JPH11147315A - インクジェットヘッドおよびインクジェットプリント装置 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびインクジェットプリント装置

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JPH11147315A
JPH11147315A JP24989198A JP24989198A JPH11147315A JP H11147315 A JPH11147315 A JP H11147315A JP 24989198 A JP24989198 A JP 24989198A JP 24989198 A JP24989198 A JP 24989198A JP H11147315 A JPH11147315 A JP H11147315A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出信頼性を保ちつつ、高速プリントを可能
とする。 【解決手段】 液流路14を成す天板15に補助穴13
を設け、補助穴13の開口面積を吐出口12の開口面積
の3倍以上とし、かつ補助穴13と吐出口12との間の
最短距離L4は液流路14の高さH1の3倍以上とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント媒体に向
ってインク滴を吐出させることによりプリントを行うイ
ンクジェットヘッドおよびインクジェットプリント装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットヘッドとして、ヒータか
らの熱エネルギーによりインクを瞬時に発泡させ、その
気泡の成長によりインクを吐出してプリントを行うもの
がある。このようなヘッドは、特に高速記録、高密度記
録に優れている。このようなヘッドにおいては、ヒータ
上で発生したインクの気泡が外気と連通する方式のもの
が知られている(特開平4−10940号、特開平4−
10941号、特開平4−10942号等)。この方式
のヘッドの第1の特徴は、インクの吐出速度が高く吐出
信頼性が高いことである。第2の特徴は、ヒータと吐出
口との間のインクがほぼ全て吐出されて、全吐出口から
の吐出インクの体積がほぼ一様となるため、濃度ムラが
少ないことである。
【0003】記録技術の進歩に伴い、より小さなインク
滴を被記録媒体に高密度に記録することが求められてき
ている。しかし、インク滴を小さくしようとすればする
程、インクの流路が細くなり、吐出効率の低下すなわち
吐出速度が低下する傾向がある。このため、インクの吐
出方向の不安定化、ヘッド休止時のインク中の水分蒸発
によるインクの増粘による吐出不安定化等、信頼性の問
題が生じやすい。この点、前述した方式のヘッド、つま
り気泡が大気と連通する方式のヘッドは、前述したよう
な理由から、このような問題を起こしづらく、今後の高
品位記録の要請に応え得るものである。
【0004】しかしながら、このような方式のヘッドに
は、次のような問題があった。すなわち、気泡が成長し
ている時点でその気泡が外気と連通するため、外気と連
通した時点の気泡がそのまま大きなメニスカスになり、
インクのリフィル時間が長くなってしまうことである。
そのリフィル終了を待たずに次の発泡が起きると、場合
によってはインクが正常の液滴とならずミスト状態とな
り、かつインクが様々な方向に飛翔し、インクが被記録
材上で汚れとなるいわゆるミスト現象を引き起こす。
【0005】一方、従来より、パソコン等の出力手段と
して様々な記録方式のプリンターが用いられており、近
年のパソコンの処理速度の高性能化、インターネットの
普及などに伴い、カラー画像記録の高速化の要求がます
ます増大してきている。そこで、レーザビームプリンタ
並みの高速印字が可能で、カラー化にも容易に対応で
き、低コストであるインクジェットプリンターが広く使
用されるようになっている。
【0006】このインクジェットプリンターの代表的な
記録方式の一つであるバブルジェット記録方式は、前述
したように、熱エネルギー発生手段によりインクを加熱
して気化させ、発生した気泡の圧力によりインク液滴を
吐出口から吐出させる方式である。インク液滴吐出後、
気泡内のインクの蒸発が凝縮し液体に戻るため、ついに
は気泡は消滅する。インク液滴吐出によりインク流路内
のインクが減少するが、インク供給路からインクが補充
される。
【0007】図15は、背景技術に係るバブルジェット
記録方式のヘッドの構成を示す説明図である。インク供
給路21から多数のインク流路22が分岐しており、イ
ンク供給路21とインク流路22とは連通している。各
インク流路22の先端には、インク液滴の吐出口23が
設けられており、この吐出口23と対向するように熱エ
ネルギー発生手段である発熱体24(図17参照)がそ
れぞれ配設されている。また、各インク流路22の長さ
(インク供給路21との分岐位置25から、吐出口23
までの距離)は均一ではなく僅かに違えることにより、
吐出口位置をずらして高密度記録が可能になっている。
なお、吐出口23中心と発熱体24中心とは対向位置に
あるため、インク供給路21との分岐位置25から吐出
口23までの距離と、インク供給路21との分岐位置2
5から発熱体24までの距離(C−H間距離)とは一致
している。
【0008】この例では合計256本のインク流路22
が設けられているが、図15には、そのうちの32本の
み示している。これらのインク流路22は、図面左方に
位置する偶数番流路と右方の奇数番流路との2組に分け
られ、さらに、それぞれの組において、インク流路は8
本ずつの16グループに分けられている。同一グループ
の8本のインク流路22の発熱体24は同時に駆動さ
れ、各グループ毎の計16回の発熱体駆動を1サイクル
とするように時分割駆動が行われる。なお、インク流路
22の長さ(分岐位置25から吐出口23までの距離)
は5種類に分けられる。
【0009】この例を具体的に説明すると、偶数番流路
(以下、「偶数流路」ともいう)に関しては、Seg
0,32,64,96,128…224の8本が第1グ
ループ、Seg10,42,74…234が第2グルー
プ、Seg20,52…244が第3グループ、Seg
30,62…254が第4グループ、Seg8,40…
232が第5グループ、Seg18,50…242が第
6グループ、Seg28,60…252が第7グルー
プ、Seg6,38…230が第8グループ、Seg1
6,48…240が第9グループ、Seg26,58…
250が第10グループ、Seg4,36…228が第
11グループ、Seg14,46…238が第12グル
ープ、Seg24,56…248が第13グループ、S
eg2,34…226が第14グループ、Seg12,
44…236が第15グループ、Seg22,54…2
46が第16グループというように、16本おきにイン
ク流路がグループ分けされている。
【0010】奇数番流路(以下、「奇数流路」ともい
う)に関しても、偶数流路と同様に、Seg1,33,
65,97,129…225が第1グループ、Seg1
1,43,75…235が第2グループ、Seg21,
53…245が第3グループ、…、Seg23,55…
247が第16グループというように、16本おきにイ
ンク流路がグループ分けされている。したがって、各グ
ループは偶数流路8本と奇数流路8本の合計16本で構
成されている。
【0011】記録時には、第1グループから第16グル
ープまで順番にグループごとに駆動される。あるグルー
プを駆動してから次のグループを駆動するまでの間隔は
5.9μsである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記した図15の例の
場合、偶数流路では、C−H間距離の短いインク流路か
ら順にインク液滴を吐出するように駆動され、また、奇
数流路では、C−H間距離の長いインク流路から順にイ
ンク液滴を吐出するように駆動される。後からインク液
滴を吐出するインク流路は、先にインク液滴を吐出した
インク流路の影響を受ける。すなわち、たとえば第16
グループのSe22,54…246およびSeg23,
55…247は、それ以前に駆動された全グループのイ
ンク流路の振動の影響を受ける。特に、C−H間距離の
短いインク流路では、他のグループにおけるインク吐出
による振動の影響が、吐出口部分のメニスカス部にまで
及び易い。
【0013】図16は、図15の偶数流路の第16グル
ープのインク流路(C−H間距離の短いインク流路)に
関し、第1グループに駆動パルスが印加されてからの経
過時間を横軸に、吐出口部分のメニスカスの位置を縦軸
にとったグラフである。なお、メニスカスの位置は、吐
出口端面を0とし、プラスの数値はメニスカスが吐出口
の外側に盛り上がるように突出している量を示し、マイ
ナスの数値はメニスカスが吐出口の内側に後退している
量を示す。第16グループのインク流路の発熱体(ヒー
ター)が駆動されるまで、他のグループの発熱体の駆動
が15回行われる間に、第16グループのメニスカスは
膨張を続け吐出口端面からの突出量が増大する。
【0014】本発明者が検討を重ね経験則的に得た結果
によれば、メニスカスの突出が吐出口から+3μm以上
になると、図17の示すように、発熱体駆動時に記録用
のインク液滴9が球状になって吐出し、それと分離され
た小滴10が追随して吐出する、いわゆる玉割れ吐出現
象が生じる。この場合、他の吐出口に比べて、吐出され
るインク量が多く液滴が大きくなる。例えば、全吐出口
からインクを吐出していわゆる黒ベタ印字を行うような
場合、記録面に、部分的に濃度の濃い黒スジが周期的に
表れてしまい、印字品質が悪くなる。なお、図17にお
いて、符号29aは、インク吐出後のメニスカスを示し
ている。
【0015】図15の奇数流路の場合は、C−H間距離
の長いインク流路から順にインク液滴を吐出するように
駆動され、また、C−H間距離の最も短いインク流路は
第1グループにある。通常の印字動作においては、時分
割駆動サイクル(16回の発熱体駆動=1サイクル)が
繰り返されるので、第2グループから第16グループま
でのインク液滴吐出、さらに次サイクルにおける第1グ
ループのインク液滴吐出までの間のインク流路の振動の
影響により、第1グループのメニスカス部のインクの位
置は、図16に示す状態と実質的に同様になる。従っ
て、時分割駆動サイクルが繰り返し行われるのであれ
ば、どのグループに属していても、C−H間距離の短い
インク流路は、前記玉割れ吐出現象が生じるおそれがあ
る。
【0016】本発明の第1の目的は、吐出信頼性を保ち
つつ、高速プリントを可能とすることである。また、本
発明の他の目的は、ミスト現象のない高品位記録を可能
とすることである。
【0017】さらに、本発明の他の目的は、玉割れ吐出
現象を防止し、印字品質のよいインクジェットヘッドお
よびインクジェットプリント装置を提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドの第1の形態は、インク流路内のインクに、電気
熱変換体から熱エネルギーを付与して気泡を発生させる
ことにより、前記電気熱変換体と対向する吐出口からイ
ンクを吐出可能なインクジェットヘッドにおいて、前記
インク流路は前記吐出口にインクを供給するものであ
り、前記インク流路の天井部に外部に開放される補助穴
を設け、前記補助穴の開口面積は前記吐出口の開口面積
の3倍以上とし、前記補助穴と前記吐出口との間の最短
距離は前記インク流路の高さの3倍以上としたことを特
徴とする。
【0019】本発明のインクジェットプリント装置の第
1の形態は、上記第1の形態のインクジェットヘッド
と、前記インクジェットヘッドとプリント媒体とを相対
移動させる移動手段とを備えてなることを特徴とする。
【0020】本発明のインクジェットヘッドの第2の形
態は、インク供給路と、前記インク供給路から分岐した
複数のインク流路と、前記インク流路の先端部にそれぞ
れ設けられている吐出口および該吐出口からインクを吐
出するために利用される熱エネルギーを発生する熱エネ
ルギー発生手段とを有し、複数の前記インク流路の熱エ
ネルギー発生手段が時分割駆動されるインクジェットヘ
ッドであって、前記複数のインク流路のうちの少なくと
も1つには、前記インク供給路との分岐位置と、前記熱
エネルギー発生手段との間に、インクの圧力変動及び振
動の緩衝用のダミー孔部が設けられていることを特徴と
する。
【0021】本発明のインクジェットプリント装置の第
2の形態は、上記第2の形態のインクジェットヘッド
と、該ヘッドを載置するための手段とを有することを特
徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0023】(第1の実施形態)図1,図2,図3は、
本発明の第1の実施形態を説明するための図であり、図
1は、インクジェットヘッド1の平面図、図2は、図1
のII−II線に沿う拡大断面図、図3は、図2のIII 矢視
図である。
【0024】ヘッド1は、発熱抵抗体(電気熱変換体)
11の発熱によりインク17を加熱して気泡を発生さ
せ、その成長により吐出口12からインク滴17′を吐
出して記録を行うものである。10はSi製の基板であ
り、その基板11上に、電気熱変換体としての発熱抵抗
体(「ヒータ」ともいう)11が設けられている。発熱
抵抗体11の表面は、吐出口12と略平行に対向してい
る。18は、基板10に開けられたインク供給口であ
り、その両側に64ずつの吐出口12が配列されてい
る。左の列と右の列の吐出口12のそれぞれは、84.
6μmのピッチで図1中の上下方向に配置され、また左
右の吐出口12は42.3μmずれて斜めに対向するい
わゆる千鳥配置となっている。
【0025】インク17は、不図示のタンクからインク
供給口18を通して導入され、図2中の矢印9の方向か
ら発熱抵抗体11の部分に供給される。14は、供給口
18から各々の発熱抵抗体11へインクを供給するため
の液流路(インク流路)であり、隔壁16によって分離
されている。隔壁16と端16′と供給口18のエッジ
18′との距離L1は10μmである。また、発熱抵抗
体11の中心からエッジ18′までの距離L2は111
μmである。液流路14の高さH1は12μmである。
図中13は、本発明の特徴としての補助穴であり、液流
路14上の天板15に設けられている。天板15の厚み
W1は8μmである。
【0026】吐出口12および補助穴13のサイズは、
それぞれ22μm×22μm、30μm×54μmであ
り、両者とも四隅にR4μmのラウンジ部が形成されて
いる。吐出口12と補助穴13の中心間距離L3は65
μmであり、最短距離L4は40μmである。
【0027】本例の場合は、発熱抵抗体11から吐出口
12の上面までの距離(H1+W1)が20μmと短い
ため、この間のインク17がほぼそのインク滴17′と
して吐出され、発生した気泡が消滅する前に、その気泡
が大気に連通されることになる。図2は、その様子を示
したものである。気泡の発生、成長により、インク17
は、吐出口12から吐出すると共に、補助穴13の外側
に盛り上がるように、若干盛り出ることになる。この盛
り出し量の最大は、オリフィスプレートを成す天板15
の上面から高さ6μm、体積は3800μm3 であっ
た。なお、吐出する液滴17′の体積は9000μm3
であった。
【0028】このようなインク17の盛り出しにより、
この盛り出し部分の圧力が上昇し、次の時点におけるイ
ンク17の再充填を助けることになる。本例では、発熱
抵抗体11への電気パルスの印加開始から、インク滴1
7′の吐出を経てインク17が再充填されるまでの時間
(「リフィル時間」ともいう)は52μsecであっ
た。比較例として、補助穴13がない場合は、その時間
に76μsecを要した。
【0029】もし、補助穴13の位置が本例よりも吐出
口12に近い場合には、補助穴13からインク滴が吐出
してしまい、もしくは、そのインク滴が吐出しないまで
も吐出口12の周辺がインクで濡れてしまい、ひいては
そのインクが吐出口12を塞いで連続使用に耐えられな
くなる。逆に、補助穴13の位置が本例よりも吐出口1
2から遠い場合には、補助穴13と吐出口12との間の
流路抵抗が高くなって、インク17の再充填時間の短縮
効果が小さくなる。
【0030】次に、補助穴13のサイズについて述べ
る。補助穴13のサイズが小さ過ぎると圧力上昇は十分
になるが、その盛り出したインク17を貯える能力(容
量)が減ってしまう。逆に、補助穴13のサイズが大き
過ぎると盛り出したインク17の曲率半径が大きくな
り、圧力上昇が足りずに、再充填時間の短縮効果が小さ
くなる。
【0031】以上の観点から、本発明では、補助穴を液
流路内に設け、補助穴13の開口面積を吐出口12の開
口面積の3倍以上とし、かつ、それらの間の最短距離L
4を液流路14の高さH1の3倍以上とした。このよう
に補助穴13の大きさと位置を特定したことの有効性
は、次のような実験により確認できた。
【0032】図7は、本実施形態において、まず、補助
穴13の位置を変更して、A4サイズの記録紙1頁の印
字の間に、吐出口12周辺のインクの濡れによって印字
不可能になる割合を示したものである。ここで、縦軸
は、10回のテスト中に印字不可能になった回数を示
す。以上の実験は複数回行われたが、吐出口12と補助
穴13との最短距離L4が流路14高さH1の3倍を下
回ると、急に、吐出口12周辺のインクの濡れによる印
字不能の割合が増した。尚、図7は複数回の実験の中の
代表的な一例を示しているが、このときには最短距離が
流路高さの3倍より少し小さい値でも回数:0回の結果
が出た。図8は、補助穴13のサイズを変えた時のリフ
ィル時間である。補助穴13のサイズ(開口面積)が吐
出口12のサイズ(開口面積)の3倍を越える(以上と
なる)と、リフィル時間が安定的に短くなった。
【0033】なお、補助穴は、大きさの上限として、補
助穴を下に向けても、メニスカスが保持されて補助穴か
らインクがこぼれ落ちない大きさ以下であることが好ま
しい。
【0034】(第2の実施形態)本例の場合は、補助穴
13からインク17が盛り出した時の圧力上昇を十分に
高くし、その盛り出したインクを貯える容量を確保する
ために、比較的小さな補助穴13を複数設けた。
【0035】図4は、本例におけるヘッドの主要部の平
面図である。4つの補助穴13−1,13−2,13−
3,13−4を設けた以外は、前述した第1の実施形態
と同じである。各補助穴13−1〜13−4のサイズは
20μm×20μmであり、それぞれの四隅にはR4μ
mのラウンジ部が形成されている。本例のヘッドによる
効果は第1の実施形態の場合よりも顕著となった。構成
上、本例が前述した第1の実施形態と違う点は、第1の
実施形態のものより小さな開口面積の補助穴13(13
−1〜13−4)を複数設けている点である。本例の補
助穴13の全体としての開口面積、つまり補助穴13−
1〜13−4の合計の開口面積は、第1の実施形態より
も多少大きく、また補助穴13−3,13−4は吐出口
12からより離れている。しかし、補助穴13の大きさ
と位置は、前述した第1の実施形態と同様に特定されて
いる。
【0036】本例では、1つ1つの補助穴13−1〜1
3−4の開口面積が小さいために、気泡が成長する際、
これら補助穴13−1〜13−4からのインク17の盛
り出しによる圧力上昇が第1の実施形態の場合よりも高
くなり、リフィル時間がより短縮されて45μsecと
なった。
【0037】(第3の実施形態)図5は、本発明の第3
の実施形態におけるヘッドの主要部の平面図である。本
例では、補助穴13が供給口12から見てヒータ11の
奥方(図5中の右方)に設けられている。このタイプの
ヘッドでは、リフィル時間の短縮をより大幅に図ること
ができた。そのリフィル時間は、インク滴17′の1発
目で30μsecであったが、2発目は42μsec、
3発目は55μsec、4発目で65μsec、5発目
は71μsecであった。つまり、1発目での効果は良
いが、それ以降は効果は落ちた。しかしながら、図5中
の2点鎖線のように供給口18とヒータ11との間にも
補助穴13−1,13−2を追加することにより、この
欠点が解消して、リフィル時間が安定して48μsec
となった。
【0038】いずれにしても、本例におけるヒータ11
の奥方の補助穴13の大きさと位置は、前述した第1の
実施形態と同様に特定されている。このようにヒータ1
1の奥方の補助穴13の大きさと位置を特定したことの
有効性は、第1の実施形態と同様、吐出口まわりの濡れ
による不吐出の割合の測定(図7)と、リフィル時間の
測定(図8)によって確認できた。
【0039】(第4の実施形態)1つのヘッド内の複数
の発熱抵抗体11が備わり、これらが異なるタイミング
(時分割)で駆動される場合、ヒータ11から供給口1
2までの間の距離を異ならせることがある。つまり、ヘ
ッドを走査しつつプリントをするいわゆるシリアルスキ
ャン方式において、列状に配設された吐出口12を複数
のブロックに分け、それらのブロック毎のヒータ11を
時分割駆動する場合、それらのブロック毎の吐出口12
の位置を走査方向にずらす必要がある。仮に、そのよう
なずれがない場合には、走査方向と直交する方向の縦線
を直線状にプリントすることができなくなる。このよう
ないわゆる縦線の直線性の要求から、結果的に、ヒータ
11から供給口12までの間の距離がブロック毎に異な
ることになる。一般に、供給口12とヒータ11との間
の距離が長いとリフィル時間が長くなる。そこで、供給
口12からヒータ11までの間の距離に比例した個数の
補助穴13を設けることが有効となる。
【0040】(第5の実施形態)図6は、本発明の第5
の実施形態としてのインクジェットプリント装置の概略
を示す斜視図である。
【0041】インクジェットプリント装置100におい
て、キャリッジ101は、互いに平行に延在する2本の
ガイド軸104および105と摺動可能に係合する。こ
れにより、キャリッジ101は、駆動用モータおよびそ
の駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構(いずれ
も不図示)により、ガイド軸104および105に沿っ
て往復動される。キャリッジ101には、インクジェッ
トユニット103が搭載される。そのユニット103
は、前述した実施形態におけるインクジェットヘッド1
と、このヘッド1で用いられるインクを収納するインク
容器としてのインクタンクとを有する。
【0042】本例の場合、インクジェットユニット10
3は、ブラック(Bk),シアン(C),マゼンタ
(M)およびイエロー(Y)の4色の各インクのそれぞ
れを吐出する4個のヘッド、およびこれらのそれぞれに
対応して設けられるタンクからなる。さらに、各ヘッド
とタンクとは相互に着脱可能とされ、タンク内のインク
が無くなった場合等、必要に応じて個々のインク色毎に
タンクのみを交換できるようになっている。また、ヘッ
ドのみを必要に応じて交換できることは勿論である。な
お、ヘッドおよびタンクの着脱の構成は、上記の例に限
られず、ヘッドとタンクが一体に形成された構成として
もよい。
【0043】プリント媒体としての用紙106は、装置
の前端部に設けられる挿入口111から挿入され、最終
的にその搬送方向が反転され、送りローラ109によっ
て上記キャリッジ101の移動領域の下部に搬送され
る。キャリッジ101に搭載されたヘッドは、その移動
に伴って、プラテン108によって支持された用紙10
6上のプリント領域にプリントする。
【0044】以上のようにして、キャリッジ101の移
動に伴う、ヘッドの吐出口配列の幅に対応した幅のプリ
ントと、用紙106の送りとを交互に繰り返しながら、
用紙106全体にプリントがなされ、その後、用紙10
6は装置前方に排出される。
【0045】キャリッジ101の移動可能な領域の左端
には、キャリッジ101上の各ヘッドとそれらの下部に
おいて対向可能な回復系ユニット110が設けられてい
る。この回復系ユニット110により、非記録時等に、
各ヘッドの吐出口をキャップする動作や各ヘッドの吐出
口からインクを吸引する等の動作を行うことができる。
また、この左端部の所定位置は、ヘッドのホームポジシ
ョンとして設定される。
【0046】一方、装置の右端部には、スイッチや表示
素子を備えた操作部107が設けられる。ここにおける
スイッチは、装置電源のオン/オフや各種プリントモー
ドの設定時等に使用され、表示素子は装置の各種状態を
表示する役割をする。
【0047】(第6の実施形態)図9は本発明のインク
ジェットヘッド(以下、「インクジェット記録ヘッド」
ともいう)の第6の実施形態の要部を模式的に示した説
明図である。基本的な構成は、前記した図15の例と同
様であり、インク流路21から256本のインク流路2
2が分岐している。各インク流路22の先端には吐出口
23が設けられ、この吐出口23と対向するように、熱
エネルギー発生手段である発熱体(電気熱変換体)24
(図12,13参照)が配設されている。インク流路2
2の長さは均一ではなく僅かに違えることにより、吐出
口23の位置をずらして高密度記録が可能になってい
る。
【0048】256本のインク流路22は、図1左方に
位置する偶数番流路(以下、「偶数流路」ともいう)と
右方の奇数番流路(以下、「奇数流路」ともいう)との
2組に分けられ、さらに、それぞれの組において、イン
ク流路は8本ずつの16グループに分けられている。図
15の従来例と同様に、各グループは、偶数流路8本と
奇数流路8本の合計16本で構成されている。そして、
記録時には、同一グループの16本のインク流路22の
発熱体24が同時に駆動され、かつ第1グループから第
16グループまで順番に発熱体駆動されて、16回の発
熱体駆動で1サイクルとなるように、時分割駆動が行わ
れる。流路数が256本と多いため、瞬間に流れる電流
値を抑制するように、このような時分割駆動を行ってい
る。あるグループを駆動してから次のグループを駆動す
るまでの間隔は5.9μsである。
【0049】なお、図9には、便宜上、256本のイン
ク流路22の内の32本のみがSeg0〜Seg31と
して示され、それらは実際の寸法通りに表されてはいな
い。インク供給路21との分岐位置25から、発熱体
(ヒーター)24の中心までの距離(C−H間距離)
は、各インク流路22ごとに異なっている。図面左側の
偶数流路に関しては、Seg0の発熱体24の中心の位
置を0とすると、Seg2の発熱体24の中心は図面右
方に0.0165mmずれた位置にある。以下、同様
に、Seg4…Seg30の偶数流路の発熱体24の中
心位置は、0.0125mm、0.0090mm、0.
0050mm、0.0015mm、0.0175mm、
0.0140mm、0.0100mm、0.0065m
m、0.0025mm、0.0190mm、0.015
0mm、0.0115mm、0.0075mm、0.0
040mmずれた位置にある。
【0050】一方、右側の奇数流路に関しては、Seg
1の発熱体24の中心はSeg0の発熱体24の中心か
ら図面右方へ0.2960mm離れた位置にある。この
Seg1の発熱体24の中心の位置を0とすると、Se
g3,Seg5…Seg31の奇数流路の発熱体24の
中心位置は、図中の右方に、0.0165mm、0.0
125mm、0.0090mm、0.0050mm、
0.0015mm、0.0175mm、0.0140m
m、0.0100mm、0.0065mm、0.002
5mm、0.0190mm、0.0150mm、0.0
115mm、0.0075mm、0.0040mmずれ
て、偶数流路と同様な位置関係になっている。
【0051】このように各インク流路22は、C−H間
距離により概ね5種類に分けられる。すなわち、偶数流
路のSeg2,Seg12,Seg22と奇数流路のS
eg1,Seg11,Seg21,Seg31がC−H
間距離の最も短い流路群である。次いで、Seg4,S
eg14,Seg24,Seg9,Seg19,Seg
29が次に短い流路群である。さらに、C−H間距離の
短い順に、Seg6,Seg16,Seg26,Seg
7,Seg17,Seg27の流路群、Seg8、Se
g18,Seg28,Seg5,Seg15,Seg2
5の流路群と続き、Seg0,Seg10、Seg2
0,Seg30,Seg3,Seg13,Seg23が
C−H間距離の最も長い流路群である。なお、吐出口2
3の中心と発熱体24の中心とは対向位置にあるため、
インク供給路21との分岐位置25から吐出口23まで
の距離と、C−H間距離とは一致している。
【0052】本実施形態では、C−H間距離が最も短い
流路群の各インク流路の吐出口23および発熱体24
と、分岐位置25との間に、図9,図10に示すよう
に、補助穴(以下、「圧力緩衝用のダミー孔部」とい
う)26が設けられている。
【0053】Seg0〜Seg31を駆動する駆動信号
が入力されると、前記第1グループから第16グループ
の順番に、それらの発熱体24に駆動パルスが印加され
る。
【0054】例えば、偶数の第16グループのインク流
路(Seg22)は、先にインク液滴吐出が行われる他
の全てのインク流路(Seg0〜Seg21およびSe
g24〜Seg31)からの流体力学上の影響を、イン
ク液滴吐出の直前まで受けている。
【0055】すなわち、バブルジェット方式のインクジ
ェット記録ヘッドの場合、発熱体24の加熱によりイン
ク中に気泡が発生し、その圧力によりインク液滴が吐出
口23から吐出し、その後、液体に戻り消滅する。それ
から、インク供給路21からインク流路22にインクが
補充される。このようにインク流路22内では、気泡の
発生−インク液滴吐出−気泡の消滅−インクの補充とい
う過程で、内部に圧力変動および振動が生じる。全イン
ク流路22は、インク供給路21によってつながってい
るため、他のインク流路におけるインク液滴吐出の影響
が伝わってくる。図9に示す例では、第16グループの
インク流路(Seg22)は、それまでの15回の他の
インク流路のインク液滴吐出の影響を受けて、内部のイ
ンクの圧力変動および振動発生が起こっている。そのた
め、従来は、Seg22などC−H間距離が他より短い
インク流路の先端のメニスカスは、図16に示すよう
に、他のインク流路のインク液滴吐出時のインクの圧力
変動や振動の影響を受けて、振動しながら徐々に外部に
膨らんで盛り上がる。そのため、この状態でインク液滴
の吐出が行われると、図17に示すような玉割れ吐出現
象が生じていた。
【0056】しかし本実施形態では、インク流路Seg
22の分岐位置25と発熱体24との間にダミー孔部2
6が設けられている。従って、インクがダミー孔部26
から外部へ膨張して突出することにより、他のインク流
路のインク液滴の吐出による圧力変動や振動は緩衝さ
れ、結果的に、メニスカスは吐出口から外部にあまり突
出しない。従来は、他のインク流路におけるインク液滴
の吐出に応じて、吐出口23においてメニスカスが盛り
上がったり縮んだりしていた(図16参照)。しかし、
本実施形態では、図13に示すように、ダミー孔部26
において同様にインクが盛り上がったり縮んだりする。
この結果、吐出口23のメニスカス部には、圧力変動や
振動がダイレクトに伝わらずかなり緩衝され、メニスカ
スの変位が小さくなる(図11参照)。したがってイン
ク液滴吐出時には、図12に示すように、玉割れ吐出現
象は生ぜず、尾を引いた1個のインク液滴27が正常に
吐出される。吐出されるインク液滴27が他の吐出口か
らの液滴と同等の大きさになるので、黒ベタ印字を行っ
ても、部分的に濃度の濃い黒スジは発生しない。
【0057】インク液滴吐出が行われたインク流路は、
インク供給路からインクが補充されて、流路内の振動は
一旦収まり、メニスカスは0の位置に復帰する。そし
て、第1〜16グループの駆動が繰り返されると、イン
ク流路Seg22のメニスカスに関しては、図11に示
すグラフの0〜90μs間の波形が繰り返される。な
お、ダミー孔部26は発熱体24から十分距離をおいて
設けられている。したがって、吐出口23からインク液
滴が吐出される場合にも、ダミー孔部26におけるイン
クは、表面張力により保持され、凹凸するのみで外部に
漏出することはない。
【0058】また、このような構成では、奇数流路に関
しては、1サイクル中の前半にインクを吐出する第1〜
4グループのインク流路Seg1,Seg11,Seg
21,Seg31に、ダミー孔部26が設けられてい
る。前記したような第1〜16グループの駆動サイクル
が繰り返し行われる場合、奇数流路は、偶数流路の場合
とタイミングが少しずれるだけであり、偶数流路の場合
と同様にダミー孔部26によりインクの圧力変動や振動
が緩衝される。したがって、奇数流路からも、図12の
ような正常な吐出が行われて、吐出される液滴は、周囲
の他の吐出口から吐出される液滴に比べて大きくならな
い。
【0059】(第7の実施形態)上記第6の実施形態
は、C−H間距離が最も短い流路群にダミー孔部26が
形成されているが、どの流路にダミー孔部を形成するか
は任意に設定できる。例えば、図示しないが第7の実施
形態として、C−H間距離の最も長い流路群(Seg
0,Seg3,Seg10,Seg13,Seg20,
Seg23)に、第6の実施形態と同様なダミー孔部2
6(図10参照)を設けることもできる。
【0060】以上説明してきたように、第6,第7の実
施形態では、インク流路22にダミー孔部26を設ける
ことにより、球割れ現象を回避することができる。ただ
し、あまり多くのインク流路22にダミー孔部26を設
けると、吐出口23が形成される吐出口プレートの機械
的強度が下がり、またインク中の揮発成分の蒸発量が全
体的に多くなって、粘度上昇による不吐出が起きやすく
なるという弊害が生じる。そのため、前記第6,7の実
施形態のように、全インク流路の2〜3割程度のインク
流路22にダミー孔部26が設けられることが好まし
く、さらに、ダミー孔部26が設けられているインク流
路22は、全インク流路22中において偏りなく配置さ
れることが好ましい。
【0061】また、上記第6,第7の実施形態における
ダミー孔部26は、前述した第1〜第4の実施形態にお
ける補助穴13と同じ条件で設けることができる。ダミ
ー孔部26を補助穴13と同じように設けることによ
り、インク吐出信頼性の向上、およびインクのリフィル
時間の短縮等、第1〜第4の実施形態と同様の効果をも
奏することができる。
【0062】(第8の実施形態)図14には、以上の第
6,第7の実施形態において説明した構成のインクジェ
ット記録ヘッド211を備えたインクジェット記録装置
が示されている。この記録装置の構成を簡単に説明する
と、供給ローラ212等を含み紙等の記録媒体(図示せ
ず)が供給される給紙部213と、記録媒体にインクジ
ェット記録ヘッド211からインク吐出を行なう印字部
214と、印字された記録媒体を排出する排紙部215
とを有している。印字部214には、インクジェット記
録ヘッド211を載置するための手段であるキャリッジ
216が、ガイドレール217に沿って摺動可能に設け
られている。そして、キャリッジ216にインクジェッ
ト記録ヘッド211が搭載され、これらは、記録媒体の
搬送方向に実質的に直交する方向に一体的に往復動す
る。
【0063】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式のプリ
ントヘッド(以下、「記録ヘッド」ともいう)、プリン
ト装置(以下、「記録装置」ともいう)において優れた
効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の
高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0064】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0065】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0066】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0067】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0068】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0069】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0070】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0071】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、吐出口
と補助穴の大きさと位置関係を特定することにより、イ
ンクの吐出信頼性、吐出安定性、印字等のプリント特性
を向上させることができ、かつ高速プリントを可能とす
ることができる。
【0073】また、本発明によると、インク液滴吐出時
のインク圧力変動や振動が補助穴としてのダミー孔部に
より緩衝されて、続いてインク液滴が吐出されるインク
流路のメニスカス部において、インクが外方に大きく盛
り上げることが抑制される。この結果、玉割れ現象が防
止でき、全インク流路で均一なインク液滴吐出が可能に
なり、印字品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのインクジェッ
トヘッドの平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う拡大断面図である。
【図3】図2のIII 矢視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態としてのインクジェッ
トヘッドの要部の拡大平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態としてのインクジェッ
トヘッドの要部の拡大平面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態としてのインクジェッ
トプリント装置の斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態としてのインクジェッ
トヘッドの有効性の実験データの説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態としてのインクジェッ
トヘッドの有効性の実験データの説明図である。
【図9】本発明のインクジェットヘッドの第6の実施形
態の要部を示す平面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】第6の実施形態におけるメニスカス位置の変
動を示す説明図である。
【図12】第6の実施形態におけるインク液滴吐出状態
を示す説明図である。
【図13】第6の実施形態におけるダミー孔部によるイ
ンクの圧力変動や振動の緩衝状態を示す説明図である。
【図14】本発明のインクジェット記録装置の斜視図で
ある。
【図15】背景技術に係るインクジェットヘッドの要部
を示す平面図である。
【図16】背景技術に係るインクジェットヘッドにおけ
るメニスカス位置の変動を示す説明図である。
【図17】背景技術に係るインクジェットヘッドにおけ
るインク液滴吐出状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 10 基板 11 発熱抵抗体(電気熱変換体) 12 吐出口 13 補助穴 14 液流路(インク流路) 15 天板 16 隔壁 17 インク 17′ インク滴 18 インク供給口

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク流路内のインクに、電気熱変換体
    から熱エネルギーを付与して気泡を発生させることによ
    り、前記電気熱変換体と対向する吐出口からインクを吐
    出可能なインクジェットヘッドにおいて、 前記インク流路は前記吐出口にインクを供給するもので
    あり、 前記インク流路の天井部に外部に開放される補助穴を設
    け、 前記補助穴の開口面積は前記吐出口の開口面積の3倍以
    上とし、 前記補助穴と前記吐出口との間の最短距離は前記インク
    流路の高さの3倍以上としたことを特徴とするインクジ
    ェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記補助穴は、前記吐出口よりもインク
    の供給方向の前側に位置する前記インク流路の天井部に
    設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェッ
    トヘッド。
  3. 【請求項3】 前記補助穴は、前記吐出口よりもインク
    の供給方向の後側に位置する前記インク流路の天井部に
    設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェッ
    トヘッド。
  4. 【請求項4】 前記補助穴は、前記インク流路の1つに
    対して複数に分けて設けたことを特徴とする請求項1か
    ら3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記吐出口は、前記インクに発生する気
    泡の成長過程において、その気泡を大気と連通させるこ
    とを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記インク流路は、前記電気熱変換体が
    設けられる基板と、前記吐出口が形成される天板との間
    に形成され、 前記補助穴は、前記天板に形成されることを特徴とする
    請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】 前記インク流路は、前記吐出口の数に対
    応して複数並列に形成されて共通のインク供給口に連通
    することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載
    のインクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 前記インク流路は、前記共通のインク供
    給口の両側のそれぞれに複数ずつ並列に形成されている
    ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  9. 【請求項9】 前記インクジェットヘッドとプリント媒
    体とを相対移動させる移動手段とを備えてなることを特
    徴とするインクジェットプリント装置。
  10. 【請求項10】 前記移動手段は、前記インクジェット
    ヘッドを主走査方向に往復移動させ、かつ前記プリント
    媒体を前記主走査方向と略直交する副走査方向に移動さ
    せることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット
    プリント装置。
  11. 【請求項11】 インク供給路と、前記インク供給路か
    ら分岐した複数のインク流路と、前記インク流路の先端
    部にそれぞれ設けられている吐出口および該吐出口から
    インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生
    する熱エネルギー発生手段とを有し、複数の前記インク
    流路の熱エネルギー発生手段が時分割駆動されるインク
    ジェットヘッドであって、 前記複数のインク流路のうちの少なくとも1つには、前
    記インク供給路との分岐位置と、前記熱エネルギー発生
    手段との間に、インクの圧力変動及び振動の緩衝用のダ
    ミー孔部が設けられていることを特徴とするインクジェ
    ットヘッド。
  12. 【請求項12】 前記ダミー孔部の開口面積は前記吐出
    口の開口面積の3倍以上とし、 前記ダミー孔部と前記吐出口との間の最短距離は前記イ
    ンク流路の高さの3倍以上としたことを特徴とする請求
    項11に記載のインクジェットヘッド。
  13. 【請求項13】 複数の前記インク流路がN個のグルー
    プに分けられて、それぞれのグループごとに順番に前記
    熱エネルギー発生手段が駆動されるN分割の時分割駆動
    が行われ、 全ての前記インク流路のうちの少なくとも1/Nに、前
    記ダミー孔部が設けられている請求項11または12に
    記載のインクジェットヘッド。
  14. 【請求項14】 前記複数のインク流路のうち、前記イ
    ンク供給路との分岐位置と前記熱エネルギー発生手段と
    の間の間隔が他より短いインク流路に、前記ダミー孔部
    が設けられている請求項11から13のいずれかに記載
    のインクジェットヘッド。
  15. 【請求項15】 前記複数のインク流路のうち、前記イ
    ンク供給路との分岐位置と前記熱エネルギー発生手段と
    の間の間隔が他より長いインク流路に、前記ダミー孔部
    が設けられている請求項11から13のいずれかに記載
    のインクジェットヘッド。
  16. 【請求項16】 前記熱エネルギー発生手段は電気熱変
    換体である請求項11から15のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッド。
  17. 【請求項17】 請求項11から16のいずれかに記載
    のインクジェットヘッドと、該ヘッドを載置するための
    手段とを有することを特徴とするインクジェットプリン
    ト装置。
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