましい。不飽和カルボン酸の共重合割合は、通
常、3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、より
好ましくは7〜13重量%である。不飽和カルボン酸の
共重合割合が大き過ぎると、シール強度が低下する傾向
を示す。不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)
アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステルが好まし
い。不飽和カルボン酸エステルの共重合割合は、通常、
3〜30重量%、好ましくは4〜15重量%、より好ま
しくは5〜10重量%である。
チレン−エチレン性不飽和カルボン酸−エチレン性不飽
和カルボン酸エステル三元共重合体のカルボキシル基を
陽イオンで中和した樹脂を用いることが好ましい。特に
不飽和カルボン酸エステルの共重合割合が15重量%以
下の前記三元共重合体をベースポリマーとするアイオノ
マー樹脂を用いると、衝撃時のシール強度及び低温熱収
縮性に優れた熱可塑性多層フィルムを得ることができ
る。不飽和カルボン酸エステルの共重合割合が大き過ぎ
ると、過剰な柔軟性とベトツキにより製袋性が悪化し、
シール強度も低下傾向を示す。当該三元共重合体として
は、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸イソブチルエ
ステルなどのエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)
アクリル酸アルキルエステルが好ましい。中和に使用す
る陽イオンとしては、Na+、K+、Li+、Cs+、Ag
+、Hg+、Cu+、Mg2+、Zn2+、Be2+、Ca2+、
Ba2+、Cu2+、Cd2+、Hg2+、Sn2+、Pb2+、F
e2+、Co2+、Ni2+、Al3+、Sc3+、Fe3+、Y3+
などの金属イオン、有機アミンなどを挙げることができ
る。これらの中で、通常、Na+、K+、Ca2+、Zn2+
などが好ましく用いられる。
5%以下のアイオノマー樹脂を用いる。アイオノマー樹
脂のイオン化度が高すぎると、実用上要求される水準の
シール強度を得ることができない。イオン化していない
エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステ
ル三元共重合体(例えば、エチレン−メタクリル酸−ア
クリル酸イソブチルエステル三元共重合体)を用いる
と、延伸性が低下し、ブロッキング(インフレーション
法におけるフィルム内面同士の粘着)も生じ易くなる。
イオン化度が高くなると、低温でのシール強度が低下
し、実用的なシール強度を得ることが困難になる。特
に、シール性樹脂として汎用のイオン化度30〜60%
のアイオノマー樹脂を用いると、シール部が前述のボー
ルの落下衝撃試験に耐えることができなくなる。イオン
化度15%超過〜25%以下のアイオノマー樹脂は、イ
オン化度が異なる2種以上のアイオノマー樹脂をブレン
ドして調製してもよい。すなわち、2種以上のアイオノ
マー樹脂のブレンド物のイオン化度が15%超過〜25
%以下であれば、該ブレンド物を構成する各アイオノマ
ー樹脂のイオン化度が15%以下、または25%超過で
あってもよい。また、アイオノマー樹脂は、例えば、エ
チレン−メタクリル酸共重合体、エチレン、メタクリル
酸−アクリル酸エステル三元共重合体などとブレンドし
て用いることができるが、この場合、アイオノマー樹脂
のブレンド割合は、通常、50重量%以上、好ましくは
70重量%以上、より好ましくは90重量%以上であ
る。
び内側シール性樹脂層(B)を有し、内外層間にガスバ
リヤー性樹脂層(C)及び少なくとも1つの中間樹脂層
(D)が配置された層構成を有するものであり、必要に
応じて、各層間に接着樹脂層が配置されている。特に、
ガスバリヤー性樹脂層と他の樹脂層との間の接着性を高
めるために、接着樹脂層を使用することが好ましい。本
発明では、熱可塑性多層フィルムの内側シール性樹脂層
(B)として、イオン化度15%超過〜25%以下のア
イオノマー樹脂層(B1)を配置する。これにより、イ
オン化度が高い汎用のアイオノマー樹脂を用いた場合と
比較して低温でのシール強度を顕著に高めることができ
る。
オノマー樹脂層(B1)は、イオン化度の高いアイオノ
マー樹脂層に比べて低温でのシール特性に優れるもの
の、顕著な改善が必要である。そこで、本発明では、該
アイオノマー樹脂層(B1)に直接的に隣接して中間樹
脂層(D1)を積層し、かつ、該中間樹脂層(D1)の
厚みをアイオノマー樹脂層(B1)の厚みよりも大きく
する。アイオノマー樹脂層(B1)に直接的に隣接する
中間樹脂層(D1)としては、ポリオレフィン系樹脂層
(PO1)が好ましい。アイオノマー樹脂層(B1)に
直接的に隣接する中間樹脂層(D1)の厚みを、該アイ
オノマー樹脂層(B1)の厚みより大きくすることによ
り、シール特性を顕著に改善することができる。ポリオ
レフィン系樹脂層(PO1)などの中間樹脂層(D1)
を配置すると、アイオノマー樹脂層(B1)の厚みを薄
くすることができるので、経済的でもある。
るポリオレフィン系樹脂としては、例えば、酢酸ビニル
含量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合
体、アクリル酸エステル含量が5〜30重量%のエチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸−アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。エ
チレン−アクリル酸エステル共重合体としては、例え
ば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−
アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチ
ル共重合体などが挙げられる。これらのポリオレフィン
系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上をブレン
ドして用いることができる。ポリオレフィン系樹脂層
(PO1)に用いるポリオレフィン系樹脂として、特に
好ましいのは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)であり、その酢酸ビニル含量は、通常5〜30重量
%、好ましくは10〜25重量%、より好ましくは12
〜20重量%である。特に、イオン化度15%超過〜2
5%以下のアイオノマー樹脂層(B1)と、EVAなど
のポリオレフィン系樹脂層(PO1)とを直接的に隣接
して配置すると、75℃でのTD(幅方向)の熱収縮率
が40%以上の熱収縮性に優れた熱可塑性多層フィルム
を容易に得ることができる。内側シール性樹脂層に、汎
用のイオン化度の高いアイオノマー樹脂を用いた場合、
該アイオノマー樹脂層とポリオレフィン系樹脂層(PO
1)とが接着し難いことがある。
脂としては、ポリオレフィン系樹脂層(PO)が好まし
い。ポリオレフィン系樹脂層(PO)に用いるポリオレ
フィン系樹脂としては、中間樹脂層(D1)のポリオレ
フィン系樹脂層(PO1)に用いられるのと同じポリオ
レフィン系樹脂を用いることができるが、この他にポリ
プロピレン系樹脂、さらに、チーグラーナッタ触媒やメ
タロセン触媒(拘束幾何触媒を含む)を用いて得られた
エチレン−αオレフィン共重合体が好ましく使用され
る。エチレン−αオレフィン共重合体としては、例え
ば、エチレンと、少量のブテン−1、ペンテン−1、4
−メチルペンテン−1、オクテン−1等の炭素数4〜1
8のαオレフィンとの共重合体が挙げられ、より具体的
には、いわゆる線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)、超低密度ポリエチレン(VLDPEまたはULD
PE)などが挙げられる。これらの中でも、延伸性など
の観点から、特にLLDPE、VLDPEまたはULD
PE、酢酸ビニル含量12重量%以下のエチレン−酢酸
ビニル共重合体(EVA)などが好ましい。これらのポ
リオレフィン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上をブレンドして用いることができる。
バリヤー性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン系樹
脂(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体
(EVOH)、ポリアミド系樹脂などを挙げることがで
きる。これらの中でも、特にPVDCが好ましい。PV
DCとは、一般に、65〜95重量%の塩化ビニリデン
と、これと共重合可能な不飽和単量体の少なくとも一種
5〜35重量%との共重合体である。共重合可能な不飽
和単量体としては、例えば、塩化ビニル、(メタ)アク
リル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルなどが挙げられる。PVDCには、必要に応じて、E
VAなどのポリオレフィン系樹脂(多層フィルムの再生
物であってもよい)、可塑剤、安定剤などを添加しても
よい。
る樹脂としては、前記のごときポリオレフィン系樹脂層
(PO1)に用いられるのと同じポリオレフィン系樹脂
を好適に用いることができる。中間樹脂層(D)には、
多層フィルムの再生物であって、ポリオレフィン系樹脂
を50重量%以上の割合で含有するブレンド物を用いて
もよい。前述のポリオレフィン系樹脂層(D1)は、中
間樹脂層(D)の1つであるが、中間樹脂層(D)とし
ては、この他に、例えば、所望により外側樹脂層(A)
に隣接して配置される中間樹脂層(D2)がある。もち
ろん、必要に応じて、3つ以上の中間樹脂層(D1、D
2、D3、・・・)を配置してもよい。ポリオレフィン
系樹脂層(PO)などの外側樹脂層(A)に隣接して積
層される中間樹脂層(D2)に用いるポリオレフィン系
樹脂(PO2)としては、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン
−メタクリル酸−アクリル酸イソブチルエステル三元共
重合体などが好ましい。また、中間樹脂層(D2)に用
いるポリオレフィン系樹脂(PO2)としては、アイオ
ノマー樹脂層が挙げられる。中間樹脂層(D2)に用い
られるアイオノマー樹脂は、そのイオン化度は特に限定
されないが、シール特性にあまり影響を及ぼさないため
には、イオン化度が15%以下のアイオノマー樹脂を用
いることが好ましい。
層(E)を配置することができる。接着層(E)を形成
する樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル含量1
3〜28重量%のエチレン−アクリル酸エステル共重合
体、酢酸ビニル含量13〜28重量%のエチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体の不飽和カルボン酸変性物または金属変性物などが挙
げられる。これらの接着層は、例えば、PVDCなどの
ガスバリヤー性樹脂層(C)とその他の樹脂層との間、
ポリオレフィン系樹脂層相互の間などに用いられる。接
着層(E)は、中間樹脂層(D1)または(D2)、あ
るいは外側樹脂層(A)が兼務してもよい。
各層を形成する熱可塑性樹脂を積層数に応じた台数の押
出機を用いて、環状ダイから筒状に溶融押出することに
より得ることができ、さらに、二軸インフレーション法
により、一軸または二軸に延伸することにより、熱収縮
性を付与することができる。延伸倍率は、特に限定され
ないが、通常、縦方向及び/または横方向にそれぞれ2
〜7倍程度である。延伸に際し、電子線などの電離性放
射線を照射して架橋することが好ましい。照射架橋する
樹脂層としては、外側樹脂層(A)、中間樹脂層(D
2)、中間樹脂層(D1)、及びアイオノマー樹脂層
(B1)などを挙げることができる。照射架橋は、延伸
工程前に、通常、多層フィルムの外側樹脂層(A)から
電離性放射線を照射することにより行う。ガスバリヤー
性樹脂としてPVDCを用いる場合には、外側樹脂層
(A)及び中間樹脂層(D2)を照射架橋することが、
延伸性を高める上で好ましい。電子線照射により架橋す
る場合には、加速電圧を150〜500kvとし、吸収
線量を20〜200キログレイ(kGy)とすることが
好ましい。
層構成としては、例えば、以下のものを例示することが
できる。 1.外側樹脂層(A)/中間樹脂層(D2)/接着層/
ガスバリヤー性樹脂層(C)/接着層/中間樹脂層(D
1)/内側シール性樹脂層(B) 2.外側樹脂層(A)/中間樹脂層(D2)/接着層/
ガスバリヤー性樹脂層(C)/中間樹脂層(D1)/内
側シール性樹脂層(B) 3.外側樹脂層(A)/接着層/ガスバリヤー性樹脂層
(C)/接着層/中間樹脂層(D1)/内側シール性樹
脂層(B) 4.外側樹脂層(A)/接着層/ガスバリヤー性樹脂層
(C)/中間樹脂層(D1)/内側シール性樹脂層
(B) 5.外側樹脂層(A)/中間樹脂層(D2)/ガスバリ
ヤー性樹脂層(C)/接着層/中間樹脂層(D1)/内
側シール性樹脂層(B) 6.外側樹脂層(A)/中間樹脂層(D2)/ガスバリ
ヤー性樹脂層(C)/中間樹脂層(D1)/内側シール
性樹脂層(B) 7.外側樹脂層(A)/ガスバリヤー性樹脂層(C)/
接着層/中間樹脂層(D1)/内側シール性樹脂層
(B) 8.外側樹脂層(A)/ガスバリヤー性樹脂層(C)/
中間樹脂層(D1)/内側シール性樹脂層(B) 9.外側樹脂層(A)/中間樹脂層(D1)/内側シー
ル性樹脂層(B)
ましい層構成の例を示すと、次のとおりである。 ポリオレフィン系樹脂層(PO)/ポリオレフィン系
樹脂層(PO2)/接着層/PVDC層/接着層/ポリ
オレフィン系樹脂層(PO1)/アイオノマー樹脂層
(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/ポリオレフィン系
樹脂層(PO2)/接着層/PVDC層/ポリオレフィ
ン系樹脂層(PO1)/アイオノマー樹脂層(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/接着層/PVDC
層/接着層/ポリオレフィン系樹脂層(PO1)/アイ
オノマー樹脂層(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/接着層/PVDC
層/ポリオレフィン系樹脂層(PO1)/アイオノマー
樹脂層(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/ポリオレフィン系
樹脂層(PO2)/PVDC層/接着層/ポリオレフィ
ン系樹脂層(PO1)/アイオノマー樹脂層(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/ポリオレフィン系
樹脂層(PO2)/PVDC層/ポリオレフィン系樹脂
層(PO1)/アイオノマー樹脂層(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/PVDC層/接着
層/ポリオレフィン系樹脂層(PO1)/アイオノマー
樹脂層(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/PVDC層/ポリ
オレフィン系樹脂層(PO1)/アイオノマー樹脂層
(B1) ポリオレフィン系樹脂層(PO)/ポリオレフィン系
樹脂層(PO1)/アイオノマー樹脂層(B1)
常、20〜100μmである。各層の厚みの割合は、所
望に応じて適宜設定することができるが、内側シール性
樹脂層(B)を形成するアイオノマー樹脂層(B1)
と、該樹脂層に直接的に隣接する中間樹脂層(D1)と
の厚み比は、アイオノマー樹脂層(B1)の厚みが小さ
くないと、衝撃時のシール強度が改良できない。中間樹
脂層(D1)の厚みのアイオノマー樹脂層(B1)の厚
みに対する倍率は、通常、1.5〜20倍、好ましくは
2〜10倍、より好ましくは4.5〜10倍である。こ
の倍率が小さすぎると、内側シール性樹脂層(B)とし
てイオン化度15%超過〜25%以下のアイオノマー樹
脂層(B1)を配置しても、衝撃時のシール強度が不十
分となる。一方、この倍率を満足しても、内側シール性
樹脂層(B)にイオン化度が大きな汎用のアイオノマー
樹脂を用いると、衝撃時のシール強度が劣悪となる。各
層の厚み割合は、通常、外側樹脂層(A)1〜35%、
中間樹脂層(D2)0〜50%、ガスバリヤー性樹脂層
(C)0〜20%、中間樹脂層(D1)10〜50%、
アイオノマー樹脂層(B)5〜25%であり、接着層を
配置する場合は、その厚みは、1〜5μm程度である。
中間樹脂層(D1)と接着層を構成する樹脂が同種の場
合は、中間樹脂層(D1)の厚みはその合計値である。
本発明の熱可塑性多層フィルムは、延伸性が良好で、熱
収縮性にも優れるアイオノマー樹脂の特徴を活かしなが
ら、衝撃時のシール強度及びセルフウエルド性を顕著に
改良したものであり、各種食品包装用フィルムとして好
適である。
ついてより具体的に説明する。なお、物性の測定法及び
使用した樹脂は、以下のとおりである。 <物性の測定法> (1)熱水収縮率 多層フィルムの延伸方向とそれに対して垂直方向のそれ
ぞれに10cmの距離で印を付けた試料を、75℃に調
整した熱水中に10秒間浸漬した後、取り出し、直ちに
常温の水で冷却する。その後、印間の距離を測定し、1
0cmからこの測定値を差し引いた値を求め、この値の
10cmに対する割合を百分率で表示する。5回試験を
行って、平均値で熱水収縮率を表示した。
(牛肉)を充填し、真空包装する。これを75℃の熱水
中に1秒間浸漬して、フイルムを収縮させた後、氷水で
急冷する。5℃の冷蔵庫で2週間放置した後、袋の耳部
(フイルムの内面が生肉と接触せず、フイルムの内面同
士で接触している部分)に存在するドリップ(肉汁)の
様子を目視で観察し、以下の基準で判定した。 :耳部にドリップが存在するが、あまり目立たない。 ×:耳部の大部分に、ドリップが存在する。 2.内面の接着力測定 前記1.と同様の方法で得られた試料を、5℃の冷蔵庫
で一日放置した後、試料の耳部の内面同士の接着力を以
下に示す方法で測定した。測定値は、平均強度で示し
た。 ・測定機器 :オリエンテック社製引張試験機テン
シロンRTM−100 ・つかみ具間距離:20mm ・つかみ具速度 :200mm/分 ・試料幅 :15mm ・雰囲気温度 :23℃ ・雰囲気相対湿度:50%
で熱シールして、袋状のシール強度測定用試料を作製し
た。該試料を23℃の恒温室で1日間放置した後、5℃
の恒温室に移し、3時間以上放置する。その後、袋状試
料を固定し、5kgのボールを試料の開放側からシール
部分に落下させる。ボールを落下させる高さは、袋状試
料のシール部分から70cm上の位置とし、ボール落下
試験回数は、一つの試料に対して最大5回とする。試料
10枚についてこの処理を行い、シール部の破袋した個
数でシール強度を表す。 (4)延伸性 インフレーション法により形成した延伸バブルの安定性
に基づいて、多層フィルムの延伸性を以下の基準で判定
した。 ○:インフレーション法により製膜が可能であり、延伸
バブルがほとんど上下しない。 △:インフレーション法により製膜が可能であるが、延
伸バブルが上下し、安定性にかける。 ×:インフレーション法による製膜が不可能である。
塩酸混合溶液中に60℃で4時間浸漬した後、室温下に
て樹脂を濾過、メタノール洗浄を実施する。 金属の含量 塩酸/メタノール溶液を分離し、その溶液中の金属をI
CP(誘導結合プラズマ発光分光分析)で定量する。 酸含量の測定 前記によって得られた樹脂を50℃で2時間減圧乾燥
する。乾燥後の樹脂について、NMR分析を行い、樹脂
中の酸含量(モル%)を算出する。 イオン化度(中和度)の計算 イオン化度は、上記の結果を基に、下式によって求め
る。
テックV0398CN ・密度=0.907g/cm3 ・メルトフローレイト(MFR)=3.3g/10mi
n. (2)VLDPE−2 ・線状超低密度ポリエチレン、ダウケミカル社製、アフ
ィニティFW1650 ・密度=0.902g/cm3 ・MFR=3.0g/10min. (3)EVA−1 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・密度=0.94g/cm3 ・MFR=2.0g/10min. ・酢酸ビニル含量=19重量% (4)EVA−2 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・密度=0.94g/cm3 ・MFR=2.5g/10min. ・酢酸ビニル含量=15重量%
量%;100重量部 ・ジブチルセバケート0.86重量部とエポキシ化大豆
油2.3重量部を含有 (7)EMAA−IBA ・エチレン−メタクリル酸−アクリル酸イソブチル共重
合体 ・密度=0.94g/cm3 ・MFR=2.4g/10min. ・メタクリル酸含量=12重量% ・アクリル酸イソブチル含量=6重量% (8)アイオノマー樹脂 アイオノマー樹脂は、表1に示すものを用いた。陽イオ
ンは、いずれもNa+である。
ニル共重合体(PVDC)、線状超低密度ポリエチレン
(VLDPE−1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA−1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A−2)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(E
EA)、及びアイオノマー樹脂(アイオノマー1)を6
台の押出機で別々に押出し、溶融された各重合体を共押
出環状ダイに導入し、ここで、外層より内層にかけて、
(VLDPE−1)/(EVA−1)/(EEA)/
(PVDC)/(EEA)/(EVA−2)/(アイオ
ノマー1)の順に溶融接合し、ダイ内で7層として共押
出した。ダイ出口部での溶融筒状体の樹脂温度は、20
0℃であった。溶融筒状体は、10〜20℃の冷水シャ
ワーリングによって冷却し、扁平幅138mmで、厚み
558μmの扁平筒状体とした。該扁平筒状体を加速電
圧300KeVの電子線照射装置中で電子線照射して8
0キログレイの照射線量を与えた。次に、82℃の熱水
槽を通過させ、10℃のエアリングで冷却しながらイン
フレーション法で縦方向に3.1倍、横方向に3.0倍
に同時二軸延伸した。このようにして得られた二軸延伸
多層フイルムの折り幅は416mmで、厚みは60μm
であった。その厚み構成は、外層から順に、3μm/2
2μm/1.5μm/7μm/1.5μm/21μm/
4μmであった。
ノマー1)の代わりに(アイオノマー1とアイオノマー
2との重量比6/4の混合物)を用いて、層構成を、外
層より内層にかけて、(VLDPE−1)/(EVA−
1)/(EEA)/(PVDC)/(EEA)/(EV
A−2)/(アイオノマー1とアイオノマー2との混合
物)としたこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸
多層フイルムを製造した。
PE−1)の代わりに(VLDPE−2)を用いて、層
構成を、(VLDPE−2)/(EVA−1)/(EE
A)/(PVDC)/(EEA)/(EVA−2)/
(アイオノマー1)に変え、かつ、厚み構成を、外層か
ら順に、3μm/22μm/1.5μm/7μm/1.
5μm/17μm/8μmに変えたこと以外は、実施例
1と同様にして二軸延伸多層フイルムを製造した。
PE−1)の代わりに(VLDPE−2)、(EVA−
1)の代わりに(EMAA−IBA)をそれぞれ用い
て、層構成を、(VLDPE−2)/(EMAA−IB
A)/(EEA)/(PVDC)/(EEA)/(EV
A−2)/(アイオノマー1とアイオノマー2との混合
物)に変え、さらに、厚み構成を、外層から順に、3μ
m/22μm/1.5μm/7μm/1.5μm/22
μm/3μmに変えたこと以外は、実施例2と同様にし
て二軸延伸多層フイルムを製造した。
ニル共重合体(PVDC)、エチレン−酢酸ビニル共重
合体(EVA−2)、及びアイオノマー樹脂(アイオノ
マー1とアイオノマー3との重量比5/5の混合物)を
4台の押出機で別々に押出し、溶融された各重合体を共
押出環状ダイに導入し、ここで、外層より内層にかけ
て、(EVA−2)/(EVA−2)/(PVDC)/
(EVA−2)/(EVA−2)/(アイオノマー1と
アイオノマー3の混合物)の順に溶融接合し、ダイ内で
6層として共押出した。ダイ出口部での溶融筒状体の樹
脂温度は200℃であった。該溶融筒状体は、10〜2
0℃の冷水シャワーリングによって冷却し、扁平幅13
8mmで、厚み620μmの扁平筒状体とした。該扁平
筒状体を加速電圧200KeVの電子線照射装置中で電
子線照射して80キログレイの照射線量を与えた。次
に、82℃の熱水層を通過させ、10℃のエアリングで
冷却しながらインフレーション法で縦方向に3.3倍、
横方向に3.0倍に同時二軸延伸した。得られた二軸延
伸多層フイルムの折り幅は416mmで、厚さは62μ
mであった。その厚み構成は、外層から順に、20μm
/1μm/7μm/1μm/28μm/5μmであっ
た。実施例1〜5で得られた多層フイルムの層構成、及
び物性試験結果を表2に一括して示す。
比
ノマー1)の代わりに(アイオノマー4)を用いて、層
構成を、外層より内層にかけて、(VLDPE−1)/
(EVA−1)/(EEA)/(PVDC)/(EE
A)/(EVA−2)/(アイオノマー4)としたこと
以外は、実施例1と同様にして二軸延伸多層フイルムを
製造した。
を、外層から順に、3μm/22μm/1.5μm/7
μm/1.5μm/11μm/14μmに変えたこと以
外は、実施例1と同様にして二軸延伸多層フイルムを製
造した。
ノマー1とアイオノマー2の混合物)の代わりに(アイ
オノマー5)を用いて、層構成を、外層より内層にかけ
て、(VLDPE−2)/(EMAA−IBA)/(E
EA)/(PVDC)/(EEA)/(EVA−2)/
(アイオノマー5)に変え、かつ、厚み構成を、外層か
ら順に、3μm/22μm/1.5μm/7μm/1.
5μm/15μm/10μmに変えたこと以外は、実施
例4と同様にして二軸延伸多層フイルムを製造した。
ノマー1とアイオノマー2の混合物)の代わりに(VL
DPE−2)を用いて、層構成を、外層より内層にかけ
て、(VLDPE−2)/(EMAA−IBA)/(E
EA)/(PVDC)/(EEA)/(EVA−2)/
(VLDPEー2)としたこと以外は、実施例4と同様
にして二軸延伸多層フイルムを製造した。比較例1〜4
の多層フイルムの層構成、及び物性試験結果を表3に一
括して示す。
有する延伸性、熱収縮性などの特性を維持しつつ、衝撃
時のシール強度などのシール特性及びセルフウエルド性
に優れた熱可塑性多層フィルムが提供される。
Claims (6)
- 【請求項1】 外側樹脂層(A)と内側シール性樹脂層
(B)との間に、ガスバリヤー性樹脂層(C)、及び少
なくとも1つの中間樹脂層(D)を有する熱可塑性多層
フィルムにおいて、(1)内側シール性樹脂層(B)
が、イオン化度15%超過〜25%以下のアイオノマー
樹脂層(B1)であり、(2)アイオノマー樹脂層(B
1)に直接的に隣接して中間樹脂層(D1)が積層さ
れ、かつ、(3)中間樹脂層(D1)の厚みがアイオノ
マー樹脂層(B1)の厚みよりも大きいことを特徴とす
る熱可塑性多層フィルム。 - 【請求項2】 中間樹脂層(D1)が、ポリオレフィン
系樹脂層(PO1 )である請求項1記載の熱可塑性多層
フィルム。 - 【請求項3】 アイオノマー樹脂層(B1)が、エチレ
ン−エチレン性不飽和カルボン酸−エチレン性不飽和カ
ルボン酸エステル三元共重合体のカルボキシル基を陽イ
オンで中和した樹脂からなる層である請求項1記載の熱
可塑性多層フィルム。 - 【請求項4】 電離性放射線により照射架橋されている
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性多層
フィルム。 - 【請求項5】 中間樹脂層(D1)の厚みが、アイオノ
マー樹脂層(B1)の厚みの2〜10倍である請求項1
ないし4のいずれか1項に記載の熱可塑性多層フィル
ム。 - 【請求項6】 少なくとも内側シール性樹脂層(B)
と、該内側シール性樹脂層に隣接して積層された樹脂層
(D1)とを有する熱可塑性多層フィルムにおいて、
(1)内側シール性樹脂層(B)が、イオン化度15%
超過〜25%以下のアイオノマー樹脂層(B1)であ
り、(2)樹脂層(D1)が、アイオノマー樹脂層(B
1)に直接的に隣接して積層されたポリオレフィン系樹
脂層(PO1)であり、(3)ポリオレフィン系樹脂層
(PO1)の厚みがアイオノマー樹脂層(B1)の厚み
の4.5〜10倍であり、かつ、(4)電離性放射線に
より照射架橋されていることを特徴とする熱可塑性多層
フィルム。
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