JPH11173250A - 水力機械および水力機械のスラスト荷重監視方法 - Google Patents

水力機械および水力機械のスラスト荷重監視方法

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JPH11173250A
JPH11173250A JP9337392A JP33739297A JPH11173250A JP H11173250 A JPH11173250 A JP H11173250A JP 9337392 A JP9337392 A JP 9337392A JP 33739297 A JP33739297 A JP 33739297A JP H11173250 A JPH11173250 A JP H11173250A
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JP
Japan
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value
thrust load
bracket
sensor
hydraulic machine
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JP9337392A
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English (en)
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Yuetsu Uto
藤 祐 悦 宇
Kenichi Sugama
間 健 一 菅
Hirotaka Akamatsu
松 弘 隆 赤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラスト荷重の状態をより正確に監視するこ
とができる水力機械および水力機械のスラスト荷重監視
方法を提供すること。 【解決手段】 本発明の水力機械10は、回転軸13、
14を有し、ブラケット17によりスラスト軸受16を
介して支持され、ブラケット17は、軸受固定壁18に
支持されている。ブラケット17とスラスト軸受16と
の間には、熱絶縁板25が装着されている。また、ブラ
ケット17の下方には、ブラケット17の撓み量を測定
する撓みセンサ20が設けられている。さらに、撓みセ
ンサ20からの測定値に基づいて回転軸14に対するス
ラスト荷重を求めるスラスト荷重演算部21が設けられ
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラケットに支持
された水力機械およびブラケットに支持された水力機械
のスラスト荷重監視方法に係り、とりわけ、スラスト荷
重の状態をより正確に監視することができる水力機械お
よび水力機械のスラスト荷重監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図14に、スラスト荷重の状態を監視す
ることができる従来の水力機械を示す。図14に示すよ
うに、水力機械50は、ランナカバー51内を流れる水
流によって回転するランナ52を有している。ランナ5
2は水車主軸53を回転軸として回転し、水車主軸53
は発電機主軸54に同軸に連結されており、発電機主軸
54は発電機ロータ55に接続されている。
【0003】ランナカバー51には、導入される水をラ
ンナ52の回転にできるだけ有効に利用するために、背
圧室シール51a、側圧室シール51b、ランナ外周シ
ール51c等のランナシールが設けられている。
【0004】水力機械50の回転軸である発電機主軸5
4は、スラスト軸受56を介してブラケット57に支持
されている。ブラケット57は、大荷重を支持するため
高剛性材料で構成され、軸受固定壁58に支持されてい
る。
【0005】軸受固定壁58には、ブラケット57の下
方へ延びるセンサ台59が設けられており、センサ台5
9には、ブラケット57の撓み量を測定するギャップセ
ンサ60が載置されている。ギャップセンサ60には、
測定されるブラケット57の撓み量から水力機械の回転
軸54のスラスト荷重を算出するスラスト荷重算出部6
1が接続されている。
【0006】図14に示す水力機械50は、ランナカバ
ー51内に水が導入されることによってランナ52、水
車主軸53および発電機主軸54が回転し、この回転力
は発電機ロータ55に伝達されて発電に供される。
【0007】ここで、水力機械50の回転軸53、54
をスラスト軸受56を介して支持するブラケット57に
は、回転子の重量と、ランナ52の回転に伴う運転荷重
との両方によるスラスト荷重が作用する。このうち回転
子重量は変化しないが、ランナ52の回転に伴う運転荷
重は、ランナカバー51内に導入される水の水量等の運
転状態によって変化して経年的にもランナシール51
a、51b、51cの磨耗が進行し、ランナ52が水か
ら受ける圧力バランスが変化することによって変化す
る。
【0008】スラスト荷重が許容量を越えると、水力機
械の安定な運転を継続することができず、さらには水力
機械の損傷の原因となる。そこで、図14の水力機械5
0では、センサ台59に設けられたギャップセンサ60
がブラケット57の撓み量を適時に測定し、このブラケ
ット57の撓み量の測定値からスラスト荷重算出部61
がスラスト荷重を算出し、その値を監視している。例え
ば、算出されたスラスト荷重が所定の許容値を越えた場
合、警報を発する等の処理を行っている。
【0009】あるいは、回転軸の表面に歪みゲージを設
け、歪みゲージによる軸方向の歪みの測定値からスラス
ト荷重を算出する方法がある。このような水力機械を図
15に示す。図15に示す水力機械50は、センサ台5
9およびギャップセンサ60の代わりに発電機主軸54
の表面に歪みゲージ65が貼付され、スラスト荷重算出
部61が歪みゲージ65に接続されている点が異なるの
みであり、その他の構成は図14に示す水力機械50と
略同様である。図15において、図14に示す水力機械
50と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は
省略する。図15に示す方法においても、スラスト荷重
を監視することができる。なお、歪みゲージ65は、発
電機主軸54の代わりに水車主軸53に設けられる場合
もあるが、作用効果は略同様である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14
に示す従来の水力機械50の場合、一般にブラケット5
7は大荷重を支えるため高剛性材料からなっており、ス
ラスト荷重による撓み量は大きくない。一方、本願発明
者の知見によれば、水力機械50の運転中には、スラス
ト軸受56における摩擦熱によってブラケット57も温
度上昇し、ブラケット57は熱変形によっても撓みを生
じる。本願発明者の検証によれば、熱変形による撓み量
はスラスト荷重による撓み量の1〜2割にも達してい
る。
【0011】従来の水力機械50は、この熱変形による
撓み量もスラスト荷重による撓み量として処理するた
め、図14における水力機械50のスラスト荷重算出部
61によって算出されるスラスト荷重は正確なものでは
なく、スラスト荷重監視の信頼性に乏しい。
【0012】一方、図15に示す従来の水力機械50の
場合、回転軸53、54に生じる軸方向の歪みは微量で
あることに加えて、回転軸53、54表面には回転に起
因する軸表面歪みが存在しているため、歪みゲージ65
を貼付する角度が軸方向から少しでもずれていると、歪
みゲージ65は軸表面歪みをも測定してしまう。さら
に、軸表面に貼付された歪みゲージ65は、回転軸5
3、54の回転に伴う遠心力による円周応力の影響も受
ける。従って、図15における水力機械50のスラスト
荷重算出部61によって算出されるスラスト荷重の精度
は低く、スラスト荷重監視の信頼性に乏しい。
【0013】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、スラスト荷重の状態をより正確に監視す
ることができる水力機械および水力機械のスラスト荷重
監視方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転軸を有し
ブラケットに支持された水力機械において、軸受固定壁
と、軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸
をスラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、
ブラケットとスラスト軸受との間に熱絶縁板を装着し、
ブラケットの撓み量を測定する撓みセンサを設け、この
撓みセンサからの測定値に基づいて回転軸に対するスラ
スト荷重を求めるスラスト荷重演算部を設け、たことを
特徴とする水力機械である。
【0015】本発明によれば、摩擦熱を発生するスラス
ト軸受とブラケットとの間に熱絶縁板を設けたことによ
り、スラスト軸受からブラケットへの熱伝達が効果的に
遮断され、ブラケットに生じる熱変形量を抑えることが
でき、ブラケットの撓み量に基づくスラスト荷重の算出
精度が向上する。
【0016】また本発明は、回転軸を有しブラケットに
支持された水力機械において、軸受固定壁と、軸受固定
壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をスラスト軸
受を介して支持するブラケットとを備え、ブラケットの
撓み量を測定する撓みセンサと、ブラケットの温度を測
定する温度センサとを各々設け、撓みセンサからの測定
値と温度センサからの温度とに基づいて、撓みセンサか
らの測定値を温度で補償して回転軸に対するスラスト荷
重を求めるスラスト荷重補償演算部を設け、たことを特
徴とする水力機械である。
【0017】本発明によれば、ブラケットの温度を測定
することによってブラケットの熱変形量を求めることが
できるため、ブラケットの撓み量の測定値から熱変形量
を差し引いたスラスト荷重のみによる変形量を算出する
ことができる。このため、ブラケットの温度上昇に係わ
らず、スラスト荷重を精度良く算出することができる。
【0018】また本発明は、回転軸を有しブラケットに
支持された水力機械において、軸受固定壁と、軸受固定
壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をスラスト軸
受を介して支持するブラケットとを備え、ブラケットの
撓み量を略等間隔時間で連続に測定する撓みセンサを設
け、撓みセンサによる測定値が逐次入力され、撓みセン
サによる測定値の時間変化を算出し、この時間変化が一
定値以上の場合には入力された測定値をそのまま出力
し、撓みセンサによる測定値の時間変化が一定値未満の
場合には前測定時の出力値を出力する増分評価部を設
け、増分評価部からの出力に基づいてスラスト荷重を求
めるスラスト荷重演算部を設け、たことを特徴とする水
力機械である。
【0019】本発明によれば、測定値の時間変化が小さ
い場合にその時間変化を除外することにより、一般に時
間あたりの変化量が小さい熱変形による測定値の時間変
化を除外することができるため、結果的にブラケットの
撓み量の測定値から熱変形量を差し引いたスラスト荷重
のみによる撓み量を算出することができる。このため、
ブラケットの温度上昇に係わらず、スラスト荷重を精度
良く算出することができる。
【0020】また本発明は、回転軸を有しブラケットに
支持された水力機械において、軸受固定壁と、軸受固定
壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をスラスト軸
受を介して支持するブラケットとを備え、回転軸の軸方
向に中心孔を形成し、長手方向の一部に細径部分を有す
るロードセルを回転軸の中心孔に挿入し、回転軸の軸方
向の歪み量を測定する歪みセンサをロードセルの細径部
分に貼付し、この歪みセンサからの測定値に基づいて回
転軸に対するスラスト荷重を求めるスラスト荷重演算部
を設け、たことを特徴とする水力機械である。
【0021】本発明によれば、歪みセンサをロードセル
の細径部分に設けたことにより、軸表面歪みや円周応力
の歪みセンサへの影響を小さく抑えることができ、スラ
スト荷重の算出精度が向上する。
【0022】また本発明によれば、回転軸を有しブラケ
ットに支持された水力機械において、軸受固定壁と、軸
受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をスラ
スト軸受を介して支持するブラケットとを備え、回転軸
の歪み量を測定する歪みセンサと、回転軸の温度を測定
する温度センサとを各々設け、歪みセンサからの測定値
と温度センサからの温度とに基づいて、歪みセンサから
の測定値を温度で補償して回転軸に対するスラスト荷重
を求めるスラスト荷重補償演算部を設け、たことを特徴
とする水力機械である。
【0023】本発明によれば、回転軸の温度を測定する
ことによって回転軸の熱変形量を求めることができるた
め、回転軸の歪み量の測定値から熱変形量を差し引いた
スラスト荷重のみによる変形量を算出することができ
る。このため、回転軸の温度上昇に係わらず、スラスト
荷重を精度良く算出することができる。
【0024】また本発明は、回転軸を有しブラケットに
支持された水力機械において、軸受固定壁と、軸受固定
壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をスラスト軸
受を介して支持するブラケットとを備え、回転軸の歪み
量を略等間隔時間で連続に測定する歪みセンサを設け、
歪みセンサによる測定値が逐次入力され、歪みセンサに
よる測定値の時間変化を算出し、この時間変化が一定値
以上の場合には入力された測定値をそのまま出力し、歪
みセンサによる測定値の時間変化が一定値未満の場合に
は前測定時の出力値を出力する増分評価部を設け、増分
評価部からの出力に基づいてスラスト荷重を求めるスラ
スト荷重演算部を設け、たことを特徴とする水力機械で
ある。
【0025】本発明によれば、測定値の時間変化が小さ
い場合にその時間変化を除外することにより、一般に時
間あたりの変化量が小さい熱変形による測定値の時間変
化を除外することができるため、結果的に回転軸の歪み
量の測定値から熱変形量を差し引いたスラスト荷重のみ
による歪み量を算出することができる。このため、回転
軸の温度上昇に係わらず、スラスト荷重を精度良く算出
することができる。
【0026】また本発明は、特許請求の範囲の請求項4
記載のブラケットに支持された水力機械における回転軸
のスラスト荷重監視方法において、撓みセンサにより、
ブラケットの撓み量を測定する工程と、温度センサによ
り、ブラケットの温度を測定する工程と、スラスト荷重
補償演算部により、撓みセンサによる撓み量の測定値を
温度センサによる温度の測定値で補償してスラスト荷重
を求める工程と、を備えたことを特徴とする水力機械の
スラスト荷重の監視方法である。
【0027】本発明によれば、ブラケットの温度を測定
することによってブラケットの熱変形量を求めることが
できるため、ブラケットの撓み量の測定値から熱変形量
を差し引いたスラスト荷重のみによる変形量を算出する
ことができる。このため、ブラケットの温度上昇に係わ
らず、スラスト荷重を精度良く算出することができる。
【0028】また本発明は、特許請求の範囲の請求項5
記載のブラケットに支持された水力機械における回転軸
のスラスト荷重監視方法において、撓みセンサにより、
ブラケットの撓み量を略等間隔時間で連続に測定する工
程と、増分評価部により、撓みセンサによる撓み量の測
定値の時間変化が一定値未満か否かを判断して、撓みセ
ンサによる測定値の時間変化が一定値以上の場合には入
力された測定値をそのまま出力し、撓みセンサによる測
定値の時間変化が一定値未満の場合には前測定時の出力
値を出力する工程と、スラスト荷重演算部により、増分
評価部からの出力に基づいてスラスト荷重を求める工程
と、を備えたことを特徴とする水力機械のスラスト荷重
の監視方法である。
【0029】本発明によれば、測定値の時間変化が小さ
い場合にその時間変化を除外することにより、一般に時
間あたりの変化量が小さい熱変形による測定値の時間変
化を除外することができるため、結果的にブラケットの
撓み量から熱変形量を差し引いたスラスト荷重のみによ
る撓み量を算出することができる。このため、ブラケッ
トの温度上昇に係わらず、スラスト荷重を精度良く算出
することができる。
【0030】また本発明は、特許請求の範囲の請求項8
記載のブラケットに支持された水力機械における回転軸
のスラスト荷重監視方法において、歪みセンサにより、
回転軸の歪み量を測定する工程と、温度センサにより、
回転軸の温度を測定する工程と、スラスト荷重補償演算
部により、歪みセンサによる歪み量の測定値を温度セン
サによる温度の測定値で補償してスラスト荷重を求める
工程と、を備えたことを特徴とする水力機械のスラスト
荷重の監視方法である。
【0031】本発明によれば、回転軸の温度を測定する
ことによってブラケットの熱変形量を求めることができ
るため、回転軸の歪み量の測定値から熱変形量を差し引
いたスラスト荷重のみによる変形量を算出することがで
きる。このため、ブラケットの温度上昇に係わらず、ス
ラスト荷重を精度良く算出することができる。
【0032】また本発明は、特許請求の範囲の請求項9
記載のブラケットに支持された水力機械における回転軸
のスラスト荷重監視方法において、歪みセンサにより、
回転軸の歪み量を略等間隔時間で連続に測定する工程
と、増分評価部により、歪みセンサによる歪み量の測定
値の時間変化が一定値未満か否かを判断して、歪みセン
サによる測定値の時間変化が一定値以上の場合には入力
された測定値をそのまま出力し、歪みセンサによる測定
値の時間変化が一定値未満の場合には前測定時の出力値
を出力する工程と、スラスト荷重演算部により、増分評
価部からの出力に基づいてスラスト荷重を求める工程
と、を備えたことを特徴とする水力機械のスラスト荷重
の監視方法である。
【0033】本発明によれば、測定値の時間変化が小さ
い場合にその時間変化を除外することにより、一般に時
間あたりの変化量が小さい熱変形による測定値の時間変
化を除外することができるため、結果的に回転軸の歪み
量の測定値から熱変形量を差し引いたスラスト荷重のみ
による撓み量を算出することができる。このため、回転
軸の温度上昇に係わらず、スラスト荷重を精度良く算出
することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1に示すように、本発明
の第1の実施の形態の水力機械10は、ランナカバー1
1内を流れる水流によって回転するランナ12を有して
いる。ランナ12は水車主軸13を回転軸として回転
し、水車主軸13は発電機主軸14に同軸に連結されて
おり、発電機主軸14は発電機ロータ15に接続されて
いる。ランナカバー11には、導入される水をランナ1
2の回転にできるだけ有効に利用するために、背圧室シ
ール11a、側圧室シール11b、ランナ外周シール1
1c等のランナシールが設けられている。
【0035】本実施の形態の水力機械10の回転軸であ
る発電機主軸14は、スラスト軸受16および熱絶縁板
25を介してブラケット17に支持されている。すなわ
ち、ブラケット17とスラスト軸受16との間に熱絶縁
板25が装着されている。熱絶縁板25は、大きな圧縮
荷重に耐え得るように構成されている。ブラケット17
は、大荷重を支持するため高剛性材料で構成され、軸受
固定壁18に支持されている。
【0036】本実施の形態の軸受固定壁18には、ブラ
ケット17の下方へ延びるセンサ台19が設けられてお
り、センサ台19には、ブラケット17の撓み量を測定
するギャップセンサ20が載置されている。ギャップセ
ンサ20には、測定されるブラケット17の撓み量から
水力機械の回転軸14のスラスト荷重を算出するスラス
ト荷重算出部21が接続されている。
【0037】次にこのような構成からなる本実施の形態
の作用について、図1を用いて説明する。図1に示す水
力機械10は、ランナカバー11内に水が導入されるこ
とによってランナ12、水車主軸13および発電機主軸
14が回転し、この回転力は発電機ロータ15に伝達さ
れて発電に供される。
【0038】ここで、水力機械10の回転軸13、14
をスラスト軸受16および熱絶縁板25を介して支持す
るブラケット17には、回転子の重量と、ランナ12の
回転に伴う運転荷重との両方によるスラスト荷重が作用
する。このうち回転子重量は変化しないが、ランナ12
の回転に伴う運転荷重は、ランナカバー11内に導入さ
れる水の水量等の運転状態によって変化し、経年的にも
ランナシール11a、11b、11cの磨耗が進行して
ランナ12が水から受ける圧力バランスが変化すること
によって変化する。
【0039】本実施の形態の水力機械10では、センサ
台19に設けられたギャップセンサ20がブラケット1
7の撓み量を適当な時間間隔で測定し、このブラケット
17の撓み量の測定値からスラスト荷重算出部21がス
ラスト荷重を算出し、その値を監視する。例えば、算出
されたスラスト荷重が所定の値を越えた場合、警報を発
する等の処理を行う。本実施の形態の場合、摩擦熱を発
生するスラスト軸受16とブラケット17との間に熱絶
縁板25が装着されているため、ブラケットが熱変形す
ることが防止され、ブラケット57はスラスト荷重のみ
によって撓み、その撓み量から精度良くスラスト荷重を
算出することができる。
【0040】本実施の形態によれば、スラスト軸受16
とブラケット17との間に熱絶縁板25を装着すること
により、ブラケット17の熱変形が防止されるため、ブ
ラケット17の撓み量を測定することにより、精度良く
ブラケット17にかかるスラスト荷重を算出することが
できる。このため、スラスト荷重の監視の信頼性を向上
させることができ、水力機械の安定な運転を継続するこ
とができる。
【0041】次に図2により、本発明による第2の実施
の形態の水力機械について説明する。図2において、第
2の実施の形態の水力機械10では、センサ台19およ
びギャップセンサ20を設ける代わりに、熱絶縁板25
とブラケット17との間にロードセル26が装着され、
ロードセル26にスラスト荷重算出部21が接続されて
いる点が異なるのみであり、その他の構成は図1に示す
第1の実施の形態と略同様である。図2において、図1
に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を
付して詳細な説明は省略する。
【0042】図2に示す第2の実施の形態では、ブラケ
ット17の撓み量センサとしてロードセル26を用いて
いるが、ロードセル26は、一般に専門工場で製作され
るものであり、歪みゲージの取付剤の安定化処理が十分
なされて長期信頼性が高く、温度補償がなされて温度変
化に安定であるという性質を有する。従って、本実施の
形態によれば、熱絶縁板25によるスラスト軸受16か
らブラケット17への熱伝達の遮断とロードセル26の
使用とが相俟って、精度の高いスラスト荷重検出が可能
である。このため、スラスト荷重の監視の信頼性を向上
させることができ、水力機械の安定な運転を継続するこ
とができる。
【0043】次に図3および図4により、本発明による
水力機械の第3の実施の形態について説明する。図3お
よび図4において、第3の実施の形態の水力機械30で
は、センサ台19、ギャップセンサ20およびスラスト
荷重演算部21を設ける代わりに、発電機主軸14の中
心軸に中心孔14aが形成され、この中心孔14a内に
発電機主軸14の軸方向の歪み量を測定するロードセル
31が挿入されている。ロードセル31はその長手方向
の一部に細径部分31tを有し、この細径部分31tに
歪みセンサとしての歪みゲージ33が貼付され、この歪
みゲージ33からの測定値から発電機主軸14に対する
スラスト荷重を求めるスラスト荷重演算部35が設けら
れている。その他の構成は図1に示す第1の実施の形態
と略同様である。図3および図4において、図1に示す
第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して
詳細な説明は省略する。
【0044】本実施の形態のロードセル31は、図3お
よび図4に示すように、上端部が小型スラスト軸受32
bを介してナット32nによって発電機主軸14の上部
に支持固定され、下端部がナット32nによって発電機
主軸14の下部に固定されている。このようなロードセ
ル31の装着において、ロードセル31には予荷重が加
えられている。これによって、ロードセル31に貼付さ
れる歪みゲージ33は、上向きスラスト荷重も検出でき
るようになっている。
【0045】また、本実施の形態の歪みゲージ33は、
図3に示すように、FMテレメータ34を介することに
よって、測定値を無線でスラスト荷重演算部35に送信
することができるようになっている。
【0046】次にこのような構成からなる本実施の形態
の作用について、図3および図4を用いて説明する。図
3および図4に示す水力機械30は、ランナカバー11
内に水が導入されることによってランナ12、水車主軸
13および発電機主軸14が回転し、この回転力は発電
機ロータ15に伝達されて発電に供される。
【0047】ここで、水力機械30の回転軸13、14
には、回転子の重量と、ランナ12の回転に伴う運転荷
重との両方によるスラスト荷重が作用する。このうち回
転子重量は変化しないが、ランナ12の回転に伴う運転
荷重は、ランナカバー11内に導入される水の水量等の
運転状態によって変化し、経年的にもランナシール11
a、11b、11cの磨耗が進行してランナ12が水か
ら受ける圧力バランスが変化することによって変化す
る。
【0048】本実施の形態の水力機械30では、発電機
主軸の中心孔14a内に挿入されたロードセル31の細
径部分31tに設けられた歪みゲージ33が、発電機主
軸14の歪み量を適当な時間間隔で測定する。この測定
値はFMテレメータ34によってスラスト荷重演算部3
5に伝達され、スラスト荷重演算部35は歪み量の測定
値からスラスト荷重を算出して、その値を監視する。例
えば、算出されたスラスト荷重が所定の値を越えた場
合、警報を発する等の処理を行う。
【0049】本実施の形態によれば、ロードセル31の
上端部は小型スラスト軸受32bを介して発電機主軸1
4に支持固定されているため、ロードセル31にはトル
クが作用せず、歪みゲージ33は軸トルクによる影響を
受けない。また、歪みゲージ33は、ロードセル31の
細径部分31tに貼付されているため、応力集中によっ
て歪み量を大きくするとともに、遠心力による円周応力
の影響も極めて小さく抑えることができる。さらに、歪
みゲージ33の取付に関しても、取付剤の安定化処理が
十分に行えるという利点がある。従って、発電機主軸1
4にかかるスラスト荷重を精度良く算出することがで
き、スラスト荷重の監視の信頼性を向上させることがで
き、水力機械の安定な運転を継続することができる。
【0050】次に図5により、本発明による第4の実施
の形態の水力機械について説明する。図5において、第
4の実施の形態の水力機械10では、熱絶縁板25を設
ける代わりに、ギャップセンサ20とスラスト荷重算出
部21との間に増分評価部28が接続されている点が異
なるのみであり、その他の構成は図1に示す第1の実施
の形態と略同様である。図5において、図1に示す第1
の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細
な説明は省略する。
【0051】本実施の形態における増分評価部28は、
ギャップセンサ20によるブラケット17の撓み量の測
定値τn が逐次入力され、この測定値の時間変化が一定
値以上の場合には入力された測定値τn をそのまま出力
し、歪みセンサによる測定値の時間変化が一定値未満の
場合には前測定時の出力値を出力するようになってい
る。また本実施の形態におけるスラスト荷重演算部21
は、増分評価部28からの出力に基づいてスラスト荷重
を求めるようになっている。
【0052】増分評価部28における具体的な処理フロ
ーを図6に示す。増分評価部28はまず、ギャップセン
サ20によるブラケット17の撓み量の測定値τn の初
期設定値であるτ0 を、出力値op0 としてスラスト荷
重演算部21に出力する。この時、スラスト荷重演算部
21は、スラスト荷重T0 の演算結果が0となるよう調
整される。その後、増分評価部28は、ギャップセンサ
20によるブラケット17の撓み量の増分Δτn (測定
値τn と前回測定時の測定値τn-1 との差を測定間隔t
n −tn-1 で除した値:(τn −τn-1 )/(tn −t
n-1 ))を、予め設定された指定値k1 と比較する。そ
して、 Δτn ≧k1 の場合には、出力値opn を、 opn = opn-1 +(τn −τn-1 ) と更新してスラスト荷重演算部21に出力し、 Δτn <k1 の場合には、出力値opn を、 opn = opn-1 と維持してスラスト荷重演算部21に出力する。
【0053】本実施の形態によるスラスト荷重Tn の演
算結果例を、図7に示す。図7に示すように、本実施の
形態のスラスト荷重演算部21では、時間あたりの変化
量が小さい熱変形による測定値τn の変化分を除外して
スラスト荷重を演算することができる。
【0054】本実施の形態によれば、測定値τn の時間
変化が小さい場合にその時間変化を除外することによ
り、一般に時間あたりの変化量が小さい熱変形による測
定値τn の時間変化を除外することができるため、結果
的にブラケット17の撓み量の測定値τn から熱変形量
を差し引いたスラスト荷重Tn のみによる撓み量を算出
することができる。このため、ブラケット17の温度上
昇に係わらず、スラスト荷重Tn を精度良く算出するこ
とができ、スラスト荷重の監視の信頼性を向上させるこ
とができ、水力機械の安定な運転を継続することができ
る。
【0055】なお、本実施の形態においては、測定値τ
n について増分を評価しているが、スラスト荷重Tn
演算した後で増分評価を行っても、同様の効果を得るこ
とができる。
【0056】さらに増分評価部28は、図8に示すよう
に、 Δτn <k1 の場合に、その時間変化分(増減分)(τn −τn-1
を積算変化分Dm として積算記憶し、その積算変化分が
別の一定値k2 を越えた場合に、前出力値にその積算変
化分を加えた値を出力するようにすることもできる。こ
の場合、熱変形による変形自体に起因する異常等を警報
発信等に利用することができる。
【0057】次に図9により、本発明による第5の実施
の形態の水力機械について説明する。図9において、第
5の実施の形態の水力機械10では、センサ台19およ
びギャップセンサ20を設ける代わりに、発電機主軸1
4の表面に歪みゲージ38が装着され、歪みゲージ38
にスラスト荷重算出部21が接続されている点が異なる
のみであり、その他の構成は図5に示す第4の実施の形
態と略同様である。図9において、図5に示す第4の実
施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説
明は省略する。
【0058】本実施の形態における増分評価部28は、
歪みゲージ38による発電機主軸14の歪み量の測定値
γn が逐次入力され、この測定値の時間変化が一定値以
上の場合には入力された測定値γn をそのまま出力し、
歪みゲージ38による測定値の時間変化が一定値未満の
場合には前測定時の出力値を出力するようになってい
る。また本実施の形態におけるスラスト荷重演算部21
は、増分評価部28からの出力に基づいてスラスト荷重
を求めるようになっている。
【0059】本実施の形態の増分評価部28における具
体的な処理フローは、図6に示す処理フローにおいてτ
をγと置き換えたものである。従って、本実施の形態に
よるスラスト荷重Tn の演算結果例も、図7に示す例と
同様となる。すなわち、本実施の形態のスラスト荷重演
算部21では、時間あたりの変化量が小さい熱変形によ
る測定値γn の変化分を除外してスラスト荷重を演算す
ることができる。
【0060】本実施の形態によれば、測定値γn の時間
変化が小さい場合にその時間変化を除外することによ
り、一般に時間あたりの変化量が小さい熱変形による測
定値γn の時間変化を除外することができるため、結果
的に発電機主軸14の撓み量の測定値γn から熱変形量
を差し引いたスラスト荷重Tn のみによる撓み量を算出
することができる。このため、発電機主軸14の温度上
昇に係わらず、スラスト荷重Tn を精度良く算出するこ
とができ、スラスト荷重の監視の信頼性を向上させるこ
とができ、水力機械の安定な運転を継続することができ
る。
【0061】なお、本実施の形態においても、第4の実
施の形態について述べたと同様、スラスト荷重Tn を演
算した後で増分評価を行ってもよい。さらに、増分評価
部28は、時間変化分(増減分)(γn −γn-1 )を積
算変化分Dm として積算記憶し、その積算変化分が別の
一定値を越えた場合に、前出力値にその積算変化分を加
えた値を出力するようにすることもでき、この場合、熱
変形による変形自体に起因する異常等を警報発信等に利
用することができる。
【0062】次に図10および図11により、本発明に
よる水力機械の第6の実施の形態について説明する。図
10において、第6の実施の形態の水力機械40では、
スラスト荷重演算部21を設ける代わりに、温度センサ
41がブラケット17に貼付られ、ギャップセンサ20
および温度センサ41にスラスト荷重補償演算部45が
接続されている点が異なるのみであり、その他の構成
は、図1に示す第1の実施の形態と略同様である。図1
0において、図1に示す第1の実施の形態と同一の部分
には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】本実施の形態の水力機械40では、センサ
台19に設けられたギャップセンサ20が、ブラケット
17の撓み量を適当な時間間隔で測定する一方、ブラケ
ット17に貼付された温度センサ41が、ブラケット1
7の温度を前記の時間間隔で測定する。このブラケット
17の撓み量の測定値および温度の測定値から、スラス
ト荷重補償演算部45がスラスト荷重を算出する。すな
わち、ブラケット17の温度の測定値からブラケット1
7の熱変形量を求め、ブラケット17の撓み量の測定値
から、前記熱変形量を差し引いたスラスト荷重のみによ
る変形量を算出し、この変形量から対応するスラスト荷
重を演算する。その後、例えば、算出されたスラスト荷
重が所定の値を越えた場合、警報を発する等の処理を行
う。
【0064】より具体的な処理フローを図11に示す。
まず、スラスト荷重補償演算部45において、ブラケッ
ト17の撓み量の測定値τn と、ブラケット17の温度
の測定値thn と、ブラケット17にかかるスラスト荷
重Tn との関係式を設定する。 ブラケット17の温度
上昇による撓み量τthは、ブラケットの上昇温度、すな
わち初期温度th0 と測定値温度thn との温度差Δt
n による次の関数で表される。 τth=f(Δthn ) ………(1) ただし、 Δthn =thn −th0 ………(2) である。ここで関数fは、ブラケット17の熱解析等を
行うことによって予め求められる。
【0065】一方、スラスト荷重Tと、スラスト荷重に
起因する撓み量τr は、次の関数で表される。 T=g(τr ) ………(3) この関数gは、ブラケット17のFEM解析等の強度解
析を行うことによって予め求められる。
【0066】ギャップセンサ20によって測定されるブ
ラケット17の撓み量の測定値τnは、スラスト荷重に
よる撓み量τr と温度上昇による撓み量τthとの和であ
る。すなわち、 τn =τr +τth ………(4) である。以上の関係式から、τn およびthn とTn
の関係を導けば、 Tn =g(τn −f(Δthn )) ………(5) となる。スラスト荷重補償演算部45には、関数f、関
数gおよび関係式(5)に基づき、具体的な関数式が設
定される。
【0067】次に、水力機械の運転前に、種々の初期設
定を行う。すなわち、th0 を測定し、τ0 の調整をし
て、T0 =0を調整する。
【0068】そして、水力機械の運転開始後、適当な時
間間隔でthn およびτn が計測され、これらの測定値
が前記の関数式に代入されて、Tn が演算される。Tn
が所定の値を越えた場合、この状態を異常状態と判断し
て警報を発信する。
【0069】本実施の形態によれば、ブラケット17の
温度を温度センサ41によって測定することによってブ
ラケット17の熱変形量を求めることができ、ブラケッ
ト17の撓み量の測定値からこの熱変形量を差し引いた
スラスト荷重のみによる変形量を算出することができる
ため、ブラケット17の温度変化に係わらず、スラスト
荷重を精度良く算出することができる。従って、スラス
ト荷重の監視の信頼性を向上させることができ、水力機
械の安定な運転を継続することができる。
【0070】次に図12により、本発明による水力機械
の第7の実施の形態について説明する。図12におい
て、第7の実施の形態の水力機械40では、センサ台1
9およびギャップセンサ20の代わりに、歪みゲージ4
2がブラケット17に水平方向に貼付され、歪みゲージ
42および温度センサ41にスラスト荷重補償演算部4
5が接続されている点が異なるのみであり、その他の構
成は、図10に示す第6の実施の形態と略同様である。
図12において、図10に示す第6の実施の形態と同一
の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】本実施の形態の水力機械40では、ブラケ
ット17に貼付された歪みゲージ42が、ブラケット1
7の歪み量を適当な時間間隔で測定する一方、ブラケッ
ト17に貼付された温度センサ41が、ブラケット17
の温度を前記の時間間隔で測定する。このブラケット1
7の歪み量の測定値および温度の測定値から、スラスト
荷重補償演算部45がスラスト荷重を算出する。すなわ
ち、ブラケット17の温度の測定値からブラケット17
の熱変形量を求め、ブラケット17の歪み量の測定値か
ら、前記熱変形量を差し引いたスラスト荷重のみによる
変形量を算出し、この変形量から対応するスラスト荷重
を演算する。その後、例えば、算出されたスラスト荷重
が所定の値を越えた場合、警報を発する等の処理を行
う。
【0072】具体的には、図11における処理フローに
おいて、撓み量τを歪み量γと置き換えた処理フローが
行われる。
【0073】本実施の形態によれば、ブラケット17の
温度を温度センサ41によって測定することによってブ
ラケット17の熱変形量を求めることができ、ブラケッ
ト17の歪み量の測定値からこの熱変形量を差し引いた
スラスト荷重のみによる変形量を算出することができる
ため、ブラケット17の温度変化に係わらず、スラスト
荷重を精度良く算出することができる。従って、スラス
ト荷重の監視の信頼性を向上させることができ、水力機
械の安定な運転を継続することができる。
【0074】次に図13により、本発明による水力機械
の第8の実施の形態について説明する。図13におい
て、第8の実施の形態の水力機械40では、温度センサ
41および歪みゲージ42が、ブラケット17の代わり
に発電機主軸14の軸方向に貼付されている点が異なる
のみであり、その他の構成は、図12に示す第7の実施
の形態と略同様である。図13において、図12に示す
第7の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して
詳細な説明は省略する。
【0075】本実施の形態の水力機械40では、発電機
主軸14に貼付された歪みゲージ42が、発電機主軸1
4の歪み量を適当な時間間隔で測定する一方、発電機主
軸14に貼付された温度センサ41が、発電機主軸14
の温度を前記の時間間隔で測定する。この発電機主軸1
4の歪み量の測定値および温度の測定値から、スラスト
荷重補償演算部45がスラスト荷重を算出する。すなわ
ち、発電機主軸14の温度の測定値から発電機主軸14
の熱変形量を求め、発電機主軸14の歪み量の測定値か
ら前記熱変形量を差し引いたスラスト荷重のみによる変
形量を算出し、この変形量から対応するスラスト荷重を
演算する。その後、例えば、算出されたスラスト荷重が
所定の値を越えた場合、警報を発する等の処理を行う。
【0076】具体的には、図11における処理フローに
おいて、撓み量τを歪み量γと置き換えた処理フローが
行われる。
【0077】本実施の形態によれば、発電機主軸14の
温度を温度センサ41によって測定することによって発
電機主軸14の熱変形量を求めることができ、発電機主
軸14の歪み量の測定値からこの熱変形量を差し引いた
スラスト荷重のみによる変形量を算出することができる
ため、発電機主軸14の温度変化に係わらず、スラスト
荷重を精度良く算出することができる。従って、スラス
ト荷重の監視の信頼性を向上させることができ、水力機
械の安定な運転を継続することができる。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、スラスト軸受とブラケ
ットとの間に熱絶縁板を装着することにより、ブラケッ
トの熱変形が防止されるため、ブラケットの撓み量を測
定することにより、精度良くブラケットにかかるスラス
ト荷重を算出することができる。このため、スラスト荷
重の監視の信頼性を向上させることができ、水力機械の
安定な運転を継続することができる。
【0079】また本発明によれば、歪みゲージは、ロー
ドセルの細径部分に貼付されているため、応力集中によ
って歪み量を大きくするとともに、遠心力による円周応
力の影響も極めて小さく抑えることができ、さらに、歪
みゲージの取付に関して取付剤の安定化処理が十分に行
えるという利点があるため、回転軸にかかるスラスト荷
重を精度良く算出することができ、スラスト荷重の監視
の信頼性を向上させることができ、水力機械の安定な運
転を継続することができる。また本発明によれば、ブラ
ケットあるいは回転軸の温度を温度センサによって測定
することによってブラケットあるいは回転軸の熱変形量
を求めることができ、ブラケットあるいは回転軸の変形
量の測定値からこの熱変形量を差し引いたスラスト荷重
のみによる変形量を算出することができるため、ブラケ
ットあるいは回転軸の温度変化に係わらず、スラスト荷
重を精度良く算出することができる。従って、スラスト
荷重の監視の信頼性を向上させることができ、水力機械
の安定な運転を継続することができる。
【0080】また本発明によれば、測定値の時間変化が
小さい場合にその時間変化を除外することにより、一般
に時間あたりの変化量が小さい熱変形による測定値の時
間変化を除外することができるため、結果的に、ブラケ
ットの撓み量の測定値から熱変形量を差し引いたスラス
ト荷重のみによる撓み量を算出することができ、あるい
は回転軸の歪み量の測定値から熱変形量を差し引いたス
ラスト荷重のみによる歪み量を算出することができる。
このため、ブラケットあるいは回転軸の温度上昇に係わ
らず、スラスト荷重を精度良く算出することができ、ス
ラスト荷重の監視の信頼性を向上させることができ、水
力機械の安定な運転を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水力機械の第1の実施の形態を示
す構成概略図。
【図2】本発明による水力機械の第2の実施の形態を示
す構成概略図。
【図3】本発明による水力機械の第3の実施の形態を示
す構成概略図。
【図4】図3における水力機械の発電機主軸およびロー
ドセルの拡大断面図。
【図5】本発明による水力機械の第4の実施の形態を示
す構成概略図。
【図6】図5における増分評価部の処理フローを示す
図。
【図7】図5におけるスラスト荷重演算部によるスラス
ト荷重演算結果の例を示す図。
【図8】図5における増分評価部の別の処理フローを示
す図。
【図9】本発明による水力機械の第5の実施の形態を示
す構成概略図。
【図10】本発明による水力機械の第6の実施の形態を
示す構成概略図。
【図11】図10におけるスラスト荷重補償演算部の処
理フローを示す図。
【図12】本発明による水力機械の第7の実施の形態を
示す構成概略図。
【図13】本発明による水力機械の第8の実施の形態を
示す構成概略図。
【図14】従来の水力機械を示す構成概略図。
【図15】従来の別の水力機械を示す構成概略図。
【符号の説明】
10 水力機械 11 ランナカバー 11a 背圧室シール 11b 側圧室シール 11c ランナ外周シール 12 ランナ 13 水車主軸 14 発電機主軸 14a 中心孔 15 発電機ロータ 16 スラスト軸受 17 ブラケット 18 軸受固定壁 19 センサ台 20 ギャップセンサ 21 スラスト荷重演算部 25 熱絶縁板 26 ロードセル 28 増分評価部 30 水力機械 31 ロードセル 31t 細径部分 32b 小型スラスト軸受 32n ナット 33 歪みゲージ 34 FMテレメータ 35 スラスト荷重演算部 38 歪みゲージ 41 温度センサ 42 歪みゲージ 45 スラスト荷重補償演算部 50 水力機械 51 ランナカバー 51a 背圧室シール 51b 側圧室シール 51c 外周シール 52 ランナ 53 水車主軸 54 発電機主軸 54a 中心孔 55 発電機ロータ 56 スラスト軸受 57 ブラケット 58 軸受固定壁 59 センサ台 60 ギャップセンサ 61 スラスト荷重算出部

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸を有しブラケットに支持された水力
    機械において、 軸受固定壁と、 軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をス
    ラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、 ブラケットとスラスト軸受との間に熱絶縁板を装着し、 ブラケットの撓み量を測定する撓みセンサを設け、 この撓みセンサからの測定値に基づいて回転軸に対する
    スラスト荷重を求めるスラスト荷重演算部を設け、たこ
    とを特徴とする水力機械。
  2. 【請求項2】ブラケットの撓み量を測定する撓みセンサ
    は、 軸受固定壁からブラケット下方へ延びて設けられたセン
    サ台と、 センサ台に載置されたギャップセンサと、を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の水力機械。
  3. 【請求項3】ブラケットの撓み量を測定する撓みセンサ
    は、熱絶縁板とブラケットとの間に挿入配置されたロー
    ドセルを有することを特徴とする請求項1に記載の水力
    機械。
  4. 【請求項4】回転軸を有しブラケットに支持された水力
    機械において、 軸受固定壁と、 軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をス
    ラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、 ブラケットの撓み量を測定する撓みセンサと、ブラケッ
    トの温度を測定する温度センサとを各々設け、 撓みセンサからの測定値と温度センサからの温度とに基
    づいて、撓みセンサからの測定値を温度で補償して回転
    軸に対するスラスト荷重を求めるスラスト荷重補償演算
    部を設け、たことを特徴とする水力機械。
  5. 【請求項5】回転軸を有しブラケットに支持された水力
    機械において、 軸受固定壁と、 軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をス
    ラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、 ブラケットの撓み量を略等間隔時間で連続に測定する撓
    みセンサを設け、 撓みセンサによる測定値が逐次入力され、撓みセンサに
    よる測定値の時間変化を算出し、この時間変化が一定値
    以上の場合には入力された測定値をそのまま出力し、撓
    みセンサによる測定値の時間変化が一定値未満の場合に
    は前測定時の出力値を出力する増分評価部を設け、 増分評価部からの出力に基づいてスラスト荷重を求める
    スラスト荷重演算部を設け、たことを特徴とする水力機
    械。
  6. 【請求項6】増分評価部は、撓みセンサによる測定値の
    時間変化が一定値未満の場合に、さらにその一定値未満
    の時間変化による増減分を積算変化分として積算記憶
    し、その積算変化分が別の一定値を越えた場合に、前出
    力値にその積算変化分を加えた値を出力することを特徴
    とする請求項5に記載の水力機械。
  7. 【請求項7】回転軸を有しブラケットに支持された水力
    機械において、 軸受固定壁と、 軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をス
    ラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、 回転軸の軸方向に中心孔を形成し、 長手方向の一部に細径部分を有するロードセルを回転軸
    の中心孔に挿入し、 回転軸の軸方向の歪み量を測定する歪みセンサをロード
    セルの細径部分に貼付し、 この歪みセンサからの測定値に基づいて回転軸に対する
    スラスト荷重を求めるスラスト荷重演算部を設け、たこ
    とを特徴とする水力機械。
  8. 【請求項8】回転軸を有しブラケットに支持された水力
    機械において、 軸受固定壁と、 軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をス
    ラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、 回転軸の歪み量を測定する歪みセンサと、回転軸の温度
    を測定する温度センサとを各々設け、 歪みセンサからの測定値と温度センサからの温度とに基
    づいて、歪みセンサからの測定値を温度で補償して回転
    軸に対するスラスト荷重を求めるスラスト荷重補償演算
    部を設け、たことを特徴とする水力機械。
  9. 【請求項9】回転軸を有しブラケットに支持された水力
    機械において、 軸受固定壁と、 軸受固定壁に支持されるとともに水力機械の回転軸をス
    ラスト軸受を介して支持するブラケットとを備え、 回転軸の歪み量を略等間隔時間で連続に測定する歪みセ
    ンサを設け、 歪みセンサによる測定値が逐次入力され、歪みセンサに
    よる測定値の時間変化を算出し、この時間変化が一定値
    以上の場合には入力された測定値をそのまま出力し、歪
    みセンサによる測定値の時間変化が一定値未満の場合に
    は前測定時の出力値を出力する増分評価部を設け、 増分評価部からの出力に基づいてスラスト荷重を求める
    スラスト荷重演算部を設け、たことを特徴とする水力機
    械。
  10. 【請求項10】増分評価部は、歪みセンサによる測定値
    の時間変化が一定値未満の場合に、さらにその一定値未
    満の時間変化による増減分を積算変化分として積算記憶
    し、その積算変化分が別の一定値を越えた場合に、前出
    力値にその積算変化分を加えた値を出力することを特徴
    とする請求項9に記載の水力機械。
  11. 【請求項11】請求項4記載のブラケットに支持された
    水力機械における回転軸のスラスト荷重監視方法におい
    て、 撓みセンサにより、ブラケットの撓み量を測定する工程
    と、 温度センサにより、ブラケットの温度を測定する工程
    と、 スラスト荷重補償演算部により、撓みセンサによる撓み
    量の測定値を温度センサによる温度の測定値で補償して
    スラスト荷重を求める工程と、を備えたことを特徴とす
    る水力機械のスラスト荷重の監視方法。
  12. 【請求項12】請求項5記載のブラケットに支持された
    水力機械における回転軸のスラスト荷重監視方法におい
    て、 撓みセンサにより、ブラケットの撓み量を略等間隔時間
    で連続に測定する工程と、 増分評価部により、撓みセンサによる撓み量の測定値の
    時間変化が一定値未満か否かを判断して、撓みセンサに
    よる測定値の時間変化が一定値以上の場合には入力され
    た測定値をそのまま出力し、撓みセンサによる測定値の
    時間変化が一定値未満の場合には前測定時の出力値を出
    力する工程と、 スラスト荷重演算部により、増分評価部からの出力に基
    づいてスラスト荷重を求める工程と、を備えたことを特
    徴とする水力機械のスラスト荷重の監視方法。
  13. 【請求項13】増分評価部により、撓みセンサによる撓
    み量の測定値の時間変化が一定値未満か否かを判断し
    て、撓みセンサによる測定値の時間変化が一定値以上の
    場合には入力された測定値をそのまま出力し、撓みセン
    サによる測定値の時間変化が一定値未満の場合には前測
    定時の出力値を出力する工程は、 撓みセンサによる撓み量の測定値の時間変化が一定値未
    満の場合に、その一定値未満の時間変化による増減分を
    積算変化分として積算記憶する工程と、 積算変化分が別の一定値を越えた場合に、前測定時の出
    力値にその積算変化分を加えた値を出力させる工程と、
    を更に含んでいることを特徴とする請求項12に記載の
    水力機械のスラスト荷重の監視方法。
  14. 【請求項14】請求項8記載のブラケットに支持された
    水力機械における回転軸のスラスト荷重監視方法におい
    て、 歪みセンサにより、回転軸の歪み量を測定する工程と、 温度センサにより、回転軸の温度を測定する工程と、 スラスト荷重補償演算部により、歪みセンサによる歪み
    量の測定値を温度センサによる温度の測定値で補償して
    スラスト荷重を求める工程と、を備えたことを特徴とす
    る水力機械のスラスト荷重の監視方法。
  15. 【請求項15】請求項9記載のブラケットに支持された
    水力機械における回転軸のスラスト荷重監視方法におい
    て、 歪みセンサにより、回転軸の歪み量を略等間隔時間で連
    続に測定する工程と、 増分評価部により、歪みセンサによる歪み量の測定値の
    時間変化が一定値未満か否かを判断して、歪みセンサに
    よる測定値の時間変化が一定値以上の場合には入力され
    た測定値をそのまま出力し、歪みセンサによる測定値の
    時間変化が一定値未満の場合には前測定時の出力値を出
    力する工程と、 スラスト荷重演算部により、増分評価部からの出力に基
    づいてスラスト荷重を求める工程と、を備えたことを特
    徴とする水力機械のスラスト荷重の監視方法。
  16. 【請求項16】増分評価部により、歪みセンサによる歪
    み量の測定値の時間変化が一定値未満か否かを判断し
    て、歪みセンサによる測定値の時間変化が一定値以上の
    場合には入力された測定値をそのまま出力し、歪みセン
    サによる測定値の時間変化が一定値未満の場合には前測
    定時の出力値を出力する工程は、 歪みセンサによる撓み量の測定値の時間変化が一定値未
    満の場合に、その一定値未満の時間変化による増減分を
    積算変化分として積算記憶する工程と、 積算変化分が別の一定値を越えた場合に、前測定時の出
    力値にその積算変化分を加えた値を出力させる工程と、
    を更に含んでいることを特徴とする請求項15に記載の
    水力機械のスラスト荷重の監視方法。
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