JPH1116574A - リチウムマンガン複合酸化物及びその製造方法 - Google Patents

リチウムマンガン複合酸化物及びその製造方法

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JPH1116574A
JPH1116574A JP9183021A JP18302197A JPH1116574A JP H1116574 A JPH1116574 A JP H1116574A JP 9183021 A JP9183021 A JP 9183021A JP 18302197 A JP18302197 A JP 18302197A JP H1116574 A JPH1116574 A JP H1116574A
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lithium
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manganese composite
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Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Kazumasa Takatori
一雅 鷹取
Naoyoshi Watanabe
直義 渡辺
Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Jun Sugiyama
純 杉山
Tatsuya Hatanaka
達也 畑中
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高電流密度においても高放電容量を有し,か
つ電極として高い充填性を有するリチウム2次電池用の
リチウムマンガン複合酸化物,及びその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 ニチウム2次電池の正極材料として用い
る粒子状のリチウムマンガン複合酸化物であって,該粒
子は,その形状が球形で下記の式で定義される球形度ψ
が0.16以上であり,かつメジアン径が10μm以下
であること。球形度ψ=粒度分布から粒子が完全球体で
あると仮定して求めた比表面積(A)/BET法から求
めた比表面積(B)。上記粒子は,例えば,噴霧燃焼合
成法により作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,リチウム2次電池用のリチウム
マンガン複合酸化物,及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】最近,充放電電圧が高く,充放電容量も大
きいという特長のため,リチウム2次電池が注目されて
いる。従来その正極材料としては,規則配列層状岩塩構
造のLiCoO2 が用いられてきた。しかし,このもの
は,資源量,価格の点から,その地位をスピネル構造の
リチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )に置き
換わられつつある。
【0003】しかし,このLiMn2 4 はLiCoO
2 に比ベてリチウムの拡散速度が遅い,導電率が低い,
という欠点を持っている。そのため,高電流密度で充放
電を行った場合,大きな放電容量を得にくく容量劣化も
大きい。この欠点を解決するための方法として,粒径を
小さくする,あるいは比表面積を大きくする等の改良が
試みられている。
【0004】ところで,上記LiMn2 4 を固相反応
によって製造する場合には,通常の固相反応法では試料
の均質性,結晶性を高めるために,高温,長時間での熱
処理が必要である。しかし,そのために粒子が,粒成長
し比表面積が低いものしか得られない。
【0005】そして,均質性,結晶性の低下は,リチウ
ム2次電池における放電容量の低下につながる。そのた
め,均質性,結晶性を落とすことなく,粒径を小さくす
る,あるいは比表面積を大きくすることが望まれてい
る。かかる,見地からリチウムマンガン複合酸化物の合
成方法が提案されている(特開平6−295724,特
開平7−97216,特開平6−333562)。
【0006】
【解決しようとする課題】しかしながら,リチウムマン
ガン複合酸化物の粒径が小さい粒子,あるいは比表面積
の大きい粒子は,一般的に,これを正極材料として電極
に作製したとき,その充填性が低く,電極として密度が
上がらない。即ち,リチウム2次電池としての体積当り
の放電容量が低下するという問題が残されている。
【0007】特に,粒子形状が等方的でなく,いびつな
形をしている粒子や,粒子が隣接する粒子と強固に結合
し,容易に解砕されない凝集粒子(アグリゲート)など
が存在している場合には,充填率は低下する。つまり,
充填率を上げるためには,形状が等方的,できれば球形
であること,そしていびつな凝集粒子が極力少ないこと
が必要である。
【0008】しかし,従来の技術では,リチウムマンガ
ン複合酸化物において,(1)均質性,結晶性を落とさ
ず,(2)粒径を小さく,あるいは比表面積を大きく
し,(3)粒子形状が球形で,いびつな凝集粒子がない
粒子を得ることはできなかった。それ故,現状では,リ
チウム2次電池の正極材料として,高電流密度において
高放電容量を有し,高い充填性を有するリチウムマンガ
ン複合酸化物の粒子は得られていない。
【0009】本発明は,かかる従来の問題点に鑑み,高
電流密度においても高放電容量を有し,かつ電極として
高い充填性を有するリチウム2次電池用のリチウムマン
ガン複合酸化物,及びその製造方法を提供しようとする
ものである。
【0010】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,リチウム
2次電池の正極材料として用いる粒子状のリチウムマン
ガン複合酸化物であって,該粒子は,その形状が球形で
下記の式で定義される球形度ψが0.16以上であり,
かつメジアン径が10μm以下であることを特徴とする
リチウム2次電池用のリチウムマンガン複合酸化物。 球形度ψ=粒度分布から粒子が完全球体であると仮定し
て求めた比表面積(A)/BET法から求めた比表面積
(B) である。
【0011】本発明において最も注目すべきことは,上
記の球形度ψが0.16以上でメジアン径が10μm以
下という点である。
【0012】即ち,本発明のリチウムマンガン複合酸化
物は,まず粒子形状が球形で前述の球形度ψが0.16
以上であることを必須とする。粒径が小さくても,ある
いは比表面積が大きくても,粒子形状を球形に近付ける
ことにより,充填率を上げることができる。球形度ψが
0.16未満の粒子は充填率が低いため,電極として密
度が上がらず,電池としての体積当りの放電容量が低下
する。なお,球形度ψは1.0に近い程良い。
【0013】次に,粒径について説明する。リチウムマ
ンガン複合酸化物の粒子径がメジアン径で10μmを越
えると,高電流密度での高放電容量が損なわれる。その
ためメジアン径は10μm以下とする。なお,その下限
は,粒子間付着力の増加による充填率の低下を生ずると
いう点より0.2μmとすることが好ましい。
【0014】上記,球形度は粒子の形状がいかに球に近
いか示す指針であり,さまざまな定義が存在する。例え
ばよく知られているものに以下の式で定義される球形度
がある。(H.WadelI,J.Geo”40,43
3(1990)) 球形度ψs=Ssp/S ここに,Ssp=π(6V/π)2/3 ,V;粒子体積,
S;粒子表面積 上記の球形度ψsは1粒子に対して定義されたもので,
体積から粒子が完全に球形であると仮定した場合の粒子
表面積と,実際の粒子表面積との比較から球形度を計算
している。
【0015】今回採用した球形度ψは,これを多粒子の
粒子に対し拡張し,体積の代わりにレーザー回折/散乱
式粒度分布測定で求められた粒径から,粒子が完全に球
形であると仮定して比表面積を計算し,実際の比表面積
と比較し球形度を計算している。上記球形度ψは,粒子
が完全な球体の場合はψ=1,球形から遠ざかるにつれ
て0に近づいていく形状指数である。
【0016】次に,請求項2に記載の発明は,リチウム
イオンとマンガンイオンとを含有する原料水溶液を用
い,該原料水溶液を可燃性液体中に乳濁させてエマルジ
ョンとなし,該エマルジョンを液滴状に噴霧し,該液滴
中の可燃性液体を燃焼させて,粒子状のリチウムマンガ
ン複合酸化物を合成する方法であって,上記原料水溶液
中におけるマンガンイオン濃度は4.0モル/リットル
以下であることを特徴とするリチウム2次電池用のリチ
ウムマンガン複合酸化物の製造方法である。
【0017】本製造法において最も注目すべきことは,
上記の噴霧燃焼合成法において,上記原料水溶液はマン
ガンイオン濃度が4.0モル/リットル以下である点で
ある。上記マンガンイオン濃度が4.0モル/リットル
以下の場合には,リチウムマンガン複合酸化物の粒子が
球形に近くなり,その球形度ψが0.16以上で,かつ
メジアン径が10μm以下のものを容易に得ることがで
きる。
【0018】その理由は明らかではないが,上記噴霧燃
焼合成の際に,脱水過程において水溶液中の原料金属塩
が核を発生する確率を下げ,かつ核成長を緩やかに進行
させる効果があるためと考えられる。なお,好ましくは
3.0モル/リットル以下であり,この場合には一層球
形度に優れた粒子を得ることができる。また,上記マン
ガンイオンの濃度の下限は,製造効率の低下の点から
0.1モル/リットルとすることが好ましい。
【0019】また,上記リチウムイオンの原料として
は,LiNO3 ,LiCH3 COO・2H2 O,LiO
Hなどを用いる。また,マンガンイオンの原料として
は,Mn(NO3 2 ,Mn(CH3 COO)2 ・4H
2 Oなどを用いる。
【0020】上記可燃性液体としては,ケロシン,軽
油,重油,ガソリンなどを,またエマルジョン形成用の
乳化剤としては金属イオンを含まないもの,特にノニオ
ン系界面活用剤が望ましく,グリセリン脂肪酸エステル
などを用いる。また,上記エマルジョンの噴霧燃焼合成
時における反応塔内の,エマルジョンの燃焼火炎温度は
600〜950℃とすることが好ましい。600℃未満
では燃焼の安定性に問題がある。一方,950℃を越え
るとLiMn2 4 が分解してしまうという問題があ
る。
【0021】また,上記噴霧燃焼合成法においては,脱
溶媒,熱分解,結晶成長のプロセスが,分散した水溶液
球状体の範囲の中で進行する。この合成法の利点は以下
の点にある。 (1)液相の混合を介するため,試料の均質性が高い。 (2)分散したある限られた範囲で合成が進行するの
で,結晶性向上のため合成温度を高くしても過剰な粒成
長や凝集が生じない。 (3)可燃性液体中に分散した水溶液球状体の大きさを
調整することにより,合成粒子の粒子の大きさを調節す
ることができる。 なお,上記噴霧燃焼合成法においては,球形で分散した
粒子が得られるが,中空球状粒子,破裂した形状の粒
子,パフ状粒子が得られることもある。
【0022】この原因は明らかではないが,燃焼による
急激な温度上昇が起こるため,脱溶媒の過程において,
核発生と核成長の速度のバランスが悪く,水溶液球状体
内で多数の核が生成するためと考えられる。そして,こ
の多数の核が充分核成長しきれずに他の核と凝集しパフ
状粒子になったり,球の外周だけで急激な核成長が起こ
り,中空もしくは破裂した形状の粒子になったりすると
考えられる。この点を解決するために,本発明では原料
水溶液の濃度に着目し,マンガンイオン濃度を上記のご
とく規制したのである。
【0023】また,本発明の噴霧燃焼合成法によって得
られた粒子状のリチウムマンガン複合酸化物は,600
〜900℃で熱処理することが好ましい。これにより,
正極材料作製時におけるリチウムマンガン複合酸化物の
充填率を上げることができる。なお,上限は800℃と
することが好ましい。これによりリチウムマンガン複合
酸化物粒子の粒成長を防止でき,高電流密度における高
放電容量が確保できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施形態例につい
て説明する。図1に噴霧燃焼合成装置の概要を示す。こ
の装置は,エマルジョンを供給する定量ポンプ1と,エ
マルジョンを噴霧するアトマイザ2と,着火のためのパ
イロットバーナー3と,円筒形状の燃焼反応塔4と,粒
子回収のための捕集器5とからなる。そして,上記定量
ポンプ1は,エマルジョン110を入れた混合タンク1
1に接続してある。この装置による合成法は下記に示
す。
【0025】次に,上記噴霧燃焼合成法によるリチウム
マンガン複合酸化物の製造につき説明する。以下の実施
形態例1,2は本発明の例であり,比較例1,2は本発
明以外の例である。下記の実施形態例1,2及び比較例
1,2においては,正極材料用の粒子状のリチウムマン
ガン複合酸化物(Li1.03Mn1.974 )を,以下の条
件で噴霧燃焼合成法によって合成した。
【0026】実施形態例1 リチウムイオン源としての硝酸リチウム(LiNO3
と,マンガンイオン源としての硝酸マンガン6水和物
(Mn(NO3 2 ・6H2 O)をモル比でLi:Mn
が1.03:1.97の割合になるように溶かした水溶
液を,マンガンイオン濃度で1.97モル/リットルに
なるように調整し,原料水溶液とした。この原料水溶液
を,乳化剤としてのグリセリン脂肪酸エステルを溶かし
た,可燃性液体としてのケロシン中に懸濁させて,混合
タンク11中においてW/O型のエマルジョン110を
作製した。
【0027】このエマルジョン110を,定量ポンプ1
でアトマイザ2に供給し,酸素ガスを周りから吹き付け
ることによって,燃焼反応塔4内に液滴状に噴霧させ
た。水素と酸素の混合ガスの燃炎をパイロットバーナー
3から供給し,これによって上記エマルジョン中の可燃
性液体を着火し,燃焼反応塔4内で噴霧燃焼合成を行っ
た。
【0028】噴霧燃焼合成が行なわれているエマルジョ
ンの火炎温度は,約900℃であった。なお,燃焼時に
おいては酸素不足にならないように,外部より反応塔へ
空気を強制供給した。燃焼によって合成された上記組成
のリチウムマンガン複合酸化物の粒子は,捕集器5にお
いて回収した。これを試料1とする。
【0029】実施形態例2 原料水溶液をマンガンイオン濃度で2.96モル/リッ
トルになるように調整した以外は,実施形態例1と同様
にして,上記組成のリチウムマンガン複合酸化物の合成
を行った。これを試料2とする。
【0030】比較例1 原料水溶液をマンガンイオン濃度で4.63モル/リッ
トルになるように調整した以外は,実施形態例1と同様
にして,上記組成のリチウムマンガン複合酸化物の合成
を行った。これを試料3とする。
【0031】比較例2 原料水溶液をマンガンイオン濃度で5.91モル/リッ
トルになるように調整した以外は,実施形態例1と同様
にして,上記組成のリチウムマンガン複合酸化物の合成
を行った。これを試料4とする。
【0032】比較例3 次に,噴霧燃焼合成法との比較のため,通常の固相反応
法による合成粒子も合成した。原料として炭酸リチウム
(Li2 CO3 ),二酸化マンガン(MnO2 )の粒子
を用い,モル比でLi:Mnが1.03:1.97にな
るように混合した。混合は,エタノールを溶媒として,
遊星ボールミルで行った。この混合粒子を乾燥後,ペレ
ット状にプレス成形して800℃,8時間,酸素中で熱
処理した。このペレットを充分に粉砕して,上記と同じ
組成のLi1.03Mn1.974 のリチウムマンガン複合酸
化物の粒子を得た。これを比較試料とする。
【0033】次に,上記実施形態例1,2及び比較例
1,2,3の試料の粒子形状について,SEM観察,レ
ーザー回折/散乱式による粒度分布測定,BET法によ
る比表面積測定を行ない,評価した。また,合成粒子の
充填性を定量的に評価するため,試料10g,ダイス内
径φ30mm,加圧1tonの条件で,加圧嵩密度を測
定した。
【0034】これらの結果を,表1に,各例におけるマ
ンガンイオン濃度(モル/リットル),得られた粒子の
メジアン径(μm),比表面積測定の結果,及びそれら
から導きだされる前記球形度ψ,及び加圧嵩密度につい
て示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1より知られるように,原料水溶液中の
マンガンイオン濃度が低下するに従い,球形度が向上し
ている。同時に合成粒子の加圧嵩密度も増大している。
これは合成粒子の球形度が向上して充填性が高い粒子に
なっていることを示す。
【0037】次に,図2に実施形態例1,図3に実施形
態例2,図4に比較例1,図5に比較例2において得
た,リチウムマンガン複合酸化物の粒子のSEM写真を
示す。これらより,原料水溶液中のマンガンイオン濃度
が低下すると,粒子形状が球形に近づくことが,SEM
写真からも観察される。
【0038】実施形態例3 次に,正極材料として,上記実施形態例1,2及び比較
例1,2,3で得られたリチウムマンガン複合酸化物を
それぞれ用いたリチウム2次電池を,試験用セルを用い
て組み立てた。そして,各リチウム2次電池の特性を評
価した。
【0039】上記リチウム2次電池の構成につき説明す
る。上記リチウム2次電池の正極を作るに当っては,ま
ず上記実施形態例1,2または比較例1,2,3のリチ
ウムマンガン複合酸化物粒子を85wt%,導電剤であ
るカーボンを7wt%,結着剤であるポリフッ化ビニリ
デン(PVdF)を8wt%用い,これらを溶剤である
N−メチル・2・ピロリドン(NMP)と湿式混合して
正極合剤ペーストとした。
【0040】次に,この正極合剤ペーストを,0.2m
mの厚さでアルミ箔に塗布し,乾燥後2.7ton/c
2 で加圧して正極を作製した。そして,合成粒子の充
填性を評価するため,作製した正極の重量及び膜厚を測
定し,正極合剤の密度を測定した。
【0041】一方,負極には厚さ0.4mmの金属Li
箔を1枚用いた。上記正極と負極との間には,セパレー
ターとしてポリプロピレン不織布を介設した。さらに,
上記リチウム2次電池における電解液は,1規定のLi
PF6 溶液を用いた。この電解液の溶媒はポリカーボネ
ートとジメトキシエタンの1:1混合液である。
【0042】次に,このリチウム2次電池における,電
池特性測定の充放電条件について説明する。まず,各リ
チウム2次電池を,4.5Vまで1mA/cm2 の定電
流で充電した。その後電圧が4.5Vに到達した後は,
この電圧で定電圧充電を行った。なお,以上の充電時間
の合計は4時間であった。次いで,この充電完了直後に
放電を開始した。放電条件は,定電流放電を行い,3.
5Vに到達したとき放電を終了した。放電電流密度は,
0.25mA/cm2 と2.0mA/cm2 の2条件で
評価を行った。放電終止直後に再度充電を開始した。以
上を1サイクルとした。
【0043】上記評価の結果につき,表2に,各試料の
正極合剤(リチウムマンガン複合酸化物粒+導電剤+結
着剤)の密度,放電電流密度0.25mA/cm2 にお
ける初期容量,放電電流密度2.0mA/cm2 におけ
る初期容量を示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2より知られるように,比較例1,2を
用いたリチウム2次電池は,比較例3を用いたリチウム
2次電池と比べ,放電電流密度がいずれの場合も,その
初期容量は共に優れるが,正極合剤の密度の点で劣って
いる。そのため,これらは電池として体積当りの高放電
容量が期待できない。
【0046】放電容量が高いのは一般的な固相反応法で
合成した比較試料と比ベ,噴霧燃焼合成法で合成した比
較例1,2が試料の均質性が良い,粒径が小さい,比表
面積が大きい,といった特徴を持っているためであると
考えられる。しかし,比較例1,2のものは,球形度が
低く,充填率が低いため,正極合剤の密度も低いという
従来の欠点を併せ持つ。
【0047】これに対して,実施形態例1,2のリチウ
ムマンガン複合酸化物を用いたリチウム2次電池では,
比較例3(固相反応法)のリチウムマンガン複合酸化物
を用いたリチウム2次電池と比べ,放電電流密度がいず
れの場合でも,その初期容量,正極合剤の密度のすべて
の点において優っている。特に,比較的高電流密度であ
る放電電流密度2.0mA/cm2 における初期容量に
ついては大幅に優れている。
【0048】
【発明の効果】上記のごとく,本発明によれば,高電流
密度においても高放電容量を有し,かつ電極として高い
充填性を有するリチウム2次電池用のリチウムマンガン
複合酸化物,及びその製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における噴霧燃焼合成装置の概要
説明図。
【図2】実施形態例1のリチウムマンガン複合酸化物の
粒子形状を示す図面代用のSEM写真(倍率20,00
0倍)。
【図3】実施形態例2のリチウムマンガン複合酸化物の
粒子形状を示す図面代用のSEM写真(倍率20,00
0倍)。
【図4】比較例1のリチウムマンガン複合酸化物の粒子
形状を示す図面代用のSEM写真(倍率20,000
倍)。
【図5】比較例2のリチウムマンガン複合酸化物の粒子
形状を示す図面代用のSEM写真(倍率20,000
倍)。
【符号の説明】
1...定量ポンプ, 2...アトマイザ, 3...パイロットバーナ, 4...燃焼反応塔, 5...補集器,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 直義 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 則竹 達夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉山 純 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 畑中 達也 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム2次電池の正極材料として用い
    る粒子状のリチウムマンガン複合酸化物であって,該粒
    子は,その形状が球形で下記の式で定義される球形度ψ
    が0.16以上であり,かつメジアン径が10μm以下
    であることを特徴とするリチウム2次電池用のリチウム
    マンガン複合酸化物。 球形度ψ=粒度分布から粒子が完全球体であると仮定し
    て求めた比表面積(A)/BET法から求めた比表面積
    (B)
  2. 【請求項2】 リチウムイオンとマンガンイオンとを含
    有する原料水溶液を用い,該原料水溶液を可燃性液体中
    に乳濁させてエマルジョンとなし,該エマルジョンを液
    滴状に噴霧し,該液滴中の可燃性液体を燃焼させて,粒
    子状のリチウムマンガン複合酸化物を合成する方法であ
    って,上記原料水溶液中におけるマンガンイオン濃度は
    4.0モル/リットル以下であることを特徴とするリチ
    ウム2次電池用のリチウムマンガン複合酸化物の製造方
    法。
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