JPH11148408A - 火花点火式筒内噴射型内燃機関 - Google Patents

火花点火式筒内噴射型内燃機関

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JPH11148408A
JPH11148408A JP9312415A JP31241597A JPH11148408A JP H11148408 A JPH11148408 A JP H11148408A JP 9312415 A JP9312415 A JP 9312415A JP 31241597 A JP31241597 A JP 31241597A JP H11148408 A JPH11148408 A JP H11148408A
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JP
Japan
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fuel
injection
air
fuel ratio
lean
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Withdrawn
Application number
JP9312415A
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English (en)
Inventor
Shigeo Yamamoto
茂雄 山本
Kazuyoshi Nakane
一芳 中根
Hiroaki Miyamoto
寛明 宮本
Jun Takemura
純 竹村
Hiromitsu Ando
弘光 安東
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、火花点火式筒内噴射型内燃機関に
おいて、分割燃料噴射モードでの運転時にノックの発生
を抑制して、燃費性能をさらに向上させる。 【解決手段】 分割燃料噴射モード時において、吸気行
程時には希薄可燃限界よりも大きい空燃比となるように
目標空燃比が設定されるととも、内燃機関の負荷相関パ
ラメータの増大にともなって吸気行程中の目標空燃比を
希薄可燃限界に向けて徐々に減少させるように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮行程中に燃料
を噴射して層状燃焼を行なうことのできる、火花点火式
筒内噴射型内燃機関に関し、特に、自動車用エンジンと
して用いて好適の、火花点火式筒内噴射型内燃機関に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、点火プラグにより火花点火する内
燃機関であって、シリンダ内に直接燃料を噴射する火花
点火式筒内噴射型内燃機関が、実用化されている。かか
る火花点火式筒内噴射型内燃機関では、燃料噴射タイミ
ングを自由に行なえ混合気の形成状態を自由に制御でき
る特性を利用して、機関の燃費性能の向上と出力性能の
向上とを両立させることができる。
【0003】つまり、火花点火式筒内噴射型内燃機関で
は、圧縮行程で燃料を噴射することで、層状燃焼により
燃料の極めて希薄な状態(即ち、空燃比が理論空燃比よ
りも極めて大)での運転(超リーン燃焼運転)を行なう
ことができ、その燃焼形態として超リーン運転モード
(圧縮リーン運転モード)をそなえており、燃料消費率
の大幅な向上を実現することができる。
【0004】この一方で、主として吸気行程で燃料を噴
射して予混合燃焼運転ももちろん行なえ、この場合に
は、燃焼室(シリンダ内)への直接燃料噴射により、噴
射燃料の大半をその燃焼サイクル内で確実に燃焼させる
ことができるため、出力向上にも寄与する。このような
予混合燃焼運転においても、超リーン運転モードほどで
はないが燃料の希薄な状態(即ち、空燃比が理論空燃比
よりも大)で運転を行なうリーン運転モード(吸気リー
ン運転モード)と、空燃比が理論空燃比となるようにO
2 センサ情報等に基づいてフィードバック制御を行なう
ストイキオ運転モード(ストイキオフィードバック運転
モード)と、燃料の過濃な状態(即ち、空燃比が理論空
燃比よりも小)で運転を行なうエンリッチ運転モード
(オープンループモード)とを、燃焼形態として設定で
きる。
【0005】そして、エンジンの運転状態、つまり、エ
ンジンの回転数や負荷状態に応じて、このような各種の
運転モードのうちの適切なモードを選択してエンジンの
制御を行なうようにしている。一般には、エンジンへの
要求出力が小さければ、即ち、エンジンの回転数が低く
負荷も小さければ、圧縮リーン運転モードとして燃費の
向上を図り、これよりもエンジン回転数やエンジン負荷
が増大するにしたがって、吸気リーン運転モード,スト
イキオ運転モード,エンリッチ運転モードの順に選択す
るように構成されている。
【0006】なお、各運転モードにおける目標空燃比
は、主にエンジンの負荷に応じて設定され、例えば吸気
リーン運転モードであっても、エンジン負荷が大きくな
れば空燃比は徐々にリッチ(過濃)側に変更される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な火花点火式筒内噴射型内燃機関では、燃費性能が大き
く向上するが、吸気リーン運転モードと圧縮リーン運転
モードとの切り替え時の運転領域には、燃料消費率が上
昇する領域(即ち、燃費が悪化する領域)が一部存在し
ている。
【0008】つまり、図11に示すように、吸気リーン
運転モードにおいて負荷が減少した場合に、空燃比がリ
ーンになりすぎると燃焼状態が不安定なものとなり、燃
焼変動率が急激に大きくなって燃料消費率が上昇する。
さらに負荷が減少して空燃比がリーン側に変更される
と、やがて燃焼変動率が燃焼変動限界に達して、エンジ
ンにパーシャルバーンや失火等が生じることになり、燃
料消費率もさらに上昇してしまうのである。なお、この
ような燃焼変動限界となる空燃比を予混合希薄可燃限
界、又は単に希薄可燃限界という。もちろん、この場合
は燃焼変動限界に達する前に圧縮リーン運転モードに切
り替えられることになるが、吸気リーン運転モードで
は、図11に示すように、必ずしも空燃比をリーンにす
ればするほど燃料消費率が低下する(即ち、燃費が向上
する)わけではないのである。
【0009】なお、圧縮リーン運転モードでは、燃焼室
全体としては吸気リーン運転モードにおける予混合希薄
可燃限界よりもリーンな空燃比となるが、この場合に
は、点火プラグ近傍に部分的にリッチな混合気が形成さ
れるため、パーシャルバーンや失火をともなうことなく
極めてリーンな空燃比で安定した運転を行なうことがで
きるのである。
【0010】そこで、このような吸気リーン運転モード
において、圧縮リーン運転モードとの切り替え近傍の運
転領域における燃料消費率を低くして、さらに燃費性能
の向上を図りたいという要望がある。これに対して、特
開平2−169834号公報及び特開平5−71383
号公報には、1サイクル中の燃料噴射を吸気行程と圧縮
行程とに2分割する技術が開示されている。すなわち、
吸気行程時には、火炎伝播可能な希薄予混合気を形成す
るような量の燃料を噴射し、圧縮行程時には、点火プラ
グ近傍に部分的にリッチとなるような量の燃料を噴射す
る。そして、点火プラグ近傍に形成された可燃混合気を
火種として、吸気行程噴射で形成された予混合気に火炎
を伝播させることで燃焼を行なうのである。
【0011】なお、この場合は、燃焼室全体での1サイ
クル中の燃料噴射量、即ち、分割燃料噴射における吸気
行程と圧縮行程とのトータルの燃料噴射量(オーバオー
ル燃料噴射量)は、圧縮リーン運転モードでの燃料噴射
量よりは多くなるように設定されており、燃焼室全体の
空燃比としては、吸気リーン運転モードにおける空燃比
と圧縮リーン運転モードにおける空燃比との間の空燃比
に設定される。そして、このような分割燃料噴射を行な
うことにより、燃費を向上させるのである。
【0012】しかしながら、このような技術では、エン
ジン負荷の増大にともなって全燃料噴射量に占める圧縮
行程での燃料噴射割合を減少させ、吸気行程中の燃料噴
量を増大させているので、エンジン負荷が増大していく
と、吸気行程において噴射された燃料により形成される
予混合気がリッチ化して自己着火可能な可燃ガスとな
り、ノックを生じてしまうおそれがある。また、このよ
うなノックが生じた場合にはMBT(Minimam Advance
for Best Torque =最も効率のよい点火時期)を設定す
ることができないという課題がある。
【0013】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、このような分割燃料噴射モードでの運転時に
ノックの発生を抑制して、燃料消費率をさらに低減でき
るようにした、火花点火式筒内噴射型内燃機関を提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の火花点火式筒内
噴射型内燃機関では、圧縮行程噴射モード時には、圧縮
行程時に燃料噴射弁から燃焼室内に直接燃料が噴射され
る。また、分割燃料噴射モード時には、燃料は圧縮行程
と吸気行程とに分割されて燃焼室内に直接噴射される。
そして、分割燃料噴射モード時には、吸気行程中に燃料
噴射弁から噴射される燃料が自己着火し得ない希薄可燃
限界よりも大きい空燃比となるように目標空燃比が設定
されるととも、内燃機関の負荷相関パラメータの増大に
ともなって該吸気行程中の目標空燃比を該希薄可燃限界
に向けて徐々に減少させる。これにより、点火時期をM
BTに設定できるとともに、ノックの発生が抑制され
て、燃費のさらなる向上が図られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態について説明すると、図1〜図10は本発明
の一実施形態としての火花点火式筒内噴射型内燃機関を
示すものである。また、本実施形態の内燃機関は、自動
車に搭載されるものとする。まず、本火花点火式筒内噴
射型内燃機関(以下、筒内噴射エンジンともいう)の構
成について、図2を参照しながら説明する。
【0016】図2において、1はエンジン本体、1Aは
シリンダ(気筒)、1Bはピストン、2は吸気通路、3
はスロットル弁設置部分、4はエアクリーナ、5はバイ
パス通路(第2バイパス通路)、6はバイパス通路5内
を流通する空気量を調整しうる第2エアバイパスバルブ
である。吸気通路2は、上流側から吸気管7,サージタ
ンク8,吸気マニホールド9の順で接続され、バイパス
通路5はサージタンク8の上流側に設けられている。ま
た、バイパスバルブ6は、ステッパモータで所要の開度
に調整されるか、又は、電磁弁のデューティ制御により
開度調整されるようになっている。
【0017】また、12はアイドルスピードコントロー
ル機能部であり、バイパス通路(第1バイパス通路)1
3とバイパスバルブとしての第1エアバイパスバルブ1
4とからなり、第1エアバイパスバルブ14は例えば図
示しないステッパモータで駆動される。15はスロット
ルバルブであり、第1バイパス通路13及び第2バイパ
ス通路5は、吸気通路2のスロットルバルブ15の装着
部分をバイパスするようにしてそれぞれの上流端及び下
流端を吸気通路2に接続されている。
【0018】これらの第2エアバイパスバルブ6,第1
エアバイパスバルブ14の各開閉制御は、電子制御装置
(ECU)16を通じて行なわれる。また、17は排気
通路、18は燃焼室であり、前記吸気通路2及び排気通
路17の燃焼室18への開口部、即ち吸気ポート2A及
び排気ポート17Aには、吸気弁19及び排気弁20が
装備されている。
【0019】そして、21は燃料噴射弁(インジェク
タ)であり、本エンジンでは、このインジェクタ21が
燃焼室18へ直接燃料噴射するように配設されている。
さらに、22は燃料タンク、23A〜23Eは燃料供給
路、24は低圧燃料ポンプ、25は高圧燃料ポンプ、2
6は低圧レギュレータ、27は高圧レギュレータ、28
はデリバリパイプであり、燃料タンク22内の燃料を低
圧燃料ポンプ24で駆動して更に高圧燃料ポンプ25で
加圧して所定の高圧状態で燃料供給路23A,23B,
デリバリパイプ28を通じてインジェクタ21へ供給す
るようになっている。この際、低圧燃料ポンプ24から
吐出された燃料圧力は低圧レギュレータ26で調圧さ
れ、高圧燃料ポンプ25で加圧されてデリバリパイプ2
8に導かれる燃料圧力は高圧レギュレータ27で調圧さ
れるようになっている。
【0020】また、29はエンジン1の排気通路17内
の排出ガス(排ガス)を吸気通路2内に還流させる排ガ
ス還流通路(EGR通路)、30はEGR通路29を通
じて吸気通路2内に還流する排ガスの還流量を調整する
排ガス量調整手段としてのステッパモータ式のバルブ
(EGRバルブ)であり、31はブローバイガスを還元
する流路であり、32はクランク室積極換気用の通路、
33はクランク室積極換気用のバルブであり、34はキ
ャニスタであり、35は排ガス浄化用触媒(ここでは、
リーンNOx触媒)である。
【0021】ところで、ECU16では、図2に示すよ
うに、第1及び第2エアバイパスバルブ14,6の制御
のほかに、インジェクタ21や点火プラグ45(図1参
照)のための点火コイルやEGRバルブの制御や高圧レ
ギュレータ27による燃圧制御も行なうため、エアフロ
ーセンサ44,吸気温度センサ36,スロットル開度を
検出するスロットルポジションセンサ(TPS)37,
アイドルスイッチ38,エアコンスイッチ(図示略),
変速ポジションセンサ(図示略),車速センサ(図示
略),パワーステアリングの作動状態を検出するパワス
テスイッチ(図示略),スタータスイッチ(図示略),
第1気筒検出センサ40,クランク角センサ41,エン
ジンの冷却水温を検出する水温センサ42,排ガス中の
酸素濃度を検出するO2 センサ43等が設けられ、EC
U16に接続されている。また、ECU16内には、ク
ランク角センサ41に基づいて機関回転数(エンジン回
転数)を算出する機能がそなえられ、クランク角センサ
41とこのエンジン回転数演算機能とからエンジン回転
数センサが構成されるが、ここではクランク角センサ4
1についても便宜上エンジン回転数センサとよぶ。
【0022】ここで、ECU16を通じた本エンジンに
関する制御内容について、図1を参照して説明する。本
エンジンでは、燃焼室18内に均一に燃料を噴射するこ
とで成立しうる予混合燃焼と、燃焼室18内に臨んだ点
火プラグ45の周囲に噴射燃料を偏在させることで成立
しうる層状燃焼とを運転状態に応じて切り換えるエンジ
ンである。
【0023】そして、本エンジンは、エンジンの運転モ
ードとして、圧縮行程で燃料を噴射することで上記の層
状燃焼運転を行なう層状燃焼モードと、主として吸気行
程で燃料を噴射することで上記の予混合燃焼運転を行な
う予混合燃焼モードとが設けられている。さらに、層状
燃焼モードとして、層状燃焼により燃料の極めて希薄な
状態(即ち、空燃比が理論空燃比よりも極めて大)での
運転(超リーン燃焼運転)を行なう超リーン運転モード
(圧縮リーン運転モード)が設けられている。
【0024】また、予混合燃焼モードとしては、超リー
ン運転モードほどではないが燃料の希薄な状態(即ち、
空燃比が理論空燃比よりも大)で運転を行なうリーン運
転モード(吸気リーン運転モード)と、空燃比が理論空
燃比となるようにO2 センサ情報等に基づいてフィード
バック制御を行なうストイキオ運転モード(ストイキオ
フィードバック運転モード)と、燃料の過濃な状態(即
ち、空燃比が理論空燃比よりも小)で運転を行なうエン
リッチ運転モード(オープンループモード)とが設けら
れている。
【0025】圧縮リーン運転モードでは、最も希薄な燃
焼(空燃比が30〜40程度又はそれ以上)を実現で
き、このモードでは、燃料噴射を圧縮行程後期のように
極めて点火時期に近い段階で行ない、しかも燃料を点火
プラグの近傍に集めて部分的にはリッチにし全体的には
リーンとしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつ節約
運転を行なうことができる。
【0026】そして、吸気リーン運転モードも希薄燃焼
(空燃比が20〜24程度)を実現できるが、このモー
ドでは、燃料噴射を圧縮リーン運転モードよりも前の吸
気行程に行ない、燃料を燃焼室内に拡散させて全体空燃
比をリーンにしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつ
ある程度の出力を確保するようにして、節約運転を行な
うことができる。
【0027】ストイキオ運転モードは、O2センサの出
力に基づいて、空燃比をストイキオ又はストイキオ近傍
の状態に維持しながら十分なエンジン出力を効率よく得
られるようにしている。また、オープンループ燃焼運転
モードでは、加速時や発進時等に十分な出力が得られる
ように、オープンループ制御によりストイキオ又はこれ
よりもリッチな空燃比(エンリッチ)での燃焼運転を行
なう。そして、本内燃機関では、これらのモードに加え
て、本発明の特徴となる分割燃料噴射モード(以下、分
割噴射モードという)が設けられている。この分割噴射
モードは、吸気行程と圧縮行程とに分けて燃料噴射を行
なうものであり、特に、圧縮行程噴射された燃料による
層状燃焼を主体として燃焼を行なうもので、層状燃焼モ
ードに含まれる。
【0028】そして、このような各種の運転モードから
一つのモードを選択してエンジンの運転を制御すること
になるが、この運転モード選択は、エンジンの回転数N
e及び負荷状態を示す有効圧力Peに基づいて、図示し
ないマップから設定されるようになっている。なお、上
記の各運転モードの他に、燃料噴射を停止(カット)す
る燃料カットモードが設けられているが、この燃料カッ
トモードは、機関の回転速度が上限値を上回らないよう
にするためや、スロットルバルブ閉鎖時に一時的に燃料
消費を節約するためや余分なHC排出を抑制して触媒の
過昇温を防ぐため等に行なうもので、特殊条件下のモー
ドなので、ここでは説明を省略する。
【0029】さて、エンジンの回転数Neが低く負荷P
eも小さい場合には、超リーン運転モード(圧縮リーン
運転モード)が選択され、エンジンの回転数Neや負荷
Peがこれよりも大きくなるにしたがって、分割燃料噴
射モード(分割噴射モード),リーン運転モード(吸気
リーン運転モード),ストイキオ運転モード(ストイキ
オフィードバック運転モード),エンリッチ運転モード
(オープンループモード)の順に運転モードが選択され
る。
【0030】この分割噴射モードでは、吸気行程噴射と
圧縮行程噴射との合計噴射量(又はトータル噴射量又は
オーバオール噴射量ともいう)により、全体でリーンな
混合気(即ち、トータル空燃比が理論空燃比よりも大き
い)が形成されるように燃料噴射量が設定される。具体
的には、図3に示すように、吸気リーン運転モードと圧
縮リーン運転モードとの中間の空燃比となるように燃料
噴射量が設定される。また、分割噴射モードでは、吸気
行程噴射を行なってから圧縮行程噴射を行なうことにな
るが、吸気行程噴射によりシリンダ内に供給された燃料
が自己着火してはノックを招いてしまうので、吸気行程
噴射では、噴射燃料が自己着火しないように、空燃比が
希薄可燃限界以上(希薄可燃限界よりもリーン)となる
ように設定される。なお、このような吸気行程時の目標
空燃比の設定についての詳細は後述する。
【0031】そして、この分割噴射時には、その圧縮噴
射時期においては、予め吸気行程噴射により形成された
火炎伝播可能な希薄な混合気が広がった燃焼室内に、圧
縮行程噴射による部分的に燃料濃度の高い混合気が層状
流をなして点火プラグ45近傍に流入する。このとき、
吸気行程噴射により形成された予混合気は、空燃比が希
薄可燃限界以上の希薄な混合気のため自己着火すること
はなく、また、圧縮行程噴射により層状流をなすように
形成された過濃な混合気は、この後の点火プラグ45に
よる着火までにノック前反応が進むだけの時間がないの
でこれも自己着火することはなく、燃料の自己着火を生
じることなく、点火プラグ45による着火が行なわれ
る。
【0032】これにより、まず、点火プラグ45近傍の
過濃な混合気に着火して、層状流をなす過濃な混合気が
燃焼を開始するが、この過濃な混合気は燃焼に際して空
気が不足するため、燃焼により大量のすす(スート)が
生成されてしまうが、吸気行程噴射により形成された希
薄な混合気は、この発生したすすを着火源として燃焼し
ているものと推測される。
【0033】すなわち、吸気行程噴射で形成された希薄
な混合気により、圧縮行程噴射で形成された層状の過濃
な混合気の周囲の余剰空気が有効に利用されるようにな
り、燃焼エネルギを十分に増加させることができ大きな
出力が得られるようになるとともに、圧縮行程噴射によ
る層状燃焼で比較的過濃な混合気を燃焼させる際に問題
となる燃焼室内でのすすの発生を大幅に抑制することが
できるのである。
【0034】ただし、この分割噴射モードについては禁
止領域が設けられている。ここでは、この禁止領域を、
エンジン冷却水温(冷却水温に限らずエンジン温度に対
応する検出可能なパラメータであればよいが、ここでは
検出容易な冷却水温とする)が所定温度(例えば−10
°C)以下の領域としている。これは、エンジン温度が
低いと、燃料の霧化が悪くなり、吸気行程噴射の燃料が
霧化しにくいと、フューミゲーション条件を満たせず、
ノック防止効果が得られないおそれがあるからである。
【0035】さて、次に本発明の要部としての分割噴射
モード時の目標空燃比の設定について説明する。まず、
最初に、図4を用いて分割噴射モードにおける吸気行程
燃料噴射の空燃比依存性について説明する。図4におい
て、横軸は吸気行程における燃料噴射による空燃比を示
し、縦軸はそれぞれ燃料消費率,点火時期及び燃焼変動
率を示している。なお、ここでは、トータル燃料噴射量
及びトータル空燃比はともに一定とする。
【0036】図4に示すように、点火時期をMBTにし
て燃料消費率及び燃焼変動率のシミュレーションを行な
うと、吸気行程時に空燃比がリッチになっても燃焼変動
を抑制でき、安定した燃焼状態を実現できることがわか
る。また、この場合には燃料消費率も低くなることがわ
かる。しかしながら、実際には点火時期にはノック限界
が存在しており、このノック限界よりもさらに進角させ
て点火時期を設定することはできない。このため、シミ
ュレーション上、MBTがノック限界よりも進角側とな
る領域では、点火時期を少なくともノック限界に設定す
る必要があるが、このような領域では、点火時期が過遅
角となり、点火プラグ45まわりの混合気濃度のサイク
ル変動が増大して燃焼変動率が上昇してしまう。また、
これにともなって燃料消費率も徐々に増大してしまう。
【0037】したがって、この場合には、MBTの特性
線とノック限界を示す特性線とが交叉する空燃比が予混
合希薄可燃限界となり、このような予混合希薄可燃限界
よりもリッチ側の空燃比では、点火時期を変更しても燃
焼変動を避けるのは困難となる。なお、希薄可燃限界と
なる空燃比は、エンジンの運転に関わる要素(例えば排
気量や圧縮比)によって変動する値、即ち、エンジンの
仕様により異なる値であるが、一般的には25前後の値
である。
【0038】そこで、本発明の火花点火式筒内噴射型内
燃機関では、分割噴射モードでの運転時には、吸気行程
の目標空燃比が希薄可燃限界よりも大きい空燃比となる
ように燃料噴射量が設定される(すなわち、吸気行程に
おける目標空燃比は、希薄可燃限界よりもリーンな空燃
比となるように設定される)ようになっているのであ
る。そして、エンジン負荷が増大すると、これにともな
って、希薄可燃限界に向けて徐々にリッチな空燃比に設
定されるようになっているのである。また、このような
分割噴射モードでの運転時には、点火時期はMBTに設
定されるようになっている。
【0039】また、分割噴射モード時におけるトータル
の目標空燃比は、上述の吸気行程時の目標空燃比とは別
に設定されるようになっている。このトータルの目標空
燃比は、燃料消費率以外にも排気ガス排出量等を考慮し
て設定され、このトータルの目標空燃比と吸気行程時の
目標空燃比とから、圧縮行程時の目標空燃比が算出され
るようになっている。
【0040】なお、上述したように、分割噴射モードに
おける圧縮行程時及び吸気行程時のトータル目標空燃比
は、圧縮リーン運転モードにおける目標空燃比と吸気リ
ーン運転モードにおける目標空燃比との間の空燃比とな
るように設定されている(図3参照)。このような目標
空燃比は、ECU16において後述するマップを用いて
設定されるが、ECU16では、負荷と相関のあるパラ
メータ(以下、負荷相関パラメータという)を用いてエ
ンジンの負荷を判定するようになっている。なお、負荷
相関パラメータとしては、例えば吸気の体積効率や空燃
比やアクセル開度等を用いることができるが、本実施形
態では、体積効率を用いて分割噴射モードにおける吸気
行程噴射時の目標空燃比が設定されるようになってい
る。
【0041】ところで、図10はエンジン負荷に対して
燃費が最良となる空燃比を示す実験結果である。図10
において、上段は吸気行程噴射空燃比、中段は圧縮行程
噴射空燃比、下段は排ガス空燃比を示している。また、
グラフ上の各点は、吸気行程の燃料噴射量を種々に変更
した場合の燃費最良点をプロットしたものであり、図中
右側に向かうほどトータル燃料噴射量は増大している。
【0042】さて、図10の上段に示す吸気行程時の目
標空燃比のグラフより、分割噴射モード時には、燃費性
能の面から見てもエンジン負荷が増大するほど目標空燃
比をリッチ化するのが好ましいことがわかる。一方、図
10の中段に示す圧縮行程時の目標空燃比のグラフから
は、負荷が増大するほど目標空燃比をリーン側にした方
が燃費が向上することを示している。
【0043】したがって、分割噴射モード時には、エン
ジン負荷が増大するほど吸気行程時の目標空燃比を小さ
くして、圧縮行程時の目標空燃比を大きくするように設
定すればよいのである。また、トータルの空燃比として
は、図10の下段に示すグラフより、エンジン負荷が増
大するほど目標空燃比を小さくすれば燃費が向上するこ
とがわかる。なお、トータルの空燃比は、排気ガスの組
成から計算される空燃比と対応しており、図10ではこ
の排気ガスの空燃比をトータル空燃比として用いてい
る。
【0044】そして、このような実験結果から、分割噴
射モード時には、負荷の増大にともなって吸気行程噴射
時の目標空燃比をリッチ化するとともに、トータルの燃
料噴射による目標空燃比もリッチ化するように設定され
ているのである。ところで、図5は分割噴射モードにお
ける体積効率の依存性を説明するためのものであり、横
軸はエンジン負荷としての体積効率、縦軸はそれぞれエ
ンジントルク,全燃料噴射量(圧縮行程時及び吸気行程
時のトータルの燃料噴射量)及び吸気行程時の空燃比で
ある。また、図5において各特性毎に付す4本の破線は
いずれも供給燃料量をそれぞれ一定にして、供給される
空気量を変化させたときの特性を示す線である。
【0045】図5の下段に示すように、燃料供給量を一
定にして空気量を変化させると、燃費が最良となる負荷
は最大トルク発生時の負荷と略一致する。これは、燃焼
効率が最大となるときに出力トルクも最大となるからで
ある。また、実線は各破線における燃費最良点(即ち、
燃料消費率が最も低い点)を結んだものであり、燃費最
良特性を示している。また、図5の中段に示すように、
燃費最良点を結ぶと全燃料噴射量は体積効率(負荷)の
増加にともなって線形に増加することを示している。
【0046】なお、図5の上段に示す実線は、上述の燃
費最良点から得られる吸気行程噴射時の目標空燃比、即
ち、分割噴射モード時に燃費が最良となるような吸気行
程噴射時空燃比であるが、この目標空燃比は、図10の
上段に示す目標空燃比と実質的に同一のものである。と
ころで、本火花点火式筒内噴射型内燃機関では、上述し
たような種々のエンジン運転モードから1つのモードを
選択するが、この選択は、エンジンの運転状態、即ち、
エンジンの負荷状態Pe及びエンジン回転数Neに基づ
いて行なう。また、各モードにおける燃料噴射制御、即
ち、燃料噴射弁(インジェクタ)21の噴射制御、及
び、点火時期制御、即ち、点火プラグ45の駆動制御に
ついても、エンジンの負荷状態Pe,エンジン回転数N
eといったエンジンの運転状態に基づいて行なうように
なっている。
【0047】このため、本火花点火式筒内噴射型内燃機
関には、図1に示すように、エンジンの運転状態を検出
する運転状態検出手段101がそなえられ、検出された
エンジン運転状態情報がECU16に入力されるように
なっている。ECU16には、これらの運転状態情報及
び運転状態情報に基づき演算される情報(エンジンの負
荷状態Peとエンジンの回転数Ne)から、運転モード
を選択するモード選択手段102と、モード選択手段1
02で選択された運転モードと上記情報(負荷Pe,回
転数Ne)とから燃料噴射時期(噴射終了時期及び噴射
開始時期)を設定しインジェクタ21の駆動を制御する
燃料噴射制御手段103と、モード選択手段102で選
択された運転モードと上記情報(負荷Pe,回転数N
e)とから燃料点火時期を設定し点火プラグ45の駆動
を制御する点火時期制御手段104とがそなえられる。
【0048】具体的には、スロットル開度センサ37で
検出されたスロットル開度θthやアクセル開度センサの
出力とクランク角センサ41からの検出情報に基づいた
エンジン回転速度Neとから目標エンジン負荷(目標有
効圧力)Peを設定する。また、燃料噴射制御手段10
3による燃料噴射制御のためには、インジェクタ21の
噴射開始時期と噴射終了時期とを設定する必要がある
が、ここでは、インジェクタ駆動時間とインジェクタの
噴射終了時期とを設定して、これに基づいて、インジェ
クタ21の噴射開始時期を逆算しながらインジェクタ2
1の駆動のタイミングを決定しているのである。
【0049】さて、次に、このような火花点火式筒内噴
射型内燃機関の目標空燃比の設定について具体的に説明
する。まず、ECU16内のモード選択手段102で
は、運転状態検出手段101としてのエンジン回転数セ
ンサ41及びスロットルポジションセンサ(TPS)3
7から検出されるエンジン回転数Ne及び負荷状態Pe
に基づいて運転モードを選択する。なお、モード選択手
段102内には、エンジン回転数Ne及び負荷状態Pe
とから運転モードを選択するためのマップ(図示省略)
が設けられており、このマップに基づいて運転モードが
選択されるのである。
【0050】そして、運転モードとして分割噴射モード
が設定されると、燃料噴射制御手段103では、エアフ
ローセンサ44,アクセル開度センサ及びエンジン回転
数センサ41から、体積効率(吸気量),負荷(アクセ
ル開度)及びエンジン回転数の各情報をそれぞれ取り込
んで、図6(a),(b)に示すようなマップに基づい
て吸気行程噴射の空燃比やトータル空燃比(オーバオー
ル空燃比)が設定される。さらに、これらの吸気行程噴
射の空燃比やトータル空燃比に基づいて、吸気行程時及
び圧縮行程時におけるインジェクタ21の駆動時間と噴
射終了時期とが算出される。
【0051】ここで、燃料噴射制御手段103には、図
6(a),(b)に示すように、分割噴射モード時の空
燃比を設定するための2つのマップ群が格納されてい
る。このうち、一方のマップ群は吸気行程噴射時の目標
空燃比の設定マップ〔図6(a)参照〕であり、他方の
マップ群はトータル空燃比(オーバオール空燃比)の設
定マップ〔図6(b)参照〕である。
【0052】そして、これらの2つのマップ群の中から
エンジン回転数に応じたマップをそれぞれ1つずつ選択
し、これらのマップに基づいて吸気行程噴射時の目標空
燃比とトータル空燃比とをそれぞれ設定するようになっ
ている。また、吸気行程噴射時の目標空燃比及びトータ
ル空燃比は、いずれもエンジンの負荷を表す負荷相関パ
ラメータの大きさに応じて設定されるようになっている
が、本実施形態では、図6(a)に示すように、吸気行
程噴射時の目標空燃比の設定に対しては、負荷相関パラ
メータとしてエアフローセンサ44から得られる体積効
率が用いられるようになっており、また、図6(b)に
示すように、トータル空燃比の設定に対しては、負荷相
関パラメータとしてアクセル開度センサから得られる負
荷情報Peが用いられるようになっている。
【0053】また、吸気行程噴射時の目標空燃比は、図
6(a)に示すように、エンジン負荷の増加にともなっ
て、吸気行程時の目標空燃比を希薄可燃限界に向けて徐
々に減少させるように、即ち、希薄可燃限界に向けて徐
々にリッチ化するように設定されている。なお、このと
き、目標空燃比が希薄可燃限界以下のリッチな空燃比に
設定されることはなく、常に予混合希薄可燃限界の空燃
比よりも大きい空燃比(すなわち、予混合希薄可燃限界
よりもリーンな空燃比)に設定されるようになってい
る。これは上述したように、吸気行程時の噴射燃料のシ
リンダ内での自己着火を防止するとともに、圧縮行程時
の噴射燃料に点火されたときに、この噴射燃料を火種と
して速やかに火炎をシリンダ内に伝播させるためであ
る。
【0054】なお、このように目標空燃比を設定するに
は、正確な吸気量情報が要求されるため、本実施形態で
は吸気行程時の目標空燃比を設定する際に、エンジン負
荷情報として、直接吸気の体積効率を用いているのであ
る。一方、トータル空燃比(オーバオール空燃比)は、
図6(b)に示すように負荷情報Peに基づいて設定さ
れるようになっており、負荷の増大にともなってリッチ
な空燃比が設定されるようになっている。
【0055】そして、このようにして得られた空燃比
と、エアフローセンサ44で検出された吸気量とから、
吸気行程時の燃料噴射時間(インジェクタ駆動時間)と
吸気行程及び圧縮行程の総燃料噴射時間(トータルのイ
ンジェクタ駆動時間)とがそれぞれ算出される。なお、
これらの燃料噴射時間は、ともに各種の補正、例えば気
筒別インジェクタ不均率補正や気筒別デッドタイム補正
等が施される。
【0056】また、本実施形態では、トータルのインジ
ェクタ駆動時間から吸気行程のインジェクタ駆動時間を
減算することで、圧縮行程の燃料噴射時間が算出される
ようになっている。そして、このようにして吸気行程時
及び圧縮行程時のそれぞれの燃料噴射時間が算出される
と、図示しないマップからそれぞれの燃料噴射終了時期
が設定され、この燃料噴射終了時期と燃料噴射時間とか
ら吸気行程時及び圧縮行程時のそれぞれの燃料噴射開始
時期が設定されるようになっているのである。
【0057】一方、点火プラグ45の点火時期は、点火
時期制御手段104により制御されるようになっている
が、このような分割噴射モードにおける点火時期は、圧
縮リーン運転モードにおける点火時期よりも進角側のM
BTに設定されるようになっている。本発明の一実施形
態としての火花点火式筒内噴射型内燃機関は、上述のよ
うに構成されているので、ECU16では、例えば図7
に示すようにして分割噴射モード時の燃料噴射制御が行
なわれる。
【0058】まず、ステップS1においてエアフローセ
ンサ44より体積効率(吸気量)情報が取り込まれ、ス
テップS2においてエンジン回転数センサ41よりエン
ジン回転数情報が取り込まれ、ステップS3において図
示しないアクセル開度センサから、負荷情報Peが取り
込まれる。また、ステップS4では、上記ステップS1
及びステップS2で得られた体積効率及びエンジン回転
数情報に基づいて、図6(a)に示すようなマップから
吸気行程噴射時の目標空燃比が設定される。なお、この
場合には、負荷相関パラメータとしての体積効率が増加
するほど目標空燃比は小さい値に設定される(即ち、体
積効率が増加するほどリッチな目標空燃比に設定され
る)が、予混合気希薄可燃限界よりリッチな空燃比に設
定されることはない。
【0059】また、ステップS5では、上記ステップS
2及びステップS3で得られたエンジン回転数情報及び
エンジン負荷情報(アクセル開度情報)に基づいて、図
6(b)に示すようなマップから全燃料噴射時のトータ
ル(オーバオール)の目標空燃比が設定される。この場
合もエンジン負荷(アクセル開度)が増大するほど、目
標空燃比は小さい値に(リッチな空燃比)に設定され
る。
【0060】そして、ステップS6では、ステップS1
で得られた吸気の体積効率と、ステップS4で設定され
た吸気行程噴射時の目標空燃比とから、吸気行程時のイ
ンジェクタ21の駆動時間(即ち、吸気行程噴射有効時
間)が設定される。また、ステップS7では、ステップ
S1で得られた吸気の体積効率と、ステップS5で設定
されたオーバオール目標空燃比とから、吸気行程時及び
圧縮行程時のトータルのインジェクタ21の駆動時間
(即ち、総噴射時間)が設定される。なお、このような
インジェクタ21の駆動時間は、ステップS4や,ステ
ップS5で設定された目標空燃比に所定の変換係数を掛
けることで算出される。また、このときには各種の補正
係数も乗算される。
【0061】また、ステップS8では、ステップS6で
設定された吸気行程噴射有効時間に噴射無効時間を加算
することによりデッドタイム補正を行ない、吸気行程噴
射時間を算出する。一方、ステップS9では、ステップ
S7で設定された総噴射時間から吸気行程噴射有効時間
を減算することにより圧縮行程時のインジェクタ21の
駆動時間(即ち、圧縮行程噴射有効時間)を算出する。
【0062】そして、ステップS10において、上述の
ステップS9で得られた圧縮行程噴射有効時間に、上述
のステップS8と同様のデッドタイム補正を行ない、圧
縮行程噴射時間を算出するのである。そして、分割噴射
モード時には、このようにして設定された吸気行程噴射
時間及び圧縮行程噴射時間に基づいてインジェクタ21
の駆動が制御されるのである。
【0063】一方、この分割噴射モードでは、点火プラ
グ45の点火時期についても変更が施される。つまり、
この場合には、点火時期制御手段104により、圧縮行
程噴射モード(圧縮リーン運転モード)における点火時
期よりも点火プラグ45の点火時期が進角される。具体
的には、点火プラグ45の点火時期がMBTに設定され
るのである。
【0064】さて、エンジンの運転モードが分割噴射モ
ードになると、上述により設定された燃料噴射時間と点
火時期とによりエンジンの運転が行なわれるが、この時
の燃料噴射時期,点火時期及び指圧波形を模式的に示す
と、例えば図9に示すようなグラフとなる。ここで、図
9を用いて簡単に分割噴射モード時の燃焼について説明
すると、まず、吸気行程において所定量の燃料が噴射さ
れ、これにより筒内には自己着火し得ない極めてリーン
な混合気が形成される。次に、ピストンが上昇して圧縮
行程になると、点火プラグ45近傍が部分的にリッチな
混合気となるように燃料噴射が行なわれる。そして、圧
縮上死点近傍のMBTにおいて点火が行なわれ、図9に
示すような指圧波形が得られるのである。
【0065】そして、このような分割噴射モードによる
運転では、吸気行程噴射による希薄予混合気を可燃限界
よりも大きくすることで予混合気の自己着火が防止さ
れ、ノックが抑制される。また、これにより、分割噴射
モード時の燃焼変動率も上昇することがなく、安定した
燃焼状態を得ることができる。特に、分割噴射モードを
行なわない場合には、吸気リーン運転モードで運転中に
エンジン負荷が小さくなって圧縮リーン運転モード領域
に近づくと、空燃比がリーン化して燃焼変動率が上昇し
てしまう(図11参照)が、本発明の火花点火式筒内噴
射型内燃機関では、このような吸気リーン運転モードと
圧縮リーン運転モードとの中間領域における燃焼変動悪
化領域(燃料消費率悪化領域でもある)において、分割
噴射モードをによる運転を行なうことにより、図3の網
かけ部分に示すように、燃焼変動の悪化を防止するとと
もに燃費性能を向上させることができるのである。
【0066】また、特にノックが問題となる中負荷以上
においては、図4に示すように、圧縮行程の噴射割合が
比較的大きくなるので、圧縮行程時に噴射される燃料の
気化潜熱により点火直前に筒内熱面が冷却されてノック
抑制効果が高められるのである。さらに、このときには
プラグ45近傍の可燃混合気がリッチ化し、初期燃焼期
間が短縮してMBTが遅れるので、点火時期をMBTに
設定することができ、ノックに対して一層有利となる。
【0067】ところで、図8に示すように、分割噴射モ
ード時には、熱発生率に2つのピークが生じることがわ
かる。このような2つのピークのうち、最初のピーク
は、点火プラグ45のスパークにより、圧縮行程で噴射
された部分的にリッチな混合気が燃焼したときのもので
ある。一方、このようなリッチな混合気の燃焼に際して
は空気が不足するため、燃焼によりHCやスート(す
す)が生成されるが、吸気行程噴射により形成された希
薄な混合気は、この発生したHCやスートを着火源とし
て燃焼して第2のピークが現れるのである。これによ
り、予混合気の燃焼とともに最初の燃焼により発生した
スートやHCが再燃焼して、HC排出レベルが改善され
るとともに、スートの発生も抑制されるのである。
【0068】また、シリンダ内においてこのように2段
階の燃焼が生じることにより、筒内圧が十分に上昇し
て、効率良く燃料を燃焼させることができるのである。
なお、ノック回避のために点火時期をリタードさせた場
合は、圧縮行程における燃料噴射初期の圧力上昇が緩慢
となり、吸気行程噴射による希薄予混合気に十分に火炎
が伝播されなくなる。したがって、図8に破線で示すよ
うに、筒内圧も十分に上昇せずに、これにより燃費及び
燃焼変動も悪化してしまうことになるが、上述したよう
に、本発明の火花点火式筒内噴射型内燃機関では、点火
時期を圧縮噴射運転モードよりも進角させてMBTに設
定することにより、HC排出レベルが改善されるととも
にスートの発生も抑制されるのである。
【0069】なお、このような筒内噴射型内燃機関を、
幅広いオクタン価の燃料に対応できるようにしたエンジ
ン、いわゆるマルチフューエル対応のエンジンとした場
合には、低オクタン価の燃料ではノックの回避が困難で
あった。これは、筒内噴射型内燃機関の高圧縮比が比較
的高く設定されるため、自己着火が生じやすいがらであ
る。また、このような分割噴射モードでは、ノックセン
サがインジェクタ21の閉弁時の着座振動をノックと誤
判定し易く、特にノック限界が近い点火時期では燃焼変
動の抑制が困難なものとなっていた。
【0070】これに対して、本発明の火花点火式筒内噴
射型内燃機関によれば、マルチフューエル対応の高圧縮
比エンジンであっても、従来のノック制御を流用しなが
ら、分割噴射による希薄運転でもMBTを設定でき良好
な燃費と排ガス低減を実現することができる利点があ
る。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の火花点火
式筒内噴射型内燃機関によれば、分割燃料噴射モード時
には、吸気行程時には希薄可燃限界よりも大きい空燃比
となるように目標空燃比が設定されるととも、内燃機関
の負荷相関パラメータの増大にともなって吸気行程中の
目標空燃比を希薄可燃限界に向けて徐々に減少させるの
で、燃焼変動やノックを確実に回避しながら、全体とし
てリーンな空燃比で安定した運転を行なうことができ、
燃費や出力も大きく向上するという利点がある。また、
点火時期をMBTに設定することができ、燃焼効率も向
上するという利点がある。また、マルチフューエル対応
の高圧縮比エンジンであっても、従来のノック制御を流
用しながら、分割噴射による希薄運転でもMBTを設定
でき良好な燃費と排ガス低減を実現することができる利
点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関の要部構成を示す模式的なブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における運転モードの燃料消費率及び燃焼
変動率の特性を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における分割噴射モード時の燃料消費率,
点火時期及び燃焼変動率の特性を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における分割噴射モード時の全燃料噴射量
及び吸気行程時の空燃比の特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における分割噴射モード時の目標空燃比を
設定するためのマップを示す図であって、(a)は吸気
行程時の空燃比を設定するためのマップ群を示す図、
(b)はトータル空燃比を設定するためのマップ群を示
す図である。
【図7】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における分割噴射モード時の燃料噴射制御
の流れを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における分割噴射モード時の燃焼特性を説
明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内噴
射型内燃機関における分割噴射モード時の燃料噴射時
期,点火時期及び指圧波形を模式的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態としての火花点火式筒内
噴射型内燃機関における分割噴射モード時に燃費が最良
となる空燃比を示す図である。
【図11】吸気リーン運転モードと圧縮リーン運転モー
ドとをそなえた火花点火式筒内噴射型内燃機関における
運転モードの燃料消費率及び燃焼変動率の特性を示す図
である。
【符号の説明】
15 スロットルバルブ 16 制御手段としての電子制御装置(ECU) 18 燃焼室 19 吸気弁 20 排気弁 21 燃料噴射弁(インジェクタ) 37 スロットルポジションセンサ(TPS) 41 クランク角センサ(エンジン回転数センサ) 44 エアフローセンサ 45 点火プラグ 101 運転状態検出手段 102 モード選択手段 103 燃料噴射制御手段 104 点火時期制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹村 純 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)発明者 安東 弘光 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射
    弁をそなえ、圧縮行程時に燃料噴射を行なう圧縮行程噴
    射モードと、圧縮行程と吸気行程とに分割して燃料を該
    燃焼室内に噴射しうる分割燃料噴射モードを有する火花
    点火式筒内噴射型内燃機関において、 該分割燃料噴射モード時には、吸気行程中に上記燃料噴
    射弁から噴射される燃料が自己着火し得ない希薄可燃限
    界よりも大きい空燃比となるように目標空燃比が設定さ
    れるととも、該内燃機関の負荷相関パラメータの増大に
    ともなって該吸気行程中の目標空燃比を該希薄可燃限界
    に向けて徐々に減少させることを特徴とする、火花点火
    式筒内噴射型内燃機関。
JP9312415A 1997-11-13 1997-11-13 火花点火式筒内噴射型内燃機関 Withdrawn JPH11148408A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100819962B1 (ko) 2006-12-13 2008-04-07 현대자동차주식회사 피에조 인젝터를 적용한 gdi 엔진의 연료분사 제어 방법
JP2009191652A (ja) * 2008-02-12 2009-08-27 Honda Motor Co Ltd 排気浄化装置及び排気浄化方法
JP2014521884A (ja) * 2011-08-15 2014-08-28 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 内燃機関を作動するための方法および装置

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JP2014521884A (ja) * 2011-08-15 2014-08-28 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 内燃機関を作動するための方法および装置

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