JPH1118469A - 電動機のディジタル電流制御装置 - Google Patents

電動機のディジタル電流制御装置

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JPH1118469A
JPH1118469A JP9167776A JP16777697A JPH1118469A JP H1118469 A JPH1118469 A JP H1118469A JP 9167776 A JP9167776 A JP 9167776A JP 16777697 A JP16777697 A JP 16777697A JP H1118469 A JPH1118469 A JP H1118469A
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正人 小山
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鉄明 長野
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清介 堤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動機のディジタル電流制御装置では、高速
応答の電流制御性能を得るために、応答周波数を高く設
定すると、ステップ応答のオーバーシュートが増加する
という課題があった。 【解決手段】 フィードフォワード信号演算部5は、電
流指令Ia* を入力し、1サンプリング周期前の電流指
令をモデル電流Iamとして出力すると共に、モデル電
圧信号Vamを出力する。電流制御器7は、電動機1の
1次電流Iaとモデル電流信号Iamとの偏差を入力
し、補償電圧信号Va1を出力する。PWMチョッパ3
は、モデル電圧信号Vamと補償電圧信号とを加算して
得られた1次電圧指令Va* に電動機1の1次電圧Va
が一致するように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動機の1次電
流を高速応答に制御する電動機のディジタル電流制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図16は従来の電動機のディジタル電流
制御装置を示す構成図である。図において、1は直流電
動機、2は直流電動機1の1次電流(電機子電流)Ia
を検出する電流検出器、3は直流電動機1に印加される
1次電圧(電機子電圧)Vaを制御するPWMチョッ
パ、6は電流指令発生器10から出力された1次電流指
令(電機子電流指令)Ia* と電流検出器2から検出さ
れた実際の1次電流Iaの偏差を求める減算器、7は減
算器6からの偏差を入力し1次電圧指令(電機子電圧指
令)Va* を出力する電流制御器である。
【0003】次に動作について説明する。まず電流指令
発生器10から出力された1次電流指令Ia* と、電流
検出器2から出力された実際の1次電流Iaとの電流偏
差が減算器6によって求められる。次にこの電流偏差を
電流制御器7に入力すると、1次電圧指令Va* が出力
され、さらにPWMチョッパ3によって、直流電動機1
に印加される1次電圧Vaが上記1次電圧指令Va*
一致するように制御される。以上の動作により、直流電
動機1の1次電流Iaが1次電流指令Ia* に追従する
ようにフィードバック制御される。
【0004】次に図17は図16の構成による電流フィ
ードバック制御系のブロック図である。図17の直流電
動機1において、Laは1次インダクタンス(電機子イ
ンダクタンス)、Raは1次抵抗(電機子抵抗)、Kt
はトルク定数、Keは誘起電圧係数、Jmは慣性モーメ
ント、τM は発生トルク、τL は負荷トルク、ωM は回
転速度である。また、Kp、Kiはそれぞれ電流制御器
7の比例ゲイン及び積分ゲインである。さらに、PWM
チョッパ3による電圧制御応答は、電流制御応答と比較
して十分速いと仮定して、その伝達関数を1とした。こ
こで、直流電動機1の回転速度ωM を検出し、直流電動
機1内の実線で示した誘起電圧Veの補償の代わりに、
破線で示したように、誘起電圧Veのフィードフォワー
ド補償を行う場合、1次電圧Vaと1次電流Iaとの間
には次式が成立し、誘起電圧Veの影響を受けない。 Ia=Va・1/(LaS+Ra) ・・・(1)
【0005】なお、1次電流Iaと発生トルクτM は比
例するが、発生トルクτM を積分した信号が回転速度ω
M となるため、Iaを急変させてもωM は急変しない。
そこで、電流制御の応答を考える場合は、回転速度ωM
は一定、すなわち誘起電圧Veは一定と見なしても差し
支えない。このときは、ωM を検出して誘起電圧補償を
行わなくても、電流制御器7の積分器(ゲインKi)に
より、誘起電圧補償が可能である。従って、電流制御の
応答を調べる場合は、ωM を検出して誘起電圧補償を行
わなくても、(1)式が成り立つと考えて差し支えがな
い。
【0006】ところで、図17はアナログ電流制御系の
ブロック図を示しているが、従来の電動機のディジタル
電流制御装置では、マイクロコンピュータにより、サン
プリング周期毎に上記の電流制御演算を行い、1次電圧
指令Va* を出力する。そのため、制御が離散値的に行
われる。そこで、このディジタル電流制御系のブロック
図は図18のようになる。図において、Tはサンプリン
グ周期であり、サンプリング周期ごとにサンプラのスイ
ッチを閉じ離散値的に制御を行う。零次ホールドH
(s)は、読み込んだ値を次のサンプリングまで保持す
る伝達関数である。Tdはマイクロコンピュータの演算
時間に起因する無駄時間(演算無駄時間)である。ま
た、上述したように(1)式が成り立つと仮定する。
【0007】次に、マイクロコンピュータで実行される
電流制御の比例ゲインと積分ゲインを持ったPI(比例
積分)演算式は次式となる。 ΔI(n)=Ia* (n)−Ia(n) ・・・(2a) Vp(n)=Kp・ΔI(n) ・・・(2b) Vi(n)=Vi(n−1)+T・Ki・ΔI(n) ・・・(2c) Va* (n)=Vp(n)+Vi(n) ・・・(2d) ここで、Vpは比例補償電圧、Viは積分補償電圧であ
り、x(n)はn番目のサンプリング値を示す。
【0008】さらに、Z変換を用いて(2)式を変換す
ると次式が得られる。 Vp=Kp・ΔI ・・・(3a) Vi=Z-1・Vi+T・Ki・ΔI ・・・(3b) Va* =Vp+Vi ・・・(3c) (3)式から、ΔIとVa* の関係を求めると次式が得
られる。 Va* =(b1Z−b0)・ΔI/(Z−1) ・・・(4) ただし、 b1=Kp+T・Ki、b0=Kp ・・・(5) 図18では、電流制御器7の伝達関数として(4)式を
用いている。
【0009】次に、電流制御器の比例ゲインKp及び積
分ゲインKiの値は、通常、次式を用いて設定される。 Kp=La・ωcc、 Ki=ωpi・Kp ・・・(6) ここで、ωccは電流制御系の応答周波数(rad/
s)、ωpiは比例ゲインKpに対する積分ゲインKi
の比を示す周波数であり、ここでは、PI折れ点周波数
(rad/s)と呼ぶ。なお、通常ωpiの値はωcc
の値の1/3以下となるように設定される。
【0010】次に、従来の電動機のディジタル電流制御
装置における電流の応答波形のシミュレーション結果を
図20に示す。なお、シミュレーションは、より実際に
近いディジタル電流制御装置を模擬するために、図18
に、図19のPWMチョッパを付加したブロック図を用
いている。すなわち、図19において、三角波キャリア
信号Scと、1次電圧指令信号Va* 及びVa* と極性
が異なる−Va* 信号との振幅比較が行われる。その結
果、公知のように、パルス幅がVa* の振幅に比例し、
極性がVa* の極性と等しい矩形波電圧が1次電圧Va
として出力される。なお、矩形波電圧の振幅は、PWM
チョッパの直流電源電圧Eと一致する。
【0011】図20のシミュレーションでは、PWMチ
ョッパ部の三角波キャリア信号Scの周波数は5kHz
とし、電流制御演算タイミングは三角波キャリア信号の
ピークタイミングと同期させている。すなわち、サンプ
リング周波数は10kHz(周期:100μs)とな
る。また、演算無駄時間Tdの値は20μsとした。さ
らに、La=1.9mH、Ra=0.39Ω(1.1k
WのDCサーボモータの定数値)とした。
【0012】さて、図20には、ωcc=5000(r
ad/s)、ωpi=1250(rad/s)となるよ
うに(6)式を利用して、電流制御器のゲイン設定を行
った場合の1次電流指令Ia* のステップ変化に対する
1次電流Iaの応答波形と、ωcc=10000(ra
d/s)、ωpi=2500(rad/s)となるよう
にゲイン設定を行った場合の応答波形が示されている。
なお、Iaの波形はサンプリング周期毎にマイクロコン
ピュータによって検出された電流値を表している。その
ため、Iaの値はサンプリング周期T(=100μs)
毎に値が変化する。
【0013】この図から、ωccの値を大きくした方が
電流制御の応答は速くなるが、オーバーシュートが増加
することがわかる。また、ωcc=10000(rad
/s)、ωpi=2500(rad/s)の場合は、最
初の1サンプリング周期の間に、1次電流Iaが1次電
流指令Ia* を越えてしまっており、これ以上、応答周
波数ωccを上げても、オーバーシュートが増加するだ
けで、応答を速くできないことがわかる。ωcc=50
00(rad/s)、ωpi=1250(rad/s)
の場合も、4サンプリング後の500μs付近で1次電
流指令Ia* を越えているが、この場合は積分補償でコ
ントロール可能である。
【0014】電流制御器としてPI制御器を使用した他
の従来例として、イーピーイー95(ヨーロッパ・パワ
ー・エレクトロニクス・コンファレンス 1995年9
月{EPE’95(Europe Power E1e
ctronics Conference、1995/
9)})の国際会議で配布された資料第3巻005〜0
10頁第4図(第6図)(Vol.3、P005〜01
0、Fig4(Fig6))に示されたものがある。こ
れはPI制御器に1次電流指令Is1* と1次電流Is
1の差を入力し、比例ゲインと積分ゲインにより補償電
圧を生成し、Stator mode1からの出力電圧
と加算することにより、1次指令電圧を生成し、フィー
ドフォワード制御を行っている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来の電動機のディジ
タル電流制御装置では、高速応答の電流制御性能を得る
ために、応答周波数を高く設定すると、図20に示した
ように、ステップ応答のオーバーシュートが増加すると
いう課題があった。そこで、オーバーシュートを低減し
ようとすると応答周波数を低くしなければならず、結果
的にトルク制御応答が低下するという課題が生じる。さ
らに、電動機の速度制御や位置制御を行う場合は、通
常、電流制御ループがマイナーループとして用いられる
ため、速度制御や位置制御の高速応答化を図ろうとする
と、電流制御応答はできる限り高い方が望ましい。
【0016】電流制御のステップ応答のオーバーシュー
トを低減するための他の対策として、サンプリング周波
数を高くする方法があるが、サンプリング周期が短くな
るため、高速演算が可能なマイクロコンピュータが必要
であり、制御回路のH/Wコストが増加するという課題
が生じる。さらに、サンプリング周波数を高くするため
には、キャリア周波数も合わせて高くする必要がある
が、PWMチョッパに使用されるIGBTなどの半導体
スイッチング素子のスイッチング周波数が高くなり、ス
イッチング損失が増加するなどの課題も発生する。
【0017】また上記EPE’95の配布資料に記載さ
れたフィードフォワード制御についても、PI制御器の
積分ゲインの影響で、オーバーシュートを生じてしまう
という課題があった。
【0018】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、ステップ応答のオーバーシュート
を生じることなく、かつ高速応答の電流制御が可能な電
動機のディジタル電流制御装置を得ることを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る電動機のディジタル電流制御装置は、電動機の1次電
流をサンプリング周期毎にフィードバック制御するもの
において、1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入
力し、1サンプリング周期前の1次電流指令をモデル電
流として出力すると共に、上記モデル電流の時間変化率
に比例したモデル電圧とを出力するフィードフォワード
信号演算手段と、上記モデル電流と上記1次電流との偏
差を入力して補償電圧を出力する電流制御手段と、上記
補償電圧と上記モデル電圧とを加算して1次電圧指令を
出力する加算手段と、上記電動機の1次電圧が上記1次
電圧指令と一致するように制御する電圧制御手段とを備
えたものである。
【0020】請求項2記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、電動機の1次電流をサンプリング
周期毎にフィードバック制御するものにおいて、1次電
流指令を上記サンプリング周期毎に入力し、1サンプリ
ング周期前の1次電流指令をモデル電流として出力する
と共に、上記モデル電流の時間変化率に比例したモデル
電圧とを出力するフィードフォワード信号演算手段と、
上記モデル電流と上記1次電流との偏差を入力して補償
電圧を出力する電流制御手段と、上記1次電流指令を上
記サンプリング周期毎に入力し、上記電動機の1次抵抗
による電圧降下を演算し、1次抵抗電圧として出力する
1次抵抗電圧演算手段と、上記モデル電圧と上記補償電
圧と上記1次抵抗電圧とを加算して1次電圧指令を出力
する加算手段と、上記電動機の1次電圧が上記1次電圧
指令と一致するように制御する電圧制御手段とを備えた
ものである。
【0021】請求項3記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、電動機の1次電流をサンプリング
周期毎にフィードバック制御するものにおいて、1次電
流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期毎に入
力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記サンプ
リング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例
補償電圧と、上記1次電流と1サンプリング周期前の1
次電流指令との差に基づき積分して得られた積分補償電
圧とを、加算して1次電圧指令として出力する電流制御
手段と、上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一
致するように制御する電圧制御手段とを備えたものであ
る。
【0022】請求項4記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、電動機の1次電流をサンプリング
周期毎にフィードバック制御するものにおいて、1次電
流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期毎に入
力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記サンプ
リング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例
補償電圧と、上記1次電流と1サンプリング周期前の1
次電流指令との差に基づき積分して得られた積分補償電
圧とを、加算して補償電圧として出力する電流制御手段
と、上記1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入力
し、上記電動機の1次抵抗による電圧降下を演算し、1
次抵抗電圧として出力する1次抵抗電圧演算手段と、上
記補償電圧と上記1次抵抗電圧とを加算して1次電圧指
令を出力する加算手段と、上記電動機の1次電圧が上記
1次電圧指令と一致するように制御する電圧制御手段と
を備えたものである。
【0023】請求項5記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、電動機の1次電流をサンプリング
周期毎にフィードバック制御するものにおいて、1次電
流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期毎に入
力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記サンプ
リング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例
補償電圧と、上記1次電流指令と上記1次電流との差に
基づき積分して得られた1サンプリング周期前の積分補
償電圧とを、加算して1次電圧指令として出力する電流
制御手段と、上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令
と一致するように制御する電圧制御手段とを備えたもの
である。
【0024】請求項6記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、電動機の1次電流をサンプリング
周期毎にフィードバック制御するものにおいて、1次電
流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期毎に入
力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記サンプ
リング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例
補償電圧と、上記1次電流指令と上記1次電流との差に
基づき積分して得られた1サンプリング周期前の積分補
償電圧とを、加算して補償電圧として出力する電流制御
手段と、上記1次電流指令を上記サンプリング周期毎に
入力し、上記電動機の1次抵抗による電圧降下を演算
し、1次抵抗電圧として出力する1次抵抗電圧演算手段
と、上記補償電圧と上記1次抵抗電圧とを加算して1次
電圧指令を出力する加算手段と、上記電動機の1次電圧
が上記1次電圧指令と一致するように制御する電圧制御
手段とを備えたものである。
【0025】請求項7記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、交流電動機の1次電流を回転子磁
束ベクトルに同期して回転する回転座標軸上のd軸電流
及びq軸電流に分解し、サンプリング周期ごとにフィー
ドバック制御するものにおいて、q軸電流指令を上記サ
ンプリング周期ごとに入力し、1サンプリング周期前の
q軸電流指令をモデルq軸電流として出力すると共に、
上記モデルq軸電流の時間変化率に比例したモデルq軸
電圧とを出力するフィードフォワード信号演算手段と、
上記モデルq軸電流と上記q軸電流との偏差を入力して
補償電圧を出力するq軸電流制御手段と、上記q軸モデ
ル電圧と上記補償電圧とを加算してq軸電圧指令を出力
する加算手段と、d軸電流指令と上記d軸電流の偏差を
入力してd軸電圧指令を出力するd軸電流制御手段と、
上記交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分が、それ
ぞれ上記d軸電圧指令及び上記q軸電圧指令と一致する
ように制御する電圧制御手段とを備えたものである。
【0026】請求項8記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、交流電動機の1次電流を回転子磁
束ベクトルに同期して回転する回転座標軸上のd軸電流
及びq軸電流に分解し、サンプリング周期ごとにフィー
ドバック制御するものにおいて、q軸電流指令と上記q
軸電流の偏差をサンプリング周期毎に入力し、上記交流
電動機の1次インダクタンス値を上記サンプリング周期
で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例補償電圧
と、上記q軸電流と1サンプリング周期前のq軸電流指
令との差に基づき積分して得られた積分補償電圧とを、
加算してq軸電圧指令として出力するq軸電流制御手段
と、d軸電流指令と上記d軸電流の偏差を入力してd軸
電圧指令を出力するd軸電流制御手段と、上記交流電動
機の1次電圧のd軸及びq軸成分が、それぞれ上記d軸
電圧指令及び上記q軸電圧指令と一致するように制御す
る電圧制御手段とを備えたものである。
【0027】請求項9記載の発明に係る電動機のディジ
タル電流制御装置は、交流電動機の1次電流を回転子磁
束ベクトルに同期して回転する回転座標軸上のd軸電流
及びq軸電流に分解し、サンプリング周期ごとにフィー
ドバック制御するものにおいて、q軸電流指令と上記q
軸電流の偏差をサンプリング周期毎に入力し、上記交流
電動機の1次インダクタンス値を上記サンプリング周期
で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例補償電圧
と、上記q軸電流指令と上記q軸電流指令との差に基づ
き積分して得られた1サンプリング周期前の積分補償電
圧とを、加算してq軸電圧指令として出力するq軸電流
制御手段と、d軸電流指令と上記d軸電流の偏差を入力
してd軸電圧指令を出力するd軸電流制御手段と、上記
交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分が、それぞれ
上記d軸電圧指令及び上記q軸電圧指令と一致するよう
に制御する電圧制御手段とを備えたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による電
動機のディジタル電流制御装置を示す構成図である。図
1において、1は直流電動機(電動機)、2は電流検出
器、3はPWMチョッパ(電圧制御手段)、4はマイク
ロコンピュータ、10は電流指令発生器である。なお、
マイクロコンピュータ4の演算内容をハードウェア的に
表現すると、フィードフォワード信号演算部(フィード
フォワード信号演算手段)5、減算器6、電流制御器
(電流制御手段)7、加算器(加算手段)8に分けられ
る。実際は後述するように全てソフトウェア処理され
る。
【0029】実施の形態1の動作を説明する前に、この
発明における電流の制御原理を、図2を参照しながら説
明する。図2は図1の構成による電流フィードバック制
御系のブロック図である。まず図18と同様に、直流電
動機の誘起電圧Veを一定と見なすと、(1)式が成り
立つ。また、電流制御器7は従来装置と同様に、比例ゲ
インと積分ゲインを持ったPI制御器とし、その伝達関
数は(4)式で示されるものとする。さらに、1次抵抗
Raを無視した直流電動機の伝達関数を、Z変換を用い
て表現すると次式となる。 Ia=T・Va/La(Z−1) ・・・(7)
【0030】そこで、(7)式を直流電動機モデルの伝
達関数とし、この直流電動機モデルを制御対象としたフ
ィードバック制御系を構成し、かつ、直流電動機モデル
に対し制御を行う制御器を、比例ゲインがKp1のP制
御器とすると、このフィードバック制御系の閉ループ伝
達関数は次式となる。 Iam/Ia* =(T・Kp1/La)/(Z+T・Kp1/La−1) ・・・(8) ここで、Iamは直流電動機モデルから出力されるモデ
ル電流である。
【0031】次に制御器の比例ゲインKp1の値を、L
a/Tに等しく設定すると、(8)式から次式が得られ
る。 Iam=Z-1・Ia* ・・・(9) Z変換の定義から、(9)式はモデル電流Iamが1次
電流指令Ia* を1サンプリング周期分遅延させた信号
となることを示している。その結果、直流電動機モデル
を制御対象としたフィードバック制御系から出力される
モデル電流は、指令値の変化に対し、1サンプリング周
期遅れで追従し、オーバーシュートが生じないデッドビ
ート応答を示す。さらに、モデル電流をデッドビート応
答させるために必要な電圧は上記制御器の出力となる。
【0032】従って、上記制御器の出力信号として得ら
れるモデル電圧信号を直流電動機に印加すれば、直流電
動機の1次電流も1次電流指令の変化に対し、デッドビ
ート応答することがわかる。図2は、このような制御原
理に基づいて構成されたディジタル電流制御系のブロッ
ク図である。なお、電流制御器7は、定常状態におい
て、1次抵抗による電圧降下分や誘起電圧、及びPWM
チョッパ3による電圧出力誤差などによって生じる定常
電流偏差を無くすために用いられる。
【0033】ここで、図2と図18とを比較すると、本
制御系は従来のディジタル電流制御系にフィードフォワ
ード信号演算部5を付加した構成となっていることがわ
かる。ここで、電流制御器7には、フィードフォワード
信号演算部5から出力されたモデル電流Iamと直流電
動機の1次電流Iaの偏差が入力されるが、モデル電流
Iamは上述したように1次電流指令Ia* を1サンプ
リング周期遅らせた信号、すなわち1サンプリング周期
前の1次電流指令Ia* である。そのため、1次電流指
令Ia* がステップ変化した場合、ステップ変化した直
後の1サンプリング周期の間はモデル電流Iamは変化
しない。その結果、ステップ変化した直後の1サンプリ
ング周期の間は、上記電流偏差は0となり電流制御器の
出力も0となる。
【0034】一方、フィードフォワード信号演算部5か
らは、1次電流指令Ia* がステップ変化した直後の1
サンプリング周期の間に、モデル電流Iamを1次電流
指令Ia* に一致させるために必要なモデル電圧Vam
が出力される。そこで、上記電流制御器7の出力信号V
a1と上記モデル電圧信号Vamとを加算して1次電圧
指令Va* を求め、さらに、PWMチョッパ3により直
流電動機1の1次電圧Vaが1次電圧指令Va* に一致
するように制御すれば、モデル電圧Vamが直流電動機
1に印加される。その結果、1次電流指令Ia* のステ
ップ変化時刻から1サンプリング周期後に、直流電動機
1の1次電流Iaは1次電流指令Ia*と一致すること
がわかる。
【0035】この実施の形態は上記の制御原理により電
流制御を行うものである。図3に、この実施の形態1に
よる電動機のディジタル電流制御装置における電流の応
答波形のシミュレーション結果を示す。シミュレーショ
ンには、図2に図19のPWMチョッパを付加したブロ
ック図を用いている。ここで、PWMチョッパの三角波
キャリア信号の周波数、電流制御演算タイミングや直流
電動機の定数などは、全て図20に示された従来装置の
シミュレーション結果を求めたときの値と同じ値とし
た。なお、電流制御器の比例ゲインKp及び積分ゲイン
Kiの値は、ωcc=10000(rad/s)、ωp
i=1250(rad/s)となるように(6)式を用
いて設定した。図3から、直流電動機の1次電流Ia
は、1次電流指令Ia* の変化に対し、1サンプリング
周期遅れで、かつオーバーシュートを生じずに追従して
おり、目標とするデッドビート応答が得られていること
がわかる。なお、Iaの波形は、図20の場合と同様
に、マイクロコンピュータによって検出された電流値を
表している。
【0036】ここで、PWMチョッパによる電圧制御特
性を図4を参照しながら、もう少し詳しく調べて見る。
図4において、電流検出タイミングは三角波キャリア信
号の山に一致したタイミング(図中のA点)と谷に一致
したタイミング(図中のB点)のいずれかとしている。
従って、マイクロコンピュータの演算無駄時間Tdによ
って、電流検出タイミングからTdだけ遅れて1次電圧
指令Va* が出力されるものとすると、図中の斜線で示
した範囲に1次電圧指令Va* が含まれれば、PWMチ
ョッパは演算無駄時間Tdの影響を受けず、指令どおり
の電圧を出力できる。図3のシミュレーション結果は、
1次電圧指令Va* が上記斜線領域に含まれる場合の結
果であり、20μsの演算無駄時間Tdの影響を受ける
ことなくデッドビート応答が得られている。
【0037】次に動作について説明する。図5はこの発
明の実施の形態1による動作を示すフローチャートであ
る。マイクロコンピュータ4は、PWMチョッパ3で用
いられる三角波キャリア信号のピークタイミングに同期
して、図5のフローチャートに従って演算を行う。ま
ず、ステップST1では、電流指令発生器10から出力
された1次電流指令Ia* 及び電流検出器2から出力さ
れた直流電動機1の1次電流Iaの値をそれぞれ読み込
む。次に、ステップST2では、1次電流指令Ia*
1サンプリング前のモデル電流Iamの偏差を求め、K
p1倍することによりモデル電圧Vamを求める。つづ
いて、ステップST3で1サンプリング前のモデル電流
Iamと1次電流Iaの偏差ΔIを求め、ステップST
4で(2)式のPI演算を行い、補償電圧Va1を求め
る。
【0038】次にステップST5で、ステップST2で
求められたモデル電圧VamとステップST4で求めら
れた補償電圧Va1とを加算し、1次電圧指令Va*
求める。さらに、ステップST6でステップST2で求
められたモデル電圧Vamを入力とする積分演算を行
い、モデル電流Iamを求め、ステップST7で、ステ
ップST5で求められた1次電圧指令Va* をPWMチ
ョッパ3に出力する。すると、PWMチョッパ3により
1次電圧指令Va* に一致した1次電圧Vaが出力さ
れ、直流電動機1に印加される。ここで、比例ゲインK
p1の値をLa/Tの値に一致させると、1次電流指令
Ia* がステップ変化した場合、モデル電流Iamは1
サンプリング周期遅れでIa* に追従するデッドビート
応答を示す。その結果、直流電動機1の1次電流Iaの
応答もデッドビート応答となり、オーバーシュートを生
じることなく、1次電流指令Ia* に追従する。なおL
aの値は直流電動機1のデータとして、マイクロコンピ
ュータ4が保有している。
【0039】ここで、ステップST2及びステップST
6の演算処理が、図1のフィードフォワード信号演算部
5に相当する。また、ステップST3、ステップST
4、ステップST5の演算処理がそれぞれ、図1の減算
器6、電流制御器7及び加算器8に相当する。なお、ス
テップST6で示されたモデル電流Iamの演算処理
を、ステップST3の電流偏差ΔIの演算処理の後で実
行するのは、ステップST3で1サンプリング周期前の
モデル電流Iamを用いて電流偏差ΔIを求めるためで
ある。すなわち、ステップST6の演算をステップST
3の演算の後で実行することによって、ステップST4
の電流制御演算には、1次電流指令Ia* を1サンプリ
ング周期分遅らせたモデル電流Iamが使用されること
になる。
【0040】ところで、(7)式及び(8)式を用いる
と、モデル電圧Vamは次式で示されることがわかる。 Vam=La(Ia* −Iam)/T ・・・(10) 従って、(9)式及び(10)式を用いて、フィードフ
ォワード信号の演算を行っても良い。この場合は、図5
において、ステップST2で(10)式の演算を行い、
ステップST6で(9)式の演算を行えば良い。ここ
で、(Ia* −Iam)/Tはモデル電流Iamの時間
変化率を表す。なおVamの値は、上記(10)式の右
辺に適当な定数を乗算したものでも良い。この定数によ
りデッドビートの応答性が変化する。このようにこのモ
デル電圧Vamは、モデル電流Iamの時間変化率に比
例したものであれば良い。
【0041】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、フィードフォワード信号演算部5が、1サンプリン
グ周期前の1次電流指令をモデル電流指令として出力す
ると共に、そのモデル電流の時間変化率に比例したモデ
ル電圧とを出力し、電流制御器7が、モデル電流と電動
機の1次電流との偏差を入力して補償電圧を出力し、加
算器8が補償電圧とモデル電圧とを加算して1次電圧指
令を出力し、PWMチョッパ3が、1次電圧指令に電動
機の1次電圧を一致させるように制御することにより、
上記電動機の1次電流は、1次電流指令の変化に対し1
サンプリング周期遅れで、オーバーシュートを生じるこ
となく追従するようになり、いわゆるデッドビート応答
が得られて、高速の電流制御応答を得ることができると
いう効果が得られる。
【0042】実施の形態2.図6はこの発明の実施の形
態2による電動機のディジタル電流制御装置を示す構成
図である。図において、直流電動機1の1次抵抗による
電圧降下を演算する1次抵抗電圧演算器9が、実施の形
態1の図1に追加されており、1次抵抗電圧演算器9
は、1次電流指令Ia* をもとに直流電動機1の1次抵
抗による過渡的な電圧降下を演算し、演算結果を加算器
8へ出力している。なお1次抵抗Raの値は直流電動機
1のデータとして、マイクロコンピュータ4が保有して
いる。なお実施の形態1で示したように、電流制御器7
も1次抵抗による電圧降下分を演算するが、これは定常
的な電圧降下を演算するものである。
【0043】また図7は図6の構成による電流フィード
バック制御系のブロック図である。実施の形態2を説明
する前に、このディジタル電流制御装置の制御原理につ
いて説明する。まず、(1)式から次式が得られる。 Va=La・dIa/dt+Ra・Ia ・・・(11) ここで、1次電流Iaを1次電流指令Ia* の変化に対
し、1サンプリング周期遅れでデッドビート応答させる
場合、Iaの時間変化率dIa/dtの値はIa0/T
となるので、必要な1次電圧Vaは次式となる。 Va=(La/T+Ra)・Ia0 ・・・(12) ここで、Ia0は1次電流指令のステップ変化幅であ
る。
【0044】さて、実施の形態1における図3のシミュ
レーション時の直流電動機の定数は、La=1.9m
H、Ra=0.39Ωであり、サンプリング周期T=1
00μsである。この場合は、Ra/(La/T)の値
は、0.02となり、1次抵抗Raによる電圧降下分は
無視できる。しかし、例えば、サンプリング周期Tの値
が1msの場合は、Ra/(La/T)の値は0.2と
なり、印加された1次電圧の20%が1次抵抗Raによ
る電圧降下分となり、実施の形態1に記載されたディジ
タル電流制御装置では、1次電流Iaの正確なデッドビ
ート応答が得られない。そこで、1次抵抗Raによる電
圧降下分の影響を受けずに1次電流Iaのデッドビート
応答を実現するためには、この電圧降下分を補償する必
要がある。実施の形態2に係る電流制御装置は、上記の
原理に基づいて、実施の形態1に係る装置に1次抵抗に
よる電圧降下分の補償手段を付加したものである。
【0045】次に動作について説明する。図8はこの発
明の実施の形態2による動作を示すフローチャートであ
る。図において、まずステップST1〜ステップST4
の演算内容は、上述した実施の形態1のものと同一であ
るので説明を省略する。ステップST4aでは、ステッ
プST1で読み込まれた1次電流指令Ia* と直流電動
機1の1次抵抗Raとを乗算し、1次抵抗による電圧降
下分Va2を求める。次に、ステップST5aでステッ
プST2で求められたモデル電圧VamとステップST
4で求められた補償電圧Va1とステップST4aで求
められた1次抵抗電圧Va2を加算し、1次電圧指令V
* を求める。
【0046】さらに、ステップST6でステップST2
で求められたモデル電圧Vamを入力とする積分演算を
行い、モデル電流Iamを求め、ステップST7でステ
ップST5aで求められた1次電圧指令Va* をPWM
チョッパ3に出力する。すると、PWMチョッパ3によ
り1次電圧指令Va* に一致した1次電圧Vaが出力さ
れ、直流電動機1に印加される。ここで、比例ゲインK
p1の値をLa/Tの値に一致させると、1次電流指令
Ia* がステップ変化した場合、モデル電流Iaは1サ
ンプリング周期遅れでIa* に追従するデッドビート応
答を示す。その結果、直流電動機1の1次電流Iaの応
答もデッドビート応答となり、オーバーシュートを生じ
ることなく、1次電流指令Ia* に追従する。
【0047】なお、ステップST4aの1次抵抗電圧V
a2の演算においては、1次電流Iaの代わりに1次電
流指令Ia* を用いる必要がある。この理由は、例えば
初期値が0の状態からIa* がステップ変化した場合、
ステップ変化直後のサンプリングタイミングに検出され
た1次電流Iaの値は0である。そのため、Iaを用い
て1次抵抗電圧Va2の演算を行うとVa2=0とな
り、1次抵抗による電圧降下分を補償するために必要な
電圧が得られないからである。上記ステップの中で、ス
テップST2及びステップST6の演算がフィードフォ
ワード信号演算部5、ステップST3及びステップST
4の演算が電流制御器7、ステップST4aの演算が1
次抵抗電圧演算器9、ステップST5aの演算が加算器
8にそれぞれ相当する。
【0048】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、フィードフォワード信号演算部5が、1サンプリン
グ周期前の1次電流指令をモデル電流指令として出力す
ると共に、そのモデル電流の時間変化率に比例したモデ
ル電圧とを出力し、電流制御器7が、モデル電流と電動
機の1次電流との偏差を入力して補償電圧を出力し、1
次抵抗電圧演算器9が、1次電流指令に基づき電動機の
1次抵抗による電圧降下分の1次抵抗電圧を演算し、加
算器8がモデル電圧と補償電圧と1次抵抗電圧とを加算
して1次電圧指令を出力し、PWMチョッパ3が、1次
電圧指令に電動機の1次電圧を一致させるように制御す
ることにより、電動機の1次電流は、1次電流指令の変
化に対し1サンプリング周期遅れで、オーバーシュート
を生じることなく追従するようになり、電動機の1次抵
抗による電圧低下の影響を受けることなく、より正確な
いわゆるデッドビート応答が得られて、高速の電流制御
応答を得ることができるという効果がある。
【0049】実施の形態3.この発明の実施の形態3を
説明する前に、このディジタル電流制御装置の制御原理
について説明する。上述したように電流制御系の応答を
調べる場合、誘起電圧Veは一定と見なすことができる
ので、直流電動機の伝達関数は(1)式となる。ここ
で、実施の形態2で説明したように、1次抵抗電圧Va
2のフィードフォワード補償を行うと、(1)式中のR
aが0となり、見掛け上、直流電動機は単なるリアクト
ル負荷となる。そこで、従来のディジタル電流制御装置
において、電流制御器を積分ゲインのないP制御器と
し、その比例ゲインKpの値をLa/Tに一致させる
と、フィードフォワード信号演算部5を用いなくても、
1次電流Iaは1次電流指令Ia* の変化に対し、デッ
ドビート応答を示す。
【0050】しかし、誘起電圧やPWMチョッパによる
電圧出力誤差などによって生じる定常電流偏差を無くす
ためには、積分要素を持ったPI演算形の電流制御器が
必要である。この場合1次電流指令Ia* がステップ変
化すると、積分要素の出力電圧が比例要素の出力電圧に
加算されるため、1次電流Iaをデッドビート応答させ
るために必要な電圧(すなわち、比例要素の出力)より
大きい電圧が直流電動機1に印加される。その結果、1
次電流Iaのステップ応答にはオーバーシュートが生
じ、目標とするデッドビート応答が得られない。
【0051】そこでこの課題を解決するためには、1次
電流指令Ia* と1次電流Iaの偏差ΔIを用いて比例
演算を行い、Ia* を1サンプリング周期遅延させた信
号Ia1* とIaの偏差ΔI1を用いて積分演算を行え
ば良い。この場合は、Ia*がステップ変化した直後の
1サンプリング周期間はIa1* =0となり、電流制御
器7中の積分要素の出力電圧も0となる。その結果、I
* がステップ変化した直後の1サンプリング周期間
は、比例要素の出力電圧のみが補償電圧として直流電動
機に印加されるので、1次電流Iaのデッドビート応答
が実現できる。
【0052】この発明の実施の形態3に記載されたディ
ジタル電流制御装置は、上記の制御原理に基づいて1次
電流Iaを制御するものである。図9はこの発明の実施
の形態3による電動機のディジタル電流制御装置を示す
構成図である。また図10は図9の構成による電流フィ
ードバック制御系のブロック図である。この構成は、マ
イクロコンピュータ4の演算内容を除き、実施の形態2
の図6及び図7からフィードフォワード信号演算部5を
除いたものである。
【0053】次に動作について説明する。図11はこの
発明の実施の形態3の動作を示すフローチャートであ
る。マイクロコンピュータ4は、PWMチョッパ3で用
いられる三角波キャリア信号のピークタイミングに同期
して、図11のフローチャートに従って演算を行う。
【0054】まずステップST10では、電流指令発生
器10から出力された1次電流指令Ia* 、及び電流検
出器2から出力された直流電動機1の1次電流Iaの値
をそれぞれ読み込む。次にステップST11では、1次
電流指令Ia* と1次電流Iaの偏差ΔIを求め、ステ
ップST12でこの偏差をKp倍することにより比例補
償電圧Vpを求める。つづいて、ステップST13で1
サンプリング周期前の1次電流指令Ia1* と1次電流
Iaの偏差ΔI1を求め、ステップST14で積分演算
を行い、積分補償電圧Viを求める。次に、ステップS
T15においてステップST12で求められた比例補償
電圧VpとステップST14で求められた積分補償電圧
Viとを加算し、補償電圧Va1を求める。
【0055】つづいて、ステップST16では、ステッ
プST10で読み込まれた1次電流指令Ia* と直流電
動機1の1次抵抗Raとを乗算し、1次抵抗電圧Va2
を求める。次に、ステップST17でステップST15
で求められた補償電圧Va1とステップST16で求め
られた1次抵抗電圧Va2を加算し、1次電圧指令Va
* を求める。さらに、ステップST18で1次電流指令
Ia* の値をIa1*とする。この演算により、Ia1*
はIa* を1サンプリング周期、遅延させた信号、す
なわち1サンプリング前のIa* となる。次に、ステッ
プST19でステップST17で求められた1次電圧指
令Va* をPWMチョッパ3に出力する。すると、PW
Mチョッパ3により1次電圧指令Va* に一致した1次
電圧Vaが出力され、直流電動機1に印加される。ここ
で、比例ゲインKpの値をLa/Tの値に一致させる
と、1次電流指令Ia* がステップ変化した場合、直流
電動機1の1次電流Iaの応答はデッドビート応答とな
り、オーバーシュートを生じることなくIa* に追従す
る。
【0056】上記ステップの中で、ステップST11及
びST13の演算が減算器6、ステップST12、ST
14、ST15の演算が電流制御器7、ステップST1
6の演算が1次抵抗電圧演算器9、ステップST17の
演算が加算器8にそれぞれ相当する。
【0057】なおこの実施の形態では、電動機1の1次
抵抗による電圧降下分を補償しているが、サンプリング
周期Tの値によっては、実施の形態1のようにこの補償
が不要な場合もある。この場合の構成は、図9及び図1
0より1次抵抗電圧演算器9及び加算機8を削除し、動
作については、図11におけるステップST16を削除
し、ステップST17において、Va1の出力をそのま
まVa* とすれば良い。
【0058】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、電流制御器7が1次電流指令と1次電流の偏差をサ
ンプリング周期毎に入力し、電動機の1次インダクタン
ス値をサンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて
得られた比例補償電圧と、1次電流と1サンプリング周
期前の1次電流指令との差に基づき積分して得られた積
分補償電圧とを、加算して補償電圧として出力し、1次
抵抗電圧演算器9が1次電流指令をサンプリング周期毎
に入力し、電動機の1次抵抗による電圧降下を演算して
1次抵抗電圧として出力し、加算器8が補償電圧と1次
抵抗電圧とを加算して1次電圧指令を出力し、PWMチ
ョッパ3が電動機の1次電圧を1次電圧指令に一致する
ように制御することにより、電動機の1次電流は、電動
機の1次抵抗による電圧低下の影響を受けることなく、
1次電流指令の変化に対し1サンプリング周期遅れで、
オーバーシュートを生じることなく追従するようにな
り、より正確ないわゆるデッドビート応答が得られて、
高速の電流制御応答を得ることができるという効果があ
る。
【0059】実施の形態4.この発明の実施の形態4を
説明する前に、このディジタル電流制御装置の制御原理
について説明する。実施の形態3の制御原理からわかる
ように、電流制御器7の積分演算による余分な電圧出力
をなくせば、1次電流Iaのデッドビート応答を実現す
ることができる。そこで、上記実施の形態3では、1次
電流指令Ia* を1サンプリング周期遅延させた電流指
令Ia1* を用いて積分演算を行った。しかし、1次電
流Iaのデッドビート応答を実現するためには、一次電
流指令が変化直後の1サンプリング周期間、積分動作を
停止させ電流制御器をP制御器として動作させれば良い
ので、積分演算自体を1サンプリング周期、遅延させて
も良い。
【0060】実施の形態4に記載されたディジタル電流
制御装置は上記の制御原理に基づいて、1次電流を制御
するものである。実施の形態4の構成は、マイクロコン
ピュータ4の演算内容を除き、実施の形態3の図9及び
図10と同じである。
【0061】次に動作について説明する。図12はこの
発明の実施の形態4による動作を示すフローチャートで
ある。マイクロコンピュータ4は、PWMチョッパ3で
用いられる三角波キャリア信号のピークタイミングに同
期して、図12のフローチャートに従って演算を行う。
【0062】まずステップST20では、電流指令発生
器10から出力された1次電流指令Ia* 、及び電流検
出器2から出力された直流電動機1の1次電流Iaの値
をそれぞれ読み込む。次にステップST21では、1次
電流指令Ia* と1次電流Iaの偏差ΔIを求め、ステ
ップST22で電流制御器7がこの偏差をKp倍するこ
とにより比例補償電圧Vpを求める。つづいて、ステッ
プST23で電流制御器7が比例補償電圧Vpと1サン
プリング前の積分補償電圧Viとを加算し、補償電圧V
a1を求める。さらに、ステップST24では1次抵抗
電圧演算器9が1次抵抗電圧Va2を求める。次に、ス
テップST25においてステップST23で得られた補
償電圧Va1とステップST24で求められた1次抵抗
電圧Va2を加算し、1次電圧指令Va* を求め、ステ
ップST26でこの1次電圧指令Va* をPWMチョッ
パ3に出力する。つづいて、ステップST27でステッ
プST21で得られた電流偏差ΔIを用いて積分演算を
行い、積分補償電圧Viを求める。
【0063】以上の動作からわかるように、電流制御器
7の積分演算は1次電圧指令Va*を演算した後で行わ
れるため、Va* の演算には1サンプリング周期前の積
分補償電圧Viが用いられる。従って、例えば、初期値
0で1次電流指令Ia* がステップ変化した場合、ステ
ップST23の演算時の積分補償電圧Viの値は0なの
で、補償電圧Va1の値は比例補償電圧Vpの値と一致
する。そこで、ステップST25で得られた1次電圧指
令Va* を、ステップST26でPWMチョッパ3に出
力すると、PWMチョッパ3により1次電圧指令Va*
に一致した1次電圧Vaが出力され、直流電動機1に印
加される。このステップ全体の中で、比例ゲインKpの
値をLa/Tの値に一致させると、1次電流指令Ia*
がステップ変化した場合、直流電動機1の1次電流Ia
の応答はデッドビート応答となり、オーバーシュートを
生じることなく、1次電流指令Ia* に追従する。
【0064】上記ステップの中で、ステップST21の
演算が減算器6、ステップST22、ステップST23
の演算が電流制御器7、ステップST24の演算が1次
抵抗電圧演算器9、ステップST25の演算が加算器8
にそれぞれ相当する。
【0065】なおこの実施の形態では、直流電動機1の
1次抵抗による電圧降下分を補償しているが、サンプリ
ング周期Tの値によっては、実施の形態1のようにこの
補償が不要な場合もある。この場合の構成は、図9及び
図10より1次抵抗電圧演算器9及び加算機8を削除
し、動作については、図12におけるステップST24
を削除し、ステップST25において、Va1の出力を
そのままVa* とすれば良い。
【0066】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、電流制御器7が1次電流指令と1次電流の偏差をサ
ンプリング周期毎に入力し、電動機の1次インダクタン
ス値をサンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて
得られた比例補償電圧と、1次電流指令と1次電流との
差に基づき積分して得られた1サンプリング周期前の積
分補償電圧とを、加算して補償電圧として出力し、1次
抵抗電圧演算器9が1次電流指令をサンプリング周期毎
に入力し、電動機の1次抵抗による電圧降下を演算して
1次抵抗電圧として出力し、加算器8が補償電圧と1次
抵抗電圧とを加算して1次電圧指令を出力し、PWMチ
ョッパ3が電動機の1次電圧を1次電圧指令と一致する
ように制御することにより、電動機の1次電流は、電動
機の1次抵抗による電圧低下の影響を受けることなく、
1次電流指令の変化に対し1サンプリング周期遅れで、
オーバーシュートを生じることなく追従するようにな
り、より正確ないわゆるデッドビート応答が得られて、
高速の電流制御応答を得ることができる。
【0067】実施の形態5.図13はこの発明の実施の
形態5における電動機のディジタル電流制御装置を示す
構成図である。図において、1aは永久磁石同期電動機
(交流電動機)、2は電流検出器、3aは永久磁石同期
電動機(電圧制御手段)1aの電圧を制御するPWMイ
ンバータ、4aはマイクロコンピュータ、9は位置検出
器である。なお、マイクロコンピュータ4aの演算内容
をハードウェア的に表現すると、図9に示すように、フ
ィードフォワード信号演算部5、減算器6及び12、q
軸電流制御器(q軸電流制御手段)7、加算器8、14
及び17、座標変換器11及び18、d軸電流制御器
(d軸電流制御手段)13、微分器15、永久磁石同期
電動機1aの回転速度が変化したときの補正量を演算す
る非干渉補正演算部16に分けられる。
【0068】さて図14において、フィードフォワード
信号演算部5を省略し、加算器6の入力信号としてq軸
モデル電流Iqmの代わりに、q軸電流指令Iq* を用
いると、従来の永久磁石同期電動機の電流制御装置とな
る。まず公知のとおり、回転子磁束ベクトルに同期して
回転するd−q軸上における永久磁石同期電動機の電圧
・電流方程式は次式となる。 Vd=(Ra+dLa/dt)Id−ωrLaIq ・・・(13a) Vq=(Ra+dLa/dt)Iq+ωrLaId+ωrΦr ・・・(13b) ここで、Vd、Vqはそれぞれ1次電圧のd軸及びq軸
成分、Id、Iqはそれぞれ1次電流のd軸及びq軸成
分、Φrは回転子磁束の振幅を示す。また、Ra、La
はそれぞれ1次巻線の抵抗(1次抵抗)及びインダクタ
ンス(1次インダクタンス)、ωrは回転速度である。
【0069】次に、1次電流のd軸成分(d軸電流)I
dが0となるように制御すると、永久磁石同期電動機の
発生トルクτM は次式となる。 τM =PM ΦrIq ・・・(14) ここで、PM は極対数である。(14)式から、発生ト
ルクτM は1次電流のq軸成分(q軸電流)Iqに比例
することがわかる。すなわち、Iqは直流電動機の1次
電流Iaに相当し、Iqを制御することによって、永久
磁石同期電動機の発生トルクτM を制御することができ
る。次に、(13b)式において、右辺第3項は誘起電
圧を表しており、電流制御の応答を調べる場合は一定と
見なして差し支えない。(13a)、(13b)式の右
辺第2項は、d−q軸間の干渉電圧を示しており、交流
電動機特有の電圧である。この電圧は、後述するよう
に、非干渉補正演算部16によって、フィードフォワー
ド補償される。
【0070】従って、1次電圧のq軸成分(q軸電圧)
Vqとq軸電流Iqとの間には、(1)式と同様に、次
式が成り立つ。 Iq=Vq/(LaS+Ra) ・・・(15) 従って、直流電動機の実施の形態1と同様の方法で、q
軸電流Iqのデッドビート応答制御を実現することがで
きる。図13に示された実施の形態5は、実施の形態1
と同じ方法を用いたものである。
【0071】次に、実施の形態5の動作について説明す
る。まず、座標変換器11から、次式の演算により、位
置検出器9から出力された回転子位置(磁極位置)θr
と、電流検出器2から出力された永久磁石同期電動機1
aの1次電流Iu、Ivから、1次電圧のd軸成分Id
及びq軸成分Iqが求めら出力される。
【0072】 Id=√2[Iv・sinθr−Iu・sin(θr−2/3π)] ・・・(16a) Iq=√2[Iv・cosθr−Iu・cos(θr−2/3π)] ・・・(16b)
【0073】一方、図示しない電流指令発生器から出力
されたq軸電流指令Iq* をフィードフォワード信号演
算部5に入力すると、実施の形態1の図1におけるフィ
ードフォワード信号演算部5と同一の演算によって、q
軸モデル電流Iqm及びq軸モデル電圧Vqmが出力さ
れる。そこで、減算器6により、このq軸モデル電流I
qmと座標変換器11から出力されたq軸電流Iqの偏
差を求め、q軸電流制御器7に入力すると、図1におけ
る電流制御器7と同一の演算によって、q軸補償電圧V
q1が出力される。
【0074】一方、減算器12でd軸電流指令Id(=
0)と座標変換器11から出力されたd軸電流Idの偏
差を求め、d軸電流制御器13に入力すると、図1にお
ける電流制御器7と同一の演算によって、d軸補償電圧
Vd1が出力される。次に、位置検出器9から出力され
た回転子位置信号θrを微分器15で微分することによ
って得られた回転速度ωrと、座標変換器11から出力
されたd軸電流Id及びq軸電流Iqを非干渉補正演算
部16に入力すると、(13)式の右辺第2項に相当す
る次式の演算が行われ、非干渉補償電圧Vd2及びVq
2が出力される。 Vd2=−ωrLaIq ・・・(17a) Vq2=ωrLaId ・・・(17b)
【0075】つづいて、加算器8及び17により、フィ
ードフォワード信号演算部5から出力されたq軸モデル
電圧Vqm、q軸電流制御器7から出力されたq軸補償
電圧Vq1、及び非干渉補正演算部16から出力された
q軸非干渉補償電圧Vq2が加算され、q軸電圧指令V
* が出力される。一方、加算器14により、d軸電流
制御器13から出力されたd軸補償電圧Vd1と非干渉
補正演算部16から出力されたd軸非干渉補償電圧Vd
2が加算され、d軸電圧指令Vd* が出力される。次
に、これらのVd* 及びVq* を座標変換器18に入力
すると、次式の演算によって、1次電圧指令Vu* 、V
* 及びVw* が出力される。
【0076】 Vu* =√(2/3)[Vd* cosθr−Vq* sinθr] ・・・(18a) Vv* =√(2/3)[Vd* cos(θr−2/3π) −Vq* sin(θr−2/3π)] ・・・(18b) Vw* =−(Vu* +Vv* ) ・・・(18c)
【0077】マイクロコンピュータ4aはq軸電流指令
Iq* 及び1次電流Iu、Ivを入力し、上記のような
演算を行って1次電圧指令Vu* 、Vv* 及びVw*
求め、PWMインバータ3aヘ出力する。すると、PW
Mインバータ3aにより1次電圧指令Vu* 、Vv*
びVw* に一致した1次電圧Vu、Vv及びVwが出力
され、永久磁石同期電動機1aに印加される。ここで、
フィードフォワード信号演算部5中の制御器の比例ゲイ
ンKpの値をLa/Tの値に一致させると、q軸電流指
令Iq* がステップ変化した場合、永久磁石同期電動機
1aのq軸電流Iqの応答はデッドビート応答となり、
オーバーシュートを生じることなく、指令値に追従す
る。
【0078】ところで、上記のようにd軸電流Idが0
となるように制御した場合、(17b)式からわかるよ
うに、q軸非干渉補償電圧Vq2は0となる。一方、d
軸非干渉補償電圧Vd2については、非干渉補正演算部
16を省略した場合、d軸電流制御器13からこの電圧
が出力される。従って非干渉補償電圧の演算を省略して
も差し支えない。
【0079】以上のように、この実施の形態5によれ
ば、フィードフォワード信号演算部5が、回転子磁束ベ
クトルと直交する1次電流のq軸成分(q軸電流)の指
令を入力し、1サンプリング周期前のq軸電流指令をモ
デルq軸電流として出力すると共に、このモデルq軸電
流の時間変化率に比例したモデルq軸電圧とを出力し、
q軸電流制御器7がモデルq軸電流とq軸電流との偏差
を入力して補償電圧を出力し、加算器8がq軸モデル電
圧と補償電圧とを加算してq軸電圧指令を出力し、d軸
電流制御部13が回転子磁束ベクトルと同相の1次電流
のd軸成分(d軸電流)の指令とd軸電流の偏差を入力
してd軸電圧指令を出力し、PWMインバータ3aが、
永久磁石同期電動機1aの1次電圧のd軸及びq軸成分
を、1次電圧のd軸及びq軸指令と一致するように制御
しているので、q軸電流指令がステップ変化した場合、
永久磁石同期電動機1aのq軸電流の応答はデッドビー
ト応答となり、オーバーシュートを生じることなく、指
令値に追従するという効果が得られる。
【0080】実施の形態6.この発明の実施の形態6
は、直流電動機における実施の形態3を永久磁石同期電
動機に適用したものである。図14はこの発明の実施の
形態6における電動機のディジタル電流制御装置を示す
構成図である。この構成は、実施の形態5における図1
3から、フィードフォワード信号演算部5を削除し、加
算器6にq軸モデル電流Iqmの代わりにq軸電流指令
Iq* を入力したものである。
【0081】次に動作について説明する。この実施の形
態6におけるq軸電流制御器7は、実施の形態3におけ
る電流制御器7と同様に動作する。すなわちq軸電流制
御器7における積分補償電圧の演算には、1サンプリン
グ周期前のq軸電流指令Iq1* を用いて演算する。実
施の形態3では、1次抵抗Raによる電圧降下分を補償
しているが、永久磁石同期電動機のような交流電動機で
は、直流電動機の場合ほど1次抵抗Raによる電圧降下
分の影響は少ないので省略している。q軸電流制御器7
以外の他の動作については、実施の形態5と同様であ
る。
【0082】以上のように、この実施の形態6によれ
ば、q軸電流制御器7が、q軸電流指令とq軸電流の偏
差に、交流電動機のインダクタンス値をサンプリング周
期で除した値を乗じた比例補償電圧と、q軸電流と1サ
ンプリング前のq軸電流指令との偏差に基づき積分演算
した積分補償電圧と加算して、q軸電圧指令を出力し、
d軸電流制御器13がd軸電流指令とd軸電流の偏差を
入力してd軸電圧指令を出力し、PWMインバータ3a
が、交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分がそれぞ
れd軸電圧指令及びq軸電圧指令と一致するように制御
しているので、q軸電流指令がステップ変化した場合、
永久磁石同期電動機1aのq軸電流の応答はデッドビー
ト応答となり、オーバーシュートを生じることなく、指
令値に追従するという効果が得られる。
【0083】実施の形態7.この発明の実施の形態7
は、直流電動機における実施の形態4を永久磁石同期電
動機に適用したもので、この実施の形態の構成は実施の
形態6における図14と同じである。
【0084】次に動作について説明する。図14におい
て、q軸電流制御器7は、実施の形態4における電流制
御器7と同様に動作する。すなわちq軸電流制御器7
は、q軸電流指令とq軸電流の偏差に、交流電動機のイ
ンダクタンス値をサンプリング周期で除した値を乗じた
比例補償電圧と、q軸電流指令とq軸電流との偏差に基
づき積分演算した1サンプリング前の積分補償電圧とを
加算して、q軸電圧指令を出力している。実施の形態4
では、1次抵抗Raによる電圧降下分を補償している
が、この実施の形態でも、実施の形態6と同様に省略し
ている。q軸電流制御器7以外の他の動作についても、
実施の形態5と同様である。
【0085】以上のように、この実施の形態7によれ
ば、q軸電流制御器7が、q軸電流指令とq軸電流の偏
差に、交流電動機のインダクタンス値をサンプリング周
期で除した値を乗じた比例補償電圧と、q軸電流指令と
q軸電流の偏差に基づき積分演算した1サンプリング周
期前の積分補償電圧とを加算して、q軸電圧指令を出力
し、d軸電流制御器13がd軸電流指令とd軸電流の偏
差を入力してd軸電圧指令を出力し、PWMインバータ
3aが、交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分がそ
れぞれd軸電圧指令及びq軸電圧指令と一致するように
制御しているので、q軸電流指令がステップ変化した場
合、永久磁石同期電動機1aのq軸電流の応答はデッド
ビート応答となり、オーバーシュートを生じることな
く、指令値に追従するという効果が得られる。
【0086】実施の形態8.電動機が誘導電動機の場
合、回転子磁束ベクトルに同期して回転するd−q軸上
の誘導電動機の電圧・電流方程式は、公知のように次式
で与えられる。 Vd=(Rs+dLsσ/dt)・Id−LsσωIq +(M/Lr)・(dΦr/dt) ・・・(19a) Vq=(Rs+dLsσ/dt)・Iq−LsσωId +(M/Lr)・ωΦr ・・・(19b) ここで、Rs、M、Ls、Lrはそれぞれ、誘導電動機
の1次抵抗、1次2次相互インダクタンス、1次インダ
クタンス及び2次インダクタンスである。また、ωは1
次周波数、σは漏れ係数で次式で示される。 σ=1−(M2 /LsLr) ・・・(20)
【0087】誘導電動機の高速応答トルク制御法として
は、ベクトル制御法が知られている。本制御法では、通
常、d軸電流Idを一定に制御することにより、回転子
磁束Φrの振幅が一定に制御される。このとき、(19
a)式の右辺第3項は0となる。また、(19b)式の
右辺第3項は誘起電圧であり、電流制御の応答を調べる
場合は一定と見なしてよい。さらに、実施の形態5と同
様に、(19)式の右辺第2項のd−q軸間の干渉電圧
をフィードフォワード補償するものとすると、結局、1
次電圧のq軸成分(q軸電圧)Vqとq軸電流Iqとの
間には、(1)式と同様に次式が成り立つ。 Iq=Vq/(LsσS+Rs) ・・・(21)
【0088】従って、誘導電動機の場合でも、実施の形
態5から実施の形態7と同様の方法で、q軸電流Iqの
デッドビート応答制御を実現することができる。なお、
ベクトル制御を行った場合、誘導電動機の発生トルクτ
M は次式となる。 τM =PM ΦrIq ・・・(22) (22)式から、発生トルクτM は1次電流のq軸成分
(q軸電流)Iqに比例することがわかる。すなわち、
Iqは直流電動機の1次電流Iaに相当し、Iqを制御
することによって、誘導電動機の発生トルクτM を制御
することができる。
【0089】ところで、上記のようにd軸電流Idが一
定となるように制御した場合、(17b)式からわかる
ように、右辺第2項のq軸非干渉補償電圧Vq2は第3
項の誘起電圧と同様に、一次周波数ωに比例した電圧と
なるので、電流制御の応答を調べる場合は一定と見なし
てよい。一方、(17a)式の右辺第2項のd軸非干渉
補償電圧Vd2については、非干渉補正演算手段を省略
した場合、d軸電流制御器からこの電圧が出力される。
以上のことから、非干渉補償電圧の演算を省略しても差
し支えない。
【0090】以上のように、この実施の形態8において
も、実施の形態5から実施の形態7と同じ効果を得るこ
とができる。
【0091】実施の形態9.上記の実施の形態は全て、
電動機の電流制御装置を示すものであるが、図15に示
すような3相高力率コンバータが知られている。これ
は、PWMインバータと同じ回路構成のPWMコンバー
タを用いて、リアクトルLを介して交流電源からPWM
コンバータへ流れる電源電流Ir、Is、Itの波形
が、電源電圧と同相の正弦波波形となるように電源電流
のフィードバック制御を行うものである。このような場
合も、この発明によれば、電源電流のデッドビート応答
を実現できることは言うまでもない。
【0092】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、フィードフォワード信号演算手段が1次電流指令
をサンプリング周期毎に入力し、1サンプリング周期前
の1次電流指令をモデル電流として出力すると共に、モ
デル電流の時間変化率に比例したモデル電圧とを出力
し、電流制御手段がモデル電流と1次電流との偏差を入
力して補償電圧を出力し、加算手段が補償電圧とモデル
電圧とを加算して1次電圧指令を出力し、電圧制御手段
が電動機の1次電圧を1次電圧指令と一致するように制
御するようにしたので、電動機の1次電流は、1次電流
指令の変化に対し1サンプリング周期遅れで、オーバー
シュートを生じることなく追従するようになり、いわゆ
るデッドビート応答が得られて、高速の電流制御応答を
得られる効果がある。
【0093】請求項2記載の発明によれば、フィードフ
ォワード信号演算手段が1次電流指令をサンプリング周
期毎に入力し、1サンプリング周期前の1次電流指令を
モデル電流として出力すると共に、モデル電流の時間変
化率に比例したモデル電圧とを出力し、電流制御手段が
モデル電流と1次電流との偏差を入力して補償電圧を出
力し、1次抵抗電圧演算手段が1次電流指令をサンプリ
ング周期毎に入力し、電動機の1次抵抗による電圧降下
を演算して1次抵抗電圧として出力し、加算手段がモデ
ル電圧と補償電圧と1次抵抗電圧とを加算して1次電圧
指令を出力し、電圧制御手段が電動機の1次電圧を1次
電圧指令と一致するように制御するようにしたので、電
動機の1次電流は、電動機の1次抵抗による電圧低下の
影響を受けることなく、1次電流指令の変化に対し1サ
ンプリング周期遅れで、オーバーシュートを生じること
なく追従するようになり、より正確ないわゆるデッドビ
ート応答が得られて、高速の電流制御応答を得ることが
できる効果がある。
【0094】請求項3記載の発明によれば、電流制御手
段が1次電流指令と1次電流の偏差をサンプリング周期
毎に入力し、電動機の1次インダクタンス値をサンプリ
ング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例補
償電圧と、1次電流と1サンプリング周期前の1次電流
指令との差に基づき積分して得られた積分補償電圧と
を、加算して1次電圧指令として出力し、電圧制御手段
が電動機の1次電圧を1次電圧指令と一致するように制
御するようにしたので、電動機の1次電流は、1次電流
指令の変化に対し1サンプリング周期遅れで、オーバー
シュートを生じることなく追従するようになり、より正
確ないわゆるデッドビート応答が得られて、高速の電流
制御応答を得ることができる効果がある。
【0095】請求項4記載の発明によれば、電流制御手
段が1次電流指令と1次電流の偏差をサンプリング周期
毎に入力し、電動機の1次インダクタンス値をサンプリ
ング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例補
償電圧と、1次電流と1サンプリング周期前の1次電流
指令との差に基づき積分して得られた積分補償電圧と
を、加算して補償電圧として出力し、1次抵抗電圧演算
手段が1次電流指令をサンプリング周期毎に入力し、電
動機の1次抵抗による電圧降下を演算して1次抵抗電圧
として出力し、加算手段が補償電圧と1次抵抗電圧とを
加算して1次電圧指令を出力し、電圧制御手段が電動機
の1次電圧を1次電圧指令と一致するように制御するよ
うにしたので、電動機の1次電流は、電動機の1次抵抗
による電圧低下の影響を受けることなく、1次電流指令
の変化に対し1サンプリング周期遅れで、オーバーシュ
ートを生じることなく追従するようになり、より正確な
いわゆるデッドビート応答が得られて、高速の電流制御
応答を得ることができる効果がある。
【0096】請求項5記載の発明によれば、電流制御手
段が、1次電流指令と1次電流の偏差をサンプリング周
期毎に入力し、電動機の1次インダクタンス値をサンプ
リング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例
補償電圧と、1次電流指令と1次電流との差に基づき積
分して得られた1サンプリング周期前の積分補償電圧と
を、加算して1次電圧指令として出力し、電圧制御手段
が電動機の1次電圧を1次電圧指令と一致するように制
御するようにしたので、電動機の1次電流は、1次電流
指令の変化に対し1サンプリング周期遅れで、オーバー
シュートを生じることなく追従するようになり、より正
確ないわゆるデッドビート応答が得られて、高速の電流
制御応答を得ることができる効果がある。
【0097】請求項6記載の発明によれば、電流制御手
段が、1次電流指令と1次電流の偏差をサンプリング周
期毎に入力し、電動機の1次インダクタンス値をサンプ
リング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られた比例
補償電圧と、1次電流指令と1次電流との差に基づき積
分して得られた1サンプリング周期前の積分補償電圧と
を、加算して補償電圧として出力し、1次抵抗電圧演算
手段が1次電流指令をサンプリング周期毎に入力し、電
動機の1次抵抗による電圧降下を演算して1次抵抗電圧
として出力し、加算手段が補償電圧と1次抵抗電圧とを
加算して1次電圧指令を出力し、電圧制御手段が電動機
の1次電圧を1次電圧指令と一致するように制御するよ
うにしたので、電動機の1次電流は、電動機の1次抵抗
による電圧低下の影響を受けることなく、1次電流指令
の変化に対し1サンプリング周期遅れで、オーバーシュ
ートを生じることなく追従するようになり、より正確な
いわゆるデッドビート応答が得られて、高速の電流制御
応答を得ることができる効果がある。
【0098】請求項7記載の発明によれば、フィードフ
ォワード信号演算手段が、q軸電流指令をサンプリング
周期ごとに入力し、1サンプリング周期前のq軸電流指
令をモデルq軸電流として出力すると共に、モデルq軸
電流の時間変化率に比例したモデルq軸電圧とを出力
し、q軸電流制御手段がモデルq軸電流とq軸電流との
偏差を入力して補償電圧を出力し、加算手段がq軸モデ
ル電圧と補償電圧とを加算してq軸電圧指令を出力し、
d軸電流制御手段がd軸電流指令とd軸電流の偏差を入
力してd軸電圧指令を出力し、電圧制御手段が交流電動
機の1次電圧のd軸及びq軸成分を、それぞれd軸電圧
指令及びq軸電圧指令と一致するように制御するように
したので、q軸電流指令がステップ変化した場合、交流
電動機のq軸電流の応答はデッドビート応答となり、オ
ーバーシュートを生じることなく、指令値に追従する効
果がある。
【0099】請求項8記載の発明によれば、q軸電流制
御手段が、q軸電流指令とq軸電流の偏差をサンプリン
グ周期毎に入力し、交流電動機の1次インダクタンス値
をサンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得ら
れた比例補償電圧と、q軸電流と1サンプリング周期前
のq軸電流指令との差に基づき積分して得られた積分補
償電圧とを、加算してq軸電圧指令として出力し、d軸
電流制御手段がd軸電流指令とd軸電流の偏差を入力し
てd軸電圧指令を出力し、電圧制御手段が交流電動機の
1次電圧のd軸及びq軸成分を、それぞれd軸電圧指令
及びq軸電圧指令と一致するように制御するようにした
ので、q軸電流指令がステップ変化した場合、交流電動
機のq軸電流の応答はデッドビート応答となり、オーバ
ーシュートを生じることなく、指令値に追従する効果が
ある。
【0100】請求項9記載の発明によれば、q軸電流制
御手段が、q軸電流指令とq軸電流の偏差をサンプリン
グ周期毎に入力し、交流電動機の1次インダクタンス値
をサンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得ら
れた比例補償電圧と、q軸電流指令とq軸電流指令との
差に基づき積分して得られた1サンプリング周期前の積
分補償電圧とを、加算してq軸電圧指令として出力し、
d軸電流制御手段がd軸電流指令とd軸電流の偏差を入
力してd軸電圧指令を出力し、電圧制御手段が交流電動
機の1次電圧のd軸及びq軸成分を、それぞれd軸電圧
指令及びq軸電圧指令と一致するように制御するように
したので、q軸電流指令がステップ変化した場合、交流
電動機のq軸電流の応答はデッドビート応答となり、オ
ーバーシュートを生じることなく、指令値に追従する効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による電動機のディ
ジタル電流制御装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による電流フィード
バック制御系のブロック図である。
【図3】 この発明による電動機のディジタル電流制御
装置による電流制御応答のシミュレーション結果を示す
図である。
【図4】 この発明におけるPWMチョッパの出力可能
電圧範囲の説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の動作を示すフロー
チャートである。
【図6】 この発明の実施の形態2による電動機のディ
ジタル電流制御装置を示す構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態2による電流フィード
バック制御系のブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態2の動作を示すフロー
チャートである。
【図9】 この発明の実施の形態3及び実施の形態4に
よる電動機のディジタル電流制御装置を示す構成図であ
る。
【図10】 この発明の実施の形態3及び実施の形態4
による電流フィードバック制御系のブロック図である。
【図11】 この発明の実施の形態3の動作を示すフロ
ーチャートである。
【図12】 この発明の実施の形態4の動作を示すフロ
ーチャートである。
【図13】 この発明の実施の形態5による電動機のデ
ィジタル電流制御装置を示す構成図である。
【図14】 この発明の実施の形態6及び実施の形態7
による電動機のディジタル電流制御装置を示す構成図で
ある。
【図15】 3相高力率コンバータの構成図である。
【図16】 従来の電動機のディジタル電流制御装置を
示す構成図である。
【図17】 従来の電動機のディジタル電流制御装置の
電流フィードバック制御系のブロック図である。
【図18】 従来の電動機のディジタル電流制御装置の
電流フィードバック制御系のブロック図である。
【図19】 従来の電動機のディジタル電流制御装置に
おけるPWMチョッパの動作説明図である。
【図20】 従来の電動機のディジタル電流制御装置に
よる電流制御応答のシミュレーション結果を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 直流電動機(電動機)、1a 永久磁石同期電動機
(交流電動機)、3PWMチョッパ(電圧制御手段)、
3a PWMインバータ(電圧制御手段)、5 フィー
ドフォワード信号演算部(フィードフォワード信号演算
手段)、7電流制御器(電流制御手段),q軸電流制御
器(q軸電流制御手段)、8 加算器(加算手段)、1
3 d軸電流制御器(d軸電流制御手段)。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機の1次電流をサンプリング周期毎
    にフィードバック制御する電動機のディジタル電流制御
    装置において、 1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入力し、1サ
    ンプリング周期前の1次電流指令をモデル電流として出
    力すると共に、上記モデル電流の時間変化率に比例した
    モデル電圧とを出力するフィードフォワード信号演算手
    段と、 上記モデル電流と上記1次電流との偏差を入力して補償
    電圧を出力する電流制御手段と、 上記補償電圧と上記モデル電圧とを加算して1次電圧指
    令を出力する加算手段と、 上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一致するよ
    うに制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする
    電動機のディジタル電流制御装置。
  2. 【請求項2】 電動機の1次電流をサンプリング周期毎
    にフィードバック制御する電動機のディジタル電流制御
    装置において、 1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入力し、1サ
    ンプリング周期前の1次電流指令をモデル電流として出
    力すると共に、上記モデル電流の時間変化率に比例した
    モデル電圧とを出力するフィードフォワード信号演算手
    段と、 上記モデル電流と上記1次電流との偏差を入力して補償
    電圧を出力する電流制御手段と、 上記1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入力し、
    上記電動機の1次抵抗による電圧降下を演算し、1次抵
    抗電圧として出力する1次抵抗電圧演算手段と、 上記モデル電圧と上記補償電圧と上記1次抵抗電圧とを
    加算して1次電圧指令を出力する加算手段と、 上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一致するよ
    うに制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする
    電動機のディジタル電流制御装置。
  3. 【請求項3】 電動機の1次電流をサンプリング周期毎
    にフィードバック制御する電動機のディジタル電流制御
    装置において、 1次電流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期
    毎に入力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記
    サンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られ
    た比例補償電圧と、上記1次電流と1サンプリング周期
    前の1次電流指令との差に基づき積分して得られた積分
    補償電圧とを、加算して1次電圧指令として出力する電
    流制御手段と、 上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一致するよ
    うに制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする
    電動機のディジタル電流制御装置。
  4. 【請求項4】 電動機の1次電流をサンプリング周期毎
    にフィードバック制御する電動機のディジタル電流制御
    装置において、 1次電流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期
    毎に入力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記
    サンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られ
    た比例補償電圧と、上記1次電流と1サンプリング周期
    前の1次電流指令との差に基づき積分して得られた積分
    補償電圧とを、加算して補償電圧として出力する電流制
    御手段と、 上記1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入力し、
    上記電動機の1次抵抗による電圧降下を演算し、1次抵
    抗電圧として出力する1次抵抗電圧演算手段と、 上記補償電圧と上記1次抵抗電圧とを加算して1次電圧
    指令を出力する加算手段と、 上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一致するよ
    うに制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする
    電動機のディジタル電流制御装置。
  5. 【請求項5】 電動機の1次電流をサンプリング周期毎
    にフィードバック制御する電動機のディジタル電流制御
    装置において、 1次電流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期
    毎に入力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記
    サンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られ
    た比例補償電圧と、上記1次電流指令と上記1次電流と
    の差に基づき積分して得られた1サンプリング周期前の
    積分補償電圧とを、加算して1次電圧指令として出力す
    る電流制御手段と、 上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一致するよ
    うに制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする
    電動機のディジタル電流制御装置。
  6. 【請求項6】 電動機の1次電流をサンプリング周期毎
    にフィードバック制御する電動機のディジタル電流制御
    装置において、 1次電流指令と上記1次電流の偏差をサンプリング周期
    毎に入力し、上記電動機の1次インダクタンス値を上記
    サンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得られ
    た比例補償電圧と、上記1次電流指令と上記1次電流と
    の差に基づき積分して得られた1サンプリング周期前の
    積分補償電圧とを、加算して補償電圧として出力する電
    流制御手段と、 上記1次電流指令を上記サンプリング周期毎に入力し、
    上記電動機の1次抵抗による電圧降下を演算し、1次抵
    抗電圧として出力する1次抵抗電圧演算手段と、 上記補償電圧と上記1次抵抗電圧とを加算して1次電圧
    指令を出力する加算手段と、 上記電動機の1次電圧が上記1次電圧指令と一致するよ
    うに制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする
    電動機のディジタル電流制御装置。
  7. 【請求項7】 交流電動機の1次電流を回転子磁束ベク
    トルに同期して回転する回転座標軸上のd軸電流及びq
    軸電流に分解し、サンプリング周期ごとにフィードバッ
    ク制御する電動機のディジタル電流制御装置において、 q軸電流指令を上記サンプリング周期ごとに入力し、1
    サンプリング周期前のq軸電流指令をモデルq軸電流と
    して出力すると共に、上記モデルq軸電流の時間変化率
    に比例したモデルq軸電圧とを出力するフィードフォワ
    ード信号演算手段と、 上記モデルq軸電流と上記q軸電流との偏差を入力して
    補償電圧を出力するq軸電流制御手段と、 上記q軸モデル電圧と上記補償電圧とを加算してq軸電
    圧指令を出力する加算手段と、 d軸電流指令と上記d軸電流の偏差を入力してd軸電圧
    指令を出力するd軸電流制御手段と、 上記交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分が、それ
    ぞれ上記d軸電圧指令及び上記q軸電圧指令と一致する
    ように制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とす
    る電動機のディジタル電流制御装置。
  8. 【請求項8】 交流電動機の1次電流を回転子磁束ベク
    トルに同期して回転する回転座標軸上のd軸電流及びq
    軸電流に分解し、サンプリング周期ごとにフィードバッ
    ク制御する電動機のディジタル電流制御装置において、 q軸電流指令と上記q軸電流の偏差をサンプリング周期
    毎に入力し、上記交流電動機の1次インダクタンス値を
    上記サンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得
    られた比例補償電圧と、上記q軸電流と1サンプリング
    周期前のq軸電流指令との差に基づき積分して得られた
    積分補償電圧とを、加算してq軸電圧指令として出力す
    るq軸電流制御手段と、 d軸電流指令と上記d軸電流の偏差を入力してd軸電圧
    指令を出力するd軸電流制御手段と、 上記交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分が、それ
    ぞれ上記d軸電圧指令及び上記q軸電圧指令と一致する
    ように制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とす
    る電動機のディジタル電流制御装置。
  9. 【請求項9】 交流電動機の1次電流を回転子磁束ベク
    トルに同期して回転する回転座標軸上のd軸電流及びq
    軸電流に分解し、サンプリング周期ごとにフィードバッ
    ク制御する電動機のディジタル電流制御装置において、 q軸電流指令と上記q軸電流の偏差をサンプリング周期
    毎に入力し、上記交流電動機の1次インダクタンス値を
    上記サンプリング周期で除した値と上記偏差を乗じて得
    られた比例補償電圧と、上記q軸電流指令と上記q軸電
    流指令との差に基づき積分して得られた1サンプリング
    周期前の積分補償電圧とを、加算してq軸電圧指令とし
    て出力するq軸電流制御手段と、 d軸電流指令と上記d軸電流の偏差を入力してd軸電圧
    指令を出力するd軸電流制御手段と、 上記交流電動機の1次電圧のd軸及びq軸成分が、それ
    ぞれ上記d軸電圧指令及び上記q軸電圧指令と一致する
    ように制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とす
    る電動機のディジタル電流制御装置。
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