JPH11156934A - 厚み均一性に優れた柔軟性ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

厚み均一性に優れた柔軟性ポリエステルフィルムの製造方法

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JPH11156934A
JPH11156934A JP32428597A JP32428597A JPH11156934A JP H11156934 A JPH11156934 A JP H11156934A JP 32428597 A JP32428597 A JP 32428597A JP 32428597 A JP32428597 A JP 32428597A JP H11156934 A JPH11156934 A JP H11156934A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリトリメチレンテレフタレート又はこれを
主成分とするポリエステル樹脂における逐次二軸延伸法
において、高透明で厚み均一性に優れた二軸配向フィル
ムの製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレート又はこ
れを主成分とする実質的に未配向のポリエステル樹脂シ
ートを縦方向に延伸した後、引続き横方向に3倍以上延
伸して得られるポリエステル樹脂の逐次二軸延方法に於
いて、該縦延伸をガラス転移温度(Tg)+20℃以
上、低温結晶化温度(Tc)+20℃以下の温度で、前
段と後段の2段階に分けて総合延伸倍率2.5〜4.5
となるように縦延伸を行い、かつ好ましくは該前段と後
段の間をTg以下の温度に冷却せずに縦延伸を行うこと
を特徴とする二軸配向フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縦横逐次二軸延伸
方法によるポリトリメチレンテレフタレート又はこれを
主成分とするポリエステル樹脂からなる二軸配向フィル
ムの製造方法。さらに詳しくは、高透明で厚み均一性に
優れた柔軟性ポリエステル樹脂フィルムの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリトリメチレンテレフタレート
又はこれを主成分とするポリエステル樹脂からなる二軸
配向フィルムは、透明性、柔軟性などの諸特性から各種
包装用材料として提案されている。一般に二軸配向フィ
ルムの製造法としては、縦横逐次二軸延伸法が知られて
おり、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれを主成
分とするポリエステル樹脂に対しても適用が試みられて
いる。しかしながら、該ポリエステル樹脂は延伸操作に
基づく配向結晶化速度が速いため縦延伸倍率の上限に制
限があり、その結果として厚み均一性の高いフィルムが
得られていないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリトリメ
チレンテレフタレート又はこれを主成分とするポリエス
テル樹脂における逐次二軸延伸法において、高透明で厚
み均一性に優れた二軸配向フィルムの製造方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、本発明
者らは鋭意研究の結果ついに本発明に到達した。即ち、
ポリトリメチレンテレフタレート又はこれを主成分とす
る実質的に未配向のポリエステル樹脂シートを縦方向に
延伸した後、引続き横方向に3倍以上延伸して得られる
ポリエステル樹脂の逐次二軸延方法に於いて、該縦延伸
をガラス転移温度(Tg)+20℃以上、低温結晶化温
度(Tc)+20℃以下の温度で、前段と後段の2段階
に分けて総合延伸倍率2.5〜4.5となるように縦延
伸を行い、かつ好ましくは該前段と後段の間をTg以下
の温度に冷却せずに縦延伸を行うことを特徴とするポリ
トリメチレンテレフタレート又はこれを主成分とするポ
リエステル樹脂からなる二軸配向フィルムの製造方法で
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高透明で厚み均一
性に優れた柔軟性ポリエステルフィルムの製造方法の実
施の形態を説明する。
【0006】本発明に用いるポリトリメチレンテレフタ
レート又はこれを主成分とするポリエステル樹脂は、テ
レフタル酸成分及び1,3−プロパンジオール成分以外
に、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、エチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ビスフェノールAなどを、本発明の効果を損
なわぬ範囲で共重合したものでもよい。
【0007】本発明に用いるポリトリメチレンテレフタ
レート又はこれを主成分とするポリエステル樹脂は、極
限粘度が0.6以上であることが必要である。0.6未
満では、製膜時破断が頻発して実用に供するフィルムは
得られない。
【0008】また、ポリトリメチレンテレフタレート又
はこれを主成分とするポリエステル樹脂には公知の添加
剤を必要に応じて含有させることが出来る。例えば、滑
剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電
防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤など含有させても良
い。
【0009】本発明は、実質的に未配向のポリトリメチ
レンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂シ
ートを縦2段延伸し、続いて横延伸し、更に熱固定する
事からなる二軸配向したポリトリメチレンテレフタレー
トを主成分とするポリエステル樹脂フィルムの製造方法
である。即ち、実質的に未配向のポリトリメチレンテレ
フタレートを主成分とするポリエステル樹脂シートを縦
延伸するにあたり、第1段目の延伸を施し、Tg以下の
温度に冷却することなく、引き続き第2段目の延伸を行
い、しかるのち3倍以上、好ましくは、3.5倍以上の
倍率で横延伸し、更に熱固定することからなる二軸配向
フィルムの製造方法である。これらの縦延伸には、熱ロ
ール延伸、赤外線輻射延伸等の公知の縦延伸方法を用い
てよい。
【0010】以下、本発明によるフィルムの製造法を詳
細に説明する。まず、上記ポリトリメチレンテレフタレ
ートを主成分とするポリエステル樹脂原料を乾燥した
後、押出機により溶融押出し、口金より回転ドラム上に
キャストして急冷固化し該ポリエステルシートを得る。
このシートは、実質的に未配向状態である。このシート
をまずTg+20℃以上、Tc+20℃以下の温度で、
1.1〜2.4倍に第1段延伸する。1.1倍以下で
は、延伸効果が現れず、また、2.5倍を越えると配向
結晶化が著しく進行し、後続する第2段延伸での延伸応
力が高くなり、あるいは横延伸での破断につながるため
好ましくない。より好ましくは、1.5〜2.0倍であ
る。延伸温度は、Tg+20℃未満では、ネッキングを
生じ厚み斑が増大しやすくなり、Tc+20℃を越える
と熱結晶化が進行し、横延伸で破断しやすくなり好まし
くない。より好ましくは、Tg+30〜Tc+10℃で
ある。ここで、低温結晶化とは実質的に非晶質のポリエ
ステル樹脂シートが昇温過程で結晶化する温度の事であ
る。
【0011】この第1段延伸後、引き続き第2段延伸を
するわけであるが、その間のシート温度を如何にするか
が本発明の特徴の1つである。即ち、強制的に冷却する
のではなく加熱保温し、しかも第2延伸の予熱あるいは
延伸のための加熱を兼用する事にある。強制的に冷却
し、更に第2延伸のために再加熱すると熱結晶化が著し
く進行し、横延伸応力が増大し、破断が頻発しこのまし
くない。この加熱保温の区間でも熱結晶化は進行する
が、前述の強制冷却、再加熱に比べると甚だ遅く実用上
問題とはならない。
【0012】次に、このシートを総合縦延伸倍率が、
2.5〜4.5倍となるように第2段延伸する。2.5
倍未満であると厚み均一性の悪化や、破断強度等の力学
的性質の向上がみられず、又4.5倍を越えるとフィル
ム幅方向に均一な物性が得られにくくなるという別の課
題が発生する。より好ましくは、3.0〜4.0であ
る。このときの延伸温度は、Tg+20〜Tc+20℃
である。Tg+20℃未満では、延伸応力が高くなり横
延伸で破断し易く、Tg+20℃を越えると厚み斑が大
きくなり好ましくない。より好ましくは、Tg+30〜
Tc+10℃である。
【0013】このようにして得られた一軸配向フィルム
をステンターを用いて60℃〜融点未満の温度、好まし
くは、70〜100℃で3倍以上、好ましくは3.5倍
以上横延伸し、次いで熱固定して巻き取る。横延伸温度
が低すぎると横延伸性が悪化し、高すぎると厚み斑が悪
くなる。横延伸の延伸倍率においては、3倍以上にしな
ければ,横方向の力学的性質の改善効果が少ない。
【0014】このように縦延伸を2段階に分け、第1延
伸実施後、Tg以下の温度に冷却することなく引き続き
第2延伸を施すことにより、より高倍率延伸ができ厚み
均一性に優れたフィルムが得られた。より高倍率延伸が
出来る理由は、第1延伸と第2延伸に延伸を分割するこ
とによる延伸応力の削減効果のみならず、第1延伸と第
2延伸のあいだを加熱保温することにより、強制冷却か
ら再加熱時に生じる結晶化促進効果を防止し、更に第1
延伸後シートの配向緩和を促進し、横延伸前の1軸配向
フィルムの構造を緩やかなものとしたため、引き続く横
延伸も容易にしたためと考えられる。
【0015】上記製造法により得られたフィルムは、厚
み方向の屈折率Nz(≧1.55)を高く維持でき、理
由は不明であるが、種々の印刷用インキに対し高い接着
強度が得られる。屈折率は、分子の配向や結晶化の状態
を反映する指標であり、厚み方向においてこの値が高い
ことから本延伸方式においては緩やかな延伸がなされた
結果を示唆するものである。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づき詳細に説明するが、本
特許がこの方法に限定されないことは言うまでもない。
なお、実施例、比較例中に用いられるフィルム温度、物
性値及び特性は、以下のように測定、かつ定義される。
【0017】(1)ガラス転移温度(Tg)及び低温結
晶化温度(Tc) 未配向のポリトリメチレンテレフタレートを主成分とす
るポリエステル樹脂シートを液体窒素中で凍結し、減圧
解凍後にセイコー電子製DSCを用い、昇温速度10℃
/分で測定した。
【0018】(2)フィルム温度 縦延伸における温度は、ミノルタ(株)製放射温度計I
Rー004を用いフィルムの温度を測定した。
【0019】(3)厚み斑 フィルムを縦方向、横方向にそれぞれ1m×5cmの短
冊状に切断し、アンリツ電気社製厚さ計K306Cを用
い厚み形状を測定する。下記式により1m当たりの厚み
斑を算出し、これを5回繰り返し平均し厚み斑とした。 厚み斑=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
(%)
【0020】(4)屈折率 (株)アタゴ社製アッベ屈折計4Tを用いて、接眼レン
ズに偏光板を取り付け、偏光板の向きをそれぞれ調整
し、フィルム縦、横、厚み方向の屈折率を測定した。厚
み方向N屈折率をNzで表す。
【0021】(5)曇価 JIS−K6714に準じ、日本電色(株)製のヘーズ
メーターを用い曇価を測定した。
【0022】(6)引張り弾性率 東洋ボールドウィン製テンシロンUTM−2−500型
を使用し、温度23℃、湿度65%の条件下で測定し
た。サンプル形状は、長さ10cm、引っ張り速度は、
10cm/分とした。
【0023】(7)衝撃強度 フィルムインパクトテスター((株)東洋精機製)を用
い、23℃において測定した。
【0024】
【実施例1】ポリトリメチレンテレフタレートからなる
ペレット(極限粘度=0.84)を真空乾燥した後、T
ダイスから押し出し、静電荷によりキャスティングドラ
ムに密着させ、未延伸シートを得た。該キャストシート
のTgは50℃、Tcは70℃であった。該キャストシ
ートを延伸温度85℃縦方向に1.5倍第一延伸した
後、Tg以下の温度に冷却されることなく延伸温度75
℃で総合倍率が3.0倍となるように第二延伸を行っ
た。更に引き続き該一軸延伸フィルムを、テンター内で
65℃で幅方向に3.5倍延伸し、200℃で5%リラ
ックスさせながら熱処理し、厚みが12μの二軸延伸フ
ィルムを得た。その特性を表1に示す。
【0025】
【比較例1】実施例1に用いたのと同じペレットを用
い、同条件でTダイスから押し出し、静電荷によりキャ
スティングドラムに密着させ、未延伸シートを得た。該
キャストシートのTgは50℃、Tcは70℃であっ
た。該キャストシートを延伸温度60℃で縦方向に2.
5倍延伸した後、テンター内で65℃で幅方向に3.5
倍延伸し、200℃で5%リラックスさせながら熱処理
し、厚みが12μの二軸延伸フィルムを得た。その特性
を表1に並記した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ポリトリメ
チレンテレフタレート又はこれを主成分とするポリエス
テル樹脂からなる二軸延伸フィルムを、高品質で何ら生
産性を損なうことなく製造でき極めて有効である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリトリメチレンテレフタレート又はこ
    れを主成分とする実質的に未配向のポリエステル樹脂シ
    ートを縦方向に延伸した後、引続き横方向に3倍以上延
    伸して得られるポリエステル樹脂の逐次二軸延方法に於
    いて、該縦延伸をガラス転移温度(Tg)+20℃以
    上、低温結晶化温度(Tc)+20℃以下の温度で、前
    段と後段の2段階に分けて総合延伸倍率2.5〜4.5
    となるように縦延伸を行うことを特徴とするポリトリメ
    チレンテレフタレート又はこれを主成分とするポリエス
    テル樹脂からなる 二軸配向フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の前段の縦延伸倍率が2.
    4以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフ
    タレート又はこれを主成分とするポリエステル樹脂から
    なる二軸配向フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の縦延伸における前段と後
    段の間をTg以下の温度に冷却しないことを特徴とする
    ポリトリメチレンテレフタレート又はこれを主成分とす
    るポリエステル樹脂からなる二軸配向フィルムの製造方
    法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030052263A (ko) * 2001-12-12 2003-06-27 주식회사 코오롱 이염색성 폴리에스터계 이축연신 필름 및 그 제조방법
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JP2007177135A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリエステルフィルム
JP2008511715A (ja) * 2004-09-02 2008-04-17 エスケーシー カンパニー,リミテッド 二軸延伸ポリエステルフィルム及びその製造方法
JP2008242426A (ja) * 2006-12-22 2008-10-09 Nippon Shokubai Co Ltd 位相差フィルムの製造方法

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