JPH11140431A - 非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物 - Google Patents

非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物

Info

Publication number
JPH11140431A
JPH11140431A JP32719497A JP32719497A JPH11140431A JP H11140431 A JPH11140431 A JP H11140431A JP 32719497 A JP32719497 A JP 32719497A JP 32719497 A JP32719497 A JP 32719497A JP H11140431 A JPH11140431 A JP H11140431A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
surfactant
particles
dispersion medium
polishing slurry
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32719497A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuya Orii
一也 折井
Toshihiro Kaku
智弘 賀来
Tetsuyuki Itakura
哲之 板倉
Rei Takeuchi
礼 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Infomedia Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Magnetic Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Magnetic Printing Co Ltd filed Critical Tokyo Magnetic Printing Co Ltd
Priority to JP32719497A priority Critical patent/JPH11140431A/ja
Publication of JPH11140431A publication Critical patent/JPH11140431A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 (1) 非極性(非水系)分散媒中に親水性が強
い研磨材粒子を均一に分散させること、(2) 研磨スラリ
ーの臭気をなくすこと、(3) スラリー研磨液の蒸発をな
くすこと、(4) 被研磨物の腐食の問題を解決すること。 【解決手段】 分子骨格中に二重結合又は三重結合又は
分枝を有するノニオン性界面活性剤を使用して親水性の
研磨材粒子を非極性分散媒に均一に分散させた研磨スラ
リー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリシング加工、特
に精密機器、精密電子部品、例えば、磁気ヘッド、ハー
ドディスク基板、金属材料など、特に被研磨物の腐食が
問題となる加工工程で使用するのに適した遊離砥粒スラ
リーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の遊離砥粒研磨スラリーは水系分散
媒を用いた系が主であり、水を分散媒として使用し、研
磨材粒子の沈降防止を目的としてエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、有機ベントナイト、水溶性高
分子、グリセリンなどの増粘剤を添加した遊離砥粒スラ
リー(特開昭51−70589号、特開昭55−139
479号、特開昭61−182763号、特開昭61−
207479号の各公報)やメカノケミカル作用を期待
して水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの各種化
学的腐食作用を有する物質を添加したものがほとんどで
あった。
【0003】これらの水系分散媒を用いた従来の遊離砥
粒研磨スラリーにおいては、ダイヤモンド研磨材やアル
ミナ研磨材などの親水性の強い粒子を分散させることは
容易であるが、しかし水に対して弱い金属材料などを研
磨すると、被研磨物の腐食や錆が発生し問題となってい
た。
【0004】そこで、分散媒を非水系にした所謂油系ス
ラリーが考えられるが、研磨材粒子は表面に存在するカ
ルボニル基やカルボキシル基により強い親水性を示すの
で、非極性の非水系分散媒中にこのような研磨材粒子を
均一に分散させることは困難であり、凝集した研磨材粒
子によって被研磨物にスクラッチが発生するといった問
題点があった。
【0005】そこで、極性の高い非水系分散媒、即ち極
性の高い有機溶媒を用いることが考えられる。アルコー
ルやエーテルのような極性の高い非水系分散媒を使用す
ると確かに各種研磨材粒子を均一に分散させることはで
きるが、しかしこのような極性溶媒はその構造のせいで
臭気がきつく、環境や人体を汚染する問題がある。さら
に、極性有機溶媒として広く知られていて入手しやすい
メチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアル
コール類やアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン系溶剤は一般に沸点が低く、
このような有機溶媒を分散媒として用いた場合には、研
磨作業中にこの分散媒が蒸発してしまい、研磨の作業性
が著しく低下し、過剰のスラリーを供給し続ける必要が
あったり、また研磨加工中に粒子濃度が変化し、精密な
加工ができないといった問題点があった。また、価格や
入手容易性などの点で利用しやすい極性有機溶媒には比
較的含水率が高いものが多く、水系分散媒について前記
した被研磨物の腐食や錆の問題を十分に満足できる程度
に改善することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
らの問題を解決する研磨スラリーを提供することであ
り、より詳細には、研磨スラリーにおいて、(1) 非極性
(非水系)分散媒中に親水性が強い研磨材粒子を均一に
分散させること、(2) 研磨スラリーの臭気をなくすこ
と、(3) スラリー研磨液の蒸発をなくすこと、(4) 被研
磨物の腐食の問題を解決することの4点である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、非極性(非水系)研磨スラリー中に用い
られる親水性粒子である研磨材粒子を疎水化処理するこ
とによってこれらの目的が果たされることを見出した。
親水性研磨材粒子の疎水化処理剤としては、一般的に界
面活性剤を用いることができ、特にノニオン系界面活性
剤を用いるのが好ましい。添加した界面活性剤は、研磨
材粒子表面に存在するカルボニル基やカルボキシル基な
どの親水性極性基によって、親水性基を粒子側に、疎水
基を分散媒側にして研磨材粒子表面に吸着する。その結
果、研磨材粒子の表面が界面活性剤の疎水基分子に覆わ
れた状態になって親水性だった粒子が疎水化され、非水
系/非極性分散媒との親和性が高まり、スラリー中での
分散性が向上する。即ち、親水性研磨材粒子を界面活性
剤で疎水化処理したことによって、分散媒として非極性
有機溶剤を用いることが可能になったのである。
【0008】スラリー分散媒として非極性の有機溶媒
(特に炭化水素系の比較的無臭の有機溶媒)を用いるこ
とが可能になったということは、極性有機溶媒について
前記した研磨スラリーの臭気の問題が解決されるという
ことである。また、非極性有機溶媒には石油留分、パラ
フィン系炭化水素などの安価で入手しやすく且つ比較的
高沸点(即ち蒸発しにくい)のものが多く存在するの
で、極性有機溶媒と比較してスラリー研磨液の蒸発及び
それに関連する前記の諸問題に関する費用効率が良好で
ある。さらに、これらの非極性有機溶媒(特に炭化水素
類)は極性有機溶媒と比較しても含水率が極めて低いの
で、被研磨物の腐食の問題も解決される。
【0009】界面活性剤の吸着量は極性基の分子断面積
に支配されるが、分子断面積は疎水基の分枝による屈曲
性及び極性基の位置などの影響を受ける。また、界面活
性剤は大別して(1) アニオン性界面活性剤、(2) カチオ
ン性界面活性剤、(3) ノニオン系界面活性剤、(4) 両性
界面活性剤の4つに分類されている。
【0010】これらの中では、ノニオン系界面活性剤を
用いるのが特に好ましい。その理由を以下に述べる。非
極性溶媒中での電解質の解離はBjerrum, Fuoss, Kraus
らによって研究されてきた。非極性有機溶媒中に分散し
た粒子でも、イオン性界面活性剤を含むときには電気泳
動測定から数十mV程度のζ電位が観測されるとしてい
る。また、非極性溶媒中のイオン性界面活性剤の存在は
他の電解質の電離を助長すると共に、イオン性界面活性
剤は自分自身が解離したイオンを自分のミセルで安定化
することが知られている。例えば、代表的なカオチン性
界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロラ
イド(CTAC)ではCl- と活性剤イオンとになる。
この場合、Cl- の方が親水性であるので、親水性であ
る無機粒子(本発明では研磨材粒子)に対し吸着して負
電荷を与えると考えられている。その時に電離している
イオンが分散媒中に遊離状態で存在すると、この遊離イ
オンが金属材料などに対してアタックし腐食を発生させ
る原因となりうる。即ち、イオン性界面活性剤には腐食
の問題が多少残ってしまう。
【0011】そこで、界面活性剤の中でも特にノニオン
系界面活性剤を用いることによって、非極性溶媒中での
イオンの解離をなくし被研磨物に対するこれら腐食を促
進するイオン種のアタックがなく、なお且つ安定した分
散状態の研磨スラリー組成物を得ることができる。本発
明による研磨スラリー組成物は、界面活性剤として特に
ノニオン系界面活性剤を用いることによって、界面活性
剤のイオンによる被研磨物の腐食や錆の問題を解決する
と共に、非極性分散媒中に親水性研磨材粒子を凝集体の
存在なく均一に分散させるものである。本発明の研磨ス
ラリー組成物は、限定されたノニオン系界面活性剤と非
極性分散媒とを使用することによって特別な効果、つま
り極性分散系において親水性粒子である研磨材粒子を均
一に安定分散させ、なお且つ、研磨作業中の臭気や分散
媒の揮発をなくし、被研磨物の腐食をなくす効果を有す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるノニオ
ン系界面活性剤は非極性分散媒中に溶解するものでなけ
ればならず、そのような界面活性剤は、その分子骨格中
に二重結合や三重結合を有するか、又は分枝が存在する
ものであるのが一般的である。このようなノニオン系界
面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル系
であるモノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソ
ルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステア
リン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタ
ン、グリセリンエステル系としてはペンタオレイン酸デ
カグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリ
ル、モノイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸
デカグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサデカグリセリ
ル、モノイソステアリン酸ジグリセリルなど、ポリオキ
シエチレンソルビット脂肪酸エステル系であるテトラオ
レイン酸POEソルビット、ポリエチレングリコール脂
肪酸エステル系であるモノオレイン酸ポリエチレングリ
コール2EO、6EO、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル系であるPOE(2) オレイルエーテル、POE
(3) 2級アルキルエーテルなどがあるが、これらに特に
限定されることはなく、上述した条件を満足するノニオ
ン系界面活性剤であれば用いることができる。
【0013】界面活性剤には、HLB値{親水性−親油
性バランス(Hydophile-LipophileBalance)}と呼ばれ
る親水性・疎水性の尺度が決められている。この値が高
い界面活性剤は親水成分が強く、水に対する溶解性に優
れ、反対にHLB値が低い界面活性剤は水に対する溶解
性が低下することが知られている。研磨材粒子は強い親
水性を示すので、用いる界面活性剤は、本発明において
用いられる非極性(非水系)分散媒中に溶解し得るもの
であるという条件を逸脱しない範囲でHLB値が高い方
が、より有効な粒子の疎水化処理を施すことが出来る。
これは、粒子の表面に存在するカルボニル基やカルボキ
シル基のような親水性基に界面活性剤の親水性基(酸化
エチレン基など)が吸着し固定層を形成するためであ
り、この相互作用が界面活性剤の親水性度、即ちHLB
値に比例するからである。
【0014】界面活性剤は、その添加する濃度によりζ
電位を変化させ系の分散挙動を支配する。非水分散系に
界面活性剤を添加して疎水化処理を施す場合について述
べると、界面活性剤を添加すると、粒子表面において、
界面活性剤分子の親水基を粒子側に、疎水基を分散媒側
に向けて吸着が起こる。理論的には、界面活性剤分子が
粒子表面を単分子で完全に被覆する濃度において疎水化
処理効果、即ち分散効果が発揮される。この濃度を超え
て更に過剰の界面活性剤を添加すると、単分子で吸着し
た界面活性剤層の上に今度は疎水基を粒子側に、親水基
を分散媒側に向けて所謂2層吸着が発生し粒子は凝集す
る。更に過剰に添加すると三重吸着が起こり、再度分散
する。このように、界面活性剤の添加濃度によって、粒
子は分散/凝集/再分散を繰り返す。これらの理由によ
り、本発明による研磨スラリー組成物の最適ノニオン系
界面活性剤濃度は、0.01〜10.0wt%範囲、よ
り好ましくは0.2〜1.0wt%である。
【0015】分散媒の極性とは普通に使用される意味で
溶媒分子内の原子とその結合の種類、原子配列とその位
置などによって分子内に生ずる双極子に基づく性質であ
る。この極性の大きさは相互作用する分子の極性によっ
て相対的に決まるものである。溶媒の極性は定性的には
Hildebrandの溶解性パラメーター(SP値)δで表され
る。この値δが大きいほど極性が大きく、小さいものほ
ど極性は小さい。このδ値はさらに分散、極性による配
向および水素結合などの分子間相互作用によっていくつ
か分けられるが、これらの値は、その溶媒がどのような
化合物を良く溶かすかという、化合物に対する溶解の選
択性を決定するものである。
【0016】本発明の遊離砥粒スラリー研磨液の分散媒
として用いられる有機溶媒は、このSP値が低いもので
あるのが望ましい。これは、極性成分が増加することに
よって分散媒の臭気が問題になったり、分散媒自体が人
体や被研磨物に対して悪影響を与えるからである。さら
に、蒸発速度の早い分散媒は研磨作業中に蒸発してしま
い、安定な研磨加工を困難なものにするので、本発明に
おいては、研磨加工中の研磨スラリーの蒸発をなくし、
安定なる研磨加工を行うために、分散媒として蒸発速度
が遅い溶媒を用いるのが好適である。
【0017】これらのことから、本発明において用いら
れる分散媒は、溶解性パラメーターSP値が10.0以
下、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下
であり且つ相対蒸発速度が5.0以下、より好ましくは
2.0以下であるものが好適である。本明細書において
相対蒸発速度とは、エクソン化学(株)製無臭イソパラ
フィン系溶媒であるアイソパーL(沸点191〜205
℃)の蒸発速度を1.00としたときの相対蒸発速度を
言う。このような分散媒としては、例えば、エクソン化
学(株)製無臭イソパラフィン系溶媒:アイソパーシリ
ーズや低臭ナフテン系溶媒:EXXSOLシリーズ、モ
ービル化学製n−パラフィン系溶媒:ホワイトレックス
シリーズおよび工業用脂肪族系溶媒であるペガソール、
ペガホワイト、サートレックスなどがある。
【0018】本発明において用いられる研磨材粒子は、
研磨加工一般に用いられるものであればよく、特に制限
されるものではない。具体的には、ダイヤモンド、アル
ミナ、シリコンカーバイト、酸化セリウム、酸化ジルコ
ニウム、酸化ケイ素、酸化鉄などが挙げられる。
【0019】
【実施例】(実施例1) ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤による粒子疎水
化処理 本実施例においては、本発明の非極性溶媒を用いた遊離
砥粒スラリーの研磨材粒子の分散性を評価検討するため
に、各種の分散媒を用意し、分散実験を実施した。実験
に用いた分散媒はヘキサン(7.24)、アイソパーL
(7.85)、トルエン(8.91)、メチルエチルケ
トン(9.27)、メチルアルコール(14.28)、
蒸留水(23.50)である(括弧内の数値は溶媒の溶
解性パラメーターSP値δを示す)。本実施例では、呼
称粒度0〜0.25μmのダイヤモンド粒子を研磨材粒
子として用いた。研磨材濃度は0.5wt%とした。界
面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤であるモノオ
レイン酸ソルビタン{日光ケミカルズ(株)の商品名:
SO−10R}を用いた。
【0020】ここで、ノニオン系界面活性剤の効果を観
察するために、活性剤を添加したスラリーと未添加のス
ラリーとをそれぞれ調製し、ダイヤモンド研磨材の分散
性を比較した。なお、ダイヤモンド研磨材の分散には超
音波バス(ブランソン Model:)を用いた。分散時間は
10分間とし、分散後のスラリー研磨液を光学顕微鏡で
観察し、ダイヤモンド粒子の分散性を比較した。その結
果、溶解性パラメーターSP値δが9.0以上の分散媒
を単独で用いた系は界面活性剤を添加しなくともダイヤ
モンド研磨材粒子を均一に分散することができたが、ト
ルエン、ヘキサンのような極性の低い溶媒ではダイヤモ
ンド研磨材粒子を分散させることが出来なかった。しか
しながら、ノニオン系界面活性剤を添加した系では、S
P値の低い溶媒中でも蒸留水に分散させた系と同様に均
一に研磨材粒子を分散させることが出来た。本実施例の
結果を図1に示す。ただしD50は粒子分布を小さい方
から数えて50%まで累積した場合の粒子径を表す。
【0021】また、本実施例ではソルビタン脂肪酸エス
テルの疎水基数を変化させた時の分散性についても検討
した。実験に用いたノニオン系界面活性剤はモノオレイ
ン酸ソルビタン(5.0)、セスキオレイン酸ソルビタ
ン(3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(1.7)で
ある(ここで、括弧内の数値はHLB値を示す)。その
結果、HLB値が大きい程分散性が良好であり、即ち分
散性はモノオレイン酸ソルビタン(5.0)>セスキオ
レイン酸ソルビタン(3.7)>トリオレイン酸ソルビ
タン(1.7)の順だった。これは、ダイヤモンド粒子
表面にはカルボニル基やカルボキシル基といった親水性
基があるために、界面活性剤を添加した時には、粒子表
面の親水基と活性剤分子中の親水基が相互作用し活性剤
の疎水基を外側に向けて吸着するためであり、添加する
界面活性剤は、ある程度親水性度が強いほうが疎水性粒
子を分散させる能力が高いことが確認された。本結果を
表1に示す。
【0022】
【表1】 ただし◎は優、○は良好、△はやや劣る。
【0023】(実施例2) グリセリンエステル系界面活性剤による粒子疎水化処理 本実施例においては、実施例1と同様に非極性溶媒を用
いた遊離砥粒スラリーの研磨材粒子の分散性を評価検討
するために、別の種類のノニオン系界面活性剤を用いて
分散実験を実施した。この実験においては、実施例1で
界面活性剤を添加しない場合に分散性が悪かったヘキサ
ン(7.24)、アイソパーL(7.85)を分散媒と
して用いた(括弧内の数値は溶媒の溶解性パラメーター
SP値δを示す)。本実施例では、呼称粒度0〜0.2
5μmのダイヤモンド粒子を研磨材粒子として用いた。
研磨材濃度は0.5wt%とした。界面活性剤として
は、ノニオン系界面活性剤であるトリオレイン酸デカグ
リセリル{日鉱ケミカルズ(株)の商品名:Decaglyn3-
0 }を用いた。ここで、ノニオン系界面活性剤の効果を
観察するために、活性剤を添加したスラリーと未添加の
スラリーとをそれぞれ調製し、ダイヤモンド研磨材の分
散性を比較した。尚、ダイヤモンド研磨材の分散には超
音波バスを用いた。分散時間は10分間とし、分散後の
スラリー研磨液を光学顕微鏡で観察し、ダイヤモンド粒
子の分散性を比較した。その結果、ノニオン系界面活性
剤の種類を変えても親水性粒子であるダイヤモンド粒子
を非極性溶媒中に均一に分散させることができるという
ことが確認された。
【0024】(実施例3) 界面活性剤の添加濃度効果 本実施例においては、非極性溶媒を用いた遊離砥粒研磨
スラリーにおける界面活性剤の最適添加量についての検
討を行なった。この実験においては、界面活性剤として
ノニオン系界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタン
を用いた。界面活性剤の添加量は、0、0.05、0.
1、0.15、0.2、0.5、1.0、3.0、5.
0、10.0wt%とした。研磨材粒子としては、実施
例1と同様に呼称粒度0〜0.25μmのダイヤモンド
研磨材粒子を用いた。分散媒としては、イソパラフィン
系であるエクソン化学製の商品名:アイソパーLを用い
た。また、界面活性剤としてトリオレイン酸デカグリセ
リル、テトラオレイン酸POEソルビット、モノオレイ
ン酸ポリエチレングリコール2EOについても同様に試
験した。その結果、全ての界面活性剤を用いた系におい
て添加量が0.2wt%以上で良好なる分散性を示し
た。本実施例の結果を図2に示す。
【0025】(実施例4) 分散媒の種類と研磨特性 本実施例においては、スラリー研磨液に使用する分散媒
の蒸発速度と研磨特性との関係を明確にした。この実施
例において用いた分散媒は、蒸留水(0.67)、イソ
プロピルアルコール(2.79)、n−ヘキサン(1
4.49)、メチルエチルケトン(9.05)、アイソ
パーL(1.00)、アイソパーM(0.61)、ホワ
イトレックス307(0.22)および335(0.1
0)である(ここで、括弧内の数値はアイソパーLを
1.00としたときの相対蒸発速度を示す)。研磨実験
には日本エンギス(株)製自動精密鏡面ラッピングマシ
ン HYPREZ EJ−3801N 型を用い、被研
磨物としてNi−Znフェライトブロックを用いた。研
磨条件は、ラップ盤に錫/鉛定盤を使用し、定盤回転数
60rpmとし、スラリー研磨液供給量を30秒間隔に
3秒間噴霧、加工荷重250/cm2 、加工時間30分
間とした。評価は、研磨量、研磨面状態および定盤全体
にスラリー研磨液を噴霧して10分間放置した後の定盤
のぬれ状態を観察することによって行なった。さらに、
スラリーの臭気を研磨作業者によって官能評価し、スラ
リー加工の作業性を評価した。本実施例の結果、蒸発速
度がイソプロピルアルコール以上の分散媒を用いた研磨
スラリーにおいては研磨加工中にスラリーが蒸発してし
まって均一な加工を行なうことができず、スクラッチが
発生するなどの不具合が多発した。また、これらの蒸発
速度の早い極性溶媒を用いたスラリー研磨液は臭気が著
しく、研磨作業環境や人体を汚染することが確認され
た。
【0026】(実施例5) 分散媒の種類と被研磨物の腐食性 本実施例においては、分散媒の種類が被研磨物に対して
及ぼす化学的影響を評価するために、スラリー研磨液に
被研磨物を浸積した時の腐食発生の有無を観察した。分
散媒としては、実施例4で用いた蒸留水、イソプロピル
アルコール、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、アイ
ソパーL、アイソパーM、ホワイトレックス307およ
び335を用い、界面活性剤としてはモノオレイン酸ソ
ルビタンを用い、その添加量は0.2wt%とした。評
価は、各スラリー研磨液に鉄/アルミニウム合金のブロ
ックを0、1、3、24、96、168、336時間浸
積させた後のブロックの腐食状態を光学顕微鏡によって
観察することによって行なった。その結果、蒸留水やイ
ソプロピルアルコールを分散媒として用いた研磨スラリ
ー中では1時間程度の浸積により腐食が発生したが、そ
の他の分散媒を用いた系中では腐食の発生は確認されな
かった。
【0027】これらの実施例から、ノニオン系界面活性
剤、特にその分子骨格中に二重結合又は三重結合又は分
枝を有するノニオン系界面活性剤を用い、分散媒として
溶解性パラメーターSP値δが8.0以下で、なお且つ
相対蒸発速度が2.0以下の非水系/非極性有機溶媒を
用いることによって、研磨材粒子を均一に分散させるこ
とができ、なお且つ、臭気やスラリー研磨液の蒸発、腐
食などの問題を解決出来る高性能遊離砥粒スラリー研磨
液を得ることが出来ることが証明された。
【0028】
【発明の効果】本発明の研磨スラリー組成物において
は、親水性粒子である研磨材粒子がノニオン系界面活性
剤のような疎水化処理剤で処理されているので、非極性
(非水系)分散媒中に親水性研磨材粒子を均一に分散さ
せることが可能になった。また、言い換えれば、親水性
粒子である研磨材粒子をノニオン系界面活性剤のような
疎水化処理剤で処理したことによってスラリー分散媒と
して非極性の有機溶媒、特に炭化水素系の有機溶媒を用
いることが可能になった。非極性有機溶媒は、極性有機
溶媒と比較して前述のように多くの利点を有する。即
ち、非極性有機溶媒を用いることによって、研磨スラリ
ーの臭気をなくすことができる。さらに、前述のように
非極性有機溶媒には比較的高沸点で蒸発しにくく且つ低
価格で容易に入手できるものが多いので、スラリー研磨
液の蒸発を減少させることができ、その結果として研磨
の作業性が低下することもなくなり、過剰のスラリーを
供給し続ける必要もなくなり、また研磨加工中に粒子濃
度が変化することもなくなり、精密な加工が可能にな
る。さらに、非極性の特に炭化水素系などの有機溶媒は
含水率が極めて低いので、被研磨物の腐食の問題を完全
に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散媒の溶解性パラメータSP値δと研磨材粒
子の分散性の関係をノニオン系界面活性剤の添加の有無
で比較したグラフである。
【図2】ノニオン系界面活性剤の添加濃度と分散性の関
係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 礼 東京都台東区台東1丁目5番1号東京磁気 印刷株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性粒子である研磨材粒子を疎水化処
    理剤を用い非極性分散媒中に均一に分散させた研磨スラ
    リー組成物。
  2. 【請求項2】 親水性粒子の疎水化処理剤としてノニオ
    ン系界面活性剤を用いることを特徴とする研磨スラリー
    組成物。
  3. 【請求項3】 ノニオン系界面活性剤がその分子骨格中
    に二重結合又は三重結合又は分枝を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の研磨スラリー組成物。
  4. 【請求項4】 添加する界面活性剤の量が0.2〜1.
    0wt%である請求項2又は3に記載の研磨スラリー組
    成物。
  5. 【請求項5】 非極性分散媒として溶解性パラメーター
    SP値δが8.0以下であるものを用いることを特徴と
    する請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
  6. 【請求項6】 非極性分散媒として相対蒸発速度が2.
    0以下の非極性有機溶媒を用いることを特徴とする請求
    項1から5のいずれかに記載の研磨スラリー組成物。
JP32719497A 1997-11-13 1997-11-13 非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物 Pending JPH11140431A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32719497A JPH11140431A (ja) 1997-11-13 1997-11-13 非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32719497A JPH11140431A (ja) 1997-11-13 1997-11-13 非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11140431A true JPH11140431A (ja) 1999-05-25

Family

ID=18196369

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32719497A Pending JPH11140431A (ja) 1997-11-13 1997-11-13 非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11140431A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6444132B1 (en) * 1998-04-23 2002-09-03 Tokyo Magnetic Printing Co., Ltd. Free abrasive slurry compositions
JPWO2004041477A1 (ja) * 2002-11-06 2006-03-02 株式会社野村鍍金 真空用部材の表面処理方法
JP2006192546A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Ricoh Co Ltd 表面研磨加工法及び加工装置
JP2011222562A (ja) * 2010-04-02 2011-11-04 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 剥離方法、および剥離液
JP2015033735A (ja) * 2013-08-08 2015-02-19 コニカミノルタ株式会社 セリウム砥粒の回収方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6444132B1 (en) * 1998-04-23 2002-09-03 Tokyo Magnetic Printing Co., Ltd. Free abrasive slurry compositions
JPWO2004041477A1 (ja) * 2002-11-06 2006-03-02 株式会社野村鍍金 真空用部材の表面処理方法
US8517795B2 (en) 2002-11-06 2013-08-27 Nomura Plating Co., Ltd. Surface treatment method for vacuum member
JP2006192546A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Ricoh Co Ltd 表面研磨加工法及び加工装置
JP4646638B2 (ja) * 2005-01-14 2011-03-09 株式会社リコー 表面研磨加工法及び加工装置
JP2011222562A (ja) * 2010-04-02 2011-11-04 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 剥離方法、および剥離液
CN102254789A (zh) * 2010-04-02 2011-11-23 东京应化工业株式会社 剥离方法及剥离液
CN102254789B (zh) * 2010-04-02 2015-04-15 东京应化工业株式会社 剥离方法及剥离液
TWI490935B (zh) * 2010-04-02 2015-07-01 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 剝離方法、及剝離液
JP2015033735A (ja) * 2013-08-08 2015-02-19 コニカミノルタ株式会社 セリウム砥粒の回収方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE60124404T2 (de) Cmp-polierzusammensetzung für metall
TWI730970B (zh) 研磨方法及雜質去除用組成物以及基板及其製造方法
CN1630697A (zh) 用于cmp的经正电性聚电解质处理的阴离子性研磨颗粒
KR101731523B1 (ko) 화학 기계 연마용 처리 조성물, 화학 기계 연마 방법 및 세정 방법
KR101156824B1 (ko) 산화세륨 및 콜로이드 이산화규소를 포함하는 분산물
TW200537615A (en) Metal polishing slurry and polishing method thereof
KR101097506B1 (ko) 산화세륨 및 콜로이드 이산화규소를 포함하는 분산액
US20100308258A1 (en) Dispersion comprising cerium oxide and sheet silicate
JP2011051851A (ja) 希土類フッ化物微粒子分散液、この分散液の製造方法、この分散液を用いた希土類フッ化物薄膜の製造方法、この分散液を用いた高分子化合物/希土類フッ化物複合フィルムの製造方法、及び、この分散液を用いた希土類焼結磁石
EP2152827A1 (en) Dispersion comprising cerium oxide, silicon dioxide and amino acid
WO2001002134A1 (en) Improved chemical mechanical polishing slurries for metal
JPH11140431A (ja) 非極性分散媒を用いた遊離砥粒研磨スラリー組成物
JP4575390B2 (ja) 揮発性有機化合物が低減された仕上げ組成物
Park et al. Surfactant effect on oxide-to-nitride removal selectivity of nano-abrasive ceria slurry for chemical mechanical polishing
US5935869A (en) Method of planarizing semiconductor wafers
US20050014890A1 (en) Composition for chemical-mechanical polishing and method of using same
WO2018163617A1 (ja) 表面処理組成物及びその製造方法、表面処理方法、並びに半導体基板の製造方法
JP2009147278A (ja) 化学機械研磨用水系分散体、該分散体を調製するためのキット、および化学機械研磨用水系分散体の調製方法
US20100083584A1 (en) Dispersion comprising cerium oxide and sheet silicate
JP4255824B2 (ja) ラッピングオイル組成物及び複合材の仕上げ研磨方法
JP2020174176A (ja) コバルトの除去速度が高くコバルトのコロージョンが減少したコバルトのためのケミカルメカニカルポリッシング方法
DE102008002321A1 (de) Ceroxid und partikuläres Additiv enthaltende Dispersion
Eom et al. Effect of organic acids in copper chemical mechanical planarization slurry on slurry stability and particle contamination on copper surfaces
JP6557496B2 (ja) 遊離砥粒研磨スラリー及びその製造方法
JP2005186246A (ja) 複合材の研磨方法および仕上げ研磨に用いるラッピングオイル組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071101

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20071107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071108

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080311