JPH1118186A - 一次圧力傾度マイク - Google Patents

一次圧力傾度マイク

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JPH1118186A
JPH1118186A JP16781297A JP16781297A JPH1118186A JP H1118186 A JPH1118186 A JP H1118186A JP 16781297 A JP16781297 A JP 16781297A JP 16781297 A JP16781297 A JP 16781297A JP H1118186 A JPH1118186 A JP H1118186A
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microphone
omnidirectional microphone
microphone unit
omnidirectional
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JP16781297A
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Kimihiro Ikeda
公博 池田
Yasuo Maekawa
泰夫 前川
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PURIMO KK
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PURIMO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 四方から騒音が発せられる環境下において、
特定方向の目的音源からの音を良好なS/Nをもって取
得できる一次圧力傾度マイクを提供する 【解決手段】 第1及び第2の無指向性マイクロフォン
ユニット(M1,M2)を離隔配置し、第2の無指向性
マイクロフォンユニットの出力の遅延信号と第1の無指
向性マイクロフォンユニットの出力との差分を第1の加
算手段(3)で形成し、第2の無指向性マイクロフォン
ユニットの出力と前記第1の無指向性マイクロフォンユ
ニットの出力の遅延信号との差分を第2の加算手段
(4)で形成する。第1及び第2の加算手段の出力は相
反する方向に指向特性を有し、目的音源に臨む一方の指
向特性により目的音と騒音を拾い、他方の指向特性によ
り騒音を拾い、両者の差分を採る事により、騒音成分を
キャンセルできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数個の無指向性
マイクロフォンユニットを用いて2種類の単一指向特性
を有する一次圧力傾度マイクに係り、ノイズ成分の低減
能力に優れ、当該マイクの小型化に寄与する技術に関
し、例えば、車載用の一次圧力傾度マイクに適用して有
効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人による先の出願(実願昭62−
147476号、実開昭64−52393号)には、実
質的に性能が等しい2個の無指向性マイクロフォンユニ
ットを用いて単一指向性を得る一次圧力傾度マイクが開
示されている。この一次圧力傾度マイクは原理的には図
2の構成と実質的に同じであり、2個の無指向性マイク
ロフォンユニットM1,M2を距離dの間隔で配置し、
前記マイクロフォンユニットM2の出力を遅延回路2で
τ2(τ2:距離に換算した遅延量)だけ遅延させ、遅
延された出力ed2と前記マイクロフォンユニットM1
の出力e1との差分を取り出すように構成される。
【0003】このように構成されたマイクにおいて2個
のマイクロフォンユニットM1,M2の軸方向に対して
角度θの方向から音が来るとすると、当該マイクの出力
Vmは、 Vm(k,θ)=e1−ed2 =2・e1・sin{k(τ2+d・cosθ)/2} で与えられる。但し、k=2π/λ(λ:音の波長)で
あり、マイクロフォンユニットに到来する音は正弦音波
(正弦波形の音波)とする。上式より、τ2をdより適
当に小さく設定することにより、図3に示されるような
指向特性が得られる。
【0004】ここで、理解を容易化するために上記一次
圧力傾度マイクの原理を図6を参照しながら定性的に説
明する。τ2=d、θ=0の場合を一例とする。Sa方
向から到来する音に対するマイクロフォンユニットM1
による出力e1(a)に応ずる観測点はPe1(a)であり、
マイクロフォンユニットM2側の遅延出力ed2(a)に応
ずる観測点は見かけ上Ped2(a)である。これとは逆
方向Sbから到来する音に対するマイクロフォンユニッ
トM1による出力e1(b)に応ずる観測点はPe1(b)で
あり、マイクロフォンユニットM2側の遅延出力ed2
(b)応ずる観測点は見かけ上Ped2(b)である。図から
明らかのように観測点Pe1(b)とPed2(b)は同じ位
置であるから、e1(b)=ed2(b)になる。よって、前
記マイクの出力Vmは、 Vm(k,θ)=e1(a)+e1(b)−ed2(a)−ed
2(b) =e1(a)−ed2(a) となる。これにより一方向指向性を得ることが容易に理
解されるであろう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記一
次圧力傾度マイクは正面側に対する単なる単一指向特性
を有するに過ぎない。したがって、走行中の車両室内や
工場又は飛行場などのように、全方向(四方)から騒音
(ノイズ)が発せられる環境(騒音源を特定の方向に固
定できない環境)下においては、特定方向の目的音源か
らの音だけを入力しようとしても、騒音の入力を阻むこ
とはできない。
【0006】そこで、本発明者は、公知ではないが、図
13に例示されるように、2個の前記一次圧力傾度マイ
ク10-1,10-2を、互いに逆方向に向けて、2種類の
指向性を有するように構成したマイクを検討した。第1
のマイク10-1は特定の目的音源に向けられ、その単一
指向特性により当該目的音源の音と周りの騒音を拾うこ
とになる。第1のマイク10-1とは逆方向に向けられた
第2のマイク10-2はその単一指向特性により専ら騒音
を拾うことになる。第1のマイク10-1の出力と第2の
マイク10-2の出力との差分を採ることにより、四方か
ら来る騒音を低減して目的音を得ることができる。
【0007】本発明者は、上記技術を更に検討した結
果、以下の点を明らかにした。第1に、前記2個の一次
圧力傾度マイクを同一の位置に配置することは物理的に
不可能であり、図14に例示されるような指向特性故
に、騒音成分の除去に論理的な誤差を生じ、高精度なノ
イズキャンセルを期待し難いことが本発明者によって明
らかにされた。第2に、小型化の要請に応ずるには、4
個よりも数の少ない無指向性マイクロフォンユニットを
用いて2種類の指向特性を有する一次圧力傾度マイクを
実現しなければならないことが明らかにされた。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、ノイズキャンセル効果に優れ4個
以下の無指向性マイクロフォンユニットを用いて2種類
の指向性を得ることができる一次圧力傾度マイクを提供
することにある。
【0009】本発明の別の目的は、四方から騒音が発せ
られる環境下において、特定方向の目的音源からの音を
良好なS/Nをもって取得できる一次圧力傾度マイクを
提供することにある。
【0010】本発明の前記並びにその他の目的と新規な
特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるで
あろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明による最良の一
次圧力傾度マイクは、図1に例示されるように、2個の
無指向性マイクロフォンユニットを用いて2種類の指向
特性を実現するものであり、所定の間隔を置いて配置さ
れた第1及び第2の無指向性マイクロフォンユニット
(M1,M2)と、前記第1の無指向性マイクロフォン
ユニットの出力を遅延させる第1の遅延手段(1)と、
前記第2の無指向性マイクロフォンユニットの出力を遅
延させる第2の遅延手段(2)と、前記第1の無指向性
マイクロフォンユニットの出力と前記第2の遅延手段の
出力との差分を出力する第1の加算手段(3)と、前記
第2の無指向性マイクロフォンユニットの出力と前記第
1の遅延手段の出力との差分を出力する第2の加算手段
(4)とを含ん成る。
【0012】前記第1の無指向性マイクロフォンユニッ
ト(M1)をマイクの正面とすると、前記第1の加算手
段(3)の出力を得るための信号系統は前記2個のマク
ロフォンユニット(M1,M2)によって正面側に指向
特性を有する主マイク(図2及び図3参照)として機能
され、また、前記第2の加算手段(4)の出力を得るた
めの信号系統は前記2個のマクロフォンユニット(M
1,M2)によって背面側に指向特性を有する参照マイ
ク(図4及び図5参照)として機能される。四方から騒
音が発せられ騒音源を特定できない環境下において、目
的音源に臨む前記主マイクは専ら目的音と騒音を拾い、
参照マイクは専ら騒音を拾う。主マイクの出力信号成分
と参照マイクの出力信号成分との差分を求める事によ
り、騒音成分をキャンセルできる。このとき、主マイク
と参照マイクは相互に同一のマイクロフォンユニット
(M1,M2)を用いて構成されるから、双方のマイク
は物理的に同一位置に配置されていると見なすことがで
きる。換言すれば、双方のマイクが拾う騒音成分は実質
的に同じと見なすことができる。したがって、目的音成
分だけを高いS/Nを持って取得することができる。
【0013】無指向性マイクロフォンユニットを3個用
いても上記と実質的に同じ機能を実現できる。すなわ
ち、図8に例示されるように、第2の無指向性マイクロ
フォンユニットに第3の無指向性マイクロフォンユニッ
ト(M3)を近接配置し、主マイクは前記同様とし、参
照マイクは第1の遅延手段(1)の出力と第3のマイク
ロフォンユニットの出力との差分を第2の加算手段で取
得するように構成する。これによれば、3個の無指向性
マイクロフォンユニットによって2種類の指向特性を有
する一次圧力傾度マイクを実現することができる。主マ
イクと参照マイクの配置は完全同一とは見なせないが、
第2のマイクロフォンユニットと第3のマイクロフォン
ユニットとの間に距離を置かずに近接配置できるから、
良好なノイズキャンセル効果を得ることができる。
【0014】無指向性マイクロフォンユニットを4個用
いても上記と実質的に同じ機能を実現できる。すなわ
ち、図9に例示されるように、前記第1及び第2の無指
向性マイクロフォンユニットの配置方向に対して交差方
向に所定の距離を置いて第3及び第4の無指向性マイク
ロフォンユニット(M3,M4)を配置し、前記第2の
無指向性マイクロフォンユニットの出力を遅延させる遅
延手段の出力と前記第1の無指向性マイクロフォンユニ
ットの出力との差分を第1の加算手段で形成し、前記第
3の無指向性マイクロフォンユニットの出力と前記第4
の無指向性マイクロフォンユニットの出力との差分を第
2の加算手段で形成する。マイクロフォンユニットの数
は4個であるが、主マイクと参照マイクは、放射状に配
置された4個のマイクロフォンユニットの中心に位置さ
れているものと論理的に見なすことができ、優れたノイ
ズキャンセル効果を実現できる。
【0015】更に、4個の無指向性マイクロフォンユニ
ットを用いる場合には、図12に例示されるように、2個
の無指向性マイクロフォンユニットによって構成した前
記主マイクと参照マイクとを各々別々の無指向性マイク
ロフォンユニット(M1〜M4)によって構成する。すな
わち、第1及び第2の無指向性マイクロフォンユニット
(M1,M2)を用いて主マイクを構成し、第3及び第
4の無指向性マイクロフォンユニット(M3,M4)を
用いて参照マイクを構成する。主マイクは正面側に指向
特性を有し、参照マイクは背面側に指向特性を有する。
このとき、第3及び第4の無指向性マイクロフォンユニ
ットの配列は、第1及び第2の無指向性マイクロフォン
ユニットの配列と同一であり、第1及び第2の無指向性
マイクロフォンユニットは第3及び第4の無指向性マイ
クロフォンユニットに隣接配置されている。したがっ
て、主マイクが拾うノイズと参照マイクが拾うノイズと
の音場の相違は最小限とされ、比較的良好なS/Nをも
って目的音を取得することができる。
【0016】前記第1及び第2の加算手段の出力を用い
てノイズをキャンセルする処理はアナログ的な手法によ
って行う事も可能であるが、ディジタル的な手法を採用
する場合には、前記第1の加算手段の出力をディジタル
信号に変換する第1のA/D変換手段(5)と、前記第
2の加算手段の出力をディジタル信号に変換する第2の
A/D変換手段(6)と、前記第1のA/D変換手段の
出力と第2のA/D変換手段の出力との双方に含まれる
ノイズ成分を相殺するディジタル信号処理手段とを更に
含むことができる。
【0017】前記ディジタル信号処理手段は、前記第2
のA/D変換手段(6)の出力を受ける適応フィルタ手
段(7)と、前記適応フィルタ手段の出力と前記第1の
A/D変換手段の出力との差分を演算するディジタル加
算手段(8)とによって構成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1には本発明に係る一次圧力傾
度マイクの一例が示される。同図に示されるマイクは、
実質的に性能が等しい2個の無指向性マイクロフォンユ
ニットM1,M2を距離dの間隔で配置し、前記マイク
ロフォンユニットM1の出力e1を遅延回路1でτ1
(τ1:距離に換算した遅延量)だけ遅延させ、また、
前記マイクロフォンユニットM2の出力e2を遅延回路
2でτ2(τ2:距離に換算した遅延量)だけ遅延させ
る。そして、前記マイクロフォンユニットM1の出力e
1と前記遅延回路2の出力ed2との差分を演算する反
転加算回路3と、前記マイクロフォンユニットM2の出
力e2と前記遅延回路1の出力ed1との差分を演算す
る反転加算回路4を設ける。反転加算回路3,4は例え
ばオペアンプ、帰還抵抗及び入力抵抗によって構成する
ことができ、非反転入力(+)はe1,e2とされ、反
転入力(−)はed2,ed1とされる。
【0019】前記マイクは、マイクロフォンユニットM
1が正面に配置されるように、図示を省略するケーシン
グに格納されている。前記マイクロフォンユニットM
1,M2にはセラミック型又はエレクトレット型のマイ
クロフォンユニット等を採用すればよい。
【0020】このとき、前記マイクは、前記反転加算回
路3から主信号Vmを得るための信号経路を有する図2
の主マイクと、反転加算回路4から参照信号Vrを得る
ための信号経路を有する図4の参照マイクとの2種類の
一次圧力傾度マイクとして把握することができる。
【0021】前記主マイクは正面側に指向特性を有し、
正面側からの目的音と騒音を拾う指向特性を有すること
になる。前記主信号Vmは、 Vm(k,θ)=e1−ed2 =2・e1・sin{k(τ2+d・cosθ)/2} で与えられる。
【0022】図2のように把握することができる主マイ
クは、正面側に対する指向特性を有し、図3に例示され
た指向特性を有する。そのような指向特性が得られるこ
とは、図6に基づいて既に定性的に説明した内容からも
理解できるであろう。
【0023】前記参照マイクは背面側に指向特性を有
し、正面側からの目的音と騒音を拾わず、背面側からの
騒音を拾う指向特性を有することになる。前記参照信号
Vrは、 Vr(k,θ)=e2−ed1 =−2・e1・sin{k(τ1+d・cosθ)/
2} で与えられる。但し、上記2式において、k=2π/λ
(λ:音の波長)であり、2個の無指向性マイクロフォ
ンユニットM1、M2の特性は実質的に同じであって、
到来する音波を正弦音波とする。
【0024】図4に示される前記参照マイクは、図5に
例示されるように背面側に対する指向特性を有する。そ
のような指向特性が得られることを、図7に基づいて定
性的に説明する。すなわち、図7では理解を容易化する
為に、τ1=d、θ=0の場合を一例とする。Sa方向
から到来する音に対するマイクロフォンユニットM1側
の遅延出力ed1(a)に応ずる観測点は見かけ上Ped
1(a)であり、マイクロフォンユニットM2の出力e2
(a)に応ずる観測点はPe2(a)である。これとは逆方向
Sbから到来する音に対するマイクロフォンユニットM
1の遅延出力ed1(b)に応ずる観測点は見かけ上Pe
d1(b)であり、マイクロフォンユニットM2の出力e
2(b)応ずる観測点はPe2(b)である。図から明らかの
ように観測点Ped1(a)とPe2(a)は同じ位置である
から、ed1(a)=e2(a)になる。よって、前記参照マ
イクの出力Vrは、 E(k,θ)=e2(b)+e2(a)−ed1(a)−ed1
(b) =e2(b)−ed1(b) となり、背面側に一方向指向性を得ることができる。
【0025】このように、2個の無指向性マイクロフォ
ンユニットM1,M2を共通に用いて夫々指向特性の異
なる主マイクと参照マイクを実現しているから、当該指
向特性の異なる主マイクと参照マイクは物理的に同じ位
置に配置されているのと等価である。したがって図1の
マイクは、同じ音場の異なる成分の音を拾うことにな
る。一方、図13に例示されるように主マイクと参照マ
イクを各々別々に2個の無指向性マイクロフォンユニッ
トを用いて構成した場合には、図14に示されるよう
に、双方のマイクは物理的に異なる位置に配置される。
したがって、双方のマイクは、一定距離だけ離れた異な
る音場の異なる成分の音を拾うことになる。図13の構
成では、四方から騒音が発せられる環境下において相互
に離間配置されたマイク10-1,10-2が拾う音の成分
には無視し得ない相違がある。図1の場合には主マイク
と参照マイクは完全同一音場にあるから、四方から騒音
が発せられる環境下においても双方のマイクが拾う騒音
成分は実質的に同じと見なすことができる。
【0026】図10には前記主マイクと参照マイクの各
々の指向特性を合成して得た指向特性を表すポーラーパ
ターンの例が示される。この例において、τ2=d/
3、τ1=dとする。このポーラーパターンからも明ら
かなように、前記主マイクと参照マイクから成る一次圧
力傾度マイクは、2個のマイクロフォンユニットM1,
M2によって正面側と背面側の2種類の指向特性を実現
している。
【0027】前記反転加算回路3の出力VmはA/Dコ
ンバータ5でディジタル信号Dmに変換され、また、前
記反転加算回路4の出力VrはA/Dコンバータ6でデ
ィジタル信号Drに変換される。前記A/Dコンバータ
6から出力される主信号データDrはトランスバーサル
フィルタなどの適応フィルタ7に供給され、適応フィル
タ7のフィルタ出力と前記A/Dコンバータ5から出力
される主信号データDmとの差分がディジタル加算器8
で演算される。
【0028】前記適応フィルタ7は入力信号の経時的な
変化に対してその特性を適応的に変化させるフィルタで
ある。すなわち、入力信号Drをタップ係数に乗じ、そ
の値を複数タップ単位で加算してフィルタ出力を得る為
の出力演算と、そのフィルタ出力を応答させるべき対象
系からの信号と前記フィルタ出力との差分として得られ
る誤差信号に基づいて前記タップ係数を更新するタップ
係数更新演算とを行い、その更新演算によってタップ係
数を逐次書き替えることにより、そのフィルタ特性をリ
アルタイムに変化させる。前記誤差信号は、フィルタ応
答特性を決定するようなトレーニングシーケンスタイミ
ング時における前記ディジタル加算器8の出力とされ
る。トレーニングシーケンスタイミングは、マイクロフ
ォンユニットM1,M2が目的音声を拾わないタイミン
グとされる。したがって、トレーニングシーケンスタイ
ミングにおいて、前記主信号データDmと参照信号デー
タDrとに夫々含まれる騒音成分を相殺するように、適
応フィルタ7のフィルタ応答特性が決定される。トレー
ニングシーケンスは、音場の騒音発生状況が刻一刻と変
化される状態に追従する為、適宜のタイミングで逐次行
われる。
【0029】このように、適応フィルタ7の応答特性が
逐次決定されることにより、前記ディジタル加算器8に
よる減算により、前記主信号Vmに含まれる騒音成分が
前記参照信号Vrに含まれる騒音成分によってキャンセ
ルされる。ディジタル加算器8の出力はD/Aコンバー
タ9でアナログ信号に変換される。D/Aコンバータ9
から、目的音声成分を主体とする信号を取得することが
できる。図10の指向特性を有する図1の回路を試作し
てテストを行った結果、2個の無指向性マイクロフォン
ユニットによって単一の指向性を得るようにした従来の
一次圧力傾度マイクと比較すると、約10dB程度S/
Nを改善できた。
【0030】尚、前記適応フィルタ7及びディジタル加
算器8などをディジタル・シグナル・プロセッサ(Digi
tal Signal Processor)DSPによって構成することが
できる。また、前記A/Dコンバータ5,6の前段には
高域成分を除去するローパスフィルタを配置することが
できる。
【0031】図8には無指向性マイクロフォンユニット
を3個用いて上記と同等の一次圧力傾度マイクを構成す
る場合の例が示される。すなわち、無指向性マイクロフ
ォンユニットM2に第3の無指向性マイクロフォンユニ
ットM3を近接配置する。図8において参照信号Vr
は、第3のマイクロフォンユニットM3の出力と前記遅
延回路1の出力との差分を反転加算回路4で得ることに
よって生成する。主信号Vmは図1と同様に生成され
る。この例の場合には図1に比べて、無指向性マイクロ
フォンユニットM3が1個余計に必要とされる。また、
主マイクと参照マイクは物理的に完全同一位置に配置さ
れなくなる。しかしながら、マイクロフォンユニットM
2とM3を近接配置できるから、図13に例示されるよ
うに指向特性を逆にして2組の一次圧力傾度マイクを離
間配置する構成よりも優れたノイズキャンセル効果を持
ち、マイクロフォンユニットの数も1個少なくて済む。
【0032】図9には無指向性マイクロフォンユニット
を4個用いて上記と同等のマイクを構成する場合の例が
示される。すなわち、4個の無指向性マイクロフォンユ
ニットM1〜M4を90°間隔で同一円周上に放射状に
配置する。主信号Vmは図1の主マイクの構成と同じで
ある。参照信号Vrを形成する参照マイクは、マイクロ
フォンユニットM3とM4の差分を反転加算器4で取得
するように構成される。参照マイクを構成するマイクロ
フォンユニットM3とM4の軸線は、主マイクを構成す
るマイクロフォンユニットM1とM2の軸線に対して直
角になっている。したがって、その指向特性は図11に
示されるようになり、参照マイクは正面からの目的音波
に対する指向特性を持たない。よって、図1とほぼ同様
の2種類の指向特性を有するマイクが実現される。この
例の場合には図1に比べて、無指向性マイクロフォンユ
ニットM3、M4が2個余計に必要とされる。しかしな
がら、マイクロフォンユニットM1〜M4は同一円周上
に90°間隔で放射状に配置されているから、主マイク
と参照マイクは物理的に同一位置に配置されていると見
なすことができる。図13の一次圧力傾度マイクを2組
用いて離間配置する構成よりも、ノイズキャンセル効果
という点で優れている。
【0033】更に、4個の無指向性マイクロフォンユニ
ットを用いる場合には、図12に例示されるように、2個
の無指向性マイクロフォンユニットによって構成した前
記主マイクと参照マイクとを各々別々の無指向性マイク
ロフォンユニットM1〜M4によって構成することができ
る。主マイクは、無指向性マイクロフォンユニットM
1,M2、遅延回路2及び反転加算回路3によって構成
される。参照マイクは、無指向性マイクロフォンユニッ
トM3,M4、遅延回路1及び反転加算回路4によって
構成される。主マイクは図3に例示されるように正面側
に指向特性を有し、参照マイクは図5に例示されるよう
に背面側に指向特性を有する。図12に示される一次圧
力傾度マイクは1個のケーシングに収容されている。
【0034】参照マイクを構成する無指向性マイクロフ
ォンユニットM3,M4の配列は、主マイクを構成する
無指向性マイクロフォンユニットM1,M2の配列と同
一であり、マイクロフォンユニットM1,M2はマイク
ロフォンユニットM3,M4に隣接配置されている。す
なわち、図13におけるマイクロフォンユニットM1,
M2の軸線と、マイクロフォンユニットM3,M4の軸
線との距離Lsは図13の構成に比べて格段に小さくさ
れている。この点において、図12のマイクは、図13
の様に各々別体の2個の一次圧力傾度マイク10-1,1
0-2を互いに逆向きに配置した構成と相違することは明
らかである。したがって、主マイクが拾うノイズと参照
マイクが拾うノイズとの音場の相違は最小限とされ、図
13のマイクに比べ、比較的良好なS/Nをもって目的
音を取得することができる。
【0035】以上本発明者によってなされた発明を実施
形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限
定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更可能であることは言うまでもない。例えば
本発明に係る一次圧力傾度マイクは反転加算回路のよう
な加算手段までの構成として把握することも可能であ
る。また、τ1、τ2、dの関係は図10に限定されず
適宜変更可能である。
【0036】本発明は、ハンズフリー電話機やカー・ナ
ビゲーション・システムの音声入力マイクなどの様に、
四方から騒音が到来する環境下におけるの入力音波に対
するノイズキャンセルに適用して有効な機器に広く適用
することができる。
【0037】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0038】すなわち、2種類の指向特性を有する一次
圧力傾度マイクを2個又は3個の無指向性マイクロフォ
ンユニットによって実現することができる。したがっ
て、一次圧力傾度マイクのコストを低減でき、マイクを
小型化する事が可能になる。
【0039】2個の無指向性マイクロフォンユニットを
用い、或いは4個の無指向性マイクロフォンユニットを
放射状に配置して、一次圧力傾度マイクを構成すること
により、指向特性の異なる2個のマイク(主マイク、参
照マイク)を物理的に同一位置に配置した構成と見なす
ことができるので、換言すれば、指向特性の異なる2個
のマイク(主マイク、参照マイク)を同一音場に配置で
きるので、優れたノイズキャンセル効果を得ることがで
きる。
【0040】3個の無指向性マイクロフォンユニットを
用いた場合には、厳密な意味では、指向特性の異なる2
個のマイク(主マイク、参照マイク)を物理的に同一位
置に配置した構成と見なすことはできないが、第2のマ
イクロフォンユニットと第3のマイクロフォンユニット
とを間隔を空けずに近接配置できるので、従来よりも優
れたノイズキャンセル効果を得る事ができ、しかも、無
指向性マイクロフォンユニットの数を1個減らすことが
できる。
【0041】また、指向特性が異なる2個のマイク(主
マイク、参照マイク)を夫々別々の無指向性マイクロフ
ォンユニットで構成する場合にも、主マイクを構成する
無指向性マイクロフォンユニットと参照マイクを構成す
る無指向性マイクロフォンユニットとを隣接配置するこ
とにより、比較的優れたノイズキャンセル効果を得るこ
とができる。
【0042】以上により、四方から騒音が発せられる環
境下において、特定方向の目的音源からの音を良好なS
/Nをもって取得できる一次圧力傾度マイクを実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2個の無指向性マイクロフォンユニットを用い
て2種類の指向特性を実現した本発明に係る一次圧力傾
度マイクの回路図である。
【図2】主マイクの構成説明図である。
【図3】主マイクの指向特性を示す説明図である。
【図4】参照マイクの構成説明図である。
【図5】参照マイクの指向特性を示す説明図である。
【図6】主マイクによる指向性を定性的に理解する為の
説明図である。
【図7】参照マイクによる指向性を定性的に理解する為
の説明図である。
【図8】3個の無指向性マイクロフォンユニットを用い
た一次圧力傾度マイクの回路図である。
【図9】4個の無指向性マイクロフォンユニットを用い
た一次圧力傾度マイクの回路図である。
【図10】図1の一次圧力傾度マイクの全体的な指向特
性を示した説明図である。
【図11】図9の一次圧力傾度マイクの指向特性を示し
た説明図である。
【図12】4個の無指向性マイクロフォンユニットを用
いた別の一次圧力傾度マイクの回路図である。
【図13】各々ケーシングに内蔵された2組の一次圧力
傾度マイクを離間配置して2種類の指向特性を実現した
マイクの概略説明図である。
【図14】図13の一次圧力傾度マイクの指向特性を示
す説明図である。
【符号の説明】
M1,M2,M3,M4 無指向性マイクロフォンユニ
ット 1,2 遅延回路 3,4 反転加算回路 5,6 A/Dコンバータ 7 適応フィルタ 8 ディジタル加算器 9 D/Aコンバータ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔を置いて配置された第1及び
    第2の無指向性マイクロフォンユニットと、前記第1の
    無指向性マイクロフォンユニットの出力を遅延させる第
    1の遅延手段と、前記第2の無指向性マイクロフォンユ
    ニットの出力を遅延させる第2の遅延手段と、前記第1
    の無指向性マイクロフォンユニットの出力と前記第2の
    遅延手段の出力との差分を出力する第1の加算手段と、
    前記第2の無指向性マイクロフォンユニットの出力と前
    記第1の遅延手段の出力との差分を出力する第2の加算
    手段と、を含んでるものであることを特徴とする一次圧
    力傾度マイク。
  2. 【請求項2】 所定の間隔を置いて配置された第1及び
    第2の無指向性マイクロフォンユニットと、前記第2の
    マイクロフォンユニットに近接配置された第3のマイク
    ロフォンユニットと、前記第1の無指向性マイクロフォ
    ンユニットの出力を遅延させる第1の遅延手段と、前記
    第2の無指向性マイクロフォンユニットの出力を遅延さ
    せる第2の遅延手段と、前記第1の無指向性マイクロフ
    ォンユニットの出力と前記第2の遅延手段の出力との差
    分を出力する第1の加算手段と、前記第3の無指向性マ
    イクロフォンユニットの出力と前記第1の遅延手段の出
    力との差分を出力する第2の加算手段と、を含んでるも
    のであることを特徴とする一次圧力傾度マイク。
  3. 【請求項3】 所定の間隔を置いて配置された第1及び
    第2の無指向性マイクロフォンユニットと、前記第1及
    び第2の無指向性マイクロフォンユニットの配置方向に
    対して交差方向に所定の距離を置いて配置された第3及
    び第4の無指向性マイクロフォンユニットと、前記第2
    の無指向性マイクロフォンユニットの出力を遅延させる
    遅延手段と、前記第1の無指向性マイクロフォンユニッ
    トの出力と前記遅延手段の出力との差分を出力する第1
    の加算手段と、前記第3の無指向性マイクロフォンユニ
    ットの出力と前記第4の無指向性マイクロフォンユニッ
    トの出力との差分を出力する第2の加算手段と、を含ん
    でるものであることを特徴とする一次圧力傾度マイク。
  4. 【請求項4】 所定の間隔で配置された第1及び第2の
    無指向性マイクロフォンユニットと、前記第1及び第2の
    無指向性マイクロフォンユニットと同一配列でそれらに
    隣接配置された第3及び第4の無指向性マイクロフォンユ
    ニットと、前記第2の無指向性マイクロフォンユニット
    の出力を遅延させる第2の遅延手段と、前記第3の無指
    向性マイクロフォンユニットの出力を遅延させる第1の
    遅延手段と、前記第1の無指向性マイクロフォンユニッ
    トの出力と前記第2の遅延手段の出力との差分を出力す
    る第1の加算手段と、前記第4の無指向性マイクロフォ
    ンユニットの出力と前記第1の遅延手段の出力との差分
    を出力する第2の加算手段と、を含んでるものであるこ
    とを特徴とする一次圧力傾度マイク。
  5. 【請求項5】 前記第1の加算手段の出力をディジタル
    信号に変換する第1のA/D変換手段と、前記第2の加
    算手段の出力をディジタル信号に変換する第2のA/D
    変換手段と、前記第1のA/D変換手段の出力と第2の
    A/D変換手段の出力との双方に含まれるノイズ成分を
    相殺するディジタル信号処理手段と、を更に含んで成る
    ものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1
    項に記載の一次圧力傾度マイク。
  6. 【請求項6】 前記ディジタル信号処理手段は、前記第
    2のA/D変換手段の出力を受ける適応フィルタ手段
    と、前記適応フィルタ手段の出力と前記第1のA/D変
    換手段の出力との差分を演算するディジタル加算手段
    と、を含んで成るものであることを特徴とする請求項5
    に記載の一次圧力傾度マイク。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008245250A (ja) * 2007-02-28 2008-10-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 音声会議装置
JP2011244232A (ja) * 2010-05-19 2011-12-01 Fujitsu Ltd マイクロホンアレイ装置及び前記マイクロホンアレイ装置が実行するプログラム
JP2012239100A (ja) * 2011-05-13 2012-12-06 Audio Technica Corp ステレオマイクロホン
US8638955B2 (en) 2006-11-22 2014-01-28 Funai Electric Advanced Applied Technology Research Institute Inc. Voice input device, method of producing the same, and information processing system
US8731693B2 (en) 2006-11-22 2014-05-20 Funai Electric Advanced Applied Technology Research Institute Inc. Voice input device, method of producing the same, and information processing system

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