JPH11207150A - 生菌を用いた液体浄化器および液体浄化装置 - Google Patents

生菌を用いた液体浄化器および液体浄化装置

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JPH11207150A
JPH11207150A JP10009254A JP925498A JPH11207150A JP H11207150 A JPH11207150 A JP H11207150A JP 10009254 A JP10009254 A JP 10009254A JP 925498 A JP925498 A JP 925498A JP H11207150 A JPH11207150 A JP H11207150A
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blood
membrane
purifier
body fluid
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JP10009254A
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Masaoki Hoshino
政陽 星野
Noriyuki Hosoya
範行 細矢
Masatomi Sasaki
正富 佐々木
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】腎不全、多臓器不全等の患者血液から毒性物質
を除去する血液浄化治療において、透析液や補充液を用
いることなく、または少量の使用で済み、かつ発熱性物
質により血液汚染されることなく、尿素などの血液中の
毒性物質を処理する液体浄化器および液体浄化装置の提
供。 【解決手段】菌体を透過しないが処理液を透過する半透
膜と、該半透膜の一方の側に液密に接して設けられる処
理液流路と、該半透膜の他方の側に液密に接して生菌体
が存在するよう生菌体を保持する生菌槽とを有すること
を特徴とする液体浄化器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腎不全、多臓器不
全等の患者血液から毒性物質を除去する血液浄化治療に
おいて、透析液や補充液を用いることなく、または少量
の使用で済み、かつ発熱性物質により血液汚染されるこ
となく、尿素などの血液中の毒性物質を処理する液体浄
化器およびこの液体浄化器を備えた液体浄化装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】血液透析(hemodialysis, 以下HDとい
う)は、主として腎機能の一部を代行して体内に蓄積さ
れた水や尿毒症物質の除去を目的として行われる。HD
は半透膜を介して一方に血液を、他方に透析液を流し、
半透膜を境にした血液と透析液の溶質濃度差から生じる
拡散を利用して、血液中の尿毒症物質を除去する療法で
ある。HDは1回の治療に120〜150Lもの大量の
透析液を必要とし、一度使用した透析液は全て廃棄さ
れ、常に新しい透析液を連続的に供給しなければならな
いため、清浄な透析液を大量供給できる配管設備が必要
であり、装置が大型化する。HDの他に血液を浄化する
療法として、半透膜を隔てた圧力差により血液を濾過す
る血液濾過(hemofiltration, 以下HFという)があ
る。HFはHDと比べて、透析液を用いないメリットが
あるが、20〜30Lもの大量の補充液を必要とする欠
点もある。
【0003】HDとHFを組み合わせた血液透析濾過
(hemodiafiltration,以下HDFという)という療法が
あるが、前記療法においても大量の透析液と補充液が必
要となり、HDと同様の問題点を含んでいる。上記血液
浄化方法以外に、活性炭やアルミナ等を用いて尿毒症物
質を吸着する方法があるが、前記吸着材は尿毒症物質の
1つである尿素窒素を吸着しない欠点を有する。尿素窒
素の処理方法として、尿素分解酵素を用いて尿素窒素を
アンモニアと二酸化炭素に分解し、ジルコニアを用いて
アンモニアを吸着する方法があるが、前記手法により1
回の治療に要求される尿素分解酵素とジルコニアの量が
大量であるため装置が大型化し、かつコスト的に好まし
くない。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上
記問題点を解決した、透析液を使用せず、または少量で
済み、かつ装置の小型化が図れる血液等の液体浄化器お
よびそれを用いた液体浄化装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は以下の構成を有する。すなわち本発明は、菌
体を透過しないが処理液を透過する半透膜と、該半透膜
の一方の側に液密に接して設けられる処理液流路と、該
半透膜の他方の側に液密に接して生菌体が存在するよう
生菌体を保持する生菌槽とを有することを特徴とする液
体浄化器を提供する。ここで、前記生菌体が尿素分解酵
素を産生するものであるのが好ましく、前記半透膜の9
5%カットオフポイントが、分子量3,000〜60,
000ダルトンであるのが好ましい。また、前記生菌体
が遺伝子操作により尿素分解酵素の産生能を付与された
大腸菌であり、前記処理液が血液、または血液から血漿
分離膜、血液濾過膜、血液透析膜の少なくともいずれか
一つにより分離された血液成分を含む体液成分含有液で
あるのが好ましい。さらに、上記の液体浄化器を有する
ことを特徴とする液体浄化装置を提供する。ここで、液
体浄化器と、体液採取手段と体液返還手段とを備えた体
液を灌流させるための灌流流路とを有し、体液または体
液の一部を処理液とする液体浄化装置が好ましい。ま
た、液体浄化器、および 吸着処理手段を有し、該吸
着処理手段は、選択透過膜の一方の側に液密に接して設
けられる処理液流路と該選択透過膜の他方の側に吸着剤
が液密に接するよう設けられる吸着槽とを有し、該選択
透過膜を介して拡散および/または濾過により処理液か
ら吸着物質を吸着処理する手段である液体浄化装置が好
ましい。また、体液分離器、体液濾過器および体液透析
器からなる群から選択される少なくとも1つをさらに有
する液体浄化装置が好ましい。さらに、体液濾過器が膜
のふるい分けにより体液を選択的に分離するものである
のが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の浄化器は、菌体を透過し
ないが処理液を透過する半透膜と、該半透膜の一方の側
に液密に接して設けられる処理液流路と、該半透膜の他
方の側に液密に接して生菌体が存在するよう生菌体を保
持する生菌槽とを有することを特徴とする液体浄化器で
ある。
【0007】本発明で用いる半透膜は、菌体を透過しな
いが処理液を透過する半透膜であり、水系液体である処
理液中の除去処理が必要な処理対象物質を選択的に透過
し、処理液中の必要物質を透過しない膜である。具体的
には菌体およびエンドトキシンを透過せず、尿素等の尿
毒症物質を透過するものであり、95%カットオフポイ
ントが3,000〜60,000ダルトンであるのが好
ましい。半透膜は、銅アンモニア法再生セルロース、鹸
化法再生セルロース、酢酸セルロース等のセルロース
系、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、エチレンビニルアルコール等の合
成高分子系材料からなるのが好ましく、特に尿素窒素の
移動性能が高い親水性のセルロース系膜が好ましく、従
来の人工腎臓として用いられている半透膜を組み込んだ
ものを使用することができる。膜形状は中空糸膜、シー
ト状膜、筒状膜等が例示されるが、特に限定される物で
はない。半透膜として中空糸膜を用いると、血液等の処
理液体の濾過面積をその占める体積に比して大きくする
ことができ、効率的な処理が出来るので、好ましい。
【0008】本発明で用いる生菌は、尿素分解酵素を産
生するものが好ましく、特に遺伝子操作により尿素分解
酵素の産生能を付与された大腸菌であるのが好ましい。
具体的には、遺伝子工学的に大腸菌を宿主としてウレア
ーゼ遺伝子を組み込んだものが好ましく、適当なベクタ
ーにウレアーゼ遺伝子を組み込んだ組み換えDNAを作
製し、該組み換えDNAで、大腸菌を形質転換すること
により作製出来る。用いるベクターとしてはpBR32
2,pUC118,pSV−dhfr,pBluess
criptII等が挙げられ、さらに、適当な選択マー
カー遺伝子(例えば、アンピシリン耐性遺伝子、カナマ
イシン耐性遺伝子等)、プロモーター配列(lacプロ
モーター、trpプロモーター等)を有していることが
好ましい。またウレアーゼ遺伝子の由来は特に限定され
ない。例えば、Biotech. and Bioeng.Vol.46,Pp.521-62
6 (1995)に開示されているK.aerogensのウレアーゼ遺伝
子を組み込んだ大腸菌E.coli DH5が好適に使用できる。
また、他の物質が処理対象である場合は、処理対象に応
じて用いる宿主や組み込む遺伝子を変えることができ
る。
【0009】本発明の液体浄化器は、あらかじめ生菌が
内蔵されたものでも良いが、使用する前に中空糸膜を隔
てた一方の区画に菌液を注入して用いる態様が好まし
い。菌液以外の装置の滅菌が容易であり、かつ、使用に
便利だからである。また、本発明で用いる生菌は、菌懸
濁液をそのまま使用しても良いし、アルギン酸等のゲル
に封入し、カプセルとして用いても良い。カプセルとし
て用いる場合、菌液の取り扱いが容易となる。また、上
記のようなカプセルがあった方が安全性などの観点から
も好ましい。なお、カプセルの有無は尿毒症物質の除去
効果には影響はない。
【0010】本発明の液体浄化器および液体浄化装置の
処理対象となる処理液は、体液等の水系液体であり、血
液、血液成分、透析液等が例示される。このうち血液、
あるいは血液から血漿分離膜、血液濾過膜、血液透析膜
の少なくともいずれか1つで分離された血液成分を含む
体液が好ましい。
【0011】本発明の液体浄化器を図1に示す好適実施
例に基づき以下に説明する。図1に示す液体浄化器81
は半透膜として中空糸を有するものであり、処理液流入
口82と処理液流出口83を有するハウジング84と、
ハウジング84内部に隔壁90に離隔されて保持されて
配置される半透膜である多数の中空糸85を備え、処理
液流入口82から流入した処理液は中空糸内筒側の処理
液流路86を通って処理液流出口83から流出する。一
方生菌槽87は、中空糸85外筒側の外表面とハウジン
グとの間の空間であって処理液流路とは中空糸85によっ
て隔てられ、大腸菌懸濁液を保持する。処理液が処理液
流路86を通る際、液中の低分子物質が中空糸85を通
して生菌槽87内に拡散し、生菌槽87に充填された生
菌により分解され除去される。生菌としてウレアーゼ遺
伝子を導入した大腸菌を用いれば、生菌がウレアーゼを
分泌し、生菌槽に拡散した尿素がアンモニアと炭酸ガス
に分解される。生菌槽87に菌液の交換や補充をするた
めにハウジング84は、導入口88を有してもよい。導
入口88には生菌を保持する生菌溜89が液密に装着で
きるようになっていて、ここから生菌槽87内に生菌を
供給することができる。導入口88は複数あってもよく
使用しないときはキャップ91で封止される。また、別
の態様として、生菌溜89をハウジング84のキャップ
91を介して生菌槽87と連通するように設け、この中
に生菌を保持して生菌槽とし、ハウジングとの間はフィ
ルターを設けて中空糸外表面に接するハウジング内には
生菌が入らないようにし、ウレアーゼのみが入るように
してもよい。
【0012】本発明の浄化器のハウジングの材質は血液
成分や微生物に対して安定であれば、特に制限されない
が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリスルホン、ポリ四フッ化エチレン、ポリエステル、
ナイロン、ポリカーボネート等が例示される。
【0013】本発明の液体浄化装置は、少なくとも本発
明の液体浄化器を有する装置である。本発明の装置は液
体浄化器に加えてさらに、血液処理や透析に用いられて
いる、処理液中の除去処理が必要な物質を吸着する公知
の例えば活性炭やアルミナ等の吸着槽、全血等から血漿
を取り出す血漿分離器等の体液分離器、血液の特定成分
を除去したり選択的に取り出したりする血液濾過器等の
体液濾過器、血液透析器等の体液透析器、電解質調整器
等を有してもよく、処理液の種類や構成の相違により種
々の態様をとりうる。特に、前述した本発明の液体浄化
器と、体液採取手段と体液返還手段とを備えた体液を灌
流させるための灌流流路とを有する液体浄化装置である
のが好ましい。ここで体液採取手段、体液返還手段は限
定されないが、採取針、採取カテーテル、返還針、返還
カテーテル等が例示され、採取手段と返還手段とを兼ね
備えたものでもよいし、フィルター等をさらに備えたも
のでもよい。灌流流路は体液を採取し、必要な処理を行
って、体液を返還する体液が循環する流路であるが、チ
ューブ、Y型コネクター、三方コネクター、クレンメ体
液バック等の必要な組合せで構成される。以下にいくつ
かの態様を例に挙げて本発明の装置を説明する。
【0014】本発明の液体浄化装置の第一の態様を図3
に例示する。この態様の液体浄化装置は血液入口回路5
2、血液ポンプ51、本発明の液体浄化器54、および
血液出口回路53から構成される。血液入口回路52の
一端が血管に挿入され、血液が血液の流れ方向を示す矢
印55に示すように血液入口回路52を通り、液体浄化
器54に入る。この際、必要な場合は血液ポンプ51に
より血液流量を調節してもよい。液体浄化器54は、半
透膜60を有し、処理液流路は半透膜内側57に位置
し、血液の尿毒症物質は半透膜外側59の生菌槽内に拡
散する。生菌槽内には例えばウレアーゼを産出するよう
形質転換された大腸菌の懸濁液を有し、拡散した尿毒症
物質、例えば尿素は生菌により分解される。半透膜を介
した拡散により尿毒症物質が除去された血液は、液体浄
化器54を出て、血液出口回路53を通り体内に戻され
る。半透膜が中空糸である液体浄化器54を大腸菌モジ
ュールと呼ぶ。
【0015】本発明の液体浄化装置の第二の態様を図4
に例示する。この態様の浄化装置は血液入口回路52、
血液ポンプ51、濾過器58、ろ液回路66、 ろ液ポン
プ67、液体浄化器54、排水回路68、排水ポンプ6
9、再生液回路70、および血液出口回路53から構成
される。特に、濾過器61として、膜のふるい分けによ
り処理液を選択的に分離する体液濾過器を用いるのが好
ましい。血液入口回路52の一端が血管に挿入される
と、血液が血液入口回路52を通り、濾過器58に入
る。濾過器58の濾過膜61により尿毒症物質等の低分
子物質を含むろ液と、それらの低分子物質が除去された
血液成分に分離される。次いで、血液成分は血液出口回
路53へ送られ、一方ろ液はろ液回路66を通り液体浄
化器54に送られる。ろ液中の低分子物質は液体浄化器
54において半透膜を介して生菌槽中に拡散し、生菌槽
内に拡散した尿毒症物質、例えば尿素は生菌により分解
される。液体浄化器54で尿毒症物質を除去されたろ液
は再生液として再生液回路70に送られるが、被験者が
腎不全に罹患している場合等は血液中の水分を除去する
必要があるため、再生液の一部は排水ポンプ69を備え
た排水回路68により系外に排出される。再生液回路7
0に送られた再生液は、次いで血液出口回路53中の血
液成分と合流し、体内に返還される。
【0016】本発明の浄化装置の第三の態様を図5に例
示する。この態様の浄化装置は血液入口回路52、血液
ポンプ51、透析器71、透析液回路73、 透析ポンプ
72、液体浄化器54、排水回路68、排水ポンプ6
9、 再生透析液回路74、および血液出口回路53から
構成される。透析器71は半透膜62の内側に血液を通
し、半透膜外側に透析液76を保持する。血液入口回路
52の一端が血管に挿入されると、血液が血液入口回路
52を通り、透析器71に入る。透析器71において血
液中の尿毒症物質等の低分子物質は透析器71に配され
た半透膜60を介して透析液76中に拡散する。尿毒症
物質が拡散した透析液76は透析液回路73を通り液体
浄化器54に送られる。液体浄化器54において透析液
中の尿毒症物質は半透膜を介して生菌槽中に拡散し、生
菌槽内に攪拌した尿毒症物質、例えば尿素は生菌により
分解される。尿毒症物質を除去された透析液は再生透析
液として再生透析液回路74に送られ、さらに透析器7
1に返還され血液の透析液として用いられる。再生透析
液回路74の一部は透析器に戻されず直接血液出口回路
53に戻されても良い。透析器71で尿毒症物質が除去
された血液は血液出口回路53を介して体内に返還され
る。
【0017】本発明の液体浄化装置はその他に活性炭、
アルミナ等を用いた吸着手段、処理液を膜のふるい分け
により選択的に分離する濾過手段等を有してもよい。ま
た、血漿分離器、血液濾過器、血液透析器等を少なくと
も一つ有してもよい。本発明の液体浄化装置にこれらの
他の処理器を配置することにより、浄化器の処理を補強
し、また液体浄化器で処理出来ない尿毒症物質の除去を
行なうことが出来る。例えば、体液浄化器と濾過器を組
み合わせて液体浄化装置を構成した場合、液体浄化器に
よる物質濃度に依存した拡散効果と、濾過器による分子
量分画効果が相乗され、低分子量物質の除去効果が高ま
る。
【0018】本装置で各処理器の間を連通する回路は、
特に制限されないが、血液成分に安定であることが好ま
しく、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコー
ンゴム、フッ素樹脂等よりなるチューブが例示される。
【0019】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細
に説明する。 (大腸菌のアルギン酸カプセル中への封入)大腸菌は遺
伝子操作によりK.aerogensのウレアーゼ遺伝子を持たせ
たものを使用した(E.coli DH5)。大腸菌の
細胞培養にはLuria-Bertani 培地を用いた。Luria-Bert
ani 培地はbactotryptone が10.0g/L、bacto ye
astextract が5.0g/L、塩化ナトリウムが10.
0g/Lで構成された。培地に1.0Nの水酸化ナトリ
ウムを約1.0mL添加してpHを7.5に調整した。
前記培地をCastle Labclavesで250℃、30分の条件
下で滅菌した。インキュベーションは37℃で行い、Lu
ria-Bertani 5mLが入った遠沈管を120rpmで遠
心して集菌した。図2(a)に大腸菌カプセル製造装置
の概要を、図2(b)に製造装置のノズル断面図を示
す。まず、滅菌された塩化アルギン酸・生理食塩水混合
水に大腸菌を混ぜた。前記混合溶液をシリンジに充填
し、シリンジポンプ1を用いて送液回路2を介してノズ
ル6に送る。ノズル6中の混合溶液は、23ゲージ針の
先端7から、スターラー10で攪拌しながらよく冷やし
たビーカー8中の1.4%塩化カルシウム水溶液9中に
滴下した。この時、加圧エアー3を調整器4よりエアー
回路5からノズル6中に送り、これが、16ゲージ針を
通して、23ゲイジ針先端から落ちる粒を分断して、滴
下する1粒あたりの混合溶液量を調節した。詳細には図
2(b)に示すように、ノズル6のノズル生菌溶液入口
11から生菌溶液をノズル内に入れ23G針から落下さ
せるが、落下途中でノズル6に設けられたエアー入口1
2から16G針でエアーを送り生菌溶液を液粒に分断す
る。約15分間攪拌して、滴下した混合溶液をゲル化し
た。次にゲル化した粒をpH7.2のHEPES バッファー
生理食塩水を溶媒とした0.05%のポリリシン溶液に
10分間つけてコーティングした。HEPES で洗浄し、
0.1%のアルギン酸溶液に4分間浸した。アルギン酸
−ポリ−L−リシン−アルギン酸カプセルは3.0%の
クエン酸に浸して洗浄した。得られたカプセルは4℃で
保存した。
【0020】(本発明の液体浄化器の作製)95%カッ
トオフポイントが分子量3,000〜60,000ダル
トンの再生セルロース膜ダイアライザを生理食塩水でプ
ライミングし、その中空糸外筒側(一般のダイアライザ
で透析液側)に上述で作製した大腸菌カプセルを5.0
g注入して攪拌し、液体浄化器を作製した。以下の実施
例においてはこの液体浄化器を使用した。
【0021】(実施例1)図6に示す実験回路を用いて
血中の尿素の除去を行なった。容器27に95%カット
オフポイントが分子量60,000ダルトンの血液濾過
膜によって得た慢性透析患者由来の血液濾過排液28を
5L貯留した。urea濃度は、およそ50mg/dLであ
った。入口回路24の自由端を容器27に挿入し、容器
27中の血液濾過排液28を入口回路24を介して液体
浄化器20に送った。液体浄化器20には中空糸を挟ん
で、その内側に血液流路が設けられ、外側には上述の大
腸菌カプセルが充填されており、中空糸としては膜面積
が2m2 で95%カットオフポイントが35000ダル
トンにある再生セルロース膜が用いられた。血液濾過排
液28中の尿素は中空糸を介して生菌槽中に拡散され大
腸菌に分解された。液体浄化器20で処理された血液濾
過排液28は出口回路25を通って容器27に戻され
た。血液濾過排液28は入口ポンプ26により100m
L/minで連続して送液循環され、4時間後のurea除
去率を式(1)により算出した。 除去率%=(1−循環後血液濾過排液濃度/循環前血液濾過排液濃度)×100 ・・式(1) その結果、urea除去率は90%であった。
【0022】(実施例2)図7に示す実験回路を用いて
血中の尿素の除去を行なった。容器27には実施例1と
同様の慢性透析患者由来の血液濾過排液28が5L貯留
された。およそurea濃度が50mg/dL、クレアチニ
ン濃度が12mg/dL、尿酸濃度が7.2mg/dL
であった。容器27に入口回路24の自由端を挿入し、
血液濾過排液28を人口回路24を介して液体浄化器2
0に送り、大腸菌により尿素を分解した。液体浄化器2
0は実施例1で用いたものと同じものを使用した。次い
で、液体浄化器20から出た血液濾過排液28は活性炭
モジュール29に送られた。活性炭モジュール29は中
空糸を挟んでその内側に形成された血液流路と外側に形
成された活性炭槽を有しており、血液濾過排液28中の
クレアチニンと尿酸が活性炭槽の活性炭に吸着された。
液体浄化器20と活性炭モジュール29で処理された血
液濾過排液28は再び容器27に戻された。活性炭モジ
ュール29には中空糸として中空糸膜面積が2m2 で9
5%カットオフポイントが35000ダルトンにある再
生セルロース膜が用いられた。入口ポンプ26により血
液濾過排液28を100mL/minで連続して送液循
環し、4時間後のurea、クレアチニン、尿酸、除去率を
式1により算出した。その結果、urea、クレアチニン、
尿酸の除去率はそれぞれ91%、93%、90%であっ
た。
【0023】(実施例3)図8に示す実験回路を用いて
血中の尿素の除去を行なった。容器27に実施例1と同
様の慢性透析患者由来の血液濾過排液28が5L貯留さ
れた。およそurea濃度が50mg/dL、クレアチニン
濃度が12mg/dL、尿酸濃度が7.2mg/dL、
β2マイクログロブリン(βMG)濃度が20mg/L
であった。容器27には入口回路24の自由端が挿入さ
れ、容器27内の血液濾過排液28は入口回路24を介
して入口ポンプ26により100mL/minで浄化器
20に送られ、そこで大腸菌により尿素が分解された。
なお、浄化器20は実施例1で用いたものと同じものを
使用した。次いで、血液濾過排液28は活性炭モジュー
ル29に送られた。活性炭モジュール29は実施例2で
用いたものと同じものを使用し、血液濾過排液28中の
クレアチニンと尿酸が活性炭槽の活性炭に吸着された。
さらに、血液濾過排液28は濾過モジュール35に送ら
れ、β2マイクログロブリンを濾過により取り除いた。
β2マイクログロブリン画分を含んだ廃液は出口ポンプ
39により5mL/minで出口回路25より系外へ排
出された。一方、処理された血液濾過排液28は濾過回
路40を経由して、95mL/minの流速で、容器2
7に戻された。濾過モジュール35には中空糸膜面積は
2m2 で95%カットオフポイントが35000ダルト
ンにある再生セルロース膜が用いられた。血液濾過排液
28は回路を連続的に循環された。4時間連続循環後の
urea、クレアチニン、尿酸、βMG除去率を式1により
算出した。その結果、urea、クレアチニン、尿酸、βM
Gの除去率はそれぞれ91%、92%、93%、72%
であった。
【0024】
【発明の効果】本発明により、発熱性物質を生体血液中
に混入させずに、かつ多量の透析液を用いずに腎不全患
者や多臓器不全患者等のICU 、CCU 患者の治療に於いて
毒素物質を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体浄化器の液体流れ方向での断面
図である。
【図2】 (a)は大腸菌カプセルの製造装置を示す図
であり、(b)は製造装置のノズル断面図を示す図であ
る。
【図3】 本発明の液体浄化装置の一態様を示す図であ
る。
【図4】 本発明の液体浄化装置の透析タイプの態様を
示す図である。
【図5】 本発明の液体浄化装置の濾過タイプの態様を
示す図である。
【図6】 本発明の液体浄化器単独の実施例を示す図で
ある。
【図7】 本発明の液体浄化器に活性炭モジュールを連
結させた実施例を示す図である。
【図8】 本発明の液体浄化器に、活性炭モジュールお
よび濾過モジュールを連結させた実施例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 シリンジポンプ 2 送液回路 3 加圧エアー 4 16ゲージ針 5 エアー回路 6 ノズル 7 ノズル先端 8 ビーカー 9 水酸化カルシウム液 10 スターラー 11 ノズル生菌溶液入口 12 エアー入口 20 液体浄化器 21 中空糸外側 22 中空糸内側 24 入口回路 25 出口回路 26 入口ポンプ 27 容器 28 血液濾過排液 29 活性炭モジュール 35 濾過モジュール 39 出口ポンプ 40 濾液回路 43 容器 51 血液ポンプ 52 血液入口回路 53 血液出口回路 54 液体浄化器 55 血液の流れ方向を示す矢印 56,62 半透膜 57 半透膜内側 58 血液濾過器 59 半透膜外側 60,61 濾過膜 66 濾液回路 67 濾液ポンプ 68 排水回路 69 排水ポンプ 70 再生液回路 71 血液透析器 72 透析ポンプ 73 透析液回路 74 再生透析液回路 76 透析液 81 液体浄化器 82 処理液流入口 83 処理液流出口 84 ハウジング 85 中空糸 86 処理流路 87 生菌槽 88 導入口 89 生菌溜 90 隔壁 91 キャップ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】菌体を透過しないが処理液を透過する半透
    膜と、 該半透膜の一方の側に液密に接して設けられる処理液流
    路と、 該半透膜の他方の側に液密に接して生菌体が存在するよ
    う生菌体を保持する生菌槽とを有することを特徴とする
    液体浄化器。
  2. 【請求項2】前記生菌体が尿素分解酵素を産生するもの
    である請求項1に記載の液体浄化器。
  3. 【請求項3】前記半透膜の95%カットオフポイント
    が、分子量3,000〜60,000ダルトンである請
    求項1または2に記載の液体浄化器。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の液体
    浄化器を有することを特徴とする液体浄化装置。
  5. 【請求項5】体液または体液の一部を処理液とし、請求
    項1ないし4のいずれかに記載の液体浄化器と、 体液採取手段と体液返還手段とを備えた体液を灌流させ
    るための灌流流路とを有する請求項4に記載の液体浄化
    装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし3のいずれかに記載の液体
    浄化器、および吸着処理手段を有し、 該吸着処理手段は、選択透過膜の一方の側に液密に接し
    て設けられる処理液流路と該選択透過膜の他方の側に吸
    着剤が液密に接するよう設けられる吸着槽とを有し、該
    選択透過膜を介して拡散および/または濾過により処理
    液から吸着物質を吸着処理する手段である請求項4また
    は5に記載の液体浄化装置。
  7. 【請求項7】体液分離器、体液濾過器および体液透析器
    からなる群から選択される少なくとも1つをさらに有す
    る請求項4ないし6のいずれかに記載の液体浄化装置。
  8. 【請求項8】前記体液濾過器が膜のふるい分けにより体
    液を選択的に分離するものである請求項7に記載の体液
    浄化装置。
JP10009254A 1998-01-21 1998-01-21 生菌を用いた液体浄化器および液体浄化装置 Pending JPH11207150A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108785772A (zh) * 2018-06-13 2018-11-13 上海健康医学院 一种血液吸附净化装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108785772A (zh) * 2018-06-13 2018-11-13 上海健康医学院 一种血液吸附净化装置
CN108785772B (zh) * 2018-06-13 2024-04-09 上海健康医学院 一种血液吸附净化装置

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