JPH11135059A - 放出ガス測定装置および放出ガス測定方法 - Google Patents

放出ガス測定装置および放出ガス測定方法

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JPH11135059A
JPH11135059A JP9312608A JP31260897A JPH11135059A JP H11135059 A JPH11135059 A JP H11135059A JP 9312608 A JP9312608 A JP 9312608A JP 31260897 A JP31260897 A JP 31260897A JP H11135059 A JPH11135059 A JP H11135059A
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gas
sample
electron beam
measurement surface
measuring
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Yoshiro Shiokawa
善郎 塩川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空装置内のH2 OやH2 等の残留ガスを正
確に測定できる放出ガス測定装置および放出ガス測定方
法を提供する。 【解決手段】 試料10から放出されたガス13を電子銃20
でイオン化して四重極型質量分析計40で検出するもの
で、電子銃による電子ビーム26は試料の測定面11の付近
を通過するように出射される。このとき電子ビームは、
試料の大きさと同等以下のビーム径を有し、かつ試料の
測定面からビーム径と同等以下かつ半分以上の距離だけ
離れた所を通過するように設定される。これによりイオ
ン化効率が高くなり、検出感度が向上し、測定精度が高
められる。こうして真空装置内のH2OやH2 等の残留
ガスが正確に測定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放出ガス測定装置
および放出ガス測定方法に関し、特に、真空装置内で試
料から放出されるH2 OやH2 を正確に測定するための
放出ガス測定装置および放出ガス測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の代表的な放出ガス測定装置は「圧
力計測型」の装置であり、試料、イオン化源、四重極型
質量分析計、およびこれらを内蔵する真空装置から構成
されている。イオン化源はフィラメントとグリッド電極
で構成され、フィラメントとグリッド電極はおよそ2〜
5mmに接近して設置されている。放出ガスはフィラメ
ントとグリッド電極の間の空間に飛来し、イオン化され
る。イオン化したガスは、背後に設置された四重極型質
量分析計によって質量差に基づき分離して検出される。
試料とイオン化源が接近しているとフィラメントからの
熱が試料に影響を与えるので、試料とイオン化源は少な
くとも100mm以上の距離を離して同一の真空領域に
設置されている。
【0003】上記放出ガス測定装置では、試料から放出
されるガスによって上昇した圧力量をイオン化源と四重
極型質量分析計で計測し、真空装置の排気速度と上昇圧
力値の積により放出ガス量を算出する。この装置では、
上昇圧力量がガス放出量に比例していることが前提とし
て要求されている。
【0004】しかしながら、吸着性ガスとして知られて
いるH2 Oなどは真空装置の内壁などの固体表面に吸着
し、或る時間経過してから脱離することになる。すなわ
ち、上昇圧力量は表面との相互作用の影響を受けること
になる。排気速度は、一定値ではなく変化する可能性が
あり、またガスの種類によっても大きく異なる。従っ
て、上昇圧力量は必ずしもガス放出量に正確に比例して
いないという問題があった。
【0005】上記問題を解決するためには、試料から放
出された後、真空装置の内壁などに衝突する前のガスの
みを選択的に計測すればよい。そこで、ガス検出に指向
性を持たせた装置が新たに考案されている。これは「分
子線計測型」の測定装置と呼ばれ、イオン化源と四重極
型質量分析計が2式のコリメータを通して試料の表面だ
けを見込むように配置されている。試料が設置されてい
る真空領域、イオン化源および四重極型質量分析計が設
置されている真空領域、コリメータ間の真空領域は、そ
れぞれ差動排気されており、真空的に分離されている。
このようにすると、試料から放出されたガスはコリメー
タを通して分子線となってイオン化源および四重極型質
量分析計で計測することができる。
【0006】しかしながら、試料以外から放出されたガ
スや真空壁で反射したガスは、途中で差動排気され、計
測されない。すなわち、試料から放出されて真空装置の
内壁などに衝突する前のガスのみが選択的に計測され
る。換言すれば、この装置では、試料から放射状に放出
されたガスのうち、遠くに設置されたイオン化源および
四重極型質量分析計を見込む狭い角度範囲の方向に放出
されたごくわずかのガスのみが計測され、その他の方向
に放出された大多数のガスは計測されないことになる。
コリメータの設置や差動排気のために実際の配置では、
試料とイオン化源の距離は少なくとも200mm以上も
離れてしまう。このため、この装置では測定の感度が非
常に低いという別の問題が生じていた。
【0007】さらに吸着性ガスでない場合であっても、
従来の装置では、次のような問題があった。H2 などの
ように、真空装置内のもともと存在する圧力(バックグ
ランド圧力)が高いガスで、しかも放出量が少ない場合
には、ガス放出量の測定は困難になってくる。「圧力計
測型」の測定装置では、試料から放出されたガスが真空
装置内の広い空間に拡散した後の圧力を測定する。言わ
ば、薄められた後の圧力を測定するため、圧力上昇量と
しては小さな値となり、大きなバックグランド圧力の変
動に埋もれてしまうことになる。この対策としては、試
料を大きなもの(極端には真空容器そのもの)にすれば
よいが、これでは試料表面を同一条件としたり、各種の
処理を行うことが困難となる。なお「分子線計測型」の
測定装置では、もともと感度が低いので、ますます測定
が難しくなる。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】H2 Oはベーキン
グを行う前の真空装置内での支配的な残留ガスであり、
真空中での成膜プロセスなどにおいて最も悪い影響を与
えるガスである。またH2 はベーキングを行った後の真
空装置内での支配的な残留ガスであり、これが到達圧力
の限界を決めている。従って、各種材料からのこれらの
ガスの放出量を正確に測定することは非常に重要なこと
となっている。しかし従来では、H2 OおよびH2 等の
ガスを正確に測定できる適当な測定装置がなかった。
【0009】本発明の目的は、上記問題を解決すること
にあり、真空装置内のH2 OやH2等の残留ガスを正確
に測定できる放出ガス測定装置および放出ガス測定方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
放出ガス測定装置および放出ガス測定方法は、次のよう
に構成される。
【0011】本発明に係る第1の放出ガス測定装置(請
求項1に対応)は、試料から放出されたガスをイオン化
機構でイオン化してイオン検出器で検出するように構成
されるものであり、イオン化機構は電子ビームを出射す
る電子銃であり、この電子銃による電子ビームは試料の
測定面の付近を通過するように出射され、ガスは電子ビ
ームでイオン化され、イオン検出器で検出するように構
成される。本発明の場合は、イオン化機構の外部の空間
領域で放出ガスをイオン化するように構成され、試料と
イオン化機構を距離的に離すと共にイオン化領域は試料
の測定面の近傍に設定するようにした。またイオン検出
器は当該イオン化領域の近くに配置するようにしてい
る。試料の配置位置、イオン化機構の設置位置、イオン
化領域、イオン検出器の設置位置は同じ真空領域に設定
される。かかる構成によって、試料から放出された後、
真空装置の内壁などに衝突する前のガスを高い割合で選
択的に計測できる。またイオン化領域の近くにイオン検
出器を配置することができるので、検出感度を高めるこ
とができる。こうして真空装置内のH2 OやH2 等の残
留ガスを正確に測定することが可能となる。
【0012】本発明に係る第2の放出ガス測定装置(請
求項2に対応)は、第1の発明構成において、イオン検
出器の前段にイオン化されたガスを収集するイオン収集
器を備えたことを特徴とする。収集されるイオン量が増
し、検出感度を高めることが可能となる。
【0013】本発明に係る第3の放出ガス測定装置(請
求項3に対応)は、第1または第2の発明構成におい
て、電子ビームは、試料の大きさと同等以下のビーム径
を有し、かつ試料の測定面からビーム径と同等以下かつ
半分以上の距離だけ離れた所を通過するように設定され
ることを特徴とする。試料の測定面から放出されるガス
をイオン化する電子ビームの条件を上記の通り設定する
と、イオン化効率がもっとも高くなり、検出感度が向上
し、測定精度を高めることができる。
【0014】本発明に係る第1の放出ガス測定方法(請
求項4に対応)は、試料から放出されたガスをイオン化
して検出する放出ガス測定方法であり、試料の測定面の
付近にイオン化媒体を通過させ、このイオン化媒体でガ
スをイオン化し、検出するように構成される。この放出
ガス測定方法は、本発明の内容を方法として把握したも
のである。特徴的なことは、試料の測定面の近くで、当
該試料から放出されるガスをイオン化し、当該場所の近
くでイオン化されたガスを検出した点にある。これによ
りH2 O等の吸着ガスやH2 等を正確に測定することが
可能となる。
【0015】本発明に係る第2の放出ガス測定方法(請
求項5に対応)は、第1の方法において、好ましくはイ
オン化媒体は電子ビームであることを特徴とする。放出
ガスのイオン化を行う媒体(手段)としては電子ビーム
が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0016】本発明に係る第3の放出ガス測定方法(請
求項6に対応)は、第1または第2の方法において、イ
オン化媒体は、ビーム状であり、試料の大きさと同等以
下のビーム径を有し、かつ試料の測定面からビーム径と
同等以下かつ半分以上の距離だけ離れた所を通過するよ
うに設定される。かかる条件設定がイオン化効率をもっ
とも高めることができる。
【0017】本発明に係る第4の放出ガス測定方法(請
求項7に対応)は、上記いずれかの方法において、好ま
しくは、イオン化媒体の軸は試料の測定面に対して実質
的に平行であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0019】図1は本発明の代表的実施形態を示し、本
発明に係る放出ガス測定装置の要部構成を模式的に示し
ている。図1において、10は測定対象の試料である。
この例で、試料10は好ましくは板状であって、試料バ
イアス調整器12が付設され、かつ図中右側面が測定面
(試料測定面)11となっている。実際上、試料10の
形状は任意であるが、試料10の測定面11はおよそ1
mm以内の平坦度を持っていることが望ましい。測定面
11からガス13が放出される。上記試料10に対し
て、図1中、上方位置にイオン化機構である電子銃20
が配置される。電子銃20は試料10から離れた位置に
配置されている。電子銃20は、電子を放出するフィラ
メント21、フィラメント21に付設された加熱電力調
整器27、当該電子で作られる電子ビーム26を制御す
るウエーネルト電極22およびアノード電極23、ウエ
ーネルトバイアス抵抗24、フィラメント電圧調整器2
5から構成される。電子銃20から出射された電子ビー
ム26は、試料10の測定面11の近傍領域を通過す
る。試料10の測定面に比較的に近い領域に、イオン収
集器30と四重極型質量分析計40が配置される。イオ
ン収集器30は、イオン用電極31とイオン用電極電圧
調整器32で構成されている。試料10の測定面11か
らの放出ガス13は、その近傍領域で電子ビーム26に
よってイオン化される。従って試料10の測定面11の
近くにイオン化領域50が形成される。イオン化領域5
0は、電子ビーム26内の領域であってかつ電子ビーム
軸に平行な試料部分の長さで決められ、さらに厳密には
電子ビーム内で実線で示されたガス13が点線で示され
たガス33に変化させられる領域である。電子ビーム2
6によってイオン化されたガス33は、イオン収集器3
0で収集され、四重極型質量分析計40に導かれる。以
上の装置構成は、真空装置内の同じ真空環境に設置され
ている。
【0020】上記の構成において、フィラメント21か
ら放出された電子は、ウエーネルトバイアス抵抗24に
よりマイナス電位となったウエーネルト電極22に基づ
き集束され、アース電位であるアノード電極23の電位
により加速された後、アノード電極23を通過して無電
界の空間をビーム状態として飛行する。これにより電子
ビーム26が形成される。アノード電極23はアース電
位に保持されているので、試料10の付近に、フィラメ
ント21やウエーネルト電極22からの電界は及ばな
い。
【0021】上記電子ビーム26は、フィラメント電圧
調整器25により印加された電位に相当するエネルギを
持つことになり、好ましくは100〜1000eV程度
のエネルギを持つように設定される。この範囲のエネル
ギによれば、放出ガスのイオン化効率が良くなる。また
この範囲のエネルギであれば、後述する引き込み電界に
より軌道が大きく曲げられることもない。電子ビーム2
6による電流は大きいほど感度が良くなるが、一般的に
は1〜10μA程度に設定される。
【0022】本実施形態の構成で、電子ビーム26のビ
ーム径と、試料10の測定面11に対する電子ビーム2
6の位置は、重要な条件である。電子ビーム26は、測
定面11の付近で試料10の大きさと同等以下のビーム
径となるようにする。また電子ビーム26は、好ましく
は当該ビーム径と同等以下の距離だけ測定面11から離
れた所を、そのビーム軸が測定面11に平行に通過する
ように、出射される。特に電子ビーム26が、測定面1
1を直接に照射しないように設定している。すなわち
「試料の大きさと同等以下のビーム径を持つ電子ビーム
が、試料測定面からビーム径と同等以下かつ半分以上の
距離だけ離れた所を照射される」ように設定される。こ
こで、「試料の大きさ」とは「試料測定面で、電子ビー
ム軸に対して直角的な位置関係を作る直線方向の試料の
長さ」である。すなわち図2に示したAのことである。
上記条件に基づけば、例えば試料10が7mmφである
場合、試料測定面11から3mm離れた所を5mmφの
電子ビーム26を照射するように設定される。この範囲
を越えると、後述するように、試料以外から放出された
ガスや真空壁で反射したガスの影響が出てくる可能性が
ある。なお電子銃20の位置は遠く離れていてもよいの
で、試料10に対する熱の問題を回避できる上、装置構
成上も自由度が大きいという利点がある。
【0023】イオン収集器30は、電子ビーム26を挟
んで、測定面11と反対側に設置されている。イオン収
集器30の設置位置は、許容度が大きく、試料測定面1
1と電子ビーム26の距離の数倍から20倍程度だけ試
料10から離れて、概ね試料の方向を向いていればよ
い。例えば7mmφの試料の場合は、試料測定面から1
0〜60mm離れた所にイオン収集器30が設置され
る。四重極型質量分析計40は、イオン収集器30のす
ぐ後ろに設置される。イオン用電極31には、イオン用
電極電圧調整器32によっておよそマイナス5〜50V
の電位が印加されている。また試料10は、試料バイア
ス調整器12によっておよそプラス1〜10Vの電位が
印加されている。なおイオン収集器30および四重極型
質量分析計40はイオン化のための機能を備えていな
い。
【0024】測定面11から放出された放出ガス13
は、通常は余弦則に従ってあらゆる方向に放出される。
電子ビーム26がない場合には、放出ガス13はそのま
ま放射状に拡散してしまう。しかし電子ビーム26が測
定面の近傍に照射されていると、放出ガス13は電子と
の衝突により主にプラスにイオン化される。イオン化さ
れた放出ガス13は電界に感応するようになり、試料1
0に印加された電位による押出し電界とイオン用電極3
1に印加された電位の引込み電界により、イオン用電極
31内に収集される。前述したように、電子銃20の外
部には電界が漏れ出ないので、試料10とイオン用電極
31による電界がイオンの収集に有効に働く。収集され
た後のイオン化されたガス33は、イオン用電極31の
すぐ背後に設置された四重極型質量分析計40により計
測される。
【0025】試料以外から放出されたガスや真空装置の
壁部で反射したガスのうち、試料測定面11付近に存在
しているガスも、この電子ビーム26によって同じよう
にイオン化され計測されるおそれがある。しかし、電子
ビーム26の通過位置とその径が上記のように設定され
ていれば、すなわち「試料の大きさと同等以下のビーム
径を持つ電子ビームが、試料測定面からビーム径と同等
以下かつ半分以上の距離だけ離れた所を照射される」よ
うに設定されていれば、イオン化されたガスのうち試料
10からの放出ガス13が占める割合が非常に大きくな
る。
【0026】図2に、電子ビーム26の位置と径と、イ
オン化されたガスのうち放出ガス13が占める割合との
関係を模式的に示す。図2は、図1の試料付近を下から
見た図である。
【0027】図2において、前述の通り、10は試料、
13は放出ガス、26は電子ビームである。また(a)
は本実施形態による条件の場合、(b)は距離が離れ過
ぎる例、(c)はビーム径が大き過ぎる例である。試料
10の3ケ所からそれぞれ5つの方向に計15のガスが
放出されたと仮定している。これらの放出ガスが電子ビ
ーム26内を通過する数は、(a)では9、(b)では
5、(c)では11となる。しかし(c)はビームの面
積(断面積)が4倍となっているので、試料以外から放
出されたガスや真空壁で反射されたガスも4倍増加す
る。従って本実施形態である(a)の場合が、イオン化
されたガスのうち放出ガス13が占める割合が最大とな
る。なお図2で、Aは試料10の大きさ、Bは電子ビー
ム26のビーム径、Cは試料測定面から電子ビームの軸
位置(中心位置)までの距離を表している。
【0028】従来の「圧力計測型」の測定装置は、図1
の構成で、電子ビーム26の位置が測定面11から極端
に離れている状態とみなすことができる。或る程度距離
が離れている場合には、イオン化されたガスのうち放出
ガス13が占める割合は、その距離の2乗に反比例する
と考えられる。そこで、本実施形態での3mmと従来装
置での100mm以上を比較すると、この割合は、本実
施形態の方が(100/3)2 すなわち約1100倍以
上も高くなる。
【0029】真空装置の排気速度を大きくすれば、この
割合をさらに高くできる。すなわち排気速度が大きい場
合は、試料以外から放出されたガスや真空壁で反射した
ガスによる圧力は低くなる。これに対して、試料10か
ら放出されたガスの電子ビーム26の領域での密度は全
く変化しない。このため、必要に応じて或る程度以上の
排気速度を持った真空装置を用いることにより、試料以
外から放出されたガスや真空壁で反射したガスを無視す
ることができる。
【0030】なお従来の「圧力計測型」の測定装置で
は、排気速度を大きくすると圧力上昇量が減少し、逆に
排気速度を小さくするとバックグランド圧が高くなり、
問題解決とはならない。
【0031】また従来の「分子線計測型」の測定装置と
の感度比較に関しても、上記と同様の計算が行える。つ
まり、「分子線計測型」の測定装置で試料とイオン化源
が200mm以上離れているとすると、感度は、本実施
形態の方が(200/3)2すなわち4400倍以上も
高くなる。
【0032】以上のように、本実施形態では、試料10
から放出されて真空装置の内壁などに衝突する前の放出
ガスのみを、選択的に、しかも高感度に計測することが
できる。従って本実施形態によって、従来では不可能で
あったH2 Oのような吸着性ガスやH2 のようにバック
グランドの高いガスでも高精度に測定できる。
【0033】上記実施形態では、放出ガス測定装置が単
体で構成される例で説明したが、他の装置と複合して構
成することもできる。例えば、表面分析装置と複合すれ
ば、試料の表面組成・構造などとガス放出特性の関連を
調べることができる。また、成膜装置と複合すれば、試
料(基板)表面の清浄度のモニタとして使用できる。ま
た各種真空装置の中に組み込み、試料としてはその真空
装置の壁部や内部構成部品の表面を対象とし、排気中の
ガス放出の特性をモニタすることもできる。
【0034】上記実施形態を次のように変更することも
できる。電子銃20は、これに集束レンズや偏向器を付
加することにより、電子ビームをより細くしたり位置移
動性を向上したり、あるいは電子ビームを試料測定面に
沿って扁平形状として計測特性を向上することができ
る。イオン収集器30は、これに結像レンズや偏向器を
付加することにより、検出位置選択性を持たせることが
できる。四重極型質量分析計40は、単なるイオンコレ
クタとして質量分離機能を削除して簡素化することがで
きる。さらに試料10の測定面からの放出ガスをイオン
化する手段は、上記電子ビームに限定されず、他のイオ
ン化媒体を用いることもできる。試料測定面11と電子
ビーム26の間にメッシュを設置し、これに試料バイア
ス調整器12の電位を加えることにより、押出し電界を
形成することもできる。これは、試料10に電位を加え
にくい場合に有効である。
【0035】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、放出ガス測定装置および測定方法において、イオ
ン化機構を電子銃で構成し、電子銃から出射される電子
ビームを試料に対して所要の位置関係で配置することに
より、放出ガスのイオン化領域を試料測定面の付近に作
るようにしたため、試料測定面から放出されたガスを高
い割合で検出することができ、H2 OやH2 等の放出ガ
スを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放出ガス測定装置の要部を模式的
に示した構成図である。
【図2】試料と電子ビームのビーム径および通過位置と
の関係を解説する図である。
【符号の説明】
10 試料 13 放出ガス 20 電子銃 21 フィラメント 26 電子ビーム 30 イオン収集器 33 イオン化されたガス 40 四重極型質量分析計 50 イオン化領域

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料から放出されたガスをイオン化機構
    でイオン化してイオン検出器で検出するように構成され
    た放出ガス測定装置において、 前記イオン化機構は電子ビームを出射する電子銃であ
    り、この電子銃による前記電子ビームは前記試料の測定
    面の付近を通過するように出射され、前記ガスは前記電
    子ビームでイオン化され、前記イオン検出器で検出され
    ることを特徴とする放出ガス測定装置。
  2. 【請求項2】 前記イオン検出器の前段にイオン化され
    たガスを収集するイオン収集器を備えたことを特徴とす
    る請求項1記載の放出ガス測定装置。
  3. 【請求項3】 前記電子ビームは、前記試料の大きさと
    同等以下のビーム径を有し、かつ前記試料の測定面から
    前記ビーム径と同等以下かつ半分以上の距離だけ離れた
    所を通過するように設定されることを特徴とする請求項
    1または2記載の放出ガス測定装置。
  4. 【請求項4】 試料から放出されたガスをイオン化して
    検出する放出ガス測定方法において、 前記試料の測定面の近傍にイオン化媒体を通過させ、前
    記イオン化媒体で前記ガスをイオン化し、検出すること
    を特徴とする放出ガス測定方法。
  5. 【請求項5】 前記イオン化媒体は電子ビームであるこ
    とを特徴とする請求項4記載の放出ガス測定方法。
  6. 【請求項6】 前記イオン化媒体はビーム状であり、前
    記試料の大きさと同等以下のビーム径を有し、かつ前記
    試料の測定面から前記ビーム径と同等以下かつ半分以上
    の距離だけ離れた所を通過するように設定されることを
    特徴とする請求項4または5記載の放出ガス測定方法。
  7. 【請求項7】 前記イオン化媒体の軸は前記試料の測定
    面に対して実質的に平行であることを特徴とする請求項
    4〜6のいずれか1項に記載の放出ガス測定方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016513343A (ja) * 2013-02-19 2016-05-12 マークス インターナショナル リミテッドMarkes International Limited 電子衝撃イオン化を利用する分析装置

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