JPH11144939A - 超電導コイルシステム - Google Patents

超電導コイルシステム

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JPH11144939A
JPH11144939A JP9303050A JP30305097A JPH11144939A JP H11144939 A JPH11144939 A JP H11144939A JP 9303050 A JP9303050 A JP 9303050A JP 30305097 A JP30305097 A JP 30305097A JP H11144939 A JPH11144939 A JP H11144939A
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superconducting coil
superconducting
coils
sealed container
refrigerant
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JP9303050A
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English (en)
Inventor
Fujio Irie
冨士男 入江
Yoshiro Yamamoto
吉郎 山本
Hidemi Hayashi
秀美 林
Tadatoshi Imayoshi
忠利 今吉
Masakatsu Takeo
正勝 竹尾
Tadao Ezaki
忠男 江崎
Satoru Hanai
哲 花井
Katsuhiko Asano
克彦 浅野
Hiroshi Morimoto
博 森本
Shinichi Nose
眞一 能瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Kyushu Electric Power Co Inc
Fuji Electric Co Ltd
Hitachi Ltd
Original Assignee
Toshiba Corp
Kyushu Electric Power Co Inc
Fuji Electric Co Ltd
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クエンチを起こした超電導コイル以外の部分
への影響を小さくし、安定で、かつ冷媒の消費量の小さ
い経済的な超電導コイルシステムを提供する。 【解決手段】 本発明の超電導コイルシステムとして、
次の手段を挙げることができる。(1)複数の超電導コ
イルと該超電導コイルを収納する密封式の容器を有し、
密封式の容器内に個々の超電導コイルを収納する非密封
式の容器を設置する。(2)複数の超電導コイルと、該
超電導コイルを収納する密封式の容器と、該密封式容器
内に個々の超電導コイルを収納する非密封式の容器を有
し、非密封式の容器を連通する管を設置する。(3)複
数の超電導コイルと、該超電導コイルを収納する密封式
の容器と、該密封式容器内に直列に接続された複数の超
電導コイル群を該超電導コイル群毎に収納する非密封式
の容器を複数個有し、非密封式の容器を連通する管を設
置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非密封式の容器を用
いた超電導コイルシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】図6に密封容器を用いた従来の超電導コ
イルの構成で、超電導コイルが個別の容器に入らず、複
数の超電導コイル全体が1つの収納容器(クライオスタ
ット)に収納され、全体が冷却される場合を示す。ここ
では以下超電導コイル2個の場合を記した。
【0003】図6において、1と2は超電導コイル(こ
こではそれぞれ超電導コイルAと超電導コイルB)であ
る。超電導コイルは、例えばNbTi,Nb3Sn,N
3Al,Bi系、Y系酸化物超電導体などの超電導体
を含む線材を巻回して製作される。6は冷媒で、超電導
コイルを冷却し、非密封の容器に溜められる。7は冷媒
液面である。8はクライオスタットで、非密封容器であ
り、超電導コイル、非密封容器、冷媒を収納している。
10は電源、9はリード線で、クライオスタット8の外
部から超電導コイルAと超電導コイルBに電流を供給す
る。電源はそれぞれの超電導コイルに別々に電流を供給
することができる回路とすることもできる。11は冷媒
タンク、12は冷媒導入管で、クライオスタットの外部
から冷媒を供給する。
【0004】この場合、ある超電導コイル(例えば超電
導コイルA)がクエンチを起こした場合、超電導コイル
を構成する導体の巻線方法によっては抵抗発生部に電流
が流れることにより発熱し、温度が上昇し、クエンチ領
域が広がる。さらに発熱が起こり、超電導コイルの一部
または全部が温度上昇し、常電動状態となる。このと
き、超電導コイルを冷却する冷媒は急速に蒸発する。
【0005】図6のような密封容器の場合、超電導コイ
ル容器内の圧力が上昇し、容器には機械的負荷が加わ
り、容器の構造によっては危険な状態となる。これはク
エンチを起こした超電導コイルが再び冷却されるか、ま
たは冷媒が超電導コイルより低い位置まで減少するまで
続く。このため、クライオスタットに大きな圧力が加わ
るとともに、冷媒温度が上昇し、さらには冷媒蒸発によ
りクエンチを起こした超電導コイルも他の超電導コイル
も冷媒液面から露出し、系全体が不安定な状態になる。
【0006】冷媒量が多く、他の超電導コイルが露出し
ない場合でも、超電導コイル冷媒の蒸気圧が上昇すると
冷媒の温度も上昇し、超電導体の臨界温度までのマージ
ンが小さくなる上、臨界電流は小さくなるため、マドッ
ク(Maddock)の等面積則から考えれば、臨界熱
流束が小さくなり、超電導体の安定性が低くなる。従っ
て、他の超電導コイルもクエンチを起こしやすくなる。
他の超電導コイルがクエンチを起こした超電導コイルと
別電源に接続されていれば、他の電源系統にも影響を与
えることになる。これは超電導コイルシステムとして考
えた場合、不安定な系となっており、望ましくない。ま
た、蒸発する冷媒量も大きく、経済的にも不利である。
【0007】図7に密封容器内に超電導コイルを収納す
る非密封容器が1個含まれる場合を示す。図中13が非
密封容器である。この場合、ある超電導コイルがクエン
チを起こした場合、その超電導コイルが収納されている
非密封容器内の冷媒が蒸発する。冷媒は非密封容器のみ
に入っているため、図6の場合よりも蒸発量は少なく、
経済的で、密封容器内の圧力上昇も小さく、それによる
他の超電導コイルの不安定性は増しにくい。しかし、複
数超電導コイルが同一非密封容器に入っているため、冷
媒が減少すると他の超電導コイルも冷媒液面から露出
し、やはり不安定になる。複数の超電導コイルが直列に
接続されている場合は1つの超電導コイルがクエンチを
起こした段階でその回路を用いることができなくなる
が、複数の超電導コイルが並列または別回路に接続され
ている場合は本来健全である回路も用いることができな
くなる。従ってこの系は超電導コイルシステムとして考
えた場合、不安定な系となっており、望ましくない。
【0008】図8は個々の超電導コイルが密封容器に入
り、連通管で接続された場合である。図中3と4は個々
の超電導コイルを収納する容器(ここではそれぞれ超電
導コイルA用容器と超電導コイルB用容器)であり、超
電導コイルAと超電導コイルBを収納している。ここで
は3と4は密封容器である。5は連通管で、複数の超電
導コイル用容器を接続し、冷媒量が減った方の容器に冷
媒が流れ込むようになっている。この場合も、ある超電
導コイルがクエンチを起こした場合、温度が上昇し、冷
媒が蒸発し、密封容器内の圧力が上昇する。特に連通管
の軸に垂直な断面積が小さい場合、急激に発生した気体
が他へ逃げにくくなる。すると超電導コイル容器内の圧
力が上昇しやすくなり、容器の構造によっては危険な状
態となる。逆に、連通管の軸に垂直な断面積が大きい場
合、蒸発した冷媒の蒸気が他の超電導コイル容器に流れ
込みやすく、しかも超電導コイルを収納するわずかな空
間に流れ込むため他の超電導コイルの容器内の圧力は急
激に上昇することになる。これにより、他の超電導コイ
ルも不安定性が増し、超電導コイルシステムとして望ま
しくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述した図6、図8に
示す従来技術の場合、ある超電導コイルがクエンチを起
こした場合、超電導コイル容器内の圧力が上昇し、容器
には機械的負荷が加わり、容器の構造によっては危険な
状態となる。特に連通管の軸に垂直な断面積が小さい場
合、急激に発生した気体が他へ逃げにくくなり、超電導
コイル容器内の圧力が上昇しやすくなる。連通管の軸に
垂直な断面積が大きい場合、他の超電導コイルの容器内
の圧力が上昇し、超電導体の安定性が低くなる。他の超
電導コイルもクエンチを起こしやすくなり、クエンチを
起こした超電導コイルが接続されていない電源系統にも
影響を与える。
【0010】図7の場合、クエンチを起こしていない超
電導コイルの冷却に用いていた冷媒がクエンチを起こし
た超電導コイル側に流れ込み、クエンチを起こしていな
い超電導コイルも冷媒液面から露出する上、超電導コイ
ルが収納されているクライオスタットの内部の圧力が上
昇し、残った冷媒の蒸気圧を上げ、温度を上昇させ、他
の超電導コイルも不安定な状態になる。この場合、冷媒
を大量に消費するため、コスト的にも大きな損失とな
る。本発明の目的は、クエンチを起こした超電導コイル
以外の部分への影響を小さくし、安定で、かつ冷媒の消
費量の小さい経済的な超電導コイルシステムを提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の超電導コイルシ
ステムは、複数の超電導コイルと、該超電導コイルを収
納する密封式の容器を有し、密封式の容器内に個々の超
電導コイルを収納する非密封式の容器を設置した。本発
明の超電導コイルシステムは、複数の超電導コイルと、
該超電導コイルを収納する密封式の容器と、該密封式容
器内に個々の超電導コイルを収納する非密封式の容器を
有し、非密封式の容器を連通する管を設置した。本発明
の超電導コイルシステムは、複数の超電導コイルと、該
超電導コイルを収納する密封式の容器と、該密封式容器
内に直列に接続された複数の超電導コイル群を該超電導
コイル群毎に収納する非密封式の容器を複数個有し、非
密封式の容器を連通する管を設置した。本発明の超電導
コイルシステムは、複数の超電導コイルと、該超電導コ
イルを収納する密封式の容器と、該密封式容器内に直列
に接続された複数の超電導コイル群を該超電導コイル群
毎に収納する非密封式の容器を複数個有し、連通管の内
側最下部が超電導コイル群の最上部よりも高い位置に設
置した。本発明の超電導コイルシステムは、複数の超電
導コイルと、個々の超電導コイルを収納する非密封式の
容器と、該容器を連通する管を有し、連通管の内側最下
部が超電導コイルの最上部よりも高い位置に設置した。
本発明の超電導コイルシステムは、複数の超電導コイル
と、個々の超電導コイルを収納する非密封式の容器と、
該容器を連通する管を有し、連通管の軸に垂直な方向で
切断した場合の断面積が、容器の面のうち管が連通して
いる面の面積の10分の1以下とした。本発明の超電導
コイルシステムは、複数の超電導コイルと、該超電導コ
イルを収納する密封式の容器と、該密封式容器内に直列
に接続された複数の超電導コイル群を該超電導コイル群
毎に収納する非密封式の容器を複数個有し、連通管の軸
に垂直な方向で切断した場合の断面積が、0mm2より
大きく、かつ個々の超電導コイル群を収納する非密封式
容器の面のうち管が接続している面の面積の10分の1
以下とした。
【0012】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施の形態の例を
示す。図1のA−A断面を図2に示す。図1、2には超
電導コイルが6個トロイダル型に配置された場合を示し
た。1と2は超電導コイル(ここではそれぞれ超電導コ
イルAと超電導コイルB)である。これらの6個のコイ
ルは図3に示すように3個ずつ直列に接続されるものと
し、超電導コイル群Aと超電導コイル群Bを形成してい
る例を示した。超電導コイルAと超電導コイルBは1個
ずつで群を成さない場合も同様である。図3は6個の超
電導コイルを超電導コイル群を構成する3個毎に直列に
接続した回路の例である。超電導コイルは、例えばNb
Ti、Nb3Sn、Nb3Alなどの金属系超電導体、B
i系、Y系酸化物超電導体などの超電導体を含む線材を
巻回して製作される。
【0013】3と4は個々の超電導コイルを収納する容
器(ここではそれぞれ超電導コイルA用容器と超電導コ
イルB用容器)であり、超電導コイルAと超電導コイル
Bを収納している。ここでは3と4は非密封容器であ
る。6は冷媒で、超電導コイルを冷却し、非密封の容器
に溜められる。5は連通管で、複数の超電導コイル用容
器を接続し、冷媒量が減った方の容器に冷媒が流れ込む
ようになっている。図1では超電導コイルを1個おきに
同じ群に属する超電導コイルを配置し、超電導コイル群
毎に連通管も分けた場合を示した。7は冷媒液面であ
る。
【0014】8はクライオスタットで、非密封容器であ
り、超電導コイル、非密封容器、連通管、冷媒を収納し
ている。10は電源、9はリード線で、クライオスタッ
ト8の外部から超電導コイルAと超電導コイルBに電流
を供給する。電源はそれぞれの超電導コイルに別々に電
流を供給することができる回路とすることもできる。1
1は冷媒タンク、12は冷媒導入管で、クライオスタッ
トの外部から冷媒を供給する。ここでは冷媒導入管が各
々の超電導コイル容器に分岐して入る形を示したが、冷
媒液面が共通になることを前提として分岐の数を少なく
することもできる。
【0015】14は安全弁で、クライオスタットの内部
の圧力が一定値以上になると開き、内部の気体を放出す
ることにより圧力を一定値以下に保つ働きをする。15
はコイル間支持材で、コイルを互いに支え合うことで安
定に設置する働きをする。図1の場合、個別の非密封式
の容器に収納されている複数の超電導コイルまたは複数
の直列に接続された超電導コイル群が1つのクライオス
タットに収納されており、超電導コイルの最上部よりも
上の位置に非密封式の容器の連通管が設置されている。
図4はコイルを2個としてこのシステムを簡略化して示
した図である。図5は連通管が設置されていない場合で
ある。
【0016】図3の回路では、各超電導コイルとクエン
チ検出器16を接続した例を示した。16はクエンチ検
出器でコイルに発生する抵抗を検出して信号を発する。
17はサイリスタスイッチで、クエンチ検出器からの信
号によりオンする。18は直流遮断器でクエンチ検出器
からの信号により開となることで直流電流を遮断し、電
源と超電導コイル群を電気的に切り離す。18は保護抵
抗で、超電導コイル群との間で電気的に閉ループを形成
し、超電導コイル群のエネルギーを消費し、超電導コイ
ル群の電流を0とする。
【0017】ある超電導コイル(ここでは例えば超電導
コイルAまたは超電導コイル群Aのうちの1個のコイル
とする)に何らかの原因でクエンチが発生し、常電導領
域が広がったとき、超電導コイルA周辺の冷媒は超電導
コイルAに発生した熱を奪い、温度上昇により蒸発す
る。すると他の超電導コイル容器から連通管を通じて冷
媒が流れ込み、冷媒の液面を他の超電導コイルと同一に
保とうとする。しかし、図5の場合、他の超電導コイル
は健全な冷却状態を保つことができ、超電導コイルAと
他の超電導コイルが接続する電流供給回路を別にしてお
けば、すなわち電源は共通でも内部の回路を別にしてお
けば、超電導コイルAが接続する回路以外の部分は運転
を継続することができる。この場合、蒸発する冷媒は超
電導コイルAが収納されている非密封容器に入っている
冷媒のみとなるため、冷媒の蒸発量を小さく抑えること
ができ、経済的である。しかし、冷媒導入管は超電導コ
イルまたは超電導コイル群の数だけ分岐が必要であるた
め、超電導コイルが多数になった場合は冷却系統が複雑
になる上、分岐部分の損失による冷媒の消費も大きくな
る。
【0018】図1の場合、超電導コイルAのうちの1個
(ここでは超電導コイルA’とする)がクエンチを起こ
したとき、超電導コイルA’に発生する熱が大きければ
初期の冷媒液面から連通管の高さまでの容積の冷媒量以
上に蒸発するが、他の超電導コイルの冷媒液面は連通管
最下部の位置までしか減少せず、その容積の冷媒しか超
電導コイルA’の容器には流れ込まない。
【0019】また、超電導コイルまたは超電導コイル群
毎の非密封容器に連通管を設置した場合、冷媒は連通管
により非密封容器間を移動することができるため、冷媒
導入管の分岐の数を少なくすることができ、冷却系統を
簡素化することができる上、分岐部での冷媒の損失も小
さく、クエンチ時、通常使用時ともに冷媒の蒸発量が小
さく、経済的にも有利である。
【0020】連通管が超電導コイル最上部より低い位置
に設置されている場合、初期冷却時に冷媒がどの超電導
コイルにも流れ込みやすく、冷却状態が均一になりやす
い。従って冷却による熱収縮も均一で、超電導コイルシ
ステムとして力の状態が均一であり、局所的な力の集中
が起こりにくい。しかし、ある超電導コイルにクエンチ
が発生し、クエンチした超電導コイルの冷媒が蒸発する
と、連通管から他の超電導コイルの容器に入っていた冷
媒が流れ込むが、超電導コイルで発生した熱が大きけれ
ば再び冷却するための冷媒は大量に必要となる。冷媒は
超電導コイルの熱を奪って蒸発するため、超電導コイル
が収納されているクライオスタットの内部の圧力は上昇
する。また、他の超電導コイルの容器に入っている冷媒
を消費するため全全体の液面が下がり、クエンチを起こ
していない超電導コイルも冷媒液面から露出する。さら
に、クライオスタットの内圧が上昇し、残った冷媒の蒸
気圧を上げ、温度を上昇させる。これは連通管の軸に垂
直な断面積が大きい場合は冷媒が移動しやすく、さらに
影響が大きくなる。連通管が超電導コイルの最上部より
低い位置に設置した場合はこのような短所もある。
【0021】図1の場合は、超電導コイルの上面を連通
管の最下部より上に設定した場合である。このようにし
ておけば、超電導コイルA’がクエンチを起こしたと
き、他の超電導コイル容器から超電導コイルA’の容器
に冷媒が流れ込んでも、他の超電導コイルは健全な冷却
状態を保つことができ、超電導コイルAと他の超電導コ
イルが接続する電源を別にしておけば超電導コイルA’
が接続する回路以外の部分は運転を継続することができ
る。
【0022】また、蒸発する冷媒の量は最大でも各超電
導コイルの初期液面から連通管最下部までの量と超電導
コイルA’の容器の容積の和となるため、冷媒の蒸発量
を小さく抑えることができ、クライオスタット内の圧力
上昇を小さく抑え、クライオスタットを強度的に安全に
運用することができる上、他の超電導コイルの冷媒の温
度上昇が小さくなり、他の超電導コイルの安定性の悪化
が小さく、他の超電導コイルの運転が継続しやすい。こ
のことは、例えば電力系統の安定化のために設置した超
電導エネルギー貯蔵装置(SMES)に適用した場合、
系統の瞬時の攪乱を抑えるためには必ずしもSMESの
容量全てが必要ではなく、容量が小さくなっても運転を
継続することが重要である機器に対しては機器としての
信頼性が大きく向上することを意味する。
【0023】図3で考えると、超電導コイルA’がクエ
ンチを起こし、直列に接続された超電導コイル群A全体
の運転ができなくなっても、超電導コイル群Bは健全な
状態を保つことができるため、超電導コイル群Bのみで
の運転は可能となる。機器の容量としてはこの場合は半
減することになるが、電力系統の攪乱を抑えるために必
要となる容量以上が超電導コイル群Bのみで確保できれ
ば、運転を継続できる。あるいは、超電導コイル群Aが
正常な状態に戻るまでの間、部分的にでも機能を保持す
ることはできる。このことは機器としての信頼性を増す
ことになる。さらに、冷媒導入管の分岐の数を少なくす
ることができ、冷却系統を簡素化することができる上、
分岐部での冷媒の損失も小さく、クエンチ時、通常使用
時ともに冷媒の蒸発量が小さく、経済的にも有利であ
る。
【0024】図1の超電導コイルシステムで連通管の径
を超電導コイルが収納されている非密封容器の連通管が
接続されている面積に対し小さくしておけば、単位時間
あたりに超電導コイルA’の容器に流れ込む冷媒の量が
少なくできる。この場合、超電導コイルA’の温度上昇
が大きく、超電導コイルA’の容器内の冷媒が全て蒸発
した場合でも、冷媒が他の超電導コイルの容器から新た
に流れ込む量が少ないためそれ以上の冷媒の蒸発は緩や
かになり、クライオスタット内の状態変化の速さは小さ
くなる。超電導コイルのクエンチは急激に起こるが、あ
る段階からの変化に対しては時間的な余裕をもって対処
することができる。すなわち、この間にクライオスタッ
トの安全機構を操作すること、冷媒の冷凍機の運転を再
開すること、クエンチを起こしていない超電導コイルを
通常停止操作で停止させること、点検を行うことなどが
可能となり、機器運用を安全に行うことができる。これ
より、請求項6、7では連通管の軸に垂直な方向で切断
した場合の断面積が0mm2以上で、かつ容器の面のう
ち管が連通している面の面積の10分1以下とした。
【0025】また、連通管が超電導コイルの最上部より
低い位置に設置されていた場合、他の超電導コイルの容
器から超電導コイルA’の容器に冷媒が流れ込むと、他
の超電導コイルは冷媒から露出し、十分な冷却が行われ
ず、安定性が悪化する。しかし、連通管の軸に垂直な方
向で切断した場合の断面積が容器の面のうち管が連通し
ている面の面積に対し小さく、冷媒の流量が小さければ
他の超電導コイルの容器の液面の低下速度は小さく、急
激には超電導コイルは液面から露出しない。よってこの
場合は連通管の内側最下部が超電導コイル最上面より低
く設定されていた場合でもクエンチを起こしていない超
電導コイルを安全に停止させることができる。これによ
り機器の健全性と運用上の安全性を向上させることがで
きる。
【0026】
【発明の効果】本発明の超電導コイルシステムはクエン
チを起こした超電導コイル以外の部分への影響を小さく
し、安定で、かつ冷媒の消費量の小さい経済的な超電導
コイルシステムを構成することができ、機器の健全性と
運用上の安全性、信頼性を向上させることができる。本
発明の超電導コイルシステムは前記効果に加え、冷媒導
入管の分岐の数を少なくし、冷却システムを簡略化で
き、かつ冷媒の損失を少なくすることができる。本発明
の超電導コイルシステムは前記効果に加え、クエンチを
起こしていない超電導コイルの冷却効果を低下させるこ
となく、クエンチを起こした超電導コイルを再冷却する
ことができる。本発明の超電導コイルシステムは前記効
果に加え、クエンチを起こした超電導コイル以外の超電
導コイルへの急激な冷却効果の低下を防止でき、安全に
停止させることができる。本発明の超電導コイルシステ
ムは前記効果を直列に接続された超電導コイル群にも適
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の超電導コイルシステムである。
【図2】 本発明の超電導コイルシステムのA−A断面
図である。
【図3】 本発明の超電導コイルシステムの回路図例で
ある。
【図4】 本発明の超電導コイルシステムの簡略図であ
る。
【図5】 本発明の別の超電導コイルシステムである。
【図6】 従来の超電導コイルシステムの例1である。
【図7】 従来の超電導コイルシステムの例2である。
【図8】 従来の超電導コイルシステムの例3である。
【符号の説明】
1…超電導コイルA、2…超電導コイルB、3…超電導
コイルA用容器、4…超電導コイルB用容器、5…連通
管、6…冷媒、7…冷媒液面、8…クライオスタット、
9…リード線、10…電源、11…冷媒タンク、12…
冷媒導入管、13…共通非密封容器、14…安全弁、1
5…コイル間支持材、16…クエンチ検出器、17…サ
イリスタスイッチ、18…直流遮断器、19…保護抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 冨士男 福岡県福岡市南区塩原2丁目1番47号 九 州電力株式会社総合研究所内 (72)発明者 山本 吉郎 福岡県福岡市南区塩原2丁目1番47号 九 州電力株式会社総合研究所内 (72)発明者 林 秀美 福岡県福岡市南区塩原2丁目1番47号 九 州電力株式会社総合研究所内 (72)発明者 今吉 忠利 福岡県福岡市南区塩原2丁目1番47号 九 州電力株式会社総合研究所内 (72)発明者 竹尾 正勝 福岡県福岡市中央区平丘町94 (72)発明者 江崎 忠男 大分県大分市にじが丘2丁目7−6 (72)発明者 花井 哲 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 浅野 克彦 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 森本 博 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 能瀬 眞一 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の超電導コイルと、該超電導コイル
    を収納する密封式の容器を有する超電導コイルシステム
    において、密封式の容器内に個々の超電導コイルを収納
    する非密封式の容器を設置したことを特徴とする超電導
    コイルシステム。
  2. 【請求項2】 複数の超電導コイルと、該超電導コイル
    を収納する密封式の容器と、該密封式容器内に個々の超
    電導コイルを収納する非密封式の容器を有する超電導コ
    イルシステムにおいて、非密封式の容器間を連通する管
    を設置したことを特徴とする超電導コイルシステム。
  3. 【請求項3】 複数の超電導コイルと、該超電導コイル
    を収納する密封式の容器と、該密封式容器内に直列に接
    続された複数の超電導コイル群を該超電導コイル群毎に
    収納する非密封式の容器を複数個有する超電導コイルシ
    ステムにおいて、非密封式の容器間を連通する管を設置
    したことを特徴とする超電導コイルシステム。
  4. 【請求項4】 複数の超電導コイルと、個々の超電導コ
    イルを収納する非密封式の容器と、該容器を連通する管
    を有する超電導コイルシステムにおいて、連通管の内側
    最下部が超電導コイルの最上部よりも高い位置に設置し
    たことを特徴とする超電導コイルシステム。
  5. 【請求項5】 複数の超電導コイルと、該超電導コイル
    を収納する密封式の容器と、該密封式容器内に直列に接
    続された複数の超電導コイル群を該超電導コイル群毎に
    収納する非密封式の容器を複数個有する超電導コイルシ
    ステムにおいて、連通管の内側最下部が超電導コイル群
    の最上部よりも高い位置に設置したことを特徴とする超
    電導コイルシステム。
  6. 【請求項6】 複数の超電導コイルと、個々の超電導コ
    イルを収納する非密封式の容器と、該容器を連通する管
    を有する超電導コイルシステムにおいて、連通管の軸に
    垂直な方向で切断した場合の断面積が、0mm2より大
    きく、かつ個々の超電導コイルを収納する非密封式容器
    の面のうち管が接続している面の面積の10分の1以下
    であることを特徴とする超電導コイルシステム。
  7. 【請求項7】 複数の超電導コイルと、該超電導コイル
    を収納する密封式の容器と、該密封式容器内に直列に接
    続された複数の超電導コイル群を該超電導コイル群毎に
    収納する非密封式の容器を複数個有する超電導コイルシ
    ステムにおいて、連通管の軸に垂直な方向で切断した場
    合の断面積が、0mm2より大きく、かつ個々の超電導
    コイル群を収納する非密封式容器の面のうち管が接続し
    ている面の面積の10分の1以下であることを特徴とす
    る超電導コイルシステム。
JP9303050A 1997-11-05 1997-11-05 超電導コイルシステム Pending JPH11144939A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009170619A (ja) * 2008-01-16 2009-07-30 Toshiba Corp 超電導コイル装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009170619A (ja) * 2008-01-16 2009-07-30 Toshiba Corp 超電導コイル装置

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