JPH11148506A - オーステナイト系ステンレス製ドリルタッピンねじ - Google Patents

オーステナイト系ステンレス製ドリルタッピンねじ

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JPH11148506A
JPH11148506A JP33132297A JP33132297A JPH11148506A JP H11148506 A JPH11148506 A JP H11148506A JP 33132297 A JP33132297 A JP 33132297A JP 33132297 A JP33132297 A JP 33132297A JP H11148506 A JPH11148506 A JP H11148506A
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drill
tapping screw
screw
stainless steel
guide groove
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JP33132297A
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Masami Zaiki
政己 材木
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Nitto Seiko Co Ltd
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Nitto Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】切削除去される切り粉をスムースに排出すると
ともに優れた耐食性を有するオーステナイト系ステンレ
ス製ドリルタッピンねじの提供。 【解決手段】頭部2と一体でねじ山5を形成した脚部3
に先端が円錐形状のドリル部10を形成し、ドリル部1
0の先端からねじ山5にかけて形成したガイド溝13の
外周縁に切り刃14を設け、ガイド溝13から他方のガ
イド溝13の切り刃14の端縁にかけて異なる円弧が繋
がったランド部20を有するドリルタッピンねじ材を圧
造及び転造成形により得、これをフッ素系反応ガス雰囲
気内で処理温度500°C以下で加熱して表面に炭素を
拡散させる表面硬化処理を施したドリルタッピンねじで
あるので、穴あけ時の摩擦熱の発生が減り、下穴あけト
ルク及びねじ込み始動トルクの低いねじ締め作業が得ら
れる。また、ねじ材の表面全体が硬化されるので、ねじ
り力に対しても十分に耐え、耐食性も優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はあらかじめワークに
ねじ込み用の下穴をあけずに、タッピンねじ自体がこの
ワークに下穴を穿設しながら雌ねじを成形してねじ込み
可能なタッピンねじで特に、耐食性の優れたオーステナ
イト系ステンレス製ドリルタッピンねじに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から金属製の板状のワークにタッピ
ンねじをねじ込む場合、主にこの板状ワークには、ねじ
をねじ込む下穴がドリル等の工具を使用してあらかじめ
あけられている。そして、この下穴にタッピンねじをね
じ込むことでワークに雌ねじを自ら形成しながらねじ込
まれるようになっている。
【0003】また、ワーク(図示せず)に下穴が形成さ
れていない場合においては、例えば、実公平3−530
44号公報に示すようなものが使用されている。これは
図7に示すように、脚部103に同一直径のねじ山10
5が形成された胴部111を有し、これに連続して前記
胴部111のねじ山外径より小径で先端尖り先の円錐角
(α)が115°〜120°程度に形成されたドリル部
110が設けられたセルフドリリングタッピンねじであ
り、これを使用してワークに対して下穴あけとねじ込み
作業が連続して行われている。このセルフドリリングタ
ッピンねじの先端のドリル部110は図8に示すよう
に、断面がほぼ直角な形状のガイド溝113をドリル部
110の中心線を挟んで対向して配置してあり、このガ
イド溝113を構成するランド部120はドリル部11
0の外周円とほぼ同径となっている。
【0004】更に、最近では実公平5−4564号公報
に示すようなねじが考案されている。これはねじ山及び
ドリル部を窒化して硬化処理し、頭部をステンレス鋼の
硬度のままにしたねじであり、このねじは通常、図9に
示すような工程で生産されている。これは最初に所定寸
法に切断されたブランク(図示せず)にヘッダ加工工程
130によりねじの頭部が形成されている。この後、ド
リル部・ローリング加工工程131で脚部の先端にドリ
ル部が冷間圧造成形され、続いてローリング加工により
脚部にねじ山が転造形成されてねじ材が完成している。
そして、このねじ材には次のマスキング処理工程132
で窒化処理の不要な頭部に窒化を防止するために脚部に
マスキング処理を施し、続いてニッケル鍍金処理工程1
33で前記頭部にニッケル鍍金を施している。この処理
が終了すると、続いて前記マスキング処理工程132で
施した脚部のマスキングを剥がすためにマスキング剥が
し処理工程134で剥がし処理を行い、次に窒化処理工
程135において前記ニッケル鍍金が施された頭部を除
いて脚部に窒化処理を行い、更に、仕上げ鍍金処理工程
136で製品としての鍍金処理を行っている。また、前
記マスキング処理を施さない場合は、ねじの脚部だけ窒
化処理を施す特殊な方法が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来例としてのタッピンねじを使用した場合は、ワ
ークのねじがねじ込まれる位置にこのタッピンねじをね
じ込むまでに常時ドリルでワークに下穴をあける作業を
しなければならず、このため、ワークに下穴を形成する
という作業が別に必要になり、作業時間及び工数が多く
かかっていた。また、製品にこのようなタッピンねじを
僅かだけ使用する時には特に問題がないが、製品に使用
するねじが多い場合は、作業者はこのドリルでワークに
下穴をあける作業がねじの必要箇所の数に応じて多くな
り、そのため、作業者の疲労が生じ易く、極めて作業環
境が悪化している。更に、比較的薄く軟質な金属板に使
用する場合、このドリルでの作業時にワークに撓みが生
じるので、製品としての美観が損なわれている。
【0006】次にもう一つの従来例においては、ねじの
先端のドリル部でワークに対して下穴をあけ、これに連
続して雌ねじが形成されてねじがねじ込まれるようにな
っているが、これは比較的硬い例えば、鉄板、鋼材等に
は適するが、アルミ、樹脂材あるいは軟鋼等の比較的軟
らかい材料のワークにこれを使用した場合、先端ドリル
部での穴あけ時に発生した切り粉がガイド溝及びランド
部とワークとの間において詰まりを生じ、このため、こ
の穴あけ時に高い摩擦温度が発生し、焼き付き現象が起
こり、締付け作業が不完全となっている。また、穴あけ
時に加えられる推力により板材等のワークにおいては、
その穴位置を中心にへこみが生じ、所謂バーリング作用
が発生し、ワークが変形している。更に、最近このよう
なねじを製品の外観部分に使用しているが、錆等の発生
を防止するとともにドリル部の硬度を上げる必要があ
り、最近では、鉄系材料を使用してねじを製造するのに
代え、オーステナイト系のステンレス材の使用が試みら
れている。しかしながら、このような材料を使用して圧
造加工により製造する場合、従来のドリル部形状では、
圧造成形時の材料の流れが悪く、これらセルフドリリン
グタッピンねじのドリル部を圧造成形するための工具と
してのパンチの寿命が短く製造コストが上昇している。
【0007】しかも、オーステナイト系ステンレス材
は、炭素鋼等の鉄系材料に比べて酸や塩に対する腐食抵
抗は大きいが、表面硬度や強度の点では炭素鋼より劣っ
ており、このステンレス材において従来から使用されて
いる材料(SUS305J1)を使用した場合、加工は
容易で、腐食も阻止されるが、これをセルフドリリング
ねじとして使用する場合、材料が軟らかいので、加工硬
化によるねじ材の各部の硬度(ビッカース硬度Hv)は
表1に示すような値となっている。
【0008】
【表1】
【0009】この材料を使用したねじはその下穴あけ作
業が十分にできない等の不都合が生じており、このよう
なセルフドリリングねじとしての材料はもっぱら、鉄系
浸炭品の鍍金品やマルテンサイト系の13Crステンレ
ス焼入れ品が使用されているが、これは耐酸性において
劣っており、錆等により寿命が短い等の課題がある。
【0010】更に、もう一つの従来例としての実公平5
−4564号公報に示されたものにおいては、脚部にの
み硬化処理を行なうようにしているため、その硬化のた
めの窒化処理を行なう前工程が複雑になり、これに用す
る加工コストが高くなっている。また、ねじの脚部のみ
を窒化処理するための処理を機械的に行なう場合は、脚
部のみ熱処理をする必要があり、このためにねじをあら
かじめ機械的に整列させることも必要になり、工程が複
雑になっているので、ねじの生産のように多量生産には
適していない等の課題も生じている。
【0011】また、この他にも、ねじの耐酸性を向上さ
せるために鉄系のドリルねじの頭部に耐酸性の良いオー
ステナイト系ステンレス製のキャップを加圧嵌着して覆
い、これにより腐食の防止を図っているものもあるが、
ドリルねじの脚部は鉄系であるため、これの製造コスト
が非常に高くなるとともに隙間及びワークの錆等から依
然として腐食が生じており、寿命も短くなっている。
【0012】本発明の第1の目的は、このような課題を
解決するとともに切削除去される切り粉のスムースな排
出を可能にするとともに優れた耐食性を有するオーステ
ナイト系ステンレス製ドリルタッピンねじの提供であ
り、本発明の第2の目的は、ワークへの推力を低くする
とともに滑らかな下穴形成を可能にしたオーステナイト
系ステンレス製ドリルタッピンねじの提供であり、本発
明の第3の目的は、ドリル部を圧造成形して製造する際
に材料の流れをよくするとともに下穴あけ作業を向上さ
せたオーステナイト系ステンレス製ドリルタッピンねじ
を提供することであり、本発明の第4の目的は、ねじ込
み時のねじり破断トルクを向上させたオーステナイト系
ステンレス製ドリルタッピンねじを提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の目的は、
ドライバビットに係合可能な係合穴4を有する頭部2と
一体でねじ山5を形成した脚部3の先端にねじ山5の谷
径以上で山径より小さい直径の円柱状で且つ先端が円錐
形状のドリル部10を形成し、ドリル部10の先端から
ねじ山5にかけて対向する二条のガイド溝13を円周方
向に傾斜して形成し、このガイド溝13の外周縁に先端
から後端にかけて切り刃14を設け、前記ガイド溝13
から他方のガイド溝13の切り刃14の端縁にかけてそ
のガイド溝13の後部に異なる円弧が連続的に繋がった
滑らかなランド部20を有するドリルタッピンねじ材を
圧造及び転造成形により得、このドリルタッピンねじ材
をフッ素系反応ガス雰囲気内において処理温度500°
C以下で加熱してドリルタッピンねじ材の表面に炭素を
拡散させる表面硬化処理を施したオーステナイト系ステ
ンレス製ドリルタッピンねじを提供することによって達
成される。
【0014】本発明の第2の目的は、ドリル部の先端円
錐角(α)を85°〜110°の範囲に形成したオース
テナイト系ステンレス製ドリルタッピンねじを提供する
ことによって達成される。
【0015】本発明の第3の目的は、互いのランド部2
0の頂点を結ぶ間隔(L)が対向して配置された切り刃
14の回転軌跡の1/2以下とするとともにドリル部1
0の外周縁に接近する外周面が切り刃14の外周縁より
脚部3の中心側に位置しているランド部20を有するオ
ーステナイト系ステンレス製ドリルタッピンねじを提供
することによって達成される。
【0016】本発明の第4の目的は、C:0.08%以
下、Ni:10.00〜14.00%、Cr:16.0
0〜18.00%の化学成分を含有するドリルタッピン
ねじ材からなるオーステナイト系ステンレス製ドリルタ
ッピンねじを提供することによって達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
乃至図6に基づき説明する。図1及び図4において、1
は頭部2と脚部3とからなるオーステナイト系ステンレ
ス鋼を材料としたドリルタッピンねじであり、脚部3の
一端にはこの脚部径より大きい直径の頭部2が一体成形
されている。この頭部2にはねじ1をねじ込むためのね
じ込み力を加えるドライバビット(図示せず)が係合す
る係合穴4が脚部3と頭部2の中心線上に形成されてい
る。この脚部3には先端にかけてほぼ平行で且つ外径直
径がほぼ同一なねじ山5が形成してあり、この脚部3の
先端には前記脚部3に形成されているねじ山5の谷径以
上で山径より小さい直径、詳しくは谷径以上で山の高さ
の半分以下における直径の円柱状となったねじ無し部1
1が形成してあり、これには先端が円錐形状の尖り先1
2が形成されている。
【0018】この円錐形状の尖り先12からねじ山5に
かけては図2に示すように、先端中心線を挟んで相対向
する側に二条のガイド溝13が円周方向に傾斜して且つ
ドリル部10の先端から遠ざかるにしたがって徐々に底
が浅くなるよう削設してあり、このガイド溝13のねじ
込み方向における前進側の外側縁には先端断面が鋭角の
切り刃14が形成されてドリル部10を構成している。
この切り刃14は尖り先12の外周縁にも形成されてお
り、図1に示すように、このドリル部10の先端尖り先
12の円錐角(α)は85°〜95°の範囲に形成され
ている。このようにドリル部10の先端を通常の角度1
15°より小さい角度にすることにより、ワークとして
のアルミ材にこのオーステナイト系ステンレス製ドリル
タッピンねじ1をねじ込む際の下穴あけ作業において、
所定位置での喰い付きが確実になる。
【0019】尚、前記円錐角(α)は95゜以上で11
0゜までの範囲にすることによってアルミ材より硬い鉄
系のワークに対しても十分に使用することができる。こ
のように円錐角(α)を大きくすることによって、硬い
ワークに対してもドリル部先端のへたりが減少して確実
な下穴あけ作業が可能になる。
【0020】また、図2及び図3に示すように、前記ド
リル部10のガイド溝13の中心から外周方向に延びる
ガイド面15の後部には夫々断面円弧形状のランド部2
0が形成してあり、このランド部20は脚部3の軸直角
方向の断面において、脚部3の中心からドリル部10の
外周に形成されている切り刃14にかけてこの間を滑ら
かな円弧状に結んでおり、これら互いのランド部20の
頂点を結ぶ厚みに相当する間隔(L)は切り刃14の回
転軌跡の1/2以下となるよう設定されている。しか
も、ランド部20の切り羽側の円弧面21は極率半径が
小さく、このドリル部10の回転円の軌跡より内側に位
置しており、即ち、切り刃14の回転軌跡よりランド部
20の頂点に達するにしたがつて脚部3の中心に接近す
るようになっている。これにより、ランド部20はワー
ク40への下穴あけ時にあけられた下穴41の壁面に接
する面積が少なくなり、それによる摩擦抵抗が減少す
る。その上、前記極率半径の小さい円弧面21に連続し
て中心方向へ延びる円弧面22は極率半径が大きくなっ
ており、これら極率半径の大小の複数の円弧面21,2
2からランド部20の外周面が形成されている。一方、
脚部3の中心位置における他方の切り刃14に繋がるガ
イド面15とランド部20との接続面、所謂ガイド溝1
3の底はその断面において緩い角度で接続されることに
なる。
【0021】このため、ドリル部10の尖り先12の先
端からねじ山5にかけてのガイド溝13はその空間が大
きくなり、ドリル部10の軸直角断面における切り刃1
4の先端の回転軌跡、ガイド溝13及びランド部20の
外周面で形成される空間は広くなり、図5に示すよう
に、ワーク40に下穴41をあけた時に発生する切り粉
が詰まることなく、この空間内を移動できる。
【0022】更に、このオーステナイト系ステンレス製
ドリルタッピンねじ1の製造工程を示すと、所定寸法の
ブランク(図示せず)は図6に示す加工工程において、
頭部2を成形するヘッダ加工工程30、ドリル部10を
圧造成形するドリル部加工工程31、ねじ山5を転造成
形するローリング加工工程32で連続加工されてドリル
タッピンねじ材が形成されており、これら頭部、ねじ
山、ドリル部の各部は圧造及び転造成形により加工硬化
が生じている。この加工硬化によるドリルタッピンねじ
部材の各部の硬度(ビッカース硬度)は表2に示すよう
になっている。
【0023】
【表2】
【0024】次にこのように加工硬化されたドリルタッ
ピンねじ材は表面硬化処理工程33に移される。この表
面硬化処理工程33は処理温度500°C以下に設定し
てあり、炉内はフッ素系反応ガス雰囲気になっている。
このため、このドリルタッピンねじ材はフッ化によって
活性化され、その表面は炭素が拡散されることになり、
表面が更に硬化される。一方、この炭素は加熱温度が5
00°C以下であることからドリルタッピンねじ材の材
料内部にはほとんど影響せず、オーステナイト系ステン
レス製の材料自身が有する性質が損なわれることがな
い。
【0025】即ち、このドリルタッピンねじ材はそのオ
ーステナイト系ステンレス鋼線材の化学成分が炭素C:
0.08%以下、ニツケルNi:10.00〜14.0
0%、クロムCr:16.00〜18.00%であり、
この化学成分のステンレス鋼(SUS316)の特徴で
ある耐食性の優れている点が有効に作用し、腐食の進行
が阻止され、耐酸性及び耐食性が強化される。
【0026】このようなオーステナイト系ステンレス製
ドリルタッピンねじ1を使用し、アルミ材、樹脂材ある
いは鉄系の板状のワーク40にこのドリルタッピンねじ
1を押し付け、ねじ込み方向の回転を与えてねじ込む
と、ねじ込み初期においては、このドリルタッピンねじ
1のドリル部10に形成された切り刃14でワーク40
に下穴41が穿設される。この時、ワーク40をドリル
部10の切り刃14が削るので、図5に示すように、切
り粉14はドリル部10の二条のガイド溝13に沿い排
出される。この排出時において、切り粉はガイド溝13
が従来より広いため、詰まることなく移動するからこれ
がワーク40の下穴41との間に溜まり、抵抗が増加す
ることがない。
【0027】このようにして、ドリル部10での下穴4
1の形成が終了すると、次に脚部3のねじ山5で雌ねじ
が形成されながらこのねじ1はワーク40にねじ込まれ
る。この一連の作業開始時において、ドリル部10の先
端はワーク40上で滑ることなく、ドリル部10の切り
刃14が短時間でワーク40に喰い付き、下穴41を形
成するので、ワーク40にはほとんど撓みが発生せず、
しかも、ねじ込み位置のずれも生じず、オーステナイト
系ステンレス製ドリルタッピンねじ1には推力が正確に
伝達されて雌ねじを形成しながら安定してねじ込まれ
る。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ドライバ
ビットに係合可能な係合穴4を有する頭部2と一体でね
じ山5を形成した脚部3の先端にねじ山5の谷径以上で
山径より小さい直径の円柱状で且つ先端が円錐形状のド
リル部10を形成し、ドリル部10の先端からねじ山5
にかけて対向する二条のガイド溝13を円周方向に傾斜
して形成し、ガイド溝13の外周縁に先端から後端にか
けて切り刃14を設け、ガイド溝13から他方のガイド
溝13の切り刃14の端縁にかけてそのガイド溝13の
後部に異なる円弧が連続的に繋がった滑らかなランド部
20を有するドリルタッピンねじ材を圧造及び転造成形
により得、このドリルタッピンねじ材をフッ素系反応ガ
ス雰囲気内において処理温度500°C以下で加熱して
ドリルタッピンねじ材の表面に炭素を拡散させる表面硬
化処理を施したオーステナイト系ステンレス製ドリルタ
ッピンねじであるので、製品に多くのねじを使用する場
合でも、作業者は都度ドリルでワークに下穴をあけると
いう作業がないので、作業時間及び工数が減少するとと
もに作業者の疲労が減少し、極めて作業環境が良好とな
る。
【0029】しかも、このドリルねじのドリル部は先端
に達するに従ってその厚みが薄くなっているので、この
ドリル部の成形加工時における圧造加工により、材料の
組織に加工硬化が生じて刃先の硬度が高くなっており、
それに加えて表面硬化処理も加わっているので、刃先は
極めて硬度が高くなり、ワークに対する切削性も大幅に
向上している。その上、このような形状にすることによ
り、この発明で使用する従来より硬い材料に対しても、
十分に圧造加工することができ、そのため、ドリル部先
端は十分に高い硬度が得られる。
【0030】また、アルミ、樹脂板あるいは鉄系の材料
等からなるワークにこれを使用した場合、ランド部が滑
らかで低いので、先端ドリル部での下穴あけ時に発生し
た切り粉がガイド溝及びランド部とワークとの間におい
て詰まりを生じることがなくなり、この下穴あけ時に摩
擦熱の発生が減少する。これにより、ねじ込み作業時の
トルク即ち、穴あけトルク及びねじ込み始動トルクが低
下して安定したねじ締め作業が得られる。その上、穴あ
け時に加えられる推力も低くなるので、ワークの穴位置
を中心にへこみが生じ、所謂バーリング作用が発生する
こともない。更に、このオーステナイト系ステンレス製
ドリルタッピンねじがワークに対して斜めにねじ込まれ
たりすることがなく、ねじの推力が安定して加わる。
【0031】更に、オーステナイト系ステンレス製ドリ
ルタッピンねじ材の表面に硬化表面処理を施し、ねじ材
の表面を硬化させているだけなので、従来のように鍍金
を施したものに比べて、ドリル部の切り刃に鍍金が付着
することがなく、ワークへの下穴あけ作業が効率良く行
える。また、ねじ材の表面全体が圧造及び転造による加
工硬化に加えて引き続き前記処理で更に硬化され、一
方、材料の内部強度も変化していないので、ねじり力に
対しても十分に耐久性があるとともに耐食性の優れたド
リルタッピンねじが提供できる。
【0032】その上、ドリル部はその円錐角(α)が8
5°〜110°の範囲に形成されているので、この範囲
で円錐角(α)を設定すれば、軟質材から比較的硬い鉄
系ワークまで対応することができ、ワークの下穴切削作
業が確実になり、ドリル部先端がへたることなく、ワー
クの所定位置へのドリル部先端の喰い付きが確実にな
る。
【0033】しかも、ランド部は互いのランド部の頂点
を結ぶ間隔(L)が対向して配置された切り刃の回転軌
跡の1/2以下であるとともにドリル部外周縁に接近す
る外周面が切り刃の外周縁より脚部の中心側に位置して
いるので、空間が広くなり、切り粉の排出が滑らかにな
るからワークへの下穴あけ作業が滑らかになり、ねじ山
も円滑に形成される。更に、オーステナイト系のステン
レス材を材料としてねじを圧造加工により製造する場
合、このようなドリル部形状にすることにより圧造成形
時の材料の流れが良くなり、これらオーステナイト系ス
テンレス製ドリルタッピンねじのドリル部を圧造成形す
るためのパンチの寿命が長くなるので製造コストを低減
できる等、従来にない特有のオーステナイト系ステンレ
ス製ドリルタッピンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1の頭部を除いた拡大底面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】ワークに対しての実施状態を示す拡大断面図で
ある。
【図6】本発明の加工工程を示す工程図である。
【図7】本発明の従来例を示す正面図である。
【図8】図7のドリル部の先端を示す拡大底面図であ
る。
【図9】本発明の従来の加工工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 ドリルタッピンねじ 2 頭部 3 脚部 4 係合穴 5 ねじ山 10 ドリル部 11 ねじ無し部 12 尖り先 13 ガイド溝 14 切り刃 15 ガイド面 20 ランド部 21 円弧面 22 円弧面 30 ヘッダ加工工程 31 ドリル部加工工程 32 ローリング加工工程 33 表面硬化処理工程 40 ワーク 41 下穴

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドライバビットに係合可能な係合穴4を
    有する頭部2と一体でねじ山5を形成した脚部3の先端
    にねじ山5の谷径以上で山径より小さい直径の円柱状で
    且つ先端が円錐形状のドリル部10を形成し、ドリル部
    10の先端からねじ山5にかけて対向する二条のガイド
    溝13を円周方向に傾斜して形成し、ガイド溝13の外
    周縁に先端から後端にかけて切り刃14を設け、前記ガ
    イド溝13から他方のガイド溝13の切り刃14の端縁
    にかけてそのガイド溝13の後部に異なる円弧が連続的
    に繋がった滑らかなランド部20を有するドリルタッピ
    ンねじ材を圧造及び転造成形により得、このドリルタッ
    ピンねじ材をフッ素系反応ガス雰囲気内において処理温
    度500°C以下で加熱してドリルタッピンねじ材の表
    面に炭素を拡散させる表面硬化処理を施したことを特徴
    とするオーステナイト系ステンレス製ドリルタッピンね
    じ。
  2. 【請求項2】 ドリル部はその先端円錐角(α)が85
    °〜110°の範囲に形成されていることを特徴とする
    請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス製ドリル
    タッピンねじ。
  3. 【請求項3】 ランド部は互いのランド部20の頂点を
    結ぶ間隔(L)が対向して配置された切り刃14の回転
    軌跡の1/2以下であるとともにドリル部10の外周縁
    に接近する外周面が切り刃14の外周縁より脚部3の中
    心側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のオーステナイト系ステンレス製ドリルタッピンね
    じ。
  4. 【請求項4】 ドリルタッピンねじ材はC:0.08%
    以下、Ni:10.00〜14.00%、Cr:16.
    00〜18.00%の化学成分を含有する材料からなる
    請求項1、2又は3に記載のオーステナイト系ステンレ
    ス製ドリルタッピンねじ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020088891A (ko) * 2001-05-22 2002-11-29 임정환 셀프드릴 나사못
JP2009544905A (ja) * 2006-07-26 2009-12-17 エー・ヨット・オー・テー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディート・ゲゼルシャフト 穴形成およびねじ山形成ねじ
WO2010083634A1 (zh) * 2009-01-22 2010-07-29 三友璟工业有限公司 钻尾螺丝
JP2013036562A (ja) * 2011-08-09 2013-02-21 Higashi Nippon Power Fastening Kk 木ねじ

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