JPH11169884A - 化学合成依存生物を用いた硫化水素及び溶存メタンの処理方法 - Google Patents

化学合成依存生物を用いた硫化水素及び溶存メタンの処理方法

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JPH11169884A
JPH11169884A JP33831897A JP33831897A JPH11169884A JP H11169884 A JPH11169884 A JP H11169884A JP 33831897 A JP33831897 A JP 33831897A JP 33831897 A JP33831897 A JP 33831897A JP H11169884 A JPH11169884 A JP H11169884A
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JP
Japan
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chemical synthesis
hydrogen sulfide
dissolved
anaerobic treatment
methane
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Akira Matsunaga
旭 松永
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Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 深海から採集した化学合成依存生物を用いて
バイオガスに含まれる硫化水素ガスを酸化して処理する
方法と、嫌気性処理排液や汚泥脱水分離液に含まれてい
る溶存メタンを酸化して処理する方法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 深海から採集した化学合成依存生物に共
生するイオウ酸化細菌を利用した化学合成により、有機
性廃水の嫌気性処理の過程で発生したバイオガスに含ま
れる硫化水素を脱硫するようにした硫化水素の処理方法
を提供する。具体的な方法として、湿式洗浄塔5で酸素
が溶解した海水を用いて有機性廃水の嫌気性処理の過程
で発生したバイオガスを洗浄し、硫化水素と酸素が溶解
した洗浄海水を、チューブワーム9が岩石に着生した状
態で採集したチューブワームタンク8内に流入させて、
共生したイオウ酸化細菌によって硫化水素を硫酸イオン
に酸化して、該硫酸イオンを海水に溶解させて脱硫を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化学合成依存生物を
用いて有機性廃水の嫌気性処理過程で発生するバイオガ
スに含まれる硫化水素ガスを酸化して処理する方法、及
び嫌気性処理排液や汚泥脱水分離液を対象として、これ
らの液中に含まれている溶存メタンを酸化して処理する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機性廃水の嫌気性処理過程で発生する
バイオガスには有害な硫化水素が含まれており、該バイ
オガスを加温源又は動力源として利用する場合には、バ
イオガスから硫化水素を取り除く必要がある。このよう
な脱硫方法には水とか炭酸ソーダ、苛性ソーダ溶液を用
いる湿式法と酸化鉄粉を用いる乾式法がある。更に硫化
水素ガスを塩素により酸化して硫黄の形で析出させ、凝
集によって取り除く方法もある。
【0003】他方で嫌気性処理排液や汚泥脱水分離液
は、好気性処理を行ったり、返流水として流入水ととも
に混合して再処理を行うのが通例であり、液中に溶解し
ている溶存メタンに対する処理は特に行われていないの
が実状である。
【0004】一方、近年実用的な深海潜水船が開発され
て、従来は未知の領域であった深海に関する知識が飛躍
的に増大した。その中で特に注目されるのは海底には熱
水が噴出している場所があり、その周辺に光合成に依存
しない生物群集が発見されたことである。これらに生物
の食物連鎖は、熱水に含まれる硫化水素やメタンを起点
とした化学合成に依存しており、太陽光を全く必要とし
ないという極めて特異的な存在である。
【0005】このような深海生物の代表例として、チュ
ーブワームと呼ばれる生物が存在している。この生物は
口、消化管、肛門などがなく、体内に住まわせている共
生バクテリアに鰓(えら)から摂取した酸素を血液循環
系を通じて供給して化学合成を行わせることにより、生
命維持に必要な有機物を得ている。
【0006】チューブワームに関する詳細な記事は、長
沼毅著「深海生物学への招待」(日本放送協会出版)中
に記載されていて、その生態はかなり解明されている
が、採集が困難であることからチューブワームに関する
工学的な応用は行われていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般にイオウ化合物の
処理は極めて困難であり、例えば硫酸根の場合には石灰
による中和で硫酸カルシウムの沈殿を除去した後、1〜
2(gSO4/l)程度で河川,海に放流されている。
この濃度以下にするにはバリウム塩等を用いて沈殿除去
すればよいが、コスト面で行われていないのが実状であ
る。
【0008】硫化水素の場合、水洗浄とかアルカリを用
いた湿式法による処理が実用化されているが、この方法
は硫化水素を気相から液相に移行させただけであり、従
って硫化水素が溶解した液を更に処理する必要がある。
【0009】湿式による脱硫後に硫化水素を部分酸化し
てイオウ単体としても、あるいは乾式脱硫により硫化鉄
としてもこれらイオン単体及び硫化鉄の用途は少なく、
結局は産業廃棄物として埋立処分されるのが通例であ
る。
【0010】自然界ではイオウはイオウ酸化細菌によっ
て硫酸イオンになり、硫酸イオンは硫酸塩還元細菌の作
用により還元されて硫化水素になる。従ってどのような
形で処分を行っても自然界の硫黄の循環サイクルの中に
入るため、比較的安定した形態である硫化鉄として処分
することが望ましいが、この方法はコストが高いという
問題がある。
【0011】他方で有機性廃水の嫌気性処理排液や汚泥
脱水分離液の好気処理とか、返流水を流入水と混合して
再処理する方法は、エアレーションの際に溶解している
メタンが空気中に揮散する。一般にメタン(CH4)は
二酸化炭素(CO2)よりも温室効果が20倍程度強い
ことが知られており、メタンを二酸化炭素に酸化するこ
とが地球温暖化を防止する面からも好ましいものといえ
る。
【0012】メタン酸化細菌として、好気条件でメタン
を酸素を用いてメタノールに酸化する細菌が知られてい
るが、未だにこの細菌を工学的に用いて溶解メタンの酸
化を行った例はないのが現状である。
【0013】そこで本発明は上記に鑑みてなされたもの
であって、深海から採集した化学合成依存生物を用いて
有機性廃水の嫌気性処理過程で発生するバイオガスに含
まれる硫化水素ガスを酸化して処理する方法と、嫌気性
処理排液や汚泥脱水分離液に含まれている溶存メタンを
酸化して処理する方法を提供することを目的とするもの
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、請求項1に記載したように、深海から採
集した化学合成依存生物に共生するイオウ酸化細菌を利
用した化学合成により、有機性廃水の嫌気性処理の過程
で発生したバイオガスに含まれる硫化水素を脱硫するよ
うにした化学合成依存生物を用いた硫化水素の処理方法
を提供する。
【0015】具体的な方法として、酸素が溶解した海水
を用いて有機性廃水の嫌気性処理の過程で発生したバイ
オガスを洗浄し、硫化水素と酸素が溶解した洗浄海水
を、チューブワームが岩石に着生した状態で採集したチ
ューブワームタンク内に流入して、該チューブワームと
共生したイオウ酸化細菌によって硫化水素を硫酸イオン
に酸化して、該硫酸イオンを海水に溶解させて脱硫を行
う。
【0016】請求項3により、深海から採集した化学合
成依存生物に共生するバクテリアを利用したメタン酸化
とイオウ酸化との化学合成により、有機性廃水の嫌気性
処理及び汚泥脱水機の排液中に含まれている溶存メタン
を酸化して処理するようにした溶存メタンの処理方法を
提供する。
【0017】この具体的な方法として、有機性廃水の嫌
気性処理及び汚泥脱水機の排液を、チューブワームが岩
石に着生した状態で採集したチューブワームタンク内に
流入し、該チューブワームタンク内に酸素が溶解した海
水を注入することにより、チューブワームの体内に共存
する化学合成バクテリアによって溶存メタンを炭酸水素
イオンに酸化して処理する。
【0018】又、有機物の嫌気性処理における排液とか
汚泥脱水機の排液をチューブワームタンク内で溶存メタ
ンを炭酸水素イオンに酸化して処理した後、該チューブ
ワームタンクから流出する液をMAP(リン酸マグネシ
ウムアンモニウム)生成反応塔に送り込んでMAPを生
成し、得られたMAPを肥料その他の原料に供する方法
を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明にかかる化学合成依存
生物を用いた硫化水素及び溶存メタンの処理方法につい
て説明する。本発明の第1実施形態例では、有機性廃水
の嫌気性処理の過程で発生したバイオガスに含まれる硫
化水素を処理する方法として、深海から採集した化学合
成依存生物であるチューブワームを利用することが特徴
となっている。尚、後述する第2実施形態例は、有機性
廃水の嫌気性処理及び汚泥脱水機の排液中に含まれてい
るの溶存メタンを酸化して処理する方法として上記チュ
ーブワームを利用することが特徴となっている。
【0020】化学合成依存生物であるチューブワームの
体内には、イオウ酸化細菌が共生しており、このイオウ
酸化細菌は硫化水素を酸化して化学エネルギーを取り出
し、これをATPとかNADPH+という物質に貯蔵す
る作用がある。更に硫化水素の外にもイオウ単体とかチ
オ硫酸なども酸化され得る。
【0021】イオウ酸化細菌の貯蔵エネルギーを使って
二酸化炭素から有機物を生合成することができる。この
合成経路は植物の光合成におけるカルビン回路と同一で
ある。光合成では光のエネルギーを利用して二酸化炭素
から有機物を合成するのに対して、イオウ酸化細菌は硫
化水素などの酸化によるエネルギーを利用して二酸化炭
素から有機物を合成することから、これを化学合成と呼
称する。前記チューブワームは鰓から酸素を摂取してイ
オウ酸化細菌に供給し、イオウ酸化細菌が生産した栄養
を受けて生息している。
【0022】チューブワーム以外にイオウ酸化細菌と共
生関係にある生物としてシロウリ貝とか、その他のまだ
発見されていない生物の存在が考えられる。これらは全
て深海生物であるため採集することが困難であるが、地
上で飼育することも可能である。
【0023】本発明の場合、工学的な利用容易性を考慮
して、深海生物としてチューブワームを選択し、このチ
ューブワームを利用してバイオガスに含まれる硫化水素
を脱硫する方法並びに溶存メタンを酸化して処理する方
法について試みた。従来から有機性廃水の嫌気性処理過
程で発生するバイオガスを水で洗浄して硫化水素を溶解
させる方法は水洗浄法として知られているが、本発明で
は水洗浄法で一般に用いられる真水の代わりに海水を使
用する。この海水は予めエアレーションを行うことによ
って酸素を溶解させ、この海水中にバイオガス中の硫化
水素が溶解する。
【0024】チューブワームはヤキソバのような形態で
深海の岩礁に着生して生息していることから、この生物
が岩石に着生した状態で採集してチューブワームタンク
に入れ、このタンクに硫化水素と酸素が溶解した洗浄海
水を流入する。溶解した硫化水素はチューブワームと共
生したイオウ酸化細菌により下記の(1)式にように硫
酸イオンに酸化され、硫酸イオンは海水に溶解して海に
放流される。 S2- + 2O2 → SO4 2- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) チューブワームは成長速度が遅いものと考えられるが、
増えすぎた場合は柄がついた回転鋸のような器具を用い
て裁断し、その破砕片を篩を用いて分離して飼料とか肥
料として利用するか、吸引後に破砕片が懸濁した液を嫌
気性処理装置に返送してメタンを発生させる原料として
利用する。
【0025】図1は本発明の第1実施形態例を実行する
ための装置システム概要図である。先ず装置の構成を説
明すると、1は有機性廃水の嫌気性処理装置、2はバイ
オガス一時貯留タンク、3は海水予備エアレーションタ
ンク、4は海水注入手段、5は湿式洗浄塔、6はバイオ
ガス利用手段、7は洗浄水加圧送液ポンプ、8はチュー
ブワームタンク、9はチューブワーム、10はモータM
によって回転駆動される柄付き回転鋸、11は余剰チュ
ーブワーム破砕片の嫌気性処理装置への返送手段、12
は篩、13は処理水放流手段、14はチューブワームタ
ンク8出口のバルブである。
【0026】かかる第1実施形態例の動作態様は以下の
通りである。先ず有機性廃水の嫌気性処理装置1で発生
したバイオガスは、バイオガス一時貯留タンク2に一時
貯留された後に湿式洗浄塔5に送り込まれる。海水予備
エアレーションタンク3には予め図外のブロワを用いて
エアレーションを施した海水が貯留されていて、この海
水が海水注入手段4により湿式洗浄塔5に注入されてバ
イオガスの海水による洗浄が行われる。
【0027】このような海水による洗浄操作によってバ
イオガスに含まれている硫化水素が海水中に溶解する。
洗浄されたバイオガスは湿式洗浄塔5の上壁を通過して
バイオガス利用手段6に送り込まれて所望する利用方法
により使用され、硫化水素が溶解した洗浄水は、洗浄水
加圧送液ポンプ7を介してチューブワームタンク8内に
圧入される。このチューブワームタンク8内の圧力は、
洗浄水加圧送液ポンプ7の駆動とバルブ14の開閉操作
によって調整可能となっている。
【0028】チューブワームタンク8内には予めチュー
ブワーム9が生息しており、このチューブワーム9によ
り洗浄水に溶解した硫化水素が酸化されて硫酸イオンに
変化する。
【0029】チューブワーム9が増えすぎた場合は、モ
ータMの駆動に伴って柄付き回転鋸10を回転すること
によりチューブワーム9を裁断して破砕し、バルブ14
から余剰チューブワーム破砕片の嫌気性処理装置への返
送手段11を介して嫌気性処理装置1に返送する。この
破砕片は篩12によっても回収され、篩12を通過した
処理水は処理水放流手段13を介して河川に放流され
る。
【0030】次に本発明の第2実施形態例について説明
する。この第2実施形態例では、有機性廃水の嫌気性処
理及び汚泥脱水機の排液中に含まれている溶存メタンを
酸化して処理する方法としてチューブワームを用いる。
【0031】通常深海にはメタンを噴出している場所が
あり、そのような場所にもチューブワームが生息してい
ることが知られている。この場合の共生バクテリアの種
類は確認されていないが、下記の(2)式のようにメタ
ンを用いた硫酸塩還元、即ち嫌気的なメタン酸化と、前
記(1)式のイオウ酸化の両方の化学合成が行われてい
るものと考えられる。
【0032】 CH4 + SO4 2- → HCO3 - + HS- + H+ + H2O ・・・・・(2) 上記(2)式のような反応を行うメタン細菌は存在が確
認されていないが、メタンさえあれば海水中の硫酸イオ
ンを用いてチューブワームが生存できることになる。
【0033】更に近年では有機物の嫌気性処理における
排液とか汚泥脱水機の排液を対象として、りんをMAP
(リン酸マグネシウムアンモニウム)として回収する方
法が実用化されているが、この方法では操作中にマグネ
シウムを補充する必要があり、そのためにマグネシウム
源として海水を注入する方法がある。この海水注入MA
P法の前段においてチューブワームを用いて溶解性メタ
ンを酸化処理する方法とを組み合わせて、りんの除去の
外に溶解性のメタンを二酸化炭素に酸化することが本実
施形態例の特徴となっている。
【0034】図2は本発明の第2実施形態例を実行する
ための装置システム概要図であり、前記第1実施形態例
と同一の構成部分には同一の符号を付して表示してあ
る。装置の構成を説明すると、1は有機性廃水の嫌気性
処理装置(及び汚泥脱水機)、15は加圧送液ポンプ、
8はチューブワームタンク、9はチューブワーム、3は
海水予備エアレーションタンク、4は海水注入手段、1
6はMAP生成反応塔、17はpH調整手段、18はM
AP引抜コンテナ、19は水処理系である。
【0035】かかる第2実施形態例の動作態様は以下の
通りである。チューブワームタンク8内にメタン湧出域
から採取したチューブワーム9を入れておく。先ず有機
性廃水の嫌気性処理装置(及び汚泥脱水機)1で発生し
た液が加圧送液ポンプ15によりチューブワームタンク
8に送り込まれる。海水予備エアレーションタンク3に
は予め図外のブロワを用いてエアレーションを施した海
水が貯留されていて、この海水が海水注入手段4により
チューブワームタンク8に注入される。
【0036】チューブワームタンク8内では、チューブ
ワーム9の体内に共存する化学合成バクテリアは溶解し
たメタンを海水中の硫酸イオンを用いて炭酸水素イオン
に酸化して、硫酸イオンはHS-イオンに還元される。
HS-イオンはイオウ酸化細菌により硫酸イオンに酸化
される。
【0037】これによりチューブワーム9により溶解性
メタンはHCO3 -に酸化される。チューブワームタンク
8を出た液は次段のMAP生成反応塔16に送り込まれ
る。このMAP生成反応塔16内はpH調整手段17に
よってMAP生成に適したpH条件に調整されており、
生成したMAPはMAP引抜コンテナ18に引き抜かれ
て肥料その他の用途に利用される。
【0038】MAP生成反応塔16の排出液はオーバー
フローして水処理系19に返流されて所定の処理が行わ
れてから河川に放流される。尚、チューブワームタンク
8内のチューブワーム9が増えすぎた場合は、該チュー
ブワームタンク8に図1により説明したモータMの駆動
により回転する柄付き回転鋸10と、バルブ14及び余
剰チューブワーム破砕片の嫌気性処理装置への返送手段
11とを設けて、回転鋸10によりチューブワーム9を
裁断して破砕し、バルブ14から余剰チューブワーム破
砕片の嫌気性処理装置への返送手段11を介して嫌気性
処理装置1に返送するようにしてもよい。
【0039】又、処理対象液中に溶解している硫化水素
はチューブワームにより酸化されて硫酸イオンに変化
し、水処理系19に返流されて処理されるが、硫酸イオ
ンの一部は嫌気性処理の過程で硫化水素に還元されて反
復処理される。
【0040】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の請
求項1,2に記載された硫化水素の処理方法によれば、
深海から採集した化学合成依存生物に共生するイオウ酸
化細菌を利用した化学合成により、有機性廃水の嫌気性
処理の過程で発生したバイオガスに含まれる硫化水素を
硫酸イオンとして脱硫することにより、環境に与える影
響はほとんど生じることなく、しかも従来のように産業
廃棄物を処分する費用が発生せず、低コストであるとい
う大きな効果が得られる。
【0041】請求項3,4,5に記載された溶存メタン
の処理方法によれば、深海から採集した化学合成依存生
物に共生するバクテリアを利用したメタン酸化作用によ
って有機性廃水の嫌気性処理及び汚泥脱水機の排液中に
含まれている溶存メタンを酸化して処理することが可能
となり、二酸化炭素よりも温室効果が20倍も強いとい
われているメタンガスの大気中への揮散を防止して、地
球温暖化を防止する面からも好ましい結果が得られ、更
に処理水を水処理系に返流した場合のCOD負荷が軽減
されるという効果を発揮する。
【0042】更に上記溶存メタンの処理方法とMAP
(リン酸マグネシウムアンモニウム)生成反応とを組み
合わせたことによって溶存メタンを炭酸水素イオンに酸
化するとともにりんが回収処理され、得られたMAPを
肥料その他の原料として有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例を示す装置システム概
要図。
【図2】本発明の第2実施形態例を示す装置システム概
要図。
【符号の説明】
1…有機性廃水の嫌気性処理装置 2…バイオガス一時貯留タンク 3…海水予備エアレーションタンク 4…海水注入手段 5…湿式洗浄塔 6…バイオガス利用手段 7…洗浄水加圧送液ポンプ 8…チューブワームタンク 9…チューブワーム 10…柄付き回転鋸 11…余剰チューブワーム破砕片の嫌気性処理装置への
返送手段 12…篩 13…処理水放流手段 14…バルブ 15…加圧送液ポンプ 16…MAP生成反応塔 17…pH調整手段 18…MAP引抜コンテナ 19…水処理系

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 深海から採集した化学合成依存生物に共
    生するイオウ酸化細菌を利用した化学合成により、有機
    性廃水の嫌気性処理の過程で発生したバイオガスに含ま
    れる硫化水素を脱硫することを特徴とする化学合成依存
    生物を用いた硫化水素の処理方法。
  2. 【請求項2】 酸素が溶解した海水を用いて有機性廃水
    の嫌気性処理の過程で発生したバイオガスを洗浄し、硫
    化水素と酸素が溶解した洗浄海水を、チューブワームが
    岩石に着生した状態で採集したチューブワームタンク内
    に流入して、該チューブワームと共生したイオウ酸化細
    菌によって硫化水素を硫酸イオンに酸化して、該硫酸イ
    オンを海水に溶解させて脱硫することを特徴とする化学
    合成依存生物を用いた硫化水素の処理方法。
  3. 【請求項3】 深海から採集した化学合成依存生物に共
    生するバクテリアを利用したメタン酸化とイオウ酸化と
    の化学合成により、有機性廃水の嫌気性処理及び汚泥脱
    水機の排液中に含まれている溶存メタンを酸化して処理
    することを特徴とする化学合成依存生物を用いた溶存メ
    タンの処理方法。
  4. 【請求項4】 有機性廃水の嫌気性処理及び汚泥脱水機
    の排液を、チューブワームが岩石に着生した状態で採集
    したチューブワームタンク内に流入し、該チューブワー
    ムタンク内に酸素が溶解した海水を注入することによ
    り、チューブワームの体内に共存する化学合成バクテリ
    アによって溶存メタンを炭酸水素イオンに酸化して処理
    することを特徴とする化学合成依存生物を用いた溶存メ
    タンの処理方法。
  5. 【請求項5】 有機物の嫌気性処理における排液とか汚
    泥脱水機の排液をチューブワームタンク内に流入して該
    チューブワームタンク内に酸素が溶解した海水を注入す
    ることにより、チューブワームの体内に共存する化学合
    成バクテリアによって溶存メタンを炭酸水素イオンに酸
    化して処理し、該チューブワームタンクから流出する液
    をMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)生成反応
    塔に送り込んでMAPを生成し、得られたMAPを肥料
    その他の原料に供することを特徴とする化学合成依存生
    物を用いた溶存メタンの処理方法。
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