JPH11199878A - 燃料ガスの製造方法 - Google Patents

燃料ガスの製造方法

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JPH11199878A
JPH11199878A JP468698A JP468698A JPH11199878A JP H11199878 A JPH11199878 A JP H11199878A JP 468698 A JP468698 A JP 468698A JP 468698 A JP468698 A JP 468698A JP H11199878 A JPH11199878 A JP H11199878A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】従来技術に比して、装置が小型かつ安価で、簡
便な操作によりSNG(代替天然ガス)を安定して製造し
うる新たな技術を提供する。 【解決手段】触媒充填反応器を用いて、水の存在下に炭
化水素油および/または炭化水素含有ガスを原料として
燃料ガスを製造する方法において、原料がメタン化反応
器内充填触媒層に供給されるに先立って、供給水中の溶
存酸素により原料中の硫黄酸化物を酸化させ、生成した
硫黄酸化物を除去した後、原料と供給水に由来する水蒸
気との反応によりメタンを生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素油および
/または炭化水素含有ガスを原料として燃料ガスを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】天然ガス(わが国には液化さ
れて輸入されているので、本明細書では、「LNG」とい
うことがある)は、無公害性、安全性などの優れた特性
が高く評価されており、昭和44年以来都市ガス事業にお
いても積極的に導入されている。そして、ガス事業の長
期的な計画の下に地方都市ガス事業者においても、2010
年を目標として、都市ガスの天然ガス化・高カロリー化
の促進を図るべく、計画立案および開発が行われてい
る。
【0003】都市ガスは、ウォッベ指数(WI)および燃
焼速度(MCP)により区分されており、上記で想定され
ている高カロリーガスは、13A領域に属するガスであ
る。現在高カロリーガス化の方法としては、(イ)LNG
の導入、(ロ)SNG(代替天然ガス)の採用、(ハ)プ
ロパン−エアー混合物(13Aガス)の採用などが考えられ
ている。
【0004】現在、LNG導入による高カロリーガス化
は、大手都市ガス事業者を中心に進められている。LNG
導入のためには、大規模なLNG基地およびパイプライン
の建設が必要である。このため、地方の都市ガス事業者
においては、地理的および経済的な理由により、LNGの
導入が困難である場合がある。
【0005】SNG製造プロセスは、LPG(液化石油ガ
ス)、ナフサなどから天然ガスに近い性状のガスを製造
するために開発されたものである。SNG製造は、LNG関連
設備に比して設備費が比較的少なくて棲み、、また空気
よりも軽いガスが製造できるという特徴を備えている。
しかしながら、大手ガス事業者を中心に現在までに開発
された或いは稼働中のSNG製造装置をベースロード用と
して用いる場合または地方都市ガス事業者の規模に適し
た様に小型化しようとする場合には、(a)プロセスが
複雑である、(b)建設費が高い、(c)蒸気を必要と
し、ランニング費も高い、(d)ボイラー使用時のNO
x、SOxなどの排ガス対策を必要とするなどの問題点が
あり、現存の設備或いは技術をそのまま採用すること
は、困難であると思われる。
【0006】プロパン−エアーの使用による高カロリー
化は、(a)プロセスが簡単である、(b)建設費が安
い、(c)COを含まないなどの利点がある。しかしなが
ら、プロパン−エアーは、ガス比重が空気よりも大きい
ので、万一ガスが漏出した場合に、大気中に拡散しにく
いという安全性にかかわる好ましくない特性があり、か
つガスのカロリーが他の高カロリーガスと異なるので、
燃焼器具の共通化がはかれないという問題点もある。従
って、プロパン−エアーが、地方都市ガス事業者におけ
るガスの高カロリー化の中心的役割を果たすことは、あ
まり期待できない。
【0007】以上の技術的背景を総合的に考慮すれば、
LNGの導入が困難である場合には、SNG製造プロセスの採
用がもっとも好ましいものと考えられており、設備面で
も操作面でも、より経済性に優れたSNG製造技術の出現
が切望されている。
【0008】さらに、LNGの導入が進んでいる大手ガス
事業者においても、あらかじめ考慮しておくべき事態が
ある。例えば、(a)LNGの突発的な輸入停止乃至減少
などの緊急事態に対応するための原料の多様化、(b)
供給不良を起こした場合の緊急対策、(c)将来導管供
給が行われる予定地域に対する暫定的な小規模供給、
(d)導管連絡工事などの一時的な供給の確保などがあ
る。原料の多様化によるSNG製造技術は、暫定的に限ら
れた地域への都市ガス供給をも可能とし、その有用性は
計り知れないものがある。この様な装置が備えているべ
き条件としては、(i)発生させるガスの燃焼性が、供
給されている都市ガスと同等であること、(ii)装置が
コンパクトであり、かつ移動が容易であること、(ii
i)連続的に安定してガスを発生することができ、制御
が容易であることなどが挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、従
来技術に比して、装置が小型かつ安価で、簡便な操作に
よりSNGを安定して製造しうる新たな技術を提供するこ
とを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、炭化水素
油あるいは炭化水素含有ガスを原料として、メタン含有
ガスを製造する新規な技術を完成するにいたった。
【0011】すなわち、本発明は、下記の燃料ガスの製
造方法を提供するものである; 1.触媒充填反応器を用いて、水の存在下に炭化水素油
および/または炭化水素含有ガスを原料として燃料ガス
を製造する方法において、(1)供給水を100kg/cm2G以
上の圧力に保ちつつ、供給水中の溶存酸素により原料中
の硫黄化合物を酸化させる工程、(2)触媒充填反応器
内において、上記工程(1)の工程と同様の圧力を保ち
つつ、工程(1)からの供給水と原料とを担持触媒の存
在下250℃以上の温度で接触分解させてメタンを生成さ
せる工程、(3)上記(2)の工程で得られたメタン含
有生成物から熱エネルギーを回収する工程、(4)上記
(3)の工程で熱回収を終えたメタン含有生成物と新た
に供給されてくる原料および供給水とを熱交換させる工
程、(5)上記(4)の工程で熱交換を終えたメタン含
有生成物を冷却した後、気液分離してメタン含有ガスと
処理水とを得る工程、(6)上記(4)の工程および/
または上記(5)の工程で得られたメタン含有ガスを脱
炭酸する工程、および(7)上記(6)の工程で得られ
たメタンガスを熱量調整する工程を備えたことを特徴と
する燃料ガスの製造方法。
【0012】2.原料が、ナフサ、揮発油、灯油、軽
油、LPG、プロパンおよびブタンの少なくとも1種であ
る上記項1に記載の燃料ガスの製造方法。
【0013】3.反応器内触媒充填部の少なくとも1部
での温度が374℃以上であり、圧力が226kg/cm2G以上で
ある上記項1に記載の燃料ガスの製造方法。
【0014】4.工程(2)における触媒の活性成分
が、Ru、Pd、Rh、Pt、Ni、Co、MnおよびCeからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種であり、担体が、チタニア、
ジルコニアまたはチタニア−ジルコニアである上記項1
に記載の燃料ガスの製造方法、 5.工程(2)における触媒活性成分の濃度が、担体重
量の0.01〜10%である上記項1に記載の燃料ガスの製造
方法。
【0015】6.工程(2)における触媒活性成分の濃
度が、担体重量の0.5〜3%である上記項5に記載の燃料
ガスの製造方法。
【0016】7.工程(5)で分離された処理水を供給
水として循環利用する上記項1に記載の原料ガスの製造
方法。
【0017】8.工程(6)における脱炭酸処理に分離
膜および/またはアルカリ液を使用する上記項1に記載
の燃料ガスの製造方法。
【0018】9.脱炭酸に使用したアルカリ液を降温お
よび/または降圧処理して再生し、再度脱炭酸に使用す
る上記項8に記載の燃料ガスの製造方法。
【0019】10.工程(7)で得られた熱量調整後の
ガスを工程(2)での圧力を利用して貯蔵或いは供給す
る上記項1に記載の燃料ガスの製造方法。
【0020】11.触媒充填反応器を用いて、水の存在
下に炭化水素油および/または炭化水素含有ガスを原料
として燃料ガスを製造する方法において、(1)供給水
を100kg/cm2G以上の圧力に保ちつつ、水中の溶存酸素に
より原料中の硫黄化合物を酸化させる工程、(2)触媒
充填反応器内において、上記工程(1)の工程と同様の
圧力を保ちつつ、工程(1)からの供給水と原料とを担
持触媒の存在下250℃以上の温度で接触分解させてメタ
ンを生成させる工程、(3)上記(2)の工程で得られ
たメタン含有反応生成物を反応器に付設した第一の気液
分離器を用いて気液分離する工程、(4)上記(3)の
工程で得られた液相の少なくとも一部を原料の0.1〜10
倍量の割合で工程(2)に循環する工程、(5)上記
(3)の工程で得られた気相から熱エネルギーを回収す
る工程、(6)上記(5)の工程で熱回収を終えた気相
と新たに供給されてくる原料および供給水とを熱交換さ
せる工程、(7)上記(6)の工程で熱交換を終えた気
相を冷却した後、気液分離してメタン含有ガスと処理水
とを得る工程、(8)上記(3)の工程および/または
(7)の工程で得られたメタン含有ガスを脱炭酸する工
程、および(9)上記(8)の工程で得られたメタンガ
スを熱量調整する工程を備えたことを特徴とする燃料ガ
スの製造方法。
【0021】12.原料が、ナフサ、灯油、LPGおよび
ブタンの少なくとも1種である上記項11に記載の燃料
ガスの製造方法。
【0022】13.反応器内触媒充填部の少なくとも1
部での温度が374℃以上であり、圧力が226kg/cm2G以上
である上記項11に記載の燃料ガスの製造方法。
【0023】14.工程(2)における触媒の活性成分
が、Ru、Pd、Rh、Pt、Ni、Co、MnおよびCeからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種であり、担体が、チタニア、
ジルコニアまたはチタニア−ジルコニアである上記項1
1に記載の燃料ガスの製造方法、 15.工程(2)における触媒活性成分の濃度が、担体
重量の0.01〜10%である上記項11に記載の燃料ガスの
製造方法。
【0024】16.工程(2)における触媒活性成分の
濃度が、担体重量の0.5〜3%である上記項15に記載の
燃料ガスの製造方法。
【0025】17.工程(7)で分離された処理水を供
給水として循環利用する上記項11に記載の原料ガスの
製造方法。
【0026】18.工程(8)における脱炭酸に分離膜
および/またはアルカリ液を使用する上記項11に記載
の燃料ガスの製造方法。
【0027】19.脱炭酸に使用したアルカリ液を降温
および/または降圧処理して再生し、再度脱炭酸に使用
する上記項18に記載の燃料ガスの製造方法。
【0028】20.工程(9)で得られた熱量調整後の
ガスを工程(2)での圧力を利用して貯蔵或いは供給す
る上記項11に記載の燃料ガスの製造方法。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明では、炭化水素油および/
または炭化水素含有ガスを燃料ガスの製造原料として使
用する。
【0030】炭化水素油としては、ナフサ(ライトナフ
サ、ヘビーナフサ)、揮発油、灯油、軽油などの1種ま
たは2種以上が使用できる。
【0031】また、炭化水素含有ガスとしては、LPG、
プロパン、ブタンなどの1種または2種以上が使用でき
る。
【0032】従来からも、炭化水素油あるいは炭化水素
含有ガスを原料として、気相反応により燃料ガスを製造
する方法が研究され、実用化もされている。これらの方
法では、水素ガスまたはボイラーからの蒸気と原料との
接触により得られる水素含有ガスを用いて、原料中の硫
黄化合物を水添脱硫し、生成する硫化水素を吸着剤によ
り吸着除去した後、メタンガスの製造を行っている。こ
の様な従来技術による方法では、反応温度が高いため、
メタン濃度を高くし難いこと、製造工程が複雑であるこ
と、カーボンが析出して、触媒活性が失われるなどの問
題点がある。
【0033】しかるに、本発明方法においては、原料が
メタン化反応器内充填触媒層に供給されるに先立って、
供給水中の溶存酸素により原料中の硫黄酸化物を酸化さ
せ、生成した硫黄酸化物を除去した後、原料と供給水に
由来する水蒸気との反応によりメタンを生成させる。従
って、本発明においては、メタン化反応は、給水装置、
ボイラーなどを必要とすることなく、小型の反応器によ
り単一の工程で行われる。
【0034】以下図面を参照しつつ、本願発明について
詳細に説明する。
【0035】図1は、本願発明の一例の概要を示すフロ
ーシートである。
【0036】原料タンクT-1からの炭化水素油および/
または炭化水素含有ガス(以下においては、特に必要で
ない限り、「ナフサ」をもって原料を代表させる)は原
料ポンプP-1により、また水タンクT-2からの供給水はポ
ンプP-2により、それぞれ所定の圧力まで昇圧され、併
せて予熱器E-1に供給される、ナフサと水とは、予熱器E
-1により250℃以上の温度に加熱された後、反応器R-1に
供給される。予熱器E-1の熱源としては、後述する様
に、反応器R-1からの高温のメタンガス含有反応液を循
環させて使用する。冬季などにおいて所定の反応温度を
維持できない場合或いはスタートアップを含め所定の温
度までの昇温を必要とする場合などには、さらに加熱器
(図示せず)において熱媒により或いは蒸気発生器(図
示せず)からの蒸気により加熱することもできる。
【0037】ナフサなどの原料中の硫黄化合物は、混合
状態の原料と供給水が予熱器E-1内を経て反応器R-1内の
触媒充填部に至るまでの間に、供給水中の溶存酸素によ
り、酸化される。ナフサ中の硫黄化合物の酸化に要する
酸素が不足する場合には、水タンクT-2を加圧すること
により、供給水中の溶存酸素量を高めることにより、不
足分をおぎなうことができる。
【0038】反応器R-1には、担体に担持された触媒が
充填されている。触媒活性成分としては、Ru、Pd、Rh、
Pt、Ni、Co、MnおよびCeからなる群から選ばれた少なく
とも1種が使用される。これらの金属は、酸化物、塩化
物などの化合物の形態で使用しても良い。これらの触媒
活性成分は、常法に従って、公知の金属酸化物担体或い
は金属担体に担持した状態で使用される。金属酸化物担
体および金属担体としては、特に限定されず、公知の触
媒担体として使用されているものを使用することができ
る。金属酸化物担体としては、アルミナ、シリカ、ジル
コニア、チタニア、これら金属酸化物を含む複合金属酸
化物(アルミナ−シリカ、アルミナ−シリカ−ジルコニ
ア、チタニア−ジルコニアなど)、これら金属酸化物ま
たは複合金属酸化物を主成分とする金属酸化物系担体な
どが挙げられ、金属担体としては、鉄、アルミニウムな
どが挙げれる。これらの担体中では、耐久性に優れたチ
タニア、ジルコニアおよびチタニア−ジルコニアがより
好ましい。
【0039】担持触媒の形状も、特に限定されず、球
状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状、ハニカム
状などが挙げられる。この様な担持触媒を充填使用する
場合の反応器容積は、固定床の場合には、原料液の空間
速度が0.5〜10hr-1程度(原料+供給水基準)となる様に
するのが良い。固定床で使用する担持触媒の大きさは、
球状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状などの場
合には、通常3〜50mm程度、より好ましくは5〜25mm程度
である。また、触媒をハニカム状担体に担持して使用す
る場合のハニカム構造体としては、開口部が四角形、六
角形、円形などの任意の形状のものが使用される。単位
容積当たりの面積、開口率なども特に限定されるもので
はないが、通常単位容積当りの面積として200〜800m2/m
3 、開口率40〜80%程度のものを使用する。ハニカム構
造体の材質としても、上記と同様の金属酸化物および金
属が例示され、耐久性に優れたジルコニア、チタニアお
よびチタニア−ジルコニアがより好ましい。
【0040】反応器内で流動床を形成させる場合には、
反応器内で担持触媒が流動床を形成し得る量、即ち通常
液相の重量を基準として、0.01〜20%程度、より好まし
くは0.05〜10%程度を液相にスラリー状に懸濁させ、使
用する。流動床を採用する場合には、担持触媒を液相中
にスラリー状に懸濁させた状態で触媒反応器に供給し、
反応終了後に塔外に排出された反応処理液から触媒を沈
降、遠心分離などの適当な方法により分離回収し、再使
用する。従って、反応処理液からの触媒の分離回収の容
易さを考慮すれば、流動床において使用する担持触媒の
粒径は、0.15〜0.5mm程度とすることがより好ましい。
触媒活性成分の担持量は、特に限定されるものではない
が、触媒活性成分の金属濃度として、担体重量の0.01〜
10%程度、より好ましくは0.5〜3%程度の範囲内にあ
る。
【0041】反応器R-1内での反応に際しては、通常反
応器触媒充填部の少なくとも1部での温度が250℃程度
以上であり、より好ましくは水の臨界温度(374℃)以上
となる様にする。反応時の圧力は、通常100kg/cm2以上
であり、より好ましくは水の臨界圧力(226kg/cm2G)以上
となる様にする。反応時の温度は低い程、圧力は高い
程、メタンの生成率が高まり、また反応器内での原料の
滞留時間も短縮される。但し、圧力を高くする場合に
は、設備費が増大するので、原料の種類、所望の燃料組
成、運転費、建設費などを総合的に考慮して、定めれば
良い。
【0042】反応器R-1で得られた高温のメタン含有反
応生成物は、ボイラーE-2に送られ、蒸気または温水の
形態でその熱エネルギーを回収された後、上述の予熱器
E-1において新たに供給されてくる原料と供給水の予熱
を行う。熱回収を終えたメタン含有反応生成物は、冷却
器E-3において冷却された後、気液分離器V-1において、
メタンを主成分とする気相と液相とに分離される。液相
は、必要に応じて、水タンクT-2に循環される。
【0043】一方、メタンを主成分とする気相は、脱炭
酸設備V-2に送られて、炭酸ガスを除去され、所望の燃
料ガスとなる。脱炭酸は、分離膜による方法、アルカリ
液による洗浄吸収方法などにより行うことができる。図
示はしないが、洗浄吸収後のアルカリ液を降温および/
または降圧して再生を行うことにより、循環使用するこ
とができる。
【0044】得られる燃料ガスの熱量は、原料組成によ
りほぼ定まる。
【0045】脱炭酸後の燃料ガスには、必要に応じ、熱
量調整器V-3において増熱用のLPGなどを加え、熱量調整
した後、メタン化工程での高圧を利用してガスホルダー
Hに送り、貯蔵することができる。
【0046】図2は、本願発明の他の一例の概要を示す
フローシートである。図2に示す態様においては、反応
器R-1で得られたメタン含有反応生成物を反応器R-1内に
付設した気液分離器V-4において気液分離し、得られた
液相の少なくとも一部を循環ポンプP-3により反応器R-1
に循環する。液相の循環量は、原料の0.1〜10倍程度で
ある。分離された気相および液相は、図1に示す態様に
おけると同様に、ボイラーE-2において熱エネルギーを
回収された後、予熱器E-1において原料および供給水の
予熱を行い、冷却器E-3で冷却され、気液分離器V-1で再
度気液分離され、以後同様に処理される。
【0047】反応器R-1内に付設される気液分離器V-4の
一例を模式的に図3に示す。図示の装置は、反応器R-1
の上部にノズルN-1、N-2、N-3およびN-4を備えた構成を
有しており、反応器下部からの気液混合物(G+L)は、
ノズルN-1の部位で分離される。気相Gは、液面の上部ま
たはノズルN-2からノズルN-3を経て次工程に導かれる。
一方、液相Lは、ノズルN-1からノズルN-4を経て次工程
に導かれる。なお、反応器R-1内での気液分離は、その
目的が達成される限り、任意の構成の装置を使用して行
うことができる。
【0048】図2に示す実施態様においては、反応器R-
1に付設した気液分離器V-4で得られた液相の少なくとも
一部を原料の0.1〜10倍量の割合で、反応器R-1および予
熱器E-1へ循環することにより、以下の様な効果が達成
できる:(イ)反応器R-1内での各部温度をより均一に
且つ従来のメタン化反応温度よりも低い温度に維持でき
るので、等温型反応器に近づけることができ、原料分解
率が向上して、メタン生成量が増加する;(ロ)反応器
R-1内の原料線速度を高めることができるので、触媒表
面の境膜抵抗を小さくするとともに、反応性の向上、付
着生成物の除去などの効果も達成される;(ハ)所定量
の原料を反応器に供給する図1の実施態様に比して、よ
り多くの原料を反応器に供給することができるので、メ
タン生成量を高めることができる;(ニ)以上の結果と
して、図1に示す実施態様に比して、図2に示す実施態
様によれば、メタン濃度を上昇させ、メタン生成量を増
大させることができるのみならず、各種配管の径、予熱
器E-1、冷却器E-3の伝熱面などを小さくすることができ
るので、設備費が低減する。
【0049】なお、図1および図2に示す実施態様にお
いては、原料および供給水の導入を反応器R-1の下部か
ら行っているが、これらの導入は、反応器R-1の上部か
ら行ってもよい。
【0050】
【発明の効果】本発明方法によれば、以下の様な顕著な
効果が達成される。
【0051】(1)メタン化反応開始前に原料が脱硫さ
れこと、給水装置およびボイラーが不要となること、反
応器が小型化できることなどの理由により、プロセスが
簡単であり、ガス製造装置の建設費およびランニングコ
ストが低下する。
【0052】(2)ガス製造設備をコンパクトなものと
することができるので、小規模SNG製造装置として移動
が容易であり、緊急時ないし一時的なの都市ガス発生装
置として機動性を発揮することができる。
【0053】(3)連続的に安定してガスを発生させる
ことができ、その成分制御ないし調整も容易である。
【0054】(4)有害ガスを発生させないので、排ガ
ス対策が不要となる。
【0055】(5)高温・高圧の反応生成物から効率的
に熱を回収することができる。
【0056】(6)反応後の高圧を有効に利用して、燃
料ガスの貯蔵および供給を行うことができる。
【0057】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。実施例を含め、本明細書に
おいては、「スチーム/カーボン比」とは、供給された
水が反応器内において水蒸気を形成しているモル数と原
料中の炭素のモル数との比をいう。
【0058】実施例1〜3 容量300mlの電磁誘導撹拌機付オートクレーブに原料と
してのナフサ1.4mlと水4ml、およびチタニア担体に2wt
%のルテニウムを担持させた球状触媒10gを入れ、オー
トクレーブを閉じ、系内雰囲気を窒素ガスで置換した
後、窒素ガスにより反応開始時のオートクレーブ空間圧
力を64kg/cm2Gとして、30分間を要して所定の反応温度
(実施例1=300℃、実施例2=350℃、実施例3=380℃)ま
で昇温させた。次いで、原料を800rpmで撹拌しつつ、圧
力を制御し、各所定温度で10分間加熱保持した後、ファ
ンによりオートクレーブを強制冷却し、反応により生成
したガスの計量と分析を行った。反応時のスチーム/カ
ーボン比は、いずれの実施例においても、3.55であっ
た。
【0059】反応時の圧力と結果とを表1に示す。な
お、表1および以下の各表において、ガスの容積は、生
成ガス(窒素ガスを除く)の量(リットル:標準状態)
を意味し、ガスの比率は、各成分(窒素ガスを除く)の
“容量%”を意味する。
【0060】
【表1】
【0061】実施例4〜6 水の量を2mlとし、スチーム/カーボン比を1.78とし、
温度を380℃とし、加熱保持時間を変える以外は実施例
3と同様にして反応を行った。その結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】実施例7〜10 図1に示すフローに従って本発明を実施した。すなわ
ち、タンクT-1からのライトナフサを原料ポンプP-1によ
り、また水タンクT-2からの供給水をポンプP-2により、
予熱器E-1を通してステンテス鋼製の反応器R-1に供給し
た。反応器R-1には、チタニア担体にルテニウム2重量
%を担持させた径6mmの触媒0.1リットルを充填しておい
た。
【0064】反応条件を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】50時間連続運転後に気液分離器V-1で分離
されたガスの組成を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】表4に示す結果から明らかな様に、スチー
ム/カーボン比の増大とともに、ナフサからのメタン生
成率は低下する。表4は、各条件下での平衡ガス組成に
ほぼ近似する結果を示している。
【0069】また、実施例7で分離されたガスを脱炭酸
設備V-2(気体分離膜)に導き、炭酸ガスを除去すること
により、表5に示す組成のメタン富化ガスを得た。
【0070】
【表5】
【0071】実施例11〜12 反応時の温度および圧力を表6に示す通りに変更し、且
つ触媒充填量を0.2リットルとする以外は実施例7と同
様にして反応を行った。反応条件および生成したガスの
分析結果を表6に示す。
【0072】
【表6】
【0073】実施例13 図2に示すフローに従って本発明方法を実施した。すな
わち、反応器R-1内に付設した気液分離器V-4により、実
施例7と同様の手法により得られた反応生成物を気相と
液相とに分離した後、液相の一部を反応前の原料に混合
循環させた。混合比は、原料1重量部に対し3重量部と
した。
【0074】得られた気相を20%炭酸カリウム溶液によ
る脱炭酸処理に供して、表7に示す組成のメタン富化ガ
スを得た。
【0075】
【表7】
【0076】また、1000時間連続運転中に適宜メタン富
化ガスのサンプリングを行い、そのメタン濃度を測定し
たところ、表7に示す値を基準(100%)として±3%の範
囲内にあった。このことから、1000時間連続運転中に触
媒の劣化は生じていないことが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一態様の概要を示すフローシートで
ある。
【図2】本願発明の他の一態様の概要を示すフローシー
トである。
【図3】反応器内に設置した気液分離装置の一例の概要
を示す模式図である。
【符号の説明】
N-1…ノズル N-2…ノズル N-3…ノズル N-4…ノズル

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒充填反応器を用いて、水の存在下に炭
    化水素油および/または炭化水素含有ガスを原料として
    燃料ガスを製造する方法において、(1)供給水を100k
    g/cm2G以上の圧力に保ちつつ、供給水中の溶存酸素によ
    り原料中の硫黄化合物を酸化させる工程、(2)触媒充
    填反応器内において、上記工程(1)の工程と同様の圧
    力を保ちつつ、工程(1)からの供給水と原料とを担持
    触媒の存在下250℃以上の温度で接触分解させてメタン
    を生成させる工程、(3)上記(2)の工程で得られた
    メタン含有生成物から熱エネルギーを回収する工程、
    (4)上記(3)の工程で熱回収を終えたメタン含有生
    成物と新たに供給されてくる原料および供給水とを熱交
    換させる工程、(5)上記(4)の工程で熱交換を終え
    たメタン含有生成物を冷却した後、気液分離してメタン
    含有ガスと処理水とを得る工程、(6)上記(4)の工
    程および/または上記(5)の工程で得られたメタン含
    有ガスを脱炭酸する工程、および(7)上記(6)の工
    程で得られたメタンガスを熱量調整する工程を備えたこ
    とを特徴とする燃料ガスの製造方法。
  2. 【請求項2】原料が、ナフサ、揮発油、灯油、軽油、LP
    G、プロパンおよびブタンの少なくとも1種である請求
    項1に記載の燃料ガスの製造方法。
  3. 【請求項3】反応器内触媒充填部の少なくとも1部での
    温度が374℃以上であり、圧力が226kg/cm2G以上である
    請求項1に記載の燃料ガスの製造方法。
  4. 【請求項4】工程(2)における触媒の活性成分が、R
    u、Pd、Rh、Pt、Ni、Co、MnおよびCeからなる群から選
    ばれた少なくとも1種であり、担体が、チタニア、ジル
    コニアまたはチタニア−ジルコニアである請求項1に記
    載の燃料ガスの製造方法、
  5. 【請求項5】工程(2)における触媒活性成分の濃度
    が、担体重量の0.01〜10%である請求項1に記載の燃料
    ガスの製造方法。
  6. 【請求項6】工程(2)における触媒活性成分の濃度
    が、担体重量の0.5〜3%である請求項5に記載の燃料ガ
    スの製造方法。
  7. 【請求項7】工程(5)で分離された処理水を供給水と
    して循環利用する請求項1に記載の原料ガスの製造方
    法。
  8. 【請求項8】工程(6)における脱炭酸処理に分離膜お
    よび/またはアルカリ液を使用する請求項1に記載の燃
    料ガスの製造方法。
  9. 【請求項9】脱炭酸に使用したアルカリ液を降温および
    /または降圧処理して再生し、再度脱炭酸に使用する請
    求項8に記載の燃料ガスの製造方法。
  10. 【請求項10】工程(7)で得られた熱量調整後のガス
    を工程(2)での圧力を利用して貯蔵或いは供給する請
    求項1に記載の燃料ガスの製造方法。
  11. 【請求項11】触媒充填反応器を用いて、水の存在下に
    炭化水素油および/または炭化水素含有ガスを原料とし
    て燃料ガスを製造する方法において、(1)供給水を10
    0kg/cm2G以上の圧力に保ちつつ、供給水中の溶存酸素に
    より原料中の硫黄化合物を酸化させる工程、(2)触媒
    充填反応器内において、上記工程(1)の工程と同様の
    圧力を保ちつつ、工程(1)からの供給水と原料とを担
    持触媒の存在下250℃以上の温度で接触分解させてメタ
    ンを生成させる工程、(3)上記(2)の工程で得られ
    たメタン含有反応生成物を反応器に付設した第一の気液
    分離器を用いて気液分離する工程、(4)上記(3)の
    工程で得られた液相の少なくとも一部を原料の0.1〜10
    倍量の割合で工程(2)に循環する工程、(5)上記
    (3)の工程で得られた気相から熱エネルギーを回収す
    る工程、(6)上記(5)の工程で熱回収を終えた気相
    と新たに供給されてくる原料および供給水とを熱交換さ
    せる工程、(7)上記(6)の工程で熱交換を終えた気
    相を冷却した後、気液分離してメタン含有ガスと処理水
    とを得る工程、(8)上記(3)の工程および/または
    (7)の工程で得られたメタン含有ガスを脱炭酸する工
    程、および(9)上記(8)の工程で得られたメタンガ
    スを熱量調整する工程を備えたことを特徴とする燃料ガ
    スの製造方法。
  12. 【請求項12】原料が、ナフサ、揮発油、灯油、軽油、
    LPG、プロパンおよびブタンの少なくとも1種である請
    求項11に記載の燃料ガスの製造方法。
  13. 【請求項13】反応器内触媒充填部の少なくとも1部で
    の温度が374℃以上であり、圧力が226kg/cm2G以上であ
    る請求項11に記載の燃料ガスの製造方法。
  14. 【請求項14】工程(2)における触媒の活性成分が、
    Ru、Pd、Rh、Pt、Ni、Co、MnおよびCeからなる群から選
    ばれた少なくとも1種であり、担体が、チタニア、ジル
    コニアまたはチタニア−ジルコニアである請求項11に
    記載の燃料ガスの製造方法、
  15. 【請求項15】工程(2)における触媒活性成分の濃度
    が、担体重量の0.01〜10%である請求項11に記載の燃
    料ガスの製造方法。
  16. 【請求項16】工程(2)における触媒活性成分の濃度
    が、担体重量の0.5〜3%である請求項15に記載の燃料
    ガスの製造方法。
  17. 【請求項17】工程(7)で分離された処理水を供給水
    として循環利用する請求項11に記載の原料ガスの製造
    方法。
  18. 【請求項18】工程(8)における脱炭酸に分離膜およ
    び/またはアルカリ液を使用する請求項11に記載の燃
    料ガスの製造方法。
  19. 【請求項19】脱炭酸に使用したアルカリ液を降温およ
    び/または降圧処理して再生し、再度脱炭酸に使用する
    請求項18に記載の燃料ガスの製造方法。
  20. 【請求項20】工程(9)で得られた熱量調整後のガス
    を工程(2)での圧力を利用して貯蔵或いは供給する請
    求項11に記載の燃料ガスの製造方法。
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