JPH1117172A - 電界効果型半導体装置、電界効果トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

電界効果型半導体装置、電界効果トランジスタおよびその製造方法

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JPH1117172A
JPH1117172A JP16360097A JP16360097A JPH1117172A JP H1117172 A JPH1117172 A JP H1117172A JP 16360097 A JP16360097 A JP 16360097A JP 16360097 A JP16360097 A JP 16360097A JP H1117172 A JPH1117172 A JP H1117172A
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Naoto Matsuo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短チャネル効果を抑制することが可能でかつ
精度良く作製することができる電界効果トランジスタお
よびその製造方法を提供することである。 【解決手段】 p型シリコン基板1の表面に所定間隔を
隔ててn+ 層からなるソース領域4およびドレイン領域
5が形成されている。ソース領域4とドレイン領域5と
の間におけるシリコン基板1の領域がチャネル領域7と
なる。チャネル領域7上にゲート酸化膜2およびゲート
電極3が順に形成されている。ソース領域4とチャネル
領域7との間およびドレイン領域5とチャネル領域7と
の間にそれぞれトンネル酸化膜6a,6bが挿入されて
いる。トンネル酸化膜6a,6bによりソース領域4お
よびドレイン領域5の端部で電圧降下が発生し、ドレイ
ン領域5の端部で電界の急激な増加が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界効果型半導体
装置、電界効果トランジスタおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、LSI(大規模集積回路)の高集
積化および高速化のために素子の微細化が急速に図られ
ている。素子の微細化の際に良好な素子性能および回路
性能を実現するための方法として、素子寸法およびそれ
に関係するパラメータを適正に縮小または増加させる比
例縮小則(スケーリングルール)が提案されている。
【0003】しかし、実際には、すべてのパラメータを
この比例縮小則に沿うように変化させることは困難であ
る。特に、電源電圧は、周辺回路における電源電圧の要
請により素子寸法に比例して低減することができない。
そのため、電源電圧を一定のままで素子寸法を縮小する
ことになり、比例縮小則から外れることになる。
【0004】その結果、金属−酸化膜−半導体電界効果
トランジスタ(以下、MOSトランジスタと呼ぶ。)等
の電界効果型半導体装置では、素子の微細化に伴ってホ
ットキャリアによる素子特性の変動やゲート酸化膜の絶
縁破壊を引き起こす短チャネル効果が発生する。
【0005】このような短チャネル効果を抑制するため
に、LDD(Lightly Doped Drain)構造が用いられて
いる。図16はLDD構造を有する従来のMOSトラン
ジスタの構造を示す模式的断面図である。
【0006】図16において、p型シリコン基板31の
表面に所定間隔を隔ててn+ 層からなるソース領域34
およびドレイン領域35が形成されている。ソース領域
34とドレイン領域35との間におけるシリコン基板3
1の領域がチャネル領域37となる。チャネル領域37
上にはゲート酸化膜32を介してゲート電極33が形成
されている。ゲート電極33の両側面にはそれぞれ絶縁
膜38a,38bが形成されている。
【0007】ソース領域34の端部およびドレイン領域
35の端部には、チャネル方向に向かって広がる不純物
濃度の低いn- 層36a,36bがそれぞれ形成されて
いる。
【0008】図16のMOSトランジスタにおいては、
ドレイン領域35とソース領域34との間にドレイン電
圧を印加した際に、比較的抵抗値の高いn- 層36a,
36bによりドレイン領域35の端部近傍で生じる電界
の急激な増加が抑制される。それにより、MOSトラン
ジスタの高耐圧化およびホットキャリアの抑制が実現さ
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、LDD
構造を有する従来のMOSトランジスタにおいては、n
- 層36a,36bを精度良く形成することが困難であ
る。n- 層36a,36b間の距離がばらつくと、チャ
ネル抵抗が変化する。それにより、MOSトランジスタ
の特性がばらつくという問題がある。
【0010】本発明の目的は、短チャネル効果を抑制す
ることが可能でかつ精度良く作製することができる電界
効果型半導体装置を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、短チャネル効果を抑
制することが可能でかつ精度良く作製することができる
電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の
発明に係る電界効果型半導体装置は、ソース領域とドレ
イン領域との間にチャネル領域が設けられ、ソース領域
とチャネル領域との間およびドレイン領域およびチャネ
ル領域との間にそれぞれトンネル絶縁膜が挿入されたも
のである。
【0013】本発明に係る電界効果型半導体装置におい
ては、ドレイン領域とソース領域との間にドレイン電圧
を印加した際に、ソース領域とチャネル領域との間に挿
入されたトンネル絶縁膜およびドレイン領域とチャネル
領域との間に挿入されたトンネル絶縁膜によりソース領
域およびドレイン領域の端部でそれぞれ電圧降下が発生
する。それにより、ドレイン領域の端部での急激な電界
の増加が抑制される。その結果、ホットキャリアによる
素子特性の変動やゲート絶縁膜の絶縁破壊を引き起こす
短チャネル効果が抑制され、高耐圧化が図られる。
【0014】特に、チャネル長が減少するほど、ドレイ
ン電圧のうち各トンネル絶縁膜にかかる電圧の比率が増
加する。それにより、素子の微細化が進むほど、短チャ
ネル効果の抑制率が高くなる。
【0015】しかも、トンネル絶縁膜のチャネル方向に
おける膜厚は精度良く制御することができるので、素子
特性を容易に均一化することが可能となる。
【0016】第2の発明に係る電界効果トランジスタ
は、半導体基板または半導体層のチャネル領域の両側に
それぞれ形成されたソース領域およびドレイン領域と、
チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶
縁膜上に形成されたゲート電極と、ソース領域のチャネ
ル領域側の端部に設けられた第1のトンネル絶縁膜と、
ドレイン領域のチャネル領域側の端部に設けられた第2
のトンネル絶縁膜とを備えたものである。
【0017】本発明に係る電界効果トランジスタにおい
ては、ドレイン領域とソース領域との間にドレイン電圧
を印加した際に、ソース領域のチャネル領域側の端部に
設けられた第1のトンネル絶縁膜およびドレイン領域の
チャネル領域側の端部に設けられた第2のトンネル絶縁
膜によりソース領域およびドレイン領域の端部でそれぞ
れ電圧降下が発生する。それにより、ドレイン領域の端
部での急激な電界の増加が抑制される。その結果、ホッ
トキャリアによる素子特性の変動やゲート絶縁膜の絶縁
破壊を引き起こす短チャネル効果が抑制され、高耐圧化
が図られる。
【0018】特に、チャネル長が減少するほど、ドレイ
ン電圧のうち第1および第2のトンネル絶縁膜にかかる
電圧の比率が増加する。それにより、素子の微細化が進
むほど、短チャネル効果の抑制率が高くなる。
【0019】しかも、第1および第2のトンネル絶縁膜
のチャネル方向における膜厚は精度良く制御することが
できるので、素子特性を容易に均一化することが可能と
なる。
【0020】チャネル方向における第1および第2のト
ンネル絶縁膜の膜厚はそれぞれ0.5nm以上5nm以
下であることが好ましい。これにより、膜形成が可能で
かつ電子がトンネリングすることが可能となる。特に、
十分な電界緩和効果が得られ、かつ電子のトンネリング
が容易になるように、各トンネル絶縁膜の膜厚が1nm
以上4nm以下であることがより好ましく、さらに十分
な電界緩和効果が得られ、かつ電子のトンネリングが容
易になるように、各トンネル絶縁膜の膜厚が2nm以上
4nm以下であることがさらに好ましい。
【0021】半導体基板または半導体層はシリコンから
なってもよい。この場合、シリコンからなる電界効果ト
ランジスタにおいて短チャネル効果が抑制される。ある
いは、半導体基板または半導体層が化合物半導体からな
ってもよい。この場合、化合物半導体からなる電界効果
トランジスタにおいて短チャネル効果が抑制される。
【0022】第1のトンネル絶縁膜と第2のトンネル絶
縁膜との間のチャネル領域の長さは量子力学的効果の発
生する長さであってもよい。
【0023】この場合、第1および第2のトンネル絶縁
膜が構成する二重障壁により共鳴トンネル現象が発生す
る。その結果、ゲート電圧−ドレイン電流特性の立ち上
がりが急峻となり、スイッチング特性が良好となる。
【0024】また、第1および第2のトンネル絶縁膜の
各々は、複数の絶縁膜が半導体膜または絶縁膜を介して
チャネル方向に積層されてなる多層構造を有してもよ
い。この場合、十分な電界緩和効果が得られ、かつ耐圧
性が向上する。
【0025】特に、第1のトンネル絶縁膜と第2のトン
ネル絶縁膜との間のチャネル領域の長さが量子力学的効
果の発生する長さである場合には、多層構造を有する第
1のトンネル絶縁膜および多層構造を有する第2のトン
ネル絶縁膜が構成する多重障壁により多重共鳴トンネル
現象が発生する。その結果、ゲート電圧−ドレイン電流
特性の立ち上がりがさらに急峻となり、スイッチング特
性がさらに良好となる。
【0026】第3の発明に係る電界効果トランジスタの
製造方法は、半導体基板または半導体層上にゲート絶縁
膜およびゲート電極を順に形成する工程と、ゲート絶縁
膜の両側における半導体基板または半導体層にそれぞれ
第1および第2の凹部を形成する工程と、第1および第
2の凹部内の側面にそれぞれトンネル絶縁膜を形成する
工程と、第1および第2の凹部内にそれぞれソース領域
およびドレイン領域を形成する工程とを備えたものであ
る。
【0027】本発明に係る電界効果トランジスタの製造
方法においては、第1の凹部内の側面および第2の凹部
内の側面にトンネル絶縁膜がそれぞれ形成されることに
より、ソース領域のチャネル領域側の端部およびドレイ
ン領域のチャネル領域側の端部にそれぞれトンネル絶縁
膜が形成される。この場合、トンネル絶縁膜のチャネル
方向における膜厚は精度良く制御することができるの
で、素子特性を容易に均一化することが可能となる。
【0028】本発明に係る製造方法により製造された電
界効果トランジスタにおいては、ドレイン領域とソース
領域との間にドレイン電圧を印加した際に、ソース領域
のチャネル領域側の端部およびドレイン領域のチャネル
領域側の端部にそれぞれ設けられたトンネル絶縁膜によ
り、ソース領域およびドレイン領域の端部でそれぞれ電
圧降下が発生する。それにより、ドレイン領域の端部で
の急激な電界の増加が抑制される。その結果、ホットキ
ャリアによる素子特性の変動やゲート絶縁膜の絶縁破壊
を引き起こす短チャネル効果が抑制され、高耐圧化が図
られる。
【0029】特に、チャネル長が減少するほど、ドレイ
ン電圧のうち各トンネル絶縁膜にかかる電圧の比率が増
加するので、素子の微細化が進むほど、短チャネル効果
の抑制率が高くなる。
【0030】第4の発明に係る電界効果トランジスタの
製造方法は、半導体基板または半導体層上にゲート絶縁
膜およびゲート電極を順に形成する工程と、ゲート絶縁
膜の両側における半導体基板または半導体層にそれぞれ
ソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、ゲー
ト絶縁膜およびゲート電極の両側面に第1の材料層を形
成する工程と、半導体基板または半導体層の上面に第2
の材料層を形成する工程と、ゲート絶縁膜およびゲート
電極の両側面に形成された第1の材料層を除去する工程
と、半導体基板または半導体層上の第2の材料層をエッ
チングにより除去することにより、ゲート絶縁膜の両側
面の近傍における半導体基板または半導体層にそれぞれ
第1および第2の溝を設ける工程と、半導体基板または
半導体層に設けられた第1および第2の溝内にそれぞれ
第1および第2のトンネル絶縁膜を形成する工程とを備
えたものである。
【0031】本発明に係る電界効果トランジスタの製造
方法においては、半導体基板または半導体層に設けられ
た第1および第2の溝内にそれぞれ第1および第2のト
ンネル絶縁膜が形成されることにより、ソース領域のチ
ャネル領域側の端部およびドレイン領域のチャネル領域
の端部にそれぞれ第1および第2のトンネル絶縁膜が形
成される。
【0032】この場合、第1および第2のトンネル絶縁
膜のチャネル方向における膜厚は第1および第2の溝の
幅で決まり、第1および第2の溝の幅はゲート絶縁膜お
よびゲート電極の両側面に形成される第1の材料層の膜
厚で決まる。第1の材料層の膜厚は精度良く制御するこ
とができるので、第1および第2のトンネル絶縁膜のチ
ャネル方向における膜厚も精度良く制御することができ
る。したがって、素子特性を容易に均一化することが可
能となる。
【0033】本発明に係る製造方法により製造された電
界効果トランジスタにおいては、ドレイン領域とソース
領域との間にドレイン電圧を印加した際に、ソース領域
のチャネル領域側の端部およびドレイン領域のチャネル
領域側の端部にそれぞれ設けられた第1および第2のト
ンネル絶縁膜により、ソース領域およびドレイン領域の
端部でそれぞれ電圧降下が発生する。それにより、ドレ
イン領域の端部での急激な電界の増加が抑制される。そ
の結果、ホットキャリアによる素子特性の変動やゲート
絶縁膜の絶縁破壊を引き起こす短チャネル効果が抑制さ
れ、高耐圧化が図られる。
【0034】特に、チャネル長が減少するほど、ドレイ
ン電圧のうち第1および第2のトンネル絶縁膜にかかる
電圧の比率が増加するので、素子の微細化が進むほど、
短チャネル効果の抑制率が高くなる。
【0035】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
MOSトランジスタの構造を示す模式的断面図である。
【0036】図1において、p型シリコン基板1の表面
に、所定間隔を隔ててn+ 層からなるソース領域4およ
びドレイン領域5が形成されている。ソース領域4とド
レイン領域5との間におけるシリコン基板1の領域がチ
ャネル領域7となる。チャネル領域7上には、SiO2
からなるゲート酸化膜2が形成され、ゲート酸化膜2上
にゲート電極3が形成されている。
【0037】また、ソース領域4とチャネル領域7との
間にはSiO2 からなるトンネル酸化膜6aが形成さ
れ、ドレイン領域5とチャネル領域7との間にはSiO
2 からなるトンネル酸化膜6bが形成されている。
【0038】各トンネル酸化膜6a,6bの膜厚
OXS ,dOXD は、膜形成が可能でかつ電子がトンネル
できるように0.5nm〜5nmであることが好まし
く、十分な電界緩和効果が得られ、かつ電子のトンネリ
ングが容易になるように、1nm〜4nmであることが
より好ましく、さらに十分な電界緩和効果が得られ、か
つ電子のトンネリングが容易になるように、2nm〜4
nmであることがさらに好ましい。
【0039】ソース領域4は接地され、ドレイン領域5
にはドレイン電圧Vdsが印加される。また、ゲート電極
3にはゲート電圧Vgsが印加される。このMOSトラン
ジスタにおいては、トンネル酸化膜6a,6b間の距離
がチャネル長Lとなる。
【0040】本実施例のMOSトランジスタにおいて
は、ドレイン領域5とソース領域4との間にドレイン電
圧Vdsを印加した際に、ソース領域4およびドレイン領
域5の内側端部にそれぞれ挿入されたトンネル酸化膜6
により、ソース領域4およびドレイン領域5の端部でそ
れぞれ電圧降下が発生する。それにより、ドレイン領域
5の端部での急激な電界の増加が抑制される。その結
果、短チャネル効果が抑制され、高耐圧化が図られる。
【0041】特に、チャネル長Lが減少するほど、ドレ
イン電圧Vdsのうちトンネル酸化膜6a,6bにかかる
電圧の比率が増加する。それにより、素子の微細化が進
むほど、短チャネル効果の抑制率が高くなる。
【0042】さらに、後述するように、チャネル長Lが
量子力学的効果の出現する領域になると、2つのトンネ
ル酸化膜6a,6bが構成する二重障壁により共鳴トン
ネル現象が発生し、素子特性が変化する。
【0043】図2は実施例および従来例のMOSトラン
ジスタにおけるチャネル方向の電界分布の計算結果を示
す図である。また、図3は実施例および従来例のMOS
トランジスタにおけるチャネル方向の電位分布の計算結
果を示す図である。さらに、図4は実施例および従来例
のMOSトランジスタにおけるチャネル方向の電子濃度
分布の計算結果を示す図である。図2、図3および図4
において、(a)はチャネル長Lが100nmの場合、
(b)はチャネル長Lが50nmの場合、(c)はチャ
ネル長Lが10nmの場合である。
【0044】図2、図3および図4の横軸は、チャネル
方向におけるソース領域4からの距離を表している。こ
の計算においては、ゲート電圧Vgsを5.0Vとし、ド
レイン電圧Vdsを2.0Vとした。また、本実施例のM
OSトランジスタにおいて、ソース領域4の端部のトン
ネル酸化膜6aの膜厚dOXS およびドレイン領域5の端
部のトンネル酸化膜6bの膜厚dOXD はともに3.0n
mとした。なお、従来例のMOSトランジスタは、図1
の構造においてトンネル酸化膜6a,6bを有さないも
のである。
【0045】図2に示すように、実施例および従来例の
MOSトランジスタの両方において、チャネル長Lの減
少に伴ってチャネル内の電界分布の絶対値が増加してい
る。しかし、同一のチャネル長Lで両者を比較すると、
実施例のMOSトランジスタでは、従来例のMOSトラ
ンジスタに比べて電界の絶対値が小さく、ドレイン領域
5の端部近傍で電界の増加率が小さくなっている。この
傾向は、チャネル長Lが小さくなるほど顕著に表れてい
る。
【0046】次に、図3に示すように、実施例および従
来例のMOSトランジスタの両方において、チャネル長
Lの減少に伴って電位の増加率が大きくなっている。同
一のチャネル長Lで両者を比較すると、従来例のMOS
トランジスタでは、ドレイン領域5の端部近傍での電位
がドレイン電圧Vdsと等しくなっているのに対し、実施
例のMOSトランジスタでは、チャネル長Lが減少する
にしたがってドレイン領域5の端部近傍での電位が低下
する傾向にある。
【0047】さらに、図4に示すように、従来例のMO
Sトランジスタでは、ソース領域4の端部近傍およびド
レイン領域5の端部近傍での電子濃度がチャネル長Lに
依存せずそれぞれ同じになっており、濃度勾配がチャネ
ル長Lの減少にしたがって大きくなっている。これに対
して、本実施例のMOSトランジスタでは、チャネル長
Lの減少に伴ってドレイン領域5の端部近傍での電子濃
度が増加している。
【0048】図2の結果から、チャネル長Lが同一の場
合、実施例のMOSトランジスタでは、従来例のMOS
トランジスタに比べてドレイン領域5の端部近傍での電
界の増加率が抑制されていることがわかる。
【0049】これは、ソース領域4およびドレイン領域
5の端部にそれぞれ形成されたトンネル酸化膜6a,6
bにより電圧降下が発生し、電界が緩和されているため
であると考えられる。
【0050】これにより、図3に示したように、実施例
のMOSトランジスタでは、ソース領域4およびドレイ
ン領域5の端部にそれぞれ形成されたトンネル酸化膜6
a,6bの電圧降下分だけチャネルにかかる電圧が低下
する。
【0051】そして、シリコンの比誘電率が11.7で
あり、SiO2 の比誘電率が3.9であることを考える
と、チャネル長Lが減少するにしたがってトンネル酸化
膜6a,6bにかかるドレイン電圧Vdsの分配量の増加
によりトンネル酸化膜6a,6bの電界緩和効果が顕著
になることがわかる。
【0052】その結果、図4に示したように、実施例の
MOSトランジスタでは、トンネル酸化膜6a,6bに
よるチャネル内の電界緩和効果により従来例のMOSト
ランジスタと比較して電子濃度の勾配が緩やかになる。
【0053】図5(a)は従来例のMOSトランジスタ
におけるドレイン電圧Vdsに対するドレイン電流Ids
計算結果を示す図、図5(b)は実施例のMOSトラン
ジスタにおけるドレイン電圧Vdsに対するドレイン電流
dsの計算結果を示す図である。この計算では、ゲート
電圧Vgsを5.0Vとした。
【0054】実施例のMOSトランジスタにおいて、ソ
ース・ドレイン間を流れる電流、すなわちソース・ドレ
イン間を流れる電子はソース領域4の端部に形成された
トンネル酸化膜6aをトンネルし、チャネル内を拡散お
よびドリフトによりドレイン領域5側に向かって流れ、
ドレイン領域5の端部に形成されたトンネル酸化膜6b
をトンネルし、ドレイン領域5に流れ込む。この場合、
電子がトンネル酸化膜6a,6bをトンネルする時間
は、電子がチャネル内で拡散およびドリフトする時間と
比較して非常に短いと考えられる。そのため、実施例の
MOSトランジスタのドレイン電流Idsでは、拡散電流
成分およびドリフト電流成分が支配的になるとして計算
を行った。
【0055】図5(a)に示すように、従来のMOSト
ランジスタでは、チャネル長Lの減少に伴ってドレイン
電流Idsが大幅に増加している。図5(b)に示すよう
に、本実施例のMOSトランジスタにおいても、従来の
MOSトランジスタと同様の傾向を示すが、各ドレイン
電圧Vdsに対するドレイン電流Idsの値は減少し、電流
の増加率も減少している。
【0056】ここで、従来例のMOSトランジスタに対
する実施例のMOSトランジスタの電界緩和効果を従来
例のMOSトランジスタに対するLDD構造を有するM
OSトランジスタの電界緩和効果と比較した。実施例の
MOSトランジスタにおいて、チャネル長Lを100n
mとし、各トンネル酸化膜6a,6bの膜厚を3.0n
mとした場合、ドレイン領域5の端部近傍での電界緩和
量は従来例のMOSトランジスタに対して約0.79倍
となる。一方、ドーズ量1.0×1014/cm 3 で作製
されたLDD構造を有するMOSトランジスタでは、チ
ャネル長Lを100nmとした場合、ドレイン領域の端
部近傍での電界緩和量は従来のMOSトランジスタに対
して約0.62倍になる。
【0057】この結果から、チャネル長Lが100nm
の場合には、実施例のMOSトランジスタでは、LDD
構造を有するMOSトランジスタと比較して電界緩和量
はやや小さいが、前述のように、実施例のMOSトラン
ジスタでは、チャネル長Lが減少するにしたがって電界
緩和量が増加するため、素子の微細化に伴ってLDD構
造を有するMOSトランジスタに比べて優れた電界緩和
性能を有すると考えられる。
【0058】次に、実施例のMOSトランジスタのチャ
ネル方向のエネルギーバンドを考えると、ソース領域4
およびドレイン領域5の端部に形成されたトンネル酸化
膜6a,6bにより二重障壁構造が構成される。そのた
め、チャネル長Lが量子力学的効果の現れる領域(例え
ば10nm程度)になると、2つのトンネル酸化膜6
a,6bの二重障壁による共鳴トンネル現象が生じると
考えられる。そこで、このトンネル酸化膜6a,6bの
二重障壁による共鳴トンネル現象に関する数値解析を行
った。
【0059】図6は実施例のMOSトランジスタにおけ
るドレイン電圧Vdsに対する透過係数特性の計算結果を
示す図である。この計算では、チャネル長Lを10nm
とし、ソース領域4の端部のトンネル酸化膜6aの膜厚
OXS およびドレイン領域5の端部のトンネル酸化膜6
bの膜厚dOXD をともに3.0nmとした。すなわち、
2つのトンネル酸化膜6a,6bの膜厚を対称に設定し
た。
【0060】この場合、ドレイン電圧Vdsを印加するこ
とにより二重障壁の非対称性が大きくなる。図6の透過
係数特性の計算結果より、共鳴トンネル現象による複数
の透過係数のピークを確認することができる。また、共
鳴時における透過係数の値は非共鳴時に比べて十数桁増
加している。この共鳴トンネル現象は、チャネル長Lが
非常に小さくなることにより、複数の量子準位が形成さ
れたことにより生じると考えられる。
【0061】これらの結果から、二重障壁による透過係
数特性は、2つのトンネル酸化膜6a,6bの膜厚d
OXS ,dOXD を等しく設定してドレイン電圧Vdsにより
二重障壁の非対称性を増加させても、非常に鋭いピーク
を持つことがわかった。この透過係数特性のピークは、
ドレイン領域5の端部のトンネル酸化膜6bの膜厚dOX
D をソース領域4の端部のトンネル酸化膜6aの膜厚d
OXS に比べて厚くし、ドレイン電圧Vdsにより二重障壁
の非対称性が緩和されるような構造にすることにより、
さらに大きくすることができると考えられる。これによ
り、ゲート電圧V gs−ドレイン電流Ids特性(スレッシ
ホールド特性)の立ち上がりが急峻となり、スイッチン
グ特性が良好となる。
【0062】以上のように、実施例のMOSトランジス
タにおいて、チャネル長Lが比較的長い場合には通常の
MOSトランジスタと同様の特性を示し、チャネル長L
が非常に短くなると、共鳴トンネル現象によりトランジ
スタ特性が変化することになる。
【0063】図7および図8は本実施例のMOSトラン
ジスタの製造方法の第1の例を示す工程断面図である。
【0064】まず、図7(a)に示すように、p型シリ
コン基板1上に、SiO2 からなるゲート酸化膜2およ
び多結晶シリコンからなるゲート電極3を順に形成す
る。そして、図7(b)に示すように、ゲート酸化膜2
およびゲート電極3の両側におけるシリコン基板1の領
域に、ドライエッチングによりそれぞれ凹部11a,1
1bを形成する。その後、図7(c)に示すように、全
面に熱酸化法により膜厚30Å程度のSiO2 からなる
酸化膜6を形成する。
【0065】次に、図8(d)に示すように、スパッタ
リングまたは異方性ドライエッチングによりシリコン基
板1の上面およびゲート電極3の上面の酸化膜6を除去
する。それにより、凹部11a,11bの側面およびゲ
ート電極3の側面に酸化膜6が残る。
【0066】その後、シリコンの選択的エピタキシャル
成長、多結晶シリコンの蒸着またはシリサイドの形成に
より、凹部11a,11b内にそれぞれn+ 層からなる
ソース電極8aおよびドレイン電極8bを形成するとと
もに、ゲート電極3上に配線層8cを形成する。
【0067】この場合、ソース電極8aおよびドレイン
電極8bがそれぞれ図1のソース領域4およびドレイン
領域5に相当し、ソース電極8aとドレイン電極8bと
の間のシリコン基板1の領域がチャネル領域7となる。
また、ソース電極8aとチャネル領域7との間の酸化膜
がトンネル酸化膜6aとなり、ドレイン電極8bとチャ
ネル領域7との間の酸化膜がトンネル酸化膜6bとな
る。
【0068】図9、図10および図11は本実施例のM
OSトランジスタの製造方法の第2の例を示す工程断面
図である。
【0069】まず、図9(a)に示すように、p型シリ
コン基板1上にゲート酸化膜2およびゲート電極3を順
に形成した後、ゲート電極3およびゲート酸化膜2をマ
スクとしてn型不純物(n型ドーパント)をイオン注入
することにより、シリコン基板1の表面にn+ 層からな
るソース領域4およびドレイン領域5を形成する。ソー
ス領域4とドレイン領域5との間のシリコン基板1の領
域がチャネル領域7となる。
【0070】次に、図9(b)に示すように、全面に膜
厚30Å程度のSiO2 またはSiNからなる絶縁膜を
蒸着法等により形成し、スパッタリングまたは異方性ド
ライエッチングによりシリコン基板1の上面およびゲー
ト電極3の上面の絶縁膜を除去する。それにより、ゲー
ト酸化膜2およびゲート電極3の側面に絶縁膜9が残
る。
【0071】その後、図9(c)に示すように、シリコ
ンの選択エピタキシャル成長により、シリコン基板1の
上面およびゲート電極3の上面にシリコン層10を形成
する。
【0072】次に、図10(d)に示すように、ゲート
酸化膜2およびゲート電極3の側面の絶縁膜9をエッチ
ングにより除去する。絶縁膜9がSiO2 からなる場合
にはエッチング液としてHF(弗化水素)を用い、側面
の絶縁膜9がSiNからなる場合にはエッチング液とし
て燐酸を用いる。これにより、ゲート酸化膜2の側面と
シリコン層10の端縁との間に溝12が形成される。
【0073】次に、図10(e)に示すように、全面を
ドライエッチングすることによりシリコン基板1の上面
およびゲート電極3の上面のシリコン層10を除去する
とともに、ゲート酸化膜2の側面近傍のシリコン基板1
の領域に溝13を形成する。
【0074】次に、図10(f)に示すように、全面に
熱酸化法によりSiO2 からなる酸化膜60を形成す
る。これにより、溝13内にトンネル酸化膜6a,6b
がそれぞれ形成される。
【0075】最後に、図11(g)に示すように、ソー
ス領域4およびドレイン領域5上の酸化膜60をエッチ
ングにより除去し、ソース領域4およびドレイン領域5
上にそれぞれソース電極14およびドレイン電極15を
形成する。
【0076】図1のMOSトランジスタにおいては、ソ
ース領域4の端部およびドレイン領域5の端部にそれぞ
れ単層のトンネル酸化膜6a,6bが形成されている
が、ソース領域4の端部およびドレイン領域5の端部に
それぞれ多層構造のトンネル絶縁膜(以下、多層トンネ
ル絶縁膜と呼ぶ。)を設けてもよい。次に、多層トンネ
ル絶縁膜を有するMOSトランジスタの製造方法につい
て説明する。
【0077】図12および図13は多層トンネル絶縁膜
を有するMOSトランジスタの製造方法の第1の例を示
す工程断面図である。
【0078】まず、図7(a),(b)に示した工程に
よりp型シリコン基板1上にゲート酸化膜2およびゲー
ト電極3を形成し、ゲート酸化膜2およびゲート酸化膜
3の両側におけるシリコン基板1の領域にそれぞれ凹部
11a,11bを形成する。そして、図12(a)に示
すように、全面に熱酸化法により膜厚30Å程度のSi
2 からなる酸化膜6を形成する。
【0079】次に、図12(b)に示すように、酸化膜
6上に、CVD法(化学的気相成長法)またはMBE法
(分子線エピタキシー法)により膜厚0.5〜10nm
のシリコン膜16を形成する。
【0080】さらに、図12(c)に示すように、シリ
コン膜16上に、CVD法またはスパッタ法により膜厚
0.5〜10nmのSiO2 からなる酸化膜17を形成
する。
【0081】次に、図13(d)に示すように、スパッ
タリングまたは異方性ドライエッチングによりシリコン
基板1の上面およびゲート電極3の上面の酸化膜6、シ
リコン膜16および酸化膜17を除去する。それによ
り、凹部11a,11bの側面ならびにゲート酸化膜2
およびゲート電極3の側面に酸化膜6、シリコン膜16
および酸化膜17が残る。
【0082】その後、図13(e)に示すように、シリ
コンの選択的エピタキシャル成長、多結晶シリコンの蒸
着またはシリサイドの形成により、凹部11a,11b
にそれぞれn+ 層からなるソース電極8aおよびドレイ
ン電極8bを形成するとともに、ゲート電極3上に配線
層8cを形成する。
【0083】その後、図13(f)に示すように、ゲー
ト酸化膜2およびゲート電極3の側面の酸化膜6、シリ
コン膜16および酸化膜17をドライエッチングにより
除去する。
【0084】この場合、ソース電極8aおよびドレイン
電極8bがそれぞれ図1のソース領域4およびドレイン
領域5に相当し、ソース電極8aとドレイン電極8bと
の間のシリコン基板1の領域がチャネル領域7となる。
また、ソース電極8aとチャネル領域7との間の酸化膜
6、シリコン膜16および酸化膜17が多層トンネル絶
縁膜21aを構成し、ドレイン電極8bとチャネル領域
7との間の酸化膜6、シリコン膜16および酸化膜17
が多層トンネル絶縁膜21bを構成する。
【0085】なお、多層トンネル絶縁膜21a,21b
の層数を増やす場合には、図12(a)〜(c)の工程
を繰り返し行う。
【0086】上述のように、多層トンネル絶縁膜21
a,21bにシリコン膜を含むことにより、透過係数の
向上、すなわち共鳴トンネル現象に伴う電流値の増大が
図れる。
【0087】図14および図15は多層トンネル絶縁膜
を有するMOSトランジスタの製造方法の第2の例を示
す工程断面図である。
【0088】まず、図7(a)および図7(b)に示し
た工程によりp型シリコン基板1上にゲート酸化膜2お
よびゲート電極3を形成し、ゲート酸化膜2およびゲー
ト電極3の両側におけるシリコン基板1の領域に凹部1
1a,11bをそれぞれ形成する。そして、図14
(a)に示すように、全面に熱酸化法により膜厚30Å
程度のSiO2 からなる酸化膜6を形成する。
【0089】次に、図14(b)に示すように、酸化膜
6上に、LPCVD法(液相化学的気相成長法)により
膜厚0.5〜10nmのSiNからなる窒化膜18を形
成する。原料ガスとしてはSiH2 Cl2 およびNH3
の混合気体を用い、成長条件としては、圧力を0.3T
orrとし、温度を705℃とする。
【0090】さらに、図14(c)に示すように、窒化
膜18上に、O2 /H2 Oの常圧雰囲気において温度8
50℃の条件で膜厚0.5〜10nmのSiO2 からな
る酸化膜17を形成する。
【0091】次に、図15(d)に示すように、スパッ
タリングまたは異方性ドライエッチングによりシリコン
基板1の上面およびゲート電極3の上面の酸化膜6、窒
化膜18および酸化膜17を除去する。それにより、凹
部11a,11bの側面ならびにゲート酸化膜2および
ゲート電極3の側面の酸化膜6、窒化膜18および酸化
膜17が残る。
【0092】その後、図15(e)に示すように、シリ
コンの選択的エピタキシャル成長、多結晶シリコンの蒸
着またはシリサイドの形成により、凹部11a,11b
内にそれぞれn+ 層からなるゲート電極8aおよびドレ
イン電極8bを形成するとともに、ゲート電極3上に配
線層8cを形成する。
【0093】最後に、図15(f)に示すように、ゲー
ト酸化膜2およびゲート電極3の側面の酸化膜6、窒化
膜18および酸化膜17をドライエッチングにより除去
する。
【0094】この場合、ソース電極8aおよびドレイン
電極8bがそれぞれ図1のソース電極4およびドレイン
電極5に相当し、ソース電極8aとドレイン電極8bと
の間のシリコン基板1の領域がチャネル領域7となる。
また、ソース電極8aとチャネル領域7との間の酸化膜
6、窒化膜18および酸化膜17が多層トンネル絶縁膜
21aを構成し、ドレイン電極8bとチャネル領域7と
の間の酸化膜6、窒化膜18および酸化膜17が多層ト
ンネル絶縁膜21bを構成する。
【0095】なお、多層トンネル絶縁膜21a,21b
の層数を増やす場合には、図14(a)〜(c)の工程
を繰り返し行う。
【0096】図14(a)の工程で熱酸化法により酸化
膜6を形成する代わりに、シリコン基板1の洗浄中また
は洗浄後にシリコン基板1の表面およびゲート電極3の
表面に形成された膜厚1.0〜1.5nmの自然酸化膜
を用いてもよい。
【0097】上記のMOSトランジスタでは、多層トン
ネル絶縁膜21a,21bの各々により二重障壁構造が
構成される。2組の多層トンネル絶縁膜21a,21が
それぞれ二重障壁構造を有することにより、チャネル長
が量子力学的効果の現れる領域(例えば10nm程度)
になると、2組の多層トンネル絶縁膜21a,21bに
よる四重障壁による共鳴トンネル現象が生じる。
【0098】この場合、各多層トンネル絶縁膜21a,
21bの二重障壁間に複数の量子準位が形成されるた
め、複数のドレイン電圧Vdsに対して透過係数の鋭いピ
ークが現れる。それにより、MOSトランジスタのゲー
ト電圧Vgs−ドレイン電流Ids特性(スレッシホールド
特性)がさらに急峻となり、スイッチング特性がさらに
向上する。
【0099】なお、上記実施例において、以下のように
それぞれ変更しても同様の効果が得られるものである。
【0100】なお、上記実施例では、トンネル絶縁膜と
してSiO2 からなる単層のトンネル酸化膜6a,6b
または多層トンネル絶縁膜21a,21bを用いている
が、SiN等の他の絶縁膜からなる単層トンネル絶縁膜
または多層トンネル絶縁膜を用いてもよい。
【0101】また、上記実施例では、ゲート絶縁膜とし
てSiO2 からなるゲート酸化膜2を用いているが、S
iN等の他の絶縁膜からなるゲート絶縁膜を用いてもよ
い。
【0102】さらに、上記実施例では、シリコン基板1
にMOSトランジスタが形成されているが、シリコン層
にMOSトランジスタを形成してもよい。また、シリコ
ン基板1の代わりに、SiC(炭化珪素)、GaN(窒
化ガリウム)等の化合物半導体からなる半導体基板また
は半導体層にMOSトランジスタを形成してもよい。
【0103】また、本発明は、MOSトランジスタに限
らず、他の電界効果型半導体装置にも適用可能である。
【0104】本発明に係る電界効果型半導体装置または
電界効果トランジスタは、LSIのMOSトランジスタ
として使用することが可能であり、またDRAM(ダイ
ナミックランダムアクセスメモリ)のスイッチングトラ
ンジスタに適用することも可能である。
【0105】なお、上記実施例では、n型チャネルを有
するMOSトランジスタについて説明したが、本発明は
p型チャネルを有するMOSトランジスタ等の電界効果
型半導体装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるMOSトランジスタ
の構造を示す模式的断面図である。
【図2】実施例および従来例のMOSトランジスタにお
けるチャネル方向の電界分布の計算結果を示す図であ
る。
【図3】実施例および従来例のMOSトランジスタにお
けるチャネル方向の電位分布の計算結果を示す図であ
る。
【図4】実施例および従来例のMOSトランジスタにお
けるチャネル方向の電子濃度分布の計算結果を示す図で
ある。
【図5】従来例および実施例のMOSトランジスタにお
けるドレイン電圧に対するドレイン電流の計算結果を示
す図である。
【図6】実施例のMOSトランジスタにおけるドレイン
電圧に対する透過係数特性の計算結果を示す図である。
【図7】図1のMOSトランジスタの製造方法の第1の
例を示す工程断面図である。
【図8】図1のMOSトランジスタの製造方法の第1の
例を示す工程断面である。
【図9】図1のMOSトランジスタの製造方法の第2の
例を示す工程断面図である。
【図10】図1のMOSトランジスタの製造方法の第2
の例を示す工程断面図である。
【図11】図1のMOSトランジスタの製造方法の第2
の例を示す工程断面図である。
【図12】多層トンネル絶縁膜を有するMOSトランジ
スタの製造方法の第1の例を示す工程断面図である。
【図13】多層トンネル絶縁膜を有するMOSトランジ
スタの製造方法の第1の例を示す工程断面図である。
【図14】多層トンネル絶縁膜を有するMOSトランジ
スタの製造方法の第2の例を示す工程断面図である。
【図15】多層トンネル絶縁膜を有するMOSトランジ
スタの製造方法の第2の例を示す工程断面図である。
【図16】LDD構造を有する従来のMOSトランジス
タの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 ゲート酸化膜 3 ゲート電極 4 ソース領域 5 ドレイン領域 6a,6b トンネル酸化膜 7 チャネル領域 6,17,60 酸化膜 8a ソース電極 8b ドレイン電極 10 シリコン層 11a,11b 凹部 13 溝 16 シリコン膜 18 窒化膜 21a,21b 多層トンネル絶縁膜

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソース領域とドレイン領域との間にチャ
    ネル領域が設けられ、前記ソース領域とチャネル領域と
    の間および前記ドレイン領域と前記チャネル領域との間
    にそれぞれトンネル絶縁膜が挿入されたことを特徴とす
    る電界効果型半導体装置。
  2. 【請求項2】 半導体基板または半導体層のチャネル領
    域の両側にそれぞれ形成されたソース領域およびドレイ
    ン領域と、 前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、 前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、 前記ソース領域の前記チャネル領域側の端部に設けられ
    た第1のトンネル絶縁膜と、 前記ドレイン領域の前記チャネル領域側の端部に設けら
    れた第2のトンネル絶縁膜とを備えたことを特徴とする
    電界効果トランジスタ。
  3. 【請求項3】 チャネル方向における前記第1および第
    2のトンネル絶縁膜の膜厚はそれぞれ0.5nm以上5
    nm以下であることを特徴とする請求項2記載の電界効
    果トランジスタ。
  4. 【請求項4】 前記半導体基板または半導体層はシリコ
    ンからなることを特徴とする請求項2または3記載の電
    界効果トランジスタ。
  5. 【請求項5】 前記半導体基板または半導体層は化合物
    半導体からなることを特徴とする請求項2または3記載
    の電界効果トランジスタ。
  6. 【請求項6】 前記第1のトンネル絶縁膜と前記第2の
    トンネル絶縁膜との間の前記チャネル領域の長さは量子
    力学的効果の発生する長さであることを特徴とする請求
    項2〜5のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
  7. 【請求項7】 前記第1および第2のトンネル絶縁膜の
    各々は、複数の絶縁膜が半導体膜または絶縁膜を介して
    チャネル方向に積層されてなる多層構造を有することを
    特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の電界効果ト
    ランジスタ。
  8. 【請求項8】 半導体基板または半導体層上にゲート絶
    縁膜およびゲート電極を順に形成する工程と、 前記ゲート絶縁膜の両側における前記半導体基板または
    半導体層にそれぞれ第1および第2の凹部を形成する工
    程と、 前記第1および第2の凹部内の側面にそれぞれトンネル
    絶縁膜を形成する工程と、 前記第1および第2の凹部内にそれぞれソース領域およ
    びドレイン領域を形成する工程とを備えたことを特徴と
    する電界効果トランジスタの製造方法。
  9. 【請求項9】 半導体基板または半導体層上にゲート絶
    縁膜およびゲート電極を順に形成する工程と、 前記ゲート絶縁膜の両側における前記半導体基板または
    半導体層にそれぞれソース領域およびドレイン領域を形
    成する工程と、 前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極の両側面に第1
    の材料層を形成する工程と、 前記半導体基板または半導体層の上面に第2の材料層を
    形成する工程と、 前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極の両側面に形成
    された前記第1の材料層を除去する工程と、 前記半導体基板または半導体層上の前記第2の材料層を
    エッチングにより除去することにより、前記ゲート絶縁
    膜の両側面の近傍における前記半導体基板または半導体
    層にそれぞれ第1および第2の溝を設ける工程と、 前記半導体基板または半導体層に設けられた前記第1お
    よび第2の溝内にそれぞれ第1および第2のトンネル絶
    縁膜を形成する工程とを備えたことを特徴とする電界効
    果トランジスタの製造方法。
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