JPH11186149A - 露光方法、露光装置、及びデバイスの製造方法 - Google Patents

露光方法、露光装置、及びデバイスの製造方法

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JPH11186149A
JPH11186149A JP9363989A JP36398997A JPH11186149A JP H11186149 A JPH11186149 A JP H11186149A JP 9363989 A JP9363989 A JP 9363989A JP 36398997 A JP36398997 A JP 36398997A JP H11186149 A JPH11186149 A JP H11186149A
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sensitive substrate
wafer
area
thermal expansion
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JP9363989A
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Kazuya Ota
和哉 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層的な露光にあたって、層間における重ね
合わせ精度を向上する。 【解決手段】 マスクRに形成されたパターンを感応基
板Wの複数の区画領域に順次転写するにあたって、感応
基板W上の所定の区画領域を露光する際に、その時点の
感応基板Wの熱膨張を考慮して直前の区画領域の露光位
置から所定の区画領域の露光位置への感応基板Wの移動
を行い、この後に所定の区画領域に対しマスクパターン
を転写する。これにより、露光後の冷却状態において基
板上でショット領域が所望の間隔で並ぶ露光が行われ
る。この結果、次層の重ね合わせ精度の向上を図ること
ができるるとともに、前層と重ね合わせ精度の良い露光
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、露光方法、露光装
置、及びデバイスの製造方法に係り、さらに詳しくは半
導体素子、液晶表示素子等をリソグラフィ工程で製造す
る際に用いられる露光方法、その露光方法が適用される
露光装置、及びその露光方法又は露光装置を使用した半
導体素子、液晶表示素子等のデバイスの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子、液晶表示素子等
を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレ
チクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成された
パターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布された
ウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「感応
基板又はウエハ」という)上に転写する露光装置が用い
られている。この種の装置としては、感応基板としての
ウエハが搭載されたウエハステージを所定量X、Y2次
元方向に移動させて所定の露光位置へ位置決めするステ
ッピング動作と、その位置決め状態でレチクルのパター
ンを投影光学系を介して感応基板上のショット領域に転
写する露光動作とを繰り返す静止露光型(ステップ・ア
ンド・リピート方式ともいう)の縮小投影型露光装置
(いわゆる「ステッパ」)や、このステッパを改良し、
レチクル上の所定のスリット状領域を照明光で照明しな
がら、レチクルを保持するレチクルステージとウエハス
テージとを投影光学系に対して所定の走査方向に同期移
動させ、レチクル上の前記スリット領域内のパターンを
投影光学系を介してウエハ上に逐次転写することによ
り、ウエハ上の各ショット領域にレチクルパターン全面
を転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露
光装置が実用化されている。
【0003】かかる露光装置では、ウエハ上に所定の行
間隔及び列間隔でマトリクス状に配列されたショット領
域(第1層の場合は、実際にはショット領域は形成され
ていないが、その場合の仮想的なショット領域をも含
む)を所定の順序で露光する。この所定の順序として
は、露光におけるウエハステージの移動効率、ひいては
装置のスループット向上の観点から、ある行について、
X方向(又はY方向)に順次所定量だけステッピング
し、次の行では、逆方向に順次ステッピングを行い、ウ
エハ上にXY2次元方向でマトリクス状に配置された各
ショット領域の露光を行うこと(いわゆる、行ジグザグ
方式(又は列ジグザグ方式))が、一般的になされてい
る。
【0004】また、第2層以降の露光の際には、前層ま
での露光によりウエハ上に形成されたショット領域の回
路パターンとレチクルのパターンとの位置合わせ(以
下、「アライメント」という)が行われる。かかるアラ
イメント方式としては、1ショット毎にアライメントを
行うダイバイダイ方式と、ウエハ内数箇所のアライメン
トマーク(回路パターンとともに転写された位置合わせ
マーク)を計測し、最小二乗近似等で各ショット領域の
配列座標を求めた後、露光に際しては、その演算結果を
用いてウエハステージの精度に任せてステッピングを行
うエンハンスト・グローバル・アライメント(以下、
「EGA」という)方式とがある。これらの方式の内、
装置のスループットの観点から、EGA方式が現在広く
使われている。
【0005】従来の露光装置では、露光対象とするショ
ット領域を変更するとき、第1層の露光の際には、行方
向に関するスッテピング量を前記所定の行間隔の整数倍
として、また、列方向に関するステッピング量を前記所
定の列間隔の整数倍としている。また、EGA方式を使
用する第2層以降の露光の際には、EGAの演算結果か
らステッピング量を求めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、EGA
方式を使用しつつ、従来のようにしてスッテピング量を
定めていたのでは、層間での重ね合わせ精度の限界があ
った。この原因は、露光時の照射熱により、ウエハが徐
々に膨脹していたからである。
【0007】すなわち、ある層の露光にあたり最初のシ
ョット領域を露光すると、ウエハに塗布されたレジスト
剤の反応により出される熱や、レジスト剤の反応に寄与
しなかった、いわゆる余分なエネルギによる熱が発生
し、ウエハ温度を上昇させる。こうして発生した熱の一
部はウエハ表面から空気に逃げていくが、そのほとんど
はウエハに留まる。そして、ウエハ内を伝播したり、ウ
エハ裏面から当該ウエハを保持するウエハホルダに伝導
する。ウエハホルダに伝導した熱はやはりホルダ内を伝
播していくし、ウエハ内を伝播していった熱は、その途
中でホルダに伝わる。すなわち、ウエハとウエハホルダ
が一体となって温まることになる。更に、ホルダの裏
面、すなわちウエハと接触している側の反対側の面はウ
エハステージに接しており、徐々にではあるが熱が逃げ
ていく。
【0008】こうした過程において、熱の収支は、徐々
にウエハ及びウエハホルダに熱が溜まる方向である。す
なわち、その層の露光における最初のショット領域(第
1ショット領域)の露光が開始されてから、最終ショッ
トの露光が終了するまでウエハ及びウエハホルダには徐
々に熱が溜まっていくことになる。すなわち、ウエハ及
びウエハホルダの温度が徐々に上昇することになるの
で、ウエハ及びウエハホルダが徐々に膨脹することにな
る。Siウエハの線膨張率が2.4ppm/Kであるか
ら、温度が0.1℃上昇する間に、直径200mmのウ
エハは48nmも伸びることになる。
【0009】この結果、従来の露光装置による露光で
は、概していうと、露光順序が後のショット領域ほど、
露光後の冷却状態における隣接するショット領域との間
隔は設計上の間隔よりも小さくなり、重ね合わせ精度が
低下することになる。更に、例えば、行ジクザグ方式の
露光順序で露光をした場合には、互いに隣り合う行のシ
ョット領域についてみると、列方向で隣り合う2つのシ
ョット領域の露光時の間におけるウエハの伸びは、行移
動した側の2つのショット領域の露光間が小さく、行移
動した側から離れるにつれて徐々に大きくなっていく。
すなわち、冷却後におけるショット領域の2次元格子か
らのずれは、行毎に前行から移動してきた位置側に偏る
ことになる。これと同様に、列ジクザグ方式の露光順序
で露光をした場合には、列毎に前列から移動してきた位
置側に偏ることになる。
【0010】したがって、前層の露光を行ジクザグ方式
の露光順序で行い、次層の形成にあたって行うEGAに
おけるサンプルショットを選ぶ際、例えば、偶数行ばか
りから選んだとすれば、奇数行はアライメント結果に反
映されないため、奇数行のショット領域については行方
向のオフセット誤差が生じてしまう。
【0011】また、一般に半導体回路を作る場合、20
層以上のリソグラフィ工程が介在し、その都度前層に対
する重ね合わせ精度が重要になる。もちろん、前述のア
ライメント誤差もその重ね誤差の要素の一つであるが、
たとえアライメントがうまくいってもそれだけで層間の
重ね合わせがうまくいく保証はない。なぜなら、各層を
形成するための回路パターンが描かれたレチクルは、形
成されたパターンの形状により透過率や反射率が異なる
ため、ウエハに到達するエネルギは異なるからである。
また、ウエハ表面の反射率も層により異なることがある
し、塗布されるレジストの厚さ等も異なることがあるか
らである。したがって、各層毎にウエハの膨脹量が異な
ることがあるので、露光ショット順を前層と同じにして
も、層間でずれが生じ得ることになる。また、前層は行
ジグザグ方式の露光順で露光され、次層は列ジグザグ方
式の露光順で露光されようものならば、層間のずれはま
すます大きくなってしまう。
【0012】本発明は、かかる事情の下になされたもの
であり、その第1の目的は、重ね合わせ精度の向上を図
ることが可能な露光方法を提供することにある。
【0013】また、本発明の第2の目的は、重ね合わせ
精度の向上を図ることが可能な露光装置を提供すること
にある。
【0014】また、本発明の第3の目的は、高集積度の
デバイスを生産性を向上して製造する方法を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、マス
ク(R)に形成されたパターンを感応基板(W)の複数
の区画領域に順次転写する露光方法であって、前記感応
基板(W)上の所定の区画領域を露光する際に、その時
点の前記感応基板(W)の熱膨張を考慮して直前の区画
領域の露光位置から前記所定の区画領域の露光位置への
前記感応基板(W)の移動を行う第1工程と;前記所定
の区画領域に対し前記マスクパターンを転写する第2工
程とを含む。
【0016】ここで、感応基板の熱膨張とは、感応基板
単体の膨張を律する感応基板の保持部材等がある場合に
は、この保持部材及び感応基板の全体として熱膨張をい
う。
【0017】各区画領域毎に行われる露光によって、感
応基板の露光対象となった区画領域部で熱が発生するの
で、各区画領域の露光時毎に感応基板の温度状態がそれ
ぞれ異なり、熱膨張の態様がそれぞれ異なる。これに応
じて、本請求項1の露光方法では、まず、感応基板上の
所定の区画領域(以下、「ショット領域」ともいう)を
露光する際に、その時点におけるの感応基板の熱膨張を
考慮して直前の区画領域の露光位置から所定の区画領域
の露光位置へ感応基板を移動(ステッピング)する(第
1工程)。ここで、感応基板の熱膨張に応じた感応基板
の移動には、感応基板の熱膨張に応じてマスクの位置
(走査露光の場合には走査開始位置)を調整(補正)
し、所定の区画領域の露光位置そのものを変化させるこ
とも含んでいる。こうして感応基板を移動した後、所定
の区画領域に対しマスクパターンを転写する(第2工
程)。
【0018】したがって、請求項1の露光方法によれ
ば、露光後の冷却状態において基板上でショット領域が
所望の間隔で並ぶような露光が可能となる。この結果、
次層の重ね合わせ精度の向上を図ることができるるとと
もに、前層と重ね合わせ精度の良い露光ができる。
【0019】請求項2に記載の発明は、請求項1の露光
方法において、前記第1工程の処理に先立って、前記感
応基板(W)上に前記複数の区画領域とともに形成され
た複数の位置合わせマークの内の予め定めた特定の複数
の位置合わせマークの位置を検出し、この検出結果に基
づいて統計演算により前記感応基板(W)上に形成され
た前記複数の区画領域の位置を求める第3工程を更に含
み、前記第1工程における前記感応基板(W)の移動
は、前記感応基板(W)の熱膨張に基づいて前記第3工
程の演算結果を補正した前記所定の区画領域の露光位置
を目標として行われることを特徴とする。
【0020】上述のように、一般に半導体回路を作る場
合には20層以上のリソグラフィ工程が介在し、各層毎
に露光が行われる。こうした、多層的に露光をする場合
には、前層に対してアライメントを行う必要がある。
【0021】請求項2の露光方法では、例えば、多層的
な露光において、2層目以降の層について実際に露光を
行うのに先立ち、感応基板上に複数の区画領域とともに
形成された複数の位置合わせマークの内の予め定めた特
定の複数の位置合わせマークの位置を検出し、この検出
結果に基づいて最小二乗近似等の統計演算により感応基
板上に形成された複数の区画領域の位置を求める(第3
工程)。すなわち、上述のEGAによるアライメントを
採用する。
【0022】そして、前記第1工程における感応基板の
移動にあたり、感応基板の熱膨張に基づいて第3工程で
求めた各区画領域の位置を補正した各所定の区画領域の
露光位置を目標として行う。こうして感応基板を移動し
た後、所定の区画領域に対しマスクパターンを転写す
る。
【0023】これによれば、各層において採用する露光
順序に拘わらず、高い重ね合わせ精度を確保しつつ多層
的な露光を行うことができる。
【0024】なお、請求項2の露光方法では、例えば、
EGAの設計上のショット領域の座標値を熱膨張を考慮
したものとして、EGA方式によるアライメントを行っ
ても、熱膨張を考慮しない従来例に比べ高い重ね合わせ
精度を確保しつつ多層的な露光を行うことができる。
【0025】請求項3に記載の発明は、請求項1の露光
方法において、前記第1工程における前記感応基板
(W)の熱膨張は、その層の露光において既に行われた
露光により前記感応基板(W)で発生した熱量に基づい
て求められたものであることを特徴とする。
【0026】マトリクス状に配列された区画領域の露光
において、露光対象とする区画領域を変更するときに、
行方向に関するスッテピング量を一定の行間隔の整数倍
とし、また、列方向に関するステッピング量を一定の列
間隔の整数倍とした場合に、区画領域が正確な直格子状
に並ばないのは、各区画領域の露光時毎に感応基板の温
度状態がそれぞれ異なり、熱膨張の態様がそれぞれ異な
るからである。周囲温度がその層の露光中に変化しなけ
れば、こうした各区画領域温度の相違は、各区画領域の
露光毎に感応基板で発生する熱に起因することになる。
すなわち、周囲温度がその層の露光中に実質的には変化
しない通常の場合には、前記第1工程で考慮する熱膨張
は、その層の露光において既に行われた露光により感応
基板で発生した熱に起因する熱膨張のみで十分である。
【0027】したがって、請求項3の露光装置によれ
ば、周囲温度がその層の露光中に実質的には変化しない
通常の場合に、露光後の冷却状態において基板上でショ
ット領域を所望の間隔で並べる、すなわち直格子状に並
べるような露光が可能となる。この結果、以後の露光工
程においてEGA等を採用して高い重ね合わせ精度を確
保することができる。
【0028】請求項3の露光方法において、感応基板
(W)の熱膨張の求め方には様々考えられるが、請求項
4に記載の発明のように、前記感応基板(W)の熱膨張
を、その層において既に露光が行われた前記区画領域の
数を変数とする関数であるとして求めることも可能であ
るし、また、請求項5に記載の発明のように、前記感応
基板(W)の熱膨張を、その層において既に行われた露
光の内、これから行われる前記区画領域の露光に対して
空間的かつ時間的に近い露光で発生した熱量は前記感応
基板(W)の局所的な熱膨張に寄与し、空間的又は時間
的に遠い露光で発生した熱量は前記感応基板(W)全体
の熱膨張に寄与するとして求めることも可能である。
【0029】請求項4の露光方法では、各区画領域の露
光によって感応基板で発生した熱は直ちに感応基板全体
に伝播するとして、感応基板の熱膨張を求める。この仮
定は現実の熱膨張の態様とは完全には一致しないが、熱
膨張を全く考慮しない場合と比べるとはるかによい近似
である。ところで、区画領域毎に照射される露光光のエ
ネルギはそれぞれ一定であると考えられるので、各区画
領域の露光によって感応基板で発生する熱量は互いに同
一であると考えてよい。すなわち、前述の近似の場合に
は、特定の区画領域の露光にあたって考慮すべき熱膨張
は、その層において既に露光された前記区画領域の数を
変数とする関数であるとすることができる。したがっ
て、請求項4の露光方法によれば、簡易に重ね合わせ精
度を向上することができる。
【0030】ところで、実際の感応基板では、露光によ
って感応基板の区画領域部で発生した熱の拡散速度が非
常に速いというわけではないので、ある区画領域の露光
によって発生した熱による熱膨張は、まずその区画領域
の近辺で局所的に発生し、徐々に基板全体としての熱膨
張となっていく。すなわち、感応基板における熱拡散に
は時間がかかるのである。
【0031】そこで、請求項5の露光方法では、各々の
区画領域の露光において考慮する熱膨張を求めるのにあ
たり、こうした感応基板における熱拡散の時間を考慮す
る。こうした仮定は、現実の熱膨張に対して非常に良い
近似となっている。したがって、請求項5の露光方法に
よれば、現実の感応基板の熱膨張を高精度に考慮した露
光が行われるので、重ね合わせ精度を一層向上させるこ
とが可能となる。
【0032】請求項6に記載の発明は、請求項1の露光
方法において、第1工程の処理に先立って行われる、測
定用感応基板上の転写前における設計上の測定用区画領
域の間隔にのみ基づいて、測定用マスクに形成された測
定用パターンを前記測定用感応基板上の複数の測定用区
画領域に順次転写する第4工程と;前記測定用パターン
が転写された前記測定用感応基板を転写前の温度に冷却
し、前記測定用区画領域の相互間の距離を測定する第5
工程と;前記第5工程における測定結果に基づいて、露
光時における前記感応基板(W)の熱膨張を求める第6
工程とを更に含む。
【0033】本請求項6の発明では、デバイス製造のた
めの露光の前に、テスト露光を行って感応基板の熱膨張
の態様を計測する。このテスト露光は、測定用感応基板
上の転写前における設計上の測定用区画領域の間隔にの
み基づいて、測定用マスクに形成された測定用パターン
を測定用感応基板上の複数の測定用区画領域に転写する
(第4工程)ことによって行われる。ここで、テスト露
光における測定用マスク、測定用パターン、測定用感応
基板、測定用区画領域、及び露光順序等は、デバイス製
造時のマスク、パターン、感応基板、区画領域、及び露
光順序等と同等であることが好ましい。
【0034】こうしてテスト露光された測定用感応基板
を冷却後、測定用基板に転写されたパターンを観測する
ことにより、測定用区画領域の相互間の距離を測定する
(第5工程)。この測定結果は、露光中における感応基
板の熱膨張を反映している。そこで、距離測定の測定結
果に基づいて、露光による感応基板の熱膨張を求める
(第6工程)。
【0035】したがって、請求項6の露光方法によれ
ば、実際のテスト露光の結果に基づいて、露光中におけ
る感応基板の熱膨張を求めるので、非常に高い重ね合わ
せ精度を確保することができる。
【0036】請求項7に記載の発明は、請求項1の露光
方法において、前記区画領域の露光順序が、マトリクス
状に配列された前記区画領域について、前記マトリクス
の第1行方向で隣接する前記区画領域へ順次進み、前記
第1行方向に隣接する前記区画領域が存在しない場合に
前記マトリクスの列方向に沿って隣接する行へ進み、そ
の後に前記第1行方向と逆方向である第2行方向へ進む
順序であり、同一の行方向に配列された前記区画領域の
連続的な露光において、直前の区画領域の露光位置から
前記所定の区画領域の露光位置への前記感応基板(W)
の移動量が、前記直前の区画領域の露光のための前記感
応基板(W)の移動量よりも小さいことを特徴とする。
【0037】ここで、行方向とはマトリクス状配列にお
ける1つの配列方向をいい、列方向とは行方向に対して
直交する他の1つの配列方向をいう。
【0038】本請求項7のように行ジグザグ方式の露光
順序の場合、感応基板全体で見ると、第1行より第2
行、第2行より第3行と進むにしたがって前の行を露光
した際の熱が伝播してくるため、感応基板の熱膨張は徐
々に大きくなる。しかしながら、露光対象となる区画領
域の行が変更された直後における区画領域の露光を考え
ると、時間的に近接した直前行において露光の対象とな
った区画領域ほど空間的に近接している。こうした時間
的に近接した直前行において露光の対象となった区画領
域ほど、これから露光しようとする区画領域と空間的に
も近接しているという傾向は、その行における区画領域
の露光が進むほど小さくなる。ところで、前述のよう
に、感応基板では、ある区画領域の露光によって発生し
た熱による熱膨張は、まずその区画領域の近辺で局所的
に発生した熱に応じて発生し、徐々に発生熱量に応じた
基板全体としての熱膨張となっていく。したがって、前
行に関する露光完了後の次行の露光では、その次行にお
いて露光対象となる区画領域が更新されるほど、前行に
おける露光に起因する局所的な熱膨張の影響が小さくな
っていく場合がある。すなわち、一つの行における露光
にあたり、行方向に沿った区画領域の更新に伴って、考
慮すべき熱膨張が徐々に小さくなる場合があることが考
えられる。
【0039】請求項7の露光方法によれば、このことを
考慮して、前記第1工程における前記感応基板の移動量
を、一つの行における行方向に沿った前記区画領域の更
新に伴って減少させるので、行ジグザグ方式の露光順序
の場合に高い重ね合わせ精度を確保することが可能とな
る。また、列ジグザグ方式の露光順序の場合にも、請求
項7の露光方法において行と列とを入れ替えた露光方法
により高い重ね合わせ精度を確保することが可能とな
る。
【0040】請求項8に記載の発明は、マトリクス状に
配置された前記区画領域を順次露光するのにあたって、
第N行(Nは自然数)の最後の区画領域から第(N+
1)行の最初の区画領域に移動するときの前記感応基板
の移動量に与えられる補正量は、第(N−1)行の最後
の区画領域から第N行の最初の区画領域に移動したとき
の前記感応基板の移動量に与えられる補正量よりも大き
いことを特徴とする。
【0041】例えば、行ジグザグ方式の露光順序のよう
に、前回の列方向への移動から幾つもの区画領域の露光
を行った後に列方向への移動行う場合には、前回の列方
向への移動時と局所的な熱膨張の影響は同様であるが、
感応基板全体としての熱膨張は、前回の列方向の移動に
おける感応基板全体としての熱膨張よりも大きくなって
いる。したがって、前回の列方向への移動から幾つもの
区画領域の露光を行った後に列方向への移動行う露光順
序の場合には、請求項8の露光方法のように、第N行の
最後の区画領域から第(N+1)行の最初の区画領域に
移動するときに感応基板の移動量に与えられる補正量
を、第(N−1)行の最後の区画領域から第N行の最初
の区画領域に移動するときに感応基板の移動量に与えら
れる補正量よりも大きくすることにより、高い重ね合わ
せ精度を維持することができる。
【0042】請求項9に記載の発明は、請求項1の露光
方法において、前記マスク(R)に形成された前記パタ
ーンの前記感応基板(W)への転写は投影光学系(P
L)を介して行われ、前記感応基板(R)の膨張量に応
じて、前記パターンの像倍率を可変制御することを特徴
とする。
【0043】感応基板上の区画領域に関する露光を順次
進めていくと、前述のように感応基板の熱膨張が進行し
ていく。したがって、マスクに形成されたパターンを投
影光学系を介して感応基板に転写する場合に、像倍率を
一定のままにすると、露光後に冷却された感応基板上で
は、各区画領域ごとに転写されたパターンの大きさ(例
えば、回路パターンの線幅等)が異なることになる。
【0044】請求項9の露光方法では、このことを考慮
して、各区画領域の露光にあたって、感応基板の熱膨張
に応じて投影光学系の投影倍率やマスクと投影光学系と
の間隔等を変化させることによりパターンの像倍率を可
変制御するので、露光後に冷却された感応基板上の各区
画領域ごとに転写されたパターンの大きさを同一とする
ことができ、高い重ね合わせ精度を確保することができ
る。
【0045】請求項10に記載の発明は、請求項1の露
光方法において、前記マスク(R)に形成された前記パ
ターンの前記感応基板(W)への転写は前記マスク
(R)と前記感応基板(W)とを同期移動させつつ行わ
れ、前記感応基板(W)の膨張量に応じて、前記区画領
域の露光における前記マスク(R)及び前記感応基板
(W)の少なくとも一方の前記同期移動の開始位置及び
前記マスク(R)と前記感応基板(W)との同期速度比
を補正することを特徴とする。
【0046】マスクに形成されたパターンの感応基板へ
の転写をマスクと感応基板とを同期移動させつつ行う走
査露光では、走査方向に関する像倍率はマスクの移動速
度と感応基板の移動速度との比によって決定される。し
たがって、マスクに形成されたパターンを感応基板に転
写する場合に、マスクの移動速度と感応基板の移動速度
との比を一定のままにすると、露光後に冷却された感応
基板上では、各区画領域ごとに転写されたパターンの大
きさが異なることになる。
【0047】請求項10の露光方法では、このことを考
慮して、各区画領域の露光にあたって、感応基板の熱膨
張に応じて、マスク及び感応基板の少なくとも一方の同
期移動の開始位置及び前記マスクと前記感応基板との同
期速度比を補正するので、露光後に冷却された感応基板
上の各区画領域ごとに転写された走査方向のパターンの
大きさを同一とすることができ、高い重ね合わせ精度を
確保することができる。
【0048】なお、走査露光にあたって投影光学系を使
用する場合には、走査方向については、請求項10の露
光方法により像倍率を補正し、非走査方向(すなわち、
走査方向と垂直な方向)については、投影光学系の投影
倍率やマスクと投影光学系との間隔等を変化させること
によりパターンの像倍率を補正することにより、露光後
に冷却された感応基板上の各区画領域ごとに転写された
パターンの大きさを同一とすることができる。
【0049】請求項11に記載の発明は、請求項1〜1
0のいずれかの露光方法を用いたことを特徴とするデバ
イス製造方法である。
【0050】これによれば、請求項1〜10のいずれか
の露光方法を利用するので、高い重ね合わせ精度を確保
することが可能であり、高集積度のデバイスを生産性を
向上して製造することができる。
【0051】請求項12に記載の発明は、マスク(R)
に形成されたパターンを感応基板(W)の複数の区画領
域に順次転写する露光装置であって、前記感応基板
(W)上の所定の区画領域を露光する際における、その
時点の前記感応基板(W)の熱膨張を考慮した直前の区
画領域の露光位置から前記所定の区画領域の露光位置へ
の前記感応基板(W)の移動量情報を求める処理装置
(20)と;前記移動量情報に基づいて、前記感応基板
(W)を駆動して前記感応基板(W)を露光位置に設定
する駆動装置(21)とを備える。
【0052】上述のように、各区画領域の露光時毎に感
応基板の温度状態がそれぞれ異なり、熱膨張の態様がそ
れぞれ異なる。これに応じて、請求項12の露光装置で
は、処理装置が、感応基板上の所定の区画領域を露光す
る際における、その時点の感応基板の熱膨張を考慮した
直前の区画領域の露光位置から所定の区画領域の露光位
置への感応基板を移動量情報を求める。そして、こうし
て求められた移動量情報に基づいて、駆動装置が、感応
基板を駆動して感応基板を露光位置に設定する。なお、
駆動装置による感応基板の熱膨張に応じた感応基板の露
光位置の設定には、感応基板の熱膨張に応じてマスクの
位置(走査露光の場合には走査開始位置)を調整し、所
定の区画領域の露光位置そのものを変化させることも含
んでいる。
【0053】したがって、請求項12の露光装置によれ
ば、露光後の冷却状態において基板上でショット領域が
所望の間隔で並ぶような露光が可能となる。この結果、
次層の重ね合わせ精度の向上を図ることができるるとと
もに、前層と重ね合わせ精度の良い露光ができる。
【0054】請求項13に記載の発明は、請求項12の
露光装置において、前記感応基板(W)上に前記複数の
区画領域とともに形成された複数の位置合わせマークの
内の予め定めた特定の複数の位置合わせマークの位置を
検出する位置検出系(70,72)と;前記位置検出系
(70,72)による検出結果に基づいて統計演算によ
り前記感応基板(W)上に形成された前記複数の区画領
域の位置を求める演算装置(20)とを更に備え、前記
処理装置(20)は、前記感応基板(W)の熱膨張に基
づいて前記演算装置(20)の演算結果を補正した前記
所定の区画領域の露光位置を目標位置として前記感応基
板(W)の移動量を求めることを特徴とする。
【0055】請求項13の露光装置では、多層的な露光
において、2層目以降の層について実際に露光を行うの
に先立ち、位置検出系が、感応基板上に複数の区画領域
とともに形成された複数の位置合わせマークの内の予め
定めた特定の複数の位置合わせマークの位置を検出す
る。この検出結果に基づいて、演算装置が、最小二乗近
似等の統計演算により感応基板上に形成された複数の区
画領域の位置を求め、前述のEGAによるアライメント
を行う。
【0056】この後、各区画領域について順次露光を行
うが、露光対象となる区画領域の更新にあたり、処理装
置が、感応基板の熱膨張に基づいて演算装置の演算結果
を補正する。処理装置は、この補正結果に応じた区画領
域の露光位置を目標位置として前記感応基板の移動量を
求める。
【0057】したがって、請求項13の露光装置によれ
ば、各層において採用する露光順序に拘わらず、重ね合
わせ精度を確保しつつ多層的な露光を行うことができ
る。
【0058】請求項14に記載の露光装置は、請求項1
2の露光装置において、前記区画領域の露光順序は、マ
トリクス状に配列された前記区画領域について、前記マ
トリクスの第1行方向で隣接する前記区画領域へ順次進
み、前記第1行方向に隣接する前記区画領域が存在しな
い場合に前記マトリクスの列方向に沿って隣接する行へ
進み、その後に前記第1行方向と逆方向である第2行方
向へ進む順序であり、前記移動量情報には、同一の行方
向に配列された前記区画領域の連続的な露光において、
直前の区画領域の露光位置から前記所定の区画領域の露
光位置への前記感応基板(W)の移動量が、前記直前の
区画領域の露光のための前記感応基板(W)の移動量よ
りも小さい情報が含まれることを特徴とする。
【0059】ここで、行方向とはマトリクス状配列にお
ける一つの配列方向をいい、列方向とは行方向に対して
直交する一つの配列方向をいう。
【0060】前述のように、行ジグザグ方式の露光順序
の場合には、一つの行における露光にあたり、行方向に
沿った区画領域の更新に伴って、考慮すべき熱膨張が徐
々に小さくなる場合があることが考えられる。
【0061】したがって、請求項14の露光装置によれ
ば、感応基板の熱膨張に応じた感応基板の移動量を、一
つの行における行方向に沿った区画領域の更新に伴って
減少させるので、行ジグザグ方式の露光順序の場合に高
精度な露光を実現できる。
【0062】なお、行ジグザグ方式の露光順序の場合に
は、列方向に移動するときの移動量は、前回の列方向に
移動したときの移動量よりも大きくなる。これは、局所
的な熱膨張の影響は前回の列方向への移動時と同様であ
る一方、列方向に移動するときの感応基板全体としての
熱膨張は、前回の列方向の移動における感応基板全体と
しての熱膨張よりも大きくなっているからである。
【0063】請求項15に記載の発明は、請求項12の
露光装置において、前記感応基板(W)の熱膨張に応じ
て、前記マスク(R)に形成されたパターンの前記感応
基板(W)上での像倍率を可変制御する投影倍率制御系
(PL,68,19,21)を更に備える。
【0064】請求項15の露光装置によれば、各区画領
域の露光にあたって、投影倍率制御系が、感応基板の熱
膨張に応じて感応基板上でのパターンの像倍率を可変制
御するので、露光後に冷却された感応基板上の各区画領
域ごとに転写されたパターンの大きさを同一とすること
ができ、高い重ね合わせ精度を確保することが可能とな
る。
【0065】請求項15の露光装置において、投影倍率
制御系の構成は様々考えられるが、投影倍率制御系を、
マスク(R)に形成されたパターンを感応基板(W)上
に結像する投影光学系(PL)と;感応基板(W)の熱
膨張に応じて投影光学系(PL)の投影倍率を可変制御
する結像特性制御機構(68)とを備えて構成してもよ
いし、また、請求項16に記載の発明のように、前記投
影倍率制御系を、前記区画領域の露光にあたって、前記
マスク(R)と前記感応基板(W)とを同期移動させる
同期移動機構(21)と;前記感応基板(W)の膨張量
に応じて、前記区画領域の露光における前記マスク
(R)及び前記感応基板(W)の少なくとも一方の前記
同期移動の開始位置及び前記マスク(R)と前記感応基
板(W)との同期速度比を制御する同期移動制御機構
(19)とを備えて構成してもよい。
【0066】請求項16の露光装置によれば、走査露光
による各区画領域の露光にあたって、同期移動制御機構
が、感応基板の熱膨張に応じて、マスク及び感応基板の
少なくとも一方の同期移動の開始位置及び同期移動比を
制御するので、露光後に冷却された感応基板上の各区画
領域ごとに転写されたパターンの走査方向に関する大き
さを同一とすることができ、高い重ね合わせ精度を確保
することが可能となる。
【0067】なお、走査露光にあたって投影光学系を使
用する露光装置では、非走査方向については、投影光学
系の投影倍率やマスクと投影光学系との間隔等を変化さ
せることによりパターンの像倍率を制御することによ
り、露光後に冷却された感応基板上の各区画領域ごとに
転写されたパターンの大きさを同一とすることができ
る。
【0068】請求項17に記載の発明は、請求項12〜
16のいずれかの露光装置を用いたことを特徴とするデ
バイスの製造方法である。
【0069】これによれば、請求項12〜16のいずれ
かの走査型露光装置を利用するので、高い重ね合わせ精
度を確保することが可能なので、高集積度のデバイスを
生産性を向上して製造することができる。
【0070】
【発明の実施の形態】《第1の実施形態》以下、本発明
の第1の実施形態の走査型露光装置及び走査露光方法を
図1〜図4に基づいて説明する。
【0071】図1には、第1の実施形態に係る走査型露
光装置100の概略的な構成が示されている。この走査
型露光装置100は、いわゆるステップ・アンド・スキ
ャン露光方式の投影露光装置である。
【0072】この走査型露光装置100は、光源1及び
照明光学系(2、3、5〜7)を含む照明系、マスクと
してのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレ
チクルステージRST、投影光学系PL、感応基板とし
てのウエハWをXY平面内でXY2次元方向に移動する
ウエハステージWST、ウエハWの位置を検出する位置
検出系(70、72)、及びこれらを制御する制御系等
を備えている。
【0073】前記照明系は、光源1、コリメータレン
ズ、フライアイレンズ等(いずれも図示せず)からなる
照度均一化光学系2、リレーレンズ3、レチクルブライ
ンド5、リレーレンズ6及び折り曲げミラー7(この
内、照度均一化光学系2、リレーレンズ3、6及び折り
曲げミラー7によって照明光学系が構成される)等を含
んで構成されている。
【0074】ここで、この照明系の構成各部についてそ
の作用とともに説明すると、光源1で発生した露光光と
しての照明光ILは不図示のシャッターを通過した後、
照度均一化光学系2により照度分布がほぼ均一な光束に
変換される。照明光ILとしては、例えばKrFエキシ
マレーザ光、ArFエキシマレーザ光、あるいはF2エ
キシマレーザ(波長=157nm)等のエキシマレーザ
光、銅蒸気レーザやYAGレーザの高調波、あるいは超
高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)等
が用いられる。
【0075】照度均一化光学系2から水平に射出された
光束は、リレーレンズ3を介して、レチクルブラインド
5に達する。このレチクルブラインド5は、2枚の可動
ブレード45A、45Bを有する可動ブラインド(以
下、この可動ブラインドを適宜「可動ブラインド45
A、45B」と呼ぶ)と、この可動ブラインド45A、
45Bの近傍に配置された開口形状が固定された固定ブ
ラインド46とから構成される。可動ブラインド45
A、45Bの配置面はレチクルRのパターン面と共役と
なっている。固定ブラインド46は、例えば4個のナイ
フエッジにより矩形の開口を囲んだ視野絞りであり、そ
の矩形開口の上下方向の幅が可動ブラインド45A、4
5Bによって規定されるようになっており、これにより
レチクルRを照明するスリット状の照明領域IAR(図
2参照)のレチクルRの走査方向の幅を所望の大きさに
設定できるようになっている。可動ブラインド45A、
45Bは、可動ブラインド駆動機構43A、43Bによ
って開閉方向に駆動されるようになっており、この駆動
機構43A、43Bの動作が不図示のメモリに格納され
たプロセスプログラムと呼ばれるファイル内のマスキン
グ情報に応じて主制御装置20によって制御されるよう
になっている。
【0076】なお、照度均一化光学系2とリレーレンズ
3との間にはハーフミラー55が配置されている。照度
均一化光学系2から水平に射出された光束の内、このハ
ーフミラー55で反射された光束が、照明光ILの光量
モニタ用の光量センサ53に入射する。光量センサ53
で検出された照明光ILの光量情報は主制御装置20に
供給される。
【0077】レチクルブラインド5を通過した光束は、
リレーレンズ6を通過して折り曲げミラー7に至り、こ
こで鉛直下方に折り曲げられて回路パターン等が描かれ
たレチクルRの照明領域IAR部分(図2参照)を照明
する。
【0078】前記レチクルステージRST上にはレチク
ルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチク
ルステージRSTは、レチクルRの位置決めのため、照
明光学系の光軸IX(後述する投影光学系PLの光軸A
Xに一致)に垂直な平面内で2次元的に(X軸方向及び
これに直交するY軸方向及びXY平面に直交するZ軸回
りの回転方向に)微少駆動可能に構成されている。
【0079】また、このレチクルステージRSTは、不
図示のレチクルベース上をリニアモータ等で構成された
レチクル駆動部(図示省略)により、所定の走査方向
(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で移
動可能となっている。このレチクルステージRSTは、
レチクルRの全面が少なくとも照明光学系の光軸IXを
横切ることができるだけの移動ストロークを有してい
る。
【0080】レチクルステージRST上にはレチクルレ
ーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16か
らのレーザビームを反射する移動鏡15が固定されてお
り、レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置
はレチクル干渉計16によって、例えば0.5〜1nm
程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レ
チクルステージRST上には走査方向(Y軸方向)に直
交する反射面を有する移動鏡と非走査方向(X軸方向)
に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、レチク
ル干渉計16は走査方向に1軸、非走査方向には2軸設
けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡1
5、レチクル干渉計16として示されている。
【0081】レチクル干渉計16からのレチクルステー
ジRSTの位置情報はステージ制御系19及びこれを介
して主制御装置20に送られ、ステージ制御系19では
主制御装置20からの指示に応じてレチクルステージR
STの位置情報に基づいてレチクル駆動部(図示省略)
を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0082】なお、不図示のレチクルアライメント系に
より所定の基準位置にレチクルRが精度良く位置決めさ
れるように、レチクルステージRSTの初期位置が決定
されるため、移動鏡15の位置をレチクル干渉計16で
測定するだけでレチクルRの位置を十分高精度に測定し
たことになる。
【0083】前記投影光学系PLは、レチクルステージ
RSTの図1における下方に配置され、その光軸AX
(照明光学系の光軸IXに一致)の方向がZ軸方向とさ
れ、ここでは両側テレセントリックな光学配置となるよ
うに光軸AX方向に沿って所定間隔で配置された複数枚
のレンズエレメントから成る屈折光学系が使用されてい
る。この投影光学系PLは所定の投影倍率、例えば1/
5(あるいは1/4)を有する縮小光学系である。この
ため、照明光学系からの照明光ILによってレチクルR
の照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通
過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその
照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像
(部分倒立像)が表面にフォトレジストが塗布されたウ
エハW上に形成される。
【0084】投影光学系PLは、両側テレセントリック
な光学配置になるように、共通の光軸を有する複数枚の
レンズエレメント60a、60b、……から構成されて
いる。レンズエレメントのうち、レチクルステージRS
Tに最も近い一番上のレンズエレメント60aは、リン
グ状の支持部材62により保持され、この支持部材62
は、伸縮可能な駆動素子、例えばピエゾ素子64a,6
4b,64c(紙面奥側の駆動素子64cは図示せず)
によって、3点支持されるとともに鏡筒部66と連結さ
れている。上記の駆動素子64a,64b,64cによ
って、レンズエレメント60aの周辺3点を独立に、投
影光学系PLの光軸AX方向に移動させることができる
ようになっている。すなわち、レンズエレメント60a
を駆動素子64a,64b,64cの変位量に応じて光
軸AXに沿って平行移動させることができるとともに、
光軸AXと垂直な平面に対して任意に傾斜させることも
できる。そして、これらの駆動素子64a,64b,6
4cに与えられる電圧が、主制御装置20からの指令に
基づいて結像特性補正コントローラ68によって制御さ
れ、これによって駆動素子64a,64b,64cの変
位量が制御されるようになっている。なお、図1中、投
影光学系PLの光軸AXは鏡筒部66に固定されている
レンズエレメント60bその他のレンズエレメント(図
示省略)の光軸に一致している。
【0085】また、本実施形態においては、投影光学系
PLの光軸方向中央部近傍の特定のレンズエレメント相
互間には密封室69が形成されており、この密封室69
の内圧が不図示の圧力調整機構(例えばべローズポンプ
等)によって調整されるようになっている。この圧力調
整機構も主制御装置20からの指令に基づいて結像特性
補正コントローラ68によって制御され、これによって
密封室69の内圧が調整されるようになっている。
【0086】ここで、レンズエレメント60aの光軸A
X方向の移動や傾斜により投影光学系PLの倍率を変更
させたり、ディストーションや投影光学系PLの結像面
を変更したりできる。また、投影光学系PL内部の密封
室69の内圧を変化させることにより倍率や投影光学系
PLの結像面を変更できる。本実施形態では駆動素子6
4a,64b,64c、密封室69及び駆動素子の変位
量、密封室69の内圧を制御する結像特性補正コントロ
ーラ68によって主として倍率、ディストーション、レ
チクルRのパターン像の結像面を制御する結像特性制御
機構が構成されている。
【0087】前記ウエハステージWST上には、ウエハ
ホルダ25が載置され、このウエハホルダ25によって
感応基板としてのウエハWが真空吸着によって保持され
ている。このウエハステージWSTは、搭載されたウエ
ハWをX、Y及びZの各方向に移動させる。
【0088】また、ウエハステージWST上にはウエハ
レーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)31か
らのレーザビームを反射する移動鏡27が固定され、外
部に配置されたウエハ干渉計31により、ウエハWのX
Y面内での位置が例えば0.5〜1nm程度の分解能で
常時検出されている。
【0089】ここで、実際には、ウエハステージWST
上には走査方向であるY軸方向に直交する反射面を有す
る移動鏡と非走査方向であるX軸方向に直交する反射面
を有する移動鏡とが設けられ、ウエハ干渉計31は走査
方向に1軸、非走査方向には2軸設けられているが、図
1ではこれらが代表的に移動鏡27、ウエハ干渉計31
として示されている。ウエハWの位置情報(又は速度情
報)はステージ制御系19及びこれを介して主制御装置
20に送られ、ステージ制御系19では主制御装置20
からの指示に応じて前記位置情報(又は速度情報)に基
づいてウエハ駆動装置21(これは、X方向、Y方向、
及びZ方向の各方向に関する駆動系の全てを含む)を介
してウエハステージWSTをXY平面内で駆動制御す
る。なお、ステージ制御系19、前記レチクル駆動系、
投影光学系PL、結像特性補正コントローラ68、及び
ウエハ駆動装置21から投影倍率制御系が構成されてい
る。
【0090】また、ウエハステージWSTには、投影光
学系PLを介した露光用照明光の光量を検出するための
光量センサ48が組み込まれている。光量センサ48に
よる光量検出にあたっては、主制御装置20が、ステー
ジ制御系19及び基板駆動系21を介してウエハステー
ジWSTを制御し、光量センサ48を投影光学系PLの
下方へ移動させる。光量センサ48は、この位置で検出
された光量情報を主制御装置20へ通知する。
【0091】更に、図1の装置には、ウエハW表面の前
記露光領域IA内部分及びその近傍の領域のZ方向(光
軸AX方向)の位置を検出するための斜入射光式のフォ
ーカス検出系(焦点検出系)の一つである多点フォーカ
ス位置検出系が設けられている。この多点フォーカス位
置検出系は、図1に示されるように、照射光学系51と
受光光学系52とから構成されている。例えば、照射光
学系51は、光ファイバ束、集光レンズ、パターン形成
板、レンズ、及び照射対物レンズ等(いずれも不図示)
を備え、また、受光光学系52は、集光対物レンズ、回
転方向振動板、結像レンズ、受光用スリット板、及び多
数のフォトセンサを有する受光器等(いずれも不図示)
を備える。この多点フォーカス位置検出系の詳細な構成
等については、例えば特開平6−283403号公報に
開示されている。
【0092】この多点フォーカス位置検出系(51、5
2)の作用の概略を説明する。照射光学系51では、不
図示の照明光源からの露光光とは異なるウエハW上のフ
ォトレジストを感光させない波長の照明光が光ファイバ
を介して入射し、集光レンズを経てパターン形成板を照
明する。このパターン形成板上には複数のスリット状の
開口パターンがマトリクス状配置で形成されている。こ
のパターン形成板の各スリット状の開口パターンを透過
した照明光(開口パターンの像光束)は、照射対物レン
ズを経てウエハWの被露光面に投影され、ウエハWの被
露光面にはパターン形成板上のスリット状の開口パター
ンの像が投影結像される。これら開口パターンの一部は
ウエハWの照明領域IA(図2参照)内に結像され、ま
た開口パターンの他の一部はウエハWの照明領域IAの
外に結像される。
【0093】そして、ウエハWの被露光面からの反射光
束が、光軸AXに対して前記照射光学系51からの像光
束と対称に所定角度だけ傾斜した方向に進んで、集光対
物レンズ、回転方向振動板及び結像レンズを経て受光器
の手前側に配置された受光用スリット板上に再結像され
る。この再結像された像が受光器で検出され、選択され
た受光器の検出信号の合成信号が同期検波される。そし
て、同期検波して得られた多数のフォーカス信号が主制
御装置20に供給される。主制御装置20は、ウエハW
の照明領域IAの走査方向側の外側に結像された開口パ
ターンに関するフォーカス信号を、次のフォーカス状態
の予測、すなわちウエハW表面が+Z方向又は−Z方向
のいずれの方向へ変化するかの予測のために用いる。こ
うして行った予測とともに、ウエハWの照明領域IA内
に結像された開口パターンに関するフォーカス信号に基
づいて、ウエハWの照明領域IAのフォーカス合わせや
レベリング調整が行われる。
【0094】前記位置検出系は、投影光学系PLの側面
に配置され、ウエハW上に形成された位置検出用マーク
(アライメントマーク)を観測するオフ・アクシス方式
のアラインメント顕微鏡70と、アラインメント顕微鏡
70の観測結果及びウエハ干渉計31からのウエハWの
位置情報を入力し、ウエハW上における位置検出用マー
クの位置を求める画像処理装置72とを備えている。画
像処理装置72で求められた位置検出用マークの位置
は、主制御装置20に供給される。
【0095】本実施形態の走査型露光装置100におい
ては、図2に示されるように、レチクルRの走査方向
(Y軸方向)に対して垂直な方向に長手方向を有する長
方形(スリット状)の照明領域IARでレチクルRが照
明され、レチクルRは露光時に−Y方向に速度VR で走
査(スキャン)される。照明領域IAR(中心は光軸A
Xとほぼ一致)は投影光学系PLを介してウエハW上に
投影され、照明領域IARに共役なスリット状の投影領
域、すなわち露光領域IAが形成される。ウエハWはレ
チクルRとは倒立結像関係にあるため、ウエハWは速度
R の方向とは反対方向(+Y方向)にレチクルRに同
期して速度VW で走査され、ウエハW上のショット領域
SAの全面が露光可能となっている。走査速度の比VW
/VR は正確に投影光学系PLの縮小倍率に応じたもの
になっており、レチクルRのパターン領域PAのパター
ンがウエハW上のショット領域SA上に正確に縮小転写
される。照明領域IARの長手方向の幅は、固定ブライ
ンド46によって、レチクルR上のパターン領域PAよ
りも広く、遮光領域STの最大幅よりも狭くなるように
設定され、レチクルRを走査(スキャン)することによ
りパターン領域PA全面が照明されるようになってい
る。
【0096】この走査型露光装置100では、上記の走
査露光の際に、位置検出系(70、72)の検出結果に
基づいて主制御装置20によりステージ制御系19及び
ウエハ駆動装置21等を介してレチクルRとウエハWと
の位置合わせ(アライメント)が行なわれ、また、多点
フォーカス位置検出系(51、52)の検出信号に基づ
いて、投影光学系PLの結像面とウエハW表面とが一致
する(ウエハ表面が投影光学系PLの最良結像面の焦点
深度の範囲内に入る)ように、主制御装置20によりス
テージ制御系19及びウエハ駆動装置21を介してウエ
ハWがZ軸方向及び傾斜方向に駆動制御されて面位置の
調整が行なわれる。
【0097】図3には、本実施形態におけるウエハW上
における区画領域としてのショット領域の設計上の配置
と露光順序とが示されている。図3に示されるように、
ウエハW上には、7行7列のマトリクス状に49個のシ
ョット領域が配列される。以後、行番号i(i=1〜
7)かつ列番号j(j=1〜7)の位置のショット領域
をSA(i,j)と表す。なお、図3においては、引出
し線を省略して、各ショット領域SA(i,j)内に
(i,j)のみを記入している。図3に示されるよう
に、紙面左右方向(X軸方向)が行方向であり、最下方
の行が第1行であり、最上方の行が第7行である。ま
た、図3の紙面上下方向(Y軸方向)が列方向であり、
最右方の列が第1列であり、最左方の列が第7列であ
る。なお、ショット領域の形状は正方形であり、ショッ
ト領域間の間隔は、行方向及び列方向の双方共に20m
mに設計されている。
【0098】ここで、XY座標を考え、ウエハWの中心
点を(0,0)とする。このとき、ショット領域SA
(i,j)の設計上の中心位置(露光設計位置)(X
i,Yi)は、 (Xi,Yj)=((4−i)Δx0 ,(j−4)Δy0 ) …(1) Δx0 :設計上の行方向に関するショット領域間隔(=
20mm) Δy0 :設計上の列方向に関するショット領域間隔(=
20mm) で表される。例えば、ショット領域SA(1,1)の設
計上の中心位置座標は(60mm,−60mm)、右隣
のショット領域SA(1,2)の設計上の中心位置座標
は(40mm,−60mm)ということになる。
【0099】また、図3では、ショット領域の露光順序
が点線矢印で示されている。すなわち、本実施形態で
は、ショット領域SA(1,1)が最初に露光対象とな
り、順次ショット領域SA(1,2)、ショット領域S
A(1,3)と列番号が増える行方向に露光対象となる
ショット領域を更新する。そして、ショット領域(1,
7)の露光が終了すると、次に露光対象となるショット
領域をショット領域SA(2,7)に更新する。次い
で、順次ショット領域SA(2,6)、ショット領域S
A(2,5)と列番号が減る行方向に露光対象となるシ
ョット領域を更新する。以後、上記と同様にして、ジグ
ザグに露光対象となるショット領域を更新し、最後にシ
ョット領域SA(7,7)を露光する。
【0100】本実施形態で想定するウエハW及びウエハ
ホルダ25の露光照射熱による膨脹メカニズムを説明す
る。本実施形態では、露光の結果として発生する露光照
射熱は、直ちにウエハW及びウエハホルダ25内を伝播
するモデル、すなわち、あるショット領域の露光で発生
した熱は、次のショット領域の露光までにウエハW及び
ウエハホルダ25内で広く拡散してしまっているモデル
を採用する。また、以下の説明の前提として、ウエハW
とウエハホルダ25とは真空吸着によりしっかりと結合
しているものとする。ウエハWの厚みは通常1mm以
下、一方ウエハホルダ25の厚みは10mm前後であ
り、ウエハWが膨張しようとしてもウエハホルダ25に
よって抑制されるが、ウエハホルダ25が膨張しようと
するときには、ウエハWはウエハホルダ25にほぼ倣
う。
【0101】1つのショット領域の露光によりウエハW
で発生する熱エネルギをE[J]、ウエハホルダ25及
びウエハWの合計の熱容量をC[J/K]、線膨張率を
α[1/K]とすれば、最初のショット領域SA(1,
1)の露光によるウエハWの熱膨脹は(αE/C)であ
る。そして、2番目のショット領域SA(1,2)の露
光後には(2αE/C)、…、48番目のショット領域
SA(7,6)の露光後には(48αE/C)だけウエ
ハW及びウエハホルダ25が膨脹していると考えられ
る。したがって、行方向に関するスッテピング量を20
mmとし、列方向に関するステッピング量を20mmと
して各ショット領域の露光を行うと、ウエハWが露光前
の温度に戻ったとき、各ショット領域の位置は設計位置
より内側にずれてしまう。図4には、こうしたショット
領域のずれが示されている。なお、図4では、各ショッ
ト領域の中心点を◆で示しており、各ショット領域の形
状の図示を省略している。
【0102】以下、上述の走査型露光装置100による
本実施形態の露光方法を説明する。
【0103】以上のようなウエハW等の熱膨張を求める
ためには、1つのショット領域の露光によりウエハWで
発生する熱エネルギE、ウエハホルダ25及びウエハW
の合計の熱容量C、及び線膨張率αを知る必要がある。
これらの内、熱容量Cと線膨張率αは、ウエハW及びウ
エハホルダ25の材質から決定されるので、そのウエハ
Wに関する露光の前に求めておく。
【0104】一方、熱エネルギEは、ウエハWに到達す
る露光光のエネルギ、ウエハW表面の反射率、並びにウ
エハWに塗布されたレジスト剤の反応特性及び厚さに依
存する。これらは、製造しようとするデバイスの種類に
よって異なるし、また、同一のデバイス製造のための露
光であっても、多層的な露光をする場合には層ごとに異
なる。したがって、一つの層について露光するごと求め
る必要がある。
【0105】ウエハWに塗布されるレジスト剤の反応特
性及び厚さについては、装置のオペレータが、これから
露光する層に応じて入力し、主制御装置20に供給す
る。また、ウエハW表面の反射率は、ウエハWに塗布さ
れるレジスト剤毎に反射率を測定するなどしておき、装
置のオペレータが、これから露光する層に応じて入力
し、主制御装置20に供給する。
【0106】ウエハWに到達する露光光のエネルギが既
知であれば、やはり装置のオペレータが、それらをこれ
から露光する層に応じて入力し、主制御装置20に供給
する。また、ウエハWに到達する露光光のエネルギが既
知でなければ、その層の露光前に測定する。ウエハWに
到達する露光光のエネルギの測定では、例えば、レチク
ルRをレチクルステージRSTに搭載した状態で、投影
光学系PLの下方に光量センサ48を移動後、光源1か
ら露光用照明光を出力させる。そして、光量センサ48
に到達した光の光量を検出することにより、ウエハWに
到達する露光光のエネルギを測定する。なお、本実施形
態では、ウエハWに到達する露光光のエネルギを、各層
の露光前に測定することとしている。
【0107】本実施形態では、まず、第1層の露光を行
う。第1層の露光にあたり、まず、不図示のレチクルロ
ーダによって、第1層用のパターンが形成されたレチク
ルRをレチクルステージRSTにロードする。引き続
き、投影光学系PLの下方に光量センサ48に移動す
る。この移動は、主制御装置20によりステージ制御系
19及びウエハ駆動装置21等を介して行われる。
【0108】次に、光源1から照明光を出力し、光量セ
ンサ48によってウエハステージWSTに到達した露光
光の光量を測定する。この測定結果は、光量センサ48
から主制御装置20へ通知される。主制御装置20は、
光量センサ48の測定結果等に基づき、1つのショット
領域の露光によりウエハWで発生する熱エネルギEを求
め、さらにウエハW及びウエハホルダ25の合計の熱容
量C及び線膨張率αを使用して、第1層の露光に関し
て、1つのショット領域の露光によるウエハWの熱膨脹
(αE/C)を求める。
【0109】次いで、不図示のウエハローダにより、露
光したいウエハWをウエハステージWSTにロードす
る。引き続き、主制御装置20が、ウエハ干渉計31か
らの位置情報(又は速度情報)に基づき、ステージ制御
系19及びウエハ駆動装置21等を介してウエハステー
ジWSTを制御して、ショット領域SA(1,1)が投
影光学系PLの下方の露光位置となるようにウエハWを
移動する。すなわち、第1番目の走査露光領域の中心点
が、前記ウエハ座標系で(60mm,−60mm)とな
るようにウエハWを移動する。同時に、レチクルRのX
Y位置が、走査開始位置となるように、レチクルステー
ジRSTが移動される。この移動は、主制御装置20に
よりステージ制御系19及び不図示のレチクル駆動部等
を介して行われる。
【0110】そして、ステージ制御系19が、レチクル
干渉計16によって計測されたレチクルRのXY位置情
報及びウエハ干渉計31によって計測されたウエハWの
XY位置情報に基づき、不図示のレチクル駆動部及びウ
エハ駆動装置21を介して投影光学系PLの投影倍率に
応じた速度比でレチクルRとウエハWとを相対移動させ
る。この相対移動とともに走査露光が行われる。
【0111】また、ステージ制御系19は、多点フォー
カス位置検出系(51,52)によって検出されたウエ
ハのZ位置情報及び傾斜情報に基づき、ウエハ駆動装置
21を介して基板テーブル18をZ軸方向及び傾斜方向
に駆動制御して面位置の調整を行う。
【0112】以上のように制御されながら行われる走査
露光により、ショット領域SA(1,1)に対するレチ
クルパターンの転写が終了すると、ウエハWを1ショッ
ト領域分だけステッピングさせる。
【0113】ところで、第2番目に露光対象となるショ
ット領域SA(1,2)の中心点の露光設計位置は、上
記のように(40mm,−60mm)である。ところ
が、第1番目のショット領域SA(1,1)の露光によ
りウエハW及びウエハホルダ25が(αE/C)だけ膨
脹している。したがって、ショット領域SA(1,2)
の露光ではこれを考慮して、ショット領域SA(1,
2)の中心点の位置が、 (40(1+αE/C)mm,−60(1+αE/C)
mm) となるようにステッピングを行う。すなわち、ステッピ
ング量を、行方向(−X方向)に20(1−(αE/
C))mm、及び列方向(−Y方向)に60(αE/
C))mmとして、ウエハWをステッピングさせる。
【0114】また、主制御装置20が、ショット領域S
A(1,1)の露光時の投影光学系PLの投影倍率をβ
1 としたとき、ショット領域SA(1,2)の露光時の
投影光学系PLの投影倍率β2 を、 β2 =β1 (1+(αE/C)) …(2) で算出する。そして、主制御装置20が、結像特性補正
コントローラ68を介して投影光学系PLを制御し、投
影光学系PLの投影倍率をβ2 に設定する。
【0115】次いで、主制御装置20が、ウエハ干渉計
31からの位置情報(又は速度情報)に基づき、ステー
ジ制御系19及びウエハ駆動装置21等を介してウエハ
ステージWSTを制御して、レチクルRとウエハWの移
動速度の比をウエハWの熱膨張に応じた値としつつ、シ
ョット領域SA(1,1)と同様にして(走査方向のみ
を逆とすることを除く)走査露光を行う。この結果、設
計上のショット領域SA(1,2)の予定位置より若干
ウエハWの中心から遠い位置でショット領域SA(1,
2)を露光することになる。
【0116】ショット領域SA(1,2)に対するレチ
クルパターンの転写が終了すると、ウエハWを1ショッ
ト領域分だけステッピングさせる。第3番目に露光対象
となるショット領域SA(1,3)の中心点の露光設計
位置は、上記のように(−20mm,−60mm)であ
るが、ショット領域SA(1,1)及びショット領域S
A(1,2)の露光によりウエハW及びウエハホルダ2
5が(2αE/C)だけ膨脹している。したがって、シ
ョット領域SA(1,3)の露光ではこれを考慮して、
ショット領域SA(1,3)の中心点の位置が、 (20(1+2αE/C)mm,−60(1+2αE/
C)mm) となるようにステッピングを行う。すなわち、ステッピ
ング量を、行方向(−X方向)に20mm、及び列方向
(−Y方向)に60(αE/C)mmとして、ウエハW
をステッピングする。
【0117】また、主制御装置20が、ショット領域S
A(1,3)の露光時の投影光学系PLの投影倍率β3
を、 β3 =β1 (1+2(αE/C)) …(3) で算出し、結像特性補正コントローラ68を介して投影
光学系PLを制御し、投影光学系PLの投影倍率をβ3
に設定する。そして、主制御装置20が、ウエハ干渉計
31からの位置情報(又は速度情報)に基づき、ステー
ジ制御系19及びウエハ駆動装置21等を介してウエハ
ステージWSTを制御して、レチクルRとウエハWの移
動速度の比をウエハWの熱膨張に応じた値としつつ、シ
ョット領域SA(1,1)と同様にして走査露光を行
う。
【0118】以下、同様にして、(1)式で求められる
ショット領域SA(i,j)の設計上の中心点の位置
(Xi ,Yj )をウエハWの膨張分だけ補正した位置
(X’i,Y’j )としてステッピングする。ここで、
位置(X’i ,Y’j )は、ショット領域SA(i,
j)が第n番目の露光順序であるとき、 X’i =Xi (1+(n−1)(αE/C)) …(4) Y’j =Yj (1+(n−1)(αE/C)) …(5) で算出される。
【0119】ここで、行方向(X軸方向)に3つのショ
ット領域を連続して露光する場合を考える。このとき、
最初の露光するショット領域と次に露光するショット領
域との間隔を(dX1 ,dY1 )とし、この次に露光す
るショット領域とその次に露光するショット領域との間
隔を(dX2 ,dY2 )とする。このとき、 |dX2 −dX1 |=Δx0 (αE/C) =20(αE/C)[mm] …(6) |dY2 −dY1 |=0[mm] …(7) の関係があることがわかる。すなわち、行方向(X軸方
向)にショット領域を連続して露光する場合には、任意
番目の行方向へのステッピング量は、その前の行方向へ
のステッピング量より(6)式に表される量だけ大きく
なる。また、列方向のステッピング量は、(7)式に表
されるように一定である。
【0120】また、第n番目の露光順序のショット領域
に関する露光における投影倍率βnを、 βn =β1 (1+(n−1)(αE/C)) …(8) で求め、露光対象のショット領域の更新の都度、結像特
性制御系68を介して、投影光学系PLの投影倍率を設
定する。
【0121】こうして、ウエハWのステッピング、投影
光学系PLの投影倍率、及びレチクルRとウエハWの移
動速度の比の変更をしながら、各ショット領域をショッ
ト領域SA(1,1)と同様にして(場合によって、走
査方向のみを逆として)順次走査露光を行い、ショット
領域SA(7,7)まで露光を実行する。
【0122】以上のようにして、第1層の層露光が完了
すると、第2層の露光を行う。第2層の露光にあたり、
まず、レチクルローダによって、第2層用のパターンが
形成されたレチクルRをレチクルステージRSTにロー
ドする。引き続き、第1層の露光の場合と同様にして、
光量センサ48によってウエハステージWSTに到達し
た露光光の光量を測定し、主制御装置20が、光量セン
サ48の測定結果等に基づき、第2層の露光に関して、
1つのショット領域の露光によりウエハWで発生する熱
エネルギEを求め、さらにウエハホルダ25及びウエハ
Wの合計の熱容量C及び線膨張率αを使用して、1つの
ショット領域の露光によるウエハWの熱膨脹(αE/
C)を求める。
【0123】次に、ウエハローダにより、露光したいウ
エハWをウエハステージWSTにロードする。引き続
き、主制御装置20により、ウエハステージWST上の
不図示の基準マーク板等を用いてレチクルアラインメン
ト、ベースライン計測等の準備作業が所定の手順に従っ
て行われた後、位置検出系(70,72)を用いてEG
A(エンハンスト・グローバル・アラインメント)等の
アラインメント計測が実行される。本実施形態では、例
えば特開昭61−44429号公報に開示されたEGA
方式を採用する。すなわち、ウエハW上の多数のショッ
ト領域から複数のショット領域(同一直線上にない3つ
のショット領域を含む)をアライメントショットとして
選択し、この複数のアライメントショットにそれぞれ付
設されたアライメントマークの位置を検出する。さら
に、この検出されたマーク位置を用いて統計演算(例え
ば最小二乗法)を行うことにより、ウエハW上のショッ
ト配列を表すモデル関数のパラメータを算出し、この算
出されたパラメータに基づいて多数のショット領域の座
標位置をそれぞれ決定する。このアライメント計測の終
了後、第1層の露光と同様にして、ウエハWの熱膨張に
応じてその決定された座標位置を補正し、かつ投影光学
系PLの投影倍率を調整した上で、各ショット領域の露
光が順次実行され、第2層の露光が行われる。以後、第
2層の露光と同様にして、第3層以降の露光を順次行
う。
【0124】本実施形態によれば、各ショット領域の露
光にあたり、各ショット領域の露光の際におけるウエハ
Wの熱膨張に応じてウエハWの露光位置を制御するの
で、露光後の冷却状態におけるウエハ上でショット領域
を設計位置に一致させて並べることができるので、高い
重ね合わせ精度を確保することができる。また、各層に
おいて採用する露光順序に拘わらず、重ね合わせ精度を
確保しつつ多層的に露光を行うことができる。
【0125】更に、その層の露光において既に行われた
露光されたショット領域の数を変数とする1次関数とい
う簡単な関数の計算によってウエハWの熱膨張を求める
ので、簡易に露光精度を向上することができる。また、
各ショット領域の露光にあたって、ウエハWの熱膨張に
応じて投影光学系PLの投影倍率を可変制御するととも
に、ウエハWの膨張量に応じてレチクルRの移動速度と
ウエハWの移動速度との比を可変制御するので、露光後
に冷却されたウエハW上の各ショット領域毎に転写され
た第1層のパターンの大きさを同一とすることができ、
第2層以降のパターンでは各ショット領域に既に形成さ
れているパターンとの倍率誤差をほぼ零にすることがで
き、高い重ね合わせ精度を確保することができる。
【0126】また、本実施形態では、第1層目のレチク
ルパターンをウエハW上の多数のショット領域にそれぞ
れ転写するとき、第1番目のショット領域では、投影光
学系PLの投影倍率を1/5(又は1/4)に設定する
とともに、レチクルRとウエハWとの速度比をその投影
倍率に応じた値に設定し、第2番目以降のショット領域
では、露光処理後に収縮するウエハW上の各ショット領
域の大きさが同一となるように、ウエハWの露光処理に
おけるその熱膨張に応じて、投影光学系PLの投影倍率
を調整して、ウエハWの非走査方向(行方向、すなわち
X方向)に関するレチクルパターンの転写像の倍率を補
正し、かつ、投影光学系PLの投影倍率及びレチクルR
とウエハWとの速度比を調整してウエハWの走査方向
(列方向、すなわちY方向)に関するその転写像の倍率
を補正する。
【0127】一方、第2層目以降のレチクルパターンを
ウエハW上のショット領域に形成されたパターンに重ね
合わせて転写するときは、EGA方式で算出される前述
のモデル関数のパラメータのうち、ウエハWの伸縮をあ
らわすスケーリング・パラメータと、ウエハWの露光処
理におけるその熱膨張とに基づいて、投影光学系PLの
投影倍率を調整して、ウエハの非走査方向に関するレチ
クルパターンの転写像とウエハW上のパターンとの倍率
誤差を補正し、かつ、レチクルRとウエハWとの速度比
を調整して、ウエハWの走査方向に関するレチクルパタ
ーンの転写像とウエハW上のパターンとの倍率誤差を補
正する。
【0128】なお、第1層目、及び第2層目以降のいず
れのレチクルパターンであっても、その転写時における
レチクルRとウエハWとのその調整された速度比は必ず
しもその調整された投影倍率と一致しない。また、投影
光学系PLの投影倍率を調整すると、レチクルパターン
の部分投影はウエハWの非走査方向に関する倍率だけで
なく、ウエハWの走査方向に関する倍率も変化する。す
なわち、ウエハW上での露光用照明光(レチクルパター
ンの部分投影像が形成される矩形領域)の走査方向の幅
が変化するので、ウエハW上のショット領域の各点に対
してフォトレジストの感度に応じた適正露光ドーズ量を
与えることができなくなることがある。この場合には、
投影光学系PLの投影倍率の変更に応じてウエハWの走
査露光条件を調整すればよい。例えば、露光用照明光が
パルス光である場合は、ウエハWの走査速度、パルス光
を発振する光源の発振周波数、ウエハW上でのパルス光
の強度、及びその走査方向の幅の少なくとも1つを調整
する。なお、露光用照明光が連続光である場合には、ウ
エハWの走査速度、ウエハW上での連続光の強度、及び
その走査方向の幅の少なくとも1つを調整する。
【0129】また、本実施形態では説明を簡単にするた
め、前述のようにウエハWの熱膨張に応じて補正される
座標位置((4)及び(5)式)が、ショット領域の中
心点がそれぞれ投影光学系PLの光軸IXと一致する座
標値であるものとし、ウエハW上のショット領域の中心
点がそれぞれその補正座標値と一致するようにウエハW
をステッピングさせることとした。しかしながら走査型
露光装置では、走査露光開始前にウエハWを所定速度ま
で加速しなければならず、その加速のために所定の助走
距離が必要となる。したがって、ウエハW上の各ショッ
ト領域が、投影光学系PLの円形イメージフィールド内
でレチクルパターンの部分投影像が形成される矩形距離
(以下、「投影領域」と呼ぶ)に対してその手前側に、
かつ列方向(Y方向)に関して所定の助走距離だけ離れ
て位置決めされるように、ウエハWはステッピングされ
る。すなわち、1つのショット領域の走査露光終了後、
ウエハW(すなわち、ウエハステージWST)は減速し
ながら、次にレチクルパターンを転写すべきショット領
域がその投影領域に対して所定の助走距離だけ離れるま
でY方向に沿って移動され、さらに次の領域の中心点が
前述のように補正されたX方向の座標位置((4)式)
と一致するようにX方向に沿って移動される。これによ
り、次のショット領域は助走開始位置に位置決めされる
ことになる。次に、ウエハW(ウエハステージWST)
は加速され、所定速度(走査露光時の移動速度)に達し
た後に次のショット領域の走査露光が開始される。
【0130】なお、前述の助走距離はウエハステージW
STの加速度と走査露光時のウエハWの移動速度とによ
って一義的に定められるが、スループットを考慮する
と、その助走距離が最短となるようにウエハステージW
STの加速度をその最大値に設定することが好ましい。
また、ウエハW上の各ショット領域のY方向に関する助
走開始位置は、前述のように補正されたY方向の座標位
置((4)式)を基に、前述の助走距離、及びショット
領域のY方向の大きさから決定される。
【0131】また、前述の説明では、ステップ・アンド
・スキャン方式でウエハW上の多数のショット領域をそ
れぞれ走査露光するとき、1つのショット領域の走査露
光終了後のウエハWの減速とウエハWのX方向へのステ
ッピングとの間、及びそのX方向へのステッピングと次
のショット領域の走査露光開始前のウエハWの加速との
間でそれぞれウエハW(ウエハステージWST)は停止
する。しかしながら、スループットを考慮すると、2つ
のショット領域の走査露光間でウエハWを停止させるこ
となく移動する、換言すればウエハWのX、Y方向の速
度成分が共に零となることがないように移動することが
好ましい。すなわち、1つのショット領域の走査露光終
了後であって、ウエハWのY方向の速度成分が零となる
前に、ウエハWのX方向へのステッピング(加速)を開
始するとともに、ウエハWのX方向の速度成分が零とな
る前に、ウエハWのY方向への加速を開始する。この結
果、ウエハWの移動軌跡はほぼ放物線状(U字状)とな
る。なお、ウエハWのX方向へのステッピングを開始す
るタイミングは、走査露光終了後でウエハWの減速開始
前でもよいし、あるいは減速開始後でもよい。また、ウ
エハWのY方向への加速を開始するタイミングは、ウエ
ハWのX方向への加速中(減速開始前)でもよいし、あ
るいは減速開始後でもよい。さらに、ウエハWのY方向
の速度成分が零となる前にY方向への加速を開始するも
のとしたが、どちらか一方のみを実行するだけでもよ
く、この場合にもスループットを向上させることができ
る。
【0132】《第2の実施形態》以下、本発明の第2の
実施形態の走査型露光装置及び走査露光方法を、図5及
び図6に基づいて説明する。本実施形態は、第1の実施
形態が露光によって発生する熱が即座にウエハW及びウ
エハホルダ25内を伝播し、ウエハW及びウエハホルダ
25全体を均一に膨脹させるモデルを使ったのに対し
て、ウエハW及びウエハホルダ25内での熱の伝播に少
し時間が掛かるモデルを考える点に特徴を有する。な
お、以下の説明にあたって、同等の要素には同一符号を
付し、重複する説明を省略する。
【0133】本実施形態の走査型露光装置は、第1の実
施形態と同様に、走査露光中に、感応基板としてのウエ
ハを+Y方向及び−Y方向に移動させるとともに、マス
クとしてのレチクルRをウエハと同期移動させて走査露
光する装置であり、図1に示した走査型露光装置100
と同様に構成されている。
【0134】また、第1実施形態と同様に、図3に示さ
れるようなウエハW上におけるショット領域の設計上の
配置(7行7列のマトリクス状に49個のショット領域
の配列)のショット領域が、やはり図3に示されるよう
な露光順序で露光される。
【0135】本実施形態を適応するウエハW及びウエハ
ホルダ25の露光照射熱による膨脹メカニズムを説明す
る。本実施形態では、前述のように、ウエハW及びウエ
ハホルダ25内での熱の伝播に少し時間が掛かるモデル
を採用している。したがって、その層において既に行わ
れたショット領域の露光の内、これから行われるショッ
ト領域に関する露光に対して空間的かつ時間的に近いシ
ョット領域の露光で発生した熱による感応基板の熱膨張
は、これから行われるショット領域の露光で考慮する熱
膨張にとって、露光済のショット領域を含む局所的なウ
エハWの領域の熱膨張として寄与することとする。ま
た、これから行われるショット領域の露光に対して空間
的又は時間的に遠いショット領域の露光で発生した熱に
よるウエハWの熱膨張は、これから行われるショット領
域の露光で考慮する熱膨張にとってウエハW全体の熱膨
張として寄与することとする。実際のウエハWでは、露
光によってウエハWのショット領域部で発生した熱の拡
散速度が非常に速いというわけではないので、こうした
仮定は現実の熱膨張に対して非常に良い近似となってい
る。
【0136】すなわち、第1番目の露光対象をショット
領域SA(1,1)とし、次に隣りのショット領域SA
(1,2)を露光する時、ショット領域SA(1,1)
の露光で発生した熱はウエハW内、及びウエハWからウ
エハホルダ25に伝わってウエハホルダ25内を伝播し
てくるものの、ショット領域SA(1,2)の位置には
到達せず、ショット領域SA(1,2)の中心点近辺の
ウエハWの伸びはまだ小さい。第1行において最後に露
光されるショット領域SA(1,7)までは同じ傾向で
ある。ところが、第2行に折り返すと、先に露光した第
1行で発生した熱が伝わってきており、その影響でウエ
ハW及びウエハホルダ25が膨脹している。露光順序に
おける第2行の後半の領域に差し掛かると、もちろん第
1行の露光の前半で発生した熱が伝わってきているもの
の、既に時間が経過しているため、第3行、第4行の方
へと拡散してしまっている。すなわち、露光順序におけ
る第2行の前半に比べて第2行の後半の局所的なウエハ
W及びウエハホルダ25の温度はむしろ低くなってい
る。したがって、ウエハW及びウエハホルダ25の局所
的な熱膨張も前半に比べてやや小さくなる。同様に、各
行とも折り返し直後のショットが露光される部分のウエ
ハW及びウエハホルダ25の局所的な熱膨張は大きく、
列を移って行くに従って徐々にウエハW及びウエハホル
ダ25の局所的な熱膨張は小さくなっていく。
【0137】ウエハW全体で見ると、第1行より第2
行、第2行より第3行と進むにしたがって前の行を露光
した際の熱が伝播してくるため、ウエハW及びウエハホ
ルダ25の熱膨張は徐々に大きくなる。以上をまとめて
みると、ウエハW及びウエハホルダ25は大勢として徐
々に膨脹し、局所的には各行の初めの列ほど大きく、終
わりの列に行くのに従って徐々に小さくなる。
【0138】図5には、以上の本実施形態の膨脹モデル
により、行方向に関するスッテピング量を20mmと
し、列方向に関するステッピング量を20mmとして各
ショット領域の露光を行うとき、露光されたウエハを元
の温度に戻して各ショット位置がどのように配列するか
が示されている。なお、図5においても、図4と同様
に、各ショット領域の中心点を◆で示しており、各ショ
ット領域の形状の図示を省略している。図5に示される
ように、本実施形態のモデルでも、第1の実施形態のモ
デルと同様に、各ショット領域の位置は設計位置より内
側にずれてしまう。
【0139】図6には、本実施形態のモデルによる直前
に露光されたショット領域との間隔(X軸方向のみ)が
示されている。ここで、横軸はショット番号、すなわち
露光順序番号である。図6に示されるように、全体的に
はウエハW及びウエハホルダ25が膨脹し続けるため、
冷却後のショット領域間隔は徐々に狭まっているのは第
1の実施形態と同様である。しかし、同一行内に着目す
ると、徐々にショット間隔は徐々に広がっている。同一
行内でのショット領域間隔の広がり方は、列を移動する
毎に鈍化し、各行の最終列近くになると一つ前のショッ
ト領域間隔との差はごく僅かとなる。なお、Y方向の膨
脹については第1の実施形態と実質的に同様と考えられ
る。
【0140】本実施形態では、ウエハWを露光する間の
全体的な膨脹と、行内レベルの局所的な膨脹と、行から
行へ移動する際の膨脹の三つの値を事前に求めておく必
要がある。これは実際にある条件の下でウエハを露光す
ること(テスト露光)により求めておいて、後でショッ
ト領域配列、露光時間(すなわち、露光光量)、等々に
応じてその場で計算すれば良い。もちろん、実際にウエ
ハWを露光する以外に、ウエハWやウエハホルダ25の
素材や構造に応じた熱伝導率、膨張率、等々からコンピ
ュータシミュレーションで求めることもできる。
【0141】なお、テスト露光をする場合には、例え
ば、ウエハWの熱膨張を考慮することなく、測定用レチ
クルに形成された測定用パターンを測定用ウエハ上の複
数のショット領域に転写する。次に、測定用ウエハを冷
却後、転写されたパターンの相互間の距離を測定する。
そして、この測定結果に基づいて、ウエハWの熱膨張情
報を求めることができる。
【0142】以下、上述の走査型露光装置100による
本実施形態の露光方法を説明する。
【0143】以上のようなウエハW等の熱膨張を求める
ため、本実施形態では、事前測定又はコンピュータシミ
ュレーションにより、1つのショット領域の露光により
ウエハWで発生する熱エネルギをパラメータとして、熱
膨張を計算する用意を各層の露光が開始されるまでに行
っておく。
【0144】本実施形態では、まず、第1層の露光を行
う。第1層の露光にあたり、まず、不図示のレチクルロ
ーダによって、第1層用のパターンが形成されたレチク
ルRをレチクルステージRSTにロードする。引き続
き、投影光学系PLの下方に光量センサ48に移動す
る。この移動は、主制御装置20によりステージ制御系
19及びウエハ駆動装置21等を介して行われる。
【0145】次に、光源1から照明光を出力し、光量セ
ンサ48によってウエハステージWSTに到達した露光
光の光量を測定し、主制御装置20が、光量センサ48
の測定結果等に基づき、1つのショット領域の露光によ
りウエハWで発生する熱エネルギEを求め、さらに第1
層に関するウエハW及びウエハホルダ25の熱膨張情報
を求める。
【0146】次いで、不図示のウエハローダにより、露
光したいウエハWをウエハステージWSTにロードす
る。引き続き、主制御装置20が、ウエハ干渉計31か
らの位置情報(又は速度情報)に基づき、ステージ制御
系19及びウエハ駆動装置21等を介してウエハステー
ジWSTを制御して、第1の実施形態と同様に、第1番
目の走査露光領域の中心点が、前記ウエハ座標系で(6
0mm,−60mm)となるようにウエハWを移動す
る。同時に、レチクルRのXY位置が、走査開始位置と
なるように、レチクルステージRSTが移動される。
【0147】そして、ステージ制御系19が、多点フォ
ーカス位置検出系(51,52)によって検出されたウ
エハのZ位置情報及び傾斜情報、レチクル干渉計16に
よって計測されたレチクルRのXY位置情報、ウエハ干
渉計31によって計測されたウエハWのXY位置情報に
基づき、不図示のレチクル駆動部及びウエハ駆動装置2
1を介して、ウエハWの面位置の調整を行いつつ、レチ
クルRとウエハWとを相対移動させて走査露光を行う。
【0148】以上のように制御されながら行われる走査
露光により、ショット領域SA(1,1)に対するレチ
クルパターンの転写が終了すると、ウエハWを1ショッ
ト領域分ステッピングさせる。
【0149】ここで、第1層に関する露光に先立って求
めたウエハW及びウエハホルダ25の熱膨張情報を考慮
して、ステッピングを行う。例えば、熱膨張情報とし
て、図6に示されるような、ショット領域間隔Δxk
X軸方向に関する熱膨張情報として求めていた場合に
は、設計ショット領域間隔Δx0 (=20mm)とショ
ット領域間隔Δx2 とから実際のショット領域間隔δx
2 として用いれば良い。すなわち、 δx2 =Δx0 2/Δx2 …(9) を計算して実際のショット領域間隔δx2 を求め、この
分だけX軸方向にステッピングする。Y方向についても
熱膨張情報に基づいてステッピングする。
【0150】そして、第1の実施形態と同様に、熱膨張
に応じて、投影光学系PLの投影倍率、及びレチクルR
とウエハWの移動速度の比の変更をして、ショット領域
SA(1,2)をショット領域SA(1,1)と同様に
して(走査方向のみを逆とすることを除く)走査露光を
行う。
【0151】以後、ショット領域SA(1,3)からシ
ョット領域SA(7,7)まで、各ショット領域毎に、 δxk =Δx0 2/Δxk …(10) を計算して実際のショット領域間隔δxk を求め、この
分だけX軸方向にステッピングする。Y方向についても
熱膨張情報に基づいてステッピングする。
【0152】図6と(10)式から分かるように、本実
施形態における実際のショット領域間隔は、ショット領
域の更新に伴って、ウエハ全体を通してみれば徐々に広
く、同一行内では徐々に狭くなる。また、ある行を露光
し終えて次の行に移った時の最初のショット領域の位置
は、前行のショット領域の位置に対してややウエハWの
外周側にずらすようにする。理由は、前ショット領域の
露光の終了から当該ショット領域の露光までの間に前行
の露光により発生した熱が多少伝わってウエハW及びウ
エハホルダ25を膨脹させるからである。
【0153】そして、熱膨張に応じて、投影光学系PL
の投影倍率、及びレチクルRとウエハWの移動速度の比
の変更をしながら、各ショット領域をショット領域SA
(1,1)と同様にして(場合によって、走査方向のみ
を逆として)順次走査露光を行う。
【0154】以上のようにして、第1層の露光が完了す
ると、第2層の露光を行う。第1の実施形態と同様に、
第2層の露光にあたり、まず、レチクルローダによっ
て、第2層用のパターンが形成されたレチクルRをレチ
クルステージRSTにロードする。引き続き、第1層の
露光の場合と同様にして、光量センサ48によってウエ
ハステージWSTに到達した露光光の光量を測定する。
そして、主制御装置20が、光量センサ48の測定結果
等に基づき、第2層の露光に関して、1つのショット領
域の露光によりウエハWで発生する熱エネルギEを求
め、さらに第2層に関するウエハW及びウエハホルダ2
5の熱膨張情報を求める。
【0155】次に、第1の実施形態と同様に、ウエハロ
ーダにより、露光したいウエハWをウエハステージWS
Tにロードする。引き続き、主制御装置20により、ウ
エハステージWST上の不図示の基準マーク板等を用い
てレチクルアラインメント、ベースライン計測等の準備
作業が所定の手順に従って行われた後、位置検出系(7
0,72)を用いてEGA等のアラインメント計測が実
行される。このアライメント計測の終了後、第1層の露
光と同様にして、各ショット領域の露光が順次実行さ
れ、第2層の露光が行われる。以後、第2層の露光と同
様にして、第3層以降の露光を順次行う。
【0156】本実施形態によれば、第1の実施形態と同
様に、各ショット領域の露光にあたり、各ショット領域
の露光の際におけるウエハWの熱膨張に応じてウエハW
の露光位置を制御するので、露光後の冷却状態における
ウエハ上でショット領域が正確に直格子状に並べること
ができる。また、各層において採用する露光順序に拘わ
らず、重ね合わせ精度を確保しつつ多層的に露光を行う
ことができる。
【0157】更に、その層の露光において既に行われた
露光で発生した熱の伝播に時間がかかるとして、ウエハ
Wの熱膨張を求めるので、非常に高精度の露光をするこ
とができる。また、各ショット領域の露光にあたって、
ウエハWの熱膨張に応じて投影光学系PLの投影倍率を
可変制御するとともに、ウエハWの膨張量に応じてレチ
クルRの移動速度とウエハWの移動速度との比を可変制
御するので、露光後に冷却されたウエハW上の各ショッ
ト領域毎に転写されたパターンの大きさを同一とするこ
とができ、高い重ね合わせ精度を確保することが可能と
なる。
【0158】次に、上記説明した走査型露光装置及び方
法を使用したデバイスの製造方法の実施形態を説明す
る。
【0159】図7には、デバイス(ICやLSI等の半
導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マ
イクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されて
いる。図7に示されるように、まず、ステップ201
(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計
(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その
機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、
ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計
した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、
ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリ
コン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0160】次に、ステップ204(ウエハ処理ステッ
プ)において、ステップ201〜ステップ203で用意
したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソ
グラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成す
る。次いで、ステップ205(デバイス組立ステップ)
において、ステップ204で処理されたウエハを用いて
デバイス組立を行う。このステップ205には、ダイシ
ング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程
(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0161】最後に、ステップ206(検査ステップ)
において、ステップ205で作製されたデバイスの動作
確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工
程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0162】図8には、半導体デバイスの場合におけ
る、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されてい
る。図8において、ステップ211(酸化ステップ)に
おいてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212
(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形
成する。ステップ213(電極形成ステップ)において
はウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ2
14(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオ
ンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214
それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成し
ており、各段階において必要な処理に応じて選択されて
実行される。
【0163】ウエハプロセスの各段階において、上述の
前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程
が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ2
15(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光
剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステッ
プ)において、上記説明した露光装置及び露光方法によ
ってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、
ステップ217(現像ステップ)においては露光された
ウエハを現像し、ステップ218(エッチングステッ
プ)において、レジストが残存している部分以外の部分
の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステ
ップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチ
ングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0164】これらの前処理工程と後処理工程とを繰り
返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターン
が形成される。
【0165】以上のような、本実施形態のデバイス製造
方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度のデ
バイスを製造することができる。
【0166】本発明は、前述の実施形態に限定されるも
のではなく、変形が可能である。例えば、本発明は、紫
外線を光源にする縮小投影露光装置、波長10nm前後
の軟X線を光源にする縮小投影露光装置、波長1nm前
後を光源にするX線露光装置、EB(電子ビーム)やイ
オンビームによる露光装置などあらゆるウエハ露光装
置、液晶露光装置等に適応できる。また、ステップ・ア
ンド・リピート機、ステップ・アンド・スキャン機、ス
テップ・アンド・スティッチング機を問わない。
【0167】また、前述の各実施形態では熱膨張に応じ
てウエハのみを移動して、各ショット領域の露光位置
(走査型露光装置では走査露光開始位置)を補正するも
のとしたが、各ショット領域の露光位置は補正せず、ウ
エハWの熱膨張に応じてレチクルRの位置(走査型露光
装置では走査露光開始位置)を調整してもよいし、ある
いは、レチクルR及びウエハWの両方を移動して、ウエ
ハWの熱膨張に起因して生じるアライメント誤差を相殺
するようにしてもよい。
【0168】さらに、前述の各実施形態では投影光学系
PLの投影倍率を調整して、レチクルパターンの像倍率
を変化させるものとしたが、レチクルR側が非テレセン
トリックな投影光学系PLを用いる場合には、レチクル
Rをその光軸に沿って移動して、レチクルパターンの像
倍率を変化させるようにしてもよい。例えば、5〜15
nm(軟X線領域)に発振スペクトルを有するEUV
(Extreme Ultra Violet)光を露光用照明光として使用
するステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光
装置では、反射マスク上での照明領域を円弧スリット状
に規定するとともに、複数(4枚程度)の反射光学素子
(ミラー)のみからなる縮小投影光学系を有し、この縮
小投影光学系の倍率に応じた速度比で反射マスクとウエ
ハとを同期移動して反射マスクのパターンをウエハ上に
転写する。このとき、EUV光はその主光線が反射マス
クと直交する軸に対して傾いて反射マスクに照射され
る。したがって、EUV光を使用する投影露光装置で
は、反射マスクをそのパターン面と直交する軸に沿って
移動して、ウエハ上でのパターンの像倍率を調整するこ
とになる。
【0169】また、前述の各実施形態ではウエハW上で
のレチクルパターンの像倍率のみを調整し、特に第2層
目以降のレチクルパターンではその転写像とウエハ上の
パターンとの倍率誤差をほぼ零にするものとしたが、熱
膨張によってウエハWが歪むときにはレチクルパターン
の像歪みを調整するようにしてもよい。像歪みは、例え
ば、投影光学系PLを構成する少なくとも1つの光学素
子を移動する、あるいはレチクルRを光軸に沿って移動
することにより調整することができる。また、特に走査
型投影露光装置では、レチクルRの走査方向、正確には
走査露光によるレチクルR上の1点のウエハW上での走
査軌跡がウエハWの走査方向(Y方向)と平行となるよ
うに、レチクルRとウエハWとを同期移動する。これに
対してウエハW上でのレチクルパターンの転写像を積極
的に歪ませるときは、その走査軌跡とウエハWの走査方
向とが交差するように、レチクルRとウエハWとを同期
移動すればよい。また、走査露光中、レチクルパターン
の部分投影像の非走査方向に関する倍率(幅)を連続的
又は段階的に変化させるようにしてもよい。さらに、レ
チクルパターンとウエハW上のショット領域とをわずか
に相対回転させた状態でレチクルRとウエハWとを同期
移動するようにしてもよい。
【0170】また、前述の各実施形態では行ジグザグ方
式の露光順序について説明したが、列ジグザグ方式の露
光順序にも勿論適応できる。また、ショット領域の配列
を7行7列の正方行列のみ示したが、行方向又は列方向
のショット領域間隔が等しくなくとも良いし、行によっ
て列数が異なっても適応可能である。特に、第1実施形
態はそれまでの露光で発生した熱がウエハホルダ全体に
万遍なく瞬時に伝わるモデルであるから、各式はそのま
ま使える。また、第2実施形態についても、基本的には
そのまま適応できる。
【0171】また、1ショット領域の露光による熱エネ
ルギを求めるにあたって、各層の露光前に光量センサ4
8を使用してウエハステージWSTに到達する露光光の
エネルギを検出したが、更に露光中においてウエハステ
ージWSTに到達した露光光のエネルギの変動を光量セ
ンサ53を使用して検出し、次のステッピングに反映す
ることもできる。
【0172】また、第2層以降の露光において、EGA
によって露光前におけるウエハW上のショット領域の配
列座標を求めて、この座標値から熱膨張を考慮したステ
ッピング量を求めたが、EGAの設計上のショット領域
の座標値を熱膨張を考慮したものとして、EGAによる
アライメントを行っても、従来に比べ高い重ね合わせ精
度を確保しつつ多層的な露光を行うことができる。
【0173】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、請求項1
〜請求項10に係る露光方法によれば、各区画領域の露
光にあたり、各区画領域の露光の際における感応基板の
熱膨張に応じて感応基板の露光位置を制御するので、露
光後の冷却状態において基板上でショット領域が所望の
間隔で並ぶような露光が可能となる。この結果、次層の
重ね合わせ精度の向上を図ることができるるとともに、
前層と重ね合わせ精度の良い露光ができる。
【0174】また、請求項12〜請求項16に係る露光
装置によれば、各区画領域の露光にあたり、各区画領域
の露光の際における感応基板の熱膨張に応じて感応基板
の露光位置を制御するので、露光後の冷却状態において
基板上でショット領域が所望の間隔で並ぶような露光が
可能となる。この結果、次層の重ね合わせ精度の向上を
図ることができるるとともに、前層と重ね合わせ精度の
良い露光ができる露光装置を提供することができる。
【0175】更に、請求項11又は請求項17に係るデ
バイスの製造方法によれば、本発明の露光方法及び露光
装置を利用するので、従来は製造が難しかった高集積度
のデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の露光装置の概略構成を示す図
である。
【図2】図1の装置の走査露光の原理を説明するための
図である。
【図3】第1の実施形態におけるショット領域の配列と
露光順序を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態の熱膨張モデルにおけるショッ
ト領域の配列ずれを説明するための図である。
【図5】第2の実施形態の熱膨張モデルにおけるショッ
ト領域の配列ずれを説明するための図である。
【図6】図5に示したショット領域の配列ずれにおい
て、ショット領域の行方向間隔の変化を示すグラフであ
る。
【図7】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説
明するためのフローチャートである。
【図8】図7のステップ204における処理のフローチ
ャートである。
【符号の説明】
19 ステージ制御系(同期移動制御装置;投影倍率
制御系の一部) 20 主制御装置(処理装置、演算装置) 21 ウエハ駆動装置(同期移動機構;投影倍率制御
系の一部) 68 結像特性補正コントローラ(結像特性制御機
構;投影倍率制御系の一部) 70 アライメント顕微鏡(位置検出系の一部) 72 画像処理装置(位置検出系の一部) R レチクル(マスク) RST レチクルステージ PL 投影光学系PL(投影倍率制御系の一部) W ウエハ(感応基板) WST ウエハステージ

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクに形成されたパターンを感応基板
    の複数の区画領域に順次転写する露光方法であって、 前記感応基板上の所定の区画領域を露光する際に、その
    時点の前記感応基板の熱膨張を考慮して直前の区画領域
    の露光位置から前記所定の区画領域の露光位置への前記
    感応基板の移動を行う第1工程と;前記所定の区画領域
    に対し前記マスクパターンを転写する第2工程とを含む
    露光方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程の処理に先立って、前記感
    応基板上に前記複数の区画領域とともに形成された複数
    の位置合わせマークの内の予め定めた特定の複数の位置
    合わせマークの位置を検出し、この検出結果に基づいて
    統計演算により前記感応基板上に形成された前記複数の
    区画領域の位置を求める第3工程を更に含み、 前記第1工程における前記感応基板の移動は、前記感応
    基板の熱膨張に基づいて前記第3工程の演算結果を補正
    した前記所定の区画領域の露光位置を目標として行われ
    ることを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
  3. 【請求項3】 前記第1工程における前記感応基板の熱
    膨張は、その層の露光において既に行われた露光により
    前記感応基板で発生した熱量に基づいて求められたもの
    であることを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
  4. 【請求項4】 前記感応基板の熱膨張は、その層におい
    て既に露光が行われた前記区画光領域の数を変数とする
    関数であるとして求められたものであることを特徴とす
    る請求項3に記載の露光方法。
  5. 【請求項5】 前記感応基板の熱膨張は、その層におい
    て既に行われた露光の内、これから行われる前記区画領
    域の露光に対して空間的かつ時間的に近い露光で発生し
    た熱量は前記感応基板の局所的な熱膨張に寄与し、空間
    的又は時間的に遠い露光で発生した熱量は前記感応基板
    全体の熱膨張に寄与するとして求められたものであるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の露光方法。
  6. 【請求項6】 第1工程の処理に先立って行われる、 測定用感応基板上の転写前における設計上の測定用区画
    領域の間隔にのみ基づいて、測定用マスクに形成された
    測定用パターンを前記測定用感応基板上の複数の複数の
    測定用区画領域に順次転写する第4工程と;前記測定用
    パターンが転写された前記測定用感応基板を転写前の温
    度に冷却し、前記測定用区画領域の相互間の距離を測定
    する第5工程と;前記第5工程における測定結果に基づ
    いて、露光時における前記感応基板の熱膨張を求める第
    6工程とを更に含む請求項1に記載の露光方法。
  7. 【請求項7】 前記区画領域の露光順序は、マトリクス
    状に配列された前記区画領域について、前記マトリクス
    の第1行方向で隣接する前記区画領域へ順次進み、前記
    第1行方向に隣接する前記区画領域が存在しない場合に
    前記マトリクスの列方向に沿って隣接する行へ進み、そ
    の後に前記第1行方向と逆方向である第2行方向へ進む
    順序であり、 同一の行方向に配列された前記区画領域の連続的な露光
    において、直前の区画領域の露光位置から前記所定の区
    画領域の露光位置への前記感応基板の移動量が、前記直
    前の区画領域の露光のための前記感応基板の移動量より
    も小さいことを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
  8. 【請求項8】 マトリクス状に配置された前記区画領域
    を順次露光するのにあたって、第N行(Nは自然数)の
    最後の区画領域から第(N+1)行の最初の区画領域に
    移動するときの前記感応基板の移動量に与えられる補正
    量は、第(N−1)行の最後の区画領域から第N行の最
    初の区画領域に移動するときの前記感応基板の移動量に
    与えられる補正量よりも大きいことを特徴とする請求項
    1又は7に記載の露光方法。
  9. 【請求項9】 前記マスクに形成された前記パターンの
    前記感応基板への転写は投影光学系を介して行われ、 前記感応基板の膨張量に応じて、前記パターンの像倍率
    を可変制御することを特徴とする請求項1に記載の露光
    方法。
  10. 【請求項10】 前記マスクに形成された前記パターン
    の前記感応基板への転写は前記マスクと前記感応基板と
    を同期移動させつつ行われ、 前記感応基板の膨張量に応じて、前記区画領域の露光に
    おける前記マスク及び前記感応基板の少なくとも一方の
    前記同期移動の開始位置及び前記マスクと前記感応基板
    との同期速度比を補正することを特徴とする請求項1に
    記載の露光方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかの露光方法
    を用いたことを特徴とするデバイス製造方法。
  12. 【請求項12】 マスクに形成されたパターンを感応基
    板の複数の区画領域に順次転写する露光装置であって、 前記感応基板上の所定の区画領域を露光する際におけ
    る、その時点の前記感応基板の熱膨張を考慮した直前の
    区画領域の露光位置から前記所定の区画領域の露光位置
    への前記感応基板の移動量情報を求める処理装置と;前
    記移動量情報に基づいて、前記感応基板を駆動して前記
    感応基板を露光位置に設定する駆動装置とを備える露光
    装置。
  13. 【請求項13】 前記感応基板上に前記複数の区画領域
    とともに形成された複数の位置合わせマークの内の予め
    定めた特定の複数の位置合わせマークの位置を検出する
    位置検出系と;前記位置検出系による検出結果に基づい
    て統計演算により前記感応基板上に形成された前記複数
    の区画領域の位置を求める演算装置とを更に備え、 前記処理装置は、前記感応基板の熱膨張に基づいて前記
    演算装置の演算結果を補正した前記所定の区画領域の露
    光位置を目標位置として前記感応基板の移動量を求める
    ことを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
  14. 【請求項14】 前記区画領域の露光順序は、マトリク
    ス状に配列された前記区画領域について、前記マトリク
    スの第1行方向で隣接する前記区画領域へ順次進み、前
    記第1行方向に隣接する前記区画領域が存在しない場合
    に前記マトリクスの列方向に沿って隣接する行へ進み、
    その後に前記第1行方向と逆方向である第2行方向へ進
    む順序であり、 前記移動量情報には、同一の行方向に配列された前記区
    画領域の連続的な露光において、直前の区画領域の露光
    位置から前記所定の区画領域の露光位置への前記感応基
    板の移動量が、前記直前の区画領域の露光のための前記
    感応基板の移動量よりも小さい情報が含まれることを特
    徴とする請求項12に記載の露光装置。
  15. 【請求項15】 前記感応基板の熱膨張に応じて、前記
    マスクに形成されたパターンの前記感応基板上での像倍
    率を可変制御する投影倍率制御系を更に備える請求項1
    2に記載の露光装置。
  16. 【請求項16】 前記投影倍率制御系は、 前記区画領域の露光にあたって、前記マスクと前記感応
    基板とを同期移動させる同期移動機構と、 前記感応基板の膨張量に応じて、前記区画領域の露光に
    おける前記マスク及び前記感応基板の少なくとも一方の
    前記同期移動の開始位置及び前記マスクと前記感応基板
    との同期速度比を制御する同期移動制御機構とを備える
    請求項15に記載の露光装置。
  17. 【請求項17】 請求項12〜16のいずれかの露光装
    置を用いたことを特徴とするデバイスの製造方法。
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