JPH11152999A - トンネル掘削壁面への支保体の施工方法 - Google Patents

トンネル掘削壁面への支保体の施工方法

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JPH11152999A
JPH11152999A JP9334923A JP33492397A JPH11152999A JP H11152999 A JPH11152999 A JP H11152999A JP 9334923 A JP9334923 A JP 9334923A JP 33492397 A JP33492397 A JP 33492397A JP H11152999 A JPH11152999 A JP H11152999A
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tunnel
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隆義 中山
Junji Ono
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Kazuo Nishikawa
和男 西川
Saburo Okuno
三郎 奥野
Kazuhiro Kano
和博 鹿野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 岩盤が崩落し易いトンネル壁面の上周壁部を
正確に支保し得る支保体の施工方法を提供する。 【解決手段】 複数個の支保ピース1、1A、1Bとによっ
てトンネル掘削壁面Tよりも小径で且つ上半部に金網よ
りなる岩盤崩落防止部材2を張設しているリング状支保
体Aを形成したのち、このリング状支保体Aの下部支保
ピース1Bと両側部の支保ピース1A、1Aとの上下対向端面
間を拡張ジャッキ5、5により同時に同一寸法、拡張し
てリング状支保体Aを拡径させ、このリング状支保体A
の上半部に張設している岩盤崩落防止部材2をトンネル
周方向に偏位させることなくトンネル掘削壁面Tの上周
壁部に正確に沿った状態に配設してトンネル掘削壁面T
の上周壁部に局部的に生じる岩盤の崩落や肌落ち等によ
る緩み荷重を支持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル掘削機に
よって掘削された岩盤掘削壁面を支保する支保体施工方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トンネル掘削機によって岩質の地盤にト
ンネルを掘削する場合、掘削されたトンネル壁面が肌落
ちしたり、崩落することがあり、このため、従来から図
8に示すように、トンネル掘削壁面Tに沿って湾曲した
一定の円弧長を有する矩形枠形状の支保ピース31を順
次、トンネルの周方向に連結してトンネル掘削壁面Tの
径よりも小径の円形リング状支保体Aを組み立て、該小
径リング状支保体Aをトンネル掘削壁面Tの下周壁部上
に設置したのち、この小径リング状支保体Aの下半部に
おいて、図9に示すように最下部に配設した支保ピース
31とこの支保ピース31の一側端面に接合した支保ピース
31との対向端面間を拡張ジャッキ によって押し拡げて
小径リング状支保体Aを拡径させることにより、該リン
グ状支保体Aの外周面をトンネル掘削壁面Tに圧接させ
ている。
【0003】この際、トンネル掘削壁面Tからの岩盤の
緩みによる崩落や肌落ちはトンネル掘削壁面Tの上周壁
部側において発生するものであって、下周壁部側では岩
盤の緩みが生じていても崩落や肌落ちが生じる虞れはな
いので、上記小径リング状支保体Aの上半部を形成する
矩形枠形状の支保ピース31の外周面にのみ金網等の岩盤
崩落防止部材32を張設しておき、下半部側の支保ピース
31には施工費用の低廉化や取扱性、施工性等の観点から
岩盤崩落防止部材を張設することなく矩形枠形状のま
ゝ、使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の支保体施工方法によれば、複数個の支保ピース31に
よって小径リング状支保体Aにおいて、最下部に配設し
た支保ピース31とこの支保ピース31の一側端面に接合し
た支保ピース31との対向端面間を拡張ジャッキ35により
押し拡げて拡径させるものであるから、小径リング状支
保体Aの最下部の支保ピース31を支点として一側端面側
の支保ピース31が拡張ジャッキ35の伸長によりトンネル
掘削壁面Tに向かって斜め上方に移動してリング状支保
体Aがその拡張方向にローリングしながらトンネル掘削
壁面Tに圧接することになる。
【0005】そのためリング状支保体Aの上半部に張設
している岩盤崩落防止部材32の一側端が図9に示すよう
にトンネル掘削壁面Tの上周壁部側寄りに偏位した状態
でトンネル掘削壁面Tを支保した構造となり、トンネル
掘削壁面Tの上周壁部の一側部に同図に示すように岩盤
の緩み個所Bが生じた場合には、その岩片が崩落防止部
材32の一側端から下周部側の崩落防止部材32が張設して
いない支保体部分からトンネル内に崩落して支保体本来
の目的とするトンネル掘削壁面Tを支保する役目を果た
すことができないばかりでなく極めて危険であり、作業
上からも問題点があった。
【0006】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところはトンネル掘削壁面の
上半部に生じる岩盤緩み個所を確実に抑えることができ
るトンネル掘削壁面への支保体の施工方法を提供するに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1に係るトンネル掘削壁面への支保体
の施工方法は、トンネル掘削壁面に沿って円弧状に彎曲
した一定の円弧長を有する複数個の支保ピースをトンネ
ルの周方向に連結してトンネル掘削壁面の径よりも小径
で且つ上半部外周面に岩盤崩落防止部材を張設してなる
リング状支保体を形成し、この小径リング状支保体の下
半部両側における上下に隣接する支保ピースの対向端面
間を下側の支保ピースを支点として同一寸法だけ上方に
拡張させて小径リング状支保体を拡径させ、該リング状
支保体の外周面をトンネル掘削壁面に圧接させることを
特徴とするものである。
【0008】請求項2に係る発明は上記支保ピースの対
向端面間を拡張させる拡張手段であって、上下支保ピー
スの対向端部内周面間に着脱自在に連結した拡張用ジャ
ッキからなることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】複数個の支保ピースをトンネル周方向に連結す
ることによって組み立てられた小径リング状支保体をト
ンネル掘削壁面内において、その下半部両側における上
下に隣接する支保ピースの対向端面間をジャッキや押し
ボルト手段によって拡張させると、トンネル掘削壁面の
下周壁部の底面に受止されている支保ピースを支点とし
て上方側の小径リング状支保体部分が径方向に拡張され
ながら上方に持ち上げられてその外周面をトンネル掘削
壁面に圧接する。
【0010】この時、小径リング状支保体の下半部両側
において、上下に隣接する支保ピースの対向端面間を下
側の支保ピースを支点として同一寸法だけ上方に拡張さ
せるものであるから、小径リング状支保体はトンネル掘
削壁面の周方向にローリングすることなく拡径してトン
ネル壁面に圧接することになる。従って、小径リング状
支保体の上半部外周面に張設している岩盤崩落防止部材
はトンネル掘削壁面の周方向に偏位することなく、トン
ネル掘削壁面の上周壁部を全面的に支保して岩盤の緩み
による崩落や肌落ちを防止する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の具体的な実施の形
態を図面について説明すると、まず、図1に示すよう
に、トンネル掘削壁面Tに沿って円弧状に彎曲した一定
の円弧長を有する複数個の支保ピース1、1A、1Bをトン
ネルの周方向に連結してトンネル掘削壁面Tの径よりも
小径で且つ上半部外周面に岩盤崩落防止部材2を張設し
てなる正面円形のリング状支保体Aを形成する。支保ピ
ース1〜1Bは図5〜図7に示すように、トンネル掘削壁
面Tに沿って円弧状に湾曲した前後主桁1a、1bの長さ方
向の両端間を平板形状の継手板1c、1cによって一体に固
着してなる鋼製矩形枠からなり、トンネル掘削壁面Tの
上周壁部に沿って配設される支保ピース1は図5に示す
ようにその矩形枠の外周側開口端に棒状の金属線材を格
子状に組み合わせた金網からなる岩盤崩落防止部材2を
張設してなる構造を有する。
【0012】一方、トンネル掘削壁面Tの底部である下
周壁部に沿って配設される支保ピース1Bは図7に示すよ
うに、岩盤崩落防止部材2を張設していない鋼製矩形枠
からなる。また、これらの上下支保ピース1、1B間に設
けられてトンネル掘削壁面Tの両側壁部に沿って配設さ
れる支保ピース1Aは、図6に示すように、鋼製矩形枠の
上半部側の外周開口端に金網よりなる岩盤崩落防止部材
2'を張設した構造を有している。さらに、各支保ピース
1〜1Bの主桁1a、1b及び継手板1cには、トンネル長さ方
向及び周方向に隣接する支保ピース同士を連結するため
の数個のボルト挿通孔3、4を穿設している。
【0013】なお、図1においては4個の支保ピースか
ら小径リング状支保体Aを形成しているが、4個以上の
支保ピースを組み合わせることによって小径リング状支
保体を構成してもよく、この場合、岩盤崩落防止部材2
を張設した最上部の支保ピース1と岩盤崩落防止部材2
を張設していない最下部の支保ピース1Bとの間の中間の
支保ピース1Aとしては、岩盤崩落防止部材2を張設した
支保ピースと張設していない支保ピースとを上下に組み
合わせた構造とする場合もある。
【0014】上記小径リング状支保体Aは図4に示すよ
うに、トンネル掘削機10のスキンプレート11内で組み立
てられたのち、トンネル掘削機10の掘進に従ってトンネ
ル掘削壁面T側に順次送り出され、後述する拡張ジャッ
キ5からなる拡張手段によって拡径されてトンネル掘削
壁面Tに順次、圧接するものである。
【0015】トンネル掘削機10は、後半の下周部が切除
20されている円筒形状のスキンプレート11の前端開口部
に該スキンプレート11と一体的に配設した支持部材12
と、この支持部材12に回転自在に支持され且つ該支持部
材12内に装着している駆動モータ(図示せず)によって
回転駆動させられるカッタ板13と、上記支持部材12の後
端にその先端を一体的に固着して上記スキンプレート11
の中央空間部を通じて該スキンプレート11の後端から後
方に水平状に延出しているビーム体14と、支持部材12の
上下左右に一体的に装着された伸縮自在なフロンドグリ
ッパ15と、ビーム体14の後端部下面から下方に突設して
ジャッキ16a により上下伸縮自在なリアサポート16と、
ビーム体14の下面に沿って摺動自在に配設されたリアグ
リッパ17と、支持部材12とリアグリッパ17間を連結した
推進ジャッキ18とから構成されている。
【0016】なお、上記スキンプレート11はビーム体14
の外周面に連結フレーム材21を介して一体に固定、支持
されていると共にリアグリッパ17はスキンプレート11か
ら後方に突出したビーム体14の後部側に配設されてあ
り、周知のように、ビーム体14に対して相対的に摺動自
在なビーム受け19の下面両側からトンネル掘削壁面2の
両側面に向かって水平に突設させていると共に両リアグ
リッパ17、17と上記支持部材12の背面両側部間を上記推
進ジャッキ18、18によってそれぞれ連結しているもので
ある。なお、カッタ板13によって掘削された土砂はコン
ベア(図示せず)等の適宜な搬出手段によって後方に排
出される。
【0017】このように構成したトンネル掘削機1のス
キンプレート11内で小径リング状支保体Aを組み立てる
には、まず、岩盤崩落防止部材2を張設していない鋼製
矩形枠からなる上記支保ピース1Bをスキンプレート11の
後部内においてスキンプレート11の切除部20に露出して
いるトンネル掘削壁面Tの下周壁部上に置く。なお、ス
キンプレート11としては、その後半の下周部に切除部20
を設けた円筒形状に必ずしも形成しておく必要はなく、
少なくともトンネル掘削壁面Tの上周壁部に沿った形
状、即ち、円弧状に湾曲したフード形状に形成して、小
径リング状支保体Aをスキンプレート11内におけるトン
ネル掘削壁面Tの露出底面上で組み立てるようにしてお
けばよい。
【0018】支保ピース1Bはその前後主桁1a、1bの長さ
方向の中央をトンネル掘削壁面Tの下周壁部中央、即
ち、最も低位置の壁面上に受止させた状態で配設され、
従ってその両側端の継手板1c、1cが同一高さ位置におい
てその幅方向の面を形成すべき小径リング状支保体Aの
外周面側から中心に向かう法線方向に向けた状態となっ
ている。さらに、この支保ピース1Bはその後側主桁1bを
既にトンネル掘削壁面T側に送り出している既設の拡径
リング状支保体A'における支保ピース1Bの前側主桁1aに
接合、受止させておく。
【0019】次いで、トンネル掘削壁面Tの両側壁面を
支保するための上記支保ピース1A、1Aを順次スキンプレ
ート11内の両側方に配設して下側の継手板1cを上記支保
ピース1Bの継手板1cに接合させることにより、該支保ピ
ース1Bの前後主桁1a、1bに両側方の支保ピース1A、1Aの
前後主桁1a、1bを円周方向に連続させた状態に組み合わ
せたたのち、互いに接合した継手板1c、1cに穿設してい
るボルト挿通孔4、4間をボルト・ナット3により緩締
結しておく。
【0020】しかるのち、両側方に配設した支保ピース
1A、1Aの上側継手板1c、1c間にトンネル掘削壁面Tの上
周壁部を支保するための支保ピース1を介在させて該支
保ピース1の両側継手板1c、1cを支保ピース1A、1Aの上
記継手板1c、1cにそれぞれ接合させ、互いに連通したボ
ルト挿通孔4、4間をボルト・ナット3により締結して
一体に連結する。なお、支保ピース1A、1B同士の接合連
結作業はスキンプレート11内に配設したエレクター(図
示せず)を使用して行われる。
【0021】このように複数個の支保ピース1、1A、1B
をスキンプレート11内の下周部側から上周部に向かって
順次接合、連結することにより、図1に示すように中心
がスキンプレート11の中心から下方に位置して上周部側
の支保ピース1の外周面とスキンプレート11の上周部内
面との間に隙間を有し、且つ半径がスキンプレート11の
曲率半径よりも小さい円形の小径リング状支保体Aを組
み立てる。このように組み立てると、上部と両側部に配
した上記支保ピース1、1Aにそれぞれ張設している岩盤
崩落防止部材2、2'が互いに連なって小径リング状支保
体Aの外周面上半部を被覆した構造となる。なお、下周
部に配設した支保ピース1Bに対して両側方の支保ピース
1A、1Aをボルト・ナット3の緩締結により仮固定してお
くことなく、単に接合させた状態に組み込んでおいても
よい。
【0022】こうして、スキンプレート11内で小径のリ
ング状支保体Aを組み立てる一方、トンネル掘削機10を
掘進させて一定長のトンネルを掘削すると、その掘進に
従ってスキンプレート11が前進し、トンネル掘削壁面T
の底面上に載せている小径のリング状支保体Aがスキン
プレート11の後端からトンネル掘削壁面T側に相対的に
送り出される。
【0023】小径のリング状支保体Aがトンネル掘削壁
面T側に全面的に位置すると、図2に示すように、下周
部側に配設した支保ピース1Bの両側端部内周面とこの支
保ピース1Bに接合した両側支保ピース1A、1Aの下端部内
周面とをそれぞれ拡張ジャッキ5、5によって連結す
る。この拡張ジャッキ5の連結手段としては、トンネル
掘削壁面Tの下周壁部に沿って配設する上記支保ピース
1Bの前後主桁1a、1bにおける内周面両側端部と、トンネ
ル掘削壁面Tの両側周壁部に沿って配設する上記支保ピ
ース1A、1Aの前後主桁1a、1bにおける内周面下端部とに
ブラケット取付用螺子孔6a、6b(図6、図7に示す)を
それぞれ設けておき、これらの螺子孔6a、6bにボルトに
よってブラケット7a、7bを取り外し可能に固着したの
ち、小径リング状支保体Aの両側下部において上下に対
向するブラケット7a、7b間に上記拡張ジャッキ5を介在
させて該ブラケット7a、7bに着脱自在に装着した構造を
採用している。
【0024】なお、この拡張ジャッキ5の装着は、小径
リング状支保体Aをスキンプレート11内で組み立てた際
に、トンネル掘削壁面T側に該小径リング状支保体Aを
相対的に送り出す前に行っておいてもよい。また、掘削
壁面Tの下周壁部に沿って配設した上記支保ピース1Bと
掘削壁面Tの両側壁部に沿って配設した上記支保ピース
1A、1Aとにおける互いに接合した継手板1c、1cが、小径
リング状支保体Aの形成時にボルト・ナット3によって
仮固定されている場合には、該ボルト・ナット3を緩め
るか撤去しておく。
【0025】しかるのち、上記両側の拡張ジャッキ5、
5を同時に同一寸法だけ徐々に伸長させると、トンネル
掘削壁面Tの上周壁部に沿って配設した上部の支保ピー
ス1とこの支保ピース1の両側端面にボルト・ナット3
によって一体に連結している両側支保ピース1A、1Aとに
よって形成された下向きC字状の支保体部分がトンネル
掘削壁面Tの底面に受止された下部の支保ピース1Bを支
点として径方向に拡張しながら上方に持ち上げられてそ
の支保体部分の外周面とトンネル掘削壁面Tとの間の隙
間8がなくなり、該支保体部分の外周面がトンネル掘削
壁面Tに全面的に圧接する。
【0026】即ち、両側の拡張ジャッキ5、5を同時に
同一長さ伸長させると、下部の支保ピース1Bはトンネル
掘削壁面Tの底面に受止された中央部を支点として拡径
方向に変形してトンネル掘削壁面Tから内方に離間して
いた両側端部がトンネル掘削壁面Tの下周壁部両側面に
押し付けられ、上部の支保ピース1とこの支保ピース1
の両側端面に一体に連結している両側支保ピース1A、1A
とによって形成された下向きC字状の支保体部分が周方
向に偏位することなく上方に持ち上げられながら上部支
保ピース1の円弧長方向の中央部から両側支保ピース1
A、1Aの下端に向かって拡径方向に均等に変形して図3
に示すようにトンネル掘削壁面Tに圧接した拡径リング
状支保体A'を形成するものである。
【0027】従って、小径リング状支保体Aの上半部外
周面に張設している岩盤崩落防止部材2、2'はトンネル
掘削壁面Tの周方向に偏位することなくトンネル掘削壁
面Tの上半部内周壁面に接した状態に配設されてトンネ
ル掘削壁面Tの上周壁部の岩盤Bの緩みによる崩落や肌
落ちを防止するものである。なお、小径リング状支保体
Aの拡径時においては、該小径リング状支保体Aの後端
面を、トンネル掘削壁面Tを支保している既設の拡径リ
ング状支保体A'の前端面に接した状態で拡径させられる
ものであり、拡径後、互いに離間した継手板1c、1c間を
ボルト・ナット3により縮径を阻止した状態に連結する
と共に拡径したリング状支保体A'、A'同士をボルト・ナ
ットにより連結する。
【0028】上記実施例においては、拡張手段として拡
張ジャッキ5を用いたが、ジャッキに替えて押しボルト
により行ってもよい。即ち、下部支保ピース1Bの両側継
手板1cに数個のボルトを螺通しておき、このボルトの先
端を該継手板1cと対向した両側支保ピース1A、1Aの継手
板1cの端面に受止させた状態でボルトを螺進方向に回動
操作することにより拡張させてもよい。この場合、拡張
後、離間した継手板1c、1c間を上述したようにボルト・
ナットにより連結する必要はなく、拡張された拡径リン
グ状支保体A'を上記押しボルトによって拡径状態に維持
しておくことができる。
【0029】以上のように、トンネル掘削機10のスキン
プレート11内で小径リング状支保体Aを組み立てる工程
と、トンネル掘削機10の掘進に従ってトンネル掘削壁面
T側に相対的に送り出された該小径リング状支保体Aを
拡張手段によって拡径させてトンネル掘削壁面Tを支持
させる工程とを繰り返し行ってトンネル掘削壁面を支保
する支保工を形成するものである。
【0030】トンネル掘削機1によるトンネルの掘進
は、そのリアグリッパ17、17をトンネル壁面2の両側面
に圧着させたのち、リアサポート16を収縮させてトンネ
ル壁面2の底面から離し、しかるのち、推進ジャッキ18
を伸長させることによりリアグリッパ17を介してトンネ
ル壁面2に反力を支持させた状態でフロントグリッパ15
を掘削壁面2に摺接させながらカッタ板13により掘進さ
せていく。一定長のトンネルの掘削後、フロントグリッ
パ15を掘削壁面2に強く圧着させた状態にすると共にリ
アサポート16を伸長させて掘削壁面2の底面に支持さ
せ、リアグリッパ17を収縮させたのち、推進ジャッキ18
を収縮させてビーム体14に沿って該リアグリッパ17を次
の圧着位置まで前進させるものである。
【0031】なお、以上の実施例においては、トンネル
掘削機1のスキンプレート11内で小径のリング状支保体
Aを組み立てたのち、該リング状支保体Aをトンネル掘
削壁面2側で拡径させているが、トンネル掘削機1の後
方側でこの小径のリング状支保体Aを組み立てて拡径さ
せることによりその外周面を掘削壁面Tに当接させても
よく、或いは、トンネル掘削機10による掘削以外のトン
ネル内において小径リング状支保体Aを組み立てたの
ち、拡径させてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明のトンネル壁面への
支保体の施工方法によれば、上半部外周面に岩盤崩落防
止部材を張設してなる小径のリング状支保体をトンネル
内において、その下半部両側における上下に隣接する支
保ピースの対向端面間を下側の支保ピースを支点として
同一寸法だけ上方に拡張させて小径リング状支保体を拡
径させるものであるから、小径リング状支保体をトンネ
ル掘削壁面の周方向にローリングさせることなく均等に
拡張させることができ、従って、小径リング状支保体の
上半部外周面に張設している岩盤崩落防止部材をトンネ
ル掘削壁面の周方向に偏位させることなくトンネル掘削
壁面の上周壁部に全面的に密接させることができて岩盤
の緩みによる崩落や肌落ちを確実に防止することができ
るものである。
【0033】また、請求項2に係る発明によれば、上記
支保ピースの対向端面間を拡張させる拡張手段として上
下支保ピースの対向端部内周面間に着脱自在に連結した
拡張用ジャッキを用いているので、小径リング状支保体
を能率良く且つ左右側の拡張寸法が均等となるように正
確に拡径させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】スキンプレート内で組み立てた小径リング状支
保体の簡略正面図、
【図2】小径リング状支保体の拡張開始状態を示す簡略
正面図、
【図3】拡径させたリング状支保体の簡略正面図、
【図4】支保体を施工しているトンネル掘削機の簡略縦
断側面図、
【図5】上部に配設する支保ピースの斜視図、
【図6】中間部に配設する支保ピースの斜視図、
【図7】下部に配設する支保ピースの斜視図、
【図8】従来例を説明するための小径リング状支保体の
簡略正面図、
【図9】拡径させた状態の簡略正面図。
【符号の説明】
1 上部に配設する支保ピース 1A 両側部に配設する支保ピース 1B 下部に配設する支保ピース 2 岩盤崩落防止部材 3 ボルト・ナット 5 拡張ジャッキ 10 トンネル掘削機 11 スキンプレート A 小径リング状支保体 T トンネル掘削壁面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 和男 大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2号 株 式会社奥村組内 (72)発明者 奥野 三郎 大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2号 株 式会社奥村組内 (72)発明者 鹿野 和博 大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2号 株 式会社奥村組内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル掘削壁面に沿って円弧状に彎曲
    した一定の円弧長を有する複数個の支保ピースをトンネ
    ルの周方向に連結してトンネル掘削壁面の径よりも小径
    で且つ上半部外周面に岩盤崩落防止部材を張設してなる
    リング状支保体を形成し、この小径リング状支保体の下
    半部両側における上下に隣接する支保ピースの対向端面
    間を下側の支保ピースを支点として同一寸法だけ上方に
    拡張させて小径リング状支保体を拡径させ、該リング状
    支保体の外周面をトンネル掘削壁面に圧接させることを
    特徴とするトンネル掘削壁面への支保体の施工方法。
  2. 【請求項2】 上記支保ピースの対向端面間を拡張させ
    る拡張手段は、上下支保ピースの対向端部内周面間に着
    脱自在に連結した拡張用ジャッキからなることを特徴と
    する請求項1に記載のトンネル掘削壁面への支保体の施
    工方法。
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