JPH11170848A - ハイブリッド式車両用空調装置 - Google Patents

ハイブリッド式車両用空調装置

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JPH11170848A
JPH11170848A JP34600597A JP34600597A JPH11170848A JP H11170848 A JPH11170848 A JP H11170848A JP 34600597 A JP34600597 A JP 34600597A JP 34600597 A JP34600597 A JP 34600597A JP H11170848 A JPH11170848 A JP H11170848A
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弘之 平野
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眞一郎 北田
Toshio Kikuchi
俊雄 菊池
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英二 稲田
Takeshi Aso
剛 麻生
Ryuichi Idoguchi
隆一 井戸口
Yutaro Kaneko
雄太郎 金子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 省エネルギに優れ、かつ乗員の快適性を維
持することの可能なハイブリッド式車両用の空調装置を
提供する。 【解決手段】 空調ダクト8の内部にはエンジン40冷
却後の熱水を熱源とするヒータコア18とヒートポンプ
による高温冷媒を熱源とするサブコンデンサ12とが配
設される。制御部30は、エンジン40が作動している
場合にはヒータコア18により暖房を行う一方、エンジ
ン40を停止させるときには電動コンプレッサ52を作
動させて高温冷媒をサブコンデンサ12に導き、空調ダ
クト8の内部を流動する空気を加熱する。制御部30は
このとき、サブコンデンサ12の内部を流動する冷媒の
温度が暖房を行うのに十分な熱量に達するまでの間、エ
ンジン40をアイドリング運転状態に保って冷却水をヒ
ータコア18に導き、ヒータコア18、サブコンデンサ
12を併用して暖房運転を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド式車
両用空調装置、特に暖房用の熱源として内燃機関冷却後
の熱水およびコンプレッサで圧縮された高温高圧の冷媒
を併用するハイブリッド式車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド式車両、たとえばハイブリ
ッド式の電気自動車(以下、HEVと称する)で暖房を
行う場合、たとえば以下の二つの熱源、すなわちヒータ
コアおよびヒートポンプを熱源として用いることが考え
られる。ここで二つの熱源について説明する。 ヒータコア:これは、蓄電池(以下、電池と称する)に
充電用の電気エネルギを供給するための発電用エンジン
を冷却する冷却水(廃熱)を熱源とするものである。つ
まり、ヒータコアを空調ダクト内に設置し、このヒータ
コア内に発電用エンジン冷却後の熱水を循環させて空調
ダクト内を流動する空気を加熱する。以下、これをヒー
タコア暖房と称する。ヒータコア暖房は、上述のとおり
廃熱を熱源とするので、省エネルギの観点からは効率的
な暖房方法である。 ヒートポンプ:これは、電動コンプレッサを駆動して熱
交換媒体(以下、冷媒と称する)を圧縮・循環させて高
圧高温の冷媒を空調ダクト内に配設されるサブコンデン
サに導いて放熱させるものである。これにより空調ダク
ト内を流動する空気を加熱する。以下、これをヒートポ
ンプ暖房と称する。ヒートポンプ暖房を行う場合、電動
コンプレッサを作動させるためのエネルギを必要とす
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のヒータコア暖房
では、たとえばバッテリの充電状態が満充電状態に近
く、したがって過充電を防止するためにエンジンを停止
させる必要がある場合、暖房用の熱源として利用するこ
とはできなくなる。
【0004】これに対し、ヒートポンプ暖房では、いつ
でも暖房運転が可能な反面、コンプレッサを駆動するた
めに電力を消費する。したがって例えば、操作者に要求
された暖房を優先しようとすると、バッテリに充電され
ている電気エネルギのうち、車両走行用に振り分けられ
る電気エネルギが減少して航続距離が短くなると云う問
題がある。
【0005】本発明の目的は、上述した課題を解決し、
必要なときにはいつでも暖房運転が可能で、省エネルギ
性に優れるハイブリッド式車両用の空調装置を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1
に対応付けて本発明を説明する。 (1) 請求項1に記載の発明は、内燃機関40を駆動
源とする発電機60より発生する電気エネルギを蓄積す
る蓄積手段62から供給される電気エネルギと、発電機
60から供給される電気エネルギとのうち、少なくとも
いずれかをエネルギ源とするコンプレッサ52と;コン
プレッサ52を加圧源とするヒートポンプにより熱を発
生するヒートポンプ式加熱源12と;内燃機関40冷却
後の熱交換媒体に蓄積された廃熱を暖房用熱源とする廃
熱式加熱源18と;廃熱が利用可能なときに暖房を行う
場合には、少なくとも廃熱式加熱源18を用いて暖房を
行う制御手段30とを具備することにより上述した目的
を達成する。 (2) 請求項2に記載の発明において、制御手段30
は、廃熱式加熱源18による暖房運転中に内燃機関40
の作動を停止する場合、廃熱式加熱源18およびヒート
ポンプ式加熱源12を所定時間併用して暖房運転を行っ
た後に廃熱式加熱源18による暖房運転からヒートポン
プ式加熱源12による暖房運転に切り替えるものであ
る。一実施の形態を示す図5に対応付けて以下の発明を
説明する。 (3) 請求項3に記載の発明は、ヒートポンプ式加熱
源12により加熱された空気の温度を検出する温度セン
サ25を更に有し;制御手段30は、廃熱式加熱源18
による暖房運転中に内燃機関40の作動を停止する場
合、廃熱式加熱源18およびヒートポンプ式加熱源12
を併用して暖房運転を行い、温度センサ25で検出され
た温度が所定値に達したときにヒートポンプ式加熱源1
2のみによる暖房運転に切り換えるものである。 (4) 請求項4に記載の発明は、空調ダクト8と;空
調ダクト8内に配設され、空調ダクト8内を流動する空
気を分流させて廃熱式加熱源18を通過する空気の流量
と廃熱式加熱源18をバイパスする空気の流量との流量
比を調整して温調可能な流量比調節手段14と;流量比
調節手段14による流量比調節状態を検出する流量比調
節状態検出手段16sとをさらに有し;制御手段30
は、廃熱式加熱源18による暖房運転中に内燃機関40
の作動を停止する場合、廃熱式加熱源18およびヒート
ポンプ式加熱源12を併用して暖房運転を行い、流量比
調節状態検出手段16sによる検出値が所定値に達した
ときにヒートポンプ式加熱源12のみによる暖房運転に
切り換えるものである。 (5) 請求項5に記載の発明において、所定時間は、
ヒートポンプ式加熱源12による暖房の開始後、ヒート
ポンプ式加熱源12で所定の温度上昇が見込まれる見込
み時間に基づいて予め決定される固定時間としたもので
ある。
【0007】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0008】
【発明の効果】(1) 請求項1に記載の発明によれ
ば、内燃機関冷却後の廃熱が利用可能なときに暖房を行
う場合には少なくとも廃熱式加熱源を用いて暖房を行う
ことにより、省エネルギ性に優れたハイブリッド車両用
の空調装置を提供することができる。 (2) 請求項2に記載の発明によれば、廃熱式加熱源
による暖房運転中に内燃機関の作動を停止する場合、廃
熱式加熱源およびヒートポンプ式加熱源を所定時間併用
して暖房運転を行った後に廃熱式加熱源による暖房運転
からヒートポンプ式加熱源による暖房運転に切り替える
ことにより、ヒートポンプ式加熱源で暖房を行うのに十
分な熱量を得られるようになるまでの間は廃熱式加熱源
からも暖房に必要な熱量が供給されるので、吹出温度が
一時的に下がることがない。これにより、乗員の快適性
の維持が可能なハイブリッド車両用空調装置を提供する
ことができる。 (3) 請求項3に記載の発明によれば、ヒートポンプ
式加熱源で加熱された空気の温度を温度センサで検出
し、この温度が所定値に達したときに廃熱式加熱源およ
びヒートポンプ式加熱源併用の暖房運転からヒートポン
プ式加熱源単独での暖房運転に切り換えることにより、
廃熱式加熱源による加熱が不要となった時点で速やかに
廃熱式加熱源による暖房を停止することができる。これ
により省エネルギ性に優れたハイブリッド式車両用の空
調装置を提供することができる。 (4) 請求項4に記載の発明によれば、流量比調節手
段による流量比調節状態の検出結果によってヒートポン
プ式加熱手段単独で暖房運転を行うのに必要な熱量が発
生していることを検出可能であり、専用のセンサを用い
ることなく乗員の快適性維持に優れたハイブリッド車両
用の空調装置を提供することができる。 (5) 請求項5に記載の発明によれば、ヒートポンプ
式加熱源による暖房の開始後、ヒートポンプ式加熱手段
単独で暖房運転を行うのに必要な熱量が発生することの
見込まれる固定時間が経過したときにヒートポンプ式加
熱源のみによる暖房運転に切り換えるので、専用のセン
サを用いることなく乗員の快適性維持に優れたハイブリ
ッド式車両用空調装置を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】−第1の実施の形態− 図1〜図3を参照し、第1の実施の形態について説明す
る。
【0010】図1は、本実施の形態に係る空調装置の構
成を示すブロック図である。図1において、HEV用空
調装置の動作を制御する制御部30は、外気温センサ2
6、内気温センサ28、日射量センサ29、空調設定パ
ネル32、送風モード制御ユニット20、エアミックス
ドアアクチュエータ(以下、ドアアクチュエータと称す
る)16、エアミックスドア開度センサ(以下、ドア開
度センサと称する)16s、第1可変絞り弁22、吸い
込み温センサ11、第2可変絞り弁24、ファンモータ
6、S0C検出器64、ECU50、冷却水温センサ2
7、電動コンプレッサ52、方向切換弁56と接続され
る。なお、これらの構成要素のうち、電動コンプレッサ
52などのようにその作動に際して電力を要するものは
発電機60および電池62と並列接続されるが、図の錯
綜を避けるために結線状態の図示を省略する。
【0011】制御部30に接続される上述の構成要素に
ついて説明する。外気温センサ26は車室外の気温を、
そして内気温センサ28は車室内の気温を検出する。日
射量センサ29はダッシュボードなどに設置され、車室
内に降り注ぐ日射量を検出する。空調設定パネル32
は、車室内のインストルメントパネル(不図示)に設置
され、乗員がこれを操作して所望の空調モードや目標室
内温度等を設定する。
【0012】第1可変絞り弁22および第2可変絞り弁
24は、空調装置の冷媒流路中に設置され、弁の状態を
絞り状態または開放状態にそれぞれ独立して設定可能な
弁である。送風モード制御ユニット20は、空調ダクト
8の内部で空調された空気を、空調ダクト8の後方に連
設されるデフ吹出口8d、ベント吹出口8v、そしてフ
ット吹出口8fなどに所定の配風比で導き出す。ドアア
クチュエータ16は、エアミックスドア14を開閉駆動
する。ドアアクチュエータ16に装着されるドア開度セ
ンサ16sは、エアミックスドア14の開度を検出す
る。吸い込み温センサ11は、エバポレータ10を通過
した空気の温度を計測する。
【0013】ファンモータ6は、ブロアファン4を駆動
し、空調ダクト8の内部に空気を送り込む。SOC検出
器64は、車両駆動用のモータ等に電力を供給する電池
62の充放電量をもとに電池62の充電状態(Stat
e Of Charge)を監視する。エンジン40
は、発電機60を駆動するためのものであり、ガソリン
エンジンやCNG(圧縮天然ガス)エンジン、ディーゼ
ルエンジン、あるいはタービンエンジンなどの内燃機関
を利用可能である。ECU50は、不図示のエンジンス
タータ、フュエルインジェクタ、スロットルアクチュエ
ータ等を介してエンジン40の制御を行うためのコント
ローラである。制御部30は、ECU50より信号を入
力し、エンジン40の運転状態を検出する。制御部30
はまた、ECU50に対してエンジン40をの起動・停
止に関する制御信号を出力することもできる。冷却水温
センサ27は、エンジン40冷却後の冷却水温を検出す
る。電動コンプレッサ52は、空調用の冷媒を圧縮する
ためのものである。方向切換弁56は、電動コンプレッ
サ52より圧送される冷媒を所定の流路に導くためのも
のであり、その切換動作は制御部30により制御され
る。
【0014】空調ダクト8の内部には、エバポレータ1
0、サブコンデンサ12、ヒータコア18などが配設さ
れる。不図示のエンジンルーム内の前方には、冷媒を冷
却し、そして凝縮するためのメインコンデンサ44が配
設される。メインコンデンサ44の吐出側に接続される
管路53dには逆止弁46が介装される。
【0015】エンジン40に隣接して設置されるウォー
タポンプ48は、エンジン40の回転力を動力として、
エンジン40冷却後の熱水を管路41aおよび管路41
cに送り出す。エンジン40の前方に設置されるラジエ
ータ45は、管路41aを経て送り出された熱水を冷却
する。ラジエータ45で冷却された水は管路41bを経
てエンジン40内部のウォータジャケット(不図示)に
還流する。また、管路41cに送り出された熱水はヒー
タコア18に送りこまれる。ヒータコア18は、熱水を
熱源としてヒータコア18を通過する空気を加熱する。
ヒータコア18で熱交換された冷却水は、管路41dお
よび41a、ラジエータ45、管路41bを経てエンジ
ン40に還流する。
【0016】電動コンプレッサ52は冷媒を圧縮し、管
路53aを経て方向切換弁56に圧送する。冷媒は、方
向切換弁56の開弁方向に応じて管路53cを経て管路
53eに、または管路53b、メインコンデンサ44、
管路53dおよび逆止弁46を経て管路53eに導か
れ、第1可変絞り弁22、管路53f、サブコンデンサ
12、管路53g、第2可変絞り弁24、エバポレータ
10、管路53i、アキュムレータ54、管路53jを
経て電動コンプレッサ52に還流し、エアコンサイクル
が形成される。
【0017】上述のエアコンサイクルは、空調装置の作
動モードに応じて冷媒の流動する管路が異なる。ここ
で、上記エアコンサイクルが、a)冷房用として作用す
る場合、続いてb)暖房用として作用する場合について
説明する。
【0018】a)冷房モード 冷房モード時に制御部30は、管路53aと管路53b
とが連通状態に、そして管路53aと管路53cとが非
連通状態になるように方向切換弁56を切り換える。制
御部30はまた、第1可変絞り弁22を絞り状態にする
一方、第2可変絞り弁24を開放状態にする。そして、
制御部30は電動コンプレッサ52を起動する。これに
より、電動コンプレッサ52より吐出される高温高圧の
冷媒は管路53a、53bを経てメインコンデンサ44
へ流れる。メインコンデンサ44で冷却され、そして凝
縮された冷媒は管路53d、逆止弁46を通過して管路
53e内を流動し、第1可変絞り弁22を通過する際に
低温低圧の液体となる。これにより、サブコンデンサ1
2およびエバポレータ10は低温状態となり、空調ダク
トダクト8内を流動する空気は除湿・冷却される。上述
のとおり冷却された空気は、送風モード制御ユニット2
0を経て、所定の吹出口より室内に吹き出す。サブコン
デンサ12およびエバポレータ10で熱交換されて低温
低圧の気体となった冷媒は、管路53i、アキュムレー
タ54、管路53jを経て電動コンプレッサ52に還流
する。
【0019】b)暖房モード 暖房モード時に制御部30は、管路53aと管路53c
とが連通状態に、そして管路53aと管路53bとが非
連通状態になるように方向切換弁56を切り換える。制
御部30はまた、第1可変絞り弁22を開放状態にする
一方、第2可変絞り弁24を絞り状態にする。そして、
制御部30は電動コンプレッサ52を起動する。これに
より、電動コンプレッサ52より吐出される高温高圧の
冷媒は管路53a、53c、53eを経て第1可変絞り
弁22を通過し、サブコンデンサ12に流れ込む。これ
により、サブコンデンサ12は高温状態となり、空調ダ
クト8内を流動する空気がサブコンデンサ12を通過す
る際に加熱される。サブコンデンサ12で熱交換を終え
て凝縮された冷媒は、第2可変絞り弁24を通過する際
に低温低圧の液体となる。これによりエバポレータ10
は冷却され、空調ダクト8内を流動する空気がエバポレ
ータ10を通過する際に除湿・冷却される。つまり、エ
バポレータ10で除湿・冷却された空気はサブコンデン
サ12でリヒートされる構成となっている。サブコンデ
ンサ12でリヒートされた空気は、送風モード制御ユニ
ット20を経て、所定の吹出口より室内に吹き出す。エ
バポレータ10で熱交換され、低温低圧の気体となった
冷媒は、管路53i、アキュムレータ54、管路53j
を経て電動コンプレッサ52に還流する。これがヒート
ポンプ暖房である。
【0020】以上のように構成されるHEV用空調装置
において制御部30は、空調設定パネル32で搭乗者に
より設定される目標温度を入力するとともに外気温セン
サ26、内気温センサ28、日射量センサ29、吸い込
み温センサ11、冷却水温センサ27で検知された温度
や日射量に関する情報を入力する。制御部30はまた、
SOC検出器64から電池62の充電状態に関する情報
を、そしてECU50からエンジン40の運転状況に関
する情報を入力する。
【0021】制御部30は、上述した情報の入力結果に
基づいてファンモータ6、ドアアクチュエータ16、送
風モード制御ユニット20、第1可変絞り弁22、第2
可変絞り弁24、電動コンプレッサ52、方向切換弁5
6を必要に応じて駆動制御する。この空調装置が暖房運
転モードで作動する場合、矢印F1、F2で示すように
空調ダクト8内に導かれた空気は、エバポレータ10、
サブコンデンサ12を通過し、エアミックスドア14の
開度に応じてヒータコア18を通過する空気と、ヒータ
コア18をバイパスする空気とに所定の流量比で分流さ
れる。このときサブコンデンサ12および/またはヒー
タコア18で所定の温度に加熱された空気は、デフロス
タ吹出口8d、ベンチレータ吹出口8v、フット吹出口
8fなどを経て車室内に吹き出す。
【0022】図2を参照し、図1に示すHEV用の空調
装置において、制御部30により実行される空調制御手
順について説明する。図2で示される制御部30の空調
制御手順は、空調装置制御のためのメインプログラムか
ら、暖房運転中に適宜の時間間隔をおいてコールされる
サブプログラムである。
【0023】なお、図2に示すプログラムがコールされ
る直前の時点において空調装置の暖房運転が何によって
行われているのかについては定まっていない。つまり、
以下に説明するプログラムが制御部30により実行され
た結果、例えばエンジン40を停止すると判定した時点
で既にエンジン40が停止しているときがある。この場
合、制御部30はエンジン40の停止状態を維持するこ
とになるが、以下の説明中ではこれについても単に「エ
ンジン40を停止する」と表現する。
【0024】図2のステップS201において制御部3
0は、エアコンサイクルが作動中でない、すなわち電動
コンプレッサ52が作動中でないと判定するとステップ
S202に分岐する。続いてステップS202で発電
中、すなわちエンジン40が作動中であると判定すると
ステップS203に分岐する一方、発電中でないと判定
するとステップS221に分岐する。ステップS221
以降の処理は後で説明する。ステップS203において
制御部30は、SOC検出器64から電池62の充電状
態に関する信号を入力して残容量が所定値以下かどう
か、すなわちエンジン40の運転を継続して充電し続け
る必要の有無を判定し、エンジン40の運転継続が必要
と判定するとステップS204に分岐する。一方、ステ
ップS203で残容量が所定値以上であると判定する
と、制御部30はステップS208で不図示の発電器コ
ントローラに対して発電中止指令を発した後、ステップ
S221に進む。
【0025】ステップS204において制御部30は、
空調装置が暖房モードで運転されているか否かを判定
し、暖房モードであると判定するとステップS205に
分岐する。一方、ステップS204で空調装置の運転モ
ードが暖房モードではないと判定すると制御部30はス
テップS209に分岐し、ヒータコア暖房およびヒート
ポンプ暖房をOffにしてメインプログラムにリターン
する。なお、制御部30による上記暖房モードか否かの
判定は、外気温センサ26、内気温センサ28、日射量
センサ29などで検出される温度情報および日射量情報
と空調設定パネル32で設定された目標温度とに基づい
て行われる。
【0026】ステップS205において制御部30は、
空調設定パネル32で除湿モードが設定されていると判
定するとステップS206に分岐してヒータコア暖房お
よびヒートポンプ暖房をOnにし、メインプログラムに
リターンする。これにより、エバポレータ10を通過し
た空気が冷却・除湿された後、サブコンデンサ12およ
びヒータコア18でリヒートされる、いわゆる除湿暖房
運転が行われる。一方、ステップS205で空調装置は
除湿モードに設定されていないと判定すると、制御部3
0はステップS210に分岐してヒートポンプ暖房をO
ffにし、ヒータコア暖房をOnにしてメインプログラ
ムにリターンする。
【0027】ステップS201での判定が肯定された場
合、すなわち電動コンプレッサ52が運転状態にあると
判定された場合、制御部30はステップS207に分岐
する。そして空調装置が暖房モードで運転されているか
否かについてステップS204で行われたのと同様の判
定をし、暖房モードで運転中であると判定すると、ステ
ップS202に分岐して上述の処理を実行する一方、暖
房モードで運転していないと判定するとステップS22
0に分岐する。制御部30は、ステップS220におい
て冷房運転制御のサブルーチンをコールし、そしてメイ
ンプログラムにリターンする。
【0028】以上のステップS201〜S210におけ
る制御部30の処理について整理する。制御部30によ
るステップS201およびS207による組み合わせ判
定結果にもとづき、空調装置が冷房運転中と判定した場
合に処理はステップS220に分岐して冷房制御サブル
ーチンをコールする一方、空調装置が停止中、単なる送
風モード、ヒータコア暖房による運転中、あるいはヒー
タコア暖房とヒートポンプ暖房併用の除湿暖房運転中と
判定した場合にはステップS202に分岐する。ステッ
プS202およびS203において発電をしていない、
あるいは発電中止と判定すると、制御部30はステップ
S221に分岐して後述する暖房熱源の切換処理を行
う。ステップS204で暖房モードではないと判定した
場合、制御部30はステップS209でヒータコア暖房
およびヒートポンプ暖房双方の運転をOffにしてメイ
ンプログラムにリターンする。また、ステップS205
で除湿スイッチがOnしていないと判定すると、制御部
30はステップS210でヒートポンプ暖房運転を停止
する一方、ヒータコア暖房運転をOnにしてメインプロ
グラムにリターンする。ステップS205で除湿スイッ
チがOnしていると判定すると、制御部30はステップ
S206でヒートポンプ暖房およびヒータコア暖房双方
の運転をOnにしてメインプログラムにリターンする。
以上のように、制御部30は、エンジン40が作動して
いるとき、つまり暖房用の熱源としてエンジン40冷却
後の廃熱が利用可能なときに暖房を行う場合にはヒータ
コア暖房による暖房運転を優先して行う。
【0029】引き続き図2を参照して制御部30による
ステップS221以降の処理について説明する。なお、
ステップS221の処理実行時点おいて、エンジン40
は停止状態、アイドリング状態およびアイドリングに準
じた状態のうち、いずれかの状態にある。
【0030】ステップS221において制御部30は、
冷却水温センサ27から入力した冷却水温に関する情報
をもとに冷却水温が所定温度以上であると判定すると、
制御部30はステップS222に分岐して空調の運転モ
ードが暖房モードであるかどうかについて判定する。ス
テップS222での判定が肯定されるとステップS22
3に分岐する。
【0031】ステップS223において制御部30は、
ヒートポンプ暖房が作動中であるか否かの判定が否定さ
れるとステップS233に分岐してヒートポンプ暖房の
作動をOnにし、ステップS234でタイマをリセット
してメインプログラムにリターンする。
【0032】制御部30は、ステップS223での判定
が肯定されるとステップS224に分岐して、ヒートポ
ンプ暖房を起動したときにステップS234でリセット
したタイマの計時結果をチェックする。制御部30は、
ステップS225において所定時間Tsが経過している
かどうかの判定が否定されるとメインプログラムにリタ
ーンする一方、肯定されるとステップS226でECU
50に信号を発し、エンジン40の運転をOffにして
メインプログラムにリターンする。
【0033】ステップS221での判定が否定されると
制御部30はステップS230に分岐し、ECU50に
信号を発してエンジン40の運転をOffする。制御部
30は、ステップS240で空調の運転モードが暖房モ
ードであるかどうかの判定が肯定されるとメインプログ
ラムにリターンする一方、否定されるとステップS24
1に分岐してヒートポンプ暖房をOffにし、メインプ
ログラムにリターンする。
【0034】ステップS222での判定が否定されると
制御部30はステップS231に分岐し、ECU50に
信号を発してエンジン40の運転をOffし、ステップ
S232でヒートポンプ暖房をOffしてメインプログ
ラムにリターンする。
【0035】なお、ステップS222で制御部30によ
り行われれる暖房モードか否かの判定も、ステップS2
04での判定と同様に行われる。
【0036】以上のステップS221〜S241におけ
る制御部30の処理について整理する。この処理は、エ
ンジン40が発電状態から発電停止状態に移行する場合
の暖房用熱源の切換過渡制御に関するものである。つま
り、 エンジン40による発電を中止するのに伴いヒートポ
ンプ暖房を起動し、 サブコンデンサ12から発する熱量が、暖房に用いる
のに十分な量となるまでの時間Tsの計時を開始し、 時間Tsが経過するまでの間はエンジン40をアイド
リング状態あるいはアイドリングに準じた状態に保って
ヒータコア暖房およびヒートポンプ暖房を併用し、 時間Tsが経過するのにともないエンジン40を停止
し、ヒートポンプ暖房のみで暖房を行う。
【0037】上記〜の過渡制御による吹出温度、す
なわち車室内に設置される所定の吹出口より吹き出す空
気の温度の時間変化を図3に示す。図3(a)は、エン
ジン40による発電を停止した後に、ヒータコア内を流
動する冷却水の水温変化およびヒートポンプ暖房開始後
に、サブコンデンサ内を流動する冷媒の温度変化を示
す。図3(a)において、実線は発電停止後、エンジン
40をアイドリング状態、あるいはこれに準じる状態で
運転を継続した場合の冷却水温変化を、破線は発電停止
時にエンジン40を停止した場合の冷却水温変化を、そ
して二点鎖線はサブコンデンサ12の内部を流動する冷
媒の温度を示す。図3(a)に示すように、エンジン4
0のアイドリング状態を継続した場合の方が冷却水温の
低下量が少ない。また、ヒートポンプ暖房運転開始直
後、すなわち電動コンプレッサ起動直後は冷媒の吐出圧
が不足しており、時間Tdが経過した時点でようやく冷
媒温度が上昇し始める。
【0038】図3(b)において実線は、エンジン40
による発電を停止した後にアイドリング運転を継続した
場合における吹出温度の時間変化を示し、破線は発電停
止時にエンジン40のアイドリング運転を停止した場合
における吹出温度の時間変化を示す。図3(b)のグラ
フにおいて、横軸には図3(a)のグラフと同じスケー
ルの時間軸をとっている。エンジン40による発電を停
止した後に、エンジン40のアイドリング運転を停止す
るとウォータポンプ48も停止し、したがって冷却水の
循環も停止する。このため、図3(a)の破線に示すよ
うにヒータコア内18内部の冷却水温は急速に低下し、
これに対して冷媒の温度上昇が間に合わないために吹出
温度は図3(b)の破線に示すように一時的に低下す
る。
【0039】これに対して図2に示す空調制御が行われ
ると、発電を停止してから時間Tsが経過するまでの
間、エンジン40はアイドリング運転を継続するので冷
却水温の低下は図3(a)の実線に示すように緩やかに
なる。そして時間の経過とともに冷却水温が低下し、ヒ
ータコアの熱量が不足し始める頃には冷媒温度が上昇し
ているため、吹出温度はほぼ一定に保たれて乗員の快適
性が確保される。
【0040】以上の実施の形態は、時間Tsが固定時間
であるものについて説明したが、外気温、吸い込み温
度、あるいは吹出温度などに基づいて求められる暖房の
要求熱量や冷却水温あるいは冷媒温度に基づいて時間T
sを可変としてもよい。このとき、時間Tsはプログラ
ム中に予め組み込まれているデータテーブルから求めて
もよいし、演算により求めてもよい。たとえば、暖房の
要求熱量が小さい場合は時間Tsを短めに設定すること
が可能であるし、発電停止前における空調装置の運転モ
ードが除湿暖房モードの場合、電動コンプレッサ52は
既に運転状態にあるので、冷媒温度の上昇時間も短くな
り、したがって時間Tsを短めに設定することができ
る。このようにすれば、エンジン40のアイドリング運
転時間を必要最小限に設定することが可能で省エネルギ
性にも優れる。また、ヒートポンプ暖房およびヒータコ
ア暖房併用運転からヒートポンプ暖房単独の暖房運転に
切り換える際に、冷媒温度等を測定することなく時間制
御によって切り換えることにより専用のセンサ等を用い
る必要がなく、経済性に優れる。
【0041】−第2の実施の形態− 第2の実施の形態に係る空調装置について説明する。な
お、第2の実施の形態に係る空調装置の構成は、第1の
実施の形態に係る空調装置と同じであるので、引き続き
図1を参照するとともに、図1に示す空調装置の制御部
30で実行される空調制御手順を示す図4のフローチャ
ートを参照して説明する。なお、図2に示される第1の
実施の形態に係る空調装置の制御部30で実行される空
調制御手順と図4に示す処理手順とでは共通する部分が
多い。そこで、図2および図4に示すフローチャートで
処理手順の互いに異なる部分を破線で囲って図示し、こ
こでは図4の破線内の処理手順についてのみ説明する。
なお、図4の破線で囲った部分以外で、図2に示す処理
ステップと対応する処理ステップにはステップ番号をプ
ラス100して示す(例:図2のステップS201は図
4のステップS301に対応)。
【0042】図4のステップS323〜S326の処理
は、空調装置が暖房モードで運転中かつエンジン40が
アイドリング中あるいは停止中と判定された場合のもの
である。
【0043】ステップS323において制御部30は、
ヒートポンプ暖房が作動中であるか否かの判定が否定さ
れるとステップS326に分岐し、ヒートポンプ暖房の
作動をOnにしてメインプログラムにリターンする。制
御部30は、ステップS323での判定が肯定されると
ステップS324に分岐し、ドア開度センサ16sで検
出されるエアミックスドア14の開度に関する情報の入
力結果に基づいてエアミックスドア14の開度θDが所
定角度以下かを判定する。そして、この判定が否定され
るとメインプログラムにリターンする一方、肯定される
とステップS325でECU50に信号を発し、エンジ
ン40の運転をOffにしてメインプログラムにリター
ンする。
【0044】以上のステップS323〜S326におけ
る制御部30の処理について整理する。この処理は、エ
ンジン40が発電状態から発電停止状態に移行する場合
の暖房用熱源の切換過渡制御に関するものであり、 エンジン40による発電を中止するのに伴いヒートポ
ンプ暖房を作動させ、 エアミックスドア14の開度θDを監視し、 エアミックスドア14の開度θDが所定角度以下にな
るまでの間、すなわちサブコンデンサ12が暖房に必要
な熱量を発するまでにはなっておらず、したがって暖房
用の熱源としてヒータコア18による暖房の依存度が高
い間はエンジン40をアイドリング状態あるいはアイド
リングに準じた状態に保ってヒータコア暖房およびヒー
トポンプ暖房を併用し、 エアミックスドア14の開度θDが所定角度以下、す
なわちサブコンデンサ12が暖房に必要な熱量を発する
ようになるのにともない、エンジン40を停止してヒー
トポンプ暖房のみで暖房を行う。
【0045】以上に説明したように第2の実施の形態に
係るHEV用空調装置によれば、ヒータコア暖房からヒ
ートポンプ暖房への切換時におけるエンジン40のアイ
ドリング運転継続または中止の判定を、エアミックスド
ア14の開度θDに基づいて行う。これにより、要求暖
房熱量が少ない場合や、ヒータコア暖房作動中に除湿暖
房モードが作動していたため、ヒートポンプ暖房の立ち
上がりが早かった場合等、ヒートポンプ暖房により十分
な熱量が確保可能となった時点で即エンジン40を停止
することができる。つまり、エンジン40のアイドリン
グ運転時間を必要最小限に設定することができるので省
エネルギ性に優れる。また、本来はエアミックスドア1
4の開度調節による温度制御用としてエアミックスドア
14の開度を検出するためにに設けられているドア開度
センサ16sからの信号を流用し、この信号に基づいて
ヒータコア暖房、ヒートポンプ暖房併用による暖房運転
からヒートポンプ暖房単独での暖房運転に切り換えてい
るので特別なセンサを用いる必要がなく、経済性に優れ
る。
【0046】−第3の実施の形態− 図5および図6を参照して第2の実施の形態について説
明する。図5は、本実施の形態に係る空調装置の構成を
示すブロック図である。図5において、第1の実施の形
態に係る空調装置の構成を示す図1と同じ構成要素には
同じ符号を付してその説明を省略する。
【0047】図5において、ラジエータ45とエンジン
40とを結ぶ管路41bに逆止弁57が配設される。ヒ
ータコア18のアウトレット側に接続される管路41d
と、ウォータポンプ48の吐出側に接続される管路41
aとの接続部近傍には方向切換弁55が配設され、この
方向切換弁55と逆止弁57のアウトレット側との間に
はバイパス管路41eが接続される。また、ウォータポ
ンプ48の吐出側とヒータコア18のインレット側とを
結ぶ管路41cには電動ポンプ43が配設される。上述
の方向切換弁55、電動ポンプ43はいずれも制御部3
0と接続され、その作動は制御部30によって制御され
る。なお、電動コンプレッサ52や電動ポンプ43等、
その作動に際して電力を要するものは電池62および発
電機60と並列接続されるが、図の錯綜を避けるために
結線状態の図示を省略する。
【0048】上述した構成のHEV用空調装置におい
て、エンジン40が発電機60を駆動している場合、制
御部30は電動ポンプ43を停止状態にするとともに方
向切換弁55を制御して管路41dと管路41aとを連
通状態に、管路41dとバイパス管路41eとを非連通
状態にする。このとき、エンジン40冷却後の熱水はウ
ォータポンプ48によって管路41aおよび管路41c
に送出される。管路41aに送出された熱水はラジエー
タ45を通過する際に冷却され、管路41b、逆止弁5
7を経てエンジン40内部のウォータジャケット(不図
示)に還流する。管路41cに送出された熱水は作動停
止中の電動ポンプ43を通過してヒータコア18に至
り、ヒータコア18を通過する際に、空調ダクト8の内
部を矢印F3に沿って流動する空気を加熱する。ヒータ
コア18で熱交換された冷却水は、管路41d、管路4
1a、ラジエータ45、管路41b、逆止弁57を経て
エンジン40内部のウォータジャケット(不図示)に還
流する。これにより、ヒータコア暖房が行われるととも
に、余剰の熱量はラジエータ45で放出される。
【0049】一方、発電を中止するのにともない、エン
ジン40が停止し、かつ冷却水温が比較的高い場合、制
御部30は電動ポンプ43を起動するとともに方向切換
弁55を制御して管路41dと管路41aとを非連通状
態に、管路41dとバイパス管路41eとを連通状態に
する。電動ポンプ43の作動にともない、エンジン40
のウォータジャケット内部にある熱水は、管路41cを
経て電動ポンプ43により吸引される。そして電動ポン
プ43から吐出された熱水はヒータコア18に送られ
る。この熱水は、ヒータコア18を通過する際に、空調
ダクト8の内部を矢印F3に沿って流動する空気を加熱
する。ヒータコア18で熱交換された冷却水は、管路4
1d、バイパス管路41eを経てエンジン40内部のウ
ォータジャケット(不図示)に還流する。つまり、エン
ジン40の停止時に冷却水はラジエータ45をバイパス
する構成となっているために、冷却水の有する熱量をヒ
ータコア暖房用に有効活用することができる。
【0050】空調ダクト8の内部において、サブコンデ
ンサ12の後方には温度センサ25が配設され、この温
度センサ25は制御部30に接続される。温度センサ2
5は、サブコンデンサ12通過後の空気温度を検知する
ためのものである。制御部30は、外気温センサ26、
内気温センサ28、日射量センサ29、吸い込み温セン
サ11、冷却水温センサ27で検知された温度や日射量
に関する情報を入力するとともに温度センサ25より入
力される温度情報を入力し、エアミックスドア14の開
度等を調節して吹出温度を制御する。
【0051】図5に示す空調装置の制御部30で実行さ
れる空調制御手順について図6のフローチャートを参照
して説明する。図6で示される制御部30の空調制御手
順は、空調装置制御のためのメインプログラムから、暖
房運転中に適宜の時間間隔をおいてコールされるサブプ
ログラムである。なお、第1の実施の形態でも説明した
のと同様、図6に示すプログラムがコールされる直前の
時点において空調装置の暖房運転が何によって行われて
いるのかについては定まっていない。つまり、以下に説
明するプログラムが制御部30により実行された結果、
例えばエンジン40を停止すると判定した時点で既にエ
ンジン40が停止しているときがある。この場合、制御
部30はエンジン40の停止状態を維持することになる
が、以下の説明中ではこれについても単に「エンジン4
0を停止する」と表現する。
【0052】ステップS401において制御部30は、
エアコンサイクルが作動中でない、すなわち電動コンプ
レッサ52が作動中でないと判定するとステップS40
2に分岐する。続いてステップS402で発電中、すな
わちエンジン40が作動中であると判定するとステップ
S403に分岐する一方、発電中でない、すなわちエン
ジンが停止中であると判定するとステップS421に分
岐する。ステップS403において制御部30は、SO
C検出器64から信号を入力して電池62の残容量が所
定値以下かどうか、すなわちエンジン40の運転を継続
して充電し続ける必要の有無を判定し、エンジン40の
運転継続が必要と判定するとステップS404に分岐す
る。
【0053】ステップS404において制御部30は、
空調装置が暖房モードで運転されているか否かを判定
し、暖房モードで運転されていると判定するとステップ
S405に分岐する。一方、ステップS404で空調装
置の運転モードが暖房モードではないと判定すると制御
部30はステップS411に分岐し、ヒータコア暖房お
よびヒートポンプ暖房をOffにしてメインプログラム
にリターンする。
【0054】ステップS405において制御部30は、
空調設定パネル32で除湿モードが設定されていると判
定するとステップS406に分岐してヒータコア暖房お
よびヒートポンプ暖房をOnにし、メインプログラムに
リターンする。これにより、エバポレータ10を通過し
た空気が冷却・除湿された後、サブコンデンサ12およ
びヒータコア18でリヒートされる、いわゆる除湿暖房
運転が行われる。一方、ステップS405で空調装置は
除湿モードに設定されていないと判定すると、制御部3
0はステップS412に分岐してヒートポンプ暖房をO
ffにし、ヒータコア暖房をOnにしてメインプログラ
ムにリターンする。
【0055】ステップS401での判定が肯定された場
合、すなわち電動コンプレッサ52が運転状態にあると
判定された場合、制御部30はステップS407に分岐
する。そして空調装置が暖房モードで運転されているか
否かについてステップS404で行われたのと同様の判
定をし、暖房モードで運転中であると判定すると、ステ
ップS402に分岐する一方、暖房モードで運転してい
ないと判定するとステップS420に分岐する。制御部
30は、ステップS420において冷房運転制御のサブ
ルーチンをコールし、そしてメインプログラムにリター
ンする。
【0056】制御部30は、ステップS403において
SOC検出器64から電池62の充電状態に関する信号
を入力して、残容量が所定値以下でない、すなわち十分
な容量があると判定するとステップS408に分岐して
エンジンを停止する。続いて制御部30はステップS4
09で方向切換弁55を切換えて管路41dとバイパス
管路41eとを連通状態に、管路41dと管路41aと
を非連通状態にし、そしてステップS410で電動ポン
プ43の作動を開始させる。これにより、エンジン40
の停止後も冷却水の余熱によるヒータコア暖房が継続さ
れる。
【0057】ヒータコア暖房運転からヒートポンプ暖房
運転への切換時の過渡制御を行うステップS421〜S
437の処理について説明する。なお、ステップS42
1の処理実行時点において、エンジン40は停止状態に
あり、暖房運転は冷却水の余熱によるヒータコア暖房、
ヒートポンプ暖房、およびヒータコア、ヒートポンプ暖
房併用のいずれかで行われている。
【0058】ステップS421において制御部30は、
冷却水温センサ27から入力した冷却水温に関する情報
をもとに、冷却水温が所定温度以上であると判定する
と、制御部30はステップS422に分岐して空調の運
転モードが暖房モードであるかどうかについて判定す
る。ステップS422での判定が肯定されるとステップ
S423に分岐し、ヒートポンプ暖房が作動中であるか
否かの判定を行う。制御部30は、ステップS423で
の判定が否定されるとステップS437に分岐し、ヒー
トポンプ暖房の作動をOnにしてメインプログラムにリ
ターンする一方、肯定されるとステップS424に分岐
する。ステップS424において制御部30は、温度セ
ンサ25より入力される情報に基づき、サブコンデンサ
12通過後の空気の温度が所定温度TH以上かどうかを
判定し、否定されるとメインプログラムにリターンする
一方、肯定されるとステップS425に分岐する。制御
部30は、ステップS425で電動ポンプ43を停止
し、ステップS426で方向切換弁55を切換え、管路
41dと管路41aとを連通状態に、管路41dとバイ
パス管路41eとを非連通状態にし、メインプログラム
にリターンする。
【0059】ステップS421での判定が否定された場
合、制御部30はステップS430で電動ポンプ43を
停止し、ステップS431で方向切換弁55を切換え、
管路41dと管路41aとを連通状態に、管路41dと
バイパス管路41eとを非連通状態にする。制御部30
は、ステップS432で空調の運転モードが暖房モード
であるかどうかについて判定する。ステップS432で
の判定が肯定されるとメインプログラムにリターンする
一方、否定されるとステップS433に分岐してヒート
ポンプ暖房をOffにし、メインプログラムにリターン
する。
【0060】ステップS422での判定が否定された場
合、制御部30はステップS434で電動ポンプ43を
Offにし、ステップS435で方向切換弁55を切換
え、管路41dと管路41aとを連通状態に、管路41
dとバイパス管路41eとを非連通状態にする。制御部
30は、ステップS436においてヒートポンプ暖房を
Offにし、メインプログラムにリターンする。
【0061】以上のステップS421〜S437におけ
る制御部30の処理について整理する。この処理は、発
電を停止するとともにエンジン40は即停止し、その後
暖房運転がヒータコア暖房からヒートポンプ暖房に移行
する場合の暖房用熱源の切換過渡制御に関するものであ
る。つまり、 エンジン40による発電を中止するのに伴いエンジン
40の冷却水路を切り換え、 電動ポンプ43により、余熱の残る冷却水をヒータコ
ア18に導き、このときにラジエータ45をバイパスさ
せて冷却水を循環させることにより冷却水の余熱を有効
活用し、 ヒータコア暖房およびヒートポンプ暖房を併用しなが
らサブコンデンサ12で加熱される空気の温度を温度セ
ンサ25で検知し、 温度センサ25で検知される温度THが所定温度以
上、すなわちヒートポンプ暖房単独で暖房運転を行うの
に十分な熱量になった時点で電動ポンプ43を停止して
ヒートポンプ暖房のみで暖房を行う。
【0062】以上のように制御を行うことにより、エン
ジン40の停止に伴ってヒータコア暖房からヒートポン
プ暖房へ切り換える際に、吹出温度を低下させることな
く暖房運転を継続することができる。このときに冷却水
の循環する管路を切換え、冷却水がラジエータ45を経
ることなく、エンジン40とヒータコア18との間を循
環するようにしたので冷却水の持つ余熱を有効活用する
ことができ、省エネルギ性に優れる。また、発電の停止
とともにエンジン40の運転を即停止するので燃料の消
費量を低減することが可能である。
【0063】以上に説明した第1〜第3の実施の形態に
係るハイブリッド車両用空調装置をまとめると以下のよ
うになる。すなわち、 ヒータコア暖房、ヒートポンプ暖房併用運転に際し、
ヒータコア暖房の熱源としてアイドリング運転中のエン
ジン40(図1)冷却後の熱水を用いる(アイドリング
式熱源)のが第1および第2の実施の形態に係るハイブ
リッド車両用空調装置であり、余熱を有する冷却水を電
動ポンプ43(図5)で循環させて熱源とする(余熱循
環式熱源)のが第3の実施の形態に係るハイブリッド車
両用空調装置である。また、 ヒータコア暖房、ヒートポンプ暖房併用運転からヒー
トポンプ暖房単独運転に切り換えを、タイマの計時結果
に基づいて行うのが第1の実施の形態(タイマ方式)、
エアミックスドア14(図1)の開度に基づいて行うの
が第2の実施の形態(ドア開度検知方式)、そしてサブ
コンデンサ12(図5)通過後の空気の温度に基づいて
行うのが第3の実施の形態に係るハイブリッド車両用空
調装置(温度検知方式)である。
【0064】上記およびの組み合わせは、第1〜第
3の実施の形態で説明したもの以外のものであっても可
能である。つまり、ヒータコア、ヒートポンプ併用運転
時におけるヒータコア暖房用の熱源としては上述のアイ
ドリング式熱源を用い、ヒートポンプ単独の暖房に切り
換える際の判定は温度検知方式によるものであってもよ
いし、あるいは余熱循環式の熱源とタイマ方式とを組み
合わせて用いてもよい。さらに、余熱循環式の熱源とド
ア開度検知方式とを組み合わせるものであってもよい。
いずれの組み合わせによっても暖房の熱源切換時の快適
性を維持可能で、省エネルギ性に優れたハイブリッド車
両用空調装置を提供することができる。
【0065】以上の実施の形態の説明において、エンジ
ン40冷却後の熱水をヒータコア18に導き、ヒータコ
ア暖房を行う例について説明したが、冷却媒体としては
水に限られるものではない。また、ヒータコア18を通
過する空気の流量とヒータコア18をバイパスする空気
の流量との比率をエアミックスドア14の開度を調整し
て行うものについて説明したが、これに代えて他の流量
比調節装置を用いるものであってもよい。
【0066】また、以上の実施の形態の説明において、
発電機60はエンジン40を駆動源とするものであった
が、これに加え、たとえばHEVが下り坂を走行してい
る場合や減速走行している場合に回生ブレーキシステム
により充電することも可能である。
【0067】以上の発明の実施の形態と請求項との対応
において、エンジン40が内燃機関を、電池62が蓄積
手段を、エンジン40冷却用の冷却水が熱交換媒体を、
ヒータコア18が廃熱式加熱源を、サブコンデンサ12
がヒートポンプ式加熱源を、エアミックスドア14が流
量比調節手段を、ドア開度センサ16sが流量比調節状
態検出手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1および第2の実施の形態に係るハイブリッ
ド式車両用空調装置の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態に係る空調装置の制御部によ
り実行される加熱熱量制御プログラムを説明するフロー
チャート。
【図3】暖房用の熱源をヒータコア暖房からヒートポン
プ暖房に切り換えたときに吹出温の過渡的に変化する様
子を説明するグラフであり、(a)がエンジン冷却水温
およびエアコンの冷媒の温度変化を示し、(b)が暖房
用熱源切換時の吹出温度の変化を示す。
【図4】第2の実施の形態に係る空調装置の制御部によ
り実行される加熱熱量制御プログラムを説明するフロー
チャート。
【図5】第3の実施の形態に係るハイブリッド式車両用
空調装置の概略構成を示す図。
【図6】第3の実施の形態に係る空調装置の制御部によ
り実行される加熱熱量制御プログラムを説明するフロー
チャート。
【符号の説明】 4 ブロアファン 8 空調ダクト 10 エバポレータ 12 サブコンデンサ 14 エアミックスドア 16 ドアアクチュエータ 16s ドア開度センサ 18 ヒータコア 25 温度センサ 30 制御部 40 エンジン 44 メインコンデンサ 48 電動ポンプ 52 電動コンプレッサ 55、56 方向切換弁 62 電池 64 SOC検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲田 英二 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 麻生 剛 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 井戸口 隆一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 金子 雄太郎 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関を駆動源とする発電機より発生
    する電気エネルギを蓄積する蓄積手段から供給される電
    気エネルギと、前記発電機から供給される電気エネルギ
    とのうち、少なくともいずれかをエネルギ源とするコン
    プレッサと、 前記コンプレッサを加圧源とするヒートポンプにより熱
    を発生するヒートポンプ式加熱源と、 前記内燃機関冷却後の熱交換媒体に蓄積された廃熱を暖
    房用熱源とする廃熱式加熱源と、 前記廃熱が利用可能なときに暖房を行う場合には、少な
    くとも前記廃熱式加熱源を用いて暖房を行う制御手段と
    を具備することを特徴とするハイブリッド式車両用空調
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のハイブリッド式車両用
    空調装置において、 前記制御手段は、前記廃熱式加熱源による暖房運転中に
    前記内燃機関の作動を停止する場合、前記廃熱式加熱源
    および前記ヒートポンプ式加熱源を所定時間併用して暖
    房運転を行った後に前記廃熱式加熱源による暖房運転か
    ら前記ヒートポンプ式加熱源による暖房運転に切り替え
    ることを特徴とするハイブリッド式車両用空調装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のハイブリッド式車両用
    空調装置において、 前記ヒートポンプ式加熱源により加熱された空気の温度
    を検出する温度センサを更に有し、 前記制御手段は、前記廃熱式加熱源による暖房運転中に
    前記内燃機関の作動を停止する場合、前記廃熱式加熱源
    および前記ヒートポンプ式加熱源を併用して暖房運転を
    行い、前記温度センサで検出された温度が所定値に達し
    たときに前記ヒートポンプ式加熱源のみによる暖房運転
    に切り換えること特徴とするハイブリッド式車両用空調
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のハイブリッド式車両用
    空調装置において、 空調ダクトと、 前記空調ダクト内に配設され、前記空調ダクト内を流動
    する空気を分流させて前記廃熱式加熱源を通過する空気
    の流量と前記廃熱式加熱源をバイパスする空気の流量と
    の流量比を調整して温調可能な流量比調節手段と、 前記流量比調節手段による流量比調節状態を検出する流
    量比調節状態検出手段とをさらに有し、 前記制御手段は、前記廃熱式加熱源による暖房運転中に
    前記内燃機関の作動を停止する場合、前記廃熱式加熱源
    および前記ヒートポンプ式加熱源を併用して暖房運転を
    行い、前記流量比調節状態検出手段による検出値が所定
    値に達したときに前記ヒートポンプ式加熱源のみによる
    暖房運転に切り換えること特徴とするハイブリッド式車
    両用空調装置。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のハイブリッド式車両用
    空調装置において、 前記所定時間は、前記ヒートポンプ式加熱源による暖房
    の開始後、前記ヒートポンプ式加熱源で所定の温度上昇
    が見込まれる見込み時間に基づいて予め決定される固定
    時間であることを特徴とするハイブリッド式車両用空調
    装置。
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